JP2004324941A - エレベータ用空気調和機 - Google Patents
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Abstract
【課題】エレベーター乗りかご外部上面の狭いスペースに設置する空気調和機は、空気調和機の高さ寸法を低くするとともにコンパクトに取り纏め、蒸発器で凝縮したドレン水を内部処理して空気調和機の外部に排出しないようにする必要がある。
【解決手段】空気調和機を構成する部品を平面的に配置して空気調和機の高さ寸法を低くし、通風面を水平に配置した凝縮器の一部を傾斜させて成るエレベータ乗りかご用の空気調和機において、傾斜させた凝縮器に蒸発器で除湿したドレン水を散水パイプで散水して蒸散処理するとともに、圧縮機の上部にもドレン受けを設けて圧縮機の上部のドレン受けでもドレン水を蒸散処理させるようにした。
【選択図】 図2
【解決手段】空気調和機を構成する部品を平面的に配置して空気調和機の高さ寸法を低くし、通風面を水平に配置した凝縮器の一部を傾斜させて成るエレベータ乗りかご用の空気調和機において、傾斜させた凝縮器に蒸発器で除湿したドレン水を散水パイプで散水して蒸散処理するとともに、圧縮機の上部にもドレン受けを設けて圧縮機の上部のドレン受けでもドレン水を蒸散処理させるようにした。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はエレベーター乗りかご用の空気調和機に関するもので、特に蒸発器で除湿したドレン水の処理方法に係わるものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、ビルや建物の高層化や大規模化にともないエレベータの設置が増加している。これらのエレベータにおいては、搭乗者を目的の各階まで安全かつ迅速に移動させるだけでなく、搭乗者の快適性の向上、特にエレベータ乗りかご内の空気温度の適正化が重要視され、これに伴いエレベータ乗りかご用の空気調和機が乗りかごの外部上面に設置されるようになってきている。そして従来のエレベータ乗りかご内を空気調和する空気調和機は特開平10−141691号公報に示すように、凝縮器や蒸発器を縦に配置しそれぞれの送風機にプロペラファンを採用した一体形の空気調和機を、乗りかごの外部上面に設置して使うことが多かった。この場合には凝縮器や蒸発器等の熱交換器を縦に配置し、またプロペラファンを使用するために空気調和機の高さ寸法が高くならざるを得なかった。
【0003】
しかしビル等の建築物は高さが高くなるにしたがって建築物が及ぼす日陰の面積が大きくなり日照権の問題等を発生させるようになり、最近では建築物等の高さをできるだけ低くし、屋上にエレベータ乗りかごを昇降させる機械室等の突起物を設けることを避けるようになってきている。また都市空間の美観の面からも建築物等の屋上にエレベータ用の機械室等の突起物を設けることが少なくなってきており、さらに建築物の各階毎に設けている空調用のダクトや水配管等を引き回す空間や電気配線等に使用する空間の高さを低くして建物全体の高さを低くし、建築物が発生させる日陰げ面積を少なくするようにしている。そのため従来の高さ寸法の高い空気調和機をエレベータ乗りかごの外部上面に設置することが難しくなってきている。
【0004】
また一般の空気調和機では、蒸発器で生じたドレン水は排水管等により空気調和機の外部に導いて処理しているが、エレベータ乗りかごの外部上面に設置して乗りかごとともにエレベータの昇降路を上下に移動する空気調和機は、空気調和機の外部にドレン水を導いて外部で排出処理をおこなうことができない。
【0005】
前述の公報では蒸発器で凝縮して生じたドレン水を凝縮器のドレン受けに導いて、散水用のドレン皿の底部に散水用の孔を開けて、その孔から滴下してくるドレン水を保水材で一旦受け止め、保水材から凝縮器に均等に流そうとしている。しかし保水材から滴下するドレン水は、保水材の最初に滴下したところから集中的に流れる傾向があり、ドレン水を保水材から凝縮器に均等に滴下させることは意外と難しかった。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−141691号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の空気調和機では、空気調和機を構成する部品を平面的に配置して、空気調和機の高さ寸法を低くするとともに、蒸発器で凝縮させたドレン水を空気調和機の内部で完全に処理させることにある。そのため凝縮器に散水する散水パイプの形状や散水孔の構造について検討し、ドレン水を凝縮器に均等に散水できる方法を提供する。また凝縮器で散水して蒸散しきれなかったドレン水を、空気調和機の圧縮機の上部に設けたドレン受けに導いて、圧縮機が放射する放射熱でドレン水を効果的に蒸散させるドレン受けの構造についても提供する。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的を達成するために、次のような手段を用いている。
1.空気調和機を構成する部品を平面的に配置して空気調和機の高さ寸法を低くし、通風面を水平に配置した凝縮器の一部を傾斜させて成るエレベータ乗りかご用の空気調和機において、傾斜させた凝縮器に蒸発器で除湿したドレン水を散水パイプで散水して蒸散処理するとともに、圧縮機の上部にもドレン受けを設けて圧縮機の上部のドレン受けでもドレン水を蒸散処理させるようにした。
2.ドレン水を散水する散水パイプにおいて、散水パイプに設けたドレン水を散水する散水孔の間隔を、散水パイプの入口側では広くし先端側になるにしたがって狭くして、散水パイプの全長にわたってドレン水を均一に散水できるようにした。
3.圧縮機の上部に設けたドレン受けにおいて、ドレン受けの内部に上部端面の高さの異なる複数のリブを設け、リブの高さが順次低くなるように配置して、最上位のリブの貯水部から溢れたドレン水を次のリブの貯水部で受けて貯溜し、以下順次下位のリブの貯水部で上位のリブの貯水部から溢れたドレン水を受けて貯溜するようにした。
4.圧縮機の上部に設けたドレン受けにおいて、最下位に貯溜したドレン水をドレンポンプでドレン水を汲み上げることのできるドレン受けに導くようにした。
5.凝縮器の下部に設けたドレン受けにおいて、ドレン水が所定のレベル以上に達したときに水位を検知して空気調和機の運転を停止するようにした。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の詳細について一実施例をもとに図により説明する。図1は本発明による空気調和機の一実施例の冷媒回路図、図2は本発明による空気調和機の一実施例の平面図、図3は本発明による空気調和機の一実施例の側面図、図4は凝縮器の冷媒の流れ説明図、図5は凝縮器内の冷媒温度の変化説明図、図6は散水パイプの説明図、図7は圧縮機上部のドレン受け説明図、図8は空気調和機を乗りかごに設置した外観図、図9は乗りかご内の説明図である。
【0010】
図1において、1は乗りかごを空気調和する空気調和機、2は圧縮機、3は凝縮器で3aは水平に配置した凝縮器、3bは傾斜させて配置した凝縮器、4は減圧装置、5は蒸発器、6は冷媒配管、7は貫流ファン、8は貫流ファン用モーター、9は2個の遠心ファン、10は遠心ファン用モーター、11は蒸発器側ドレン受け、12は凝縮器側ドレン受け、13はドレン配管、14はドレンポンプ、15は散水パイプ、16は圧縮機上部の上部ドレン受け、17は吸水管、18は導水管、19は回収管、20は吸込み口、21は箱体、22は仕切り板、23は上板、24は凝縮器側、25は蒸発器側を示している。
