JP2004311164A - 電線及びケーブル - Google Patents
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Abstract
【目的】装飾的観点から美観的に優れ、尚且つ、電気的特性としてシールド効果の優れた電線及びケーブルを提供しようとするものである。
【構成】単数または互いに離間した複数の導体を、金属粉末または金属砕片を絶縁材料に混入して形成した絶縁外装体で被覆してなる。
【選択図】 図1
【構成】単数または互いに離間した複数の導体を、金属粉末または金属砕片を絶縁材料に混入して形成した絶縁外装体で被覆してなる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、電線及びケーブルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
コンピュータの分野では、最近特に個人使用を目的としたパソコンに関する技術進歩が目覚しく、USB(ユニバーサル シリアル バス)等の新技術も開発され、これに伴って、パソコンやその周辺機器に使用されるUSBケーブル等のケーブルの需要が増大している。これらのケーブルはパソコンやその周辺機器に限らず、一般的に機器や装置相互間の接続に用いられるものであり、その電気的特性が重要であることはいうまでもないが、自宅における個人使用等を目的とした場合には、その配線における装飾的観点からの美観も無視できない要素となっている。
【0003】
そこでこれらの観点から現存する電線やケーブルを見ると、特許文献1に記載されている電線及びケーブルは、その被覆の材質が透明である点で、装飾的観点からの考慮が多少なされているが、煌びやかさにかける。また、特許文献2に記載の電線及びケーブルは、磁性粉末を被覆に用いた樹脂に混入することにより、編組銅線を用いずにシールド効果を実現した点では評価できるが、混入するのは磁性粉末であり、磁気シールド効果に特化したものである。
【0004】
【特許文献1】
実開平6−70117号公報
【特許文献2】
特開平11−86641号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、この発明は、装飾的観点から美観的に優れ、尚且つ、電気的特性としてシールド効果の優れた電線及びケーブルを提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の電線またはケーブルは、単数または互いに離間した複数の導体を、金属粉末または金属砕片を絶縁材料に混入して形成した絶縁外装体で被覆してなることを特徴としている。この電線またはケーブルの被覆には、金属粉末または金属砕片を混入しているので、シールド効果を有するとともに、絶縁外装体に混入された金属粉末または金属砕片が外光で乱反射するので、煌びやかな外観を呈する。
【0007】
或いは、本発明の他の電線またはケーブルは、単または複数の絶縁物被覆導体を組み合わせた被覆導体部を、金属粉末または金属砕片を絶縁材料に混入して形成した絶縁外装体で被覆してなることを特徴としている。この電線またはケーブルの被覆にも、金属粉末または金属砕片を混入しているので、シールド効果を有するとともに、絶縁外装体に混入された金属粉末または金属砕片が外光で乱反射するので、煌びやかな外観を呈する。
【0008】
上記の被覆導体部としてはその周囲にシールド層を備えたものを用いてもよい。また、このシールド層を2重に備えたものでもよい。この一重或いは2重のシールド層を備える電線またはケーブルは、その被覆が金属粉末または金属砕片を混入しているので、シールド層とあいまって、更なるシールド効果を有する。
【0009】
上記の各電線またはケーブルの外観を煌びやかにするために、着色した前記金属粉末または前記金属砕片を用いたり、前記金属粉末を混入する前記絶縁材料に、透明な素材を用いるのが効果的である。また、透明な前記絶縁材料を着色するのも効果的である。
【0010】
