JP2004318425A - 画像処理方法、画像処理装置及びプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】可視光域の画像に対し十分な収差補正を行った画像読取装置であれば、赤外線域の画像に関し、若干の残存収差があっても、また、赤外線域の画像に若干の変動要因があっても、良好な傷、ゴミ補正の行える手法を提供する。また、赤外線域の画像と可視光域の画像に若干のずれが有っても、傷の、可視光域の画像に与える影響を適切に判断し、良好な補正結果を得るための手法を提供る。
【解決手段】本発明に係る画像処理装置2によれば、透過原稿スキャナ12により読み取られた画像原稿の可視画像、赤外画像を取得し、赤外画像の傷、ゴミ存在領域を決定し、これを拡張処理して可視画像の傷、ゴミ候補領域を決定する。次いで、この可視画像の傷、ゴミ候補領域に含まれる正常画素を除去し、傷、ゴミ領域を特定する。そして、特定された傷、ゴミ領域に対して補正処理または補正処理を施す。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明に係る画像処理装置2によれば、透過原稿スキャナ12により読み取られた画像原稿の可視画像、赤外画像を取得し、赤外画像の傷、ゴミ存在領域を決定し、これを拡張処理して可視画像の傷、ゴミ候補領域を決定する。次いで、この可視画像の傷、ゴミ候補領域に含まれる正常画素を除去し、傷、ゴミ領域を特定する。そして、特定された傷、ゴミ領域に対して補正処理または補正処理を施す。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、入力画像から画像欠陥を抽出して、補正または補間処理する画像処理を行い、出力画像を得る画像処理方法、画像処理装置及びそのプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、銀塩写真フィルムを用いて撮影、現像処理し、これをフィルムスキャナなどの画像読取装置で読み取り、デジタル画像として取得し、さまざまに利用するシステムが普及してきている。銀塩フィルムは非常に多くの情報量を有するため、これら画像読取装置は、微小な信号を確実に読み取る、非常に高い解像度を必要とする。
【0003】
一方、写真フィルムはその取り扱いの容易さから、TAC(トリアセチルセルロース)や、PET(ポリエチレンテレフタレート)などからなるフィルムベースに、おもにゼラチンをバインダーとした画像記録層が塗布されており、ゴミ、埃が付着しやすく、また、画像記録層、フィルムベースともに硬度が低いために傷つきやすい性質がある。
【0004】
このため、写真フィルムの扱いは慎重に行う必要があり、多くの工数がかかっていた。また、前述のように、非常に高い解像度を有する画像読取装置を用いて取得したデジタル画像には、微細な傷、ゴミも記録されてしまうため、傷、ゴミの記録された画像欠陥の修復には多大な労力を要していた。
【0005】
これら状況に鑑み、いくつかの解決策が検討され、提案されてきた。その主なものは、現在の写真フィルムの主流であるカラーフィルム等、色素画像で画像情報が形成される写真フィルムの特徴を利用し、赤外線を用いた手法である。
【0006】
これら手法の基本思想は、以下の考えに基づいている。写真フィルムの画像情報は、前述の通り、色素画像で形成されているが、これら色素は、その性質上、可視の特定波長の電磁波は吸収するものの、波長の長い赤外線はほとんど吸収しない。一方、傷、ゴミは、それら自体は無色の場合が多いが、これらには光を強く散乱する性質があり、これらが、画像結像系の途中に入ると散乱光が生じ、その分、画像情報として得られる信号強度が減少することとなる。この、傷、ゴミの影響は、可視光、赤外線の区分にかかわらずほぼ一様に現れるもののため、赤外線域の画像を観察すれば、傷、ゴミの位置、影響を識別できる、というものである。
【0007】
もちろん、例えば、特許文献1に記されているように、実際には、画像情報を形成する色素、特にシアン色素にも若干の赤外線吸収があるため、カラーフィルムの色分解の手法と同様に、赤外線域の画像の観察に先立って、これら色素の影響を減じる処理を行うのが普通である。
【0008】
特許文献2には、赤外線域の画像を用いて傷、ゴミを検知して、画像を正常画素と、異常画素とに区分し、異常画素を、近傍の最も近い正常画素のグループから補間する手法が述べられている。本手法によれば、傷領域を周辺領域から補間して埋め合わせることが出来るため、傷、ゴミを画面から消去できるとしている。また、特許文献3には、傷、ゴミの、赤外線域の画像に与える影響を検知して、相当分の補正を可視光域の画像に対して施し、さらに、前記影響が非常に大きい時には、特許文献2のような、補間法で処理するという手法が紹介されている。本手法によれば、傷、ゴミの存在する画素も、その影響が比較的軽微な箇所では、傷、ゴミの影響を補正する処理を行うので、補間法を用いる場合に比べ、画像情報量の減少が少ないとされている。
【0009】
【特許文献1】
特公平6−5914号公報
【特許文献2】
特開昭63−129469号公報
【特許文献3】
特許第2559970号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献2に記載の手法によれば、異常画素とされた領域は、正常画素とされた領域の画素情報からの補間で求められるため、本来の画像情報量が大きく減少してしまうという、大きな副作用が伴っていた。また、特許文献3に記載の手法によれば、傷、ゴミの与える影響の程度を主に赤外線域の画像を用いて求めているため、以下のような問題点が発生する。
【0011】
第1の問題点は、傷、ゴミの位置を、正確に検出する、より詳しくは、可視光域の画像と同一位置に検出する必要がある事である。フィルムスキャナは、光学レンズによる結像をCCD等のセンサで受光して画像情報を得るが、光学レンズには色収差が存在するため、赤外線域の画像から可視光域の画像まで、正確に同一位置に結像させることは非常に困難であり、また、実現できても、調整工数、コストの膨大なシステムになってしまう欠点があった。本欠点に関しては、特許文献2の手法でも問題となり、赤外線、可視光の結像位置のずれが若干でもあれば、補間が不可能になるか、補正不具合が生じ、あるいは、補間処理をする領域に余裕を持てば、補間が必要な範囲が大きくなり、画像の欠損がさらに大きくなる不具合が発生する。
【0012】
第2の問題点として、傷、ゴミの影響が、可視光域の画像、赤外線域の画像で相関して現れるとしているが、実際には相関しない状況が存在する。たとえば、ブローニーフィルムなど、フィルムベースが薄く、かつ、平面性の維持が困難なフィルムのスキャンに於いては、フィルムの平面性を確保する為、保持ガラスを用いる場合が多く、ガラスとフィルム面の間で光の干渉現象が生じ、ニュートンリングが発生する場合がある。これに対応し、ニュートンリングが発生しにくいよう、ガラス表面に微細な凹凸をつけた、アンチニュートンガラスが用いられるが、アンチニュートンガラスの効果は光の波長によって異なり、赤外線に関して考慮されていない(一般的には赤外線への考慮は無い)場合、赤外線域の画像についてのみニュートンリングが発生する場合があり、この赤外線域の画像に基づいて特許文献3の画像処理を行うと、処理結果にニュートンリングが現れてしまうという、致命的な不具合発生の可能性がある。
【0013】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、第1に、可視光域の画像に対し十分な収差補正を行った画像読取装置であれば、赤外線域の画像に関し、若干の残存収差があっても、また、赤外線域の画像に若干の変動要因があっても、良好な傷、ゴミ補正の行える手法を提供することにある。またさらに、赤外線域の画像と可視光域の画像に若干のずれが有っても、傷の、可視光域の画像に与える影響を適切に判断し、良好な補正結果を得るための手法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
入力画像に存在する画像欠陥を前記入力画像から抽出して、補正または補間処理する画像処理を行い、出力画像を得る画像処理方法において、
前記入力画像における欠陥存在領域を抽出する工程と、
前記抽出された欠陥存在領域を拡張して、前記入力画像上の欠陥候補領域を決定する工程と、
前記欠陥候補領域とその近傍領域の画像の情報を用いて、前記入力画像上の欠陥領域を特定する工程と、
を含むことを特徴としている。
【0015】
請求項13に記載の発明は、
入力画像に存在する画像欠陥を前記入力画像から抽出して、補正または補間処理する画像処理を行い、出力画像を得る画像処理装置において、
前記入力画像における欠陥存在領域を抽出する欠陥存在領域抽出手段と、
前記抽出された欠陥存在領域を拡張して、前記入力画像上の欠陥候補領域を決定する欠陥候補領域決定手段と、
前記欠陥候補領域とその近傍領域の画像の情報を用いて、前記入力画像上の欠陥領域を特定する欠陥領域特定手段と、
を備えたことを特徴としている。
【0016】
請求項25に記載の発明は、
入力画像に存在する画像欠陥を前記入力画像から抽出して、補正または補間処理する画像処理を行い、出力画像を得る画像処理装置を制御するためのコンピュータに、
前記入力画像における欠陥存在領域を抽出する機能と、
前記抽出された欠陥存在領域を拡張して、前記入力画像上の欠陥候補領域を決定する機能と、
前記欠陥候補領域とその近傍領域の画像の情報を用いて、前記入力画像上の欠陥領域を特定する機能と、
を実現させるためのプログラムであることを特徴としている。
【0017】
請求項1、13、25に記載の発明によれば、入力画像における欠陥存在領域を抽出し、抽出された欠陥存在領域を拡張して、入力画像上の欠陥候補領域を決定し、決定された欠陥候補領域とその近傍領域の画像の情報を用いて、入力画像上の欠陥領域を特定する。従って、抽出された欠陥の存在領域と可視光域の画像における欠陥領域に若干の位置的なずれがあった場合にも、可視光域の画像の欠陥領域を確実、正確に捉えることができるので、高性能な欠陥補正結果、欠陥補間結果が得られる。また、十分な精度を得るために処理量が増大しがちな、可視光域の画像を用いた欠陥領域の特定処理が、あらかじめ欠陥候補領域を定めて、その限定された領域で実施されるので、画像処理能力上も好ましい。
【0018】
請求項2に記載の発明は、
画像原稿の、赤外線域、可視光域の、少なくとも2種の波長帯域で取得された画像から画像欠陥を抽出して、補正または補間処理する画像処理を行い、出力画像を得る画像処理方法において、
前記赤外線域の画像を用いて、欠陥存在領域を抽出する工程と、
前記抽出された欠陥存在領域を拡張して、前記赤外線域の画像に対応する前記可視光域の画像上の欠陥候補領域を決定する工程と、
前記可視光域の画像上の前記欠陥候補領域とその近傍領域に存在する画像の情報を用いて、前記可視光域の画像上の欠陥領域を特定する工程と、
を含むことを特徴としている。
【0019】
請求項14に記載の発明は、
画像原稿の、赤外線域、可視光域の、少なくとも2種の波長帯域で取得された画像から画像欠陥を抽出して、補正または補間処理する画像処理を行い、出力画像を得る画像処理装置において、
前記赤外線域の画像を用いて、欠陥存在領域を抽出する欠陥存在領域抽出手段と、
前記抽出された欠陥存在領域を拡張して、前記赤外線域の画像に対応する前記可視光域の画像上の欠陥候補領域を決定する欠陥候補領域決定手段と、
前記可視光域の画像上の前記欠陥候補領域とその近傍領域に存在する画像の情報を用いて、前記可視光域の画像上の欠陥領域を特定する欠陥領域特定手段と、
を備えたことを特徴としている。
【0020】
請求項26に記載の発明は、
画像原稿の、赤外線域、可視光域の、少なくとも2種の波長帯域で取得された画像から画像欠陥を抽出して、補正または補間処理する画像処理を行い、出力画像を得る画像処理装置を制御するためのコンピュータに、
前記赤外線域の画像を用いて、欠陥存在領域を抽出する機能と、
前記抽出された欠陥存在領域を拡張して、前記赤外線域の画像に対応する前記可視光域の画像上の欠陥候補領域を決定する機能と、
前記可視光域の画像上の前記欠陥候補領域とその近傍領域に存在する画像の情報を用いて、前記可視光域の画像上の欠陥領域を特定する機能と、
を実現させるためのプログラムであることを特徴としている。
【0021】
請求項2、14、16に記載の発明によれば、赤外線域の画像を用いて、欠陥存在領域を抽出し、抽出された欠陥存在領域を拡張して、赤外線域の画像に対応する可視光域の画像上の欠陥候補領域を決定し、決定された可視光域の画像上の欠陥候補領域とその近傍領域に存在する画像の情報を用いて、可視光域の画像上の欠陥領域を特定する。従って、赤外線域の画像を用いる事で、簡単に欠陥の存在領域を抽出することが出来、さらに、赤外線域の画像と可視光域の画像に若干の位置的なずれがあった場合にも、可視光域の画像の欠陥領域を確実、正確に捉えることが出来、高性能な欠陥補正結果または欠陥補間結果が得られる。また、十分な精度を得るために処理量が増大しがちな、可視光域の画像を用いた欠陥領域の特定処理が、あらかじめ欠陥候補領域を定めて、その限定された領域で実施されるので、画像処理能力上も好ましい。
【0022】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、
前記欠陥候補領域の外に存在する画素を正常画素とし、前記欠陥候補領域内において前記正常画素と同等の信号値を有する画素を抽出して前記欠陥候補領域から除外することにより前記欠陥領域を特定する工程を含むことを特徴としている。
【0023】
請求項15に記載の発明は、請求項13又は14に記載の発明において、
前記欠陥領域特定手段は、前記欠陥候補領域の外に存在する画素を正常画素とし、前記欠陥候補領域内における前記正常画素と同等の信号値を有する画素を抽出して前記欠陥候補領域から除外することにより前記欠陥領域を特定することを特徴としている。
【0024】
請求項27に記載の発明は、請求項25又は26に記載の発明のプログラムにおいて、
前記コンピュータに、
前記欠陥候補領域の外に存在する画素を正常画素とし、前記欠陥候補領域内において前記正常画素と同等の信号値を有する画素を抽出して前記欠陥候補領域から除外することにより前記欠陥領域を特定する機能を実現させることを特徴としている。
【0025】
請求項3、15、27に記載の発明によれば、欠陥候補領域の外に存在する画素を正常画素とし、欠陥候補領域内において前記正常画素と同等の信号値を有する画素を抽出して欠陥候補領域から除外することにより欠陥領域を特定する。従って、画像上の欠陥領域を確実、正確に捉えることが出来、高性能な欠陥補正結果または欠陥補間結果が得られる。
【0026】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、
前記欠陥候補領域内の注目画素と、当該注目画素の周辺領域に存在する正常画素の信号値を比較し、その差分が、あらかじめ定められた閾値より小さい場合に、その注目画素を正常画素として抽出する工程を含むことを特徴としている。
【0027】
請求項16に記載の発明は、請求項15に記載の発明において、
前記欠陥領域特定手段は、前記欠陥候補領域内の注目画素と、当該注目画素の周辺領域に存在する正常画素の信号値を比較し、その差分が、あらかじめ定められた閾値より小さい場合に、その注目画素を正常画素として抽出することを特徴としている。
【0028】
請求項28に記載の発明は、請求項27に記載の発明のプログラムにおいて、
前記コンピュータに、
前記欠陥候補領域内の注目画素と、当該注目画素の周辺領域に存在する正常画素の信号値を比較し、その差分が、あらかじめ定められた閾値より小さい場合に、その注目画素を正常画素として抽出する機能を実現させることを特徴としている。
【0029】
請求項4、16、28に記載の発明によれば、欠陥候補領域内の注目画素と、注目画素の周辺領域に存在する正常画素の信号値を比較し、その差分が、あらかじめ定められた閾値より小さい場合に、その注目画素を正常画素として抽出する。従って、所定の閾値を用いることにより、効率的に正常画素の抽出作業を実施することができる。
【0030】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、
前記補正または補間処理された画像に、第2の閾値を用いてノイズ低減処理を行う工程を含み、
前記正常画素の抽出に用いる閾値は、前記第2の閾値に基づいて定められることを特徴としている。
【0031】
請求項17に記載の発明は、請求項16に記載の発明において、
前記補正または補間処理された画像に、第2の閾値を用いてノイズ低減処理を行うノイズ低減処理手段を備え、
前記欠陥領域特定手段が前記正常画素の抽出に用いる閾値は、前記第2の閾値に基づいて定められることを特徴としている。
【0032】
請求項29に記載の発明は、請求項28に記載の発明のプログラムにおいて、
前記コンピュータに、更に、
前記補正または補間処理された画像に、第2の閾値を用いてノイズ低減処理を行う機能と、
前記正常画素の抽出に用いる閾値は、前記第2の閾値に基づいて定める機能と、を実現させることを特徴としている。
【0033】
請求項5、17、29に記載の発明によれば、補正または補間処理された画像に、第2の閾値を用いてノイズ低減処理を行う場合に、第2の閾値に基づいて欠陥候補領域内の正常画素の抽出に用いる閾値を定める。従って、補正または補間処理後のノイズ低減処理で処理可能な程度の軽微な欠陥を画像欠陥領域から除外できるので、補正、または補間する領域を可能な限り少なくすることが出来る。
【0034】
請求項6に記載の発明は、
少なくとも3種類の色光に関する情報を有する画像について、前記画像を構成する各画素を正常画素と欠陥画素とに区分し、前記欠陥画素を、周辺の前記正常画素に基づいて補間する画像処理方法において、
前記各色光に対して、前記欠陥画素を中心として対向する正常画素の組を複数抽出する工程と、
前記抽出された正常画素の各組に関し、各色光の画素信号値の差分を取得し、各色光について前記取得された差分が最も小さかった組の対向方向を示す方向情報を求め、前記求められた各色光の方向情報に基づいて、前記補間処理に用いる正常画素の組を抽出する工程と、
を含むことを特徴としている。
【0035】
請求項18に記載の発明は、
少なくとも3種類の色光に関する情報を有する画像について、前記画像を構成する各画素を正常画素と欠陥画素とに区分し、前記欠陥画素を、周辺の前記正常画素に基づいて補間する画像処理装置において、
前記各色光に対して、前記欠陥画素を中心として対向する正常画素の組を複数抽出する正常対向画素抽出手段と、
前記抽出された正常画素の各組に関し、各色光の画素信号値の差分を取得し、各色光について前記取得された差分が最も小さかった組の対向方向を示す方向情報を求め、前記求められた各色光の方向情報に基づいて、前記補間処理に用いる正常画素の組を抽出する補間画素抽出手段と、
を備えたことを特徴としている。
【0036】
請求項30に記載の発明は、
少なくとも3種類の色光に関する情報を有する画像について、前記画像を構成する各画素を正常画素と欠陥画素とに区分し、前記欠陥画素を、周辺の前記正常画素に基づいて補間する画像処理装置を制御するためのコンピュータに、
前記各色光に対して、前記欠陥画素を中心として対向する正常画素の組を複数抽出する機能と、
前記抽出された正常画素の各組に関し、各色光の画素信号値の差分を取得し、各色光について前記取得された差分が最も小さかった組の対向方向を示す方向情報を求め、前記求められた各色光の方向情報に基づいて、前記補間処理に用いる正常画素の組を抽出する機能と、
を実現させるためのプログラムであることを特徴としている。
【0037】
請求項6、18、30に記載の発明によれば、画像を構成する少なくとも3種類各色光に対して、欠陥画素を中心として対向する正常画素の組を複数抽出し、抽出された正常画素の各組に関し、各色光の画素信号値の差分を取得し、各色光について取得された差分が最も小さかった組の対向方向を示す方向情報を求め、求められた各色光の方向情報に基づいて、補間処理に用いる正常画素の組を抽出する。従って、欠陥画素の画像情報が欠損している場合でも、周囲の画像情報に基づいて補間処理を行うことができるので、違和感の無い、自然な補間処理が実現できる。また、複数の色光を用いて補間に用いる組を選択できるので、ノイズの影響を受けにくい、好ましい補間結果が得られる。
【0038】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、
前記各色光の方向情報に加え、前記各色光の方向情報の確からしさを示す情報を取得し、前記各色光の方向情報及びその確からしさを示す情報に基づいて、前記補間処理に用いる正常画素の組を抽出する工程を含むことを特徴としている。
【0039】
請求項19に記載の発明は、請求項18に記載の発明において、
前記補間画素抽出手段は、前記各色光の方向情報に加え、前記各色光の方向情報の確からしさを示す情報を取得し、前記各色光の方向情報及びその確からしさを示す情報に基づいて、前記補間処理に用いる正常画素の組を抽出することを特徴としている。
【0040】
請求項31に記載の発明は、請求項30に記載の発明のプログラムにおいて、前記コンピュータに、
前記各色光の方向情報に加え、前記各色光の方向情報の確からしさを示す情報を取得し、前記各色光の方向情報及びその確からしさを示す情報に基づいて、前記補間処理に用いる正常画素の組を抽出する機能を実現させることを特徴としている。
【0041】
請求項7、19、31に記載の発明によれば、各色光の方向情報に加え、各色光の方向情報の確からしさを示す情報を取得し、各色光の方向情報及びその確からしさを示す情報に基づいて、補間処理に用いる正常画素の組を抽出する。従って、各色光の方向情報のみでなく、その方向情報の確からしさも用いて、補間処理に用いる画素を抽出する好ましい方向を決定できるので、より精度の高い補間結果を得ることができる。
【0042】
請求項8に記載の発明は、
画像原稿の、赤外線域と、可視光域の、少なくとも2種の波長帯域で取得された画像から画像欠陥を抽出して、補正または補間処理する画像処理を行い、出力画像を得る画像処理方法において、
前記赤外線域の画像上の欠陥存在領域を特定する工程と、
前記欠陥存在領域内の各画素について、前記赤外線域の信号値に基づいて画像信号補正値を算出する工程と、
前記可視光域の画像上の欠陥領域を特定する工程と、
前記可視光域の画像上の欠陥領域内の注目画素の近傍に存在する画素の前記画像信号補正値に基づいて、前記注目画素の欠陥補正値を算出する工程と、
を備えたことを特徴としている。
【0043】
請求項20に記載の発明は、
