JP2004309248A - 海塩粒子付着量測定方法および測定装置 - Google Patents

海塩粒子付着量測定方法および測定装置 Download PDF

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Abstract

【課題】飛来海塩粒子付着量測定方法において、精度よく、短期間で海塩粒子量の測定を可能とする。
【解決手段】銀コートされた水晶振動子を用い、海塩粒子との反応を利用して湿度の増加における水晶振動子の減少量から飛来海塩粒子を測定する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この出願の発明は、海塩粒子付着量測定法および測定装置に関し、より詳しくは、飛来海塩粒子量を精度よく、数日の短期間でその場測定することのできる測定が可能な海塩粒子付着量測定法および測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】
低合金鋼で構造物を建築するに際して、その材料選定に当たり、耐食性の観点から飛来海塩粒子量を把握することが必要である。
発案者らは、水晶マイクロバランス法を用い湿度の増加に伴い周波数が増加することを用いて飛来海塩粒子量を測定することを提案した(特開平11−326019号公報)。
【0003】
しかし、実際には海塩粒子の大きさや付着形態により、湿度の変化に伴う周波数の変化が異なるため、きわめて特定された場合にしかその測定方法が適用できないという欠点があった。
【0004】
また、飛来海塩測定装置は、測定装置は測定データ収集機能を有すればよく、収集されたデータは別のCPUによって集中管理できさえすれよかったため、持ち運びの必要は考えられていなかった。しかし、近年、工事全体の迅速化の流れの中で、計測作業の工程においても迅速化の要求が増大してきた。かかる状況の中で、飛来海塩測定装置自体が、現場で測定し計測データを入手する、いわゆるその場測定が実施されるようになり、そのため飛来海塩測定装置の持ち込みの必要から、持ち運びに便利なように搬送できるものが要望されるようになってきた。
【0005】
しかし、これまで、ポータブルな飛来海塩測定装置は存在しなかった。
この出願の発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、従来の欠点を補うため、測定方法の適用範囲を拡大し汎用性を図ると共に測定装置の可搬性を図る観点から、一つは、海塩粒子と銀の反応により、液膜の動きが防止されることを利用して湿度の増加に伴う水晶マイクロバランス法における周波数の増加から飛来海塩粒子量を推定する飛来海塩測定方法を提供するものであり、他の一つは、屋外でのその場測定の必要から、上記原理を応用したポータブル測定装置を開発し提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この出願の発明は、前記課題を解決するものとして、銀コートされた水晶振動子を用い、海塩粒子との反応を利用して湿度の増加における水晶振動子の減少量から飛来海塩粒子を測定する工程を含むことを特徴とする飛来海塩粒子付着量測定方法(請求項1)を提供する。
【0007】
また、この出願の発明は、2台のデジタルディプメーター、簡易真空デシケータ、簡易加湿装置、2種類の水晶振動子より構成され、一つは銀コートされた水晶振動子を用い、海塩粒子との反応を利用して湿度の増加における水晶振動子の減少量から飛来海塩粒子を測定するポータブル飛来海塩粒子測定装置(請求項2)、さらに、上記2種類の水晶振動子が、加湿モニター用MgCl微小液滴を付着させた30MHz金コート水晶振動子と、飛来海塩粒子測定用30MHz銀コート水晶振動子から構成されることを特徴とする海塩粒子測定装置(請求項3)をも提供する。
【0008】
以下、この出願の発明について、図面を用いてさらに詳細に説明する。
【0009】
【実施例】
図1には、飛来海塩粒子測定装置(A)でポータブル型のものが概略的に示されている。
【0010】
飛来海塩粒子測定装置(A)は、2台のデジタルディプメーター(2a)(2b)、簡易真空デシケータ(1)、振動子簡易加湿装置(6)と2つの水晶振動子(3)(4)より構成され、一方の水晶振動子(3)は加湿モニター用MgCl2微小液滴を付着させた30MHz金コート水晶振動子として構成されるものであって、湿度モニター用としてデジタルディプメーター(2a)に設置され、また、他方の水晶振動子(4)は飛来海塩粒子測定用海塩粒子を付着させた30MHz銀コート水晶振動子として構成されるものであって、飛来海塩粒子測定用としてデジタルディプメーター(2b)に設置される。
【0011】
第1のデジタルディプメーター(2a)は、水晶振動子の周波数を計測する器具であり、加湿モニター用MgCl2を付着させた30MHz金コート水晶振動子(3)の周波数をモニターし、湿度のモニターを行う。
