JP2004324460A - ターボ機械 - Google Patents
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Abstract
【課題】単純な構造で安定して回転軸の振動を抑制することができるターボ機械を提供する。
【解決手段】高温・高圧のガスによって動翼22及びタービンディスク23を有する回転軸21を回転させて動力を発生するタービン4において、回転軸21を回転可能に支持するジャーナル軸受19,20及びスラスト軸受25,26と、これらジャーナル軸受19,20及びスラスト軸受25.26のうちのスラスト軸受25,26から排出された潤滑流体をジャーナル軸受20へ供給する連通配管31とを備える。
【選択図】 図2
【解決手段】高温・高圧のガスによって動翼22及びタービンディスク23を有する回転軸21を回転させて動力を発生するタービン4において、回転軸21を回転可能に支持するジャーナル軸受19,20及びスラスト軸受25,26と、これらジャーナル軸受19,20及びスラスト軸受25.26のうちのスラスト軸受25,26から排出された潤滑流体をジャーナル軸受20へ供給する連通配管31とを備える。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガスタービン等のターボ機械に係わり、特にオーバーハング部を有するターボ機械に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般にガスタービン等のターボ機械は、タービン翼を有する回転軸と、この回転軸を回転可能に支持する複数のすべり軸受とを備えている。これらのすべり軸受には軸受潤滑用の潤滑流体(潤滑油等)が供給されるようになっており、この潤滑流体はすべり軸受を潤滑した後軸受から排出されて潤滑油タンクに流入する。そして、潤滑油タンク内の潤滑流体は、ポンプ(潤滑油ポンプ等)で加圧され冷却器で冷却されて、再度すべり軸受に供給されるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような構成のターボ機械において、例えば回転軸のオーバーハング部(回転軸のうち、この回転軸を支持する複数のすべり軸受のうち両端に位置するすべり軸受のさらに外側に突き出た部分)に翼を有する場合等、回転軸の重心が大きく偏り軸受によって軸受荷重に大きな差が生じる構造の場合、軽負荷側(上記オーバーハング部に翼を有する回転軸の場合にはオーバーハング部と反対側)のすべり軸受では軸方向に対して直角方向に作用する荷重が減少する。この結果、この軽負荷側のすべり軸受においては潤滑流体による回転軸に振れ回りを発生させる流体力が増大するため、回転軸に不安定振動が発生する恐れがあった。
【0004】
このような背景から、従来より、回転軸の軽負荷側を延長してダンパ機構を設けたターボ機械がある(例えば、特許文献2参照)。このダンパ機構は、回転軸の延長部分を取り囲むケーシング部に設けられ回転軸の径方向の振幅と連動して可動するダンパ可動片と、このダンパ可動片の外周面の軸方向両端に設けたOリングと、ダンパ可動片とケーシングと上記Oリングとにより形成される隙間に油を封入して形成される油膜とを備えており、回転軸の径方向振動エネルギを上記油膜により吸収することで回転軸の不安定振動を抑制するようになっている。
【0005】
【特許文献1】
特開平7−269304号公報
【特許文献2】
特開平7−208335号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術では以下のような課題が存在する。
すなわち、上記従来技術では、回転軸の不安定振動を抑制するために、回転軸を延長してその延長部にダンパ可動片、Oリング及び油膜等からなる新たなダンパ機構を設けるため、構造が複雑となってしまう。さらに、Oリングが経年劣化した場合には回転軸の径方向振動エネルギを吸収する油膜の形成が不安定となるため、回転軸の振動を安定して抑制できない恐れがあった。
【0007】
本発明の目的は、単純な構造で安定して回転軸の振動を抑制することができるターボ機械を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
(1)上記目的を達成するために、本発明は、高温・高圧のガスによってタービン翼を有する回転軸を回転させて動力を発生したり、圧縮機翼を有する回転軸を回転させることにより気体を圧縮させたりするターボ機械において、前記回転軸を回転可能に支持する複数のすべり軸受と、これら複数のすべり軸受のうちの少なくとも1つの第1のすべり軸受から排出された潤滑流体を少なくとも1つの第2のすべり軸受へ供給する供給路とを備えるものとする。
【0009】
本発明のターボ機械では、例えばオーバーハング部(回転軸のうち、この回転軸を支持する複数のすべり軸受のうち両端に位置するすべり軸受のさらに外側に突き出た部分)に翼を有する回転軸を例えば軸方向2箇所に設けられたすべり軸受で回転可能に支持する。したがって、回転軸の重心はオーバーハング部側に偏るため、軽負荷側であるオーバーハング部と反対側のすべり軸受においては軸方向に対して直角方向に作用する荷重が減少する。これにより、この軽負荷側のすべり軸受においては潤滑流体による回転軸に振れ回りを発生させる流体力が増大するため、回転軸に不安定振動を発生させる恐れがある。
【0010】
そこで本発明においては、例えば重負荷側であるオーバーハング部側のすべり軸受から排出された潤滑流体を軽負荷側であるオーバーハング部と反対側のすべり軸受へ供給する供給路を設ける。ここで、上記した回転軸に振れ回りを発生させる潤滑流体の流体力を減少させるには、潤滑流体の粘性係数を減少させることが有効であり、また一般に潤滑流体は温度が上昇すると粘性係数が減少する性質を有する。すなわち、本発明によれば、重負荷側であるオーバーハング部側のすべり軸受において軸受を潤滑することで発熱して温度が上昇した潤滑流体を、供給路を介して軽負荷側であるオーバーハング部と反対側のすべり軸受へ供給することで、軽負荷側のすべり軸受における潤滑流体による回転軸に振れ回りを発生させる流体力を減少することができる。
