【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気化学反応によって電気エネルギを得る固体高分子型燃料電池の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池は、電気化学反応による生成物が原理的に水であり、地球環境への悪影響がほとんど無いクリーンな発電システムである。特に、固体高分子型燃料電池は、他の燃料電池と比較して低温で動作することから、自動車等の移動体用の動力源として期待されている。
【0003】
固体高分子型燃料電池は、図5に示すように、プロトン伝導性を有する固体高分子製の電解質膜Aと、酸素電極(カソード)B及び水素電極(アノード)Cを備えている。酸素電極B及び水素電極Cは、撥水性ポリマーを含浸させたカーボンクロスやカーボンペーパー等のポーラスカーボンから成る各々のガス拡散層Ba,Ca、カーボン層Bb,Cb、触媒層Bc,Ccを積層した構成をなしている。
【0004】
ガス拡散層Ba,Caは、カーボン層Bb,Cbを通して触媒層Bc,Ccに反応ガスを供給すると共に、触媒層Bc,Ccで発生した電荷を集電する。一方、触媒層Bc,Ccは、白金等の触媒を担持させ且つ電解質層と同種又は異種のイオン交換樹脂で被覆したカーボン粒子、プロトン伝導性を有するポリマー及び撥水性を有するポリマー等の材料で構成してあり、カーボン粒子の二次粒子間に形成された微小な空隙部が反応ガスの拡散流路として機能する。
【0005】
上記固体高分子型燃料電池は、電解質膜Aと両電極B,Cとを相互に対向させた状態でホットプレスにより接合して膜と電極との接合体(膜電極(MEA:Membrane Electrode Assembly))を形成した後、この膜電極とセパレータDa,Dbとを交互に積層して製造される(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
この固体高分子型燃料電池において、一方のセパレータDaに設けた酸素ガス流路Eを通して酸素電極Bに酸素ガスを供給すると共に、他方のセパレータDbに設けた水素ガス流路Fを通して水素電極Cに水素ガスを供給するようになっており、この反応ガスの供給により、次式(1),(2)に示す電気化学的反応を生じさせて電子を発生させ、この電子を電極から外部回路に取り出すことによって、電気エネルギを発生するようになっている。
アノード反応(水素電極):H2→2H+ +2e− (1)
カソード反応(酸素電極):2H++2e−+(1/2)O2 →H2 (2)
【0007】
【特許文献1】
特開平5−190184号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記した固体高分子型燃料電池において、反応生成水(式(1)の反応で発生した水)の電極外への排出が円滑になされないと、反応生成水が電極内に滞留して反応ガスの拡散を阻害してしまい、すなわち、フラッディングを引き起こしてしまい、電池性能に悪影響を与え兼ねないという問題を有していた。
【0009】
また、上記したフラッディング現象を抑制するために、電極の面内の撥水性に分布を設ける手段や、異なるEW値を有するポリマーを導入する手段を講じた場合には、機能の再現性が失われたり、製造工数が増加してしまったりするという問題があり、これらの問題を解決することが従来の課題となっていた。
【0010】
【発明の目的】
本発明は、上記した従来の課題に着目してなされたもので、機能に再現性があるのは勿論のこと、構造の簡略化を図ったうえで、電極反応による生成水を円滑に排出することができ、その結果、電極内におけるフラッディングの発生を抑制することが可能である固体高分子型燃料電池を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、触媒層,カーボン層及びガス拡散層を積層して成る電極と、この電極の触媒層と接合する固体高分子電解質膜と、上記電極のガス拡散層との間で複数のガス流路を形成するセパレータを備えた固体高分子型燃料電池において、上記電極の触媒層,カーボン層及びガス拡散層のうちの少なくとも一つの層に、上記セパレータ側に向けて開口する排水用溝を設けた構成としている。
【0012】
本発明では、電極内の反応生成水を電極の触媒層,カーボン層及びガス拡散層のうちの少なくとも一つの層に設けた排水用溝を介して電極外に排出し得ることから、電極内におけるフラッディングの発生が抑えられることとなる。
【0013】
【発明の効果】
本発明では、上記した構成としているので、機能の再現性を有しているのはもとより、排水用溝を通して電極内の反応生成水を電極外に排出することができ、したがって、電極内においてフラッディング現象が生じるのを抑制することが可能であり、加えて、製造の容易化を実現することができるという極めて優れた効果がもたらされる。
