JP2004306391A - プラスチック成形金型用鋼の表面性状検査方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】プラスチック成形金型用鋼の表面性状をその用途に適するものとして客観的、定量的に的確に評価できるプラスチック成形金型用鋼の表面性状検査方法を提供する。これによってプラスチック成形金型用鋼の仕上げ状況の品質管理を容易にする。
【解決手段】波長領域が300nm〜900nm(好ましくは、400nm〜800nm)の可視光を金型用鋼3の表面積1mm2以上(好ましくは、25mm2以上)の部分に入射角度αが15度以下となるように当て、該金型用鋼表面から正反射された光の強度を測定する。
【選択図】 図1
【解決手段】波長領域が300nm〜900nm(好ましくは、400nm〜800nm)の可視光を金型用鋼3の表面積1mm2以上(好ましくは、25mm2以上)の部分に入射角度αが15度以下となるように当て、該金型用鋼表面から正反射された光の強度を測定する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラスチック成形金型用鋼の表面性状を検査し、その適否を客観的、定量的に評価できるプラスチック成形金型用鋼の表面性状検査方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、プラスチック製品の光沢、透明性、或いは、意匠性等は、その成形金型の表面(成形面)の性状によって大きく左右される。このため従来から、このような光沢、透明性、或いは、意匠性等を必要とするプラスチック製品を成形する金型用鋼の表面は入念に研磨することにより鏡面仕上げがなされている。
【0003】
ところで、このようなプラスチック成形金型用鋼の表面性状の良否は、この金型用鋼から作られた金型を実際に使用し、プラスチック製品を成形してから評価していたのでは、時間とコストがかかるものであった。
【0004】
そこで従来ではプラスチック成形金型用鋼の表面性状を熟練者が目視で判定していたが、評価基準が曖昧で個人差によって判定結果が必ずしも一様にならないという問題があるとともに、小さいピンホールを見落とし易いという問題があった。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−18859号公報
【非特許文献1】
日本工業規格(JISB0651)
【非特許文献2】
日本工業規格(JISZ8741)
【0006】
また上記特許文献1に示された金型仕上げ面判定方法は、仕上げ面に投影した文字を検査員の目視により判読しその良否を判定するものであったが、検査員の個人差により判定結果が左右され易いという問題が解決されていない。
【0007】
また、上記非特許文献1に示された触針式の測定器により、プラスチック成形金型用鋼の表面粗さを測定する方法は、比較的簡易に測定値が得られるために従来から広く使用されていたものであったが、これによって得られた測定値は、触針の送り方向の直線上の測定値であり、この方法によっては面としての情報が得られないので、この測定結果を金型用鋼の表面全体の指標とすることはできず、また、この測定方法では、光沢,ウネリ,ピンホール等の項目が測定要素として評価されないので、この測定方法を金型用鋼の表面性状の判定に用いることが適当であるとは言えないものであった。
【0008】
さらに反射光の強度を測定する鏡面光沢度測定方法を用いてプラスチック成形金型用鋼を判定することも考えられるが、この光沢度は、上記非特許文献2に示されたように測定面に対する光の入射角度が大きいために、面粗さの影響を大きく受けるものであった。このため、この方法はプラスチック製品の表面や塗膜といった金属光沢のない材料を測定するのには適しているものの金型用鋼には適さず、またこの方法によればプラスチック成形金型用鋼の表面性状として求められるウネリ,ピンホール等の情報が十分に考慮されないので、この方法をもってプラスチック成形金型用鋼の表面性状を評価することは適当でないものであった。
【0009】
なお、上述の目視による評価は、個人差があるという欠点、および熟練者による評価でなければならないという欠点を除けば、金型用鋼の表面性状をプラスチック成形に適したものとして最も的確に評価できているといえる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、プラスチック成形金型用鋼の表面性状をその用途に適するものとして客観的、定量的に的確に評価できるプラスチック成形金型用鋼の表面性状検査方法を提供し、上記のような従来の問題点を解決しようとするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
