【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、感温性を有する樹脂に関するものであり、さらにこれを用いた金属イオン吸着剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、外部の刺激(温度、光、電気、磁性、pHなど)の変化に応答して様々な機能を発現する高分子の研究が活発に行われている。外部刺激の中で温度は比較的制御の容易な刺激の一つである。N−置換(メタ)アクリルアミドポリマーの一部が温度変化により水中で鋭敏な相転移を示すことが見出され、その中でもポリN−イソプロピルアクリルアミド(NIPAAm)は、相転移温度(下限臨界溶液温度:Lower critical solution temperature(LCST))が室温または体温に近い32℃であり、更に相転移挙動は濃度や重合度には依存せず敏感である。また、構造が比較的単純でその重合が比較的容易であることから、感温性高分子として多く用いられている。
【0003】
また、リン酸基、ホスホン酸基およびホスフィン酸基はリンと結合した酸素が強いルイス塩基として働くことを利用して、金属イオンの抽出剤やイオン交換樹脂に用いられ、金属の捕捉、回収に利用されている。特に、ホスフィン酸基を有するキレート樹脂や溶媒抽出法を用いて、ランタノイド系金属イオンの回収やコバルトイオンとニッケルイオンの分離など数多くの研究が行われている。
【0004】
本発明者らは、先に、感温性を有するN−アルキル(メタ)アクリルアミドと金属イオン吸着能を有するホスフィン酸を共重合することにより得られる水溶性金属イオン吸着剤及び凝集剤を提案した(特許文献1)。この金属イオン吸着剤は水溶性であり、水溶液中で金属イオンを吸着後温度変化により凝集させて分離し、水溶液から金属イオンを除去するものである。
【0005】
一方で、感温性、金属イオン吸着能を有しながら水に不溶の樹脂を得ることができれば、材料として使用するのに便利である。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−31723号公報(第1頁)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような従来技術に鑑みてなされたものであり、両親媒性であるN−アルキル(メタ)アクリルアミドと水に難溶性であるホスフィン酸系単量体を架橋剤の存在下で重合させて得られるポリマーからなる水に不溶の感温性樹脂を得ることを目的とし、さらにこれを用いた金属イオン吸着剤を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記問題に鑑み鋭意研究の結果、N−アルキル(メタ)アクリルアミドとホスフィン酸系単量体を架橋剤の存在下で懸濁重合させ、金属イオン吸着能を有する感温性樹脂を開発するに至った。
【0009】
すなわち、本発明の第一の発明は、下記一般式(1)
【0010】
【化3】
(式中、R1は水素原子またはメチル基を示し、R2、R3は水素原子または炭素数1〜6の直鎖状または分岐状のアルキル基を示す。ただし、R2、R3は同時に水素原子であることはない。)
【0011】
で表されるN−アルキル(メタ)アクリルアミドと、下記一般式(2)
【0012】
【化4】
【0013】
(式中、R4はメチル基又は水素原子、Aは炭素数1〜10の直鎖状または分岐状のアルキレン基、R5は水素原子、水酸基、炭素数1〜10の直鎖状または分岐状のアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、置換フェニル基又はベンジル基を示す。)で表される(メタ)アクリル基を有するホスフィン酸系単量体を、架橋剤の存在下で重合させてなるポリマーからなることを特徴とする感温性樹脂に関するものである。この感温性樹脂は、破砕して粉末状にして用いることが好ましい。
【0014】
さらに、本発明の第2の発明は、上記の感温性樹脂を含有する金属イオン吸着剤に関するものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の感温性樹脂の原料である、下記一般式(1)
【0016】
【化5】
【0017】
で表されるN−アルキル(メタ)アクリルアミドにおいて、式中のR1は水素原子またはメチル基を示す。R2、R3は水素原子または炭素数1〜6、好ましくは炭素数2〜3の直鎖状または分岐状のアルキル基を示す。R2、R3は同一の基でも、あるいは異なる基でもよい。ただし、R2、R3は同時に水素原子であることはない。
【0018】
一般式(1)で表されるN−アルキル(メタ)アクリルアミドの具体例としては、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジイソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−シクロプロピルアクリルアミド等が挙げられ、これらの化合物は1種または2種以上で用いられる。
【0019】
本発明の感温性樹脂が、特定の温度を境に膨潤度や金属吸着量が変化する感温性の機能は、主としてこれらのモノマーにより付与される。例えば、N−イソプロピルアクリルアミドは33℃付近、N−イソプロピルメタクリルアミドは44℃付近で感温性を示す。
ここで、感温性とは、温度によって相転移をし、低温で膨潤し、高温で収縮する性質をいう。
【0020】
他の原料成分である、下記一般式(2)
【0021】
【化6】
で表される(メタ)アクリル基を有するホスフィン酸系単量体の式中、R4はメチル基又は水素原子である。
Aは炭素数1〜10の直鎖状または分岐状のアルキレン基であり、具体的には、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、2−メチルブチレン基、3−メチルブチレン基等が挙げられる。
【0022】
R5は水素原子、水酸基、炭素数1〜10の直鎖状または分岐状のアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、置換フェニル基、ベンジル基を示す。例えば、水素原子、水酸基、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、2−ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、2−ペンチル基、2−メチル−1−ブチル基、1−ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、イソオクチル基、2,4,4−トリメチルペンチル基、1,1,3,3−テトラメチルブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、フェニル基、置換フェニル基、ベンジル基等が挙げられる。
