JP2004317458A - 温度計測装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】被温度測定部1に臨ませて設けられたパイロメータ2と、パイロメータから延びた光ファイバ4と、光ファイバに光結合されたフォトダイオード6と、フォトダイオードの検出電流を所望の温度計測に適した電圧信号に変換する電流電圧変換器8と、電流電圧変換器の出力電圧を高倍率で増幅する電圧増幅器10と、電圧増幅器の増幅電圧が所定のしきい値を超えたときにON信号を出力するスイッチング回路12とを備える。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本願発明は、光センサの故障判定ができる温度計測装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガスタービンは、軸の周囲を回転する多数のタービン動翼を有する。かかるタービン動翼は、運転中に高温となるので、この温度が材料の許容温度(例えば1200℃)を超えないように常時監視する必要がある。
このため、タービン動翼の放射光強度からその温度を計測する装置が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2)。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−64113号公報
【特許文献2】
特開平11−72390号公報
【0004】
特許文献1の「タービン翼の温度及び回転数測定装置」は、「回転するタービン翼に臨ませて放射光を取り込む光学系を設け、この放射光を受光して、その受光強度からタービン翼の温度を求めると共にその受光強度の変化の周期性からタービン翼の回転数を求める」ものである。
また、特許文献2の「タービン翼の温度分布測定装置」は、「タービン翼の径方向に一列に配置されタービンに臨んでいる複数の光ファイバと、各光ファイバが取り込むタービン翼の放射光をそれぞれ受光して温度に変換する温度分布測定部とを備える」ものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の発明では、タービン翼の温度を検出するために、放射温度計を用いている。また、従来のガスタービン装置においても、タービン動翼の温度を計測するために放射温度計を用い、エンジン制御装置(FADEC)は、放射温度計の出力を基にタービン温度が制限値を超えないように燃料流量を制御している。
【0006】
しかし、放射温度計が計測する放射光の光強度は、絶対温度の4乗に比例する特性を有するため、出力レンジ、分解能やノイズで制約されるアンプの有効出力範囲で決まる温度計測範囲が狭い問題点がある。
【0007】
すなわち上限温度にてアンプがレンジオーバーしないように増幅率を設定すると、低い温度の計測ができない。例えば、上限温度を1200℃(1473K)に設定した場合、その約12%の光強度まで計測できるとしても、その計測下限は600℃(873K)前後になり、ガスタービンの始動時や低レーティングの運転時にはセンサ出力が得られず、光センサが健全であるか否かを始動時に判定することができない問題点がある。
【0008】
そのため、従来の装置では、放射温度計のフォトセル自体が故障している場合でも、たビン動翼が600℃を超える高温になるまで、その異常を検出できず、故障判定が遅れることがあった。
【0009】
本発明はかかる問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、ガスタービンの始動時や低レーティングの運転時において、光センサの故障を検出することができ、これにより、早期に故障判定ができる温度計測装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、被温度測定部(1)に臨ませて設けられたパイロメータ(2)と、該パイロメータから延びた光ファイバ(4)と、該光ファイバに光結合されたフォトダイオード(6)と、該フォトダイオードの検出電流を所望の温度計測に適した電圧信号に変換する電流電圧変換器(8)と、該電流電圧変換器の出力電圧を高倍率で増幅する電圧増幅器(10)と、該電圧増幅器の増幅電圧が所定のしきい値を超えたときにON信号を出力するスイッチング回路(12)とを備えた、ことを特徴とする温度計測装置が提供される。
【0011】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記電圧増幅器(10)の増幅率とスイッチング回路(12)のしきい値は、エンジンの始動時におけるタービン温度でON信号が得られるように設定する。
【0012】
上記本発明の構成によれば、電圧増幅器(10)の増幅率とスイッチング回路(12)のしきい値をエンジンの始動時におけるタービン温度でON信号が得られるように設定するので、電圧増幅器(10)で電流電圧変換器(8)の出力電圧を高倍率で増幅し、電圧増幅器の増幅電圧が所定のしきい値を超えたときにスイッチング回路(12)でON信号を出力することにより、ガスタービンの始動時や低レーティングの運転時において、光センサの作動を確認するすることができる。
【0013】
従って、比較的シンプルな回路構成で、制御に用いる温度−電圧信号よりも低い温度域から放射光の検出が可能となり、このON/OFF信号を基に、エンジン制御装置でエンジン始動時から光センサの故障判定をすることが可能となる。更に、このON/OFF信号を用いてエンジンの着火判定を行うことも可能になる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態を図面を参照して説明する。なお、各図において同一部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0015】
