【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、殺菌フィルターシート、その製造方法及びそれを用いた空気清浄化方法に関するものであり、詳しくは、担体に担持されたフラーレン類を活性成分とする殺菌フィルターシート、その製造方法及びそれを用いた空気清浄化方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、光触媒を用いて細菌、ウイルス等の微生物や悪臭物質等の有害物質を除去する方法が開発されている。例えば、ルチル型酸化チタン微粒子を含有する酸化チタン触媒の存在下に有害物質に光照射する有害物質の除去方法;不織布にチタニアゾルから析出させた酸化チタンを担持させた光反応性有害物除去材;酸化亜鉛、酸化タングステン又は酸化セリウム等の金属酸化物粒子である光触媒、微生物セルロース及び支持体形成成分からなる光触媒シートなどが知られている(特許文献1〜3参照)。しかしながら、これらで用いられている光触媒は、蛍光灯等の紫外線領域の光線を含む光源の下では有効だが、可視光線のみの光源の下では十分な効果が得られないという問題がある。
フラーレンは紫外線領域の光線を含まない可視光線下でも、光触媒として十分な効果を発揮し得るものであり、これを合成繊維からなるフィルターに含浸させた空気清浄化フィルターが提案されている(特許文献4参照)。しかしながら、このフィルターは、フラーレンから発生する活性酸素(一重項酸素)による合成繊維の分解、劣化が著しいため、実用上問題がある。
【0003】
【特許文献1】
特開平7−819号公報
【特許文献2】
特開平8−117556号公報
【特許文献3】
特開平10−265586号公報
【特許文献4】
特開平8−164309号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、紫外線領域の光線を含まない可視光線下においても十分な抗菌効果を発揮し得る殺菌フィルターシート、その製造方法及びそれを用いた空気清浄化方法を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、フラーレン類を基材に直接保持させる代わりに、これを担体に担持させて基材に保持させた殺菌フィルターシートが優れた効果を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、繊維で形成されているシート状基材に、フラーレン類を担持している担体が保持されていることを特徴とする殺菌フィルターシート、その製造方法及びそれを用いた空気清浄化方法である。なお、本明細書において、フラーレン類とはフラーレン及びフラーレン誘導体を意味する。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明に係る殺菌フィルターシートに用いるシート状基材は、繊維で形成されており、かつ殺菌フィルターシートの機械的強度が保たれるものであれば、任意のものを使用することができる。例えば、ポリエチレン又はポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂、ナイロン等のポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルエーテル樹脂、ポリビニルケトン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ジエン系樹脂、及びポリウレタン系樹脂等の各種の合成高分子化合物からなる繊維が挙げられる。
【0007】
これらの合成高分子化合物を用いて製造される繊維、すなわち合成繊維の断面形状は任意であり、最も一般的な円形や楕円形以外に、三角形、星形、T型、Y型、又は葉状等のいわゆる異型断面形状であってもよい。また、繊維表面に空隙を有する構造、枝別れした構造、及び芯鞘構造を有するものも使用することができる。これらのうち、殺菌フィルターシートとした際の繊維間結合強度、柔軟性(腰)、及び加工性等を適度に制御できるので、芯部分と鞘部分の軟化点がそれぞれ異なる芯鞘構造を有する合成繊維が好ましい。芯鞘構造を有する合成繊維としては、芯部分がポリエステル、鞘部分がポリエステル共重合体からなる繊維;芯部分がポリエステル、鞘部分がポリオレフィンからなる繊維等が挙げられる。
【0008】
フラーレンとしては、C60、C70、C76、C82、C84及び更に高次なフラーレン、及びこれらの混合物が挙げられる。これらのうち、C60、C70又はC60とC70との混合物が好ましい。
フラーレン誘導体としては、フラーレンに官能基が結合したCpMq(式中、pは60又は70の数を表し、Mは−OH、−COOH、−SO3H、−OSO3H又は−O−PO(OH)2を表し、qは1〜20の数を表す。)、及びフラーレンにマロン酸又はそのアルキルエステルが結合したC60+r[(COOR)2]r(式中、Rは水素原子又はアルキル基を表し、rは1〜12の数を表す。)が挙げられる。これらのうち、C70(OH)q、C60(OSO3H)q、C70(OSO3H)q及びC60+r[(COOR)2]r(式中、q、R及びrは前記と同義である。)が好ましい。なお、フラーレン誘導体は、これらの混合物であってもよい。
【0009】
また、フラーレン類は単独で担体に担持されていてもよく、所望ならばPt、Au、Ag、Cu、Pd、Ni、Rh、Nb、Sn、Cr及びRu等の金属微粒子や、酸化ルテニウム、酸化ニッケル、酸化マンガン及び酸化鉄等の金属酸化物の微粒子と一緒に担体に担持されていてもよい。
