JP2004309893A - 音声信号処理装置及びその方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】複数チャンネルの入力信号L,Rについて,合成信号生成部11によってそれぞれ異なる合成処理(加算と減算)により全てのチャンネルについて合成した複数の合成信号L+R,L−Rを生成し,その合成信号から,有効信号選択部12によって最も振幅の大きい1つの有効信号を選択し,ピッチ周期検出部13によって有効信号からピッチ周期を求め,該ピッチ周期に基づいて,信号圧縮/伸張部14によりPICOLA方式によって全チャンネル信号の時間軸の圧縮及び/又は伸張を行う。
【選択図】図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は,複数チャンネルの入力音声信号から得られるピッチ周期に基づいて入力音声信号の時間軸の圧縮及び/又は伸張を行う音声信号処理装置及びその方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
カラオケのテンポ(速度)変更やビデオの再生速度変更等を行う際に,音程を変えずに音声信号(オーディオ信号)の再生速度を速くしたり遅くしたりする時間軸圧縮伸張処理(音声信号処理の一例)が必要となる。また,再生速度を変えずに,音程(音の高低)のみを変更する音程変換処理(音声信号処理の一例)が必要となることもある。
従来,非特許文献1及び非特許文献2には,音声信号の周期性の強い部分を見出し,その周期(ピッチ周期)の単位での音声信号の省略や繰り返し(挿入)によって(ピッチ周期に基づく)時間軸圧縮伸張処理を行う技術が示されている。この技術では,音声信号における省略するピッチ周期分の信号をその次のピッチ周期分の信号にクロスフェードの重み付けにより重複加算する,或いは挿入するピッチ周期分の信号をその前後のピッチ周期分の信号をクロスフェードの重み付けにより重複加算した信号とするPICOLA(Pointer Interval Control OverLap and Add,ポンター移動量制御による重複加算法)という手法が採用されている。
【0003】
図2は,PICOLA方式により時間軸圧縮が行われる際の音声信号の波形を模式的に表したものである。
まず,図2(a)に示すように,時間軸圧縮(音声信号の省略)の対象となる音声信号の範囲の先頭位置Po1にポインタが設定され,このポインタ位置Po1からの音声信号について,そのピッチ周期P(強い周期性を有する周期)が検出される。ピッチ周期Pの検出方法の例については後述する。
次に,図2(b)に示すように,前記ポインタ位置Po1からピッチ周期P分の(ピッチ周期Pの長さの)2つの信号a,bをクロスフェードの重み付けにより重複加算した信号a’を生成する。即ち,2つの信号a,bを合成(加算)する際に,図2(a)に破線W1,W2で示すように,信号aに対する重みは時間軸が進むに従ってフェードアウト(次第に低下)し,信号bに対する重みは時間軸が進むに従ってフェードイン(次第に増大)するようクロスフェードの重み付けがなされる。
次に,信号aを削除(省略)するとともに,信号bを信号a’に置き換える。これにより,1ピッチ周期P分の時間軸圧縮が完了する。ここで,音声信号の省略部に設定された信号a’は,クロスフェードの重み付けにより重複加算した信号であるので,その前後の音声信号との繋がりがスムーズとなり,違和感の少ない時間軸圧縮が可能となる。
次に,目標圧縮比がRx(0<Rx<1)であるとすると,ポインタが,前記Po1の位置からC(=P×Rx/(1−Rx))だけ進んだ位置Po2に再設定され,前記Po1の位置から位置Po2までの圧縮処理後の音声信号が出力されるとともに,このポインタ位置Po2から同様の時間軸圧縮処理が繰り返される。これにより,P+Cの長さの元の音声信号から,Cの長さの圧縮音声信号が生成(出力)されることになり,目標圧縮比Rx(=C/(P+C))を達成する時間軸圧縮がなされる。
【0004】
