JP2004329818A - 携帯電話受信電波遮断袋体容器 - Google Patents
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Abstract
【課題】電源を入れた携帯電話器において、前記携帯電話器からの送信電波に対し、微弱な同調受信電波を少なくとも遮断し、着信音などの生起を防ぐこと。
【解決手段】金属蒸着合成樹脂フィルムから成る携帯電話器用の袋体容器において、電磁波遮断性を示す金属蒸着量の指標値として、前記金属蒸着合成樹脂フィルムの合成樹脂フィルム部が透明のときの可視光線平均透過率を0.4〜0.15%とし、前記袋体容器に携帯電話器を挿入したときに、前記携帯電話器に同調する受信電波が到来した場合に、受信状態に至らない程度に前記受信同調電波が弱められる携帯電話器の受信電波遮断袋体容器の提供。
【選択図】 図 1
【解決手段】金属蒸着合成樹脂フィルムから成る携帯電話器用の袋体容器において、電磁波遮断性を示す金属蒸着量の指標値として、前記金属蒸着合成樹脂フィルムの合成樹脂フィルム部が透明のときの可視光線平均透過率を0.4〜0.15%とし、前記袋体容器に携帯電話器を挿入したときに、前記携帯電話器に同調する受信電波が到来した場合に、受信状態に至らない程度に前記受信同調電波が弱められる携帯電話器の受信電波遮断袋体容器の提供。
【選択図】 図 1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、通常の携帯電話器、あるいはPHS(Personal Handyphone System)器などの、移動小型電話器(以降単に、携帯電話器という)に到来する外部からの同調受信電波を遮断する容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】
特開2002−51821号公報
【特許文献2】
特開平11−312891号公報
【特許文献3】
特開平11−284389号公報
【特許文献4】
実用新案3044327号公報
【0003】
電磁波についての応用分野では、一般に電磁波を電波と表現する。
したがって、本発明では電波の用語を用いる。但し、物理学用語の表現が適切な箇所では電磁波の用語も用いる。また、引用文献などの説明については、これらの用語を含めてその文献の表現をそのまま用いる。
【0004】
特許文献1については、特許文献1の
【0004】に記載があるように、電磁シールド効果を有する布類を使用し、携帯電話機が取り出し易いように収納できるケースで且つ、携帯電話機のアンテナ部のみ露出できる構造を形成することが開示されている。その目的とするところとして、特許文献1の
【0007】に記載があるように、携帯電話機本体からの漏洩電波を軽減叉は、遮断出来、且つ着信が可能となるべくアンテナ露出口を設けることが開示されている。
【0005】
特許文献2については、特許文献2の
【0007】に記載があるように、電磁波シールド性素材よりなる防電磁波携帯電話ケースであって、携帯電話の収容時にそのアンテナに隣接して略平行に直立する帯状部材を設け、電話文字盤に対応する部分に電磁波シールド性素材よりなる透明フィルムを設けることが開示されている。その目的とするところとして、特許文献2の
【0005】に記載があるように、携帯電話の送受信機能を妨げることなく電磁波の放出を十分にシールド(遮蔽)できることが開示されている。
【0006】
特許文献3については、特許文献3の
【0005】に記載があるように、アルミニウム箔上にシリコン樹脂を層着し、またはこれに微量のゲルマニウム及び炭酸カルシウムを添加し、全体を井桁状に成形することによる、携帯電話機用電磁波遮蔽材が開示されている。
また、特許文献3の
【0007】には、アルミニウム箔の厚さは、0.01mm〜0.5mmであり、通常0.05mm〜0.1mmを用いると開示している。
また、特許文献3の
【0018】には、電話器のケースに前記井桁状に成形した前記電磁波遮蔽材を装着することが開示されている。
その目的とするところとして、特許文献3の
【0028】に、携帯電話器で生成される電磁波を有効に遮断して人体を電磁波から防御し得ると共に、携帯電話の送受信能を著しく改善しうるとの開示がある。
【0007】
特許文献4については、特許文献4の
【請求項1】に、電磁波シールド袋として、袋状をなし強度を担う基材と、この基材の内面及び/叉は外面に蒸着された金属蒸着層を有することが開示されていいる。
また、特許文献4の
【請求項2】には、前記金属蒸着層に替えて金属箔の場合
の開示、特許文献4の
【請求項3】には、繊維状の基材と、この基材の上に蒸着された金属蒸着層とを有し、この金属蒸着層が被着された基材を織り込むことが開示されている。
また、特許文献4の
【請求項4】には、前記蒸着金属がアルミニウム、銅、亜鉛、銀並びにその合金からの1種、特許文献4の
【請求項5】には、前記金属箔がアルミニウム、鉄及び銅並びにその合金からの1種からの選択するとの開示がある。
【0008】
また、特許文献4の
【0014】には、PET基材4の厚さは10乃至20μm、Al蒸着膜5の厚さは200乃至800A、発泡PE内装材7の厚さは50μm乃至1.5mmであるとしている。また、PE膜6の厚さは10乃至30μm、PE膜8の厚さは20乃至50μmであるとしている。
その目的とするところとして、特許文献4の
【0024】に、前記電磁波シールド袋の使用により、電磁波のシールド効果が優れていると共に、空港などにおける航空機の離着陸の安全に貢献するとしている。
【0009】
ところで、地球上には靜磁界が自然に存在するが、人工の交流磁界で生起される電磁波が物質に出合うと、その物質に吸収された電磁波がその物質中の電子や原子核の荷電粒子と相互に作用して内部エネルギに変換される。
前記物質が生体であると、この生体に悪影響を及ぼすことがあるとされている。
したがって、携帯電話器から放射される電磁波に、生体である人体ができるだけ曝らされないようにする対策がとられている。
【0010】
特許文献1〜4は何れも、携帯電話器の機能として電源を入れているかぎり、自動的に携帯電話器の機体番号(識別番号)を電波に乗せて発信する機能に対応した、前記携帯電話器から外へ発信する通信目的外の電波を減衰あるいは遮断する電磁波シールド機能に関する開示である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
会議場、音楽コンサート会場、映画館、劇場、美術館などで、携帯電話器の受信音で迷惑を蒙ることがある。かかる場所では携帯電話器の電源を切る要請が行われているが、必ずしも守られてないのが実状である。
したがって本発明のテーマは、所持携帯する電源を入れた状態の携帯電話器において、着信音などが生起しないようにするため、前記携帯電話器の所在場所が携帯電話ネットワークに把握されていても、前記携帯電話が同調(共振)すべき受信電波を一時的に受付けない状態にすることである。
【0012】
次に、携帯電話が繋ながるシステムの概要について説明する。そのシステムは、1)携帯電話からの電波をキャッチするアンテナ、2)前記アンテナに連なる増幅器を持つMBS(無線基地局;Mobile Base Station)、3)各MBS間を接続する交換器、から成るネットワークで構成される。
【0013】
通常の携帯電話器の場合は、携帯電話器から発信された電波は屋外で数km間隔で、ビルの屋上や専用塔などに設置されているアンテナから、それに接続するMBSに集められる。
一つのMBSがカバーするゾーンで発生した携帯電話器からの発信は、MCC(移動通信制御局;Mobile Communication Control Center)に集められ、行き先ごとに振り分けられる。
