JP2004311280A - 高周波加熱装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】摺動部分をなくして信頼性を向上させ、また必要なインダクタンスに対して小形とした高周波加熱装置を提供することを目的とする。
【解決手段】整合回路160はコイル170と磁性体コア190とを有し、その相対位置を移動手段により可変とすることにより、摺動部分をなくして信頼性を向上させ、また磁性体コア190によってインダクタンスに対する形状を小とすることができ、装置の小形化を実現することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】整合回路160はコイル170と磁性体コア190とを有し、その相対位置を移動手段により可変とすることにより、摺動部分をなくして信頼性を向上させ、また磁性体コア190によってインダクタンスに対する形状を小とすることができ、装置の小形化を実現することができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷凍食品の解凍や木材の乾燥などのため、業務用や一般家庭用として使用される高周波加熱装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の高周波加熱装置としては既に知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
これは、図15に示されるように、電源回路1、高周波発振回路2、自動同調回路3を有する高周波発生装置4の出力に可変インダクタンス回路部5と電極板6、7を接続し、操作部8から制御部9に指令が与えられると、電極板6、7間に高電圧が供給され、電極板6、7間に置かれた負荷である木材が加熱されるものであった。そして、可変インダクタンス回路部5の具体構成例は、図16に示されるように、アルミ製の導電板11の内側にU字形に変形された形の中継片12を設け、モータ13によってネジ棒14が回転すると、中継片12が導電板11を摺動しながら昇降し、電流経路の長さが変化することにより、P1とP2の端子間のインダクタンスが可変としたものであった。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−257850号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の構成の高周波加熱装置では、中継片12と導電板11間に摺動部分が存在することから、接触抵抗が存在し、接触する面の経年変化などによって性能が劣化する可能性があり、信頼性が低いという課題があった。また、これに加えて、インダクタンスに対する可変インダクタンス回路部5の形状が大きく、例えば電極板間のリアクタンスの絶対値が大きい場合などに対応させるため大きなインダクタンスを実現しようとすると、導電板11の長さを長くする必要があることから、装置が著しく大型になってしまうという課題もあった。
【0006】
本発明は、前記課題を解決するもので、摺動部分をなくして信頼性を向上させ、また必要なインダクタンスに対して小形とした高周波加熱装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明の高周波加熱装置は、電極と高周波電源の間に接続してインピーダンス変換を行う整合回路は、コイルと磁性体コアを有し、前記コイルは粗巻部分と密巻部分を有し、前記磁性体コアと前記コイルとの相対位置を可変としたものである。
【0008】
これにより、摺動部分なしであっても、インダクタンスを可変することができ、また磁性体コアによってインダクタンスに対する形状を小とすることができ、装置の小形化を実現することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
請求項1に記載の発明は、電極と、高周波電源と、前記電極と高周波電源の間に接続してインピーダンス変換を行う整合回路とを備え、前記整合回路はコイルと磁性体コアを有し、前記コイルは粗巻部分と密巻部分を有し、前記磁性体コアと前記コイルとの相対位置を可変とした高周波加熱装置とすることにより、摺動部分なしであっても、インダクタンスを可変することができ、また磁性体コアによってインダクタンスに対する形状を小とすることができ、装置の小形化を実現することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、磁性体コアは、コイルの粗巻部分に位置させた請求項1に記載の高周波加熱装置とすることにより、さらにコイルのQ値を高い状態に保ち、損失が少なく高効率の装置の実現を図るものである。
【0011】
請求項3に記載の発明は、磁性体コアは、角柱形状とした請求項1または2に記載の高周波加熱装置とすることにより、より量産性に優れた高周波加熱装置を実現するものである。
【0012】
請求項4に記載の発明は、電極と、高周波電源と、前記電極と高周波電源の間に接続してインピーダンス変換を行う整合回路とを備え、前記整合回路はコイルと角錐形状を持つ磁性体コアを有し、前記磁性体コアと前記コイルとの相対位置を可変とした高周波加熱装置とすることにより、摺動部分なしであっても、インダクタンスを可変することができ、また磁性体コアによってインダクタンスに対する形状を小とすることができ、装置を小形化し、さらに移動量に対するインダクタンスの変化を緩やかにし、インダクタンスの微調整が行える。よって、常に高周波電源を高効率で動作させることができる装置を実現するものである。
【0013】
請求項5に記載の発明は、電極と、高周波電源と、前記電極と高周波電源の間に接続してインピーダンス変換を行う整合回路とを備え、前記整合回路はコイルと円錐形状を持つ磁性体コアを有し、前記磁性体コアと前記コイルとの相対位置を可変とした高周波加熱装置とすることにより、摺動部分なしであっても、インダクタンスを可変することができ、また磁性体コアによってインダクタンスに対する形状を小とすることができ、装置を小形化し、さらに移動量に対するインダクタンスの変化を緩やかにし、インダクタンスの微調整が行える。よって、常に高周波電源を高効率で動作させることができる装置を実現するものである。
【0014】
請求項6に記載の発明は、電極と、高周波電源と、前記電極と高周波電源の間に接続してインピーダンス変換を行う整合回路とを備え、前記整合回路はコイルと複数の磁性体コアを有し、前記磁性体コア同士の相対位置を可変とした高周波加熱装置とすることにより、摺動部分なしであっても、インダクタンスを可変することができ、また磁性体コアによってインダクタンスに対する形状を小とすることができ、装置の小形化を実現することができる。
【0015】
請求項7に記載の発明は、磁性体コアとコイルとの相対位置を可変する、または磁性体コア同士の相対位置を可変するための移動手段は、コイルの長さ方向に磁性体コアを移動させる請求項1、4、5、6のいずれか1項に記載の高周波加熱装置とすることにより、インダクタンスの可変範囲が十分大きく、幅広い負荷条件範囲で良好な整合性能が得られ、高効率で高周波電源が動作可能な装置を実現するものである。
【0016】
請求項8に記載の発明は、磁性体コアとコイルとの相対位置を可変する、または磁性体コア同士の相対位置を可変するための移動手段は、コイルの長さ方向を軸として磁性体コアを回転させる請求項1、4、5、6のいずれか1項に記載の高周波加熱装置とすることにより、さらに簡単な構成で装置を実現するものである。
【0017】
請求項9に記載の発明は、電極と、高周波電源と、前記電極と高周波電源の間に接続してインピーダンス変換を行う整合回路とを備え、前記整合回路は、コイルと磁性体コアと磁性体コア冷却用の放熱フィンとを設けた高周波加熱装置とすることにより、磁性体コアの損失による発熱を効果的に逃がして温度の過大な上昇を抑え、必要なインダクタンスに対して小形で安定に動作する装置を実現するものである。
【0018】
請求項10に記載の発明は、電極と、高周波電源と、前記電極と高周波電源の間に接続してインピーダンス変換を行う整合回路とを備え、前記整合回路はコイルと中空部を有する磁性体コアを設けた高周波加熱装置とすることにより、磁性体コアの損失による発熱を効果的に逃がして温度の過大な上昇を抑え、必要なインダクタンスに対して小形で安定に動作する装置を実現するものである。
【0019】
【実施例】
以下、本発明の実施例について、図面を参照して説明する。
【0020】
(実施例1)
図1〜図4は、本発明の実施例1における高周波加熱装置を示している。