上記の各電線及びケーブルにおいて、前記絶縁外装体の外周を、絶縁性を有する透明な素材で形成した絶縁外周体で被覆すると、前記絶縁外装体を保護することができるとともに、煌びやかな外観をより一層引き立てることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施例につき、図面に基づき詳しく説明する。図1は、第1実施例の電線の断面図である。図1において、第1実施例の電線は、1本の導体1を有する電線であり、導体1の周りを、絶縁材料に金属砕片3を混入して形成した絶縁外装体2で被覆するとともに、この絶縁外装体2の外周を透明な絶縁外周体4で被覆して構成している。尚、第1実施例及び以下に述べる各実施例では、絶縁外装体を内部シース、絶縁外周体を外部シースと称する。導体1としては、例えば、直径が0.127mm或いは0.16mmの錫メッキ軟銅線を複数本撚り合わせた撚線を使用するが、この撚線の直径と同程度の軟銅製の単線を用いてもよい。内部シース2は、絶縁材料である透明な塩化ビニール(PVC)に、表面を鏡面加工した厚さが最大で150μm程度のアルミ箔(Al)を、最大でも0.7mm×0.7mm程度の大きさに裁断または破砕した金属砕片3を混入して形成する。この金属砕片3を内部シース2へ混入することにより、この電線が煌びやかな外観を呈する。混入する金属砕片3としては、例えば、ダイヤ工業株式会社製の、アルミ砕片を用いた、商品名が「ダイヤモンドピース Hタイプ」等がある。これらの金属砕片3の混入に際しては、予め、金属砕片3にフタル酸エステル系の難揮発性の可塑剤を塗布しておくことにより、混入をスムースに行なうことができる。絶縁材料に混入するアルミ製の金属砕片3の量は、重量比で1%〜10%とすると、内部シース2の絶縁性を低下させること無く、且つ、外観の煌びやかさを保つことができる。また、内部シース2の外周を被覆する外部シース4には、透明な塩化ビニール(PVC)を用いる。
【0012】
上記の第1実施例の電線では、内部シース2は透明な塩化ビニールに表面を鏡面加工したアルミ箔を細かく裁断または破砕したものを混入しているので、このアルミ箔の砕片が外光で乱反射して、第1実施例の電線が煌びやかな外観を呈する。また、透明な外部シース4を内部シース2の外周に設けることによって、内部シース2を保護することができると共に、透明な内部シース2を通して内部シース2の外観の煌びやかさをそのまま表現することができ、また、透明な内部シース2の表面が外光を反射することで、煌びやかさを一層引き立てることができる。また、この第1実施例の電線では、内部シース2に混入した金属砕片3が、導体1の外周に導体1から離間して配置される状態が形成されるので、導体1に対するシールド効果を有している。
【0013】
上記の第1実施例の電線において、絶縁材料としては、透明な塩化ビニールを用いているが、透明なポリエチレン(PE)を用いてもよい。また、透明な塩化ビニール等の絶縁材料への混入に用いるのは、金属砕片であるが、これよりも細かい金属粉末を用いてもよい。また、絶縁材料に混入する金属砕片はアルミ砕片を用いているが、他の金属の砕片や粉末を用いてもよい。また、上記の第1実施例では、金属砕片としては無着色のアルミ箔を細かく裁断または破砕したものを用いているが、着色したアルミ箔を裁断または破砕したものを用いてもよい。このように、着色した金属砕片を用いることにより、第1実施例の電線の外観を、更に煌びやかにすることができる。また、内部シース2を形成する透明な塩化ビニールに着色を施してもよく、また、この着色を、混入する上記の着色した金属砕片の色と同系にするようにしてもよい。この透明な塩化ビニールに着色する方法としては、この透明な塩化ビニールに顔料を混入するのが一般的である。この顔料としては、用いる樹脂に応じた着色材として、無機系や有機系の顔料であるカラーバッチやマスターバッチ等があり、これらを透明な塩化ビニール等の樹脂材料に配合したものが市販されている。このように、着色した金属砕片を用いたり、透明な塩化ビニールに着色することによって、第1実施例の電線の外観をより一層煌びやかにすることができる。
【0014】
図2は、本発明の第2実施例の電線の断面図である。第2実施例の電線は、電線内部の導体1を2本としたものであり、それに応じて電線の断面形状をピーナツ状にしたものである。この電線の構造は第2実施例の電線と全く同じであり、導体1の周りを、絶縁材料に金属砕片3を混入して形成した内部シース2で被覆するとともに、この内部シース2の外周を透明な外部シース4で被覆して構成している。また、この電線に用いる材料は、第1実施例の電線と全く同じであるので、上記の説明がそのまま適用できる。
【0015】