画像原稿の、赤外線域と、可視光域の、少なくとも2種の波長帯域で取得された画像から画像欠陥を抽出して、補正または補間処理する画像処理を行い、出力画像を得る画像処理装置において、
前記赤外線域の画像上の欠陥存在領域を特定する欠陥存在領域特定手段と、
前記欠陥存在領域内の各画素について、前記赤外線域の信号値に基づいて画像信号補正値を算出する画像信号補正値算出手段と、
前記可視光域の画像上の欠陥領域を特定する欠陥領域特定手段と、
前記可視光域の画像上の欠陥領域内の注目画素の近傍に存在する画素の前記画像信号補正値に基づいて、前記注目画素の欠陥補正値を算出する欠陥補正値算出手段と、
を備えたことを特徴としている。
【0044】
請求項32に記載の発明は、
画像原稿の、赤外線域と、可視光域の、少なくとも2種の波長帯域で取得された画像から画像欠陥を抽出して、補正または補間処理する画像処理を行い、出力画像を得る画像処理装置を制御するためのコンピュータに、
前記赤外線域の画像上の欠陥存在領域を特定する機能と、
前記欠陥存在領域内の各画素について、前記赤外線域の信号値に基づいて画像信号補正値を算出する機能と、
前記可視光域の画像上の欠陥領域を特定する機能と、
前記可視光域の画像上の欠陥領域内の注目画素の近傍に存在する画素の前記画像信号補正値に基づいて、前記注目画素の欠陥補正値を算出する機能と、
を実現させるためのプログラムであることを特徴としている。
【0045】
請求項8、20、32に記載の発明によれば、赤外線域の画像上の欠陥存在領域を特定し、欠陥存在領域内の各画素について、赤外線域の信号値に基づいて画像信号補正値を算出する。そして、可視光域の画像上の欠陥領域を特定し、可視光域の画像上の欠陥領域内の注目画素の近傍に存在する画素の画像信号補正値に基づいて、注目画素の欠陥補正値を算出する。従って、赤外線信号の減衰状況に応じた可視光域の画像の補正を行う場合において、可視光域、赤外線域の画像情報に若干のずれがあった場合にも、異常補正の無い、良好な画像補正結果が得られる。
【0046】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の発明において、
前記注目画素の近傍に存在する複数画素の前記画像信号補正値に基づいて、前記注目画素の欠陥補正値を算出することを特徴としている。
【0047】
請求項21に記載の発明は、請求項20に記載の発明において、
前記欠陥補正値算出手段は、前記注目画素の近傍に存在する複数画素の前記画像信号補正値に基づいて、前記注目画素の欠陥補正値を算出することを特徴としている。
【0048】
請求項33に記載の発明は、請求項32に記載の発明のプログラムにおいて、
前記コンピュータに、
前記注目画素の近傍に存在する複数画素の前記画像信号補正値に基づいて、前記注目画素の欠陥補正値を算出する機能を実現させることを特徴としている。
【0049】
請求項9、21、33に記載の発明によれば、注目画素の近傍に存在する複数画素の画像信号補正値に基づいて、注目画素の欠陥補正値を算出する。ここで、近傍に存在する欠陥のある画素同士は、多くの場合単一原因によるものであることから、欠陥部分の情報は、画像の情報そのものと比較して均質である。従って、近傍の複数画素の画像信号補正値に基づいて欠陥補正値を算出することにより、単一の画素から画像信号補正値を算出するよりノイズ成分の影響の少ない、より精度の高い欠陥補正値を得ることができる。
【0050】
請求項10に記載の発明は、
画像原稿の、赤外線域と、可視光域の、少なくとも2種の波長帯域の画像を読み取る画像読取装置により入力された画像に対して、前記赤外線域の画像の情報に基づいて画像処理を行い、出力画像を得る画像処理方法において、
前記赤外線域の画像に含まれる所定空間周波数帯域の情報を削除、または減衰するバンドカットフィルタを作用させ、さらに、ノイズ成分を軽減させるノイズフィルタを作用させて前記赤外線域の画像を補正する工程と、
当該補正された赤外線域の画像の情報に基づいて画像処理を施す工程と、
を含むことを特徴としている。
【0051】
請求項22に記載の発明は、
画像原稿の、赤外線域と、可視光域の、少なくとも2種の波長帯域の画像を読み取る画像読取装置により入力された画像に対して、前記赤外線域の画像の情報に基づいて画像処理を行い、出力画像を得る画像処理手段を備えた画像処理装置において、
前記画像処理手段は、前記赤外線域の画像に含まれる所定空間周波数帯域の情報を削除、または減衰するバンドカットフィルタを作用させ、さらに、ノイズ成分を軽減させるノイズフィルタを作用させて前記赤外線域の画像を補正し、当該補正された赤外線域の画像の情報に基づいて画像処理を施すことを特徴としている。
【0052】
請求項34に記載の発明は、
画像原稿の、赤外線域と、可視光域の、少なくとも2種の波長帯域の画像を読み取る画像読取装置により入力された画像に対して、前記赤外線域の画像の情報に基づいて画像処理を行い、出力画像を得る画像処理装置を制御するためのコンピュータに、
前記赤外線域の画像に含まれる所定空間周波数帯域の情報を削除、または減衰するバンドカットフィルタを作用させ、さらに、ノイズ成分を軽減させるノイズフィルタを作用させて前記赤外線域の画像を補正する機能と、
当該補正された赤外線域の画像の情報に基づいて画像処理を施す機能と、
を実現させるためのプログラムであることを特徴としている。
【0053】
請求項10、22、34に記載の発明によれば、赤外線域の画像に含まれる所定空間周波数帯域の情報を削除、または減衰するバンドカットフィルタを作用させ、さらに、ノイズ成分を軽減させるノイズフィルタを作用させて赤外線域の画像を補正し、補正された赤外線域の画像の情報に基づいて画像処理を施す。従って、例えば、画像読取装置の種類により赤外線域の画像に発生するニュートンリングやノイズ等の赤外線域の画像の情報の変動要因を良好に軽減できるので、これら変動要因に左右されない、良好な画像処理を行うことができる。
【0054】
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の発明において、
特性が異なる前記バンドカットフィルタを複数有し、前記画像読取装置の種別に基づいて、作用させるバンドカットフィルタを切り替える工程を含むことを特徴としている。
【0055】
請求項23に記載の発明は、請求項22に記載の発明において
前記画像処理手段は、特性が異なる前記バンドカットフィルタを複数有し、前記画像読取装置の種別に基づいて、作用させるバンドカットフィルタを切り替えることを特徴としている。
【0056】
請求項35に記載の発明は、請求項34に記載の発明のプログラムにおいて、
前記コンピュータに、更に、
特性が異なる前記バンドカットフィルタの中から、前記画像読取装置の種別に基づいて、作用させるバンドカットフィルタを切り替える機能を実現させることを特徴としている。
【0057】
請求項11、23、35に記載の発明によれば、特性が異なるバンドカットフィルタの中から、画像読取装置の種別に基づいて、作用させるバンドカットフィルタを切り替える。従って、画像読取装置の種別によって変化する赤外線域の画像の情報の変動要因に良好に対応することができる。
【0058】
請求項12に記載の発明は、
画像原稿の、赤外線域と、可視光域の、少なくとも2種の波長帯域で画像を取得し、取得された画像から、前記画像原稿の画像欠陥の影響を軽減する画像処理を行い、出力画像を得る画像処理方法において、
前記赤外線域の画像上の欠陥領域を特定する工程と、
前記赤外線域の欠陥領域と前記可視光域の画像を用いて、前記可視光域の画像上の欠陥領域を特定する工程と、
前記特定された赤外線域の画像上の欠陥領域及び前記特定された可視光域の画像上の欠陥領域から、前記赤外線域の画像と前記可視光域の画像の情報の位置的なずれ量を算出する工程と、
前記算出された位置ずれ量に基づいて、前記赤外線域の画像の情報を補正する工程と、
を含むことを特徴としている。
【0059】
請求項24に記載の発明は、
画像原稿の、赤外線域と、可視光域の、少なくとも2種の波長帯域で取得された画像から、前記画像原稿の画像欠陥の影響を軽減する画像処理を行い、出力画像を得る画像処理装置において、
前記赤外線域の画像上の欠陥領域を特定する赤外欠陥領域特定手段と、
前記赤外線域の欠陥領域と前記可視光域の画像を用いて、前記可視光域の画像上の欠陥領域を特定する可視欠陥領域特定手段と、
前記特定された赤外線域の画像上の欠陥領域及び前記特定された可視光域の画像上の欠陥領域から、前記赤外線域の画像と前記可視光域の画像の情報の位置的なずれ量を算出するずれ量算出手段と、
前記算出された位置ずれ量に基づいて、前記赤外線域の画像の情報を補正する赤外情報補正手段と、
を備えたことを特徴としている。
【0060】
請求項36に記載の発明は、
画像原稿の、赤外線域と、可視光域の、少なくとも2種の波長帯域で画像を取得し、取得された画像から、前記画像原稿の画像欠陥の影響を軽減する画像処理を行い、出力画像を得る画像処理装置を制御するためのコンピュータに、
前記赤外線域の画像上の欠陥領域を特定する機能と、
前記赤外線域の欠陥領域と前記可視光域の画像を用いて、前記可視光域の画像上の欠陥領域を特定する機能と、
前記特定された赤外線域の画像上の欠陥領域及び前記特定された可視光域の画像上の欠陥領域から、前記赤外線域の画像と前記可視光域の画像の情報の位置的なずれ量を算出する機能と、
前記算出された位置ずれ量に基づいて、前記赤外線域の画像の情報を補正する機能と、
を実現させるためのプログラムであることを特徴としている。
【0061】
請求項12、24、36に記載の発明によれば、赤外線域の画像上の欠陥領域を特定し、赤外線域の欠陥領域と可視光域の画像を用いて、可視光域の画像上の欠陥領域を特定し、特定された赤外線域の画像上の欠陥領域及び特定された可視光域の画像上の欠陥領域から、赤外線域の画像と可視光域の画像の情報の位置的なずれ量を算出し、算出された位置ずれ量に基づいて、赤外線域の画像の情報を補正する。従って、赤外線域の画像の情報を用いて可視光域の画像の欠陥を補正する際に、赤外線域の画像と可視光域の画像の情報に若干の位置的なずれがあった場合にも、可視域の画像に対して高性能な補正を行うことができる。
【0062】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
まず、構成を説明する。
図1に、本実施の形態における画像処理システム100の全体構成例を示す。図1に示すように、画像処理システム100は、画像取得部1、画像処理部2、指示入力部3、表示部4、画像ストレージ部5、銀塩露光プリンタ71、IJ(インクジェット)プリンタ72、画像書込部73等により構成されている。
【0063】
画像取得部1は、入力画像を取得する反射原稿スキャナ11、透過原稿スキャナ12、メディアドライバ13、情報通信I/F14を備えて構成されている。写真プリント、書画等を含む印刷物61等の画像原稿は、反射原稿スキャナ11により読み取られ、画像原稿としてのネガフィルム、ポジフィルム等の現像済みフィルム62は透過原稿スキャナ12(例えば、後述する透過原稿スキャナ12a、透過原稿スキャナ12b)により読み取られ、入力画像として取得される。また、DSC(デジタルスチルカメラ)等によりMO(magneto−optic)、CD−R(CD Recordable)、スマートメディアカードを始めとする各種メディアに記録された画像は、メディアドライバ13により取得される。インターネット、LAN等の通信手段64を通じて入力された画像は、情報通信I/F14により取得される。これらの画像取得部1各部で取得された入力画像は、画像処理部2に出力される。
【0064】
画像処理部2は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disc Drive)等を備え、CPUは、ROMやHDDに記憶されているプログラムとの協働によるソフトウエア処理により、画像取得部1により取得された入力画像に対して各種画像処理を施す。即ち、画像処理部2は、ポジフィルムやネガフィルム等の画像原稿から取得された入力画像に存在する画像欠陥の補正または補間処理を行う。ここで、画像欠陥とは、フィルム等の画像原稿についた傷、ゴミの付着に起因する欠陥である。また、画像処理部2は、表示部4に入力画像を表示するとともに、指示入力部3より各種指示情報を受け取り、これに基づいて、入力画像に対して、明るさ、色調調整、コントラスト調整、彩度調整、さらに、鮮鋭性、粒状性、の各調整処理、自動画像調整(覆い焼き的な処理や、露光アンダー補正、など)のレベル調整等の各種画像処理を施して出力画像を生成し、画像ストレージ部5、銀塩露光プリンタ71、IJプリンタ72、画像書込部73のうち、指定された出力先に出力する。このとき、出力画像に対して出力先に応じた色変換を行った後、出力する。
【0065】
指示入力部3は、表示部4の表示画面上を覆う透明電極を格子状に配置して構成された感圧式(抵抗膜圧式)の接触センサ31により、手指やタッチペン等で押下された力点のXY座標を電圧値で検出し、検出された位置信号を操作信号として画像処理部2に出力する。また、マウス32やカーソルキー、数字キー、機能キー等の各種キーを備えたキーボード33を備え、操作信号を画像処理部2に出力する。
【0066】
表示部4は、CRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)等によってなる表示画面を備え、画像処理部2から入力される表示信号の指示に従って画像を画面上に表示する。
【0067】
画像ストレージ部5は、HDD(Hard Disc Drive)、半導体の不揮発性メモリ等により構成され、出力画像を記憶する。
【0068】
図2に、本発明で好ましく利用することができる透過原稿スキャナ12aの構成例を示す。
赤外光を含む光源部121から発生した光は、拡散部材122で均質化され、フィルムキャリア123に保持されたフィルムに照射される。フィルムキャリア123は、フィルムを保持するとともにスキャニング時には、フィルムを等速度で搬送し、原稿の副走査搬送を行う。
【0069】
フィルムを透過した光は、光学レンズ124を通過し、CCDラインセンサ126に結像するが、その前にダイクロイックフィルタ125で分光され、青(B)、緑(G)、赤(R)、赤外(IR)の各色光が分離され、B信号がCCDラインセンサ126a、G信号がCCDラインセンサ126b、R信号がCCDラインセンサ126c、IR信号がCCDラインセンサ126dにそれぞれ結像、受光される。各受光信号はA/D変換器127a〜127dによりA/D変換され、デジタル画像信号値となって画像メモリ128に保存され、画像処理部2に送られる。
【0070】
図3に、特にブローニーフィルムなど、大サイズのフィルムを読み込む際に好ましく用いられる透過原稿スキャナ12bの構成例を示す。
なお、透過原稿スキャナ12bの構成は、上述した透過原稿スキャナ12aとフィルムキャリア123のフィルム保持方法と、フィルムの副走査方法が異なるだけで、他は同一であるので、相違点のみを説明する。
【0071】
フィルムは平面性を確保する為、圧着ガラス123aで狭持されている。圧着着ガラス123aに挟持されたフィルムはフィルムキャリア123に搭載され、フィルムキャリア123自体が、フィルムキャリア台座上を等速度で移動する事により、副走査が実行される。
【0072】
なお、フィルム押さえを工夫し、圧着ガラス123aを下側だけにしても平面性保持に有効である。圧着ガラス123aは並行平面の板ガラスでも良いが、対向するフィルム面の平滑性によっては、平滑面間の光の反射、干渉によってニュートンリングが発生することがある。そこで、ニュートンリング防止のために、アンチニュートンガラスを利用する事が好ましい。アンチニュートンガラスの効果は、光の波長が長くなるほど減少する傾向があり、アンチニュートン性の効果が弱い製品の場合は、赤外線についてのみ弱いニュートンリングが発生する場合がある。そのため、本発明に係る画像処理部2においては、赤外線域の画像の傷、ゴミの補正または補間に際して、ニュートンリングの影響を除去する処理を行う。詳細は後述する(図13参照)。
【0073】
次に、本発明の動作について説明する。
図4に、画像処理部2により実行される画像処理全体のフロー図を示す。なお、画像処理部2の動作は、画像処理部2に設けられたCPUと、画像処理部2内に設けられたROM等の記憶装置に記憶されているプログラムとの協働によるソフトウエア処理によって実現されるものである。
【0074】
透過原稿スキャナ12、反射原稿スキャナ11、メディアドライバ13、情報通信I/F14により取得された入力画像は、まず、それぞれの入力属性に応じた入力色変換が実施される。また、透過原稿スキャナ12、反射原稿スキャナ11により取得された入力画像に関しては、傷、ゴミに起因する画像欠陥を補正または補間する、傷、ゴミ処理が行われる(ステップS1)。入力色変換には、例えば、透過原稿スキャナ12においてフィルム透過光量をCCD126が受け取り、デジタル信号化した信号値を、視覚信号値や、光学濃度値等、画像信号として意味のある単位系へと変換する機能や、各々の分光特性に応じて表現されている色調を、標準的な色空間に整合させる処理が含まれる。
【0075】
次に、画像判定、色明るさ調整が実施される(ステップS2)。これは、取得された画像が、目的にそぐわない明るさ、色調を有している場合に、以降のユーザー調整が簡単に実施できるよう、あらかじめ正解に近い階調調整量を自動的に求め、求められた自動調整量に基づいて、色、明るさ、コントラスト調整を画像に施すステップである。
【0076】
ステップS2において色、明るさ、コントラスト調整が施された画像は、表示部4に表示される(ステップS3)。指示入力部3により評価OKが入力されず(ステップS4;NO)、さらに調整が必要な場合は、処理はステップS2に戻り、指示入力部3による追加調整指示に基づいて、再度、前述自動調整分と、追加調整分の、色、明るさ、コントラスト調整が画像に施され、表示部4に表示される。以上の処理を繰り返し、指示入力部3により評価OKが入力されると(ステップS4;YES)、処理はステップS5へ移行する。
【0077】
色、明るさ、コントラスト調整が施された画像は、必要に応じて画像の拡大/縮小処理(ステップS5)、ノイズ低減処理(ステップS6)、鮮鋭性強調処理(ステップS7)、画像回転、貼り付け合成処理(ステップS8)等が施される。最後に、各種画像処理の施された画像は、銀塩露光プリンタ71、IJプリンタ72、各種画像記録メディア等の出力機器の有する色空間に階調変換処理が施され(ステップS9)、それぞれの出力機器に転送される(ステップS10)。
【0078】
また、前述の画像の拡大/縮小、ノイズ低減処理、画像回転、貼り付け合成処理等は、その処理の内容に応じては、処理ステップの順序が異なるが、本発明の趣旨の説明には影響ないため、特に他の例は記載しない。
【0079】
図5に、透過原稿スキャナ12、反射原稿スキャナ11により取得された画像が入力された際に図4のステップS1で実行される傷、ゴミ処理を概略化したフロー図を示す。
まず、画像メモリ128から可視光域の信号(B信号、G信号、R信号)により構成される可視光域の画像(青(B)画像、緑(G)画像、赤(R)画像;以下、本実施の形態において、可視画像と称する)、赤外線域の信号(IR信号)により構成される赤外線域の画像(以下、本実施の形態において、赤外画像と称する)がそれぞれ取得され(ステップS11)、赤外画像に対してマスキング処理が行われる(ステップS12)。
【0080】
図6に、赤外画像補正処理(マスキング処理)のフロー図を示す。このマスキング処理は、赤外画像に、可視画像、特に赤画像を形成するC(シアン)色素が赤外画像にも若干の影響を与える分を消去する計算処理である。
まず、赤外画像と可視画像のうちの赤画像の画像相関が計算される(ステップS201)。即ち、赤外画像の各部において、赤画像がどのような信号値であるかの相関が計算される。次いで、計算された画像相関に基づいて補正定数が算出され(ステップS202)、算出された補正定数を赤画像に乗算して赤外画像から差し引くことにより、赤外画像が補正される(ステップS203)。
【0081】
図5に戻り、マスキング処理された赤外画像から赤外画像の傷、ゴミ存在領域が抽出され、これに基づいて、傷、ゴミ候補領域が決定され(ステップS13)、この傷、ゴミ候補領域に基づいて可視画像における傷、ゴミ領域が特定され(ステップS14)、特定された領域に対して傷、ゴミ補正処理または傷、ゴミ補間処理が施される(ステップS15)。
【0082】
ここで、傷、ゴミ領域の処理の方法には、大きく分けて、2つの手法が一般に知られている。一つは、傷、ゴミ領域は、傷、ゴミの影響を受けて画像信号が減衰などの影響を受けており、この影響分を補正する考えに基づいており、本発明ではこれを補正処理とする。もう一つの例は、傷、ゴミの影響を受けて画像信号が欠損した領域を、周囲の情報を利用して復元を試みるものであり、本発明ではこれを補間処理とする。
【0083】
図7は、赤外画像により、傷、ゴミ情報が抽出される理論を簡単に図式化したものである。図7に示すように、画像を構成する色素はそれぞれ強く吸収する可視信号を持つが、赤外信号は強く吸収しない。一方、傷、ゴミは、可視信号、赤外信号ともに吸収、または分散特性を有する為、赤外画像を観察する事で画像上の傷、ゴミの存在位置を抽出することが出来る。
【0084】
図8に、傷、ゴミ候補領域決定処理のフロー図を示す。図8に示す傷、ゴミ候補領域決定処理は、透過原稿スキャナ12により取得され、入力色変換が行われた画像から傷、ゴミ候補領域を決定するための処理であり、図5のステップS11〜13に相当する処理である。
【0085】
まず、画像メモリ128から可視画像、赤外画像がそれぞれ取得され(ステップS21)、赤外画像に対して、図6の赤外画像補正処理(マスキング処理)が行われる(ステップS22)。次いで、補正された赤外画像をもとに、赤外基準データが作成され(ステップS23)、赤外基準データと補正された赤外画像を元に、赤外差分データが作成される(ステップS24)。ここで、赤外基準データは、赤外画像に傷、ごみ等の欠陥が存在しなかった場合に得られるであろう赤外画像信号値のことで、例えば、補正された赤外画像に強い平滑化フィルタをかけることにより作成される。赤外差分データは、ステップS22において作成された補正された赤外画像の信号値から赤外基準データを差し引いたものであり、傷、ゴミ等の欠陥が各画素に及ぼす影響を示すデータである。
【0086】