フラーレン類を担持させる担体としては、ゼオライト、活性炭、活性アルミナ、リン酸ジルコニウム等の吸着能のある無機物が好ましい。これらの担体の窒素吸着性による比表面積は、100m2/g以上、特に150m2/g以上であるのが好ましい。担体の比表面積が100m2/g未満になると、十分な量のフラーレン類を担持させるのが困難となる。最も好ましくは200m2/g以上の高比表面積の担体を用いる。
【0010】
担体にフラーレン類を担持させる方法としては、フラーレン類を水又は水を含んでいてもよい有機溶媒に分散ないしは溶解させて溶液(以下「フラーレン溶液」という。)とし、これを担体に含浸させて乾燥すればよい。含浸方法としては、フラーレン溶液に担体を浸漬するか、又はフラーレン溶液を噴霧又は塗布する方法などが挙げられる。これらの担持処理は、担体をシート状基材に保持させる前、及び保持させた後のいずれのときに行ってもよい。
【0011】
フラーレン溶液の調製に用いる有機溶媒は、水に相溶するものであっても、相溶しないものであってもよい。
水に相溶しない有機溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、二硫化炭素、1,2,4−トリメチルベンゼン、テトラリン及びクロロベンゼン等が挙げられる。
水に相溶する有機溶媒としては、N−メチルピロリドン、ピリジン及びテトラヒドロフラン等が挙げられる。
【0012】
本発明に係る殺菌フィルターシートは、フラーレン類を担持した担体をシート状基材に保持させるか、又は担体をシート状基材に保持させた後、フラーレン類を担体に担持させることにより製造することができる。
【0013】
シート状基材にフラーレン類を担持した担体を保持させる方法としては、シート状基材に担体を含む懸濁液を噴霧又は塗布したする方法;及び担体を含む懸濁液にシート状基材を浸漬する方法などが挙げられる。また、担体をシート状基材に保持させた後、フラーレン類を担持させるには、上記のようにして担体が保持されたシート状基材にフラーレン溶液を噴霧若しくは塗布するか、又は担体が保持されたシート状基材をフラーレン溶液に浸漬すればよい。
【0014】
シート状基材に担体を保持させる際には、バインダーを用いるのが好ましい。バインダーを用いると、担体がシート状基材に強固に結合することに加えて、シート状基材がバインダーで被覆されるので、フラーレン類から生じた活性酸素からシート状基材を保護することができる。バインダーを用いる場合には、フラーレン類を担持していてもよい担体の懸濁液にバインダーを添加して、担体及びバインダーを同時にシート状基材に保持させるか、又は最初にシート状基材にバインダーを付着させ、次いでこれに担体を付着させればよい。このうち、シート状基材にバインダーを付着させた後、これに担体を付着させる方法が好ましい。なお、バインダーは、担体を保持させる方法と同様にしてシート状基材に付着させることができる。
バインダーとしては、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、水ガラス、金属酸化物複合熱可塑性高分子エマルジョン等の無機化合物が挙げられる。
担体やバインダーを含む懸濁液の調製には、任意の溶媒を用いることができるが、通常は水を用いる。
【0015】
フラーレン類を担持した担体は、通常はシート状基材1m2にフラーレン類が5mg以上、特に10mg以上となるように保持させる。5mg未満では、十分な殺菌効果を発揮することができない。一般にフラーレン類の担持量が多いほど殺菌効果に優れるが、担持量が多くなると効果は飽和してくるので、1m2に5gを超えて保持させるのは無意味である。通常は、シート状基材1m2当たり1g以下の担持量とするのが好ましい。
【0016】
上記の方法により作製した殺菌フィルターシートで空気を濾過して空気中の細菌、ウイルス及び菌類等の微生物を捕集し、これに光照射することにより捕集した微生物を死滅させることができる。また、同時に悪臭物質等も分解除去することができる。したがって、この殺菌フィルターシートを用いて光照射下に空気を濾過することにより、空気を清浄化することができる。
【0017】
【実施例】
実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
(製造例1)
フラーレンC60のマロン酸ジエチル誘導体であるC63[(COOC2H5)2]3を、Iris Lampath、Anderas Hirschら(J. Chem. Soc., Chem. Commun., 1994,1727)の方法により製造し、このものをエタノール−水(1:1)混合溶液に溶解して、1重量%フラーレン溶液を調製した。
(製造例2)
C60及びC70(共にフロンティアカーボン社製)の重量比7:3の混合フラーレンをトルエンに溶解して、1重量%フラーレン溶液を調製した。
【0018】
(実施例1)
ポリプロピレン樹脂を溶融し、直接紡口から繊維として噴出し、熱ロールでエンボス加工を施し、シート状の不織布を得る直接方式で製造したポリプロピレン不織布からなるフィルターシートを、コロイダルシリカを0.01重量%で含むエタノール−水(1:1)混合溶液に浸漬することにより、コロイダルシリカを保持させた。一方、A型ゼオライト(アルミノシリケートゲルを熱水結晶化して製造。比表面積約500m2/g)を水と混合して、固形分5重量%の塗布液を調製した。コロイダルシリカを保持させたフィルターシートを塗布液に浸漬した後、筒型ドライヤーで乾燥してA型ゼオライトが乾燥重量で10g/m2保持されたフィルターシートを作製した。このものに製造例1のフラーレン溶液を噴霧して、C63[(COOC2H5)2]3が1g/m2保持された殺菌フィルターシートを作製した。
