JP2004309236A - 血球カウンタ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】希釈液供給部1および血球カウント部2を上流側からこの順で有する流路3と、この流路3における希釈液供給部1から血球カウント部2までの間の位置に下流端が連通する血液導入部4とを備え、前記流路3内に希釈液を流すことにより、前記血液導入部4内の血液が前記流路3中へ導入されるように構成してある。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】本発明は、検体血液中の血球を測定するために用いられる血球カウンタに関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特開2002−277380号公報
従来から、血液中の赤血球、白血球、血小板などの血球を計数する手法の一つとして電気抵抗法が用いられている。この電気抵抗法は、血液細胞を等張性希釈液に懸濁させ、粒子がアパーチャを通過するときに、血球が占める容積に比例して生じる電気抵抗(インピーダンス)の変化を利用している。このインピーダンス変化に対応して生ずるパルス数から血球の個数が、また、パルスの高さから血球の容積(赤血球、白血球、血小板などの血球の種類)をそれぞれ同定することができる。
【0003】
そして、近年においては、血球カウンタのマイクロ化が進み、前記電気抵抗法に則ったチップ状のマイクロ血球カウンタと称される血球カウンタが開発されるに至っている。このような電気抵抗法を用いて血球を計数するマイクロ血球カウンタとして、前記特許文献1に示されるように、シリコン基板に測定対象である検体血液が流れる流入側の流路および流出側の流路を形成するとともに、これら流路の途中に狭溢部が形成されることにより得られるアパーチャと、このアパーチャの両側の流路に設けられる電極とを備えて測定部を構成したものがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記測定部の電極間に導入される血液は、通常、希釈液と混合された一定量の希釈血液であり、この希釈血液を作るのに定注器や注射器などが用いられている。例えば、定注器によって検体血液の定量採血を行い、また、同様にして定注器によって希釈液ボトルから希釈液を定量採取し、定注器のセル内で検体血液と希釈液とを混合し、この混合により得られた希釈悦液を、電極間の検出用流路に流して血球を測定した後、廃液として廃液タンクに溜められる。
【0005】
しかしながら、上記のような従来のマイクロ血球カウンタにおいては、測定部自体はチップ化されて小型化が図られていたが、測定部に検体血液や希釈液を送るためにはエアポンプを別途用意する必要があったことから、マイクロ血球カウンタ自体は携帯可能なハンディタイプであっても、それを用いる際には体積・重量があるエアポンプやバッテリーなども同時に持ち運ばなければならず、結果として、マイクロ血球カウンタは持ち運んでの使用に適していないこととなっていた。
【0006】
また、前記マイクロ血球カウンタでは、前記検体血液および希釈液を攪拌するためにエアーバブリングを行っていたのであるが、このエアーバブリングは、エアの供給口が下側になるようにマイクロ血球カウンタを直立させなければならず、使用時の姿勢が制限されることとなっていた。
【0007】
本発明は、上述の事柄に留意してなされたもので、その目的は、持ち運んでの使用に適しており、また、使用時の姿勢に制限を受けない血球カウンタを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明の血球カウンタは、希釈液供給部および血球カウント部を上流側からこの順で有する流路と、この流路における希釈液供給部から血球カウント部までの間の位置に下流端が連通する血液導入部とを備え、前記流路内に希釈液を流すことにより、前記血液導入部内の血液が前記流路中へ導入されるように構成してある(請求項1)。
【0009】
上記の構成によれば、持ち運んでの使用に適しており、また、使用時の姿勢に制限を受けない血球カウンタを提供することが可能となる。
【0010】
すなわち、前記血球カウンタでは、エアポンプを別途用意する必要があった従来の血球カウンタとは異なり、前記希釈液供給部内に収容された圧縮ガスのはたらきによって希釈液を流路内に流すことができるのであり、エアポンプやバッテリーなどを別途用意する必要がなく、ひいては携帯しての使用に非常に便利なものとなるのである。
【0011】