次いで、赤外差分データは、適当な閾値により、信号2値化され(ステップS25)、ノイズ処理が施される(ステップS26)。ノイズ処理は平滑化フィルタを用い、平滑化後、信号値を再2値化すればよい。更に、信号2値化前に、たとえば特開2002−262094記載の、可視画像に採用されるような各種ノイズフィルタが利用でき、フィルタ処理後、2値化処理する手法が採用できる。このように、赤外画像から赤外差分データが作成され、更に信号2値化、ノイズ処理が行われることにより、傷、ゴミの存在する傷、ゴミ存在領域が抽出される。
【0087】
ここで、代表的な空間周波数帯域フィルタについて、簡単に説明する。
< 空間周波数帯域フィルタの簡単な例 >
画像の番号付けを、下記の〔表1〕のように行う。
【表1】
【0088】
(鮮鋭性強調、あるいは平滑化フィルタ)
・中央部5*5画素の情報を用いて、下記の計算結果を得る
FP1 = FP1/divdat
但し、fildat[1]〜[7]は、所定の定数
・FP1に、下記の制限を設ける
FP1>0 かつ FP1<閾値F :FP1=0
〃 かつ FP1≧閾値F :FP1=FP1−閾値F
FP1<0 かつ −FP1<閾値F :FP1=0
〃 かつ −FP1≧閾値F :FP1=FP1+閾値F
FP1>0 かつ FP1>上側制限値 :FP1=上側制限値
FP1<0 かつ FP1<下側制限値 :FP1=下側制限値
・下記の式で、新たな中央画素値、p55’を得る
p55’ = p55 + FP1
【0089】
この処理例は、銀塩フィルムからの画像に対する画像処理で特に好ましい処理例で、5*5画素のエッジ強調フィルタの実施例である。divdatを大きくすることによって鮮鋭性強調フィルタの効きが弱くなり、小さくすることによって、鮮鋭性強調フィルタの効きが強くなる。上側制限値、下側制限値を小さく設定すると、ごま塩(独立点の)ノイズが極端に強調される不具合を軽減し、滑らかな調子再現が得られ、制限値を大きく、または制限を設けなければ、自然なエッジ強調効果が得られる。
【0090】
また、fildatの値を変えることにより、平滑化フィルタとしても機能する。
閾値の設定が必要ない場合は、下記の式が利用可能で、平滑化フィルタが簡単に設計できる。
・中央部5*5画素の情報を用いて、下記の計算結果を得、新たな中央画素値、p55’を得る
FP1 = FP1/divdat
但し、fildat[1]〜[7]は、所定の定数
これら各種パラメータを補正量として定義することが出来、目的に応じ、領域ごとに変更可能である。
【0091】
(バンドカットフィルタ)
・9*9画素の画像を用いて、下記の計算結果を得る
・下記の式で、新たな中央画素値、p55’を得る
p55’ = p55 + FP2
この処理例は、9*9画素の、バンドカットフィルタの実施例である。閾値2を大きくすると、ターゲットとなる空間周波数帯域の信号除去効果が大きくなり、信号の低周波変動が強く押さえられる。これら各種パラメータを補正量として定義することが出来、また、周辺データの参照範囲を変えて特性の調整が出来、領域ごと、あるいは機種ごとに変更可能である。
【0092】
< ノイズフィルタの例>
・本実施例では、ノイズ処理に利用するノイズフィルタの別の一例として、モルフォロジー処理の一形態として知られている、収縮処理(エロージョン、クロージング。以下、クロージングと称する。)を実施し、孤立点の除去を行う方法を利用することができる。また、前述のノイズフィルタの例としては、以下のようなものがある。画像の番号付けを、下記の〔表2〕のように行う。
【表2】
【0093】
・X方向に付いて、一番内側の組み合わせについて、
計算式 : abs(X1’+X1 − 2*P)< 閾値
を満たす場合、X1、X1’を平均化するデータ群に加える
・一つ外側、その次・・と、上記判定式が成り立たなくなるところまで、または、あらかじめ初期値として指定された最大半径(たとえば4画素)まで繰り返す
・Y方向についても同様に繰り返す
・データ群に加えられたデータと、中央画素Pとの単純平均を求め、新しい中央画素P’とする
上記方式で、閾値を大きく設定すると、ノイズ除去効果が大きくなり、一方、細かなディテールは消えてしまう場合がある。また、「あらかじめ初期値として指定された最大半径」を切り替えると、どの程度の大きさのノイズまで除去できるかが、変化する。この例では上記の2つのパラメータがあり、領域ごとに設定値を変えることが出来る。
【0094】
図8に戻り、信号2値化、ノイズ処理された、傷、ゴミ存在領域を示す赤外差分データにおいて、傷、ゴミ存在領域を拡張する傷、ゴミ領域拡張処理が行われる(ステップS27)。傷、ゴミ領域拡張処理は、モルフォロジー処理の一形態として知られている、膨張処理(ダイレーション、オープニング。以下、オープニング処理と称する。)を必要量実施する。あるいは前述のノイズフィルタとして、平滑化フィルタや、類似のノイズフィルタを利用した場合は、信号値の再2値化の際、傷、ゴミ領域と判断されやすいように閾値の調整を行っても、傷、ゴミ領域拡張処理は可能である。そして、拡張された領域を傷、ゴミ候補領域、その他の領域に存在する画素を正常画素とし(ステップS28)、本処理は終了する。
【0095】
上述したゴミ候補領域決定処理により、赤外画像に基づいて、対応する可視画像の傷、ゴミ候補領域が決定される。
【0096】
次に、図9を参照して、可視画像において、傷、ゴミ候補領域から傷、ゴミ候補領域に存在する正常画素を抽出して除外する、傷、ゴミ領域特定処理について説明する。この処理は、図5のステップS14に相当する処理である。
【0097】
まず、画像メモリ128から可視画像が取得され(ステップS31)、注目画素が抽出される(ステップS32)。次いで、抽出された注目画素が傷、ゴミ候補領域に所属しているか否かが判断される(ステップS33)。
【0098】
注目画素が傷、ゴミ候補領域に所属している場合(ステップS33;YES)、その近傍領域の正常画素が抽出され(ステップS34)、注目画素と近傍の正常画素との関連が評価される(ステップS35)。注目画素と近傍の正常画素との関連性が高いと評価された場合は(ステップS36;YES)、当該注目画素は正常画素とされる(ステップS38)。注目画素と近傍の正常画素との関連性が高くないと評価された場合は(ステップS36;NO)、当該注目画素は傷、ゴミ領域の画素、即ち欠陥画素とされる(ステップS37)。注目画素と、近傍正常画素との関連評価は様々なものが考えられるが、例えば、近傍の正常画素と、注目画素との信号値の差分の絶対値が、所定閾値内に収まる画素を抽出し、その数が所定数以上存在すれば正常画素とすることが出来る。
【0099】
前記所定閾値は固定値でも良いが、例えば、傷、ゴミ処理の画像処理後、画像処理後段にノイズフィルタでノイズ低減処理を施す場合、その強度(前述のノイズフィルタのように、ノイズフィルタが閾値を保持している場合は、その閾値の大きさ)に応じて決定しても良い。このようにすると、微小な傷の影響は後段のノイズフィルタが消去するので、傷、ゴミ処理をここで掛ける必要は無く、傷、ゴミ処理が必要な領域を最低限に押さえる事が出来、画像処理能力が向上する。
【0100】
正常画素或いは傷、ゴミ領域の画素と決定された後、全画素についてステップS32〜38の処理が終了したか否かが判断され(ステップS39)、全画素について終了していない場合は、次の画素の評価へ移行し(ステップS40)、ステップS32〜S39が繰り返し実行される。全画素について処理が終了した場合は(ステップ39;YES)、本処理は終了する。
【0101】
なお、本フローに於いて、傷、ゴミ候補領域の決定法は1方法に限られるものではない。前述の赤外画像を用いて傷、ゴミ候補領域を決定する方法(図8参照)のほかに、反射原稿スキャナ11で、表面反射画像を採取し、その表面不連続性から求めても良い。上記手法を行う反射原稿スキャナ11については後述する(図18参照)。その他、透過原稿の場合に、照射光源の光質を切り替えて、例えば透過光と、反射光、あるいは、フィルムに概平行光束を照射する集光光源と、拡散ボックスを利用して、柔らかな光をフィルムに当てる拡散光源を交互に切り替え、画像採取して、その差から、検出しても良い。
【0102】
上述した傷、ゴミ領域特定処理により、可視画像の傷、ゴミ領域が求められるので、求められた傷、ゴミ領域を用いて、後述する傷、ゴミ補正処理や傷、ゴミ補間処理を行うことができる。
【0103】
ここで、赤外画像と可視画像には、光学レンズ124の色収差等により、若干ずれが生じる。そこで、本発明はさらに、図8や図9の手法を応用することによって、赤外画像と可視画像の情報の位置合わせが可能な手法を提供する。
【0104】
図10に、傷、ゴミ補正処理Aのフロー図を示す。本処理は、図5で概略説明した傷、ゴミ処理の応用例であり、図8、図9の手法を用いて赤外画像、可視画像の傷、ゴミ領域を特定し、赤外画像、可視画像のずれ量を推定し、赤外画像と可視画像の情報の位置合わせ後、傷、ゴミ補正を行うものである。
【0105】
まず、画像メモリ128から赤外画像、可視画像がそれぞれ取得され(ステップS41)、赤外画像について図8のステップS22〜24の処理を行うことにより、赤外差分データが作成される(ステップ42)。次いで、作成された赤外差分データが適当な閾値により信号2値化され、ノイズ処理されることにより、赤外画像の傷、ゴミ領域が特定される(ステップS43)。
【0106】
赤外画像における傷、ゴミ領域特定後、図8のステップS27と同様の処理により、特定された領域が拡張処理され、傷、ゴミ候補領域が決定され(ステップS44)、この傷、ゴミ候補領域を用いて図9の傷、ゴミ領域特定処理を行うことにより、可視画像の傷、ゴミ領域が特定される(ステップS45)。
【0107】
赤外画像の傷、ゴミ領域特定後、赤外画像の各傷、ゴミ領域の領域重心座標が算出される(第1重心とする)(ステップS46)。また、可視画像の傷、ゴミ領域特定後、可視画像の各傷、ゴミ領域の領域重心座標が算出される(第2重心とする)(ステップS47)。図11に赤外画像の傷、ゴミ領域と可視画像の傷、ゴミ領域及び第1重心、第2重心の一例を示す。算出された第1重心、第2重心の位置の差から、傷、ごみ領域の赤外、可視画像間の情報の位置的なずれ量が算出される(ステップS48)。算出されたずれ量は、ずれ量データとして、対応する可視又は赤外画像の座標位置のデータに対応付けてRAMに記憶される(ステップS49)。そして、記憶されたずれ量データ、座標位置に基づいて、ずれ量マップが作成され(ステップS50)、作成されたずれ量マップに基づいて赤外画像の情報が補正される(ステップS51)。
【0108】
図12(a)にずれ量マップの一例を示す。ずれ量マップは、図12(a)に示すように、各傷、ゴミ領域については、その重心位置のずれ量が求められるのみである。近傍にいくつかの傷、ゴミ領域がある場合は、図示のとおり、それぞれの傷、ゴミ領域の重心位置に、おのおののずれ量が設定される。実際の傷、ゴミ領域は、重心とは異なる位置に存在する場合がほとんどなので、重心位置以外の傷、ゴミ領域の画素のずれ量を推定する必要がある。
【0109】
ずれ量推定の手法としては、例えば、ずれ量を求めたい画素の近傍にあるずれ量データを探し、複数見つかった場合は、それらのずれ量に、当該画素から、おのおののずれ量が設定されている重心位置までの距離に応じた重み付け平均処理を施してずれ量を求めればよく、もし、近傍に1つしかずれ量データが見つからない場合は、そのずれ量を用いることで推定される。ステップS51においては、上述の手法等を用いて傷、ゴミ領域内の各画素のずれ量が推定され、推定されたずれ量に基づいて、赤外画像において、可視画像との位置的なずれが補正される。
【0110】
赤外画像の、可視画像との位置的なずれが補正された後、この補正された赤外画像を用いて傷、ゴミ補正処理が実施される(ステップS52)。
【0111】
ここで、第1重心と第2重心の重心位置の差が、赤外、可視間の画像ずれ量となるが、領域には複数の画素が含まれている為、その重心位置は、画素単位量より高い計算精度を有するため、例えば、0.5画素といったずれ量も計算できる。このような微小なずれ量の参照は、赤外画像を、一般に拡大、縮小、回転に用いられる画像補間手法を用いて補正してかまわない。
【0112】
また、図12(a)のずれ量マップに示すように、ずれ量データは、画像内に散在して求められるのが普通である。すなわち、図12(b)に示すように、画像上にはずれ量データが近傍に存在しない領域が大きく存在するが、ここはもともと傷、ゴミが実質的な影響を及ぼしていない領域である為、ずれ量算定の意味はない。
【0113】
上述した傷、ゴミ補正処理Aで用いた本発明の画像ずれ量算出方法は、実際に処理する可視画像そのものから、赤外画像との情報の位置的なずれ量を算出できるので、特に、画像内の位置によって、ずれ量が若干変動してしまう場合に於いても、あらかじめ求めた規定値を用いるより好ましい補正が可能となる。あらかじめ求めた規定値で大まかな位置補正を行い、その後、本発明の手法を用いることも、もちろん好ましい。
【0114】
なお、ずれ量の計算は、大体のずれ方向(前記のように、ずれ量が予測できない方向)がわかっていれば、上述した重心を用いる以外の手法を用いる事が出来る。例えば、図11のように赤外画像と可視画像の傷、ゴミ領域がずれている場合、このずれ方向(左上がり)にいくつかの線分を引き、可視、赤外、各々の傷、ゴミ領域の開始点、終了点を求め、この中心位置から、ずれ量を求めることができる。この場合、領域形態によっては、ずれ量算出結果に誤差が出る可能性が高い為、近傍領域で複数のずれ量を算出し、この平均(あるいは、統計的に異常データを排除した上で平均を取る)を用いると良い。
【0115】
実際には、上記ずれ量が予測できない方向は、たとえばフィルムスキャナの機構によって、主、副どちらかの走査方向である場合が多い。例えば、BGR、及びIRのラインCCDを平行に並べ(この、ラインCCDの素子配列方向を主走査とする)、フィルムをこれと直行する方向に等速移動してスキャンする場合、フィルムの移動速度の変動が、画像の副走査方向のずれとして現れ、この量は、ある程度上の精度を得ようとすると、予測不可能、あるいは非常に困難となる。
【0116】
図13に、傷、ゴミ補正処理Bのフロー図を示す。本処理は、図5で概略説明した傷、ゴミ処理の応用例であり、傷、ゴミ補正処理の過程で、透過原稿スキャナ12の種類やフィルムスキャナ種に応じて、画像に含まれる所定の空間周波数帯域の情報を削除または減衰させる周波数帯域フィルタ処理、ノイズ成分を軽減させるノイズフィルタ処理を施すものである。なお、画像処理部2は、画像取得部1から画像情報を取得する際に、併せてフィルムキャリアの種別情報、或いはスキャナの種別情報を取得する。また、画像処理部2には、フィルムキャリアの種別情報、スキャナの種別情報に応じて特性の異なる周波数帯域フィルタ、ノイズフィルタが予め設定されている。
【0117】
まず、画像メモリ128から可視画像、赤外画像が取得され(ステップS61)、赤外画像に対して、図6の赤外画像補正処理(マスキング処理)が行われる(ステップS62)。次いで、当該画像を読み取ったフィルムキャリア種、あるいはスキャナ種等の画像読み込み条件に対応して、あらかじめ定められた、周波数帯域フィルタ(バンドカットフィルタ)に切り替えられ(ステップS63)、補正された赤外画像に周波数帯域フィルタ処理が施される(ステップS64)。
【0118】
ここで、フィルムキャリア種、スキャナ種としては、例えば、図2に示したようなフィルムキャリアに圧着ガラスのないローフィルムキャリア(又は、ローフィルムキャリアを有するスキャナ)、図3に示すようなフィルムキャリアに圧着ガラスを有する汎用フィルムキャリア(又は、汎用フィルムキャリアを有するスキャナ)等があり、これらの種別に応じて周波数帯域フィルタ、ノイズフィルタが設定される。フィルタとしては、前述したフィルタ等を用いることができる。
【0119】
周波数帯域フィルタ処理後、当該画像を読み取ったフィルムキャリア種、あるいはスキャナ種等の画像読み込み条件に対応して、あらかじめ定められたノイズフィルタに切り替えられ(ステップS65)、周波数フィルタ処理が施された赤外画像にノイズフィルタ処理が施される(ステップS66)。
【0120】
フィルタ処理後、上述した各処理が施された赤外画像から、傷、ゴミ情報を含んだ赤外画像そのものの画像信号値が赤外加工データとして、赤外加工データのベース信号分が赤外ベース情報として、それぞれ取得される(ステップS67)。赤外ベース情報は、赤外加工データに、より強いノイズカットフィルタを掛け、傷、ゴミ情報を削除したデータから得られるし、画像データが十分なシェーディング補正されたものであれば、必要に応じ、簡単な平滑化フィルタを掛けた後に、赤外加工データの最大信号値を得て、画像内固定の定数としても良い。
【0121】
次いで、赤外画像の各画素から注目画素が抽出され(ステップS68)、その注目画素における赤外加工データから赤外ベース情報を差分することにより当該注目画素の赤外差分データが作成される(ステップS69)。そして、この赤外差分データに基づいて、傷、ゴミ補正値が算出され(ステップS70)、算出された補正値に基づいて可視画像における当該注目画素の傷、ゴミ補正が施される(ステップS71)。赤外画像の全画素についてステップS68〜71が繰り返し実行され、全画素についての補正が終了すると(ステップS72;YES)、本処理は終了する。
【0122】
上述した傷、ゴミ補正処理Bにより、赤外画像に周波数帯域フィルタ処理を施すことにより、圧着ガラス付きフィルムキャリアで、赤外画像にニュートンリングが発生するような条件でも、ニュートンリングに対応する空間周波数帯域をカットする事で、補正不良を防止することができる。同様の処理は、既に説明した図8における赤外基準データ作成から、赤外差分データ作成にも応用でき、同様の理由で発生する、傷、ゴミ検出異常の解消が可能となる。
【0123】
また、赤外画像にノイズフィルタ処理を施すことにより、赤外信号の全体的な減衰が大きくなるシステムで、赤外画像のS/N(Signal/Noise)比が通常より悪い場合に、必要な量のノイズフィルタを作用させる事で、異常補正を防止し、傷、ゴミ補正において良好な結果が得られるようになる。同様の処理は、図8に応用することができる。
【0124】
なお、本処理においては、図10で説明した、赤外画像と可視画像のずれ量の推定を行って、赤外画像と可視画像間の情報の位置的なずれを補正したのち、傷、ゴミ補正を行うことが好ましい。
【0125】
図14に、傷、ゴミ補正処理Cのフロー図を示す。本処理は、図5で概略説明した傷、ゴミ処理の応用例であり、図8、図9で説明した手法を用いて赤外画像の傷、ゴミ領域と可視画像の傷、ゴミ領域を別途定め、可視画像の傷、ゴミ補正を赤外画像における近傍領域の補正値に基づいて処理するものである。
【0126】
まず、画像メモリ128から可視画像、赤外画像がそれぞれ取得され(ステップS81)、赤外画像に対して、図6の赤外画像補正処理(マスキング処理)が行われる(ステップS82)。次いで、補正された赤外画像をもとに、赤外基準データが作成され(ステップS83)、赤外基準データと補正された赤外画像を元に、赤外差分データが作成される(ステップS84)。ここで、赤外基準データは、赤外画像に傷、ごみ等の欠陥が存在しなかった場合に得られるであろう赤外画像信号値のことで、例えば、補正された赤外画像に強い平滑化フィルタをかけることにより作成される。赤外差分データは、ステップS82において作成された補正された赤外画像の赤外画像信号値から赤外基準データを差し引いたものである。
【0127】
次いで、赤外差分データは、適当な閾値により、信号2値化され(ステップS85)、ノイズ処理が施され(ステップS86)、赤外画像における傷、ゴミ領域が特定される(ステップS87)。赤外画像における傷、ゴミ領域特定後、領域内各画素の赤外信号値に基づいて、領域内の各画素の画像信号補正値が算出される(ステップS88)。
【0128】
次いで、図8、図9で説明した手法を用いて可視画像の傷、ゴミ領域が設定され(ステップS89)、注目画素が抽出される(ステップS90)。抽出された注目画素は、可視画像における傷、ゴミ領域に所属しているか否かが判断され(ステップS91)、傷、ゴミ領域に所属している場合は、赤外画像におけるその注目画素の近傍領域に存在する傷、ゴミ領域の複数の画像信号補正値が抽出され(ステップS92)、抽出された複数の画像信号補正値の代表値が算出される(ステップS93)。代表値は、例えば、抽出された複数の画像信号補正値の単純平均、注目画素からの距離に基づいた重み付け平均等により算出される。抽出した補正値の数が多い場合には、統計的処理によって異常データを排除し、残ったデータから、前述のような方法で算出するとよい。
【0129】
代表値が算出されると、この代表値は注目画素の傷、ゴミ補正値とされ(ステップS94)、傷、ゴミ補正値に基づいて、注目画素に対して傷、ゴミ補正が行われる(ステップS95)。全画素について上述したステップS91〜95が終了していなければ(ステップS96;NO)、次の画素が抽出され(ステップS97)、ステップS91〜97が繰り返し実行され、全画素について終了すると(ステップS96;YES)、本処理は終了する。
【0130】
ここで、傷、ゴミの発生原因は、多くの場合、単一の埃、あるいは単一の要因による傷であるので、傷、ゴミ領域の影響は画像情報そのものと比較して均質である。従って、近傍の複数の画像信号補正値を取得して代表値を求め、これを傷、ゴミ補正値とすれば、単一の画素から傷、ゴミ補正値を求めるより、ノイズ成分の影響が少ない、より確度の高い傷、ゴミ補正値が得られる。
【0131】
上述した傷、ゴミ補正処理Cによれば、赤外画像の傷、ゴミ領域と、可視画像の傷、ゴミ領域を別途定め、その結合を近傍信号を元に行うので、赤外画像と、可視画像に若干のずれが有っても、またさらに、そのずれが、画面局部各々で不連続に異なっていても、異常補正の危険が少ない補正能力が得られるという優れた能力を有する。
【0132】
以上、可視画像の傷、ゴミの影響を補正する処理について述べてきたが、傷、ゴミの影響は、先に示したように、補間処理によっても軽減可能である。
図15に、画像処理部2により実行される傷、ゴミ補間処理のフロー図を示す。本処理は、図5で概略説明した傷、ゴミ処理のステップS15に相当する処理であり、図8、図9に示す手法等により可視画像における傷、ゴミ領域を特定後に実行される。
【0133】
まず、可視画像において注目画素が抽出される(ステップS101)。抽出された注目画素は、可視画像における傷、ゴミ領域に所属しているか否かが判断され(ステップS102)、傷、ゴミ領域に属している、即ち、欠陥画素である場合は(ステップS102;YES)、B、G、R画像のそれぞれについて、当該注目画素を中心に対向する複数の正常画素対が抽出される(ステップS103)。
【0134】