【0019】
(実施例2)
実施例1において、製造例1のフラーレン溶液に代えて、製造例2のフラーレン溶液を噴霧した以外は実施例1と同様にして、混合フラーレンが約1g/m2担持された殺菌フィルターシートを作製した。
【0020】
(実施例3〜10)
実施例1において、C63[(COOC2H5)2]3の担持量が、それぞれ6g/m2(実施例3)、5g/m2(実施例4)、2g/m2(実施例5)、500mg/m2(実施例6)、100mg/m2(実施例7)、50mg/m2(実施例8)、10mg/m2(実施例9)となるようにフラーレン溶液を噴霧した以外は、実施例1と同様にして殺菌フィルターシートを作製した。
【0021】
(実施例10、11)
実施例1において、Aゼオライトに代えて水酸化アルミニウムを1000℃程度で焼成して作製した比表面積約250m2/gの活性アルミナ(実施例10)、又は比表面積約200m2/gのリン酸ジルコニウム(実施例11)を用いた以外は、実施例1と同様にして殺菌フィルターシートを作製した。
(実施例12)
実施例1において、コロイダルシリカを用いなかった以外は、実施例1と同様にして殺菌フィルターシートを作製した。
【0022】
(比較例1)
実施例1において、Aゼオライトに代えて、ゾルゲル法により調製した吸着性のない比表面積約70m2/gのシリカ微粒子を用いた以外は、実施例1と同様にして殺菌フィルターシートを作製した。
(比較例2)
実施例1において、フラーレン溶液を噴霧しなかった以外は実施例1と同様にして、殺菌フィルターシートを作製した。
【0023】
(比較例3)
サポナイト構造を有する合成無機高分子(スメクトンSA、クニミネ工業製:比表面積160m2/g)、酸化チタン(P25S6、日本アエロジル社製)及び特許文献3に記載されている方法で製造した微生物セルロースを重量比1:5:2となるように水中で分散させて水性分散液とした。この水性分散液にポリプロピレン不織布からなるフィルターシートを浸漬した後、筒型ドライヤーで乾燥して固形成分が10g/m2担持された殺菌フィルターシートを作製した。
【0024】
上記の実施例及び比較例で得られた殺菌フィルターシートにつき、以下の3方法で殺菌性試験を行った。
試験法1:シャーレ−に大腸菌又はメシチレン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)を含む液(約5×105個/mL)を20mL入れ、5.5×5.5cmの試験シート片をその液中に沈めた。酸素ガスを流通させながら、温度37℃で保温し、照度を500ルクスに調節した蛍光灯(白色光)を24時間照射した後、生菌数を標準寒天培地を用いたプレート法で測定した。
【0025】
試験法2:試験法1の照度を4000ルクスに調節した以外は、試験法1と同様にして殺菌性試験を行った。
試験法3:試験法1の照度を4000ルクスに調節し、かつ500nm以下の波長の光を遮断するフィルターを設置した以外は、試験法1と同様にして殺菌性試験を行った。
【0026】
結果を表1に示す。なお、表中の数値は24時間後の生菌数を表す。
【0027】
【表1】
【0028】
表1から明らかなように、本発明に係る殺菌フィルターシートは、いずれも紫外線領域を含まない可視光線照射下においても、顕著な殺菌効果を示した。なお、実施例12の殺菌フィルターシートは、繊維の一部にフラーレン類から発生した活性酸素によると考えられる分解が見られた。
【0029】
【発明の効果】
本発明に係る殺菌フィルターシートは、紫外線領域を含まない可視光線照射下においても、顕著な殺菌効果を示し、更にフラーレン類から発生する活性酸素によりシートが劣化しにくいものである。したがって、この殺菌フィルターシートは、空気清浄機のフィルター部材等に適している。[0001]
[Industrial applications]
The present invention relates to a sterilizing filter sheet, a method for producing the same, and an air purification method using the same, and more specifically, a sterilizing filter sheet containing a fullerene supported on a carrier as an active ingredient, a method for producing the same, and a method for producing the same. It relates to the air cleaning method used.
[0002]
[Prior art]