【0012】
第2のデジタルディプメーター(2b)は、海塩粒子を付着させた水晶振動子の周波数を計測し、湿度の変化に伴う周波数の変化量を計測し、飛来海塩粒子測定用30MHz銀コート水晶振動子(4)の付着海塩粒子量を見積もる器具である。
簡易真空デシケータ(1)は、前記第1及び第2のデジタルディプメーター(2a)(2b)を内蔵する透明な箱構造となっており、その内部を真空ポンプ7により真空引きすることによって除湿、加湿装置による加湿を行う。
簡易加湿装置は、ハンディエアーポンプ(5)、水を貯蔵したバブル容器(6)を備え、ポンプ(5)で加圧することによってバブルを発生せ、ライン(l)(l)を通じて容器(8)内を加湿する。
【0013】
海塩粒子測定装置(A)は、持ち運び可能な箱体(B)内に収容されたポータブル型の装置として構成することが可能である。
海塩粒子測定装置(A)がポータブル型の装置である場合、この海塩粒子測定装置(A)を現場に持ち込み、一方では、飛来海塩粒子測定用水晶振動子(4)を、1日か数日雨の掛からない場所において、海塩粒子を含んだ大気に暴露し、他方では、湿度を湿度モニター用水晶振動子(3)でモニターし、その後、ある一定量湿度を変化させたときの水晶振動子(3)(4)の振動数の変化をデジタルディプメーター(2a)(2b)で読み取ることにより海塩粒子量を決定する。具体的には、手動の真空ポンプ(7)で真空度を下げることにより所定(35%程度)の湿度にデシケータ(1)内部を設定し、そのときの銀コート水晶振動子(3)の周波数を読み取る。次に簡易加湿器(5)(6)により容器(8)内の湿度が80%程度になるように加湿し、その時の周波数を、デジタルディプメーター(2b)の周波数表示から読み取る。周波数の差を図2に示す基準の周波数変化で除算することにより付着海塩粒子量を求めることができる。
【0014】
なお、上記暴露してモニターする際には、海塩粒子を付着させた銀コート水晶振動子(4)と湿度モニター用の水晶振動子(3)の周波数変化の測定は2台のデジタルディプメーター(2a)(2b)により同時に行われる。
【0015】
上記において、金コート水晶振動子(4)は湿度のモニターとして用いられる。
【0016】
そして、湿度を監視するに際して、従来、市販の湿度計では急激に変化する湿度が測定できなかったが、上記のMgCl2微小液滴を付着させた金コート水晶振動子(4)を使用することにより急激に変化する湿度を測定しモニターすることが可能となる。
【0017】
次に、海塩粒子付着量測定方法及び測定装置について述べる。
【0018】
先ず銀コート水晶振動子(4)を屋外に一定時間暴露し、飛来海塩粒子を付着させる。2台のデジタルディプメーター(2a)(2b)を用い、一台に飛来海塩粒子が付着した銀コート振動子(4)、もう一台にMgCl2微小液滴を付着させた金コート水晶振動子をセットした後、真空デシケータ(1)内に収容し、密封する。
【0019】
次に、真空デシケータ(1)内を手動の真空ポンプ(7)で減圧する。真空デシケータ(1)内の真空度の低下に伴い、湿度も低下する。この際、湿度は金コート振動子(3)の共振周波数の値から読取る。例えば、30000000Hzが湿度35%に相当するならその値が示すまで減圧する。湿度が35%になった時点で、そのときの銀コート振動子(4)の共振周波数の値をデジタルディプメーター(2b)から読取り、例えば、30001000Hzとする。
【0020】
その後、バルブ(図示省略)を開いて空気を入れた後エアーポンプ(5)、バブル容器(6)からなる簡易加湿器から高湿度の空気をデシケータ(1)内に送り加湿する。なおこの時点ではデシケータ(1)内は密封されていない。
【0021】
金コート水晶振動子(3)の共振周波数の値が80%に相当する値、例えば30001000Hzになったら、その時の銀コート水晶振動子(4)の共振周波数を読取る。この場合、例えば29996000Hzであったとすると、5000Hz変化したことになり、予め試験した結果、すなわち1mg/dmで2500Hz変化することから、海塩粒子付着量は2mg/dmと推定できる。加湿、除湿の順序はどちらでも構わない。
【0022】
上記の測定方法によれば、幾分面倒な処理を行うものであるが、暴露したとき海塩粒子の他に砂や埃が水晶振動子に付着し、重量では判定できないこと、また、海塩が通常の50%程度の湿度で固体のNaCl成分と液体のMgCl2成分で大部分構成され、液膜厚さが100nm程度を境として重さとしての周波数に影響したり粘性の変化で影響したりするので、海塩粒子の付着形態によって複雑な周波数変化を起こすことによる金コート水晶振動子(3)で適切な測定ができないことのないことなどの不都合が生じることはない。
【0023】
