JP2004313186A - 種苗の生産条件を最適化するための方法 - Google Patents

種苗の生産条件を最適化するための方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 種苗生産分野における孵化後から稚魚になるまでの種苗(仔魚)の体形異常が発生する原因を追求して、骨格異常発生の可能性を低減させることにより、健苗性に優れた種苗を効率的に生産し得る方法を提供すること。
【解決手段】 本発明の種苗の生産条件の最適化方法は、(a)飼育水槽内の種苗の生産条件を所定時間毎に記録する工程;(b)該飼育水槽から、体形異常を有する種苗を取出す工程;(c)該体形異常を有する種苗の骨格を観察して、骨格異常部位を特定する工程;(d)該骨格異常部位と予め準備した該種苗の骨格形成標本とを比較することにより、該種苗における該骨格異常部位の発生時期を特定する工程;(e)該特定時期における該記録された生産条件を検証する工程;(f)該検証された生産条件を適切な生産条件に変更する工程;および(g)上記工程(a)から工程(f)を繰り返す工程;を包含する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、栽培漁業において種苗の生産条件を最適化するための方法に関する。より詳細には、種苗生産分野において、孵化後から稚魚になるまでの種苗(仔魚)の体形異常の発生を防止して、健苗性に優れた種苗を効率的に生産するための方法に関する。
近年、ブリ、カンパチ、ヒラメ、マダイ、トラフグ、オニオコゼなどの市場価値の高い魚介類、および熱帯魚などの観賞魚は、卵を孵化させた後、稚魚の段階まで飼育する、いわゆる人工種苗を経て生産される。このような人工種苗を生産する過程においては、水温、餌料の種類およびその成分、給餌量などの種々の生産環境が影響する。
従来、種苗生産における当業者はこのような生産環境を経験的に習得し、それぞれ独自の手法で餌料の選択、水温調整などを行ってきた。
ここで、種苗生産においては、現在いくつかの問題が指摘されている。例えば、種苗の発育過程における体形異常の発生が挙げられる。
人工種苗では、天然種苗と比較した場合、吻部が若干短い、前頭骨と上後頭骨との間がやや陥没するなどの傾向が認められる場合がある。また、その発育過程において、頭部骨格、背鰭担鰭骨、臀鰭担鰭骨、尾骨格、鰓蓋などにも骨格異常が生じる場合もある。このような骨格異常には、例えば、欠損、湾曲、陥没などが挙げられる(例えば、非特許文献1〜5を参照のこと)。
骨格異常を有する種苗は、体の一部または全体に奇形が生じ、その後の発育において健全な体形を維持することができない。また、仮に、この状態のままで養殖され、そして出荷されたとしても、商品価値がすでに喪失されているという問題があった。また、このような骨格異常を有する種苗は、稚魚の段階まで発育させること自体も非常に困難であり、その結果、種苗の生存率および生産性を低下させる原因ともなっている。
また、種苗生産においては、いくつかの種類の餌料が種苗の発育段階に応じて与えられている。従来、このような骨格異常を生じた種苗は、その直前に与えた餌料が影響すると考えられる傾向にあり、その餌料自体の信頼性に疑問を与える場合もあった。しかし、その同じ種類の餌料を、他の種苗生産現場において使用しても、同様の骨格異常の形成が認められない場合がある。このため、種苗生産における健苗の育成を適切に管理する手法が所望されている。
松里寿彦,魚類の骨異常に関する研究,Bull.Natl.Res.Inst.,Aquaculture,10,57−179(1986) 清水弘文,人工採苗クロダイの骨格異常,東海区水産研究所研究報告,122,1−11(1987) 日本栽培漁業協会,形態異常魚の出現状況の把握とその防止法の開発1ブリ,平成3年度日本栽培漁業協会事業年報,246−249(1993) 日本栽培漁業協会,形態異常魚の出現状況の把握とその防止法の開発,平成10年度日本栽培漁業協会事業年報,289−290(2000) 日本栽培漁業協会,形態異常魚の出現状況の把握とその防止法の開発,平成11年度日本栽培漁業協会事業年報,250−258(2001)
本発明の目的は、種苗生産分野における孵化後から稚魚になるまでの種苗(仔魚)の体形異常が発生する原因を追求して、骨格異常が発生する可能性を低減させることにより、健苗性に優れた種苗を効率的に生産し得る方法を提供することにある。
本発明は、種苗の生産条件を最適化する方法を提供し、該方法は、(a)飼育水槽内の種苗の生産条件を所定時間毎に記録する工程;(b)該飼育水槽から、体形異常を有する種苗を取出す工程;(c)該体形異常を有する種苗の骨格を観察して、骨格異常部位を特定する工程;(d)該骨格異常部位と予め準備した該種苗の骨格形成標本とを比較することにより、該種苗における該骨格異常部位の発生時期を特定する工程;(e)該特定時期における該記録された生産条件を検証する工程;(f)該検証された生産条件を適切な生産条件に変更する工程;および(g)上記工程(a)から工程(f)を繰り返す工程;を包含する。
好ましい実施態様では、上記骨格形成標本は、データベースまたは記録媒体に収納されている。
好ましい実施態様では、上記前記種苗は、ブリ、カンパチ、ヒラメ、マダイ、トラフグ、オニオコゼ、カレイ、アジ類、サバ類、イワシ類、キス、メバル、サケ類、マス類、アユ、コイ、ヤマメ、フナ、またはキンギョである。
好ましい実施態様では、上記生産条件は、前記飼育水槽の水位、水温、換水量、種苗密度、餌料密度、餌料の種類、餌料成分、三態窒素含有量、および溶存酸素量からなる群より選択される少なくとも1種である。