In recent years, methods for removing harmful substances such as microorganisms such as bacteria and viruses and odorous substances using photocatalysts have been developed. For example, a method for removing harmful substances by irradiating harmful substances with light in the presence of a titanium oxide catalyst containing rutile-type titanium oxide fine particles; a photoreactive harmful substance removing material in which a nonwoven fabric carries titanium oxide precipitated from a titania sol; There are known photocatalysts which are metal oxide particles such as zinc oxide, tungsten oxide and cerium oxide, and photocatalyst sheets comprising microbial cellulose and a support-forming component (see Patent Documents 1 to 3). However, the photocatalyst used in these methods is effective under a light source including a light ray in the ultraviolet region such as a fluorescent lamp, but has a problem that a sufficient effect cannot be obtained under a light source including only visible light.
Fullerene can exhibit a sufficient effect as a photocatalyst even under visible light which does not contain light in the ultraviolet region, and an air purifying filter in which the filter is impregnated with a synthetic fiber filter has been proposed (Patent Documents) 4). However, this filter has a practical problem because the synthetic fiber is significantly decomposed and deteriorated by active oxygen (singlet oxygen) generated from fullerene.
[0003]
[Patent Document 1]
JP-A-7-819 [Patent Document 2]
JP-A-8-117556 [Patent Document 3]
JP-A-10-265586 [Patent Document 4]
JP-A-8-164309
[Problems to be solved by the invention]
An object of the present invention is to provide a sterilizing filter sheet capable of exhibiting a sufficient antibacterial effect even under visible light that does not include light in the ultraviolet region, a method for producing the same, and an air cleaning method using the same.
[0005]
[Means for Solving the Problems]
The present inventors have conducted intensive studies to solve the above problems, and as a result, instead of directly holding fullerenes on a substrate, a sterilizing filter sheet in which the fullerenes are supported on a carrier and held on the substrate has an excellent effect. This led to the completion of the present invention.
That is, the present invention provides a sterilizing filter sheet characterized in that a carrier supporting fullerenes is held on a sheet-like substrate formed of fibers, a method for producing the same, and air purification using the same. Method. In this specification, fullerenes mean fullerenes and fullerene derivatives.
