JP2004325399A - 回路基板検査装置及び検査方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】検査対象の回路基板が内層導電プレーンを持たなくとも、回路基板内の回路の導通性能、絶縁性能の良否を高速で高精度で判定できる回路基板検査装置及び検査方法を提供し、回路基板検査工程の効率化を図る。
【解決手段】本発明の回路基板検査装置は、検査対象の回路基板(3)に送信アンテナ(1)を介して電磁波信号を放射する送信装置(2)と、検査対象の回路基板内の1つの回路(4)を受信アンテナとして使用して電磁波信号の電磁誘導により回路に誘起される信号を検出する手段を含む受信装置(6)と、検出された信号のデータを良品回路基板の場合のデータと比較して検査対象の回路基板内の回路の良又は不良を判定する手段(8)とを備える。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明の回路基板検査装置は、検査対象の回路基板(3)に送信アンテナ(1)を介して電磁波信号を放射する送信装置(2)と、検査対象の回路基板内の1つの回路(4)を受信アンテナとして使用して電磁波信号の電磁誘導により回路に誘起される信号を検出する手段を含む受信装置(6)と、検出された信号のデータを良品回路基板の場合のデータと比較して検査対象の回路基板内の回路の良又は不良を判定する手段(8)とを備える。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回路基板の検査装置及び方法に関し、特に、電磁波信号を用いて回路基板中の回路の導通、絶縁性能等の良・不良を検出する回路基板検査装置及び方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
回路基板は普通、何層もの配線層を含み配線層間で接続された多数の回路若しくは回路パターンがその内部に形成されている。そして、回路基板中の回路若しくは回路パターンが設計通りに正しく形成されているかどうか、すなわち、回路が回路基板中で断線していて導通不良を生じたり、他の回路と短絡していて絶縁不良を生じたりせずに設計通りに形成されているかどうかの良・不良を検査することが回路基板の製造工程において大変重要である。
【0003】
従来からの代表的な回路基板検査装置及び方法としては、抵抗値検査による導通、絶縁検査がある。この抵抗値検査法は、検査対象の回路基板面上の1つの端子に出力プローブを接触させて基板内の回路パターンへ測定信号を流し、回路基板面上の他の端子に接触した入力プローブからその信号を検出して抵抗値測定を行ない、回路パターンの断線・短絡を判別する検査方法である。この抵抗値検査法では、検査対象の回路基板の全回路数Nとし、全ポイント数をPとすると、導通検査ではP−N回、絶縁検査では{Nx(N−1)}/2回の検査回数が必要である。このために検査に長時間を必要とする。
【0004】
このような抵抗値検査法の問題点を解決するものとして、特許文献1及び特許文献2に開示されるような静電容量測定法がある。この静電容量測定法は、基板の内層プレーンと回路パターン間の静電容量(特許文献1)、若しくは基板に密着させた検査用の金属プレートと回路パターン間との静電容量(特許文献2)を測定することにより、回路パターンの断線・短絡を判別する検査方法である。この静電容量測定法では測定回数はN回となり、抵抗値検査法に比べて検査時間は大幅に短縮される。
【0005】
しかし、静電容量測定法では検査時間は抵抗値検査法に比べて短縮できるが、静電容量測定のため回路基板の内層プレーン(特許文献1)又は回路基板外側から密着させる検査用プレート(特許文献2)が必要である。
【0006】
内層プレーンを使用した方式(特許文献1)では内層プレーンを持たない回路基板を測定すると回路パターンの良・不良を判別できる程度の容量値の変化は得られないため、検査自体が不可能となる。
【0007】
検査用金属プレートを使用した方式(特許文献2)では金属プレートを回路基板のどちらかの面に密着させる必要があり片面づつの測定となり、やはり結果的に検査時間が長くなる。また、検査用金属プレートを使用した方式(特許文献2)では回路基板の反り、厚みのバラツキがある場合、検査用金属プレートとの間の静電容量値が変化してしまうため、擬似回路不良の発生又は回路不良の見逃しが生ずる可能性がある。
【0008】
上述の回路基板の形状(反りや厚み)のバラツキ等に左右され、そして検査用金属プレートを回路基板の両面に密着させ必要がある従来の静電容量測定法の問題を解決するため、高周波信号を回路基板の電源プレーン層から入力して、回路基板の信号ラインから出力される出力信号との間の位相差を測定することで、絶縁検査や導通検査を行なう回路基板検査方法と検査装置が開示されている(非特許文献1)。
【0009】
【特許文献1】
特公昭57−30227号公報
【特許文献2】
特公平4−17394号公報
【非特許文献1】
秀平頼夫著“BGA/CSP用ムービングプローブ方式ベアボードテスタ”、「電子材料」、工業調査会発行、1999年9月号、第38巻第9号、77頁〜81頁(特に、79頁)。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、非特許文献1に開示されている回路基板検査方法及び検査装置は、回路基板の内層プレーンを使用してそこに高周波信号を入力する方式のため、内層プレーンを持たない回路基板を検査するためには使用できず、そして、電源プレーン層から入力された高周波信号と信号ラインから出力される出力信号との間の位相差のみの測定であるため、広範囲の回路の導通性能、絶縁性能の良否を高速で高精度で判定するためには十分とは言えないという課題をなお有する。
【0011】
従って、本発明の目的は上記課題を解決して高速で且つ精度の高い回路基板検査装置及び検査方法を提供して、回路基板検査工程の効率化を図るものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載された本発明は、検査対象の回路基板に送信アンテナを介して電磁波信号を放射する送信装置と、上記検査対象の回路基板内の1つの回路を受信アンテナとして使用して上記電磁波信号の電磁誘導により上記回路に誘起される信号を検出する手段を含む受信装置と、上記検出された信号のデータを良品回路基板の場合のデータと比較して上記検査対象の回路基板内の回路の良又は不良を判定する手段とを備えたことを特徴とする回路基板検査装置を提供する。
【0013】
この請求項1の回路基板検査装置によれば、送信アンテナを介して送信装置から高周波電磁波信号を検査対象の回路基板へ放射し、回路基板内の回路を受信アンテナとしてそこに電磁誘導で誘起される信号を検出して、良品回路基板の場合のデータと比較して、検査対象の回路基板の導通性能や絶縁性能の良・不良を判別する。本発明の回路基板検査装置では、検査回数は静電容量測定法と同じN回で済む(Nは検査対象の回路基板内の全回路数)。また、送信アンテナを介して高周波電磁波信号を検査対象の回路基板へ放射する構成のため、回路基板内に内層プレーンを持たないものでも検査対象として検査を行なうことができる。さらに、静電容量測定法の検査用金属プレートとは異なり、本発明の検査装置の送信アンテナは検査対象の回路基板と密着させる必要がないため、検査対象の回路基板の形状(反りや厚み)の変化により回路の良・不良の判定が左右されることがなく、擬似不良品の発生や不良品の見落としも防ぐことができる。
【0014】
請求項2に記載された本発明は、上記送信アンテナが、ループコイル形状を有し、そのループ内に放射される上記電磁波信号の磁界の向きと垂直に上記検査対象の回路基板を置くことを特徴とする請求項1に記載の回路基板検査装置を提供する。
【0015】
この請求項2の回路基板検査装置によれば、電磁波信号を放射する送信アンテナとして送信装置に接続したループコイルを使用し、検査対象の回路基板をこのループコイル内にループ面と同一平面上に設置する。すると、ループコイルの送信アンテナから放射された電磁波信号によって発生した磁界が基板上の回路又は回路パターンを垂直に貫くため、回路又は回路パターン上に磁界による電磁誘導電圧が発生する。この電磁誘導電圧により回路又は回路パターンに誘起される信号を検出することより回路又は回路パターンの導通の良・不良、絶縁の良・不良を検査できる。このように、検査対象の回路基板は、ループコイル内にループ面と同一平面上に置くだけでよく、ループコイルと密着させる必要がなく、回路基板の形状(反りや厚み)の変化により測定が左右されることが防止できる。
【0016】
請求項3及び4に記載された本発明は、請求項2と同様な作用・効果を有する。
【0017】
請求項5に記載された本発明は、上記送信アンテナが上記検査対象の回路基板内の第一の回路であり、上記第一の回路とは異なる上記検査対象の回路基板内の第二の回路が上記受信アンテナとして使用される上記1つの回路であることを特徴とする請求項1に記載の回路基板検査装置が提供される。
【0018】
この請求項5の回路基板検査装置によれば、電磁波信号を放射する送信アンテナとして回路基板のいずれか1つの回路(第一の回路)を使用し、そこから放射された電磁波信号を別の回路(第二の回路)を受信アンテナとして受信して、この別の回路(第二の回路)が導通性能、絶縁性能の良否を判定される回路とすることかできる。このように送信アンテナとして回路基板内の測定対象の回路以外の回路を使用すれば、特別な送信アンテナを必要とせず、検査装置を簡潔・安価に構成できる。
【0019】
請求項6に記載された本発明は、上記検出する手段が上記検査対象の回路基板の両面に対して平行及び垂直方向移動可能で且つ上記検査対象の回路基板面上の端子と接触できる金属プローブを含むことを特徴とする請求項1に記載の回路基板検査装置を提供する。
【0020】