【0023】
一般式(2)で表される(メタ)アクリル基を有するホスフィン酸系単量体の具体例としては、
(メタクリロイルオキシメチル)ホスフィン酸、
(2−メタクリロイルオキシエチル)ホスフィン酸、
(3−メタクリロイルオキシプロピル)ホスフィン酸、
(4−メタクリロイルオキシブチル)ホスフィン酸、
(5−メタクリロイルオキシペンチル)ホスフィン酸、
(6−メタクリロイルオキシヘキシル)ホスフィン酸、
(7−メタクリロイルオキシヘブチル)ホスフィン酸、
(8−メタクリロイルオキシオクチル)ホスフィン酸、
(9−メタクリロイルオキシノニル)ホスフィン酸、
(10−メタクリロイルオキシデシル)ホスフィン酸、
(3−メタクリロイルオキシプロピル)エチルホスフィン酸、
(3−メタクリロイルオキシプロピル)ブチルホスフィン酸、
(3−メタクリロイルオキシプロピル)オクチルホスフィン酸、
(3−メタクリロイルオキシプロピル)デシルホスフィン酸、
(3−メタクリロイルオキシプロピル)フェニルホスフィン酸、
(3−メタクリロイルオキシプロピル)ホスホン酸、
(アクリロイルオキシメチル)ホスフィン酸、
(2−アクリロイルオキシエチル)ホスフィン酸、
(3−アクリロイルオキシプロピル)ホスフィン酸、
(4−アクリロイルオキシブチル)ホスフィン酸、
(5−アクリロイルオキシペンチル)ホスフィン酸、
(6−アクリロイルオキシヘキシル)ホスフィン酸、
(7−アクリロイルオキシヘブチル)ホスフィン酸、
(8−アクリロイルオキシオクチル)ホスフィン酸、
(9−アクリロイルオキシノニル)ホスフィン酸、
(10−アクリロイルオキシデシル)ホスフィン酸、
(3−アクリロイルオキシプロピル)エチルホスフィン酸、
(3−アクリロイルオキシプロピル)ブチルホスフィン酸、
(3−アクリロイルオキシプロピル)オクチルホスフィン酸、
(3−アクリロイルオキシプロピル)デシルホスフィン酸、
(3−アクリロイルオキシプロピル)フェニルホスフィン酸、
等が挙げられる。
【0024】
かかる(メタ)アクリル基を有するホスフィン酸系単量体の製造方法としては、広く公知の方法を用いることができるが、その一例を示すと、オルガノホスフィン酸化合物と不飽和アルコールとをラジカル開始剤の存在下で反応させて、ヒドロキシオルガノホスフィン酸化合物を得、次いで該ヒドロキシオルガノホスフィン酸化合物とメタクリル酸またはアクリル酸とを酸触媒、相間移動触媒の存在下で反応させる方法が挙げられる(特開平11−35588号公報)。
【0025】
本発明の感温性樹脂の金属イオンの吸着能は、上記の(メタ)アクリル基を有するホスフィン酸系単量体により付与される。前記単量体のホスフィン酸基はリンと結合した酸素が強いルイス塩基として働くために、金属イオン吸着の機能を有する。
【0026】
もう一つの原料である架橋剤は、ポリマーを三次元に架橋する役割を果たす。架橋剤は、重合可能な二重結合を二つ以上持つ多官能性モノマーが用いられ、例えば、ジビニルベンゼン、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等が挙げられる。これらの中でも、親水性の多官能モノマーが適しており、ポリエチレングリコールジメタクリレート、CH2=C(CH3)COO(CH2CH2O)nCO−C(CH3)=CH2(n=1〜9)が好ましく、特にn=4のテトラエチレングリコールジメタクリレート(4G)を主成分とする架橋モノマーが好ましい。
【0027】
本発明の感温性樹脂は、上記一般式(1)で表されるN−アルキル(メタ)アクリルアミドと、一般式(2)で表される(メタ)アクリル基を有するホスフィン酸とを架橋剤の存在下で重合させて得られるポリマーからなる。
【0028】
下記に重合の反応式を示す。なお、架橋剤としてポリエチレングリコールジメタクリレート(CH2=C(CH3)COO(CH2CH2O)nCO−C(CH3)=CH2)を用いた反応を示す。
【0029】
【化7】
【0030】
上記の反応において、一般式(1)、一般式(2)及び架橋剤の配合割合は、モノマーの種類や樹脂の用途により異なり、任意に設計できるが、好ましくは、モル比で(メタ)アクリル基を有するホスフィン酸系単量体(以降、APPOとも称す):N−アルキル(メタ)アクリルアミド(以降、NIPAAmとも称す):架橋剤=1〜50:50〜99:1〜20モルであり、さらに好ましくは5〜20:90〜99:1〜10モルである。この配合割合によれば、適度な感温性、金属イオンの吸着能を有する樹脂を得ることができる。
【0031】
また、本発明の感温性樹脂においては、上記の含有割合において、(メタ)アクリル基を有するホスフィン酸系単量体の含有量が例えば1モル%未満の場合は、樹脂の金属イオン吸着量が不十分となり、逆に上記該ホスフィン酸系単量体の含有量が増加すると、金属イオン吸着量も高くなるが、40モル%を超えると膨潤が大きくなりすぎるため、好ましくない。
【0032】
架橋剤の含有量は、上記の含有割合において、例えば1モル%未満の場合は、三次元架橋構造とならないため水不溶性の樹脂が得られず、逆に架橋剤の含有量が10モル%を超えると三次元化が進み、膨潤に伴う高分子鎖の拡張が抑制され感温性を阻害するため好ましくない。
【0033】
本発明の感温性樹脂の製造方法は、N−アルキル(メタ)アクリルアミドと、(メタ)アクリル基を有するホスフィン酸系単量体と、架橋剤とを溶媒に溶解し、分散媒に無機塩の飽和水溶液を用い、APPO、NIPAAm、及び架橋剤を上記比率になるように調整したモノマー混合物を分散媒に仕込み、開始剤を加えて攪拌下で重合を行う。
【0034】
分散媒としては、飽和硫酸ナトリウム水溶液、飽和塩化ナトリウム水溶液、飽和塩化カルシウム水溶液等の無機塩の飽和水溶液を用いることができる。
【0035】
開始剤としては、過酸化水素、過酸化ベンゾイル、ベンゾイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシジイソブチレート、t−ブチルパーオキシビバレート、t−ブチルパーオキシジイソブチレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ラウロイルパーオキサイド等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレリアル酸、アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2−アゾビス(2−アミノプロパン)塩酸塩等のラジカル重合開始剤や、これらと亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸アンモニウム、L−アスコルビン酸、第一鉄塩等の還元剤との組み合わせによるレドックス系開始剤を用いることができる。