図3は、本発明の第3実施例のケーブルの断面図である。図3において、第3実施例のケーブルは、第1実施例の電線に用いたのと同様の導体1を、塩化ビニール等の絶縁物で形成した絶縁物被覆5で覆った絶縁物被覆導体6を4本組み合わせて被覆導体部7を構成する。そして、この被覆導体部7の周囲にポリエチレンテレフタート製等の絶縁テープ8を巻くと共に、その上から、第1実施例と同様の絶縁材料に第1実施例と同様の金属砕片3を混入して形成した内部シース2で被覆するとともに、この内部シース2の外周を透明な外部シース4で被覆する。即ち、内部シース2は、透明な塩化ビニール(PVC)に、表面を鏡面加工したアルミ箔(Al)の砕片3を、重量比で1%から10%混入して形成する。そして、内部シース2の外周を透明な塩化ビニールでなる外部シース4で被覆する。この第3実施例のケーブルは、その有する内部シース2及び外部シース4は、第1実施例の電線の内部シース2及び外部シース4と全く同様であるので、上記の第1実施例の電線のこの部分の説明がそのまま適用できる。
【0016】
第3実施例のケーブルも、第1実施例の電線と同様、透明な塩化ビニールに表面を鏡面加工したアルミ箔の砕片を混入した内部シース2を有すると共に、この内部シース2の外周を透明な塩化ビニールの外部シース4で被覆しているので、その外観は、第1実施例の電線と同様、煌びやかな外観を呈する。また、透明な外部シース4を内部シース2の外周に設けることによって、内部シース2を保護すると共に、煌びやかさを一層引き立てることができる。また、この第3実施例のケーブルは、金属砕片3を混入した内部シース2が、絶縁物被覆導体6で構成される被覆導体部7の周りを囲む構造であることから、絶縁物被覆導体6に対するシールド効果を有している。尚、上記のポリエチレンテレフタート製等の絶縁テープ8に替えて、このポリエチレンテレフタート製等のフイルム層の片面にアルミをコーティングしたアルミコーティング層を有するシールド用テープを、アルミコーティング層を内側に向けて、被覆導体部7の周りに巻きつけるようにしてもよい。この場合は、このアルミコーティング層と、内部シース2とにより、絶縁物被覆導体6に対する2重のシールド効果を得ることができる。
【0017】
上記の第3実施例のケーブルでは、被覆導体部7は、導体1を絶縁物被覆5で覆った絶縁物被覆導体6を4本組み合わせて構成しているが、絶縁物被覆導体6をツイストペア線状に2本撚り合わせたものを2組用いるようにしてもよく、或いは、ツイストペア線状に2本撚り合わせたものを1組とし、他は絶縁物被覆導体6を2本そのまま使用するようにしてもよい。またツイストペア線状にしたものにポリエチレンテレフタート製等の絶縁テープを巻いたものを用いて、被覆導体部7を構成するようにしてもよい。また、絶縁物被覆導体6を2本撚り合わせてツイストペア線状にしたものの外周を、丸棒状に塩化ビニール等の絶縁物で覆ったものを用いるようにしてもよい。また、第3実施例のケーブルでは、被覆導体部7は、絶縁物被覆導体6を4本用いて構成しているが、本数はこれには限られず、3本や2本のケーブル、或いは、5本以上のケーブルを製作することができる。
【0018】
図4は、本発明の第4実施例のケーブルの断面図である。図4において、第4実施例のケーブルは、第3実施例のケーブルにおいて、被覆導体部7の周囲にポリエチレンテレフタート製等の絶縁テープ8を巻くのに替えて、細い錫メッキ軟銅線を横巻き或いは網組したシールド層9を設けたものであり、それ以外の部分は、第3実施例のケーブルと全く同じである。この第4実施例のケーブルは、絶縁物被覆導体6で構成される被覆導体部7の周囲にシールド層9を備えると共に、金属砕片3を混入した内部シース2が、シールド層9の周りを囲む構造であることから、絶縁物被覆導体6に対する2重のシールド効果を有している。その他の部分については、上記の第3実施例のケーブルと全く同様であり、ケーブルの外観に関する特徴や効果も、上記の第3実施例のケーブルと全く同様である。
【0019】
上記の第4実施例のケーブルでは、被覆導体部7の周囲にシールド層9を設けているが、被覆導体部7の周囲にポリエチレンテレフタート製等の絶縁テープ8を巻いた上に、細い銅線を横巻き或いは網組したシールド層9を設けるようにしてもよい。
【0020】