一方,図3は,PICOLA方式により時間軸伸張が行われる際の音声信号の波形を模式的に表したものである。
まず,図3(a)に示すように,時間軸伸張(音声信号の挿入)の対象となる音声信号の範囲の先頭位置Po3にポインタが設定され,このポインタ位置Po3からの音声信号について,そのピッチ周期P(強い周期性を有する周期)が検出される。
次に,図3(b)に示すように,前記ポインタ位置Po3からピッチ周期P分の(ピッチ周期Pの長さの)2つの信号a,bをクロスフェードの重み付けにより重複加算した信号a’を生成する。時間軸伸張の場合のクロスフェードの重み付けは,図3(a)に破線W3,W4で示すように,信号aに対する重みは時間軸が進むに従ってフェードイン(次第に増加)し,信号bに対する重みは時間軸が進むに従ってフェードアウト(次第に低下)するよう重み付けがなされる。
次に,信号a,bの間に信号a’を挿入する。これにより,1ピッチ周期P分の時間軸伸張が完了する。ここで,挿入された信号a’は,クロスフェードの重み付けにより重複加算した信号であるので,その前後の音声信号との繋がりがスムーズとなり,違和感の少ない時間軸伸張が可能となる。
次に,目標伸張比がRy(0<Ry<1)であるとすると,ポインタが,前記Po3の位置からP+S(S=P×1/(Ry−1))だけ進んだ位置Po4に再設定され,前記Po3の位置から位置Po4までの伸張処理後の音声信号が出力されるとともに,このポインタ位置Po4から同様の時間軸伸張処理が繰り返される。これにより,Sの長さの元の音声信号から,P+Sの長さの圧縮音声信号が生成(出力)されることになり,目標伸張比Ry(=(P+S)/S)を達成する時間軸伸張がなされる。
【0005】
また,特許文献1には,入力音声信号をPICOLA等を用いた時間軸圧縮又は伸張により時間調整をした後,補間処理によりサンプリングレートを変換して入力信号と同じ時間長(サンプル数)に戻すことによって,音声信号の音程変換を行う技術が示されている。これにより,音声信号のテンポ(速度)を変えずに,音程のみを変更することが可能となる。
【0006】
ところで,処理する音声信号が,ステレオオーディオ信号等のように複数チャンネルの音声信号である場合,各チャンネルについてPICOLAを適用すると,ピッチ周期を求める高負荷の演算をチャンネルごとに実行する必要があるため演算負荷が非常に高くなることに加え,チャンネルごとにピッチ周期が異なりうるので,圧縮伸張処理後の音声信号にチャンネル間で元の音声信号とは異なる位相差が生じ,聞く人に違和感を与えてしまうという問題点がある。
この問題を解決するためには,音声信号の圧縮伸張に用いるピッチ周期を,全てのチャンネルで統一(共通化)することが有効である。
例えば,特許文献2には,ステレオ音声信号のLチャンネルとRチャンネルとを加算した信号(L+R)についてピッチ周期を検出し,そのピッチ周期に基づいて両チャンネルの音声信号の圧縮伸張処理(PICOLA)を行う技術が提案されている。
さらに,特許文献3には,複数のチャンネル信号を加算した信号或いは最大の振幅を有するチャンネル信号についてピッチ周期を検出し,そのピッチ周期に基づいて全てのチャンネル信号の圧縮伸張処理を行う技術が提案されている。
これらの技術により,ピッチ周期を求める高負荷の演算を1つの音声信号について求めるだけで済むので演算負荷の増大を防止できるとともに,圧縮伸張処理後の音声信号に,聞く人に違和感を与えるようなチャンネル間での信号の位相差が生じることを防止できる。
【0007】
【特許文献1】
特開平8−272390号公報
【特許文献2】
特開2001−5500号公報
【特許文献3】
特開2002−297200号公報
【非特許文献1】
森田,板倉「自己相関関数を用いた音声の時間軸での伸縮」日本音響学会講演論文集,S61.3,PP199−200
【非特許文献2】
森田,板倉「ポインター移動量制御による重複加算法(PICOLA)を用いた音声の時間軸での伸張圧縮とその評価」,S61.10,PP149−150