【0011】
このように、本発明によれば、供給路を設けるといった単純な構造によって回転軸の不安定振動を抑制することができ、且つ前述した従来構造のように経年劣化が懸念されるOリング等を使用しないことにより、安定して回転軸の不安定振動を抑制することができる。
【0012】
(2)上記(1)において、好ましくは、前記少なくとも1つの第1のすべり軸受から排出された潤滑流体を前記供給路を介して前記少なくとも1つの第2のすべり軸受へ圧送するポンプをさらに備えるものとする。
【0013】
(3)上記(1)又は(2)において、また好ましくは、前記第1のすべり軸受はスラスト軸受であり、前記第2のすべり軸受はジャーナル軸受であるものとする。
【0014】
(4)上記(1)又は(2)において、また好ましくは、前記第1のすべり軸受及び前記第2のすべり軸受は共にジャーナル軸受であり、且つ前記第1のすべり軸受は前記第2のすべり軸受よりも支持荷重が大きいものとする。
【0015】
(5)上記目的を達成するために、本発明は、高温・高圧のガスによってタービン翼を有する回転軸を回転させて動力を発生したり、圧縮機翼を有する回転軸を回転させることにより気体を圧縮させたりするターボ機械の軸受潤滑油供給方法において、前記回転軸を回転可能に支持する複数のすべり軸受のうちの少なくとも1つの第1のすべり軸受から排出された潤滑流体を少なくとも1つの第2のすべり軸受へ供給する方法とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のターボ機械の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
まず、本発明のターボ機械の第1の実施の形態を図1及び図2を用いて説明する。
図1は、本発明のターボ機械の第1の実施の形態であるタービンを備えたガスタービンの全体構造を一部断面で表す側面図である。
この図1において、ガスタービン1は、吸い込んだ空気を圧縮して圧縮空気を生成する圧縮機2と、この圧縮機2からの圧縮空気を燃料と共に燃焼して高温・高圧の燃焼ガスを生成する燃焼器3と、この燃焼器3からの燃焼ガスによって回転動力を発生させるタービン4とを備えている。
【0017】
圧縮機2は、圧縮機ロータ2Aと、この圧縮機ロータ2Aの周方向外側を覆うケーシング5とを備えている。圧縮機ロータ2Aは、外周部に動翼6を周方向に複数設けた圧縮機ディスク7を回転軸8の軸方向に複数積層して構成されている。またケーシング5の内側には、軸方向に各動翼6と交互に位置するよう複数の静翼9が環状に固定されている。これら動翼6及び静翼9は軸方向に隣り合う一組で1つの段落を形成しており、圧縮機2はこの段落を軸方向に複数段備えている。このような構成により、圧縮機2は吸気口10から吸い込んだ空気を各段落で徐々に圧縮・昇圧させて圧縮空気を生成するようになっている。
【0018】
上記圧縮機2で生成された圧縮空気は燃焼器3に供給されるようになっている。燃焼器3はこの圧縮空気中に燃料ノズル11から燃料を噴射して混合ガスを生成し、プラグ12で点火することにより混合ガスを燃焼させるようになっている。
【0019】
上記燃焼器3で生成された高温・高圧の燃焼ガスは、燃焼器3から燃焼ガス流路15に導入されるようになっている。この燃焼ガス流路15内には前記の圧縮機2の回転軸8に固定された高圧タービンディスク16の外周部に複数設けた動翼17が配設されており、燃焼ガスが動翼17に吹き当たって高圧タービンディスク16が回転することで、圧縮機ロータ2Aは回転駆動力を得るようになっている。
【0020】
上記高圧タービンディスク16に回転駆動力を与えた燃焼ガスはさらに燃焼ガス流路15内を進み、タービン4内に導入される。図2はこのタービン4の全体構造を概略的に表す側断面図である。この図2と前記の図1を用いてタービン4の構造を以下に説明する。
これら図1及び図2において、タービン4は、圧縮機2と同様にタービンロータ4Aと、このタービンロータ4Aの周方向外側を覆うケーシング18とを備えている。
【0021】
タービンロータ4Aは、圧縮機2側及びその反対側の2箇所に設けられたジャーナル軸受19,20によって周方向に回転可能に支持された回転軸21と、この回転軸21の圧縮機2側のオーバーハング部(回転軸21のうち、ジャーナル軸受19から圧縮機2側に片持ち状に突き出た部分)に設けられ外周部に動翼22を複数設けたタービンディスク23とを備えている(なお、図2にはこれら動翼22とタービンディスク23とを一部材として図示している)。このような構造により、タービンロータ4Aの重心はオーバーハング部側に大きく偏っており、このオーバーハング部側に位置する(すなわち重負荷側に位置する)ジャーナル軸受19による支持荷重は反対側に位置する(すなわち軽負荷側に位置する)ジャーナル軸受20の支持荷重の例えば約10倍程度になり得る。また、回転軸21にはスラストカラー24が設けられており、タービンロータ4Aの軸方向の荷重はこのスラストカラー24を挟むようにして配設されたスラスト軸受25,26により回転軸21の周方向の回転を阻害することなく支持されている。このように構成されるタービンロータ4Aは、前記高圧タービンディスク16に回転駆動力を与えた燃焼ガスが燃焼ガス流路15内をさらに進んでタービンディスク23の外周の動翼22に吹き当たることで回転駆動されるようになっており、これによりタービン4は動力を発生するようになっている。
【0022】
