JP2004329608A - 超音波診断装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】被検体103に対して超音波の送受信を行う超音波送受信部111を前記被検体103の体表面近傍に装着し、前記超音波送受信部111と、画像データの生成を行なう超音波診断装置本体113を無線通信手段によって接続する。更に、前記超音波診断装置本体113の画像データ生成部において生成される画像データを、ネットワークを介して表示部114に表示する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、超音波診断装置に係り、特に被検体の長時間モニタリングが可能な超音波診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
超音波診断装置は、超音波プローブに内蔵された超音波振動子から発生する超音波を被検体内に放射し、被検体組織の音響インピーダンスの差異によって生ずる反射波を超音波振動子によって受信してモニタ上に表示するものである。
【0003】
この診断方法は、超音波振動子を体表に接触させるだけの簡単な操作でリアルタイムの2次元画像が容易に観察できるため、心臓などの臓器の機能診断や形態診断に広く用いられている。
【0004】
従来の超音波診断装置200は、図13に示すように被検体207に対して超音波の送受信を行なう超音波プローブ201と、この超音波プローブ201に設けられた超音波振動子に対して送受信を行なう送受信部202と、送受信部202において得られる受信信号に基づいて超音波画像データを生成する信号処理部203と、生成された超音波画像データを表示する表示部206と、各種撮影条件あるいはコマンド信号を入力する入力部205と、これらの各ユニットを総括的に制御するシステム制御部204を備えている。即ち、送信時において送受信部202は超音波プローブ201の超音波振動子に対して駆動パルスを供給して被検体207の内部に超音波パルスを放射する。この超音波パルスは、被検体207の臓器境界面あるいは腫瘍の境界面で反射し、再び前記超音波振動子によって受信されて超音波から電気信号に変換される。そして、この受信信号に対して送受信部2は所定の大きさに増幅を行い、信号処理部203は振幅圧縮や検波などの処理を行なって超音波画像データを生成する。尚、この超音波画像データは、超音波プローブ201に内蔵された超音波振動子において送受信される超音波ビームの方向を機械的あるいは電子的に制御して行なわれる2次元の超音波走査によって収集され、この2次元走査によって得られる超音波画像データは表示部206において表示される。
【0005】
このような従来の超音波診断装置によって得られる画像データは2次元の画像データであったが、近年、3次元画像データによる超音波診断法が注目されている。超音波の3次元画像データの生成は、磁気や超音波を用いた小型で精度に優れる位置センサを装着した超音波プローブ201を、体表上で移動させながら連続的な複数枚の2次元画像データと、位置センサによって計測される超音波プローブの位置情報を順次収集し、この位置情報に基づいて前記2次元画像データを再構成することによって行われる(例えば、特許文献1。)。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−5168号公報(第4−6頁、第1−5図)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来の超音波診断では、医師や検査技士が直接立ち会って被検体に対する超音波画像データの収集を行なってきたが、近年、循環器障害をもった被検体に対する超音波画像あるいは超音波情報の長時間モニタリングが望まれるようになり、この長時間モニタリングのニーズは、今後の高齢化社会においては益々増大することが予想される。このような要求に対して、従来の超音波診断装置における超音波振動子は、数百チャンネルを有する信号ケーブルによって超音波診断装置本体の送受信部や信号処理部と接続されているため、上記の長時間モニタリングには十分な対応がなされていない。例えば、家庭あるいは医療施設において通常の生活を送る被検体に対して長時間モニタリングを行う際、従来のように信号ケーブルを介して超音波診断装置本体の送受信部と接続されている超音波振動子を被検体の体表に長時間装着することは被検体を束縛し、大きな負荷を与えることになる。
【0008】
一方、このような被検体に対して、今日広く行なわれている運動器具を用いた心臓負荷試験においても、上記と同様の理由により試験中における超音波画像を観察することは困難であった。
【0009】
本発明の目的は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、被検体から得られる超音波情報の長時間モニタリングを容易とした超音波診断装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に係る本発明の超音波診断装置では、被検体に対して超音波の送受信を行う超音波送受信手段と、前記超音波送受信手段によって得られた受信信号を無線通信する無線通信手段と、この無線通信手段により、供給される前記受信信号に基づいて超音波画像データを生成する画像データ生成手段とを備えたことを特徴としている。
【0011】
また、請求項2に係る本発明の超音波診断装置では、被検体内の複数の方向に対して順次超音波の送受信を行う超音波送受信手段と、この超音波送受信手段における超音波送受信の方向を指示する走査方向指示手段と、この走査方向指示手段から出力される指示信号を無線通信によって前記超音波送受信手段に供給する第1の無線通信手段と、前記超音波送受信手段によって得られた受信信号を無線通信する第2の無線通信手段と、この第2の無線通信手段により、空中を介して供給される前記受信信号に基づいて超音波画像データを生成する画像データ生成手段とを備えたことを特徴としている。
【0012】
更に、請求項3に係る本発明の超音波診断装置では、被検体内の所定の方向に超音波の送受信を行う超音波送受信手段と、この超音波送受信手段における超音波送信タイミングを指示する指示手段と、この指示手段から出力される指示信号を無線通信によって前記超音波送受信手段に供給する第1の無線通信手段と、前記超音波送受信手段によって得られた受信信号を無線通信する第2の無線通信手段と、この第2の無線通信手段により、空中を介して供給される前記受信信号に基づいて超音波データを生成するデータ生成手段とを備えたことを特徴としている。