図16に、注目画素を中心に対向する正常画素対を抽出する方法の例を示す。図16(a)に示すように、注目画素を中心として、正常画素対を探索する方向を決定し、探索方向に探索して、傷、ゴミ領域に最も近い所定数の画素を抽出する(図16(a)においては、所定数を2としている)。探索方向は、図16(b)〜(d)に示すように、傷、ゴミ領域の大きさによって増やしてもよい。
【0135】
図15に戻り、複数の正常対向画素抽出後、抽出された正常対向画素同士の関連が評価され(ステップS104)、最も関連性の高い方向が抽出される(ステップS105)。関連評価としては、例えば、正常対向画素同士の画像信号値の差分の絶対値をとり、絶対値が最も小さい方向を最も関連性の高い方向とする。B画像、G画像、R画像の全てについて終了するまで(ステップS106;NO)、一つの信号の画像が終了したら次の信号の画像に移行し(ステップS107)、B画像、G画像、R画像のそれぞれについて、ステップS103〜S105が繰り返し実行される。
【0136】
B画像、G画像、R画像それぞれについてステップS103〜S105が終了すると(ステップS106;YES)、B画像、G画像、R画像それぞれで抽出された方向の関係が評価され(ステップS108)、評価に基づいて、正常画素の組を抽出する方向が決定され、正常画素対の組が抽出される(ステップS109)。そして、抽出された正常画素対の画像信号値を用いて注目画素値が推定され、注目画素が推定された注目画素値に置きかえられる(ステップS110)。全画素について終了するまで、次の画素の評価へ移行し(ステップS112)、ステップS101〜S109が繰り返し実行され、全画素について終了すると(ステップS111;YES)、本処理は終了する。
【0137】
図17に、図15のステップS108、ステップS109においてB画像、G画像、R画像それぞれで抽出された方向の関係を評価し、画素抽出する方向を定める方法の例を示す。例えば、図17に示すように、抽出された方向の関係の評価は、方向に、確からしさを示す重み付け(ここでは、NTSC(National TV Standards Committee)方式で用いられている、人間の目の明るさを感じる割合(視感度)を利用。R:G:B=0.3:0.59≒0.6:0.11≒0.1)をかけて評価する。図17(a)においては、G画像、R画像から求められた方向αは評価点9となり、B画像から求められた方向βは評価点1となる。その結果、画素抽出する方向は方向αに決定される。また、図17(b)おいては、B画像、R画像から求められた方向αは評価点4となり、G画像から求められた方向βは評価点6となる。この場合、評価点の差が小さいので、全方向に決定される。
【0138】
以上のように、各色の画像で抽出された方向がばらついた場合は、方向性を持たせずに補間することも出来る。また、図17においては、方向の確からしさ(重み付け)に視感度を採用しているが、ベクトル決定時の信頼度情報を別途もとめても良い。信頼度情報は、例えば、B画像、G画像、R画像のそれぞれにおいて、複数方向の中から当該方向を抽出した際に、選ばれなかった他の組との距離を、統計的に処理して信頼度を求めればよい。
【0139】
上述した傷、ゴミ補間処理においては、赤外画像を必要とせず、傷、ゴミ候補位置を何らかの方法で求められれば良い。
図18は、傷、ゴミ存在領域を検出するための構成を備えた反射原稿スキャナ11と、画像処理部12における、この反射原稿スキャナ11から取得された画像を用いた傷、ゴミ処理を説明する図である。
【0140】
写真原稿は、2つの光源111a、111bにより照射される。写真原稿は、均一の光沢を示しているものであれば良い。光源111a、111bは、タイミング制御部113によって交互に発光し、CCD112cは両方の光源からの画像を取得、CCD112aは、光源111aが点燈しているタイミングで、CCD112bは、光源111bが点燈しているタイミングで画像を取得する。
【0141】
画像処理部2において、CCD112cにより取得された画像は、光源間差が比較され(ステップS121)、輝度差のある場合は、暗いほうの画像を重視して、1枚の元画像が形成される(ステップS122)。このようにすることで、光沢印画紙の微細な凹凸による反射や絹目印画紙の光沢反射を除去することが出来、好ましいコピー結果が得られる。
【0142】
一方、CCD112a、CCD112bにより取得された画像は、所定の画像信号値の範囲に収まらない画像領域が各々抽出され、両者の領域が一致した場合、その画像領域は、傷、ゴミ存在領域として決定される。CCD112a、CCD112bは、滑面原稿の正反射光を各々捕らえるもので、原稿表面に傷がある場合、この信号値は周囲と比較して非常に小さな値をとる。予め、プレスキャン画像等を参照し、或いは固定値として閾値による信号範囲を設定し、この範囲に収まらない信号値を異常信号とし、これがCCD112a、112bともに同一位置に発生した場合に、傷、ゴミ存在領域と決定される。傷、ゴミ存在領域は、更にノイズ処理後、オープニング処理によって拡張され、傷、ゴミ候補領域として特定される(ステップS123)。このゴミ、傷候補領域に基づいて、例えば、図9に示した手法により元画像情報から傷、ゴミ領域が特定され(ステップS124)、前述した各種の可視画像による補間、補正処理が実施される(ステップ125)。
【0143】
上述した構成により、赤外画像を用いずに、傷、ゴミ領域を特定し、補間、補正を実行することができる。
【0144】
以上説明したように、画像処理装置2によれば、画像処理システム100において、画像読取装置により読み取られた赤外画像に若干の残存収差があっても、また、赤外画像に若干の変動要因があっても、良好な傷、ゴミ補正または補間を行うことができる。またさらに、赤外画像と可視画像に若干の位置ずれが有っても、傷、ゴミの、可視画像に与える影響を適切に判断し、良好な補正結果、補間結果を得ることができる。
【0145】
なお、上記実施の形態における記述内容は、本発明に係る画像処理システム100の好適な一例であり、これに限定されるものではない。
また、画像処理システム100を構成する各装置の細部構成及び細部動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【0146】
【発明の効果】
請求項1、13、25に記載の発明によれば、入力画像における欠陥存在領域を抽出し、抽出された欠陥存在領域を拡張して、入力画像上の欠陥候補領域を決定し、決定された欠陥候補領域とその近傍領域の画像の情報を用いて、入力画像上の欠陥領域を特定する。従って、抽出された欠陥の存在領域と可視光域の画像における欠陥領域に若干の位置的なずれがあった場合にも、可視光域の画像の欠陥領域を確実、正確に捉えることができるので、高性能な欠陥補正結果、欠陥補間結果が得られる。また、十分な精度を得るために処理量が増大しがちな、可視光域の画像を用いた欠陥領域の特定処理が、あらかじめ欠陥候補領域を定めて、その限定された領域で実施されるので、画像処理能力上も好ましい。
【0147】
請求項2、14、16に記載の発明によれば、赤外線域の画像を用いて、欠陥存在領域を抽出し、抽出された欠陥存在領域を拡張して、赤外線域の画像に対応する可視光域の画像上の欠陥候補領域を決定し、決定された可視光域の画像上の欠陥候補領域とその近傍領域に存在する画像の情報を用いて、可視光域の画像上の欠陥領域を特定する。従って、赤外線域の画像を用いる事で、簡単に欠陥の存在領域を抽出することが出来、さらに、赤外線域の画像と可視光域の画像に若干の位置的なずれがあった場合にも、可視光域の画像の欠陥領域を確実、正確に捉えることが出来、高性能な欠陥補正結果または欠陥補間結果が得られる。また、十分な精度を得るために処理量が増大しがちな、可視光域の画像を用いた欠陥領域の特定処理が、あらかじめ欠陥候補領域を定めて、その限定された領域で実施されるので、画像処理能力上も好ましい。
【0148】
請求項3、15、27に記載の発明によれば、欠陥候補領域の外に存在する画素を正常画素とし、欠陥候補領域内において前記正常画素と同等の信号値を有する画素を抽出して欠陥候補領域から除外することにより欠陥領域を特定する。従って、画像上の欠陥領域を確実、正確に捉えることが出来、高性能な欠陥補正結果または欠陥補間結果が得られる。
【0149】
請求項4、16、28に記載の発明によれば、欠陥候補領域内の注目画素と、注目画素の周辺領域に存在する正常画素の信号値を比較し、その差分が、あらかじめ定められた閾値より小さい場合に、その注目画素を正常画素として抽出する。従って、所定の閾値を用いることにより、効率的に正常画素の抽出作業を実施することができる。
【0150】
請求項5、17、29に記載の発明によれば、補正または補間処理された画像に、第2の閾値を用いてノイズ低減処理を行う場合に、第2の閾値に基づいて欠陥候補領域内の正常画素の抽出に用いる閾値を定める。従って、補正または補間処理後のノイズ低減処理で処理可能な程度の軽微な欠陥を画像欠陥領域から除外できるので、補正、または補間する領域を可能な限り少なくすることが出来る。
【0151】
請求項6、18、30に記載の発明によれば、画像を構成する少なくとも3種類各色光に対して、欠陥画素を中心として対向する正常画素の組を複数抽出し、抽出された正常画素の各組に関し、各色光の画素信号値の差分を取得し、各色光について取得された差分が最も小さかった組の対向方向を示す方向情報を求め、求められた各色光の方向情報に基づいて、補間処理に用いる正常画素の組を抽出する。従って、欠陥画素の画像情報が欠損している場合でも、周囲の画像情報に基づいて補間処理を行うことができるので、違和感の無い、自然な補間処理が実現できる。また、複数の色光を用いて補間に用いる組を選択できるので、ノイズの影響を受けにくい、好ましい補間結果が得られる。
【0152】
請求項7、19、31に記載の発明によれば、各色光の方向情報に加え、各色光の方向情報の確からしさを示す情報を取得し、各色光の方向情報及びその確からしさを示す情報に基づいて、補間処理に用いる正常画素の組を抽出する。従って、各色光の方向情報のみでなく、その方向情報の確からしさも用いて、補間処理に用いる画素を抽出する好ましい方向を決定できるので、より精度の高い補間結果を得ることができる。
【0153】
請求項8、20、32に記載の発明によれば、赤外線域の画像上の欠陥存在領域を特定し、欠陥存在領域内の各画素について、赤外線域の信号値に基づいて画像信号補正値を算出する。そして、可視光域の画像上の欠陥領域を特定し、可視光域の画像上の欠陥領域内の注目画素の近傍に存在する画素の画像信号補正値に基づいて、注目画素の欠陥補正値を算出する。従って、赤外線信号の減衰状況に応じた可視光域の画像の補正を行う場合において、可視光域、赤外線域の画像情報に若干のずれがあった場合にも、異常補正の無い、良好な画像補正結果が得られる。
【0154】
請求項9、21、33に記載の発明によれば、注目画素の近傍に存在する複数画素の画像信号補正値に基づいて、注目画素の欠陥補正値を算出する。ここで、近傍に存在する欠陥のある画素同士は、多くの場合単一原因によるものであることから、欠陥部分の情報は、画像の情報そのものと比較して均質である。従って、近傍の複数画素の画像信号補正値に基づいて欠陥補正値を算出することにより、単一の画素から画像信号補正値を算出するよりノイズ成分の影響の少ない、より精度の高い欠陥補正値を得ることができる。
【0155】
請求項10、22、34に記載の発明によれば、赤外線域の画像に含まれる所定空間周波数帯域の情報を削除、または減衰するバンドカットフィルタを作用させ、さらに、ノイズ成分を軽減させるノイズフィルタを作用させて赤外線域の画像を補正し、補正された赤外線域の画像の情報に基づいて画像処理を施す。従って、例えば、画像読取装置の種類により赤外線域の画像に発生するニュートンリングやノイズ等の赤外線域の画像の情報の変動要因を良好に軽減できるので、これら変動要因に左右されない、良好な画像処理を行うことができる。
【0156】
請求項11、23、35に記載の発明によれば、特性が異なるバンドカットフィルタの中から、画像読取装置の種別に基づいて、作用させるバンドカットフィルタを切り替える。従って、画像読取装置の種別によって変化する赤外線域の画像の情報の変動要因に良好に対応することができる。
【0157】
請求項12、24、36に記載の発明によれば、赤外線域の画像上の欠陥領域を特定し、赤外線域の欠陥領域と可視光域の画像を用いて、可視光域の画像上の欠陥領域を特定し、特定された赤外線域の画像上の欠陥領域及び特定された可視光域の画像上の欠陥領域から、赤外線域の画像と可視光域の画像の情報の位置的なずれ量を算出し、算出された位置ずれ量に基づいて、赤外線域の画像の情報を補正する。従って、赤外線域の画像の情報を用いて可視光域の画像の欠陥を補正する際に、赤外線域の画像と可視光域の画像の情報に若干の位置的なずれがあった場合にも、可視域の画像に対して高性能な補正を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る画像処理システム100の全体構成を示すブロック図である。
【図2】図1の透過原稿スキャナ12の好適な一例である透過原稿スキャナ12aの機能的構成を示すブロック図である。
【図3】図1の透過原稿スキャナ12の好適な一例である透過原稿スキャナ12bの機能的構成を示すブロック図である。
【図4】図1の画像処理部2により実行される画像処理全体を示すフローチャートである。
【図5】図1の画像処理部2により実行される傷、ゴミ処理を示すフローチャートである。
【図6】図1の画像処理部2により実行される赤外線補正処理を示すフローチャートである。
【図7】赤外画像により、傷、ゴミ情報が抽出される理論を簡単に示す模式図である。
【図8】図1の画像処理部2により実行される傷、ゴミ候補領域決定処理を示すフローチャートである。
【図9】図1の画像処理部2により実行される傷、ゴミ領域特定処理を示すフローチャートである。
【図10】図1の画像処理部2により実行される傷、ゴミ補正処理Aを示すフローチャートである。
【図11】赤外画像の傷、ゴミ領域とその重心(第1重心)、可視画像の傷、ゴミ領域とその重心(第2重心)を示す模式図である。
【図12】図10のステップS50で作成されるずれ量マップの一例を示す図である。
【図13】図1の画像処理部2により実行される傷、ゴミ補正処理Bを示すフローチャートである。
【図14】図1の画像処理部2により実行される傷、ゴミ補正処理Cを示すフローチャートである。
【図15】図1の画像処理部2により実行される傷、ゴミ補間処理を示すフローチャートである。
【図16】図15のステップS103において、注目画素を中心に対向する正常画素対を抽出する方法の例を示す模式図である。
【図17】図15のステップS108、ステップS109においてB画像、G画像、R画像それぞれで抽出された方向の関係を評価し、画素抽出する方向を定める方法の例を示す模式図である。
【図18】傷、ゴミ存在領域を検出するための構成を備えた反射原稿スキャナ11と、画像処理部2における、この反射原稿スキャナ11から取得された画像を用いた傷、ゴミ処理を説明する図である。
【符号の説明】
100 画像処理システム
1 画像取得部
11 反射原稿スキャナ
12 透過原稿スキャナ
13 メディアドライバ
14 情報通信I/F
2 画像処理部
3 指示入力部
4 表示部
5 画像ストレージ部
71 銀塩露光プリンタ
72 IJプリンタ
73 画像書込部
【発明の属する技術分野】
本発明は、入力画像から画像欠陥を抽出して、補正または補間処理する画像処理を行い、出力画像を得る画像処理方法、画像処理装置及びそのプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、銀塩写真フィルムを用いて撮影、現像処理し、これをフィルムスキャナなどの画像読取装置で読み取り、デジタル画像として取得し、さまざまに利用するシステムが普及してきている。銀塩フィルムは非常に多くの情報量を有するため、これら画像読取装置は、微小な信号を確実に読み取る、非常に高い解像度を必要とする。
【0003】
一方、写真フィルムはその取り扱いの容易さから、TAC(トリアセチルセルロース)や、PET(ポリエチレンテレフタレート)などからなるフィルムベースに、おもにゼラチンをバインダーとした画像記録層が塗布されており、ゴミ、埃が付着しやすく、また、画像記録層、フィルムベースともに硬度が低いために傷つきやすい性質がある。
【0004】
このため、写真フィルムの扱いは慎重に行う必要があり、多くの工数がかかっていた。また、前述のように、非常に高い解像度を有する画像読取装置を用いて取得したデジタル画像には、微細な傷、ゴミも記録されてしまうため、傷、ゴミの記録された画像欠陥の修復には多大な労力を要していた。
【0005】
これら状況に鑑み、いくつかの解決策が検討され、提案されてきた。その主なものは、現在の写真フィルムの主流であるカラーフィルム等、色素画像で画像情報が形成される写真フィルムの特徴を利用し、赤外線を用いた手法である。
【0006】
これら手法の基本思想は、以下の考えに基づいている。写真フィルムの画像情報は、前述の通り、色素画像で形成されているが、これら色素は、その性質上、可視の特定波長の電磁波は吸収するものの、波長の長い赤外線はほとんど吸収しない。一方、傷、ゴミは、それら自体は無色の場合が多いが、これらには光を強く散乱する性質があり、これらが、画像結像系の途中に入ると散乱光が生じ、その分、画像情報として得られる信号強度が減少することとなる。この、傷、ゴミの影響は、可視光、赤外線の区分にかかわらずほぼ一様に現れるもののため、赤外線域の画像を観察すれば、傷、ゴミの位置、影響を識別できる、というものである。
【0007】
もちろん、例えば、特許文献1に記されているように、実際には、画像情報を形成する色素、特にシアン色素にも若干の赤外線吸収があるため、カラーフィルムの色分解の手法と同様に、赤外線域の画像の観察に先立って、これら色素の影響を減じる処理を行うのが普通である。
【0008】
特許文献2には、赤外線域の画像を用いて傷、ゴミを検知して、画像を正常画素と、異常画素とに区分し、異常画素を、近傍の最も近い正常画素のグループから補間する手法が述べられている。本手法によれば、傷領域を周辺領域から補間して埋め合わせることが出来るため、傷、ゴミを画面から消去できるとしている。また、特許文献3には、傷、ゴミの、赤外線域の画像に与える影響を検知して、相当分の補正を可視光域の画像に対して施し、さらに、前記影響が非常に大きい時には、特許文献2のような、補間法で処理するという手法が紹介されている。本手法によれば、傷、ゴミの存在する画素も、その影響が比較的軽微な箇所では、傷、ゴミの影響を補正する処理を行うので、補間法を用いる場合に比べ、画像情報量の減少が少ないとされている。
【0009】
【特許文献1】
特公平6−5914号公報
【特許文献2】
特開昭63−129469号公報
【特許文献3】
特許第2559970号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献2に記載の手法によれば、異常画素とされた領域は、正常画素とされた領域の画素情報からの補間で求められるため、本来の画像情報量が大きく減少してしまうという、大きな副作用が伴っていた。また、特許文献3に記載の手法によれば、傷、ゴミの与える影響の程度を主に赤外線域の画像を用いて求めているため、以下のような問題点が発生する。
【0011】
第1の問題点は、傷、ゴミの位置を、正確に検出する、より詳しくは、可視光域の画像と同一位置に検出する必要がある事である。フィルムスキャナは、光学レンズによる結像をCCD等のセンサで受光して画像情報を得るが、光学レンズには色収差が存在するため、赤外線域の画像から可視光域の画像まで、正確に同一位置に結像させることは非常に困難であり、また、実現できても、調整工数、コストの膨大なシステムになってしまう欠点があった。本欠点に関しては、特許文献2の手法でも問題となり、赤外線、可視光の結像位置のずれが若干でもあれば、補間が不可能になるか、補正不具合が生じ、あるいは、補間処理をする領域に余裕を持てば、補間が必要な範囲が大きくなり、画像の欠損がさらに大きくなる不具合が発生する。
【0012】
第2の問題点として、傷、ゴミの影響が、可視光域の画像、赤外線域の画像で相関して現れるとしているが、実際には相関しない状況が存在する。たとえば、ブローニーフィルムなど、フィルムベースが薄く、かつ、平面性の維持が困難なフィルムのスキャンに於いては、フィルムの平面性を確保する為、保持ガラスを用いる場合が多く、ガラスとフィルム面の間で光の干渉現象が生じ、ニュートンリングが発生する場合がある。これに対応し、ニュートンリングが発生しにくいよう、ガラス表面に微細な凹凸をつけた、アンチニュートンガラスが用いられるが、アンチニュートンガラスの効果は光の波長によって異なり、赤外線に関して考慮されていない(一般的には赤外線への考慮は無い)場合、赤外線域の画像についてのみニュートンリングが発生する場合があり、この赤外線域の画像に基づいて特許文献3の画像処理を行うと、処理結果にニュートンリングが現れてしまうという、致命的な不具合発生の可能性がある。
【0013】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、第1に、可視光域の画像に対し十分な収差補正を行った画像読取装置であれば、赤外線域の画像に関し、若干の残存収差があっても、また、赤外線域の画像に若干の変動要因があっても、良好な傷、ゴミ補正の行える手法を提供することにある。またさらに、赤外線域の画像と可視光域の画像に若干のずれが有っても、傷の、可視光域の画像に与える影響を適切に判断し、良好な補正結果を得るための手法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
入力画像に存在する画像欠陥を前記入力画像から抽出して、補正または補間処理する画像処理を行い、出力画像を得る画像処理方法において、
前記入力画像における欠陥存在領域を抽出する工程と、
前記抽出された欠陥存在領域を拡張して、前記入力画像上の欠陥候補領域を決定する工程と、
前記欠陥候補領域とその近傍領域の画像の情報を用いて、前記入力画像上の欠陥領域を特定する工程と、
を含むことを特徴としている。
【0015】
請求項13に記載の発明は、
入力画像に存在する画像欠陥を前記入力画像から抽出して、補正または補間処理する画像処理を行い、出力画像を得る画像処理装置において、
前記入力画像における欠陥存在領域を抽出する欠陥存在領域抽出手段と、
前記抽出された欠陥存在領域を拡張して、前記入力画像上の欠陥候補領域を決定する欠陥候補領域決定手段と、
