JP2004321033A - 動物用飼料 - Google Patents
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Abstract
【課題】家畜、家禽、養殖魚介等の品質改善に優れた効果を発揮しうる、動物用飼料及び飲料水、動物飼育用剤、並びに動物の飼育方法、品質が改善された動物の肉及び卵、並びに該卵を用いて製造した風味、食感に優れた食品及び食品素材を提供すること。
【解決手段】アガリクス及び/又はその処理物を含有してなる動物用飼料;アガリクス及び/又はその処理物を含有してなる動物用飲料水;アガリクス及び/又はその処理物を含有してなる動物飼育用剤;前記飼料、飲料水、及び飼育用剤からなる群より選ばれる少なくとも1種を動物に給与して飼育する動物の飼育方法;前記飼育方法により飼育した動物の肉;前記飼育方法により飼育した家禽が産生した卵;並びに前記卵を用いて製造した食品又は食品素材。
【選択図】 なし
【解決手段】アガリクス及び/又はその処理物を含有してなる動物用飼料;アガリクス及び/又はその処理物を含有してなる動物用飲料水;アガリクス及び/又はその処理物を含有してなる動物飼育用剤;前記飼料、飲料水、及び飼育用剤からなる群より選ばれる少なくとも1種を動物に給与して飼育する動物の飼育方法;前記飼育方法により飼育した動物の肉;前記飼育方法により飼育した家禽が産生した卵;並びに前記卵を用いて製造した食品又は食品素材。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、動物用飼料及び飲料水、動物飼育用剤、動物の飼育方法、該飼育方法で飼育した動物の肉、該動物が産生した卵、並びに該卵を用いて製造した食品及び食品素材に関する。
【0002】
【従来の技術】
生活習慣病の予防等の観点から食生活の改善が指向され、体に安全で、しかも美味しく、栄養価の高い食品が望まれている。
【0003】
そのような状況の下、家畜等の肉質改善や生産性の向上等が取り組まれている。例えば、家畜については、麦若葉由来の素材を含有してなる肉質改善剤(例えば、特許文献1参照)、乳酸縮合物の混合物を含有してなる生産性向上剤(例えば、特許文献2参照)が提案されている。家禽については、養鶏用基本飼料に特定割合の木酢粉と海藻粉を特定量配合してなる飼料をニワトリに給与して飼育することにより、ニワトリの産生する卵のコレステロール含有量を低下させた例が報告されている(例えば、特許文献3参照)。また、中鎖脂肪酸を配合した飼料(例えば、特許文献4参照)や、脂肪酸カルシウムとカゼインホスホペプチドとを含有する飼料(例えば、特許文献5参照)など産卵率の改善を目的とした飼料が提案されている。また、養殖魚については、トウガラシを用いた肉質改善剤を給与する肉質改善法(例えば、特許文献6参照)、生産性向上効果を有するα化全粒トウモロコシを含む飼料(例えば、特許文献7参照)が提案されている。
【0004】
しかしながら、家畜等、食用に供される動物一般において総合的な品質改善を可能にする飼料や動物の飼育方法については、これまでに報告がない。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−65175号公報
【特許文献2】
特開2002−112711号公報
【特許文献3】
特開平5−192091号公報
【特許文献4】
特開平3−198748号公報
【特許文献5】
特開平7−147910号公報
【特許文献6】
特開2002−34469号公報
【特許文献7】
特開2002−281909号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、家畜、家禽、養殖魚介等の品質改善に優れた効果を発揮しうる、動物用飼料及び飲料水、動物飼育用剤、並びに動物の飼育方法、品質が改善された動物の肉及び卵、並びに該卵を用いて製造した風味、食感に優れた食品及び食品素材を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、
〔1〕 アガリクス及び/又はその処理物を含有してなる動物用飼料、
〔2〕 ゼオライトをさらに含有してなる前記〔1〕記載の飼料、
〔3〕 家禽用飼料である前記〔1〕又は〔2〕記載の飼料、
〔4〕 アガリクス及び/又はその処理物を含有してなる動物用飲料水、
〔5〕 家禽用飲料水である前記〔4〕記載の飲料水、
〔6〕 アガリクス及び/又はその処理物を含有してなる動物飼育用剤、
〔7〕 ゼオライトをさらに含有してなる前記〔6〕記載の飼育用剤、
〔8〕 前記〔1〕〜〔3〕いずれかに記載の飼料、前記〔4〕又は〔5〕に記載の飲料水、及び前記〔6〕又は〔7〕に記載の飼育用剤からなる群より選ばれる少なくとも1種を動物に給与して飼育する動物の飼育方法、
〔9〕 動物が家禽である前記〔8〕記載の飼育方法、
〔10〕 前記〔8〕又は〔9〕に記載の飼育方法により飼育した動物の肉、
〔11〕 前記〔9〕に記載の飼育方法により飼育した家禽が産生した卵、
並びに
〔12〕 前記〔11〕に記載の卵を用いて製造した食品又は食品素材、
に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の動物用飼料は、有効成分としてアガリクス及び/又はその処理物を含有してなることを大きな1つの特徴としており、詳しくは後述するが、例えば、家畜、家禽、養殖魚介等の品質改善に優れた効果を発揮しうる。本発明の飼料のかかる効果は、アガリクス及び/又はその処理物の効果に基づくものであるが、アガリクス及び/又はその処理物がそのような効果を有することは本発明において初めて見出されたことである。本発明の有効成分によるかかる効果の発現メカニズムの詳細は未だ不明であるが、有効成分による動物の代謝機能の改善、生理機能の向上、恒常性維持作用の向上など、動物の生物学的活性の改善や向上によるものと推定される。
【0009】
本発明で使用するアガリクス(Agaricus blazei)は、ハラタケ属の茸の一種であって、ブラジルサンパウロ地方に自生している茸であるが、屋内外で人工栽培が可能である。子実体の形状は円錐形(つり鐘形)で、傘の外表面の色は褐色、柄の色は白色ないし乳白色、傘の大きさは5〜10cm、柄の長さは最大15cm位まで成長する。傘の縁や内表面の形状は円錐状、ひだは放射状、ひだの縁はカールを巻き、柄の付き方は中心性で、柄の形状は等茎(但し、根元は膨れる)であり、生え方は散性である。
【0010】
前記アガリクスは、そのもの及び/又はその処理物として使用される。該アガリクスとしては、生活環の全段階又はいずれかの段階に由来するものであってもよく、その使用形態としては、その全体及び一部であってもよい。それらは、それぞれ単独で若しくは2種以上を同時に使用することができる。本発明でアガリクスとして使用されるものとしては、例えば、胞子、菌糸、原基、子実体、傘、柄、口環、ひだ(壁)/ラメラ、担子器、フィラメント等が挙げられる。
【0011】
アガリクスそのものとしては、例えば、採取された生のままで、若しくは適宜細断して使用されるが、これらに限定されるものではない。アガリクスの処理物としては、例えば、アガリクスの抽出物、乾燥物、粉砕物、粉末として、又はそれらを適宜ペレット状に成形して使用されるが、これらに限定されるものではない。
【0012】
アガリクスの抽出物の調製は、前記のようなアガリクスを、溶剤、例えば、水、エタノール等の低級アルコール、それらの混合物等に浸漬することによって行なうことができる。
【0013】
アガリクスの抽出方法は特に限定されるものではないが、例えば、国際公開第02/15917号パンフレットに記載の方法が好適である。該方法によれば、アガリクスを熱水抽出し、さらにその残渣をシュウ酸アンモニウムの5%(V/V)水溶液で抽出し、それぞれの抽出物を混合し、次いで得られた混合物を塩酸で分解し、ゲル浸透クロマトグラフィー等により精製してアガリクス抽出物を得る。
【0014】
より好適な方法としては、単純な熱水抽出法が挙げられる。アガリクスを熱水、好ましくは室温〜100℃程度、より好ましくは90〜100℃程度の水中で、好ましくは少なくとも30分間、好ましくは時々振盪又は攪拌して維持することによりアガリクス抽出物を得る。アガリクスと水との比率(アガリクス:水)は、湿重量(g)で、好ましくは1:2〜1:100、より好ましくは1:2.5〜1:25である。抽出操作終了後、アガリクスを、例えば、ろ過等により除去してアガリクス抽出物が得られる。使用する水の温度、抽出時間、並びにアガリクスと水との比率は、抽出成分の量又は種類等によって適宜調節することができる。
【0015】
アガリクスの抽出物は、そのままで、水等で希釈して、又は任意に濃縮して使用することができ、さらに適宜分画して使用することもできる。また、例えば、凍結乾燥して乾燥品として使用することもできる。アガリクスの抽出物は市販されており、当該市販品を使用してもよい〔例えば、(株)アトラスワールド社製商品名「エキスメイト」、「ブリックス−20」、「ブリックス−40」等〕。
【0016】
アガリクスの乾燥物とはアガリクスを乾燥したものであり、粉砕物とはアガリクスの乾燥物を粉砕したものである。粉砕物は、アガリクスを予め細断し、それを乾燥することにより、又はアガリクスを乾燥後、粉砕することにより得ることができる。アガリクスの粉末とは、粉砕物に比し、より粉砕の程度が進んだものであり、アガリクスの乾燥物又は粉砕物をさらに粉砕することにより得られる。また、これらのアガリクスの処理物を任意の増量剤等と混合し、成形することで、任意の形状のペレットとすることができる。
【0017】
本発明においては、アガリクス及び/又はその処理物として、使用の簡便性という観点から、アガリクスの抽出物(特に濃縮品や乾燥品)又は粉末が好適に使用される。
【0018】
本発明の飼料中のアガリクス及び/又はその処理物の含有量は特に限定されるものではなく、給与対象の動物や給与方法等により適宜調節すればよいが、例えば、動物の平均飼料摂取量を100g/動物・日とした場合、アガリクス及び/又はその処理物の乾燥重量換算で、好ましくは20〜2000ppm、より好ましくは50〜500ppmである。ここで「ppm」とは、飼料1kg当たりに含まれるアガリクス及び/又はその処理物(乾燥重量換算)の含有量をmg数で表したものである。
【0019】
アガリクス及び/又はその処理物を飼料に配合する場合、該飼料の一般原料と同様にして配合することもできるが、その配合量が少量であるので、アガリクス及び/又はその処理物を飼料に均一に配合する観点から、後述する飼料用添加剤を任意の飼料原料に配合する態様が好ましい。
【0020】
また、本発明の飼料としては、殺菌効果、下痢の予防、糞尿アンモニアガスの減少、健康維持、成長促進、飼料効率の改善、飼料保存性の向上、防カビ(抗アフラトキシン)という観点から、さらにゼオライトを含有してなるものが好ましい。
【0021】