【0013】
また、請求項4に係る本発明の超音波診断装置では、被検体内の複数の方向に対して順次超音波の送受信を行う複数の超音波送受信手段と、この複数の超音波送受信手段の各々における超音波送受信の方向を指示する走査方向指示手段と、この走査方向指示手段から出力される指示信号を無線通信によって前記複数の超音波送受信手段に供給する複数の第1の無線通信手段と、前記複数の超音波送受信手段によって得られる各々の受信信号を無線通信する複数の第2の無線通信手段と、この第2の無線通信手段により、空中を介して供給される前記受信信号に基づいて複数フレームの超音波画像データを生成する画像データ生成手段と、この画像データ生成手段によって生成される複数フレームの画像データを合成する画像合成手段とを備えたことを特徴としている。
【0014】
したがって本発明によれば、超音波送受信手段を被検体に装着し、無線通信手段によって超音波画像データ等の生成手段と接続するため、超音波画像の長時間監視において被検体に与える負担を低減することが可能となる。
【0015】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態の特徴は、被検体の体表に装着した超音波送受信部によって得られた受信信号を無線手段によって超音波診断装置本体に送信して画像データを生成し、更に、得られた画像データをネットワークを介して長時間監視することにある。
【0016】
以下では、セクタ電子走査方式を用いて心臓の超音波画像モニタリングを行なう場合に、本発明を適用した第1の実施の形態について図1乃至図7を用いて説明する。尚、図1は本実施の形態における超音波診断装置の全体の概略構成を示す図である。また、図2は、この超音波診断装置を構成する超音波送受信部のブロック図であり、図3は、超音波診断装置本体のブロック図である。
【0017】
図1に示す超音波診断装置100は、被検体103の体表に固定され、この被検体103に対して超音波の送受信を行う超音波送受信部111と、超音波送受信部111に対する送受信信号を変復調する変復調部112と、変復調器112を介して超音波送受信部111を駆動し、また、超音波送受信部111からの受信信号に基づいて超音波画像データの生成を行なう超音波診断装置本体113と、生成された画像データを表示する表示部114を備えている。
【0018】
そして、超音波送受信部111、変復調部112、及び超音波診断装置本体113は例えば医療施設内の第1の領域101に、また、表示部114は同じ医療施設あるいは他の医療施設にある第2の領域102に設置され、更に第1の領域101に設置された超音波診断装置本体113と、第2の領域102に設置された表示部114は無線あるいは有線によるネットワークによって接続されている。
【0019】
次に、図2に示す超音波送受信部111は、被検体103に対して超音波の送受波を行うためにN個配列された超音波振動子1と、超音波振動子1を駆動し送信超音波を発生するための駆動信号を生成するNチャンネルの送信部2−1乃至2−Nと、被検体103から受信超音波信号を受信するNチャンネルの受信部3−1乃至3−Nと、受信部3−1乃至3−Nから出力されるNチャンネルの受信信号を加算する加算器4と、前記送信部2−1乃至2−N及び受信部3−1乃至3−Nの遅延時間の設定を行なう走査制御部5を備えている。
【0020】
超音波振動子1は、被検体103の表面近傍に装着され、超音波の送受信を行うものであり、1次元に配列された複数個(N個)の微小な電気音響変換素子で構成されている。即ち、この超音波振動子1は、送信時には電気駆動パルスを超音波パルス(送信超音波)に変換し、また受信時には超音波反射波(受信超音波)を電気信号に変換する機能を有している。超音波画像の解像度や感度に大きな影響を与える超音波パルスの中心周波数はこの超音波振動子1の厚みによってほぼ決定される。この超音波振動子1は小型、軽量に構成されており、N個の超音波振動子1の各々は送信部2−1乃至2−N、及び受信部3−1乃至3−Nに接続されている。超音波振動子1の配列仕様はセクタ走査、リニア走査、コンベックス走査によって多少異なり、診断部位に応じて最適な配列仕様の超音波振動子1が任意に選択されるが、以下では心臓診断を目的としたセクタ走査用の超音波振動子1を用いた場合について述べる。
【0021】
送信部2−1乃至2−Nは、送信遅延回路12−1乃至12−Nと、パルサ13−1乃至13−Nを備えている。送信遅延回路12−1乃至12−Nは、送信に使用される超音波振動子1と同数(Nチャンネル)の独立な遅延回路から構成され、送信において細いビーム幅を得るために所定の深さに超音波を収束するための遅延時間と、所定の方向に超音波を送信するための遅延時間を走査制御部5から送られてくるレートパルスに与え、このレートパルスをパルサ13−1乃至13−Nに供給する。
【0022】
パルサ13−1乃至13−Nは、超音波振動子1を駆動するための高圧パルスを生成する駆動回路であり、送信遅延回路12−1乃至12−Nと同様に、送信に使用される超音波振動子1と同数(Nチャンネル)の独立な駆動回路を有しており、超音波振動子1を駆動して被検体103に対して送信超音波を放射するための駆動パルスを形成する。
【0023】
超音波受信部3−1乃至3−Nは、プリアンプ14−1乃至14−Nと受信遅延回路15−1乃至15−Nとを備えている。プリアンプ14−1乃至14−Nは、超音波振動子1によって電気信号に変換された微小な超音波信号を増幅し十分なS/Nを確保する。受信遅延回路15−1乃至15−Nは、細い受信ビーム幅を得るため受信超音波信号を収束するための収束用遅延時間と、超音波ビームを所定の方向に順次偏向し被検体103を走査するための遅延時間をプリアンプ14−1乃至14−Nの出力に与えた後加算器4に送り、加算器4はプリアンプ14−1乃至14−Nから出力される受信信号を加算合成する。
【0024】
更に、走査制御部5は、変復調部112の復調器31を介して超音波診断装置本体113から供給される走査方向などの超音波走査情報に応答して、送信遅延回路12−1乃至12−N、及び受信遅延回路15−1乃至15−Nにおける遅延時間を設定する。
【0025】
また、図2の変復調部112は、超音波診断装置本体113から空中を介して搬送されてくる超音波走査情報を復調して走査制御部5に供給する復調器31と、前記加算器4の出力信号によって所定周波数(f1)の搬送波を変調し、空中を介して超音波診断装置本体113に供給する変調器32とから構成されている。
