JP2004306044A - 精密鋳造装置およびこれを用いる精密鋳造方法 - Google Patents

精密鋳造装置およびこれを用いる精密鋳造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】チタン合金などからなり比較的大型の精密鋳造品を、健全な組織で精度および効率良く製造するための精密鋳造装置、およびこれを用いる精密鋳造方法を提供する。
【解決手段】内部の減圧化または真空化が可能なチャンバ2と、係るチャンバ2内に配置される誘導コイル(加熱手段)7と、上記チャンバ2内および誘導コイル7の内側に出し入れ可能で且つ内部の下方に精密鋳造用のキャビティ8を内蔵し且つその上方に中空部13を内蔵している通気性鋳型10と、を含む、精密鋳造装置1。上記チャンバ2は、上記通気性鋳型10を出し入れする開口部6aおよびこれを閉鎖する蓋6を含んでいる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばチタン合金からなり比較的大型の精密鋳造品を製造するために用いられる精密鋳造装置、およびこれを用いる精密鋳造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
チタン合金からなる精密鋳造品を製造するには、例えば、図5(A)に示すような重力鋳造方法が行われている。この方法は、図5(A)に示すように、予め平面視が円形で且つ全体がほぼ円柱形を呈するキャビティ21を内蔵する通気性鋳型20を造型しておく。係る通気性鋳型20は、上記キャビティ21が、その軸方向の中間で外向きに張り出した断面ほぼ半円形の凹部23をリング状に有するため、これとほぼ相似形で且つリング状の凸部24を一体に有している。通気性鋳型20は、キャビティ21とほぼ同じ形状および寸法の図示しない模型の周囲に、耐火性のスラリを複数回被覆および乾燥した後、焼成したものである。
【0003】
図示しない真空溶解炉などで真空溶解(VA)または電子ビーム溶解(EB)されたチタン合金の溶湯Mを、図5(A)中の矢印で示すように、不活性ガス雰囲気下において、上記通気性鋳型20のキャビティ21に連通する湯道25を有する湯口26に注下する。湯道25には、押湯となるレベルで溶湯Mが注がれる。係る溶湯Mが凝固することにより、キャビティ21と同様の精密鋳造品が得られる。
以上の重力鋳造方法は、鋳造効率が良く生産性が高い利点を有する反面、注下された溶湯Mは、キャビティ21内に乱流となって充填され且つガスを巻き込み易いととも共に、キャビティ21の各部への湯回りが不十分となりがちとなる。このため、得られるチタン合金の精密鋳造品は、キャビティ21に倣った形状に成らず且つ内部にガスホール(巣)などの欠陥を含み易い、という問題があった。
【0004】
また、図5(B)に示すような遠心鋳造方法も行われている。これは、図示のように、前記通気性鋳型20を円筒形で上部が開口した容器27に挿入し、係る容器27の底面中央に連結された回転軸28を高速回転しつつ、前記同様に溶解したチタン合金の溶湯Mを、図5(B)中の矢印で示すように、不活性ガス雰囲気下において、湯道25からキャビティ21内に注下する方法である。
上記遠心鋳造方法によれば、溶湯Mは、遠心力を伴ってキャビティ21内に充填されるため、湯回り性が良好となる。
しかし、溶湯Mは、乱流となり且つガスを巻き込みつつキャビティ21内に充填されため、得られるチタン合金の精密鋳造品にガスホールなどの内部欠陥を含み易い。しかも、通気性鋳型20には、遠心力に耐える高い強度とバランスとが必要となるため、その造型に工数および時間を要する、という問題があった。
【0005】
更に、図6(A)に示すような溶解・鋳造装置30を用いる減圧吸い上げ鋳造方法も行われている。溶解・鋳造装置30は、図6(A)に示すように、コールドクルーシブル誘導溶解装置32と、その上方に配置した真空チャンバ40とを含む。上記誘導溶解装置32は、銅製で全体が円筒形のルツボ33と、その周囲に螺旋形状に巻き付けた誘導コイル38とを備えている。上記ルツボ33は、円形の炉底37および円筒形の側壁からなり、係る側壁は、平面視で円周方向に等間隔に配置した複数の絶縁スリット34にて複数のセグメントに分割され、各セグメントには、冷却水を循環させる通水路35が垂直方向に沿って内設されている。
