JP2004325839A - 可変光減衰装置 - Google Patents

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Makoto Sato
佐藤  誠
Hiroyoshi Toko
浩芳 都甲
Mitsuhiro Makihara
光宏 牧原
Fusao Shimokawa
房男 下川
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Abstract

【課題】小型で高集積な可変光減衰器を提供すること。
【解決手段】平面型光回路2にコア3を横切る溝5を挿入形成し、溝5の一部分に液体6を満たす。溝5のコア3と接する壁面10、11がコア3を伝播する光信号の伝播方向となす角は、伝播方向と直交した角度からずれている。マイクロヒータ12、13等の加熱手段により溝5の長手方向に温度勾配を発生させ、熱毛管現象によって溝5内の液体6を、コア3を遮断する位置と遮断しない位置との間で移動させることで、減衰量を変化させる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は光通信システム等における光信号のレベル調整に用いられる可変光減衰器に関する。
【0002】
【従来の技術】
光通信システムにおいて光信号のレベルを調整する場面は、至る所に存在する。単純に光検出器への過度な強度の光入射を抑制する目的であれば、減衰率が固定された固定光減衰器を光通信線路に挿入すれば十分であるが、レベルが時間とともに変動する場合や複数の光信号のレベルを調整する場合、固定光減衰器あるいは手動で減衰率を調整できる半固定光減衰器を使用するのは、減衰率の調整に手間がかかり実用的でないか、場合によっては全く役に立たない。これらの固定光減衰器及び半固定光減衰器は光伝播路の途中に何らかの光の減衰を与える構造を挿入したものであり、金属薄膜や誘電体薄膜による光の吸収や、散乱、部分的な反射を利用したもの、光伝播路に曲げや、ずれ、伝播路の欠落間隙などの損失要因を挿入したものなどがある(福島, 「注目のパッシブデバイス可変減衰器(VOA)の技術と動向」, Optronics, No.252, pp.91−94, 2002参照)。
【0003】
WDM(波長分割多重)システムでは、複数の波長の光信号を一本の光ファイバに合波して同時に伝送する。これらの複数の光信号をファイバアンプ(EDFAなど)で一括増幅する場合、ファイバアンプの増幅率が波長に対して一様ではないため、光増幅後に分波した際に、各光信号のレベルに変動が発生する。このファイバアンプの増幅率補償のために、光減衰器を複数並べたアレイが用いられる。ファイバアンプの増幅率は励起光源のレベル変動や環境温度により変動するため、固定光減衰器あるいは半固定光減衰器のアレイでは、増幅率補償の目的が十分に果たせない場合がある。そのため、各光信号のレベル変動をモニタし、モニタ結果をフィードバックして減衰率を動的に変化することができる可変光減衰器が必要となる(高戸, 「VOA−AWG複合光モジュール‐DWDMシステム用レベル制御機能付き光合分波モジュール」, 光アライアンス, Vol.13, No.11, pp.27−30, 2002; 西, 「高密度波長分割多重伝送(DWDM)システムに対応した光デバイス‐DWDMチャンネルレベルコントローラ」, 電子材料, Vol.40, No.11, pp.62−65, 2001参照)。
【0004】
また、光信号のクロスコネクトシステムでは、光信号をマトリクススイッチで任意の光ファイバ間で切り替える操作を行い、光通信システムの柔軟性と信頼性を向上させている。これにより、光通信システムの操作性と保守管理性が確保される。光クロスコネクトスイッチは、その入力と出力のチャンネルの組み合わせに依存して挿入損失が変動するのが一般的である。それは、スイッチが採用している機構に依存するが、一般に2次元型のスイッチではスイッチ内を光信号が通過する距離がチャンネルの組み合わせで異なるため、挿入損失のパス依存性が避けられない。3次元型のスイッチでは、原理的にはパス依存性は少ないのであるが、個々のスイッチ素子の特性変動もあり、現実的には挿入損失の変動が存在する。従って、光クロスコネクトスイッチのパス依存挿入損失を補償する目的で、スイッチの切り替え状態に応じて減衰率を調整することができる可変光減衰器のアレイが必要となる。
【0005】
従来の可変光減衰器としては、固定光減衰器に用いられている光減衰の仕組みをモータ駆動で実現した機械式のものや、光導波路を用いたものではMZI(マッハツェンダ型干渉計)を構成して、電気光学効果や熱光学効果を利用し減衰率を電気信号で調整するものが知られている。その他、ファラデー効果など磁気光学効果をもとに偏光を利用したものもある。
【0006】
モータ駆動の機械式可変光減衰器は、コリメータやプリズム、シャッタ、フィルタなど小型の光学部品を組み合わせた構造なので、小型化にはおのずと限界があるとともに、組立の手間を考えると生産性が悪く高額なものにならざるを得ない。この技術の延長線に、シリコン表面プロセスをベースとするマイクロマシンを利用した可変光減衰器がある。これは、光減衰の機構をマイクロマシン技術により小型集積して、光ファイバや光導波路と組み合わせたものである。マイクロマシンはSi基板表面にIC製造と同じシリコン表面プロセスで作製された微小な機械部品であり、静電力や電磁力、熱歪,電歪などを用いて駆動される。マイクロマシン機構を光信号の可変減衰に用いるには、光ファイバをマイクロマシンの極近傍に固定するとか、マイクロマシンを形成したSi基板を平面光回路に対向して張り付けるといった精密な組立作業を行う必要がある。コリメータを用いて光ビームを飛ばすことで、このような組立作業を避けるとしても、微小光学部品の組立作業は残る(諫本他, 「シリコンマイクロマシニングによる5V駆動光可変減衰器」, 2003年電子情報通信学会総会大会講演論文集, Vol.C, C−3−105, p.245, 2003参照)。従って、マイクロマシンを利用するにしても、可変光減衰器の小型化、生産性の大幅な改善は望めない。
【0007】
平面光回路にMZIを構成して実現した可変光減衰器は、上記の機械式のものに比べ、駆動部がなく、小型で、生産性に優れている(T. Watanabe et al., in Proc. ECOC2002, Tu.L.1.2, 2002参照)。しかし、電気光学効果や熱光学効果による屈折率の変化が小さいがために、MZI自体が数ミリメートル以上の光伝播長を必要とする。また、電気光学効果を利用した場合は、高い駆動電圧が必要であったり、熱光学効果を利用した場合は、消費電力が大きく多チャンネル化した場合に冷却が必要であるといった利便性に欠ける問題があった。
【0008】
偏光を利用した可変光減衰器は、原理的に偏光依存性を持つため部品を偏波無依存化する必要があり、入射光を直交する2つの偏光成分に一旦分けてそれぞれを処理した後に偏波合成するといった手の込んだ構成にならざるを得ず、このような構造を平面光回路に組み込むとしても、MZIを用いた可変光減衰器よりも複雑で大型にならざるを得ない。
【0009】
【非特許文献1】
福島, 「注目のパッシブデバイス可変減衰器(VOA)の技術と動向」, Optronics, No.252, pp.91−94, 2002
【非特許文献2】