また、従来の血球カウンタでは、前記検体血液および希釈液を攪拌するためにエアーバブリングを行っており、このエアーバブリングを行うために決まった姿勢をとらせる必要があったが、本発明の血球カウンタでは、流路内に血液および希釈液を流すだけで攪拌が行えるのであり、使用時の姿勢が制限されることがなく、それだけ使用時の扱いが容易となるのである。
【0012】
また、前記血液導入部の下流部分を、下流端側ほど狭くなるテーパ状に形成してあるとしてもよい(請求項2)。
【0013】
すなわち、前記血液導入部内に収容された液体は、その両端側における気圧が等しい場合にはメニスカス半径が等しくなる位置で安定するのであり、前記血液導入部の下流部分を下流端側ほど狭くすることによって、常に血液導入部内の血液を下流側へと寄せておくことができ、血液導入部内から流路内への導出をよりスムーズかつ確実に行えることとなる。
【0014】
さらに、前記希釈液供給部が、変形自在または移動自在の隔離体によって隔てられた希釈液を収容する空間および圧縮ガス又は液化ガスを収容する空間を内部に有しているとしてもよい(請求項3)。
【0015】
この場合には、装置の中にポンプ等の駆動部を有することなく、希釈液や血液を流し、攪拌も行えるので、使用時の扱いが容易であるとともに電源が不要となり、コストダウン、省スペースが図れる。
【0016】
また、前記流路における前記血液導入部の下流端に連通する部分から血球カウント部までの間の部分に、流路内を流れる液体の流れを乱す手段を設けてあるとしてもよい(請求項4)。
【0017】
この場合には、血液が血液導入部から血球カウント部に流れるまでの間に、その希釈および攪拌を行うことができるのであり、血球を測定するための所要時間を短縮することも可能となる。
【0018】
また、本発明の血球カウンタが、希釈液供給部と血液導入部と血球カウント部とを有する血球カウンタであって、前記希釈液供給部が、変形自在または移動自在の隔離体によって隔てられた希釈液を収容する空間および圧縮ガス又は液化ガスを収容する空間を内部に有するとしてもよい(請求項5)。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の詳細について図を参照しながら説明する。
図1および図2は、本発明の一実施例に係る血球カウンタDの構成を概略的に示す説明図および斜視図である。
血球カウンタDは、希釈液供給部1および血球カウント部2を上流側からこの順で有する流路3と、この流路3における希釈液供給部1から血球カウント部2までの間の位置に下流端が連通する血液導入部4とを備え、前記流路3内に希釈液を流すことにより、前記血液導入部4内の血液Bが前記流路3中へ導入されるように構成してある。
【0020】
前記希釈液供給部1は、変形自在または移動自在の隔離体5によって隔てられた希釈液を収容する空間6および圧縮ガスを収容する空間7を内部に有するとともに、取り替え可能なようにカートリッジ化されたケース8によって構成されている。
【0021】
詳しくは、前記隔離体5は、変形自在な膜状をしており、その周縁部がケース8の内壁に固定された状態となっている。そして、前記希釈液を収容する空間6は前記流路3に連通し、かつ前記圧縮ガスを収容する空間7は流路3に連通しないように構成されている。
【0022】
なお、前記空間7に収容するものとしては圧縮ガスに限るものではなく、例えば、この圧縮ガスに代えて、液化ガスを空間7内に収容するように構成してもよい。
【0023】
前記血球カウント部2は、前記流路3の途中に狭溢部を形成することにより得られるアパーチャ9と、このアパーチャ9の両側に設けられる電極10,11とを備えている。
【0024】
前記流路3は、上流側から順に、前記希釈液供給部1と、この希釈液供給部1からの希釈液が流路3内を流れる状態および流れない状態に切り換えるための例えば開閉弁からなる切換部12と、流路3内を流れる液体の流れを乱す攪拌手段13と、前記血球カウント部2と、廃液タンク14とを有している。
【0025】
前記攪拌手段13は、流路3における前記血液導入部4に連通する部分から血球カウント部2までの間の位置に設けられており、流路3内を流れる液体の流れを乱して乱流を形成するための乱流形成部13a,13a…と、前記液体の流れの中に渦を形成するための渦形成部13b,13bとを有している。
【0026】
前記乱流形成部13aは、流路3内に突出する突起からなり、また、前記渦形成部13bは、流路内に配置される邪魔板からなる。そして、前記流路3において渦形成部13bが設けられている部分は、他の部分に比して径が大きくなっている。
【0027】
ここで、前記攪拌手段13を構成する素材としては、血液B中の血球の捕捉・吸着が生じるおそれのある繊維素材や多孔質素材を避け、そのようなおそれのない例えば樹脂などの材料を選択することが望ましい。
【0028】