【0006】
一方、図6(A)に示すように、上記誘導溶解装置32の上方に図示しない絶縁リングなどを介して配置される真空チャンバ40は、偏平な円筒形の本体42、その底面43中央に開設した通し孔44、および排気口46を有し且つ本体42の開口部45を閉鎖する円形の蓋板48からなる。
予め、図6(A)に示すように、真空チャンバ40内に前記キャビティ21を有する通気性鋳型20を挿入する。係る鋳型20には、キャビティ21に連通するノズル29が垂下していると共に、係るノズル29は、上記通し孔44から突出し、上記ルツボ32の内側に垂下する。
【0007】
次に、誘導コイル38に高周波電流を通電し、これにて形成される磁界により、予めルツボ33内に装入した図示しないチタン合金の原料を誘導加熱して溶解する。この際、図6(A)に示すように、Arなどの不活性ガス中で溶解されたチタン合金の溶湯Mは、上記磁界によるルツボ33の中心に向くローレンツ斥力によって立ち上がる半磁気浮揚溶解とされ、ルツボ33の内壁面36には接触しない。同時に、ルツボ33の炉底37付近には、上記溶湯Mの凝固シェルSが形成される。係る状態で排気口46から真空チャンバ40内の不活性ガスを図示しない真空ポンプにて排出し、真空チャンバ40内を減圧雰囲気または真空にする。
【0008】
その結果、図6(B)中の一点鎖線の矢印で示すように、ルツボ33内の溶湯Mは、ノズル29を介して通気性鋳型20のキャビティ21内に吸い上げられ且つ充填される。減圧状態などを所要時間保った後、解除すると、キャビティ21内の溶湯Mは凝固し、且つノズル29中の溶湯Mは、ルツボ33内に流下する。
以上のような減圧吸い上げ鋳造方法によれば、溶湯Mは、層流となってキャビティ21内に充填され且つガスの巻き込みも少なく、湯回り性も良いため、キャビティ21に倣った形状のチタン合金からなる精密鋳造品を製造できる。
しかし、溶湯Mをキャビティ21内に吸い上げた状態で所要時間保持し凝固させる工程が必要となると共に、キャビティ21の容積が大きいと、図6(B)に示すように、ルツボ33内の溶湯Mが直ぐに減少するため、連続的な鋳造作業がしにくい。このため、比較的大型の精密鋳造品には、不向きであった。
【0009】
【発明が解決すべき課題】
本発明は、以上にて説明した従来の技術における問題点を解決し、チタン合金などからなり比較的大型の精密鋳造品を、健全な組織にして精度および効率良く製造するための精密鋳造装置、およびこれを用いる精密鋳造方法を提供する、ことを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
本発明は、上記課題を解決するため、所要形状のキャビティを内蔵する通気性鋳型および誘導コイルなどの加熱手段を減圧化などが可能なチャンバ内に配置し、上記キャビティ内に予め金属素材を装入し且つ係るキャビティ内で係る素材を減圧下などで溶解し且つ鋳造する、ことに着想して成されたものである。
即ち、本発明の精密鋳造装置(請求項1)は、内部の減圧化または真空化が可能なチャンバと、係るチャンバ内に配置される加熱手段と、前記チャンバ内に出し入れされ且つ上記加熱手段の付近に配置可能であって且つ内部の下方に精密鋳造用のキャビティを内蔵する通気性鋳型と、を含む、ことを特徴とする。
【0011】
これによれば、減圧または真空雰囲気としたチャンバ内で且つ加熱手段の付近に挿入した上記通気性鋳型キャビティ内に予め装入されたチタン合金などからなる金属素材を、上記加熱手段により加熱して溶解し、係る加熱を停止すると、上記溶湯は、上記キャビティ内で凝固して所要形状の精密鋳造品となる。この間において、上記溶湯は、減圧または真空化で溶解し凝固するため、キャビティの細部に湯回り良く静かに充填され且つガスを巻き込みにくくなる。