本発明はまた、体形異常が低減された種苗の生産方法を提供し、該方法は、飼育水槽内の種苗の生産条件を記録する工程;該飼育水槽から、体形異常を有する種苗を取出す工程;該体形異常を有する種苗の骨格を観察して、骨格異常部位を特定する工程;該骨格異常部位と予め準備した該種苗の初期骨格形成標本とを比較することにより、該種苗における該骨格異常部位の発生時期を特定する工程;該特定時期における該記録された生産条件を検証する工程;および該検証された生産条件を変更する工程;を包含する。
好ましい実施態様では、上記骨格形成標本は、データベースまたは記録媒体に収納されている。
本発明はまた、孵化後、所定時間毎の種苗の骨格を記録してなる、骨格形成標本データベースを提供する。あるいは、本発明は、上記骨格形成標本標本または上記骨格形成標本標本データベースを含んでなる、骨格形成標本記録媒体を提供する。
好ましい実施態様では、上記種苗は、ブリ、カンパチ、ヒラメ、マダイ、トラフグ、オニオコゼ、カレイ、アジ類、サバ類、イワシ類、キス、メバル、サケ類、マス類、アユ、コイ、ヤマメ、フナ、またはキンギョである。
本発明はさらに、種苗生産において該種苗の体形異常の発生時期を特定する方法を提供し、該方法は、飼育水槽から、体形異常を有する種苗を取出す工程;該体形異常を有する種苗の骨格を観察して、骨格異常部位を特定する工程;および該骨格異常部位と予め準備した該種苗の骨格形成標本とを比較することにより、該種苗における該骨格異常部位の発生時期を特定する工程;を包含する。
好ましい実施態様では、上記骨格形成標本は、データベースまたは記録媒体に収納されている。
好ましい実施態様では、上記種苗は、ブリ、カンパチ、ヒラメ、マダイ、トラフグ、オニオコゼ、カレイ、アジ類、サバ類、イワシ類、キス、メバル、サケ類、マス類、アユ、コイ、ヤマメ、フナ、またはキンギョである。
本発明によれば、種苗生産分野における孵化後から稚魚になるまでの種苗(仔魚)の体形異常の原因を種苗の生育段階における生産条件から見出すことができる。また、悪影響を与えたと思われる生産条件を他の条件に変更することにより生産条件が最適化され、その後の種苗生産において、骨格異常を有する種苗の発生を低減させることができる。したがって、健苗性に優れた種苗の生産を高めることができる。
以下、本発明を図面を参照して説明する。
本発明の種苗の生産条件の最適化方法では、まず、飼育水槽内の種苗の生産条件が所定時間毎に記録される。
本発明に用いられる飼育水槽は、通常、陸上等に配置される水槽、または水上において使用されるフローティング水槽のいずれであってもよい。飼育水槽の大きさは特に限定されない。
本発明に用いられる種苗は、市場価値の高い魚介類または熱帯魚のような観賞魚の種苗が挙げられる。これら種苗は海水魚または淡水魚のいずれであってもよく、より具体的な例としては、ブリ、カンパチ、ヒラメ、マダイ、トラフグ、オニオコゼ、カレイ、アジ類、サバ類、イワシ類、キス、メバル、サケ類、マス類、アユ、コイ、ヤマメ、フナ、またはキンギョなどが挙げられるがこれらに限定されない。本発明の方法においては、特に、ブリ、カンパチ、ヒラメ、タイ、トラフグおよびオニオコゼが好ましい。
これら種苗は、通常、採卵後、当業者が通常用いる手段を用いて孵化させ、所定数を飼育水槽のような任意の容器に移し替え、人工的に環境を整えて発育させられる。
本発明においては、この飼育水槽内の種苗の生産条件が所定時間毎に記録される。生産条件の例としては、上記飼育水槽の水位(当該飼育水槽内の水容量)、水温、換水量(注水量)、種苗密度、餌料密度、餌料の種類および成分(生産地、ロット番号なども含む)、三態窒素のうち少なくとも1成分の含有量(例えば、当該飼育水槽内のアンモニア濃度、硝酸濃度、および/または亜硝酸濃度)、ならびに溶存酸素量が挙げられるが、特にこれらに限定されない。このような生産条件の記録は、各項目ごとに人が測定し、所定の記録紙に記入したものであってもよく、あるいはコンピュータを使用して自動的に各項目を数値化したデータとして保管したものであってもよい。
図1は、本発明に用いられる飼育水槽において種苗の生産条件を自動的に記録するための種苗生産条件管理装置の一例を示す模式図である。
図1に示される種苗生産条件管理装置100は、飼育水槽102内に入れられた種苗101に対し、餌料(例えば、ワムシまたはアルテミア)を給餌するための給餌管104、新鮮な水を提供するための給水管106、飼育水槽102内の温度(水温)を測定するための温度センサ108、飼育水槽102内の水位(水容量)を測定するための水位センサ110、飼育水槽102内の水温を制御するための調温手段112、および飼育水槽102から水を排出するための排水管114を備える。給餌管104、給水管106、温度センサ108、水位センサ110、ヒータ112および排水管114はそれぞれ、コンピュータ116と電気的に接続されており、給餌量、換水量、水温、水位または水容量、および排水量などの生産条件をコンピュータ116に自動的に記録することができる。コンピュータ116はまた、必要に応じて設けられる出力装置118(例えば、ハードディスクドライブまたはプリンター)に接続されており、記録された各生産条件の情報が任意に別に保管されてもよい。上記装置100に使用されるコンピュータ116は、必要に応じて、その他情報(例えば、種苗の種類、および使用した餌料に含まれる主成分)が記録されていてもよい。
さらに図1に示される種苗生産条件管理装置100は、飼育水槽102内の溶存酸素量および/または三態窒素のうち少なくとも1成分の含有量を測定するためのセンサがそれぞれ設けられ、これらセンサがコンピュータ116に電気的に接続されていてもよい。
