JP2004305211A - 放線菌培養培地、並びに、それを用いた放線菌による抗生物質の製造方法、放線菌の抗生物質産生能改善方法及び抗生物質のスクリーニング方法 - Google Patents

放線菌培養培地、並びに、それを用いた放線菌による抗生物質の製造方法、放線菌の抗生物質産生能改善方法及び抗生物質のスクリーニング方法 Download PDF

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穣 飯村
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Abstract

【課題】 放線菌の抗生物質産生能を改善可能な放線菌培養培地、それを用いた放線菌による活性の高い抗生物質の効率的な製造方法、放線菌の抗生物質産生能を改善可能な方法、及び抗生物質産生菌の効率的なスクリーニング方法の提供。
【解決手段】 穀物の破砕片を含む放線菌培養培地である。穀物の破砕片が穀物未利用部分である態様、穀物未利用部分が穀物殻である態様、穀物未利用部分が小麦フスマである態様等が好ましい。前記放線菌培養培地を用いて放線菌を培養する放線菌による抗生物質の製造方法である。平板培養及び液体培養の少なくともいずれかで培養された放線菌を前記放線菌培養培地を用いて培養する放線菌の抗生物質産生能改善方法である。前記放線菌培養培地を用いて微生物を培養する工程、及び培養後に抗生物質の存在を確認する工程を含む抗生物質産生菌のスクリーニング方法である。
【選択図】 図1




Description

本発明は、新規で各種放線菌の抗生物質産生能を改善可能な放線菌培養培地、並びに、それを用いた放線菌による活性の高い抗生物質の効率的な製造方法、放線菌の抗生物質産生能を顕著に改善可能な方法、及び抗生物質の新規で効率的なスクリーニング方法に関する。
放線菌は、核膜を持たない原核生物でありグラム陽性菌に属する。また、代表的な土壌微生物であり、土壌中の難分解性物質を好んで分解利用することから自然界の物質循環と環境浄化に関しても重要な役割を果たしている。一方、WaksmanによってStreptomyces griseusが産生する抗細菌抗生物質ストレプトマイシンが発見されて以来、放線菌は、特に抗生物質生産菌として発酵工業や医薬産業において重要な菌群として扱われ、多くのスクリーニングが行われてきた(例えば、非特許文献1参照)。その結果、現在、微生物が生産する生理活性物質として発見されている化合物は、約10,000種とも言われるが、その3分の2は放線菌による生産物であり、実用化によって人類に多大なる恩恵を与えているものも多い。また、放線菌由来の抗生物質は抗細菌剤のみならず、抗真菌剤、抗腫瘍剤、抗ウイルス剤等と多岐にわたり、その構造もβ-ラクタム系、アミノグリコシド系、マクロライド系、ヌクレオシド系など、幅広いことからも放線菌の二次代謝産物の多様性が窺い知れる。
このような放線菌を対象とした新規有用物質探索は、まず、放線菌の最大の生育場所である土壌を分離源として希釈平板法によって出現したコロニーを経験的にランダムに選択し、純粋分離を行った後、得られた分離株に対して各々に抗菌物質生産性を試験する方法が取られてきた(例えば、非特許文献2参照)。
しかし、これら従来における新規有用物質探索のためのスクリーニング方法の場合、作業が煩雑で困難な上、効率が悪いという問題がある。また、多くの新規有用物質探索のためのスクリーニングが行われてきた結果、抗生物質の多くが既知の物質と特定され、新規有用物質の発見についての報告は年々減少する傾向にある。
宮道慎二,生産微生物から見た生理活性物質探索の動向」,バイオサイエンスとインダストリー,1995年,53(3),p240−247 堀田国元,堀之内末治,「バイオサイエンスと放線菌」,日本放線菌学会編,医学出版センター,1994年
本発明は、従来における問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、
本発明は、他の公知の液体培養、平板培養等を用いて前記放線菌を培養した場合に産生される抗生物質とは異なる抗生物質を効率的に生産することができ、該放線菌が産生する抗生物質の種類や量を変更乃至変化させることができ、新規な抗生物質の産生能を発現させることができる放線菌培養培地を提供することを目的とする。