そのために本発明に係るプラスチック成形金型用鋼の表面性状検査方法は、波長領域が300nm〜900nm(好ましくは、400nm〜800nm)の可視光を金型用鋼の表面積1mm2以上(好ましくは、25mm2以上)の部分に入射角度が15度以下となるように当て、該金型用鋼表面から正反射された光の強度を測定することを特徴とする。
【0012】
波長領域が300nm〜900nmの可視光により測定する理由は、プラスチック製品の評価は当然ながら人間の目視によるものであるので、目視と同等の評価が得られるようにするためであり、そのためにより望ましい波長領域は400nm〜800nmである。
【0013】
また、金型用鋼の表面積1mm2以上の部分に可視光を当てる理由は、ピンホールの数や大きさ、ウネリ等が測定要素となることが必須であり、これらが測定されるためには最低1mm2以上の面積に可視光が当てられなければならない。また、材料全体、或いは巨視的な評価を得るために望ましい面積は25mm2以上である。
【0014】
また、金型用鋼表面から正反射された光の強度を測定することの理由は次の通りである。即ち、正反射光の強度と拡散反射光の強度を足したものが全反射と呼ばれ、全反射率は測定条件と材料によって一義的に決まることから、拡散反射の影響は正反射にも反映されること。従って、正反射光の強度を測定すれば拡散反射光を認知し得ることである。また、従来では拡散反射光を測定した方が表面の微小な凹凸等を反映すると考えられていたが、拡散反射光は測定角度によって強度が大きく変わり、角度依存性が高いなど測定結果が条件によって大きく左右される欠点があるのに対し、正反射光は測定が容易であることである。
【0015】
また、金型用鋼表面に入射角15度以下の低角度で可視光を照射し、その正反射光の強度を測定することの理由は次の通りである。即ち、プラスチック成形金型用鋼の表面性状は次の▲1▼〜▲5▼のいずれもが評価要素とされなければならない。▲1▼光沢、▲2▼磨き筋等により生じる面粗さ、▲3▼ピンホールの有無および大きさ、▲4▼ウネリの有無、▲5▼介在物(マンガンサルファイド等)による凹凸の有無および大きさ。上記▲1▼,▲2▼については上記非特許文献2に示された鏡面光沢度測定方法によっても評価が可能であるが、プラスチック成形金型用鋼では▲3▼,▲4▼,▲5▼が重要視されること。また、入射角度を低くすることで▲2▼の影響を小さくし、▲3▼,▲4▼が正当に評価されるようにすることが必要である。このため、本発明では上記非特許文献2に示された入射角度よりも低角度で可視光を照射することが必要である。
これによって金型用鋼の表面性状が総合的に反映され、その結果が熟練者の目視による評価と略々一致し、プラスチック成形用として的確なる評価ができるようになる。
【0016】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明にて使用する分光光度計の概念図で、1は光源、2は該光源の光を波長領域が300nm〜900nm(好ましくは、400nm〜800nm)の単一波長の可視光に調整するプリズムおよびフィルター、3は表面性状を検査するためにセットされた金型用鋼、4は該金型用鋼表面の5mm×7mmの領域に入射角度αが5度となるように上記可視光を照射するとともに該金型用鋼表面から正反射された光を検出器5に反射するために配置されたミラー、6は標準試験片、7は該標準試験片の表面の同じく5mm×7mmの領域に入射角度αが5度となるように上記可視光を照射するとともに該標準試験片表面から正反射された光を検出器5に反射するために配置されたミラーである。従って、金型用鋼3の表面および標準試験片6の表面から正反射された光だけが検出器5に到達する。
【0017】
検出器5はこうして金型用鋼3から正反射された光の強度Ia、および標準試験片6から正反射された光の強度Isを測定し得るもので、両強度の比(Ia/Is)を求めることにより金型用鋼3の表面性状を数値として捕捉し得る。
【0018】
