JP2004330713A - インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】複数のノズル群を千鳥状に配置してなる記録ヘッドを用いるインクジェット記録装置において、各ノズル群の連結部分における濃度ムラの発生を抑え得るようにする。
【解決手段】インクを吐出する複数のノズルNを配列した複数本のノズル群NA,NBを、各々のノズル群の端部に位置するノズルNA1,NB1が互いに異なる直線上で隣接するよう順次千鳥状に連結してなる記録ヘッドHを用いる。各ノズル群NA,NBを構成するノズルNのインク吐出量は吐出量制御手段により制御する。吐出量制御手段は、前記各ノズル群NA,NBの連結部Jに位置する互いに隣接する一対の連結ノズルNA1,NB1のうち、少なくとも一方の連結ノズルNA1,NB1におけるインク吐出量を、連結部Jに位置しない非連結ノズルNA2の吐出量より相対的に減少させる。
【選択図】 図1
【解決手段】インクを吐出する複数のノズルNを配列した複数本のノズル群NA,NBを、各々のノズル群の端部に位置するノズルNA1,NB1が互いに異なる直線上で隣接するよう順次千鳥状に連結してなる記録ヘッドHを用いる。各ノズル群NA,NBを構成するノズルNのインク吐出量は吐出量制御手段により制御する。吐出量制御手段は、前記各ノズル群NA,NBの連結部Jに位置する互いに隣接する一対の連結ノズルNA1,NB1のうち、少なくとも一方の連結ノズルNA1,NB1におけるインク吐出量を、連結部Jに位置しない非連結ノズルNA2の吐出量より相対的に減少させる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクを吐出する複数のノズルからなるノズル群を千鳥状に配設して構成したインクジェット記録ヘッドを用いて記録を行うインクジェット記録装置に関するものであり、詳しくは、記録ヘッドの各ノズル群の連結部に位置するノズルの吐出量の制御に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、高速記録を可能とするインクジェット記録装置としては、使用する記録媒体の最大幅に対応した長尺な記録ヘッドを用い、この記録ヘッドに対して記録媒体を搬送するようにしたいわゆるフルライン型のインクジェット記録装置が提案されている。このフルライン型のインクジェット記録装置に使用する記録ヘッドとしては、例えば、同一直線上に複数のノズルNを配列してなるノズル群NA,NBを有する短尺チップCHA,CHBを、図1(b)に示すように千鳥状に複数個配列して連結することにより、長尺化したものが一般に知られている(特許文献1)。
【0003】
前記短尺チップCHは、例えば、128〜256個程度の比較的少数のノズルNからなるノズル群NA,NBを有し、長さとしては、ノズル解像度にもよるが、約0.2インチ程度の比較的短いヘッドチップとなっている。
【0004】
そして、これらの短尺チップの複数個を千鳥状に連結することで、例えば、4インチサイズ程度の長尺記録ヘッドHを実現することが可能となる。これに対し、短尺チップを用いず、4インチの長さを有するチップにノズルを形成した一体型のヘッドを製造することも技術的には可能であるが、1チップ内のノズル数が飛躍的に多くなる(1200dpiの解像度で4800ノズルとなる)ことから、1チップ内に不吐出ノズルなどが含まれる可能性が高まり、大幅な歩留まり低下が生じる。
【0005】
このため、歩留まりの良い短尺チップを連結することによって、長尺な記録ヘッドを形成し、記録ヘッドの製造コストの低減を図ることが行われている。但し、各チップを同一直線上に配置した場合には、各チップの連結部における一対のノズル、すなわち、チップの端部に位置するノズルのピッチが他の部分におけるピッチよりも増大し、記録画像にインクの吐出されない筋状のムラ(白筋)が発生するという不都合が生じる。
【0006】
そこで、この白筋の発生を解消すべく、図1に示すようにCHA,CHBを異なる直線上に沿って千鳥状に順次配置して連結することにより、長尺な記録ヘッドを構成している。
上記のように、隣接するチップCHA,CHBを千鳥状に配置した記録ヘッドを用いる場合、連結部Jに位置する一対のノズルNA1とNB1との間に距離間隔Xが生じるため、ずれなく同一ライン上にインク滴を着弾させるためには、ノズルNA1とNB1との間で、時間差をもたせてインク滴の吐出を行っている。
【0007】
一方、連結部以外の部分(非連結部)においては、互いに隣接するノズルから同時にインク滴を吐出させ、インク滴を記録媒体上に略同時に着弾させるようになっている。
【0008】
【特許文献1】
特開昭58−63463号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ノズルNA1とノズルNB1とから吐出されるインク滴のように、時間差をもって隣接するインク滴が吐出された場合には、両インク滴によって形成された部分が、その他のノズルから吐出されたインク滴によって形成された部分より濃度が高くなるという現象が発生した。
【0010】
この隣接するインク滴の着弾時間差に基づく濃度変化の状態を図2に示す。
【0011】
図示のように、前記着弾時間差が増大するに従って、隣接するインク滴の重なり部分におけるO.D値(紙面から反射濃度)が増大することが実験的に明らかになっており、目視によってもその濃度差は明らかとなる。
【0012】
これは、次のような理由によるものと考えられる。
すなわち、隣接するノズルによって同時に着弾したインク滴は、その重なり部分から相互にインクが広がり、略均一な濃度を呈することとなるが、隣接するドットを形成するインク滴に着弾時間差が生じた場合には、先に着弾したインク滴の記録媒体への浸透、定着が進んだ状態で後のインク滴が着弾するため、先のインク滴と後に着弾したインク滴とが混ざり合いにくくなり、重合部分における濃度のみが高濃度となることに起因するものであると考えられている。
【0013】
そして、連結部Jにおいて隣接するノズルNA1とNB1との時間差が大きくなるほど濃度差は増大し、これが記録媒体の搬送方向に沿って筋状の濃度ムラとなって現れることから画像品質の低下を招いていたが、これまで、こうした着弾時間差による画像の濃度ムラに対しては、特に対策が施されていなかった。