上記ジャーナル軸受19,20及びスラスト軸受25,26は流体潤滑軸受であり、そのうちジャーナル軸受19及びスラスト軸受25,26には潤滑流体(例えば潤滑油)が図示しない供給ポンプによって供給配管30(図2にのみ図示)を介してそれぞれ圧送され供給されるようになっている。また、回転軸21の下方には、スラスト軸受25,26とジャーナル軸受20とを連通するように連通配管31(図2にのみ図示)が設けられている。これにより、ジャーナル軸受20には、供給配管30からスラスト軸受25,26に供給されこれらスラスト軸受25,26を潤滑して排出された潤滑流体が、回転軸21及びスラストカラー24による遠心力が推進力となって上記連通配管31を介して供給されるようになっている。
【0023】
上記のようにしてジャーナル軸受19,20に供給されこれらジャーナル軸受19,20を潤滑した潤滑流体は、それぞれの軸受から下方に排出され排出配管32(図2にのみ図示)を介して図示しないタンクに流入する。タンク内の潤滑流体は、上記の図示しない供給ポンプによって加圧され、適宜図示しない冷却器等によって冷却されて(冷却器を設けず、上記タンク内で自然冷却するようにしてもよい)、供給配管30(図2にのみ図示)を介して再びジャーナル軸受19及びスラスト軸受25,26にそれぞれ供給されるようになっている。なお、このジャーナル軸受19及びスラスト軸受25,26に供給される潤滑流体の温度は通常50℃程度であるが、それぞれの軸受において潤滑流体は軸受を潤滑する際にせん断流れを生じて発熱するため、スラスト軸受25,26を潤滑した後にジャーナル軸受20に供給される潤滑流体の温度は、例えば10℃程度上昇して60℃前後となる。
【0024】
以上において、タービン4は特許請求の範囲各項記載の高温・高圧のガスによってタービン翼を有する回転軸を回転させて動力を発生したり、圧縮機翼を有する回転軸を回転させることにより気体を圧縮させたりするターボ機械を構成し、動翼6は圧縮機翼を構成し、動翼22はタービン翼を構成する。また、ジャーナル軸受19,20及びスラスト軸受25,26は回転軸を回転可能に支持する複数のすべり軸受を構成し、そのうちスラスト軸受25,26は少なくとも1つの第1のすべり軸受を構成し、ジャーナル軸受20は少なくとも1つの第2のすべり軸受を構成し、連通配管31は少なくとも1つの第1のすべり軸受から排出された潤滑流体を少なくとも1つの第2のすべり軸受へ供給する供給路を構成する。
【0025】
次に、上記構成の本発明のターボ機械の第1の実施の形態の動作を以下に説明する。
本実施の形態のガスタービン1においては、圧縮機2で吸い込んだ空気を圧縮して圧縮空気を生成し、この圧縮機2からの圧縮空気を燃焼器3で燃料と共に燃焼して高温・高圧の燃焼ガスを生成し、この燃焼器3からの燃焼ガスによってタービンロータ4Aを回転させてタービン4で動力を発生する。
【0026】
このとき、タービン4の回転軸21を回転可能に支持するジャーナル軸受19,20及びスラスト軸受25,26のうちのジャーナル軸受19及びスラスト軸受25,26には、図示しない供給ポンプにより供給配管30を介して潤滑流体がそれぞれ供給される。ジャーナル軸受19を潤滑した潤滑流体は、下方に排出され排出配管32を介してタンクに流入する。一方、スラスト軸受25,26を潤滑して温度が上昇した潤滑流体は、回転軸21及びスラストカラー24による遠心力を推進力として連通配管31を介してジャーナル軸受20に供給される。このようにしてジャーナル軸受20を潤滑した潤滑流体は、下方に排出され排出配管32を介してタンクに流入する。タンク内の潤滑流体は供給ポンプによって加圧され適宜冷却器等によって冷却されて、供給配管30を介して再びジャーナル軸受19及びスラスト軸受25,26にそれぞれ供給される。
【0027】
以上のような動作を行う本発明のターボ機械の第1の実施の形態により得られる作用を以下に説明する。
本実施の形態のタービン4は、回転軸21の圧縮機2側のオーバーハング部にタービンディスク23及び動翼22を設けた構造であるため、回転軸21の重心はオーバーハング部側に大きく偏っており、前述したようにオーバーハング部と反対側のジャーナル軸受20の支持荷重はオーバーハング部側のジャーナル軸受19の支持荷重に比べて例えば約1/10程度と比較的小さくなっている。したがって、この軽負荷側であるジャーナル軸受20においては軸方向に対して直角方向に作用する荷重が減少し、潤滑流体による回転軸21に振れ回りを発生させる流体力が増大する。このため、回転軸21に不安定振動を発生させる恐れがある。
【0028】
このような不安定振動を抑制するために、前述した従来技術のように回転軸21を延長してその延長部にダンパ可動片、Oリング及び油膜等からなる新たなダンパ機構を設けるような構造とすると、構造が複雑となってしまう。さらに、Oリングが経年劣化した場合には回転軸21の径方向振動エネルギを吸収する油膜の形成が不安定となるため、回転軸21の振動を安定して抑制できない恐れがある。
【0029】
さらに、上記のような回転軸21の不安定振動を抑制するために、回転軸21のジャーナル軸受19,20のスパン間にカウンタウェイトを設け、軽負荷側のジャーナル軸受20の支持荷重を確保して不安定振動を抑制する方法も考えられるが、タービンロータ4A自体の重量が増大するため、材料費及び輸送費等のコストの増大を招いてしまう。
【0030】
これに対し、本実施の形態では、連通配管31を設け、スラスト軸受25,26を潤滑して温度が上昇した潤滑流体をジャーナル軸受20に供給する。ここで、前述したように回転軸21に振れ回りを発生させる潤滑流体の流体力を減少させるには潤滑流体の温度を上昇させて粘性係数を減少させることが有効であるので、上記のようにスラスト軸受25,26を潤滑することで温度が上昇した潤滑流体を軽負荷側のジャーナル軸受20へ供給することで、潤滑流体による回転軸21に振れ回りを発生させる流体力を減少することができる。したがって、本実施の形態によれば、連通配管31を設けるといった単純な構造によって回転軸21の不安定振動を抑制することができ、且つ従来構造のように経年劣化が懸念されるOリング等を使用しないことにより、安定して回転軸21の不安定振動を抑制することができる。さらに、カウンタウェイトを設けずに回転軸21の不安定振動を抑制することができるので、材料費及び輸送費等のコストの増大を防止することができる。