この請求項6の回路基板検査装置によれば、回路基板の両面に対して平行(XY)方向と垂直(Z)方向に移動できるムービングプローブにより回路基板の端子に接触して測定するため、固定プローブ方式に較べて、1つの回路基板検査装置により多品種少量生産の回路基板、特に高価な大型の回路基板、について検査が可能となる。
【0021】
請求項7に記載の本発明は、上記送信装置が上記送信アンテナを介して放射する電磁波信号の周波数及び出力電圧を可変としたことを特徴とする請求項1に記載の回路基板検査装置を提供する。
【0022】
この請求項7の回路基板検査装置によれば、検査対象の回路基板に応じて、送信アンテナを介して送信装置から放射される電磁波信号の周波数と出力電圧を可変とすることにより、1つの回路基板検査装置により多品種少量生産の回路基板について検査が可能となる。
【0023】
請求項8に記載の本発明は、上記受信装置が上記送信装置の電磁波信号の周波数変化と連動して受信周波数を可変とした同調回路と増幅回路と検波回路を含むことを特徴とする請求項7に記載の回路基板検査装置が提供される。
【0024】
この請求項8の回路基板検査装置によれば、送信装置の電磁波信号の周波数変化と連動して受信装置の同調回路の受信周波数が可変となるため、電磁波信号の周波数を変化させて回路基板を検査することが容易となり、1つの回路基板検査装置により多品種少量生産の回路基板について検査に容易に対応が可能となる。
【0025】
請求項9に記載の本発明は、上記送信装置が上記送信アンテナを介して放射する電磁波が正弦波信号を含み、上記受信装置の検出する手段が上記検波回路から出力される上記電磁波信号の電磁誘導により上記1つの回路に誘起された上記信号の振幅又は波高値を検出し、上記判定する手段が上記信号の振幅又は波高値を良品回路基板の場合のデータと比較することを特徴とする請求項8に記載の回路基板検査装置を提供する。
【0026】
この請求項9に記載の回路基板検査装置によれば、送信アンテナを介して送信装置から正弦波信号を含む電磁波を放射し、この電磁波信号の電磁誘導により誘起された検査対象の回路基板中の1つの回路上の信号を受信装置の検波回路から出力し、この検波回路から出力された信号の振幅又は波高値を良品回路基板の振幅又は波高値と比較することにより、検査対象の回路基板の回路の導通や絶縁の良否を判定することができる。これは、検査対象の回路基板の回路の導通性や絶縁性が変化すればそのインピーダンスが変化し、このインピーダンス変化に伴ない、電磁波信号の電磁誘導により誘起された検査対象の回路基板中の回路上の信号の振幅又は波高値も変化するからである。この検出された振幅又は波高値を良品回路基板の場合と比較することで、検査対象の回路の導通性や絶縁性が良品回路基板と同じ又は異なっているかを判定でき、よって高速、高精度で良否を判定できる。
【0027】
請求項10に記載の本発明は、上記送信装置が上記送信アンテナを介して放射する電磁波が正弦波信号を含み、上記受信装置の検出する手段が上記検波回路から出力される上記電磁波信号の電磁誘導により上記1つの回路に誘起された上記信号の電圧と上記送信装置の上記電磁波の正弦波信号の電圧の間の位相差を検出し、上記判定する手段が上記位相差を良品回路基板の場合のデータと比較することを特徴とする請求項8に記載の回路基板検査装置を提供する。
【0028】
この請求項10の回路基板検査装置によれば、送信アンテナを介して送信装置から正弦波信号を含む電磁波を放射し、受信装置の検出する手段が受信装置の検波回路から出力される電磁波信号の電磁誘導により誘起された検査対象の回路基板中の1つの回路上の信号の電圧と送信装置からの電磁波の正弦波信号の電圧と間の位相差を検出し、この位相差を良品回路基板の場合の位相差データと比較することにより、検査対象の回路基板の回路の導通や絶縁の良否を判定することができる。これは、検査対象の回路基板の回路の導通性や絶縁性が変化すればその回路が持つ容量値と抵抗値とインダクタンス値も変化しよってそのインピーダンスが変化し、このインピーダンス変化に伴ない電磁波信号の電磁誘導により誘起された検査対象の回路基板中の回路上の信号の電圧と送信装置からの電磁波の正弦波信号の電圧との間の位相差も変化するからである。この検出された位相差を良品回路基板の場合と比較することで、検査対象の回路の導通性や絶縁性が良品回路基板と同じ又は異なっているかを判定でき、よって良否を判定できる。
【0029】
請求項11に記載の本発明は、上記送信装置が上記送信アンテナを介して放射する電磁波が正弦波信号を含み、上記受信装置の検出する手段が上記検波回路から出力される上記電磁波信号の電磁誘導により上記1つの回路に誘起された上記信号の電流と上記送信装置の上記電磁波の正弦波信号の電流の間の位相差を検出し、上記判定する手段が上記位相差を良品回路基板の場合のデータと比較することを特徴とする請求項8に記載の回路基板検査装置を提供する。
【0030】
この請求項11の回路基板検査装置によれば、送信アンテナを介して送信装置から正弦波信号を含む電磁波を放射し、受信装置の検出する手段が受信装置の検波回路から出力される電磁波信号の電磁誘導により誘起された検査対象の回路基板中の1つの回路上の信号の電流と送信装置からの電磁波の正弦波信号の電流と間の位相差を検出し、この位相差を良品回路基板の場合の位相差データと比較することにより、検査対象の回路基板の回路の導通や絶縁の良否を判定することができる。これは、検査対象の回路基板の回路の導通性や絶縁性が変化すればその回路が持つ容量値と抵抗値とインダクタンス値も変化しよってそのインピーダンスが変化し、このインピーダンス変化に伴ない電磁波信号の電磁誘導により誘起された検査対象の回路基板中の回路上の信号の電流と送信装置からの電磁波の正弦波信号の電流との間の位相差も変化するからである。この検出された位相差を良品回路基板の場合と比較することで、検査対象の回路の導通性や絶縁性が良品回路基板と同じ又は異なっているかを判定でき、よって良否を判定できる。
【0031】
請求項12に記載の本発明は、上記送信装置が上記送信アンテナを介して放射する電磁波信号がバースト波を含み、上記受信装置の検出する手段が上記検波回路から出力される上記電磁波信号の電磁誘導により上記1つの回路に誘起された上記信号の矩形波成分のスキュー又は遅延を検出し、上記判定する手段が上記検出されたスキュー又は遅延を良品回路基板の場合のデータと比較することを特徴とする請求項8に記載の回路基板検査装置を提供する。
【0032】
この請求項12の回路基板検査装置によれば、送信アンテナを介して送信装置からバースト波を含む電磁波信号を放射し、受信装置の検出する手段が受信装置の検波回路から出力される電磁波信号の電磁誘導により誘起された検査対象の回路基板中の1つの回路上の信号の矩形波成分と送信装置からの電磁波信号の矩形波成分との間のスキュー又は遅延を検出し、このスキュー量又は遅延量を良品回路基板の場合のデータと比較することにより、検査対象の回路基板の回路の導通や絶縁の良否を判定することができる。これは、検査対象の回路基板の回路の導通性や絶縁性が変化すればその回路が持つ容量値と抵抗値とインダクタンス値も変化しよってそのインピーダンスが変化する。この変化したインピーダンスに起因して電磁波信号の電磁誘導により誘起されたる検査対象の回路基板中の回路上の信号の矩形波成分が送信装置の電磁波信号の矩形波成分に対して持つスキュー量又は遅延量も変化する。この検出されたスキュー量又は遅延量を良品回路基板の場合と比較することで、検査対象の回路の導通性や絶縁性が良品回路基板と同じ又は異なっているかを判定でき、よって高速、高精度で良否を判定できる。
【0033】
請求項13に記載の本発明は、上記送信装置が上記送信アンテナを介して放射する電磁波信号がデジタル変調波を含み、上記受信装置の検出する手段が上記検波回路から出力される上記電磁波信号の電磁誘導により上記1つの回路に誘起された上記信号の復調された波のスキュー又は遅延を検出し、上記判定する手段が上記検出されたスキュー又は遅延を良品回路基板の場合のデータと比較することを特徴とする請求項8に記載の回路基板検査装置を提供する。
【0034】
この請求項13の回路基板検査装置によれば、送信アンテナを介して送信装置からデジタル変調波を含む電磁波信号を放射し、受信装置の検出する手段が受信装置の検波回路から出力される電磁波信号の電磁誘導により誘起された検査対象の回路基板中の1つの回路上の信号の復調された波と送信装置からの電磁波信号の被変調波との間のスキュー又は遅延を検出し、このスキュー量又は遅延量を良品回路基板の場合のデータと比較することにより、検査対象の回路基板の回路の導通や絶縁の良否を判定することができる。これは、検査対象の回路基板の回路の導通性や絶縁性が変化すればその回路が持つ容量値と抵抗値とインダクタンス値も変化しよってそのインピーダンスが変化し、この変化したインピーダンスに起因して電磁波信号の電磁誘導により誘起された検査対象の回路基板中の回路上の信号の復調波が送信装置の電磁波信号の被変調波に対して持つスキュー量又は遅延量も変化する。この検出されたスキュー量又は遅延量を良品回路基板の場合と比較することで、検査対象の回路の導通性や絶縁性が良品回路基板と同じ又は異なっているかを判定でき、よって高速、高精度で良否を判定できる。
【0035】
請求項14に記載の本発明は、検査対象の回路基板に送信アンテナを介して電磁波信号を放射するステップと、上記検査対象の回路基板内の1つの回路を受信アンテナとして使用して上記電磁波信号の電磁誘導により上記回路に誘起される信号を検出するステップと、上記検出された信号のデータを良品回路基板の場合のデータと比較して上記検査対象の回路基板内の回路の良・不良を判定するステップとを含むことを特徴とする回路基板の検査方法を提供する。
【0036】
