JP2004327594A - 太陽光発電装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】太陽電池パネルの温度を確実に制御し、それにより発電効率を高く維持できる太陽光発電装置を提供すること、及び、エネルギーロスの少ない太陽光発電装置を提供すること。
【解決手段】太陽電池パネルの受光面の裏側にヒートパイプが配設されてなり、該ヒートパイプの液貯蔵部と蒸発部とが開閉弁を有する気体連結管と、液が流れる方向によって流路抵抗が異なるように形成された流路制御弁が設けられた液体供給管との、2本の管で連結されていることを特徴とする太陽光発電装置。
【選択図】図1
【解決手段】太陽電池パネルの受光面の裏側にヒートパイプが配設されてなり、該ヒートパイプの液貯蔵部と蒸発部とが開閉弁を有する気体連結管と、液が流れる方向によって流路抵抗が異なるように形成された流路制御弁が設けられた液体供給管との、2本の管で連結されていることを特徴とする太陽光発電装置。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、太陽電池パネル近傍に設置したヒートパイプにより太陽電池が効率的に作動する温度に制御を行う太陽光発電装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
太陽エネルギーを電気エネルギーに変換するため半導体による太陽電池が利用され、広く用いられるようになっている。
【0003】
現在最も普及しているシリコン系の太陽電池の出力は、日射量だけでなく電池の温度にも依存する。すなわち、その温度が上昇すると発電量が低下する性質がある。夏季には電池の温度は60℃以上になり、日射量が多いにもかかわらず出力はそれほど増加しない。この対策として、従来から太陽電池パネルを冷却し、発電量の低下を抑制すると共に、その耐久性を向上させることを目的として、次のような様々な提案がなされている。
【0004】
【特許文献1】特開平5−83881号
【特許文献2】特開平9−186353号
【特許文献3】特開2000−101116号
【特許文献4】特開2001−156323号
【0005】
特許文献1には、裏側に冷却水を通したパイプを取り付けた構造の太陽電池が提案されている。しかし、冷却水による熱除去効果はさほど大きくなく、真夏時には太陽電池の温度が50℃を超えて上昇するのを阻止することができない。
【0006】
太陽電池パネルを冷却するために、水等の蒸発潜熱を利用した、いわゆるヒートパイプを用いた装置も、上記特許文献2〜4に記載されているように公知である。一口にヒートパイプと言っても、用途により様々な形状、構造のものが存在する。ヒートパイプでは、特に熱媒体をどのようにして循環させるかが重要である。しかし、これらの文献に記載されているヒートパイプの構造は、太陽電池パネル冷却用として充分満足できるものではない。
【0007】
例えば、特許文献2には、太陽電池パネルの背面に設けたヒートパイプから放熱部材に熱を伝達しやすいようにした太陽電池モジュールが提案されている。しかし、この文献では、ヒートパイプの具体的な構造について記載されていない。
【0008】
特許文献3には、ヒートパイプをペルチエ冷却器で冷却する装置が開示されている。しかし、この文献で開示されているヒートパイプは、別の太陽電池パネルのエネルギーにより熱媒体を循環させる構造であるため、エネルギー効率の向上には繋がらない。
【0009】
特許文献4のヒートパイプは、ウィックと呼ばれる細管を用い、毛細管作用によりヒートパイプ作動室の底部に貯留されている一次冷却媒体としての熱媒体を上昇させる方法を用いているが、この方法では太陽電池パネルの温度が上昇して熱媒体の蒸発が進むと、毛細管作用により蒸発室に供給される熱媒体が追い付かず、太陽電池パネルが充分に冷却されない恐れがある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来提案されている技術における問題を解決することを目的としている。本発明は、太陽電池パネルの温度を確実に制御し、それにより発電効率を高く維持できる太陽光発電装置を提供することを目的とする。本発明の他の目的は、エネルギーロスの少ない太陽光発電装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、太陽電池パネルの受光面の裏側にヒートパイプが配設されてなり、該ヒートパイプは熱媒体が蒸発する蒸発部、熱媒体を移送する蒸気管、蒸気管により移送された熱媒体が凝縮する凝縮部、凝縮された熱媒体を移送する液体管、移送された熱媒体が貯液される液貯蔵部、更に液貯蔵部と蒸発部とが開閉弁を有する気体連結管と、液が流れる方向によって流路抵抗が異なるように形成された流路制御弁が設けられた液体供給管との、2本の管で連結されていることにより、ループ状に形成されていることを特徴とする太陽光発電装置である。