【0031】
次に、本発明のターボ機械の第2の実施の形態を以下に説明する。本実施の形態は、前述の第1の実施の形態ではスラスト軸受からジャーナル軸受へ潤滑流体を供給したのに対し、ジャーナル軸受からジャーナル軸受へ潤滑流体を供給するものである。図3は本実施の形態における潤滑流体の流れを概略的に示す系統図である。なお、この図3において前述の第1の実施の形態における図2と同様の部分には同符号を付し、説明を省略する。
この図3において、動翼22及びタービンディスク23をオーバーハング部に有する回転軸21は、ジャーナル軸受19,20によって回転可能に支持されている。ジャーナル軸受19には、タンク35内の潤滑流体が供給ポンプ36によって加圧され、供給配管30を介して供給される。ジャーナル軸受19を潤滑した潤滑流体は配管37を介して補助タンク38に流入し、一旦貯留される。補助タンク38内に貯留された潤滑流体は補助ポンプ39により加圧され、配管40を介してジャーナル軸受20に供給される。そして、このジャーナル軸受20を潤滑した潤滑流体は、排出配管32を介してタンク35に排出される。タンク35内に流入した潤滑流体はタンク35内で冷却され、供給ポンプ36によって再び加圧されてジャーナル軸受19に供給されるようになっている。
【0032】
以上において、補助ポンプ39は請求項2記載の第1のすべり軸受から排出された潤滑流体を供給路を介して少なくとも1つの第2のすべり軸受へ圧送するポンプを構成する。
【0033】
上記構成の本発明のターボ機械の第2の実施の形態によれば、重負荷側のジャーナル軸受19を潤滑することで温度が上昇した潤滑流体を軽負荷側のジャーナル軸受20へ供給することで、ジャーナル軸受20における潤滑流体による回転軸21に振れ回りを発生させる流体力を減少することができる。したがって、前述の第1の実施の形態と同様に、単純な構造で且つ安定して回転軸21の不安定振動を抑制することができる。しかも、第1の実施の形態では遠心力で潤滑流体をジャーナル軸受20に供給したのに対し、本実施の形態では補助ポンプ39で圧送することで確実に供給することができるので、回転軸21の不安定振動を確実に抑制することができる。
【0034】
なお、上記本発明の第2の実施の形態では補助ポンプ39を用いて潤滑流体を圧送するようにしたが、これに限らない。すなわち、前述の第1の実施の形態のように例えば遠心力等を推進力とすることで潤滑流体をジャーナル軸受19からジャーナル軸受20に供給することが可能であれば、補助ポンプ39を用いなくともよい。
【0035】
また、以上説明してきた本発明の第1及び第2の実施の形態においては、ジャーナル軸受19,20及びスラスト軸受25,26の軸受形状について特に記載しなかったが、例えば真円軸受又は多円弧軸受等であってもよい。また、ジャーナル軸受19,20及びスラスト軸受25,26を潤滑油等の液体の潤滑流体を用いる軸受としたが、これに限らず、気体の潤滑流体を用いてもよく、例えばティルティングパッド軸受などの空気軸受であってもよい。すなわち、本発明は全ての流体潤滑軸受に適用することが可能である。
【0036】
またさらに、上記本発明の第1及び第2の実施の形態においては、1箇所の軸受から1箇所の軸受へと潤滑流体を供給するようにしたが、これに限らず、例えば1箇所の軸受から複数箇所の軸受、複数箇所の軸受から1箇所の軸受、及び複数箇所の軸受から複数箇所の軸受に潤滑流体を供給するようにしてもよい。
【0037】
また、上記本発明の第1及び第2の実施の形態においては、本発明をガスタービン1を構成する機器のうち動力を発生するタービン4に適用した例を示したが、これに限らず、圧縮空気を生成する圧縮機2に適用してもよいのは言うまでもない。この場合にも、上記第1及び第2の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、支持荷重の大きい第1のすべり軸受を潤滑することで発熱して温度が上昇した潤滑流体を供給路を介して支持荷重の小さい第2のすべり軸受へ供給することで、第2のすべり軸受における潤滑流体による回転軸に振れ回りを発生させる流体力を減少することができる。したがって、供給路を設けるといった単純な構造によって回転軸の不安定振動を抑制することができ、且つ前述した従来構造のように経年劣化が懸念されるOリング等を使用しないことにより、安定して回転軸の不安定振動を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のターボ機械の第1の実施の形態であるタービンを備えたガスタービンの全体構造を一部断面で表す側面図である
【図2】本発明のターボ機械の第1の実施の形態であるタービンの全体構造を概略的に表す側断面図である。
【図3】本発明のターボ機械の第2の実施の形態における潤滑流体の流れを概略的に示す系統図である。
【符号の説明】
4 タービン(ターボ機械)
6 動翼(圧縮機翼)
8 回転軸
19 ジャーナル軸受(すべり軸受)
20 ジャーナル軸受(すべり軸受;第2のすべり軸受)
21 回転軸
22 動翼(タービン翼)
25 スラスト軸受(すべり軸受;第1のすべり軸受)
26 スラスト軸受(すべり軸受;第1のすべり軸受)
31 連通配管(供給路)
39 補助ポンプ(ポンプ)