PHS器の場合は、屋外で100〜500m間隔に設置されているアンテナ、またビル屋内、鉄道駅構内などのアンテナで集められ、以下そのシステムは通常の携帯電話と同様である。
【0014】
携帯電話器から任意の携帯電話器に電話をかけ、相互の携帯電話器を繋ぐためには、発信側と受信側の相互の携帯電話器が何処のゾーンに所在しているかをネットワークで把握しておく必要がある。そのため、携帯電話器の電源を入れると、前記携帯電話器の固有の同調周波数帯などの情報を含む機体番号を自動的に電波に乗せて発信する。前記機体番号を前記ネットワークがキャッチし、前記携帯電話器の所在ゾーンなどを記録するホームメモリー局のデータベースに書き込んで登録する。携帯電話器の携帯者が前記ゾーンを越えて移動すれば、前記ゾーンから移動先のゾーンに次々にハンドオーバー(チャンネル切替)され、逐次前記データベースに更新した所在が登録される。
【0015】
したがって、前記データベースを検索すれば、呼びたい前記携帯電話器の所在ゾーンがわかるので、これを追跡して前記携帯電話器の所在するゾーンのMBSアンテナから、前記携帯電話器の固有の同調周波数帯の電波を発信する。
前記携帯電話器に接続されれば音などで着信を知らせ、前記携帯電話器の携帯者が通話スイッチをオンすれば通話などができる。
【0016】
携帯電話が使用する電波の周波数帯は、現行では通常の携帯電話が800MHz帯あるいは1.5GHz帯で、PHSが1.9GHz帯である。
さらに、おのおのの周波数帯を細区分して、各携帯電話器に固有の周波数帯として割り当てている。
電源を入れた携帯電話器から常に行われている機体番号の発信、呼出発信、通話時の発信は、出力は小さいながら使用者の近傍にある前記携帯電話器から発信されるので、使用者近傍では強力な電磁波で、例えば携帯電話器から約5cm程度離れたところで、磁束密度で示して10μT(テスラ)(100mGs(ガウス))以上の場合がある。
【0017】
一方、同調受信電波の方については、MBSの送信アンテナから携帯電話器までの電波の受信電界強度は距離の4乗に反比例するので極めて弱く、磁束密度で大凡0.3〜0.03μT(3〜0.3mG)程度以下とされ、さらに地形や建造物などの影響下ではそれを大きく下回る場合があるといわれている。
かような弱い多数の周波数帯の電波群の中で、割当てられた電話番号の携帯電話器の固有の周波数帯の同調回路に同調する周波数帯の電波が到来したときのみ、受信するという仕組みが働き、着信の呼出音などのサインが出る。
【0018】
本発明は、前記のテーマと前記の携帯電話が繋ながるシステムの仕組みとを考慮して、電源を入れた状態の携帯電話器において、前記携帯電話器からの送信電波に比較して極めて微弱な同調受信電波のみを遮断し、着信を知らせる着信音などの生起を防ぎ、且つ低コストで製造できる用品を作り出し、使い捨て用品として提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
発明者は鋭意検討の結果、携帯電話器から発信する電波の強さに比較して、かなり微弱な同調受信電波を遮断する目的のみであれば、驚くべきことに金属蒸着合成樹脂フィルムにおいて、微量の金属付着量で達成できることが分かった。
つまり、金属蒸着合成樹脂フィルムにおいて、肉眼でその断面を通して昼間の景色などを透かし見た場合に、その形状が明瞭に透視確認できる程度の金属蒸着量で前記同調電波を遮断できることを見いだしたものである。
【0020】
すなわち、金属蒸着合成樹脂フィルムから成る携帯電話器用の袋体容器において、前記金属蒸着合成樹脂フィルムの蒸着金属量に由来する電磁波遮断性の指標値として、前記金属蒸着合成樹脂フィルムの合成樹脂フィルム部が透明のときの可視光線平均透過率が、0.4〜0.15%である前記金属蒸着合成樹脂フィルムを用いることにより、前記袋体容器に携帯電話器を挿入したときに、前記携帯電話器に同調する受信電波が到来した場合に、前記携帯電話器が受信状態に至らない程度に前記受信電波が弱められることを特徴とする携帯電話の受信電波遮断袋体容器の発明に至った。
また、前記金属蒸着合成樹脂フィルムがアルミニウム蒸着合成樹脂フィルムであることを特徴とする帯電話器の受信電波遮断袋体容器の発明である。
【0021】
本発明の受信電波遮断袋体容器は、低コストで提供でき、雨天時に集会場の入口などで配布する雨傘用フィルム袋体の如く、使い捨て袋体容器として前記受信電波遮断袋体容器を会議場、音楽コンサート会場などで配布して、所持携帯する電源を入れた状態の携帯電話器を挿入することによって、着信を知らせる着信音などが生起しないようにすることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
発明の実施の形態を実施例に基づき、図面と表を参照して説明する。
図1は、本発明の説明のための例図で、携帯電話器を収容した袋体容器の透視側面略図である。すなわち、断面状で示す金属蒸着合成樹脂フィルムで作られた携帯電話受信電波遮断袋体容器2に、携帯電話器1を挿入し、開口部3を折曲げ部4に描くように折曲げて、携帯電話器1が袋体容器2に包み込まれて収容されている状態を示す透視側面略図である。
なお、図面の寸法や寸法比などについては、説明を容易にするため実物とは相違し、他の図面も同様とする。
【0023】
図2は、紙面において図1の上部方向から見て携帯電話器を挿入していない状態の携帯電話受信電波遮断袋体容器2の平面略図であり、側辺接合部8、底辺接合部9および開口部3から成る。
図2に示す携帯電話器の未挿入状態の前記袋体容器の平面略図は、あたかも長方形の郵便用の定型封筒形で、開口部3から図1における携帯電話器1を挿入して収容する。ただし、本発明の携帯電話受信電波遮断袋体容器は図2に描く形状に限定されるものではなく、携帯電話器を包み込む形状であれば、如何なる形状でも本発明に含まれる。
【0024】
次に、図1および図2に示す携帯電話器用の袋体容器2の材料である金属蒸着フィルムの要件について説明する。
前記従来の技術の項においても説明したとおり、電源の入った携帯電話器からは自動的に携帯電話器の機体番号などの情報を電波に乗せて発信している。
電源を入れている限り常に電波を発信されている発信電波は、出力は小さいながら、使用者の近傍にある前記携帯電話器から発信されるので、使用者近傍では強力な電磁波である。
【0025】
従来の技術において、電磁波遮蔽などと称している電磁波シールドの目的は、主として人体への悪影響を考慮して、前記携帯電話器から発信する電波をシールドすることである。つまり、前記携帯電話器からの発信電波のうち、通信に必要のない電波の漏洩を極力抑制することに目的があった。
【0026】
これに対して、本発明の目的は、携帯電話器の所在が携帯電話ネットワークに把握されていて、前記携帯電話器に同調する受信電波が到来しても、前記携帯電話器が前記同調する受信電波を受付けないようにすることである。
この手段としては、降雨時に集会場などの入口で配布して使用する傘用フィルム袋体の如く、使い捨て袋体容器として前記受信電波遮断袋体容器を、会議場、音楽コンサート会場などで配布して、所持携帯する電源を入れた状態の携帯電話器をこれに挿入することによって、着信を知らせる着信音などが生起しないようにすることである。
【0027】
前記携帯電話受信電波遮断袋体容器の材料の金属蒸着合成樹脂フィルムの要件は、携帯電話器から発信する電波の強さに比較すると、極めて微弱な同調受信電波を遮断するのみの目的であれば、金属蒸着フィルムにおいて微量の金属付着量でよいのではないかと考えたものである。