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら,複数のチャンネル信号を加算合成した信号からピッチ周期を求める場合,例えば,ステレオ音声信号におけるLチャンネルとRチャンネルとが逆位相である場合,加算合成した信号には元の各チャンネル信号の周期性が表れず(周期性が相殺され),適切なピッチ周期が検出されずに圧縮伸張後の音声品質が劣化するという問題点があった。
また,複数のチャンネル信号のいずれか1つ(例えば,振幅が最大のもの)から検出したピッチ周期を用いる場合は,他のチャンネル信号の周期性がまったく反映されず,ピッチ周期検出に用いられなかったチャンネル信号については,時間軸圧縮伸張による音声品質の劣化が大きいという問題点があった。
従って,本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,ステレオ音声信号等の複数チャンネルの入力音声信号から得たピッチ周期に基づいて時間軸の圧縮及び/又は伸張を行う際に,各チャンネル信号の周期性を反映して音声品質の劣化を防止しつつ,演算負荷の増大や聞く人に違和感を与えるようなチャンネル間の位相差発生も防止できる音声信号処理装置及びその方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は,複数チャンネルの入力音声信号から得られるピッチ周期に基づいて前記入力音声信号の時間軸の圧縮及び/又は伸張を行う時間軸調節手段を具備する音声信号処理装置において,それぞれ異なる合成処理により前記入力音声信号をその全ての前記チャンネルについて合成した複数の合成信号を生成する合成信号生成手段と,前記複数の合成信号のうちの1つを所定の選択規則に従って有効信号として選択する有効信号選択手段と,前記有効信号からピッチ周期を検出するピッチ周期検出手段と,を具備し,前記時間軸調節手段が,前記有効信号から得られたピッチ周期に基づいて全てのチャンネルの前記入力音声信号の時間軸の圧縮及び/又は伸張を実行してなることを特徴とする音声信号処理装置として構成されるものである。
これにより,異なる合成処理にって合成された複数の合成信号から,そのときの入力音声信号の各チャンネル間の相対的な関係に応じて,各チャンネル信号の周期性が最も反映された合成信号(チャンネル信号相互に相殺し合わない合成信号)1つを,ピッチ周期検出用の有効信号として選ぶことができるので,音声品質の劣化を防止しつつ,演算負荷の増大や聞く人に違和感を与えるようなチャンネル間の位相差発生も防止できる。
【0010】
また,前記合成信号生成手段としては,全ての前記チャンネルの前記入力音声信号それぞれに所定の重み係数を掛けて加算若しくは減算することにより前記複数の合成信号を生成するものが考えられ,例えば,前記入力音声信号が,2チャンネルのステレオ音声信号である場合,前記合成信号生成手段が,前記2チャンネルのステレオ音声信号それぞれに同じ重み係数を掛けて加算した信号と減算した信号とを前記合成信号とするもの等が考えられる。
これにより,各チャンネル信号の特性を均等に反映させた,或いは所望の重み付けがなされた合成信号を生成することができる。さらに,各チャンネル信号が相互に同位相となるような場合には,加算した合成信号に各チャンネル信号の周期性がよく反映され,逆に,各チャンネル信号が相互に逆位相となるような場合には,減算した合成信号に周期性がよく反映されることになるので,その都度適正な合成信号を選択することができる。
【0011】
また,前記有効信号選択手段における前記選択規則としては,前記複数の合成信号それぞれの振幅の大きさに基づく規則,例えば,平均振幅や信号の標準偏差が最大のものを選択する規則等とすることが考えられる。
また,前記時間軸調節手段により前記入力音声信号の時間軸が圧縮又は伸張された各チャンネルの時間軸調節後の音声信号について,そのサンプリングレートを変換して元の時間長に戻すことにより前記入力音声信号の音程を変換する音程変換手段を具備するものも考えられる。
これにより,音声品質の劣化が小さい音程変換処理の実現が可能となる。
【0012】