【0011】
空気調和機1は図2、図3に示すように矩形長辺の角部2カ所を切り欠いた凸形状に形成された箱体21で被われ、箱体21の内部は仕切り板22で凝縮器側24および蒸発器側25に仕切られて、空気調和機1を構成するそれぞれの部品が配置されている。凝縮器側24には圧縮機2、水平に配置した凝縮器3aと傾斜して配置した凝縮器3b、減圧装置4および貫流ファン7、貫流ファン7を駆動する貫流ファン用モーター8が配置されており、蒸発器側25には蒸発器5および2個の遠心ファン9と遠心ファン9を駆動する遠心ファン用モーター10が組み込まれている。そして圧縮機2、凝縮器3、減圧装置4および蒸発器5等の内部に冷媒を封入して冷媒配管6で接続して図1の冷媒回路を構成している。
【0012】
貫流ファン7の通風流路の吸込み側には通風面を水平に配置した凝縮器3aおよび通風面を傾斜させて配置した凝縮器3bが配置されており、遠心ファン9の通風流路の吹出し側には蒸発器5が配置されている。そして蒸発器5の下部には蒸発器側ドレン受け11が配置され、凝縮器3bの下部には凝縮器側ドレン受け12が配置されていて、それぞれのドレン受けはドレン配管13で接続されている。さらに凝縮器側ドレン受け12にはドレンポンプ14に接続された吸水管17が接していて、ドレンポンプ14が駆動することにより吸水管17で凝縮器側ドレン受け12に溜まったドレン水を吸い上げ、吸い上げたドレン水を傾斜させて配置した凝縮器3bに散水する散水パイプ15に供給している。さらに圧縮機2の上部には上部ドレン受け16が設けられていて、散水パイプ15で凝縮器3bに散水して残ったドレン水を導水管18で上部ドレン受け16に導いて、圧縮機2が放射する放射熱で蒸散させるようになっている。
【0013】
そして空気調和機1を運転すると、低温低圧のガス状冷媒は圧縮機2で圧縮されて高温高圧のガス状冷媒に変化して凝縮器3に送り出される。凝縮器3に流入した高温高圧のガス状の冷媒は貫流ファン7で送風される風や後で説明するドレン水で冷却されて温度を下げられ、高圧の液状冷媒に変化して減圧装置4に送り出される。減圧装置4に流入した高圧の液状冷媒は圧力を下げられ低圧の液状冷媒に変化して蒸発器5に送り出される。蒸発器5に流入した低圧の液状冷媒は遠心ファン9で送風される空気から蒸発に必要な潜熱を奪って蒸発する。その際冷媒は、遠心ファン9で送風される空気の温度を低下させるとともに、空気中に含まれている水分をドレン水として凝縮させて空気を乾燥させるので、この乾燥した冷たい空気を、図9に示す乗りかご30内の吹出し口33から乗りかご30内に吹き出すことにより、乗りかご30の内部を冷房することができるようになる。そして低圧の液状冷媒は低温のガス状冷媒に変化して蒸発器5から流出して圧縮機2に戻ることになる。
【0014】
乗客を搬送するエレベータの乗りかご30は図8に示すように、一般的に縦長の直方体に構成されていて、その一面に乗客が乗りかご30に出入りする扉31を有する開放空間が設けられている。乗りかご30はワイヤ等で吊り下げられていて、乗りかご30を補強する補強部材32が開放空間である扉31と並行に設けられている。補強部材32を扉と直角方向に設けた場合には、補強部材32の一部が扉31の開放空間で切断されることになり強度を減少させることになる。補強部材32を扉31と並行方向に設けた場合には、補強部材32を部分的に切断する必要がないので、補強部材32として充分な強度を持たせることができる。しかし補強部材32が設けられていることにより、乗りかご30の狭い外部上面に設置する空気調和機1の設置スペースはさらに狭くなるので、よりコンパクトに纏めて小形化にするとともに、高さ寸法を低くした空気調和機1が求められるようになる。
【0015】
本実施例の空気調和機1では、空気調和機1の高さ寸法を低くするために凝縮器用送風機に貫流ファン7を採用している。貫流ファン7は径を小さくすることができるので、高さ寸法の低くい空気調和機に適しており、また貫流ファン7は吸込み側に凝縮器3を配置した場合に、凝縮器3の全幅にわたって一様に空気を吸い込むことができるので、熱交換器用の送風機として適している。しかし貫流ファン7は静圧特性が低いので通風流路の通風抵抗を低くしなければならない。
【0016】
そのため本実施例の空気調和機1では、貫流ファン7の吸込み側にあたる上部空間に凝縮器3aを配置して、凝縮器3aの通風面が箱体21の天井面を構成するように水平に配置している。また凝縮器3bは貫流ファン7の吸い込み側の横方向に傾斜させて配置し、傾斜させることにより水平に配置したときと同じ通風面積を確保することができるので、通風流路の通風抵抗を減少させることなく、静圧特性の低い貫流ファン7を凝縮器用送風機として活用できるようになる。
【0017】
一方蒸発器用送風機には、静圧特性が高く送風機の径を小さくすることができる遠心ファン9を採用している。したがって空気調和機1をコンパクトに纏めたことにより、調和する空気の吸込み経路や吹出し経路に多少の通風抵抗があっても空気を送風することができ、また径の小さい遠心ファン9を使用して空気調和機1の高さ寸法を低くすることができる。
【0018】
従来のエレベータ乗りかご用空気調和機は、凝縮器や蒸発器の送風機にプロペラファンを採用しているため空気調和機の高さ寸法が高くなり、エレベータ乗りかごが最上階に到達したときに建物屋上の天井部に当接するので、当接を避けるため建物の屋上にエレベータの機械室等の突起部を設けて空気調和機が当接しないようにしなければならなかった。今までのようにビル等の建築物が発生させる日陰による日照権の問題がゆるやかなときには、最上階と屋上の間の空間を広くして空気調和機を収納する空間を確保したり、あるいは屋上にエレベータの機械室を設けることにより空気調和機が建築物の天井面に当接することを避けることができた。しかし最近のように日照権の問題が厳しく追及される時代では、建物の高さをできるだけ低くするとともに、屋上に突起物を設けることを避けるようになっている。
【0019】
そしてエレベータ乗りかご用の空気調和機は乗りかご30とともにエレベータの昇降路を上下に移動するため、空気調和機1の外部に排水機構を設けることができない。したがって蒸発器5で凝縮させたドレン水は空気調和機の内部で蒸散処理させて、空気調和機の外部に排出しないようにしなければならない。
【0020】
本実施例の空気調和機1では傾斜させた凝縮器3bに蒸発器5で凝縮させたドレン水を散水することにより、凝縮器3bで冷却する液状冷媒の温度を効果的に低下させて、ドレン水を蒸散させている。さらに圧縮機2の上部に上部ドレン受け16を設けて圧縮機2が放射する放射熱でドレン水を蒸散させている。凝縮器3bをドレン水で効果的に冷却できるので、凝縮器3b出口の液状冷媒の温度が低下して圧縮機2の消費電力を節減することができるようになる。そしてドレン水を傾斜させた凝縮器3bに散水して蒸散させることにより、また上部ドレン受け16で圧縮機2の放射熱でドレン水を蒸散させることにより、ドレン水を空気調和機1の内部で自己処理して空気調和機1の外部に排出しないですむようにしている。
【0021】