前記欠陥候補領域とその近傍領域の画像の情報を用いて、前記入力画像上の欠陥領域を特定する欠陥領域特定手段と、
を備えたことを特徴としている。
【0016】
請求項25に記載の発明は、
入力画像に存在する画像欠陥を前記入力画像から抽出して、補正または補間処理する画像処理を行い、出力画像を得る画像処理装置を制御するためのコンピュータに、
前記入力画像における欠陥存在領域を抽出する機能と、
前記抽出された欠陥存在領域を拡張して、前記入力画像上の欠陥候補領域を決定する機能と、
前記欠陥候補領域とその近傍領域の画像の情報を用いて、前記入力画像上の欠陥領域を特定する機能と、
を実現させるためのプログラムであることを特徴としている。
【0017】
請求項1、13、25に記載の発明によれば、入力画像における欠陥存在領域を抽出し、抽出された欠陥存在領域を拡張して、入力画像上の欠陥候補領域を決定し、決定された欠陥候補領域とその近傍領域の画像の情報を用いて、入力画像上の欠陥領域を特定する。従って、抽出された欠陥の存在領域と可視光域の画像における欠陥領域に若干の位置的なずれがあった場合にも、可視光域の画像の欠陥領域を確実、正確に捉えることができるので、高性能な欠陥補正結果、欠陥補間結果が得られる。また、十分な精度を得るために処理量が増大しがちな、可視光域の画像を用いた欠陥領域の特定処理が、あらかじめ欠陥候補領域を定めて、その限定された領域で実施されるので、画像処理能力上も好ましい。
【0018】
請求項2に記載の発明は、
画像原稿の、赤外線域、可視光域の、少なくとも2種の波長帯域で取得された画像から画像欠陥を抽出して、補正または補間処理する画像処理を行い、出力画像を得る画像処理方法において、
前記赤外線域の画像を用いて、欠陥存在領域を抽出する工程と、
前記抽出された欠陥存在領域を拡張して、前記赤外線域の画像に対応する前記可視光域の画像上の欠陥候補領域を決定する工程と、
前記可視光域の画像上の前記欠陥候補領域とその近傍領域に存在する画像の情報を用いて、前記可視光域の画像上の欠陥領域を特定する工程と、
を含むことを特徴としている。
【0019】
請求項14に記載の発明は、
画像原稿の、赤外線域、可視光域の、少なくとも2種の波長帯域で取得された画像から画像欠陥を抽出して、補正または補間処理する画像処理を行い、出力画像を得る画像処理装置において、
前記赤外線域の画像を用いて、欠陥存在領域を抽出する欠陥存在領域抽出手段と、
前記抽出された欠陥存在領域を拡張して、前記赤外線域の画像に対応する前記可視光域の画像上の欠陥候補領域を決定する欠陥候補領域決定手段と、
前記可視光域の画像上の前記欠陥候補領域とその近傍領域に存在する画像の情報を用いて、前記可視光域の画像上の欠陥領域を特定する欠陥領域特定手段と、
を備えたことを特徴としている。
【0020】
請求項26に記載の発明は、
画像原稿の、赤外線域、可視光域の、少なくとも2種の波長帯域で取得された画像から画像欠陥を抽出して、補正または補間処理する画像処理を行い、出力画像を得る画像処理装置を制御するためのコンピュータに、
前記赤外線域の画像を用いて、欠陥存在領域を抽出する機能と、
前記抽出された欠陥存在領域を拡張して、前記赤外線域の画像に対応する前記可視光域の画像上の欠陥候補領域を決定する機能と、
前記可視光域の画像上の前記欠陥候補領域とその近傍領域に存在する画像の情報を用いて、前記可視光域の画像上の欠陥領域を特定する機能と、
を実現させるためのプログラムであることを特徴としている。
【0021】
請求項2、14、16に記載の発明によれば、赤外線域の画像を用いて、欠陥存在領域を抽出し、抽出された欠陥存在領域を拡張して、赤外線域の画像に対応する可視光域の画像上の欠陥候補領域を決定し、決定された可視光域の画像上の欠陥候補領域とその近傍領域に存在する画像の情報を用いて、可視光域の画像上の欠陥領域を特定する。従って、赤外線域の画像を用いる事で、簡単に欠陥の存在領域を抽出することが出来、さらに、赤外線域の画像と可視光域の画像に若干の位置的なずれがあった場合にも、可視光域の画像の欠陥領域を確実、正確に捉えることが出来、高性能な欠陥補正結果または欠陥補間結果が得られる。また、十分な精度を得るために処理量が増大しがちな、可視光域の画像を用いた欠陥領域の特定処理が、あらかじめ欠陥候補領域を定めて、その限定された領域で実施されるので、画像処理能力上も好ましい。
【0022】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、
前記欠陥候補領域の外に存在する画素を正常画素とし、前記欠陥候補領域内において前記正常画素と同等の信号値を有する画素を抽出して前記欠陥候補領域から除外することにより前記欠陥領域を特定する工程を含むことを特徴としている。
【0023】
請求項15に記載の発明は、請求項13又は14に記載の発明において、
前記欠陥領域特定手段は、前記欠陥候補領域の外に存在する画素を正常画素とし、前記欠陥候補領域内における前記正常画素と同等の信号値を有する画素を抽出して前記欠陥候補領域から除外することにより前記欠陥領域を特定することを特徴としている。
【0024】
請求項27に記載の発明は、請求項25又は26に記載の発明のプログラムにおいて、
前記コンピュータに、
前記欠陥候補領域の外に存在する画素を正常画素とし、前記欠陥候補領域内において前記正常画素と同等の信号値を有する画素を抽出して前記欠陥候補領域から除外することにより前記欠陥領域を特定する機能を実現させることを特徴としている。
【0025】
請求項3、15、27に記載の発明によれば、欠陥候補領域の外に存在する画素を正常画素とし、欠陥候補領域内において前記正常画素と同等の信号値を有する画素を抽出して欠陥候補領域から除外することにより欠陥領域を特定する。従って、画像上の欠陥領域を確実、正確に捉えることが出来、高性能な欠陥補正結果または欠陥補間結果が得られる。
【0026】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、
前記欠陥候補領域内の注目画素と、当該注目画素の周辺領域に存在する正常画素の信号値を比較し、その差分が、あらかじめ定められた閾値より小さい場合に、その注目画素を正常画素として抽出する工程を含むことを特徴としている。
【0027】
請求項16に記載の発明は、請求項15に記載の発明において、
前記欠陥領域特定手段は、前記欠陥候補領域内の注目画素と、当該注目画素の周辺領域に存在する正常画素の信号値を比較し、その差分が、あらかじめ定められた閾値より小さい場合に、その注目画素を正常画素として抽出することを特徴としている。
【0028】
請求項28に記載の発明は、請求項27に記載の発明のプログラムにおいて、
前記コンピュータに、
前記欠陥候補領域内の注目画素と、当該注目画素の周辺領域に存在する正常画素の信号値を比較し、その差分が、あらかじめ定められた閾値より小さい場合に、その注目画素を正常画素として抽出する機能を実現させることを特徴としている。
【0029】
請求項4、16、28に記載の発明によれば、欠陥候補領域内の注目画素と、注目画素の周辺領域に存在する正常画素の信号値を比較し、その差分が、あらかじめ定められた閾値より小さい場合に、その注目画素を正常画素として抽出する。従って、所定の閾値を用いることにより、効率的に正常画素の抽出作業を実施することができる。
【0030】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、
前記補正または補間処理された画像に、第2の閾値を用いてノイズ低減処理を行う工程を含み、
前記正常画素の抽出に用いる閾値は、前記第2の閾値に基づいて定められることを特徴としている。
【0031】
請求項17に記載の発明は、請求項16に記載の発明において、
前記補正または補間処理された画像に、第2の閾値を用いてノイズ低減処理を行うノイズ低減処理手段を備え、
前記欠陥領域特定手段が前記正常画素の抽出に用いる閾値は、前記第2の閾値に基づいて定められることを特徴としている。
【0032】
請求項29に記載の発明は、請求項28に記載の発明のプログラムにおいて、
前記コンピュータに、更に、
前記補正または補間処理された画像に、第2の閾値を用いてノイズ低減処理を行う機能と、
前記正常画素の抽出に用いる閾値は、前記第2の閾値に基づいて定める機能と、を実現させることを特徴としている。
【0033】
請求項5、17、29に記載の発明によれば、補正または補間処理された画像に、第2の閾値を用いてノイズ低減処理を行う場合に、第2の閾値に基づいて欠陥候補領域内の正常画素の抽出に用いる閾値を定める。従って、補正または補間処理後のノイズ低減処理で処理可能な程度の軽微な欠陥を画像欠陥領域から除外できるので、補正、または補間する領域を可能な限り少なくすることが出来る。
【0034】
請求項6に記載の発明は、
少なくとも3種類の色光に関する情報を有する画像について、前記画像を構成する各画素を正常画素と欠陥画素とに区分し、前記欠陥画素を、周辺の前記正常画素に基づいて補間する画像処理方法において、
前記各色光に対して、前記欠陥画素を中心として対向する正常画素の組を複数抽出する工程と、
前記抽出された正常画素の各組に関し、各色光の画素信号値の差分を取得し、各色光について前記取得された差分が最も小さかった組の対向方向を示す方向情報を求め、前記求められた各色光の方向情報に基づいて、前記補間処理に用いる正常画素の組を抽出する工程と、
を含むことを特徴としている。
【0035】
請求項18に記載の発明は、
少なくとも3種類の色光に関する情報を有する画像について、前記画像を構成する各画素を正常画素と欠陥画素とに区分し、前記欠陥画素を、周辺の前記正常画素に基づいて補間する画像処理装置において、
前記各色光に対して、前記欠陥画素を中心として対向する正常画素の組を複数抽出する正常対向画素抽出手段と、
前記抽出された正常画素の各組に関し、各色光の画素信号値の差分を取得し、各色光について前記取得された差分が最も小さかった組の対向方向を示す方向情報を求め、前記求められた各色光の方向情報に基づいて、前記補間処理に用いる正常画素の組を抽出する補間画素抽出手段と、
を備えたことを特徴としている。
【0036】
請求項30に記載の発明は、
少なくとも3種類の色光に関する情報を有する画像について、前記画像を構成する各画素を正常画素と欠陥画素とに区分し、前記欠陥画素を、周辺の前記正常画素に基づいて補間する画像処理装置を制御するためのコンピュータに、
前記各色光に対して、前記欠陥画素を中心として対向する正常画素の組を複数抽出する機能と、
前記抽出された正常画素の各組に関し、各色光の画素信号値の差分を取得し、各色光について前記取得された差分が最も小さかった組の対向方向を示す方向情報を求め、前記求められた各色光の方向情報に基づいて、前記補間処理に用いる正常画素の組を抽出する機能と、
を実現させるためのプログラムであることを特徴としている。
【0037】
請求項6、18、30に記載の発明によれば、画像を構成する少なくとも3種類各色光に対して、欠陥画素を中心として対向する正常画素の組を複数抽出し、抽出された正常画素の各組に関し、各色光の画素信号値の差分を取得し、各色光について取得された差分が最も小さかった組の対向方向を示す方向情報を求め、求められた各色光の方向情報に基づいて、補間処理に用いる正常画素の組を抽出する。従って、欠陥画素の画像情報が欠損している場合でも、周囲の画像情報に基づいて補間処理を行うことができるので、違和感の無い、自然な補間処理が実現できる。また、複数の色光を用いて補間に用いる組を選択できるので、ノイズの影響を受けにくい、好ましい補間結果が得られる。
【0038】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、
前記各色光の方向情報に加え、前記各色光の方向情報の確からしさを示す情報を取得し、前記各色光の方向情報及びその確からしさを示す情報に基づいて、前記補間処理に用いる正常画素の組を抽出する工程を含むことを特徴としている。
【0039】
請求項19に記載の発明は、請求項18に記載の発明において、
前記補間画素抽出手段は、前記各色光の方向情報に加え、前記各色光の方向情報の確からしさを示す情報を取得し、前記各色光の方向情報及びその確からしさを示す情報に基づいて、前記補間処理に用いる正常画素の組を抽出することを特徴としている。
【0040】
請求項31に記載の発明は、請求項30に記載の発明のプログラムにおいて、前記コンピュータに、
前記各色光の方向情報に加え、前記各色光の方向情報の確からしさを示す情報を取得し、前記各色光の方向情報及びその確からしさを示す情報に基づいて、前記補間処理に用いる正常画素の組を抽出する機能を実現させることを特徴としている。
【0041】
請求項7、19、31に記載の発明によれば、各色光の方向情報に加え、各色光の方向情報の確からしさを示す情報を取得し、各色光の方向情報及びその確からしさを示す情報に基づいて、補間処理に用いる正常画素の組を抽出する。従って、各色光の方向情報のみでなく、その方向情報の確からしさも用いて、補間処理に用いる画素を抽出する好ましい方向を決定できるので、より精度の高い補間結果を得ることができる。
【0042】
請求項8に記載の発明は、
画像原稿の、赤外線域と、可視光域の、少なくとも2種の波長帯域で取得された画像から画像欠陥を抽出して、補正または補間処理する画像処理を行い、出力画像を得る画像処理方法において、
前記赤外線域の画像上の欠陥存在領域を特定する工程と、
前記欠陥存在領域内の各画素について、前記赤外線域の信号値に基づいて画像信号補正値を算出する工程と、
前記可視光域の画像上の欠陥領域を特定する工程と、
前記可視光域の画像上の欠陥領域内の注目画素の近傍に存在する画素の前記画像信号補正値に基づいて、前記注目画素の欠陥補正値を算出する工程と、
を備えたことを特徴としている。
【0043】
請求項20に記載の発明は、
画像原稿の、赤外線域と、可視光域の、少なくとも2種の波長帯域で取得された画像から画像欠陥を抽出して、補正または補間処理する画像処理を行い、出力画像を得る画像処理装置において、
前記赤外線域の画像上の欠陥存在領域を特定する欠陥存在領域特定手段と、
前記欠陥存在領域内の各画素について、前記赤外線域の信号値に基づいて画像信号補正値を算出する画像信号補正値算出手段と、
前記可視光域の画像上の欠陥領域を特定する欠陥領域特定手段と、
前記可視光域の画像上の欠陥領域内の注目画素の近傍に存在する画素の前記画像信号補正値に基づいて、前記注目画素の欠陥補正値を算出する欠陥補正値算出手段と、
を備えたことを特徴としている。
【0044】
請求項32に記載の発明は、
画像原稿の、赤外線域と、可視光域の、少なくとも2種の波長帯域で取得された画像から画像欠陥を抽出して、補正または補間処理する画像処理を行い、出力画像を得る画像処理装置を制御するためのコンピュータに、
前記赤外線域の画像上の欠陥存在領域を特定する機能と、
前記欠陥存在領域内の各画素について、前記赤外線域の信号値に基づいて画像信号補正値を算出する機能と、
前記可視光域の画像上の欠陥領域を特定する機能と、
前記可視光域の画像上の欠陥領域内の注目画素の近傍に存在する画素の前記画像信号補正値に基づいて、前記注目画素の欠陥補正値を算出する機能と、
を実現させるためのプログラムであることを特徴としている。
【0045】
請求項8、20、32に記載の発明によれば、赤外線域の画像上の欠陥存在領域を特定し、欠陥存在領域内の各画素について、赤外線域の信号値に基づいて画像信号補正値を算出する。そして、可視光域の画像上の欠陥領域を特定し、可視光域の画像上の欠陥領域内の注目画素の近傍に存在する画素の画像信号補正値に基づいて、注目画素の欠陥補正値を算出する。従って、赤外線信号の減衰状況に応じた可視光域の画像の補正を行う場合において、可視光域、赤外線域の画像情報に若干のずれがあった場合にも、異常補正の無い、良好な画像補正結果が得られる。
【0046】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の発明において、
前記注目画素の近傍に存在する複数画素の前記画像信号補正値に基づいて、前記注目画素の欠陥補正値を算出することを特徴としている。
【0047】
請求項21に記載の発明は、請求項20に記載の発明において、
前記欠陥補正値算出手段は、前記注目画素の近傍に存在する複数画素の前記画像信号補正値に基づいて、前記注目画素の欠陥補正値を算出することを特徴としている。
【0048】
請求項33に記載の発明は、請求項32に記載の発明のプログラムにおいて、
前記コンピュータに、
前記注目画素の近傍に存在する複数画素の前記画像信号補正値に基づいて、前記注目画素の欠陥補正値を算出する機能を実現させることを特徴としている。
【0049】
請求項9、21、33に記載の発明によれば、注目画素の近傍に存在する複数画素の画像信号補正値に基づいて、注目画素の欠陥補正値を算出する。ここで、近傍に存在する欠陥のある画素同士は、多くの場合単一原因によるものであることから、欠陥部分の情報は、画像の情報そのものと比較して均質である。従って、近傍の複数画素の画像信号補正値に基づいて欠陥補正値を算出することにより、単一の画素から画像信号補正値を算出するよりノイズ成分の影響の少ない、より精度の高い欠陥補正値を得ることができる。
【0050】
請求項10に記載の発明は、
画像原稿の、赤外線域と、可視光域の、少なくとも2種の波長帯域の画像を読み取る画像読取装置により入力された画像に対して、前記赤外線域の画像の情報に基づいて画像処理を行い、出力画像を得る画像処理方法において、
前記赤外線域の画像に含まれる所定空間周波数帯域の情報を削除、または減衰するバンドカットフィルタを作用させ、さらに、ノイズ成分を軽減させるノイズフィルタを作用させて前記赤外線域の画像を補正する工程と、
当該補正された赤外線域の画像の情報に基づいて画像処理を施す工程と、
を含むことを特徴としている。
【0051】
請求項22に記載の発明は、
画像原稿の、赤外線域と、可視光域の、少なくとも2種の波長帯域の画像を読み取る画像読取装置により入力された画像に対して、前記赤外線域の画像の情報に基づいて画像処理を行い、出力画像を得る画像処理手段を備えた画像処理装置において、
前記画像処理手段は、前記赤外線域の画像に含まれる所定空間周波数帯域の情報を削除、または減衰するバンドカットフィルタを作用させ、さらに、ノイズ成分を軽減させるノイズフィルタを作用させて前記赤外線域の画像を補正し、当該補正された赤外線域の画像の情報に基づいて画像処理を施すことを特徴としている。
【0052】
請求項34に記載の発明は、
画像原稿の、赤外線域と、可視光域の、少なくとも2種の波長帯域の画像を読み取る画像読取装置により入力された画像に対して、前記赤外線域の画像の情報に基づいて画像処理を行い、出力画像を得る画像処理装置を制御するためのコンピュータに、
前記赤外線域の画像に含まれる所定空間周波数帯域の情報を削除、または減衰するバンドカットフィルタを作用させ、さらに、ノイズ成分を軽減させるノイズフィルタを作用させて前記赤外線域の画像を補正する機能と、
当該補正された赤外線域の画像の情報に基づいて画像処理を施す機能と、
を実現させるためのプログラムであることを特徴としている。
【0053】
請求項10、22、34に記載の発明によれば、赤外線域の画像に含まれる所定空間周波数帯域の情報を削除、または減衰するバンドカットフィルタを作用させ、さらに、ノイズ成分を軽減させるノイズフィルタを作用させて赤外線域の画像を補正し、補正された赤外線域の画像の情報に基づいて画像処理を施す。従って、例えば、画像読取装置の種類により赤外線域の画像に発生するニュートンリングやノイズ等の赤外線域の画像の情報の変動要因を良好に軽減できるので、これら変動要因に左右されない、良好な画像処理を行うことができる。
【0054】
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の発明において、
特性が異なる前記バンドカットフィルタを複数有し、前記画像読取装置の種別に基づいて、作用させるバンドカットフィルタを切り替える工程を含むことを特徴としている。
【0055】
請求項23に記載の発明は、請求項22に記載の発明において
前記画像処理手段は、特性が異なる前記バンドカットフィルタを複数有し、前記画像読取装置の種別に基づいて、作用させるバンドカットフィルタを切り替えることを特徴としている。
【0056】
請求項35に記載の発明は、請求項34に記載の発明のプログラムにおいて、
前記コンピュータに、更に、
特性が異なる前記バンドカットフィルタの中から、前記画像読取装置の種別に基づいて、作用させるバンドカットフィルタを切り替える機能を実現させることを特徴としている。
【0057】
請求項11、23、35に記載の発明によれば、特性が異なるバンドカットフィルタの中から、画像読取装置の種別に基づいて、作用させるバンドカットフィルタを切り替える。従って、画像読取装置の種別によって変化する赤外線域の画像の情報の変動要因に良好に対応することができる。
【0058】
請求項12に記載の発明は、
画像原稿の、赤外線域と、可視光域の、少なくとも2種の波長帯域で画像を取得し、取得された画像から、前記画像原稿の画像欠陥の影響を軽減する画像処理を行い、出力画像を得る画像処理方法において、
前記赤外線域の画像上の欠陥領域を特定する工程と、
前記赤外線域の欠陥領域と前記可視光域の画像を用いて、前記可視光域の画像上の欠陥領域を特定する工程と、
前記特定された赤外線域の画像上の欠陥領域及び前記特定された可視光域の画像上の欠陥領域から、前記赤外線域の画像と前記可視光域の画像の情報の位置的なずれ量を算出する工程と、
前記算出された位置ずれ量に基づいて、前記赤外線域の画像の情報を補正する工程と、
を含むことを特徴としている。
【0059】
請求項24に記載の発明は、
画像原稿の、赤外線域と、可視光域の、少なくとも2種の波長帯域で取得された画像から、前記画像原稿の画像欠陥の影響を軽減する画像処理を行い、出力画像を得る画像処理装置において、
前記赤外線域の画像上の欠陥領域を特定する赤外欠陥領域特定手段と、
前記赤外線域の欠陥領域と前記可視光域の画像を用いて、前記可視光域の画像上の欠陥領域を特定する可視欠陥領域特定手段と、
前記特定された赤外線域の画像上の欠陥領域及び前記特定された可視光域の画像上の欠陥領域から、前記赤外線域の画像と前記可視光域の画像の情報の位置的なずれ量を算出するずれ量算出手段と、
前記算出された位置ずれ量に基づいて、前記赤外線域の画像の情報を補正する赤外情報補正手段と、
を備えたことを特徴としている。
【0060】
請求項36に記載の発明は、
画像原稿の、赤外線域と、可視光域の、少なくとも2種の波長帯域で画像を取得し、取得された画像から、前記画像原稿の画像欠陥の影響を軽減する画像処理を行い、出力画像を得る画像処理装置を制御するためのコンピュータに、