しかも、従来の減圧吸い上げ鋳造方法のように、減圧または真空状態で溶湯を保持する時間も不要となるため、製品1個当たりの鋳造時間を短縮することも可能となる。従って、ガスホールなどのない健全な組織で且つ所要の形状を有する比較的大型の精密鋳造品を、精度および良く製造することが可能となる。
【0012】
尚、本発明が対象とする比較的大型の精密鋳造品は、製品1個当たりの重量がほぼ5kg以上のものである。また、前記通気性鋳型は、キャビティを囲む全周面で通気性を有する形態のほか、一部分で且つチャンバ内との間で通気性を有する形態であっても良い。更に、前記キャビティに装入する金属素材の全容積は、キャビティの容積に対し、更に約5〜40vol%程度加えた範囲である。係る金属素材の形態には、インゴットのほか、多数の塊片または粒塊も含まれる。付言すれば、前記精密鋳造装置は、溶解・精密鋳造装置と称することも可能である。
また、本発明には、前記加熱手段は、誘導コイルであり、係る誘導コイルの内側に前記通気性鋳型が出し入れ可能に配置される、精密鋳造装置(請求項2)も含まれる。これによれば、誘導コイルに高周波電流を通電した際に、係る誘導コイルの周辺に形成される磁界により、通気性鋳型内に挿入した前記金属素材を誘導加熱して急速に溶解することができる。尚、加熱手段には、上記誘導コイルに限らず、例えばヒータなどを用いる抵抗加熱機器も含まれる。
【0013】
更に、本発明には、前記通気性鋳型は、前記キャビティの上方にこれと連通する中空部を内蔵している、精密鋳造装置(請求項3)も含まれる。
これによれば、上記中空部を介して前記金属素材をキャビティ内に装入できると共に、係る金属素材を溶解した際に、その一部を上記中空部内に位置せしめ且つキャビティ内の溶湯に対し、押湯として作用させることができる。この結果、得られる精密鋳造品の組織をガスホールなどのない一層健全なものにし得る。
また、本発明には、前記通気性鋳型は、前記キャビティの内部に突出する中子を有している、精密鋳造装置(請求項4)も含まれる。これによれば、任意形状の貫通孔などを有する精密鋳造品を確実に鋳造することが可能となる。尚、貫通孔を形成する中子の一部(先端部)は、前記中空部に位置していることが望ましい。
【0014】
加えて、本発明には、前記チャンバは、前記通気性鋳型を出し入れする開口部および係る開口部を閉塞する蓋を有する、精密鋳造装置(請求項5)も含まれる。
これによれば、前記金属素材をキャビティ内などに装入した通気性鋳型をチャンバ内で且つ誘導コイルの内側などに挿入して、前記溶解および鋳造を成さしめると共に、キャビティ内で溶湯が凝固し始めた通気性鋳型をチャンバから容易に取り出すことができる。このため、次の通気性鋳型をチャンバ内に挿入して溶解・鋳造を成さしめ得る。従って、精密鋳造品の生産性の向上に寄与し得る。
【0015】
一方、本発明の精密鋳造方法(請求項6)は、前記精密鋳造装置における通気性鋳型のキャビティ内に金属素材を装入する装入工程と、前記チャンバの内部を減圧または真空雰囲気にし、且つ前記加熱手段により、上記金属素材を加熱して溶解する溶解工程と、溶解して得られた溶湯を上記キャビティ内で凝固する凝固工程と、を含む、ことを特徴とする。
これによれば、上記通気性鋳型のキャビティ内に予め装入されたチタン合金などからなる金属素材は、減圧雰囲気などとしたチャンバ内で加熱手段により加熱し溶解されると共に、係る加熱を停止すると、得られた溶湯は、上記キャビティ内で凝固して所要形状の精密鋳造品となる。
【0016】
また、凝固工程では、前記加熱を停止することにより、金属素材から溶解した溶湯を凝固させる。この間において、上記溶湯を減圧または真空化で溶解するため、キャビティの細部に湯回り良く静かに充填され且つガスを巻き込みにくい。また、前述した従来の減圧吸い上げ鋳造方法のように、減圧状態などで溶湯を保持する時間も不要となるため、製品1個当たりの鋳造時間を短縮することも可能となる。しかも、上記溶湯は、装入されたキャビティ内で溶解されるため、湯当たりやこれに伴う砂噛みなどの欠陥も生じない。従って、ガスホールなどの内部欠陥ない健全な組織で且つ所要の形状を有する精密鋳造品を、精度および効率良く鋳造することできる。