他方、使い捨て用品であるので、低コストで提供できなければならない。
そこで先ず、アルミニウム蒸着フィルムにおいて、アルミニウム蒸着量と同調受信電波の遮断性との関係、ならびに製造コストとの関係を検討した。
【0028】
合成樹脂フィルムへの金属の蒸着は、半連続真空蒸着機あるいは両面真空蒸着機などによって、一般にロール・ツー・ロール方式で行うが、アルミニウムの場合を例にあげれば、蒸気圧10−4mmHg程度の高真空下で、温度930℃程度で行われる。
【0029】
金属蒸着合成樹脂フィルムのコストは、償却費などの固定費を除けば、金属や合成樹脂フィルムなどの材料費と、電力費でその殆どを占める。
金属蒸着合成樹脂フィルムの単位面積当たりの金属蒸着量の増大に伴ってコストが増大する傾向にはあるものの、ある水準までは大きくは変わらないといわれている。したがって、前記金属蒸着量の適正な範囲の金属蒸着合成樹脂フィルムが市販材料として、包装用、繊維分野で用いる金銀糸、建築分野や農業用などに供給されている。
【0030】
しかしながら、高真空下で金属を加熱して金属を蒸気化する金属蒸着加工の特性から、前記単位面積当たりの金属蒸着量を適正量以上にすると、或る金属蒸着量を境にして生産性が著しく低下すると共に、単位面積当りの電力費や金属材料の使用量も増大するので、級数的にそのコストが上昇するという性格がある。
【0031】
したがって、単位面積当たりの金属蒸着量が、ある程度以上の場合では、圧延など機械加工による金属箔を合成樹脂フィルムに接合加工して用いた方がコスト的に有利であるといわれている。技術的にも厚さμmオーダーの金属の蒸着は、工業的には不可能に近いとされている。
従来の技術である特許文献3においても、特許文献3の
【0007】に、携帯電話器から漏洩する電磁波シールド法として、アルミニウム箔の厚さ、0.01〜0.5mm、通常0.05mm〜0.1mmを用いると開示している。
また、圧延法による厚さ15〜20μm程度のアルミニウム箔が、アルミホイルとして調理用などに廉価で販売されている。
【0032】
一方、技術的面で言及すると、金属蒸着合成樹脂フィルムにおいて、合成樹脂層と蒸着金属層との境界部は複雑な態様を呈していて、両者を明確に分離できないので、蒸着金属層のみの正確な厚さや質量の計測は困難である。
このため、一般的に金属蒸着面の表面電気抵抗値を金属蒸着量の代用値とすることが行われているが、金属蒸気はフィルム面に均一には蒸着してないので、電磁波遮断性の指標としては、厚さ、質量を含めて必ずしも適合する示し方ではないものと考えられる。
【0033】
次に、本発明で用いた電磁波遮断性を示す金属蒸着量の指標値の説明をする。
前記指標値は、電波と同じ電磁波であるところの、人の肉眼で見ることができる可視光線透過率で示した。
各試作アルミニウム蒸着合成樹脂フィルムのベースフィルムとしては、厚さ50μmのPET(ポリエステル)透明フィルムとし、前記ベースフィルムの可視光線透過率は90%以上のものを用いた。
透明フィルムの使用は、前記指標値において金属蒸着層部に由来する以外の要因を排除するためである。
したがって、あくまでも金属蒸着量の指標値を得るためであって、本発明の前記受信電波遮断袋体容器の材料の金属蒸着合成樹脂フィルムのフィルム部が透明であることを要件とするものではない。
【0034】
前記可視光線透過率の測定は、測定器としては島津製作所製の紫外・可視・近赤外分光光度計UV−3150を使用、積分球は直径60mmのものを用いた。
可視光線は780〜380nmとし、10nm毎の値の平均値で示し、可視光線平均透過率とした。
【0035】
次に、同調受信電波遮断性の評価方法を説明する。試作した各蒸着量のアルミニウム蒸着フィルムで、図2の受信電波遮断袋体容器2に示す如き袋体容器を試作し、図1に描く如く携帯電話器1を収容し、携帯電話器収容体6とした。
【0036】
携帯電話器については、通常の携帯電話器とPHS器の双方とした。
前記通常の携帯電話器についてはデンソー社製のJ−PHONE−SKY、前記PHS器については東芝製のDL−S100を使用した。
評価の方法は、おのおののMBSアンテナの方向の開放した窓際に水平台を設け、その上に前記携帯電話器収容体を載せて評価を行った。
【0037】
前記携帯電話器収容体を、収容している携帯電話器について図1でいえばアンテナ端5の向きを基準として、携帯電話の長手方向を次に示す置き方とした。
すなわち、A)前記MBSアンテナ方向(0°)、B)前記MBSアンテナ方向に対し直角方向(90°)、C)逆の直角方向(逆90°)、D)前記MBSアンテナ方向に逆方向(180°)の4方向について、おのおの各携帯電話器の「表置き」、「裏置き」の2通りを掛け合わせた合計8通りの置き方とした。
また、MBSアンテナからの携帯電話器までの直線距離は、通常の携帯電話器については1.0kmと1.5km、PHS器については0.3kmと0.4kmとした。評価のための架電は、普通のライン電話器を用いて評価すべき各携帯電話器に架電することで行った。この評価結果を表1に示す。
【0038】
表 1
【0039】
表1において、項目欄の「試料No.」は、金属蒸着フィルムの試料種を示す通し番号、「蒸着金属種類」はAlとしてアルミニウムを示し、試料1〜9は、片面蒸着フィルムの試料である。「可視光線透過率」とは、各アルミニウム蒸着PETフィルムの可視光線平均透過率である。
【0040】
表1の項目欄の「肉眼透視性」とは、前記可視光線透過率の程度を実感するために、これを感覚的に示すものである。
すなわち、図3に描く金属蒸着フィルムのイメージ透視概念略図において、点灯電灯18の白色半透明の電灯の笠19の側面部20に、透明フィルムベースのバーコード・シンボル21を貼付し、これをベースフィルム15が透明な金属蒸着合成樹脂フィルム10を通して、矢印の肉眼透視方向17から透視して、バーコード・シンボル21のバーが明瞭に確認できるか否かで評価した。
なお、図3において、透視するときに接眼する金属蒸着合成樹脂フィルム10から点灯電灯18までの距離は0.6m、点灯電灯18は60Wの艶消し白熱電灯である。
【0041】
また、表1の項目欄の「蒸着フィルムコスト」とは、各々の金属のなかで最も一般的な金属蒸着フィルムを「基準」として、→印;大略同程度のコスト、↑印;高コスト、↑↑印;顕著に高コストで各示した。
【0042】
項目欄の「km」表示は、このテスト域のゾーンをカバーするMBSアンテナから、評価する前記携帯電話器までの距離である。
また、項目欄の「受/架」の「架」とは、前記携帯電話器収容体について、前記8通りの置き方についての架電回数(8回)を示し、「受」とは、そのうちの受信回数を示す。したがって、8/8は受信電波の遮断機能がない蒸着フィルムであることを示し、0/8は受信電波の遮断機能がある蒸着フィルムであることを示す。「評価」とはおのおの、○印;遮断機能あり、×印;遮断機能無し、△印;遮断機能不十分、の意である。
「総合評価」は、「蒸着フィルムコスト」および「評価」の双方からの総合評価である。
【0043】
表1において、データ行欄の1行目の(裸)と記載しているのは、裸の状態、つまり、袋体容器に包み込んでない状態の各携帯電話器の結果を示し、このときに所在場所などの情報を含んだ機体番号の発信がなされ、ネットワークに登録されていることになる。「受/架」の結果は当然ながら8/8である。
【0044】
表1によると、アルミニウム蒸着PETフィルムにおいて、可視光線平均透過率が、試料4の大凡0.4%以下であれば、「受/架」の結果が0/8となり、受信同調電波の遮断効果があることを示した。
一方、蒸着フィルムのコスト面からいえば、試料7〜9は基準に比較して、高コスト、あるいは顕著に高コストであることを示している。