なお、上記各生産条件の記録は所定時間毎に行われる。記録を行うための時間的間隔は、種苗の種類、その他条件等によって変更可能であり、当業者によって任意に設定され得る。記録を行うための時間的間隔の具体的な例としては、1日毎、1時間毎、12時間毎、10分毎などが挙げられる。
このようにして、飼育水槽内の種苗の生産条件が所定時間毎に記録される。記録された生産条件は、例えば、図2に示されるようなシート(以下、生産条件記録表という)で表現することができる。あるいは記録された生産条件を数値化し、測定時間毎の変化をグラフとして表現することもできる。
本発明においては、上記記録とは別に、当業者によって、飼育水槽内の種苗の発育状態が定期的に検査される。この検査においては、種苗を目視により定期的に観察してもよく、あるいは定期的に種苗をサンプリングし、顕微鏡などの手段を用いて観察してもよい。ここで、体形異常を有する種苗が発見された際、その体形異常を有する種苗が当業者によって取出され、体形異常があった旨が上記生産条件記録表に記録される。体形異常を有する種苗の取出し手法は、特に限定されず、当業者が通常用いる手法が用いられる。
次いで、体形異常を有する種苗であると判断され、かつ飼育水槽から取出された種苗は、その骨格について観察が行われる。より具体的には、当該種苗が化骨以前の仔魚である場合は透明化二重染色法を用いて観察され、あるいは当該種苗が化骨後の仔魚または稚魚である場合は透明化二重染色法、軟X線検査法およびこれらの組合わせの手法を用いて観察される。これら透明化二重染色法および軟X線検査法は、ともに当業者に周知の方法である。その結果、当該種苗の骨格異常を来たした部位(骨格異常部位)が特定される。なお、本明細書中に用いられる用語「骨格異常」とは、種苗の骨格形成において、通常の健苗性を有する種苗の骨格から逸脱した骨格の状態を包含していい、中軸骨格(例えば、神経棘、神経弓門、椎体、血管弓門、横突起、肋骨および背側肋骨);神経頭蓋(例えば、眼窩骨、鼻部、耳骨部、後頭骨および頭蓋底);内臓頭蓋(例えば、懸垂骨、顎骨、眼周囲部、舌弓部および鰓弓部);尾部骨格(例えば、尾鰭椎前椎体、尾部棒状骨、(準)下尾骨、上尾骨および尾神経骨);付属骨格(例えば、肩帯、腰帯、不完全神経間棘、神経間棘、背鰭終端骨、血管間棘、臀鰭終端骨、背側遠担鰭骨、腹側遠担鰭骨および輻射骨);鰭条(例えば、胸鰭、腹鰭、背鰭、臀鰭および尾鰭(主鰭条));などの骨格要素における、形成不全、欠損、湾曲、陥没、癒合などが挙げられる。骨格異常部位の特定は必ずしも1部位に限定されず、任意数の部位が特定されてもよい。
その後、上記骨格異常部位と、予め準備した該種苗の骨格形成標本とを比較することによって、当該種苗における当該部位の骨格異常が発生した時期が特定される。
本発明に用いられる種苗の骨格形成標本は、孵化後、所定時間毎の各種苗の骨格を記録してなる標本である。ここで、本明細書中で用いられる用語「骨格形成標本」とは、スケッチ、写真、模式図または特定部位の骨格の形成状態を記録、画像処理、あるいは数値化したデータ、もしくはこれらの情報に基づいて作成された図表または立体的に表現した模型をいう。本発明に用いられる具体的な骨格形成標本の例を、図3〜図14、および図15に示す。骨格形成標本は、好ましくは、データベースまたは記録媒体に収納されている。「骨格形成標本データベース」とは、該骨格形成標本を収納し表現する書面(例えば、書籍、冊子、表など)としたもの、あるいは骨格形成標本を表現し得るコンピュータに収納したものをいう。「骨格形成標本記録媒体」とは、上記骨格形成標本データベースに収納される内容が記録され収納された、例えば、磁気ディスク、コンパクトディスク、デジタルビデオディスクなどの記録媒体をいう。
図3〜図14はそれぞれ、ブリにおける孵化後から稚魚までの種苗の骨格形成の過程を説明する書面を表す図である。これらの骨格形成標本が骨格形成標本データベースの一部を構成し、種苗生産の最適化を行うために用いられる。
図3は、孵化直後(第1日齢)のブリ種苗の骨格を説明する上記骨格形成標本データベースを構成する書面の一例を表す図である。図3に示されるように、孵化直後の当該種苗は、骨格あるいはその原型となる組織が体内に形成されていない。孵化直後のブリ種苗の標準的な全長はおよそ2.8mm〜3mmである。
図4は、第2日齢のブリ種苗の骨格を説明する上記骨格形成標本データベースを構成する書面の一例を表す図である。図4に示されるように、第2日齢で当該種苗には、主上顎骨原基、歯骨原基(1)、メッケル軟骨(2)、耳殻(3)および梁軟骨(4)が出現し、擬鎖骨(5)も出現する。第2日齢での当該種苗の標準的な全長はおよそ3.5mm〜4mmである。
図5は、第3日齢のブリ種苗の骨格を説明する上記骨格形成標本データベースを構成する書面の一例を表す図である。図5に示されるように、第3日齢で当該種苗は開口し、摂餌を開始する。第3日齢での当該種苗の標準的な全長はおよそ3.7mm〜4.1mmである。
図6は、第7日齢のブリ種苗の骨格を説明する上記骨格形成標本データベースを構成する書面の一例を表す図である。図6に示されるように、第7日齢では、当該種苗は卵黄の吸収を終了し、摂餌を活発化させている。また、この段階において神経頭蓋(6)の形成が開始され、上顎(7)と下顎(8)とが発達し始める。さらに、第一神経弓門原基(9)も出現する。第7日齢での当該種苗の標準的な全長はおよそ4.8mm〜5.1mmである。