高戸, 「VOA−AWG複合光モジュール‐DWDMシステム用レベル制御機能付き光合分波モジュール」, 光アライアンス, Vol.13, No.11, pp.27−30, 2002
【非特許文献3】
西, 「高密度波長分割多重伝送(DWDM)システムに対応した光デバイス‐DWDMチャンネルレベルコントローラ」, 電子材料, Vol.40, No.11, pp.62−65, 2001
【非特許文献4】
諫本他, 「シリコンマイクロマシニングによる5V駆動光可変減衰器」, 2003年電子情報通信学会総会大会講演論文集, Vol.C, C−3−105, p.245, 2003
【非特許文献5】
T. Watanabe et al., in Proc. ECOC2002, Tu.L.1.2, 2002
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来の機械式の可変光減衰器は、サイズが大きく、また、組立の生産性が悪いために高価なものにならざるを得なかった。そのため、WDMシステムや光クロスコネクトシステムに必要な可変光減衰器アレイは、個別の可変光減衰器を複数並べた大きなものとなる欠点があった。また、MZIを用いた可変光減衰器では、機械式のものに比べサイズ的には小型で高集積であるが、電気光学効果を利用したものでは駆動に高い電圧が必要であり、熱光学効果を利用したものでは消費電力が大きく冷却が必要であるなど、通信装置に組み込んで使うには操作上不便であるといった欠点があった。また、偏光を利用した可変光減衰器はMZIを用いた可変光減衰器よりも複雑で大型にならざるを得ないといった欠点があった。
【0011】
本発明の課題は、従来の技術に鑑み、小型で高集積が可能な可変光減衰器を提供することである。また、生産性が高く廉価な可変光減衰器の提供、PDL(偏波依存損失)が軽減した可変光減衰器の提供も本発明の課題である。
【0012】
【課題を解決するための手段】
第1発明は上記課題を解決する可変光減衰器であり、平面型光回路において、光信号の伝播するコアを横切る壁面を有する溝が光減衰の目的でコアを遮断して挿入形成されており、該溝の一部分がコアと等しいかもしくは近い屈折率を持つ液体で満たされ、該溝内の液体をコアを遮断する位置と遮断しない位置との間で移動させる液体移動手段を有していることを特徴とする。
【0013】
第2発明は、第1発明の可変光減衰器において、前記溝のコアと接する壁面がコアを伝播する光信号の伝播方向となす角が、光信号の伝播方向と直交した角度からずれていることを特徴とする可変光減衰器である。
【0014】
第3発明は、第2発明の可変光減衰器において、前記液体移動手段は熱毛管現象により溝内の液体の移動を実現するために溝の長手方向に温度勾配を発生させる手段であることを特徴とする可変光減衰器である。
【0015】
第4発明は、第3発明の可変光減衰器において、前記液体移動手段は溝近傍に1つ以上設けた加熱手段であることを特徴とする可変光減衰器である。
【0016】
第5発明は、第1から第4いずれか1つの発明の可変光減衰器において、前記溝のコアに接する壁面がコアを伝播する光信号の伝播方向となす角が、該溝内の液体がコアを遮断しない位置に存在するとき、その壁面を反射面としてコア側から溝へ入射する光信号が全反射する条件を満足する角度であることを特徴とする可変光減衰器である。
【0017】
第6発明は、第1から第5いずれか1つの発明の可変光減衰器において、前記溝は、溝幅が溝の長手方向に連続的に変化していることを特徴とする可変光減衰器である。
【0018】
第7発明は、第1から第6いずれか1つの発明の可変光減衰器において、前記溝は、溝内の液体の位置を表面張力で固定するために一箇所あるいは複数箇所に溝幅の狭い部位を有することを特徴とする可変光減衰器である。
【0019】
第8発明は、第1から第7いずれか1つの発明の可変光減衰器において、溝内の液体が個別に移動する複数の溝が1つのコアを遮断して挿入形成されていることを特徴とする可変光減衰器である。
【0020】
第9発明は、第8発明の可変光減衰器において、前記複数の溝として、溝幅あるいは溝のコアとなす角度が互いに異なる複数の溝を有することを特徴とする可変光減衰器である。
【0021】
第10発明は、第1から第9いずれか1つの発明の可変光減衰器において、前記平面型光回路がシリコン基板上に堆積したシリカで構成されており、コアに沿ってコアの両側のシリカ層が除去されていることを特徴とする可変光減衰器である。
【0022】
第11発明は、第1から第9いずれか1つの発明の可変光減衰器において、前記平面型光回路がシリコン基板上に堆積したシリカで構成されており、前記溝の前後の位置にコアを遮断して1/4波長板が平面型光回路の基板平面に対して高速軸を45度傾けて挿入されていることを特徴とする可変光減衰器である。
【0023】
第12発明は、第1から第9いずれか1つの発明の可変光減衰器において、前記平面型光回路が石英基板上に堆積したシリカで構成されていることを特徴とする可変光減衰器である。
【0024】
第13発明は、第1から第12いずれか1つの発明の可変光減衰器において、前記溝の前後にコアへモニタ用光信号を挿入するための第1の反射フィルタと、コアからモニタ用光信号を抽出するための第2の反射フィルタがコアを遮断して挿入され、モニタ用光源とモニタ用光検出器が前記平面型光回路に接続され、更に、第1の反射フィルタとモニタ用光源とを結合するための第1の分岐コアと、第2の反射フィルタとモニタ用光検出器とを結合するための第2の分岐コアが前記平面光回路に形成されていることを特徴とする可変光減衰器である。
【0025】
第14発明は、第1から第12いずれか1つの発明の可変光減衰器において、溝とコアが接する箇所に溝の壁面で反射した光が結合する分岐コアが配置され、該分岐コアと結合される光検出器が前記平面型光回路に接続されていることを特徴とする可変光減衰器である。
【0026】
第15発明は、第1発明の可変光減衰器において、前記溝のコアと接する壁面がコアを伝播する光信号の伝播方向となす角が、光信号の伝播方向と直交した角度であり、前記コアと接する壁面に無反射コーティングが施されていることを特徴とする可変光減衰器である。
【0027】
第16発明は、第1発明の可変光減衰器において、前記溝内の残りの部分は気体で満たされているか、あるいは真空であることを特徴とする可変光減衰器である。
【0028】
第17発明は、第3発明の可変光減衰器において、前記液体移動手段は溝近傍に設けたペルチェ素子であることを特徴とする可変光減衰器である。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
【0030】
[第1実施例]
図1は、本発明による可変光減衰器の第1実施例の構造を表す斜視図である。図1において、基板1上に、光導波路を有する平面型光回路2が形成されている。この平面型光回路2に、後述するように可変光減衰器が実装されている。3は光信号が伝播するコア、4はコアを囲むクラッドである。平面型光回路2は、シリカやそれに類似のガラス、あるいはポリイミドやエポキシ樹脂などの高分子材料で構成される。
【0031】