【0012】
液貯蔵部は、蒸発部より高い位置に設けられている。
【0013】
開閉弁は、電磁弁であることが好ましい。
【0014】
熱媒体は、アンモニア水溶液であることが好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の実施例を、図面に沿って説明する。図1は本発明の第1実施例を示す。図1において、1は太陽電池パネル、2はヒートパイプ、3は太陽電池パネルの表面の保護板、4は発電素子、5は充填剤、6はヒートパイプの蒸発部、7は蒸気管、8は凝縮部、9は液体管、10は液貯蔵部、11は気体連結管、12は液体供給管、13は開閉弁、14は液が流れる方向によって流路抵抗が異なるように形成された流路制御弁、15はインターコネクタである。
【0016】
本発明の太陽光発電装置は、図1に示したように、主として太陽電池パネル1とヒートパイプ2とから形成されている。まず、太陽電池パネルにつき説明する。
【0017】
本発明の太陽光発電装置における太陽電池パネルは、その一例を図1に示したように、例えば、外部表面を保護する保護板、発電素子、発電素子同士を電気的に結合するインターコネクタ等から形成されている。
【0018】
太陽電池パネルの表面保護板としては、透明性、耐衝撃性と耐傷付性が優れた透明な素材、例えば強化ガラス板等を用いることができる。
【0019】
太陽電池パネルの光電変換を行う発電素子としては、通常シリコンの材質の素子が使用される。このシリコンは、多結晶シリコンタイプでも単結晶シリコンタイプでもよい。
【0020】
充填剤は、太陽電池パネルを衝撃から保護すると同時にパネルに耐水性を付与する役割がある。このような充填剤としては、例えば透明性、耐衝撃性、耐オゾン性および耐候性に優れたエチレンビニルアセテート(EVA)や、ポリビニルブチラール(PVB)や、シリコーン樹脂などが用いられる。なかでも、作業性やコスト面で優れているEVAが好ましい。
【0021】
各発電素子間を、直列もしくは並列に接続するためのリード線は、インターコネクタと呼ばれる。インターコネクタとしては、銅、アルミニウム等の線を用いることができる。
【0022】
次にヒートパイプ部について説明する。本発明の太陽光発電装置では、特定構造のヒートパイプを用いる。該ヒートパイプは、図1に示したように、蒸発部、蒸気管、凝縮部、液体管、液貯蔵部を含む閉ループ状に形成され、更に液貯蔵部と蒸発部とが開閉弁を有する気体連結管と、液が流れる方向によって流路抵抗が異なるように形成された流路制御弁が設けられた液体供給管との、2本の管で連結されている。ヒートパイプの内部は熱媒体の液および蒸気が存在するようにされている。
【0023】
ヒートパイプの材質としては、機械的強度があり、かつ熱伝導率が高い材質、例えば、鉄、銅、アルミニウム、ステンレス等の金属を挙げることができる。
【0024】
ヒートパイプの蒸発部は、太陽電池パネルの受光面の裏側に設けられた、好ましくは箱状、筒状または半筒状の形状の構造物である。この蒸発部には熱媒体が貯液されている。太陽光で加熱された太陽電池パネルから伝達される熱を、熱媒体は顕熱もしくは蒸発潜熱として吸熱するため、蒸発部の温度は沸点以上の温度とならず、従って太陽電池パネルの温度を所定温度に制御することができる。
【0025】
本発明の太陽光発電装置で熱媒体として好ましく使用できる熱媒体は、ヒートパイプ内で20〜40℃に沸点を有する液体、例えば、アンモニア水等を用いることができる。アンモニア水の沸点は、濃度と圧力により変動するため、その組成は、目的、装置により調整することが好ましい。このような熱媒体をヒートパイプに封入しておくことにより、太陽光により太陽電池パネルが加熱され、それに伴って蒸発部周囲が加熱されて熱媒体が沸点を超える温度に達すると、熱媒体は蒸発し、その潜熱によって吸熱するので、太陽電池パネル1の温度上昇を抑制することができる。