次に空気調和機1の詳細について説明する。図2、図3は本実施例による空気調和機の一例である。空気調和機1の箱体21内は仕切り板22で蒸発器側25と凝縮器側24に大きく区分されている。蒸発器側25には蒸発器5および2個の遠心ファン9が遠心ファン用モーター10の両側に設けられていいる。箱体21は、長辺部の角部を切り欠いて設けた2ヶ所の凹部にそれぞれ吸込み口20が設けられている。吸込み口20には吸込みダクト(図示せず)を取り付け取り外し可能に装着できるようになっていて、吸込みダクトを取り付けることにより乗りかご30内の空気を吸い込んで循環エア方式で効率よく乗りかご30内の冷房することができ、吸込みダクトを取り外すことによりエレベータ昇降路内の空気を吸い込んで新鮮な空気を乗りかご30内に供給するフレッシュエア方式の冷房を行なうことができる。
【0022】
空気調和機1の電源が入れられ遠心ファン用モーター10が駆動することにより遠心ファン9が回転し、吸込み口20から吸い込まれた空気は遠心ファン9により遠心方向に吹き出され、吹き出された風は遠心ファンケーシングで集められて蒸発器5に吹き付けられる。蒸発器5に吹き付けらた空気は蒸発器5を通過する間に冷却されるとともに除湿され、快適に調和された空気となって乗りかご30の吹出し口33から乗りかご30内に吹き出され、乗りかご30内を冷房することになる。
【0023】
蒸発器5で除湿されたドレン水は蒸発器5の下部に設けた蒸発器側ドレン受け11で集められる。一般的な家庭用の空気調和機の場合には、蒸発器側ドレン受け11で集めたドレン水はそのままドレンホース等で空気調和機の外部に誘導して下水や大地等に排出している。しかしエレベータ用空気調和機1の場合には空気調和機1本体が乗りかご30とともに移動するので、ドレンホース等で誘導して下水や大地等に簡単に排出することができない。本実施例の空気調和機1では蒸発器側ドレン受け11に集めたドレン水を、ドレン配管13で凝縮器3bの下部に設けた凝縮器側ドレン受け12に導いて、凝縮器3bおよび圧縮機2の上部に設けた上部ドレン受け16で蒸散処理させている。これにより空気調和機1の外部にドレン水を排出する必要がなくなるので、空気調和機1本体をエレベータの乗りかご30とともに移動させることが可能になる。
【0024】
次に凝縮器側24について説明する。凝縮器側24には圧縮機2、凝縮器3および減圧装置4等が冷媒配管6で接続され、貫流ファン7、貫流ファン7を駆動する貫流ファン用モーター8および冷凍サイクルを駆動するその他の電気品等が配置されている。そして凝縮器3bの下部には凝縮器側ドレン受け12が設けられ、圧縮機2の上部には上部ドレン受け16が設けられている。蒸発器5の下部に設けた蒸発器側ドレン受け11から流入してくるドレンを貯留する凝縮器側ドレン受け12には吸水管17が接していて、凝縮器側ドレン受け12に溜まったドレン水は吸水管17を通してドレンポンプ14吸い上げられ、散水パイプ15や上部ドレン受け16に供給されるようになっている。
【0025】
本実施例の空気調和機1の圧縮機2は、円筒形の横形圧縮機を採用し、円筒形を横にして使用しているので、空気調和機1の高さを低くすることができるとともに、その上部に上部ドレン受け16を設けることができる。また圧縮機2は空気調和機1の中で最も温度が高くなる部品なので、圧縮機2を上部ドレン受け16で冷却することにより、圧縮機2の負荷が軽減し、空気調和機1の消費電力を軽減し、省エネルギー運転を行なうことができるようになる。
【0026】
図4に示すように凝縮器3では、凝縮器3aの通風面を箱体21の天井面を兼ねて水平に配置し、さらに2点鎖線で示す凝縮器3の一部を傾斜させて凝縮器3bとして配置することにより、Bの範囲に広がる凝縮器3をAの範囲に納めることが可能になり、それぞれの部品をよりコンパクトに纏めた空気調和機1を得ることができる。しかもBの範囲で得られる通風面積をAの範囲でも確保しているので、凝縮器3を納めるスペースが小さくなっても凝縮器3としての通風面積が減少することなく、通風抵抗も増加することがない。
【0027】
またこの傾斜させた凝縮器3bに先に説明した蒸発器5で凝縮させた冷たいドレン水を散水パイプ15から散水して、ドレン水の蒸発潜熱を利用して凝縮器3bをより効果的に冷却させ、あわせてドレン水を強制的に蒸散させて空気調和機1の外部にドレン水を排出しないようにしている。そして傾斜させた凝縮器3bは貫流ファン7から横方向に離れているので、凝縮器3bで蒸散しきれなかったドレン水が凝縮器3bから滴下しても、貫流ファン7にかかることがなく、したがって貫流ファン7でドレン水が飛散されて空気調和機1の外部に飛び散り周辺を濡らすようなことがない。
【0028】
圧縮機2から出てきた高温高圧のガス状冷媒は、図4に示すように水平に配置した凝縮器3aの右端部より凝縮器3aに流入し、凝縮器3a内を流れる間に高圧の液状冷媒に徐々に変化して傾斜した凝縮器3bに流入する。斜めに傾斜させた凝縮器3bの上部空間に設けた散水パイプ15から、蒸発器5で取り除いたドレン水を傾斜させた凝縮器3bに散水して、傾斜している凝縮器3bのフィンの表面を流下している間に蒸散させるようにしている。傾斜した凝縮器3bでは貫流ファン7が吸い込む空気と凝縮器3bの上方より散水されるドレン水で冷媒を冷却することになり、より効果的に冷媒を冷却して液化を促進させることができる。
【0029】
傾斜した凝縮器3bで冷媒は状態を液状に変化させて比重を増加させることになるが、凝縮器3bが傾斜しているので重力方向に沿って流下することになり圧縮機の負担を増加させることはない。傾斜した凝縮器3bで液化した冷媒は風とドレン水で充分に冷却されて、傾斜した凝縮器3bから出て減圧装置4に流入する。減圧装置4に流入した冷媒は減圧装置4で圧力を低下させられて低圧の液状冷媒として蒸発器5に流入することになる。なお傾斜した凝縮器3bの下部の凝縮器側ドレン受け12に貯留しているドレン水は、凝縮器3bの下部から放射される放射熱でも加熱されて自然に蒸発するようになっている。
【0030】
なお凝縮器3に流入する冷媒は図5の(a),(b)に示すように、範囲Aの水平に配置した凝縮器3aから、あるいは範囲Bの傾斜して配置した凝縮器3bからのいずれからも流入させることができる。通常は(a)のように、範囲Aの水平に配置した凝縮器3aから流入させ、範囲Bの凝縮器3bを通って流出させている。範囲A、範囲Bにおいて凝縮器3a,3bに流入する風の温度t1は、昇降路の空気を吸いこむことになるので、範囲A、範囲Bともほぼ同じ温度になっている。そして(a)の場合には、冷媒は温度t2で凝縮器3aに流入してきて、範囲Aでは風だけで冷却されることになる。この場合に冷媒は、風との温度差が大きく効果的に冷却されて温度t2になる。そして範囲Bで冷媒は、温度t2から風とドレン水で冷却されて温度t4となって凝縮器3bを出てゆくことになる。
【0031】
これに対しドレン水の蒸散を優先させる場合には、(b)のように範囲Bの傾斜させて配置した凝縮器3bの下側から冷媒を流入させる方法がある。すなわち冷媒の温度が高い温度t2の状態で、凝縮器3bに冷媒を流入させてドレン水を確実に蒸散させようとする方法である。この場合には、凝縮器3bに流入する冷媒の温度がt2と高いので、散水されるドレン水は効率よく蒸散する。そしてドレン水は蒸発をするのに必要な潜熱を冷媒から奪って、冷媒の温度を(a)の場合より低いt3’に冷却することになる。しかし次の範囲Aでは、冷媒の温度と風の温度との温度差が少なくなり冷却効果が減少して、凝縮器3aから流出する冷媒の温度t4’は(a)の場合よりも若干高い温度を示すことになる。したがって凝縮器出口の冷媒温度よりも、ドレン水の蒸散を確実におこなう場合には(b)のように傾斜した凝縮器3bから冷媒を流入させる方法がある。