なお、血液Bおよび希釈液を流路3の内部で詰まらせないようにするという点から、前記流路3は、その断面形状が円形状となるように構成することが望ましい。
【0029】
また、前記流路3における前記渦形成部13b以外の部分を、下流側ほどその流路の断面積が小さくなるように構成することが望ましい。このように構成した場合には、例えば、流路3内を流れる希釈液が不足して、希釈液によって前記血液Bを全て血球カウント部2まで押し切れなくても、血液Bおよび希釈液自体がもつ表面張力で全量を血球カウント部2にまで送ることができる可能性が高まるからである。そして、このような効果をより確実にするために、例えば、前記渦形成部13bを設けないようにしてもよいのである。
【0030】
前記血液導入部4は細管状をしており、図3(A)および(B)に示すように、その下流部分4aは、下流端側(流路3側)ほど狭くなるテーパ状に形成されており、下流部分4a以外の部分は、同じく下流側ほど狭くなるように形成されているか、または上流側から下流側まで径がほぼ同一となるように形成されている。
【0031】
すなわち、前記血液導入部4内に収容された液体は、その両端側における気圧が等しい場合にはメニスカス半径が等しくなる位置で安定するのであり、前記血液導入部4の下流部分4aを下流端側ほど狭くすることによって、図3(A)に示すように血液導入部4内に十分な量の血液Bがある場合でも、図3(B)に示すように血液導入部4内の血液Bの量が残り僅かとなった場合でも(言い換えれば、血液導入部4内の血液Bの量がどのように変わっても)、常に血液導入部4内の血液Bを下流側へと寄せておくことができ、血液導入部4内から流路3内への導出をよりスムーズかつ確実に行えることとなる。
【0032】
上記の構成からなる血球カウンタDは、PMMA(アクリル)などの樹脂からなる2枚の基板15a,15bに加工を施した後、重ねた状態で固定することにより構成された本体15を有するいわゆるマイクロ血球カウンタと称されるものである。すなわち、前記本体15を構成する2枚の基板15a,15bにはそれぞれ、前記流路3等を構成するための切削部分が設けられているのである。
【0033】
次に、上記の構成からなる血球カウンタDの作動について説明する。
まず、前記切換部12を閉状態とし、前記ケース8(希釈液供給部1)を本体15にセットする一方、前記血液導入部4に血液(検体血液)Bを注入する。あるいは、血液導入部4を血液溜につけ、毛細管現象を利用して血液Bを吸い上げる。
【0034】
続いて、前記切換部12を開状態とする。この操作により、ケース8内の希釈液が圧縮ガスに押し出されて流路3内に導入され、流路3内を下流側に向けて流れる状態となる。そして、この流路3内を流れる希釈液が、いわゆるエジェクター効果を引き起こし、前記血液導入路4の下流側が減圧されて、血液導入路4内の血液Bが流路3内に導入されることとなる。
【0035】
流路3内に導入された血液Bは、前記希釈液とともに流路3内をその下流側に向けて流れることなる。そして、流路3内を流れる間に、前記攪拌手段13によって攪拌されるのであり、攪拌が完了した状態で前記血球カウント部2へと至ることになる。
【0036】
前記血球カウント部2に希釈液と混合された血液Bが流れると、前記電極10,11間にはインピーダンス変化が生じるのであり、このインピーダンス変化に基づいて血液B中の赤血球、白血球、血小板などの血球が測定されることとなる。
【0037】
そして、前記血球カウント部2を経た血液Bおよび希釈液は、最後に前記廃液タンク14に貯留されることとなる。
【0038】
上記のようにして、前記血液導入部4内に導入された血液Bは、全て流路3を経て最後に廃液タンク14に至るのである。
【0039】
上記の構成からなる血球カウンタDは、持ち運んでの使用に適しており、また、使用時の姿勢に制限を受けないのである。
【0040】
すなわち、前記血球カウンタDでは、エアポンプを別途用意する必要があった従来の血球カウンタとは異なり、前記希釈液供給部1(ケース8)内に収容された圧縮ガスのはたらきによって希釈液を流路3内に流すことができるのであり、エアポンプやバッテリーなどを別途用意する必要がなく、ひいては携帯しての使用に非常に便利なものとなるのである。
【0041】
また、従来の血球カウンタでは、前記検体血液および希釈液を攪拌するためにエアーバブリングを行っており、このエアーバブリングを行うために決まった姿勢をとらせる必要があったが、本実施例の血球カウンタDでは、流路3内に血液Bおよび希釈液を流すだけで攪拌が行えるのであり、使用時の姿勢が制限されることがなく、それだけ使用時の扱いが容易となるのである。前記希釈液供給部1は、カートリッジ化し、自由に取り外し可能とすることもできる。この場合は、前記希釈液供給部1をカートリッジ化してあることにより、そのセッティング操作などが簡単であることから、使用時の取り扱いが容易となるという効果がより上昇することとなる。