【0026】
本発明で用いるヒートパイプ内の熱媒体の動きを、図2と図3を用いて説明する。図2において、蒸発部6で気化した熱媒体は、蒸気管7を経て凝縮部8に移送され、凝縮部で液化される。凝縮部では、海水、河川水、地下水等の低温源を活用する方法、あるいは、冷媒、例えば、冷却水を好ましくは向流に流すことにより、熱媒体を凝縮点以下の温度に冷却する。凝縮部は、熱媒体が冷却されやすいように、例えば、いくつかの細管を束ねた構造としていてもよい。凝縮部で冷却に用いた水は、温水として風呂、洗面、食器洗浄、あるいは融雪等に用いてもよい。
【0027】
凝縮部で液化された熱媒体は、液体管9を経て液貯蔵部10に到達する。液貯蔵部は熱媒体を一時的に貯蔵する役割をもつ。液貯蔵部では、熱媒体が逆流しないように、液体管の先端部が液貯蔵部の液面より高い位置とすることが好ましい。また、液貯蔵部に貯蔵された熱媒体を蒸発部に戻しやすいように液貯蔵部の高さは蒸発部のそれより高くしておく。液体管には熱媒体が液貯蔵部から凝縮部に逆流しないよう液が流れる方向によって流路抵抗が異なるように形成された流路制御弁14が設けられていてもよい。
【0028】
液貯蔵部10と蒸発部6とは気体連結管11と液体供給管12との2本の管で連結されている。気体連結管は液貯蔵部と蒸発部の気相同士を連結している。一方、液体供給管は液貯蔵部と蒸発部の液相同士を連結するよう構成されている。気体連結管には開閉弁が、液体供給管には液が流れる方向によって流路抵抗が異なるように形成された流路制御弁が設けられている。
【0029】
気体連結管11には開閉弁13が設けられており、弁の作用により液貯蔵部10と蒸発部6の気相部を連結させたり、遮断したりする。開閉弁としては、例えば電磁弁が好ましい。
【0030】
液体供給管12には液が流れる方向によって流路抵抗が異なるように形成された流路制御弁14が設けられており、液体は液貯蔵部から蒸発部にしか流れないようにされている。上記の作用をする弁としては、例えばチェック弁が知られている。
【0031】
本発明の装置では、開閉弁13の開閉動作により熱媒体を蒸発部に戻すことができる。この操作について説明する。図2に示したように、定常状態においては、開閉弁13は閉鎖されている。図2において、蒸発部に着目すると、太陽光で加熱された熱が太陽電池パネルからヒートパイプの蒸発部6に伝達されてくる。蒸発部6に貯蔵されている熱媒体の液は蒸発し、蒸気管7を通り、凝縮部8で液化する。液化した熱媒体は液体管9を経由して、液貯蔵部10に到達し、この部分で貯められる。このとき気体連結管11の開閉弁13は「閉」にしておく。蒸発部では熱媒体が気化されているため、内部の圧力が液貯蔵部の圧力より高い。従って、液貯蔵部の熱媒体の液体は蒸発部の方には流れない。蒸発部の熱媒体の液体もチェック弁により液貯蔵部には流れない。
【0032】
蒸発部の熱媒体の液体の量が少なくなってきたら、図3のように開閉弁13を「開」にする。その結果、高圧である蒸発部の蒸気が気体連結管を経て液貯蔵部に到達し、液貯蔵部を加圧する。このとき液貯蔵部を蒸発部より高い位置に置くことにより液貯蔵部に貯められていた熱媒体は液体供給管12を経由して蒸発部に流入する。
【0033】
かくして、開閉弁として用いる電磁弁を作動させるわずかの動力のみで熱媒体を蒸発部に戻すことができ、上述したヒートパイプ内での熱媒体の循環が再び始まる。このサイクルを繰り返す。
【0034】
上記一連のサイクルの時間は蒸発部、蒸気管のサイズ、熱媒体の封入量、蒸発潜熱等により異なるが、好ましくは開閉弁13を「閉」にした状態で30分〜2時間、開閉弁13を「開」にした状態で1〜10分間程度とすることが好ましい。
【0035】
なお、図1〜図3では太陽電池パネルが1個の場合につき説明したが、通常太陽光発電装置は複数個の太陽電池パネルから構成されている。このような場合、ヒートパイプの蒸発部を、図4、図5に示したように互いに連結された構造とすればよい。高さが同じ蒸発部同士を連結する場合、図4のように補助液体供給管16と補助気体連結管17とで連結すると、熱媒体の液面が均一でかつ蒸発部の蒸気の圧力が均一になるため好ましい。
【0036】