【0026】
一方、図3に示した超音波診断装置本体113は、走査制御信号によって所定周波数(f1)の搬送波を変調し、空中を介して図2の変復調部112に供給するとともに、変復調部112から空中を介して送られてくる超音波送受信部111の加算器4の出力信号(受信信号)を復調する変復調部41と、復調された加算器4の出力信号に対して、Bモード画像データを生成するための信号処理を行うBモード処理部42と、加算器4の出力信号に対して血流ドプラ画像データ、あるいは組織ドップラ画像データを生成するための信号処理を行うドプラモード処理部43を備えている。
【0027】
更に、超音波診断装置本体113は、Bモード処理部42及びドプラモード処理部43において生成される夫々の画像データを順次保存する画像データ記憶回路44と、表示部49及び入力部48と、上記超音波診断装置の各ユニットを統括的に制御するシステム制御部46とを備えている。
【0028】
Bモード処理部42は、対数変換器51と包絡線検波器52とA/D変換器53とを備えている。Bモード処理部42の入力信号は対数変換器51で受信信号の振幅を対数変換し、弱い信号を相対的に強調する働きをしている。一般に被検体103からの受信超音波は80dB以上の広いダイナミックレンジをもった振幅を有しており、これを20〜30dB程度のダイナミックレンジをもつ通常のテレビモニタに表示するためには弱い信号を強調する振幅圧縮が必要となる。包絡線検波器52は、対数変換された受信信号に対して包絡線検波を行い、A/D変器53はこの包絡線検波器52の出力信号をA/D変換しBモード画像データを生成する。
【0029】
また、ドプラモード処理部43は、基準信号発生器54、π/2移相器55、ミキサ56−1及び56−2、LPF(ローパスフィルタ)57−1及び57−2、A/D変換器58−1及び58−2、ドプラ信号記憶回路59、FFT分析器60、演算器61を備えており、主に直交位相検波とFFT分析を行なう。
【0030】
即ち、ドプラモード処理部43の入力信号はミキサ56−1及び56−2の第1の入力端子に入力される。一方、この入力信号の中心周波数とほぼ等しい周波数をもった基準信号発生器54の出力はミキサ56−1の第2の入力端子に直接送られ、π/2移相器55を介して90度位相がシフトした出力はミキサ56−2の第2の入力端子に送られる。これらのミキサ56−1及び56−2の出力は、LPF57−1及び57−2に送られ、ドプラモード処理部43の入力信号の周波数と基準信号発生器54からの信号周波数との和の成分が除去され、差の成分のみが抽出される。
【0031】
A/D変換器58−1及び58−2は、LPF57−1及び57−2の出力、即ち、直交位相検波出力をデジタル信号に変換し、FFT分析器60はデジタル化された直交成分を一旦ドプラ信号記憶回路59に保存した後FFT分析を行う。一方、演算器61は、FFT分析器60によって得られるドプラ信号の周波数スペクトラムに対して、その中心周波数や広がり(分散)などの計算を行う。
【0032】
次いで、画像データ記憶回路44は、所定方向の超音波走査においてBモード処理部42、及びドプラモード処理部43によって生成される各々の画像データを順次保存する。
【0033】
一方、表示部49には表示用画像メモリ64と、図示しないD/A変換器及びTVフォーマット変換器を備えた変換回路65と、CRTあるいは液晶などのモニタ66が設けられ、表示用画像メモリ64において画像データ記憶回路44のBモード画像データとドプラモード画像データは必要に応じて合成され、更には文字や記号などの付帯情報が付加されて一旦保存される。そして、合成された画像データは変換部65においてD/A変換とTVフォーマット変換が行われ、モニタ66に表示される。
【0034】
システム制御部46は、入力部48からの指示信号に基づいてBモード処理部42、ドプラモード処理部43、変復調部41、画像データ記憶回路44、更には変換部45などの各ユニットの制御やシステム全体の制御を統括して行う。特にシステム制御部46は、被検体103に放射する超音波パルスの繰り返し周期を決定する制御信号と、超音波ビームの集束点と走査方向を制御する制御信号を合成した走査制御信号を変復調器41の変調器62に供給する。また、入力部48は、操作パネル上に表示パネル、キーボード、トラックボール、マウス等の入力デバイスを備え、患者情報の入力や画像データ収集モードなどの選択を行なう。
【0035】
(装置動作)
次に、図1乃至図7を用いて本発明の第1の実施の形態における超音波診断装置の動作について説明する。
【0036】
画像データの収集に先立って、操作者は、超音波診断装置本体113の入力部48において、Bモード画像データ、ドプラモード画像データ、Mモード画像データ等の各種画像データの収集モードの中からいづれかの単独モード、あるいは複合モードを選択する。次いで、被検体103の胸部に超音波送受信部111を仮配置して超音波の送受信を行い、超音波画像データの収集と表示を行う。このとき、操作者は超音波診断装置本体113の表示部49に表示される被検体103の心臓超音波画像を観察しながら入力部48において画像のゲイン(増幅度)やダイナミックレンジなどを調節し、更に、超音波送受信部111の最適な装着位置を決定した後、図4(a)に示すように装着ベルト8を用いて被検体103の胸部に超音波送受信部111を装着する。また、信号ケーブルを介して超音波送受信部111と接続されている変復調部112も被検体103の例えば腰部に固定する。
【0037】
このとき、超音波送受信部111の超音波振動子1は、図4(b)に示すように高分子材料からなる音響カプラ9を介して被検体103の体表面に装着され、この音響カプラ9は、超音波振動子1と被検体103との間における空気の介在を排除し、効率の良い超音波送受信を可能とする。。
【0038】
図5は、被検体103の胸部に装着された超音波送受信部111によって、心臓の短軸断面(即ち、被検体103の体軸に垂直な断面)の超音波画像を得る場合を示しており、操作者は、超音波送受信部111を被検体103における胸骨105の左辺の肋間(肋骨間)に配置して、画像を観察しながら画像断面位置の調整を行う。そして所望の超音波画像が表示される超音波送受信部111の装着位置が決定したならば、装着ベルト8を使用して超音波送受信部111を前記装着位置に固定する。
【0039】
次に、この第1の実施の形態における超音波画像データの収集と表示の手順を図1乃至図8を用いて説明する。
【0040】