【0042】
さらに、前記血球カウンタDでは、前記切換部12を操作するだけで血液Bを希釈液で攪拌しながら血球カウント部2に送ることができるのであり、血球を測定するための操作が非常にシンプルなものとなっている。
【0043】
また、前記血球カウンタDでは、血液Bが血液導入部4から血球カウント部2に流れるまでの間に、その希釈および攪拌を行うように構成してあることから、血球を測定するための所要時間を短縮することも可能となる。
【0044】
また、前記血球カウンタDは、構造がシンプルであることから、低コストで製造することも可能となる。
【0045】
なお、上記実施例では、前記隔離体5を変形自在な膜状としてあるが、このような構成に限るものではなく、例えば、前記隔離体5を、袋状とし、この袋状の隔離体5の内側の空間を、前記希釈液を収容する空間6とし、隔離体5とケース8とで囲まれる空間を、圧縮ガスを収容する空間7として構成してもよい。また、前記隔離体5を、ケース8の内壁に沿って移動自在に摺動する壁体として形成してもよい。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように、上記の構成からなる本発明によれば、持ち運んでの使用に適しており、また、使用時の姿勢に制限を受けない血球カウンタを提供することが可能となる。
【0047】
すなわち、前記血球カウンタDでは、エアポンプを別途用意する必要があった従来の血球カウンタとは異なり、前記希釈液供給部1(ケース8)内に収容された圧縮ガスのはたらきによって希釈液を流路3内に流すことができるのであり、エアポンプやバッテリーなどを別途用意する必要がなく、ひいては携帯しての使用に非常に便利なものとなるのである。
【0048】
また、従来の血球カウンタでは、前記検体血液および希釈液を攪拌するためにエアーバブリングを行っており、このエアーバブリングを行うために決まった姿勢をとらせる必要があったが、本実施例の血球カウンタDでは、流路3内に血液Bおよび希釈液を流すだけで攪拌が行えるのであり、使用時の姿勢が制限されることがなく、それだけ使用時の扱いが容易となるのである。そして、このような効果は、前記希釈液供給部1をカートリッジ化してある場合、そのセッティング操作などが簡単であることから、より上昇することとなる。
【0049】
また、前記血球カウンタDでは、血液Bが血液導入部4から血球カウント部2に流れるまでの間に、その希釈および攪拌を行うように構成してあることから、血球を測定するための所要時間を短縮することも可能となる。
【0050】
また、前記血球カウンタDは、構造がシンプルであることから、低コストで製造することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る血球カウンタの構成を概略的に示す説明図である。
【図2】上記実施例の構成を概略的に示す斜視図である。
【図3】(A)および(B)は、内部に血液が十分ある状態および内部にある血液の残りが僅かとなった状態の血液導入部の構成を概略的に示す縦断面図である。
【符号の説明】
1…希釈液供給部、2…血球カウント部、3…流路、4…血液導入部、D…血球カウンタ。
Claims (5)
- 希釈液供給部および血球カウント部を上流側からこの順で有する流路と、この流路における希釈液供給部から血球カウント部までの間の位置に下流端が連通する血液導入部とを備え、前記流路内に希釈液を流すことにより、前記血液導入部内の血液が前記流路中へ導入されるように構成してあることを特徴とする血球カウンタ。
- 前記血液導入部の下流部分を、下流端側ほど狭くなるテーパ状に形成してある請求項1に記載の血球カウンタ。
- 前記希釈液供給部が、変形自在または移動自在の隔離体によって隔てられた希釈液を収容する空間および圧縮ガス又は液化ガスを収容する空間を内部に有している請求項1または2に記載の血球カウンタ。
- 前記流路における前記血液導入部の下流端に連通する部分から血球カウント部までの間の部分に、流路内を流れる液体の流れを乱す手段を設けてある請求項1〜3のいずれかに記載の血球カウンタ。
- 希釈液供給部と血液導入部と血球カウント部とを有する血球カウンタであって、前記希釈液供給部が、変形自在または移動自在の隔離体によって隔てられた希釈液を収容する空間および圧縮ガス又は液化ガスを収容する空間を内部に有することを特徴とする血球カウンタ。
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