したがって、表1の「蒸着フィルムコスト」および「評価」を勘案すれば、「総合評価」で試料4〜6が適合するといえ、アルミニウム蒸着合成樹脂フィルムのアルミニウム蒸着量の電磁波遮断性を示す指標値である可視光線平均透過率は、大凡0.4〜0.15%程度であるといえる。
【0045】
フィルムへの金属蒸着は、蒸着金属が蒸着面に蒸着むらがなく、万遍なく覆った状態を標準品とし、このとき可視光線の遮蔽率でいえば大凡99%程度、つまり可視光線透過率で1%を下回る程度の領域である。
この水準は、一般的な用途である包装用材、金銀糸、熱遮断材などの場合では、光反射性、遮光性、断熱性など充分な域であるため量産品となっている。
可視光線透過率をこの水準より下げるためには金属蒸着量の増加が必要であるが、或る程度の域までは顕著なコスト上昇はない。
しかしながら、可視光線透過率を大凡0.15%程度以下とするには金属蒸着法の原理からみて無理があり、かなりのコスト増を伴う。
電磁波遮断性において、微弱な同調受信電波の遮断性は、コスト的にいって正に金属蒸着フィルムの標準品の範囲内であることが分かった。
【0046】
次に、表1の評価方法に準拠して、蒸着金属をアルミニウムとして、フィルム合成樹脂の種類、ならびに多層構造の場合などについて検討を加えた。
これらの合成樹脂のベースフィルムは透明で、何れも可視光線透過率が90%以上のもを用いた。この評価結果を表2に示す。
【0047】
表 2
【0048】
表2において、試料13のOPPは、二軸延伸ポリプロピレン。試料14のCPPは、未延伸ポリプロピレン。試料15のPAは、ポリアミド(ナイロン)。試料16のPLAは、生分解性樹脂であるポリ乳酸樹脂をおのおの示す。
( )内は厚さを示す。表2によると、合成樹脂フィルムの種類、層構造および厚さに拘らず、可視光線平均透過率が大凡0.4%程度であれば、受信電波遮断効果があることを示している。
【0049】
また、ベースフィルムにPETを用い、蒸着金属として真空下で比較的低温で蒸気化する、Zn(亜鉛)、Ni(ニッケル)、Ag(銀)について、表1の評価方法に準拠して検討を加えた。この評価結果を表3に示す。
【0050】
表 3
【0051】
真空蒸着に使われている代表的な金属であるZn、Ni、Agにおいても、可視光線平均透過率が大凡0.4〜0.15%程度であれば、受信電波遮断効果があり、同一金属同士ではこの範囲であれば、コストも大凡同程度であることが分かった。
【0052】
表1、表2、ならびに表3から、本発明の携帯電話受信電波遮断袋体容器を形成する材料である金属蒸着合成樹脂フィルムの要件は次の通りである。
すなわち、電磁波遮断性を示す金属蒸着量の指標値は、透明なベースフィルム使用での評価を前提とした可視光線平均透過率で示すことができ、同調受信電波遮断性から、その値は大凡0.4〜0.15%程度であるといえることが分かった。
【0053】
本発明の携帯電話受信電波遮断袋体容器を形成する材料である金属蒸着フィルムは、ベースフィルムの片面金属蒸着、つまり片面に金属蒸着面が露出していても差し支えない。故意に疵をつけた実験結果では、多少の加疵で蒸着金属が部分的に欠落しても影響はなく、目的とする短時間使用の使い捨て製品であることを勘案すれば問題ない。
【0054】
金属蒸着合成樹脂フィルムにおいて、前記金属蒸着面の保護のためなど、合成樹脂層、金属蒸着層共に多層構造であってもよく、表2に示す通りである。
すなわち、金属蒸着面に塗料層やフィルム層の接合、ベースフィルムの表裏に金属蒸着層が接合、これにさらにフィルム層が接合、複数枚の金属蒸着フィルムの重ね使用の袋体容器形成など、如何なる層構造であってもよい。
本発明の趣旨は、携帯電話受信電波遮断袋体容器を形成する材料である金属蒸着合成樹脂フィルムにおける、可視光線透過率から見た金属蒸着量を特定しているものであり、金属蒸着合成樹脂フィルムの層構造などについては任意である。
【0055】
合成樹脂フィルムへの金属蒸着の場合は、前記樹脂フィルムに、艶消し目的のTiO2(二酸化チタン)の添加、着色の為の顔料や染料の添加などは、金属蒸着性を阻害するので一般には行わない。
本発明の携帯電話受信電波遮断袋体容器の材料である金属蒸着フィルムへの、印刷、着色、塗料塗布、合成樹脂ラミネート、不透明化などを行うことは、食品などの包装用金属蒸着フィルム、繊維分野で用いる金銀糸、建築分野や農業用などに用いる熱遮断フィルム、などで行われている方法が援用できる。
【0056】
金属蒸着フィルムにおいて、ベースフィルムが透明な場合の可視光線平均透過率の大凡0.4〜0.15%程度ということは、蒸着金属種類に拘らずに、肉眼で透視した場合、昼間の外の景色などの通常イメージが、ほぼ実物通りに透けて見える程度である。
金属蒸着フィルムの蒸着金属層はその境界領域を含めて不均一であり、厚さや質量では的確には示すことができないが、指標値である可視光線平均透過率で0.4%程度とは、蒸着が均一であると仮定して、アルミニウムの場合にベースフィルムの面積1m2当り大凡40mg程度前後と推定されるが、何れにしても極めて微量であるといえる。
【0057】
このように金属蒸着量が微量でも、携帯電話の同調受信電波の遮断効果がある理由は、同調受信電波が微弱であることに由来し、金属蒸着部において入射電波が外部反射し、さらに吸収や、内部反射によって前記携帯電話の同調電波が到来しても、携帯電話器に至るまでに同調受信できない程度に弱められるからであると考えられる。
【0058】
また、真空蒸着法の金属蒸着法によらずに、例えばスパッタリング法の蒸着も本発明の携帯電話受信電波遮断用の袋体容器の材料である、金属蒸着合成樹脂フィルムに適用できることが実験により分かった。
【0059】
本発明の携帯電話受信電波遮断袋体容器の形状は、図2の袋体容器2の例では、一例として郵便用の定型封筒形で描いている。
しかしながら、本発明はこの形状に限定されるものではなく、袋体状でなく、風呂敷形、袱紗形、四辺のうち二辺が開口している用紙ホールダー形など、携帯電話器を包み込むことのできる形状であれば、如何なる形状でもよい。
【0060】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
【0061】
(1)電源を入れた携帯電話器を、本発明の携帯電話受信電波遮断袋体容器に挿入することによって、携帯電話ネットワークに所在場所が把握されていても、同調受信電波を前記携帯電話器が一時的に受付けない状態にすることができる。
したがって、本発明の携帯電話受信電波遮断袋体容器の使用によって、会議場、音楽コンサート会場などで、携帯電話器の受信音などで自他共に迷惑を蒙ることが回避できる。
(2)本発明の携帯電話受信電波遮断袋体容器の材料である金属蒸着合成樹脂フィルムは、微量な金属蒸着量で同調受信電波の遮断効果があり、袋体容器の構造も郵便用の定型封筒形、風呂敷形、袱紗形、用紙ホールダー形など簡単な形態でよく、製造コストが低廉で、リサイクル前提の使い捨て袋体容器として適応していて、多方面で広く適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】携帯電話器を収容した袋体容器の透視側面略図
【図2】携帯電話器未挿入状態の袋体容器形状の一例の平面略図
【図3】金属蒸着フィルムのイメージ透視の概念略図
【符号の説明】
1 携帯電話器
2 携帯電話受信電波遮断袋体容器
3 袋体容器の開口部
4 折曲げ部
5 携帯電話器アンテナ端
6 携帯電話器収容体
8 側辺接合部
9 低辺接合部
10 金属蒸着合成樹脂フィルム
15 透明ベースフィルム層
16 金属蒸着層
17 肉眼透視方向