図7は、第10日齢のブリ種苗の骨格を説明する上記骨格形成標本データベースを構成する書面の一例を表す図である。図7に示されるように、第10日齢では、当該種苗は神経頭蓋(6)および内臓頭蓋(10)の骨化が開始され、尾部において下尾骨原基(11)が出現する。第10日齢での当該種苗の標準的な全長はおよそ5.3mm〜6mmである。
図8は、第14日齢のブリ種苗の骨格を説明する上記骨格形成標本データベースを構成する書面の一例を表す図である。図8に示されるように、第14日齢では、当該種苗は神経棘(背側近担鰭骨)(12)、血管棘(腹側近担鰭骨)(13)が出現する。また、この段階で脊索末端の上屈が開始し、下尾骨(14)が出現する。第14日齢での当該種苗の標準的な全長はおよそ6.4mm〜7mmである。
図9は、第16日齢のブリ種苗の骨格を説明する上記骨格形成標本データベースを構成する書面の一例を表す図である。図9に示されるように、第16日齢では、当該種苗の神経頭蓋(6)が発達し、上擬鎖骨と後頭骨の関節が形成される(15)。また、この段階で上尾骨(16)が出現し、かつ下尾骨(14)の形成が進行する。さらに、神経間棘(17)と血管間棘(18)とが出現し、不完全神経間棘(19)も出現する。第16日齢での当該種苗の標準的な全長はおよそ6.5mm〜7mmである。
図10は、第17日齢のブリ種苗の骨格を説明する上記骨格形成標本データベースを構成する書面の一例を表す図である。図10に示されるように、第17日齢では、当該種苗の脊索末端の上屈(20)が完了し、椎体の分節(21)が出現する。第17日齢での当該種苗の標準的な全長はおよそ7.2mm〜7.8mmである。
図11は、第19日齢のブリ種苗の骨格を説明する上記骨格形成標本データベースを構成する書面の一例を表す図である。図11に示されるように、第19日齢では、当該種苗の神経棘(12)および血管棘(13)が伸長し、不完全神経間棘(19)も伸長する。さらに、背鰭担鰭骨(22)が出現し、胸鰭鰭条(23)がほぼ胸鰭の上半分に出現する。また、腰帯(24)が伸長し、臀鰭担鰭骨(25)および鰭条(26)が、種苗の後方に向かって数が増加している。またさらに、尾鰭鰭条(27)が出現する。第19日齢での当該種苗の標準的な全長はおよそ7.8mm〜8.5mmである。
図12は、第27日齢のブリ種苗の骨格を説明する上記骨格形成標本データベースを構成する書面の一例を表す図である。図12に示されるように、第27日齢では、当該種苗に肋骨(28)の形成が開始され、当該種苗が稚魚に変態するために必要なすべての骨格要素が出現する。この段階で各鰭の鰭条は定数に達し、肛門前部に膜鰭(29)が残存する。第27日齢での当該種苗の標準的な全長はおよそ12mm〜17mmである。
図13は、第40日齢のブリ種苗の骨格を説明する上記骨格形成標本データベースを構成する書面の一例を表す図である。図13に示されるように、第40日齢では、当該種苗の仔魚膜が消失し、各鰭の鰭条が伸長する。なお、この段階においては、各骨格要素の計数項目が定数に達しているが、各骨格要素の骨化が不充分である。このため、未だ仔魚から稚魚への変態期にあるものと考えられる。第40日齢での当該種苗の標準的な全長はおよそ18mm〜25mmである。
図14は、第45日齢のブリ種苗の骨格を説明する上記骨格形成標本データベースを構成する書面の一例を表す図である。図14に示されるように、第45日齢では、当該種苗の神経頭蓋(6)、内臓頭蓋(10)、および尾部骨格(30)の骨化が進行し、椎体、神経棘、血管棘、および肋骨が頭部側より骨化し始める。第45日齢での当該種苗の標準的な全長はおよそ22mm〜28mmである。
本発明に用いられる骨格形成標本データベースは、例えば、上記図3〜図14に示されるような書面を集約した一冊の書籍、パンフレットなどの形態を有することができる。
あるいは、本発明に用いられる種苗生産の最適化を行うための骨格形成標本データベースは、骨格要素毎に区分された、例えば、以下のような形態を有していてもよい。
図15は、本発明に用いられる種苗生産の最適化を行うための骨格形成標本を表す他の例であって、ブリにおける孵化後から稚魚までの種苗の骨格形成過程を説明する書面を表す図である。
図15に示される骨格形成標本(これは、骨格形成標本データベースでもあり得る)では、ブリ種苗の日齢(横軸)に対して、各骨格形成要素の出現時期(図15中の「A」)およびブリ種苗における当該骨格要素の数量的完成時期(図15中の「C」)が記載されている。このような表現で表されていることにより、例えば、ブリ種苗の上尾骨はおよそ第19日齢の段階で出現し、その後、およそ第25日齢の段階で完成することがわかる。
本発明に用いられる骨格形成標本データベースは、例えば、以下のようにして作成される。
まず、対象とすべき種苗のうち、日齢または所定時間毎に好ましくは複数個体が採取される。次いで、体形異常のない(健苗性を有する)種苗のみが例えば、透明化二重染色法、軟X線検査法、およびこれらの組合わせの手法を用いて観察される。観察にあたっては、例えば、描画装置付き顕微鏡を用いて種苗の骨格がスケッチされ、出現または完成した骨格が計数される。このようにして得られた観察結果が集計され、上記図3〜図14、または図15に示されるような骨格形成標本データベースの形態に加工される。
本発明に用いられる骨格形成標本記録媒体は、上記骨格形成標本データベースに収納される内容を、磁気ディスク、コンパクトディスク、デジタルビデオディスクなどの記録媒体に収納することにより得られる。
本発明における骨格異常部位の発生時期は、上記骨格形成標本データベースまたは記録媒体(以下、「骨格形成標本データベース(等)」という)を用いて例えば、以下のようにして特定される。