【0014】
本発明は、上記従来技術の課題に着目してなされたものであり、複数のノズル群を千鳥状に配置してなる記録ヘッドを用いるインクジェット記録装置において、各ノズル群の連結部分における濃度ムラの発生を抑えることができ、良好な画像品質を得ることができるインクジェット記録装置の提供を目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は次のような構成を備える。
すなわち、本発明は、インクを吐出する複数のノズルを配列した複数本のノズル群を、各々の端部に位置するノズルが互いに異なる直線上で隣接するよう順次千鳥状に連結してなる記録ヘッドを用い、前記記録ヘッドの各ノズル群からインクを吐出させることによって記録画像を形成するようにしたインクジェット記録装置において、前記各ノズル群を構成するノズルのインク吐出量を制御する吐出量制御手段を備え、前記吐出量制御手段は、前記各ノズル群の連結部に位置する互いに隣接する一対の連結ノズルのうち、少なくとも一方の連結ノズルにおけるインク吐出量を、前記連結部に位置しない非連結ノズルの吐出量より相対的に減少させることを特徴とするものである。
【0016】
また、本発明は、インクを吐出する複数のノズルを配列した複数本のノズル群を、各々の端部に位置するノズルが互いに異なる直線上で隣接するよう順次千鳥状に連結してなる記録ヘッドを用い、前記記録ヘッドの各ノズル群からインクを吐出させることによって記録画像を形成するようにしたインクジェット記録方法において、前記各ノズル群の連結部に位置する互いに隣接する一対の連結ノズルのうち、少なくとも一方の連結ノズルにおけるインク吐出量を、前記連結部に位置しない非連結ノズルの吐出量より相対的に減少させることを特徴とする。
【0017】
これによれば、連結部に位置する隣接するノズルから吐出されたインク滴によって形成された部分と、他のノズルから吐出されたインク滴によって形成された部分との間に、インク滴の着弾時間差に起因する濃度差(黒筋)が生じることはなくなり、高品位な画像を形成することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図3は、本発明の実施形態に適用するインクジェット記録装置を模式的に示す図である。
ここに示すインクジェット記録装置は、前述の図1に示すように、インクを吐出する複数のノズルNを配列した複数本のノズル群NA,NBを、各々の端部に位置するノズルNA1,NB1が互いに異なる直線上で隣接するよう順次千鳥状に連結してなる記録ヘッドHを複数個用い、その記録ヘッドHの長手方向と直交する方向に沿って記録媒体を搬送して記録を行う、いわゆるフルライン型のインクジェット記録装置となっている。なお、各記録ヘッドHの幅は使用する記録媒体の最大幅以上の記録幅を有するものとなっている。
【0019】
ここで、記録媒体の搬送手段は無端の搬送ベルトVLをモータ(ここでは図示せず)によって巡回移動させるものとなっており、この搬送ベルトVLの移動によってその上面に給送された記録媒体を連続的に搬送するようになっている。また、この搬送ベルトVLの上方には、搬送ベルトVLによる搬送方向Xと直交する方向Yに沿って延出する前記記録ヘッドHが配置されており、この記録ヘッドHに設けられたノズルからインクを吐出し、搬送ベルトVLによって搬送されてきた記録媒体P上にインク滴を吐出し、記録画像を形成するものとなっている。
【0020】
図3では、4本の記録ヘッドHを搭載した例を示しており、各記録ヘッドHにはイエロー、マゼンタ、シアン及びブラック等のインクがそれぞれ不図示のインクタンクより供給され、それらのインクを吐出することによってカラー画像を形成し得るものとなっている。なお、ここでは、4本の記録ヘッドHを例に採り説明したが、搭載される記録ヘッドHの本数、インクの色などは、任意に設定可能であり、いずれの場合においても本発明は有効である。
【0021】
ここで、図4に基づきこの実施形態に適用する前記記録ヘッドの構造をより詳細に説明する。
この実施形態において使用する記録ヘッドHは、インクを吐出する記録ヘッドとして、電気エネルギーを熱エネルギーに変換し、その熱エネルギーによってインクを沸騰させて気泡を発生させ、その気泡の発生による圧力でインク滴を吐出させるいわゆるバブルジェット(登録商標)方式を採るものとなっている。
【0022】
すなわち、この記録ヘッドHは、インクを加熱するための複数のヒーター102が形成された基板であるヒーターボード104と、このヒーターボード104の上を覆う天板106とを備える。天板106には、複数の吐出口108が形成されており、吐出口108の後方には、この吐出口108に連通するトンネル状の液路110が形成されている。各液路110は、隔壁112により隣接する液路と隔絶されている。各液路110は、その後方において1つのインク液室114に共通に接続されており、インク液室114には、インク供給口116を介してインクが供給され、このインクはインク液室114から夫々の液路110に供給されている。ヒーターボード104と、天板106とは、各液路110に対応した位置に各ヒーター102が来るように位置合わせされて図4の様な状態に組み立てられる。
【0023】
図4においては、2つのヒーター102のみを示しているが、ヒーター102は、夫々の液路110に対応して1つずつ配置されている。そして、図4に示すように組み立てられた状態で、ヒーター102に所定の駆動パルスを供給すると、ヒーター102上のインクが沸騰して気泡を形成し、この気泡の体積膨張によりインクが押圧されて吐出口108から吐出される。なお、前記吐出口108、液路110及びヒーター102によって、記録ヘッドHのノズルNが構成されている。
【0024】
図8は、本発明の実施形態におけるインクジェット記録装置の制御系の構成を示すブロック図である。