超音波の送信に際して、図3の超音波診断装置本体113のシステム制御部46は、被検体103の所定の方向に対して超音波の送受信を行なうための制御信号と、超音波送信パルスの繰り返し周期を決定する制御信号を合成した走査制御信号を変復調部41の変調器62に供給し、変調器62は、所定周波数(f1)の搬送波をこれらの制御信号によって変調し、アンテナを介して図2の変復調部112に送信する。
【0041】
図2の変復調部112の復調器31は、変復調部41の変調器62から送信された搬送波を復調して前記走査制御信号を取り出し走査制御部5に供給する。そして、走査制御部5は、この走査制御信号に基づいて超音波送信部2−1乃至2−Nの送信遅延回路12−1乃至12−N、及び超音波受信部3−1乃至3−Nの受信遅延回路15−1乃至15−Nに対する遅延時間制御信号と、超音波送信パルスの繰り返し周期を決定するレートパルスを生成する。次いで、走査制御部5は、この遅延時間制御信号を送信遅延回路12−1乃至12−N、及び受信遅延回路15−1乃至15−Nに供給し、送信及び受信における遅延時間の設定を行なう。更に、走査制御部5は、復調器31から送られてくる走査制御信号に基づいて生成したレートパルスを送信遅延回路12−1乃至12−Nに供給する。
【0042】
図6は、システム制御部46から変調器62に供給される走査制御信号の具体例を示したものであり、走査制御信号の供給は、図6(a)の超音波送受信区間(T2)の間に設定されているブランキング区間(T1)において行なわれる。この走査制御信号は、負極性のリセットパルスに後続して所定周期(Δτ)で発生するP個(Pビット)のパルス列から構成され、変復調部41の変調器62、及び変復調部112の復調器31を介して走査制御部5に供給される。走査制御部5は、受信した走査制御信号のPビットのパルス列から走査方向を識別し、この走査方向に対応した遅延時間制御信号を送信遅延回路12−1乃至12−N、及び受信遅延回路15−1乃至15−Nに供給する。また、走査制御部5は、走査制御信号のリセットパルスのフロントエッジから所定時間T3後にレートパルスを発生し、送信遅延回路12−1乃至12−Nに供給する。
【0043】
送信遅延回路12−1乃至12−N、及び受信遅延回路15−1乃至15−N、は、まず走査制御部5から供給される遅延時間制御信号に基づいて、送信及び受信において細いビーム幅を得るために所定の深さに超音波を収束するための遅延時間と、所定の方向(θ1)に超音波を送受信するための遅延時間が設定され、次いで、送信遅延回路12−1乃至12−Nは、走査制御部5から供給されるレートパルスに対して上記遅延時間を与えてパルサ13−1乃至13−Nに供給する。そして、パルサ13−1乃至13−Nは、レートパルスの駆動によって発生する超音波振動子駆動パルスにより、N個の超音波振動子1を駆動して被検体103に超音波パルス(送信超音波)を放射する。
【0044】
被検体103に放射された超音波の一部は、音響インピーダンスの異なる被検体103の臓器境界面あるいは組織にて反射し、また、心臓壁や血球などの動きのある反射体で反射した超音波の周波数はドプラ偏移を受ける。被検体103の組織において反射した超音波(受信超音波)は、送信時と同じN個の超音波振動子1によって受信されて電気信号に変換され、プリアンプ14−1乃至14−Nにて増幅された後、受信遅延回路15−1乃至15−Nに送られる。
【0045】
受信遅延回路15−1乃至15−Nは、受信において細いビーム幅を得るために所定の深さからの超音波を収束するための遅延時間と、超音波ビームに対して所定の方向(θ1)に強い受信指向性をもたせて受信するための遅延時間をプリアンプ14−1乃至14−Nの出力信号に与えた後、加算器4に送る。更に、加算器4は、受信遅延回路15−1乃至15−Nから送られてくるNチャンネルの受信信号を加算合成して1つの受信信号に纏めた後、変復調部112の変調器32に供給する。そして、変調器32は、前記受信信号によって所定周波数(f1)の搬送波を変調した後、図3に示す超音波診断装置本体113の変復調部41に対して空中を介して送信する。
【0046】
変復調部41の復調器63において復調された超音波受信信号は、Bモード処理部42あるいはドプラモード処理部43に供給され、Bモード画像データ及びドプラモード画像データの生成が行なわれる。即ち、Bモード画像データを収集する場合には、復調器63の出力は、Bモード処理部42の対数増幅器51、包絡線検波器52、更にはA/D変換器53に送られ、対数変換、包絡線検波、A/D変換がなされ、生成されたBモード画像データは画像データ記憶回路44に保存される。
【0047】
一方、ドプラモード画像データの収集においては、超音波受信信号のドプラ偏移を算出するために、システム制御部46は同一方向(θ1)に対して連続して複数回超音波送受信を行い、このとき得られる受信信号に対してFFT(Fast−Fourier−Transform)分析を行う。即ち、システム制御部46は、被検体103の同一送受信方向(θ1)に対して複数回の超音波走査を行ない、このとき得られる復調器63の出力はドプラモード処理部43のミキサ56−1、56−2及びLPF57−1、57−2を用いて直交位相検波され、更に、A/D変換器58−1,58−2にてデジタル信号に変換された後、ドプラ信号記憶回路59に保存される。
【0048】
次いで、ドプラ信号記憶回路59に保存された複数の受信信号データに対して、FFT分析器60は周波数スペクトラムを求め、演算器61は、FFT分析器60から出力される周波数スペクトラムに対して、その中心(組織や血流の平均速度)を算出する。更に、演算器61は、得られた算出結果に基づいてドプラモード画像データを生成して、画像データ記憶回路44に保存する。
【0049】
但し,FFT分析器60において求まるドプラ信号の周波数スペクトラムには、心筋などの組織の運動によって生ずる組織ドプラ成分と、血流の流れによって生ずる血流ドプラ成分とがあり、前者は後者より低周波成分で構成されている。従って、本実施の形態のように心筋の組織速度を計測するためには、この組織速度を反映したドプラ信号成分の抽出に最適なフィルタリング定数の設定を行う。
【0050】
尚、超音波受信信号の組織ドプラ成分の算出において、上記のようなFFT分析を用いる方法の代わりに、MTIフィルタ及び自己相関関数を使用してドプラ成分スペクトラムの中心(即ち、平均速度)やパワーあるいは分散値を求めてもよい。
【0051】