図5は、本発明の第5実施例のケーブルの断面図である。図5において、第5実施例のケーブルは、第4実施例のケーブルにおいて、シールド層9の内周側に、シールドテープを巻いたシールドテープ層10を設けたものである。即ち、ポリエチレンテレフタート製等のフイルム層10aの片面にアルミをコーティングしたアルミコーティング層10bを有するシールド用テープを、アルミコーティング層10bを内側に向けて、被覆導体部7の周りに巻きつけてシールドテープ層10を形成する。このシールドテープ層10の外周に、細い錫メッキ軟銅線を横巻き或いは網組した上記のシールド層9を設ける。この第5実施例のケーブルは、シールドテープ層10を備えると共に、その外周に錫メッキ軟銅線を横巻き或いは網組したシールド層9を備えており、更に、金属砕片3を混入した内部シース2が、シールド層9の周りを囲む構造であることから、絶縁物被覆導体6に対する3重のシールド効果を有している。その他の部分については、上記の第4実施例のケーブルと全く同様であり、ケーブルの外観に関する特徴や効果も、上記の第4実施例のケーブルと全く同様である。
【0021】
上記の第1実施例〜第5実施例の電線またはケーブルにおいては、上述したように各電線またはケーブルが備える内部シース2には金属砕片3を混入しており、このためこの内部シース2はシールド効果を有している。このシールド効果について、代表例として、第5実施例の構造を有するケーブルと、従来例のケーブルとのシールド効果を測定して比較した結果について次に解説する。シールド効果の測定方法としては、CISPR Pub.16で規定されている方法を用いた。これは、電波暗室内で障害電波を試験用ケーブルに付与し、試験用ケーブルにおけるその減衰量を測定するものである。表1は、第5実施例のケーブルと従来例のケーブルのシールド効果の測定結果を示したものであり、図6はそのグラフである。表1及び図6において、Aは第5実施例のケーブルで上述した3重シールドされたケーブル、Bは従来例のケーブルで、片面にアルミコーティングしたポリエチレンテレフタート製のシールド用テープを巻いたシールド層と、錫メッキ軟銅線を網組したシールド層による2重シールドされたケーブル、Cはシールド無しのケーブル、そして、Dはツイストペアケーブルである。図6の縦軸は障害電波の減衰量、即ち、シールド効果をdB表示したものであり、数字が大きい程減衰量が大きくシールド効果が優れている。表1及び図6からわかるとおり、3重シールドされたAの第5実施例のケーブルは、従来例のケーブルB、C或いはDに比べて、優れたシールド効果が認められる。
【0022】
【表1】
【0023】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の電線またはケーブルは、その絶縁外装体として、透明な絶縁材料に金属粉末または金属砕片を混入したものを用いているので、この金属粉末または金属砕片が外光で乱反射して、煌びやかな外観を呈する。また、透明な絶縁外周体を絶縁外装体の外周に設けることによって、絶縁外装体を保護することができると共に、透明な絶縁外周体を通して絶縁外装体の外観の煌びやかさをそのまま表現することができ、また、透明な内部シースの表面が外光を反射することで、煌びやかさを一層引き立てることができる。また、絶縁外装体に混入した金属粉末または金属砕片が、導体の外側を取り囲んで配置されるので、導体に対するシールド効果を有している。従って、本発明により、装飾的観点から美観的に優れ、尚且つ、電気的特性として一般的なシールド効果の優れた電線及びケーブルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例の電線の断面図である。
【図2】第2実施例の電線の断面図である。
【図3】第3実施例のケーブルの断面図である。
【図4】第4実施例のケーブルの断面図である。
【図5】第5実施例のケーブルの断面図である。
【図6】第5実施例のケーブルと従来例のケーブルのシールド効果の測定結果を示したグラフである。
【符号の説明】
1 導体
2 内部シース(絶縁外装体)
3 金属砕片
4 外部シース(絶縁外周体)
5 絶縁物被覆
6 絶縁物被覆導体
7 被覆導体部
8 絶縁テープ
9 シールド層
10 シールドテープ層
10a フイルム層
10b アルミコーティング層
【発明の属する技術分野】
この発明は、電線及びケーブルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
コンピュータの分野では、最近特に個人使用を目的としたパソコンに関する技術進歩が目覚しく、USB(ユニバーサル シリアル バス)等の新技術も開発され、これに伴って、パソコンやその周辺機器に使用されるUSBケーブル等のケーブルの需要が増大している。これらのケーブルはパソコンやその周辺機器に限らず、一般的に機器や装置相互間の接続に用いられるものであり、その電気的特性が重要であることはいうまでもないが、自宅における個人使用等を目的とした場合には、その配線における装飾的観点からの美観も無視できない要素となっている。