【0014】
【発明の実施の形態】
上記セパレータ側に向けて開口する排水用溝をセパレータのガス流路の延長上に設けると、反応ガスが多い箇所において反応界面領域が減ることになることから、排水用溝はセパレータのガス流路間に位置するリブの延長上に配置することが望ましい。
【0015】
また、排水用溝の断面形状は排水性の良否に係わるが、開口側を底部側よりも広くした断面形状、例えば、断面三角形状の排水用溝とした場合には、排水性のみならずガス拡散性の向上も果たせることから、排水用溝のセパレータ側の溝幅を固体高分子電解質膜側の溝幅よりも広くすることが望ましい。
【0016】
さらに、固体高分子電解質膜に対して電極の触媒層が全域にわたって接触していると、触媒層における面方向の電気伝導性を確保することができ、且つプロトンの移動媒体である電解質膜を有効に利用することができるので、固体高分子電解質膜の表面全体を電極の触媒層で被覆することが望ましい。
【0017】
さらにまた、隣接する排水用溝間における開口側の間隔をセパレータのガス流路の路幅と同じ乃至広くすると、ガスの供給量が多い箇所において反応に必要な三相界面を多く確保することができる。また、ガス流路間のリブにおいては、ガス供給量がガス流路に相当する個所と比較して少なく、この箇所に排水用溝を形成すれば、電極内のガスの拡散性を向上させることが可能となる。
【0018】
したがって、セパレータのガス流路の路幅をA、ガス流路間に位置するリブの幅をB、隣接する排水用溝間における開口側の間隔をCとした場合に、A≦C≦A+Bの条件を満たすようになすことが望ましい。
【0019】
さらにまた、本発明において、電極の反応を進行させるために、触媒担持カーボン,プロトン伝導性高分子電解質粒子及び撥水性部材から成っているものを電極の触媒層とすると共に、カーボン紛体と撥水性部材、又はカーボン紛体と親水性部材から成っているものを電極のカーボン層とすることが望ましい。
【0020】
さらにまた、本発明において、反応界面へのガス供給及び反応に必要な電子の移動を行えるようにするために、電極のガス拡散層には、ガス透過性及び電気伝導性の両方の性質を有する物質を用いることが望ましく、このガス透過性及び電気伝導性の両方の性質を有する物質としては、例えば、カーボンペーパーやカーボンクロスや金属メッシュなどを採用することができ、とくにカーボンペーパーを採用することが好ましい。
【0021】
さらにまた、本発明において、プロトン移動を進行させるために、プロトン伝導性を有する固体高分子電解質から固体高分子電解質膜を形成することが望ましく、固体高分子電解質としては、例えば、スルホン酸基を有するパーフルオロカーボン重合体を採用することができる。
【0022】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0023】
[実施例1]
図1に部分的に示すように、この固体高分子型燃料電池1は、触媒層2,カーボン層3及びガス拡散層4を積層して成るカソード(電極)5と、このカソード5と同じく触媒層,カーボン層及びガス拡散層を積層して成るアノード(電極)と、これらのカソード5及びアノードの間に位置して各々の触媒層2で表面全体が被覆された固体高分子電解質膜6と、上記カソード5及びアノードの各ガス拡散層4との間で複数のガス流路7aをそれぞれ形成するセパレータ7を備えており、カソード5の触媒層2のみに、セパレータ7側に向けて開口する排水用溝2aを設けた構成をなしている(アノード及びこのアノードに接合するセパレータの図示は省略する)。
【0024】
この場合、図2に示すように、排水用溝2aは、セパレータ7のガス流路7a間に位置するリブ7bの延長上に配置してあって、そのセパレータ7側の溝幅を固体高分子電解質膜6側の溝幅よりも広くしている。そして、セパレータ7のガス流路7aの路幅をA、ガス流路7a,7a間に位置するリブ7bの幅をB、隣接する排水用溝2a,2a間における開口側の間隔をCとした場合に、A≦C≦A+Bの条件を満たすように、各寸法を設定している。
【0025】
上記固体高分子型燃料電池1の燃料電池単セルの作製にあたっては、まず、カソード5側の触媒インクを作成した。この触媒インクは、50質量%Pt担持カーボン粉末1重量に対して、純水を4重量、5重量%ナフィオン溶液(デュポン社製登録商標)を8重量、イソプロピルアルコールを1.5重量、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粉末を0.2重量混合して調製した。なお、アノード側の触媒インクにはポリテトラフルオロエチレン粉末を混入しなかった。
【0026】