また、本発明は、他の公知の液体培養、平板培養等により放線菌が産生した抗生物質とは異なる各種抗生物質を効率よく製造することができ、従来は有していないと考えられていた抗生物質の産生能を放線菌に新たに発現させることにより、放線菌の遺伝子組換え、菌株改良等を行うことなく、容易にかつ簡便にしかも効率的に抗生物質の製造を行うことができ、新規な抗真菌性物質をも製造可能な、放線菌による抗生物質の製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、公知の液体培養、平板培養等を利用して放線菌に産生させていた抗生物質の種類や量を変化乃至改善させることができ、該放線菌にそれまで発現していなかった抗生物質産生能を新たに発現させることができ、該放線菌の抗生物質産生能を顕著に変化乃至改善させることができ、従来では産生が容易ではなかった抗真菌性物質等の抗生物質をも効率的にかつ簡便に製造することが可能な、放線菌の抗生物質産生能改善方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、従来において行われていたような、新種放線菌等の抗生物質産生菌の分離及び該新種の抗生物質産生菌による新規抗生物質の分離・同定に主眼が置かれていた抗生物質のスクリーニング方法とは全く異なり、公知の放線菌等を利用しながら新たな抗真菌性物質等の抗生物質を容易にかつ簡便にスクリーニングすることができ、産業上極めて有益な、抗生物質のスクリーニング方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。即ち、
<1> 穀物の破砕片を含むことを特徴とする放線菌培養培地である。
<2> 穀物の破砕片が穀物未利用部分である前記<1>に記載の放線菌培養培地である。
<3> 穀物未利用部分が穀物殻である前記<1>から<2>のいずれかに記載の放線菌培養培地である。
<4> 穀物が、小麦、大麦、オーツ麦、米、粟、稗及び豆類から選択される少なくとも1種である前記<1>から<3>のいずれかに記載の放線菌培養培地である。
<5> 穀物未利用部分が小麦フスマである前記<2>から<3>のいずれかに記載の放線菌培養培地である。
<6> 使用時に穀物の破砕片に対し水を質量(g):体積(ml)(穀物の破砕片:水)で1:0.5〜1:2の割合で含有する前記<1>から<5>のいずれかに記載の放線菌培養培地である。
<7> 使用時に穀物の破砕片に対し水を質量(g):体積(ml)(穀物の破砕片:水)で1:0.7〜1:1.7の割合で含有する前記<1>から<5>のいずれかに記載の放線菌培養培地である。
<8> 放線菌による抗生物質の生産に用いられる前記<1>から<7>のいずれかに記載の放線菌培養培地である。
<9> 放線菌の抗生物質産生能の改善に用いられる前記<1>から<7>のいずれかに記載の放線菌培養培地である。
<10> 抗生物質のスクリーニングに用いられる前記<1>から<7>のいずれかに記載の放線菌培養培地である。
<11> 前記<1>から<10>のいずれかに記載の放線菌培養培地を用いて放線菌を培養することを特徴とする放線菌による抗生物質の製造方法である。
<12> 抗生物質が抗真菌性物質である前記<11>に記載の放線菌による抗生物質の製造方法である。
<13> 放線菌がStreptomyces属放線菌から選択される少なくとも1種である前記<11>から<12>のいずれかに記載の放線菌による抗生物質の製造方法である。
<14> Streptomyces属放線菌が、Streptomyces kanamyceticusStreptomyces griseusStreptomyces linvidansStreptomyces coelicolorStreptomyces hygroscopicusStreptomyces kasugaensis、及びStreptomyces kitasatoensis から選択される少なくとも1種である前記<13>に記載の放線菌による抗生物質の製造方法である。
<15> 培養が、20〜40℃で2週間以内で行われる前記<11>から<14>のいずれかに記載の放線菌による抗生物質の製造方法である。
<16> 培養後に溶媒で抗生物質を抽出する前記<11>から<15>のいずれかに記載の放線菌による抗生物質の製造方法である。
<17> 平板培養及び液体培養の少なくともいずれかで培養された放線菌を、前記<1>から<10>のいずれかに記載の放線菌培養培地を用いて培養することを特徴とする放線菌の抗生物質産生能改善方法である。
<18> 放線菌がStreptomyces属放線菌から選択される少なくとも1種である前記<17>に記載の放線菌の抗生物質産生能改善方法である。
<19> Streptomyces属放線菌が、Streptomyces kanamyceticusStreptomyces griseusStreptomyces linvidansStreptomyces coelicolorStreptomyces hygroscopicusStreptomyces kasugaensis、及びStreptomyces kitasatoensis から選択される少なくとも1種である前記<18>に記載の放線菌の抗生物質産生能改善方法である。
<20> 培養が、20〜40℃で2週間以内で行われる前記<17>から<19>のいずれかに記載の放線菌の抗生物質産生能改善方法である。