【0003】
そこでこれらの観点から現存する電線やケーブルを見ると、特許文献1に記載されている電線及びケーブルは、その被覆の材質が透明である点で、装飾的観点からの考慮が多少なされているが、煌びやかさにかける。また、特許文献2に記載の電線及びケーブルは、磁性粉末を被覆に用いた樹脂に混入することにより、編組銅線を用いずにシールド効果を実現した点では評価できるが、混入するのは磁性粉末であり、磁気シールド効果に特化したものである。
【0004】
【特許文献1】
実開平6−70117号公報
【特許文献2】
特開平11−86641号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、この発明は、装飾的観点から美観的に優れ、尚且つ、電気的特性としてシールド効果の優れた電線及びケーブルを提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の電線またはケーブルは、単数または互いに離間した複数の導体を、金属粉末または金属砕片を絶縁材料に混入して形成した絶縁外装体で被覆してなることを特徴としている。この電線またはケーブルの被覆には、金属粉末または金属砕片を混入しているので、シールド効果を有するとともに、絶縁外装体に混入された金属粉末または金属砕片が外光で乱反射するので、煌びやかな外観を呈する。
【0007】
或いは、本発明の他の電線またはケーブルは、単または複数の絶縁物被覆導体を組み合わせた被覆導体部を、金属粉末または金属砕片を絶縁材料に混入して形成した絶縁外装体で被覆してなることを特徴としている。この電線またはケーブルの被覆にも、金属粉末または金属砕片を混入しているので、シールド効果を有するとともに、絶縁外装体に混入された金属粉末または金属砕片が外光で乱反射するので、煌びやかな外観を呈する。
【0008】
上記の被覆導体部としてはその周囲にシールド層を備えたものを用いてもよい。また、このシールド層を2重に備えたものでもよい。この一重或いは2重のシールド層を備える電線またはケーブルは、その被覆が金属粉末または金属砕片を混入しているので、シールド層とあいまって、更なるシールド効果を有する。
【0009】
上記の各電線またはケーブルの外観を煌びやかにするために、着色した前記金属粉末または前記金属砕片を用いたり、前記金属粉末を混入する前記絶縁材料に、透明な素材を用いるのが効果的である。また、透明な前記絶縁材料を着色するのも効果的である。
【0010】
上記の各電線及びケーブルにおいて、前記絶縁外装体の外周を、絶縁性を有する透明な素材で形成した絶縁外周体で被覆すると、前記絶縁外装体を保護することができるとともに、煌びやかな外観をより一層引き立てることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施例につき、図面に基づき詳しく説明する。図1は、第1実施例の電線の断面図である。図1において、第1実施例の電線は、1本の導体1を有する電線であり、導体1の周りを、絶縁材料に金属砕片3を混入して形成した絶縁外装体2で被覆するとともに、この絶縁外装体2の外周を透明な絶縁外周体4で被覆して構成している。尚、第1実施例及び以下に述べる各実施例では、絶縁外装体を内部シース、絶縁外周体を外部シースと称する。導体1としては、例えば、直径が0.127mm或いは0.16mmの錫メッキ軟銅線を複数本撚り合わせた撚線を使用するが、この撚線の直径と同程度の軟銅製の単線を用いてもよい。内部シース2は、絶縁材料である透明な塩化ビニール(PVC)に、表面を鏡面加工した厚さが最大で150μm程度のアルミ箔(Al)を、最大でも0.7mm×0.7mm程度の大きさに裁断または破砕した金属砕片3を混入して形成する。この金属砕片3を内部シース2へ混入することにより、この電線が煌びやかな外観を呈する。混入する金属砕片3としては、例えば、ダイヤ工業株式会社製の、アルミ砕片を用いた、商品名が「ダイヤモンドピース Hタイプ」等がある。これらの金属砕片3の混入に際しては、予め、金属砕片3にフタル酸エステル系の難揮発性の可塑剤を塗布しておくことにより、混入をスムースに行なうことができる。絶縁材料に混入するアルミ製の金属砕片3の量は、重量比で1%〜10%とすると、内部シース2の絶縁性を低下させること無く、且つ、外観の煌びやかさを保つことができる。また、内部シース2の外周を被覆する外部シース4には、透明な塩化ビニール(PVC)を用いる。