上記のようにして調製したカソード5側の触媒インクを基材上にドクターブレード法又はスクリーン印刷法によって塗布した。基材には厚さ0.2mmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用いた。
【0027】
この場合、触媒層2内に排水用溝2aを設けることから、フィルムに触媒層2内の排水用溝2aの形状に対応する突起を設けた。また、このフィルムの突起と同じ形状の突起を有する厚さ0.15mmのステンレスプレートを作製し、このプレート上にフィルムを載せて、そのフィルム上に触媒インクを塗布し、室温で乾燥させることで、カソード5側の触媒層2を形成した。乾燥後の触媒層2の厚みは50μmであった。
【0028】
上記触媒層2とナフィオン膜とが互いに接するようにして触媒層2を付けたフィルムをナフィオン膜(デュポン社製登録商標)上に配置し、これらをホットプレスにより一体化することで、触媒層2と電解質膜6との接合体を作製した。ホットプレスは、接合温度100℃、接合圧力1MPa、接合時間2分で行った。
【0029】
次に、カーボン層3のインクを調製した。カーボン層3のインクは、カーボン粉末1重量とPTFE粉末1重量とを混合し、粉砕機により攪拌・粉砕した後、純水3重量とエタノール3重量とを混合することで調製した。そして、撥水処理を施したガス拡散層4上に上記インクをドクターブレード法又はスクリーン印刷法により塗布し、この塗布後において室温で乾燥させることによりカーボン層3を形成した。
【0030】
次いで、アノード側の触媒層,カーボン層,ガス拡散層及び接合体を作製した。この際、ガス拡散層上に上記手法によりカーボン層を形成した。このカーボン層上にアノード側の触媒インクをドクターブレード法又はスクリーン印刷法により塗布し、室温で乾燥させた。
【0031】
そして、上記カソード5側の触媒層2とカーボン層3とが接するようにして触媒層2と電解質膜6との接合体及びカーボン層3が塗布されたガス拡散層4をそれぞれ配置すると共に、上記電解質膜6とアノード側の触媒層とが接するように配置し、これらをホットプレスにより一体化することで、電極接合体を作製した。ホットプレスは、接合温度100℃、接合圧力1MPa、接合時間2分で行った。
【0032】
[実施例2]
この実施例の固体高分子型燃料電池は、アノード側の触媒層のみに、セパレータ側に向けて開口する排出用溝を設けた構成をなしており、他の構成及び作成要領は上記実施例1の固体高分子型燃料電池1と同じである。
【0033】
[実施例3]
この実施例の固体高分子型燃料電池は、カソード5側の触媒層2及びアノード側の触媒層の双方に、セパレータ7側に向けて開口する排出用溝2aを設けた構成をなしており、他の構成及び作成要領は上記実施例1の固体高分子型燃料電池1と同じである。
【0034】
[実施例4]
図3に部分的に示すように、この固体高分子型燃料電池11では、カソード15側のカーボン層13のみに排水用溝13aを形成しており、触媒インクや、カーボン層インクの調製を含めた他の構成は上記実施例1の固体高分子型燃料電池1と同じである。
【0035】
上記固体高分子型燃料電池11の燃料電池単セルの作製にあたっては、まず、実施例1と同様の手法により、排水用溝を設けていないアノード側の触媒層及びカソード5側の触媒層12の双方をナフィオン膜上に形成した。
【0036】
次いで、PETフィルム上にカーボン層インクを塗布し、そして乾燥させることでカーボン層13を作製した。この際、塗布方法及び乾燥条件は実施例1と同様である。
【0037】
次いで、このフィルム上に形成したカーボン層13をホットプレスによりカソード15側の触媒層12上に転写した。ホットプレスは、接合温度100℃、接合圧力1MPa、接合時間2分で行った。また、アノード側のカーボン層の形成方法及び電極接合体の作成要領も実施例1と同様である。
【0038】
[実施例5]
この実施例の固体高分子型燃料電池は、アノード側のカーボン層のみに、セパレータ側に向けて開口する排出用溝を設けた構成をなしており、他の構成及び作成要領は上記実施例4の固体高分子型燃料電池11と同じである。
【0039】
[実施例6]
この実施例の固体高分子型燃料電池は、カソード15側のカーボン層13及びアノード側のカーボン層の双方に、セパレータ7側に向けて開口する排出用溝13aを設けた構成をなしており、他の構成及び作成要領は上記実施例4の固体高分子型燃料電池11と同じである。
【0040】
[実施例7]
図4に部分的に示すように、この固体高分子型燃料電池21では、カソード25側のガス拡散層24のみに排水用溝24aを形成している。この場合、ガス拡散層24にはカーボンペーパーを用いており、このカーボンペーパーを切削することにより排水用溝24aを形成した。なお、この排水用溝24aは、切削法以外の手法によって形成しても差し支えない。
【0041】