この請求項14の回路基板検査方法によれば、送信アンテナを介して送信装置から高周波電磁波信号を検査対象の回路基板へ放射し、回路基板内の1つの回路を受信アンテナとしてそこに電磁誘導で誘起される信号を検出して、良品回路基板の場合のデータと比較して、検査対象の回路基板の良・不良を判別する。本発明の回路基板検査方法では、検査回数は静電容量測定法と同じN回で済む(Nは検査対象の回路基板内の全回路数)。また、送信アンテナを介して高周波電磁波信号を検査対象の回路基板へ放射する構成のため、回路基板内に内層プレーンを持たないものでも検査対象として検査を行なうことができる。さらに、静電容量測定法の検査用金属プレートとは異なり、本発明の方法では送信アンテナは検査対象の回路基板と密着させる必要がないため、検査対象の回路基板の形状(反りや厚み)の変化により回路の良・不良の判定が左右されることがなく、擬似不良品の発生や不良品の見落としも防ぐことができる。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。図1は、本発明の1つの実施の形態による回路基板検査装置の要部の概略を示すブロック図である。本実施の形態では、電磁波信号を放出する送信アンテナ1として矩形のループコイル形状のものを使用している。送信アンテナ1は矩形に限らず、検査用途に応じて、円形、多角形のループコイル形状又はその他の形状を使用できる。送信アンテナ1は例えば装置設置面(床)に対して垂直に配置される。送信アンテナ1は、送信装置2に接続されている。送信装置2は、検査用途及び検査状況に応じて、正弦波信号若しくは矩形波信号若しくはバースト波若しくはデジタル変調波含む可変周波数f及び可変出力電圧Vを持つ電磁波を送信アンテナ1を介して出力する機能を有する。
【0038】
検査対象の回路基板3は、送信アンテナ1のループコイルのループ面と同一平面になるように配置される。回路基板3は内部に多数の配線層を含みいくつかの配線層間は接続されて回路又は回路パターン4を形成している。この回路基板3の両表面には回路又は回路パターン4の端子が露呈しており、この端子に外部からプローブ5を接触させることで回路又は回路パターン4に電気的に接続できるようになっている。この回路基板3を、送信アンテナ1のループコイルのループ面と同一平面になるように置いた状態で、送信装置2をから送信アンテナ1のループコイルを介して電磁波を放射すると、ループコイル周辺に電磁波の周波数に従って変化する電磁界が発生する。このうち磁界Bはループコイルのループ面及び回路基板3の面に対して垂直に発生する。この磁界Bは電磁波周波数に従って変動し、変動する磁界Bによって回路基板3内の回路又は回路パターン4上には電磁誘導により電磁波周波数に従って変動する電圧が誘起されて電磁波周波数を持った信号が発生する。すなわち、本発明の検査装置では、回路基板3内の回路又は回路パターン4は送信アンテナ1から放射された電磁波を受信するための受信アンテナとして使用される。
【0039】
本実施の形態の検査装置は、回路基板3の表及び裏の両表面側に回路基板3面と平行方向(XY方向)及び垂直方向(Z方向)に移動可能な金属製のムービングプローブ5を複数有し、上述の通り、回路基板3の表面に露呈した端子に接触することで回路基板3内の任意の回路又は回路パターン4と電気的に接続することができる。本実施の形態の検査装置は、回路基板3の1つの回路又は回路パターン4に電気的に接続したプローブ5から、回路又は回路パターン4上に電磁誘導により誘起された電圧信号を取り出して、プローブ5に接続された受信装置6に送る。
【0040】
受信装置6の同調回路は、送信装置2が送信する電磁波の周波数と連動して同じ周波数に同調されており、プローブ5から送られてきた信号を選択的に受信して取り出して増幅回路で増幅する。増幅された信号は受信装置6の検波回路で処理される。この検波回路の処理とは、プローブ5から送られてきた信号から回路又は回路パターン4が持つ固有の情報を抽出することをいう。固有の情報は、受信された信号の振幅値又は波高値などの値、若しくは、受信された信号と送信装置2が送信アンテナ1へ出力した電磁波信号との間の位相差又は矩形波成分の遅延又はスキュー等で表わされる。この固有情報は、回路又は回路パターン4の断線による導通不良又は短絡による絶縁不良に起因して変動するものであるから、回路又は回路パターン4の導通状態(断線の有無)又は絶縁状態(短絡の有無)を判別するために使用できるデータが含まれている。
【0041】
本実施の形態では、送信装置2は送信アンテナ1を介して正弦波信号を含む電磁波を回路基板3に放射する。すると、受信装置6検波回路は図2に示すようにプローブ5から送られてきた回路4又は回路パターンからの信号Sの振幅値Aを固有の情報として検出する。振幅値Aは回路又は回路パターン4の断線による導通不良又は短絡による絶縁不良に起因して変動する。
【0042】
例えば、もし、回路又は回路パターン4が断線していれば、磁場Bにより電磁誘導により誘起される回路部分が少なくなるから、信号Sの振幅値Aは断線していない場合の良品データよりも低くなるであろう。逆に、もし、回路又は回路パターン4が他の回路と短絡していれば、磁場Bにより電磁誘導により誘起される回路部分が多くなるから、信号Sの振幅値Aは短絡していない良品データよりも大きくなるであろう。
【0043】
この検出された固有の情報(振幅値A)は、検査装置の後段の信号処理部7でディジタル信号に変換され、データ比較部8において予め取得して記録してある良品の同じタイプの回路基板の対応する回路のデータと比較される。そして、データ比較部8は、検査対象の回路基板3の1つの回路4又は回路パターンからの信号Sの振幅値Aと予め取得して記録してある同じタイプの良品の回路基板の対応する回路の振幅値のデータとの違いが、許容差以上であれば、検査対象の回路基板3の1つの回路4又は回路パターンは途中で断線しているか若しくは他の回路と短絡している可能性が高いから不良と判定し、許容差内であれば良と判定する。
【0044】
図3に示す他の実施の形態では、送信装置2は送信アンテナ1を介して正弦波信号S1を含む電磁波を回路基板3に放射する。受信装置6の検波回路は、回路基板3の1つの回路4又は回路パターンからの信号S2と送信装置2から送信された電磁波の正弦波信号S1との間の電圧又は電流の位相差λを固有の情報として検出する。この位相差λは、回路又は回路パターン4の断線による導通不良又は短絡による絶縁不良に起因して変動する。
【0045】
例えば、回路又は回路パターン4が断線又は短絡すると、正常な回路又は回路パターン4の抵抗値R、容量値C、インダクタンス値Lとは異なる抵抗値R’、容量値C’、インダクタンス値L’を持ち、従って、断線又は短絡した回路又は回路パターン4は正常な回路又は回路パターン4の持つインピーダンス値Zと異なるインピーダンス値Z’持つ。このため、断線又は短絡した回路又は回路パターンの信号の電流又は電圧の位相差は正常な回路又は回路パターンの位相差とは異なる。
【0046】
この検出された固有の情報(位相差λ)は、検査装置の後段の信号処理部7でディジタル信号に変換され、データ比較部8において予め取得して記録してある良品の同じタイプの回路基板の対応する回路のデータと比較される。そして、データ比較部8は、検査対象の回路基板3の1つの回路4又は回路パターンからの信号Sの位相差λと予め取得して記録してある同じタイプの良品の回路基板の対応する回路の位相差のデータとの違いが、許容差以上であれば、検査対象の回路基板3の1つの回路4又は回路パターンは途中で断線しているか若しくは他の回路と短絡している可能性が高いから不良と判定し、許容差内であれば良と判定する。
【0047】
図4に示す他の実施の形態では、送信装置2は送信アンテナ1を介して矩形波送信信号S3の波形に対応したバースト波S4を含む電磁波を回路基板3に放射する。受信装置6の検波回路は、回路基板3の1つの回路4又は回路パターンから受信したバースト波を含む信号を復調して矩形波に戻した矩形波成分S5と送信装置2からの送信信号S3とを比較してその間のスキュー又遅延量Δを固有の情報として検出する。このスキュー又遅延量Δは、回路又は回路パターン4の断線による導通不良又は短絡による絶縁不良に起因して変動する。
【0048】
例えば、回路又は回路パターン4が断線又は短絡すると、正常な回路又は回路パターン4の抵抗値R、容量値C、インダクタンス値Lとは異なる抵抗値R’、容量値C’、インダクタンス値L’を持ち、従って、断線又は短絡した回路又は回路パターン4は正常な回路又は回路パターン4の持つインピーダンス値Zと異なるインピーダンス値Z’持つ。このため、断線又は短絡した回路又は回路パターンが受信した信号を復調した矩形波成分は正常な回路又は回路パターンの矩形波成分とは異なるスキュー又は遅延量を持つ。
【0049】
この検出された固有の情報(スキュー又遅延量Δ)は、検査装置の後段の信号処理部7でディジタル信号に変換され、データ比較部8において予め取得して記録してある良品の同じタイプの回路基板の対応する回路のデータと比較される。そして、データ比較部8は、検査対象の回路基板3の1つの回路4又は回路パターンからのスキュー又遅延量Δと予め取得して記録してある同じタイプの良品の回路基板の対応する回路のスキュー又遅延量のデータとの違いが、許容差以上であれば、検査対象の回路基板3の1つの回路4又は回路パターンは途中で断線しているか若しくは他の回路と短絡している可能性が高いから不良と判定し、許容差内であれば良と判定する。
【0050】
図5に示す他の実施の形態では、送信装置2は送信アンテナ1を介して矩形波信号(被変調波)S6をデジタル変調した電磁波搬送波を回路基板3に放射する。受信装置6の検波回路は、回路基板3の1つの回路4又は回路パターンから受信した信号を復調して得られた矩形波(復調波)S7と送信装置2からの被変調波(変調及び送信前の矩形波)S6とを比較してその間のスキュー又遅延量Dを固有の情報として検出する。このスキュー又遅延量Δは、回路又は回路パターン4の断線による導通不良又は短絡による絶縁不良に起因して変動する。
【0051】