また,本発明は,前記音声信号処理装置の処理に対応する音声信号処理方法として捉えたものであってもよい。
即ち,複数チャンネルの入力音声信号から得られるピッチ周期に基づいて前記入力音声信号の時間軸の圧縮及び/又は伸張を行う音声信号処理方法において,それぞれ異なる合成方式により前記入力音声信号をその全ての前記チャンネルについて合成した複数の合成信号を生成する合成信号生成工程と,前記複数の合成信号のうちの1つを所定の選択規則に従って有効信号として選択する有効信号選択工程と,前記有効信号からピッチ周期を検出するピッチ周期検出工程と,前記有効信号から得られたピッチ周期に基づいて全てのチャンネルの前記入力音声信号の時間軸の圧縮及び/又は伸張を実行する時間軸調節工程と,を有してなることを特徴とする音声信号処理方法である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下添付図面を参照しながら,本発明の実施の形態及び実施例について説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施の形態及び実施例は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
ここに,図1は本発明の実施の形態に係る音声信号処理装置Xの概略構成を表すブロック図,図2はPICOLA方式により音声信号の時間軸圧縮が行われる際の音声信号の波形を模式的に表した図,図3はPICOLA方式により音声信号の時間軸伸張が行われる際の音声信号の波形を模式的に表した図である。
【0014】
以下,図1を用いて,本発明の実施の形態に係る音声信号処理装置Xについて説明する。
音声信号処理装置Xは,2チャンネル(LとR)のステレオ音声信号(入力音声信号)を入力し,それぞれ異なる合成処理によりその両チャンネル(全てのチャンネル)について合成した複数の合成信号を生成する合成信号生成部11と,生成された複数の合成信号のうちの1つを所定の選択規則に従って有効信号として選択する有効信号選択部12と,その有効信号からピッチ周期を検出するピッチ周期検出部13と,前記有効信号から得られたピッチ周期に基づいて両チャンネル(全てのチャンネル)の入力ステレオ音声信号の時間軸の圧縮及び伸張を実行する信号圧縮/伸張部14(前記時間軸調節手段の一例)とを具備している。ここで,前記合成信号生成部11は,2チャンネルの前記ステレオ音声信号それぞれに同じ重み係数(例えば,1や0.5等)を掛けて加算した信号(L+R)と減算した信号(L−R)とを前記合成信号として生成するものである。
これにより,各チャンネル信号(L,R)が,相互に同位相又はそれに近い状態である場合には,加算合成信号(L+R)の振幅が大きくなり,減算合成信号(L−R)の振幅は小さくなる。これに対し,各チャンネル信号(L,R)が,相互に逆位相又はそれに近い状態である場合には,加算合成信号(L+R)の振幅は小さくなり,減算合成信号(L−R)の振幅が大きくなる。
また,前記有効信号選択部12は,2つ(複数)の前記合成信号のうち,振幅の大きな方を前記有効信号として選択するものである(前記選択規則の一例)。振幅の大きさの評価方法としては,例えば,所定時間の範囲(所定サンプル数)における各チャンネル信号の値の2乗値の和や,次の(1)式に示すように絶対値の和の大きさにより評価することが考えられる。このような評価演算は簡易な演算であり,演算負荷の増加はわずかである。
【数1】
これにより,元の各チャンネル信号(L,R)の位相に応じて,それらの周期性がより顕著に表れている(周期性が相殺されていない)合成信号が,ピッチ周期検出に用いられる前記有効信号として選択されるので,各チャンネル信号の周期性が反映された適切なピッチ周期が検出され,圧縮伸張後の音声品質が劣化することを防止できる。
図1に示す各構成要素11〜14は,それぞれCPU及びその周辺装置(ROM,RAM等)とそのCPUにより実行されるプログラムとにより構成することも考えられるが,1つのCPU及びその周辺装置と,そのCPUにより実行され,図1に示す各構成要素11〜14が行う処理に対応するプログラムモジュールとにより構成されたものも考えられる。