【0036】
また、重合溶媒中での分散性を向上させることを目的として、界面活性剤を用いることができる。用いることのできる界面活性剤としては、特に制限はないが、HLBが10〜20のアニオン性もしくはノニオン性界面活性剤が安定な有機溶媒液滴を形成するために好ましい。HLBが20を越えると界面活性剤では有機溶媒が水に完全に乳化し、HLBが10未満では液滴を形成しない。中でも、アニオン性界面活性剤であるスルホこはく酸ジアルキルエステル塩が好ましく、特にジイソオクチルスルホこはく酸ナトリウム(AOT)が好ましい。
【0037】
反応温度は、モノマーや開始剤の種類等によっても異なるが、25〜90℃、好ましくは40〜60℃が望ましい。反応時間は、2〜8時間、好ましくは3〜5時間である。攪拌速度は、モノマー滴が安定的に分散される速度であることが必要であり、200〜500rpm、300〜400rpmが好ましい。
【0038】
感温性樹脂は、ゲル状ポリマーとして得られるが、その水分含有量は2g/g−樹脂〜10g/g−樹脂であり、例えばAPPO−NIPAAm−4G(架橋剤:テトラエチレングリコールジメタクリレート)が5:97:3(モル比)の共重合体ゲルの場合、10℃で約5g/g−樹脂、15:99:1(モル比)の共重合体ゲルの場合で、10℃で約6g/g−樹脂である。なお、温度が上昇すると水分量は低下し、約1/2.5程度となる。
【0039】
得られる感温性樹脂が塊状である場合は、破砕して使用することができる。破砕は乳鉢、ボールミル等の通常の方法を用いることができる。
破砕する場合には、乾燥した樹脂の平均粒径10〜10000μmの無定形粉末状とすると、材料として用いる際に利用しやすいことから、好ましい。
【0040】
本発明の感温性樹脂は、金属イオンを吸着することができる。本発明の感温性樹脂が吸着することができる金属イオンとしては、例えば、銅、コバルト、ニッケル等の貴金属イオンや、サマリウム、ランタン、ネオジウム、ユウロピウム、イットリウム等の希土類元素等が挙げられる。
【0041】
本発明の感温性樹脂の金属イオンの吸着量は、温度、pHによって異なる。例えば、ポリN−イソプロピルアクリルアミド(NIPAAm)とアクリロイロキシプロピル−n−オクチルホスフィン酸(APPO)を、テトラエチレングリコールジメタクリレート(4G)を架橋剤として重合して得られるポリマーよりなる感温性樹脂の場合は、20℃以下では金属イオンの吸着量は変化しないが、30℃以上になると吸着量が低下する。これは、感温性樹脂の中のNIPAAmが感温性を有し、30℃以上ではゲルの疎水性が高くなり、脱水収縮するために金属イオンのゲル内部への拡散が抑制されるためであると考えられる。また、pHを変化させた場合は、一般的にpHが高い方が金属イオン吸着量が高くなる。これは、低pH領域では金属イオンの吸着は主に配位によって起こるが、高pH領域では金属イオンの吸着はイオン交換と配位によって起こるためであると考えられる。
【0042】
また、二種類以上の金属イオンを含有する溶液から、選択的に特定の金属イオンを吸着することにより、貴金属イオン、希土類元素等の分離・回収を行うことができる。たとえば、金属イオンとしてNd3+及びLa3+を含有する水溶液からは、Nd3+を選択的に吸着するため、両者を分離することができる。
【0043】
本発明の感温性樹脂は、金属イオン吸着能を有していることから、金属イオン吸着剤として用いることができる。金属イオン吸着剤とする場合は、破砕して乾燥した樹脂の平均粒径を10〜10000μmの無定形粉末としてカラムにつめたり、そのまま金属イオンを含有する水溶液に接触させて用いることができる。
【0044】
また、本発明の感温性樹脂は、N−アルキル(メタ)アクリルアミドを共重合しているため、高い吸水性を有し、吸水性ゲルとして使用することもできる。
【0045】
【実施例】
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に制限されるものではない。
【0046】
<球状ゲルの作成>
(実施例1)
攪拌装置、還流管、窒素導入管を備えた500mlのセパラブル三口丸底フラスコに飽和硫酸ナトリウム水溶液を400cm3を入れ、30分以上穏やかに窒素置換を行った。アクリロイロキシプロピル−n−オクチルホスフィン酸(以下APPOと記す)、ポリN−イソプロピルアクリルアミド(以下NIPAAmと記す)、テトラエチレングリコールジメタクリレート(以下4Gと記す)のクロロホルム溶液をフラスコに採取し、10分間窒素置換してから開始剤としてα,α’−アゾビスイソブチロニトリル(以下AIBNと記す)を溶解し、攪拌しながらモノマー溶液を注ぎ込み、攪拌速度を360rpmに設定した後、50℃で重合反応を行った。
重合後、得られた重合物を溶液から分離し、アセトンを溶媒としてソックスレー抽出を24時間以上行った後、イオン交換水中で10℃と60℃で温度を上下させ、ゲルを膨潤−収縮することで未反応モノマーを除去した。その後、ゲルをシャーレ上で風乾し、常温真空乾燥機で乾燥し、破砕して、APPO−NIPAAm−4Gゲルを得た。
【0047】
(実施例2〜4)
実施例1と同様にして、表1に示す割合で各種化合物を添加し、ゲルを作成した。なお、実施例2では開始剤としてレドックス系開始剤を使用し、酸化剤として過酸化ベンゾイル、還元剤としてN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンまたはN,N−ジメチルアニリンを用いた。
【0048】
【表1】
【0049】
<物性測定>
▲1▼リン、炭素、窒素、及び水素含量の測定
乾燥状態の共重合体を0.1g秤量し、ケルダールフラスコに入れ、濃硝酸10cm3を加え、弱火〜中火で共重合体が分解するまで加熱した。分解後さらに2〜3時間加熱を続け、放冷後ケルダールフラスコ内の溶液をすべて100cm3メスフラスコに入れて、イオン交換水で標線まで合わせた。この溶液を50cm3メスフラスコに10cm3とり、これにフェノールフタレイン2滴を加え、微紅色を示すまで希アンモニア水(体積比でアンモニア水:イオン交換水=1:4)を加えた。次に5mol/ l硝酸5cm3、0.25%メタバナジン酸アンモニウム水溶液5ml、5%モリブデン酸アンモニウム水溶液5cm3を順次加え、イオン交換水で標線まで合わせた。