一方、高さが異なる蒸発部同士を連結する場合、図5のように補助液体供給管16として、上部の蒸発部の液オーバーフロー面と下部の蒸発部の頭頂部とを連結し、補助気体連結管17として、蒸発部の頭頂部と蒸気管とを連結すると、各熱媒体の液面が均一でかつ蒸発部の蒸気の圧力が均一になるため好ましい。
【0037】
各太陽電池パネル1の表面に太陽光が照射されると、透明な表面の保護板3と充填剤5を透過した太陽光エネルギーは各発電素子4によって受光される。そして、発電素子4によって受光された太陽光エネルギーは電気エネルギーに変換され、電圧が発生する。この電圧を電流として取出し、蓄電池に貯めるか、そのまま使用する。
【0038】
【発明の効果】
上記のように、太陽電池パネルの冷却を特定の構造のヒートパイプにより行うことができるため、ヒートパイプが有する高い熱伝達特性を用いて、効率よい冷却を行うことができる。また、ヒートパイプ内の上記蒸発温度を、太陽電池パネルが最も発電効率の良い温度となるように設定することが出来るため、発電効率が向上する。また、熱媒体の循環を、開閉弁として用いる電磁弁を作動させるわずかの動力のみで行うことができるため、エネルギー効率の高いシステムとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の太陽光発電装置の一例を示した概要図である。
1 太陽電池パネル
2 ヒートパイプ
4 発電素子
6 蒸発部
7 蒸気管
8 凝縮部
9 液体管
10 液貯蔵部
11 気体連結管
12 液体供給管
【図2】図2は、本発明の太陽光発電装置の1実施例において、弁の働きによるヒートパイプ内の熱媒体の動きを説明するための模式図である。
【図3】図3は、本発明の太陽光発電装置の1実施例において、弁の働きによるヒートパイプ内の熱媒体の動きを説明するための模式図である。
【図4】図4は、複数の蒸発部を連結した場合の補助液体供給管と補助気体連結管の位置関係を示した模式図である。
【図5】図5は、複数の蒸発部を連結した場合の補助液体供給管と補助気体連結管の位置関係を示した模式図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、太陽電池パネル近傍に設置したヒートパイプにより太陽電池が効率的に作動する温度に制御を行う太陽光発電装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
太陽エネルギーを電気エネルギーに変換するため半導体による太陽電池が利用され、広く用いられるようになっている。
【0003】
現在最も普及しているシリコン系の太陽電池の出力は、日射量だけでなく電池の温度にも依存する。すなわち、その温度が上昇すると発電量が低下する性質がある。夏季には電池の温度は60℃以上になり、日射量が多いにもかかわらず出力はそれほど増加しない。この対策として、従来から太陽電池パネルを冷却し、発電量の低下を抑制すると共に、その耐久性を向上させることを目的として、次のような様々な提案がなされている。
【0004】
【特許文献1】特開平5−83881号
【特許文献2】特開平9−186353号
【特許文献3】特開2000−101116号
【特許文献4】特開2001−156323号
【0005】
特許文献1には、裏側に冷却水を通したパイプを取り付けた構造の太陽電池が提案されている。しかし、冷却水による熱除去効果はさほど大きくなく、真夏時には太陽電池の温度が50℃を超えて上昇するのを阻止することができない。
【0006】
太陽電池パネルを冷却するために、水等の蒸発潜熱を利用した、いわゆるヒートパイプを用いた装置も、上記特許文献2〜4に記載されているように公知である。一口にヒートパイプと言っても、用途により様々な形状、構造のものが存在する。ヒートパイプでは、特に熱媒体をどのようにして循環させるかが重要である。しかし、これらの文献に記載されているヒートパイプの構造は、太陽電池パネル冷却用として充分満足できるものではない。
【0007】
例えば、特許文献2には、太陽電池パネルの背面に設けたヒートパイプから放熱部材に熱を伝達しやすいようにした太陽電池モジュールが提案されている。しかし、この文献では、ヒートパイプの具体的な構造について記載されていない。
【0008】