本発明で使用されるゼオライトとは、例えば、日本名で「沸石」と呼称され、火山作用によって形成された多孔質凝灰岩と定義されるものである。すなわち、含水性珪酸アルミニウムを主成分とするクリプチロライト系、モルデナイト系、フィリップサイト系などの、水分吸収性能、陽イオン交換性能等を有するユニークなミネラル物質であり、天然のものであっても人工のものであってもよい。天然のゼオライトの例としては、方沸石(立方晶系)、魚眼石(正方晶系)、菱沸石(三方晶系)、ソーダ沸石(斜方晶系)、輝沸石、束沸石、濁沸石(ともに単斜晶系)等が挙げられる。一方、人工のゼオライトは公知の方法に従って得ることができ、例えば、ケイ酸ナトリウム溶液とアルミン酸ナトリウム溶液とを混合し、生じたゲルを乾燥、粉砕し、所望により篩い分けして調製することができる。ゼオライトの形状は特に限定されるものではないが、例えば、40〜325メッシュサイズの細粒、粉末、微粉末等の形状を有するものが好適である。なお、本発明に好適に使用されるゼオライトは、例えば、米国ベアリバーゼオライト社より商品名「ベアリバーゼオライト」又は「セーフティーソーブ」で市販されている。
【0022】
該ゼオライトは、本発明の飼料に含まれていればよいが、好ましくはアガリクスの抽出物(特に濃縮品や乾燥品)を予め粉末化したもの及び/又はアガリクスの粉末と共に含まれているのが好ましい。また、該ゼオライトにはアガリクスの抽出物等が吸着されていてもよい。ここで、「吸着」とは、アガリクスの抽出物等が物理的及び/又は化学的にゼオライトに結合していることをいう。
【0023】
ゼオライトを含む本発明の飼料の製法の非限定的な好適な一例としては、例えば、以下に示す方法が挙げられる。すなわち、アガリクス抽出物とゼオライトとの均一な混合を容易化するため、予め該抽出物を粉末化する。粉末化は、液体である該抽出物を多孔質粉末に混ぜ込み、吸着させることにより行うのが好適である。該抽出物の吸着力、性状、安全性などの観点から、多孔質粉末としては軽質無水珪酸と呼称される二酸化珪素の粉末が好適に使用される。なお、該抽出物の液体の粘度が高い場合には加温してもよい。次いで、得られたアガリクス抽出物が吸着した粉末を、その他の飼料原料を常法で適宜混合し、所望の飼料を得る。
【0024】
ゼオライトは、アガリクス及び/又はその処理物を飼料に配合する場合と同様にして飼料の一般原料と配合することができる。飼料中の該ゼオライトの含有量としては特に限定されるものではないが、好ましくは0.5〜3重量%、より好ましくは1〜2重量%である。ゼオライトにアガリクスの抽出物等が吸着している場合には、飼料中の該ゼオライトの含有量としては、アガリクスの抽出物等が、アガリクス及び/又はその処理物の前記含有量範囲で含まれうるような量であるのが好ましい。
【0025】
本発明に使用される飼料の一般原料は特に限定されるものではなく、動物の種類、日令等を考慮して、一般に使用される基本飼料原料が適宜使用される。かかる原料としては、例えば、とうもろこし、マイロ、コウリャン等の乾物類;大豆油粕、なたね油粕、ごま油粕、綿実油粕等の油粕類;魚粉、肉骨粉等の動物性飼料原料;澱粉、大豆、小麦等の穀類及びその加工品;ミートミール、チキンミール、ラード、牛脂等の動物性油脂;ナタネ油、パーム油、ヤシ油、大豆油、サフラワー油、コーン油、綿実油等の植物性油脂;オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸等の脂肪酸;炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、食塩、無水ケイ酸等のミネラル類;ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK等のビタミン類;グリシン、メチオニン等のアミノ酸;ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン等の乳化剤等が挙げられる。
【0026】
また、本発明の飼料には、乳酸菌等の生菌剤、ビタミンC、ビオチン、葉酸、パントテン酸等のビタミン類、鉄、亜鉛、マンガン、銅等の微量ミネラル、ハナビラタケ、マイタケ、シイタケ、冬虫夏草等のキノコもしくはキノコ成分、酒粕、コラーゲン、抗酸化剤、防カビ剤、食物繊維等の機能性食品素材等のその他の成分を所望により配合することもできる。当該成分の飼料中の含有量は、本発明の所望の効果の発現を阻害しない限り、特に限定されるものではない。
【0027】
本発明の飼料は、アガリクス及び/又はその処理物及び所望によりゼオライト、若しくは後述の飼料用添加剤、並びに所望によりその他の成分を、公知の方法に従って上記基本飼料原料に適宜配合することにより得られる。当該飼料の形態は特に限定されるものではなく、例えば、粉末状、顆粒状、ペースト状、ペレット状等であってよい。
【0028】
また、本発明の一態様として、アガリクス及び/又はその処理物を含有してなる動物用飲料水を提供する。当該アガリクス及び/又はその処理物としては、前記のものが使用される。また、それらは後述する飲料用添加剤の形態で使用してもよい。該飲料水の媒体である水は、動物の飲用に使用されるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、水道水、イオン交換水、蒸留水等が使用される。
【0029】
本発明の飲料水の形態としては、使用の容易性の観点から、水分散液又は水溶液であるのが好ましく、水溶液であるのがより好ましい。水分散液としては、少なくとも2日間程度の間、分散成分が実質的に均一な分散状態を保持しうるものが好ましい。そのような形態を有する飲料水は、例えば、アガリクスの抽出液又は粉末を水に分散又は溶解することにより調製するのが好適である。その際、所望により前記その他の成分を添加してもよい。
【0030】
本発明の飲料水中のアガリクス及び/又はその処理物の含有量は特に限定されるものではなく、給与対象の動物や給与方法等により適宜調節すればよいが、例えば、動物の平均飲水量を200mL/動物・日とした場合、アガリクス及び/又はその処理物の乾燥重量換算で、好ましくは10〜1000ppm、より好ましくは25〜250ppmである。ここで「ppm」とは、飲料水1L当たりに含まれるアガリクス及び/又はその処理物(乾燥重量換算)の含有量をmg数で表したものである。
【0031】
かかる本発明の飲料水は、本発明の前記飼料と同様の効果を発揮しうる。当該飲料水を用いて動物の飼育を行う場合、前記飼料と併用することができる。
【0032】
また、本発明の一態様として、アガリクス及び/又はその処理物を含有してなる動物飼育用剤を提供する。当該飼育用剤とは、動物を飼育する際に飼料又は飲料水として、主として単独で用いられるものではなく、本発明の前記飼料や飲料水の調製に使用したり、動物を飼育する際に飼料又は飲料水にオンする形で給与される補助剤として使用されるものである。しかしながら、その用途や使用態様によっては、飼育用剤を単独で動物の飼育に使用することもできる。かかる飼育用剤としては、例えば、飼料用添加剤、飲料水用添加剤、動物浸漬剤、動物用トローチ等が挙げられる。
【0033】
飼料用添加剤は、例えば、前記アガリクス及び/又はその処理物そのもの、又はアガリクスの抽出物等を吸着させたゼオライトであってもよく、或いはそれらを飼料に使用される一般原料の内の任意の一部と混合してなるものであってもよい。また、その形状は特に限定されるものではない。該添加剤としては、殺菌効果、下痢の予防、糞尿アンモニアガスの減少、健康維持、成長促進、飼料効率の改善、飼料保存性の向上、防カビ(抗アフラトキシン)という観点から、ゼオライトを含んでなるものが好ましい。該添加剤は、本発明の飼料の調製に好適に使用されるが、アガリクス及び/又はその処理物の含有量は、該添加剤の飼料への使用量に応じて、好ましくはアガリクス及び/又はその処理物の飼料中の含有量が前記好適範囲となりうるように適宜調整すればよい。また、ゼオライトの含有量も同様にして適宜調整すればよい。
【0034】
飲料水用添加剤は、それを添加した際に飲料水の使用性を阻害しないものであれば、その構成や形状等は特に限定されるものではない。当該添加剤としては、例えば、前記アガリクス及び/又はその処理物そのもの、又はそれらに任意のビタミン類(例えば、ビタミンC、ビオチン、葉酸、パントテン酸等)やミネラル類(例えば、鉄、亜鉛、マンガン、銅等)を混合してなるものが挙げられる。該添加剤は、本発明の飲料水の調製に好適に使用されるが、アガリクス及び/又はその処理物の含有量は、前記飼料用添加剤の場合に準じて適宜調整すればよい。
【0035】
動物浸漬剤とは、例えば、プール、水槽、保持タンク、又は魚類であれば飼育領域の水、海水などに添加し、飼育対象である動物を前記水等に浸漬してアガリクス及び/又はその処理物を該動物に給与するのに好適に使用される補助剤である。また、該浸漬剤としては、広義には、該浸漬剤を添加してなる水等を含む。かかる浸漬剤としては前記飲料水用添加剤と同様の構成を有するものを挙げることができる。浸漬剤の使用は、例えば、飼育対象の動物の飼料摂取量が低下したときに特に有効である。浸漬剤中のアガリクス及び/又はその処理物の含有量は、本発明の有効成分による効果が充分得られうるように、飼育対象の動物を浸漬する水等の量及び浸漬剤の使用量等を考慮して適宜決定することができる。
【0036】
また、動物用トローチとは、単独で、若しくは飼料及び/又は飲料水と共に動物に与え、主として動物に舐めさせることでアガリクス及び/又はその処理物を給与するのに好適に使用される補助剤である。動物用トローチは、前記飼料用添加剤を公知の方法に従って適宜打錠等することにより調製することができる。その形状は特に限定されるものではない。前記飼料用添加剤と同様の観点から、ゼオライトを含んでなるものが好ましい。該トローチ中のアガリクス及び/又はその処理物の含有量は、本発明の有効成分による効果が充分得られうるように、その使用量や使用形態等を考慮して適宜決定すればよい。
【0037】
本発明の動物の飼育方法は、本発明の前記飼料、前記飲料水、及び前記飼育用剤からなる群より選ばれる少なくとも1種(以下、動物給与物という場合がある)を動物に給与して飼育する方法である。
【0038】
本発明の動物給与物の動物への給与は、動物給与物の形態、用途、使用目的等に応じて、一般の飼料等の給与方法に準じて行えばよく、その方法は特に限定されるものではない。動物給与物の給与量は、飼育する動物の個体差、日令もしくは年齢、性別、活動量等により変化するため一概に決定することはできないが、本発明の有効成分を飼育対象の動物1日当たり0.5〜2000mg程度給与できる量であるのが好ましい。動物給与物の給与時期も特に限定されるものではなく、動物の飼育開始から終了の間に渡って継続して給与してもよいし、その間に断続的に給与してもよいし、特定の期間のみに継続して給与してもよい。また、給与時期を飼育対象である動物や目的産物の性質に応じて適宜決定してもよい。そのようにして給与時期を決定すれば、動物給与物に含まれる本発明の有効成分の効果を、個々の目的に従って最大限に発揮させることができるので好ましい。
【0039】
例えば、採卵用家禽に対し本発明の飼育方法を適用する場合には、本発明の所望の効果を充分に発揮させる観点からは、産卵開始前21日前後から産卵周期まで継続して給与するのが好ましい。特に、ニワトリの場合、生後約230〜550日前後で大きな卵を産卵するため、この期間中に給与するのが好ましい。
【0040】