例えば、体形異常が見出された種苗(ブリ)の骨格を観察した結果、骨格異常部位として種苗の頭部が陥没し、尾部に屈曲が見出されたと仮定する。この場合、例えば、上記図3〜図14に示される骨格形成標本を含む骨格形成標本データベース(等)が参照される。その結果、これら体形異常を引き起こした時期は、第一神経弓門および下尾骨が出現する第7日齢〜第10日齢の間であると特定される。なお、第7日齢〜第10日齢の間では、上記以外に当該種苗の上顎および下顎の発達も開始するため、同時に何らかの骨格異常を発見すこともできる。このように、当該種苗の特定部位における異常に気が付かなかったとしても、その他の部位で骨格異常を発見すれば、上記骨格形成標本データベース(等)を利用して、そのような微細な骨格異常をも発見することができる。
次いで、本発明においては、上記特定された時期における、当該種苗の記録された生産条件が検証される。
例えば、上記ブリ種苗の骨格形成標本データベース(等)との比較により、体形異常(例えば、擬鎖骨の屈曲)の原因が第2日齢であると特定された場合、当該日齢(孵化後第2日目)における当該種苗の生産条件が、上記生産条件記録表に保存された各条件に基づいて当業者に確認される。上述したように、ブリの種苗は、第3日齢で開口して摂餌を開始するため、擬鎖骨の屈曲が確認されるまでに与えられた餌料の種類またはその成分が当該屈曲に影響を及ぼしたものとは考え難い。もし、餌料の種類またはその成分が影響を及ぼしたのであれば、摂餌後の他の骨格形成にも異常が認められると考えられ得るからである。このようにして、特定時期における当該種苗の生産条件が検証され、骨格異常を起こした原因が特定される。骨格異常を起こす原因となり得る生産条件としては、例えば、水温の異常低下または異常上昇、各発育段階において不適切な種類餌料の選択、餌料中に含まれる成分、餌料密度、種苗密度などが挙げられる。これら生産条件を種苗生産時に定期的に記録して、上記生産条件記録表を作成することにより、骨格形成に悪影響を与えたと思われる生産条件を特定することができる。
骨格形成に悪影響を与えたと思われる生産条件は、次の種苗生産において、当業者によって適切と思われる条件に変更される。このように、種苗生産の生産条件を所定時間毎に記録すること、体形異常が認められた種苗の骨格形成の発生時期を骨格形成標本を用いて特定すること、および影響を与えたと思われる生産条件の変更を行うこと、を繰り返し行うことにより、当該種苗に体形異常が発生する可能性が徐々に低減される。このように、本発明の方法を繰り返すことによって、種苗の生産条件が最適化され、その結果、種苗に体形異常が発生する可能性が極めて低減される。
このように、本発明の最適化方法を用いて、健苗性を有する種苗をより効率的に生産することができる。
上述するような骨格要素は、所定の部位にカルシウムが沈着し、分化することにより出現する。ここで、特定の骨格要素の出現時において、種苗に何らかの悪影響が与えられると、当該要素は適切な様式で出現することができない。このような不適切な様式で出現した当該要素は日齢を重ねるにつれ、その状態のまま成長を続け、最終的には、当該種苗に対して骨格異常、あるいは外観的にも見出すことのできる体形異常をもたらす。本発明は、このような体形異常を有する種苗に対し、骨格要素の出現に悪影響を与えたと思われる生産条件を特定することができる。
次に、本発明の実施例について説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されない。
<実施例1:ブリ種苗における骨格形成標本データベースの作成>
2001年に日本栽培漁業協会屋島事業場が行ったブリ種苗生産試験から入手したブリ種苗を用い、各日齢ごとに当該種苗(46個体/日齢)の発育過程を観察して骨格形成標本データベースを作成した。なお、この骨格形成標本データベースの作成にあたり、使用した種苗をそれぞれ透明化二重染色法で染色し、描画装置付き実体顕微鏡(ニコン社製)によって染色された種苗の骨格を観察して、スケッチした。
孵化直後(第1日齢)の種苗には骨要素が見出されなかった。孵化直後の当該種苗は、骨格あるいはその原型となる組織が体内に形成されていなかった。孵化直後のブリ種苗は全長は平均2.91mmであった。
第2日齢のブリ種苗の骨格を上記と同様にして観察し、その骨格をスケッチした。第2日齢で当該種苗には、主上顎骨原基、歯骨原基、メッケル軟骨、耳殻および梁軟骨が出現し、擬鎖骨も出現していた。第2日齢での当該種苗の全長は平均3.80mmであった。
第3日齢のブリ種苗の骨格を上記と同様にして観察し、その骨格をスケッチした。第3日齢で当該種苗は開口し、摂餌を開始した。第3日齢での当該種苗の全長は平均3.88mmであった。
第7日齢のブリ種苗の骨格を上記と同様にして観察し、その骨格をスケッチした。第7日齢では、当該種苗は卵黄の吸収を終了し、摂餌を活発化させていた。また、この段階において神経頭蓋の形成が開始され、上顎と下顎とが発達し始めていた。さらに、当該種苗においては第一神経弓門原基も出現していた。第7日齢での当該種苗の全長は平均5.06mmであった。
第10日齢のブリ種苗の骨格を上記と同様にして観察し、その骨格をスケッチした。第10日齢では、当該種苗は神経頭蓋および内臓頭蓋の骨化が開始し、尾部において下尾骨原基が出現していることを確認した。第10日齢での当該種苗の標準的な全長は平均5.76mmであった。
第14日齢のブリ種苗の骨格を上記と同様にして観察し、その骨格をスケッチした。第14日齢では、当該種苗は神経棘(背側近担鰭骨)、血管棘(腹側近担鰭骨)が出現していた。また、この段階で脊索末端の上屈が開始し、下尾骨が出現していた。第14日齢での当該種苗の全長は平均6.74mmであった。