18 点灯電灯
19 白色半透明の電灯の笠
20 白色半透明の電灯の笠の側面部
21 貼付している透明ベースフィルムのバーコード・シンボル
【発明の属する技術分野】
本発明は、通常の携帯電話器、あるいはPHS(Personal Handyphone System)器などの、移動小型電話器(以降単に、携帯電話器という)に到来する外部からの同調受信電波を遮断する容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】
特開2002−51821号公報
【特許文献2】
特開平11−312891号公報
【特許文献3】
特開平11−284389号公報
【特許文献4】
実用新案3044327号公報
【0003】
電磁波についての応用分野では、一般に電磁波を電波と表現する。
したがって、本発明では電波の用語を用いる。但し、物理学用語の表現が適切な箇所では電磁波の用語も用いる。また、引用文献などの説明については、これらの用語を含めてその文献の表現をそのまま用いる。
【0004】
特許文献1については、特許文献1の
【0004】に記載があるように、電磁シールド効果を有する布類を使用し、携帯電話機が取り出し易いように収納できるケースで且つ、携帯電話機のアンテナ部のみ露出できる構造を形成することが開示されている。その目的とするところとして、特許文献1の
【0007】に記載があるように、携帯電話機本体からの漏洩電波を軽減叉は、遮断出来、且つ着信が可能となるべくアンテナ露出口を設けることが開示されている。
【0005】
特許文献2については、特許文献2の
【0007】に記載があるように、電磁波シールド性素材よりなる防電磁波携帯電話ケースであって、携帯電話の収容時にそのアンテナに隣接して略平行に直立する帯状部材を設け、電話文字盤に対応する部分に電磁波シールド性素材よりなる透明フィルムを設けることが開示されている。その目的とするところとして、特許文献2の
【0005】に記載があるように、携帯電話の送受信機能を妨げることなく電磁波の放出を十分にシールド(遮蔽)できることが開示されている。
【0006】
特許文献3については、特許文献3の
【0005】に記載があるように、アルミニウム箔上にシリコン樹脂を層着し、またはこれに微量のゲルマニウム及び炭酸カルシウムを添加し、全体を井桁状に成形することによる、携帯電話機用電磁波遮蔽材が開示されている。
また、特許文献3の
【0007】には、アルミニウム箔の厚さは、0.01mm〜0.5mmであり、通常0.05mm〜0.1mmを用いると開示している。
また、特許文献3の
【0018】には、電話器のケースに前記井桁状に成形した前記電磁波遮蔽材を装着することが開示されている。
その目的とするところとして、特許文献3の
【0028】に、携帯電話器で生成される電磁波を有効に遮断して人体を電磁波から防御し得ると共に、携帯電話の送受信能を著しく改善しうるとの開示がある。
【0007】
特許文献4については、特許文献4の
【請求項1】に、電磁波シールド袋として、袋状をなし強度を担う基材と、この基材の内面及び/叉は外面に蒸着された金属蒸着層を有することが開示されていいる。
また、特許文献4の
【請求項2】には、前記金属蒸着層に替えて金属箔の場合
の開示、特許文献4の
【請求項3】には、繊維状の基材と、この基材の上に蒸着された金属蒸着層とを有し、この金属蒸着層が被着された基材を織り込むことが開示されている。
また、特許文献4の
【請求項4】には、前記蒸着金属がアルミニウム、銅、亜鉛、銀並びにその合金からの1種、特許文献4の
【請求項5】には、前記金属箔がアルミニウム、鉄及び銅並びにその合金からの1種からの選択するとの開示がある。
【0008】
また、特許文献4の
【0014】には、PET基材4の厚さは10乃至20μm、Al蒸着膜5の厚さは200乃至800A、発泡PE内装材7の厚さは50μm乃至1.5mmであるとしている。また、PE膜6の厚さは10乃至30μm、PE膜8の厚さは20乃至50μmであるとしている。
その目的とするところとして、特許文献4の
【0024】に、前記電磁波シールド袋の使用により、電磁波のシールド効果が優れていると共に、空港などにおける航空機の離着陸の安全に貢献するとしている。
【0009】
ところで、地球上には靜磁界が自然に存在するが、人工の交流磁界で生起される電磁波が物質に出合うと、その物質に吸収された電磁波がその物質中の電子や原子核の荷電粒子と相互に作用して内部エネルギに変換される。
前記物質が生体であると、この生体に悪影響を及ぼすことがあるとされている。
したがって、携帯電話器から放射される電磁波に、生体である人体ができるだけ曝らされないようにする対策がとられている。
【0010】
特許文献1〜4は何れも、携帯電話器の機能として電源を入れているかぎり、自動的に携帯電話器の機体番号(識別番号)を電波に乗せて発信する機能に対応した、前記携帯電話器から外へ発信する通信目的外の電波を減衰あるいは遮断する電磁波シールド機能に関する開示である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
会議場、音楽コンサート会場、映画館、劇場、美術館などで、携帯電話器の受信音で迷惑を蒙ることがある。かかる場所では携帯電話器の電源を切る要請が行われているが、必ずしも守られてないのが実状である。
したがって本発明のテーマは、所持携帯する電源を入れた状態の携帯電話器において、着信音などが生起しないようにするため、前記携帯電話器の所在場所が携帯電話ネットワークに把握されていても、前記携帯電話が同調(共振)すべき受信電波を一時的に受付けない状態にすることである。
【0012】
次に、携帯電話が繋ながるシステムの概要について説明する。そのシステムは、1)携帯電話からの電波をキャッチするアンテナ、2)前記アンテナに連なる増幅器を持つMBS(無線基地局;Mobile Base Station)、3)各MBS間を接続する交換器、から成るネットワークで構成される。
【0013】
通常の携帯電話器の場合は、携帯電話器から発信された電波は屋外で数km間隔で、ビルの屋上や専用塔などに設置されているアンテナから、それに接続するMBSに集められる。
一つのMBSがカバーするゾーンで発生した携帯電話器からの発信は、MCC(移動通信制御局;Mobile Communication Control Center)に集められ、行き先ごとに振り分けられる。
PHS器の場合は、屋外で100〜500m間隔に設置されているアンテナ、またビル屋内、鉄道駅構内などのアンテナで集められ、以下そのシステムは通常の携帯電話と同様である。
【0014】
携帯電話器から任意の携帯電話器に電話をかけ、相互の携帯電話器を繋ぐためには、発信側と受信側の相互の携帯電話器が何処のゾーンに所在しているかをネットワークで把握しておく必要がある。そのため、携帯電話器の電源を入れると、前記携帯電話器の固有の同調周波数帯などの情報を含む機体番号を自動的に電波に乗せて発信する。前記機体番号を前記ネットワークがキャッチし、前記携帯電話器の所在ゾーンなどを記録するホームメモリー局のデータベースに書き込んで登録する。携帯電話器の携帯者が前記ゾーンを越えて移動すれば、前記ゾーンから移動先のゾーンに次々にハンドオーバー(チャンネル切替)され、逐次前記データベースに更新した所在が登録される。
【0015】
したがって、前記データベースを検索すれば、呼びたい前記携帯電話器の所在ゾーンがわかるので、これを追跡して前記携帯電話器の所在するゾーンのMBSアンテナから、前記携帯電話器の固有の同調周波数帯の電波を発信する。
前記携帯電話器に接続されれば音などで着信を知らせ、前記携帯電話器の携帯者が通話スイッチをオンすれば通話などができる。