[0006]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
The sheet-like base material used for the sterilizing filter sheet according to the present invention can be of any type as long as it is formed of fibers and maintains the mechanical strength of the sterilizing filter sheet. For example, polyolefin resin such as polyethylene or polypropylene, polyester resin, polyvinyl acetate resin, ethylene vinyl acetate copolymer resin, polyamide resin such as nylon, acrylic resin, polyvinyl chloride resin, polyvinylidene chloride resin, polyvinyl Fibers made of various synthetic polymer compounds such as an ether resin, a polyvinyl ketone resin, a polyether resin, a polyvinyl alcohol-based resin, a diene-based resin, and a polyurethane-based resin are exemplified.
[0007]
Fibers produced using these synthetic polymer compounds, ie, cross-sectional shapes of synthetic fibers are arbitrary, and other than the most common circles and ellipses, triangular, star-shaped, T-shaped, Y-shaped, leaf-shaped, etc. May be a so-called irregular cross-sectional shape. Further, a structure having a void on the fiber surface, a branched structure, and a core-sheath structure can also be used. Of these, synthetic fibers having a core-sheath structure in which the softening points of the core portion and the sheath portion are different from each other can be appropriately controlled since the fiber-to-fiber bond strength, flexibility (waist), and processability when used as a sterilizing filter sheet. Fibers are preferred. Examples of the synthetic fiber having a core-sheath structure include a fiber whose core portion is made of polyester and a sheath portion made of a polyester copolymer; a fiber whose core portion is made of polyester and whose sheath portion is made of polyolefin.
[0008]
Fullerenes include C 60 , C 70 , C 76 , C 82 , C 84 and higher fullerenes, and mixtures thereof. Among these, C 60 , C 70 or a mixture of C 60 and C 70 is preferred.
The fullerene derivative, in C p M q (wherein the functional group to the fullerene bonded, p is a number from 60 or 70, M is -OH, -COOH, -SO 3 H, -OSO 3 H or -O —PO (OH) 2 , q represents a number of 1 to 20), and C 60 + r [(COOR) 2 ] r in which malonic acid or an alkyl ester thereof is bonded to fullerene (where R is a hydrogen atom) Or an alkyl group, and r represents a number of 1 to 12.). Among them, C 70 (OH) q , C 60 (OSO 3 H) q , C 70 (OSO 3 H) q and C 60 + r [(COOR) 2 ] r (where q, R and r are as defined above) Has the same meaning as above. The fullerene derivative may be a mixture thereof.
[0009]
Further, fullerenes may be independently supported on a carrier, and if desired, fine metal particles such as Pt, Au, Ag, Cu, Pd, Ni, Rh, Nb, Sn, Cr and Ru, ruthenium oxide, oxide It may be supported on a carrier together with fine particles of a metal oxide such as nickel, manganese oxide and iron oxide.
As a carrier for supporting fullerenes, an inorganic substance having an adsorption ability such as zeolite, activated carbon, activated alumina, and zirconium phosphate is preferable. The specific surface area of these carriers due to nitrogen adsorption is preferably 100 m 2 / g or more, particularly preferably 150 m 2 / g or more. When the specific surface area of the support is less than 100 m 2 / g, it becomes difficult to support a sufficient amount of fullerenes. Most preferably, a carrier having a high specific surface area of 200 m 2 / g or more is used.
[0010]
As a method for supporting fullerenes on a carrier, fullerenes are dispersed or dissolved in water or an organic solvent which may contain water to form a solution (hereinafter referred to as “fullerene solution”), and the carrier is impregnated with the solution. It may be dried. Examples of the impregnation method include a method in which the carrier is immersed in a fullerene solution, or a method in which the fullerene solution is sprayed or applied. These support treatments may be performed either before or after holding the carrier on the sheet-like substrate.
[0011]
The organic solvent used for preparing the fullerene solution may or may not be compatible with water.
Examples of the organic solvent that is not compatible with water include benzene, toluene, xylene, carbon disulfide, 1,2,4-trimethylbenzene, tetralin, and chlorobenzene.
Examples of the organic solvent compatible with water include N-methylpyrrolidone, pyridine and tetrahydrofuran.
[0012]
The sterilizing filter sheet according to the present invention is manufactured by holding a carrier supporting fullerenes on a sheet-like substrate, or holding the carrier on a sheet-like substrate, and then supporting the fullerenes on a carrier. Can be.