第16日齢のブリ種苗の骨格を上記と同様にして観察し、その骨格をスケッチした。第16日齢では、当該種苗の神経頭蓋が発達し、上擬鎖骨と後頭骨の間接が形成されていた。また、この段階で上尾骨が出現し、かつ下尾骨の形成が進行していた。さらに、第16日齢の当該種苗では、神経間棘と血管間棘とが出現し、不完全神経間棘も出現していた。第16日齢での当該種苗の全長は平均6.75mmであった。
第17日齢のブリ種苗の骨格を上記と同様にして観察し、その骨格をスケッチした。第17日齢では、当該種苗の脊索末端の上屈が完了し、椎体の分節が出現していた。第17日齢での当該種苗の全長は平均7.48mmであった。
第19日齢のブリ種苗の骨格を上記と同様にして観察し、その骨格をスケッチした。第19日齢では、当該種苗の神経棘および血管棘が伸長し、不完全神経間棘も伸長していた。さらに、背鰭担鰭骨が出現し、胸鰭鰭条がほぼ胸鰭の上半分に出現していた。また、腰帯が伸長し、臀鰭担鰭骨および鰭条が、種苗の後方に向かってそれらの数が増加していることが観察された。またさらに、尾鰭鰭条が出現していた。第19日齢での当該種苗の全長は平均8.23mmであった。
第27日齢のブリ種苗の骨格を上記と同様にして観察し、その骨格をスケッチした。第27日齢では、当該種苗に肋骨の形成が開始され、当該種苗が稚魚に変態するために必要なすべての骨格要素が出現した。この段階で各鰭の鰭条は定数に達し、肛門前部に膜鰭が残存していた。第27日齢での当該種苗の全長は平均14.92mmであった。
第40日齢のブリ種苗の骨格を上記と同様にして観察し、その骨格をスケッチした。第40日齢では、当該種苗の仔魚膜が消失し、各鰭の鰭条が伸長していた。第40日齢での当該種苗の全長は平均19.8mmであった。
第45日齢のブリ種苗の骨格を上記と同様にして観察し、その骨格をスケッチした。第45日齢では、当該種苗の神経頭蓋、内臓頭蓋、および尾部骨格の骨化が進行し、椎体、神経棘、血管棘、および肋骨が頭部側より骨化し始めていることを確認した。第45日齢での当該種苗の標準的な全長は平均24.6mmであった。
上記にて作成した各日齢におけるブリ種苗の骨格スケッチから、各骨格要素の出現および骨化の程度を分類し、図3〜図14に示されるような書面を作成し、これら書面を1冊の書類群とした。また、同様にして図15に示されるような書面を作成した。このようにして本発明に用いられるブリ種苗の骨格形成標本データベースを作成した。
<実施例2:ブリ種苗の生産条件の検証および最適化>
温度計、温水ヒータおよび水位計を備える1キロリットルの水槽内に、海水と孵化直後(第1日齢)のブリ種苗(約20000個体)を入れる。この水槽内の水温、水位、溶存酸素濃度、個体数(種苗密度)を12時間毎に測定し、それぞれを記録する。この後、この測定を継続する。
翌日(第2日齢)より、当業者に周知の方法で、所定量の餌料を一日に2回づつ、この水槽内に入れる。餌料の種類、給餌量(餌料密度)および給餌時間を、水温、水位および個体数とともに記録する。なお、使用する餌料はシオミズツボワムシ、アルテミア、冷凍コペポーダ、および仔魚用配合飼料であり、シオミズツボワムシは第2日齢から第30日齢までの間、アルテミアは第22日齢から第42日齢までの間、冷凍コペポーダは第33日齢から第40日齢までの間、そして配合飼料は第27日齢から種苗(稚魚)の取上げまで使用する。
定期的に水槽内の種苗を観察かつサンプルとして採取し、体形異常の有無を目視および透明化二重染色法により観察する。体形異常を有する種苗が見出された際、その種苗を取出して、透明化二重染色法、軟X線検査法またはそれらの併用により、骨格異常部位を特定する。骨格異常部位が特定された後、上記実施例1で作成した骨格形成標本データベースと比較し、当該部位の出現時期を特定する。次いで、この出現時期における上記にて記録された生産条件(水温、水位、個体数、餌料の種類、給餌量および給餌時間)が見直しされ、この時期において特異的に変化した条件の有無が確認される。これにより、体形異常を起こした当該種苗生産時の条件が特定され、その条件を、当該種苗の骨格異常データベースに記録する。
次いで、新規に種苗生産を開始する際、上記の蓄積された骨格異常データベースを参照し、骨格異常を来たした時期における生産条件を他の安全と思われる条件に設定する。これを繰り返すことにより、体形異常の発生が抑えられた健苗性を有する種苗が効率的に生産される。
<実施例3:ヒラメ種苗における骨格形成標本データベースの作成>
2002年に日本栽培漁業協会伯方島事業場から入手した受精卵を用いて福山大学海洋生物育成工学研究室が行ったヒラメ種苗生産試験から入手したヒラメ種苗を用い、各日齢ごとに当該種苗(20個体/日齢)の発育過程を観察して骨格形成標本データベースを作成した。なお、この骨格形成標本データベースの作成にあたり、使用した種苗をそれぞれ透明化二重染色法で染色し、描画装置付き実体顕微鏡(ニコン社製)によって染色された種苗の骨格を観察して、スケッチした。
孵化直後(第0日齢)の種苗には骨要素が見出されなかった。孵化直後の当該種苗は、骨格あるいはその原型となる組織が体内に形成されていなかった。孵化直後のヒラメ種苗は全長は平均1.86mmであった。
第5日齢のヒラメ種苗の骨格を上記と同様にして観察し、その骨格をスケッチした。第5日齢で当該種苗は開口し、摂餌を開始した。第5日齢で当該種苗には、メッケル軟骨、舌顎骨原基、接続骨原基、擬鎖骨原基、および烏口骨原基が出現していた。第5日齢での当該種苗の全長は平均3.84mmであった。
