JP2004319300A - 電気化学デバイス及び電気化学エネルギー発生方法 - Google Patents

電気化学デバイス及び電気化学エネルギー発生方法 Download PDF

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Abstract

【課題】小型化でき、長期的に安定した使用が可能な電気化学デバイス及びこの電気化学デバイスを用いての電気化学エネルギー発生方法を提供すること。
【解決手段】第1極2と、第2極3と、これらの電極の間に挟持された電解質5とからなり、電解質5がMBH(Mはアルカリ金属原子)を含有するアルカリ溶液から構成され、第1極2に酸素含有ガス6を供給する手段を有している、電気化学デバイス1。電気化学デバイス1を使用して、第1極2に酸素含有ガス6を供給し、第2極3で発生した電子の供給下で酸素分子と電解質5中の水分子とを反応させて水酸イオンを生成し、この水酸イオンを電解質5を通して第2極3側へ移動させる工程と、第2極3側で、前記MBHと前記水酸イオンとを反応させて水を生成すると共に、第2極3から前記電子を取り出して第1極2と第2極3との間で電気化学エネルギーを取り出す工程とを有する、電気化学エネルギー発生方法。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気化学デバイス及び電気化学エネルギー発生方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
産業革命以後、自動車等の動力源としてはもちろん、電力発生など多岐にわたってガソリン、軽油などの化石燃料が用いられてきた。この化石燃料の利用により、人類は飛躍的な生活水準の向上や産業の発展を享受した。
【0003】
しかしながらその反面、地球は深刻な環境破壊の脅威にさらされ、さらに化石燃料の長期的安定供給にも疑問が投げかけられている。
【0004】
そこで化石燃料に代わる代替クリーンエネルギーとして、外部から燃料及び酸化剤を送り込み続けることによって連続的に電気化学エネルギーが得られる燃料電池が、その高効率と性能によって着目されている。
【0005】
燃料電池としては、アルカリ型、リン酸型、溶融炭酸塩型、固体電解質型、固体高分子型などがある。アルカリ水溶液を電解液として水素−酸素燃料電池反応を示すアルカリ型燃料電池は、低温作動型の低温電池としては高い発電効率を持つことが知られている。
【0006】
このアルカリ型燃料電池は、作動温度が50〜150℃と低温であり、一般的に、多孔質電極構成材である金属又は炭素からなる負極及び正極と、両極を隔てる電解液とで構成されるものであり、外部から負極(水素極)へ燃料水素ガスが、正極(酸素極)へ酸素がそれぞれ供給されるものである(例えば、後記の特許文献1参照。)。
【0007】
即ち、水素極では、供給された水素ガスが電極細孔内の反応点で電極に添加された触媒に吸着され活性な水素原子となり、この水素原子が同じ電極の反対側から細孔を通じて反応点に達した水酸イオンと反応して水となって1個の電子が電極へ送られる。
【0008】
一方、酸素極では、水素極で取り出された電子が外部回路を介して該電極に到達し、外部から供給されて電極細孔内の反応点に達して触媒に吸着された酸素分子が電極から2個の電子を受け取って電解液からの水と反応して過酸化水素イオンと水酸イオンを生成し、この過酸化水素イオンが分解して水酸イオンと酸素となる。酸素は再び電極反応に利用され、水酸イオンは先に水素極で消費された電解液中の水酸イオンを補充することとなり、電解液中を移動して水素極に達することで全体の回路を形成する。従って、電池全体では水素と酸素とから水が生成する反応が行われることとなる。
【0009】
【特許文献1】
特開2002−8706号公報(3頁4欄15〜38行目、図1)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のようなアルカリ型燃料電池においては、電解液中に炭酸ガスが入ると、水と反応して炭酸イオンが発生し、電極反応が妨げられるという問題が生じる。従って、従来からアルカリ型燃料電池においては、燃料ガスとして純粋な水素及び酸素ガスが各電極へ供給されることが必須であり、精製水素及び酸素ガスを供給するシステムの設置が必要とされてきた。
【0011】