[0013]
As a method of holding the carrier supporting the fullerenes on the sheet-like substrate, a method of spraying or applying a suspension containing the carrier on the sheet-like substrate; and a method of applying the sheet-like substrate to the suspension containing the carrier A dipping method and the like can be mentioned. In addition, in order to support fullerenes after the carrier is held on the sheet-like substrate, the fullerene solution is sprayed or applied to the sheet-like substrate holding the carrier as described above, or the carrier is held. What is necessary is just to immerse the sheet-shaped base material which was made in the fullerene solution.
[0014]
When the carrier is held on the sheet-like substrate, it is preferable to use a binder. When a binder is used, in addition to the carrier being firmly bonded to the sheet-like substrate, the sheet-like substrate is covered with the binder, so that the sheet-like substrate can be protected from active oxygen generated from fullerenes. it can. When using a binder, a binder is added to a suspension of a carrier that may carry fullerenes, and the carrier and the binder are simultaneously held on a sheet-like substrate, or first, a sheet-like substrate is The binder may be attached, and then the carrier may be attached thereto. Among them, a method in which a binder is attached to a sheet-like substrate and then a carrier is attached to the binder is preferable. Note that the binder can be attached to the sheet-like substrate in the same manner as in the method of holding the carrier.
Examples of the binder include inorganic compounds such as colloidal silica, colloidal alumina, water glass, and a metal oxide composite thermoplastic polymer emulsion.
For preparing a suspension containing a carrier and a binder, any solvent can be used, but usually water is used.
[0015]
The carrier supporting the fullerenes is usually held on 1 m 2 of the sheet-like base material so that the fullerenes is 5 mg or more, particularly 10 mg or more. If it is less than 5 mg, a sufficient bactericidal effect cannot be exhibited. In general, the larger the amount of fullerenes carried, the better the bactericidal effect. However, the larger the amount of carried fullerenes, the more saturated the effect. Therefore, it is meaningless to hold more than 5 g in 1 m 2 . Normally, preferably the substrate sheet 1 m 2 per 1g less loading amount.
[0016]
The microorganisms such as bacteria, viruses and fungi in the air are collected by filtering the air with the sterilizing filter sheet prepared by the above method, and the collected microorganisms can be killed by irradiating the microorganisms with light. At the same time, odorous substances can be decomposed and removed. Therefore, the air can be purified by filtering the air under light irradiation using the sterilizing filter sheet.
[0017]
【Example】
The present invention will be described in more detail with reference to examples, but the present invention is not limited to the following examples unless it exceeds the gist.
(Production Example 1)
C 63 [(COOC 2 H 5 ) 2 ] 3 , a diethyl malonate derivative of fullerene C 60 , was prepared by the method of Iris Lampath, Anderas Hirsch et al. (J. Chem. Soc., Chem. Commun., 1994, 1727). It was prepared and dissolved in a mixed solution of ethanol and water (1: 1) to prepare a 1% by weight fullerene solution.
(Production Example 2)
C 60 and C 70 (both manufactured by Frontier Carbon Corporation) weight ratio of 7: mixed fullerene 3 was dissolved in toluene to prepare a 1 wt% fullerene solution.
[0018]
(Example 1)
The polypropylene sheet is melted, spouted as fibers directly from the spinneret, embossed with a hot roll, and a filter sheet made of polypropylene nonwoven fabric manufactured by a direct method to obtain a sheet-like nonwoven fabric. The colloidal silica was retained by immersing in a mixed solution of ethanol and water (1: 1) contained in the above. On the other hand, A-type zeolite (manufactured by hydrothermal crystallization of aluminosilicate gel; specific surface area: about 500 m 2 / g) was mixed with water to prepare a coating solution having a solid content of 5% by weight. The filter sheet holding the colloidal silica was immersed in the coating solution, and then dried with a cylindrical dryer to prepare a filter sheet holding A-type zeolite at a dry weight of 10 g / m 2 . This was sprayed with the fullerene solution of Production Example 1 to produce a sterilizing filter sheet holding 1 g / m 2 of C 63 [(COOC 2 H 5 ) 2 ] 3 .