【0021】
図1に示すように、冷凍食品などの被加熱物100を挟み込むように、上下に配置された金属材料から成る2枚の電極板110、120により構成した電極130が設けられている。
【0022】
また、13.56メガヘルツの高周波の電力を供給する高周波電源140が設けられ、電極130と高周波電源140の間には、検知回路150と、インピーダンス変換を行う整合回路160が接続されている。
【0023】
整合回路160は、電極130に直列接続したコイル170を設け、さらに電極130とコイル170との直列回路にコンデンサ180が並列接続で設けられている。本実施例では、コイル170の内側にはニッケル亜鉛系のフェライト材を用いた可動の磁性体コア190を有しており、磁性体コア190とコイル170の相対位置を可変とすることによりインダクタンス値を可変する構成となっている。
【0024】
本実施例ではコンデンサ200、210がそれぞれ開閉手段220、230と直列に接続された上で、コンデンサ180と並列に接続されており、開閉手段220、230のオンオフによって、コンデンサ200、210の静電容量は、それぞれコンデンサ180に加算されて作用する構成となっている。
【0025】
制御回路240は、高周波電源140から整合回路160への電力供給を能率良く行うことができるように、常に、磁性体コア190の位置を制御し、また開閉手段220、230のオンオフ制御を行うものであって、本実施例では検知回路150から入射電力検知信号Pfと、反射電力検知信号Prを入力することにより入射電力に対する反射電力の比率が小さくなるように、制御を行うものとなっている。
【0026】
図2は、本実施例の検知回路150の詳細を示している。
【0027】
図に示すように、トロイダル型のコアを用いた電流トランス280と、入射電力検知回路290、反射電力検知回路300を有したCM型と呼ばれる回路構成を用いたものとなっており、入射電力検知回路290と反射電力検知回路300は全く同等の回路構成となっている。
【0028】
すなわち、電流トランス280の二次側にはそれぞれ抵抗310、320が接続され、さらにショットキー型のダイオード330、340が接続されている。
【0029】
電圧検知を行うため、コンデンサ350、360、また370、380の分圧回路が構成され、直流電圧分を検出するため、抵抗390、400、コンデンサ410、420、負荷として作用する抵抗430、440が設けられているものとなっている。
【0030】
以上の構成により、検知回路150は50オームの純抵抗に対して、入射電力と反射電力に対応した電圧値、すなわちほぼ入射電力の平方根に相当する電圧をPfとして出力し、反射電力の平方根に相当する電圧をPrとして出力するものとなる。
【0031】
図3は、本実施例のコイル170を示しているもので、コイル170は直径2.5mmのエナメル線を直径24mmの円筒状テフロン(R)製のパイプ500に巻いて構成したものであるが、特に本実施例では巻きピッチが一定ではなく、巻きピッチを4mmとした密巻部分510と、巻きピッチを8mmとした粗巻部分520を設けている。
【0032】
図4は、磁性体コア190を可動する移動手段を示したものである。
【0033】
(ア)はコイル170のインダクタンスを小としている場合のもので、(イ)はコイル170のインダクタンスを大としている場合のものである。
【0034】
図に示すように、コイル170とパイプ500は円筒状であり、磁性体コア190は断面が正方形とした角柱形状としている。これによって、磁性体コア190を、例えば、切り出して製造する際には材料に無駄が発生せず、有効な材料利用ができるという効果があるほか、本実施例では円筒状のパイプ500の内側面に内接するように角柱形状の磁性体コア190が存在することから、磁性体コア190の正方形の角でのみパイプ500内面に接触することになり、磁性体コア190が移動する際の摩擦が少なくなるという効果も有している。
【0035】
さらに、パイプ500の円弧部と磁性体コア190の辺間には隙間が生ずることにより、図4で左端に矢印で示すような冷却風を通した場合に、その隙間を風が流れることになるので、磁性体コア190の冷却が効果的になされ、磁性体コア190の磁気特性が安定して、安定したインダクタンスが得られるとともに、パイプ500など周囲の構造の耐熱温度も比較的低いものが使用できるものとなる。
【0036】
また、図に示すように、磁性体コア190については、コイル170との相対位置を可変とするための移動手段530が設けられている。
【0037】
本実施例における移動手段530は、樹脂製のラックギア540、ラックギア540と噛み合ったピニオン550、およびピニオン550に取り付けられたギア内蔵のステッピングモータ560によって構成されている。
【0038】
ビニオン550は制御回路240からの信号によって駆動されるステッピングモータ560によって回転運動を行うものであるので、制御回路240は、移動手段530によって磁性体コア190を任意の位置へ移動させ、それによってコイル170のインダクタンスが自在に変化できるものとなっている。これは、電気接点が摺動しながら移動するというような部分もないことから、長期の使用に対しても十分な信頼性を得ることができるものとなる。
【0039】
図4の(ア)に対して(イ)は、磁性体コア190の位置が基点aから60mm左にあり、その分コイル170との磁気結合が大となるため、インダクタンスの値が大きくなる。なお、本実施例では、(イ)に見られるように磁性体コア190はコイル170の内、比較的起磁力の低い粗巻部分520に介在することになる。
【0040】
一般にフェライトなどを用いた磁性体コア190は、起磁力が大きい部分に置かれるほど、損失が大きくなるという性質があるため、本実施例の構成とすることにより、コイルのQ値を高い状態に保つことができ、すなわち、磁性体コア190の損失が少なく、高効率の装置の実現を図るものである。
【0041】
なお、インダクタンスの値については、密巻部分510が大きなインダクタンスを稼ぐことから、比較的少ない銅線量で必要なインダクタンスを得ることができるものとなり、またインダクタンスの可変範囲についても、粗巻部分520に磁性体コア190が介在するという構成としていることにより、(ア)に対して(イ)の状態では、25パーセント程度のインダクタンスの増加となる。
【0042】
これは、一様な巻きピッチの構成とする場合よりも変化範囲は小であるが、電極130により生ずる負のリアクタンス成分の変動に対応するに必要な範囲は十分にカバーすることができるものであり、むしろ通常の冷凍食品を解凍する際の電極130のQ値がかなり高いことなどから、必要となるコイル170のインダクタンスの微調整にも対応することができる、大変優れたコイルの構成となっている。
【0043】
(実施例2)
図5、図6は、本発明の実施例2における高周波加熱装置のコイルおよび磁性体コア周辺の構成を示している。
【0044】
図5に示すように、本実施例においては、コイル570は実施例1と同じ直径2.5mmのエナメル線を使用しているが、巻きピッチを一定として巻いているものである。なお、コイル570は樹脂製のパイプ500に巻いた構成となっているが、これも実施例1と同じものである。
【0045】
さらに、移動手段530の構成についても実施例1と全く同等で、ラックギア540、ビニオン550、ステッピングモータ560で構成されたものとなっている。
【0046】
図6(ア)(イ)に示すように、磁性体コア580は、底面を正方形とした角錐形状、すなわち四角錐としている。
【0047】
なお、その他の部分の構成については、実施例1と全く同等のものとなっている。
【0048】
以上の構成により、本実施例の高周波加熱装置は、制御回路240からの信号によってステッピングモータ560が回転すると、ラックギア540は、コイル570の長さ方向に直線運動し、磁性体コア580がコイル570の内部を動くので、やはり接点が摺動することなしに、コイル570のインダクタンスが変化するものとなる。
【0049】
ここで、角錐形状の磁性体コア580がコイル570内に挿入されて磁界を受ける部分の体積が、先端部分ほど小さく、挿入量が多くなるに従い徐々に大きくなるので、インダクタンスの変化が緩やかであり、例えば電極130の有するリアクタンス成分の絶対値と等価直列抵抗の比率、すなわちQ値が100以上というような高い場合であっても、反射電力の大きさが十分に小さくなるようにコイル570のインダクタンス値を微妙に調整することも可能となる。
【0050】