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガスタービン等のターボ機械に係わり、特にオーバーハング部を有するターボ機械に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般にガスタービン等のターボ機械は、タービン翼を有する回転軸と、この回転軸を回転可能に支持する複数のすべり軸受とを備えている。これらのすべり軸受には軸受潤滑用の潤滑流体(潤滑油等)が供給されるようになっており、この潤滑流体はすべり軸受を潤滑した後軸受から排出されて潤滑油タンクに流入する。そして、潤滑油タンク内の潤滑流体は、ポンプ(潤滑油ポンプ等)で加圧され冷却器で冷却されて、再度すべり軸受に供給されるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような構成のターボ機械において、例えば回転軸のオーバーハング部(回転軸のうち、この回転軸を支持する複数のすべり軸受のうち両端に位置するすべり軸受のさらに外側に突き出た部分)に翼を有する場合等、回転軸の重心が大きく偏り軸受によって軸受荷重に大きな差が生じる構造の場合、軽負荷側(上記オーバーハング部に翼を有する回転軸の場合にはオーバーハング部と反対側)のすべり軸受では軸方向に対して直角方向に作用する荷重が減少する。この結果、この軽負荷側のすべり軸受においては潤滑流体による回転軸に振れ回りを発生させる流体力が増大するため、回転軸に不安定振動が発生する恐れがあった。
【0004】
このような背景から、従来より、回転軸の軽負荷側を延長してダンパ機構を設けたターボ機械がある(例えば、特許文献2参照)。このダンパ機構は、回転軸の延長部分を取り囲むケーシング部に設けられ回転軸の径方向の振幅と連動して可動するダンパ可動片と、このダンパ可動片の外周面の軸方向両端に設けたOリングと、ダンパ可動片とケーシングと上記Oリングとにより形成される隙間に油を封入して形成される油膜とを備えており、回転軸の径方向振動エネルギを上記油膜により吸収することで回転軸の不安定振動を抑制するようになっている。
【0005】
【特許文献1】
特開平7−269304号公報
【特許文献2】
特開平7−208335号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術では以下のような課題が存在する。
すなわち、上記従来技術では、回転軸の不安定振動を抑制するために、回転軸を延長してその延長部にダンパ可動片、Oリング及び油膜等からなる新たなダンパ機構を設けるため、構造が複雑となってしまう。さらに、Oリングが経年劣化した場合には回転軸の径方向振動エネルギを吸収する油膜の形成が不安定となるため、回転軸の振動を安定して抑制できない恐れがあった。
【0007】
本発明の目的は、単純な構造で安定して回転軸の振動を抑制することができるターボ機械を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
(1)上記目的を達成するために、本発明は、高温・高圧のガスによってタービン翼を有する回転軸を回転させて動力を発生したり、圧縮機翼を有する回転軸を回転させることにより気体を圧縮させたりするターボ機械において、前記回転軸を回転可能に支持する複数のすべり軸受と、これら複数のすべり軸受のうちの少なくとも1つの第1のすべり軸受から排出された潤滑流体を少なくとも1つの第2のすべり軸受へ供給する供給路とを備えるものとする。
【0009】
本発明のターボ機械では、例えばオーバーハング部(回転軸のうち、この回転軸を支持する複数のすべり軸受のうち両端に位置するすべり軸受のさらに外側に突き出た部分)に翼を有する回転軸を例えば軸方向2箇所に設けられたすべり軸受で回転可能に支持する。したがって、回転軸の重心はオーバーハング部側に偏るため、軽負荷側であるオーバーハング部と反対側のすべり軸受においては軸方向に対して直角方向に作用する荷重が減少する。これにより、この軽負荷側のすべり軸受においては潤滑流体による回転軸に振れ回りを発生させる流体力が増大するため、回転軸に不安定振動を発生させる恐れがある。
【0010】
そこで本発明においては、例えば重負荷側であるオーバーハング部側のすべり軸受から排出された潤滑流体を軽負荷側であるオーバーハング部と反対側のすべり軸受へ供給する供給路を設ける。ここで、上記した回転軸に振れ回りを発生させる潤滑流体の流体力を減少させるには、潤滑流体の粘性係数を減少させることが有効であり、また一般に潤滑流体は温度が上昇すると粘性係数が減少する性質を有する。すなわち、本発明によれば、重負荷側であるオーバーハング部側のすべり軸受において軸受を潤滑することで発熱して温度が上昇した潤滑流体を、供給路を介して軽負荷側であるオーバーハング部と反対側のすべり軸受へ供給することで、軽負荷側のすべり軸受における潤滑流体による回転軸に振れ回りを発生させる流体力を減少することができる。
【0011】
このように、本発明によれば、供給路を設けるといった単純な構造によって回転軸の不安定振動を抑制することができ、且つ前述した従来構造のように経年劣化が懸念されるOリング等を使用しないことにより、安定して回転軸の不安定振動を抑制することができる。
【0012】
(2)上記(1)において、好ましくは、前記少なくとも1つの第1のすべり軸受から排出された潤滑流体を前記供給路を介して前記少なくとも1つの第2のすべり軸受へ圧送するポンプをさらに備えるものとする。
【0013】
(3)上記(1)又は(2)において、また好ましくは、前記第1のすべり軸受はスラスト軸受であり、前記第2のすべり軸受はジャーナル軸受であるものとする。
【0014】
(4)上記(1)又は(2)において、また好ましくは、前記第1のすべり軸受及び前記第2のすべり軸受は共にジャーナル軸受であり、且つ前記第1のすべり軸受は前記第2のすべり軸受よりも支持荷重が大きいものとする。
【0015】
(5)上記目的を達成するために、本発明は、高温・高圧のガスによってタービン翼を有する回転軸を回転させて動力を発生したり、圧縮機翼を有する回転軸を回転させることにより気体を圧縮させたりするターボ機械の軸受潤滑油供給方法において、前記回転軸を回転可能に支持する複数のすべり軸受のうちの少なくとも1つの第1のすべり軸受から排出された潤滑流体を少なくとも1つの第2のすべり軸受へ供給する方法とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のターボ機械の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