本願発明の測定方法によれば、銀コートの水晶振動子(4)を用いることにより、銀コートの水晶振動子(4)では塩化銀の形成反応により、薄く均一な液膜となり周波数の変化の挙動を常に安定化し得るものであるため、適切な測定ができる。
【0024】
デジタルディプメーターは、通常の水晶マイクロバランス測定装置では発振できない30MHzの水晶振動子の発振が可能なこと、電池駆動を可能なことを見出し、この高周波数の水晶振動子を使用しまた、電池駆動とした。水晶マイクロバランス法では、測定精度が共振周波数の2乗に比例するので、高いほど好ましい。
【0025】
図2は、平均粒子径20μmの塩化マグネシウム溶液を0.5mg/dmほどの量を以って30MHzの金コート水晶振動子(4)に付着させ、湿度の変化をさせた場合の周波数変化を示すもので、これによれば、湿度が増加するに伴い平衡飽和濃度度が減少するので、粘性が低くなり周波数が増加することがわかる。換言すれば、周波数の増加から湿度がモニタできることがわかる。
【0026】
また、海塩粒子径を5〜20μmまで変化させ、人工海塩粒子発生器で種々の量付着させ、湿度の変化に対する単位付着量当たりの周波数変化をも示しており、これによって、海塩粒子の大きさや付着量によらず一定の挙動を示すことが判明した。
【0027】
金コート水晶振動子(4)と銀コート水晶振動子(3)の海塩粒子付着時における挙動の違いの理由を知るため、海塩粒子のAFM(原子間力顕微鏡)観察を行った。図1は、SUS304ステンレス鋼及び純銀に装置を使い、人工海塩粒子を付着させたときのAFM像を示す。
【0028】
図3(a)に示すように、ステンレス鋼では海塩粒子付着時に反応が起きないため、単純な小山のような形状をしているが、図3(b)に示すように、銀では塩化銀の形成反応が起こるため、微細粒子が集まったような特殊な付着形状を示すことが判明した。
この原理を用いて、種々の条件下で、海塩粒子を銀コート水晶振動子に付着させ、湿度の変化に対する単位付着量あたりの周波数の変化を測定し、上記の結果を得ることができ、これによって、実際に屋外で測定することを目的とした測定システムを開発することができ、種々に用途に応用できるものであった。
【0029】
【発明の効果】
以上から、この出願の発明によれば、従来不可能であった飛来海塩粒子量のその場測定が可能であり、飛来海塩粒子量を数日の短期間でその場測定することができる。
また、海塩粒子と銀の反応を利用することにより、精度よく海塩粒子量の測定が可能となる。
【0030】
したがって、耐食性の観点から構造用低合金鋼の選定に重要とされる、飛来海塩粒子量の把握を数日で測定することが可能であり、構造物を建築する際、塗装の必要性、材料の適切な選定が、飛来海塩粒子量を計測することにより、可能となり、結果的に腐食損失を減少させた構造物の建築に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明に係るポータブル型の海塩粒子測定装置の概要図である。
【図2】湿度の変化に対する単位付着量あたりの周波数の変化を示すグラフである。
【図3】本願発明に係るポータブル海塩粒子測定装置を使用して、人工海塩粒子を付着させた場合に観察された海塩粒子のAFM像を示し、(a)は SUS304ステンレス鋼に人工海塩粒子を付着させた場合のもの、(b)は純銀に人工海塩粒子を付着させた場合のものをそれぞれ示している。
【符号の説明】
1 デシケータ
2a デジタルディプメーター
2b デジタルディプメーター
3 湿度を湿度モニター用水晶振動子
4 飛来海塩粒子測定用水晶振動子
5 ハンディエアーポンプ
6 バブル容器
7 真空ポンプ
8 容器
A 海塩粒子測定装置
B 箱体

Claims (3)

  1. 銀コートされた水晶振動子を用い、海塩粒子との反応を利用して湿度の増加における水晶振動子の減少量から飛来海塩粒子を測定する工程を含むことを特徴とする飛来海塩粒子付着量測定方法。
  2. 2台のデジタルディプメーター、簡易真空デシケータ、簡易加湿装置、2種類の水晶振動子より構成され、一つは銀コートされた水晶振動子を用い、海塩粒子との反応を利用して湿度の増加における水晶振動子の減少量から飛来海塩粒子を測定することを特徴とするポータブル型飛来海塩粒子測定装置。
  3. 請求項2において、上記2種類の水晶振動子が、加湿モニター用MgCl2微小液滴を付着させた30MHz金コート水晶振動子と、飛来海塩粒子測定用30MHz銀コート水晶振動子から構成されることを特徴とする海塩粒子測定装置。
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CN114088593A (zh) * 2021-10-11 2022-02-25 中科三清科技有限公司 海盐排放通量的确定方法和装置

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