本明細書において動物とは、ヒト以外の動物であれば特に限定されるものではないが、例えば、家畜、家禽、養殖魚介等が挙げられる。家畜とは、ヒトに飼養される動物であれば特に限定されるものではない。例えば、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ等が挙げられる。また、イヌ、ネコ等の愛玩動物も包含される。中でも、本発明の飼育方法はウシおよびブタに好適に使用される。家禽とは、主として肉および/または卵を採ること目的としてヒトが飼養する鳥類全てを指し、特に限定されるものではない。例えば、ニワトリ、ウズラ、アヒル、マガモ、家鴨、合鴨、キジ、鵜、七面鳥、駝鳥、烏骨鶏等が挙げられる。また、それらの品種等も特に限定されるものではない。例えば、ニワトリについては、盛んに飼育されている採卵用ニワトリやブロイラーニワトリの他、名古屋コーチン等の稀少品種も包含される。なお、本明細書において、成鳥の産生する卵を人又は愛玩動物の食用に供することができる鳥類を採卵用家禽という場合がある。中でも、本発明の飼育方法はニワトリに好適に使用される。養殖魚介とは人工的に飼養して繁殖させる魚介類をいう。養殖魚介は淡水に生息するものでも、海水に生息するものであってもよく、特に限定されるものではない。淡水に生息するものとしては、例えば、コイ、ウナギ、ニジマス、アユ等が挙げられる。海水に生息するものとしては、タイ、ハマチ、カンパチ、ヒラメ、フグ、マグロ、シマアジ、アブラメ、アジ、サバ、メバル、イサキ、スズキ等の魚類、カキ、真珠貝、ホタテ貝等の貝類が挙げられる。
【0041】
本発明の飼育方法によれば、飼育対象の動物、例えば、家畜、家禽、養殖魚介等の品質が有意に改善されうる。本発明の飼育方法は、例えば、以下のような効果を有する。なお、何らの副作用も認められず、安全かつ効率的に動物の飼育を行うことができる。
【0042】
(家畜)
健康な家畜を飼育することができ、肉の質および味が改善される。例えば、相対的にビタミンA含有量の多い肉が得られる。また、該肉は鮮度保持性にも優れる。さらに、各家畜特有の病気を未然に防止することができ、生産性を向上させることができる。また、家畜の繁殖性をも高めることができる。
【0043】
本発明においては、このような効果が認められることから、本発明の飼料または飲料水〔以下、(家畜)、(家禽)および(養殖魚介)の項においては、単に飼料という〕は、ある局面では、例えば、家畜の肉質改善用飼料、家畜の生産性向上用飼料、家畜の繁殖性向上用飼料である。また、本発明の飼育方法は、ある局面では、例えば、家畜の肉質改善方法、家畜の生産性向上方法、家畜の繁殖性向上方法である。
【0044】
(家禽)
家禽においては、例えば、血清中のコレステロールレベル及び中性脂質レベルの低下が認められ、家禽の体質が改善され、その肉質が改善されうる。特に採卵用家禽においては、例えば、該家禽が産生する卵の卵黄中のビタミンA(レチノール)含有量が増加しており、卵黄中へのカロチノイドの移行率の向上が認められ、産卵期の延長が期待できると共に、栄養価が改善された卵の産生を促すことができる。また、採卵用家禽は、通常、早ければ飼育を開始して500日程度で淘汰が始まり、およそ700日目には産業廃棄物として処理されることになるが、本発明の飼育方法で飼育された採卵用家禽は、700日目においても病変が見られず、食用に適応する程度の良好な生態を示す。よって、飼育期間の延長による採卵量の増加、並びに産業廃棄物の減少による経済効果がもたらされる。
【0045】
さらには、採卵用家禽の産生する卵での血はん及び/又は肉はんの発生が抑制される。従って、該家禽により産生された卵は高い商品価値を有する。一般に、血はん及び/又は肉はんの発生の低下については、卵黄中へのカロチノイドの移行率との関係が指摘されている。該卵では、前記の通り、卵黄中へのカロチノイドの移行率が高まっている。よって、卵における血はん及び/又は肉はんの発生の低下は、かかるカロチノイドの移行率の増加が影響しているものと推定される。
【0046】
本発明においては、このような効果が認められることから、本発明の飼料は、ある局面では、例えば、家禽の肉質改善用飼料である。特に、家禽用飼料、中でも採卵用家禽飼料として有用であり、ある局面では、例えば、採卵用家禽による卵の産生量向上用飼料、採卵用家禽により産生される卵での血はんおよび/または肉はんの抑制用飼料である。また、本発明の飼育方法は、ある局面では、例えば、家禽の肉質改善方法である。特に、家禽、中でも採卵用家禽の飼育方法として有用であり、ある局面では、例えば、採卵用家禽による卵の産生量向上方法、採卵用家禽により産生される卵での血はんおよび/または肉はんの抑制方法である。
【0047】
(養殖魚介)
健康な魚介類を養殖することができ、肉の質および味が改善される。また、該魚介類は鮮度保持性にも優れる。例えば、魚介類中のドコサヘキサエン酸(DHA)およびエイコサペンタエン酸(EPA)の含有量が高まり、一方、水銀蓄積量の低下、細菌数の低下等の効果が得られる。よって、魚介類の生産性の向上効果も得られる。
【0048】
本発明においては、このような効果が認められることから、本発明の飼料は、ある局面では、例えば、養殖魚介の肉質改善用飼料、養殖魚介の生産性向上用飼料である。また、本発明の飼育方法は、ある局面では、例えば、養殖魚介の肉質改善方法、養殖魚介の生産性向上方法である。
【0049】
前記の通り、本発明によれば、動物の肉質を改善することができる。よって、本発明はまた、本発明の飼育方法により飼育した動物の肉を提供する。飼育された動物からの精肉は、公知の方法に従って行うことができる。例えば、家畜由来の肉であれば、本発明の飼育方法以外の一般的な飼育方法で飼育された家畜由来の肉に比べ、ビタミンA含有量が多い、細菌数が低い等の特徴を有する。また、家禽由来の肉であれば、不飽和脂肪酸の含有量が高くなる等、脂肪組成の改善等の特徴を有する。養殖魚介では、DHAおよびEPAの含有量が高い、細菌数が低い等の特徴を有する。また、本発明の飼育方法で飼育された養殖魚介では、一般の方法により飼養されたものに比べ、水銀蓄積量が低くなる傾向が見られる。
【0050】
また、本発明の飼育方法により飼育された家禽、特に採卵用家禽は、栄養価が改善された卵を産生する。よって、本発明はまた、該卵を提供する。当該卵の脂質組成は成鳥の血液の脂質組成を反映しているものと考えられ、例えば、ニワトリを例にとると、通常の卵に比し、卵黄中のコレステロールレベル及び中性脂質レベルの低下が認められる。また、卵黄中へのカロチノイドの移行率が高まっており、ビタミンA(レチノール)含有量が高い。さらに、卵白のタンパク質含有量が高く、該卵は優れた調理性やゲル化性を有する。本発明の卵の外観は、例えば、ビタミンAを高含有する卵黄が鮮やかな黄色を呈して丸く盛り上がり、その周囲を濃厚卵白が小さな拡散面積でもって取り囲んだ形状を有する。また、卵殻強度、ハウユニット、卵黄係数等の卵質検査値が良好である。
【0051】
さらに、本発明は、前記卵を用いて製造した風味・食感に優れた食品又は食品素材を提供する。本発明の卵は、例えば、通常の卵を用いて調理又は製造される卵料理や卵製品等の食品や、該卵を用いて製造される食品原料等の食品素材に同様にして用いることができる。本発明により提供される食品としては、例えば、マヨネーズ、カスタードプリン、アイスクリーム、クレープ、錦糸卵、卵ふりかけ、カステラ、焼き菓子、ケーキ、饅頭、卵豆腐、タマゴボーロ、全卵粉末、卵黄粉末等の卵製品や、ゆで卵、卵焼き、厚焼き卵、目玉焼き、親子丼、他人丼、オムレツ、スクランブルエッグ、粕漬け卵、酢卵、卵白粥等の卵料理を挙げることができる。また、本発明により提供される食品素材としては、例えば、全卵粉末、卵黄粉末、凍結全卵液、砂糖または食塩を添加した凍結卵黄液等を挙げることができる。
【0052】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0053】
実施例1 家禽用アガリクス飲料水を用いた産卵鶏の飼育試験
アガリクス抽出液〔(株)アトラスワールド社製〕をイオン交換水で希釈し、該抽出液の調製に用いたアガリクス茸の乾燥重量換算で25ppm含有してなる飲料水(低用量飲料水)、および250ppm含有してなる飲料水(高用量飲料水)を調製した。飼育試験は210日齢の産卵鶏(ロードアイランドレッド種)10羽を1群として、3群設け、それぞれ対照群、低用量群、および高用量群とした。試験開始日から4週間にわたり、対照群にはイオン交換水、低用量群には低用量飲料水、および高用量群には高用量飲料水を自由飲水で与え、各群ごとに毎日の飲水量を測定した。
【0054】
なお、その間の飼料は採卵鶏用の標準飼料(トラスト、西日本くみあい飼料(株)製)を自由摂取させ、各群ごとに毎日の摂取量を測定した。その試験期間中の平均飲水量(1日・1羽あたり)は、対照群と低用量群がともに190mL、高用量群が211mLであった。また、平均飼料摂取量(1日・1羽あたり)は、対照群が119g、低用量群が123g、および高用量群が120gであった。
【0055】
(体重の変化)
試験期間中、産卵鶏1羽あたりの平均体重の変化は、対照群が1960g(0日目)、2010g(14日目)、および2050g(28日目)と増加した。低用量群は、2030g(0日目)、2060g(14日目)、および2090g(28日目)であった。また、高用量群は1880g(0日目)、1990g(14日目)、および2050g(2日目)であった。各群の体重の変化は、実質的な差が見られなかった。
【0056】
(採血と血液検査)
試験開始日の前日(0日目)、試験14日目、および28日目に、各産卵鶏の体重を測定した後、翼下静脈から採血(1mL)して各群ごとにまとめ、血清を分離し、0日、14日、および28日プール血清とした。血液検査項目は、肝機能の指標としてGOTとGPT、および脂質組成として中性脂質量と総コレステロール量を測定した。血液検査は(財)血液研究所に依頼した。その結果を表1および表2に示す。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】
血液検査結果
産卵鶏の血液検査で、肝機能を示すGOTやGPTの値は、各群とも0日の値と比較して、試験期間中に明らかな変化は見られなかった。一方、中性脂質および総コレステロールの値は、対照群が14日目にそれぞれ107%および108%、28日目に117%および114%と上昇したのに対し、低用量群では14日目にそれぞれ76%および87%、28日目に65%および68%と明らかに低下した。さらに、高用量群でも14日目がそれぞれ70%および69%、28日目には66%および51%と顕著に低下した。
【0060】
(産卵率)
採卵は試験開始日の前日から毎日行ない、各個体ごとの産卵記録を作成し、各群の一ヶ月間の産卵率を比較した。その結果、対照群が100%、低用量群が96%、および高用量群が98%で、各群ともに産卵率の実質的な差は見られなかった。
【0061】
(卵の分析)