図1に示す本第1実施例の可変光減衰器は、溝5と、液体6と、気体7(気泡)と、液体移動手段8を有したものである。溝5は、光減衰の目的でコア3を横切って遮断するように形成されてコア3に挿入されている。液体6は、溝5の一部分に満たされている。気体7は、溝5の残りの部分に満たされている。液体移動手段8は、液体6を溝5内でコア3を遮断する位置と遮断しない位置との間で移動させるものである。溝5の上面は蓋9により封止されている。溝5によりコア3が前後に2分されるので、便宜上、前側部分3Aを入力側コア、後側部分3Bを出力側コアとする。また、溝5を構成する壁面(溝壁面)のうち、2つの溝壁面10、11がコア3と接している。液体移動手段8として、本第1実施例では、マイクロヒータ12、13による加熱手段を用いている。
【0032】
溝5内に部分的に満たされる液体6は、コア3と等しいか、あるいは許容範囲内で近しい屈折率を持つ任意の液体である。溝5の残部内に満たされる気体7は空気など、コア3と異なる屈折率を持つ任意の気体である。気体7の屈折率は液体6に比べて、コア3からなるべく異なることが好ましい。液体6の屈折率がコア3に近しいという範囲は、屈折率の整合に比べて広く、液体6とコア3の比屈折率の差の絶対値が0.2以下であれば近しいということができる。
【0033】
上記のように溝5内に液体6と気体7が封入されている場合、液体移動手段8により何らかの方法で液体6を移動させ、液体6がコア3を完全に遮る位置にあるときは、コア3を伝播する光信号は溝5の幅(光伝播方向の長さ)に対応した回折損の分、減衰して溝5を伝わる。このときの減衰量は屈折率がコア3と等しいか近しい液体6の存在により僅かであり、この状態を可変光減衰器の開放状態とする。これに対し、液体6がコア3を遮ることがない位置に移動すると、溝5内で光信号が通過する部分は気体7で満たされることになり、溝5を通過する光信号は液体6が存在するときよりも大きな回折損を受け、更に、溝5とコア3との溝界面での屈折率の不整合に起因して反射を生じる。この状態が可変光減衰器の遮断状態であり、このときの減衰量は溝5の幅(光伝播方向の長さ)に依存する。
【0034】
このように、光信号の伝播するコア3を横切る溝壁面10、11を有する溝5が光減衰の目的でコア3を遮断して挿入形成されており、該溝5の一部分がコア3と等しいかもしくは近い屈折率を持つ液体6で満たされ、液体6を該溝5内でコア3を遮断する位置と遮断しない位置との間で移動させる液体移動手段8を有している平面型光回路は、液体6の位置に応じて溝5を通る光信号の減衰量が変化し、可変光減衰器として機能する。
【0035】
また、溝5とマイクロヒータ12、13を有する可変光減衰器は、フォトプロセスのみで作製することができるので、高い生産性を確保でき、また、廉価な可変光減衰器を提供することができる。
【0036】
また、本発明の可変光減衰器では、光に減衰を与える箇所がコア3を遮る溝5で実現されるため、同じ平面型光回路を利用したMZI型の可変光減衰器に比べ、遥かに小型に製作することができ、高集積な可変光減衰器が実現する。
【0037】
また、複数のコアからなるコアアレイを有する平面型光回路の場合は、個々のコア3を遮断してそれぞれのコア3に溝5を挿入形成し、個別に動作する複数の液体移動手段8により各溝5内の液体6を個別に移動させるように構成することで、複数の可変光減衰器からなる可変光減衰器アレイを同じ平面型光回路に小型で高集積に作製することが容易である。あるいは、同一のコア3を遮断して複数の溝5をコア3に挿入形成し、個別に動作する複数の液体移動手段8により各溝5内の液体6を個別に移動させるように構成することで、同一のコア3に複数の可変光減衰器を高集積に作製することも容易である。
【0038】
気体7に代えて、溝5内で液体6が満たされた部分以外を真空とすることができる。この場合、気体7を用いる場合の方が、適量の液体6を溝5内に封入する作業が容易であるという利点がある。
【0039】
ここで、溝界面(溝5とコア3との界面)で反射した光がコア3に結合して後戻りしないように、コア3と接する溝壁面10、11に無反射コーティングを施したり、あるいは溝壁面10、11をコア3と直交する角度からずらして形成すると良い。溝壁面10、11に無反射コーティングを施す場合は、溝壁面10、11はコア3と直交していても良い。
【0040】
本第1実施例では、コア3と接する溝壁面10、11がコア3を伝播する光信号の伝播方向となす角を、光信号の伝播方向と直交した角度からずらしている。
【0041】
更に、本第1実施例では、溝5のコア3を横切る部位が気体7で満たされたとき、コア3と溝壁面10、11とがなす角度が全反射の条件を満たすようにしている。これにより、遮断状態では光信号は完全に遮断され、溝5を通過することがない。平面型光回路2に用いられる材料は、シリカやそれに類似のガラス、あるいは、ポリイミドやエポキシ樹脂などの高分子材料であり、これらの屈折率は光ファイバの屈折率との整合性を保つために、光ファイバの屈折率に近い値に調整されることが多い。例えば平面型光回路2に用いられる材料をガラス、気体7を空気とする場合、ガラスと空気との界面における全反射となる最小の角度、即ち臨界角θcは、ガラスの屈折率n、空気の屈折率nとして、
θc=sin−1(n/n) 式(1)
となる。この臨界角θcは、光信号が伝播するコア3方向と溝壁面10、11の法線方向がなす角度である。溝壁面10、11とコア3とのなす角は、90度の補角となる。光ファイバのコアの比屈折率は約1.46、空気の比屈折率は約1なので、臨界角はθc=43.2度と見積もることができ、溝壁面10、11とコア3のなす角度がその補角の46.8度以下であれば、全反射することが分かる。
【0042】
更に、本第1実施例では、液体移動手段8として、熱毛管現象により溝5内の液体6を移動させるように、溝5の長手方向に温度勾配を発生させる2つの加熱手段12、13を用いている。詳しくは、加熱手段12、13として、溝5の近傍に金属薄膜でマイクロヒータを形成し、それに通電することで溝5の長手方向に温度勾配を与えるようにしている。一方のマイクロヒータ12は溝5の透過側(液体6が開放状態に位置する側)の近傍に位置し、もう一方のマイクロヒータ13は減衰側(液体6が遮断状態に位置する側)の近傍に位置している。溝5の長手方向に温度勾配を与えると、液体6と気体7の界面の表面張力が温度依存性を持っていることから、液体6が温度の低い方へ力を受けて移動する。本発明で提供する可変光減衰器におけるコア3を遮断する溝5の幅は例えば十数μmと狭いので、表面張力による駆動は極めて効果的である。
【0043】
溝5の深さをd、幅をw、液体6の両端(メニスカス)での温度差をΔT、液体6の表面張力をγ、液体6の表面張力の温度依存係数dγ/dtとすると、液体7に働く力は圧力換算pで、
p=2・(1/d+1/w)・dγ/dt・ΔT 式(2)
となる。例えば、屈折率整合液体として通常用いられるシリコーンオイルを液体6として採用する場合、シリコーンオイルの表面張力は室温で約20mN/mである。温度が上昇するとシリコーンオイルの表面張力の値は直線的に減少し、100°Cの温度差で約20%、表面張力の値で約4mN/m減少する。マイクロヒータ12、13で100°Cの温度差を与えることは容易であり、これに要する消費電力は約5mW程度と少ない。例えば、溝5の深さを45μm、溝幅を15μmとすると、液体6に働く圧力pは711Paと見積もることができる。711Paは力に換算すると0.48μNという小さな力であるが、これを重力0.66nN(圧力換算で0.98Pa:シリコーンオイルの長さを100μm、密度を1g/cmとした)と比較すると、非常に大きな力であることが理解される。このような表面張力による駆動力で液体6を溝5内で容易に駆動させることができ、遮断状態と開放状態の位置間で自由に液体6を移動させることができる。この表面張力の温度勾配による液体6の駆動現象は熱毛管現象と呼ばれ、これを用いた導波路型光スイッチが実現されている。本実施例では、熱毛管現象の駆動原理を用いて可変光減衰器を提供している。