【0016】
携帯電話が使用する電波の周波数帯は、現行では通常の携帯電話が800MHz帯あるいは1.5GHz帯で、PHSが1.9GHz帯である。
さらに、おのおのの周波数帯を細区分して、各携帯電話器に固有の周波数帯として割り当てている。
電源を入れた携帯電話器から常に行われている機体番号の発信、呼出発信、通話時の発信は、出力は小さいながら使用者の近傍にある前記携帯電話器から発信されるので、使用者近傍では強力な電磁波で、例えば携帯電話器から約5cm程度離れたところで、磁束密度で示して10μT(テスラ)(100mGs(ガウス))以上の場合がある。
【0017】
一方、同調受信電波の方については、MBSの送信アンテナから携帯電話器までの電波の受信電界強度は距離の4乗に反比例するので極めて弱く、磁束密度で大凡0.3〜0.03μT(3〜0.3mG)程度以下とされ、さらに地形や建造物などの影響下ではそれを大きく下回る場合があるといわれている。
かような弱い多数の周波数帯の電波群の中で、割当てられた電話番号の携帯電話器の固有の周波数帯の同調回路に同調する周波数帯の電波が到来したときのみ、受信するという仕組みが働き、着信の呼出音などのサインが出る。
【0018】
本発明は、前記のテーマと前記の携帯電話が繋ながるシステムの仕組みとを考慮して、電源を入れた状態の携帯電話器において、前記携帯電話器からの送信電波に比較して極めて微弱な同調受信電波のみを遮断し、着信を知らせる着信音などの生起を防ぎ、且つ低コストで製造できる用品を作り出し、使い捨て用品として提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
発明者は鋭意検討の結果、携帯電話器から発信する電波の強さに比較して、かなり微弱な同調受信電波を遮断する目的のみであれば、驚くべきことに金属蒸着合成樹脂フィルムにおいて、微量の金属付着量で達成できることが分かった。
つまり、金属蒸着合成樹脂フィルムにおいて、肉眼でその断面を通して昼間の景色などを透かし見た場合に、その形状が明瞭に透視確認できる程度の金属蒸着量で前記同調電波を遮断できることを見いだしたものである。
【0020】
すなわち、金属蒸着合成樹脂フィルムから成る携帯電話器用の袋体容器において、前記金属蒸着合成樹脂フィルムの蒸着金属量に由来する電磁波遮断性の指標値として、前記金属蒸着合成樹脂フィルムの合成樹脂フィルム部が透明のときの可視光線平均透過率が、0.4〜0.15%である前記金属蒸着合成樹脂フィルムを用いることにより、前記袋体容器に携帯電話器を挿入したときに、前記携帯電話器に同調する受信電波が到来した場合に、前記携帯電話器が受信状態に至らない程度に前記受信電波が弱められることを特徴とする携帯電話の受信電波遮断袋体容器の発明に至った。
また、前記金属蒸着合成樹脂フィルムがアルミニウム蒸着合成樹脂フィルムであることを特徴とする帯電話器の受信電波遮断袋体容器の発明である。
【0021】
本発明の受信電波遮断袋体容器は、低コストで提供でき、雨天時に集会場の入口などで配布する雨傘用フィルム袋体の如く、使い捨て袋体容器として前記受信電波遮断袋体容器を会議場、音楽コンサート会場などで配布して、所持携帯する電源を入れた状態の携帯電話器を挿入することによって、着信を知らせる着信音などが生起しないようにすることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
発明の実施の形態を実施例に基づき、図面と表を参照して説明する。
図1は、本発明の説明のための例図で、携帯電話器を収容した袋体容器の透視側面略図である。すなわち、断面状で示す金属蒸着合成樹脂フィルムで作られた携帯電話受信電波遮断袋体容器2に、携帯電話器1を挿入し、開口部3を折曲げ部4に描くように折曲げて、携帯電話器1が袋体容器2に包み込まれて収容されている状態を示す透視側面略図である。
なお、図面の寸法や寸法比などについては、説明を容易にするため実物とは相違し、他の図面も同様とする。
【0023】
図2は、紙面において図1の上部方向から見て携帯電話器を挿入していない状態の携帯電話受信電波遮断袋体容器2の平面略図であり、側辺接合部8、底辺接合部9および開口部3から成る。
図2に示す携帯電話器の未挿入状態の前記袋体容器の平面略図は、あたかも長方形の郵便用の定型封筒形で、開口部3から図1における携帯電話器1を挿入して収容する。ただし、本発明の携帯電話受信電波遮断袋体容器は図2に描く形状に限定されるものではなく、携帯電話器を包み込む形状であれば、如何なる形状でも本発明に含まれる。
【0024】
次に、図1および図2に示す携帯電話器用の袋体容器2の材料である金属蒸着フィルムの要件について説明する。
前記従来の技術の項においても説明したとおり、電源の入った携帯電話器からは自動的に携帯電話器の機体番号などの情報を電波に乗せて発信している。
電源を入れている限り常に電波を発信されている発信電波は、出力は小さいながら、使用者の近傍にある前記携帯電話器から発信されるので、使用者近傍では強力な電磁波である。
【0025】
従来の技術において、電磁波遮蔽などと称している電磁波シールドの目的は、主として人体への悪影響を考慮して、前記携帯電話器から発信する電波をシールドすることである。つまり、前記携帯電話器からの発信電波のうち、通信に必要のない電波の漏洩を極力抑制することに目的があった。
【0026】
これに対して、本発明の目的は、携帯電話器の所在が携帯電話ネットワークに把握されていて、前記携帯電話器に同調する受信電波が到来しても、前記携帯電話器が前記同調する受信電波を受付けないようにすることである。
この手段としては、降雨時に集会場などの入口で配布して使用する傘用フィルム袋体の如く、使い捨て袋体容器として前記受信電波遮断袋体容器を、会議場、音楽コンサート会場などで配布して、所持携帯する電源を入れた状態の携帯電話器をこれに挿入することによって、着信を知らせる着信音などが生起しないようにすることである。
【0027】
前記携帯電話受信電波遮断袋体容器の材料の金属蒸着合成樹脂フィルムの要件は、携帯電話器から発信する電波の強さに比較すると、極めて微弱な同調受信電波を遮断するのみの目的であれば、金属蒸着フィルムにおいて微量の金属付着量でよいのではないかと考えたものである。
他方、使い捨て用品であるので、低コストで提供できなければならない。
そこで先ず、アルミニウム蒸着フィルムにおいて、アルミニウム蒸着量と同調受信電波の遮断性との関係、ならびに製造コストとの関係を検討した。
【0028】
合成樹脂フィルムへの金属の蒸着は、半連続真空蒸着機あるいは両面真空蒸着機などによって、一般にロール・ツー・ロール方式で行うが、アルミニウムの場合を例にあげれば、蒸気圧10−4mmHg程度の高真空下で、温度930℃程度で行われる。
【0029】
金属蒸着合成樹脂フィルムのコストは、償却費などの固定費を除けば、金属や合成樹脂フィルムなどの材料費と、電力費でその殆どを占める。
金属蒸着合成樹脂フィルムの単位面積当たりの金属蒸着量の増大に伴ってコストが増大する傾向にはあるものの、ある水準までは大きくは変わらないといわれている。したがって、前記金属蒸着量の適正な範囲の金属蒸着合成樹脂フィルムが市販材料として、包装用、繊維分野で用いる金銀糸、建築分野や農業用などに供給されている。
【0030】
しかしながら、高真空下で金属を加熱して金属を蒸気化する金属蒸着加工の特性から、前記単位面積当たりの金属蒸着量を適正量以上にすると、或る金属蒸着量を境にして生産性が著しく低下すると共に、単位面積当りの電力費や金属材料の使用量も増大するので、級数的にそのコストが上昇するという性格がある。