【0012】
上記の第1実施例の電線では、内部シース2は透明な塩化ビニールに表面を鏡面加工したアルミ箔を細かく裁断または破砕したものを混入しているので、このアルミ箔の砕片が外光で乱反射して、第1実施例の電線が煌びやかな外観を呈する。また、透明な外部シース4を内部シース2の外周に設けることによって、内部シース2を保護することができると共に、透明な内部シース2を通して内部シース2の外観の煌びやかさをそのまま表現することができ、また、透明な内部シース2の表面が外光を反射することで、煌びやかさを一層引き立てることができる。また、この第1実施例の電線では、内部シース2に混入した金属砕片3が、導体1の外周に導体1から離間して配置される状態が形成されるので、導体1に対するシールド効果を有している。
【0013】
上記の第1実施例の電線において、絶縁材料としては、透明な塩化ビニールを用いているが、透明なポリエチレン(PE)を用いてもよい。また、透明な塩化ビニール等の絶縁材料への混入に用いるのは、金属砕片であるが、これよりも細かい金属粉末を用いてもよい。また、絶縁材料に混入する金属砕片はアルミ砕片を用いているが、他の金属の砕片や粉末を用いてもよい。また、上記の第1実施例では、金属砕片としては無着色のアルミ箔を細かく裁断または破砕したものを用いているが、着色したアルミ箔を裁断または破砕したものを用いてもよい。このように、着色した金属砕片を用いることにより、第1実施例の電線の外観を、更に煌びやかにすることができる。また、内部シース2を形成する透明な塩化ビニールに着色を施してもよく、また、この着色を、混入する上記の着色した金属砕片の色と同系にするようにしてもよい。この透明な塩化ビニールに着色する方法としては、この透明な塩化ビニールに顔料を混入するのが一般的である。この顔料としては、用いる樹脂に応じた着色材として、無機系や有機系の顔料であるカラーバッチやマスターバッチ等があり、これらを透明な塩化ビニール等の樹脂材料に配合したものが市販されている。このように、着色した金属砕片を用いたり、透明な塩化ビニールに着色することによって、第1実施例の電線の外観をより一層煌びやかにすることができる。
【0014】
図2は、本発明の第2実施例の電線の断面図である。第2実施例の電線は、電線内部の導体1を2本としたものであり、それに応じて電線の断面形状をピーナツ状にしたものである。この電線の構造は第2実施例の電線と全く同じであり、導体1の周りを、絶縁材料に金属砕片3を混入して形成した内部シース2で被覆するとともに、この内部シース2の外周を透明な外部シース4で被覆して構成している。また、この電線に用いる材料は、第1実施例の電線と全く同じであるので、上記の説明がそのまま適用できる。
【0015】
図3は、本発明の第3実施例のケーブルの断面図である。図3において、第3実施例のケーブルは、第1実施例の電線に用いたのと同様の導体1を、塩化ビニール等の絶縁物で形成した絶縁物被覆5で覆った絶縁物被覆導体6を4本組み合わせて被覆導体部7を構成する。そして、この被覆導体部7の周囲にポリエチレンテレフタート製等の絶縁テープ8を巻くと共に、その上から、第1実施例と同様の絶縁材料に第1実施例と同様の金属砕片3を混入して形成した内部シース2で被覆するとともに、この内部シース2の外周を透明な外部シース4で被覆する。即ち、内部シース2は、透明な塩化ビニール(PVC)に、表面を鏡面加工したアルミ箔(Al)の砕片3を、重量比で1%から10%混入して形成する。そして、内部シース2の外周を透明な塩化ビニールでなる外部シース4で被覆する。この第3実施例のケーブルは、その有する内部シース2及び外部シース4は、第1実施例の電線の内部シース2及び外部シース4と全く同様であるので、上記の第1実施例の電線のこの部分の説明がそのまま適用できる。
【0016】
第3実施例のケーブルも、第1実施例の電線と同様、透明な塩化ビニールに表面を鏡面加工したアルミ箔の砕片を混入した内部シース2を有すると共に、この内部シース2の外周を透明な塩化ビニールの外部シース4で被覆しているので、その外観は、第1実施例の電線と同様、煌びやかな外観を呈する。また、透明な外部シース4を内部シース2の外周に設けることによって、内部シース2を保護すると共に、煌びやかさを一層引き立てることができる。また、この第3実施例のケーブルは、金属砕片3を混入した内部シース2が、絶縁物被覆導体6で構成される被覆導体部7の周りを囲む構造であることから、絶縁物被覆導体6に対するシールド効果を有している。尚、上記のポリエチレンテレフタート製等の絶縁テープ8に替えて、このポリエチレンテレフタート製等のフイルム層の片面にアルミをコーティングしたアルミコーティング層を有するシールド用テープを、アルミコーティング層を内側に向けて、被覆導体部7の周りに巻きつけるようにしてもよい。この場合は、このアルミコーティング層と、内部シース2とにより、絶縁物被覆導体6に対する2重のシールド効果を得ることができる。