試験開始14日目と28日目に採取した鶏卵を割卵して卵黄を分離し、各群ごとにまとめてプール卵黄試料とした。各群プール卵黄試料の分析は総脂質量、中性脂質量、およびコレステロール量の測定を行なった。各群プール卵黄試料の10gからBlight Dyer法で脂質の抽出を行ない、総脂質量の測定は重量法で、中性脂質量の測定は総脂質をクロロフォルムに溶解し、アルミナカラムに流し、非吸着画分(トリグリセライド)を中性脂質として重量法で測定した。また、コレステロール量の測定はベーリイガーマンハイム社の食品分析酵素法試薬(F キット:コレステロール)を用いて行なった。結果を表3に示す。
【0062】
【表3】
【0063】
卵の分析結果
通常、鶏卵卵黄の脂質は親鳥の血清脂質が移行することが知られている。産卵鶏へのアガリクス飲料水を用いた試験でも、産卵鶏の血清中の総脂質、特に中性脂質と総コレステロールの明らかな低下は、それらが産卵した卵の卵黄脂質組成に反映された。すなわち、試験開始14日と28日目のプール卵黄試料の脂質分析結果から、対照群(アガリクス無投与)の中性脂質量およびコレステロール量に対して、低用量群でそれぞれ85%および71%に、高用量群で65%および57%に低下した。
【0064】
実施例2 家禽用アガリクス飲料水を用いた産卵鶏の中規模飼育試験
180日齢の産卵鶏(ロードアイランドレッド種)を1群100羽づつ、3群設け、対照群およびアガリクス飲料水の10ppm投与群および100ppm投与群とした。試験の開始から2ヶ月間にわたり、対照群には水道水を、アガリクス飲料水投与群には、アガリクス抽出液を水道水で希釈し、該抽出液の調製に用いたアガリクス茸の乾燥重量換算で10ppmおよび100ppm含有してなる飲料水を自由飲水させて飼育した。なお、その間の飼料は採卵鶏用の標準飼料を自由摂取させた。試験期間中は毎日採卵し、各群から得られた卵数を記録した。試験開始の1ヶ月後(25−30日)、および2ヶ月後(55−60日)に産卵した各群の卵を用いて、卵質検査や卵黄成分の分析を行なった。なお、各群の各期間の卵から無作為に選んだそれぞれ10個の卵を試料とした。
【0065】
(飼料摂取量と産卵率)
試験期間中の平均飲水量および飼料摂取量は、対照群がそれぞれ201mL/羽および125g/羽、10ppm投与群ではそれぞれ210mL/羽および132g/羽、100ppm投与群では208mL/羽および128g/羽であり、各群に顕著な差は見られなかった。また、試験期間中の産卵率は、対照群94%、10ppm投与群が90%、100ppm投与群が92%と、いずれの群も90%以上の産卵率を示した。
【0066】
(卵質検査)
卵質検査として、卵殻強度、ハウユニット、卵黄色、卵黄係数、血卵率の測定を行った。卵殻強度は富士平工業(株)製の卵殻強度計FN597を用いて、ハウユニットおよび卵黄係数は富士平工業(株)製の卵質計(卵白高測定器FN596−1)と卵質測定台FN596−2を用いて測定した。卵黄色はエッグカラーファンの基準色と比較した。また、血卵率については、各群の各期間の卵から、それぞれ無作為に100個づつ、合計200個の卵を割卵し、血はんや肉はんの見られた卵数を調べた。
【0067】
卵殻強度、卵黄色
試験期間の1ヵ月後(25−30日)および2ヶ月後(55−60日)に産卵した各群の卵について、卵殻強度および卵黄色を比較した。その結果、卵殻強度(10個の平均値)は、対照群の4.52 kg/cm2(1ヶ月後)および4.64 kg/cm2(2ヶ月後)に対して、10ppm投与群ではそれぞれ4.49 kg/cm2および4.57 kg/cm2、100ppm投与群では4.38 kg/cm2および4.66 kg/cm2であった。また、卵黄色(10個の平均値)は、対照群の10.3(1ヶ月後)および10.1(2ヶ月後)に対して、10ppm投与群ではそれぞれ10.0および10.4、100ppm投与群では10.3および10.8であった。以上の結果、卵殻強度と卵黄色については、各群間や飼料採取時の違いによって、いずれの項目も顕著な差がなかった。
【0068】
ハウユニットと卵黄係数
次に試験期間の1ヶ月後(25−30日)および2ヶ月後(55−60日)に産卵した各群の卵について、ハウユニットおよび卵黄係数を比較した。その結果、ハウユニット(10個の平均値)は、対照群の77.8(1ヶ月後)および79.2(2ヶ月後)に対して、10ppm投与群ではそれぞれ86.5および85.9、100ppm投与群では93.6および93.8であった。また、卵黄係数(10個の平均値)は、対照群の41.5(1ヶ月後)および42.9(2ヶ月後)に対して、10ppm投与群ではそれぞれ37.8および36.1、100ppm投与群では35.4および36.1であった。以上の結果、アガリクス飲料水の10ppm投与群および100ppm投与群の産卵鶏が、アガリクスの投与量が多くなるほど、ハウユニットが高く、かつ卵黄係数が低い、より鮮度の高い卵を産卵する傾向があった。
【0069】
血卵率
今回の試験では、試験開始の1ヶ月後(25−30日)および2ヶ月後(55−60日)に産卵した各群の卵から、それぞれ無作為に100個づつ、合計200個の卵を割卵し、血はんや肉はんの見られた卵数を調べた。その結果、対照群の0.2%(1ヶ月後)および0.1%(2ヶ月後)に対して、10ppm投与群ではそれぞれ0.05%および0.05%、100ppm投与群では0%および0%であった。アガリクス飲料水の10ppm投与群および100ppm投与群の産卵鶏は、明らかに血はんや肉はんが少ない、高品質の卵を産卵することが示された。
【0070】
(卵白および卵黄の分析)
試験開始の1ヶ月後(25−30日)および2ヶ月後(55−60日)に産卵した各群の卵から、それぞれ無作為に10個づつ割卵し、卵白液と卵黄液とを分離し、それぞれをまとめて、プール卵白液およびプール卵黄液を調製して、卵白タンパク質および卵黄中の中性脂質、コレステロールの含有量、およびレチノールとトコフェロールの含有量を比較した。卵白タンパク質含有量はローリー法で測定した。また、卵黄液中の中性脂質含有量およびコレステロール含有量の測定は実施例1記載の方法に準じた。レチノールとトコフェロールの含有量の測定は高速液体クロマトグラフ法で行った。
【0071】
卵白タンパク質
卵白液100g中のタンパク質含有量は、対照群の10.5g(1ヶ月後)および10.3g(2ヶ月後)に対して、10ppm投与群ではそれぞれ12.8gおよび13.1g、100ppm投与群では13.5gおよび13.2gであった。アガリクス飲料水の10ppm投与群および100ppm投与群の産卵鶏の卵は、卵白中のタンパク質含有量が高い傾向が見られた。このことは、アガリクス投与産卵鶏はハウユニットが高い卵を産卵する結果と関係すると思われた。
【0072】
中性脂質とコレステロール
卵黄液100g中の中性脂質含有量は、対照群の20.4g(1ヶ月後)および21.7g(2ヶ月後)に対して、10ppm投与群ではそれぞれ18.6gおよび18.1g、100ppm投与群では17.9gおよび16.8gであった。また、コレステロール含有量は卵黄液100g当たり、対照群の1530mg(1ヶ月後)および1520mg(2ヶ月後)に対して、10ppm投与群ではそれぞれ1090mgおよび980mg、100ppm投与群では790mgおよび850mgであった。以上の結果、アガリクス飲料水の10ppm投与群および100ppm投与群の産卵鶏は、明らかに中性脂質含有量およびコレステロール含有量が低い卵を産卵することが示された。アガリクス投与産卵鶏は、実施例1の産卵鶏の血液性状の結果で示されたように、おそらく、アガリクスの投与量に伴い、血液中の中性脂質およびコレステロール含有量を低下させる効果を有し、それが、卵黄の脂質組成にも反映されるものと思われる。
【0073】
レチノールとトコフェロール
試験開始2ヶ月後(55−60日)に産卵した各群の卵から、それぞれ無作為に10個づづ選び、そのプール卵黄液中のレチノールと総トコフェロールの含有量を測定した。その結果、卵黄液100g当たりのレチノール含有量はビタミンA効力として、対照群の307国際単位(IU)に対し、10ppm投与群では600IU、100ppm投与群では630IUと明らかに高値を示した。一方、トコフェロール含有量については、卵黄液100g当たりの総トコフェロールとして、対照群の1.1mgに対し、10ppm投与群と100ppm投与群ではいずれも0.9mgと若干低値を示した。
【0074】
実施例3 家禽用アガリクス配合飼料を用いた産卵鶏の大規模飼育試験
150日齢の産卵鶏(白色レグホン種)を一群5000羽づつ、同一鶏舎内に2群設け、対照群は標準飼料で、試験群は標準飼料にアガリクス茸の乾燥粉末0.1%を配合した飼料で9ヶ月間飼育(水または水道水を自由飲水)した。そして、試験期間の飼育管理記録より、各群の平均飼料摂取量(1羽・1日)、平均産卵率、斃死羽数を比較した。また、試験開始から3ヶ月毎に、各群の卵を無作為に100個づつ採取し、割卵して血はんや肉はんの見られた卵数を調べた。なお、この血玉検査時に回収した卵黄を各群ごとにまとめて均質化し、卵黄中のコレステロール含有量を測定した。コレステロール含有量の測定にはベーリイガーマンハイム社の食品分析酵素法試薬(F キット:コレステロール)を用いた。さらに、試験開始6ヶ月後の卵を用いて茹で卵を調製し、その風味や食味を官能検査で調べた。
【0075】
飼育管理記録
9ヶ月間の飼育期間中で、平均飼料摂取量は、対照群の125gに対し試験群が122gであった。平均産卵率は、対照群の85.6%に対し試験群が88.7%であった。また、斃死数は対照群の30羽に対し試験群で0羽であった(ただし、1日令〜203日令、1000羽導入)。
【0076】
血卵率
試験開始の3ヶ月後、6ヶ月後、および9ヶ月後に産卵した各群の卵から、それぞれ無作為に100個づつ割卵し、血はんや肉はんの見られた卵数を調べた結果、対照群の0.2%(3ヶ月後)、0.2%(6ヶ月後)、および0.1%(9ヶ月後)に対して、試験群では、0.05%(3ヶ月後)、0.05%(6ヶ月後)、および0.02%(9ヶ月後)であった。アガリクス配合飼料投与群の産卵鶏は、明らかに血はんや肉はんが少ない、高品質の卵を産卵することが示された。
【0077】
コレステロール
試験開始の3ヶ月後、6ヶ月後、および9ヶ月後の各群の卵から、それぞれ無作為に100個づつ割卵して得られた各プール卵黄液中のコレステロール含有量を測定した。その結果、卵黄液100g中の総コレステロール含有量として、対照群の158mg(3ヶ月後)、162mg(6ヶ月後)、および154mg(9ヶ月後)に対して、試験群では、92mg(3ヶ月後)、87mg(6ヶ月後)、および95mg(9ヶ月後)であった。アガリクス配合飼料投与群の産卵鶏は、明らかに卵黄中のコレステロール含有量が少ない卵を産卵することが示された。
【0078】
(官能検査)
試験開始6ヶ月後の対照群および試験群が産卵した卵を用いて温泉卵(65−75℃で15分間加熱)を試作し、女子大学生30名をパネラーとする官能検査(2点比較法)を実施した。評価項目は、おいしさ(味)、風味(香り)の2項目とした。その結果、いずれの項目においても良好な評価結果が得られた。なお、同時に行なったアンケート調査の結果では、試験群の温泉卵の方が、生臭く無くコクがあるとの意見が多く見られた。
【0079】
【発明の効果】
本発明により、家畜、家禽、養殖魚介等の品質改善に優れた効果を発揮しうる、動物用飼料及び飲料水、動物飼育用剤、並びに動物の飼育方法、品質が改善された動物の肉及び卵、並びに該卵を用いて製造した風味、食感に優れた食品及び食品素材が提供される。