<21> 前記<1>から<10>のいずれかに記載の放線菌培養培地を用いて微生物を培養する培養工程、及び培養後に抗生物質の存在を確認する抗生物質確認工程を含む特徴とする抗生物質産生菌のスクリーニング方法である。
<22> 抗生物質を産生した微生物を同定する同定工程を含む前記<21>に記載の抗生物質のスクリーニング方法である。
(放線菌培養培地)
本発明の放線菌培養培地は、穀物の破砕片を少なくとも含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の成分を含んでなる。
前記穀物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、小麦、大麦、オーツ麦、米、粟、稗、豆類(大豆、小豆、えんどう豆、落花生等)、ライ麦、とうもろこし、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、小麦、大麦、オーツ麦、米、粟、稗及び豆類から選択される少なくとも1種であるものが、入手が容易であり、放線菌による抗生物質の製造、放線菌の抗生物質産生能の改善、抗生物質産生菌のスクリーニング等に有効である点で特に好ましい。
前記穀物の破砕片としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、該穀物自体の破砕片であってもよいし、該穀物から食品等の使用に供される利用部分を除去し、通常は廃棄処分等される穀物未利用部分の破砕片であってもよい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、省エネルギー、資源の有効利用等の観点からは、前記穀物未利用部分の破砕片が特に好ましい。
なお、前記穀物の破砕片の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、該穀物をそのまま、又は煮たりして軟質化させてから若しくは凍結させてから、脱穀、粉砕等することにより得ることができ、具体的には、前記穀物の破砕片が小麦フスマ又は大麦フスマの場合には小麦又は大麦を脱穀することにより得ることができ、前記穀物の破砕片が大豆おからの場合には大豆を煮て磨り潰した後に綿等で濾すことにより得られる。
前記穀物未利用部分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することできるが、例えば、穀物殻、穀物ピューレ、などが好適に挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、放線菌による抗生物質の製造、放線菌の抗生物質産生能の改善、抗生物質のスクリーニング等に有効である点で穀物殻が好ましい。なお、前記穀物殻としては、特に制限はなく、外殻、内殻等のいずれであってもよい。
前記穀物の破砕片の具体例としては、例えば、小麦フスマ、大麦フスマ、大豆おから、などが好適に挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記破砕片の大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、あまり微砕片化し過ぎると取扱性等に劣ることがあり、放線菌等の微生物を培養後に該放線菌培養培地からの抗生物質の分離・除去等が容易でない点で好ましくない傾向がある。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、pH調整剤、水、他の培地成分、などが挙げられる。これらのその他の成分としては、本発明の効果を害さない範囲内で目的に応じて適宜選択した量及び組合せで使用することができる。
前記pH調整剤としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、炭酸カルシウムなどが好適に挙げられる。
前記水の量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記使用時に穀物の破砕片に対し水を質量(g):体積(ml)(穀物の破砕片:水)で1:0.5〜1:2の割合であるのが好ましく、質量(g):体積(ml)(穀物の破砕片:水)で1:0.7〜1:1.7の割合であるのがより好ましく、前記穀物の破砕片が湿る程度がより好ましい。
前記水の量が多くなりすぎると、液体培養に近くなり、放線菌の抗生物質産生能が液体培養時における状態に近くなり、該放線菌の抗生物質産生能の改善・向上を十分に図ることができないことがあり、一方、前記水の量が少なすぎると、放線菌の抗生物質産生能に劣ることがある。