上記固体高分子型燃料電池21の燃料電池単セルに用いる触媒インク及びカーボン層インクは上記実施例1と同じであり、その作製に際しては、まず、PETフィルム上にカーボン層、触媒層の順で層を形成した。
【0042】
次いで、排水用溝を設けていないアノード側のガス拡散層及びカソード25側のガス拡散層24の双方をナフィオン膜上に配置した後、ホットプレスすることにより電解質膜6と触媒層22とカーボン層23との接合体を作製した。ホットプレスは、接合温度100℃、接合圧力1MPa、接合時間2分で行った。また、形成手法及び乾燥方法は実施例1と同様である。
【0043】
[実施例8]
この実施例の固体高分子型燃料電池は、アノード側のガス拡散層のみに、セパレータ側に向けて開口する排出用溝を設けた構成をなしており、他の構成及び作成要領は上記実施例7の固体高分子型燃料電池21と同じである。
【0044】
[実施例9]
この実施例の固体高分子型燃料電池は、カソード25側のガス拡散層24及びアノード側のガス拡散層の双方に、セパレータ7側に向けて開口する排出用溝24aを設けた構成をなしており、他の構成及び作成要領は上記実施例7の固体高分子型燃料電池21と同じである。
【0045】
[比較例1]
この比較例1の固体高分子型燃料電池は、電極の触媒層,カーボン層及びガス拡散層のいずれにも排出用溝を設けていない構成とした。なお、触媒インク及びカーボン層インクの調製方法は実施例1と同様であり、電極接合体の形成方法も上記実施例1と同様である。
【0046】
[電池性能試験]
そこで、上記実施例1〜9の固体高分子型燃料電池1,11,21及び比較例1の固体高分子型燃料電池に対して電池性能試験を行ったところ、表1に示す結果を得た。この際、アノード側には水素を流し、一方、カソード5,15,25側には空気を流し、電池温度を80℃、水素利用率を70%、空気利用率を40%、加湿を水素及び酸素がいずれも70℃露点となるようにした。
【0047】
【表1】
【0048】
表1に示す結果から、上記実施例1〜9の固体高分子型燃料電池1,11,21では、反応生成水が電極外へ排出し易くなって、反応ガスの拡散が滞りなくなされ、比較例1の固体高分子型燃料電池よりも高いセル電圧が得られる、すなわち、優れた電池性能を有していることが立証できた。
【0049】
上記した実施例では、いずれも電極(カソード5,15,25)が触媒層,カーボン層及びガス拡散層を積層して成っている場合を示したが、電極が触媒層及びガス拡散層を積層して成っている構成を採用することも可能である。
【0050】
また、触媒インクの組成、カーボン層インクの組成、塗布基材、乾燥条件、排水用溝2a,13a,24aの形状などは、上記実施例に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の固体高分子型燃料電池の一実施例を示す部分断面説明図である。
【図2】図1の固体高分子型燃料電池の要部拡大断面説明図である。
【図3】本発明の固体高分子型燃料電池の他の実施例を示す部分断面説明図である。
【図4】本発明の固体高分子型燃料電池のさらに他の実施例を示す部分断面説明図である。
【図5】従来の固体高分子型燃料電池を示す部分断面説明図である。
【符号の説明】
1,11,21 固体高分子型燃料電池
2,12,22 触媒層
2a,13a,24a 排水用溝
3,13,23 カーボン層
4,24 ガス拡散層
5,15,25 カソード(電極)
6 固体高分子電解質膜
7 セパレータ
7a ガス流路
7b リブ[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to an improvement in a polymer electrolyte fuel cell that obtains electric energy by an electrochemical reaction.
[0002]
[Prior art]
A fuel cell is a clean power generation system in which the product of an electrochemical reaction is water in principle, and has almost no adverse effect on the global environment. In particular, a polymer electrolyte fuel cell operates at a lower temperature than other fuel cells, and is therefore expected as a power source for a mobile body such as an automobile.