【0050】
この溶液の440nmにおける吸光度を紫外可視分光光度計(SIMAZU製UV160A)を用いて測定し、100ppmリン標準液から同様にして調製した検量線を用いて、リン含有量を次式(1)により求めた。
測定波長の440nmは、リン−モリブデン酸錯体の特性吸収であり、この溶液の最大吸収波長である。
【0051】
【数1】
【0052】
A;検量線から求めた測定液中のリンの含量(mg)
v;比色法に用いた試料溶液量(cm3)
W;測定に用いた乾燥共重合体の重量(g)
【0053】
また、得られたゲルの炭素、窒素及び水素含量は元素分析装置(Yanaco CHN Corder M−6)を用いて行った。
共重合体中のリン、炭素、窒素、及び水素の含有量の実測値及び計算値を表2及び表3に示した。
【0054】
【表2】
【0055】
【表3】
【0056】
▲2▼膨潤度測定
実施例1で作成した樹脂を乾燥し、0.20gを5cm3メスシリンダーに移し、ゲルに対し過剰のイオン交換水を入れ、24時間以上放置した後、温度を変えながらそれぞれの温度で1時間膨潤させ、次式(2)を用いて膨潤度を測定した。結果を表4に示す。
【0057】
【数2】
【0058】
【表4】
【0059】
▲3▼金属イオン吸着試験
金属イオン吸着試験に用いる金属イオン溶液は0.1mol/dm3酢酸水溶液及び0.1mol/dm3酢酸ナトリウム水溶液を用いた酢酸−酢酸ナトリウム緩衝溶液を用い、pH6.5に調整した。
実施例3で得られた乾燥したゲル0.1gを精秤し、50cm3三角フラスコに入れ、pH6.5の緩衝溶液を25cm3加え、ゲルが十分に平衡膨潤に達するように所定の温度で24時間振とうした。1.95×10−3mol/dm3のSm3+イオン水溶液を25cm3加え、さらに各温度で24時間振とうした。その後、ろ過して上澄み液を得た。Sm3+イオン吸着量は、振とう後のSm3+イオン水溶液を適当に希釈し、1000ppmSm3+標準液から調製した検量線を用いて残存Sm3+イオン濃度を高周波誘導結合プラズマ発光分析装置(SIMADZU製シーケンシャル型高周波プラズマ発光分析装置ICPS−5000)で測定することにより求めた。
球状ゲル1グラム当たりの金属イオン吸着量は次式(3)により求めた。
【0060】
【数3】
【0061】
B:ブランクの金属イオン濃度(mg/l)
S:サンプルの金属イオン濃度(mg/l)
A:溶液の希釈倍率
D:金属イオン溶液の量(cm3)
M:Sm3+の原子量
w:共重合体の重量(g)
【0062】
Sm3+イオンの吸着量は、10℃において0.09mmol/g−樹脂、30℃において0.08mmol/g−樹脂であった。
【0063】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明の感温性樹脂は、感温性、吸水性、金属イオン吸着能といった機能を有し、金属イオン吸着剤に利用することができる。[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a resin having a temperature sensitivity, and further relates to a metal ion adsorbent using the same.
[0002]
[Prior art]
2. Description of the Related Art In recent years, research on polymers that exhibit various functions in response to changes in external stimuli (such as temperature, light, electricity, magnetism, and pH) has been actively conducted. Temperature is one of the relatively easy to control stimuli among external stimuli. It has been found that some N-substituted (meth) acrylamide polymers show a sharp phase transition in water due to temperature change, and among them, poly N-isopropylacrylamide (NIPAAm) has a phase transition temperature (lower critical solution temperature: The lower critical solution temperature (LCST) is 32 ° C. near room temperature or body temperature, and the phase transition behavior is sensitive irrespective of the concentration or the degree of polymerization. In addition, because of its relatively simple structure and relatively easy polymerization, it is widely used as a thermosensitive polymer.
[0003]
Phosphoric acid groups, phosphonic acid groups, and phosphinic acid groups are used in metal ion extractants and ion exchange resins by utilizing the fact that oxygen bonded to phosphorus acts as a strong Lewis base. It's being used. In particular, a number of studies have been made, such as recovery of lanthanoid metal ions and separation of cobalt ions and nickel ions, using a chelate resin having a phosphinic acid group and a solvent extraction method.