図において、801は種々の演算、判別、及び制御などの処理を行う制御手段としてのCPUであり、ROM802などに格納されたソフトウェアプログラム等に従ってインクジェット記録装置全体の制御を行うものとなっている。また、803は記録媒体(紙やOHPフィルムなど)を搬送する搬送部であり、前記搬送ベルト及びこれを駆動するモータなどに相当する。804は記録ヘッドHの回復を行う吐出回復部、807はヘッドの吐出制御を行う駆動回路、808は記録する画像を吐出データに変換する2値化回路、809は記録画像を例えば、カラー画像の場合に色分解する画像処理部である。また、810は前記記録ヘッドHの連列部Jに位置する各ノズルNA1,NB1に対し後述の吐出量補正を行うために必要なデータが記録されたRAMである。なお、このRAM809、前記CPU801、ROM802、及び駆動回路806によって本発明の吐出量制御手段が構成されている。
【0025】
次に、上記吐出量制御手段を有する記録ヘッドにより吐出されるインク量(吐出量)の制御方法について上記記録ヘッドHを例に挙げて説明する。
既に説明した通り、いわゆるバブルジェット(登録商標)方式を採る記録ヘッドHでは、インクをヒーター102により急激に加熱することによって、インク中に気泡(バブル)を発生させ、このバブルの体積膨張によりインクを吐出口より押し出して吐出する。従って、ヒーター102に加える駆動パルスを制御することにより、ノズルN内に発生する気泡の大きさを調整することが可能であり、これによって吐出口より効率的にインク滴を吐出することができる。
【0026】
図5に上記ヒーター102に印加される駆動パルスの例を示す。
図5の(a)はシングルパルス駆動のパルス波形を、同図(b)はダブルパルス駆動のパルス波形をそれぞれ示しており、同図(a)に示すシングルパルス駆動の場合、電圧(V−V0)だけでなく、パルス幅(T)を変化させることでインクの吐出量を制御することができる。また、吐出量の制御幅と言う観点では、同図(b)に示すダブルパルス駆動より広く調整することができ、効率よく吐出量制御を行うことができる。
また、図5において、T1をプレパルス幅、T2を休止期間、T3をメインパルス幅とする。シングルパルス駆動に比べてダブルパルス駆動の方が効率的に吐出を行い得る理由は、ヒーターの発熱量はその表面に触れたインクに大部分吸収されてしまうため、プレパルスを投入しインク自体をある程度温めておくことで、その後のメインパルスでの発砲を助ける役目を果たすことができることによる。
【0027】
また、上記ダブルパルス駆動において、メインパルス幅T3を一定とし、プレパルス幅T1を可変とすることで、連結部Jに位置するノズルNA1、NB1の吐出量を調整することが可能となる。すなわち、プレパルス幅T1を長くすると吐出量は増加し、短くすると低下する。
【0028】
以下にダブルパルス駆動においてノズルN毎に異なるプレパルス幅T1を割り当て吐出量を制御する一例を説明する。
図9に示すように、ノズルNに対応した2ビットのデータが記録ヘッドをコントロールするシステムボードのRAMエリアEA,EB(図8の吐出量補正データRAMに相当)に書き込まれている。この2ビットのデータを指定することにより、図6(a)〜(d)に示す4種類のパルス幅のプレパルスPH1〜PH4を選択することが可能になる。
例えば、連結部に位置するノズルNA1,NB1に入力されるビットデータが(0,1)である場合にはパルスPH2が選択され、ノズルNA1,NB1に入力されるビットデータが(1,0)である場合にはパルスPH3が選択される。
このように、プレパルスを選択するビットデータをノズル毎に割り付けることにより各ノズルの吐出量を変化させることができる。そして、このプレパルスがヒーターに印加された後、図6(e)に示すメインパルスMHが印加される。
【0029】
ここで、図7に基づき、上記吐出量制御を行うヒーターの駆動回路の電気回路構成を説明する。
図7において、VHは記録ヘッドHの電源電圧を、HGNDは電源に対するグランドを、MHはメインパルスを、PH1〜PH4は先に示したプレパルスを、BLATはプレパルスPH1〜PH4を選択するためのビットデータのラッチを指示するビットラッチ信号を、DLATは記録に必要なデータ(画像データ)をラッチするためのデータラッチ信号を、DATAはシリアルデータとしてシフトレジスタに転送されてくるビットデータおよび画像データをそれぞれ示している。
【0030】
ここで、図9で示した選択ビットデータDATAは、シリアルデータとして信号線を介してシフトレジスタ301に転送される。そして、全ノズルNに対応するビットデータがシフトレジスタ301に転送されたことに応じてラッチ信号BLATが発生し、シフトレジスタ301から転送されてきたビットデータがラッチされる。
次に、記録に必要な画像データDATAがビットデータと同様にシリアルデータとして信号線を介してシフトレジスタ301に転送される。そして、全ノズルに対応する画像データが転送されたことに応じてラッチ信号DLATが発生し、データがデータラッチ回路302にラッチされる。ここで、先にデータラッチ回路302によってラッチされたビットデータに基づき選択論理回路304がPH1〜PH4のいずれかを選択する。ここで、選択されたヒートパルス信号PHとメインパルス信号MHとがオア回路305によって合成され、さらに、このオア回路305からの出力と画像データとの論理積がアンド回路306から駆動信号として出力され、その駆動信号がノズルNのトランジスタ307のベースに入力される。ここで、トランジスタが駆動されることによって(ONされることによって)、抵抗308(ヒーターHに相当)に電源電圧VHが印加されて熱が発生し、その熱によってノズルN内のインクが吐出される。この動作が全ノズルNに亘ってなされる。
【0031】
ここで、前述のオア回路305から出力されるヒートパルス信号PHとメインパルス信号MHとの合成信号の波形を、図6の(f)〜(i)に示す。
図示のように、各合成信号は、一定のメインパルスMHの前に異なるパルス幅のパルス信号を合成したものであり、インクの吐出量を変更する場合には、必要とする吐出量に応じたビットデータDATAをシフトレジスタ301に送ると共に、ビットラッチ信号BLATを発生させることにより、必要とする吐出量に変更することが可能となる。
【0032】
なお、上記駆動回路では、2ビットを使用して4種類のPHパルスを選択可能としているが、さらに、ビット数を増やすことでより細かい吐出量制御を行うことも可能になる。但し、その場合には、ビット数の増加に伴なって選択論理回路304が複雑になる。