【0015】
前記ピッチ周期検出部13によるピッチ周期の検出(算出)方法の一例としては,ピッチ周期Pの候補jとして予めj=N0〜Nの所定範囲を設定し,このピッチ周期候補j(N0〜N)それぞれについての周期性の強さを比較し,最も周期性が強いと評価される周期をピッチ周期Pとする方法が考えられる。
例えば,周期性の評価対象とする前記有効信号Xiの時間範囲(サンプル数)iを0〜N(ここで,参照される有効信号の最大時間範囲は,0〜2N)としたときに,周期性の強さの評価関数を,次の(2)式や(3)式とすることが考えられる。
【数2】
【数3】
これらは,jサンプルだけ離れた信号値同士の差(絶対値又は2乗値)を計算し,その差が小さいほど周期jにおける周期性が強い(即ち,周期jごとに似た波形が現れる)として評価するものである。従って,j=N0〜Nそれぞれについて,(2)式又は(3)式による評価値を計算し,その評価値が最も小さくなるときのjをピッチ周期Pとして検出(算出)する。
そして,前記信号圧縮/伸張部14は,以上のようにして検出されたピッチ周期Pに基づいて,前記ステレオ音声信号の両チャンネル信号それぞれについて所望の圧縮率(伸張率)で時間軸圧縮(伸張)がなされ,圧縮(伸張)後の音声信号L’,R’が出力される。ここで,圧縮・伸張の方式は,前述したPICOLA方式が採用される。
このように,複数チャンネルの音声入力信号から得た1つのピッチ周期Pに基づいて,全てのチャンネル信号の圧縮・伸張処理がなされるので,演算負荷の増大や,聞く人に違和感を与えるような圧縮・伸張後のチャンネル間の位相差発生を防止できる。
【0016】
ところで,ピッチ周期分の音声信号の削除・挿入により時間軸圧縮・伸張が施された音声信号(チャンネル信号L’,R’)は,その周波数が変換されて圧縮・伸張される場合と異なり,入出力間で音程は変わらない。
ここで,前記信号圧縮/伸張部14の後段に,時間軸圧縮・伸張が施された音声信号(チャンネル信号L’,R’)それぞれについて,元の時間長に戻すようにサンプリングレート変換を行うサンプリングレート変換部(音程変換手段の一例)を設ければ,音声品質の劣化が小さい音程変換処理の実現が可能となる。
即ち,目標圧縮比Rx(0<Rx<1)で時間軸圧縮された音声信号L’,R’を,その時間長が1/Rx倍となるようにサンプリングレート変換を行って再生すれば,信号が遅く再生されることになるので,再生信号(サンプリングレート変換後の信号)の周波数がRx倍となり,音程がその分だけ低くなる。同様に,目標伸張率Ry(>1)で時間軸伸張された音声信号L’,R’を,その時間長が1/Ry倍となるようにサンプリングレート変換を行って再生すれば,信号が速く再生されることになるので,再生信号の周波数がRy倍となり,音程がその分だけ高くなる。従って,入力音声信号の周波数に対する出力音声信号(再生信号)の周波数の比をRzとすると,所望のRzが設定された場合に,0<Rz<1の場合は,Rx←Rzとして時間軸圧縮を,Rz>1の場合は,Ry←Rzとして時間軸伸張を行った後に,元の時間長となるようにサンプリングレート変換を行えば,所望の音程変換が可能となる。
【0017】
また,ここでは,入力音声信号が,2チャンネルのステレオ音声信号である場合について示したが,3チャンネル以上のマルチチャンネル音声信号を入力音声信号とすることも考えられる。
この場合,一般には,全チャンネルの情報が均等に反映された合成信号を生成することが望ましいので,前記合成信号生成部11により,各チャンネル信号に絶対値の等しい重みを掛けて加算又は減算した合成信号を生成することが考えられる。例えば,3つのチャンネル信号I1,I2,I3について,所定の重み係数α(例えば,α=0.3等)を用いて,α・(I1+I2+I3),α・(I1+I2−I3),α・(I1−I2+I3),α・(−I1+I2+I3)の4つの合成信号を生成すること等が考えられる。