そして、磁性体コア580が角柱形状であることから、例えば切り出しの工法で製造する場合などにも無駄な材料が発生することもないので、量産性に優れた高周波加熱装置を実現することができるものとなる。
【0051】
(実施例3)
図7、図8は、本発明の実施例3における高周波加熱装置の磁性体コア構成を示している。
【0052】
図7(ア)(イ)に示すように、磁性体コア600は、円錐形状としている。その他の部分の構成については、実施例2と全く同等のものとなっている。
【0053】
本実施例においても、円錐形状の磁性体コア600がコイル570内に挿入されて磁界を受ける部分の体積が、先端部分ほど小さく、挿入量が多くなるに従い徐々に大きくなるので、インダクタンスの変化が緩やかであり、よって、実施例2と同様に、インダクタンス値を微妙に調整することが可能となる。
【0054】
図8は、本実施例における磁性体コア600のコイル570の挿入長とインダクタンスの特性を示している。縦軸にインダクタンスを、横軸に磁性体コア600の挿入長をとっている。
【0055】
ここでの挿入長とは、磁性体コア600の頂点からコイル570の端面までの距離であり、本実施例においては磁性体コア600の移動範囲を、−5mmから55mm、すなわちコイル570端面の手前5mmの状態で、最もインダクタンスが小となり、磁性体コア600の頂点がコイル570の端面から55mmまで入った位置まで移動し、その状態でインダクタンスが最大となるものである。
【0056】
このような構成とすることにより、本実施例のコイル570のインダクタンスはAで示すようなカーブで、3.5μHから4.4μHの範囲で穏やかに変化するものとなり、変化の割合は、最大インダクタンスが最小インダクタンスに対して25%増しとなる特性が得られ、解凍用としては十分な可変範囲が実現されるものとなる。
【0057】
ちなみに、Bは円柱状の磁性体コアを用いた場合のインダクタンス変化を示すものであり、挿入長が2.5mmの条件で既に4.4μHとなるなど、可変範囲は大きくとれるが、挿入長に対する直線性はやや劣るので、制御で安定化の工夫を必要とすることもある。
【0058】
(実施例4)
図9、図10は、本発明の実施例4における高周波加熱装置のコイル周辺の構成を示している。
【0059】
図9(ア)はインダクタンスが最小の状態、(イ)はインダクタンスが中間の状態、(ウ)はインダクタンスが最大の状態を示している。
【0060】
なお、本実施例においても図9以外の部分については、実施例1と全く同等の構成が用いられている。
【0061】
本実施例においては、コイル620は直径2.5mmのエナメル線を曲げて2回鎖交するようにした上で、フェライトコアで実現した合計6個の磁性体コア630、640、650、660、670、680で上下から挟むように固定したものとなっている。
【0062】
ここで、磁性体コア630、640、650については左右方向、つまり軸方向に移動が自在となるように支持されており、図示されていないが実施例1に示したようなラックギアを用いた移動手段が設けられたものとなっている。
【0063】
図10(ア)(イ)に示すように、磁性体コア630、640、650、660、670、680の形状は、通常のトロイダルコアと呼ばれる形状に対して120度の角度に切り欠きが設けられており、切り欠き部分の磁路が妨げられた形状となっている。
【0064】
このため、1つの磁性体コアの内部を通るほとんどの磁束は、磁性体コア内をほぼ半周分通った時点で、隣接する磁性体コアとの間の空隙を通過して隣接する磁性体コアに移り、さらにほぼ半周分を磁性体コア内において通過した後、再びまた空隙を経て元の磁性体へと戻るという磁路構成がなされているものである。
【0065】
図9(ア)の状態は、磁性体コア630は磁性体コア660と磁性体コア670のちょうど間に位置しており、磁性体コア640についても磁性体コア670と磁性体コア680の間に位置している状態となっている。
【0066】
コイル620の回りに作られる磁路は、磁性体コアをほぼ半周した段階で、隣接した磁性体コアに移ることになるが、この間の距離が長いものとなるため、磁気抵抗が高く、よってコイル620はインダクタンスが小さい状態となる。
【0067】
本実施例では、磁性体コア630、640、650が移動手段によって、コイル620の長さ方向に移動することにより、磁性体コア同士の相対位置が可変となる。
【0068】
すなわち、(ア)よりも(イ)、(イ)よりも(ウ)となるにつれて、磁性体コア630、640、650は揃って左側に移動してくることによって、磁性体コア630と磁性体コア660の間隔が近づき、磁性体コア640と磁性体コア670の間隔が近づき、磁性体コア650と磁性体コア680の間隔も近づいてくる。このため、コイル620を周回する磁路の磁気抵抗が小となりインダクタンスが大となってくるものとなるので、インダクタンス可変が行えるものとなる。
【0069】
本実施例では、特に磁性体コア間の空隙が実施例1などと比較して短く、磁気抵抗が少ないことから、接点の摺動部分なしとした上に、小形の構成で大きなインダクタンス値が実現できるため、装置を小型とすることができるものである。
【0070】
(実施例5)
図11は、本発明の実施例5における高周波加熱装置のコイル周辺の構成を示している。
【0071】
本実施例において、図11(ア)はインダクタンスが最小の状態、(イ)はインダクタンスが最大の状態を示している。
【0072】
なお、本実施例においても図11以外の部分については、実施例1と全く同等の構成が用いられている。
【0073】
本実施例においては、コイル620は実施例4と全く同等で、直径2.5mmのエナメル線を曲げて2回鎖交するようにしたものである。フェライトコアで実現した2個の磁性体コア682、683を設けているが、これらはちょうど1個のトロイダルコアを斜めに切って2つに分けた形のものとなっており、このうち磁性体コア682は、図示していない移動手段によって軸方向に移動可能としている。
【0074】
移動手段としては、実施例1と同様のラックギアなどを用いたものであるが、ラックギアを用いるもの以外にも、例えばジャッキのようにネジをモータで回転させるものや、ウォームギアを使用するもの、さらに空気圧を使用するものなど、さまざまな構成が考えられる。
【0075】
図11(ア)においては、磁性体コア682と磁性体コア683の間の空隙が広いことから、磁路を1周する磁路の磁気抵抗が大きく、よってコイル620はインダクタンスが小となる。
【0076】
これに対して、図11(イ)では空隙がほとんどない状態にまで縮められている状態となるため、磁路を1周する磁路の磁気抵抗は小さくなり、コイル620がインダクタンスの大きい状態にされるものとなり、比較的簡単で小形の構成でありながら、インダクタンスの値を変化させる構成が実現されるものとなる。
【0077】
(実施例6)
図12は、本発明の実施例6における高周波加熱装置のコイル周辺の構成を示している。
【0078】
本実施例において、図12(ア)はインダクタンスが最小の状態、(イ)はインダクタンスが中間の状態、(ウ)はインダクタンスが最大の状態を示している。
【0079】
なお、本実施例においても図12以外の部分については、実施例1と全く同等の構成が用いられている。
【0080】
本実施例においては、コイル700は直径2.5mmのエナメル線を曲げて2回鎖交するようにした上で、フェライトコアで実現した合計6個の磁性体コア710、720、730、740、750、760、770、780で等間隔に並んで設けられている。
【0081】
ここで、磁性体コア710、720、730、740については固定されているが、磁性体コア750、760、770、780については、回転自在とし図示してはいないが、ステッピングモータを用いた移動手段によって回転され、(ア)〜(ウ)に示すように位置が変化できる構成としている。
【0082】
なお、本実施例において使用されている磁性体コア710、720、730、740、750、760、770、780は、図10と同じ形状のものを使用して構成しているものとなっている。
【0083】
本実施例においても、1つの磁性体コアの内部をほぼ半周通った時点で、隣接する磁性体コアに空隙を介して磁路を形成するものとなるが、隣接する磁性体コアの回転角度によって、1周の磁路の磁気抵抗は変化し、それによって電気接点の摺動部分なしに、コイル700のインダクタンスは変化するものとなる。
【0084】