特許文献3には、ヒートパイプをペルチエ冷却器で冷却する装置が開示されている。しかし、この文献で開示されているヒートパイプは、別の太陽電池パネルのエネルギーにより熱媒体を循環させる構造であるため、エネルギー効率の向上には繋がらない。
【0009】
特許文献4のヒートパイプは、ウィックと呼ばれる細管を用い、毛細管作用によりヒートパイプ作動室の底部に貯留されている一次冷却媒体としての熱媒体を上昇させる方法を用いているが、この方法では太陽電池パネルの温度が上昇して熱媒体の蒸発が進むと、毛細管作用により蒸発室に供給される熱媒体が追い付かず、太陽電池パネルが充分に冷却されない恐れがある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来提案されている技術における問題を解決することを目的としている。本発明は、太陽電池パネルの温度を確実に制御し、それにより発電効率を高く維持できる太陽光発電装置を提供することを目的とする。本発明の他の目的は、エネルギーロスの少ない太陽光発電装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、太陽電池パネルの受光面の裏側にヒートパイプが配設されてなり、該ヒートパイプは熱媒体が蒸発する蒸発部、熱媒体を移送する蒸気管、蒸気管により移送された熱媒体が凝縮する凝縮部、凝縮された熱媒体を移送する液体管、移送された熱媒体が貯液される液貯蔵部、更に液貯蔵部と蒸発部とが開閉弁を有する気体連結管と、液が流れる方向によって流路抵抗が異なるように形成された流路制御弁が設けられた液体供給管との、2本の管で連結されていることにより、ループ状に形成されていることを特徴とする太陽光発電装置である。
【0012】
液貯蔵部は、蒸発部より高い位置に設けられている。
【0013】
開閉弁は、電磁弁であることが好ましい。
【0014】
熱媒体は、アンモニア水溶液であることが好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の実施例を、図面に沿って説明する。図1は本発明の第1実施例を示す。図1において、1は太陽電池パネル、2はヒートパイプ、3は太陽電池パネルの表面の保護板、4は発電素子、5は充填剤、6はヒートパイプの蒸発部、7は蒸気管、8は凝縮部、9は液体管、10は液貯蔵部、11は気体連結管、12は液体供給管、13は開閉弁、14は液が流れる方向によって流路抵抗が異なるように形成された流路制御弁、15はインターコネクタである。
【0016】
本発明の太陽光発電装置は、図1に示したように、主として太陽電池パネル1とヒートパイプ2とから形成されている。まず、太陽電池パネルにつき説明する。
【0017】
本発明の太陽光発電装置における太陽電池パネルは、その一例を図1に示したように、例えば、外部表面を保護する保護板、発電素子、発電素子同士を電気的に結合するインターコネクタ等から形成されている。
【0018】
太陽電池パネルの表面保護板としては、透明性、耐衝撃性と耐傷付性が優れた透明な素材、例えば強化ガラス板等を用いることができる。
【0019】
太陽電池パネルの光電変換を行う発電素子としては、通常シリコンの材質の素子が使用される。このシリコンは、多結晶シリコンタイプでも単結晶シリコンタイプでもよい。
【0020】
充填剤は、太陽電池パネルを衝撃から保護すると同時にパネルに耐水性を付与する役割がある。このような充填剤としては、例えば透明性、耐衝撃性、耐オゾン性および耐候性に優れたエチレンビニルアセテート(EVA)や、ポリビニルブチラール(PVB)や、シリコーン樹脂などが用いられる。なかでも、作業性やコスト面で優れているEVAが好ましい。
【0021】
各発電素子間を、直列もしくは並列に接続するためのリード線は、インターコネクタと呼ばれる。インターコネクタとしては、銅、アルミニウム等の線を用いることができる。
【0022】
次にヒートパイプ部について説明する。本発明の太陽光発電装置では、特定構造のヒートパイプを用いる。該ヒートパイプは、図1に示したように、蒸発部、蒸気管、凝縮部、液体管、液貯蔵部を含む閉ループ状に形成され、更に液貯蔵部と蒸発部とが開閉弁を有する気体連結管と、液が流れる方向によって流路抵抗が異なるように形成された流路制御弁が設けられた液体供給管との、2本の管で連結されている。ヒートパイプの内部は熱媒体の液および蒸気が存在するようにされている。
【0023】