もちろん,入力音声信号の特性により,いずれかのチャンネル信号の周期性を特に強調して反映させたい場合等には,そのチャンネル信号に相対的に大きな重みを掛ける等により加減算した合成信号を生成することも考えられる。
【0018】
【発明の効果】
以上説明したように,本発明によれば,複数チャンネルの入力信号について,それぞれ異なる合成処理により全てのチャンネルについて合成した複数の合成信号を生成し,その合成信号から選択されたより適切な1つの信号から得られたピッチ周期に基づいて,全チャンネル信号の時間軸の圧縮及び/又は伸張が行われるので,各チャンネル信号の周期性を反映して音声品質の劣化を防止しつつ,演算負荷の増大や聞く人に違和感を与えるようなチャンネル間の位相差発生も防止できる。
さらに,時間軸圧縮及び/又は伸張が施された音声信号のサンプリングレートを変換して元の時間長に戻すことにより音程変換を行うことも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る音声信号処理装置Xの概略構成を表すブロック図。
【図2】PICOLA方式により音声信号の時間軸圧縮が行われる際の音声信号の波形を模式的に表した図。
【図3】PICOLA方式により音声信号の時間軸伸張が行われる際の音声信号の波形を模式的に表した図。
【符号の説明】
11…合成信号生成部(合成信号生成手段)
12…有効信号選択部(有効信号選択手段)
13…ピッチ周期検出部(ピッチ周期選択手段)
14…信号圧縮/伸張部(時間軸調節手段)
Claims (6)
- 複数チャンネルの入力音声信号から得られるピッチ周期に基づいて前記入力音声信号の時間軸の圧縮及び/又は伸張を行う時間軸調節手段を具備する音声信号処理装置において,
それぞれ異なる合成処理により前記入力音声信号をその全ての前記チャンネルについて合成した複数の合成信号を生成する合成信号生成手段と,
前記複数の合成信号のうちの1つを所定の選択規則に従って有効信号として選択する有効信号選択手段と,
前記有効信号からピッチ周期を検出するピッチ周期検出手段と,
を具備し,
前記時間軸調節手段が,前記有効信号から得られたピッチ周期に基づいて全てのチャンネルの前記入力音声信号の時間軸の圧縮及び/又は伸張を実行してなることを特徴とする音声信号処理装置。 - 前記合成信号生成手段が,全ての前記チャンネルの前記入力音声信号それぞれに所定の重み係数を掛けて加算若しくは減算することにより前記複数の合成信号を生成するものである請求項1に記載の音声信号処理装置。
- 前記入力音声信号が,2チャンネルのステレオ音声信号であり,
前記合成信号生成手段が,前記2チャンネルのステレオ音声信号それぞれに同じ重み係数を掛けて加算した信号と減算した信号とを前記合成信号とするものである請求項2に記載の音声信号処理装置。 - 前記有効信号選択手段における前記選択規則が,前記複数の合成信号それぞれの振幅の大きさに基づく規則である請求項1〜3のいずれかに記載の音声信号処理装置。
- 前記時間軸調節手段により前記入力音声信号の時間軸が圧縮又は伸張された各チャンネルの時間軸調節後の音声信号について,そのサンプリングレートを変換して元の時間長に戻すことにより前記入力音声信号の音程を変換する音程変換手段を具備してなる請求項1〜4のいずれかに記載の音声信号処理装置。
- 複数チャンネルの入力音声信号から得られるピッチ周期に基づいて前記入力音声信号の時間軸の圧縮及び/又は伸張を行う音声信号処理方法において,
それぞれ異なる合成方式により前記入力音声信号をその全ての前記チャンネルについて合成した複数の合成信号を生成する合成信号生成工程と,
前記複数の合成信号のうちの1つを所定の選択規則に従って有効信号として選択する有効信号選択工程と,
前記有効信号からピッチ周期を検出するピッチ周期検出工程と,
前記有効信号から得られたピッチ周期に基づいて全てのチャンネルの前記入力音声信号の時間軸の圧縮及び/又は伸張を実行する時間軸調節工程と,
を有してなることを特徴とする音声信号処理方法。
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