【0044】
ここで、マイクロヒータ12、13などの加熱手段は、加熱手段が存在する位置から離れる方向で温度が下がる勾配を発生させることができるが、逆の勾配(加熱手段が存在する位置から離れる方向で温度が上がる勾配)を発生させることはできない。これに対して、液体移動手段8として超小型のペルチェ素子を溝5の近傍に形成し、冷却と加熱を切り替えて実現することで、1つのペルチェ素子で液体6を遠ざけたり、近づけたりすることが可能である。これを加熱手段で実現するには、図1に示すように、液体6の駆動範囲の両側に加熱手段12、13を対にして設け、互いに液体6を遠ざけることで任意の位置に液体6を調整することができる。
【0045】
液体6の位置を任意の位置に制御できるので、液体6のメニスカスをコア3を伝播する光信号の広がりの中に位置させて部分的に光を遮ることで、任意の減衰率を実現することができる。つまり、減衰率が連続的に調整可能である。
【0046】
溝5のコア3を横切る部位が気体7で満たされたとき、コア3と溝壁面10、11とがなす角度が全反射の条件を満足しない状況では、遮断状態で光信号は回折損を受けて通過することになる。このような構成であるときは、開放状態と遮断状態(或る減衰状態)を液体6の溝5内の駆動で実現することができる。
【0047】
[第2実施例]
上記の連続的な任意の減衰率を実現した第1実施例では、液体6のメニスカスの位置を微妙に制御するために常に、マイクロヒータ等の加熱手段12、13に幾らかの電流を流しておく必要がある。これに対して、溝5の一部分に溝幅の異なる箇所を設けておくと、液体6はその表面張力の効果で溝幅の狭い位置に固定されるので、加熱手段12、13に電流を流しておく必要がなくなる。
【0048】
図2は、本発明の第2実施例として、上記の原理を適用した可変光減衰器の構造、特に溝の構造を表す平面図である。図2中の符号で、3はコア、5は光減衰用の溝、6は液体、7は気体、12は透過側マイクロヒータ(加熱手段)、13は減衰側マイクロヒータ(加熱手段)、14と15は溝幅の狭い部分を示している。
【0049】
本第2実施例では、図2に示すように、液体6の位置を固定するために溝幅に変化を与えている。具体的には、液体6が開放状態の位置と遮断状態の位置で固定されるように、溝5の左右両側に溝幅の狭い箇所14、15を設けている。溝幅の変化もフォトプロセスで作製できる。
【0050】
溝幅の変化を与える際、透過側マイクロヒータ12及び遮断側マイクロヒータ13の加熱による熱毛管現象による力が溝幅の狭い箇所14、15での固定力を超えるように、溝幅の変化を設計している。液体6の両端での溝幅の違いをΔwとすると、そのとき発生する表面張力による圧力pは、
p=2・γ(1/w−1/(w+Δw)) 式(3)
と算出される。例えば、前述と同じパラメータ(シリコンオイル、溝幅w=15μm)を用い、Δwを0.5μmとすると、液体6をその狭くなった部位14または15に固定するその圧力は86Paであって、重力の約100倍、熱毛管現象による駆動力の約1/10となり、液体6がその表面張力で溝幅の狭い位置に固定され、その固定力をヒータ加熱による熱毛管現象による力が超えるという上記の条件を満足する。
【0051】
図2に示す状態は、右側(遮断側)のマイクロヒータ13を加熱動作させて液体6を左側の溝幅が狭い箇所14に移動させ、その後同マイクロヒータ13の加熱動作を停止させた状態であり、液体6は可変光減衰器の開放状態に固定されている。可変光減衰器を遮断状態に固定するには、左側(透過側)のマイクロヒータ12を加熱動作させて液体6を右側の溝幅が狭い箇所15に移動させ、その後同マイクロヒータ12の加熱動作を停止させれば良い。また、マイクロヒータ12、13の適宜な加熱動作により、可変光減衰器は任意の減衰率に連続調整される。
【0052】
[第3実施例]
図3は、本発明の第3実施例として、上記の原理を適用した可変光減衰器の別の構造、特に溝の構造を表す平面図である。図3中の符号で、3はコア、5は減衰用溝、6は液体、7は気体、12は透過側マイクロヒータ(加熱手段)、13は減衰側マイクロヒータ(加熱手段)、16、17は溝幅の広い部分を示している。
【0053】
本第3実施例では、液体6ではなく気体7を固定するように溝幅に変化を与える構造となっている。つまり、図3に示すように、気体7を開放状態の位置と遮断状態の位置で固定するよう、第2実施例とは逆に、溝5の左右両側に溝幅の広い箇所16、17が設けられている。言い換えれば、溝5の中央部分の溝幅を狭くしている。これは、液体6と気体7との関係を逆にしたもので、実質的には第3実施例は第2実施例と等価なものである。本明細書では、液体6を溝5内で移動させるという表現を用いているが、これは溝5内で気体7(あるいは真空部分)を移動させることと等価である。ヒータ加熱と気体7の移動との関係は、液体6とは逆に、温度の高い方向、即ち加熱手段12、13に接近する方向に気体7が移動する方向に駆動力が働く。
【0054】
図3に示す状態は、右側(減衰側)のマイクロヒータ13を加熱動作させて気体7を右側の溝幅が広い箇所17に移動させ、その後同マイクロヒータ13の動作を停止させた状態であり、液体6は可変光減衰器の開放状態の位置に固定されている。可変光減衰器を遮断状態に固定するには、左側(透過側)のマイクロヒータ12を加熱動作させて気体7を左側の溝幅が広い箇所16に移動させ、その後同マイクロヒータ12の動作を停止させれば良い。
【0055】
第2実施例と第3実施例では、液体6が遮断状態か開放状態のどちらか一方の位置に表面張力で固定された後は、ヒータへの通電は不要となり、無電力でその状態での減衰率を保持することがきる。また、マイクロヒータ12、13の適宜な加熱動作により遮断状態と開放状態の中間に任意の減衰率に連続的に調整することもできる。ただし、この場合は、無電力でその減衰率を保持することはできない。
【0056】
[第4実施例]
図4は、本発明の第4実施例として、同一のコアに光減衰用の溝を複数設けた可変光減衰器の構造を表す平面図である。図4中の符号で、3はコア、18は一段目光減衰用の溝、19は二段目光減衰用の溝、20は三段目光減衰用の溝、21は四段目光減衰用の溝を示している。18A、19A、20A、21Aは光減衰用の各溝18〜21に対するマイクロヒータ等を透過側と遮断側に2つ用いた加熱手段(液体移動手段)を示している。各溝18〜21内には、一部分に液体6が、残りの部分に気体7が満たされている。
【0057】
本第4実施例では、同一のコア3を遮断して、溝幅が異なる複数(図では一段目から4段目の計4つ)の溝18〜21をコア3に挿入形成し、個別に動作する複数の加熱手段18A〜21Aにより各溝18〜21内の液体6を個別に移動させるように構成することで、複数の可変光減衰器を同じ平面型光回路に集積して作製するようにしている。各溝18〜21の溝幅は、それぞれが目的の減衰率を達成するような溝幅に設定されている。また、各溝18〜21は図3(第3実施例)に示した溝5と同様、左右両端に溝幅の広い部分(図3の符号16、17参照)を形成し、無電力では開放状態と遮断状態を保持できるようにしている。更に、各溝18〜21はコア3に対して同じ角度で傾斜している。これらの溝幅が異なる複数の溝18〜21もフォトプロセスにより容易に作製できる。