図2は標準試験片として一般的なAl蒸着膜の材料を用い2種の金型用鋼A,Bについて上記分光光度計により波長領域300nm〜800nmにて正反射光の強度の比を測定し、標準試験片の反射率を100%とした時の金型用鋼A,Bの反射率を各波長において求めグラフに示したものである。このようにAl蒸着膜の材料を標準試験片とするとこれによって測定される反射率は波長によって大きく異なってくる。一方、図3は標準試験片として金型用鋼と同じFe基の材料を用いて上記鋼種A,Bの反射率を測定しグラフに示したものであるが、このように標準試験片として金型用鋼と同じ材料を使用することにより波長による変化が少なくなることから鋼種間の差を判別し易くなる。このため本発明では標準試験片を使用する場合は金型用鋼と同種の材料を使用することが望ましい。
なお、分光光度計の種類によっては標準試験片を使用することなく、材料の反射率の絶対値を測定できるものもあるので、本発明ではその絶対値により金型用鋼の表面性状を評価することも可能である。
【0019】
また、従来から行われている目視評価、および、光沢度測定、表面粗さ測定による評価と、本発明に係る反射率測定による評価とを比較するため、夫々硬さの異なる12種の金型用鋼A〜Lについて試験を行い、その結果を表1に示した。なお、試験片である金型用鋼のサイズは幅50mm,長さ40mm,厚さ10mmとし、その50×40mmの面を研削加工した後、機械研磨装置を用いて鏡面加工を実施し、その最終仕上げには研磨材として粒度1μmのダイヤモンドペーストを用いた。
【表1】
【0020】
表1中の目視評価は、熟練者が光沢,表面粗さ,ピンホール,ウネリ,介在物凹凸の各項目を夫々評価し、最も良いと思われるものから順に4〜1の点数を付け、総合的な評価となるようにその合計点を評価基準とするものである。また、光沢度は上記非特許文献2に示された日本工業規格に従い入射・反射角を45度に設定し測定したものである。また、表面粗さは上記非特許文献1に示された日本工業規格に従い測定したものである。
【0021】
また、本発明に係る反射率測定は、市販の分光光度計を使用し、試験片の測定領域5×7mmの表面に対し入射・反射角5度に設定して400nm〜800nmの可視光を測定速度300nm/minにて1nm置きに当て、各波長における反射率の平均値を求めたものである。なお、表1では金型用鋼Aの反射率を100%とし、その相対比により金型用鋼B〜Lの反射率を示す。
【0022】
また、図4は表1を分かり易くするため目視評価結果と光沢度との関係をグラフに示したものであり、図5は同じく目視評価結果と表面粗さとの関係、図6は同じく目視評価結果と本発明に係る反射率との関係を夫々グラフに示したものである。
【0023】
この結果、図4のグラフからは目視評価の合計点が高いものが必ずしも光沢度が高いとは言えないことが分かり、また図5のグラフからは目視評価の合計点が高いものが表面粗さも細かい傾向にはあるものの未だ明確でないことが分かる。これらに対し、図6のグラフからは、目視評価の合計点が高いものが反射率も高いことが明確に分かる。このため、本発明の検査方法により測定された数値をもってプラスチック成形金型用鋼の表面性状を判定すれば、熟練者によってなされた目視評価と略々一致し、真にプラスチック成形に適した信頼ある判定が定量的,客観的に簡単にできるようになる。
【0024】
なお、本発明はプラスチック成形金型材料の鏡面加工時での検査、出荷時や納品時の検査、金型状態での検査等において、その表面性状を定量的に測定できることからその仕上り状況等の品質管理を容易にすることができる。
【0025】
【発明の効果】
このように本発明に係る表面性状検査方法によれば、プラスチック成形金型用鋼の表面性状を客観的、定量的に高い信頼性をもって評価し得るので、プラスチック成形金型用鋼の品質管理を容易にするなど有益な効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にて使用する分光光度計の概念図。
【図2】本発明により測定される金型用鋼の反射率と波長との関係を示したグラフ。
【図3】本発明により測定される金型用鋼の反射率と波長との関係を示したグラフ。
【図4】金型用鋼の目視評価結果と光沢度との関係を示したグラフ。
【図5】金型用鋼の目視評価結果と表面粗さとの関係を示したグラフ。
【図6】金型用鋼の目視評価結果と本発明に係る反射率との関係を示したグラフ。
【符号の説明】
1 光源
2 プリズムおよびフィルター
3 金型用鋼
4 ミラー
5 検出器
6 標準試験片
7 ミラー
α 入射角度
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラスチック成形金型用鋼の表面性状を検査し、その適否を客観的、定量的に評価できるプラスチック成形金型用鋼の表面性状検査方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、プラスチック製品の光沢、透明性、或いは、意匠性等は、その成形金型の表面(成形面)の性状によって大きく左右される。このため従来から、このような光沢、透明性、或いは、意匠性等を必要とするプラスチック製品を成形する金型用鋼の表面は入念に研磨することにより鏡面仕上げがなされている。