例えば、回路又は回路パターン4が断線又は短絡すると、正常な回路又は回路パターン4の抵抗値R、容量値C、インダクタンス値Lとは異なる抵抗値R’、容量値C’、インダクタンス値L’を持ち、従って、断線又は短絡した回路又は回路パターン4は正常な回路又は回路パターン4の持つインピーダンス値Zと異なるインピーダンス値Z’持つ。このため、断線又は短絡した回路又は回路パターンが受信した信号を復調した矩形波は正常な回路又は回路パターンの矩形波とは異なるスキュー又は遅延量を持つ。
【0052】
この検出された固有の情報(スキュー又遅延量D)は、検査装置の後段の信号処理部7でディジタル信号に変換され、データ比較部8において予め取得して記録してある良品の同じタイプの回路基板の対応する回路のデータと比較される。そして、データ比較部8は、検査対象の回路基板3の1つの回路4又は回路パターンからのスキュー又遅延量Dと予め取得して記録してある同じタイプの良品の回路基板の対応する回路のスキュー又遅延量のデータとの違いが、許容差以上であれば、検査対象の回路基板3の1つの回路4又は回路パターンは途中で断線しているか若しくは他の回路と短絡している可能性が高いから不良と判定し、許容差内であれば良と判定する。
【0053】
このように、本発明では検査対象の回路基板の種類又は検査項目や検査状況に応じて、送信アンテナを介して送信装置から放出される電磁波に正弦波信号、バースト波、矩形波信号等を重畳又は変調でき、受信装置で検出する回路基板内の回路からの信号から検出される回路の良否を判定するための固有の情報も、振幅値、位相差、遅延量等、から選択できる。従って、本発明では検査対象の回路基板の種類又は検査項目や検査状況に応じて高速で高精度の検査ができる。
【0054】
次に、図6を参照して、本発明の回路基板検査装置の別の実施の形態について説明する。この実施の形態では、検査対象の回路基板3に向けて電磁波を放出する送信アンテナとして、検査対象の回路基板3内の回路又は回路パターン9を用いており、図1に示した実施の形態の送信アンテナ1を省略している。図6に示される実施の形態では、1つのムービングプローブ10が送信装置2に接続されていて、且つ、検査対象の回路基板3内の回路又は回路パターン9の回路基板3の表面に露呈した端子に接触していて、送信装置2が出力する電磁波を回路基板3に放射する。この電磁波によって回路基板3内の回路又は回路パターン4上に電磁誘導により電圧が誘起されて信号が発生される。
【0055】
図6に示す実施の形態の検査装置では、検査対象の回路基板3内の第一の回路又は回路パターン9を送信アンテナとして使用し、回路基板3内の別の第二の回路又は回路パターン4を送信アンテナから放射された電磁波を受信するための受信アンテナとして使用する。そして受信アンテナとして使用された回路又は回路パターン4の導通性能(断線の有無)と絶縁性能(短絡の有無)が検査される。
【0056】
すなわち、図6に示す実施の形態の検査装置では、図1に説明した実施の形態と同様にして受信アンテナとして使用された回路又は回路パターン4上に発生された信号をプローブ5を介して受信装置6に送信して、同調、増幅、検波して固有の情報(振幅値、波高値、位相差、スキュー又は遅延量)を抽出する。そして、図1に説明した実施の形態と同様に抽出された固有の情報を信号処理部7でA/D変換して、データ比較部8で良品データと比較して、検査対象の回路基板3の良否を判定する。
【0057】
【発明の効果】
この請求項1の本発明によれば、検査回数は静電容量測定法と同じN回で済む(Nは検査対象の回路基板内の全回路数)。また、回路基板内に内層プレーンを持たないものでも検査対象として検査を行なうことができる。さらに、送信アンテナは検査対象の回路基板と密着させる必要がないため、検査対象の回路基板の形状(反りや厚み)の変化により回路の良・不良の判定が左右されることがなく、擬似不良品の発生や不良品の見落としも防ぐことができる。
【0058】
請求項2に記載された本発明によれば、検査対象の回路基板は、ループコイル内にループ面と同一平面上に置くだけでよく、ループコイルと密着させる必要がなく、回路基板の形状(反りや厚み)の変化により測定が左右されることが防止できる。
【0059】
請求項3及び4に記載された本発明は、請求項2と同様な作用・効果を有する。
【0060】
請求項5に記載された本発明によれば、送信アンテナとして回路基板内の測定対象の回路以外の回路を使用すれば、特別な送信アンテナを必要とせず、検査装置を簡潔・安価に構成できる。
【0061】
請求項6に記載された本発明によれば、回路基板の両面に対して平行(XY)方向と垂直(Z)方向に移動できるムービングプローブにより回路基板の端子に接触して測定するため、固定プローブ方式に較べて、1つの回路基板検査装置により多品種少量生産の回路基板、特に高価な大型の回路基板、について検査が可能となる。
【0062】
請求項7に記載の本発明によれば、検査対象の回路基板に応じて、送信アンテナを介して送信装置から放射される電磁波信号の周波数と出力電圧を可変とすることにより、1つの回路基板検査装置により多品種少量生産の回路基板について検査が可能となる。
【0063】
請求項8に記載の本発明によれば、送信装置の電磁波信号の周波数変化と連動して受信装置の同調回路の受信周波数が可変となるため、電磁波信号の周波数を変化させて回路基板を検査することが容易となり、1つの回路基板検査装置により多品種少量生産の回路基板について検査に容易に対応が可能となる。
【0064】
請求項9に記載の本発明によれば、検査対象の回路基板中の回路で受信された信号の振幅又は波高値の検出という、従来の静電容量の測定とは異なって簡単な測定により、高速、高精度で回路基板の良否を判定できる。
【0065】
請求項10に記載の本発明によれば、検査対象の回路基板の回路で受信された信号の電圧と送信された信号の電圧との間の位相差を測定するという、従来の静電容量の測定とは異なって測定が比較的容易な相対量測定で、回路基板の良否を高速、高精度で判定できる。
【0066】
請求項11に記載の本発明によれば、検査対象の回路基板の回路で受信された信号の電流と送信された信号の電流との間の位相差を測定するという、従来の静電容量の測定とは異なって測定が比較的容易な相対量測定で、回路基板の良否を高速、高精度で判定できる。
【0067】
請求項12に記載の本発明によれば、検査対象の回路基板の回路で受信された信号の矩形波成分と送信信号の矩形波成分の間のスキュー量又は遅延量を測定するという、従来の静電容量の測定とは異なって測定が比較的容易な相対量測定で、回路基板の良否を高速、高精度で判定できる。
【0068】
請求項13に記載の本発明によれば、検査対象の回路基板の回路で受信され復調された矩形波信号と送信された矩形波信号の間のスキュー量又は遅延量を測定するという、従来の静電容量の測定とは異なって測定が比較的容易な相対量測定で、回路基板の良否を高速、高精度で判定できる。
【0069】
請求項14に記載の本発明によれば、検査回数は静電容量測定法と同じN回で済む(Nは検査対象の回路基板内の全回路数)。また、回路基板内に内層プレーンを持たないものでも検査対象として検査を行なうことができる。さらに、本発明の方法では送信アンテナは検査対象の回路基板と密着させる必要がないため、検査対象の回路基板の形状(反りや厚み)の変化により回路の良・不良の判定が左右されることがなく、擬似不良品の発生や不良品の見落としも防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1つの実施の形態による回路基板検査装置の要部の概略を示すブロック図。
【図2】本発明の実施の形態による回路基板内の回路により受信された信号の振幅を検出する様子を示す波形図。
【図3】本発明の他の実施の形態による回路基板内の回路により受信された正弦波信号と送信装置からの正弦波信号の位相差を検出する様子を示す波形図。
【図4】本発明の他の実施の形態による送信装置から送信される送信信号に対応したバースト波を含む電磁波と回路基板内の回路により受信された信号の矩形波成分との間のスキュー又は遅延量を検出する様子を示す波形図。
【図5】本発明の他の実施の形態による送信装置から送信される矩形波信号をディジタル変調した電磁波搬送波及び被変調矩形波と回路基板内の回路により受信された信号を復調した矩形波との間のスキュー又は遅延量を検出する様子を示す波形図。
【図6】本発明の別の実施の形態による回路基板検査装置の要部の概略を示すブロック図。
【符号の説明】
1 送信アンテナ
2 送信装置
3 検査対象の回路基板
4 回路
5 プローブ
6 受信装置
7 信号処理部
8 データ比較部
9 回路
10 プローブ
【発明の属する技術分野】
本発明は、回路基板の検査装置及び方法に関し、特に、電磁波信号を用いて回路基板中の回路の導通、絶縁性能等の良・不良を検出する回路基板検査装置及び方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
回路基板は普通、何層もの配線層を含み配線層間で接続された多数の回路若しくは回路パターンがその内部に形成されている。そして、回路基板中の回路若しくは回路パターンが設計通りに正しく形成されているかどうか、すなわち、回路が回路基板中で断線していて導通不良を生じたり、他の回路と短絡していて絶縁不良を生じたりせずに設計通りに形成されているかどうかの良・不良を検査することが回路基板の製造工程において大変重要である。
【0003】
従来からの代表的な回路基板検査装置及び方法としては、抵抗値検査による導通、絶縁検査がある。この抵抗値検査法は、検査対象の回路基板面上の1つの端子に出力プローブを接触させて基板内の回路パターンへ測定信号を流し、回路基板面上の他の端子に接触した入力プローブからその信号を検出して抵抗値測定を行ない、回路パターンの断線・短絡を判別する検査方法である。この抵抗値検査法では、検査対象の回路基板の全回路数Nとし、全ポイント数をPとすると、導通検査ではP−N回、絶縁検査では{Nx(N−1)}/2回の検査回数が必要である。このために検査に長時間を必要とする。
【0004】