【0058】
本第4実施例では、加熱手段18A〜21Aを個別に動作させて遮断状態にする溝の組み合わせを変えることにより、複数の減衰率を実現し、かつ、その状態を無電力で保持できる。例えば、一段目の溝18を遮断状態で1dBの減衰量、二段目の溝19を2dBの減衰量、三段目の溝20を4dBの減衰量、四段目の溝21を8dBの減衰量となるように、それぞれの溝幅を設定することにより、0dB(実際には回折損のため0dBではなく有限の損失がある)から15dBまで1dB刻みに飛び飛びに減衰量を変化させることができる。
【0059】
[第5実施例]
図5は、本発明の第5実施例として、同一のコアに光減衰用の溝を複数設けた可変光減衰器の別の構造を表す平面図である。図5中の符号で、3はコア、22は一段目光減衰用の溝、23は二段目光減衰用の溝、24は三段目光減衰用の溝、25は四段目光減衰用の溝を示している。22A、23A、24A、25Aは各溝22〜25に対するマイクロヒータ等を透過側と遮断側に2つ用いた加熱手段(液体移動手段)を示している。各溝22〜25内には、一部分に液体6が、残りの部分に気体7が満たされている。
【0060】
本第5実施例では、同一のコア3を遮断して、コア3となす角度が異なる複数(図では一段目から4段目の計4つ)の溝22〜25をコア3に挿入形成し、個別に動作する複数の加熱手段22A〜25Aにより各溝22〜25内の液体6を個別に移動させるように構成することで、複数の可変光減衰器を同じ平面型光回路に集積して作製するようにしている。各溝22〜25は、溝幅が一定であっても角度が異なると回折損が異なることを利用して、第4実施例と同等の効果を実現している。つまり、各溝22〜25の角度はそれぞれが目的の減衰率を達成するように設定されている。また、各溝22〜25は図3(第3実施例)に示した溝5と同様、左右両端に溝幅の広い部分(図3の符号16、17参照)を形成し、無電力では開放状態と遮断状態を保持できるようにしている。各溝22〜25の溝幅は同じで一定にしている。これらの角度が異なる複数の溝22〜25もフォトプロセスにより容易に作製できる。
【0061】
本第5実施例でも、加熱手段22A〜25Aを個別に動作させることで遮断状態にする溝の組み合わせを変えることにより、複数の減衰率を実現し、かつ、その状態を無電力で保持できる。例えば、一段目の溝22を遮断状態で1dBの減衰量、二段目の溝23を2dBの減衰量、三段目の溝24を4dBの減衰量、四段目の溝25を8dBの減衰量となるように角度を設定することにより、0dB(実際には回折損のため0dBではなく有限の損失がある)から15dBまで1dB刻みに飛び飛びに減衰量を変化させることができる。
【0062】
更に、本第5実施例では、任意の1つの溝、例えば四段目の溝25を全反射の条件を満足する角度にすることができる。この場合、全反射の条件を満足する角度にした溝25を遮断状態にすると、光信号を完全に遮断することができ、いわばシャッタつきの可変光減衰器が実現する。例えば、一段目の溝22を遮断状態で1dBの減衰量、二段目の溝23を2dBの減衰量、三段目の溝24を4dBの減衰量、四段目の溝25を全反射となるように設定した場合、0dB(実際には回折損のため0dBではなく有限の損失がある)から7dBまでは1dB刻みに飛び飛びに、それ以上は無限大に減衰量が変化する。
【0063】
第4実施例では溝幅が異なる複数の溝18〜21を同一のコア3に挿入形成し、第5実施例では角度が異なる複数の溝22〜24を同一のコア3に挿入形成したが、溝幅及び角度が同じ複数の溝を同一のコア3に挿入形成しても、あるいは、溝幅の異なる溝と角度が異なる溝を組み合わせて複数の溝を同一のコア3に挿入形成しても、減衰量が飛び飛びに変化する可変光減衰器が実現する。
【0064】
[第6実施例]
図6は、本発明による可変光減衰器の第6実施例の構造を表す平面図である。図6中の符号で、3はコア、6は液体、7は気体、26は光減衰用の楔形の溝、27はマイクロヒータ等の加熱手段(液体移動手段)を示している。
【0065】
本第6実施例では、光減衰用の溝26の溝幅が溝26の長手方向に連続的に変化している。詳しくは、溝26の形状を溝幅の変化が一様な楔形状にしている。このような構造のため、液体6は溝幅が狭い方の端(図では右端)に表面張力により自動的に引き寄せられる。そこで、溝幅の狭い側に加熱手段27を設け、これを動作させて加熱すると、熱毛管現象により溝26内の液体6は加熱手段27から遠ざかる方向、つまり溝幅が広い方向へ移動する。温度勾配は加熱手段27からの距離が遠くなるとともに減少し、加熱手段27のヒータ出力が高いほど大きくなるので、ヒータ出力を調整することにより、液体6の位置を溝幅の変化による表面張力とバランスさせることで任意の位置に固定することができる。つまり、本第6実施例では、1つの加熱手段27で連続的に任意の減衰率を実現できる。楔形状の溝26もフォトプロセスにより容易に作製できる。本第6実施例においても、第2実施例と同様に、溝26の左右両側に溝幅の狭い箇所(図2の符号14、15参照)を設けることができ、これにより、液体6を開放状態の位置と遮断状態の位置で固定することができる。また、第3実施例と同様に、溝26の左右両側に溝幅の広い箇所(図3の符号16、17参照)を設けること、言い換えれば、溝26の中央部分付近の溝幅を狭くすることができ、これにより、液体6を開放状態の位置と遮断状態の位置で固定することができる。
【0066】
[第7実施例]
図7は、本発明による可変光減衰器の第7実施例の構造、特にコア部分の構造を表す断面図である。図8はその平面図であり、図7は図8中のA−A´線断面を表している。図7、図8中の符号で、1は基板、2は平面型光回路、3はコア、4はクラッド、5は光減衰用の溝、6液体、7は気体、9は蓋、12は透過側マイクロヒータ(加熱手段)、13は減衰側マイクロヒータ(加熱手段)、28、29はコア3両側のクラッド部分が除去されてなる溝、つまりPDL(偏波依存損失)軽減用の溝を示している。光減衰用の溝5には、左右両端に溝幅の広い部分(図3の符号16、17参照)が形成されており、溝5内の一部に液体6が、残りの部分に気体7が満たされている。
【0067】
本第7実施例では、基板1はシリコン基板であり、平面型光回路2はシリコン基板1上に堆積したシリカ層に形成されている。従って、コア3はシリカコア、クラッド4はシリカクラッドとなる。蓋9はガラス製である。
【0068】
一般に、シリコン基板1上のシリカは、熱膨張係数の違いから、基板面に沿った方向に圧縮応力を受けている状態にあり、シリカの平面型光回路2のコア3には複屈折が生じる。即ち、伝播する光信号が感じる屈折率は、平面型光回路2の面に沿って電界が振動するTEモードと、それに直交して振動するTMモードとで異なる。このこと自体は可変光減衰器を構成する上で問題とならないが、シリカ層をアンダークラッド、コア、オーバークラッドと順次形成するために、面に垂直な方向でその複屈折の程度が異なる。つまり、下層のシリカ層ほど、大きな複屈折を持つことになる。更に、シリコン基板1に近い位置ほど、大きな圧縮応力を受けている。そのため、コア3を伝播する光信号のうち偏波面が面に平行なTEモードと垂直なTMモードとの間で、フィールドの中心がずれることになる。TEモードは屈折率の面に垂直な方向の変化には鈍感であるが、TMモードは敏感であるため、普通、TMモードのフィールドがシリコン基板1側に引き込まれるように上下非対称になる。そのため、コア3を遮って溝5を形成して光信号を減衰させる本発明をシリコン基板1上のシリカの平面型光回路2に適用すると、大きな減衰率を得る場合、PDL(偏波依存損失)が大きくなる。