【発明の属する技術分野】
本発明は、動物用飼料及び飲料水、動物飼育用剤、動物の飼育方法、該飼育方法で飼育した動物の肉、該動物が産生した卵、並びに該卵を用いて製造した食品及び食品素材に関する。
【0002】
【従来の技術】
生活習慣病の予防等の観点から食生活の改善が指向され、体に安全で、しかも美味しく、栄養価の高い食品が望まれている。
【0003】
そのような状況の下、家畜等の肉質改善や生産性の向上等が取り組まれている。例えば、家畜については、麦若葉由来の素材を含有してなる肉質改善剤(例えば、特許文献1参照)、乳酸縮合物の混合物を含有してなる生産性向上剤(例えば、特許文献2参照)が提案されている。家禽については、養鶏用基本飼料に特定割合の木酢粉と海藻粉を特定量配合してなる飼料をニワトリに給与して飼育することにより、ニワトリの産生する卵のコレステロール含有量を低下させた例が報告されている(例えば、特許文献3参照)。また、中鎖脂肪酸を配合した飼料(例えば、特許文献4参照)や、脂肪酸カルシウムとカゼインホスホペプチドとを含有する飼料(例えば、特許文献5参照)など産卵率の改善を目的とした飼料が提案されている。また、養殖魚については、トウガラシを用いた肉質改善剤を給与する肉質改善法(例えば、特許文献6参照)、生産性向上効果を有するα化全粒トウモロコシを含む飼料(例えば、特許文献7参照)が提案されている。
【0004】
しかしながら、家畜等、食用に供される動物一般において総合的な品質改善を可能にする飼料や動物の飼育方法については、これまでに報告がない。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−65175号公報
【特許文献2】
特開2002−112711号公報
【特許文献3】
特開平5−192091号公報
【特許文献4】
特開平3−198748号公報
【特許文献5】
特開平7−147910号公報
【特許文献6】
特開2002−34469号公報
【特許文献7】
特開2002−281909号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、家畜、家禽、養殖魚介等の品質改善に優れた効果を発揮しうる、動物用飼料及び飲料水、動物飼育用剤、並びに動物の飼育方法、品質が改善された動物の肉及び卵、並びに該卵を用いて製造した風味、食感に優れた食品及び食品素材を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、
〔1〕 アガリクス及び/又はその処理物を含有してなる動物用飼料、
〔2〕 ゼオライトをさらに含有してなる前記〔1〕記載の飼料、
〔3〕 家禽用飼料である前記〔1〕又は〔2〕記載の飼料、
〔4〕 アガリクス及び/又はその処理物を含有してなる動物用飲料水、
〔5〕 家禽用飲料水である前記〔4〕記載の飲料水、
〔6〕 アガリクス及び/又はその処理物を含有してなる動物飼育用剤、
〔7〕 ゼオライトをさらに含有してなる前記〔6〕記載の飼育用剤、
〔8〕 前記〔1〕〜〔3〕いずれかに記載の飼料、前記〔4〕又は〔5〕に記載の飲料水、及び前記〔6〕又は〔7〕に記載の飼育用剤からなる群より選ばれる少なくとも1種を動物に給与して飼育する動物の飼育方法、
〔9〕 動物が家禽である前記〔8〕記載の飼育方法、
〔10〕 前記〔8〕又は〔9〕に記載の飼育方法により飼育した動物の肉、
〔11〕 前記〔9〕に記載の飼育方法により飼育した家禽が産生した卵、
並びに
〔12〕 前記〔11〕に記載の卵を用いて製造した食品又は食品素材、
に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の動物用飼料は、有効成分としてアガリクス及び/又はその処理物を含有してなることを大きな1つの特徴としており、詳しくは後述するが、例えば、家畜、家禽、養殖魚介等の品質改善に優れた効果を発揮しうる。本発明の飼料のかかる効果は、アガリクス及び/又はその処理物の効果に基づくものであるが、アガリクス及び/又はその処理物がそのような効果を有することは本発明において初めて見出されたことである。本発明の有効成分によるかかる効果の発現メカニズムの詳細は未だ不明であるが、有効成分による動物の代謝機能の改善、生理機能の向上、恒常性維持作用の向上など、動物の生物学的活性の改善や向上によるものと推定される。
【0009】
本発明で使用するアガリクス(Agaricus blazei)は、ハラタケ属の茸の一種であって、ブラジルサンパウロ地方に自生している茸であるが、屋内外で人工栽培が可能である。子実体の形状は円錐形(つり鐘形)で、傘の外表面の色は褐色、柄の色は白色ないし乳白色、傘の大きさは5〜10cm、柄の長さは最大15cm位まで成長する。傘の縁や内表面の形状は円錐状、ひだは放射状、ひだの縁はカールを巻き、柄の付き方は中心性で、柄の形状は等茎(但し、根元は膨れる)であり、生え方は散性である。
【0010】
前記アガリクスは、そのもの及び/又はその処理物として使用される。該アガリクスとしては、生活環の全段階又はいずれかの段階に由来するものであってもよく、その使用形態としては、その全体及び一部であってもよい。それらは、それぞれ単独で若しくは2種以上を同時に使用することができる。本発明でアガリクスとして使用されるものとしては、例えば、胞子、菌糸、原基、子実体、傘、柄、口環、ひだ(壁)/ラメラ、担子器、フィラメント等が挙げられる。
【0011】
アガリクスそのものとしては、例えば、採取された生のままで、若しくは適宜細断して使用されるが、これらに限定されるものではない。アガリクスの処理物としては、例えば、アガリクスの抽出物、乾燥物、粉砕物、粉末として、又はそれらを適宜ペレット状に成形して使用されるが、これらに限定されるものではない。
【0012】
アガリクスの抽出物の調製は、前記のようなアガリクスを、溶剤、例えば、水、エタノール等の低級アルコール、それらの混合物等に浸漬することによって行なうことができる。
【0013】
アガリクスの抽出方法は特に限定されるものではないが、例えば、国際公開第02/15917号パンフレットに記載の方法が好適である。該方法によれば、アガリクスを熱水抽出し、さらにその残渣をシュウ酸アンモニウムの5%(V/V)水溶液で抽出し、それぞれの抽出物を混合し、次いで得られた混合物を塩酸で分解し、ゲル浸透クロマトグラフィー等により精製してアガリクス抽出物を得る。
【0014】
より好適な方法としては、単純な熱水抽出法が挙げられる。アガリクスを熱水、好ましくは室温〜100℃程度、より好ましくは90〜100℃程度の水中で、好ましくは少なくとも30分間、好ましくは時々振盪又は攪拌して維持することによりアガリクス抽出物を得る。アガリクスと水との比率(アガリクス:水)は、湿重量(g)で、好ましくは1:2〜1:100、より好ましくは1:2.5〜1:25である。抽出操作終了後、アガリクスを、例えば、ろ過等により除去してアガリクス抽出物が得られる。使用する水の温度、抽出時間、並びにアガリクスと水との比率は、抽出成分の量又は種類等によって適宜調節することができる。
【0015】
アガリクスの抽出物は、そのままで、水等で希釈して、又は任意に濃縮して使用することができ、さらに適宜分画して使用することもできる。また、例えば、凍結乾燥して乾燥品として使用することもできる。アガリクスの抽出物は市販されており、当該市販品を使用してもよい〔例えば、(株)アトラスワールド社製商品名「エキスメイト」、「ブリックス−20」、「ブリックス−40」等〕。
【0016】
アガリクスの乾燥物とはアガリクスを乾燥したものであり、粉砕物とはアガリクスの乾燥物を粉砕したものである。粉砕物は、アガリクスを予め細断し、それを乾燥することにより、又はアガリクスを乾燥後、粉砕することにより得ることができる。アガリクスの粉末とは、粉砕物に比し、より粉砕の程度が進んだものであり、アガリクスの乾燥物又は粉砕物をさらに粉砕することにより得られる。また、これらのアガリクスの処理物を任意の増量剤等と混合し、成形することで、任意の形状のペレットとすることができる。
【0017】
本発明においては、アガリクス及び/又はその処理物として、使用の簡便性という観点から、アガリクスの抽出物(特に濃縮品や乾燥品)又は粉末が好適に使用される。
【0018】
本発明の飼料中のアガリクス及び/又はその処理物の含有量は特に限定されるものではなく、給与対象の動物や給与方法等により適宜調節すればよいが、例えば、動物の平均飼料摂取量を100g/動物・日とした場合、アガリクス及び/又はその処理物の乾燥重量換算で、好ましくは20〜2000ppm、より好ましくは50〜500ppmである。ここで「ppm」とは、飼料1kg当たりに含まれるアガリクス及び/又はその処理物(乾燥重量換算)の含有量をmg数で表したものである。
【0019】
アガリクス及び/又はその処理物を飼料に配合する場合、該飼料の一般原料と同様にして配合することもできるが、その配合量が少量であるので、アガリクス及び/又はその処理物を飼料に均一に配合する観点から、後述する飼料用添加剤を任意の飼料原料に配合する態様が好ましい。
【0020】
また、本発明の飼料としては、殺菌効果、下痢の予防、糞尿アンモニアガスの減少、健康維持、成長促進、飼料効率の改善、飼料保存性の向上、防カビ(抗アフラトキシン)という観点から、さらにゼオライトを含有してなるものが好ましい。
【0021】
本発明で使用されるゼオライトとは、例えば、日本名で「沸石」と呼称され、火山作用によって形成された多孔質凝灰岩と定義されるものである。すなわち、含水性珪酸アルミニウムを主成分とするクリプチロライト系、モルデナイト系、フィリップサイト系などの、水分吸収性能、陽イオン交換性能等を有するユニークなミネラル物質であり、天然のものであっても人工のものであってもよい。天然のゼオライトの例としては、方沸石(立方晶系)、魚眼石(正方晶系)、菱沸石(三方晶系)、ソーダ沸石(斜方晶系)、輝沸石、束沸石、濁沸石(ともに単斜晶系)等が挙げられる。一方、人工のゼオライトは公知の方法に従って得ることができ、例えば、ケイ酸ナトリウム溶液とアルミン酸ナトリウム溶液とを混合し、生じたゲルを乾燥、粉砕し、所望により篩い分けして調製することができる。ゼオライトの形状は特に限定されるものではないが、例えば、40〜325メッシュサイズの細粒、粉末、微粉末等の形状を有するものが好適である。なお、本発明に好適に使用されるゼオライトは、例えば、米国ベアリバーゼオライト社より商品名「ベアリバーゼオライト」又は「セーフティーソーブ」で市販されている。
【0022】
該ゼオライトは、本発明の飼料に含まれていればよいが、好ましくはアガリクスの抽出物(特に濃縮品や乾燥品)を予め粉末化したもの及び/又はアガリクスの粉末と共に含まれているのが好ましい。また、該ゼオライトにはアガリクスの抽出物等が吸着されていてもよい。ここで、「吸着」とは、アガリクスの抽出物等が物理的及び/又は化学的にゼオライトに結合していることをいう。
【0023】