従って、燃料電池の設置と共に、水素製造装置や精製装置、また、精製した水素を液体、気体状態で貯蔵する手段だけでなく、燃料ガスを管理及び調整するための周辺機器等も必要であり、実質的に可動可能な燃料電池システムではその大型化、複雑化の傾向は避けられず、またコストの増加等の問題を抱えている。
【0012】
また、このような燃料電池について輸送用若しくは携帯用に構成しようとすると、水素ガス改質器や水素吸蔵合金による水素貯蔵手段などを必要とし、実用的なものを実現するには非常に困難である。
【0013】
本発明は、上述したような問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、小型化でき、長期的に安定した使用が可能な電気化学デバイス及びこの電気化学デバイスを用いての電気化学エネルギー発生方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、第1極と、第2極と、これらの電極の間に挟持された電解質とからなり、前記電解質がMBH(Mはアルカリ金属原子である。)を含有するアルカリ溶液から構成され、前記第1極に酸化剤を供給する手段を有している、電気化学デバイスに係るものである。
【0015】
また、上記の本発明の電気化学デバイスを使用して、
前記第1極に前記酸素含有ガスを供給し、前記第2極で発生した電子の供給下で酸素分子と前記電解質中の水分子とを反応させて水酸イオンを生成し、この水酸イオンを前記電解質を通して前記第2極側へ移動させる工程と、
前記第2極の側で、前記MBHと前記水酸イオンとを反応させて水を生成すると共に、前記第2極から前記電子を取り出して前記第1極と前記第2極との間で電気化学エネルギーを取り出す工程と
を有する、電気化学エネルギー発生方法に係るものである。
【0016】
本発明の電気化学デバイス及び電気化学エネルギー発生方法によれば、前記電解質が前記MBHを含有する前記アルカリ溶液と、このアルカリ溶液を挟持する前記第1極及び前記第2極とから構成されているので、前記MBHを直接燃料として用いることができる。移動種は、従来例のような水素ガスから生成されるプロトン(H)ではなく、水酸イオン(OH)であり、下記の反応式に従って、水素ガスを用いずに高い電気化学エネルギーを取り出すことができる。下記の反応式によれば、理論電圧は1.64Vである。
【0017】
アノード側:MBH+8OH→MBO+6HO+8e(1.24V)
カソード側:2O+4HO+8e→8OH(0.40V)
全体反応:MBH+2O→2HO+MBO(1.64V)
【0018】
本発明において、前記アルカリ溶液は、電解質として機能すると同時に、前記MBHの安定化剤としての役割を有している。そして、前記アルカリ溶液と燃料としての前記MBHを液体で組み合わせているので、例えば生成水の管理が容易になり、生成水循環機構や貯蔵タンク等を特に必要としない。
【0019】
また、上記の反応式から明らかなように、電気化学反応において水素ガスの存在がないので、安全性の向上を図ることができ、例えば水素ガスの漏洩が防げる。
【0020】
また、従来例のように純粋な水素ガスの供給が必要ないので、水素製造装置、精製装置等を設置する必要がなくなり、電気化学デバイスの小型化、簡素化が実現できる。
【0021】
さらに、前記電解質がアルカリ性なので、前記第1極及び/又は前記第2極の触媒物質の選択が広がる。例えば、従来例では前記触媒物質として白金の利用が一般的であったのに対し、本発明は特に白金に限定されることはなく、マンガンやニッケル等を使用することができるので、コストの低減を図ることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明に基づく電気化学デバイスは、前記第1極と前記第2極とが触媒含有多孔性電極として容器内に対向配置され、前記第2極は、前記容器内の前記アルカリ溶液中に浸漬され、かつ前記第1極は、一方の面側で前記アルカリ溶液に接触すると共に、他方の面側で酸素含有ガスに接触することが望ましい。
【0023】
具体的には、前記第1極と前記第2極との間で電気化学エネルギーを取り出す燃料電池として構成されていることが好ましい。また、本発明に基づく電気化学デバイスは、前記電気化学エネルギーを前記電解質に貯蔵することが可能である。
【0024】
図1は、本発明に基づく電気化学デバイスを燃料電池として構成した一例の概略断面図である。