【0032】
この場合ガス状の冷媒は、傾斜して配置した凝縮器3bを上昇しながら徐々に液化をし始める。しかし液化した冷媒の量は、まだ液化をし始めた初期の段階なので量が少なく、冷媒を凝縮器3aの高さまでに押し上げる圧縮機2の負荷はそれほど大きくならない。そして液化した冷媒の量が多くなる時点で冷媒は、傾斜した凝縮器3bから水平に配置された凝縮器3aに流入するので、傾斜した凝縮器3bおよび凝縮器3aを通過する冷媒の流通抵抗はそれほど増加することがない。また水平に配置した凝縮器3aを、液状冷媒が流れる出口側に向って低く傾斜させることにより、液状冷媒が自重によっても流れることになり冷媒の流通抵抗を減少させることができるようになる。
【0033】
次に凝縮器3bにドレン水を散水する散水パイプ15について、図6により説明する。(a)は本実施例で採用している方法である。すなわち(a)ではパイプ15aの側面に同一孔径の複数の散水孔15bを設けて、その散水孔15bの間隔P1,P2,P3…を散水パイプ15の入口側では広くし先端側になるにしたがって狭くして、散水パイプ15の全長にわたってドレン水を均一に散水できるようにしている。この場合には散水孔15bの孔径が同一で、間隔Pのみを変えているので、散水孔15bを穿孔する穿孔工具は同じ工具を使うことができ、間隔Pのみを変えるだけなので、散水パイプ15の加工方法が簡単になり、散水パイプ15の価格を引き下げることができ、空気調和機1の価格を低減させることができる。
【0034】
その他に間隔Pを同一にして孔の径を入口側から順に大きくする(b)の方法が考えられる。これは孔径が異なるので孔毎に穿孔工具を変える必要がありコストアップにつながる。また半割りのパイプを使用して先端部に向って傾斜をつけて、半割りパイプの縁からオーバーフローさせる(c)の方法も考えられる。しかし水がどこでオーバーフローするか分からず不安定である。さらにそれを改良する形で(d)の構造が考えられる。この場合には半割りパイプの縁に切欠き部を設けて、半割りパイプの入口側から先端側になるにしたがって切欠き形状を大きくし、先端側になるにしたがって切欠き部の深さが深くなるので、ドレン水が切欠き部より溢れやすくなる。
【0035】
本実施例の空気調和機1では、凝縮器部の散水パイプ15の他に横形円筒形の圧縮機2の上部に図7に示す上部ドレン受け16を設けている。ドレン受け16の内部には上部端面の高さの異なる複数のリブ16a,16b,16c,16dを設け、高さが順次低くなるように配置して、最上位のリブ16aの貯水部から溢れたドレン水を次のリブ16bの貯水部で受けて貯溜し、以下順次下位のリブの貯水部で上位のリブの貯水部から溢れたドレン水を貯溜するようにしている。そして散水パイプ15の端末を上部ドレン受け16の上部まで延長させた導水管18で凝縮器3bに散水できなかったドレン水を散水させている。
【0036】
このように上部ドレン受け16に貯溜するドレン水の貯留部を細かく分割することにより、各貯留部の水の量が減少するので、空気調和機1が乗りかご30とともに移動して振動しても水面が波立つことなく、したがってドレン水を上部ドレン受け16の外に飛び出させることがない。また圧縮機2の放射熱が複数のリブを通して伝達され、それぞれの貯水部に貯溜している少量のドレン水を温めることになるので、ドレン水の蒸散を促進することができる。また上位の貯水部より溢れて、順々に下位の貯水部に流れ落ちるようにしているので上位ドレン受け16に滞留する時間が長くなり、ドレン水の蒸散する量を多くすることができる。なお最後まで蒸散しきれないで上位ドレン受け16の最下部に達したドレン水は、回収管19によって凝縮器側ドレン受けに12に回収され、ドレンポンプ14を通して再び散水パイプ15および上位ドレン受け16に供給され、蒸散処理をおこなうことになる。
【0037】
以上のシステムにより、蒸発器5で除湿したドレン水を蒸散させることができるようになる。しかしさらに万が一の事態を考慮して、凝縮器側ドレン受け12には水位検知装置(図示せず)が設けられていて、凝縮器側ドレン受け12の水位が所定レベル以上に達したときには空気調和機1の運転を停止するようになっている。これにより万が一の場合にも、ドレン水が凝縮器側ドレン受け12より溢れて、空気調和機1の内部や、空気調和機1の周辺および乗りかご30の上面を濡らすことがないようにしている。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば次のような効果が期待される。
【0039】
請求項1によれば、傾斜させた凝縮器に蒸発器で除湿したドレン水を散水パイプで散水して蒸散処理するとともに、圧縮機の上部にもドレン受けを設けて圧縮機の上部のドレン受けでもドレン水を蒸散処理させるようにしたことにより、空気調和機の内部でドレン水を処理して空気調和機の外部に排出しないようにすることができた。
【0040】
請求項2によれば、散水パイプに設けたドレン水を散水する散水孔の間隔を、散水パイプの入口側では広くし先端側になるにしたがって狭くして、散水パイプの全長にわたってドレン水を均一に散水できるようにできた。
【0041】
請求項3によれば、圧縮機の上部に設けた上部ドレン受けの内部に上部端面の高さの異なる複数のリブを設け、リブの高さが順次低くなるように配置して、最上位のリブの貯水部から溢れたドレン水を次のリブの貯水部で受けて貯溜し、以下順次下位のリブの貯水部で上位のリブの貯水部から溢れたドレン水を受けて貯溜させ、ドレン水の滞留する時間を長くして大量のドレン水を蒸散できるようにした。
【0042】
請求項4によれば、圧縮機上部に設けたドレン受けの最下部に貯溜したドレン水を、ドレンポンプでドレン水を汲み上げることのできるドレン受けに導いて、ふたたび蒸散処理をすることにより空気調和機の外部にドレン水を排出しないようにした。
【0043】
請求項5によれば、凝縮器の下部に設けたドレン受けのドレン水が、所定のレベル以上に達したときに水位を検知して空気調和機の運転を停止するようにして、ドレン水がドレン受けから溢れ出すのを防止した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による空気調和機の一実施例の冷媒回路図。
【図2】本発明による空気調和機の一実施例の平面図。
【図3】本発明による空気調和機の一実施例の側面図。
【図4】凝縮器の冷媒の流れ説明図。
【図5】凝縮器内の冷媒温度の変化説明図。
【図6】散水パイプの説明図。
【図7】圧縮器上部のドレン受け説明図。
【図8】空気調和機を乗りかごに設置した外観図。
【図9】フレッシュエア方式による乗りかご内の説明図。
【符号の説明】
1…空気調和機、2…圧縮機、3…凝縮器、4…減圧装置、5…蒸発器、6…冷媒配管、7…貫流ファン、8…貫流ファン用モーター、9…遠心ファン、10…遠心ファン用モーター、11…蒸発器側ドレン受け、12…凝縮器側ドレン受け、13…ドレン配管、14…ドレンポンプ、15…散水パイプ、16…上部ドレン受け、17…吸水管、18…導水管、19…回収管、20…吸込み口、21…箱体、22…仕切り板、23…上板、24…凝縮器側、25…蒸発器側、30…乗りかご、31…扉、32…補強部材、33…吹出し口。
【発明の属する技術分野】