【0069】
このPDLを軽減する目的で、本第7実施例では、コア3の両側近くのシリカ層(クラッド4)をコア3に沿って溝28、29状に除去することで、コア3の付近の圧縮応力(コア長手方向の圧縮応力は伝播光が感じないので無視できる)を軽減している。このように溝28、29によりコア3付近の圧縮応力を軽減した結果、上記のようなPDLの発生を防止でき、大きな減衰率でも低いPDLを実現している。PDL軽減用の溝28、29もフォトプロセスで容易に作製できる。
【0070】
[第8実施例]
図9は、本発明による可変光減衰器の第8実施例の構成を表す斜視図である。図9中の符号で、5は光減衰用の溝、12は透過側マイクロヒータ(加熱手段)、13は減衰側マイクロヒータ(加熱手段)、30はコアの軸を表す線、31は入力側の1/4波長板、32は出力側の1/4波長板を示している。溝5内には、一部分にて液体が、残りの部分にて気体が満たされている。2つのマイクロヒータ12、13は溝5内の液体を熱毛管現象により移動させるものである。
【0071】
本第8実施例の目的も、第7実施例と同様、平面型光回路がシリコン基板上に堆積したシリカ層に形成されている場合におけるPDL(偏波依存損失)の軽減を実現することである。
【0072】
本第8実施例では、減衰を与える溝5を挟んで前後の位置にコア3を遮って、1/4波長板31、32を、その高速軸をシリコン基板1に45度傾けて挿入した構成である。
【0073】
PDLが発生する原因は上記のようにTEモードとTMモードで異なる屈折率分布を感じるからなので、これをなくすには、第7実施例のように複屈折の原因を取り除くか、もしくは、光減衰用の溝5に光信号を通過させる際に入力光信号の偏波状態に関係なく、TEモードかTMモードの一方だけに変換するか、あるいは、TEモードとTMモードに半々に光エネルギーを配分するという方法を採れば良い。前者(一方のモードのみへの変換)については、入射光の偏波面の状況が不定なので、実現は困難である。本第8実施例では、後者(TE、TMモードへの光エネルギー均等配分)の方法を、1/4波長板31、32を溝5の前後に挿入することにより実現している。
【0074】
通常、光通信では光源に直線偏波のLDを用い、伝送路に動径方向に一様なSMFを用いる。SMFを伝播する光信号は、ファイバへの外乱(温度変化や、振動、衝撃など)によりその偏波面を変化させ、ファイバの出力端ではどのような向きに偏波面が存在するか分からないだけでなく、時間と共に偏波面が変化するのが普通である。しかし、SMFはPMFのような複屈折性はないので、直線偏波は直線偏波として伝送される。つまり、通常の光通信では、偏波面は特定できないか、あるいは変動するが、直線偏波あるいはそれに近い楕円偏波である。このような理由により、可変光減衰器のような光デバイスには偏波無依存性が要求される。光デバイスがPDLを持つと、偏波面の変動がそのままレベル変動になってしまうのである。
【0075】
本第8実施例では、シリコン基板上に堆積したシリカ層の平面型光回路に平行なTEモードの光信号が入力された場合、入力側の1/4波長板31の高速軸が左に45度傾いているので、これを通過した光は反時計回りの円偏波に変換される。円偏波はTEモードとTMモードに均等に光エネルギーを配分した状態である。この円偏波の光が溝5を通過してもう一方の出力側の1/4波長板32を通過すると、この1/4波長板32の高速軸が最初の入力側1/4波長板31と同じ左45度に傾いていれば、入力光と直交するTMモードの直線偏波として出力される。入力光と同じ偏波面を維持して光信号を出力させる場合は、出力側の1/4波長板32の高速軸を右45度に傾けて、つまり1枚目の入力側1/4波長板31と直交させて配置する。導波路の複屈折を相殺するには、前者の配置(入力側1/4波長板31と出力側1/4波長板32が同じ方向に45度傾いた配置)が優れている。
【0076】
入力光信号が平面型光回路に垂直なTEモードである場合は、入力側の1/4波長板31を通過した光信号は時計回りの円偏波に変換される。入力側の1/4波長板31の高速軸あるいは低速軸に平行な偏波面を持つ光信号の場合は、変換されることなく、直線偏波で進むが、平面型光回路のTEモードとTMモードに対応する成分を半々で持っており、円偏波と同じくPDLをなくすことができる。これは、その他の角度の直線偏波が入力されても同じで、常に、TEモードとTMモードに光エネルギーが等しく配分される。
【0077】
上記の第8実施例の説明は、導波路伝播時の複屈折を無視しており、導波路の複屈折がPDLの原因であることと矛盾した説明となっている。これは、導波路を短距離伝播しても偏波状態が大きく変化しないと仮定しているためである。
【0078】
より正確には、導波路に加わる圧縮応力により発生している複屈折を考慮して、入力側の1/4波長板31を挿入する位置を決める。まず、シリコン基板上のシリカ層で構成された平面型光回路のシリカコアに掛かる応力と、それによる複屈折、及び、偏波状態が一巡して元に戻る伝播長即ちビート長について説明する。
【0079】
シリコンの熱膨張係数は、約4×10−6−1である。シリコン基板上にシリカを堆積して熱処理すると、シリカのガラス転移温度が約1000°Cとして、およそ4×10−3の熱歪を室温で持つことになる。通常シリコン基板は1mm程度と厚く、シリカ層は数十μm程度と薄いので、シリカ層に上記の熱歪が全て掛かると仮定してもそれほど現実から外れていない。実際には、熱歪でシリカ層側が凸になって基板全体が反って歪の一部を開放するので、以下の見積もりよりも歪は少なく、従って、複屈折の効果も少ない。シリコンの弾性係数は約7×1010Paであり、上記の歪を用いて、コアに掛かる圧縮応力σは約3×10Paと見積もられる。ガラスの光弾性係数Δn/σは約5×10−13Pa−1なので、屈折率の高速軸と低速軸での屈折率のずれΔnは約3×10−4と見積もられる。光通信に用いられる1.55μm帯の光信号について、コアの比屈折率を1.465とすると、ビート長Lb、つまり、複屈折のために伝播する光の偏光状態が直線偏波から楕円偏波、円偏波と変化して元の直線偏波の状態に戻るまでに要する伝播長Lbは、8mmと見積もることができる。即ち、シリコン基板上に堆積したシリカからなる平面型光回路では、8mmの伝播長でTEモードとTMモードとの位相のずれが2πとなる。
【0080】
従って、本第8実施例における入力側の1/4波長板31の挿入位置は、平面型光回路の入力端から伝播長でLb/2の整数倍にすれば、直線偏波は直線偏波として1/4波長板31に入射することになり、目的の偏波状態を実現することができる。また、この1/4波長板31と光減衰用の溝5との距離も同様にLb/2の整数倍とすることで、溝5に円偏波を入射、正確にはTEモードとTMモードを半々に入射させることができる。更に、出力側の1/4波長板32の挿入位置を平面型光回路の出力端から伝播長でLb/2の整数倍とし、また、この1/4波長板32と光減衰用の溝5との距離も同様にLb/2の整数倍とすることで、光信号を一定の偏波で出射させることができる。なお、溝5の幅は例えば十数μmであって、8mm程度のビート長に比べて極めて小さいので、1/4波長板31、32の位置決めに際し、溝幅は無視できる。