次に、超音波の送受信方向をθ1に対してΔθずつ順次更新させながらθ1+(NS−1)Δθに対して上記と同様な手順で超音波の送受信を行い、被検体103を走査する。このとき、システム制御部46は、変復調部41、及び図2の変復調部112を介し、走査制御部5に対して超音波の送受信方向を制御する走査制御信号を供給する。そして、走査制御部5は、この走査制御信号に従って送信遅延回路12−1乃至12−N、及び受信遅延回路15−1乃至15−Nに対して遅延時間制御信号を供給し、上記超音波送受信方向に対応した遅延時間に順次切り換えながら、Bモード画像データとドプラモード画像データの各々を収集する。
【0052】
次に、システム制御部46は、上記のθ1+Δθ乃至θ1+(NS−1)Δθの超音波送受信によって得られたBモード画像データとドプラモード画像データを、既に得られたθ1方向の画像データと同様に、画像データ記憶回路44に順次保存して2次元の画像データを生成すると共に、この2次元画像データを必要に応じて表示部49のモニタ66において表示する。
【0053】
一方、システム制御部46は、画像データ記憶回路44に保存された前記画像データを、ネットワークを介して図1に示した第2の領域102に送信し、この第2の領域102に置かれた表示部114のモニタに表示する。尚、図1の第1の領域101は患者(被検体103)が置かれた医療施設内の救急医療室や通常の病室、あるいは一般家庭などであり、第2の領域102は前記医療施設と同一の医療施設あるいは他の医療施設におけるナースステーションや医師の居室などである。従って、第2の領域102の医師や看護士は、表示部114のモニタにリアルタイム表示される超音波画像を観察することによって、第1の領域101の被検体103の状態を絶えず監視することが可能となる。
【0054】
次に、図7を用いて超音波画像の長時間集中監視方法について述べる。例えば、第1の領域101−1乃至101−3に置かれた3人の患者(被検体103−1乃至103−3)の集中監視を行う場合、被検体103−1乃至103−3から得られた受信超音波は、超音波送受信部111−1乃至111−3を介して超音波診断装置本体113−1乃至113−3において画像データとして生成され、この画像データは、ネットワークを介して第2の領域102に設けられた表示装置114−1乃至114−3において表示される。従って、第2の領域102の医師あるいは看護士104は、表示部114−1乃至114−3を監視することによって被検体103−1乃至103−3の病状を同時かつリアルタイムで把握することが可能となる。
【0055】
(変形例)
次に、本実施の形態の変形例について図8を用いて説明する。この変形例の特徴は被検体103の体表に装着した超音波送受信部111aを用いて所定方向に超音波の送受信を行ない、超音波診断装置本体113では、このとき得られた受信信号に基づいてMモード画像データの生成を行うことにある。この変形例と上記実施の形態との構成上の差異は超音波送受信部111aのみであり、変復調部112及び超音波診断装置本体113の構成や超音波送受信部111aの被検体103への装着方法については上記実施の形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0056】
図8に示した本実施の形態の変形例の超音波送受信部111aは、1つの超音波振動子1aと、この超音波振動子1aを駆動するための1チャンネルのパルサ13aと、前記超音波振動子1aによって受信した信号を増幅する1チャンネルのプリアンプ14aを備えている。
【0057】
Mモード画像データの収集に際して、操作者は超音波送受信部111aを被検体103の胸部に装着し、所定方向(θx)に対して超音波の送受信が行われるように装着位置を調整した後、図3に示した超音波診断装置本体113の入力部48においてMモード画像データ収集のコマンド信号を入力する。コマンド信号を受信したシステム制御部46は、超音波パルスの繰り返し周期を決定するレートパルスを変復調部41の変調器62に供給し、変調器62は、このレートパルスによって所定周波数(f1)の搬送波を変調し、空中を介して図8の変復調部112aに送信する。
【0058】
変復調部112の復調器31は、レートパルスによって変調された搬送波を受信し、復調して得られたレートパルスをパルサ13aに供給する。次いで、パルサ13aは、レートパルスの駆動によって発生する超音波振動子駆動パルスにより、超音波振動子1aを駆動して被検体103の所定方向(θx)に超音波パルス(送信超音波)を放射する。
【0059】
被検体103に放射された超音波の一部は、被検体103の臓器間の境界面あるいは組織にて反射し、反射した超音波(受信超音波)は超音波振動子1aによって受信されて電気信号に変換される。そして、この受信信号はプリアンプ14aにおいて増幅された後、変復調部112aの変調器32に供給される。変調器32は前記受信信号によって所定周波数(f1)の搬送波を変調した後、図3に示した超音波診断装置本体113aの変復調部41に対し空中を介して送信する。
【0060】
変復調部41の復調器63において受信され、復調された受信信号はBモード処理部42及びドプラモード処理部43に供給され、Mモード画像データの生成が行なわれる。即ち、Mモード画像データを収集する場合には、復調器63の出力はBモード処理部42の対数増幅器51、包絡線検波器52、更にはA/D変換器53に送られ、対数変換、包絡線検波、A/D変換がなされた後、画像データ記憶回路44に保存される。
【0061】
一方、組織ドプラ信号を用いてMモード画像データを収集する場合には、システム制御部46は前記所定方向(θx)に連続的に複数回の超音波送受信を行い、このとき得られる受信信号に対してFFT(Fast−Fourier−Transform)分析を行う。このとき得られる復調器63の出力はドプラモード処理部43のミキサ56−1、56−2及びLPF57−1、57−2を用いて直交位相検波され、更に、A/D変換器58−1,58−2にてデジタル信号に変換された後、ドプラ信号記憶回路59に保存される。次いで、ドプラ信号記憶回路59に保存された複数の受信信号データに対して、FFT分析器60は周波数スペクトラムを求め、演算器61は、FFT分析器60から出力される周波数スペクトラムに対して、その中心(組織や血流の平均速度)を算出する。そして、システム制御部46はその算出結果をMモード画像データとして画像データ記憶回路44に保存する。
【0062】
このようなMモード画像データの収集を継続的に行い、得られたMモード画像データは画像データ記憶回路44に順次保存されると共に、このMモード画像データは、必要に応じて表示部49のモニタ66に表示される。