まず、本発明のターボ機械の第1の実施の形態を図1及び図2を用いて説明する。
図1は、本発明のターボ機械の第1の実施の形態であるタービンを備えたガスタービンの全体構造を一部断面で表す側面図である。
この図1において、ガスタービン1は、吸い込んだ空気を圧縮して圧縮空気を生成する圧縮機2と、この圧縮機2からの圧縮空気を燃料と共に燃焼して高温・高圧の燃焼ガスを生成する燃焼器3と、この燃焼器3からの燃焼ガスによって回転動力を発生させるタービン4とを備えている。
【0017】
圧縮機2は、圧縮機ロータ2Aと、この圧縮機ロータ2Aの周方向外側を覆うケーシング5とを備えている。圧縮機ロータ2Aは、外周部に動翼6を周方向に複数設けた圧縮機ディスク7を回転軸8の軸方向に複数積層して構成されている。またケーシング5の内側には、軸方向に各動翼6と交互に位置するよう複数の静翼9が環状に固定されている。これら動翼6及び静翼9は軸方向に隣り合う一組で1つの段落を形成しており、圧縮機2はこの段落を軸方向に複数段備えている。このような構成により、圧縮機2は吸気口10から吸い込んだ空気を各段落で徐々に圧縮・昇圧させて圧縮空気を生成するようになっている。
【0018】
上記圧縮機2で生成された圧縮空気は燃焼器3に供給されるようになっている。燃焼器3はこの圧縮空気中に燃料ノズル11から燃料を噴射して混合ガスを生成し、プラグ12で点火することにより混合ガスを燃焼させるようになっている。
【0019】
上記燃焼器3で生成された高温・高圧の燃焼ガスは、燃焼器3から燃焼ガス流路15に導入されるようになっている。この燃焼ガス流路15内には前記の圧縮機2の回転軸8に固定された高圧タービンディスク16の外周部に複数設けた動翼17が配設されており、燃焼ガスが動翼17に吹き当たって高圧タービンディスク16が回転することで、圧縮機ロータ2Aは回転駆動力を得るようになっている。
【0020】
上記高圧タービンディスク16に回転駆動力を与えた燃焼ガスはさらに燃焼ガス流路15内を進み、タービン4内に導入される。図2はこのタービン4の全体構造を概略的に表す側断面図である。この図2と前記の図1を用いてタービン4の構造を以下に説明する。
これら図1及び図2において、タービン4は、圧縮機2と同様にタービンロータ4Aと、このタービンロータ4Aの周方向外側を覆うケーシング18とを備えている。
【0021】
タービンロータ4Aは、圧縮機2側及びその反対側の2箇所に設けられたジャーナル軸受19,20によって周方向に回転可能に支持された回転軸21と、この回転軸21の圧縮機2側のオーバーハング部(回転軸21のうち、ジャーナル軸受19から圧縮機2側に片持ち状に突き出た部分)に設けられ外周部に動翼22を複数設けたタービンディスク23とを備えている(なお、図2にはこれら動翼22とタービンディスク23とを一部材として図示している)。このような構造により、タービンロータ4Aの重心はオーバーハング部側に大きく偏っており、このオーバーハング部側に位置する(すなわち重負荷側に位置する)ジャーナル軸受19による支持荷重は反対側に位置する(すなわち軽負荷側に位置する)ジャーナル軸受20の支持荷重の例えば約10倍程度になり得る。また、回転軸21にはスラストカラー24が設けられており、タービンロータ4Aの軸方向の荷重はこのスラストカラー24を挟むようにして配設されたスラスト軸受25,26により回転軸21の周方向の回転を阻害することなく支持されている。このように構成されるタービンロータ4Aは、前記高圧タービンディスク16に回転駆動力を与えた燃焼ガスが燃焼ガス流路15内をさらに進んでタービンディスク23の外周の動翼22に吹き当たることで回転駆動されるようになっており、これによりタービン4は動力を発生するようになっている。
【0022】
上記ジャーナル軸受19,20及びスラスト軸受25,26は流体潤滑軸受であり、そのうちジャーナル軸受19及びスラスト軸受25,26には潤滑流体(例えば潤滑油)が図示しない供給ポンプによって供給配管30(図2にのみ図示)を介してそれぞれ圧送され供給されるようになっている。また、回転軸21の下方には、スラスト軸受25,26とジャーナル軸受20とを連通するように連通配管31(図2にのみ図示)が設けられている。これにより、ジャーナル軸受20には、供給配管30からスラスト軸受25,26に供給されこれらスラスト軸受25,26を潤滑して排出された潤滑流体が、回転軸21及びスラストカラー24による遠心力が推進力となって上記連通配管31を介して供給されるようになっている。
【0023】
上記のようにしてジャーナル軸受19,20に供給されこれらジャーナル軸受19,20を潤滑した潤滑流体は、それぞれの軸受から下方に排出され排出配管32(図2にのみ図示)を介して図示しないタンクに流入する。タンク内の潤滑流体は、上記の図示しない供給ポンプによって加圧され、適宜図示しない冷却器等によって冷却されて(冷却器を設けず、上記タンク内で自然冷却するようにしてもよい)、供給配管30(図2にのみ図示)を介して再びジャーナル軸受19及びスラスト軸受25,26にそれぞれ供給されるようになっている。なお、このジャーナル軸受19及びスラスト軸受25,26に供給される潤滑流体の温度は通常50℃程度であるが、それぞれの軸受において潤滑流体は軸受を潤滑する際にせん断流れを生じて発熱するため、スラスト軸受25,26を潤滑した後にジャーナル軸受20に供給される潤滑流体の温度は、例えば10℃程度上昇して60℃前後となる。
【0024】
以上において、タービン4は特許請求の範囲各項記載の高温・高圧のガスによってタービン翼を有する回転軸を回転させて動力を発生したり、圧縮機翼を有する回転軸を回転させることにより気体を圧縮させたりするターボ機械を構成し、動翼6は圧縮機翼を構成し、動翼22はタービン翼を構成する。また、ジャーナル軸受19,20及びスラスト軸受25,26は回転軸を回転可能に支持する複数のすべり軸受を構成し、そのうちスラスト軸受25,26は少なくとも1つの第1のすべり軸受を構成し、ジャーナル軸受20は少なくとも1つの第2のすべり軸受を構成し、連通配管31は少なくとも1つの第1のすべり軸受から排出された潤滑流体を少なくとも1つの第2のすべり軸受へ供給する供給路を構成する。