【0003】
ところで、このようなプラスチック成形金型用鋼の表面性状の良否は、この金型用鋼から作られた金型を実際に使用し、プラスチック製品を成形してから評価していたのでは、時間とコストがかかるものであった。
【0004】
そこで従来ではプラスチック成形金型用鋼の表面性状を熟練者が目視で判定していたが、評価基準が曖昧で個人差によって判定結果が必ずしも一様にならないという問題があるとともに、小さいピンホールを見落とし易いという問題があった。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−18859号公報
【非特許文献1】
日本工業規格(JISB0651)
【非特許文献2】
日本工業規格(JISZ8741)
【0006】
また上記特許文献1に示された金型仕上げ面判定方法は、仕上げ面に投影した文字を検査員の目視により判読しその良否を判定するものであったが、検査員の個人差により判定結果が左右され易いという問題が解決されていない。
【0007】
また、上記非特許文献1に示された触針式の測定器により、プラスチック成形金型用鋼の表面粗さを測定する方法は、比較的簡易に測定値が得られるために従来から広く使用されていたものであったが、これによって得られた測定値は、触針の送り方向の直線上の測定値であり、この方法によっては面としての情報が得られないので、この測定結果を金型用鋼の表面全体の指標とすることはできず、また、この測定方法では、光沢,ウネリ,ピンホール等の項目が測定要素として評価されないので、この測定方法を金型用鋼の表面性状の判定に用いることが適当であるとは言えないものであった。
【0008】
さらに反射光の強度を測定する鏡面光沢度測定方法を用いてプラスチック成形金型用鋼を判定することも考えられるが、この光沢度は、上記非特許文献2に示されたように測定面に対する光の入射角度が大きいために、面粗さの影響を大きく受けるものであった。このため、この方法はプラスチック製品の表面や塗膜といった金属光沢のない材料を測定するのには適しているものの金型用鋼には適さず、またこの方法によればプラスチック成形金型用鋼の表面性状として求められるウネリ,ピンホール等の情報が十分に考慮されないので、この方法をもってプラスチック成形金型用鋼の表面性状を評価することは適当でないものであった。
【0009】
なお、上述の目視による評価は、個人差があるという欠点、および熟練者による評価でなければならないという欠点を除けば、金型用鋼の表面性状をプラスチック成形に適したものとして最も的確に評価できているといえる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、プラスチック成形金型用鋼の表面性状をその用途に適するものとして客観的、定量的に的確に評価できるプラスチック成形金型用鋼の表面性状検査方法を提供し、上記のような従来の問題点を解決しようとするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
そのために本発明に係るプラスチック成形金型用鋼の表面性状検査方法は、波長領域が300nm〜900nm(好ましくは、400nm〜800nm)の可視光を金型用鋼の表面積1mm2以上(好ましくは、25mm2以上)の部分に入射角度が15度以下となるように当て、該金型用鋼表面から正反射された光の強度を測定することを特徴とする。
【0012】
波長領域が300nm〜900nmの可視光により測定する理由は、プラスチック製品の評価は当然ながら人間の目視によるものであるので、目視と同等の評価が得られるようにするためであり、そのためにより望ましい波長領域は400nm〜800nmである。
【0013】
また、金型用鋼の表面積1mm2以上の部分に可視光を当てる理由は、ピンホールの数や大きさ、ウネリ等が測定要素となることが必須であり、これらが測定されるためには最低1mm2以上の面積に可視光が当てられなければならない。また、材料全体、或いは巨視的な評価を得るために望ましい面積は25mm2以上である。
【0014】