【0025】
図1に示すように、本発明に基づく電気化学デバイス1は、第1極2と第2極3とが触媒含有多孔性電極として容器4内に対向配置され、第2極3は、容器4内の前記MBHを含有したアルカリ溶液5中に浸漬され、かつ第1極2は、一方の面側でアルカリ溶液5に接触すると共に、他方の面側で酸素含有ガス6に接触している。
【0026】
この電気化学デバイス1を用いての本発明に基づく電気化学エネルギーの発生方法のメカニズムは、上記の反応式及び図2に示す通りである。
【0027】
即ち、第1極2の側に酸素含有ガス6が供給され、第2極3で発生した電子の供給下で酸素分子と前記MBHを含有したアルカリ溶液5中の水分子とが反応して水酸イオンを生成し、この水酸イオンが前記MBHを含有したアルカリ溶液5を通過して第2極3側へ移動する。そして、第2極3の側では、アルカリ溶液5中の前記MBHと前記水酸イオンとが反応して水を生成すると共に、第2極3から前記電子を取り出して第1極2と第2極3との間で電気化学エネルギーを取り出すことができる。
【0028】
本発明に基づく電気化学デバイス及び電気化学エネルギーの発生方法によれば、前記MBHが直接燃料として用いられ、移動種は、上記の反応式及び図2に示すように、水酸イオン(OH)であるので、水素ガスを用いずに高い電気化学エネルギーを取り出すことができる。
【0029】
本発明に基づく電気化学デバイスにおいて、前記アルカリ溶液が、KOH水溶液又はNaOH水溶液であることが望ましい。前記アルカリ溶液のアルカリ濃度としては、例えば1M程度であればよい。
【0030】
また、前記MBHのMはアルカリ金属原子であるが、例示するならばNaBH(ナトリウムボロンハイドライド)、KBH(カリウムボロンハイドライド)等が挙げられる。
【0031】
さらに、前記MBHの含有率は、例えば、前記MBHの水に対する溶解度で表すことが可能である。具体的には、前記MBHとして前記NaBHを用いた場合、室温における前記NaBHの水に対する溶解度が35.5重量%までであり、これ以上は不溶物が析出してしまい、また前記電解質の取り扱いを考慮すると、最高で20重量%程度と考えられ、例えば10〜20重量%であることが好ましい。
【0032】
直接燃料として用いられる前記NaBH等の前記MBHは、前記KOH水溶液又は前記NaOH水溶液等の前記アルカリ溶液中で安定した状態を維持することができる。従って、前記KOH水溶液又は前記NaOH水溶液等の前記アルカリ溶液は、電解質として機能すると同時に、前記MBHの安定化剤としての機能を有している。そして、前記KOH水溶液等の前記アルカリ溶液と、燃料としての前記NaBH等の前記MBHとを液体で組み合わせているので、生成水の管理が容易になり、生成水循環機構や貯蔵タンク等を特に必要としない。
【0033】
また、上記の反応式及び図2より明らかなように、上述した電気化学反応において水素ガスの存在がないので、安全性の向上を図ることができ、例えば水素ガスの漏洩を防ぐことができる。
【0034】
また、従来例のように純粋な水素ガスの供給が必要ないので、電気化学デバイスの小型化、簡素化が実現できる。
【0035】
図1に示すような本発明に基づく電気化学デバイス1において、電極2、3は、ニッケル等からなる多孔質体に触媒粉体が付着してなる触媒含有多孔性電極である。具体的には、カソード電極としての第1極2は、炭素粉体の表面にマンガン粒子を担持させた触媒粉体を、ニッケルからなる多孔質体にポリテトラフルオロエチレンを用いて結着させてなる(例えば、触媒粉体の面積密度は10mg/cmである。)触媒担持多孔質電極である。アノード電極としての第2極3は、炭素粉体の表面に白金粒子を担持させた触媒粉体を、ニッケルからなる多孔質体に結着させてなる(例えば触媒粉体の面積密度5mg/cmである。)触媒担持多孔質電極である。
【0036】
本発明に基づく電気化学エネルギーは、前記電解質がアルカリ性なので、上述したように前記触媒物質は白金等に限定されることはなく、マンガンやニッケル等を使用することができ、コストの低減を図ることができる。
【0037】
図3は、前記アルカリ溶液として1M KOH水溶液を用い、前記MBHとしてNaBHを用い(添加量は10重量%とした。)、室温にて経時による出力特性の変化を測定した結果である。
【0038】