【0081】
本第8実施例では光減衰用の溝5が1つの場合について説明したが、複数の溝を同一のコア3に挿入形成した場合でも、各溝前後に1/4波長板を挿入することで、同様にPDLを軽減することができる。この場合、各1/4波長板の位置を上記と同様にして決めることが望ましい。
【0082】
[第9実施例]
次に、図示しないが、第9実施例の可変光減衰器を説明する。本第9実施例では、第8実施例と原理は全く同じであるが、導波路自体の複屈折を1/4波長板として利用することにより、伝播長の設定だけで、1/4波長板を用いずに同様の効果を実現している。
【0083】
第8実施例で説明したように、ビート長LbでTEモードとTMモード間に2πの位相差が生じるので、Lb/4の長さの伝播長は1/4波長板と同等であることが分かる。従って、本第9実施例では、平面型光回路がシリコン基板上に堆積したシリカ層で形成されている場合、シリカの平面型光回路のコア入力端と光減衰用の溝5との間の伝播長L、及び、光減衰用の溝5とコア出力端との間の伝播長Lをともに、
Figure 2004325839
とすることで、目的の偏波状態を達成できるPDLの軽減効果を得ている。ちなみに、式(4)中のNが0か偶数のときは左45度傾斜の1/4波長板に対応し、Nが奇数のときは右45度傾斜の1/4波長板に対応する。複屈折の効果を強めに見積もっている上記のビート長Lbの算定でも、その値はLb=8mmと比較的大きく、PDL軽減の目的には数度の位相のずれは許容できるので、寸法的には100μm程度のずれは許容され、加工精度的にも十分容易に達成できる。また、溝5の幅は例えば十数μmであって、8mm程度のビート長に比べて極めて小さいので、溝5の位置決めに際し、溝幅は無視できる。
【0084】
本第9実施例では光減衰用の溝5が1つの場合について説明したが、複数の溝を同一のコア3に挿入形成した場合でも、平面型光回路の入力端と各溝との伝播長、並びに、各溝と平面型光回路の出力端との伝播長を、それぞれ式(4)により設定することで、同様にPDLを軽減することができる。
【0085】
[第10実施例]
本発明による可変光減衰器の第10実施例では、図示しないが、石英基板上に堆積されたシリカ層に平面型光回路が形成され、この平面型光回路に本発明による可変光減衰器が構成されたものである。本第10実施例の目的も、第7実施例〜第9実施例と同じく、PDLの軽減にある。
【0086】
第7実施例及び第8実施例にて説明したように、平面型光回路がシリコン基板上のシリカから構成される場合は、材料間の熱膨張係数の違いが原因で、大きな減衰率を得る場合は、PDLが発生する。
【0087】
しかし、本第10実施例のように平面型光回路の基板が石英であれば、基板がシリカと同じ酸化ケイ素なので、添加物により完全に一致するわけではないが近しい熱膨張係数を持ち、コアに発生する複屈折はシリコン基板を用いた場合に比べて大幅に軽減する。そのため、本第10実施例のように可変光減衰器を石英基板上のシリカからなる平面型光回路上に作製することにより、大きな減衰率の場合でもPDLの発生を軽減できる。
【0088】
[第11実施例]
図10は、本発明による可変光減衰器の第11実施例の構造を表す平面図である。図10中の符号で、2は平面型光回路、3はコア、5は光減衰用の溝、12は透過側マイクロヒータ(加熱手段)、13は減衰側マイクロヒータ(加熱手段)、33は入力側の反射フィルタ(第1の反射フィルタ)、34は出力側の反射フィルタ(第2の反射フィルタ)、35は第1の分岐コア、36は第2の分岐コア、37はモニタ用光源チップ、38はモニタ用光検出器チップを示している。溝5内には、一部分に液体6が、残りの部分に気体7が満たされている。光源チップ37は通信用光信号とは異なる波長の光をモニタ光として出力する。
【0089】
本第11実施例では、光減衰を与える溝5を挟んでその前後の位置に、コア3を遮断するように、通信用光信号は透過させるが特定の波長の光(モニタ光)を反射する入力側の反射フィルタ33と出力側の反射フィルタ34を挿入し、また、メインのコア3のほかに、入力側の反射フィルタ33を介してモニタ光をコア3に合波するため分岐コア35と、出力側の反射フィルタ34を介してモニタ光をコア3から分波する分岐コア36を平面型光回路2に形成した構成となっている。更に、平面型光回路2の端に光源チップ37と光検出器チップ38を配置し、分岐コア35で光源チップ37と入力側の反射フィルタ33を接続し、分岐コア36で光検出器チップ38と出力側の反射フィルタ34を接続している。
【0090】
反射フィルタ33、34としては、モニタ光に対してバンドストップするものを用いたり、通信用光信号よりも短波長のモニタ光を用いる場合はローパスフィルタを用いることができる。このような反射フィルタ33、34には誘電体多層膜フィルタが用いられる。分岐コア35,36も、反射フィルタ33、34を挿入するための挿入溝もフォトプロセスにより容易に作製できる。
【0091】
本発明の可変光減衰器では、自己保持性のある実施例のものは除外するが、その減衰率を調整するには、実際の減衰率を、通過光の強度を何らかの手段でモニタし、その信号をフィードバックしてマイクロヒータ12、13等の液体移動手段を駆動する必要がある。通常は、通信用光信号をモニタし、フィードバック制御するが、このような場合は、通信用光信号の一部を犠牲にすることになる。
【0092】
本第11実施例では、モニタ光として通信用光信号とは異なる波長の光を用い、そのモニタ光のみを反射し、通信用光信号は通過させる反射フィルタ33、34を介してモニタ光の合波と分波を行うことにより、減衰率を通信光とは独立に調整することができる。つまり、光源チップ37からのモニタ光を分岐コア35と入力側の反射フィルタ33を介してメインのコア3に合波して溝5に入射し、溝5を通過したモニタ光を出力側の反射フィルタ34で分波して分岐コア36を介して光検出器チップ38に入射する。光源チップ37から射出したモニタ光のレベルと、光検出器チップ38で検出したモニタ光のレベルから、例えば図示しない制御装置により実際の減衰率を計算し、所望の減衰率となるように制御装置によりマイクロヒータ12、13等の液体移動手段をフィードバック制御することで、液体の位置を調整することができる。
【0093】
[第12実施例]
図11は、本発明による可変光減衰器の第12実施例の構造を表す平面図である。図11中の符号で、2は平面型光回路、3はコア、5は光減衰用の溝、10は入力側の溝壁面、12は透過側マイクロヒータ(加熱手段)、13は減衰側マイクロヒータ(加熱手段)、39は分岐コア、40は光検出器チップを示している。溝5内には、一部分に液体6が、残りの部分に気体7が満たされている。
【0094】
本第12実施例では、平面型光回路2のうち、コア3と光減衰を与える溝5とが接する箇所、例えば溝壁面10に、溝壁面で反射した光信号が結合するように分岐コア39を配置形成してある。また、平面型光回路2の端に光検出器チップ40を配置し、分岐コア39と光検出器チップ40を接続している。本第12実施例では、分岐コア39はメインのコア3に対して直角に分岐している。分岐コア39もフォトプロセスにより容易に作製できる。