[0004]
The present inventors have previously proposed a water-soluble metal ion adsorbent and a coagulant obtained by copolymerizing N-alkyl (meth) acrylamide having temperature sensitivity and phosphinic acid having metal ion adsorption ability. (Patent Document 1). This metal ion adsorbent is water-soluble, and after adsorbing metal ions in an aqueous solution, coagulates and separates by a change in temperature, and removes the metal ions from the aqueous solution.
[0005]
On the other hand, if a resin insoluble in water can be obtained while having temperature sensitivity and metal ion adsorption ability, it is convenient to use as a material.
[0006]
[Patent Document 1]
JP 2001-31723 A (page 1)
[0007]
[Problems to be solved by the invention]
The present invention has been made in view of such a conventional technique, and is intended to combine an amphiphilic N-alkyl (meth) acrylamide and a water-insoluble phosphinic acid-based monomer in the presence of a crosslinking agent. It is an object of the present invention to obtain a water-insoluble thermosensitive resin composed of a polymer obtained by polymerization and to provide a metal ion adsorbent using the same.
[0008]
[Means for Solving the Problems]
The present inventors have conducted intensive studies in view of the above problem, and found that N-alkyl (meth) acrylamide and a phosphinic acid-based monomer were subjected to suspension polymerization in the presence of a cross-linking agent, and a temperature-sensitive compound having metal ion adsorption ability was obtained. We have developed a resin.
[0009]
That is, the first invention of the present invention provides the following general formula (1)
[0010]
Embedded image
(Wherein, R 1 represents a hydrogen atom or a methyl group, R 2 and R 3 represent a hydrogen atom or a linear or branched alkyl group having 1 to 6 carbon atoms, provided that R 2 and R 3 represent It cannot be a hydrogen atom at the same time.)
[0011]
And N-alkyl (meth) acrylamide represented by the following general formula (2)
[0012]
Embedded image
[0013]
(In the formula, R 4 is a methyl group or a hydrogen atom, A is a linear or branched alkylene group having 1 to 10 carbon atoms, R 5 is a hydrogen atom, a hydroxyl group, a linear or branched alkyl group having 1 to 10 carbon atoms. A phosphinic acid-based monomer having a (meth) acrylic group represented by an alkyl group, a cycloalkyl group, a phenyl group, a substituted phenyl group or a benzyl group in the presence of a crosslinking agent. The present invention relates to a temperature-sensitive resin characterized by comprising a polymer. This thermosensitive resin is preferably crushed and used in powder form.
[0014]
Further, the second invention of the present invention relates to a metal ion adsorbent containing the above-mentioned temperature-sensitive resin.
[0015]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
Hereinafter, the present invention will be described in detail.
The following general formula (1) which is a raw material of the thermosensitive resin of the present invention.
[0016]
Embedded image
[0017]
In the N-alkyl (meth) acrylamide represented by the formula, R 1 in the formula represents a hydrogen atom or a methyl group. R 2 and R 3 each represent a hydrogen atom or a linear or branched alkyl group having 1 to 6, preferably 2 to 3 carbon atoms. R 2 and R 3 may be the same group or different groups. However, R 2 and R 3 are not hydrogen atoms at the same time.
[0018]
Specific examples of the N-alkyl (meth) acrylamide represented by the general formula (1) include N-isopropyl (meth) acrylamide, Nn-propyl (meth) acrylamide, N, N-dimethyl (meth) acrylamide, N, N-diethyl (meth) acrylamide, N, N-diisopropyl (meth) acrylamide, N-ethylacrylamide, N-ethylmethacrylamide, N-cyclopropylacrylamide, etc., and these compounds are used alone or in combination. Used above.
[0019]
The temperature-sensitive resin of the present invention has a temperature-sensitive function in which the degree of swelling and the amount of adsorbed metal change at a specific temperature, and is mainly provided by these monomers. For example, N-isopropylacrylamide has a temperature sensitivity of around 33 ° C., and N-isopropyl methacrylamide has a temperature sensitivity of around 44 ° C.
Here, the temperature sensitivity refers to a property of undergoing a phase transition depending on temperature, swelling at a low temperature, and contracting at a high temperature.
[0020]
The following general formula (2) which is another raw material component
[0021]
Embedded image
In the formula of the phosphinic acid-based monomer having a (meth) acrylic group represented by the formula, R 4 is a methyl group or a hydrogen atom.
A is a linear or branched alkylene group having 1 to 10 carbon atoms, specifically, a methylene group, an ethylene group, a trimethylene group, a tetramethylene group, a pentamethylene group, a hexamethylene group, a heptamethylene group, Examples include an octamethylene group, a nonamethylene group, a decamethylene group, a 2-methylbutylene group, and a 3-methylbutylene group.
[0022]
R 5 represents a hydrogen atom, a hydroxyl group, a linear or branched alkyl group having 1 to 10 carbon atoms, a cycloalkyl group, a phenyl group, a substituted phenyl group, or a benzyl group. For example, hydrogen atom, hydroxyl group, methyl group, ethyl group, propyl group, isopropyl group, butyl group, 2-butyl group, isobutyl group, pentyl group, 2-pentyl group, 2-methyl-1-butyl group, 1-hexyl Group, heptyl group, octyl group, nonyl group, decyl group, isooctyl group, 2,4,4-trimethylpentyl group, 1,1,3,3-tetramethylbutyl group, cyclopentyl group, cyclohexyl group, cycloheptyl group, Examples thereof include a cyclooctyl group, a phenyl group, a substituted phenyl group, and a benzyl group.