【0031】
したがって、単位面積当たりの金属蒸着量が、ある程度以上の場合では、圧延など機械加工による金属箔を合成樹脂フィルムに接合加工して用いた方がコスト的に有利であるといわれている。技術的にも厚さμmオーダーの金属の蒸着は、工業的には不可能に近いとされている。
従来の技術である特許文献3においても、特許文献3の
【0007】に、携帯電話器から漏洩する電磁波シールド法として、アルミニウム箔の厚さ、0.01〜0.5mm、通常0.05mm〜0.1mmを用いると開示している。
また、圧延法による厚さ15〜20μm程度のアルミニウム箔が、アルミホイルとして調理用などに廉価で販売されている。
【0032】
一方、技術的面で言及すると、金属蒸着合成樹脂フィルムにおいて、合成樹脂層と蒸着金属層との境界部は複雑な態様を呈していて、両者を明確に分離できないので、蒸着金属層のみの正確な厚さや質量の計測は困難である。
このため、一般的に金属蒸着面の表面電気抵抗値を金属蒸着量の代用値とすることが行われているが、金属蒸気はフィルム面に均一には蒸着してないので、電磁波遮断性の指標としては、厚さ、質量を含めて必ずしも適合する示し方ではないものと考えられる。
【0033】
次に、本発明で用いた電磁波遮断性を示す金属蒸着量の指標値の説明をする。
前記指標値は、電波と同じ電磁波であるところの、人の肉眼で見ることができる可視光線透過率で示した。
各試作アルミニウム蒸着合成樹脂フィルムのベースフィルムとしては、厚さ50μmのPET(ポリエステル)透明フィルムとし、前記ベースフィルムの可視光線透過率は90%以上のものを用いた。
透明フィルムの使用は、前記指標値において金属蒸着層部に由来する以外の要因を排除するためである。
したがって、あくまでも金属蒸着量の指標値を得るためであって、本発明の前記受信電波遮断袋体容器の材料の金属蒸着合成樹脂フィルムのフィルム部が透明であることを要件とするものではない。
【0034】
前記可視光線透過率の測定は、測定器としては島津製作所製の紫外・可視・近赤外分光光度計UV−3150を使用、積分球は直径60mmのものを用いた。
可視光線は780〜380nmとし、10nm毎の値の平均値で示し、可視光線平均透過率とした。
【0035】
次に、同調受信電波遮断性の評価方法を説明する。試作した各蒸着量のアルミニウム蒸着フィルムで、図2の受信電波遮断袋体容器2に示す如き袋体容器を試作し、図1に描く如く携帯電話器1を収容し、携帯電話器収容体6とした。
【0036】
携帯電話器については、通常の携帯電話器とPHS器の双方とした。
前記通常の携帯電話器についてはデンソー社製のJ−PHONE−SKY、前記PHS器については東芝製のDL−S100を使用した。
評価の方法は、おのおののMBSアンテナの方向の開放した窓際に水平台を設け、その上に前記携帯電話器収容体を載せて評価を行った。
【0037】
前記携帯電話器収容体を、収容している携帯電話器について図1でいえばアンテナ端5の向きを基準として、携帯電話の長手方向を次に示す置き方とした。
すなわち、A)前記MBSアンテナ方向(0°)、B)前記MBSアンテナ方向に対し直角方向(90°)、C)逆の直角方向(逆90°)、D)前記MBSアンテナ方向に逆方向(180°)の4方向について、おのおの各携帯電話器の「表置き」、「裏置き」の2通りを掛け合わせた合計8通りの置き方とした。
また、MBSアンテナからの携帯電話器までの直線距離は、通常の携帯電話器については1.0kmと1.5km、PHS器については0.3kmと0.4kmとした。評価のための架電は、普通のライン電話器を用いて評価すべき各携帯電話器に架電することで行った。この評価結果を表1に示す。
【0038】
表 1
【0039】
表1において、項目欄の「試料No.」は、金属蒸着フィルムの試料種を示す通し番号、「蒸着金属種類」はAlとしてアルミニウムを示し、試料1〜9は、片面蒸着フィルムの試料である。「可視光線透過率」とは、各アルミニウム蒸着PETフィルムの可視光線平均透過率である。
【0040】
表1の項目欄の「肉眼透視性」とは、前記可視光線透過率の程度を実感するために、これを感覚的に示すものである。
すなわち、図3に描く金属蒸着フィルムのイメージ透視概念略図において、点灯電灯18の白色半透明の電灯の笠19の側面部20に、透明フィルムベースのバーコード・シンボル21を貼付し、これをベースフィルム15が透明な金属蒸着合成樹脂フィルム10を通して、矢印の肉眼透視方向17から透視して、バーコード・シンボル21のバーが明瞭に確認できるか否かで評価した。
なお、図3において、透視するときに接眼する金属蒸着合成樹脂フィルム10から点灯電灯18までの距離は0.6m、点灯電灯18は60Wの艶消し白熱電灯である。
【0041】
また、表1の項目欄の「蒸着フィルムコスト」とは、各々の金属のなかで最も一般的な金属蒸着フィルムを「基準」として、→印;大略同程度のコスト、↑印;高コスト、↑↑印;顕著に高コストで各示した。
【0042】
項目欄の「km」表示は、このテスト域のゾーンをカバーするMBSアンテナから、評価する前記携帯電話器までの距離である。
また、項目欄の「受/架」の「架」とは、前記携帯電話器収容体について、前記8通りの置き方についての架電回数(8回)を示し、「受」とは、そのうちの受信回数を示す。したがって、8/8は受信電波の遮断機能がない蒸着フィルムであることを示し、0/8は受信電波の遮断機能がある蒸着フィルムであることを示す。「評価」とはおのおの、○印;遮断機能あり、×印;遮断機能無し、△印;遮断機能不十分、の意である。
「総合評価」は、「蒸着フィルムコスト」および「評価」の双方からの総合評価である。
【0043】
表1において、データ行欄の1行目の(裸)と記載しているのは、裸の状態、つまり、袋体容器に包み込んでない状態の各携帯電話器の結果を示し、このときに所在場所などの情報を含んだ機体番号の発信がなされ、ネットワークに登録されていることになる。「受/架」の結果は当然ながら8/8である。
【0044】
表1によると、アルミニウム蒸着PETフィルムにおいて、可視光線平均透過率が、試料4の大凡0.4%以下であれば、「受/架」の結果が0/8となり、受信同調電波の遮断効果があることを示した。
一方、蒸着フィルムのコスト面からいえば、試料7〜9は基準に比較して、高コスト、あるいは顕著に高コストであることを示している。
したがって、表1の「蒸着フィルムコスト」および「評価」を勘案すれば、「総合評価」で試料4〜6が適合するといえ、アルミニウム蒸着合成樹脂フィルムのアルミニウム蒸着量の電磁波遮断性を示す指標値である可視光線平均透過率は、大凡0.4〜0.15%程度であるといえる。
【0045】
フィルムへの金属蒸着は、蒸着金属が蒸着面に蒸着むらがなく、万遍なく覆った状態を標準品とし、このとき可視光線の遮蔽率でいえば大凡99%程度、つまり可視光線透過率で1%を下回る程度の領域である。
この水準は、一般的な用途である包装用材、金銀糸、熱遮断材などの場合では、光反射性、遮光性、断熱性など充分な域であるため量産品となっている。
可視光線透過率をこの水準より下げるためには金属蒸着量の増加が必要であるが、或る程度の域までは顕著なコスト上昇はない。
しかしながら、可視光線透過率を大凡0.15%程度以下とするには金属蒸着法の原理からみて無理があり、かなりのコスト増を伴う。
電磁波遮断性において、微弱な同調受信電波の遮断性は、コスト的にいって正に金属蒸着フィルムの標準品の範囲内であることが分かった。
【0046】
次に、表1の評価方法に準拠して、蒸着金属をアルミニウムとして、フィルム合成樹脂の種類、ならびに多層構造の場合などについて検討を加えた。