前記赤外線域の画像上の欠陥領域を特定する機能と、
前記赤外線域の欠陥領域と前記可視光域の画像を用いて、前記可視光域の画像上の欠陥領域を特定する機能と、
前記特定された赤外線域の画像上の欠陥領域及び前記特定された可視光域の画像上の欠陥領域から、前記赤外線域の画像と前記可視光域の画像の情報の位置的なずれ量を算出する機能と、
前記算出された位置ずれ量に基づいて、前記赤外線域の画像の情報を補正する機能と、
を実現させるためのプログラムであることを特徴としている。
【0061】
請求項12、24、36に記載の発明によれば、赤外線域の画像上の欠陥領域を特定し、赤外線域の欠陥領域と可視光域の画像を用いて、可視光域の画像上の欠陥領域を特定し、特定された赤外線域の画像上の欠陥領域及び特定された可視光域の画像上の欠陥領域から、赤外線域の画像と可視光域の画像の情報の位置的なずれ量を算出し、算出された位置ずれ量に基づいて、赤外線域の画像の情報を補正する。従って、赤外線域の画像の情報を用いて可視光域の画像の欠陥を補正する際に、赤外線域の画像と可視光域の画像の情報に若干の位置的なずれがあった場合にも、可視域の画像に対して高性能な補正を行うことができる。
【0062】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
まず、構成を説明する。
図1に、本実施の形態における画像処理システム100の全体構成例を示す。図1に示すように、画像処理システム100は、画像取得部1、画像処理部2、指示入力部3、表示部4、画像ストレージ部5、銀塩露光プリンタ71、IJ(インクジェット)プリンタ72、画像書込部73等により構成されている。
【0063】
画像取得部1は、入力画像を取得する反射原稿スキャナ11、透過原稿スキャナ12、メディアドライバ13、情報通信I/F14を備えて構成されている。写真プリント、書画等を含む印刷物61等の画像原稿は、反射原稿スキャナ11により読み取られ、画像原稿としてのネガフィルム、ポジフィルム等の現像済みフィルム62は透過原稿スキャナ12(例えば、後述する透過原稿スキャナ12a、透過原稿スキャナ12b)により読み取られ、入力画像として取得される。また、DSC(デジタルスチルカメラ)等によりMO(magneto−optic)、CD−R(CD Recordable)、スマートメディアカードを始めとする各種メディアに記録された画像は、メディアドライバ13により取得される。インターネット、LAN等の通信手段64を通じて入力された画像は、情報通信I/F14により取得される。これらの画像取得部1各部で取得された入力画像は、画像処理部2に出力される。
【0064】
画像処理部2は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disc Drive)等を備え、CPUは、ROMやHDDに記憶されているプログラムとの協働によるソフトウエア処理により、画像取得部1により取得された入力画像に対して各種画像処理を施す。即ち、画像処理部2は、ポジフィルムやネガフィルム等の画像原稿から取得された入力画像に存在する画像欠陥の補正または補間処理を行う。ここで、画像欠陥とは、フィルム等の画像原稿についた傷、ゴミの付着に起因する欠陥である。また、画像処理部2は、表示部4に入力画像を表示するとともに、指示入力部3より各種指示情報を受け取り、これに基づいて、入力画像に対して、明るさ、色調調整、コントラスト調整、彩度調整、さらに、鮮鋭性、粒状性、の各調整処理、自動画像調整(覆い焼き的な処理や、露光アンダー補正、など)のレベル調整等の各種画像処理を施して出力画像を生成し、画像ストレージ部5、銀塩露光プリンタ71、IJプリンタ72、画像書込部73のうち、指定された出力先に出力する。このとき、出力画像に対して出力先に応じた色変換を行った後、出力する。
【0065】
指示入力部3は、表示部4の表示画面上を覆う透明電極を格子状に配置して構成された感圧式(抵抗膜圧式)の接触センサ31により、手指やタッチペン等で押下された力点のXY座標を電圧値で検出し、検出された位置信号を操作信号として画像処理部2に出力する。また、マウス32やカーソルキー、数字キー、機能キー等の各種キーを備えたキーボード33を備え、操作信号を画像処理部2に出力する。
【0066】
表示部4は、CRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)等によってなる表示画面を備え、画像処理部2から入力される表示信号の指示に従って画像を画面上に表示する。
【0067】
画像ストレージ部5は、HDD(Hard Disc Drive)、半導体の不揮発性メモリ等により構成され、出力画像を記憶する。
【0068】
図2に、本発明で好ましく利用することができる透過原稿スキャナ12aの構成例を示す。
赤外光を含む光源部121から発生した光は、拡散部材122で均質化され、フィルムキャリア123に保持されたフィルムに照射される。フィルムキャリア123は、フィルムを保持するとともにスキャニング時には、フィルムを等速度で搬送し、原稿の副走査搬送を行う。
【0069】
フィルムを透過した光は、光学レンズ124を通過し、CCDラインセンサ126に結像するが、その前にダイクロイックフィルタ125で分光され、青(B)、緑(G)、赤(R)、赤外(IR)の各色光が分離され、B信号がCCDラインセンサ126a、G信号がCCDラインセンサ126b、R信号がCCDラインセンサ126c、IR信号がCCDラインセンサ126dにそれぞれ結像、受光される。各受光信号はA/D変換器127a〜127dによりA/D変換され、デジタル画像信号値となって画像メモリ128に保存され、画像処理部2に送られる。
【0070】
図3に、特にブローニーフィルムなど、大サイズのフィルムを読み込む際に好ましく用いられる透過原稿スキャナ12bの構成例を示す。
なお、透過原稿スキャナ12bの構成は、上述した透過原稿スキャナ12aとフィルムキャリア123のフィルム保持方法と、フィルムの副走査方法が異なるだけで、他は同一であるので、相違点のみを説明する。
【0071】
フィルムは平面性を確保する為、圧着ガラス123aで狭持されている。圧着着ガラス123aに挟持されたフィルムはフィルムキャリア123に搭載され、フィルムキャリア123自体が、フィルムキャリア台座上を等速度で移動する事により、副走査が実行される。
【0072】
なお、フィルム押さえを工夫し、圧着ガラス123aを下側だけにしても平面性保持に有効である。圧着ガラス123aは並行平面の板ガラスでも良いが、対向するフィルム面の平滑性によっては、平滑面間の光の反射、干渉によってニュートンリングが発生することがある。そこで、ニュートンリング防止のために、アンチニュートンガラスを利用する事が好ましい。アンチニュートンガラスの効果は、光の波長が長くなるほど減少する傾向があり、アンチニュートン性の効果が弱い製品の場合は、赤外線についてのみ弱いニュートンリングが発生する場合がある。そのため、本発明に係る画像処理部2においては、赤外線域の画像の傷、ゴミの補正または補間に際して、ニュートンリングの影響を除去する処理を行う。詳細は後述する(図13参照)。
【0073】
次に、本発明の動作について説明する。
図4に、画像処理部2により実行される画像処理全体のフロー図を示す。なお、画像処理部2の動作は、画像処理部2に設けられたCPUと、画像処理部2内に設けられたROM等の記憶装置に記憶されているプログラムとの協働によるソフトウエア処理によって実現されるものである。
【0074】
透過原稿スキャナ12、反射原稿スキャナ11、メディアドライバ13、情報通信I/F14により取得された入力画像は、まず、それぞれの入力属性に応じた入力色変換が実施される。また、透過原稿スキャナ12、反射原稿スキャナ11により取得された入力画像に関しては、傷、ゴミに起因する画像欠陥を補正または補間する、傷、ゴミ処理が行われる(ステップS1)。入力色変換には、例えば、透過原稿スキャナ12においてフィルム透過光量をCCD126が受け取り、デジタル信号化した信号値を、視覚信号値や、光学濃度値等、画像信号として意味のある単位系へと変換する機能や、各々の分光特性に応じて表現されている色調を、標準的な色空間に整合させる処理が含まれる。
【0075】
次に、画像判定、色明るさ調整が実施される(ステップS2)。これは、取得された画像が、目的にそぐわない明るさ、色調を有している場合に、以降のユーザー調整が簡単に実施できるよう、あらかじめ正解に近い階調調整量を自動的に求め、求められた自動調整量に基づいて、色、明るさ、コントラスト調整を画像に施すステップである。
【0076】
ステップS2において色、明るさ、コントラスト調整が施された画像は、表示部4に表示される(ステップS3)。指示入力部3により評価OKが入力されず(ステップS4;NO)、さらに調整が必要な場合は、処理はステップS2に戻り、指示入力部3による追加調整指示に基づいて、再度、前述自動調整分と、追加調整分の、色、明るさ、コントラスト調整が画像に施され、表示部4に表示される。以上の処理を繰り返し、指示入力部3により評価OKが入力されると(ステップS4;YES)、処理はステップS5へ移行する。
【0077】
色、明るさ、コントラスト調整が施された画像は、必要に応じて画像の拡大/縮小処理(ステップS5)、ノイズ低減処理(ステップS6)、鮮鋭性強調処理(ステップS7)、画像回転、貼り付け合成処理(ステップS8)等が施される。最後に、各種画像処理の施された画像は、銀塩露光プリンタ71、IJプリンタ72、各種画像記録メディア等の出力機器の有する色空間に階調変換処理が施され(ステップS9)、それぞれの出力機器に転送される(ステップS10)。
【0078】
また、前述の画像の拡大/縮小、ノイズ低減処理、画像回転、貼り付け合成処理等は、その処理の内容に応じては、処理ステップの順序が異なるが、本発明の趣旨の説明には影響ないため、特に他の例は記載しない。
【0079】
図5に、透過原稿スキャナ12、反射原稿スキャナ11により取得された画像が入力された際に図4のステップS1で実行される傷、ゴミ処理を概略化したフロー図を示す。
まず、画像メモリ128から可視光域の信号(B信号、G信号、R信号)により構成される可視光域の画像(青(B)画像、緑(G)画像、赤(R)画像;以下、本実施の形態において、可視画像と称する)、赤外線域の信号(IR信号)により構成される赤外線域の画像(以下、本実施の形態において、赤外画像と称する)がそれぞれ取得され(ステップS11)、赤外画像に対してマスキング処理が行われる(ステップS12)。
【0080】
図6に、赤外画像補正処理(マスキング処理)のフロー図を示す。このマスキング処理は、赤外画像に、可視画像、特に赤画像を形成するC(シアン)色素が赤外画像にも若干の影響を与える分を消去する計算処理である。
まず、赤外画像と可視画像のうちの赤画像の画像相関が計算される(ステップS201)。即ち、赤外画像の各部において、赤画像がどのような信号値であるかの相関が計算される。次いで、計算された画像相関に基づいて補正定数が算出され(ステップS202)、算出された補正定数を赤画像に乗算して赤外画像から差し引くことにより、赤外画像が補正される(ステップS203)。
【0081】
図5に戻り、マスキング処理された赤外画像から赤外画像の傷、ゴミ存在領域が抽出され、これに基づいて、傷、ゴミ候補領域が決定され(ステップS13)、この傷、ゴミ候補領域に基づいて可視画像における傷、ゴミ領域が特定され(ステップS14)、特定された領域に対して傷、ゴミ補正処理または傷、ゴミ補間処理が施される(ステップS15)。
【0082】
ここで、傷、ゴミ領域の処理の方法には、大きく分けて、2つの手法が一般に知られている。一つは、傷、ゴミ領域は、傷、ゴミの影響を受けて画像信号が減衰などの影響を受けており、この影響分を補正する考えに基づいており、本発明ではこれを補正処理とする。もう一つの例は、傷、ゴミの影響を受けて画像信号が欠損した領域を、周囲の情報を利用して復元を試みるものであり、本発明ではこれを補間処理とする。
【0083】
図7は、赤外画像により、傷、ゴミ情報が抽出される理論を簡単に図式化したものである。図7に示すように、画像を構成する色素はそれぞれ強く吸収する可視信号を持つが、赤外信号は強く吸収しない。一方、傷、ゴミは、可視信号、赤外信号ともに吸収、または分散特性を有する為、赤外画像を観察する事で画像上の傷、ゴミの存在位置を抽出することが出来る。
【0084】
図8に、傷、ゴミ候補領域決定処理のフロー図を示す。図8に示す傷、ゴミ候補領域決定処理は、透過原稿スキャナ12により取得され、入力色変換が行われた画像から傷、ゴミ候補領域を決定するための処理であり、図5のステップS11〜13に相当する処理である。
【0085】
まず、画像メモリ128から可視画像、赤外画像がそれぞれ取得され(ステップS21)、赤外画像に対して、図6の赤外画像補正処理(マスキング処理)が行われる(ステップS22)。次いで、補正された赤外画像をもとに、赤外基準データが作成され(ステップS23)、赤外基準データと補正された赤外画像を元に、赤外差分データが作成される(ステップS24)。ここで、赤外基準データは、赤外画像に傷、ごみ等の欠陥が存在しなかった場合に得られるであろう赤外画像信号値のことで、例えば、補正された赤外画像に強い平滑化フィルタをかけることにより作成される。赤外差分データは、ステップS22において作成された補正された赤外画像の信号値から赤外基準データを差し引いたものであり、傷、ゴミ等の欠陥が各画素に及ぼす影響を示すデータである。
【0086】
次いで、赤外差分データは、適当な閾値により、信号2値化され(ステップS25)、ノイズ処理が施される(ステップS26)。ノイズ処理は平滑化フィルタを用い、平滑化後、信号値を再2値化すればよい。更に、信号2値化前に、たとえば特開2002−262094記載の、可視画像に採用されるような各種ノイズフィルタが利用でき、フィルタ処理後、2値化処理する手法が採用できる。このように、赤外画像から赤外差分データが作成され、更に信号2値化、ノイズ処理が行われることにより、傷、ゴミの存在する傷、ゴミ存在領域が抽出される。
【0087】
ここで、代表的な空間周波数帯域フィルタについて、簡単に説明する。
< 空間周波数帯域フィルタの簡単な例 >
画像の番号付けを、下記の〔表1〕のように行う。
【表1】
【0088】
(鮮鋭性強調、あるいは平滑化フィルタ)
・中央部5*5画素の情報を用いて、下記の計算結果を得る
FP1 = FP1/divdat
但し、fildat[1]〜[7]は、所定の定数
・FP1に、下記の制限を設ける
FP1>0 かつ FP1<閾値F :FP1=0
〃 かつ FP1≧閾値F :FP1=FP1−閾値F
FP1<0 かつ −FP1<閾値F :FP1=0
〃 かつ −FP1≧閾値F :FP1=FP1+閾値F
FP1>0 かつ FP1>上側制限値 :FP1=上側制限値
FP1<0 かつ FP1<下側制限値 :FP1=下側制限値
・下記の式で、新たな中央画素値、p55’を得る
p55’ = p55 + FP1
【0089】
この処理例は、銀塩フィルムからの画像に対する画像処理で特に好ましい処理例で、5*5画素のエッジ強調フィルタの実施例である。divdatを大きくすることによって鮮鋭性強調フィルタの効きが弱くなり、小さくすることによって、鮮鋭性強調フィルタの効きが強くなる。上側制限値、下側制限値を小さく設定すると、ごま塩(独立点の)ノイズが極端に強調される不具合を軽減し、滑らかな調子再現が得られ、制限値を大きく、または制限を設けなければ、自然なエッジ強調効果が得られる。
【0090】
また、fildatの値を変えることにより、平滑化フィルタとしても機能する。
閾値の設定が必要ない場合は、下記の式が利用可能で、平滑化フィルタが簡単に設計できる。
・中央部5*5画素の情報を用いて、下記の計算結果を得、新たな中央画素値、p55’を得る
FP1 = FP1/divdat
但し、fildat[1]〜[7]は、所定の定数
これら各種パラメータを補正量として定義することが出来、目的に応じ、領域ごとに変更可能である。
【0091】
(バンドカットフィルタ)
・9*9画素の画像を用いて、下記の計算結果を得る
・下記の式で、新たな中央画素値、p55’を得る
p55’ = p55 + FP2
この処理例は、9*9画素の、バンドカットフィルタの実施例である。閾値2を大きくすると、ターゲットとなる空間周波数帯域の信号除去効果が大きくなり、信号の低周波変動が強く押さえられる。これら各種パラメータを補正量として定義することが出来、また、周辺データの参照範囲を変えて特性の調整が出来、領域ごと、あるいは機種ごとに変更可能である。
【0092】
< ノイズフィルタの例>
・本実施例では、ノイズ処理に利用するノイズフィルタの別の一例として、モルフォロジー処理の一形態として知られている、収縮処理(エロージョン、クロージング。以下、クロージングと称する。)を実施し、孤立点の除去を行う方法を利用することができる。また、前述のノイズフィルタの例としては、以下のようなものがある。画像の番号付けを、下記の〔表2〕のように行う。
【表2】
【0093】
・X方向に付いて、一番内側の組み合わせについて、
計算式 : abs(X1’+X1 − 2*P)< 閾値
を満たす場合、X1、X1’を平均化するデータ群に加える
・一つ外側、その次・・と、上記判定式が成り立たなくなるところまで、または、あらかじめ初期値として指定された最大半径(たとえば4画素)まで繰り返す
・Y方向についても同様に繰り返す
・データ群に加えられたデータと、中央画素Pとの単純平均を求め、新しい中央画素P’とする
上記方式で、閾値を大きく設定すると、ノイズ除去効果が大きくなり、一方、細かなディテールは消えてしまう場合がある。また、「あらかじめ初期値として指定された最大半径」を切り替えると、どの程度の大きさのノイズまで除去できるかが、変化する。この例では上記の2つのパラメータがあり、領域ごとに設定値を変えることが出来る。
【0094】
図8に戻り、信号2値化、ノイズ処理された、傷、ゴミ存在領域を示す赤外差分データにおいて、傷、ゴミ存在領域を拡張する傷、ゴミ領域拡張処理が行われる(ステップS27)。傷、ゴミ領域拡張処理は、モルフォロジー処理の一形態として知られている、膨張処理(ダイレーション、オープニング。以下、オープニング処理と称する。)を必要量実施する。あるいは前述のノイズフィルタとして、平滑化フィルタや、類似のノイズフィルタを利用した場合は、信号値の再2値化の際、傷、ゴミ領域と判断されやすいように閾値の調整を行っても、傷、ゴミ領域拡張処理は可能である。そして、拡張された領域を傷、ゴミ候補領域、その他の領域に存在する画素を正常画素とし(ステップS28)、本処理は終了する。
【0095】
上述したゴミ候補領域決定処理により、赤外画像に基づいて、対応する可視画像の傷、ゴミ候補領域が決定される。
【0096】
次に、図9を参照して、可視画像において、傷、ゴミ候補領域から傷、ゴミ候補領域に存在する正常画素を抽出して除外する、傷、ゴミ領域特定処理について説明する。この処理は、図5のステップS14に相当する処理である。
【0097】
まず、画像メモリ128から可視画像が取得され(ステップS31)、注目画素が抽出される(ステップS32)。次いで、抽出された注目画素が傷、ゴミ候補領域に所属しているか否かが判断される(ステップS33)。
【0098】
注目画素が傷、ゴミ候補領域に所属している場合(ステップS33;YES)、その近傍領域の正常画素が抽出され(ステップS34)、注目画素と近傍の正常画素との関連が評価される(ステップS35)。注目画素と近傍の正常画素との関連性が高いと評価された場合は(ステップS36;YES)、当該注目画素は正常画素とされる(ステップS38)。注目画素と近傍の正常画素との関連性が高くないと評価された場合は(ステップS36;NO)、当該注目画素は傷、ゴミ領域の画素、即ち欠陥画素とされる(ステップS37)。注目画素と、近傍正常画素との関連評価は様々なものが考えられるが、例えば、近傍の正常画素と、注目画素との信号値の差分の絶対値が、所定閾値内に収まる画素を抽出し、その数が所定数以上存在すれば正常画素とすることが出来る。
【0099】
前記所定閾値は固定値でも良いが、例えば、傷、ゴミ処理の画像処理後、画像処理後段にノイズフィルタでノイズ低減処理を施す場合、その強度(前述のノイズフィルタのように、ノイズフィルタが閾値を保持している場合は、その閾値の大きさ)に応じて決定しても良い。このようにすると、微小な傷の影響は後段のノイズフィルタが消去するので、傷、ゴミ処理をここで掛ける必要は無く、傷、ゴミ処理が必要な領域を最低限に押さえる事が出来、画像処理能力が向上する。
【0100】
正常画素或いは傷、ゴミ領域の画素と決定された後、全画素についてステップS32〜38の処理が終了したか否かが判断され(ステップS39)、全画素について終了していない場合は、次の画素の評価へ移行し(ステップS40)、ステップS32〜S39が繰り返し実行される。全画素について処理が終了した場合は(ステップ39;YES)、本処理は終了する。
【0101】
なお、本フローに於いて、傷、ゴミ候補領域の決定法は1方法に限られるものではない。前述の赤外画像を用いて傷、ゴミ候補領域を決定する方法(図8参照)のほかに、反射原稿スキャナ11で、表面反射画像を採取し、その表面不連続性から求めても良い。上記手法を行う反射原稿スキャナ11については後述する(図18参照)。その他、透過原稿の場合に、照射光源の光質を切り替えて、例えば透過光と、反射光、あるいは、フィルムに概平行光束を照射する集光光源と、拡散ボックスを利用して、柔らかな光をフィルムに当てる拡散光源を交互に切り替え、画像採取して、その差から、検出しても良い。
【0102】
上述した傷、ゴミ領域特定処理により、可視画像の傷、ゴミ領域が求められるので、求められた傷、ゴミ領域を用いて、後述する傷、ゴミ補正処理や傷、ゴミ補間処理を行うことができる。
【0103】
ここで、赤外画像と可視画像には、光学レンズ124の色収差等により、若干ずれが生じる。そこで、本発明はさらに、図8や図9の手法を応用することによって、赤外画像と可視画像の情報の位置合わせが可能な手法を提供する。
【0104】
図10に、傷、ゴミ補正処理Aのフロー図を示す。本処理は、図5で概略説明した傷、ゴミ処理の応用例であり、図8、図9の手法を用いて赤外画像、可視画像の傷、ゴミ領域を特定し、赤外画像、可視画像のずれ量を推定し、赤外画像と可視画像の情報の位置合わせ後、傷、ゴミ補正を行うものである。
【0105】