[0023]
Specific examples of the phosphinic acid-based monomer having a (meth) acrylic group represented by the general formula (2) include:
(Methacryloyloxymethyl) phosphinic acid,
(2-methacryloyloxyethyl) phosphinic acid,
(3-methacryloyloxypropyl) phosphinic acid,
(4-methacryloyloxybutyl) phosphinic acid,
(5-methacryloyloxypentyl) phosphinic acid,
(6-methacryloyloxyhexyl) phosphinic acid,
(7-methacryloyloxyhebutyl) phosphinic acid,
(8-methacryloyloxyoctyl) phosphinic acid,
(9-methacryloyloxynonyl) phosphinic acid,
(10-methacryloyloxydecyl) phosphinic acid,
(3-methacryloyloxypropyl) ethylphosphinic acid,
(3-methacryloyloxypropyl) butylphosphinic acid,
(3-methacryloyloxypropyl) octylphosphinic acid,
(3-methacryloyloxypropyl) decylphosphinic acid,
(3-methacryloyloxypropyl) phenylphosphinic acid,
(3-methacryloyloxypropyl) phosphonic acid,
(Acryloyloxymethyl) phosphinic acid,
(2-acryloyloxyethyl) phosphinic acid,
(3-acryloyloxypropyl) phosphinic acid,
(4-acryloyloxybutyl) phosphinic acid,
(5-acryloyloxypentyl) phosphinic acid,
(6-acryloyloxyhexyl) phosphinic acid,
(7-acryloyloxyhebutyl) phosphinic acid,
(8-acryloyloxyoctyl) phosphinic acid,
(9-acryloyloxynonyl) phosphinic acid,
(10-acryloyloxydecyl) phosphinic acid,
(3-acryloyloxypropyl) ethylphosphinic acid,
(3-acryloyloxypropyl) butylphosphinic acid,
(3-acryloyloxypropyl) octylphosphinic acid,
(3-acryloyloxypropyl) decylphosphinic acid,
(3-acryloyloxypropyl) phenylphosphinic acid,
And the like.
[0024]
As a method for producing such a phosphinic acid-based monomer having a (meth) acrylic group, a widely known method can be used. One example is a method in which an organophosphinic acid compound and an unsaturated alcohol are reacted with a radical initiator. To obtain a hydroxyorganophosphinic acid compound, and then reacting the hydroxyorganophosphinic acid compound with methacrylic acid or acrylic acid in the presence of an acid catalyst and a phase transfer catalyst (Japanese Patent Laid-Open No. No. 11-35588).
[0025]
The ability of the temperature-sensitive resin of the present invention to adsorb metal ions is provided by the phosphinic acid-based monomer having a (meth) acryl group. The phosphinic acid group of the monomer has a function of adsorbing metal ions because oxygen bonded to phosphorus acts as a strong Lewis base.
[0026]
Another raw material, a cross-linking agent, serves to cross-link the polymer three-dimensionally. As the crosslinking agent, a polyfunctional monomer having two or more polymerizable double bonds is used. For example, divinylbenzene, methylenebis (meth) acrylamide, hexanediol di (meth) acrylate, polyethylene glycol dimethacrylate, trimethylolpropane Examples include triacrylate, pentaerythritol triacrylate, dipentaerythritol hexaacrylate, and the like. Among these, hydrophilic polyfunctional monomers are suitable, and polyethylene glycol dimethacrylate, CH 2 CC (CH 3 ) COO (CH 2 CH 2 O) n CO—C (CH 3 ) = CH 2 (n = 1 to 9) are preferable, and a cross-linking monomer containing tetraethylene glycol dimethacrylate (4G) with n = 4 as a main component is particularly preferable.
[0027]
The temperature-sensitive resin of the present invention comprises a crosslinking agent comprising an N-alkyl (meth) acrylamide represented by the general formula (1) and a phosphinic acid having a (meth) acryl group represented by the general formula (2). A polymer obtained by polymerization in the presence of
[0028]
The reaction formula of the polymerization is shown below. Incidentally, showing the reaction with polyethylene glycol dimethacrylate (CH 2 = C (CH 3 ) COO (CH 2 CH 2 O) n CO-C (CH 3) = CH 2) as a crosslinking agent.
[0029]
Embedded image
[0030]
In the above reaction, the mixing ratio of the general formula (1), the general formula (2) and the crosslinking agent varies depending on the type of the monomer and the application of the resin, and can be arbitrarily designed. A phosphinic acid-based monomer having a group (hereinafter, also referred to as APPO): N-alkyl (meth) acrylamide (hereinafter, also referred to as NIPAAm): a crosslinking agent = 1 to 50:50 to 99: 1 to 20 mol; More preferably, it is 5 to 20:90 to 99: 1 to 10 mol. According to this mixing ratio, a resin having appropriate temperature sensitivity and metal ion adsorption ability can be obtained.
[0031]
In the temperature-sensitive resin of the present invention, when the content of the phosphinic acid-based monomer having a (meth) acrylic group is less than 1 mol% in the above-mentioned content, the amount of metal ion adsorbed on the resin is When the content of the phosphinic acid-based monomer increases, the amount of metal ions adsorbed also increases. However, when the content exceeds 40 mol%, swelling becomes too large, which is not preferable.
[0032]
When the content of the cross-linking agent is less than 1 mol%, for example, in the above content ratio, a water-insoluble resin is not obtained because a three-dimensional cross-linked structure is not obtained. If it exceeds, the three-dimensionalization proceeds, and the expansion of the polymer chain due to swelling is suppressed, which impairs the temperature sensitivity, which is not preferable.
[0033]
The method for producing a thermosensitive resin according to the present invention comprises dissolving an N-alkyl (meth) acrylamide, a phosphinic acid-based monomer having a (meth) acrylic group, and a crosslinking agent in a solvent, and adding an inorganic salt to a dispersion medium. , A monomer mixture in which APPO, NIPAAm, and a cross-linking agent are adjusted to the above ratio is charged into a dispersion medium, an initiator is added, and polymerization is performed under stirring.