【0033】
図8に示した吐出量補正データRAM810には、記録ヘッドHに連結部Jに位置するノズルNA1とNB1との間の距離(または各ノズルから吐出されるインク滴の着弾時間差)に基づいた着弾後のインクドット濃度の変化と、それを補正するために必要なインク吐出量との関係を表す変換テーブルのデータが書き込まれている。従って、プレパルスPH1〜PH4のいずれをノズルNA1、NB1に選択的に与えるかは、前記変換テーブルを参照することで決定する。
【0034】
ここで、着弾時間差TはノズルNA1、NB1間の物理的な距離Xと実際の吐出周波数Fと画像の解像度Dとから以下の式によって求められる。
着弾時間差T= 物理的な距離X÷(画像解像度D×吐出周波数F)…式1
【0035】
そして、記録開始前に記録速度等を入力することにより、CPU801が前記式1に示す演算を行って着弾時間差Tを求め、この着弾時間差Tに基づき前記変換テーブルを参照することにより、前記ノズルNA1,NB1における補正インク吐出量が決定され、その吐出量に対応するプレパルスPH1〜PH4が選択される。
この実施形態では、連結部Jにおける隣接ノズルNA1,NB1から吐出されたインク滴の着弾時間差Tが大きいほど両インク滴の吐出量を下げるように、パルス幅の小さいプレパルスが選択され、これによって非連結部に位置する他のノズルNA2,NB2によって形成されたドットと結果として同一の濃度を得ることができる。
【0036】
なお、使用する可能性のある画像解像度Dあるいは吐出周波数に対応して、事前に補正テーブルを複数用意しておけば、例えば、昇温などによるインク吐出量の増大などに対処すべく、吐出周波数を低下させる場合などにもこのテーブルを適用して吐出量制御を行うことが可能になる。
【0037】
以上のように、上記実施形態によれば、複数の短尺チップを連結した記録ヘッドを用いることによって記録ヘッドの製造コストを低減することが可能になると共に、形成された画像に従来のような黒筋が発生することはなくなり、良好な品質を得ることができる。
【0038】
ところで、上記実施形態においては、連結ノズルNA1、NB1から吐出されるインク滴が着弾後時間差によってその重なり部分の濃度が高くなることから、ノズルNA1とNB1の双方のインク吐出量を、非連結部NB2に位置するノズルから吐出されるインク量に比べて減少させるようにしたが、連結部における濃度値によっては、両ノズルのうち、一方のノズルNA1またはNB1のみの吐出量を減少させるようにすることも可能である。
【0039】
また、連結部NB2に位置するノズルから吐出されるインク量を連結部NB1に位置するノズルから吐出されるインク量に比べて増加させることによっても、上記実施形態と同様に筋状の濃度ムラの発生を抑えることが可能となる。
また、上記実施形態では、同一直線上に複数のノズルを形成した短尺ノズルチップを千鳥状に配置した記録ヘッドを用いた場合を例に採り説明したが、複数のノズル群を単一のヒーターボードなどに千鳥状に形成する場合にも本発明は適用可能である。
【0040】
さらに、本発明は、ノズル内に形成したヒーターの熱エネルギーによってノズル内のインクに気泡を発生させ、その気泡の発生エネルギーによってインクを吐出させる記録ヘッドだけでなく、ノズル内に配設した電歪素子(ピエゾ)などによってインクを吐出させる方式の記録ヘッドを用いたインクジェット記録装置にも同様の効果を期待することができる。
【0041】
上述の実施例では隣接するチップ間で、それぞれ端部に位置する1ノズルの吐出量を変化させる構成で説明したが、濃度上昇が生じる範囲で端部の複数ノズルの吐出量を調整してもよい。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、千鳥状に配置されたノズル群の連結部の位置において、ノズルの着弾時間差による濃度ムラが発生するのを防止することが可能となり、従来のように、形成された画像に濃度の高い黒筋が形成されるのを防止することができ、高品位な画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】短尺チップを連結して構成された長尺ヘッドを模式的に示す図であり、(a)は短尺チップの配置を、(b)は(a)における短尺チップの連結部を拡大した状態をそれぞれ示している。
【図2】連結部に位置する一対のノズルから吐出されるインク滴の着弾時間差と、両インク滴の重なり部分におけるO.D値との関係を示す線図である。
【図3】本発明の実施形態に適用するインクジェット記録装置を模式的に示す斜視図である。
【図4】本発明に適用する記録ヘッドの構成を模式的に示す一部切欠斜視図である。
【図5】記録ヘッドの吐出駆動パルスの波形を示す図であり、(a)はシングルパルスを、(b)はダブルパルスをそれぞれ示している。
【図6】プレパルスとメインパルスの波形及びそれら2つのパルスの合成波形を示す図である。
【図7】本発明の実施形態に用いる吐出駆動回路の一例を示す図である。
【図8】本発明の実施形態における制御系の構成を示すブロック図である。
【図9】記録ヘッドをコントロールするシステムボードのRAMエリアEA,EBに書き込まれたビットデータを示す図である。
【符号の説明】
H 記録ヘッド
N ノズルN
NA,NB ノズル群
NA1,NB1 各ノズル群の端部に位置する一対のノズル
J 連結部
102 ヒーター
104 ヒーターボード
106 天板
108 吐出口
110 インク液路
112 隔壁
114 インク液室
116 インク供給用チューブ
801 吐出量制御手段
802 ROM
803 記録媒体搬送部
807 駆動回路
810 吐出量補正データRAM