【0017】
上記の第3実施例のケーブルでは、被覆導体部7は、導体1を絶縁物被覆5で覆った絶縁物被覆導体6を4本組み合わせて構成しているが、絶縁物被覆導体6をツイストペア線状に2本撚り合わせたものを2組用いるようにしてもよく、或いは、ツイストペア線状に2本撚り合わせたものを1組とし、他は絶縁物被覆導体6を2本そのまま使用するようにしてもよい。またツイストペア線状にしたものにポリエチレンテレフタート製等の絶縁テープを巻いたものを用いて、被覆導体部7を構成するようにしてもよい。また、絶縁物被覆導体6を2本撚り合わせてツイストペア線状にしたものの外周を、丸棒状に塩化ビニール等の絶縁物で覆ったものを用いるようにしてもよい。また、第3実施例のケーブルでは、被覆導体部7は、絶縁物被覆導体6を4本用いて構成しているが、本数はこれには限られず、3本や2本のケーブル、或いは、5本以上のケーブルを製作することができる。
【0018】
図4は、本発明の第4実施例のケーブルの断面図である。図4において、第4実施例のケーブルは、第3実施例のケーブルにおいて、被覆導体部7の周囲にポリエチレンテレフタート製等の絶縁テープ8を巻くのに替えて、細い錫メッキ軟銅線を横巻き或いは網組したシールド層9を設けたものであり、それ以外の部分は、第3実施例のケーブルと全く同じである。この第4実施例のケーブルは、絶縁物被覆導体6で構成される被覆導体部7の周囲にシールド層9を備えると共に、金属砕片3を混入した内部シース2が、シールド層9の周りを囲む構造であることから、絶縁物被覆導体6に対する2重のシールド効果を有している。その他の部分については、上記の第3実施例のケーブルと全く同様であり、ケーブルの外観に関する特徴や効果も、上記の第3実施例のケーブルと全く同様である。
【0019】
上記の第4実施例のケーブルでは、被覆導体部7の周囲にシールド層9を設けているが、被覆導体部7の周囲にポリエチレンテレフタート製等の絶縁テープ8を巻いた上に、細い銅線を横巻き或いは網組したシールド層9を設けるようにしてもよい。
【0020】
図5は、本発明の第5実施例のケーブルの断面図である。図5において、第5実施例のケーブルは、第4実施例のケーブルにおいて、シールド層9の内周側に、シールドテープを巻いたシールドテープ層10を設けたものである。即ち、ポリエチレンテレフタート製等のフイルム層10aの片面にアルミをコーティングしたアルミコーティング層10bを有するシールド用テープを、アルミコーティング層10bを内側に向けて、被覆導体部7の周りに巻きつけてシールドテープ層10を形成する。このシールドテープ層10の外周に、細い錫メッキ軟銅線を横巻き或いは網組した上記のシールド層9を設ける。この第5実施例のケーブルは、シールドテープ層10を備えると共に、その外周に錫メッキ軟銅線を横巻き或いは網組したシールド層9を備えており、更に、金属砕片3を混入した内部シース2が、シールド層9の周りを囲む構造であることから、絶縁物被覆導体6に対する3重のシールド効果を有している。その他の部分については、上記の第4実施例のケーブルと全く同様であり、ケーブルの外観に関する特徴や効果も、上記の第4実施例のケーブルと全く同様である。
【0021】
上記の第1実施例〜第5実施例の電線またはケーブルにおいては、上述したように各電線またはケーブルが備える内部シース2には金属砕片3を混入しており、このためこの内部シース2はシールド効果を有している。このシールド効果について、代表例として、第5実施例の構造を有するケーブルと、従来例のケーブルとのシールド効果を測定して比較した結果について次に解説する。シールド効果の測定方法としては、CISPR Pub.16で規定されている方法を用いた。これは、電波暗室内で障害電波を試験用ケーブルに付与し、試験用ケーブルにおけるその減衰量を測定するものである。表1は、第5実施例のケーブルと従来例のケーブルのシールド効果の測定結果を示したものであり、図6はそのグラフである。表1及び図6において、Aは第5実施例のケーブルで上述した3重シールドされたケーブル、Bは従来例のケーブルで、片面にアルミコーティングしたポリエチレンテレフタート製のシールド用テープを巻いたシールド層と、錫メッキ軟銅線を網組したシールド層による2重シールドされたケーブル、Cはシールド無しのケーブル、そして、Dはツイストペアケーブルである。図6の縦軸は障害電波の減衰量、即ち、シールド効果をdB表示したものであり、数字が大きい程減衰量が大きくシールド効果が優れている。表1及び図6からわかるとおり、3重シールドされたAの第5実施例のケーブルは、従来例のケーブルB、C或いはDに比べて、優れたシールド効果が認められる。