【0063】
一方、システム制御部46は、画像データ記憶回路44に保存された前記Mモード画像データを、ネットワークを介して図1の第2の領域102に送信し、この第2の領域102に置かれた表示部114において表示される。従って、第2の領域102の医師や看護士104は、表示部114のモニタにリアルタイム表示されるMモード画像を観察することによって第1の領域101の被検体103の状態を常時監視することが可能となる。
【0064】
以上述べた本実施の形態によれば、小型軽量な超音波送受信部111aのみを被検体103に装着し、無線通信によって超音波受信信号を超音波診断装置本体113に供給することによって、被検体103に大きな負担を与えることなく、超音波画像データの長時間の継続的な収集と表示が可能となる。更に、この画像データを、ネットワークを介して他の場所に転送することによって、医師や看護士104は、複数の被検体103の超音波画像データの集中監視を行うことができる。また、本実施の形態において、被検体103は、自由に移動することが可能となるため、例えばトレッドミルのような心臓の負荷試験が容易となる。
【0065】
一方、本実施の形態の変形例においては、心臓の2次元画像による監視は不可能となるが、被検体103の心機能の定量的な把握が容易なMモード画像の長時間表示が容易となる。また、この方法では、超音波送受信部111aの構成が著しく簡単になるため、小型軽量化が更に容易となり、被検体103に与える負担を大幅に低減することが可能となる。
【0066】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態について図9乃至図12を用いて説明する。この第2の実施の形態の特徴は、位置センサを有した複数の超音波送受信部111bを被検体103に装着して得られる受信信号や超音波送受信部111bの位置情報を、無線手段によって超音波診断装置本体113bに送信して複数断面の画像データを生成し、更に、前記位置情報に基づいて複数断面の画像データの合成を行うことにある。
【0067】
図9は被検体103の胸部肋間106に2つの超音波送受信部111b−1及び111b−2を装着ベルト8によって並べて固定した場合を示しており、この超音波送受信部111b−1及び111b−2の各々には位置センサ6−1及び6−2が新たに取り付けられている。
【0068】
位置センサ6−1及び6−2は、被検者の体表に置かれた超音波送受信部111b−1及び111b−2の位置や角度あるいは走査断面の方向などを検出するものであり、種々の方式があるが検出精度や価格あるいはサイズの面から超音波センサあるいは磁気センサが実用化されているが、ここでは磁気センサを用いた方式を適用する。この場合被検体103の近傍には磁気を発する磁気発生器7が設置される。
【0069】
尚、超音波送受信部111b−1を構成する超音波振動子1の各素子は、例えば被検体103の体軸方向に対して直角の方向(図のX方向)に配列されており、一方、超音波送受信部111b−2の超音波振動子1は、被検体103の体軸方向(Y方向)に配列されている。即ち、超音波送受信部111b−1は心臓のほぼ短軸方向の超音波画像データを収集し、超音波送受信部111b−2は長軸方向の超音波画像データの収集を行う。図10(a)は、超音波送受信部111b−1及び111b−2によって得られる超音波画像データの断面を示し、図10(b)は、超音波送受信部111b−1によって得られる被検体103の心臓短軸画像を示す。また、図10(c)は超音波送受信部111b−2によって得られる心臓長軸画像を示している。
【0070】
そして、超音波送受信部111b−1及び111b−2によって得られる長軸画像データと短軸画像データは、超音波送受信部111b−1及び111b−2の位置センサ6−1及び6−2から得られる位置情報に基づいて、例えば図10(a)に示すように合成されて表示される。
【0071】
次に、この第2の実施の形態における超音波診断装置の構成と動作について図11及び図12を用いて説明する。尚、図11に示した超音波送受信部111bのブロック図及び図12に示した超音波診断装置本体113bのブロック図において、図2及び図3と同様の部分は同一符号で示し、その詳細な説明は省略する。即ち、図11の超音波送受信部111b及び変復調部112bの構成の、図2における超音波送受信部111及び変復調部112の構成との差異は、超音波送受信部111bに位置センサ6が取り付けられ、この位置センサ6の出力は、変復調部112bにおいて新たに設けられた変調器33に接続されていることである。そして変調器33において、位置センサ6の出力信号は変調器32の搬送波周波数(f1)とは異なる周波数(f2)の搬送波を変調する。尚、この超音波送受信部111bを装着した被検体103の周囲には磁気を発生する磁気発生器7が置かれている。
【0072】
一方、図12の超音波診断装置本体113bの構成と、図3における超音波診断装置本体113の構成との差異は、位置検出器47が変復調部41の復調器63とシステム制御部46の間に追加されていることであり、変復調部41の復調器63において復調された位置センサ6からの信号は位置検出器47に供給され、超音波送受信部111bの位置や傾きなどが検出され、検出された位置情報は画像データの付帯情報として画像データと共に画像データ記憶回路44に保存される。
【0073】
また、超音波診断装置本体113bには画像合成回路45が新たに設けられ、この画像合成回路45は、複数の超音波送受信部111bによって得られた複数の画像データと、これら超音波送受信部111bの位置情報を画像データ記憶回路44から読み出し、前記位置情報に基づいて複数枚の画像データを合成する。
【0074】
以上述べた構成の超音波診断装置を用いた画像データ収集において、操作者は、被検体103に複数個の超音波送受信部111bを装着する。そして、これらの超音波送受信部111bの位置や傾きなどの位置情報を検出する際に、超音波送受信部111bの位置センサ6は、磁気発生器7が発生した磁気を検出し、検出したセンサ出力を時系列信号に変換して変復調部112bの変調器33に供給する。変調器33は、このセンサ出力によって周波数f2の搬送波を変調して空中を介し、図12に示した変復調部41の復調器63に送る。次いで、復調器63ではこの入力信号に対して周波数f2の搬送波を用いて復調し、復調されたセンサ出力は位置検出器47に供給されて超音波送受信部111bの位置情報が検出される。
【0075】