尚、チャンバ内部の減圧または真空雰囲気は、凝固工程でも引き続き行っても良い。また、本発明の上記精密鋳造方法は、溶解・精密鋳造方法とも称し得る。更に、前記装入工程は、前記チャンバ外における通気性鋳型に、あるいはチャンバの内部に配置した通気性鋳型に金属素材を装入する形態の双方を含む。
【0017】
また、本発明には、前記溶解工程で用いる加熱手段は誘導加熱コイルであり、係る誘導コイルに高周波電流を通電して生じる磁界により、前記金属素材を誘導加熱して溶解する、精密鋳造方法(請求項7)も含まれる。これによれば、上記誘導コイルに高周波電流を通電して生じる磁界により、当該誘導コイルの内側に挿入された通気性鋳型内の金属素材を誘導加熱して急速に溶解することができる。
更に、本発明には、前記各工程の後に、前記通気性鋳型を型ばらしする工程と、得られた精密鋳造品における前記中空部内に位置していた押湯部分を除去する工程と、を有する、精密鋳造方法(請求項8)も含まれる。
これによれば、チャンバから取り出した通気性鋳型を型ばらしし、露出した精密鋳造品において上向きに突出する押湯部分を切削などで除去することにより、少ない工程で所要の形状と健全な組織を有する比較的大型の精密鋳造品を、確実に提供することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下において、本発明の実施に好適な形態を図面と共に説明する。
図1(A)は、本発明の一形態である精密鋳造装置1を示す垂直断面である。
精密鋳造装置1は、図1(A)に示すように、内部の減圧化または真空化が可能なチャンバ2と、係るチャンバ2内に配置される誘導コイル(加熱手段)7と、前記チャンバ2内および誘導コイル7の内側に出し入れ可能で且つ内部の下方に精密鋳造用のキャビティ8を内蔵する通気性鋳型10と、を含んでいる。
上記チャンバ2は、図1(A)に示すように、金属製の密閉容器であり、係る容器の側壁3に設けた排気口4と、上記通気性鋳型10を出し入れする開口部6aおよびこれを閉塞する蓋6と、を備えている。
【0019】
また、図1(A)に示すように、上記誘導コイル7は、チャンバ2の底板5寄りに位置し、平面視が円形で且つ螺旋形状を呈する。更に、上記通気性鋳型10は、精密鋳造用のキャビティ8を内蔵する本体11と、係る本体11から立設し且つ中空部13を内設する筒部14と、係る筒部14の上端から斜め上向きにカーブして拡がる装入部16およびその内側の装入口15と、を備えている。
上記キャビティ8は、平面視が円形で且つ全体がほぼ円柱形を呈し、その軸方向(図示で垂直方向)の中間で外向きに張り出した断面ほぼ半円形の凹部9をリング状に有する。このため、通気性鋳型10は、上記凹部9に倣った断面半円形の凸部12を本体11の周囲にリング状にして有する。
【0020】
以上のような通気性鋳型10は、キャビティ8とほぼ同じ形状および寸法の図示しない模型の周囲に、耐火性乳液のスラリと砂(スタッコサンド)とを複数回にわたり被覆および乾燥した後、焼成したものである。
図1(A)に示すように、前記中空部13および装入口15は、キャビティ8に連通し、後述する金属素材の装入などに活用される。
尚、以上のような通気性鋳型10のうち、少なくともキャビティ8を内蔵する本体11は、通気性および耐火性を有する。一方、筒部14および装入部16は、少なくとも耐火性を有すれば良く、セラミック製としても良い。
【0021】
以下において、前述した精密鋳造装置1を用いる精密鋳造方法について説明する。図1(B)に示すように、予め、通気性鋳型10のキャビティ8および中空部13内に、例えばチタン合金からなる円柱形のインゴット(金属素材)W1を装入する(装入工程)。尚、上記インゴットW1の容積は、キャビティ8の容積よりも約5〜40vol%大きいものであり、係るインゴットW1の重量は、少なくとも6kgまたはそれ以上である。また、上記チタン合金には、TiAlのような金属間化合物も含まれる。