第10日齢のヒラメ種苗の骨格を上記と同様にして観察し、その骨格をスケッチした。第10日齢では、当該種苗は背鰭伸長および鰭条原基が現れ、神経間棘が出現していることを確認した。第10日齢での当該種苗の標準的な全長は平均5.84mmであった。
第15日齢のヒラメ種苗の骨格を上記と同様にして観察し、その骨格をスケッチした。第15日齢では、当該種苗は、神経弓門および血管弓門、神経棘および血管棘、鰓条、ならびに背鰭鰭条が出現していた。また、この段階で脊索末端の上屈が開始した。背鰭伸長鰭条は、3〜5本に増加し、伸長が続いていた。第15日齢での当該種苗の全長は平均7.03mmであった。
第20日齢のヒラメ種苗の骨格を上記と同様にして観察し、その骨格をスケッチした。第20日齢では、当該種苗の眼球の移動が開始した。神経弓門および血管弓門が完成し、神経棘および血管棘の出現が完了した。背鰭伸長鰭条は伸長し続け、6本目が出現した。第20日齢での当該種苗の全長は平均7.88mmであった。
第25日齢のヒラメ種苗の骨格を上記と同様にして観察し、その骨格をスケッチした。第25日齢では、当該種苗の下尾骨板、神経棘、および血管棘が完成した。また、背鰭および臀鰭が尾部まで出現した。第25日齢での当該種苗の全長は平均9.81mmであった。
第30日齢のヒラメ種苗の骨格を上記と同様にして観察し、その骨格をスケッチした。第30日齢では、当該種苗の下尾骨の硬骨化が始まった。背鰭伸長鰭条の伸長が完了した。第30日齢での当該種苗の全長は平均10.823mmであった。
第35日齢のヒラメ種苗の骨格を上記と同様にして観察し、その骨格をスケッチした。第35日齢では、当該種苗に軟骨性硬骨の硬骨化が各部で始まった。背鰭伸長鰭条は収縮を開始した。第35日齢での当該種苗の全長は平均12.22mmであった。
第40日齢のヒラメ種苗の骨格を上記と同様にして観察し、その骨格をスケッチした。第40日齢では、当該種苗の眼球は正中線を通過し、移動が完了した。背鰭伸長鰭条が収縮し、伸長鰭条のなごりが消えた。椎体および各鰭条が完成した。第40日齢での当該種苗の全長は平均16.57mmであった。
上記にて作成した各日齢におけるヒラメ種苗の骨格スケッチから、各骨格要素の出現および骨化の程度を分類し、図16〜図24に示されるような書面を作成し、これら書面を1冊の書類群とした。また、同様にして図25および26に示されるような書面を作成した。このようにして本発明に用いられるヒラメ種苗の骨格形成標本データベースを作成した。
本発明によれば、種苗生産分野における孵化後から稚魚になるまでの種苗(仔魚)の体形異常の原因を種苗の生育段階における生産条件から見出すことができる。また、悪影響を与えたと思われる生産条件を他の条件に変更することにより生産条件が最適化され、その後の種苗生産において、骨格異常を有する種苗の発生を低減させることができる。これにより、健苗性に優れた種苗の生産を高めることができ、市場価値を保持した養殖魚を効率よく提供することができる。
本発明に用いられる飼育水槽において種苗の生産条件を自動的に記録するための装置の一例を示す模式図である。 本発明に用いられる飼育水槽内の種苗の生産条件を所定時間毎に記録したシート(生産条件記録表)の一例を説明するための模式図である。 本発明に用いられる骨格形成標本データベースまたは記録媒体に含まれる、骨格形成標本の一例を表し、孵化直後(第1日齢)のブリ種苗の骨格を説明する書面を表す図である。 本発明に用いられる骨格形成標本データベースまたは記録媒体に含まれる、骨格形成標本の一例を表し、第2日齢のブリ種苗の骨格を説明する書面を表す図である。 本発明に用いられる骨格形成標本データベースまたは記録媒体に含まれる、骨格形成標本の一例を表し、第3日齢のブリ種苗の骨格を説明する書面を表す図である。 本発明に用いられる骨格形成標本データベースまたは記録媒体に含まれる、骨格形成標本の一例を表し、第7日齢のブリ種苗の骨格を説明する書面を表す図である。 本発明に用いられる骨格形成標本データベースまたは記録媒体に含まれる、骨格形成標本の一例を表し、第10日齢のブリ種苗の骨格を説明する書面を表す図である。 本発明に用いられる骨格形成標本データベースまたは記録媒体に含まれる、骨格形成標本の一例を表し、第14日齢のブリ種苗の骨格を説明する書面を表す図である。 本発明に用いられる骨格形成標本データベースまたは記録媒体に含まれる、骨格形成標本の一例を表し、第16日齢のブリ種苗の骨格を説明する書面を表す図である。 本発明に用いられる骨格形成標本データベースまたは記録媒体に含まれる、骨格形成標本の一例を表し、第17日齢のブリ種苗の骨格を説明する書面を表す図である。 本発明に用いられる骨格形成標本データベースまたは記録媒体に含まれる、骨格形成標本の一例を表し、第19日齢のブリ種苗の骨格を説明する書面を表す図である。 本発明に用いられる骨格形成標本データベースまたは記録媒体に含まれる、骨格形成標本の一例を表し、第27日齢のブリ種苗の骨格を説明する書面を表す図である。 本発明に用いられる骨格形成標本データベースまたは記録媒体に含まれる、骨格形成標本の一例を表し、第40日齢のブリ種苗の骨格を説明する書面を表す図である。 本発明に用いられる骨格形成標本データベースまたは記録媒体に含まれる、骨格形成標本の一例を表し、第45日齢のブリ種苗の骨格を説明する書面を表す図である。 本発明に用いられる骨格形成標本データベースまたは記録媒体に含まれる、骨格形成標本を表す他の例であって、ブリにおける孵化後から稚魚までの種苗の骨格形成過程を説明する書面を表す図である。 