一方、超音波画像データの収集に際しては、第1の実施の形態と同様にしてシステム制御部46より変復調部41の変調器62、及び変復調部112bの復調器31を介して超音波送受信部111bの走査制御部5に超音波走査のための走査制御信号が供給されて超音波の送受信が行なわれる。そして、得られたNチャンネルの受信信号は加算器4において加算合成され、変復調部112bの変調器32に送られる。変調器33では、周波数f1の搬送波をこの受信信号によって変調し、空中を介して図12に示した変復調部41の復調器63に送る。そして、復調器63において復調された受信信号は、Bモード処理部42あるいはドプラモード処理部43に供給されてBモード画像データあるいはドプラモード画像データが生成され、これらの画像データは画像データ記憶回路44に保存される。この場合、位置検出器47において検出された超音波送受信部111bの位置情報もシステム制御部46を介して画像データ記憶回路44に供給され、前記画像データの付帯情報として記憶される。
【0076】
以上は、1つの超音波送受信部111bについて述べたが、複数の超音波送受信部111bが被検体103に装着された場合においても超音波診断装置の構成に大きな変化は無い。即ち、複数の超音波送受信部111bの各々に対する超音波送受信用の搬送周波数f1と位置センサ用の搬送周波数f2を独立に設定すれば変復調部41が1つであっても複数の超音波送受信部111に対応可能である。
【0077】
このようにして、システム制御部46は、複数の超音波送受信部111bによって得られた画像データと位置情報を画像データ記憶回路44において保存したならば、画像合成回路45は、この画像データと位置情報を読み出し、前記位置情報に基づいて画像データの合成を行う。そして合成された画像データを必要に応じて表示部49のモニタ66に表示する。一方、システム制御部46は、この合成された画像データを、ネットワークを介して図1の第2の領域102に置かれた表示部114において表示する。
【0078】
尚、第2の領域102の表示部114には所望の画像データの他に、複数の超音波送受信部111bの位置情報を夫々表示することによって、超音波送受信部111bの初期設定位置に対しての誤差の有無についても同時にモニタリングを行う。そして、許容できない位置誤差が発生した場合には、超音波送受信部111bの被検体103に対する再装着を行なう。
【0079】
以上述べた本実施の形態によれば、位置センサ6を有した超音波送受信部111bを複数個、被検体103に装着することによって、被検体103における多断面の超音波画像データを合成することができるため、3次元的な情報を容易に観察することが可能となる。しかも、無線通信によって超音波受信信号を超音波診断装置本体113bに供給することによって、被検体103に大きな負担を与えることなく、3次元情報の長時間モニタリングを行うことが可能となり、また、第1の実施の形態と同様にして、この合成画像データをネットワークを介して他の場所に転送することによって、医師や看護士104は複数の被検体103に対して合成画像による集中監視を行うことができ、更に、心臓の負荷試験に適用することも可能である。
【0080】
ところで、心臓のように動きの速い臓器の観察においては、合成画像に用いられる複数の画像データの各々は、ほぼ同一時刻あるいは同時相において収集する必要がある。このような場合には、超音波診断装置本体113bにおける変復調部41の変調器63やBモード処理部42あるいはドプラモード処理部43は、複数の超音波送受信部111bの夫々に対応して複数チャンネル設けることによって実現できるが、時分割方式を導入することによってチャンネル数を低減してもよい。
【0081】
尚、図9及び図10の説明において、2つの超音波送受信部111b−1及び111b−2の超音波振動子1は、体軸方向、及び体軸と直角な方向に配列したが、超音波送受信部111bの数や配置位置あるいは超音波振動子1の配列方向は限定されるものではなく、従って、得られる超音波画像断面も心臓の長軸方向や短軸方向に限定されない。
【0082】
以上、本発明の実施の形態について述べてきたが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、変形して実施することが可能である。例えば、上記の第1の実施の形態及び第2の実施の形態においては、超音波送受信部111と変復調部112は独立のユニットによって構成したが、変復調部112は超音波送受信部111に含めてもよい。また、被検体103に装着する超音波送受信部111の構成は、図2あるいは図11に示したものに限定されない。例えば、被検体103の観察部位には超音波振動子1のみを装着し、超音波送信部2−1乃至2−N及び超音波受信部3−1乃至3−N、走査制御部5、加算器4は変復調部112と同一のユニットで構成し、被検体103の腰部などに装着してもよい。
【0083】
また、本実施の形態においてはBモード画像データやドプラモード画像データ、あるいはMモード画像データの収集と表示について述べたが、これらに限定されるものではなくなく、例えば、超音波連続波を用いた血流計測法(所謂連続波ドップラ法)によって得られる周波数スペクトラムのデータの収集あるいは表示であってもよい。更に、診断対象臓器として心臓を例に述べてきたが他の臓器であっても構わない。
【0084】
更に、超音波送受信部111の位置情報を検出するために、上記の実施の形態では磁気センサについて述べたが、超音波センサなど他の方式のセンサを用いてもよい。
【0085】
【発明の効果】
本発明によれば、小型軽量な超音波送受信部を被検体に装着し、無線通信によって超音波画像データ等の生成部と接続することができるため、超音波画像の長時間監視において被検体に与える負担を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態における超音波診断装置全体の概略構成を示す図。
【図2】同実施の形態における超音波送受信部の構成を示す図。
【図3】同実施の形態における超音波診断装置本体の構成を示す図。
【図4】同実施の形態における超音波送受信部の被検体への装着方法を示す図。
【図5】同実施の形態における超音波送受信部の装着位置と超音波走査断面を示す図。
【図6】同実施の形態における超音波走査のための制御信号の具体例を示す図。
【図7】同実施の形態における超音波画像の収集監視方法を示す図。
【図8】同実施の形態における超音波送受信部の変形例の構成を示す図。
【図9】本発明の第2の実施の形態における超音波送受信部の装着方法を示す図。