次に、図1(B)に示すように、インゴットW1をキャビティ8などに装入した通気性鋳型10を、開口部6aからチャンバ2内に入れ且つ誘導コイル7の内側に挿入(配置)した後、蓋6で開口部6aを閉塞する。尚、通気性鋳型10とチャンバ2の底板5との間には、図示しない耐火材が配置されている。
【0022】
係る状態で、チャンバ2内に予め封入したArなど不活性ガスを、図1(B)中の矢印で示すように、排気口4から図示しない真空ポンプを介して排出し、チャンバ2の内部およびキャビティ8を減圧(約0.05MPa)またはほぼ真空の雰囲気にする。
次いで、誘導コイル7に所定の高周波電流を通電すると、これにより係るコイル7の周囲で且つその軸方向に沿って、多数の磁界が形成される。係る磁界は、通気性鋳型10に内蔵されたチタン合金のインゴットW1に浸透しつつ、これを誘導加熱する。係る誘導加熱を所要時間にわたって行うと、上記インゴットW1は溶解され、図2(A)に示すように、通気性鋳型10のキャビティ8内を湯回り良く満たす溶湯Mとなる(溶解工程)。溶湯Mは、キャビティ8に倣ったほぼ円柱形の本体m1、その周辺からリング状に突出する凸部m2、および中空部13内に盛り上がった押湯部分m3からなる。この押湯部分m3は、キャビティ8の容積よりも多かった前記インゴットW1の一部である。
【0023】
次に、誘導コイル7への通電を停止すると、上記溶湯Mは、徐々に凝固し始める。この間において、チャンバ2の内部およびキャビティ8は減圧または真空雰囲気に保たれているため、溶湯Mは、押湯部分m3による圧力を受けつつ、キャビティ8の形状に倣って凝固する(凝固工程)。
次いで、チャンバ2内を複圧し、その蓋6を開いて開口部6aから通気性鋳型10を取り出すと共に、これを型ばらしすると、図2(B)に示すように、前記本体m1、凸部m2、および押湯部分m3からなる精密鋳造品W2が得られる。係る精密鋳造品W2は、前記のような溶解・凝固工程を経ているため、内部にガスホールがなく、砂噛みなどのような欠陥も含まない健全な金属組織を有する。
そして、押湯部分m3を切削などによって除去することにより、図2(C)に示すように、前記凹部9を含むキャビティ8に精緻に倣ったほぼ円柱形の本体m1および凸部m2からなる比較的大型のチタン合金の精密鋳造品W3が得られる。
【0024】
以上のような精密鋳造装置1およびこれを用いる精密鋳造方法によれば、前記通気性鋳型10のキャビティ8内などに予め装入されたチタン合金のインゴット(金属素材)W1は、減圧雰囲気などとしたチャンバ2内で且つ誘導コイル7の内側に挿入され、係る誘導コイル7に高周波電流を通電することで形成される磁界により加熱し溶解される。次いで、上記通電を停止すると、得られた溶湯Mは、減圧雰囲気下などのキャビティ8内で凝固して所要形状の精密鋳造品W2となる。この際、キャビティ8の容積よりも多いインゴットW1の一部は、係るキャビティ8の上方に連通する中空部13内に盛り上がって押湯部分m3となり且つ本体m16および凸部m2を上記キャビティ8の内面寄りに押圧する。この溶湯Mを凝固させ、前記通気性鋳型10をチャンバ2から取り出して型ばらした後、凝固した押湯部分m3を除去することで、チタン合金などからなり比較的大型で且つ健全な組織の精密鋳造品W3を、精度および効率良く製造することができる。
【0025】
図3(A)は、異なる形態の通気性鋳型10aを用いた精密鋳造装置1を示す。
通気性鋳型10aは、図3(A)に示すように、前記と同様のキャビティ8を内蔵し、前記通気性鋳型10に対して、上記キャビティ8の底面中央からその軸方向に沿って立設(突出)するほぼ円柱形の中子8aを更に追加したものである。係る中子8aの上端部は、湯道14内側の中空部13の中心部に位置している。
次に、通気性鋳型10aを含む精密鋳造装置1を用いる精密鋳造方法について、図3(B)および図4(A)〜(C)に基づき説明する。
【0026】