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクを吐出する複数のノズルからなるノズル群を千鳥状に配設して構成したインクジェット記録ヘッドを用いて記録を行うインクジェット記録装置に関するものであり、詳しくは、記録ヘッドの各ノズル群の連結部に位置するノズルの吐出量の制御に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、高速記録を可能とするインクジェット記録装置としては、使用する記録媒体の最大幅に対応した長尺な記録ヘッドを用い、この記録ヘッドに対して記録媒体を搬送するようにしたいわゆるフルライン型のインクジェット記録装置が提案されている。このフルライン型のインクジェット記録装置に使用する記録ヘッドとしては、例えば、同一直線上に複数のノズルNを配列してなるノズル群NA,NBを有する短尺チップCHA,CHBを、図1(b)に示すように千鳥状に複数個配列して連結することにより、長尺化したものが一般に知られている(特許文献1)。
【0003】
前記短尺チップCHは、例えば、128〜256個程度の比較的少数のノズルNからなるノズル群NA,NBを有し、長さとしては、ノズル解像度にもよるが、約0.2インチ程度の比較的短いヘッドチップとなっている。
【0004】
そして、これらの短尺チップの複数個を千鳥状に連結することで、例えば、4インチサイズ程度の長尺記録ヘッドHを実現することが可能となる。これに対し、短尺チップを用いず、4インチの長さを有するチップにノズルを形成した一体型のヘッドを製造することも技術的には可能であるが、1チップ内のノズル数が飛躍的に多くなる(1200dpiの解像度で4800ノズルとなる)ことから、1チップ内に不吐出ノズルなどが含まれる可能性が高まり、大幅な歩留まり低下が生じる。
【0005】
このため、歩留まりの良い短尺チップを連結することによって、長尺な記録ヘッドを形成し、記録ヘッドの製造コストの低減を図ることが行われている。但し、各チップを同一直線上に配置した場合には、各チップの連結部における一対のノズル、すなわち、チップの端部に位置するノズルのピッチが他の部分におけるピッチよりも増大し、記録画像にインクの吐出されない筋状のムラ(白筋)が発生するという不都合が生じる。
【0006】
そこで、この白筋の発生を解消すべく、図1に示すようにCHA,CHBを異なる直線上に沿って千鳥状に順次配置して連結することにより、長尺な記録ヘッドを構成している。
上記のように、隣接するチップCHA,CHBを千鳥状に配置した記録ヘッドを用いる場合、連結部Jに位置する一対のノズルNA1とNB1との間に距離間隔Xが生じるため、ずれなく同一ライン上にインク滴を着弾させるためには、ノズルNA1とNB1との間で、時間差をもたせてインク滴の吐出を行っている。
【0007】
一方、連結部以外の部分(非連結部)においては、互いに隣接するノズルから同時にインク滴を吐出させ、インク滴を記録媒体上に略同時に着弾させるようになっている。
【0008】
【特許文献1】
特開昭58−63463号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ノズルNA1とノズルNB1とから吐出されるインク滴のように、時間差をもって隣接するインク滴が吐出された場合には、両インク滴によって形成された部分が、その他のノズルから吐出されたインク滴によって形成された部分より濃度が高くなるという現象が発生した。
【0010】
この隣接するインク滴の着弾時間差に基づく濃度変化の状態を図2に示す。
【0011】
図示のように、前記着弾時間差が増大するに従って、隣接するインク滴の重なり部分におけるO.D値(紙面から反射濃度)が増大することが実験的に明らかになっており、目視によってもその濃度差は明らかとなる。
【0012】
これは、次のような理由によるものと考えられる。
すなわち、隣接するノズルによって同時に着弾したインク滴は、その重なり部分から相互にインクが広がり、略均一な濃度を呈することとなるが、隣接するドットを形成するインク滴に着弾時間差が生じた場合には、先に着弾したインク滴の記録媒体への浸透、定着が進んだ状態で後のインク滴が着弾するため、先のインク滴と後に着弾したインク滴とが混ざり合いにくくなり、重合部分における濃度のみが高濃度となることに起因するものであると考えられている。
【0013】
そして、連結部Jにおいて隣接するノズルNA1とNB1との時間差が大きくなるほど濃度差は増大し、これが記録媒体の搬送方向に沿って筋状の濃度ムラとなって現れることから画像品質の低下を招いていたが、これまで、こうした着弾時間差による画像の濃度ムラに対しては、特に対策が施されていなかった。
【0014】
本発明は、上記従来技術の課題に着目してなされたものであり、複数のノズル群を千鳥状に配置してなる記録ヘッドを用いるインクジェット記録装置において、各ノズル群の連結部分における濃度ムラの発生を抑えることができ、良好な画像品質を得ることができるインクジェット記録装置の提供を目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は次のような構成を備える。
すなわち、本発明は、インクを吐出する複数のノズルを配列した複数本のノズル群を、各々の端部に位置するノズルが互いに異なる直線上で隣接するよう順次千鳥状に連結してなる記録ヘッドを用い、前記記録ヘッドの各ノズル群からインクを吐出させることによって記録画像を形成するようにしたインクジェット記録装置において、前記各ノズル群を構成するノズルのインク吐出量を制御する吐出量制御手段を備え、前記吐出量制御手段は、前記各ノズル群の連結部に位置する互いに隣接する一対の連結ノズルのうち、少なくとも一方の連結ノズルにおけるインク吐出量を、前記連結部に位置しない非連結ノズルの吐出量より相対的に減少させることを特徴とするものである。
【0016】
また、本発明は、インクを吐出する複数のノズルを配列した複数本のノズル群を、各々の端部に位置するノズルが互いに異なる直線上で隣接するよう順次千鳥状に連結してなる記録ヘッドを用い、前記記録ヘッドの各ノズル群からインクを吐出させることによって記録画像を形成するようにしたインクジェット記録方法において、前記各ノズル群の連結部に位置する互いに隣接する一対の連結ノズルのうち、少なくとも一方の連結ノズルにおけるインク吐出量を、前記連結部に位置しない非連結ノズルの吐出量より相対的に減少させることを特徴とする。
【0017】