このような抵抗値検査法の問題点を解決するものとして、特許文献1及び特許文献2に開示されるような静電容量測定法がある。この静電容量測定法は、基板の内層プレーンと回路パターン間の静電容量(特許文献1)、若しくは基板に密着させた検査用の金属プレートと回路パターン間との静電容量(特許文献2)を測定することにより、回路パターンの断線・短絡を判別する検査方法である。この静電容量測定法では測定回数はN回となり、抵抗値検査法に比べて検査時間は大幅に短縮される。
【0005】
しかし、静電容量測定法では検査時間は抵抗値検査法に比べて短縮できるが、静電容量測定のため回路基板の内層プレーン(特許文献1)又は回路基板外側から密着させる検査用プレート(特許文献2)が必要である。
【0006】
内層プレーンを使用した方式(特許文献1)では内層プレーンを持たない回路基板を測定すると回路パターンの良・不良を判別できる程度の容量値の変化は得られないため、検査自体が不可能となる。
【0007】
検査用金属プレートを使用した方式(特許文献2)では金属プレートを回路基板のどちらかの面に密着させる必要があり片面づつの測定となり、やはり結果的に検査時間が長くなる。また、検査用金属プレートを使用した方式(特許文献2)では回路基板の反り、厚みのバラツキがある場合、検査用金属プレートとの間の静電容量値が変化してしまうため、擬似回路不良の発生又は回路不良の見逃しが生ずる可能性がある。
【0008】
上述の回路基板の形状(反りや厚み)のバラツキ等に左右され、そして検査用金属プレートを回路基板の両面に密着させ必要がある従来の静電容量測定法の問題を解決するため、高周波信号を回路基板の電源プレーン層から入力して、回路基板の信号ラインから出力される出力信号との間の位相差を測定することで、絶縁検査や導通検査を行なう回路基板検査方法と検査装置が開示されている(非特許文献1)。
【0009】
【特許文献1】
特公昭57−30227号公報
【特許文献2】
特公平4−17394号公報
【非特許文献1】
秀平頼夫著“BGA/CSP用ムービングプローブ方式ベアボードテスタ”、「電子材料」、工業調査会発行、1999年9月号、第38巻第9号、77頁〜81頁(特に、79頁)。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、非特許文献1に開示されている回路基板検査方法及び検査装置は、回路基板の内層プレーンを使用してそこに高周波信号を入力する方式のため、内層プレーンを持たない回路基板を検査するためには使用できず、そして、電源プレーン層から入力された高周波信号と信号ラインから出力される出力信号との間の位相差のみの測定であるため、広範囲の回路の導通性能、絶縁性能の良否を高速で高精度で判定するためには十分とは言えないという課題をなお有する。
【0011】
従って、本発明の目的は上記課題を解決して高速で且つ精度の高い回路基板検査装置及び検査方法を提供して、回路基板検査工程の効率化を図るものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載された本発明は、検査対象の回路基板に送信アンテナを介して電磁波信号を放射する送信装置と、上記検査対象の回路基板内の1つの回路を受信アンテナとして使用して上記電磁波信号の電磁誘導により上記回路に誘起される信号を検出する手段を含む受信装置と、上記検出された信号のデータを良品回路基板の場合のデータと比較して上記検査対象の回路基板内の回路の良又は不良を判定する手段とを備えたことを特徴とする回路基板検査装置を提供する。
【0013】
この請求項1の回路基板検査装置によれば、送信アンテナを介して送信装置から高周波電磁波信号を検査対象の回路基板へ放射し、回路基板内の回路を受信アンテナとしてそこに電磁誘導で誘起される信号を検出して、良品回路基板の場合のデータと比較して、検査対象の回路基板の導通性能や絶縁性能の良・不良を判別する。本発明の回路基板検査装置では、検査回数は静電容量測定法と同じN回で済む(Nは検査対象の回路基板内の全回路数)。また、送信アンテナを介して高周波電磁波信号を検査対象の回路基板へ放射する構成のため、回路基板内に内層プレーンを持たないものでも検査対象として検査を行なうことができる。さらに、静電容量測定法の検査用金属プレートとは異なり、本発明の検査装置の送信アンテナは検査対象の回路基板と密着させる必要がないため、検査対象の回路基板の形状(反りや厚み)の変化により回路の良・不良の判定が左右されることがなく、擬似不良品の発生や不良品の見落としも防ぐことができる。
【0014】
請求項2に記載された本発明は、上記送信アンテナが、ループコイル形状を有し、そのループ内に放射される上記電磁波信号の磁界の向きと垂直に上記検査対象の回路基板を置くことを特徴とする請求項1に記載の回路基板検査装置を提供する。
【0015】
この請求項2の回路基板検査装置によれば、電磁波信号を放射する送信アンテナとして送信装置に接続したループコイルを使用し、検査対象の回路基板をこのループコイル内にループ面と同一平面上に設置する。すると、ループコイルの送信アンテナから放射された電磁波信号によって発生した磁界が基板上の回路又は回路パターンを垂直に貫くため、回路又は回路パターン上に磁界による電磁誘導電圧が発生する。この電磁誘導電圧により回路又は回路パターンに誘起される信号を検出することより回路又は回路パターンの導通の良・不良、絶縁の良・不良を検査できる。このように、検査対象の回路基板は、ループコイル内にループ面と同一平面上に置くだけでよく、ループコイルと密着させる必要がなく、回路基板の形状(反りや厚み)の変化により測定が左右されることが防止できる。
【0016】
請求項3及び4に記載された本発明は、請求項2と同様な作用・効果を有する。
【0017】
請求項5に記載された本発明は、上記送信アンテナが上記検査対象の回路基板内の第一の回路であり、上記第一の回路とは異なる上記検査対象の回路基板内の第二の回路が上記受信アンテナとして使用される上記1つの回路であることを特徴とする請求項1に記載の回路基板検査装置が提供される。
【0018】
この請求項5の回路基板検査装置によれば、電磁波信号を放射する送信アンテナとして回路基板のいずれか1つの回路(第一の回路)を使用し、そこから放射された電磁波信号を別の回路(第二の回路)を受信アンテナとして受信して、この別の回路(第二の回路)が導通性能、絶縁性能の良否を判定される回路とすることかできる。このように送信アンテナとして回路基板内の測定対象の回路以外の回路を使用すれば、特別な送信アンテナを必要とせず、検査装置を簡潔・安価に構成できる。
【0019】
請求項6に記載された本発明は、上記検出する手段が上記検査対象の回路基板の両面に対して平行及び垂直方向移動可能で且つ上記検査対象の回路基板面上の端子と接触できる金属プローブを含むことを特徴とする請求項1に記載の回路基板検査装置を提供する。
【0020】
この請求項6の回路基板検査装置によれば、回路基板の両面に対して平行(XY)方向と垂直(Z)方向に移動できるムービングプローブにより回路基板の端子に接触して測定するため、固定プローブ方式に較べて、1つの回路基板検査装置により多品種少量生産の回路基板、特に高価な大型の回路基板、について検査が可能となる。
【0021】
請求項7に記載の本発明は、上記送信装置が上記送信アンテナを介して放射する電磁波信号の周波数及び出力電圧を可変としたことを特徴とする請求項1に記載の回路基板検査装置を提供する。
【0022】
この請求項7の回路基板検査装置によれば、検査対象の回路基板に応じて、送信アンテナを介して送信装置から放射される電磁波信号の周波数と出力電圧を可変とすることにより、1つの回路基板検査装置により多品種少量生産の回路基板について検査が可能となる。
【0023】
請求項8に記載の本発明は、上記受信装置が上記送信装置の電磁波信号の周波数変化と連動して受信周波数を可変とした同調回路と増幅回路と検波回路を含むことを特徴とする請求項7に記載の回路基板検査装置が提供される。
【0024】
この請求項8の回路基板検査装置によれば、送信装置の電磁波信号の周波数変化と連動して受信装置の同調回路の受信周波数が可変となるため、電磁波信号の周波数を変化させて回路基板を検査することが容易となり、1つの回路基板検査装置により多品種少量生産の回路基板について検査に容易に対応が可能となる。
【0025】
請求項9に記載の本発明は、上記送信装置が上記送信アンテナを介して放射する電磁波が正弦波信号を含み、上記受信装置の検出する手段が上記検波回路から出力される上記電磁波信号の電磁誘導により上記1つの回路に誘起された上記信号の振幅又は波高値を検出し、上記判定する手段が上記信号の振幅又は波高値を良品回路基板の場合のデータと比較することを特徴とする請求項8に記載の回路基板検査装置を提供する。
【0026】
この請求項9に記載の回路基板検査装置によれば、送信アンテナを介して送信装置から正弦波信号を含む電磁波を放射し、この電磁波信号の電磁誘導により誘起された検査対象の回路基板中の1つの回路上の信号を受信装置の検波回路から出力し、この検波回路から出力された信号の振幅又は波高値を良品回路基板の振幅又は波高値と比較することにより、検査対象の回路基板の回路の導通や絶縁の良否を判定することができる。これは、検査対象の回路基板の回路の導通性や絶縁性が変化すればそのインピーダンスが変化し、このインピーダンス変化に伴ない、電磁波信号の電磁誘導により誘起された検査対象の回路基板中の回路上の信号の振幅又は波高値も変化するからである。この検出された振幅又は波高値を良品回路基板の場合と比較することで、検査対象の回路の導通性や絶縁性が良品回路基板と同じ又は異なっているかを判定でき、よって高速、高精度で良否を判定できる。
【0027】
請求項10に記載の本発明は、上記送信装置が上記送信アンテナを介して放射する電磁波が正弦波信号を含み、上記受信装置の検出する手段が上記検波回路から出力される上記電磁波信号の電磁誘導により上記1つの回路に誘起された上記信号の電圧と上記送信装置の上記電磁波の正弦波信号の電圧の間の位相差を検出し、上記判定する手段が上記位相差を良品回路基板の場合のデータと比較することを特徴とする請求項8に記載の回路基板検査装置を提供する。