まず、画像メモリ128から赤外画像、可視画像がそれぞれ取得され(ステップS41)、赤外画像について図8のステップS22〜24の処理を行うことにより、赤外差分データが作成される(ステップ42)。次いで、作成された赤外差分データが適当な閾値により信号2値化され、ノイズ処理されることにより、赤外画像の傷、ゴミ領域が特定される(ステップS43)。
【0106】
赤外画像における傷、ゴミ領域特定後、図8のステップS27と同様の処理により、特定された領域が拡張処理され、傷、ゴミ候補領域が決定され(ステップS44)、この傷、ゴミ候補領域を用いて図9の傷、ゴミ領域特定処理を行うことにより、可視画像の傷、ゴミ領域が特定される(ステップS45)。
【0107】
赤外画像の傷、ゴミ領域特定後、赤外画像の各傷、ゴミ領域の領域重心座標が算出される(第1重心とする)(ステップS46)。また、可視画像の傷、ゴミ領域特定後、可視画像の各傷、ゴミ領域の領域重心座標が算出される(第2重心とする)(ステップS47)。図11に赤外画像の傷、ゴミ領域と可視画像の傷、ゴミ領域及び第1重心、第2重心の一例を示す。算出された第1重心、第2重心の位置の差から、傷、ごみ領域の赤外、可視画像間の情報の位置的なずれ量が算出される(ステップS48)。算出されたずれ量は、ずれ量データとして、対応する可視又は赤外画像の座標位置のデータに対応付けてRAMに記憶される(ステップS49)。そして、記憶されたずれ量データ、座標位置に基づいて、ずれ量マップが作成され(ステップS50)、作成されたずれ量マップに基づいて赤外画像の情報が補正される(ステップS51)。
【0108】
図12(a)にずれ量マップの一例を示す。ずれ量マップは、図12(a)に示すように、各傷、ゴミ領域については、その重心位置のずれ量が求められるのみである。近傍にいくつかの傷、ゴミ領域がある場合は、図示のとおり、それぞれの傷、ゴミ領域の重心位置に、おのおののずれ量が設定される。実際の傷、ゴミ領域は、重心とは異なる位置に存在する場合がほとんどなので、重心位置以外の傷、ゴミ領域の画素のずれ量を推定する必要がある。
【0109】
ずれ量推定の手法としては、例えば、ずれ量を求めたい画素の近傍にあるずれ量データを探し、複数見つかった場合は、それらのずれ量に、当該画素から、おのおののずれ量が設定されている重心位置までの距離に応じた重み付け平均処理を施してずれ量を求めればよく、もし、近傍に1つしかずれ量データが見つからない場合は、そのずれ量を用いることで推定される。ステップS51においては、上述の手法等を用いて傷、ゴミ領域内の各画素のずれ量が推定され、推定されたずれ量に基づいて、赤外画像において、可視画像との位置的なずれが補正される。
【0110】
赤外画像の、可視画像との位置的なずれが補正された後、この補正された赤外画像を用いて傷、ゴミ補正処理が実施される(ステップS52)。
【0111】
ここで、第1重心と第2重心の重心位置の差が、赤外、可視間の画像ずれ量となるが、領域には複数の画素が含まれている為、その重心位置は、画素単位量より高い計算精度を有するため、例えば、0.5画素といったずれ量も計算できる。このような微小なずれ量の参照は、赤外画像を、一般に拡大、縮小、回転に用いられる画像補間手法を用いて補正してかまわない。
【0112】
また、図12(a)のずれ量マップに示すように、ずれ量データは、画像内に散在して求められるのが普通である。すなわち、図12(b)に示すように、画像上にはずれ量データが近傍に存在しない領域が大きく存在するが、ここはもともと傷、ゴミが実質的な影響を及ぼしていない領域である為、ずれ量算定の意味はない。
【0113】
上述した傷、ゴミ補正処理Aで用いた本発明の画像ずれ量算出方法は、実際に処理する可視画像そのものから、赤外画像との情報の位置的なずれ量を算出できるので、特に、画像内の位置によって、ずれ量が若干変動してしまう場合に於いても、あらかじめ求めた規定値を用いるより好ましい補正が可能となる。あらかじめ求めた規定値で大まかな位置補正を行い、その後、本発明の手法を用いることも、もちろん好ましい。
【0114】
なお、ずれ量の計算は、大体のずれ方向(前記のように、ずれ量が予測できない方向)がわかっていれば、上述した重心を用いる以外の手法を用いる事が出来る。例えば、図11のように赤外画像と可視画像の傷、ゴミ領域がずれている場合、このずれ方向(左上がり)にいくつかの線分を引き、可視、赤外、各々の傷、ゴミ領域の開始点、終了点を求め、この中心位置から、ずれ量を求めることができる。この場合、領域形態によっては、ずれ量算出結果に誤差が出る可能性が高い為、近傍領域で複数のずれ量を算出し、この平均(あるいは、統計的に異常データを排除した上で平均を取る)を用いると良い。
【0115】
実際には、上記ずれ量が予測できない方向は、たとえばフィルムスキャナの機構によって、主、副どちらかの走査方向である場合が多い。例えば、BGR、及びIRのラインCCDを平行に並べ(この、ラインCCDの素子配列方向を主走査とする)、フィルムをこれと直行する方向に等速移動してスキャンする場合、フィルムの移動速度の変動が、画像の副走査方向のずれとして現れ、この量は、ある程度上の精度を得ようとすると、予測不可能、あるいは非常に困難となる。
【0116】
図13に、傷、ゴミ補正処理Bのフロー図を示す。本処理は、図5で概略説明した傷、ゴミ処理の応用例であり、傷、ゴミ補正処理の過程で、透過原稿スキャナ12の種類やフィルムスキャナ種に応じて、画像に含まれる所定の空間周波数帯域の情報を削除または減衰させる周波数帯域フィルタ処理、ノイズ成分を軽減させるノイズフィルタ処理を施すものである。なお、画像処理部2は、画像取得部1から画像情報を取得する際に、併せてフィルムキャリアの種別情報、或いはスキャナの種別情報を取得する。また、画像処理部2には、フィルムキャリアの種別情報、スキャナの種別情報に応じて特性の異なる周波数帯域フィルタ、ノイズフィルタが予め設定されている。
【0117】
まず、画像メモリ128から可視画像、赤外画像が取得され(ステップS61)、赤外画像に対して、図6の赤外画像補正処理(マスキング処理)が行われる(ステップS62)。次いで、当該画像を読み取ったフィルムキャリア種、あるいはスキャナ種等の画像読み込み条件に対応して、あらかじめ定められた、周波数帯域フィルタ(バンドカットフィルタ)に切り替えられ(ステップS63)、補正された赤外画像に周波数帯域フィルタ処理が施される(ステップS64)。
【0118】
ここで、フィルムキャリア種、スキャナ種としては、例えば、図2に示したようなフィルムキャリアに圧着ガラスのないローフィルムキャリア(又は、ローフィルムキャリアを有するスキャナ)、図3に示すようなフィルムキャリアに圧着ガラスを有する汎用フィルムキャリア(又は、汎用フィルムキャリアを有するスキャナ)等があり、これらの種別に応じて周波数帯域フィルタ、ノイズフィルタが設定される。フィルタとしては、前述したフィルタ等を用いることができる。
【0119】
周波数帯域フィルタ処理後、当該画像を読み取ったフィルムキャリア種、あるいはスキャナ種等の画像読み込み条件に対応して、あらかじめ定められたノイズフィルタに切り替えられ(ステップS65)、周波数フィルタ処理が施された赤外画像にノイズフィルタ処理が施される(ステップS66)。
【0120】
フィルタ処理後、上述した各処理が施された赤外画像から、傷、ゴミ情報を含んだ赤外画像そのものの画像信号値が赤外加工データとして、赤外加工データのベース信号分が赤外ベース情報として、それぞれ取得される(ステップS67)。赤外ベース情報は、赤外加工データに、より強いノイズカットフィルタを掛け、傷、ゴミ情報を削除したデータから得られるし、画像データが十分なシェーディング補正されたものであれば、必要に応じ、簡単な平滑化フィルタを掛けた後に、赤外加工データの最大信号値を得て、画像内固定の定数としても良い。
【0121】
次いで、赤外画像の各画素から注目画素が抽出され(ステップS68)、その注目画素における赤外加工データから赤外ベース情報を差分することにより当該注目画素の赤外差分データが作成される(ステップS69)。そして、この赤外差分データに基づいて、傷、ゴミ補正値が算出され(ステップS70)、算出された補正値に基づいて可視画像における当該注目画素の傷、ゴミ補正が施される(ステップS71)。赤外画像の全画素についてステップS68〜71が繰り返し実行され、全画素についての補正が終了すると(ステップS72;YES)、本処理は終了する。
【0122】
上述した傷、ゴミ補正処理Bにより、赤外画像に周波数帯域フィルタ処理を施すことにより、圧着ガラス付きフィルムキャリアで、赤外画像にニュートンリングが発生するような条件でも、ニュートンリングに対応する空間周波数帯域をカットする事で、補正不良を防止することができる。同様の処理は、既に説明した図8における赤外基準データ作成から、赤外差分データ作成にも応用でき、同様の理由で発生する、傷、ゴミ検出異常の解消が可能となる。
【0123】
また、赤外画像にノイズフィルタ処理を施すことにより、赤外信号の全体的な減衰が大きくなるシステムで、赤外画像のS/N(Signal/Noise)比が通常より悪い場合に、必要な量のノイズフィルタを作用させる事で、異常補正を防止し、傷、ゴミ補正において良好な結果が得られるようになる。同様の処理は、図8に応用することができる。
【0124】
なお、本処理においては、図10で説明した、赤外画像と可視画像のずれ量の推定を行って、赤外画像と可視画像間の情報の位置的なずれを補正したのち、傷、ゴミ補正を行うことが好ましい。
【0125】
図14に、傷、ゴミ補正処理Cのフロー図を示す。本処理は、図5で概略説明した傷、ゴミ処理の応用例であり、図8、図9で説明した手法を用いて赤外画像の傷、ゴミ領域と可視画像の傷、ゴミ領域を別途定め、可視画像の傷、ゴミ補正を赤外画像における近傍領域の補正値に基づいて処理するものである。
【0126】
まず、画像メモリ128から可視画像、赤外画像がそれぞれ取得され(ステップS81)、赤外画像に対して、図6の赤外画像補正処理(マスキング処理)が行われる(ステップS82)。次いで、補正された赤外画像をもとに、赤外基準データが作成され(ステップS83)、赤外基準データと補正された赤外画像を元に、赤外差分データが作成される(ステップS84)。ここで、赤外基準データは、赤外画像に傷、ごみ等の欠陥が存在しなかった場合に得られるであろう赤外画像信号値のことで、例えば、補正された赤外画像に強い平滑化フィルタをかけることにより作成される。赤外差分データは、ステップS82において作成された補正された赤外画像の赤外画像信号値から赤外基準データを差し引いたものである。
【0127】
次いで、赤外差分データは、適当な閾値により、信号2値化され(ステップS85)、ノイズ処理が施され(ステップS86)、赤外画像における傷、ゴミ領域が特定される(ステップS87)。赤外画像における傷、ゴミ領域特定後、領域内各画素の赤外信号値に基づいて、領域内の各画素の画像信号補正値が算出される(ステップS88)。
【0128】
次いで、図8、図9で説明した手法を用いて可視画像の傷、ゴミ領域が設定され(ステップS89)、注目画素が抽出される(ステップS90)。抽出された注目画素は、可視画像における傷、ゴミ領域に所属しているか否かが判断され(ステップS91)、傷、ゴミ領域に所属している場合は、赤外画像におけるその注目画素の近傍領域に存在する傷、ゴミ領域の複数の画像信号補正値が抽出され(ステップS92)、抽出された複数の画像信号補正値の代表値が算出される(ステップS93)。代表値は、例えば、抽出された複数の画像信号補正値の単純平均、注目画素からの距離に基づいた重み付け平均等により算出される。抽出した補正値の数が多い場合には、統計的処理によって異常データを排除し、残ったデータから、前述のような方法で算出するとよい。
【0129】
代表値が算出されると、この代表値は注目画素の傷、ゴミ補正値とされ(ステップS94)、傷、ゴミ補正値に基づいて、注目画素に対して傷、ゴミ補正が行われる(ステップS95)。全画素について上述したステップS91〜95が終了していなければ(ステップS96;NO)、次の画素が抽出され(ステップS97)、ステップS91〜97が繰り返し実行され、全画素について終了すると(ステップS96;YES)、本処理は終了する。
【0130】
ここで、傷、ゴミの発生原因は、多くの場合、単一の埃、あるいは単一の要因による傷であるので、傷、ゴミ領域の影響は画像情報そのものと比較して均質である。従って、近傍の複数の画像信号補正値を取得して代表値を求め、これを傷、ゴミ補正値とすれば、単一の画素から傷、ゴミ補正値を求めるより、ノイズ成分の影響が少ない、より確度の高い傷、ゴミ補正値が得られる。
【0131】
上述した傷、ゴミ補正処理Cによれば、赤外画像の傷、ゴミ領域と、可視画像の傷、ゴミ領域を別途定め、その結合を近傍信号を元に行うので、赤外画像と、可視画像に若干のずれが有っても、またさらに、そのずれが、画面局部各々で不連続に異なっていても、異常補正の危険が少ない補正能力が得られるという優れた能力を有する。
【0132】
以上、可視画像の傷、ゴミの影響を補正する処理について述べてきたが、傷、ゴミの影響は、先に示したように、補間処理によっても軽減可能である。
図15に、画像処理部2により実行される傷、ゴミ補間処理のフロー図を示す。本処理は、図5で概略説明した傷、ゴミ処理のステップS15に相当する処理であり、図8、図9に示す手法等により可視画像における傷、ゴミ領域を特定後に実行される。
【0133】
まず、可視画像において注目画素が抽出される(ステップS101)。抽出された注目画素は、可視画像における傷、ゴミ領域に所属しているか否かが判断され(ステップS102)、傷、ゴミ領域に属している、即ち、欠陥画素である場合は(ステップS102;YES)、B、G、R画像のそれぞれについて、当該注目画素を中心に対向する複数の正常画素対が抽出される(ステップS103)。
【0134】
図16に、注目画素を中心に対向する正常画素対を抽出する方法の例を示す。図16(a)に示すように、注目画素を中心として、正常画素対を探索する方向を決定し、探索方向に探索して、傷、ゴミ領域に最も近い所定数の画素を抽出する(図16(a)においては、所定数を2としている)。探索方向は、図16(b)〜(d)に示すように、傷、ゴミ領域の大きさによって増やしてもよい。
【0135】
図15に戻り、複数の正常対向画素抽出後、抽出された正常対向画素同士の関連が評価され(ステップS104)、最も関連性の高い方向が抽出される(ステップS105)。関連評価としては、例えば、正常対向画素同士の画像信号値の差分の絶対値をとり、絶対値が最も小さい方向を最も関連性の高い方向とする。B画像、G画像、R画像の全てについて終了するまで(ステップS106;NO)、一つの信号の画像が終了したら次の信号の画像に移行し(ステップS107)、B画像、G画像、R画像のそれぞれについて、ステップS103〜S105が繰り返し実行される。
【0136】
B画像、G画像、R画像それぞれについてステップS103〜S105が終了すると(ステップS106;YES)、B画像、G画像、R画像それぞれで抽出された方向の関係が評価され(ステップS108)、評価に基づいて、正常画素の組を抽出する方向が決定され、正常画素対の組が抽出される(ステップS109)。そして、抽出された正常画素対の画像信号値を用いて注目画素値が推定され、注目画素が推定された注目画素値に置きかえられる(ステップS110)。全画素について終了するまで、次の画素の評価へ移行し(ステップS112)、ステップS101〜S109が繰り返し実行され、全画素について終了すると(ステップS111;YES)、本処理は終了する。
【0137】
図17に、図15のステップS108、ステップS109においてB画像、G画像、R画像それぞれで抽出された方向の関係を評価し、画素抽出する方向を定める方法の例を示す。例えば、図17に示すように、抽出された方向の関係の評価は、方向に、確からしさを示す重み付け(ここでは、NTSC(National TV Standards Committee)方式で用いられている、人間の目の明るさを感じる割合(視感度)を利用。R:G:B=0.3:0.59≒0.6:0.11≒0.1)をかけて評価する。図17(a)においては、G画像、R画像から求められた方向αは評価点9となり、B画像から求められた方向βは評価点1となる。その結果、画素抽出する方向は方向αに決定される。また、図17(b)おいては、B画像、R画像から求められた方向αは評価点4となり、G画像から求められた方向βは評価点6となる。この場合、評価点の差が小さいので、全方向に決定される。
【0138】
以上のように、各色の画像で抽出された方向がばらついた場合は、方向性を持たせずに補間することも出来る。また、図17においては、方向の確からしさ(重み付け)に視感度を採用しているが、ベクトル決定時の信頼度情報を別途もとめても良い。信頼度情報は、例えば、B画像、G画像、R画像のそれぞれにおいて、複数方向の中から当該方向を抽出した際に、選ばれなかった他の組との距離を、統計的に処理して信頼度を求めればよい。
【0139】
上述した傷、ゴミ補間処理においては、赤外画像を必要とせず、傷、ゴミ候補位置を何らかの方法で求められれば良い。
図18は、傷、ゴミ存在領域を検出するための構成を備えた反射原稿スキャナ11と、画像処理部12における、この反射原稿スキャナ11から取得された画像を用いた傷、ゴミ処理を説明する図である。
【0140】
写真原稿は、2つの光源111a、111bにより照射される。写真原稿は、均一の光沢を示しているものであれば良い。光源111a、111bは、タイミング制御部113によって交互に発光し、CCD112cは両方の光源からの画像を取得、CCD112aは、光源111aが点燈しているタイミングで、CCD112bは、光源111bが点燈しているタイミングで画像を取得する。
【0141】
画像処理部2において、CCD112cにより取得された画像は、光源間差が比較され(ステップS121)、輝度差のある場合は、暗いほうの画像を重視して、1枚の元画像が形成される(ステップS122)。このようにすることで、光沢印画紙の微細な凹凸による反射や絹目印画紙の光沢反射を除去することが出来、好ましいコピー結果が得られる。
【0142】
一方、CCD112a、CCD112bにより取得された画像は、所定の画像信号値の範囲に収まらない画像領域が各々抽出され、両者の領域が一致した場合、その画像領域は、傷、ゴミ存在領域として決定される。CCD112a、CCD112bは、滑面原稿の正反射光を各々捕らえるもので、原稿表面に傷がある場合、この信号値は周囲と比較して非常に小さな値をとる。予め、プレスキャン画像等を参照し、或いは固定値として閾値による信号範囲を設定し、この範囲に収まらない信号値を異常信号とし、これがCCD112a、112bともに同一位置に発生した場合に、傷、ゴミ存在領域と決定される。傷、ゴミ存在領域は、更にノイズ処理後、オープニング処理によって拡張され、傷、ゴミ候補領域として特定される(ステップS123)。このゴミ、傷候補領域に基づいて、例えば、図9に示した手法により元画像情報から傷、ゴミ領域が特定され(ステップS124)、前述した各種の可視画像による補間、補正処理が実施される(ステップ125)。
【0143】
上述した構成により、赤外画像を用いずに、傷、ゴミ領域を特定し、補間、補正を実行することができる。
【0144】
以上説明したように、画像処理装置2によれば、画像処理システム100において、画像読取装置により読み取られた赤外画像に若干の残存収差があっても、また、赤外画像に若干の変動要因があっても、良好な傷、ゴミ補正または補間を行うことができる。またさらに、赤外画像と可視画像に若干の位置ずれが有っても、傷、ゴミの、可視画像に与える影響を適切に判断し、良好な補正結果、補間結果を得ることができる。
【0145】
なお、上記実施の形態における記述内容は、本発明に係る画像処理システム100の好適な一例であり、これに限定されるものではない。
また、画像処理システム100を構成する各装置の細部構成及び細部動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【0146】
【発明の効果】
請求項1、13、25に記載の発明によれば、入力画像における欠陥存在領域を抽出し、抽出された欠陥存在領域を拡張して、入力画像上の欠陥候補領域を決定し、決定された欠陥候補領域とその近傍領域の画像の情報を用いて、入力画像上の欠陥領域を特定する。従って、抽出された欠陥の存在領域と可視光域の画像における欠陥領域に若干の位置的なずれがあった場合にも、可視光域の画像の欠陥領域を確実、正確に捉えることができるので、高性能な欠陥補正結果、欠陥補間結果が得られる。また、十分な精度を得るために処理量が増大しがちな、可視光域の画像を用いた欠陥領域の特定処理が、あらかじめ欠陥候補領域を定めて、その限定された領域で実施されるので、画像処理能力上も好ましい。
【0147】
請求項2、14、16に記載の発明によれば、赤外線域の画像を用いて、欠陥存在領域を抽出し、抽出された欠陥存在領域を拡張して、赤外線域の画像に対応する可視光域の画像上の欠陥候補領域を決定し、決定された可視光域の画像上の欠陥候補領域とその近傍領域に存在する画像の情報を用いて、可視光域の画像上の欠陥領域を特定する。従って、赤外線域の画像を用いる事で、簡単に欠陥の存在領域を抽出することが出来、さらに、赤外線域の画像と可視光域の画像に若干の位置的なずれがあった場合にも、可視光域の画像の欠陥領域を確実、正確に捉えることが出来、高性能な欠陥補正結果または欠陥補間結果が得られる。また、十分な精度を得るために処理量が増大しがちな、可視光域の画像を用いた欠陥領域の特定処理が、あらかじめ欠陥候補領域を定めて、その限定された領域で実施されるので、画像処理能力上も好ましい。
【0148】
請求項3、15、27に記載の発明によれば、欠陥候補領域の外に存在する画素を正常画素とし、欠陥候補領域内において前記正常画素と同等の信号値を有する画素を抽出して欠陥候補領域から除外することにより欠陥領域を特定する。従って、画像上の欠陥領域を確実、正確に捉えることが出来、高性能な欠陥補正結果または欠陥補間結果が得られる。
【0149】
請求項4、16、28に記載の発明によれば、欠陥候補領域内の注目画素と、注目画素の周辺領域に存在する正常画素の信号値を比較し、その差分が、あらかじめ定められた閾値より小さい場合に、その注目画素を正常画素として抽出する。従って、所定の閾値を用いることにより、効率的に正常画素の抽出作業を実施することができる。
【0150】
請求項5、17、29に記載の発明によれば、補正または補間処理された画像に、第2の閾値を用いてノイズ低減処理を行う場合に、第2の閾値に基づいて欠陥候補領域内の正常画素の抽出に用いる閾値を定める。従って、補正または補間処理後のノイズ低減処理で処理可能な程度の軽微な欠陥を画像欠陥領域から除外できるので、補正、または補間する領域を可能な限り少なくすることが出来る。