【0025】
次に、上記構成の本発明のターボ機械の第1の実施の形態の動作を以下に説明する。
本実施の形態のガスタービン1においては、圧縮機2で吸い込んだ空気を圧縮して圧縮空気を生成し、この圧縮機2からの圧縮空気を燃焼器3で燃料と共に燃焼して高温・高圧の燃焼ガスを生成し、この燃焼器3からの燃焼ガスによってタービンロータ4Aを回転させてタービン4で動力を発生する。
【0026】
このとき、タービン4の回転軸21を回転可能に支持するジャーナル軸受19,20及びスラスト軸受25,26のうちのジャーナル軸受19及びスラスト軸受25,26には、図示しない供給ポンプにより供給配管30を介して潤滑流体がそれぞれ供給される。ジャーナル軸受19を潤滑した潤滑流体は、下方に排出され排出配管32を介してタンクに流入する。一方、スラスト軸受25,26を潤滑して温度が上昇した潤滑流体は、回転軸21及びスラストカラー24による遠心力を推進力として連通配管31を介してジャーナル軸受20に供給される。このようにしてジャーナル軸受20を潤滑した潤滑流体は、下方に排出され排出配管32を介してタンクに流入する。タンク内の潤滑流体は供給ポンプによって加圧され適宜冷却器等によって冷却されて、供給配管30を介して再びジャーナル軸受19及びスラスト軸受25,26にそれぞれ供給される。
【0027】
以上のような動作を行う本発明のターボ機械の第1の実施の形態により得られる作用を以下に説明する。
本実施の形態のタービン4は、回転軸21の圧縮機2側のオーバーハング部にタービンディスク23及び動翼22を設けた構造であるため、回転軸21の重心はオーバーハング部側に大きく偏っており、前述したようにオーバーハング部と反対側のジャーナル軸受20の支持荷重はオーバーハング部側のジャーナル軸受19の支持荷重に比べて例えば約1/10程度と比較的小さくなっている。したがって、この軽負荷側であるジャーナル軸受20においては軸方向に対して直角方向に作用する荷重が減少し、潤滑流体による回転軸21に振れ回りを発生させる流体力が増大する。このため、回転軸21に不安定振動を発生させる恐れがある。
【0028】
このような不安定振動を抑制するために、前述した従来技術のように回転軸21を延長してその延長部にダンパ可動片、Oリング及び油膜等からなる新たなダンパ機構を設けるような構造とすると、構造が複雑となってしまう。さらに、Oリングが経年劣化した場合には回転軸21の径方向振動エネルギを吸収する油膜の形成が不安定となるため、回転軸21の振動を安定して抑制できない恐れがある。
【0029】
さらに、上記のような回転軸21の不安定振動を抑制するために、回転軸21のジャーナル軸受19,20のスパン間にカウンタウェイトを設け、軽負荷側のジャーナル軸受20の支持荷重を確保して不安定振動を抑制する方法も考えられるが、タービンロータ4A自体の重量が増大するため、材料費及び輸送費等のコストの増大を招いてしまう。
【0030】
これに対し、本実施の形態では、連通配管31を設け、スラスト軸受25,26を潤滑して温度が上昇した潤滑流体をジャーナル軸受20に供給する。ここで、前述したように回転軸21に振れ回りを発生させる潤滑流体の流体力を減少させるには潤滑流体の温度を上昇させて粘性係数を減少させることが有効であるので、上記のようにスラスト軸受25,26を潤滑することで温度が上昇した潤滑流体を軽負荷側のジャーナル軸受20へ供給することで、潤滑流体による回転軸21に振れ回りを発生させる流体力を減少することができる。したがって、本実施の形態によれば、連通配管31を設けるといった単純な構造によって回転軸21の不安定振動を抑制することができ、且つ従来構造のように経年劣化が懸念されるOリング等を使用しないことにより、安定して回転軸21の不安定振動を抑制することができる。さらに、カウンタウェイトを設けずに回転軸21の不安定振動を抑制することができるので、材料費及び輸送費等のコストの増大を防止することができる。
【0031】
次に、本発明のターボ機械の第2の実施の形態を以下に説明する。本実施の形態は、前述の第1の実施の形態ではスラスト軸受からジャーナル軸受へ潤滑流体を供給したのに対し、ジャーナル軸受からジャーナル軸受へ潤滑流体を供給するものである。図3は本実施の形態における潤滑流体の流れを概略的に示す系統図である。なお、この図3において前述の第1の実施の形態における図2と同様の部分には同符号を付し、説明を省略する。
この図3において、動翼22及びタービンディスク23をオーバーハング部に有する回転軸21は、ジャーナル軸受19,20によって回転可能に支持されている。ジャーナル軸受19には、タンク35内の潤滑流体が供給ポンプ36によって加圧され、供給配管30を介して供給される。ジャーナル軸受19を潤滑した潤滑流体は配管37を介して補助タンク38に流入し、一旦貯留される。補助タンク38内に貯留された潤滑流体は補助ポンプ39により加圧され、配管40を介してジャーナル軸受20に供給される。そして、このジャーナル軸受20を潤滑した潤滑流体は、排出配管32を介してタンク35に排出される。タンク35内に流入した潤滑流体はタンク35内で冷却され、供給ポンプ36によって再び加圧されてジャーナル軸受19に供給されるようになっている。
【0032】
以上において、補助ポンプ39は請求項2記載の第1のすべり軸受から排出された潤滑流体を供給路を介して少なくとも1つの第2のすべり軸受へ圧送するポンプを構成する。
【0033】