前記他の培地成分としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の培地成分の中から適宜選択することができ、例えば、ポリペプトン、牛肉エキス、細菌エキス、酵母エキス、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの他の培地成分は、前記水に溶解して使用してもよいし、あるいは前記穀物の破砕片を直接混合して使用してもよい。
本発明の放線菌培養培地は、放線菌の培養前に、オートクレーブ等の滅菌処理等の各種処理を行うことができ、また、三角フラスコ、シャーレ、坂口フラスコなどに入れて使用することができる。
本発明の放線菌培養培地を用いた放線菌の培養は、静置培養が好ましく、その条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、温度としては20〜40℃が好ましく、室温がより好ましく、時間としては、通常、2週間以内であれば充分であり、1週間程度が好ましい。
本発明の放線菌培養培地を用いて培養することができる放線菌としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、Streptomyces属放線菌をはじめとして、Micromonospora属、Streptoalloteichus属、Actinomadura属、Kibdelosorangium属、Amycolatopsis属、Saccharothrix属等のレアな各種放線菌、などが挙げられる。これらの中でも、Streptomyces属放線菌から選択される少なくとも1種であるのが好ましい。
前記Streptomyces属放線菌としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、Streptomyces kanamyceticusStreptomyces griseusStreptomyces linvidansStreptomyces coelicolorStreptomyces hygroscopicusStreptomyces kasugaensis、及びStreptomyces kitasatoensis から選択されるものが好ましい。
本発明の放線菌培養培地は、放線菌の培養等に使用することができ、例えば、放線菌による抗生物質の生産、放線菌の抗生物質産生能の改善、抗生物質産生菌のスクリーニング、などに好適に使用することができ、本発明の放線菌による抗生物質の製造方法、本発明の放線菌の抗生物質産生能改善方法、及び本発明の抗生物質のスクリーニング方法に特に好適に使用することができる。
本発明の放線菌培養培地を用いて前記放線菌を培養すると、他の公知の液体培養、平板培養等を用いて前記放線菌を培養した場合に産生される抗生物質とは異なる抗生物質を効率的に生産することができ、該放線菌が産生する抗生物質の種類や量を変更乃至変化させることができ、新規な抗生物質の産生能を発現させることができる。
(放線菌による抗生物質の製造方法)
本発明の放線菌による抗生物質の製造方法は、本発明の前記放線菌培養培地を用いて放線菌を培養することを含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の処理等を含む。
前記放線菌としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、Streptomyces属放線菌をはじめとして、Micromonospora属、Streptoalloteichus属、Actinomadura属、Kibdelosporangium属、Amycolatopsis属、Saccharothrix属等のレアな各種放線菌、などが挙げられる。これらの中でも、Streptomyces属放線菌から選択される少なくとも1種であるのが好ましい。
前記Streptomyces属放線菌としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、Streptomyces kanamyceticusStreptomyces griseusStreptomyces linvidansStreptomyces coelicolorStreptomyces hygroscopicusStreptomyces kasugaensis、及びStreptomyces kitasatoensis から選択されるものが好ましい。
前記培養の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、静置培養が好ましく、その条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、温度としては20〜40℃が好ましく、室温がより好ましく、時間としては、通常、2週間以内であれば充分であり、1週間程度が好ましい。