[0003]
As shown in FIG. 5, the polymer electrolyte fuel cell includes a solid polymer electrolyte membrane A having proton conductivity, an oxygen electrode (cathode) B, and a hydrogen electrode (anode) C. The oxygen electrode B and the hydrogen electrode C were formed by laminating gas diffusion layers Ba, Ca, carbon layers Bb, Cb, and catalyst layers Bc, Cc each made of porous carbon such as carbon cloth or carbon paper impregnated with a water-repellent polymer. It has a configuration.
[0004]
The gas diffusion layers Ba and Ca supply a reaction gas to the catalyst layers Bc and Cc through the carbon layers Bb and Cb, and collect electric charges generated in the catalyst layers Bc and Cc. On the other hand, the catalyst layers Bc and Cc are made of a material such as carbon particles carrying a catalyst such as platinum and coated with the same or different ion exchange resin as the electrolyte layer, a polymer having proton conductivity and a polymer having water repellency. The minute voids formed between the secondary particles of the carbon particles function as reaction gas diffusion channels.
[0005]
In the polymer electrolyte fuel cell, a membrane-electrode assembly (MEA: Membrane Electrode Assembly) is formed by joining the electrolyte membrane A and the electrodes B and C by hot pressing in a state where they are opposed to each other. ) Is formed, and the membrane electrode and the separators Da and Db are alternately laminated (see, for example, Patent Document 1).
[0006]
In this polymer electrolyte fuel cell, oxygen gas is supplied to the oxygen electrode B through an oxygen gas flow path E provided in one separator Da, and is supplied to a hydrogen electrode C through a hydrogen gas flow path F provided in the other separator Db. Hydrogen gas is supplied, and the supply of the reaction gas causes an electrochemical reaction represented by the following formulas (1) and (2) to generate electrons, which are then transferred from the electrodes to an external circuit. By taking it out, electric energy is generated.
Anode reaction (hydrogen electrode): H 2 → 2H + + 2e − (1)
Cathode reaction (oxygen electrode): 2H + + 2e − + (1/2) O 2 → H 2 (2)
[0007]
[Patent Document 1]
JP-A-5-190184
[Problems to be solved by the invention]
However, in the above-mentioned polymer electrolyte fuel cell, if the reaction product water (water generated by the reaction of the formula (1)) is not smoothly discharged out of the electrode, the reaction product water stays in the electrode. There is a problem that the diffusion of the reaction gas is hindered, that is, flooding is caused, which may adversely affect battery performance.
[0009]
In addition, in order to suppress the above-mentioned flooding phenomenon, if measures are taken to provide a distribution of water repellency in the plane of the electrode or to introduce polymers having different EW values, the reproducibility of the function is lost. And the number of manufacturing steps increases, and solving these problems has been a conventional problem.
[0010]
[Object of the invention]
The present invention has been made in view of the above-mentioned conventional problems, and, of course, has a reproducible function and, after simplifying the structure, smoothly discharges water generated by an electrode reaction. Accordingly, it is an object of the present invention to provide a polymer electrolyte fuel cell capable of suppressing the occurrence of flooding in an electrode.
[0011]
[Means for Solving the Problems]
In order to achieve the above object, the present invention provides an electrode comprising a catalyst layer, a carbon layer, and a gas diffusion layer, a solid polymer electrolyte membrane bonded to the catalyst layer of the electrode, and a gas diffusion layer of the electrode. In a polymer electrolyte fuel cell provided with a separator that forms a plurality of gas flow paths between at least one of a catalyst layer, a carbon layer, and a gas diffusion layer of the electrode, facing the separator side. The drainage groove that opens is provided.
[0012]
In the present invention, the reaction product water in the electrode can be discharged to the outside of the electrode through a drain groove provided in at least one of the catalyst layer, the carbon layer, and the gas diffusion layer of the electrode. The occurrence of flooding is suppressed.
[0013]
【The invention's effect】
In the present invention, since the above-described configuration is adopted, the reaction product water in the electrode can be discharged to the outside of the electrode through the drainage groove, in addition to having the reproducibility of the function, and therefore, the flooding in the electrode is performed. It is possible to suppress the occurrence of the phenomenon, and in addition, an extremely excellent effect that simplification of manufacturing can be realized is brought about.
[0014]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
If a drain groove that opens toward the separator side is provided on the extension of the gas flow path of the separator, the reaction interface area is reduced in a place where there is a large amount of reaction gas. It is desirable to arrange on the extension of the rib located between them.
[0015]
In addition, the cross-sectional shape of the drainage groove is related to the quality of drainage, but if the opening side is wider than the bottom side, for example, if the drainage groove has a triangular cross-section, not only the drainage but also the gas It is desirable that the width of the drainage groove on the separator side be wider than the groove width on the solid polymer electrolyte membrane side because the diffusion property can be improved.