上記構成の本発明のターボ機械の第2の実施の形態によれば、重負荷側のジャーナル軸受19を潤滑することで温度が上昇した潤滑流体を軽負荷側のジャーナル軸受20へ供給することで、ジャーナル軸受20における潤滑流体による回転軸21に振れ回りを発生させる流体力を減少することができる。したがって、前述の第1の実施の形態と同様に、単純な構造で且つ安定して回転軸21の不安定振動を抑制することができる。しかも、第1の実施の形態では遠心力で潤滑流体をジャーナル軸受20に供給したのに対し、本実施の形態では補助ポンプ39で圧送することで確実に供給することができるので、回転軸21の不安定振動を確実に抑制することができる。
【0034】
なお、上記本発明の第2の実施の形態では補助ポンプ39を用いて潤滑流体を圧送するようにしたが、これに限らない。すなわち、前述の第1の実施の形態のように例えば遠心力等を推進力とすることで潤滑流体をジャーナル軸受19からジャーナル軸受20に供給することが可能であれば、補助ポンプ39を用いなくともよい。
【0035】
また、以上説明してきた本発明の第1及び第2の実施の形態においては、ジャーナル軸受19,20及びスラスト軸受25,26の軸受形状について特に記載しなかったが、例えば真円軸受又は多円弧軸受等であってもよい。また、ジャーナル軸受19,20及びスラスト軸受25,26を潤滑油等の液体の潤滑流体を用いる軸受としたが、これに限らず、気体の潤滑流体を用いてもよく、例えばティルティングパッド軸受などの空気軸受であってもよい。すなわち、本発明は全ての流体潤滑軸受に適用することが可能である。
【0036】
またさらに、上記本発明の第1及び第2の実施の形態においては、1箇所の軸受から1箇所の軸受へと潤滑流体を供給するようにしたが、これに限らず、例えば1箇所の軸受から複数箇所の軸受、複数箇所の軸受から1箇所の軸受、及び複数箇所の軸受から複数箇所の軸受に潤滑流体を供給するようにしてもよい。
【0037】
また、上記本発明の第1及び第2の実施の形態においては、本発明をガスタービン1を構成する機器のうち動力を発生するタービン4に適用した例を示したが、これに限らず、圧縮空気を生成する圧縮機2に適用してもよいのは言うまでもない。この場合にも、上記第1及び第2の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、支持荷重の大きい第1のすべり軸受を潤滑することで発熱して温度が上昇した潤滑流体を供給路を介して支持荷重の小さい第2のすべり軸受へ供給することで、第2のすべり軸受における潤滑流体による回転軸に振れ回りを発生させる流体力を減少することができる。したがって、供給路を設けるといった単純な構造によって回転軸の不安定振動を抑制することができ、且つ前述した従来構造のように経年劣化が懸念されるOリング等を使用しないことにより、安定して回転軸の不安定振動を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のターボ機械の第1の実施の形態であるタービンを備えたガスタービンの全体構造を一部断面で表す側面図である
【図2】本発明のターボ機械の第1の実施の形態であるタービンの全体構造を概略的に表す側断面図である。
【図3】本発明のターボ機械の第2の実施の形態における潤滑流体の流れを概略的に示す系統図である。
【符号の説明】
4 タービン(ターボ機械)
6 動翼(圧縮機翼)
8 回転軸
19 ジャーナル軸受(すべり軸受)
20 ジャーナル軸受(すべり軸受;第2のすべり軸受)
21 回転軸
22 動翼(タービン翼)
25 スラスト軸受(すべり軸受;第1のすべり軸受)
26 スラスト軸受(すべり軸受;第1のすべり軸受)
31 連通配管(供給路)
39 補助ポンプ(ポンプ)
Claims (5)
- 高温・高圧のガスによってタービン翼を有する回転軸を回転させて動力を発生したり、圧縮機翼を有する回転軸を回転させることにより気体を圧縮させたりするターボ機械において、
前記回転軸を回転可能に支持する複数のすべり軸受と、
これら複数のすべり軸受のうちの少なくとも1つの第1のすべり軸受から排出された潤滑流体を少なくとも1つの第2のすべり軸受へ供給する供給路とを備えたことを特徴とするターボ機械。 - 請求項1記載のターボ機械において、前記少なくとも1つの第1のすべり軸受から排出された潤滑流体を前記供給路を介して前記少なくとも1つの第2のすべり軸受へ圧送するポンプをさらに備えたことを特徴とするターボ機械。
- 請求項1又は2記載のターボ機械において、前記第1のすべり軸受はスラスト軸受であり、前記第2のすべり軸受はジャーナル軸受であることを特徴とするターボ機械。
- 請求項1又は2記載のターボ機械において、前記第1のすべり軸受及び前記第2のすべり軸受は共にジャーナル軸受であり、且つ前記第1のすべり軸受は前記第2のすべり軸受よりも支持荷重が大きいことを特徴とするターボ機械。
- 高温・高圧のガスによってタービン翼を有する回転軸を回転させて動力を発生したり、圧縮機翼を有する回転軸を回転させることにより気体を圧縮させたりするターボ機械の軸受潤滑油供給方法において、
前記回転軸を回転可能に支持する複数のすべり軸受のうちの少なくとも1つの第1のすべり軸受から排出された潤滑流体を少なくとも1つの第2のすべり軸受へ供給することを特徴とするターボ機械の軸受潤滑油供給方法。
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JP2003117173A Withdrawn JP2004324460A (ja) | 2003-04-22 | 2003-04-22 | ターボ機械 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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-
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- 2003-04-22 JP JP2003117173A patent/JP2004324460A/ja not_active Withdrawn
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