【0028】
この請求項10の回路基板検査装置によれば、送信アンテナを介して送信装置から正弦波信号を含む電磁波を放射し、受信装置の検出する手段が受信装置の検波回路から出力される電磁波信号の電磁誘導により誘起された検査対象の回路基板中の1つの回路上の信号の電圧と送信装置からの電磁波の正弦波信号の電圧と間の位相差を検出し、この位相差を良品回路基板の場合の位相差データと比較することにより、検査対象の回路基板の回路の導通や絶縁の良否を判定することができる。これは、検査対象の回路基板の回路の導通性や絶縁性が変化すればその回路が持つ容量値と抵抗値とインダクタンス値も変化しよってそのインピーダンスが変化し、このインピーダンス変化に伴ない電磁波信号の電磁誘導により誘起された検査対象の回路基板中の回路上の信号の電圧と送信装置からの電磁波の正弦波信号の電圧との間の位相差も変化するからである。この検出された位相差を良品回路基板の場合と比較することで、検査対象の回路の導通性や絶縁性が良品回路基板と同じ又は異なっているかを判定でき、よって良否を判定できる。
【0029】
請求項11に記載の本発明は、上記送信装置が上記送信アンテナを介して放射する電磁波が正弦波信号を含み、上記受信装置の検出する手段が上記検波回路から出力される上記電磁波信号の電磁誘導により上記1つの回路に誘起された上記信号の電流と上記送信装置の上記電磁波の正弦波信号の電流の間の位相差を検出し、上記判定する手段が上記位相差を良品回路基板の場合のデータと比較することを特徴とする請求項8に記載の回路基板検査装置を提供する。
【0030】
この請求項11の回路基板検査装置によれば、送信アンテナを介して送信装置から正弦波信号を含む電磁波を放射し、受信装置の検出する手段が受信装置の検波回路から出力される電磁波信号の電磁誘導により誘起された検査対象の回路基板中の1つの回路上の信号の電流と送信装置からの電磁波の正弦波信号の電流と間の位相差を検出し、この位相差を良品回路基板の場合の位相差データと比較することにより、検査対象の回路基板の回路の導通や絶縁の良否を判定することができる。これは、検査対象の回路基板の回路の導通性や絶縁性が変化すればその回路が持つ容量値と抵抗値とインダクタンス値も変化しよってそのインピーダンスが変化し、このインピーダンス変化に伴ない電磁波信号の電磁誘導により誘起された検査対象の回路基板中の回路上の信号の電流と送信装置からの電磁波の正弦波信号の電流との間の位相差も変化するからである。この検出された位相差を良品回路基板の場合と比較することで、検査対象の回路の導通性や絶縁性が良品回路基板と同じ又は異なっているかを判定でき、よって良否を判定できる。
【0031】
請求項12に記載の本発明は、上記送信装置が上記送信アンテナを介して放射する電磁波信号がバースト波を含み、上記受信装置の検出する手段が上記検波回路から出力される上記電磁波信号の電磁誘導により上記1つの回路に誘起された上記信号の矩形波成分のスキュー又は遅延を検出し、上記判定する手段が上記検出されたスキュー又は遅延を良品回路基板の場合のデータと比較することを特徴とする請求項8に記載の回路基板検査装置を提供する。
【0032】
この請求項12の回路基板検査装置によれば、送信アンテナを介して送信装置からバースト波を含む電磁波信号を放射し、受信装置の検出する手段が受信装置の検波回路から出力される電磁波信号の電磁誘導により誘起された検査対象の回路基板中の1つの回路上の信号の矩形波成分と送信装置からの電磁波信号の矩形波成分との間のスキュー又は遅延を検出し、このスキュー量又は遅延量を良品回路基板の場合のデータと比較することにより、検査対象の回路基板の回路の導通や絶縁の良否を判定することができる。これは、検査対象の回路基板の回路の導通性や絶縁性が変化すればその回路が持つ容量値と抵抗値とインダクタンス値も変化しよってそのインピーダンスが変化する。この変化したインピーダンスに起因して電磁波信号の電磁誘導により誘起されたる検査対象の回路基板中の回路上の信号の矩形波成分が送信装置の電磁波信号の矩形波成分に対して持つスキュー量又は遅延量も変化する。この検出されたスキュー量又は遅延量を良品回路基板の場合と比較することで、検査対象の回路の導通性や絶縁性が良品回路基板と同じ又は異なっているかを判定でき、よって高速、高精度で良否を判定できる。
【0033】
請求項13に記載の本発明は、上記送信装置が上記送信アンテナを介して放射する電磁波信号がデジタル変調波を含み、上記受信装置の検出する手段が上記検波回路から出力される上記電磁波信号の電磁誘導により上記1つの回路に誘起された上記信号の復調された波のスキュー又は遅延を検出し、上記判定する手段が上記検出されたスキュー又は遅延を良品回路基板の場合のデータと比較することを特徴とする請求項8に記載の回路基板検査装置を提供する。
【0034】
この請求項13の回路基板検査装置によれば、送信アンテナを介して送信装置からデジタル変調波を含む電磁波信号を放射し、受信装置の検出する手段が受信装置の検波回路から出力される電磁波信号の電磁誘導により誘起された検査対象の回路基板中の1つの回路上の信号の復調された波と送信装置からの電磁波信号の被変調波との間のスキュー又は遅延を検出し、このスキュー量又は遅延量を良品回路基板の場合のデータと比較することにより、検査対象の回路基板の回路の導通や絶縁の良否を判定することができる。これは、検査対象の回路基板の回路の導通性や絶縁性が変化すればその回路が持つ容量値と抵抗値とインダクタンス値も変化しよってそのインピーダンスが変化し、この変化したインピーダンスに起因して電磁波信号の電磁誘導により誘起された検査対象の回路基板中の回路上の信号の復調波が送信装置の電磁波信号の被変調波に対して持つスキュー量又は遅延量も変化する。この検出されたスキュー量又は遅延量を良品回路基板の場合と比較することで、検査対象の回路の導通性や絶縁性が良品回路基板と同じ又は異なっているかを判定でき、よって高速、高精度で良否を判定できる。
【0035】
請求項14に記載の本発明は、検査対象の回路基板に送信アンテナを介して電磁波信号を放射するステップと、上記検査対象の回路基板内の1つの回路を受信アンテナとして使用して上記電磁波信号の電磁誘導により上記回路に誘起される信号を検出するステップと、上記検出された信号のデータを良品回路基板の場合のデータと比較して上記検査対象の回路基板内の回路の良・不良を判定するステップとを含むことを特徴とする回路基板の検査方法を提供する。
【0036】
この請求項14の回路基板検査方法によれば、送信アンテナを介して送信装置から高周波電磁波信号を検査対象の回路基板へ放射し、回路基板内の1つの回路を受信アンテナとしてそこに電磁誘導で誘起される信号を検出して、良品回路基板の場合のデータと比較して、検査対象の回路基板の良・不良を判別する。本発明の回路基板検査方法では、検査回数は静電容量測定法と同じN回で済む(Nは検査対象の回路基板内の全回路数)。また、送信アンテナを介して高周波電磁波信号を検査対象の回路基板へ放射する構成のため、回路基板内に内層プレーンを持たないものでも検査対象として検査を行なうことができる。さらに、静電容量測定法の検査用金属プレートとは異なり、本発明の方法では送信アンテナは検査対象の回路基板と密着させる必要がないため、検査対象の回路基板の形状(反りや厚み)の変化により回路の良・不良の判定が左右されることがなく、擬似不良品の発生や不良品の見落としも防ぐことができる。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。図1は、本発明の1つの実施の形態による回路基板検査装置の要部の概略を示すブロック図である。本実施の形態では、電磁波信号を放出する送信アンテナ1として矩形のループコイル形状のものを使用している。送信アンテナ1は矩形に限らず、検査用途に応じて、円形、多角形のループコイル形状又はその他の形状を使用できる。送信アンテナ1は例えば装置設置面(床)に対して垂直に配置される。送信アンテナ1は、送信装置2に接続されている。送信装置2は、検査用途及び検査状況に応じて、正弦波信号若しくは矩形波信号若しくはバースト波若しくはデジタル変調波含む可変周波数f及び可変出力電圧Vを持つ電磁波を送信アンテナ1を介して出力する機能を有する。
【0038】
検査対象の回路基板3は、送信アンテナ1のループコイルのループ面と同一平面になるように配置される。回路基板3は内部に多数の配線層を含みいくつかの配線層間は接続されて回路又は回路パターン4を形成している。この回路基板3の両表面には回路又は回路パターン4の端子が露呈しており、この端子に外部からプローブ5を接触させることで回路又は回路パターン4に電気的に接続できるようになっている。この回路基板3を、送信アンテナ1のループコイルのループ面と同一平面になるように置いた状態で、送信装置2をから送信アンテナ1のループコイルを介して電磁波を放射すると、ループコイル周辺に電磁波の周波数に従って変化する電磁界が発生する。このうち磁界Bはループコイルのループ面及び回路基板3の面に対して垂直に発生する。この磁界Bは電磁波周波数に従って変動し、変動する磁界Bによって回路基板3内の回路又は回路パターン4上には電磁誘導により電磁波周波数に従って変動する電圧が誘起されて電磁波周波数を持った信号が発生する。すなわち、本発明の検査装置では、回路基板3内の回路又は回路パターン4は送信アンテナ1から放射された電磁波を受信するための受信アンテナとして使用される。
【0039】