ゼオライトを含む本発明の飼料の製法の非限定的な好適な一例としては、例えば、以下に示す方法が挙げられる。すなわち、アガリクス抽出物とゼオライトとの均一な混合を容易化するため、予め該抽出物を粉末化する。粉末化は、液体である該抽出物を多孔質粉末に混ぜ込み、吸着させることにより行うのが好適である。該抽出物の吸着力、性状、安全性などの観点から、多孔質粉末としては軽質無水珪酸と呼称される二酸化珪素の粉末が好適に使用される。なお、該抽出物の液体の粘度が高い場合には加温してもよい。次いで、得られたアガリクス抽出物が吸着した粉末を、その他の飼料原料を常法で適宜混合し、所望の飼料を得る。
【0024】
ゼオライトは、アガリクス及び/又はその処理物を飼料に配合する場合と同様にして飼料の一般原料と配合することができる。飼料中の該ゼオライトの含有量としては特に限定されるものではないが、好ましくは0.5〜3重量%、より好ましくは1〜2重量%である。ゼオライトにアガリクスの抽出物等が吸着している場合には、飼料中の該ゼオライトの含有量としては、アガリクスの抽出物等が、アガリクス及び/又はその処理物の前記含有量範囲で含まれうるような量であるのが好ましい。
【0025】
本発明に使用される飼料の一般原料は特に限定されるものではなく、動物の種類、日令等を考慮して、一般に使用される基本飼料原料が適宜使用される。かかる原料としては、例えば、とうもろこし、マイロ、コウリャン等の乾物類;大豆油粕、なたね油粕、ごま油粕、綿実油粕等の油粕類;魚粉、肉骨粉等の動物性飼料原料;澱粉、大豆、小麦等の穀類及びその加工品;ミートミール、チキンミール、ラード、牛脂等の動物性油脂;ナタネ油、パーム油、ヤシ油、大豆油、サフラワー油、コーン油、綿実油等の植物性油脂;オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸等の脂肪酸;炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、食塩、無水ケイ酸等のミネラル類;ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK等のビタミン類;グリシン、メチオニン等のアミノ酸;ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン等の乳化剤等が挙げられる。
【0026】
また、本発明の飼料には、乳酸菌等の生菌剤、ビタミンC、ビオチン、葉酸、パントテン酸等のビタミン類、鉄、亜鉛、マンガン、銅等の微量ミネラル、ハナビラタケ、マイタケ、シイタケ、冬虫夏草等のキノコもしくはキノコ成分、酒粕、コラーゲン、抗酸化剤、防カビ剤、食物繊維等の機能性食品素材等のその他の成分を所望により配合することもできる。当該成分の飼料中の含有量は、本発明の所望の効果の発現を阻害しない限り、特に限定されるものではない。
【0027】
本発明の飼料は、アガリクス及び/又はその処理物及び所望によりゼオライト、若しくは後述の飼料用添加剤、並びに所望によりその他の成分を、公知の方法に従って上記基本飼料原料に適宜配合することにより得られる。当該飼料の形態は特に限定されるものではなく、例えば、粉末状、顆粒状、ペースト状、ペレット状等であってよい。
【0028】
また、本発明の一態様として、アガリクス及び/又はその処理物を含有してなる動物用飲料水を提供する。当該アガリクス及び/又はその処理物としては、前記のものが使用される。また、それらは後述する飲料用添加剤の形態で使用してもよい。該飲料水の媒体である水は、動物の飲用に使用されるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、水道水、イオン交換水、蒸留水等が使用される。
【0029】
本発明の飲料水の形態としては、使用の容易性の観点から、水分散液又は水溶液であるのが好ましく、水溶液であるのがより好ましい。水分散液としては、少なくとも2日間程度の間、分散成分が実質的に均一な分散状態を保持しうるものが好ましい。そのような形態を有する飲料水は、例えば、アガリクスの抽出液又は粉末を水に分散又は溶解することにより調製するのが好適である。その際、所望により前記その他の成分を添加してもよい。
【0030】
本発明の飲料水中のアガリクス及び/又はその処理物の含有量は特に限定されるものではなく、給与対象の動物や給与方法等により適宜調節すればよいが、例えば、動物の平均飲水量を200mL/動物・日とした場合、アガリクス及び/又はその処理物の乾燥重量換算で、好ましくは10〜1000ppm、より好ましくは25〜250ppmである。ここで「ppm」とは、飲料水1L当たりに含まれるアガリクス及び/又はその処理物(乾燥重量換算)の含有量をmg数で表したものである。
【0031】
かかる本発明の飲料水は、本発明の前記飼料と同様の効果を発揮しうる。当該飲料水を用いて動物の飼育を行う場合、前記飼料と併用することができる。
【0032】
また、本発明の一態様として、アガリクス及び/又はその処理物を含有してなる動物飼育用剤を提供する。当該飼育用剤とは、動物を飼育する際に飼料又は飲料水として、主として単独で用いられるものではなく、本発明の前記飼料や飲料水の調製に使用したり、動物を飼育する際に飼料又は飲料水にオンする形で給与される補助剤として使用されるものである。しかしながら、その用途や使用態様によっては、飼育用剤を単独で動物の飼育に使用することもできる。かかる飼育用剤としては、例えば、飼料用添加剤、飲料水用添加剤、動物浸漬剤、動物用トローチ等が挙げられる。
【0033】
飼料用添加剤は、例えば、前記アガリクス及び/又はその処理物そのもの、又はアガリクスの抽出物等を吸着させたゼオライトであってもよく、或いはそれらを飼料に使用される一般原料の内の任意の一部と混合してなるものであってもよい。また、その形状は特に限定されるものではない。該添加剤としては、殺菌効果、下痢の予防、糞尿アンモニアガスの減少、健康維持、成長促進、飼料効率の改善、飼料保存性の向上、防カビ(抗アフラトキシン)という観点から、ゼオライトを含んでなるものが好ましい。該添加剤は、本発明の飼料の調製に好適に使用されるが、アガリクス及び/又はその処理物の含有量は、該添加剤の飼料への使用量に応じて、好ましくはアガリクス及び/又はその処理物の飼料中の含有量が前記好適範囲となりうるように適宜調整すればよい。また、ゼオライトの含有量も同様にして適宜調整すればよい。
【0034】
飲料水用添加剤は、それを添加した際に飲料水の使用性を阻害しないものであれば、その構成や形状等は特に限定されるものではない。当該添加剤としては、例えば、前記アガリクス及び/又はその処理物そのもの、又はそれらに任意のビタミン類(例えば、ビタミンC、ビオチン、葉酸、パントテン酸等)やミネラル類(例えば、鉄、亜鉛、マンガン、銅等)を混合してなるものが挙げられる。該添加剤は、本発明の飲料水の調製に好適に使用されるが、アガリクス及び/又はその処理物の含有量は、前記飼料用添加剤の場合に準じて適宜調整すればよい。
【0035】
動物浸漬剤とは、例えば、プール、水槽、保持タンク、又は魚類であれば飼育領域の水、海水などに添加し、飼育対象である動物を前記水等に浸漬してアガリクス及び/又はその処理物を該動物に給与するのに好適に使用される補助剤である。また、該浸漬剤としては、広義には、該浸漬剤を添加してなる水等を含む。かかる浸漬剤としては前記飲料水用添加剤と同様の構成を有するものを挙げることができる。浸漬剤の使用は、例えば、飼育対象の動物の飼料摂取量が低下したときに特に有効である。浸漬剤中のアガリクス及び/又はその処理物の含有量は、本発明の有効成分による効果が充分得られうるように、飼育対象の動物を浸漬する水等の量及び浸漬剤の使用量等を考慮して適宜決定することができる。
【0036】
また、動物用トローチとは、単独で、若しくは飼料及び/又は飲料水と共に動物に与え、主として動物に舐めさせることでアガリクス及び/又はその処理物を給与するのに好適に使用される補助剤である。動物用トローチは、前記飼料用添加剤を公知の方法に従って適宜打錠等することにより調製することができる。その形状は特に限定されるものではない。前記飼料用添加剤と同様の観点から、ゼオライトを含んでなるものが好ましい。該トローチ中のアガリクス及び/又はその処理物の含有量は、本発明の有効成分による効果が充分得られうるように、その使用量や使用形態等を考慮して適宜決定すればよい。
【0037】
本発明の動物の飼育方法は、本発明の前記飼料、前記飲料水、及び前記飼育用剤からなる群より選ばれる少なくとも1種(以下、動物給与物という場合がある)を動物に給与して飼育する方法である。
【0038】
本発明の動物給与物の動物への給与は、動物給与物の形態、用途、使用目的等に応じて、一般の飼料等の給与方法に準じて行えばよく、その方法は特に限定されるものではない。動物給与物の給与量は、飼育する動物の個体差、日令もしくは年齢、性別、活動量等により変化するため一概に決定することはできないが、本発明の有効成分を飼育対象の動物1日当たり0.5〜2000mg程度給与できる量であるのが好ましい。動物給与物の給与時期も特に限定されるものではなく、動物の飼育開始から終了の間に渡って継続して給与してもよいし、その間に断続的に給与してもよいし、特定の期間のみに継続して給与してもよい。また、給与時期を飼育対象である動物や目的産物の性質に応じて適宜決定してもよい。そのようにして給与時期を決定すれば、動物給与物に含まれる本発明の有効成分の効果を、個々の目的に従って最大限に発揮させることができるので好ましい。
【0039】
例えば、採卵用家禽に対し本発明の飼育方法を適用する場合には、本発明の所望の効果を充分に発揮させる観点からは、産卵開始前21日前後から産卵周期まで継続して給与するのが好ましい。特に、ニワトリの場合、生後約230〜550日前後で大きな卵を産卵するため、この期間中に給与するのが好ましい。
【0040】
本明細書において動物とは、ヒト以外の動物であれば特に限定されるものではないが、例えば、家畜、家禽、養殖魚介等が挙げられる。家畜とは、ヒトに飼養される動物であれば特に限定されるものではない。例えば、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ等が挙げられる。また、イヌ、ネコ等の愛玩動物も包含される。中でも、本発明の飼育方法はウシおよびブタに好適に使用される。家禽とは、主として肉および/または卵を採ること目的としてヒトが飼養する鳥類全てを指し、特に限定されるものではない。例えば、ニワトリ、ウズラ、アヒル、マガモ、家鴨、合鴨、キジ、鵜、七面鳥、駝鳥、烏骨鶏等が挙げられる。また、それらの品種等も特に限定されるものではない。例えば、ニワトリについては、盛んに飼育されている採卵用ニワトリやブロイラーニワトリの他、名古屋コーチン等の稀少品種も包含される。なお、本明細書において、成鳥の産生する卵を人又は愛玩動物の食用に供することができる鳥類を採卵用家禽という場合がある。中でも、本発明の飼育方法はニワトリに好適に使用される。養殖魚介とは人工的に飼養して繁殖させる魚介類をいう。養殖魚介は淡水に生息するものでも、海水に生息するものであってもよく、特に限定されるものではない。淡水に生息するものとしては、例えば、コイ、ウナギ、ニジマス、アユ等が挙げられる。海水に生息するものとしては、タイ、ハマチ、カンパチ、ヒラメ、フグ、マグロ、シマアジ、アブラメ、アジ、サバ、メバル、イサキ、スズキ等の魚類、カキ、真珠貝、ホタテ貝等の貝類が挙げられる。