図3(B)に示すように、予め、通気性鋳型10aのキャビティ8および中空部13内に、例えばチタン合金からなる多数の粒塊(金属素材)W4を装入し、且つ装入部16の上端に蓋板18を固定する(装入工程)。この際、粒塊W4の上端は、中空部13のほぼ全体を満たすレベルとなる。尚、上記粒塊W4は、数mm〜数cmの大きさで且つ全体の容積は、キャビティ8の容積よりも約10〜40vol%大きく、その重量は、少なくとも6kg以上である。また、上記蓋板18は、チャンバ2を減圧または真空化した際に、粒塊W4が通気性鋳型10aから外に吸引されるのを防ぎ且つキャビティ8を囲む本体11からの吸引を促進する。
次に、図3(B)に示すように、多数の上記粒塊W4をキャビティ8および中空部13に装入した通気性鋳型10aを、開口部6aからチャンバ2内に入れ且つ誘導コイル7の内側に挿入した後、蓋6により開口部6aを閉塞する。これにより、精密鋳造装置1が形成される。
【0027】
係る状態で、チャンバ2内に予め封入したArなど不活性ガスを、図3(B)中の矢印で示すように、排気口4から図示しない真空ポンプを介して排出し、チャンバ2の内部およびキャビティ8を減圧またはほぼ真空の雰囲気にする。
次いで、誘導コイル7に所定の高周波電流を通電すると、係る誘導コイル7の周囲で且つその軸方向に沿って形成される磁界は、通気性鋳型10に内蔵されたチタン合金の粒塊W4全体に浸透しつつ、これを誘導加熱する。係る誘導加熱を所要時間にわたって行うと、上記粒塊W4は溶解され、図4(A)に示すように、通気性鋳型10のキャビティ8内を湯回り良く満たす溶湯Mとなる(溶解工程)。
【0028】
係る溶湯Mは、キャビティ8に倣ったほぼ円柱形の本体m1、その周辺からリング状に突出する凸部m2、および中空部13内に盛り上がった押湯部分m3からなり、本体m1および押湯部分m3の中心部を中子8aが貫通する。尚、押湯部分m3は、キャビティ8の容積よりも多かった前記粒塊W4の一部である。
次に、誘導コイル7への通電を停止すると、上記溶湯Mは、押湯部分m3の圧力を受けつつ、徐々に凝固し始める。この間において、チャンバ2の内部およびキャビティ8は減圧または真空雰囲気に保たれているため、溶湯Mは、キャビティ8および中子8aの形状に倣って凝固する(凝固工程)。
【0029】
次いで、チャンバ2内を複圧し、その蓋6を開いて開口部6aから通気性鋳型10aを取り出し且つこれを型ばらしすると、図4(B)に示すように、前記本体m1、凸部m2、押湯部分m3、および円柱形の貫通孔hからなる精密鋳造品W5が得られる。係る貫通孔hは、前記中子8aを型ばらしした跡である。係る精密鋳造品W5も、前記のような溶解・凝固工程を経ているため、内部にガスホールがなく、且つ砂噛みなどの欠陥がない健全な金属組織を有している。
そして、押湯部分m3を切削などで除去すると、図4(C)に示すように、前記凹部9を含むキャビティ8に精緻に倣ったほぼ円柱形の本体m1、凸部m2、および貫通孔hからなる比較的大型のチタン合金の精密鋳造品W6が得られる。
【0030】
以上の通気性鋳型10aを含む精密鋳造装置1およびこれを用いる精密鋳造方法によっても、上記通気性鋳型10aのキャビティ8内などに予め装入されたチタン合金の粒塊(金属素材)W4は、減圧雰囲気などとしたチャンバ2内で且つ誘導コイル7の内側に挿入され、係る誘導コイル7に高周波電流を通電して形成される磁界により加熱し溶解される。次いで、上記通電を停止すると、得られた溶湯Mは、減圧雰囲気下などのキャビティ8内で凝固して所要形状の精密鋳造品W5となる。この際、キャビティ8の容積よりも多い粒塊W4の一部は、係るキャビティ8の上方に連通する中空部13内に盛り上がって押湯部分m3となり、且つ本体m16および凸部m2を押圧する。係る溶湯Mを凝固させ、前記通気性鋳型10aをチャンバ2から出して型ばらした後、凝固した押湯部分m3を除去することにより、チタン合金などからなり比較的大型で貫通孔hを有し且つ健全な組織の精密鋳造品W6を、精度および効率良く製造することができる。
【0031】
本発明は、以上において説明した実施の形態に限定されるものではない。
例えば、通気性鋳型に内蔵するキャビティには、前記の各形態に限らず、精密鋳造品に応じた任意の形状のものを適用できる。係るキャビティの上方に連通する中空部は、キャビティのサイズに対して特に制約されず、係るキャビティ内に装入すべき金属素材のサイズや形態に応じて、その内径などが設定される。