[0016]
Further, when the catalyst layer of the electrode is in contact with the solid polymer electrolyte membrane over the entire area, it is possible to secure electric conductivity in the plane direction of the catalyst layer and to effectively use the electrolyte membrane which is a medium for transferring protons. Therefore, it is desirable to cover the entire surface of the solid polymer electrolyte membrane with the catalyst layer of the electrode.
[0017]
Furthermore, when the distance between the adjacent drain grooves on the opening side is equal to or larger than the width of the gas flow path of the separator, it is possible to secure many three-phase interfaces necessary for the reaction in a place where the gas supply amount is large. it can. Further, in the ribs between the gas flow paths, the gas supply amount is smaller than that at a location corresponding to the gas flow path, and if a drain groove is formed at this location, the gas diffusivity in the electrode can be improved. Becomes possible.
[0018]
Therefore, when the path width of the gas passage of the separator is A, the width of the rib located between the gas passages is B, and the interval on the opening side between the adjacent drain grooves is C, A ≦ C ≦ A + B It is desirable to satisfy the conditions.
[0019]
Still further, in the present invention, in order to promote the reaction of the electrode, the catalyst layer of the electrode is made of a catalyst-supporting carbon, proton-conductive polymer electrolyte particles and a water-repellent member. It is desirable that a member or a member composed of a carbon powder and a hydrophilic member be used as the carbon layer of the electrode.
[0020]
Furthermore, in the present invention, the gas diffusion layer of the electrode has properties of both gas permeability and electric conductivity in order to perform gas supply to the reaction interface and transfer of electrons necessary for the reaction. It is desirable to use a substance, and as the substance having both properties of gas permeability and electric conductivity, for example, carbon paper, carbon cloth, metal mesh, or the like can be used, and in particular, carbon paper is used. Is preferred.
[0021]
Furthermore, in the present invention, in order to promote proton transfer, it is desirable to form a solid polymer electrolyte membrane from a solid polymer electrolyte having proton conductivity. As the solid polymer electrolyte, for example, a sulfonic acid group is used. Having a perfluorocarbon polymer.
[0022]
【Example】
Hereinafter, embodiments of the present invention will be described with reference to the drawings, but the present invention is not limited to the following embodiments.
[0023]
[Example 1]
As shown partially in FIG. 1, the polymer electrolyte fuel cell 1 includes a cathode (electrode) 5 formed by stacking a catalyst layer 2, a carbon layer 3, and a gas diffusion layer 4, and a catalyst similar to the cathode 5. Layer, a carbon layer and a gas diffusion layer, and a solid polymer electrolyte membrane 6 which is located between the cathode 5 and the anode and whose entire surface is covered with each catalyst layer 2. And a separator 7 that forms a plurality of gas flow paths 7a between the cathode 5 and the respective gas diffusion layers 4 of the anode, and is opened only to the catalyst layer 2 of the cathode 5 toward the separator 7 side. The drain groove 2a is provided (the anode and the separator joined to the anode are not shown).
[0024]
In this case, as shown in FIG. 2, the drain groove 2a is disposed on the extension of the rib 7b located between the gas flow paths 7a of the separator 7, and the groove width on the separator 7 side is changed to the solid polymer. The groove width is wider than the groove width on the electrolyte membrane 6 side. The width of the gas flow path 7a of the separator 7 was A, the width of the rib 7b located between the gas flow paths 7a, 7a was B, and the distance between the adjacent drain grooves 2a, 2a on the opening side was C. In this case, each dimension is set so as to satisfy the condition of A ≦ C ≦ A + B.
[0025]
In manufacturing the fuel cell unit cell of the polymer electrolyte fuel cell 1, first, a catalyst ink on the cathode 5 side was prepared. This catalyst ink was prepared by adding 4% by weight of pure water, 8% by weight of Nafion solution (registered trademark of DuPont), 1.5% by weight of isopropyl alcohol, and It was prepared by mixing 0.2% by weight of fluoroethylene (PTFE) powder. The catalyst ink on the anode side was not mixed with polytetrafluoroethylene powder.
[0026]
The catalyst ink on the cathode 5 side prepared as described above was applied to the substrate by a doctor blade method or a screen printing method. As the substrate, a polyethylene terephthalate (PET) film having a thickness of 0.2 mm was used.