【図10】同実施の形態における超音波送受信部の装着位置と超音波走査断面を示す図。
【図11】同実施の形態における超音波送受信部の構成を示す図。
【図12】同実施の形態における超音波診断装置本体の構成を示す図。
【図13】従来の超音波診断装置の構成を示す図。
【符号の説明】
101…第1の領域
102…第2の領域
103…被検体
111…超音波送受信部
112…変復調部
113…超音波診断装置本体
114…表示部
Claims (16)
- 被検体に対して超音波の送受信を行う超音波送受信手段と、
前記超音波送受信手段によって得られた受信信号を無線通信する無線通信手段と、
この無線通信手段により、供給される前記受信信号に基づいて超音波画像データを生成する画像データ生成手段とを
備えたことを特徴とする超音波診断装置。 - 被検体内の複数の方向に対して順次超音波の送受信を行う超音波送受信手段と、
この超音波送受信手段における超音波送受信の方向を指示する走査方向指示手段と、
この走査方向指示手段から出力される指示信号を無線通信によって前記超音波送受信手段に供給する第1の無線通信手段と、
前記超音波送受信手段によって得られた受信信号を無線通信する第2の無線通信手段と、
この第2の無線通信手段により、供給される前記受信信号に基づいて超音波画像データを生成する画像データ生成手段とを
備えたことを特徴とする超音波診断装置。 - 被検体内の所定の方向に超音波の送受信を行う超音波送受信手段と、
この超音波送受信手段における超音波送信タイミングを指示する指示手段と、
この指示手段から出力される指示信号を無線通信によって前記超音波送受信手段に供給する第1の無線通信手段と、
前記超音波送受信手段によって得られた受信信号を無線通信する第2の無線通信手段と、
この第2の無線通信手段により、供給される前記受信信号に基づいて超音波データを生成するデータ生成手段とを
備えたことを特徴とする超音波診断装置。 - 被検体内の複数の方向に対して順次超音波の送受信を行う複数の超音波送受信手段と、
この複数の超音波送受信手段の各々における超音波送受信の方向を指示する走査方向指示手段と、
この走査方向指示手段から出力される指示信号を無線通信によって前記複数の超音波送受信手段に供給する複数の第1の無線通信手段と、
前記複数の超音波送受信手段によって得られる各々の受信信号を無線通信する複数の第2の無線通信手段と、
この第2の無線通信手段により、供給される前記受信信号に基づいて複数フレームの超音波画像データを生成する画像データ生成手段と、
この画像データ生成手段によって生成される複数フレームの画像データを合成する画像合成手段とを
備えたことを特徴とする超音波診断装置。 - 前記超音波送受信手段は、被検体の体表近傍において装着具を用いて固定されることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の超音波診断装置。
- 前記超音波送受信手段は、少なくとも超音波振動子と、この超音波振動子を駆動する駆動手段を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の超音波診断装置。
- 前記超音波送受信手段は、複数の超音波振動子と、この超音波振動子を駆動する駆動手段と、駆動手段における駆動タイミングを設定する送信遅延手段を備え、前記駆動手段による超音波振動子駆動タイミングは、前記走査方向指示手段の指示信号に基づいて前記送信遅延手段において設定されることを特徴とする請求項2又は請求項4に記載の超音波診断装置。
- 前記超音波送受信手段は、複数の超音波振動子及び受信遅延手段を備え、前記受信遅延手段は、前記超音波送受信手段によって得られた受信信号に対し、前記走査方向指示手段の指示信号に基づいて遅延時間を設定することを特徴とする請求項2又は請求項4に記載の超音波診断装置。
- 前記画像データ生成手段は、前記超音波送受信手段によって得られる受信信号に基づいて、Bモード画像データあるいはドプラモード画像データのうちの少なくともいづれかの画像データについて生成することを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項4に記載の超音波診断装置。
- 前記データ生成手段は、前記超音波送受信手段によって得られる受信信号に基づいて、Mモードデータあるいは連続波ドプラモードデータのうちの少なくともいづれかのデータについて生成することを特徴とする請求項3記載の超音波診断装置。
- 前記複数の超音波送受信手段の各々は位置センサを備え、前記画像合成手段は、第3の無線通信手段を介して前記位置センサから供給される前記複数の超音波送受信手段の位置情報に基づいて、前記複数フレームの画像データの合成を行うことを特徴とする請求項4記載の超音波診断装置。
- 前記位置センサは、磁気センサあるいは超音波センサのいづれかのセンサを用いることを特徴とする請求項11記載の超音波診断装置。
- 前記画像データ生成手段は、生成した画像データをネットワークを介して接続された表示部において表示することを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項4に記載の超音波診断装置。
- 被検体内の複数の方向に対して順次超音波の送受信を行う超音波送受信手段と、
この超音波送受信手段によって得られた受信信号を無線通信する無線通信手段と、
この無線通信手段により、空中を介して供給される前記受信信号に基づいて超音波画像データを生成する画像データ生成手段とを
備えたことを特徴とする超音波診断装置。 - 被検体内の所定の方向に超音波の送受信を行う超音波送受信手段と、
この超音波送受信手段によって得られた受信信号を無線通信する無線通信手段と、
この無線通信手段により、空中を介して供給される前記受信信号に基づいて超音波データを生成するデータ生成手段とを
備えたことを特徴とする超音波診断装置。 - 被検体内の複数の方向に対して順次超音波の送受信を行う複数の超音波送受信手段と、
この複数の超音波送受信手段によって得られる各々の受信信号を無線通信する複数の無線通信手段と、
この無線通信手段により、空中を介して供給される前記受信信号に基づいて複数フレームの超音波画像データを生成する画像データ生成手段と、
この画像データ生成手段によって生成される複数フレームの画像データを合成する画像合成手段とを
備えたことを特徴とする超音波診断装置。
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