ヒートパイプの材質としては、機械的強度があり、かつ熱伝導率が高い材質、例えば、鉄、銅、アルミニウム、ステンレス等の金属を挙げることができる。
【0024】
ヒートパイプの蒸発部は、太陽電池パネルの受光面の裏側に設けられた、好ましくは箱状、筒状または半筒状の形状の構造物である。この蒸発部には熱媒体が貯液されている。太陽光で加熱された太陽電池パネルから伝達される熱を、熱媒体は顕熱もしくは蒸発潜熱として吸熱するため、蒸発部の温度は沸点以上の温度とならず、従って太陽電池パネルの温度を所定温度に制御することができる。
【0025】
本発明の太陽光発電装置で熱媒体として好ましく使用できる熱媒体は、ヒートパイプ内で20〜40℃に沸点を有する液体、例えば、アンモニア水等を用いることができる。アンモニア水の沸点は、濃度と圧力により変動するため、その組成は、目的、装置により調整することが好ましい。このような熱媒体をヒートパイプに封入しておくことにより、太陽光により太陽電池パネルが加熱され、それに伴って蒸発部周囲が加熱されて熱媒体が沸点を超える温度に達すると、熱媒体は蒸発し、その潜熱によって吸熱するので、太陽電池パネル1の温度上昇を抑制することができる。
【0026】
本発明で用いるヒートパイプ内の熱媒体の動きを、図2と図3を用いて説明する。図2において、蒸発部6で気化した熱媒体は、蒸気管7を経て凝縮部8に移送され、凝縮部で液化される。凝縮部では、海水、河川水、地下水等の低温源を活用する方法、あるいは、冷媒、例えば、冷却水を好ましくは向流に流すことにより、熱媒体を凝縮点以下の温度に冷却する。凝縮部は、熱媒体が冷却されやすいように、例えば、いくつかの細管を束ねた構造としていてもよい。凝縮部で冷却に用いた水は、温水として風呂、洗面、食器洗浄、あるいは融雪等に用いてもよい。
【0027】
凝縮部で液化された熱媒体は、液体管9を経て液貯蔵部10に到達する。液貯蔵部は熱媒体を一時的に貯蔵する役割をもつ。液貯蔵部では、熱媒体が逆流しないように、液体管の先端部が液貯蔵部の液面より高い位置とすることが好ましい。また、液貯蔵部に貯蔵された熱媒体を蒸発部に戻しやすいように液貯蔵部の高さは蒸発部のそれより高くしておく。液体管には熱媒体が液貯蔵部から凝縮部に逆流しないよう液が流れる方向によって流路抵抗が異なるように形成された流路制御弁14が設けられていてもよい。
【0028】
液貯蔵部10と蒸発部6とは気体連結管11と液体供給管12との2本の管で連結されている。気体連結管は液貯蔵部と蒸発部の気相同士を連結している。一方、液体供給管は液貯蔵部と蒸発部の液相同士を連結するよう構成されている。気体連結管には開閉弁が、液体供給管には液が流れる方向によって流路抵抗が異なるように形成された流路制御弁が設けられている。
【0029】
気体連結管11には開閉弁13が設けられており、弁の作用により液貯蔵部10と蒸発部6の気相部を連結させたり、遮断したりする。開閉弁としては、例えば電磁弁が好ましい。
【0030】
液体供給管12には液が流れる方向によって流路抵抗が異なるように形成された流路制御弁14が設けられており、液体は液貯蔵部から蒸発部にしか流れないようにされている。上記の作用をする弁としては、例えばチェック弁が知られている。
【0031】
本発明の装置では、開閉弁13の開閉動作により熱媒体を蒸発部に戻すことができる。この操作について説明する。図2に示したように、定常状態においては、開閉弁13は閉鎖されている。図2において、蒸発部に着目すると、太陽光で加熱された熱が太陽電池パネルからヒートパイプの蒸発部6に伝達されてくる。蒸発部6に貯蔵されている熱媒体の液は蒸発し、蒸気管7を通り、凝縮部8で液化する。液化した熱媒体は液体管9を経由して、液貯蔵部10に到達し、この部分で貯められる。このとき気体連結管11の開閉弁13は「閉」にしておく。蒸発部では熱媒体が気化されているため、内部の圧力が液貯蔵部の圧力より高い。従って、液貯蔵部の熱媒体の液体は蒸発部の方には流れない。蒸発部の熱媒体の液体もチェック弁により液貯蔵部には流れない。
【0032】
蒸発部の熱媒体の液体の量が少なくなってきたら、図3のように開閉弁13を「開」にする。その結果、高圧である蒸発部の蒸気が気体連結管を経て液貯蔵部に到達し、液貯蔵部を加圧する。このとき液貯蔵部を蒸発部より高い位置に置くことにより液貯蔵部に貯められていた熱媒体は液体供給管12を経由して蒸発部に流入する。