本発明はエレベーター乗りかご用の空気調和機に関するもので、特に蒸発器で除湿したドレン水の処理方法に係わるものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、ビルや建物の高層化や大規模化にともないエレベータの設置が増加している。これらのエレベータにおいては、搭乗者を目的の各階まで安全かつ迅速に移動させるだけでなく、搭乗者の快適性の向上、特にエレベータ乗りかご内の空気温度の適正化が重要視され、これに伴いエレベータ乗りかご用の空気調和機が乗りかごの外部上面に設置されるようになってきている。そして従来のエレベータ乗りかご内を空気調和する空気調和機は特開平10−141691号公報に示すように、凝縮器や蒸発器を縦に配置しそれぞれの送風機にプロペラファンを採用した一体形の空気調和機を、乗りかごの外部上面に設置して使うことが多かった。この場合には凝縮器や蒸発器等の熱交換器を縦に配置し、またプロペラファンを使用するために空気調和機の高さ寸法が高くならざるを得なかった。
【0003】
しかしビル等の建築物は高さが高くなるにしたがって建築物が及ぼす日陰の面積が大きくなり日照権の問題等を発生させるようになり、最近では建築物等の高さをできるだけ低くし、屋上にエレベータ乗りかごを昇降させる機械室等の突起物を設けることを避けるようになってきている。また都市空間の美観の面からも建築物等の屋上にエレベータ用の機械室等の突起物を設けることが少なくなってきており、さらに建築物の各階毎に設けている空調用のダクトや水配管等を引き回す空間や電気配線等に使用する空間の高さを低くして建物全体の高さを低くし、建築物が発生させる日陰げ面積を少なくするようにしている。そのため従来の高さ寸法の高い空気調和機をエレベータ乗りかごの外部上面に設置することが難しくなってきている。
【0004】
また一般の空気調和機では、蒸発器で生じたドレン水は排水管等により空気調和機の外部に導いて処理しているが、エレベータ乗りかごの外部上面に設置して乗りかごとともにエレベータの昇降路を上下に移動する空気調和機は、空気調和機の外部にドレン水を導いて外部で排出処理をおこなうことができない。
【0005】
前述の公報では蒸発器で凝縮して生じたドレン水を凝縮器のドレン受けに導いて、散水用のドレン皿の底部に散水用の孔を開けて、その孔から滴下してくるドレン水を保水材で一旦受け止め、保水材から凝縮器に均等に流そうとしている。しかし保水材から滴下するドレン水は、保水材の最初に滴下したところから集中的に流れる傾向があり、ドレン水を保水材から凝縮器に均等に滴下させることは意外と難しかった。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−141691号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の空気調和機では、空気調和機を構成する部品を平面的に配置して、空気調和機の高さ寸法を低くするとともに、蒸発器で凝縮させたドレン水を空気調和機の内部で完全に処理させることにある。そのため凝縮器に散水する散水パイプの形状や散水孔の構造について検討し、ドレン水を凝縮器に均等に散水できる方法を提供する。また凝縮器で散水して蒸散しきれなかったドレン水を、空気調和機の圧縮機の上部に設けたドレン受けに導いて、圧縮機が放射する放射熱でドレン水を効果的に蒸散させるドレン受けの構造についても提供する。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的を達成するために、次のような手段を用いている。
1.空気調和機を構成する部品を平面的に配置して空気調和機の高さ寸法を低くし、通風面を水平に配置した凝縮器の一部を傾斜させて成るエレベータ乗りかご用の空気調和機において、傾斜させた凝縮器に蒸発器で除湿したドレン水を散水パイプで散水して蒸散処理するとともに、圧縮機の上部にもドレン受けを設けて圧縮機の上部のドレン受けでもドレン水を蒸散処理させるようにした。
2.ドレン水を散水する散水パイプにおいて、散水パイプに設けたドレン水を散水する散水孔の間隔を、散水パイプの入口側では広くし先端側になるにしたがって狭くして、散水パイプの全長にわたってドレン水を均一に散水できるようにした。
3.圧縮機の上部に設けたドレン受けにおいて、ドレン受けの内部に上部端面の高さの異なる複数のリブを設け、リブの高さが順次低くなるように配置して、最上位のリブの貯水部から溢れたドレン水を次のリブの貯水部で受けて貯溜し、以下順次下位のリブの貯水部で上位のリブの貯水部から溢れたドレン水を受けて貯溜するようにした。
4.圧縮機の上部に設けたドレン受けにおいて、最下位に貯溜したドレン水をドレンポンプでドレン水を汲み上げることのできるドレン受けに導くようにした。
5.凝縮器の下部に設けたドレン受けにおいて、ドレン水が所定のレベル以上に達したときに水位を検知して空気調和機の運転を停止するようにした。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の詳細について一実施例をもとに図により説明する。図1は本発明による空気調和機の一実施例の冷媒回路図、図2は本発明による空気調和機の一実施例の平面図、図3は本発明による空気調和機の一実施例の側面図、図4は凝縮器の冷媒の流れ説明図、図5は凝縮器内の冷媒温度の変化説明図、図6は散水パイプの説明図、図7は圧縮機上部のドレン受け説明図、図8は空気調和機を乗りかごに設置した外観図、図9は乗りかご内の説明図である。
【0010】
図1において、1は乗りかごを空気調和する空気調和機、2は圧縮機、3は凝縮器で3aは水平に配置した凝縮器、3bは傾斜させて配置した凝縮器、4は減圧装置、5は蒸発器、6は冷媒配管、7は貫流ファン、8は貫流ファン用モーター、9は2個の遠心ファン、10は遠心ファン用モーター、11は蒸発器側ドレン受け、12は凝縮器側ドレン受け、13はドレン配管、14はドレンポンプ、15は散水パイプ、16は圧縮機上部の上部ドレン受け、17は吸水管、18は導水管、19は回収管、20は吸込み口、21は箱体、22は仕切り板、23は上板、24は凝縮器側、25は蒸発器側を示している。
【0011】
空気調和機1は図2、図3に示すように矩形長辺の角部2カ所を切り欠いた凸形状に形成された箱体21で被われ、箱体21の内部は仕切り板22で凝縮器側24および蒸発器側25に仕切られて、空気調和機1を構成するそれぞれの部品が配置されている。凝縮器側24には圧縮機2、水平に配置した凝縮器3aと傾斜して配置した凝縮器3b、減圧装置4および貫流ファン7、貫流ファン7を駆動する貫流ファン用モーター8が配置されており、蒸発器側25には蒸発器5および2個の遠心ファン9と遠心ファン9を駆動する遠心ファン用モーター10が組み込まれている。そして圧縮機2、凝縮器3、減圧装置4および蒸発器5等の内部に冷媒を封入して冷媒配管6で接続して図1の冷媒回路を構成している。
【0012】
貫流ファン7の通風流路の吸込み側には通風面を水平に配置した凝縮器3aおよび通風面を傾斜させて配置した凝縮器3bが配置されており、遠心ファン9の通風流路の吹出し側には蒸発器5が配置されている。そして蒸発器5の下部には蒸発器側ドレン受け11が配置され、凝縮器3bの下部には凝縮器側ドレン受け12が配置されていて、それぞれのドレン受けはドレン配管13で接続されている。さらに凝縮器側ドレン受け12にはドレンポンプ14に接続された吸水管17が接していて、ドレンポンプ14が駆動することにより吸水管17で凝縮器側ドレン受け12に溜まったドレン水を吸い上げ、吸い上げたドレン水を傾斜させて配置した凝縮器3bに散水する散水パイプ15に供給している。さらに圧縮機2の上部には上部ドレン受け16が設けられていて、散水パイプ15で凝縮器3bに散水して残ったドレン水を導水管18で上部ドレン受け16に導いて、圧縮機2が放射する放射熱で蒸散させるようになっている。