【0022】
【表1】
【0023】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の電線またはケーブルは、その絶縁外装体として、透明な絶縁材料に金属粉末または金属砕片を混入したものを用いているので、この金属粉末または金属砕片が外光で乱反射して、煌びやかな外観を呈する。また、透明な絶縁外周体を絶縁外装体の外周に設けることによって、絶縁外装体を保護することができると共に、透明な絶縁外周体を通して絶縁外装体の外観の煌びやかさをそのまま表現することができ、また、透明な内部シースの表面が外光を反射することで、煌びやかさを一層引き立てることができる。また、絶縁外装体に混入した金属粉末または金属砕片が、導体の外側を取り囲んで配置されるので、導体に対するシールド効果を有している。従って、本発明により、装飾的観点から美観的に優れ、尚且つ、電気的特性として一般的なシールド効果の優れた電線及びケーブルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例の電線の断面図である。
【図2】第2実施例の電線の断面図である。
【図3】第3実施例のケーブルの断面図である。
【図4】第4実施例のケーブルの断面図である。
【図5】第5実施例のケーブルの断面図である。
【図6】第5実施例のケーブルと従来例のケーブルのシールド効果の測定結果を示したグラフである。
【符号の説明】
1 導体
2 内部シース(絶縁外装体)
3 金属砕片
4 外部シース(絶縁外周体)
5 絶縁物被覆
6 絶縁物被覆導体
7 被覆導体部
8 絶縁テープ
9 シールド層
10 シールドテープ層
10a フイルム層
10b アルミコーティング層
Claims (8)
- 単数または互いに離間した複数の導体を、金属粉末または金属砕片を絶縁材料に混入して形成した絶縁外装体で被覆してなることを特徴とする電線またはケーブル。
- 単または複数の絶縁物被覆導体を組み合わせた被覆導体部を、金属粉末または金属砕片を絶縁材料に混入して形成した絶縁外装体で被覆してなることを特徴とする電線またはケーブル。
- シールド層を周囲に備えた前記被覆導体部を用いてなる請求項2記載の電線またはケーブル。
- 前記シールド層を2重に備えてなる請求項3記載の電線またはケーブル。
- 着色した前記金属粉末または前記金属砕片を用いてなる請求項1から4のいずれか1項に記載の電線またはケーブル。
- 前記金属粉末を混入する前記絶縁材料に、透明な素材を用いてなる請求項1から5のいずれか1項に記載の電線またはケーブル。
- 前記透明な素材を用いた前記絶縁材料を着色してなる請求項6記載の電線またはケーブル。
- 前記絶縁外装体の外周を、絶縁性を有する透明な素材で形成した絶縁外周体で被覆してなる請求項1から7のいずれか1項に記載の電線またはケーブル。
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Cited By (3)
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CN106782918A (zh) * | 2016-12-20 | 2017-05-31 | 镇江程灿科技服务有限公司 | 一种等电位屏蔽管型大电流母线的制备方法 |
CN106782854A (zh) * | 2016-12-20 | 2017-05-31 | 镇江程灿科技服务有限公司 | 一种等电位屏蔽管型大电流母线及其制备方法 |
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- 2003-04-04 JP JP2003101803A patent/JP2004311164A/ja active Pending
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