【0151】
請求項6、18、30に記載の発明によれば、画像を構成する少なくとも3種類各色光に対して、欠陥画素を中心として対向する正常画素の組を複数抽出し、抽出された正常画素の各組に関し、各色光の画素信号値の差分を取得し、各色光について取得された差分が最も小さかった組の対向方向を示す方向情報を求め、求められた各色光の方向情報に基づいて、補間処理に用いる正常画素の組を抽出する。従って、欠陥画素の画像情報が欠損している場合でも、周囲の画像情報に基づいて補間処理を行うことができるので、違和感の無い、自然な補間処理が実現できる。また、複数の色光を用いて補間に用いる組を選択できるので、ノイズの影響を受けにくい、好ましい補間結果が得られる。
【0152】
請求項7、19、31に記載の発明によれば、各色光の方向情報に加え、各色光の方向情報の確からしさを示す情報を取得し、各色光の方向情報及びその確からしさを示す情報に基づいて、補間処理に用いる正常画素の組を抽出する。従って、各色光の方向情報のみでなく、その方向情報の確からしさも用いて、補間処理に用いる画素を抽出する好ましい方向を決定できるので、より精度の高い補間結果を得ることができる。
【0153】
請求項8、20、32に記載の発明によれば、赤外線域の画像上の欠陥存在領域を特定し、欠陥存在領域内の各画素について、赤外線域の信号値に基づいて画像信号補正値を算出する。そして、可視光域の画像上の欠陥領域を特定し、可視光域の画像上の欠陥領域内の注目画素の近傍に存在する画素の画像信号補正値に基づいて、注目画素の欠陥補正値を算出する。従って、赤外線信号の減衰状況に応じた可視光域の画像の補正を行う場合において、可視光域、赤外線域の画像情報に若干のずれがあった場合にも、異常補正の無い、良好な画像補正結果が得られる。
【0154】
請求項9、21、33に記載の発明によれば、注目画素の近傍に存在する複数画素の画像信号補正値に基づいて、注目画素の欠陥補正値を算出する。ここで、近傍に存在する欠陥のある画素同士は、多くの場合単一原因によるものであることから、欠陥部分の情報は、画像の情報そのものと比較して均質である。従って、近傍の複数画素の画像信号補正値に基づいて欠陥補正値を算出することにより、単一の画素から画像信号補正値を算出するよりノイズ成分の影響の少ない、より精度の高い欠陥補正値を得ることができる。
【0155】
請求項10、22、34に記載の発明によれば、赤外線域の画像に含まれる所定空間周波数帯域の情報を削除、または減衰するバンドカットフィルタを作用させ、さらに、ノイズ成分を軽減させるノイズフィルタを作用させて赤外線域の画像を補正し、補正された赤外線域の画像の情報に基づいて画像処理を施す。従って、例えば、画像読取装置の種類により赤外線域の画像に発生するニュートンリングやノイズ等の赤外線域の画像の情報の変動要因を良好に軽減できるので、これら変動要因に左右されない、良好な画像処理を行うことができる。
【0156】
請求項11、23、35に記載の発明によれば、特性が異なるバンドカットフィルタの中から、画像読取装置の種別に基づいて、作用させるバンドカットフィルタを切り替える。従って、画像読取装置の種別によって変化する赤外線域の画像の情報の変動要因に良好に対応することができる。
【0157】
請求項12、24、36に記載の発明によれば、赤外線域の画像上の欠陥領域を特定し、赤外線域の欠陥領域と可視光域の画像を用いて、可視光域の画像上の欠陥領域を特定し、特定された赤外線域の画像上の欠陥領域及び特定された可視光域の画像上の欠陥領域から、赤外線域の画像と可視光域の画像の情報の位置的なずれ量を算出し、算出された位置ずれ量に基づいて、赤外線域の画像の情報を補正する。従って、赤外線域の画像の情報を用いて可視光域の画像の欠陥を補正する際に、赤外線域の画像と可視光域の画像の情報に若干の位置的なずれがあった場合にも、可視域の画像に対して高性能な補正を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る画像処理システム100の全体構成を示すブロック図である。
【図2】図1の透過原稿スキャナ12の好適な一例である透過原稿スキャナ12aの機能的構成を示すブロック図である。
【図3】図1の透過原稿スキャナ12の好適な一例である透過原稿スキャナ12bの機能的構成を示すブロック図である。
【図4】図1の画像処理部2により実行される画像処理全体を示すフローチャートである。
【図5】図1の画像処理部2により実行される傷、ゴミ処理を示すフローチャートである。
【図6】図1の画像処理部2により実行される赤外線補正処理を示すフローチャートである。
【図7】赤外画像により、傷、ゴミ情報が抽出される理論を簡単に示す模式図である。
【図8】図1の画像処理部2により実行される傷、ゴミ候補領域決定処理を示すフローチャートである。
【図9】図1の画像処理部2により実行される傷、ゴミ領域特定処理を示すフローチャートである。
【図10】図1の画像処理部2により実行される傷、ゴミ補正処理Aを示すフローチャートである。
【図11】赤外画像の傷、ゴミ領域とその重心(第1重心)、可視画像の傷、ゴミ領域とその重心(第2重心)を示す模式図である。
【図12】図10のステップS50で作成されるずれ量マップの一例を示す図である。
【図13】図1の画像処理部2により実行される傷、ゴミ補正処理Bを示すフローチャートである。
【図14】図1の画像処理部2により実行される傷、ゴミ補正処理Cを示すフローチャートである。
【図15】図1の画像処理部2により実行される傷、ゴミ補間処理を示すフローチャートである。
【図16】図15のステップS103において、注目画素を中心に対向する正常画素対を抽出する方法の例を示す模式図である。
【図17】図15のステップS108、ステップS109においてB画像、G画像、R画像それぞれで抽出された方向の関係を評価し、画素抽出する方向を定める方法の例を示す模式図である。
【図18】傷、ゴミ存在領域を検出するための構成を備えた反射原稿スキャナ11と、画像処理部2における、この反射原稿スキャナ11から取得された画像を用いた傷、ゴミ処理を説明する図である。
【符号の説明】
100 画像処理システム
1 画像取得部
11 反射原稿スキャナ
12 透過原稿スキャナ
13 メディアドライバ
14 情報通信I/F
2 画像処理部
3 指示入力部
4 表示部
5 画像ストレージ部
71 銀塩露光プリンタ
72 IJプリンタ
73 画像書込部
Claims (36)
- 入力画像に存在する画像欠陥を前記入力画像から抽出して、補正または補間処理する画像処理を行い、出力画像を得る画像処理方法において、
前記入力画像における欠陥存在領域を抽出する工程と、
前記抽出された欠陥存在領域を拡張して、前記入力画像上の欠陥候補領域を決定する工程と、
前記欠陥候補領域とその近傍領域の画像の情報を用いて、前記入力画像上の欠陥領域を特定する工程と、
を含むことを特徴とする画像処理方法。 - 画像原稿の、赤外線域、可視光域の、少なくとも2種の波長帯域で取得された画像から画像欠陥を抽出して、補正または補間処理する画像処理を行い、出力画像を得る画像処理方法において、
前記赤外線域の画像を用いて、欠陥存在領域を抽出する工程と、
前記抽出された欠陥存在領域を拡張して、前記赤外線域の画像に対応する前記可視光域の画像上の欠陥候補領域を決定する工程と、
前記可視光域の画像上の前記欠陥候補領域とその近傍領域に存在する画像の情報を用いて、前記可視光域の画像上の欠陥領域を特定する工程と、
を含むことを特徴とする画像処理方法。 - 前記欠陥候補領域の外に存在する画素を正常画素とし、前記欠陥候補領域内において前記正常画素と同等の信号値を有する画素を抽出して前記欠陥候補領域から除外することにより前記欠陥領域を特定する工程を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理方法。
- 前記欠陥候補領域内の注目画素と、当該注目画素の周辺領域に存在する正常画素の信号値を比較し、その差分が、あらかじめ定められた閾値より小さい場合に、その注目画素を正常画素として抽出する工程を含むことを特徴とする請求項3に記載の画像処理方法。
- 前記補正または補間処理された画像に、第2の閾値を用いてノイズ低減処理を行う工程を含み、
前記正常画素の抽出に用いる閾値は、前記第2の閾値に基づいて定められることを特徴とする請求項4に記載の画像処理方法。 - 少なくとも3種類の色光に関する情報を有する画像について、前記画像を構成する各画素を正常画素と欠陥画素とに区分し、前記欠陥画素を、周辺の前記正常画素に基づいて補間する画像処理方法において、
前記各色光に対して、前記欠陥画素を中心として対向する正常画素の組を複数抽出する工程と、
前記抽出された正常画素の各組に関し、各色光の画素信号値の差分を取得し、各色光について前記取得された差分が最も小さかった組の対向方向を示す方向情報を求め、前記求められた各色光の方向情報に基づいて、前記補間処理に用いる正常画素の組を抽出する工程と、
を含むことを特徴とする画像処理方法。 - 前記各色光の方向情報に加え、前記各色光の方向情報の確からしさを示す情報を取得し、前記各色光の方向情報及びその確からしさを示す情報に基づいて、前記補間処理に用いる正常画素の組を抽出する工程を含むことを特徴とする請求項6に記載の画像処理方法。
- 画像原稿の、赤外線域と、可視光域の、少なくとも2種の波長帯域で取得された画像から画像欠陥を抽出して、補正または補間処理する画像処理を行い、出力画像を得る画像処理方法において、
前記赤外線域の画像上の欠陥存在領域を特定する工程と、
前記欠陥存在領域内の各画素について、前記赤外線域の信号値に基づいて画像信号補正値を算出する工程と、
前記可視光域の画像上の欠陥領域を特定する工程と、
前記可視光域の画像上の欠陥領域内の注目画素の近傍に存在する画素の前記画像信号補正値に基づいて、前記注目画素の欠陥補正値を算出する工程と、
を備えたことを特徴とする画像処理方法。 - 前記注目画素の近傍に存在する複数画素の前記画像信号補正値に基づいて、前記注目画素の欠陥補正値を算出することを特徴とする請求項8に記載の画像処理方法。
- 画像原稿の、赤外線域と、可視光域の、少なくとも2種の波長帯域の画像を読み取る画像読取装置により入力された画像に対して、前記赤外線域の画像の情報に基づいて画像処理を行い、出力画像を得る画像処理方法において、
前記赤外線域の画像に含まれる所定空間周波数帯域の情報を削除、または減衰するバンドカットフィルタを作用させ、さらに、ノイズ成分を軽減させるノイズフィルタを作用させて前記赤外線域の画像を補正する工程と、
当該補正された赤外線域の画像の情報に基づいて画像処理を施す工程と、
を含むことを特徴とする画像処理方法。 - 特性が異なる前記バンドカットフィルタを複数有し、前記画像読取装置の種別に基づいて、作用させるバンドカットフィルタを切り替える工程を含むことを特徴とする請求項10記載の画像処理方法。
- 画像原稿の、赤外線域と、可視光域の、少なくとも2種の波長帯域で画像を取得し、取得された画像から、前記画像原稿の画像欠陥の影響を軽減する画像処理を行い、出力画像を得る画像処理方法において、
前記赤外線域の画像上の欠陥領域を特定する工程と、
前記赤外線域の欠陥領域と前記可視光域の画像を用いて、前記可視光域の画像上の欠陥領域を特定する工程と、
前記特定された赤外線域の画像上の欠陥領域及び前記特定された可視光域の画像上の欠陥領域から、前記赤外線域の画像と前記可視光域の画像の情報の位置的なずれ量を算出する工程と、
前記算出された位置ずれ量に基づいて、前記赤外線域の画像の情報を補正する工程と、
を含むことを特徴とする画像処理方法。 - 入力画像に存在する画像欠陥を前記入力画像から抽出して、補正または補間処理する画像処理を行い、出力画像を得る画像処理装置において、
前記入力画像における欠陥存在領域を抽出する欠陥存在領域抽出手段と、
前記抽出された欠陥存在領域を拡張して、前記入力画像上の欠陥候補領域を決定する欠陥候補領域決定手段と、
前記欠陥候補領域とその近傍領域の画像の情報を用いて、前記入力画像上の欠陥領域を特定する欠陥領域特定手段と、
を備えたことを特徴とする画像処理装置。 - 画像原稿の、赤外線域、可視光域の、少なくとも2種の波長帯域で取得された画像から画像欠陥を抽出して、補正または補間処理する画像処理を行い、出力画像を得る画像処理装置において、
前記赤外線域の画像を用いて、欠陥存在領域を抽出する欠陥存在領域抽出手段と、
前記抽出された欠陥存在領域を拡張して、前記赤外線域の画像に対応する前記可視光域の画像上の欠陥候補領域を決定する欠陥候補領域決定手段と、
前記可視光域の画像上の前記欠陥候補領域とその近傍領域に存在する画像の情報を用いて、前記可視光域の画像上の欠陥領域を特定する欠陥領域特定手段と、
を備えたことを特徴とする画像処理装置。 - 前記欠陥領域特定手段は、前記欠陥候補領域の外に存在する画素を正常画素とし、前記欠陥候補領域内において前記正常画素と同等の信号値を有する画素を抽出して前記欠陥候補領域から除外することにより前記欠陥領域を特定することを特徴とする請求項13又は14に記載の画像処理装置。
- 前記欠陥領域特定手段は、前記欠陥候補領域内の注目画素と、当該注目画素の周辺領域に存在する正常画素の信号値を比較し、その差分が、あらかじめ定められた閾値より小さい場合に、その注目画素を正常画素として抽出することを特徴とする請求項15に記載の画像処理装置。
- 前記補正または補間処理された画像に、第2の閾値を用いてノイズ低減処理を行うノイズ低減処理手段を備え、
前記欠陥領域特定手段が前記正常画素の抽出に用いる閾値は、前記第2の閾値に基づいて定められることを特徴とする請求項16に記載の画像処理装置。 - 少なくとも3種類の色光に関する情報を有する画像について、前記画像を構成する各画素を正常画素と欠陥画素とに区分し、前記欠陥画素を、周辺の前記正常画素に基づいて補間する画像処理装置において、
前記各色光に対して、前記欠陥画素を中心として対向する正常画素の組を複数抽出する正常対向画素抽出手段と、
前記抽出された正常画素の各組に関し、各色光の画素信号値の差分を取得し、各色光について前記取得された差分が最も小さかった組の対向方向を示す方向情報を求め、前記求められた各色光の方向情報に基づいて、前記補間処理に用いる正常画素の組を抽出する補間画素抽出手段と、
を備えたことを特徴とする画像処理装置。 - 前記補間画素抽出手段は、前記各色光の方向情報に加え、前記各色光の方向情報の確からしさを示す情報を取得し、前記各色光の方向情報及びその確からしさを示す情報に基づいて、前記補間処理に用いる正常画素の組を抽出することを特徴とする請求項18に記載の画像処理装置。
- 画像原稿の、赤外線域と、可視光域の、少なくとも2種の波長帯域で取得された画像から画像欠陥を抽出して、補正または補間処理する画像処理を行い、出力画像を得る画像処理装置において、
前記赤外線域の画像上の欠陥存在領域を特定する欠陥存在領域特定手段と、
前記欠陥存在領域内の各画素について、前記赤外線域の信号値に基づいて画像信号補正値を算出する画像信号補正値算出手段と、
前記可視光域の画像上の欠陥領域を特定する欠陥領域特定手段と、
前記可視光域の画像上の欠陥領域内の注目画素の近傍に存在する画素の前記画像信号補正値に基づいて、前記注目画素の欠陥補正値を算出する欠陥補正値算出手段と、
を備えたことを特徴とする画像処理装置。 - 前記欠陥補正値算出手段は、前記注目画素の近傍に存在する複数画素の前記画像信号補正値に基づいて、前記注目画素の欠陥補正値を算出することを特徴とする請求項20に記載の画像処理装置。
- 画像原稿の、赤外線域と、可視光域の、少なくとも2種の波長帯域の画像を読み取る画像読取装置により入力された画像に対して、前記赤外線域の画像の情報に基づいて画像処理を行い、出力画像を得る画像処理手段を備えた画像処理装置において、
前記画像処理手段は、前記赤外線域の画像に含まれる所定空間周波数帯域の情報を削除、または減衰するバンドカットフィルタを作用させ、さらに、ノイズ成分を軽減させるノイズフィルタを作用させて前記赤外線域の画像を補正し、当該補正された赤外線域の画像の情報に基づいて画像処理を施すことを特徴とする画像処理装置。 - 前記画像処理手段は、特性が異なる前記バンドカットフィルタを複数有し、前記画像読取装置の種別に基づいて、作用させるバンドカットフィルタを切り替えることを特徴とする請求項22記載の画像処理装置。
- 画像原稿の、赤外線域と、可視光域の、少なくとも2種の波長帯域で取得された画像から、前記画像原稿の画像欠陥の影響を軽減する画像処理を行い、出力画像を得る画像処理装置において、
前記赤外線域の画像上の欠陥領域を特定する赤外欠陥領域特定手段と、
前記赤外線域の欠陥領域と前記可視光域の画像を用いて、前記可視光域の画像上の欠陥領域を特定する可視欠陥領域特定手段と、
前記特定された赤外線域の画像上の欠陥領域及び前記特定された可視光域の画像上の欠陥領域から、前記赤外線域の画像と前記可視光域の画像の情報の位置的なずれ量を算出するずれ量算出手段と、
前記算出された位置ずれ量に基づいて、前記赤外線域の画像の情報を補正する赤外情報補正手段と、
を備えたことを特徴とする画像処理装置。 - 入力画像に存在する画像欠陥を前記入力画像から抽出して、補正または補間処理する画像処理を行い、出力画像を得る画像処理装置を制御するためのコンピュータに、
前記入力画像における欠陥存在領域を抽出する機能と、
前記抽出された欠陥存在領域を拡張して、前記入力画像上の欠陥候補領域を決定する機能と、
前記欠陥候補領域とその近傍領域の画像の情報を用いて、前記入力画像上の欠陥領域を特定する機能と、
を実現させるためのプログラム。 - 画像原稿の、赤外線域、可視光域の、少なくとも2種の波長帯域で取得された画像から画像欠陥を抽出して、補正または補間処理する画像処理を行い、出力画像を得る画像処理装置を制御するためのコンピュータに、
前記赤外線域の画像を用いて、欠陥存在領域を抽出する機能と、
前記抽出された欠陥存在領域を拡張して、前記赤外線域の画像に対応する前記可視光域の画像上の欠陥候補領域を決定する機能と、
前記可視光域の画像上の前記欠陥候補領域とその近傍領域に存在する画像の情報を用いて、前記可視光域の画像上の欠陥領域を特定する機能と、
を実現させるためのプログラム。 - 前記コンピュータに、
前記欠陥候補領域の外に存在する画素を正常画素とし、前記欠陥候補領域内において前記正常画素と同等の信号値を有する画素を抽出して前記欠陥候補領域から除外することにより前記欠陥領域を特定する機能を実現させる請求項25又は26に記載のプログラム。 - 前記コンピュータに、
前記欠陥候補領域内の注目画素と、当該注目画素の周辺領域に存在する正常画素の信号値を比較し、その差分が、あらかじめ定められた閾値より小さい場合に、その注目画素を正常画素として抽出する機能を実現させるための請求項27に記載のプログラム。 - 前記コンピュータに、更に、
前記補正または補間処理された画像に、第2の閾値を用いてノイズ低減処理を行う機能と、
前記正常画素の抽出に用いる閾値は、前記第2の閾値に基づいて定める機能と、を実現させる請求項28に記載のプログラム。 - 少なくとも3種類の色光に関する情報を有する画像について、前記画像を構成する各画素を正常画素と欠陥画素とに区分し、前記欠陥画素を、周辺の前記正常画素に基づいて補間する画像処理装置を制御するためのコンピュータに、
前記各色光に対して、前記欠陥画素を中心として対向する正常画素の組を複数抽出する機能と、
前記抽出された正常画素の各組に関し、各色光の画素信号値の差分を取得し、各色光について前記取得された差分が最も小さかった組の対向方向を示す方向情報を求め、前記求められた各色光の方向情報に基づいて、前記補間処理に用いる正常画素の組を抽出する機能と、
を実現させるためのプログラム。 - 前記コンピュータに、
前記各色光の方向情報に加え、前記各色光の方向情報の確からしさを示す情報を取得し、前記各色光の方向情報及びその確からしさを示す情報に基づいて、前記補間処理に用いる正常画素の組を抽出する機能を実現させる請求項30に記載のプログラム。 - 画像原稿の、赤外線域と、可視光域の、少なくとも2種の波長帯域で取得された画像から画像欠陥を抽出して、補正または補間処理する画像処理を行い、出力画像を得る画像処理装置を制御するためのコンピュータに、
前記赤外線域の画像上の欠陥存在領域を特定する機能と、
前記欠陥存在領域内の各画素について、前記赤外線域の信号値に基づいて画像信号補正値を算出する機能と、
前記可視光域の画像上の欠陥領域を特定する機能と、
前記可視光域の画像上の欠陥領域内の注目画素の近傍に存在する画素の前記画像信号補正値に基づいて、前記注目画素の欠陥補正値を算出する機能と、
を実現させるためのプログラム。 - 前記コンピュータに、
前記注目画素の近傍に存在する複数画素の前記画像信号補正値に基づいて、前記注目画素の欠陥補正値を算出する機能を実現させる請求項32に記載のプログラム。 - 画像原稿の、赤外線域と、可視光域の、少なくとも2種の波長帯域の画像を読み取る画像読取装置により入力された画像に対して、前記赤外線域の画像の情報に基づいて画像処理を行い、出力画像を得る画像処理装置を制御するためのコンピュータに、
前記赤外線域の画像に含まれる所定空間周波数帯域の情報を削除、または減衰するバンドカットフィルタを作用させ、さらに、ノイズ成分を軽減させるノイズフィルタを作用させて前記赤外線域の画像を補正する機能と、
当該補正された赤外線域の画像の情報に基づいて画像処理を施す機能と、
を実現させるためのプログラム。 - 前記コンピュータに、更に、
特性が異なる前記バンドカットフィルタの中から、前記画像読取装置の種別に基づいて、作用させるバンドカットフィルタを切り替える機能を実現させる請求項34に記載のプログラム。 - 画像原稿の、赤外線域と、可視光域の、少なくとも2種の波長帯域で画像を取得し、取得された画像から、前記画像原稿の画像欠陥の影響を軽減する画像処理を行い、出力画像を得る画像処理装置を制御するためのコンピュータに、
前記赤外線域の画像上の欠陥領域を特定する機能と、
前記赤外線域の欠陥領域と前記可視光域の画像を用いて、前記可視光域の画像上の欠陥領域を特定する機能と、
前記特定された赤外線域の画像上の欠陥領域及び前記特定された可視光域の画像上の欠陥領域から、前記赤外線域の画像と前記可視光域の画像の情報の位置的なずれ量を算出する機能と、
前記算出された位置ずれ量に基づいて、前記赤外線域の画像の情報を補正する機能と、
を実現させるためのプログラム。
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