[0027]
In this case, since the drain groove 2a was provided in the catalyst layer 2, a projection corresponding to the shape of the drain groove 2a in the catalyst layer 2 was provided on the film. Also, a stainless steel plate having a thickness of 0.15 mm having protrusions having the same shape as the protrusions of the film is prepared, a film is placed on the plate, a catalyst ink is applied on the film, and the film is dried at room temperature. Then, the catalyst layer 2 on the cathode 5 side was formed. The thickness of the dried catalyst layer 2 was 50 μm.
[0028]
A film provided with the catalyst layer 2 so that the catalyst layer 2 and the Nafion film are in contact with each other is placed on a Nafion film (registered trademark of DuPont), and these are integrated by hot pressing to form the catalyst layer 2. And an electrolyte membrane 6 were produced. The hot pressing was performed at a joining temperature of 100 ° C., a joining pressure of 1 MPa, and a joining time of 2 minutes.
[0029]
Next, an ink for the carbon layer 3 was prepared. The ink of the carbon layer 3 was prepared by mixing 1 weight of carbon powder and 1 weight of PTFE powder, stirring and pulverizing with a pulverizer, and then mixing 3 weight of pure water and 3 weight of ethanol. Then, the ink was applied on the gas diffusion layer 4 having been subjected to the water-repellent treatment by a doctor blade method or a screen printing method, and dried at room temperature after the application to form the carbon layer 3.
[0030]
Next, a catalyst layer, a carbon layer, a gas diffusion layer, and a joined body on the anode side were prepared. At this time, a carbon layer was formed on the gas diffusion layer by the above method. The catalyst ink on the anode side was applied on the carbon layer by a doctor blade method or a screen printing method, and dried at room temperature.
[0031]
Then, the joined body of the catalyst layer 2 and the electrolyte membrane 6 and the gas diffusion layer 4 coated with the carbon layer 3 are arranged so that the catalyst layer 2 and the carbon layer 3 on the cathode 5 side are in contact with each other. The electrode assembly was produced by arranging the electrolyte membrane 6 and the catalyst layer on the anode side in contact with each other and integrating them by hot pressing. The hot pressing was performed at a joining temperature of 100 ° C., a joining pressure of 1 MPa, and a joining time of 2 minutes.
[0032]
[Example 2]
The polymer electrolyte fuel cell of this embodiment has a configuration in which a discharge groove that opens toward the separator is provided only in the catalyst layer on the anode side. Is the same as that of the polymer electrolyte fuel cell 1.
[0033]
[Example 3]
The polymer electrolyte fuel cell of this embodiment has a configuration in which both the catalyst layer 2 on the cathode 5 side and the catalyst layer on the anode side are provided with a discharge groove 2a opening toward the separator 7 side. The other configuration and the procedure of preparation are the same as those of the polymer electrolyte fuel cell 1 of the first embodiment.
[0034]
[Example 4]
As shown in FIG. 3, in the polymer electrolyte fuel cell 11, a drain groove 13 a is formed only in the carbon layer 13 on the cathode 15 side. Other configurations are the same as those of the polymer electrolyte fuel cell 1 of the first embodiment.
[0035]
In manufacturing the fuel cell unit cell of the polymer electrolyte fuel cell 11, first, in the same manner as in Example 1, the catalyst layer 12 on the anode side and the catalyst layer 12 on the cathode 5 side having no drainage groove were formed. Both were formed on a Nafion membrane.
[0036]
Next, a carbon layer ink was applied on the PET film and dried to prepare a carbon layer 13. At this time, the coating method and the drying conditions are the same as in Example 1.
[0037]
Next, the carbon layer 13 formed on this film was transferred onto the catalyst layer 12 on the cathode 15 side by hot pressing. The hot pressing was performed at a joining temperature of 100 ° C., a joining pressure of 1 MPa, and a joining time of 2 minutes. The method for forming the carbon layer on the anode side and the procedure for preparing the electrode assembly are the same as those in the first embodiment.
[0038]
[Example 5]
The polymer electrolyte fuel cell of this embodiment has a configuration in which a discharge groove that opens toward the separator is provided only in the carbon layer on the anode side. This is the same as the polymer electrolyte fuel cell 11 described above.
[0039]
[Example 6]
The polymer electrolyte fuel cell of this embodiment has a configuration in which both the carbon layer 13 on the cathode 15 side and the carbon layer on the anode side are provided with discharge grooves 13a that open toward the separator 7 side. The other configuration and the preparation procedure are the same as those of the polymer electrolyte fuel cell 11 of the fourth embodiment.