[0034]
As a dispersion medium, a saturated aqueous solution of an inorganic salt such as a saturated aqueous solution of sodium sulfate, a saturated aqueous solution of sodium chloride, or a saturated aqueous solution of calcium chloride can be used.
[0035]
Examples of the initiator include hydrogen peroxide, benzoyl peroxide, benzoyl peroxide, diisopropylperoxydicarbonate, t-butylperoxydiisobutyrate, t-butylperoxyvivalate, t-butylperoxydiisobutyrate, and t-butylperoxydiisobutyrate. Peroxides such as -butylperoxyisopropyl carbonate and lauroyl peroxide, azobisisobutyronitrile, azobisisovaleric acid, azobis (2,4-dimethylvaleronitrile), 2,2-azobis (2-amino A radical polymerization initiator such as propane) hydrochloride or a redox initiator obtained by combining these with a reducing agent such as sodium hydrogen sulfite, ammonium sulfite, L-ascorbic acid, ferrous salt and the like can be used.
[0036]
Further, a surfactant can be used for the purpose of improving dispersibility in a polymerization solvent. The surfactant that can be used is not particularly limited, but an anionic or nonionic surfactant having an HLB of 10 to 20 is preferable for forming stable organic solvent droplets. If the HLB is more than 20, the surfactant will completely emulsify the organic solvent in water, and if the HLB is less than 10, no droplet will be formed. Of these, dialkyl sulfosuccinates, which are anionic surfactants, are preferred, and sodium diisooctyl sulfosuccinate (AOT) is particularly preferred.
[0037]
The reaction temperature varies depending on the type of the monomer and the initiator, but is preferably 25 to 90C, more preferably 40 to 60C. The reaction time is 2 to 8 hours, preferably 3 to 5 hours. The stirring speed needs to be a speed at which the monomer droplets are stably dispersed, and is preferably 200 to 500 rpm and 300 to 400 rpm.
[0038]
The thermosensitive resin is obtained as a gel polymer, and its water content is 2 g / g-resin to 10 g / g-resin. For example, APPO-NIPAAm-4G (crosslinking agent: tetraethylene glycol dimethacrylate) is used. For a 5: 97: 3 (molar ratio) copolymer gel, about 5 g / g-resin at 10 ° C, and for a 15: 99: 1 (molar ratio) copolymer gel, about 6 g at 10 ° C. / G-resin. It should be noted that when the temperature rises, the amount of water decreases and becomes about 1 / 2.5.
[0039]
When the obtained temperature-sensitive resin is a lump, it can be crushed and used. The crushing can be performed by a usual method such as a mortar and a ball mill.
In the case of crushing, it is preferable that the dried resin be in the form of an amorphous powder having an average particle diameter of 10 to 10000 μm because it can be easily used as a material.
[0040]
The temperature-sensitive resin of the present invention can adsorb metal ions. Examples of the metal ions to which the temperature-sensitive resin of the present invention can adsorb include noble metal ions such as copper, cobalt, and nickel, and rare earth elements such as samarium, lanthanum, neodymium, europium, and yttrium.
[0041]
The amount of metal ions adsorbed by the thermosensitive resin of the present invention varies depending on the temperature and pH. For example, a temperature-sensitive resin comprising a polymer obtained by polymerizing poly-N-isopropylacrylamide (NIPAAm) and acryloyloxypropyl-n-octylphosphinic acid (APPO) with tetraethylene glycol dimethacrylate (4G) as a crosslinking agent. In the case of (1), the adsorption amount of metal ions does not change at 20 ° C. or lower, but decreases at 30 ° C. or higher. This is because NIPAAm in the temperature-sensitive resin has temperature sensitivity, and at 30 ° C. or higher, the gel becomes more hydrophobic and dehydrates and contracts, thereby suppressing the diffusion of metal ions into the gel. It is believed that there is. In addition, when the pH is changed, generally, the higher the pH, the higher the amount of adsorbed metal ions. This is presumably because in the low pH region, metal ion adsorption mainly occurs through coordination, but in the high pH region, metal ion adsorption occurs through ion exchange and coordination.
[0042]
Further, by selectively adsorbing specific metal ions from a solution containing two or more kinds of metal ions, separation and recovery of noble metal ions, rare earth elements, and the like can be performed. For example, Nd 3+ is selectively adsorbed from an aqueous solution containing Nd 3+ and La 3+ as metal ions, so that both can be separated.
[0043]
Since the temperature-sensitive resin of the present invention has a metal ion adsorbing ability, it can be used as a metal ion adsorbent. When a metal ion adsorbent is used, it can be used as an amorphous powder having an average particle size of 10 to 10000 μm, which is crushed and dried, packed in a column, or directly contacted with an aqueous solution containing metal ions.
[0044]
In addition, since the temperature-sensitive resin of the present invention is copolymerized with N-alkyl (meth) acrylamide, it has high water absorption and can be used as a water-absorbing gel.
[0045]
【Example】
Hereinafter, the present invention will be described specifically with reference to Examples, but the present invention is not limited to these Examples.
[0046]
<Preparation of spherical gel>
(Example 1)
400 cm 3 of a saturated aqueous solution of sodium sulfate was placed in a 500-ml separable three-necked round-bottom flask equipped with a stirrer, a reflux tube, and a nitrogen inlet tube, and gently replaced with nitrogen for 30 minutes or more. A chloroform solution of acryloyloxypropyl-n-octylphosphinic acid (hereinafter referred to as APPO), poly N-isopropylacrylamide (hereinafter referred to as NIPAAm), and tetraethylene glycol dimethacrylate (hereinafter referred to as 4G) was collected in a flask, and the solution was collected. After purging with nitrogen for 1 minute, α, α′-azobisisobutyronitrile (hereinafter referred to as AIBN) as an initiator was dissolved, and the monomer solution was poured with stirring. The stirring speed was set to 360 rpm, and the mixture was heated at 50 ° C. A polymerization reaction was performed.