図12(ア)の状態は、すべての磁性体コア710、720、730、740、750、760、770、780が同じ角度で並んでいることから、上側では空気中を磁束が通らざるを得ない状況となって、磁路1周の磁気抵抗が大となり、インダクタンスは最小となる。
【0085】
(イ)、(ウ)のように移動手段により磁性体コア750、760、770、780が回転するに従って、コイル700の長さ方向を軸として回転がなされ、固定されている磁性体コア710、720、730、740との相対位置が変化し、隣接する磁性体コア同士での磁束の行き来が増加する結果、磁路1周の磁気抵抗は減少するため、コイル700のインダクタンスは増加していくことになる。
【0086】
本実施例では、コイル700の長さ方向を軸として磁性体コア750、760、770、780を回転させる構成としたことから、比較的簡単な構成でインダクタンスの可変が可能な構成を実現させている。
【0087】
なお、実施例4〜6においては、いずれも磁性体コアの中心をコイル620、700が通過する外鉄型とし、これによりコイル620、700に必要な銅の量を少なくした構成とし、また外部に漏れる高周波磁界は極めて少なくなり、他の機器への不要輻射による誤動作なども抑えやすい構成とすることができるものとしている。しかし、実施例1に示すような筒状にコイルを巻いたものに対して、実施例4〜6に示したような磁性体コアをコイル内に設けたものとしても良く、その場合にも磁性体コアが移動手段で位置の変化がなされるに従って、磁気抵抗の変化が起こり、コイルのインダクタンスの値が変化されるものとなる。
【0088】
(実施例7)
図13は、本発明の実施例7における高周波加熱装置のコイル周辺の構成を示している。
【0089】
本実施例においては、断面が2mm×5mmの長方形とした一般に平角銅線と呼ばれる線を巻いて構成したコイル800を、樹脂製の筒810に巻いて設けてある。前記筒810には軸方向に冷却風が通る細長いスリット820を多数設けている。
【0090】
フェライト製の磁性体コア830は、多数の溝によって構成した冷却用の放熱フィン840を有しており、ラックギア850に取り付けられている。
【0091】
移動手段はラックギア850を含むものであり、他の構成要素は図示されていないが、実施例1と同等の構成となっている。また、整合回路など装置の他部分の構成要素に関しても、実施例1と同等の構成が用いられているものとなっている。
【0092】
図13は理解しやすいように、放熱フィン840を設けた磁性体コア830、およびラックギア850が、筒810から引き抜かれた状態で示されているが、実際には筒810の内部に磁性体コア830が位置する状態に組み上げられるものであり、装置の動作時には、実施例1などと同様にコイル800の中にまで磁性体コア830が入り込んでなるものである。
【0093】
本実施例においては、矢印で示した方向から、図示しない回転式冷却ファンモータからの冷却風が作用し、これが筒810に設けられたスリット820を通して、放熱フィン840に当たるため、磁性体コア830の損失によって発生する熱が効果的に逃がされ、磁性体コア830の温度が過剰に上昇するということを防ぐものとなっている。
【0094】
よって、比較的安価な磁性材料などでも磁性体コア830として使用することもできるようになり、温度の上がりすぎによる磁性特性の悪化などもなく、コイル800には安定したインダクタンスを得ることができるものとなる。
【0095】
特に、本実施例においては、平角型のコイル800を使用していることから、近接効果によるQ値の低下を防ぐことができるとともに、コイル800自身も冷却風によって十分に冷却がなされ、さらにスリット820の開口をふさぐ面積も最小限で済むことから、放熱フィン840にも十分な冷却風が当たり、良好な冷却効果が得られるものとなる。
【0096】
なお、本実施例では、放熱フィン840を磁性コア830表面に多数の溝を掘って加工することによって構成したものとしているが、例えばセラミック、炭素樹脂など熱を良く伝える材質を用いて構成しても良く、放熱フィン840の立て方も、本実施例のように筒810に対して直角に並べるもの以外の構成、例えば筒810の軸に並行に設けたり、放射状に設けたりしたものであっても構わない。
【0097】
また、コイル800に粗巻部分を設けて、その部分に磁性体コア830を介在させるというような実施例1で示したのと同様の構成としてもよく、その場合には、粗巻となっている部分でのスリット820の開口の比率がより上がることから、放熱フィン840に当たる冷却風はより強くなり、効果的な冷却がなされるものとなる。
【0098】
(実施例8)
図14は、本発明の実施例8における高周波加熱装置のコイル周辺の構成を示している。
【0099】
本実施例においては、磁性体コア860は中空部870が設けられており、かつ中空部870は内面の面積が大きくなるように、溝を形成してフィン構造も取り入れているものとなっている。
【0100】
ラックギア880が磁性体コア860の端面に接着されているが、これは移動手段の一部を構成するものであり、図示される以外の構成は、実施例1と同等のものとなっている。
【0101】
この構成おいて、矢印した方向から冷却ファンなどによる冷却風が吹き込んでくると、磁性体コア860の外面だけでなく、中空部870の中にも冷却風が吹き込んでくるので、その分、冷却効果が大きいものとなる。特に、本実施例では、中空部870に放熱フィンまで構成していることから、とりわけその効果として大なるものが得られる。
【0102】
なお、実施例7、8においては、コイルが螺旋状に巻かれた構成を示しているが、例えば実施例4〜6などに示されるような構造としても良い。
【0103】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の高周波加熱装置は、磁性体コアとコイルとの相対位置を可変としたものであり、摺動部分なしであっても、インダクタンスを可変することができ、また磁性体コアによってインダクタンスに対する形状を小とすることができ、装置の小形化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1における高周波加熱装置の回路図
【図2】同装置における検知回路の詳細回路図
【図3】同装置におけるコイル周辺の構成図
【図4】同装置におけるコイルおよび磁性体コアの説明図
【図5】本発明の実施例2における高周波加熱装置のコイル周辺の構成図
【図6】同装置における磁性体コアの形状を示す図
【図7】本発明の実施例3における高周波加熱装置の磁性体コアの形状を示す図
【図8】同装置における磁性体コアの挿入長とインダクタンスの特性グラフ
【図9】本発明の実施例4における高周波加熱装置のコイル周辺の構成図
【図10】同装置における磁性体コアの形状を示す図
【図11】本発明の実施例5における高周波加熱装置のコイル周辺の構成図
【図12】本発明の実施例6における高周波加熱装置のコイル周辺の構成図
【図13】本発明の実施例7における高周波加熱装置のコイル周辺の構成図
【図14】本発明の実施例8における高周波加熱装置の磁性体コア周辺の構成図
【図15】従来の高周波加熱装置の回路図
【図16】同装置の可変インダクタンス回路部の具体構成図
【符号の説明】
130 電極
140 高周波電源
160 整合回路
170、570、620、700、800 コイル
190、580、600、630、640、650、660、670、680、682、683、710、720、730、740、750、760、770、780、830、860 磁性体コア
510 密巻部分
520 粗巻部分
530 移動手段
840 放熱フィン
870 中空部
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷凍食品の解凍や木材の乾燥などのため、業務用や一般家庭用として使用される高周波加熱装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の高周波加熱装置としては既に知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