【0013】
そして空気調和機1を運転すると、低温低圧のガス状冷媒は圧縮機2で圧縮されて高温高圧のガス状冷媒に変化して凝縮器3に送り出される。凝縮器3に流入した高温高圧のガス状の冷媒は貫流ファン7で送風される風や後で説明するドレン水で冷却されて温度を下げられ、高圧の液状冷媒に変化して減圧装置4に送り出される。減圧装置4に流入した高圧の液状冷媒は圧力を下げられ低圧の液状冷媒に変化して蒸発器5に送り出される。蒸発器5に流入した低圧の液状冷媒は遠心ファン9で送風される空気から蒸発に必要な潜熱を奪って蒸発する。その際冷媒は、遠心ファン9で送風される空気の温度を低下させるとともに、空気中に含まれている水分をドレン水として凝縮させて空気を乾燥させるので、この乾燥した冷たい空気を、図9に示す乗りかご30内の吹出し口33から乗りかご30内に吹き出すことにより、乗りかご30の内部を冷房することができるようになる。そして低圧の液状冷媒は低温のガス状冷媒に変化して蒸発器5から流出して圧縮機2に戻ることになる。
【0014】
乗客を搬送するエレベータの乗りかご30は図8に示すように、一般的に縦長の直方体に構成されていて、その一面に乗客が乗りかご30に出入りする扉31を有する開放空間が設けられている。乗りかご30はワイヤ等で吊り下げられていて、乗りかご30を補強する補強部材32が開放空間である扉31と並行に設けられている。補強部材32を扉と直角方向に設けた場合には、補強部材32の一部が扉31の開放空間で切断されることになり強度を減少させることになる。補強部材32を扉31と並行方向に設けた場合には、補強部材32を部分的に切断する必要がないので、補強部材32として充分な強度を持たせることができる。しかし補強部材32が設けられていることにより、乗りかご30の狭い外部上面に設置する空気調和機1の設置スペースはさらに狭くなるので、よりコンパクトに纏めて小形化にするとともに、高さ寸法を低くした空気調和機1が求められるようになる。
【0015】
本実施例の空気調和機1では、空気調和機1の高さ寸法を低くするために凝縮器用送風機に貫流ファン7を採用している。貫流ファン7は径を小さくすることができるので、高さ寸法の低くい空気調和機に適しており、また貫流ファン7は吸込み側に凝縮器3を配置した場合に、凝縮器3の全幅にわたって一様に空気を吸い込むことができるので、熱交換器用の送風機として適している。しかし貫流ファン7は静圧特性が低いので通風流路の通風抵抗を低くしなければならない。
【0016】
そのため本実施例の空気調和機1では、貫流ファン7の吸込み側にあたる上部空間に凝縮器3aを配置して、凝縮器3aの通風面が箱体21の天井面を構成するように水平に配置している。また凝縮器3bは貫流ファン7の吸い込み側の横方向に傾斜させて配置し、傾斜させることにより水平に配置したときと同じ通風面積を確保することができるので、通風流路の通風抵抗を減少させることなく、静圧特性の低い貫流ファン7を凝縮器用送風機として活用できるようになる。
【0017】
一方蒸発器用送風機には、静圧特性が高く送風機の径を小さくすることができる遠心ファン9を採用している。したがって空気調和機1をコンパクトに纏めたことにより、調和する空気の吸込み経路や吹出し経路に多少の通風抵抗があっても空気を送風することができ、また径の小さい遠心ファン9を使用して空気調和機1の高さ寸法を低くすることができる。
【0018】
従来のエレベータ乗りかご用空気調和機は、凝縮器や蒸発器の送風機にプロペラファンを採用しているため空気調和機の高さ寸法が高くなり、エレベータ乗りかごが最上階に到達したときに建物屋上の天井部に当接するので、当接を避けるため建物の屋上にエレベータの機械室等の突起部を設けて空気調和機が当接しないようにしなければならなかった。今までのようにビル等の建築物が発生させる日陰による日照権の問題がゆるやかなときには、最上階と屋上の間の空間を広くして空気調和機を収納する空間を確保したり、あるいは屋上にエレベータの機械室を設けることにより空気調和機が建築物の天井面に当接することを避けることができた。しかし最近のように日照権の問題が厳しく追及される時代では、建物の高さをできるだけ低くするとともに、屋上に突起物を設けることを避けるようになっている。
【0019】
そしてエレベータ乗りかご用の空気調和機は乗りかご30とともにエレベータの昇降路を上下に移動するため、空気調和機1の外部に排水機構を設けることができない。したがって蒸発器5で凝縮させたドレン水は空気調和機の内部で蒸散処理させて、空気調和機の外部に排出しないようにしなければならない。
【0020】
本実施例の空気調和機1では傾斜させた凝縮器3bに蒸発器5で凝縮させたドレン水を散水することにより、凝縮器3bで冷却する液状冷媒の温度を効果的に低下させて、ドレン水を蒸散させている。さらに圧縮機2の上部に上部ドレン受け16を設けて圧縮機2が放射する放射熱でドレン水を蒸散させている。凝縮器3bをドレン水で効果的に冷却できるので、凝縮器3b出口の液状冷媒の温度が低下して圧縮機2の消費電力を節減することができるようになる。そしてドレン水を傾斜させた凝縮器3bに散水して蒸散させることにより、また上部ドレン受け16で圧縮機2の放射熱でドレン水を蒸散させることにより、ドレン水を空気調和機1の内部で自己処理して空気調和機1の外部に排出しないですむようにしている。
【0021】
次に空気調和機1の詳細について説明する。図2、図3は本実施例による空気調和機の一例である。空気調和機1の箱体21内は仕切り板22で蒸発器側25と凝縮器側24に大きく区分されている。蒸発器側25には蒸発器5および2個の遠心ファン9が遠心ファン用モーター10の両側に設けられていいる。箱体21は、長辺部の角部を切り欠いて設けた2ヶ所の凹部にそれぞれ吸込み口20が設けられている。吸込み口20には吸込みダクト(図示せず)を取り付け取り外し可能に装着できるようになっていて、吸込みダクトを取り付けることにより乗りかご30内の空気を吸い込んで循環エア方式で効率よく乗りかご30内の冷房することができ、吸込みダクトを取り外すことによりエレベータ昇降路内の空気を吸い込んで新鮮な空気を乗りかご30内に供給するフレッシュエア方式の冷房を行なうことができる。
【0022】
空気調和機1の電源が入れられ遠心ファン用モーター10が駆動することにより遠心ファン9が回転し、吸込み口20から吸い込まれた空気は遠心ファン9により遠心方向に吹き出され、吹き出された風は遠心ファンケーシングで集められて蒸発器5に吹き付けられる。蒸発器5に吹き付けらた空気は蒸発器5を通過する間に冷却されるとともに除湿され、快適に調和された空気となって乗りかご30の吹出し口33から乗りかご30内に吹き出され、乗りかご30内を冷房することになる。
【0023】
蒸発器5で除湿されたドレン水は蒸発器5の下部に設けた蒸発器側ドレン受け11で集められる。一般的な家庭用の空気調和機の場合には、蒸発器側ドレン受け11で集めたドレン水はそのままドレンホース等で空気調和機の外部に誘導して下水や大地等に排出している。しかしエレベータ用空気調和機1の場合には空気調和機1本体が乗りかご30とともに移動するので、ドレンホース等で誘導して下水や大地等に簡単に排出することができない。本実施例の空気調和機1では蒸発器側ドレン受け11に集めたドレン水を、ドレン配管13で凝縮器3bの下部に設けた凝縮器側ドレン受け12に導いて、凝縮器3bおよび圧縮機2の上部に設けた上部ドレン受け16で蒸散処理させている。これにより空気調和機1の外部にドレン水を排出する必要がなくなるので、空気調和機1本体をエレベータの乗りかご30とともに移動させることが可能になる。