【0095】
本第12実施例では、通信用光信号をメインのコア3から分岐コア39で分波することにより、可変光減衰器の減衰率をフィードバック制御で調整できるようにしている。つまり、液体6の位置を調整して減衰を与えると、減衰を受けた光信号が溝壁面で反射して分岐コア39に結合するので、その光量を光検出器チップ40で検出し、例えば図示しない制御装置によりマイクロヒータ12、13等の液体移動手段を制御することで、減衰率の調整を行う。
【0096】
【発明の効果】
以上述べたとおり、本発明によれば、小型で高集積な可変光減衰器を提供することができる。
【0097】
また、光減衰用の溝をコアに複数組み込んだ自己保持型の可変光減衰器では飛び飛びの減衰率をとることになるが、マトリクス光スイッチのパス依存損失を補償したり、EDFAの増幅率の波長依存性の補償には数dB程度の比較的小さな減衰率の可変で十分であり、光スイッチ切り替えやEDFAの特性変動など頻繁な減衰率の調整が必要でないこれらの用途には十分な特性を呈し、また、無電力状態で減衰率を保持できるという効果がある。
【0098】
また、連続的に減衰率を調整可能な可変光減衰器においても、加熱手段に要する消費電力は約5mW程度と少ない。
【0099】
更に、本発明の可変光減衰器はフォトプロセスのみで作製することができるので、高い生産性を確保でき、廉価な可変光減衰器アレイを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による可変光減衰器の第1実施例の構造を表す斜視図。
【図2】本発明による可変光減衰器の第2実施例における溝の構造を表す平面図。
【図3】本発明による可変光減衰器の第3実施例における溝の構造を表す平面図。
【図4】本発明による可変光減衰器の第4実施例の平面図。
【図5】本発明による可変光減衰器の第5実施例の平面図。
【図6】本発明による可変光減衰器の第6実施例における溝形状を表す平面図。
【図7】本発明による可変光減衰器の第7実施例におけるコア部分を表す断面図。
【図8】本発明による可変光減衰器の第7実施例の平面図。
【図9】本発明による可変光減衰器の第8実施例の構成を表す斜視図。
【図10】本発明による可変光減衰器の第11実施例の構成を表す平面図。
【図11】本発明による可変光減衰器の第12実施例の構成を表す平面図。
【符号の説明】
1 平面型光回路の基板
2 平面型光回路
3 のコア
3A 入力側コア
3B 出力側コア
4 クラッド
5 光減衰用の溝
6 液体
7 気体
8 液体移動手段
9 蓋
10、11 コアと接する溝壁面
12、13 マイクロヒータ(加熱手段)
14、15 溝幅の狭い部分
16、17 溝幅の広い部分
18、19、20、21 溝幅の異なる複数の溝
18A、19A、20A、21A 個別に動作する加熱手段
22、23、24、25 角度の異なる複数の溝
22A、23A、24A、25A 個別に動作する加熱手段
26 楔形状の光減衰用の溝
27 加熱手段
28、29 PDL軽減用の溝
30 コアの軸を表す線
31、32 1/4波長板
33、34 反射フィルタ
35、36 分岐コア
37 モニタ用光源チップ
38、40 モニタ用光検出器チップ
39 分岐コア

Claims (17)

  1. 平面型光回路において、光信号の伝播するコアを横切る壁面を有する溝が光減衰の目的でコアを遮断して挿入形成されており、該溝の一部分がコアと等しいかもしくは近い屈折率を持つ液体で満たされ、該溝内の液体をコアを遮断する位置と遮断しない位置との間で移動させる液体移動手段を有していることを特徴とする可変光減衰器。
  2. 請求項1において、前記溝のコアと接する壁面がコアを伝播する光信号の伝播方向となす角が、光信号の伝播方向と直交した角度からずれていることを特徴とする可変光減衰器。
  3. 請求項2において、前記液体移動手段は熱毛管現象により溝内の液体の移動を実現するために溝の長手方向に温度勾配を発生させる手段であることを特徴とする可変光減衰器。
  4. 請求項3において、前記液体移動手段は溝近傍に1つ以上設けた加熱手段であることを特徴とする可変光減衰器。
  5. 請求項1から4いずれか1つにおいて、前記溝のコアに接する壁面がコアを伝播する光信号の伝播方向となす角が、該溝内の液体がコアを遮断しない位置に存在するとき、その壁面を反射面としてコア側から溝へ入射する光信号が全反射する条件を満足する角度であることを特徴とする可変光減衰器。
  6. 請求項1から5いずれか1つにおいて、前記溝は、溝幅が溝の長手方向に連続的に変化していることを特徴とする可変光減衰器。
  7. 請求項1から6いずれか1つにおいて、前記溝は、溝内の液体の位置を表面張力で固定するために一箇所あるいは複数箇所に溝幅の狭い部位を有することを特徴とする可変光減衰器。
  8. 請求項1から7いずれか1つにおいて、溝内の液体が個別に移動する複数の溝が1つのコアを遮断して挿入形成されていることを特徴とする可変光減衰器。
  9. 請求項8において、前記複数の溝として、溝幅あるいは溝のコアとなす角度が互いに異なる複数の溝を有することを特徴とする可変光減衰器。
  10. 請求項1から9いずれか1つにおいて、前記平面型光回路がシリコン基板上に堆積したシリカで構成されており、コアに沿ってコアの両側のシリカ層が除去されていることを特徴とする可変光減衰器。
  11. 請求項1から9いずれか1つにおいて、前記平面型光回路がシリコン基板上に堆積したシリカで構成されており、前記溝の前後の位置にコアを遮断して1/4波長板が平面型光回路の基板平面に対して高速軸を45度傾けて挿入されていることを特徴とする可変光減衰器。
  12. 請求項1から9いずれか1つにおいて、前記平面型光回路が石英基板上に堆積したシリカで構成されていることを特徴とする可変光減衰器。
  13. 請求項1から12いずれか1つにおいて、前記溝の前後にコアへモニタ用光信号を挿入するための第1の反射フィルタと、コアからモニタ用光信号を抽出するための第2の反射フィルタがコアを遮断して挿入され、モニタ用光源とモニタ用光検出器が前記平面型光回路に接続され、更に、第1の反射フィルタとモニタ用光源とを結合するための第1の分岐コアと、第2の反射フィルタとモニタ用光検出器とを結合するための第2の分岐コアが前記平面光回路に形成されていることを特徴とする可変光減衰器。
  14. 請求項1から12いずれか1つにおいて、溝とコアが接する箇所に溝の壁面で反射した光が結合する分岐コアが配置され、該分岐コアと結合される光検出器が前記平面型光回路に接続されていることを特徴とする可変光減衰器。
  15. 請求項1において、前記溝のコアと接する壁面がコアを伝播する光信号の伝播方向となす角が、光信号の伝播方向と直交した角度であり、前記コアと接する壁面に無反射コーティングが施されていることを特徴とする可変光減衰器。
  16. 請求項1において、前記溝内の残りの部分は気体で満たされているか、あるいは真空であることを特徴とする可変光減衰器。
  17. 請求項3において、前記液体移動手段は溝近傍に設けたペルチェ素子であることを特徴とする可変光減衰器。
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