これは、図15に示されるように、電源回路1、高周波発振回路2、自動同調回路3を有する高周波発生装置4の出力に可変インダクタンス回路部5と電極板6、7を接続し、操作部8から制御部9に指令が与えられると、電極板6、7間に高電圧が供給され、電極板6、7間に置かれた負荷である木材が加熱されるものであった。そして、可変インダクタンス回路部5の具体構成例は、図16に示されるように、アルミ製の導電板11の内側にU字形に変形された形の中継片12を設け、モータ13によってネジ棒14が回転すると、中継片12が導電板11を摺動しながら昇降し、電流経路の長さが変化することにより、P1とP2の端子間のインダクタンスが可変としたものであった。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−257850号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の構成の高周波加熱装置では、中継片12と導電板11間に摺動部分が存在することから、接触抵抗が存在し、接触する面の経年変化などによって性能が劣化する可能性があり、信頼性が低いという課題があった。また、これに加えて、インダクタンスに対する可変インダクタンス回路部5の形状が大きく、例えば電極板間のリアクタンスの絶対値が大きい場合などに対応させるため大きなインダクタンスを実現しようとすると、導電板11の長さを長くする必要があることから、装置が著しく大型になってしまうという課題もあった。
【0006】
本発明は、前記課題を解決するもので、摺動部分をなくして信頼性を向上させ、また必要なインダクタンスに対して小形とした高周波加熱装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明の高周波加熱装置は、電極と高周波電源の間に接続してインピーダンス変換を行う整合回路は、コイルと磁性体コアを有し、前記コイルは粗巻部分と密巻部分を有し、前記磁性体コアと前記コイルとの相対位置を可変としたものである。
【0008】
これにより、摺動部分なしであっても、インダクタンスを可変することができ、また磁性体コアによってインダクタンスに対する形状を小とすることができ、装置の小形化を実現することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
請求項1に記載の発明は、電極と、高周波電源と、前記電極と高周波電源の間に接続してインピーダンス変換を行う整合回路とを備え、前記整合回路はコイルと磁性体コアを有し、前記コイルは粗巻部分と密巻部分を有し、前記磁性体コアと前記コイルとの相対位置を可変とした高周波加熱装置とすることにより、摺動部分なしであっても、インダクタンスを可変することができ、また磁性体コアによってインダクタンスに対する形状を小とすることができ、装置の小形化を実現することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、磁性体コアは、コイルの粗巻部分に位置させた請求項1に記載の高周波加熱装置とすることにより、さらにコイルのQ値を高い状態に保ち、損失が少なく高効率の装置の実現を図るものである。
【0011】
請求項3に記載の発明は、磁性体コアは、角柱形状とした請求項1または2に記載の高周波加熱装置とすることにより、より量産性に優れた高周波加熱装置を実現するものである。
【0012】
請求項4に記載の発明は、電極と、高周波電源と、前記電極と高周波電源の間に接続してインピーダンス変換を行う整合回路とを備え、前記整合回路はコイルと角錐形状を持つ磁性体コアを有し、前記磁性体コアと前記コイルとの相対位置を可変とした高周波加熱装置とすることにより、摺動部分なしであっても、インダクタンスを可変することができ、また磁性体コアによってインダクタンスに対する形状を小とすることができ、装置を小形化し、さらに移動量に対するインダクタンスの変化を緩やかにし、インダクタンスの微調整が行える。よって、常に高周波電源を高効率で動作させることができる装置を実現するものである。
【0013】
請求項5に記載の発明は、電極と、高周波電源と、前記電極と高周波電源の間に接続してインピーダンス変換を行う整合回路とを備え、前記整合回路はコイルと円錐形状を持つ磁性体コアを有し、前記磁性体コアと前記コイルとの相対位置を可変とした高周波加熱装置とすることにより、摺動部分なしであっても、インダクタンスを可変することができ、また磁性体コアによってインダクタンスに対する形状を小とすることができ、装置を小形化し、さらに移動量に対するインダクタンスの変化を緩やかにし、インダクタンスの微調整が行える。よって、常に高周波電源を高効率で動作させることができる装置を実現するものである。
【0014】
請求項6に記載の発明は、電極と、高周波電源と、前記電極と高周波電源の間に接続してインピーダンス変換を行う整合回路とを備え、前記整合回路はコイルと複数の磁性体コアを有し、前記磁性体コア同士の相対位置を可変とした高周波加熱装置とすることにより、摺動部分なしであっても、インダクタンスを可変することができ、また磁性体コアによってインダクタンスに対する形状を小とすることができ、装置の小形化を実現することができる。
【0015】
請求項7に記載の発明は、磁性体コアとコイルとの相対位置を可変する、または磁性体コア同士の相対位置を可変するための移動手段は、コイルの長さ方向に磁性体コアを移動させる請求項1、4、5、6のいずれか1項に記載の高周波加熱装置とすることにより、インダクタンスの可変範囲が十分大きく、幅広い負荷条件範囲で良好な整合性能が得られ、高効率で高周波電源が動作可能な装置を実現するものである。
【0016】
請求項8に記載の発明は、磁性体コアとコイルとの相対位置を可変する、または磁性体コア同士の相対位置を可変するための移動手段は、コイルの長さ方向を軸として磁性体コアを回転させる請求項1、4、5、6のいずれか1項に記載の高周波加熱装置とすることにより、さらに簡単な構成で装置を実現するものである。
【0017】
請求項9に記載の発明は、電極と、高周波電源と、前記電極と高周波電源の間に接続してインピーダンス変換を行う整合回路とを備え、前記整合回路は、コイルと磁性体コアと磁性体コア冷却用の放熱フィンとを設けた高周波加熱装置とすることにより、磁性体コアの損失による発熱を効果的に逃がして温度の過大な上昇を抑え、必要なインダクタンスに対して小形で安定に動作する装置を実現するものである。
【0018】
請求項10に記載の発明は、電極と、高周波電源と、前記電極と高周波電源の間に接続してインピーダンス変換を行う整合回路とを備え、前記整合回路はコイルと中空部を有する磁性体コアを設けた高周波加熱装置とすることにより、磁性体コアの損失による発熱を効果的に逃がして温度の過大な上昇を抑え、必要なインダクタンスに対して小形で安定に動作する装置を実現するものである。
【0019】
【実施例】
以下、本発明の実施例について、図面を参照して説明する。
【0020】
(実施例1)
図1〜図4は、本発明の実施例1における高周波加熱装置を示している。
【0021】
図1に示すように、冷凍食品などの被加熱物100を挟み込むように、上下に配置された金属材料から成る2枚の電極板110、120により構成した電極130が設けられている。
【0022】
また、13.56メガヘルツの高周波の電力を供給する高周波電源140が設けられ、電極130と高周波電源140の間には、検知回路150と、インピーダンス変換を行う整合回路160が接続されている。
【0023】
整合回路160は、電極130に直列接続したコイル170を設け、さらに電極130とコイル170との直列回路にコンデンサ180が並列接続で設けられている。本実施例では、コイル170の内側にはニッケル亜鉛系のフェライト材を用いた可動の磁性体コア190を有しており、磁性体コア190とコイル170の相対位置を可変とすることによりインダクタンス値を可変する構成となっている。
【0024】
本実施例ではコンデンサ200、210がそれぞれ開閉手段220、230と直列に接続された上で、コンデンサ180と並列に接続されており、開閉手段220、230のオンオフによって、コンデンサ200、210の静電容量は、それぞれコンデンサ180に加算されて作用する構成となっている。
【0025】
制御回路240は、高周波電源140から整合回路160への電力供給を能率良く行うことができるように、常に、磁性体コア190の位置を制御し、また開閉手段220、230のオンオフ制御を行うものであって、本実施例では検知回路150から入射電力検知信号Pfと、反射電力検知信号Prを入力することにより入射電力に対する反射電力の比率が小さくなるように、制御を行うものとなっている。
【0026】
図2は、本実施例の検知回路150の詳細を示している。
【0027】
図に示すように、トロイダル型のコアを用いた電流トランス280と、入射電力検知回路290、反射電力検知回路300を有したCM型と呼ばれる回路構成を用いたものとなっており、入射電力検知回路290と反射電力検知回路300は全く同等の回路構成となっている。