【0041】
本発明の飼育方法によれば、飼育対象の動物、例えば、家畜、家禽、養殖魚介等の品質が有意に改善されうる。本発明の飼育方法は、例えば、以下のような効果を有する。なお、何らの副作用も認められず、安全かつ効率的に動物の飼育を行うことができる。
【0042】
(家畜)
健康な家畜を飼育することができ、肉の質および味が改善される。例えば、相対的にビタミンA含有量の多い肉が得られる。また、該肉は鮮度保持性にも優れる。さらに、各家畜特有の病気を未然に防止することができ、生産性を向上させることができる。また、家畜の繁殖性をも高めることができる。
【0043】
本発明においては、このような効果が認められることから、本発明の飼料または飲料水〔以下、(家畜)、(家禽)および(養殖魚介)の項においては、単に飼料という〕は、ある局面では、例えば、家畜の肉質改善用飼料、家畜の生産性向上用飼料、家畜の繁殖性向上用飼料である。また、本発明の飼育方法は、ある局面では、例えば、家畜の肉質改善方法、家畜の生産性向上方法、家畜の繁殖性向上方法である。
【0044】
(家禽)
家禽においては、例えば、血清中のコレステロールレベル及び中性脂質レベルの低下が認められ、家禽の体質が改善され、その肉質が改善されうる。特に採卵用家禽においては、例えば、該家禽が産生する卵の卵黄中のビタミンA(レチノール)含有量が増加しており、卵黄中へのカロチノイドの移行率の向上が認められ、産卵期の延長が期待できると共に、栄養価が改善された卵の産生を促すことができる。また、採卵用家禽は、通常、早ければ飼育を開始して500日程度で淘汰が始まり、およそ700日目には産業廃棄物として処理されることになるが、本発明の飼育方法で飼育された採卵用家禽は、700日目においても病変が見られず、食用に適応する程度の良好な生態を示す。よって、飼育期間の延長による採卵量の増加、並びに産業廃棄物の減少による経済効果がもたらされる。
【0045】
さらには、採卵用家禽の産生する卵での血はん及び/又は肉はんの発生が抑制される。従って、該家禽により産生された卵は高い商品価値を有する。一般に、血はん及び/又は肉はんの発生の低下については、卵黄中へのカロチノイドの移行率との関係が指摘されている。該卵では、前記の通り、卵黄中へのカロチノイドの移行率が高まっている。よって、卵における血はん及び/又は肉はんの発生の低下は、かかるカロチノイドの移行率の増加が影響しているものと推定される。
【0046】
本発明においては、このような効果が認められることから、本発明の飼料は、ある局面では、例えば、家禽の肉質改善用飼料である。特に、家禽用飼料、中でも採卵用家禽飼料として有用であり、ある局面では、例えば、採卵用家禽による卵の産生量向上用飼料、採卵用家禽により産生される卵での血はんおよび/または肉はんの抑制用飼料である。また、本発明の飼育方法は、ある局面では、例えば、家禽の肉質改善方法である。特に、家禽、中でも採卵用家禽の飼育方法として有用であり、ある局面では、例えば、採卵用家禽による卵の産生量向上方法、採卵用家禽により産生される卵での血はんおよび/または肉はんの抑制方法である。
【0047】
(養殖魚介)
健康な魚介類を養殖することができ、肉の質および味が改善される。また、該魚介類は鮮度保持性にも優れる。例えば、魚介類中のドコサヘキサエン酸(DHA)およびエイコサペンタエン酸(EPA)の含有量が高まり、一方、水銀蓄積量の低下、細菌数の低下等の効果が得られる。よって、魚介類の生産性の向上効果も得られる。
【0048】
本発明においては、このような効果が認められることから、本発明の飼料は、ある局面では、例えば、養殖魚介の肉質改善用飼料、養殖魚介の生産性向上用飼料である。また、本発明の飼育方法は、ある局面では、例えば、養殖魚介の肉質改善方法、養殖魚介の生産性向上方法である。
【0049】
前記の通り、本発明によれば、動物の肉質を改善することができる。よって、本発明はまた、本発明の飼育方法により飼育した動物の肉を提供する。飼育された動物からの精肉は、公知の方法に従って行うことができる。例えば、家畜由来の肉であれば、本発明の飼育方法以外の一般的な飼育方法で飼育された家畜由来の肉に比べ、ビタミンA含有量が多い、細菌数が低い等の特徴を有する。また、家禽由来の肉であれば、不飽和脂肪酸の含有量が高くなる等、脂肪組成の改善等の特徴を有する。養殖魚介では、DHAおよびEPAの含有量が高い、細菌数が低い等の特徴を有する。また、本発明の飼育方法で飼育された養殖魚介では、一般の方法により飼養されたものに比べ、水銀蓄積量が低くなる傾向が見られる。
【0050】
また、本発明の飼育方法により飼育された家禽、特に採卵用家禽は、栄養価が改善された卵を産生する。よって、本発明はまた、該卵を提供する。当該卵の脂質組成は成鳥の血液の脂質組成を反映しているものと考えられ、例えば、ニワトリを例にとると、通常の卵に比し、卵黄中のコレステロールレベル及び中性脂質レベルの低下が認められる。また、卵黄中へのカロチノイドの移行率が高まっており、ビタミンA(レチノール)含有量が高い。さらに、卵白のタンパク質含有量が高く、該卵は優れた調理性やゲル化性を有する。本発明の卵の外観は、例えば、ビタミンAを高含有する卵黄が鮮やかな黄色を呈して丸く盛り上がり、その周囲を濃厚卵白が小さな拡散面積でもって取り囲んだ形状を有する。また、卵殻強度、ハウユニット、卵黄係数等の卵質検査値が良好である。
【0051】
さらに、本発明は、前記卵を用いて製造した風味・食感に優れた食品又は食品素材を提供する。本発明の卵は、例えば、通常の卵を用いて調理又は製造される卵料理や卵製品等の食品や、該卵を用いて製造される食品原料等の食品素材に同様にして用いることができる。本発明により提供される食品としては、例えば、マヨネーズ、カスタードプリン、アイスクリーム、クレープ、錦糸卵、卵ふりかけ、カステラ、焼き菓子、ケーキ、饅頭、卵豆腐、タマゴボーロ、全卵粉末、卵黄粉末等の卵製品や、ゆで卵、卵焼き、厚焼き卵、目玉焼き、親子丼、他人丼、オムレツ、スクランブルエッグ、粕漬け卵、酢卵、卵白粥等の卵料理を挙げることができる。また、本発明により提供される食品素材としては、例えば、全卵粉末、卵黄粉末、凍結全卵液、砂糖または食塩を添加した凍結卵黄液等を挙げることができる。
【0052】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0053】
実施例1 家禽用アガリクス飲料水を用いた産卵鶏の飼育試験
アガリクス抽出液〔(株)アトラスワールド社製〕をイオン交換水で希釈し、該抽出液の調製に用いたアガリクス茸の乾燥重量換算で25ppm含有してなる飲料水(低用量飲料水)、および250ppm含有してなる飲料水(高用量飲料水)を調製した。飼育試験は210日齢の産卵鶏(ロードアイランドレッド種)10羽を1群として、3群設け、それぞれ対照群、低用量群、および高用量群とした。試験開始日から4週間にわたり、対照群にはイオン交換水、低用量群には低用量飲料水、および高用量群には高用量飲料水を自由飲水で与え、各群ごとに毎日の飲水量を測定した。
【0054】
なお、その間の飼料は採卵鶏用の標準飼料(トラスト、西日本くみあい飼料(株)製)を自由摂取させ、各群ごとに毎日の摂取量を測定した。その試験期間中の平均飲水量(1日・1羽あたり)は、対照群と低用量群がともに190mL、高用量群が211mLであった。また、平均飼料摂取量(1日・1羽あたり)は、対照群が119g、低用量群が123g、および高用量群が120gであった。
【0055】
(体重の変化)
試験期間中、産卵鶏1羽あたりの平均体重の変化は、対照群が1960g(0日目)、2010g(14日目)、および2050g(28日目)と増加した。低用量群は、2030g(0日目)、2060g(14日目)、および2090g(28日目)であった。また、高用量群は1880g(0日目)、1990g(14日目)、および2050g(2日目)であった。各群の体重の変化は、実質的な差が見られなかった。
【0056】
(採血と血液検査)
試験開始日の前日(0日目)、試験14日目、および28日目に、各産卵鶏の体重を測定した後、翼下静脈から採血(1mL)して各群ごとにまとめ、血清を分離し、0日、14日、および28日プール血清とした。血液検査項目は、肝機能の指標としてGOTとGPT、および脂質組成として中性脂質量と総コレステロール量を測定した。血液検査は(財)血液研究所に依頼した。その結果を表1および表2に示す。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】
血液検査結果
産卵鶏の血液検査で、肝機能を示すGOTやGPTの値は、各群とも0日の値と比較して、試験期間中に明らかな変化は見られなかった。一方、中性脂質および総コレステロールの値は、対照群が14日目にそれぞれ107%および108%、28日目に117%および114%と上昇したのに対し、低用量群では14日目にそれぞれ76%および87%、28日目に65%および68%と明らかに低下した。さらに、高用量群でも14日目がそれぞれ70%および69%、28日目には66%および51%と顕著に低下した。
【0060】
(産卵率)
採卵は試験開始日の前日から毎日行ない、各個体ごとの産卵記録を作成し、各群の一ヶ月間の産卵率を比較した。その結果、対照群が100%、低用量群が96%、および高用量群が98%で、各群ともに産卵率の実質的な差は見られなかった。
【0061】
(卵の分析)
試験開始14日目と28日目に採取した鶏卵を割卵して卵黄を分離し、各群ごとにまとめてプール卵黄試料とした。各群プール卵黄試料の分析は総脂質量、中性脂質量、およびコレステロール量の測定を行なった。各群プール卵黄試料の10gからBlight Dyer法で脂質の抽出を行ない、総脂質量の測定は重量法で、中性脂質量の測定は総脂質をクロロフォルムに溶解し、アルミナカラムに流し、非吸着画分(トリグリセライド)を中性脂質として重量法で測定した。また、コレステロール量の測定はベーリイガーマンハイム社の食品分析酵素法試薬(F キット:コレステロール)を用いて行なった。結果を表3に示す。
【0062】
【表3】
【0063】
卵の分析結果
通常、鶏卵卵黄の脂質は親鳥の血清脂質が移行することが知られている。産卵鶏へのアガリクス飲料水を用いた試験でも、産卵鶏の血清中の総脂質、特に中性脂質と総コレステロールの明らかな低下は、それらが産卵した卵の卵黄脂質組成に反映された。すなわち、試験開始14日と28日目のプール卵黄試料の脂質分析結果から、対照群(アガリクス無投与)の中性脂質量およびコレステロール量に対して、低用量群でそれぞれ85%および71%に、高用量群で65%および57%に低下した。
【0064】
実施例2 家禽用アガリクス飲料水を用いた産卵鶏の中規模飼育試験
180日齢の産卵鶏(ロードアイランドレッド種)を1群100羽づつ、3群設け、対照群およびアガリクス飲料水の10ppm投与群および100ppm投与群とした。試験の開始から2ヶ月間にわたり、対照群には水道水を、アガリクス飲料水投与群には、アガリクス抽出液を水道水で希釈し、該抽出液の調製に用いたアガリクス茸の乾燥重量換算で10ppmおよび100ppm含有してなる飲料水を自由飲水させて飼育した。なお、その間の飼料は採卵鶏用の標準飼料を自由摂取させた。試験期間中は毎日採卵し、各群から得られた卵数を記録した。試験開始の1ヶ月後(25−30日)、および2ヶ月後(55−60日)に産卵した各群の卵を用いて、卵質検査や卵黄成分の分析を行なった。なお、各群の各期間の卵から無作為に選んだそれぞれ10個の卵を試料とした。