また、金型用鋼表面から正反射された光の強度を測定することの理由は次の通りである。即ち、正反射光の強度と拡散反射光の強度を足したものが全反射と呼ばれ、全反射率は測定条件と材料によって一義的に決まることから、拡散反射の影響は正反射にも反映されること。従って、正反射光の強度を測定すれば拡散反射光を認知し得ることである。また、従来では拡散反射光を測定した方が表面の微小な凹凸等を反映すると考えられていたが、拡散反射光は測定角度によって強度が大きく変わり、角度依存性が高いなど測定結果が条件によって大きく左右される欠点があるのに対し、正反射光は測定が容易であることである。
【0015】
また、金型用鋼表面に入射角15度以下の低角度で可視光を照射し、その正反射光の強度を測定することの理由は次の通りである。即ち、プラスチック成形金型用鋼の表面性状は次の▲1▼〜▲5▼のいずれもが評価要素とされなければならない。▲1▼光沢、▲2▼磨き筋等により生じる面粗さ、▲3▼ピンホールの有無および大きさ、▲4▼ウネリの有無、▲5▼介在物(マンガンサルファイド等)による凹凸の有無および大きさ。上記▲1▼,▲2▼については上記非特許文献2に示された鏡面光沢度測定方法によっても評価が可能であるが、プラスチック成形金型用鋼では▲3▼,▲4▼,▲5▼が重要視されること。また、入射角度を低くすることで▲2▼の影響を小さくし、▲3▼,▲4▼が正当に評価されるようにすることが必要である。このため、本発明では上記非特許文献2に示された入射角度よりも低角度で可視光を照射することが必要である。
これによって金型用鋼の表面性状が総合的に反映され、その結果が熟練者の目視による評価と略々一致し、プラスチック成形用として的確なる評価ができるようになる。
【0016】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明にて使用する分光光度計の概念図で、1は光源、2は該光源の光を波長領域が300nm〜900nm(好ましくは、400nm〜800nm)の単一波長の可視光に調整するプリズムおよびフィルター、3は表面性状を検査するためにセットされた金型用鋼、4は該金型用鋼表面の5mm×7mmの領域に入射角度αが5度となるように上記可視光を照射するとともに該金型用鋼表面から正反射された光を検出器5に反射するために配置されたミラー、6は標準試験片、7は該標準試験片の表面の同じく5mm×7mmの領域に入射角度αが5度となるように上記可視光を照射するとともに該標準試験片表面から正反射された光を検出器5に反射するために配置されたミラーである。従って、金型用鋼3の表面および標準試験片6の表面から正反射された光だけが検出器5に到達する。
【0017】
検出器5はこうして金型用鋼3から正反射された光の強度Ia、および標準試験片6から正反射された光の強度Isを測定し得るもので、両強度の比(Ia/Is)を求めることにより金型用鋼3の表面性状を数値として捕捉し得る。
【0018】
図2は標準試験片として一般的なAl蒸着膜の材料を用い2種の金型用鋼A,Bについて上記分光光度計により波長領域300nm〜800nmにて正反射光の強度の比を測定し、標準試験片の反射率を100%とした時の金型用鋼A,Bの反射率を各波長において求めグラフに示したものである。このようにAl蒸着膜の材料を標準試験片とするとこれによって測定される反射率は波長によって大きく異なってくる。一方、図3は標準試験片として金型用鋼と同じFe基の材料を用いて上記鋼種A,Bの反射率を測定しグラフに示したものであるが、このように標準試験片として金型用鋼と同じ材料を使用することにより波長による変化が少なくなることから鋼種間の差を判別し易くなる。このため本発明では標準試験片を使用する場合は金型用鋼と同種の材料を使用することが望ましい。
なお、分光光度計の種類によっては標準試験片を使用することなく、材料の反射率の絶対値を測定できるものもあるので、本発明ではその絶対値により金型用鋼の表面性状を評価することも可能である。
【0019】
また、従来から行われている目視評価、および、光沢度測定、表面粗さ測定による評価と、本発明に係る反射率測定による評価とを比較するため、夫々硬さの異なる12種の金型用鋼A〜Lについて試験を行い、その結果を表1に示した。なお、試験片である金型用鋼のサイズは幅50mm,長さ40mm,厚さ10mmとし、その50×40mmの面を研削加工した後、機械研磨装置を用いて鏡面加工を実施し、その最終仕上げには研磨材として粒度1μmのダイヤモンドペーストを用いた。
【表1】
【0020】