本発明に基づく電気化学デバイスは、前記電解質が前記MBHを含有する前記アルカリ溶液と、このアルカリ溶液を挟持する前記第1極及び前記第2極とから構成されているので、前記MBHを直接燃料として用いることができ、移動種を水酸イオン(OH)とし、上記の反応式に従って、水素ガスを用いずに高い電気化学エネルギーを取り出すことができるが、図3(a)に示すように、反応が進むに伴って前記酸素含有ガスに含まれる炭酸ガスが前記電解質に悪影響を及ぼし、経時と共に出力電圧が低下する傾向にある。
【0039】
また、測定開始から約1250秒後には一時的に急激な出力電圧の低下が見られる。これは、電流値の上昇に伴い、電池内部の抵抗が上昇したためであり、この後再び出力の上昇が見られるのは、0Vを確認後、電圧を再び開放電圧(OCV)にもどしたためである。
【0040】
従って、上記したような炭酸ガスの影響による出力特性の低下を低減するために、本発明に基づく電気化学デバイスは、前記アルカリ溶液を攪拌する手段を有することが好ましい。
【0041】
図3(b)は、前記アルカリ溶液を攪拌しながら上記と同様にして出力特性の測定を行った場合の結果である。これによれば、経時による若干の出力電圧の低下は見られるものの、図3(a)に示すような急激な出力電圧の低下等は発生せず、安定した出力特性を得ることができた。
【0042】
前記攪拌手段としては特に限定されないが、例えば、プロペラ式の攪拌手段又はマグネティックスターラー等が好適に用いられる。
【0043】
また、本発明に基づく電気化学デバイスにおいて、前記アルカリ溶液が、下記一般式(1)又は(2)に示すようなスメクタイト等のアルカリ膨潤性粘土鉱物を含有していることが望ましい。
【0044】
一般式(1):スメクタイト理想構造
(Na、K、Ca、Mg)0.33(Al1.67Mg0.33)Si10(OH)
一般式(2):合成スメクタイト(コープケミカル社製)
Na0.33(Mg2.67Li0.33)Si10(OH)
【0045】
ここで、上記した粘土とは、極めて細粒の砕屑性堆積物の総称であり、可塑性、吸湿性を示し、赤熱すると固結する性質がある。一般に、粒径(ストークス則により求められる球相当直径)が2ミクロン以下の粒子の集合体として定義される。粘土は、それを構成する主要粘土鉱物の種類により、カオリナイト質粘土、モンモリロナイト質粘土(アタパルジャイト質粘土、ベントナイト、酸性白土)に分けられる。モンモリロナイトは水を吸って膨張する性質(膨潤性)と、ケイ酸四面体層の間にある陽イオンが交換される性質(陽イオン交換能)がある。この層間陽イオンがナトリウムの場合、著しく膨張するのに対して、カルシウムやマグネシウムの場合はあまり膨潤しない。前者からなる粘土をベントナイト、後者からなる粘土をアタパルシャイト質粘土と称する。層間陽イオンが水素の場合も非膨潤性であり、この粘土を酸性白土と称し、これは吸湿性、脱色性が強い(エネルギー・資源学会(編)(1997)、エネルギー・資源ハンドブック コンパクト版、オーム社1027−1034頁)。
【0046】
また、上記した膨潤(swelling)とは、固体物質が液体を取り込んで体積が増大する現象であり、結晶の層間に水や有機溶媒などが入って底面間隔が広がることが起因する。例えば、前記スメクタイトやバーミキュライトは、膨潤性を有する粘土鉱物として一般的に知られている。特に、スメクタイトを主成分とするベントナイトは世界各地に産し、膨潤性が著しい粘土として有名である。ベントナイトは多量の水を吸って体積が数倍から十数倍に膨れ、水中にわずか数%のベントナイトの粉末をいれてかき混ぜるだけでゼリー状になる。
【0047】
前記アルカリ溶液が、上記一般式(1)又は(2)に示すようなスメクタイト等の前記アルカリ膨潤性粘土鉱物を含有することにより、二酸化炭素等の炭酸ガスのガスバリア性が期待でき、より安定した出力特性が得られる。
【0048】
図4(a)は、前記アルカリ溶液として1M KOH水溶液を用い、前記MBHとしてNaBHを用い(添加量は10重量%とした。)、さらに前記アルカリ膨潤性粘土鉱物としての前記スメクタイトを0.5重量%添加し、前記アルカリ溶液を攪拌しながら室温にて経時による出力特性の変化を測定した結果である。なお、電流値を開放電圧→10mA→100mAと変化させた。
【0049】
図4(b)は、電流値を開放電圧→20mA→200mAと代えた以外は、上記の図4(a)と同様にして経時による出力特性の変化を測定した結果である。
【0050】