これによれば、連結部に位置する隣接するノズルから吐出されたインク滴によって形成された部分と、他のノズルから吐出されたインク滴によって形成された部分との間に、インク滴の着弾時間差に起因する濃度差(黒筋)が生じることはなくなり、高品位な画像を形成することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図3は、本発明の実施形態に適用するインクジェット記録装置を模式的に示す図である。
ここに示すインクジェット記録装置は、前述の図1に示すように、インクを吐出する複数のノズルNを配列した複数本のノズル群NA,NBを、各々の端部に位置するノズルNA1,NB1が互いに異なる直線上で隣接するよう順次千鳥状に連結してなる記録ヘッドHを複数個用い、その記録ヘッドHの長手方向と直交する方向に沿って記録媒体を搬送して記録を行う、いわゆるフルライン型のインクジェット記録装置となっている。なお、各記録ヘッドHの幅は使用する記録媒体の最大幅以上の記録幅を有するものとなっている。
【0019】
ここで、記録媒体の搬送手段は無端の搬送ベルトVLをモータ(ここでは図示せず)によって巡回移動させるものとなっており、この搬送ベルトVLの移動によってその上面に給送された記録媒体を連続的に搬送するようになっている。また、この搬送ベルトVLの上方には、搬送ベルトVLによる搬送方向Xと直交する方向Yに沿って延出する前記記録ヘッドHが配置されており、この記録ヘッドHに設けられたノズルからインクを吐出し、搬送ベルトVLによって搬送されてきた記録媒体P上にインク滴を吐出し、記録画像を形成するものとなっている。
【0020】
図3では、4本の記録ヘッドHを搭載した例を示しており、各記録ヘッドHにはイエロー、マゼンタ、シアン及びブラック等のインクがそれぞれ不図示のインクタンクより供給され、それらのインクを吐出することによってカラー画像を形成し得るものとなっている。なお、ここでは、4本の記録ヘッドHを例に採り説明したが、搭載される記録ヘッドHの本数、インクの色などは、任意に設定可能であり、いずれの場合においても本発明は有効である。
【0021】
ここで、図4に基づきこの実施形態に適用する前記記録ヘッドの構造をより詳細に説明する。
この実施形態において使用する記録ヘッドHは、インクを吐出する記録ヘッドとして、電気エネルギーを熱エネルギーに変換し、その熱エネルギーによってインクを沸騰させて気泡を発生させ、その気泡の発生による圧力でインク滴を吐出させるいわゆるバブルジェット(登録商標)方式を採るものとなっている。
【0022】
すなわち、この記録ヘッドHは、インクを加熱するための複数のヒーター102が形成された基板であるヒーターボード104と、このヒーターボード104の上を覆う天板106とを備える。天板106には、複数の吐出口108が形成されており、吐出口108の後方には、この吐出口108に連通するトンネル状の液路110が形成されている。各液路110は、隔壁112により隣接する液路と隔絶されている。各液路110は、その後方において1つのインク液室114に共通に接続されており、インク液室114には、インク供給口116を介してインクが供給され、このインクはインク液室114から夫々の液路110に供給されている。ヒーターボード104と、天板106とは、各液路110に対応した位置に各ヒーター102が来るように位置合わせされて図4の様な状態に組み立てられる。
【0023】
図4においては、2つのヒーター102のみを示しているが、ヒーター102は、夫々の液路110に対応して1つずつ配置されている。そして、図4に示すように組み立てられた状態で、ヒーター102に所定の駆動パルスを供給すると、ヒーター102上のインクが沸騰して気泡を形成し、この気泡の体積膨張によりインクが押圧されて吐出口108から吐出される。なお、前記吐出口108、液路110及びヒーター102によって、記録ヘッドHのノズルNが構成されている。
【0024】
図8は、本発明の実施形態におけるインクジェット記録装置の制御系の構成を示すブロック図である。
図において、801は種々の演算、判別、及び制御などの処理を行う制御手段としてのCPUであり、ROM802などに格納されたソフトウェアプログラム等に従ってインクジェット記録装置全体の制御を行うものとなっている。また、803は記録媒体(紙やOHPフィルムなど)を搬送する搬送部であり、前記搬送ベルト及びこれを駆動するモータなどに相当する。804は記録ヘッドHの回復を行う吐出回復部、807はヘッドの吐出制御を行う駆動回路、808は記録する画像を吐出データに変換する2値化回路、809は記録画像を例えば、カラー画像の場合に色分解する画像処理部である。また、810は前記記録ヘッドHの連列部Jに位置する各ノズルNA1,NB1に対し後述の吐出量補正を行うために必要なデータが記録されたRAMである。なお、このRAM809、前記CPU801、ROM802、及び駆動回路806によって本発明の吐出量制御手段が構成されている。
【0025】
次に、上記吐出量制御手段を有する記録ヘッドにより吐出されるインク量(吐出量)の制御方法について上記記録ヘッドHを例に挙げて説明する。
既に説明した通り、いわゆるバブルジェット(登録商標)方式を採る記録ヘッドHでは、インクをヒーター102により急激に加熱することによって、インク中に気泡(バブル)を発生させ、このバブルの体積膨張によりインクを吐出口より押し出して吐出する。従って、ヒーター102に加える駆動パルスを制御することにより、ノズルN内に発生する気泡の大きさを調整することが可能であり、これによって吐出口より効率的にインク滴を吐出することができる。
【0026】
図5に上記ヒーター102に印加される駆動パルスの例を示す。
図5の(a)はシングルパルス駆動のパルス波形を、同図(b)はダブルパルス駆動のパルス波形をそれぞれ示しており、同図(a)に示すシングルパルス駆動の場合、電圧(V−V0)だけでなく、パルス幅(T)を変化させることでインクの吐出量を制御することができる。また、吐出量の制御幅と言う観点では、同図(b)に示すダブルパルス駆動より広く調整することができ、効率よく吐出量制御を行うことができる。
また、図5において、T1をプレパルス幅、T2を休止期間、T3をメインパルス幅とする。シングルパルス駆動に比べてダブルパルス駆動の方が効率的に吐出を行い得る理由は、ヒーターの発熱量はその表面に触れたインクに大部分吸収されてしまうため、プレパルスを投入しインク自体をある程度温めておくことで、その後のメインパルスでの発砲を助ける役目を果たすことができることによる。