【0024】
次に凝縮器側24について説明する。凝縮器側24には圧縮機2、凝縮器3および減圧装置4等が冷媒配管6で接続され、貫流ファン7、貫流ファン7を駆動する貫流ファン用モーター8および冷凍サイクルを駆動するその他の電気品等が配置されている。そして凝縮器3bの下部には凝縮器側ドレン受け12が設けられ、圧縮機2の上部には上部ドレン受け16が設けられている。蒸発器5の下部に設けた蒸発器側ドレン受け11から流入してくるドレンを貯留する凝縮器側ドレン受け12には吸水管17が接していて、凝縮器側ドレン受け12に溜まったドレン水は吸水管17を通してドレンポンプ14吸い上げられ、散水パイプ15や上部ドレン受け16に供給されるようになっている。
【0025】
本実施例の空気調和機1の圧縮機2は、円筒形の横形圧縮機を採用し、円筒形を横にして使用しているので、空気調和機1の高さを低くすることができるとともに、その上部に上部ドレン受け16を設けることができる。また圧縮機2は空気調和機1の中で最も温度が高くなる部品なので、圧縮機2を上部ドレン受け16で冷却することにより、圧縮機2の負荷が軽減し、空気調和機1の消費電力を軽減し、省エネルギー運転を行なうことができるようになる。
【0026】
図4に示すように凝縮器3では、凝縮器3aの通風面を箱体21の天井面を兼ねて水平に配置し、さらに2点鎖線で示す凝縮器3の一部を傾斜させて凝縮器3bとして配置することにより、Bの範囲に広がる凝縮器3をAの範囲に納めることが可能になり、それぞれの部品をよりコンパクトに纏めた空気調和機1を得ることができる。しかもBの範囲で得られる通風面積をAの範囲でも確保しているので、凝縮器3を納めるスペースが小さくなっても凝縮器3としての通風面積が減少することなく、通風抵抗も増加することがない。
【0027】
またこの傾斜させた凝縮器3bに先に説明した蒸発器5で凝縮させた冷たいドレン水を散水パイプ15から散水して、ドレン水の蒸発潜熱を利用して凝縮器3bをより効果的に冷却させ、あわせてドレン水を強制的に蒸散させて空気調和機1の外部にドレン水を排出しないようにしている。そして傾斜させた凝縮器3bは貫流ファン7から横方向に離れているので、凝縮器3bで蒸散しきれなかったドレン水が凝縮器3bから滴下しても、貫流ファン7にかかることがなく、したがって貫流ファン7でドレン水が飛散されて空気調和機1の外部に飛び散り周辺を濡らすようなことがない。
【0028】
圧縮機2から出てきた高温高圧のガス状冷媒は、図4に示すように水平に配置した凝縮器3aの右端部より凝縮器3aに流入し、凝縮器3a内を流れる間に高圧の液状冷媒に徐々に変化して傾斜した凝縮器3bに流入する。斜めに傾斜させた凝縮器3bの上部空間に設けた散水パイプ15から、蒸発器5で取り除いたドレン水を傾斜させた凝縮器3bに散水して、傾斜している凝縮器3bのフィンの表面を流下している間に蒸散させるようにしている。傾斜した凝縮器3bでは貫流ファン7が吸い込む空気と凝縮器3bの上方より散水されるドレン水で冷媒を冷却することになり、より効果的に冷媒を冷却して液化を促進させることができる。
【0029】
傾斜した凝縮器3bで冷媒は状態を液状に変化させて比重を増加させることになるが、凝縮器3bが傾斜しているので重力方向に沿って流下することになり圧縮機の負担を増加させることはない。傾斜した凝縮器3bで液化した冷媒は風とドレン水で充分に冷却されて、傾斜した凝縮器3bから出て減圧装置4に流入する。減圧装置4に流入した冷媒は減圧装置4で圧力を低下させられて低圧の液状冷媒として蒸発器5に流入することになる。なお傾斜した凝縮器3bの下部の凝縮器側ドレン受け12に貯留しているドレン水は、凝縮器3bの下部から放射される放射熱でも加熱されて自然に蒸発するようになっている。
【0030】
なお凝縮器3に流入する冷媒は図5の(a),(b)に示すように、範囲Aの水平に配置した凝縮器3aから、あるいは範囲Bの傾斜して配置した凝縮器3bからのいずれからも流入させることができる。通常は(a)のように、範囲Aの水平に配置した凝縮器3aから流入させ、範囲Bの凝縮器3bを通って流出させている。範囲A、範囲Bにおいて凝縮器3a,3bに流入する風の温度t1は、昇降路の空気を吸いこむことになるので、範囲A、範囲Bともほぼ同じ温度になっている。そして(a)の場合には、冷媒は温度t2で凝縮器3aに流入してきて、範囲Aでは風だけで冷却されることになる。この場合に冷媒は、風との温度差が大きく効果的に冷却されて温度t2になる。そして範囲Bで冷媒は、温度t2から風とドレン水で冷却されて温度t4となって凝縮器3bを出てゆくことになる。
【0031】
これに対しドレン水の蒸散を優先させる場合には、(b)のように範囲Bの傾斜させて配置した凝縮器3bの下側から冷媒を流入させる方法がある。すなわち冷媒の温度が高い温度t2の状態で、凝縮器3bに冷媒を流入させてドレン水を確実に蒸散させようとする方法である。この場合には、凝縮器3bに流入する冷媒の温度がt2と高いので、散水されるドレン水は効率よく蒸散する。そしてドレン水は蒸発をするのに必要な潜熱を冷媒から奪って、冷媒の温度を(a)の場合より低いt3’に冷却することになる。しかし次の範囲Aでは、冷媒の温度と風の温度との温度差が少なくなり冷却効果が減少して、凝縮器3aから流出する冷媒の温度t4’は(a)の場合よりも若干高い温度を示すことになる。したがって凝縮器出口の冷媒温度よりも、ドレン水の蒸散を確実におこなう場合には(b)のように傾斜した凝縮器3bから冷媒を流入させる方法がある。
【0032】
この場合ガス状の冷媒は、傾斜して配置した凝縮器3bを上昇しながら徐々に液化をし始める。しかし液化した冷媒の量は、まだ液化をし始めた初期の段階なので量が少なく、冷媒を凝縮器3aの高さまでに押し上げる圧縮機2の負荷はそれほど大きくならない。そして液化した冷媒の量が多くなる時点で冷媒は、傾斜した凝縮器3bから水平に配置された凝縮器3aに流入するので、傾斜した凝縮器3bおよび凝縮器3aを通過する冷媒の流通抵抗はそれほど増加することがない。また水平に配置した凝縮器3aを、液状冷媒が流れる出口側に向って低く傾斜させることにより、液状冷媒が自重によっても流れることになり冷媒の流通抵抗を減少させることができるようになる。
【0033】
次に凝縮器3bにドレン水を散水する散水パイプ15について、図6により説明する。(a)は本実施例で採用している方法である。すなわち(a)ではパイプ15aの側面に同一孔径の複数の散水孔15bを設けて、その散水孔15bの間隔P1,P2,P3…を散水パイプ15の入口側では広くし先端側になるにしたがって狭くして、散水パイプ15の全長にわたってドレン水を均一に散水できるようにしている。この場合には散水孔15bの孔径が同一で、間隔Pのみを変えているので、散水孔15bを穿孔する穿孔工具は同じ工具を使うことができ、間隔Pのみを変えるだけなので、散水パイプ15の加工方法が簡単になり、散水パイプ15の価格を引き下げることができ、空気調和機1の価格を低減させることができる。
【0034】