表1中の目視評価は、熟練者が光沢,表面粗さ,ピンホール,ウネリ,介在物凹凸の各項目を夫々評価し、最も良いと思われるものから順に4〜1の点数を付け、総合的な評価となるようにその合計点を評価基準とするものである。また、光沢度は上記非特許文献2に示された日本工業規格に従い入射・反射角を45度に設定し測定したものである。また、表面粗さは上記非特許文献1に示された日本工業規格に従い測定したものである。
【0021】
また、本発明に係る反射率測定は、市販の分光光度計を使用し、試験片の測定領域5×7mmの表面に対し入射・反射角5度に設定して400nm〜800nmの可視光を測定速度300nm/minにて1nm置きに当て、各波長における反射率の平均値を求めたものである。なお、表1では金型用鋼Aの反射率を100%とし、その相対比により金型用鋼B〜Lの反射率を示す。
【0022】
また、図4は表1を分かり易くするため目視評価結果と光沢度との関係をグラフに示したものであり、図5は同じく目視評価結果と表面粗さとの関係、図6は同じく目視評価結果と本発明に係る反射率との関係を夫々グラフに示したものである。
【0023】
この結果、図4のグラフからは目視評価の合計点が高いものが必ずしも光沢度が高いとは言えないことが分かり、また図5のグラフからは目視評価の合計点が高いものが表面粗さも細かい傾向にはあるものの未だ明確でないことが分かる。これらに対し、図6のグラフからは、目視評価の合計点が高いものが反射率も高いことが明確に分かる。このため、本発明の検査方法により測定された数値をもってプラスチック成形金型用鋼の表面性状を判定すれば、熟練者によってなされた目視評価と略々一致し、真にプラスチック成形に適した信頼ある判定が定量的,客観的に簡単にできるようになる。
【0024】
なお、本発明はプラスチック成形金型材料の鏡面加工時での検査、出荷時や納品時の検査、金型状態での検査等において、その表面性状を定量的に測定できることからその仕上り状況等の品質管理を容易にすることができる。
【0025】
【発明の効果】
このように本発明に係る表面性状検査方法によれば、プラスチック成形金型用鋼の表面性状を客観的、定量的に高い信頼性をもって評価し得るので、プラスチック成形金型用鋼の品質管理を容易にするなど有益な効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にて使用する分光光度計の概念図。
【図2】本発明により測定される金型用鋼の反射率と波長との関係を示したグラフ。
【図3】本発明により測定される金型用鋼の反射率と波長との関係を示したグラフ。
【図4】金型用鋼の目視評価結果と光沢度との関係を示したグラフ。
【図5】金型用鋼の目視評価結果と表面粗さとの関係を示したグラフ。
【図6】金型用鋼の目視評価結果と本発明に係る反射率との関係を示したグラフ。
【符号の説明】
1 光源
2 プリズムおよびフィルター
3 金型用鋼
4 ミラー
5 検出器
6 標準試験片
7 ミラー
α 入射角度
Claims (3)
- 波長領域が300nm〜900nmの可視光を金型用鋼表面積1mm2以上の部分に入射角15度以下で当て、該金型用鋼表面から正反射された光の強度を測定することを特徴としたプラスチック成形金型用鋼の表面性状検査方法。
- 可視光の波長領域を400nm〜800nmとする請求項1に記載のプラスチック成形金型用鋼の表面性状検査方法。
- 可視光を金型用鋼表面積25mm2以上の部分に当てる請求項1または2に記載のプラスチック成形金型用鋼の表面性状検査方法。
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JP2003102036A JP2004306391A (ja) | 2003-04-04 | 2003-04-04 | プラスチック成形金型用鋼の表面性状検査方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009036590A (ja) * | 2007-07-31 | 2009-02-19 | Taiheiyo Cement Corp | 表面性状評価方法およびコンクリート表面診断方法 |
-
2003
- 2003-04-04 JP JP2003102036A patent/JP2004306391A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009036590A (ja) * | 2007-07-31 | 2009-02-19 | Taiheiyo Cement Corp | 表面性状評価方法およびコンクリート表面診断方法 |
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