本実施の形態の検査装置は、回路基板3の表及び裏の両表面側に回路基板3面と平行方向(XY方向)及び垂直方向(Z方向)に移動可能な金属製のムービングプローブ5を複数有し、上述の通り、回路基板3の表面に露呈した端子に接触することで回路基板3内の任意の回路又は回路パターン4と電気的に接続することができる。本実施の形態の検査装置は、回路基板3の1つの回路又は回路パターン4に電気的に接続したプローブ5から、回路又は回路パターン4上に電磁誘導により誘起された電圧信号を取り出して、プローブ5に接続された受信装置6に送る。
【0040】
受信装置6の同調回路は、送信装置2が送信する電磁波の周波数と連動して同じ周波数に同調されており、プローブ5から送られてきた信号を選択的に受信して取り出して増幅回路で増幅する。増幅された信号は受信装置6の検波回路で処理される。この検波回路の処理とは、プローブ5から送られてきた信号から回路又は回路パターン4が持つ固有の情報を抽出することをいう。固有の情報は、受信された信号の振幅値又は波高値などの値、若しくは、受信された信号と送信装置2が送信アンテナ1へ出力した電磁波信号との間の位相差又は矩形波成分の遅延又はスキュー等で表わされる。この固有情報は、回路又は回路パターン4の断線による導通不良又は短絡による絶縁不良に起因して変動するものであるから、回路又は回路パターン4の導通状態(断線の有無)又は絶縁状態(短絡の有無)を判別するために使用できるデータが含まれている。
【0041】
本実施の形態では、送信装置2は送信アンテナ1を介して正弦波信号を含む電磁波を回路基板3に放射する。すると、受信装置6検波回路は図2に示すようにプローブ5から送られてきた回路4又は回路パターンからの信号Sの振幅値Aを固有の情報として検出する。振幅値Aは回路又は回路パターン4の断線による導通不良又は短絡による絶縁不良に起因して変動する。
【0042】
例えば、もし、回路又は回路パターン4が断線していれば、磁場Bにより電磁誘導により誘起される回路部分が少なくなるから、信号Sの振幅値Aは断線していない場合の良品データよりも低くなるであろう。逆に、もし、回路又は回路パターン4が他の回路と短絡していれば、磁場Bにより電磁誘導により誘起される回路部分が多くなるから、信号Sの振幅値Aは短絡していない良品データよりも大きくなるであろう。
【0043】
この検出された固有の情報(振幅値A)は、検査装置の後段の信号処理部7でディジタル信号に変換され、データ比較部8において予め取得して記録してある良品の同じタイプの回路基板の対応する回路のデータと比較される。そして、データ比較部8は、検査対象の回路基板3の1つの回路4又は回路パターンからの信号Sの振幅値Aと予め取得して記録してある同じタイプの良品の回路基板の対応する回路の振幅値のデータとの違いが、許容差以上であれば、検査対象の回路基板3の1つの回路4又は回路パターンは途中で断線しているか若しくは他の回路と短絡している可能性が高いから不良と判定し、許容差内であれば良と判定する。
【0044】
図3に示す他の実施の形態では、送信装置2は送信アンテナ1を介して正弦波信号S1を含む電磁波を回路基板3に放射する。受信装置6の検波回路は、回路基板3の1つの回路4又は回路パターンからの信号S2と送信装置2から送信された電磁波の正弦波信号S1との間の電圧又は電流の位相差λを固有の情報として検出する。この位相差λは、回路又は回路パターン4の断線による導通不良又は短絡による絶縁不良に起因して変動する。
【0045】
例えば、回路又は回路パターン4が断線又は短絡すると、正常な回路又は回路パターン4の抵抗値R、容量値C、インダクタンス値Lとは異なる抵抗値R’、容量値C’、インダクタンス値L’を持ち、従って、断線又は短絡した回路又は回路パターン4は正常な回路又は回路パターン4の持つインピーダンス値Zと異なるインピーダンス値Z’持つ。このため、断線又は短絡した回路又は回路パターンの信号の電流又は電圧の位相差は正常な回路又は回路パターンの位相差とは異なる。
【0046】
この検出された固有の情報(位相差λ)は、検査装置の後段の信号処理部7でディジタル信号に変換され、データ比較部8において予め取得して記録してある良品の同じタイプの回路基板の対応する回路のデータと比較される。そして、データ比較部8は、検査対象の回路基板3の1つの回路4又は回路パターンからの信号Sの位相差λと予め取得して記録してある同じタイプの良品の回路基板の対応する回路の位相差のデータとの違いが、許容差以上であれば、検査対象の回路基板3の1つの回路4又は回路パターンは途中で断線しているか若しくは他の回路と短絡している可能性が高いから不良と判定し、許容差内であれば良と判定する。
【0047】
図4に示す他の実施の形態では、送信装置2は送信アンテナ1を介して矩形波送信信号S3の波形に対応したバースト波S4を含む電磁波を回路基板3に放射する。受信装置6の検波回路は、回路基板3の1つの回路4又は回路パターンから受信したバースト波を含む信号を復調して矩形波に戻した矩形波成分S5と送信装置2からの送信信号S3とを比較してその間のスキュー又遅延量Δを固有の情報として検出する。このスキュー又遅延量Δは、回路又は回路パターン4の断線による導通不良又は短絡による絶縁不良に起因して変動する。
【0048】
例えば、回路又は回路パターン4が断線又は短絡すると、正常な回路又は回路パターン4の抵抗値R、容量値C、インダクタンス値Lとは異なる抵抗値R’、容量値C’、インダクタンス値L’を持ち、従って、断線又は短絡した回路又は回路パターン4は正常な回路又は回路パターン4の持つインピーダンス値Zと異なるインピーダンス値Z’持つ。このため、断線又は短絡した回路又は回路パターンが受信した信号を復調した矩形波成分は正常な回路又は回路パターンの矩形波成分とは異なるスキュー又は遅延量を持つ。
【0049】
この検出された固有の情報(スキュー又遅延量Δ)は、検査装置の後段の信号処理部7でディジタル信号に変換され、データ比較部8において予め取得して記録してある良品の同じタイプの回路基板の対応する回路のデータと比較される。そして、データ比較部8は、検査対象の回路基板3の1つの回路4又は回路パターンからのスキュー又遅延量Δと予め取得して記録してある同じタイプの良品の回路基板の対応する回路のスキュー又遅延量のデータとの違いが、許容差以上であれば、検査対象の回路基板3の1つの回路4又は回路パターンは途中で断線しているか若しくは他の回路と短絡している可能性が高いから不良と判定し、許容差内であれば良と判定する。
【0050】
図5に示す他の実施の形態では、送信装置2は送信アンテナ1を介して矩形波信号(被変調波)S6をデジタル変調した電磁波搬送波を回路基板3に放射する。受信装置6の検波回路は、回路基板3の1つの回路4又は回路パターンから受信した信号を復調して得られた矩形波(復調波)S7と送信装置2からの被変調波(変調及び送信前の矩形波)S6とを比較してその間のスキュー又遅延量Dを固有の情報として検出する。このスキュー又遅延量Δは、回路又は回路パターン4の断線による導通不良又は短絡による絶縁不良に起因して変動する。
【0051】
例えば、回路又は回路パターン4が断線又は短絡すると、正常な回路又は回路パターン4の抵抗値R、容量値C、インダクタンス値Lとは異なる抵抗値R’、容量値C’、インダクタンス値L’を持ち、従って、断線又は短絡した回路又は回路パターン4は正常な回路又は回路パターン4の持つインピーダンス値Zと異なるインピーダンス値Z’持つ。このため、断線又は短絡した回路又は回路パターンが受信した信号を復調した矩形波は正常な回路又は回路パターンの矩形波とは異なるスキュー又は遅延量を持つ。
【0052】
この検出された固有の情報(スキュー又遅延量D)は、検査装置の後段の信号処理部7でディジタル信号に変換され、データ比較部8において予め取得して記録してある良品の同じタイプの回路基板の対応する回路のデータと比較される。そして、データ比較部8は、検査対象の回路基板3の1つの回路4又は回路パターンからのスキュー又遅延量Dと予め取得して記録してある同じタイプの良品の回路基板の対応する回路のスキュー又遅延量のデータとの違いが、許容差以上であれば、検査対象の回路基板3の1つの回路4又は回路パターンは途中で断線しているか若しくは他の回路と短絡している可能性が高いから不良と判定し、許容差内であれば良と判定する。
【0053】
このように、本発明では検査対象の回路基板の種類又は検査項目や検査状況に応じて、送信アンテナを介して送信装置から放出される電磁波に正弦波信号、バースト波、矩形波信号等を重畳又は変調でき、受信装置で検出する回路基板内の回路からの信号から検出される回路の良否を判定するための固有の情報も、振幅値、位相差、遅延量等、から選択できる。従って、本発明では検査対象の回路基板の種類又は検査項目や検査状況に応じて高速で高精度の検査ができる。
【0054】
次に、図6を参照して、本発明の回路基板検査装置の別の実施の形態について説明する。この実施の形態では、検査対象の回路基板3に向けて電磁波を放出する送信アンテナとして、検査対象の回路基板3内の回路又は回路パターン9を用いており、図1に示した実施の形態の送信アンテナ1を省略している。図6に示される実施の形態では、1つのムービングプローブ10が送信装置2に接続されていて、且つ、検査対象の回路基板3内の回路又は回路パターン9の回路基板3の表面に露呈した端子に接触していて、送信装置2が出力する電磁波を回路基板3に放射する。この電磁波によって回路基板3内の回路又は回路パターン4上に電磁誘導により電圧が誘起されて信号が発生される。
【0055】
図6に示す実施の形態の検査装置では、検査対象の回路基板3内の第一の回路又は回路パターン9を送信アンテナとして使用し、回路基板3内の別の第二の回路又は回路パターン4を送信アンテナから放射された電磁波を受信するための受信アンテナとして使用する。そして受信アンテナとして使用された回路又は回路パターン4の導通性能(断線の有無)と絶縁性能(短絡の有無)が検査される。
【0056】