その他に間隔Pを同一にして孔の径を入口側から順に大きくする(b)の方法が考えられる。これは孔径が異なるので孔毎に穿孔工具を変える必要がありコストアップにつながる。また半割りのパイプを使用して先端部に向って傾斜をつけて、半割りパイプの縁からオーバーフローさせる(c)の方法も考えられる。しかし水がどこでオーバーフローするか分からず不安定である。さらにそれを改良する形で(d)の構造が考えられる。この場合には半割りパイプの縁に切欠き部を設けて、半割りパイプの入口側から先端側になるにしたがって切欠き形状を大きくし、先端側になるにしたがって切欠き部の深さが深くなるので、ドレン水が切欠き部より溢れやすくなる。
【0035】
本実施例の空気調和機1では、凝縮器部の散水パイプ15の他に横形円筒形の圧縮機2の上部に図7に示す上部ドレン受け16を設けている。ドレン受け16の内部には上部端面の高さの異なる複数のリブ16a,16b,16c,16dを設け、高さが順次低くなるように配置して、最上位のリブ16aの貯水部から溢れたドレン水を次のリブ16bの貯水部で受けて貯溜し、以下順次下位のリブの貯水部で上位のリブの貯水部から溢れたドレン水を貯溜するようにしている。そして散水パイプ15の端末を上部ドレン受け16の上部まで延長させた導水管18で凝縮器3bに散水できなかったドレン水を散水させている。
【0036】
このように上部ドレン受け16に貯溜するドレン水の貯留部を細かく分割することにより、各貯留部の水の量が減少するので、空気調和機1が乗りかご30とともに移動して振動しても水面が波立つことなく、したがってドレン水を上部ドレン受け16の外に飛び出させることがない。また圧縮機2の放射熱が複数のリブを通して伝達され、それぞれの貯水部に貯溜している少量のドレン水を温めることになるので、ドレン水の蒸散を促進することができる。また上位の貯水部より溢れて、順々に下位の貯水部に流れ落ちるようにしているので上位ドレン受け16に滞留する時間が長くなり、ドレン水の蒸散する量を多くすることができる。なお最後まで蒸散しきれないで上位ドレン受け16の最下部に達したドレン水は、回収管19によって凝縮器側ドレン受けに12に回収され、ドレンポンプ14を通して再び散水パイプ15および上位ドレン受け16に供給され、蒸散処理をおこなうことになる。
【0037】
以上のシステムにより、蒸発器5で除湿したドレン水を蒸散させることができるようになる。しかしさらに万が一の事態を考慮して、凝縮器側ドレン受け12には水位検知装置(図示せず)が設けられていて、凝縮器側ドレン受け12の水位が所定レベル以上に達したときには空気調和機1の運転を停止するようになっている。これにより万が一の場合にも、ドレン水が凝縮器側ドレン受け12より溢れて、空気調和機1の内部や、空気調和機1の周辺および乗りかご30の上面を濡らすことがないようにしている。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば次のような効果が期待される。
【0039】
請求項1によれば、傾斜させた凝縮器に蒸発器で除湿したドレン水を散水パイプで散水して蒸散処理するとともに、圧縮機の上部にもドレン受けを設けて圧縮機の上部のドレン受けでもドレン水を蒸散処理させるようにしたことにより、空気調和機の内部でドレン水を処理して空気調和機の外部に排出しないようにすることができた。
【0040】
請求項2によれば、散水パイプに設けたドレン水を散水する散水孔の間隔を、散水パイプの入口側では広くし先端側になるにしたがって狭くして、散水パイプの全長にわたってドレン水を均一に散水できるようにできた。
【0041】
請求項3によれば、圧縮機の上部に設けた上部ドレン受けの内部に上部端面の高さの異なる複数のリブを設け、リブの高さが順次低くなるように配置して、最上位のリブの貯水部から溢れたドレン水を次のリブの貯水部で受けて貯溜し、以下順次下位のリブの貯水部で上位のリブの貯水部から溢れたドレン水を受けて貯溜させ、ドレン水の滞留する時間を長くして大量のドレン水を蒸散できるようにした。
【0042】
請求項4によれば、圧縮機上部に設けたドレン受けの最下部に貯溜したドレン水を、ドレンポンプでドレン水を汲み上げることのできるドレン受けに導いて、ふたたび蒸散処理をすることにより空気調和機の外部にドレン水を排出しないようにした。
【0043】
請求項5によれば、凝縮器の下部に設けたドレン受けのドレン水が、所定のレベル以上に達したときに水位を検知して空気調和機の運転を停止するようにして、ドレン水がドレン受けから溢れ出すのを防止した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による空気調和機の一実施例の冷媒回路図。
【図2】本発明による空気調和機の一実施例の平面図。
【図3】本発明による空気調和機の一実施例の側面図。
【図4】凝縮器の冷媒の流れ説明図。
【図5】凝縮器内の冷媒温度の変化説明図。
【図6】散水パイプの説明図。
【図7】圧縮器上部のドレン受け説明図。
【図8】空気調和機を乗りかごに設置した外観図。
【図9】フレッシュエア方式による乗りかご内の説明図。
【符号の説明】
1…空気調和機、2…圧縮機、3…凝縮器、4…減圧装置、5…蒸発器、6…冷媒配管、7…貫流ファン、8…貫流ファン用モーター、9…遠心ファン、10…遠心ファン用モーター、11…蒸発器側ドレン受け、12…凝縮器側ドレン受け、13…ドレン配管、14…ドレンポンプ、15…散水パイプ、16…上部ドレン受け、17…吸水管、18…導水管、19…回収管、20…吸込み口、21…箱体、22…仕切り板、23…上板、24…凝縮器側、25…蒸発器側、30…乗りかご、31…扉、32…補強部材、33…吹出し口。
Claims (5)
- 空気調和機を構成する部品を平面的に配置して空気調和機の高さ寸法を低くし、通風面を水平に配置した凝縮器の一部を傾斜させて成るエレベータ乗りかご用の空気調和機において、傾斜させた凝縮器に蒸発器で除湿したドレン水を散水パイプで散水して蒸散処理するとともに、圧縮機の上部にもドレン受けを設けて圧縮機の上部のドレン受けでもドレン水を蒸散処理させるようにしたことを特徴とするエレベータ用空気調和機。
- ドレン水を散水する散水パイプにおいて、散水パイプに設けたドレン水を散水する散水孔の間隔を、散水パイプの入口側では広くし先端側になるにしたがって狭くして、散水パイプの全長にわたってドレン水を均一に散水できるようにしたことを特徴とする請求項1記載のエレベータ用空気調和機。
- 圧縮機の上部に設けたドレン受けにおいて、ドレン受けの内部に上部端面の高さの異なる複数のリブを設け、リブの高さが順次低くなるように配置して、最上位のリブの貯水部から溢れたドレン水を次のリブの貯水部で受けて貯溜し、以下順次下位のリブの貯水部で上位のリブの貯水部から溢れたドレン水を受けて貯溜するようにしたことを特徴とする請求項1記載のエレベータ用空気調和機。
- 圧縮機の上部に設けたドレン受けにおいて、最下位に貯溜したドレン水をドレンポンプでドレン水を汲み上げることのできるドレン受けに導くようにしたことを特徴とする請求項1あるいは請求項3記載のエレベータ用空気調和機。
- 凝縮器の下部に設けたドレン受けにおいて、ドレン水が所定のレベル以上に達したときに水位を検知して空気調和機の運転を停止するようにしたことを特徴とする請求項1記載から請求項4記載のエレベータ用空気調和機。
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