【0028】
すなわち、電流トランス280の二次側にはそれぞれ抵抗310、320が接続され、さらにショットキー型のダイオード330、340が接続されている。
【0029】
電圧検知を行うため、コンデンサ350、360、また370、380の分圧回路が構成され、直流電圧分を検出するため、抵抗390、400、コンデンサ410、420、負荷として作用する抵抗430、440が設けられているものとなっている。
【0030】
以上の構成により、検知回路150は50オームの純抵抗に対して、入射電力と反射電力に対応した電圧値、すなわちほぼ入射電力の平方根に相当する電圧をPfとして出力し、反射電力の平方根に相当する電圧をPrとして出力するものとなる。
【0031】
図3は、本実施例のコイル170を示しているもので、コイル170は直径2.5mmのエナメル線を直径24mmの円筒状テフロン(R)製のパイプ500に巻いて構成したものであるが、特に本実施例では巻きピッチが一定ではなく、巻きピッチを4mmとした密巻部分510と、巻きピッチを8mmとした粗巻部分520を設けている。
【0032】
図4は、磁性体コア190を可動する移動手段を示したものである。
【0033】
(ア)はコイル170のインダクタンスを小としている場合のもので、(イ)はコイル170のインダクタンスを大としている場合のものである。
【0034】
図に示すように、コイル170とパイプ500は円筒状であり、磁性体コア190は断面が正方形とした角柱形状としている。これによって、磁性体コア190を、例えば、切り出して製造する際には材料に無駄が発生せず、有効な材料利用ができるという効果があるほか、本実施例では円筒状のパイプ500の内側面に内接するように角柱形状の磁性体コア190が存在することから、磁性体コア190の正方形の角でのみパイプ500内面に接触することになり、磁性体コア190が移動する際の摩擦が少なくなるという効果も有している。
【0035】
さらに、パイプ500の円弧部と磁性体コア190の辺間には隙間が生ずることにより、図4で左端に矢印で示すような冷却風を通した場合に、その隙間を風が流れることになるので、磁性体コア190の冷却が効果的になされ、磁性体コア190の磁気特性が安定して、安定したインダクタンスが得られるとともに、パイプ500など周囲の構造の耐熱温度も比較的低いものが使用できるものとなる。
【0036】
また、図に示すように、磁性体コア190については、コイル170との相対位置を可変とするための移動手段530が設けられている。
【0037】
本実施例における移動手段530は、樹脂製のラックギア540、ラックギア540と噛み合ったピニオン550、およびピニオン550に取り付けられたギア内蔵のステッピングモータ560によって構成されている。
【0038】
ビニオン550は制御回路240からの信号によって駆動されるステッピングモータ560によって回転運動を行うものであるので、制御回路240は、移動手段530によって磁性体コア190を任意の位置へ移動させ、それによってコイル170のインダクタンスが自在に変化できるものとなっている。これは、電気接点が摺動しながら移動するというような部分もないことから、長期の使用に対しても十分な信頼性を得ることができるものとなる。
【0039】
図4の(ア)に対して(イ)は、磁性体コア190の位置が基点aから60mm左にあり、その分コイル170との磁気結合が大となるため、インダクタンスの値が大きくなる。なお、本実施例では、(イ)に見られるように磁性体コア190はコイル170の内、比較的起磁力の低い粗巻部分520に介在することになる。
【0040】
一般にフェライトなどを用いた磁性体コア190は、起磁力が大きい部分に置かれるほど、損失が大きくなるという性質があるため、本実施例の構成とすることにより、コイルのQ値を高い状態に保つことができ、すなわち、磁性体コア190の損失が少なく、高効率の装置の実現を図るものである。
【0041】
なお、インダクタンスの値については、密巻部分510が大きなインダクタンスを稼ぐことから、比較的少ない銅線量で必要なインダクタンスを得ることができるものとなり、またインダクタンスの可変範囲についても、粗巻部分520に磁性体コア190が介在するという構成としていることにより、(ア)に対して(イ)の状態では、25パーセント程度のインダクタンスの増加となる。
【0042】
これは、一様な巻きピッチの構成とする場合よりも変化範囲は小であるが、電極130により生ずる負のリアクタンス成分の変動に対応するに必要な範囲は十分にカバーすることができるものであり、むしろ通常の冷凍食品を解凍する際の電極130のQ値がかなり高いことなどから、必要となるコイル170のインダクタンスの微調整にも対応することができる、大変優れたコイルの構成となっている。
【0043】
(実施例2)
図5、図6は、本発明の実施例2における高周波加熱装置のコイルおよび磁性体コア周辺の構成を示している。
【0044】
図5に示すように、本実施例においては、コイル570は実施例1と同じ直径2.5mmのエナメル線を使用しているが、巻きピッチを一定として巻いているものである。なお、コイル570は樹脂製のパイプ500に巻いた構成となっているが、これも実施例1と同じものである。
【0045】
さらに、移動手段530の構成についても実施例1と全く同等で、ラックギア540、ビニオン550、ステッピングモータ560で構成されたものとなっている。
【0046】
図6(ア)(イ)に示すように、磁性体コア580は、底面を正方形とした角錐形状、すなわち四角錐としている。
【0047】
なお、その他の部分の構成については、実施例1と全く同等のものとなっている。
【0048】
以上の構成により、本実施例の高周波加熱装置は、制御回路240からの信号によってステッピングモータ560が回転すると、ラックギア540は、コイル570の長さ方向に直線運動し、磁性体コア580がコイル570の内部を動くので、やはり接点が摺動することなしに、コイル570のインダクタンスが変化するものとなる。
【0049】
ここで、角錐形状の磁性体コア580がコイル570内に挿入されて磁界を受ける部分の体積が、先端部分ほど小さく、挿入量が多くなるに従い徐々に大きくなるので、インダクタンスの変化が緩やかであり、例えば電極130の有するリアクタンス成分の絶対値と等価直列抵抗の比率、すなわちQ値が100以上というような高い場合であっても、反射電力の大きさが十分に小さくなるようにコイル570のインダクタンス値を微妙に調整することも可能となる。
【0050】
そして、磁性体コア580が角柱形状であることから、例えば切り出しの工法で製造する場合などにも無駄な材料が発生することもないので、量産性に優れた高周波加熱装置を実現することができるものとなる。
【0051】
(実施例3)
図7、図8は、本発明の実施例3における高周波加熱装置の磁性体コア構成を示している。
【0052】
図7(ア)(イ)に示すように、磁性体コア600は、円錐形状としている。その他の部分の構成については、実施例2と全く同等のものとなっている。
【0053】
本実施例においても、円錐形状の磁性体コア600がコイル570内に挿入されて磁界を受ける部分の体積が、先端部分ほど小さく、挿入量が多くなるに従い徐々に大きくなるので、インダクタンスの変化が緩やかであり、よって、実施例2と同様に、インダクタンス値を微妙に調整することが可能となる。
【0054】
図8は、本実施例における磁性体コア600のコイル570の挿入長とインダクタンスの特性を示している。縦軸にインダクタンスを、横軸に磁性体コア600の挿入長をとっている。
【0055】
ここでの挿入長とは、磁性体コア600の頂点からコイル570の端面までの距離であり、本実施例においては磁性体コア600の移動範囲を、−5mmから55mm、すなわちコイル570端面の手前5mmの状態で、最もインダクタンスが小となり、磁性体コア600の頂点がコイル570の端面から55mmまで入った位置まで移動し、その状態でインダクタンスが最大となるものである。
【0056】
このような構成とすることにより、本実施例のコイル570のインダクタンスはAで示すようなカーブで、3.5μHから4.4μHの範囲で穏やかに変化するものとなり、変化の割合は、最大インダクタンスが最小インダクタンスに対して25%増しとなる特性が得られ、解凍用としては十分な可変範囲が実現されるものとなる。
【0057】