これらの合成樹脂のベースフィルムは透明で、何れも可視光線透過率が90%以上のもを用いた。この評価結果を表2に示す。
【0047】
表 2
【0048】
表2において、試料13のOPPは、二軸延伸ポリプロピレン。試料14のCPPは、未延伸ポリプロピレン。試料15のPAは、ポリアミド(ナイロン)。試料16のPLAは、生分解性樹脂であるポリ乳酸樹脂をおのおの示す。
( )内は厚さを示す。表2によると、合成樹脂フィルムの種類、層構造および厚さに拘らず、可視光線平均透過率が大凡0.4%程度であれば、受信電波遮断効果があることを示している。
【0049】
また、ベースフィルムにPETを用い、蒸着金属として真空下で比較的低温で蒸気化する、Zn(亜鉛)、Ni(ニッケル)、Ag(銀)について、表1の評価方法に準拠して検討を加えた。この評価結果を表3に示す。
【0050】
表 3
【0051】
真空蒸着に使われている代表的な金属であるZn、Ni、Agにおいても、可視光線平均透過率が大凡0.4〜0.15%程度であれば、受信電波遮断効果があり、同一金属同士ではこの範囲であれば、コストも大凡同程度であることが分かった。
【0052】
表1、表2、ならびに表3から、本発明の携帯電話受信電波遮断袋体容器を形成する材料である金属蒸着合成樹脂フィルムの要件は次の通りである。
すなわち、電磁波遮断性を示す金属蒸着量の指標値は、透明なベースフィルム使用での評価を前提とした可視光線平均透過率で示すことができ、同調受信電波遮断性から、その値は大凡0.4〜0.15%程度であるといえることが分かった。
【0053】
本発明の携帯電話受信電波遮断袋体容器を形成する材料である金属蒸着フィルムは、ベースフィルムの片面金属蒸着、つまり片面に金属蒸着面が露出していても差し支えない。故意に疵をつけた実験結果では、多少の加疵で蒸着金属が部分的に欠落しても影響はなく、目的とする短時間使用の使い捨て製品であることを勘案すれば問題ない。
【0054】
金属蒸着合成樹脂フィルムにおいて、前記金属蒸着面の保護のためなど、合成樹脂層、金属蒸着層共に多層構造であってもよく、表2に示す通りである。
すなわち、金属蒸着面に塗料層やフィルム層の接合、ベースフィルムの表裏に金属蒸着層が接合、これにさらにフィルム層が接合、複数枚の金属蒸着フィルムの重ね使用の袋体容器形成など、如何なる層構造であってもよい。
本発明の趣旨は、携帯電話受信電波遮断袋体容器を形成する材料である金属蒸着合成樹脂フィルムにおける、可視光線透過率から見た金属蒸着量を特定しているものであり、金属蒸着合成樹脂フィルムの層構造などについては任意である。
【0055】
合成樹脂フィルムへの金属蒸着の場合は、前記樹脂フィルムに、艶消し目的のTiO2(二酸化チタン)の添加、着色の為の顔料や染料の添加などは、金属蒸着性を阻害するので一般には行わない。
本発明の携帯電話受信電波遮断袋体容器の材料である金属蒸着フィルムへの、印刷、着色、塗料塗布、合成樹脂ラミネート、不透明化などを行うことは、食品などの包装用金属蒸着フィルム、繊維分野で用いる金銀糸、建築分野や農業用などに用いる熱遮断フィルム、などで行われている方法が援用できる。
【0056】
金属蒸着フィルムにおいて、ベースフィルムが透明な場合の可視光線平均透過率の大凡0.4〜0.15%程度ということは、蒸着金属種類に拘らずに、肉眼で透視した場合、昼間の外の景色などの通常イメージが、ほぼ実物通りに透けて見える程度である。
金属蒸着フィルムの蒸着金属層はその境界領域を含めて不均一であり、厚さや質量では的確には示すことができないが、指標値である可視光線平均透過率で0.4%程度とは、蒸着が均一であると仮定して、アルミニウムの場合にベースフィルムの面積1m2当り大凡40mg程度前後と推定されるが、何れにしても極めて微量であるといえる。
【0057】
このように金属蒸着量が微量でも、携帯電話の同調受信電波の遮断効果がある理由は、同調受信電波が微弱であることに由来し、金属蒸着部において入射電波が外部反射し、さらに吸収や、内部反射によって前記携帯電話の同調電波が到来しても、携帯電話器に至るまでに同調受信できない程度に弱められるからであると考えられる。
【0058】
また、真空蒸着法の金属蒸着法によらずに、例えばスパッタリング法の蒸着も本発明の携帯電話受信電波遮断用の袋体容器の材料である、金属蒸着合成樹脂フィルムに適用できることが実験により分かった。
【0059】
本発明の携帯電話受信電波遮断袋体容器の形状は、図2の袋体容器2の例では、一例として郵便用の定型封筒形で描いている。
しかしながら、本発明はこの形状に限定されるものではなく、袋体状でなく、風呂敷形、袱紗形、四辺のうち二辺が開口している用紙ホールダー形など、携帯電話器を包み込むことのできる形状であれば、如何なる形状でもよい。
【0060】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
【0061】
(1)電源を入れた携帯電話器を、本発明の携帯電話受信電波遮断袋体容器に挿入することによって、携帯電話ネットワークに所在場所が把握されていても、同調受信電波を前記携帯電話器が一時的に受付けない状態にすることができる。
したがって、本発明の携帯電話受信電波遮断袋体容器の使用によって、会議場、音楽コンサート会場などで、携帯電話器の受信音などで自他共に迷惑を蒙ることが回避できる。
(2)本発明の携帯電話受信電波遮断袋体容器の材料である金属蒸着合成樹脂フィルムは、微量な金属蒸着量で同調受信電波の遮断効果があり、袋体容器の構造も郵便用の定型封筒形、風呂敷形、袱紗形、用紙ホールダー形など簡単な形態でよく、製造コストが低廉で、リサイクル前提の使い捨て袋体容器として適応していて、多方面で広く適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】携帯電話器を収容した袋体容器の透視側面略図
【図2】携帯電話器未挿入状態の袋体容器形状の一例の平面略図
【図3】金属蒸着フィルムのイメージ透視の概念略図
【符号の説明】
1 携帯電話器
2 携帯電話受信電波遮断袋体容器
3 袋体容器の開口部
4 折曲げ部
5 携帯電話器アンテナ端
6 携帯電話器収容体
8 側辺接合部
9 低辺接合部
10 金属蒸着合成樹脂フィルム
15 透明ベースフィルム層
16 金属蒸着層
17 肉眼透視方向
18 点灯電灯
19 白色半透明の電灯の笠
20 白色半透明の電灯の笠の側面部
21 貼付している透明ベースフィルムのバーコード・シンボル
Claims (2)
- 金属蒸着合成樹脂フィルムから成る携帯電話器用の袋体容器において、
前記金属蒸着合成樹脂フィルムの蒸着金属量に由来する電磁波遮断性の指標値として、前記金属蒸着合成樹脂フィルムの合成樹脂フィルム部が透明のときの可視光線平均透過率が、0.4〜0.15%である前記金属蒸着合成樹脂フィルムを用いることにより、
前記袋体容器に携帯電話器を挿入したときに、前記携帯電話器に同調する受信電波が到来した場合に、
前記携帯電話器が受信状態に至らない程度に前記受信電波が弱められることを特徴とする携帯電話の受信電波遮断袋体容器。 - 前記金属蒸着合成樹脂フィルムがアルミニウム蒸着合成樹脂フィルムであることを特徴とする、請求項1に記載する携帯電話器の受信電波遮断袋体容器。
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- 2003-05-02 JP JP2003163005A patent/JP2004329818A/ja active Pending
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