[0040]
[Example 7]
As shown partially in FIG. 4, in the polymer electrolyte fuel cell 21, a drain groove 24a is formed only in the gas diffusion layer 24 on the cathode 25 side. In this case, carbon paper was used for the gas diffusion layer 24, and the drainage groove 24a was formed by cutting the carbon paper. The drain groove 24a may be formed by a method other than the cutting method.
[0041]
The catalyst ink and the carbon layer ink used in the fuel cell unit cell of the polymer electrolyte fuel cell 21 are the same as those in the above-mentioned Example 1. First, upon producing the same, a carbon layer and a catalyst layer were formed on a PET film in this order. A layer was formed.
[0042]
Then, both the gas diffusion layer on the anode side and the gas diffusion layer 24 on the cathode 25 side without the drain groove are disposed on the Nafion membrane, and then hot pressed to form the electrolyte membrane 6, the catalyst layer 22, and the carbon layer. 23 was produced. The hot pressing was performed at a joining temperature of 100 ° C., a joining pressure of 1 MPa, and a joining time of 2 minutes. The forming method and the drying method are the same as those in the first embodiment.
[0043]
Example 8
The polymer electrolyte fuel cell of this embodiment has a configuration in which a discharge groove that opens toward the separator is provided only on the gas diffusion layer on the anode side. 7 is the same as the polymer electrolyte fuel cell 21 of FIG.
[0044]
[Example 9]
The polymer electrolyte fuel cell of this embodiment has a configuration in which both the gas diffusion layer 24 on the cathode 25 side and the gas diffusion layer on the anode side are provided with a discharge groove 24a opening toward the separator 7 side. In other respects, the construction and the procedure are the same as those of the polymer electrolyte fuel cell 21 of the seventh embodiment.
[0045]
[Comparative Example 1]
The polymer electrolyte fuel cell of Comparative Example 1 had a configuration in which no exhaust groove was provided in any of the catalyst layer, carbon layer, and gas diffusion layer of the electrode. The method for preparing the catalyst ink and the carbon layer ink is the same as in Example 1, and the method for forming the electrode assembly is also the same as in Example 1.
[0046]
[Battery performance test]
Therefore, when cell performance tests were performed on the polymer electrolyte fuel cells 1, 11 and 21 of Examples 1 to 9 and the polymer electrolyte fuel cells of Comparative Example 1, the results shown in Table 1 were obtained. . At this time, hydrogen was flowed on the anode side, while air was flowed on the cathodes 5, 15, and 25 side. The battery temperature was 80 ° C., the hydrogen utilization was 70%, the air utilization was 40%, and the humidification was hydrogen and Oxygen was adjusted to have a dew point of 70 ° C.
[0047]
[Table 1]
[0048]
From the results shown in Table 1, in the polymer electrolyte fuel cells 1, 11 and 21 of Examples 1 to 9 described above, the reaction water was easily discharged to the outside of the electrode, and the diffusion of the reaction gas was prevented without delay. It was proved that a cell voltage higher than that of the polymer electrolyte fuel cell of Example 1 was obtained, that is, it had excellent cell performance.
[0049]
In each of the above embodiments, the case where the electrodes (cathodes 5, 15, 25) are formed by laminating a catalyst layer, a carbon layer and a gas diffusion layer has been described. It is also possible to adopt a configuration consisting of:
[0050]
Further, the composition of the catalyst ink, the composition of the carbon layer ink, the application base material, the drying conditions, the shapes of the drain grooves 2a, 13a, and 24a are not limited to those in the above-described embodiment.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a partially sectional explanatory view showing one embodiment of a polymer electrolyte fuel cell according to the present invention.
FIG. 2 is an enlarged sectional explanatory view of a main part of the polymer electrolyte fuel cell of FIG.
FIG. 3 is a partially sectional explanatory view showing another embodiment of the polymer electrolyte fuel cell of the present invention.
FIG. 4 is a partial cross-sectional explanatory view showing still another embodiment of the polymer electrolyte fuel cell of the present invention.
FIG. 5 is a partially sectional explanatory view showing a conventional polymer electrolyte fuel cell.
[Explanation of symbols]
1,11,21 solid polymer fuel cells 2,12,22 catalyst layers 2a, 13a, 24a drain grooves 3,13,23 carbon layers 4,24 gas diffusion layers 5,15,25 cathode (electrode)
6 solid polymer electrolyte membrane 7 separator 7a gas flow path 7b rib