ちなみに、Bは円柱状の磁性体コアを用いた場合のインダクタンス変化を示すものであり、挿入長が2.5mmの条件で既に4.4μHとなるなど、可変範囲は大きくとれるが、挿入長に対する直線性はやや劣るので、制御で安定化の工夫を必要とすることもある。
【0058】
(実施例4)
図9、図10は、本発明の実施例4における高周波加熱装置のコイル周辺の構成を示している。
【0059】
図9(ア)はインダクタンスが最小の状態、(イ)はインダクタンスが中間の状態、(ウ)はインダクタンスが最大の状態を示している。
【0060】
なお、本実施例においても図9以外の部分については、実施例1と全く同等の構成が用いられている。
【0061】
本実施例においては、コイル620は直径2.5mmのエナメル線を曲げて2回鎖交するようにした上で、フェライトコアで実現した合計6個の磁性体コア630、640、650、660、670、680で上下から挟むように固定したものとなっている。
【0062】
ここで、磁性体コア630、640、650については左右方向、つまり軸方向に移動が自在となるように支持されており、図示されていないが実施例1に示したようなラックギアを用いた移動手段が設けられたものとなっている。
【0063】
図10(ア)(イ)に示すように、磁性体コア630、640、650、660、670、680の形状は、通常のトロイダルコアと呼ばれる形状に対して120度の角度に切り欠きが設けられており、切り欠き部分の磁路が妨げられた形状となっている。
【0064】
このため、1つの磁性体コアの内部を通るほとんどの磁束は、磁性体コア内をほぼ半周分通った時点で、隣接する磁性体コアとの間の空隙を通過して隣接する磁性体コアに移り、さらにほぼ半周分を磁性体コア内において通過した後、再びまた空隙を経て元の磁性体へと戻るという磁路構成がなされているものである。
【0065】
図9(ア)の状態は、磁性体コア630は磁性体コア660と磁性体コア670のちょうど間に位置しており、磁性体コア640についても磁性体コア670と磁性体コア680の間に位置している状態となっている。
【0066】
コイル620の回りに作られる磁路は、磁性体コアをほぼ半周した段階で、隣接した磁性体コアに移ることになるが、この間の距離が長いものとなるため、磁気抵抗が高く、よってコイル620はインダクタンスが小さい状態となる。
【0067】
本実施例では、磁性体コア630、640、650が移動手段によって、コイル620の長さ方向に移動することにより、磁性体コア同士の相対位置が可変となる。
【0068】
すなわち、(ア)よりも(イ)、(イ)よりも(ウ)となるにつれて、磁性体コア630、640、650は揃って左側に移動してくることによって、磁性体コア630と磁性体コア660の間隔が近づき、磁性体コア640と磁性体コア670の間隔が近づき、磁性体コア650と磁性体コア680の間隔も近づいてくる。このため、コイル620を周回する磁路の磁気抵抗が小となりインダクタンスが大となってくるものとなるので、インダクタンス可変が行えるものとなる。
【0069】
本実施例では、特に磁性体コア間の空隙が実施例1などと比較して短く、磁気抵抗が少ないことから、接点の摺動部分なしとした上に、小形の構成で大きなインダクタンス値が実現できるため、装置を小型とすることができるものである。
【0070】
(実施例5)
図11は、本発明の実施例5における高周波加熱装置のコイル周辺の構成を示している。
【0071】
本実施例において、図11(ア)はインダクタンスが最小の状態、(イ)はインダクタンスが最大の状態を示している。
【0072】
なお、本実施例においても図11以外の部分については、実施例1と全く同等の構成が用いられている。
【0073】
本実施例においては、コイル620は実施例4と全く同等で、直径2.5mmのエナメル線を曲げて2回鎖交するようにしたものである。フェライトコアで実現した2個の磁性体コア682、683を設けているが、これらはちょうど1個のトロイダルコアを斜めに切って2つに分けた形のものとなっており、このうち磁性体コア682は、図示していない移動手段によって軸方向に移動可能としている。
【0074】
移動手段としては、実施例1と同様のラックギアなどを用いたものであるが、ラックギアを用いるもの以外にも、例えばジャッキのようにネジをモータで回転させるものや、ウォームギアを使用するもの、さらに空気圧を使用するものなど、さまざまな構成が考えられる。
【0075】
図11(ア)においては、磁性体コア682と磁性体コア683の間の空隙が広いことから、磁路を1周する磁路の磁気抵抗が大きく、よってコイル620はインダクタンスが小となる。
【0076】
これに対して、図11(イ)では空隙がほとんどない状態にまで縮められている状態となるため、磁路を1周する磁路の磁気抵抗は小さくなり、コイル620がインダクタンスの大きい状態にされるものとなり、比較的簡単で小形の構成でありながら、インダクタンスの値を変化させる構成が実現されるものとなる。
【0077】
(実施例6)
図12は、本発明の実施例6における高周波加熱装置のコイル周辺の構成を示している。
【0078】
本実施例において、図12(ア)はインダクタンスが最小の状態、(イ)はインダクタンスが中間の状態、(ウ)はインダクタンスが最大の状態を示している。
【0079】
なお、本実施例においても図12以外の部分については、実施例1と全く同等の構成が用いられている。
【0080】
本実施例においては、コイル700は直径2.5mmのエナメル線を曲げて2回鎖交するようにした上で、フェライトコアで実現した合計6個の磁性体コア710、720、730、740、750、760、770、780で等間隔に並んで設けられている。
【0081】
ここで、磁性体コア710、720、730、740については固定されているが、磁性体コア750、760、770、780については、回転自在とし図示してはいないが、ステッピングモータを用いた移動手段によって回転され、(ア)〜(ウ)に示すように位置が変化できる構成としている。
【0082】
なお、本実施例において使用されている磁性体コア710、720、730、740、750、760、770、780は、図10と同じ形状のものを使用して構成しているものとなっている。
【0083】
本実施例においても、1つの磁性体コアの内部をほぼ半周通った時点で、隣接する磁性体コアに空隙を介して磁路を形成するものとなるが、隣接する磁性体コアの回転角度によって、1周の磁路の磁気抵抗は変化し、それによって電気接点の摺動部分なしに、コイル700のインダクタンスは変化するものとなる。
【0084】
図12(ア)の状態は、すべての磁性体コア710、720、730、740、750、760、770、780が同じ角度で並んでいることから、上側では空気中を磁束が通らざるを得ない状況となって、磁路1周の磁気抵抗が大となり、インダクタンスは最小となる。
【0085】
(イ)、(ウ)のように移動手段により磁性体コア750、760、770、780が回転するに従って、コイル700の長さ方向を軸として回転がなされ、固定されている磁性体コア710、720、730、740との相対位置が変化し、隣接する磁性体コア同士での磁束の行き来が増加する結果、磁路1周の磁気抵抗は減少するため、コイル700のインダクタンスは増加していくことになる。
【0086】
本実施例では、コイル700の長さ方向を軸として磁性体コア750、760、770、780を回転させる構成としたことから、比較的簡単な構成でインダクタンスの可変が可能な構成を実現させている。
【0087】
なお、実施例4〜6においては、いずれも磁性体コアの中心をコイル620、700が通過する外鉄型とし、これによりコイル620、700に必要な銅の量を少なくした構成とし、また外部に漏れる高周波磁界は極めて少なくなり、他の機器への不要輻射による誤動作なども抑えやすい構成とすることができるものとしている。しかし、実施例1に示すような筒状にコイルを巻いたものに対して、実施例4〜6に示したような磁性体コアをコイル内に設けたものとしても良く、その場合にも磁性体コアが移動手段で位置の変化がなされるに従って、磁気抵抗の変化が起こり、コイルのインダクタンスの値が変化されるものとなる。
【0088】
(実施例7)
図13は、本発明の実施例7における高周波加熱装置のコイル周辺の構成を示している。
【0089】
本実施例においては、断面が2mm×5mmの長方形とした一般に平角銅線と呼ばれる線を巻いて構成したコイル800を、樹脂製の筒810に巻いて設けてある。前記筒810には軸方向に冷却風が通る細長いスリット820を多数設けている。
【0090】
フェライト製の磁性体コア830は、多数の溝によって構成した冷却用の放熱フィン840を有しており、ラックギア850に取り付けられている。