本発明に用いられる骨格形成標本データベースまたは記録媒体に含まれる、骨格形成標本の一例を表し、孵化直後(第0日)のヒラメ種苗の骨格を説明する書面を表す図である。 本発明に用いられる骨格形成標本データベースまたは記録媒体に含まれる、骨格形成標本の一例を表し、第5日齢のヒラメ種苗の骨格を説明する書面を表す図である。 本発明に用いられる骨格形成標本データベースまたは記録媒体に含まれる、骨格形成標本の一例を表し、第10日齢のヒラメ種苗の骨格を説明する書面を表す図である。 本発明に用いられる骨格形成標本データベースまたは記録媒体に含まれる、骨格形成標本の一例を表し、第15日齢のヒラメ種苗の骨格を説明する書面を表す図である。 本発明に用いられる骨格形成標本データベースまたは記録媒体に含まれる、骨格形成標本の一例を表し、第20日齢のヒラメ種苗の骨格を説明する書面を表す図である。 本発明に用いられる骨格形成標本データベースまたは記録媒体に含まれる、骨格形成標本の一例を表し、第25日齢のヒラメ種苗の骨格を説明する書面を表す図である。 本発明に用いられる骨格形成標本データベースまたは記録媒体に含まれる、骨格形成標本の一例を表し、第30日齢のヒラメ種苗の骨格を説明する書面を表す図である。 本発明に用いられる骨格形成標本データベースまたは記録媒体に含まれる、骨格形成標本の一例を表し、第35日齢のヒラメ種苗の骨格を説明する書面を表す図である。 本発明に用いられる骨格形成標本データベースまたは記録媒体に含まれる、骨格形成標本の一例を表し、第40日齢のヒラメ種苗の骨格を説明する書面を表す図である。 本発明に用いられる頭部骨格および鰭条の骨格形成標本データベースまたは記録媒体に含まれる、骨格形成標本の一例を表す他の例であって、ヒラメにおける孵化後から稚魚までの種苗の骨格形成過程を説明する書面を表す図である。 本発明に用いられる中軸骨格、付属骨格、および尾部骨格の骨格形成標本データベースまたは記録媒体に含まれる、骨格形成標本の一例を表す他の例であって、ヒラメにおける孵化後から稚魚までの種苗の骨格形成過程を説明する書面を表す図である。

Claims (11)

  1. 種苗の生産条件を最適化する方法であって、
    (a)飼育水槽内の種苗の生産条件を所定時間毎に記録する工程;
    (b)該飼育水槽から、体形異常を有する種苗を取出す工程;
    (c)該体形異常を有する種苗の骨格を観察して、骨格異常部位を特定する工程;
    (d)該骨格異常部位と予め準備した該種苗の骨格形成標本とを比較することにより、該種苗における該骨格異常部位の発生時期を特定する工程;
    (e)該特定時期における該記録された生産条件を検証する工程;
    (f)該検証された生産条件を適切な生産条件に変更する工程;および
    (g)上記工程(a)から工程(f)を繰り返す工程;
    を包含する、方法。
  2. 前記骨格形成標本が、データベースまたは記録媒体に収納されている、請求項1に記載の方法。
  3. 前記種苗が、ブリ、カンパチ、ヒラメ、マダイ、トラフグ、オニオコゼ、カレイ、アジ類、サバ類、イワシ類、キス、メバル、サケ類、マス類、アユ、コイ、ヤマメ、フナ、またはキンギョである、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記生産条件が、前記飼育水槽の水位、水温、換水量、種苗密度、餌料密度、餌料の種類、餌料成分、三態窒素含有量、および溶存酸素量からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1から3のいずれかの項に記載の方法。
  5. 体形異常が低減された種苗の生産方法であって、
    飼育水槽内の種苗の生産条件を記録する工程;
    該飼育水槽から、体形異常を有する種苗を取出す工程;
    該体形異常を有する種苗の骨格を観察して、骨格異常部位を特定する工程;
    該骨格異常部位と予め準備した該種苗の初期骨格形成標本とを比較することにより、該種苗における該骨格異常部位の発生時期を特定する工程;
    該特定時期における該記録された生産条件を検証する工程;および
    該検証された生産条件を変更する工程;
    を包含する、方法。
  6. 前記骨格形成標本が、データベースまたは記録媒体に収納されている、請求項5に記載の方法。
  7. 孵化後、所定時間毎の種苗の骨格を記録してなる骨格形成標本を収納してなる、骨格形成標本データベースまたは記録媒体。
  8. 前記種苗が、ブリ、カンパチ、ヒラメ、マダイ、トラフグ、オニオコゼ、カレイ、アジ類、サバ類、イワシ類、キス、メバル、サケ類、マス類、アユ、コイ、ヤマメ、フナ、またはキンギョである、請求項7に記載の骨格形成標本データベースまたは記録媒体。
  9. 種苗生産において該種苗の体形異常の発生時期を特定する方法であって、
    飼育水槽から、体形異常を有する種苗を取出す工程;
    該体形異常を有する種苗の骨格を観察して、骨格異常部位を特定する工程;および
    該骨格異常部位と予め準備した該種苗の骨格形成標本とを比較することにより、該種苗における該骨格異常部位の発生時期を特定する工程;
    を包含する、方法。
  10. 前記骨格形成標本が、データベースまたは記録媒体に収納されている、請求項9に記載の方法。
  11. 前記種苗が、ブリ、カンパチ、ヒラメ、マダイ、トラフグ、オニオコゼ、カレイ、アジ類、サバ類、イワシ類、キス、メバル、サケ類、マス類、アユ、コイ、ヤマメ、フナ、またはキンギョである、請求項9または10に記載の方法。
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