[0019]
(Example 2)
A sterilizing filter sheet carrying about 1 g / m 2 of mixed fullerene was prepared in the same manner as in Example 1 except that the fullerene solution of Production Example 2 was sprayed instead of the fullerene solution of Production Example 1. did.
[0020]
(Examples 3 to 10)
In Example 1, the loading amount of C 63 [(COOC 2 H 5 ) 2 ] 3 was 6 g / m 2 (Example 3), 5 g / m 2 (Example 4), and 2 g / m 2 (Example 5) Spraying a fullerene solution to 500 mg / m 2 (Example 6), 100 mg / m 2 (Example 7), 50 mg / m 2 (Example 8), and 10 mg / m 2 (Example 9) A sterilization filter sheet was prepared in the same manner as in Example 1 except that the above was performed.
[0021]
(Examples 10 and 11)
In Example 1, activated alumina having a specific surface area of about 250 m 2 / g (Example 10) produced by calcining aluminum hydroxide at about 1000 ° C. in place of zeolite A, or phosphoric acid having a specific surface area of about 200 m 2 / g A sterilization filter sheet was prepared in the same manner as in Example 1 except that zirconium (Example 11) was used.
(Example 12)
A sterilization filter sheet was produced in the same manner as in Example 1 except that colloidal silica was not used.
[0022]
(Comparative Example 1)
A sterilizing filter sheet was prepared in the same manner as in Example 1, except that zeolite A was replaced with silica fine particles having a non-adsorbing specific surface area of about 70 m 2 / g, prepared by a sol-gel method.
(Comparative Example 2)
A sterilizing filter sheet was prepared in the same manner as in Example 1 except that the fullerene solution was not sprayed.
[0023]
(Comparative Example 3)
Synthetic inorganic polymer having a saponite structure (Smecton SA, manufactured by Kunimine Industries: specific surface area: 160 m 2 / g), titanium oxide (P25S6, manufactured by Nippon Aerosil Co., Ltd.) and microbial cellulose manufactured by the method described in Patent Document 3 An aqueous dispersion was obtained by dispersing in water so as to have a weight ratio of 1: 5: 2. A filter sheet made of a polypropylene nonwoven fabric was immersed in this aqueous dispersion, and then dried with a cylindrical dryer to produce a sterilizing filter sheet supporting 10 g / m 2 of a solid component.
[0024]
The sterilization filter sheets obtained in the above Examples and Comparative Examples were subjected to a sterilization test by the following three methods.
Test method 1: 20 mL of a solution (about 5 × 10 5 cells / mL) containing Escherichia coli or mesitylene-resistant Staphylococcus aureus (MRSA) was placed in a Petri dish, and a 5.5 × 5.5 cm test sheet piece was placed in the solution. I sank. The temperature was maintained at 37 ° C. while flowing oxygen gas, and the cells were irradiated with a fluorescent lamp (white light) whose illuminance was adjusted to 500 lux for 24 hours, and then the viable cell count was measured by a plate method using a standard agar medium.
[0025]
Test method 2: A bactericidal test was performed in the same manner as in Test method 1, except that the illuminance in Test method 1 was adjusted to 4000 lux.
Test method 3: A bactericidal test was performed in the same manner as in Test method 1, except that the illuminance in Test method 1 was adjusted to 4000 lux and a filter for blocking light having a wavelength of 500 nm or less was installed.
[0026]
Table 1 shows the results. In addition, the numerical value in a table | surface represents the viable count after 24 hours.
[0027]
[Table 1]
[0028]
As is clear from Table 1, the sterilizing filter sheet according to the present invention exhibited a remarkable sterilizing effect even under irradiation of visible light containing no ultraviolet region. In the sterilizing filter sheet of Example 12, decomposition was considered to be caused by active oxygen generated from fullerenes in some of the fibers.
[0029]
【The invention's effect】
The disinfecting filter sheet according to the present invention exhibits a remarkable disinfecting effect even under visible light irradiation not including the ultraviolet region, and furthermore, the sheet is hardly deteriorated by active oxygen generated from fullerenes. Therefore, this sterilizing filter sheet is suitable for a filter member or the like of an air purifier.