図1は、本発明の温度計測装置の模式的構成図である。この図に示すように、本発明の温度計測装置は、パイロメータ2、光ファイバ4、フォトダイオード6、電流電圧変換器8、電圧増幅器10及びスイッチング回路12を備える。
【0016】
パイロメータ2は、タービン動翼のような高温になる被温度測定部1に臨ませて設けられる。このパイロメータ2は、放射温度計のプローブ部分(光学系)を構成するものであり、中空円筒形のホルダ2aと、その一端に取り付けられた集光レンズ2bと、光ファイバ4の一端を集光レンズの焦点に保持するフェルール2cとからなる。
【0017】
光ファイバ4は、パイロメータ2からフォトダイオード6まで延び、集光レンズ2bで集光した光をフォトダイオード6に導く。フォトダイオード6は、光ファイバ4に光結合され、光ファイバ4により導かれた測定光に比例する電流信号を出力する。電流電圧変換器8は、フォトダイオード6の検出電流を所望の温度計測に適した電圧信号に変換する。電圧増幅器10は、電流電圧変換器8の出力電圧を高倍率で増幅する。スイッチング回路12は、電圧増幅器10の増幅電圧が所定のしきい値を超えたときにON信号を出力する。
電流電圧変換器8の出力電圧は温度/電圧出力として、スイッチング回路12のON/OFF出力と共に、エンジン制御装置に入力される。
【0018】
図2は、従来の放射温度計の出力特性図である。この図において、横軸は、被温度測定部1(被測定物)の温度、縦軸は電流電圧変換器8(アンプ)の出力電圧である。この図に示すように、電流電圧変換器8は、被測定物の温度が所定の最大温度(この例では1200℃)のときに、最大出力(この例では15v)になるように、増幅率が設定されている。
【0019】
この場合、通常のスイッチング回路でこの出力電圧を検出しようとすると、そのしきい値は約2v前後であり、この検出電圧に相当する計測温度は、約600℃(873K)前後となり、ガスタービンの始動時や低レーティングの運転時にはセンサ出力が得られず、光センサが健全であるか否かを始動時に判定することができないことになる。
【0020】
図3は、本発明による温度計測装置の出力特性図である。この図に示すように、本発明の温度計測装置では、図2と同様に、電流電圧変換器8は、被測定物の温度が所定の最大温度(この例では1200℃)のときに、最大出力(この例では15v)になるように、増幅率が設定されている。従って、温度/電圧出力は、図2と同様である。
【0021】
本発明の温度計測装置は、更に、上述した電圧増幅器10とスイッチング回路12を備え、電圧増幅器10の増幅率とスイッチング回路12のしきい値は、エンジンの始動時におけるタービン温度でON信号が得られるように設定される。従って、図3に示すように、電圧増幅器10の最大出力が例えば5v程度である場合でも、電圧増幅器10の増幅率を大きくとる(例えば10倍以上)ことにより、被測定物の温度が低い場合、例えば、ガスタービンの始動時や低レーティングの運転時でも、電圧増幅器10の出力電圧が大きく、スイッチング回路12でON信号を得ることができる。従って、この信号の有無により、光センサの故障判定範囲を図に示すように、従来の約600℃よりも低温まで広げることができる。
【0022】
なお本発明は以上に述べた実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0023】
【発明の効果】
上述した本発明の構成によれば、電圧増幅器10の増幅率とスイッチング回路12のしきい値をエンジンの始動時におけるタービン温度でON信号が得られるように設定するので、電圧増幅器10で電流電圧変換器8の出力電圧を高倍率で増幅し、電圧増幅器の増幅電圧が所定のしきい値を超えたときにスイッチング回路12でON信号を出力することにより、ガスタービンの始動時や低レーティングの運転時において、光センサの作動を確認するすることができる。
これにより、比較的シンプルな回路構成で、制御に用いる温度−電圧信号よりも低い温度域から放射光の検出が可能となり、このON/OFF信号を基に、エンジン制御装置でエンジン始動時から光センサの故障判定をすることが可能となる。更に、このON/OFF信号を用いてエンジンの着火判定を行うことも可能になる。
【0024】
従って、本発明の温度計測装置は、ガスタービンの始動時や低レーティングの運転時において、光センサの故障を検出することができ、これにより、早期に故障判定ができる、等の優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の温度計測装置の模式的構成図である。
【図2】従来の放射温度計の出力特性図である。
【図3】本発明による温度計測装置の出力特性図である。
【符号の説明】
1 被温度測定部、2 パイロメータ、
2a ホルダ、2b 集光レンズ、2c フェルール、
4 光ファイバ、6 フォトダイオード、
8 電流電圧変換器、10 電圧増幅器、
12 スイッチング回路
Claims (2)
- 被温度測定部に臨ませて設けられたパイロメータと、該パイロメータから延びた光ファイバと、該光ファイバに光結合されたフォトダイオードと、該フォトダイオードの検出電流を所望の温度計測に適した電圧信号に変換する電流電圧変換器と、該電流電圧変換器の出力電圧を高倍率で増幅する電圧増幅器と、該電圧増幅器の増幅電圧が所定のしきい値を超えたときにON信号を出力するスイッチング回路とを備えた、ことを特徴とする温度計測装置。
- 前記電圧増幅器の増幅率とスイッチング回路のしきい値は、エンジンの始動時におけるタービン温度でON信号が得られるように設定する、ことを特徴とする請求項1に記載の温度計測装置。
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