【0027】
また、上記ダブルパルス駆動において、メインパルス幅T3を一定とし、プレパルス幅T1を可変とすることで、連結部Jに位置するノズルNA1、NB1の吐出量を調整することが可能となる。すなわち、プレパルス幅T1を長くすると吐出量は増加し、短くすると低下する。
【0028】
以下にダブルパルス駆動においてノズルN毎に異なるプレパルス幅T1を割り当て吐出量を制御する一例を説明する。
図9に示すように、ノズルNに対応した2ビットのデータが記録ヘッドをコントロールするシステムボードのRAMエリアEA,EB(図8の吐出量補正データRAMに相当)に書き込まれている。この2ビットのデータを指定することにより、図6(a)〜(d)に示す4種類のパルス幅のプレパルスPH1〜PH4を選択することが可能になる。
例えば、連結部に位置するノズルNA1,NB1に入力されるビットデータが(0,1)である場合にはパルスPH2が選択され、ノズルNA1,NB1に入力されるビットデータが(1,0)である場合にはパルスPH3が選択される。
このように、プレパルスを選択するビットデータをノズル毎に割り付けることにより各ノズルの吐出量を変化させることができる。そして、このプレパルスがヒーターに印加された後、図6(e)に示すメインパルスMHが印加される。
【0029】
ここで、図7に基づき、上記吐出量制御を行うヒーターの駆動回路の電気回路構成を説明する。
図7において、VHは記録ヘッドHの電源電圧を、HGNDは電源に対するグランドを、MHはメインパルスを、PH1〜PH4は先に示したプレパルスを、BLATはプレパルスPH1〜PH4を選択するためのビットデータのラッチを指示するビットラッチ信号を、DLATは記録に必要なデータ(画像データ)をラッチするためのデータラッチ信号を、DATAはシリアルデータとしてシフトレジスタに転送されてくるビットデータおよび画像データをそれぞれ示している。
【0030】
ここで、図9で示した選択ビットデータDATAは、シリアルデータとして信号線を介してシフトレジスタ301に転送される。そして、全ノズルNに対応するビットデータがシフトレジスタ301に転送されたことに応じてラッチ信号BLATが発生し、シフトレジスタ301から転送されてきたビットデータがラッチされる。
次に、記録に必要な画像データDATAがビットデータと同様にシリアルデータとして信号線を介してシフトレジスタ301に転送される。そして、全ノズルに対応する画像データが転送されたことに応じてラッチ信号DLATが発生し、データがデータラッチ回路302にラッチされる。ここで、先にデータラッチ回路302によってラッチされたビットデータに基づき選択論理回路304がPH1〜PH4のいずれかを選択する。ここで、選択されたヒートパルス信号PHとメインパルス信号MHとがオア回路305によって合成され、さらに、このオア回路305からの出力と画像データとの論理積がアンド回路306から駆動信号として出力され、その駆動信号がノズルNのトランジスタ307のベースに入力される。ここで、トランジスタが駆動されることによって(ONされることによって)、抵抗308(ヒーターHに相当)に電源電圧VHが印加されて熱が発生し、その熱によってノズルN内のインクが吐出される。この動作が全ノズルNに亘ってなされる。
【0031】
ここで、前述のオア回路305から出力されるヒートパルス信号PHとメインパルス信号MHとの合成信号の波形を、図6の(f)〜(i)に示す。
図示のように、各合成信号は、一定のメインパルスMHの前に異なるパルス幅のパルス信号を合成したものであり、インクの吐出量を変更する場合には、必要とする吐出量に応じたビットデータDATAをシフトレジスタ301に送ると共に、ビットラッチ信号BLATを発生させることにより、必要とする吐出量に変更することが可能となる。
【0032】
なお、上記駆動回路では、2ビットを使用して4種類のPHパルスを選択可能としているが、さらに、ビット数を増やすことでより細かい吐出量制御を行うことも可能になる。但し、その場合には、ビット数の増加に伴なって選択論理回路304が複雑になる。
【0033】
図8に示した吐出量補正データRAM810には、記録ヘッドHに連結部Jに位置するノズルNA1とNB1との間の距離(または各ノズルから吐出されるインク滴の着弾時間差)に基づいた着弾後のインクドット濃度の変化と、それを補正するために必要なインク吐出量との関係を表す変換テーブルのデータが書き込まれている。従って、プレパルスPH1〜PH4のいずれをノズルNA1、NB1に選択的に与えるかは、前記変換テーブルを参照することで決定する。
【0034】
ここで、着弾時間差TはノズルNA1、NB1間の物理的な距離Xと実際の吐出周波数Fと画像の解像度Dとから以下の式によって求められる。
着弾時間差T= 物理的な距離X÷(画像解像度D×吐出周波数F)…式1
【0035】
そして、記録開始前に記録速度等を入力することにより、CPU801が前記式1に示す演算を行って着弾時間差Tを求め、この着弾時間差Tに基づき前記変換テーブルを参照することにより、前記ノズルNA1,NB1における補正インク吐出量が決定され、その吐出量に対応するプレパルスPH1〜PH4が選択される。
この実施形態では、連結部Jにおける隣接ノズルNA1,NB1から吐出されたインク滴の着弾時間差Tが大きいほど両インク滴の吐出量を下げるように、パルス幅の小さいプレパルスが選択され、これによって非連結部に位置する他のノズルNA2,NB2によって形成されたドットと結果として同一の濃度を得ることができる。
【0036】
なお、使用する可能性のある画像解像度Dあるいは吐出周波数に対応して、事前に補正テーブルを複数用意しておけば、例えば、昇温などによるインク吐出量の増大などに対処すべく、吐出周波数を低下させる場合などにもこのテーブルを適用して吐出量制御を行うことが可能になる。
【0037】
以上のように、上記実施形態によれば、複数の短尺チップを連結した記録ヘッドを用いることによって記録ヘッドの製造コストを低減することが可能になると共に、形成された画像に従来のような黒筋が発生することはなくなり、良好な品質を得ることができる。