また、中子は、前記円柱形の中子8aに限らず、中央部が太径で且つ両端部が細径の形態や、逆に中央部が細径で且つ両端部が太径の形態であっても良い。
更に、前記通気性鋳型10の装入部16の上端にも、前記蓋板18を固定するようにしても良い。
また、チャンバの形状は、立方体または直方体でも良く、係る形態では、前記開口部およびこれを閉塞する蓋は、上記直方体などの側壁に設けても良い。
尚、本発明の対象となる比較的大型の精密鋳造品には、例えばボールバルブのケーシングや、ジェットエンジンなどのタービンブレードなどが含まれ、その材質には、前記チタン合金に限らず、鋳鋼、ステンレス鋼、高合金鋼、銅または銅合金、あるいはアルミニウムまたはアルミニウム合金などが含まれる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は本発明の精密鋳造装置の概略を示す垂直断面図、(B)はこれを用いる精密鋳造方法の工程を示す概略図。
【図2】(A)〜(C)は図1(B)に続く精密鋳造方法の各工程を示す概略図。
【図3】(A)は異なる形態の通気性鋳型を含む精密鋳造装置の概略を示す垂直断面図、(B)はこれを用いる精密鋳造方法の工程を示す概略図。
【図4】(A)〜(C)は図3(B)に続く精密鋳造方法の各工程を示す概略図。
【図5】(A),(B)は従来の鋳造方法を示す概略図。
【図6】(A),(B)は異なる従来の鋳造方法を示す概略図。
【符号の説明】
1………………精密鋳造装置
2………………チャンバ
6………………蓋
6a……………開口部
7………………誘導コイル(加熱手段)
8………………キャビティ
8a……………中子
10,10a…通気性鋳型
13……………中空部
W1……………インゴット(金属素材)
W2,W5……精密鋳造品
W4……………粒塊(金属素材)
M………………溶湯
m3……………押湯部分

Claims (8)

  1. 内部の減圧化または真空化が可能なチャンバと、
    上記チャンバ内に配置される加熱手段と、
    上記チャンバ内に出し入れされ且つ上記加熱手段の付近に配置可能であって内部の下方に精密鋳造用のキャビティを内蔵する通気性鋳型と、を含む、
    ことを特徴とする精密鋳造装置。
  2. 前記加熱手段は、誘導コイルであり、係る誘導コイルの内側に前記通気性鋳型が出し入れ可能に配置される、
    ことを特徴とする請求項1に記載の精密鋳造装置。
  3. 前記通気性鋳型は、前記キャビティの上方にこれと連通する中空部を内蔵している、ことを特徴とする請求項1または2に記載の精密鋳造装置。
  4. 前記通気性鋳型は、前記キャビティの内部に突出する中子を有している、ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の精密鋳造装置。
  5. 前記チャンバは、前記通気性鋳型を出し入れする開口部および係る開口部を閉塞する蓋を有する、
    ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の精密鋳造装置。
  6. 請求項1乃至5の何れかの精密鋳造装置における前記通気性鋳型のキャビティ内に金属素材を装入する装入工程と、
    前記チャンバの内部を減圧または真空雰囲気にし、且つ前記加熱手段により、上記金属素材を加熱して溶解する溶解工程と、
    溶解して得られた溶湯を上記キャビティ内で凝固する凝固工程と、を含む、
    ことを特徴とする精密鋳造方法。
  7. 前記溶解工程で用いる加熱手段は誘導コイルであり、係る誘導コイルに高周波電流を通電して生じる磁界により、前記金属素材を誘導加熱して溶解する、ことを特徴とする請求項6の精密鋳造方法。
  8. 前記各工程の後に、前記通気性鋳型を型ばらしする工程と、得られた精密鋳造品における前記中空部内に位置していた押湯部分を除去する工程と、を有する、ことを特徴とする請求項6または7に記載の精密鋳造方法。
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