また、図5は、1M KOH水溶液と、前記MBHとしてのNaBH(10重量%)と、前記アルカリ膨潤性粘土鉱物としての前記スメクタイト(0.5重量%)とからなる前記アルカリ溶液を前記電解質として用いた場合と、前記スメクタイトを添加しない場合とについて、前記アルカリ溶液を攪拌しながら室温にて経時による出力特性の変化を測定し、安定性の評価を行ったグラフである。
【0051】
図4及び図5より明らかなように、前記アルカリ膨潤性粘土鉱物を含有する前記アルカリ溶液を用いたほうが、前記アルカリ膨潤性粘土鉱物を添加しない場合に比べて、経時による出力電圧の低下が小さく、より長時間にわたって安定した出力特性が得られることが分かる。また、図4より明らかなように、電流値が開放電圧、10mA、20mA、100mAにおいては、特に安定した電圧を示すことが確認できたが、電流値を200mAとした場合、急激な電圧の減少が起こった。これは、例えば電解質の劣化に起因するものと考えられる。
【0052】
図6は、前記アルカリ溶液としての1M KOH水溶液に前記MBHとしてのNaBHを20mg添加し、二酸化炭素(CO)を70ml/minで前記アルカリ溶液に直接バブリングしながら、前記アルカリ膨潤性粘土鉱物としての前記スメクタイトを添加した場合と非添加の場合とを比較して、室温にて経時による出力特性の変化を測定した結果である。
【0053】
図6より明らかなように、前記アルカリ膨潤性粘土鉱物を添加することにより、二酸化炭素等の炭酸ガスのガスバリア性が得られることが分かる。
【0054】
また、前記アルカリ膨潤性粘土鉱物の含有率は特に限定されないが、例えば0.5重量%以上、3重量%以下であればよい。前記アルカリ膨潤性粘土鉱物を添加することにより、前記アルカリ溶液をゲル化することができるが、ゲル化に必要な添加量が比較的少ないことが特徴である(例えば1〜3重量%)。ここで、前記アルカリ膨潤性粘土鉱物が0.5重量%未満の場合、前記アルカリ膨潤性粘土鉱物による上記したガスバリア性の効果が低下し易くなる。また、3重量%を超える場合、ゲル化が過剰に進行してしまい、攪拌による均一化の効果が低下し易くなる。
【0055】
さらに、前記NaBH等の前記MBHは強力な還元剤であるが、前記アルカリ膨潤性粘土鉱物は溶液時に作用を受け難いので本発明に好適である。また、前記膨潤性粘土鉱物を添加しても、ゲル化時にはアルカリ性(pH=11〜12)を示すので、前記MBHは前記アルカリ溶液中で安定な状態を保持することができる。
【0056】
図7は、前記アルカリ溶液として1M KOH水溶液を用い、前記MBHとしてのNaBHを20mg添加し、二酸化炭素(CO)を70ml/minで前記アルカリ溶液に直接バブリングしながら、前記アルカリ膨潤性粘土鉱物としての前記スメクタイトを添加した場合と非添加の場合とを比較して、室温にて経時による出力特性の変化を測定する(図6)と同時に、pH挙動の測定を行った結果である。
【0057】
図7より明らかなように、前記スメクタイトを添加しなかった場合は、測定開始から約4200秒後にはpH13.3が9.26まで低下した。これに対し、前記スメクタイトを添加した場合、測定開始時のpHは12.95であり、約5000秒後のpHは10.31までしか低下していなかった。
【0058】
また、スメクタイトを添加した場合、出力電圧が0mVになった測定開始から約5000秒後のpHが10.31であったのに対し、図7に示すように、前記スメクタイトを非添加の場合は、測定開始から約1750秒後で既にpHが10.71にまで低下した。
【0059】
また、前記アルカリ膨潤性粘土鉱物を加えると、伝導度の向上を図ることができる。さらに、前記スメクタイト等の前記アルカリ膨潤性粘土鉱物は、コストが安く、容易に入手することができる。
【0060】
従って、本発明の電気化学デバイスは、前記電解質がMBH(Mはアルカリ金属原子である。)を含有するアルカリ溶液から構成されることが重要であるが、前記アルカリ溶液が更に前記アルカリ膨潤性粘土鉱物を含有することが望ましい。これにより、より長時間にわたって安定した出力が得られる。
【0061】
また、前記アルカリ溶液が更に他の物質、例えば燃料としての前記MBHの安定化剤を更に含有していてもよい。
【0062】
【発明の作用効果】