【0065】
(飼料摂取量と産卵率)
試験期間中の平均飲水量および飼料摂取量は、対照群がそれぞれ201mL/羽および125g/羽、10ppm投与群ではそれぞれ210mL/羽および132g/羽、100ppm投与群では208mL/羽および128g/羽であり、各群に顕著な差は見られなかった。また、試験期間中の産卵率は、対照群94%、10ppm投与群が90%、100ppm投与群が92%と、いずれの群も90%以上の産卵率を示した。
【0066】
(卵質検査)
卵質検査として、卵殻強度、ハウユニット、卵黄色、卵黄係数、血卵率の測定を行った。卵殻強度は富士平工業(株)製の卵殻強度計FN597を用いて、ハウユニットおよび卵黄係数は富士平工業(株)製の卵質計(卵白高測定器FN596−1)と卵質測定台FN596−2を用いて測定した。卵黄色はエッグカラーファンの基準色と比較した。また、血卵率については、各群の各期間の卵から、それぞれ無作為に100個づつ、合計200個の卵を割卵し、血はんや肉はんの見られた卵数を調べた。
【0067】
卵殻強度、卵黄色
試験期間の1ヵ月後(25−30日)および2ヶ月後(55−60日)に産卵した各群の卵について、卵殻強度および卵黄色を比較した。その結果、卵殻強度(10個の平均値)は、対照群の4.52 kg/cm2(1ヶ月後)および4.64 kg/cm2(2ヶ月後)に対して、10ppm投与群ではそれぞれ4.49 kg/cm2および4.57 kg/cm2、100ppm投与群では4.38 kg/cm2および4.66 kg/cm2であった。また、卵黄色(10個の平均値)は、対照群の10.3(1ヶ月後)および10.1(2ヶ月後)に対して、10ppm投与群ではそれぞれ10.0および10.4、100ppm投与群では10.3および10.8であった。以上の結果、卵殻強度と卵黄色については、各群間や飼料採取時の違いによって、いずれの項目も顕著な差がなかった。
【0068】
ハウユニットと卵黄係数
次に試験期間の1ヶ月後(25−30日)および2ヶ月後(55−60日)に産卵した各群の卵について、ハウユニットおよび卵黄係数を比較した。その結果、ハウユニット(10個の平均値)は、対照群の77.8(1ヶ月後)および79.2(2ヶ月後)に対して、10ppm投与群ではそれぞれ86.5および85.9、100ppm投与群では93.6および93.8であった。また、卵黄係数(10個の平均値)は、対照群の41.5(1ヶ月後)および42.9(2ヶ月後)に対して、10ppm投与群ではそれぞれ37.8および36.1、100ppm投与群では35.4および36.1であった。以上の結果、アガリクス飲料水の10ppm投与群および100ppm投与群の産卵鶏が、アガリクスの投与量が多くなるほど、ハウユニットが高く、かつ卵黄係数が低い、より鮮度の高い卵を産卵する傾向があった。
【0069】
血卵率
今回の試験では、試験開始の1ヶ月後(25−30日)および2ヶ月後(55−60日)に産卵した各群の卵から、それぞれ無作為に100個づつ、合計200個の卵を割卵し、血はんや肉はんの見られた卵数を調べた。その結果、対照群の0.2%(1ヶ月後)および0.1%(2ヶ月後)に対して、10ppm投与群ではそれぞれ0.05%および0.05%、100ppm投与群では0%および0%であった。アガリクス飲料水の10ppm投与群および100ppm投与群の産卵鶏は、明らかに血はんや肉はんが少ない、高品質の卵を産卵することが示された。
【0070】
(卵白および卵黄の分析)
試験開始の1ヶ月後(25−30日)および2ヶ月後(55−60日)に産卵した各群の卵から、それぞれ無作為に10個づつ割卵し、卵白液と卵黄液とを分離し、それぞれをまとめて、プール卵白液およびプール卵黄液を調製して、卵白タンパク質および卵黄中の中性脂質、コレステロールの含有量、およびレチノールとトコフェロールの含有量を比較した。卵白タンパク質含有量はローリー法で測定した。また、卵黄液中の中性脂質含有量およびコレステロール含有量の測定は実施例1記載の方法に準じた。レチノールとトコフェロールの含有量の測定は高速液体クロマトグラフ法で行った。
【0071】
卵白タンパク質
卵白液100g中のタンパク質含有量は、対照群の10.5g(1ヶ月後)および10.3g(2ヶ月後)に対して、10ppm投与群ではそれぞれ12.8gおよび13.1g、100ppm投与群では13.5gおよび13.2gであった。アガリクス飲料水の10ppm投与群および100ppm投与群の産卵鶏の卵は、卵白中のタンパク質含有量が高い傾向が見られた。このことは、アガリクス投与産卵鶏はハウユニットが高い卵を産卵する結果と関係すると思われた。
【0072】
中性脂質とコレステロール
卵黄液100g中の中性脂質含有量は、対照群の20.4g(1ヶ月後)および21.7g(2ヶ月後)に対して、10ppm投与群ではそれぞれ18.6gおよび18.1g、100ppm投与群では17.9gおよび16.8gであった。また、コレステロール含有量は卵黄液100g当たり、対照群の1530mg(1ヶ月後)および1520mg(2ヶ月後)に対して、10ppm投与群ではそれぞれ1090mgおよび980mg、100ppm投与群では790mgおよび850mgであった。以上の結果、アガリクス飲料水の10ppm投与群および100ppm投与群の産卵鶏は、明らかに中性脂質含有量およびコレステロール含有量が低い卵を産卵することが示された。アガリクス投与産卵鶏は、実施例1の産卵鶏の血液性状の結果で示されたように、おそらく、アガリクスの投与量に伴い、血液中の中性脂質およびコレステロール含有量を低下させる効果を有し、それが、卵黄の脂質組成にも反映されるものと思われる。
【0073】
レチノールとトコフェロール
試験開始2ヶ月後(55−60日)に産卵した各群の卵から、それぞれ無作為に10個づづ選び、そのプール卵黄液中のレチノールと総トコフェロールの含有量を測定した。その結果、卵黄液100g当たりのレチノール含有量はビタミンA効力として、対照群の307国際単位(IU)に対し、10ppm投与群では600IU、100ppm投与群では630IUと明らかに高値を示した。一方、トコフェロール含有量については、卵黄液100g当たりの総トコフェロールとして、対照群の1.1mgに対し、10ppm投与群と100ppm投与群ではいずれも0.9mgと若干低値を示した。
【0074】
実施例3 家禽用アガリクス配合飼料を用いた産卵鶏の大規模飼育試験
150日齢の産卵鶏(白色レグホン種)を一群5000羽づつ、同一鶏舎内に2群設け、対照群は標準飼料で、試験群は標準飼料にアガリクス茸の乾燥粉末0.1%を配合した飼料で9ヶ月間飼育(水または水道水を自由飲水)した。そして、試験期間の飼育管理記録より、各群の平均飼料摂取量(1羽・1日)、平均産卵率、斃死羽数を比較した。また、試験開始から3ヶ月毎に、各群の卵を無作為に100個づつ採取し、割卵して血はんや肉はんの見られた卵数を調べた。なお、この血玉検査時に回収した卵黄を各群ごとにまとめて均質化し、卵黄中のコレステロール含有量を測定した。コレステロール含有量の測定にはベーリイガーマンハイム社の食品分析酵素法試薬(F キット:コレステロール)を用いた。さらに、試験開始6ヶ月後の卵を用いて茹で卵を調製し、その風味や食味を官能検査で調べた。
【0075】
飼育管理記録
9ヶ月間の飼育期間中で、平均飼料摂取量は、対照群の125gに対し試験群が122gであった。平均産卵率は、対照群の85.6%に対し試験群が88.7%であった。また、斃死数は対照群の30羽に対し試験群で0羽であった(ただし、1日令〜203日令、1000羽導入)。
【0076】
血卵率
試験開始の3ヶ月後、6ヶ月後、および9ヶ月後に産卵した各群の卵から、それぞれ無作為に100個づつ割卵し、血はんや肉はんの見られた卵数を調べた結果、対照群の0.2%(3ヶ月後)、0.2%(6ヶ月後)、および0.1%(9ヶ月後)に対して、試験群では、0.05%(3ヶ月後)、0.05%(6ヶ月後)、および0.02%(9ヶ月後)であった。アガリクス配合飼料投与群の産卵鶏は、明らかに血はんや肉はんが少ない、高品質の卵を産卵することが示された。
【0077】
コレステロール
試験開始の3ヶ月後、6ヶ月後、および9ヶ月後の各群の卵から、それぞれ無作為に100個づつ割卵して得られた各プール卵黄液中のコレステロール含有量を測定した。その結果、卵黄液100g中の総コレステロール含有量として、対照群の158mg(3ヶ月後)、162mg(6ヶ月後)、および154mg(9ヶ月後)に対して、試験群では、92mg(3ヶ月後)、87mg(6ヶ月後)、および95mg(9ヶ月後)であった。アガリクス配合飼料投与群の産卵鶏は、明らかに卵黄中のコレステロール含有量が少ない卵を産卵することが示された。
【0078】
(官能検査)
試験開始6ヶ月後の対照群および試験群が産卵した卵を用いて温泉卵(65−75℃で15分間加熱)を試作し、女子大学生30名をパネラーとする官能検査(2点比較法)を実施した。評価項目は、おいしさ(味)、風味(香り)の2項目とした。その結果、いずれの項目においても良好な評価結果が得られた。なお、同時に行なったアンケート調査の結果では、試験群の温泉卵の方が、生臭く無くコクがあるとの意見が多く見られた。
【0079】
【発明の効果】
本発明により、家畜、家禽、養殖魚介等の品質改善に優れた効果を発揮しうる、動物用飼料及び飲料水、動物飼育用剤、並びに動物の飼育方法、品質が改善された動物の肉及び卵、並びに該卵を用いて製造した風味、食感に優れた食品及び食品素材が提供される。
Claims (12)
- アガリクス及び/又はその処理物を含有してなる動物用飼料。
- ゼオライトをさらに含有してなる請求項1記載の飼料。
- 家禽用飼料である請求項1又は2記載の飼料。
- アガリクス及び/又はその処理物を含有してなる動物用飲料水。
- 家禽用飲料水である請求項4記載の飲料水。
- アガリクス及び/又はその処理物を含有してなる動物飼育用剤。
- ゼオライトをさらに含有してなる請求項6記載の飼育用剤。
- 請求項1〜3いずれかに記載の飼料、請求項4又は5に記載の飲料水、及び請求項6又は7に記載の飼育用剤からなる群より選ばれる少なくとも1種を動物に給与して飼育する動物の飼育方法。
- 動物が家禽である請求項8記載の飼育方法。
- 請求項8又は9に記載の飼育方法により飼育した動物の肉。
- 請求項9に記載の飼育方法により飼育した家禽が産生した卵。
- 請求項11に記載の卵を用いて製造した食品又は食品素材。
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2003
- 2003-04-22 JP JP2003117681A patent/JP2004321033A/ja active Pending
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