すなわち、図6に示す実施の形態の検査装置では、図1に説明した実施の形態と同様にして受信アンテナとして使用された回路又は回路パターン4上に発生された信号をプローブ5を介して受信装置6に送信して、同調、増幅、検波して固有の情報(振幅値、波高値、位相差、スキュー又は遅延量)を抽出する。そして、図1に説明した実施の形態と同様に抽出された固有の情報を信号処理部7でA/D変換して、データ比較部8で良品データと比較して、検査対象の回路基板3の良否を判定する。
【0057】
【発明の効果】
この請求項1の本発明によれば、検査回数は静電容量測定法と同じN回で済む(Nは検査対象の回路基板内の全回路数)。また、回路基板内に内層プレーンを持たないものでも検査対象として検査を行なうことができる。さらに、送信アンテナは検査対象の回路基板と密着させる必要がないため、検査対象の回路基板の形状(反りや厚み)の変化により回路の良・不良の判定が左右されることがなく、擬似不良品の発生や不良品の見落としも防ぐことができる。
【0058】
請求項2に記載された本発明によれば、検査対象の回路基板は、ループコイル内にループ面と同一平面上に置くだけでよく、ループコイルと密着させる必要がなく、回路基板の形状(反りや厚み)の変化により測定が左右されることが防止できる。
【0059】
請求項3及び4に記載された本発明は、請求項2と同様な作用・効果を有する。
【0060】
請求項5に記載された本発明によれば、送信アンテナとして回路基板内の測定対象の回路以外の回路を使用すれば、特別な送信アンテナを必要とせず、検査装置を簡潔・安価に構成できる。
【0061】
請求項6に記載された本発明によれば、回路基板の両面に対して平行(XY)方向と垂直(Z)方向に移動できるムービングプローブにより回路基板の端子に接触して測定するため、固定プローブ方式に較べて、1つの回路基板検査装置により多品種少量生産の回路基板、特に高価な大型の回路基板、について検査が可能となる。
【0062】
請求項7に記載の本発明によれば、検査対象の回路基板に応じて、送信アンテナを介して送信装置から放射される電磁波信号の周波数と出力電圧を可変とすることにより、1つの回路基板検査装置により多品種少量生産の回路基板について検査が可能となる。
【0063】
請求項8に記載の本発明によれば、送信装置の電磁波信号の周波数変化と連動して受信装置の同調回路の受信周波数が可変となるため、電磁波信号の周波数を変化させて回路基板を検査することが容易となり、1つの回路基板検査装置により多品種少量生産の回路基板について検査に容易に対応が可能となる。
【0064】
請求項9に記載の本発明によれば、検査対象の回路基板中の回路で受信された信号の振幅又は波高値の検出という、従来の静電容量の測定とは異なって簡単な測定により、高速、高精度で回路基板の良否を判定できる。
【0065】
請求項10に記載の本発明によれば、検査対象の回路基板の回路で受信された信号の電圧と送信された信号の電圧との間の位相差を測定するという、従来の静電容量の測定とは異なって測定が比較的容易な相対量測定で、回路基板の良否を高速、高精度で判定できる。
【0066】
請求項11に記載の本発明によれば、検査対象の回路基板の回路で受信された信号の電流と送信された信号の電流との間の位相差を測定するという、従来の静電容量の測定とは異なって測定が比較的容易な相対量測定で、回路基板の良否を高速、高精度で判定できる。
【0067】
請求項12に記載の本発明によれば、検査対象の回路基板の回路で受信された信号の矩形波成分と送信信号の矩形波成分の間のスキュー量又は遅延量を測定するという、従来の静電容量の測定とは異なって測定が比較的容易な相対量測定で、回路基板の良否を高速、高精度で判定できる。
【0068】
請求項13に記載の本発明によれば、検査対象の回路基板の回路で受信され復調された矩形波信号と送信された矩形波信号の間のスキュー量又は遅延量を測定するという、従来の静電容量の測定とは異なって測定が比較的容易な相対量測定で、回路基板の良否を高速、高精度で判定できる。
【0069】
請求項14に記載の本発明によれば、検査回数は静電容量測定法と同じN回で済む(Nは検査対象の回路基板内の全回路数)。また、回路基板内に内層プレーンを持たないものでも検査対象として検査を行なうことができる。さらに、本発明の方法では送信アンテナは検査対象の回路基板と密着させる必要がないため、検査対象の回路基板の形状(反りや厚み)の変化により回路の良・不良の判定が左右されることがなく、擬似不良品の発生や不良品の見落としも防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1つの実施の形態による回路基板検査装置の要部の概略を示すブロック図。
【図2】本発明の実施の形態による回路基板内の回路により受信された信号の振幅を検出する様子を示す波形図。
【図3】本発明の他の実施の形態による回路基板内の回路により受信された正弦波信号と送信装置からの正弦波信号の位相差を検出する様子を示す波形図。
【図4】本発明の他の実施の形態による送信装置から送信される送信信号に対応したバースト波を含む電磁波と回路基板内の回路により受信された信号の矩形波成分との間のスキュー又は遅延量を検出する様子を示す波形図。
【図5】本発明の他の実施の形態による送信装置から送信される矩形波信号をディジタル変調した電磁波搬送波及び被変調矩形波と回路基板内の回路により受信された信号を復調した矩形波との間のスキュー又は遅延量を検出する様子を示す波形図。
【図6】本発明の別の実施の形態による回路基板検査装置の要部の概略を示すブロック図。
【符号の説明】
1 送信アンテナ
2 送信装置
3 検査対象の回路基板
4 回路
5 プローブ
6 受信装置
7 信号処理部
8 データ比較部
9 回路
10 プローブ
Claims (14)
- 検査対象の回路基板に送信アンテナを介して電磁波信号を放射する送信装置と、上記検査対象の回路基板内の1つの回路を受信アンテナとして使用して上記電磁波信号の電磁誘導により上記回路に誘起される信号を検出する手段を含む受信装置と、上記検出された信号のデータを良品回路基板の場合のデータと比較して上記検査対象の回路基板内の上記回路の良又は不良を判定する手段とを備えたことを特徴とする回路基板検査装置。
- 上記送信アンテナがループコイル形状を有し、そのループ内に放射される上記電磁波信号の磁界の向きと垂直に上記検査対象の回路基板を置くことを特徴とする請求項1に記載の回路基板検査装置。
- 上記ループコイル形状が円形であることを特徴とする請求項2に記載の回路基板検査装置。
- 上記ループコイル形状が多角形であることを特徴とする請求項2に記載の回路基板検査装置。
- 上記送信アンテナが上記検査対象の回路基板内の第一の回路であり、上記第一の回路とは異なる上記検査対象の回路基板内の第二の回路が上記受信アンテナとして使用される上記1つの回路であることを特徴とする請求項1に記載の回路基板検査装置。
- 上記検出する手段が上記検査対象の回路基板の両面に対して平行及び垂直方向移動可能で且つ上記検査対象の回路基板面上の端子と接触できる金属プローブを含むことを特徴とする請求項1に記載の回路基板検査装置。
- 上記送信装置が上記送信アンテナを介して放射する電磁波信号の周波数及び出力電圧を可変としたことを特徴とする請求項1に記載の回路基板検査装置。
- 上記受信装置が上記送信装置の電磁波信号の周波数変化と連動して受信周波数を可変とした同調回路と増幅回路と検波回路を含むことを特徴とする請求項7に記載の回路基板検査装置。
- 上記送信装置が上記送信アンテナを介して放射する電磁波が正弦波信号を含み、上記受信装置の検出する手段が上記検波回路から出力される上記電磁波信号の電磁誘導により上記1つの回路に誘起された上記信号の振幅又は波高値を検出し、上記判定する手段が上記信号の振幅又は波高値を良品回路基板の場合のデータと比較することを特徴とする請求項8に記載の回路基板検査装置。
- 上記送信装置が上記送信アンテナを介して放射する電磁波が正弦波信号を含み、上記受信装置の検出する手段が上記検波回路から出力される上記電磁波信号の電磁誘導により上記1つの回路に誘起された上記信号の電圧と上記送信装置の上記電磁波の正弦波信号の電圧の間の位相差を検出し、上記判定する手段が上記位相差を良品回路基板の場合のデータと比較することを特徴とする請求項8に記載の回路基板検査装置。
- 上記送信装置が上記送信アンテナを介して放射する電磁波が正弦波信号を含み、上記受信装置の検出する手段が上記検波回路から出力される上記電磁波信号の電磁誘導により上記1つの回路に誘起された上記信号の電流と上記送信装置の上記電磁波の正弦波信号の電流の間の位相差を検出し、上記判定する手段が上記位相差を良品回路基板の場合のデータと比較することを特徴とする請求項8に記載の回路基板検査装置。
- 上記送信装置が上記送信アンテナを介して放射する電磁波信号がバースト波を含み、上記受信装置の検出する手段が上記検波回路から出力される上記電磁波信号の電磁誘導により上記1つの回路に誘起された上記信号の矩形波成分のスキュー又は遅延を検出し、上記判定する手段が上記検出されたスキュー又は遅延を良品回路基板の場合のデータと比較することを特徴とする請求項8に記載の回路基板検査装置。
- 上記送信装置が上記送信アンテナを介して放射する電磁波信号がデジタル変調波を含み、上記受信装置の検出する手段が上記検波回路から出力される上記電磁波信号の電磁誘導により上記1つの回路に誘起された上記信号の復調波のスキュー又は遅延を検出し、上記判定する手段が上記検出されたスキュー又は遅延を良品回路基板の場合のデータと比較することを特徴とする請求項8に記載の回路基板検査装置。
- 検査対象の回路基板に送信アンテナを介して電磁波信号を放射するステップと、上記検査対象の回路基板内の1つの回路を受信アンテナとして使用して上記電磁波信号の電磁誘導により上記回路に誘起される信号を検出するステップと、上記検出された信号のデータを良品回路基板の場合のデータと比較して上記検査対象の回路基板内の回路の良・不良を判定するステップとを含むことを特徴とする回路基板の検査方法。
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