本発明の電気化学デバイス及び電気化学エネルギー発生方法によれば、前記電解質が前記MBHを含有する前記アルカリ溶液と、このアルカリ溶液を挟持する前記第1極及び前記第2極とから構成されているので、前記MBHを直接燃料として用いることができる。移動種は水酸イオン(OH)であり、上記の反応式に従って、高い電気化学エネルギーを取り出すことができる。
【0063】
本発明において、前記アルカリ溶液は、電解質として機能すると同時に、前記MBHの安定化剤としての役割を有している。そして、前記アルカリ溶液と燃料としての前記MBHを液体で組み合わせているので、例えば生成水の管理が容易になり、生成水循環機構や貯蔵タンク等を特に必要としない。
【0064】
また、上記の反応式から明らかなように、電気化学反応において水素ガスの存在がないので、安全性の向上を図ることができ、例えば水素ガスの漏洩が防げる。
【0065】
また、従来例のように純粋な水素ガスの供給が必要ないので、水素製造装置、精製装置等を設置する必要がなくなり、電気化学デバイスの小型化、簡素化が実現できる。
【0066】
さらに、前記電解質がアルカリ性なので、前記第1極及び/又は前記第2極の触媒物質の選択が広がる。例えば、従来例では前記触媒物質として白金の利用が一般的であったのに対し、本発明は特に白金に限定されることはなく、マンガンやニッケル等を使用することができるので、コストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態による、電気化学デバイスの概略断面図である。
【図2】同、本発明に基づく電気化学エネルギー発生方法のメカニズムを示す模式図である。
【図3】同、本発明に基づく電気化学デバイスの時間と出力電圧の関係を示すグラフである。
【図4】同、アルカリ溶液にスメクタイトを添加した場合の電気化学デバイスの時間と出力特性の関係を示すグラフである。
【図5】同、アルカリ溶液にスメクタイトを添加した場合の電気化学デバイスの安定性の測定評価のグラフである。
【図6】同、アルカリ溶液にスメクタイトを添加した場合の電気化学デバイスの炭酸ガスによる影響を比較して示すグラフである。
【図7】同、アルカリ溶液にスメクタイトを添加した場合の電気化学デバイスのpH挙動を比較して示すグラフである。
【符号の説明】
1…電気化学デバイス、2…第1極、3…第2極、4…容器、5…MBH含有アルカリ溶液、6…酸素含有ガス

Claims (9)

  1. 第1極と、第2極と、これらの電極の間に挟持された電解質とからなり、前記電解質がMBH(Mはアルカリ金属原子である。)を含有するアルカリ溶液から構成され、前記第1極に酸化剤を供給する手段を有している、電気化学デバイス。
  2. 前記アルカリ溶液が、KOH水溶液又はNaOH水溶液である、請求項1に記載した電気化学デバイス。
  3. 前記アルカリ溶液を攪拌する手段を有する、請求項1に記載した電気化学デバイス。
  4. 前記アルカリ溶液が、アルカリ膨潤性粘土鉱物を含有している、請求項1に記載した電気化学デバイス。
  5. 前記第1極と前記第2極とが触媒含有多孔性電極として容器内に対向配置され、前記第2極は、前記容器内の前記アルカリ溶液中に浸漬され、かつ前記第1極は、一方の面側で前記アルカリ溶液に接触すると共に、他方の面側で酸素含有ガスに接触する、請求項1に記載した電気化学デバイス。
  6. 前記第1極と前記第2極との間で電気化学エネルギーを取り出す燃料電池として構成されている、請求項1に記載した電気化学デバイス。
  7. 前記電気化学エネルギーを前記電解質に貯蔵する、請求項6に記載した電気化学デバイス。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載した電気化学デバイスを使用して、
    前記第1極に前記酸素含有ガスを供給し、前記第2極で発生した電子の供給下で酸素分子と前記電解質中の水分子とを反応させて水酸イオンを生成し、この水酸イオンを前記電解質を通して前記第2極側へ移動させる工程と、
    前記第2極の側で、前記MBHと前記水酸イオンとを反応させて水を生成すると共に、前記第2極から前記電子を取り出して前記第1極と前記第2極との間で電気化学エネルギーを取り出す工程と
    を有する、電気化学エネルギー発生方法。
  9. 前記電気化学エネルギーを前記電解質に貯蔵する、請求項8に記載した電気化学エネルギー発生方法。
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