【0038】
ところで、上記実施形態においては、連結ノズルNA1、NB1から吐出されるインク滴が着弾後時間差によってその重なり部分の濃度が高くなることから、ノズルNA1とNB1の双方のインク吐出量を、非連結部NB2に位置するノズルから吐出されるインク量に比べて減少させるようにしたが、連結部における濃度値によっては、両ノズルのうち、一方のノズルNA1またはNB1のみの吐出量を減少させるようにすることも可能である。
【0039】
また、連結部NB2に位置するノズルから吐出されるインク量を連結部NB1に位置するノズルから吐出されるインク量に比べて増加させることによっても、上記実施形態と同様に筋状の濃度ムラの発生を抑えることが可能となる。
また、上記実施形態では、同一直線上に複数のノズルを形成した短尺ノズルチップを千鳥状に配置した記録ヘッドを用いた場合を例に採り説明したが、複数のノズル群を単一のヒーターボードなどに千鳥状に形成する場合にも本発明は適用可能である。
【0040】
さらに、本発明は、ノズル内に形成したヒーターの熱エネルギーによってノズル内のインクに気泡を発生させ、その気泡の発生エネルギーによってインクを吐出させる記録ヘッドだけでなく、ノズル内に配設した電歪素子(ピエゾ)などによってインクを吐出させる方式の記録ヘッドを用いたインクジェット記録装置にも同様の効果を期待することができる。
【0041】
上述の実施例では隣接するチップ間で、それぞれ端部に位置する1ノズルの吐出量を変化させる構成で説明したが、濃度上昇が生じる範囲で端部の複数ノズルの吐出量を調整してもよい。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、千鳥状に配置されたノズル群の連結部の位置において、ノズルの着弾時間差による濃度ムラが発生するのを防止することが可能となり、従来のように、形成された画像に濃度の高い黒筋が形成されるのを防止することができ、高品位な画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】短尺チップを連結して構成された長尺ヘッドを模式的に示す図であり、(a)は短尺チップの配置を、(b)は(a)における短尺チップの連結部を拡大した状態をそれぞれ示している。
【図2】連結部に位置する一対のノズルから吐出されるインク滴の着弾時間差と、両インク滴の重なり部分におけるO.D値との関係を示す線図である。
【図3】本発明の実施形態に適用するインクジェット記録装置を模式的に示す斜視図である。
【図4】本発明に適用する記録ヘッドの構成を模式的に示す一部切欠斜視図である。
【図5】記録ヘッドの吐出駆動パルスの波形を示す図であり、(a)はシングルパルスを、(b)はダブルパルスをそれぞれ示している。
【図6】プレパルスとメインパルスの波形及びそれら2つのパルスの合成波形を示す図である。
【図7】本発明の実施形態に用いる吐出駆動回路の一例を示す図である。
【図8】本発明の実施形態における制御系の構成を示すブロック図である。
【図9】記録ヘッドをコントロールするシステムボードのRAMエリアEA,EBに書き込まれたビットデータを示す図である。
【符号の説明】
H 記録ヘッド
N ノズルN
NA,NB ノズル群
NA1,NB1 各ノズル群の端部に位置する一対のノズル
J 連結部
102 ヒーター
104 ヒーターボード
106 天板
108 吐出口
110 インク液路
112 隔壁
114 インク液室
116 インク供給用チューブ
801 吐出量制御手段
802 ROM
803 記録媒体搬送部
807 駆動回路
810 吐出量補正データRAM
Claims (5)
- インクを吐出する複数のノズルを配列した複数本のノズル群を、各々の端部に位置するノズルが互いに異なる直線上で隣接するよう順次千鳥状に連結してなる記録ヘッドを用い、前記記録ヘッドの各ノズル群からインクを吐出させることによって記録画像を形成するようにしたインクジェット記録装置において、
前記各ノズル群を構成するノズルのインク吐出量を制御する吐出量制御手段を備え、
前記吐出量制御手段は、前記各ノズル群の連結部に位置する互いに隣接する一対の連結ノズルのうち、少なくとも一方の連結ノズルにおけるインク吐出量を、前記連結部に位置しない非連結ノズルの吐出量より相対的に減少させることを特徴とするインクジェット記録装置。 - 前記吐出量制御手段は、前記各ノズル群の連結部に位置する互いに隣接する一対の連結ノズルのうち、少なくとも一方の連結ノズルにおけるインク吐出量に対し、前記連結部に位置しない非連結ノズルの吐出量を増大させることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
- 前記吐出量制御手段は、前記各ノズル群の連結部に位置する一対の連結ノズルの距離間隔に基づき、前記一対の連結ノズルのうちの少なくとも一方の連結ノズルのインク吐出量を、前記非連結ノズルの吐出量より減少させることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録装置。
- 前記連結部に位置する一対の連結ノズルの距離間隔と各ノズルの吐出周波数とに応じて前記非連結部と非連結部とにおける濃度差を格納したテーブルを有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
- インクを吐出する複数のノズルを配列した複数本のノズル群を、各々の端部に位置するノズルが互いに異なる直線上で隣接するよう順次千鳥状に連結してなる記録ヘッドを用い、前記記録ヘッドの各ノズル群からインクを吐出させることによって記録画像を形成するようにしたインクジェット記録方法において、
前記各ノズル群の連結部に位置する互いに隣接する一対の連結ノズルのうち、少なくとも一方の連結ノズルにおけるインク吐出量を、前記連結部に位置しない非連結ノズルの吐出量より相対的に減少させることを特徴とするインクジェット記録方法。
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-
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