【0033】
かくして、開閉弁として用いる電磁弁を作動させるわずかの動力のみで熱媒体を蒸発部に戻すことができ、上述したヒートパイプ内での熱媒体の循環が再び始まる。このサイクルを繰り返す。
【0034】
上記一連のサイクルの時間は蒸発部、蒸気管のサイズ、熱媒体の封入量、蒸発潜熱等により異なるが、好ましくは開閉弁13を「閉」にした状態で30分〜2時間、開閉弁13を「開」にした状態で1〜10分間程度とすることが好ましい。
【0035】
なお、図1〜図3では太陽電池パネルが1個の場合につき説明したが、通常太陽光発電装置は複数個の太陽電池パネルから構成されている。このような場合、ヒートパイプの蒸発部を、図4、図5に示したように互いに連結された構造とすればよい。高さが同じ蒸発部同士を連結する場合、図4のように補助液体供給管16と補助気体連結管17とで連結すると、熱媒体の液面が均一でかつ蒸発部の蒸気の圧力が均一になるため好ましい。
【0036】
一方、高さが異なる蒸発部同士を連結する場合、図5のように補助液体供給管16として、上部の蒸発部の液オーバーフロー面と下部の蒸発部の頭頂部とを連結し、補助気体連結管17として、蒸発部の頭頂部と蒸気管とを連結すると、各熱媒体の液面が均一でかつ蒸発部の蒸気の圧力が均一になるため好ましい。
【0037】
各太陽電池パネル1の表面に太陽光が照射されると、透明な表面の保護板3と充填剤5を透過した太陽光エネルギーは各発電素子4によって受光される。そして、発電素子4によって受光された太陽光エネルギーは電気エネルギーに変換され、電圧が発生する。この電圧を電流として取出し、蓄電池に貯めるか、そのまま使用する。
【0038】
【発明の効果】
上記のように、太陽電池パネルの冷却を特定の構造のヒートパイプにより行うことができるため、ヒートパイプが有する高い熱伝達特性を用いて、効率よい冷却を行うことができる。また、ヒートパイプ内の上記蒸発温度を、太陽電池パネルが最も発電効率の良い温度となるように設定することが出来るため、発電効率が向上する。また、熱媒体の循環を、開閉弁として用いる電磁弁を作動させるわずかの動力のみで行うことができるため、エネルギー効率の高いシステムとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の太陽光発電装置の一例を示した概要図である。
1 太陽電池パネル
2 ヒートパイプ
4 発電素子
6 蒸発部
7 蒸気管
8 凝縮部
9 液体管
10 液貯蔵部
11 気体連結管
12 液体供給管
【図2】図2は、本発明の太陽光発電装置の1実施例において、弁の働きによるヒートパイプ内の熱媒体の動きを説明するための模式図である。
【図3】図3は、本発明の太陽光発電装置の1実施例において、弁の働きによるヒートパイプ内の熱媒体の動きを説明するための模式図である。
【図4】図4は、複数の蒸発部を連結した場合の補助液体供給管と補助気体連結管の位置関係を示した模式図である。
【図5】図5は、複数の蒸発部を連結した場合の補助液体供給管と補助気体連結管の位置関係を示した模式図である。
Claims (4)
- 太陽電池パネルの受光面の裏側にヒートパイプが配設されてなり、該ヒートパイプは、熱媒体が蒸発する蒸発部、熱媒体を移送する蒸気管、蒸気管により移送された熱媒体が凝縮する凝縮部、凝縮された熱媒体を移送する液体管、移送された熱媒体が貯液される液貯蔵部、更に液貯蔵部と蒸発部とが開閉弁を有する気体連結管と、液が流れる方向によって流路抵抗が異なるように形成された流路制御弁が設けられた液体供給管との2本の管で連結されていることにより、ループ状に形成されていることを特徴とする太陽光発電装置。
- 液貯蔵部が、蒸発部より高い位置に設けられていることを特徴とする請求項1記載の太陽光発電装置。
- 開閉弁が、電磁弁であることを特徴とする請求項1〜2記載の太陽光発電装置。
- 熱媒体が、アンモニア水溶液であることを特徴とする請求項1〜3記載の太陽光発電装置。
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- 2003-04-23 JP JP2003118376A patent/JP2004327594A/ja active Pending
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