【0091】
移動手段はラックギア850を含むものであり、他の構成要素は図示されていないが、実施例1と同等の構成となっている。また、整合回路など装置の他部分の構成要素に関しても、実施例1と同等の構成が用いられているものとなっている。
【0092】
図13は理解しやすいように、放熱フィン840を設けた磁性体コア830、およびラックギア850が、筒810から引き抜かれた状態で示されているが、実際には筒810の内部に磁性体コア830が位置する状態に組み上げられるものであり、装置の動作時には、実施例1などと同様にコイル800の中にまで磁性体コア830が入り込んでなるものである。
【0093】
本実施例においては、矢印で示した方向から、図示しない回転式冷却ファンモータからの冷却風が作用し、これが筒810に設けられたスリット820を通して、放熱フィン840に当たるため、磁性体コア830の損失によって発生する熱が効果的に逃がされ、磁性体コア830の温度が過剰に上昇するということを防ぐものとなっている。
【0094】
よって、比較的安価な磁性材料などでも磁性体コア830として使用することもできるようになり、温度の上がりすぎによる磁性特性の悪化などもなく、コイル800には安定したインダクタンスを得ることができるものとなる。
【0095】
特に、本実施例においては、平角型のコイル800を使用していることから、近接効果によるQ値の低下を防ぐことができるとともに、コイル800自身も冷却風によって十分に冷却がなされ、さらにスリット820の開口をふさぐ面積も最小限で済むことから、放熱フィン840にも十分な冷却風が当たり、良好な冷却効果が得られるものとなる。
【0096】
なお、本実施例では、放熱フィン840を磁性コア830表面に多数の溝を掘って加工することによって構成したものとしているが、例えばセラミック、炭素樹脂など熱を良く伝える材質を用いて構成しても良く、放熱フィン840の立て方も、本実施例のように筒810に対して直角に並べるもの以外の構成、例えば筒810の軸に並行に設けたり、放射状に設けたりしたものであっても構わない。
【0097】
また、コイル800に粗巻部分を設けて、その部分に磁性体コア830を介在させるというような実施例1で示したのと同様の構成としてもよく、その場合には、粗巻となっている部分でのスリット820の開口の比率がより上がることから、放熱フィン840に当たる冷却風はより強くなり、効果的な冷却がなされるものとなる。
【0098】
(実施例8)
図14は、本発明の実施例8における高周波加熱装置のコイル周辺の構成を示している。
【0099】
本実施例においては、磁性体コア860は中空部870が設けられており、かつ中空部870は内面の面積が大きくなるように、溝を形成してフィン構造も取り入れているものとなっている。
【0100】
ラックギア880が磁性体コア860の端面に接着されているが、これは移動手段の一部を構成するものであり、図示される以外の構成は、実施例1と同等のものとなっている。
【0101】
この構成おいて、矢印した方向から冷却ファンなどによる冷却風が吹き込んでくると、磁性体コア860の外面だけでなく、中空部870の中にも冷却風が吹き込んでくるので、その分、冷却効果が大きいものとなる。特に、本実施例では、中空部870に放熱フィンまで構成していることから、とりわけその効果として大なるものが得られる。
【0102】
なお、実施例7、8においては、コイルが螺旋状に巻かれた構成を示しているが、例えば実施例4〜6などに示されるような構造としても良い。
【0103】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の高周波加熱装置は、磁性体コアとコイルとの相対位置を可変としたものであり、摺動部分なしであっても、インダクタンスを可変することができ、また磁性体コアによってインダクタンスに対する形状を小とすることができ、装置の小形化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1における高周波加熱装置の回路図
【図2】同装置における検知回路の詳細回路図
【図3】同装置におけるコイル周辺の構成図
【図4】同装置におけるコイルおよび磁性体コアの説明図
【図5】本発明の実施例2における高周波加熱装置のコイル周辺の構成図
【図6】同装置における磁性体コアの形状を示す図
【図7】本発明の実施例3における高周波加熱装置の磁性体コアの形状を示す図
【図8】同装置における磁性体コアの挿入長とインダクタンスの特性グラフ
【図9】本発明の実施例4における高周波加熱装置のコイル周辺の構成図
【図10】同装置における磁性体コアの形状を示す図
【図11】本発明の実施例5における高周波加熱装置のコイル周辺の構成図
【図12】本発明の実施例6における高周波加熱装置のコイル周辺の構成図
【図13】本発明の実施例7における高周波加熱装置のコイル周辺の構成図
【図14】本発明の実施例8における高周波加熱装置の磁性体コア周辺の構成図
【図15】従来の高周波加熱装置の回路図
【図16】同装置の可変インダクタンス回路部の具体構成図
【符号の説明】
130 電極
140 高周波電源
160 整合回路
170、570、620、700、800 コイル
190、580、600、630、640、650、660、670、680、682、683、710、720、730、740、750、760、770、780、830、860 磁性体コア
510 密巻部分
520 粗巻部分
530 移動手段
840 放熱フィン
870 中空部
Claims (10)
- 電極と、高周波電源と、前記電極と高周波電源の間に接続してインピーダンス変換を行う整合回路とを備え、前記整合回路はコイルと磁性体コアを有し、前記コイルは粗巻部分と密巻部分を有し、前記磁性体コアと前記コイルとの相対位置を可変とした高周波加熱装置。
- 磁性体コアは、コイルの粗巻部分に位置させた請求項1に記載の高周波加熱装置。
- 磁性体コアは、角柱形状とした請求項1または2に記載の高周波加熱装置。
- 電極と、高周波電源と、前記電極と高周波電源の間に接続してインピーダンス変換を行う整合回路とを備え、前記整合回路はコイルと角錐形状を持つ磁性体コアを有し、前記磁性体コアと前記コイルとの相対位置を可変とした高周波加熱装置。
- 電極と、高周波電源と、前記電極と高周波電源の間に接続してインピーダンス変換を行う整合回路とを備え、前記整合回路はコイルと円錐形状を持つ磁性体コアを有し、前記磁性体コアと前記コイルとの相対位置を可変とした高周波加熱装置。
- 電極と、高周波電源と、前記電極と高周波電源の間に接続してインピーダンス変換を行う整合回路とを備え、前記整合回路はコイルと複数の磁性体コアを有し、前記磁性体コア同士の相対位置を可変とした高周波加熱装置。
- 磁性体コアとコイルとの相対位置を可変する、または磁性体コア同士の相対位置を可変するための移動手段は、コイルの長さ方向に磁性体コアを移動させる請求項1、4、5、6のいずれか1項に記載の高周波加熱装置。
- 磁性体コアとコイルとの相対位置を可変する、または磁性体コア同士の相対位置を可変するための移動手段は、コイルの長さ方向を軸として磁性体コアを回転させる請求項1、4、5、6のいずれか1項に記載の高周波加熱装置。
- 電極と、高周波電源と、前記電極と高周波電源の間に接続してインピーダンス変換を行う整合回路とを備え、前記整合回路は、コイルと磁性体コアと磁性体コア冷却用の放熱フィンとを設けた高周波加熱装置。
- 電極と、高周波電源と、前記電極と高周波電源の間に接続してインピーダンス変換を行う整合回路とを備え、前記整合回路はコイルと中空部を有する磁性体コアを設けた高周波加熱装置。
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Cited By (1)
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CN115777864A (zh) * | 2022-12-15 | 2023-03-14 | 合肥华凌股份有限公司 | 一种射频解冻装置及冰箱 |
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- 2003-04-09 JP JP2003105058A patent/JP2004311280A/ja active Pending
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