After polymerization, the obtained polymer is separated from the solution, and after performing Soxhlet extraction for 24 hours or more using acetone as a solvent, the temperature is raised and lowered at 10 ° C. and 60 ° C. in ion-exchanged water to swell and shrink the gel. To remove unreacted monomers. Thereafter, the gel was air-dried on a petri dish, dried with a normal-temperature vacuum dryer, and crushed to obtain an APPO-NIPAAm-4G gel.
[0047]
(Examples 2 to 4)
In the same manner as in Example 1, various compounds were added at the ratios shown in Table 1 to prepare a gel. In Example 2, a redox initiator was used as an initiator, benzoyl peroxide was used as an oxidizing agent, and N, N, N ′, N′-tetramethylethylenediamine or N, N-dimethylaniline was used as a reducing agent. .
[0048]
[Table 1]
[0049]
<Physical property measurement>
(1) Measurement of phosphorus, carbon, nitrogen, and hydrogen contents 0.1 g of a copolymer in a dry state is weighed and placed in a Kjeldahl flask, 10 cm 3 of concentrated nitric acid is added, and the copolymer decomposes on low to medium heat. Until heated. After the decomposition, heating was further continued for 2 to 3 hours, and after cooling, all the solutions in the Kjeldahl flask were placed in a 100 cm 3 volumetric flask, and adjusted to the marked line with ion-exchanged water. 10 cm 3 tori in the solution 50 cm 3 volumetric flask, to which phenolphthalein 2 drops of added dilute aqueous ammonia until they show slightly red (aqueous ammonia at a volume ratio of: ion-exchanged water = 1: 4) was added. Then 5 mol / l nitric acid 5 cm 3, 0.25% of ammonium metavanadate aqueous solution 5 ml, were added sequentially 5% aqueous ammonium molybdate solution 5 cm 3, it was combined with deionized water to the mark.
[0050]
The absorbance at 440 nm of this solution was measured using an ultraviolet-visible spectrophotometer (UV160A manufactured by SIMAZU), and the phosphorus content was determined by the following equation (1) using a calibration curve similarly prepared from a 100 ppm phosphorus standard solution. Was.
The measurement wavelength of 440 nm is the characteristic absorption of the phosphorus-molybdate complex, and is the maximum absorption wavelength of this solution.
[0051]
(Equation 1)
[0052]
A: Phosphorus content (mg) in the measurement solution determined from the calibration curve
v: Amount of sample solution used for the colorimetric method (cm 3 )
W: Weight (g) of the dried copolymer used for the measurement
[0053]
The carbon, nitrogen and hydrogen contents of the obtained gel were determined using an elemental analyzer (Yanaco CHN Corder M-6).
The measured and calculated values of the contents of phosphorus, carbon, nitrogen and hydrogen in the copolymer are shown in Tables 2 and 3.
[0054]
[Table 2]
[0055]
[Table 3]
[0056]
{Circle around (2)} Measurement of swelling degree The resin prepared in Example 1 was dried, 0.20 g was transferred to a 5 cm 3 graduated cylinder, excess ion-exchanged water was added to the gel, and the gel was allowed to stand for 24 hours or more. After swelling for 1 hour at each temperature, the degree of swelling was measured using the following equation (2). Table 4 shows the results.
[0057]
(Equation 2)
[0058]
[Table 4]
[0059]
▲ 3 ▼ metal ion solution used in the metal ion adsorption test metal ion adsorption test acetate with 0.1 mol / dm 3 aqueous acetic acid solution and 0.1 mol / dm 3 aqueous solution of sodium acetate - using sodium acetate buffer solution, pH 6.5 Was adjusted to
0.1 g of the dried gel obtained in Example 3 is precisely weighed, placed in a 50 cm 3 Erlenmeyer flask, 25 cm 3 of a buffer solution having a pH of 6.5 is added, and at a predetermined temperature so that the gel sufficiently reaches equilibrium swelling. Shake for 24 hours. An aqueous solution of 1.95 × 10 −3 mol / dm 3 of Sm 3+ ion was added in an amount of 25 cm 3 , and the mixture was further shaken at each temperature for 24 hours. Thereafter, the solution was filtered to obtain a supernatant. The amount of Sm 3+ ions adsorbed is determined by appropriately diluting the aqueous solution of Sm 3+ ions after shaking, and measuring the remaining Sm 3+ ion concentration using a calibration curve prepared from 1000 ppm Sm 3+ standard solution using a high frequency inductively coupled plasma emission spectrometer (available from SIMADZU Sequential). By using a high frequency plasma emission spectrometer (ICPS-5000).
The metal ion adsorption amount per gram of the spherical gel was determined by the following equation (3).
[0060]
[Equation 3]
[0061]
B: Blank metal ion concentration (mg / l)
S: metal ion concentration of the sample (mg / l)
A: Dilution magnification of solution D: Amount of metal ion solution (cm 3 )
M: atomic weight of Sm 3+ w: weight of copolymer (g)
[0062]
The adsorption amount of Sm 3+ ions was 0.09 mmol / g-resin at 10 ° C. and 0.08 mmol / g-resin at 30 ° C.
[0063]
【The invention's effect】
As described above, the temperature-sensitive resin of the present invention has functions such as temperature sensitivity, water absorption, and metal ion adsorption ability, and can be used as a metal ion adsorbent.