前記培養には、本発明の前記放線菌培養培地を用いることが必要であり、その際、三角フラスコ等の公知の培養容器中に、上述した小麦フスマ等の前記穀物の破砕片に少量の水を添加し、該穀物の破砕片が該水に浸る程度に調製したものに、炭酸カルシウム等の前記pH調整剤を添加することによりpH調整し、オートクレーブして得た本発明の前記放線菌培養培地を使用するのが好ましい。
前記培養の際における前記放線菌の接種の方法としては、特に制限は無く、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記放線菌の前培養液滴を接種する方法、などが好ましい。また、前記接種の量としては、特に制限は無く、目的に応じて適宜選択することができる。
前記その他の処理としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記培養後に産生された抗生物質を分離する抗生物質分離処理、などが好適に挙げられる。
前記抗生物質分離処理としては、特に制限はなく、公知の方法の中から適宜選択することができるが、例えば、前記培養後の前記放線菌培養培地を溶媒に浸漬させ、該溶媒を該放線菌培養培地から分離することにより行うことができる。
前記溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酢酸エチル等のエステル溶媒、エタノール、ブタノール等のアルコール溶媒、水、などが挙げられ、これらの中でも、水、ブタノール、酢酸エチルなどが好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。該溶媒に前記浸漬させる際の条件としては、特に制限はなく、目的に応じて、温度、時間等を適宜選択することができる。
前記分離の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、遠心分離、フィルターやろ紙等によるろ過、などが好適に挙げられる。
本発明の放線菌による抗生物質の製造方法によると、他の公知の液体培養、平板培養等により放線菌が産生した抗生物質とは異なる各種抗生物質を効率よく製造することができ、また、抗真菌性物質を効率よく製造することができる。放線菌が産生する抗生物質として現在知られているものの数は限られているが、本発明の放線菌による抗生物質の製造方法によると、従来は有していないと考えられていた抗生物質の産生能を放線菌に新たに発現させることができる。したがって、放線菌の遺伝子組換え、菌株改良等を行うことなく、容易にかつ簡便にしかも効率的に抗生物質の製造を行うことができ、新規な抗真菌性物質をも提供することができる。
(放線菌の抗生物質産生能改善方法)
本発明の放線菌の抗生物質産生能改善方法は、平板培養及び液体培養の少なくともいずれかで培養された放線菌を、本発明の前記放線菌培養培地を用いて培養することを含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の処理等を含む。
前記平板培養としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、公知の寒天培地(プレート)等を用いた培養などが挙げられる。
前記液体培養としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、公知の液体培地等を用いた培養などが挙げられる。
なお、これらの培養の条件、放線菌の接種量、接種方法、培地の種類等については、特に制限はなく、目的に応じて公知の条件の中から適宜選択することができる。
前記本発明の放線菌培養培地を用いた培養は、上述した本発明の放線菌による抗生物質の製造方法と同様にして行うことができる。
なお、前記放線菌としては、上述の通りであり、上述のStreptomyces属放線菌から選択されるものが好ましい。
前記その他の処理としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、上述の放線菌による抗生物質の製造方法における前記その他の処理と同様である。
本発明の放線菌の抗生物質産生能改善方法によると、公知の液体培養、平板培養等を利用して放線菌に産生させていた抗生物質の種類や量を変化乃至改善させることができ、該放線菌にそれまで発現していなかった抗生物質産生能を新たに発現させることができ、該放線菌の抗生物質産生能を顕著に変化乃至改善させることができ、従来では産生が容易ではなかった抗真菌性物質等の抗生物質をも効率的にかつ簡便に製造することができる。
(抗生物質のスクリーニング方法)
本発明の放線菌培養培地を用いて微生物を培養する培養工程、及び培養後に抗生物質の存在を確認する抗生物質確認工程を少なくとも含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程を含む。
前記培養工程は、本発明の前記放線菌培養培地を用いて微生物を培養する工程である。詳細は上述の通りである。
前記微生物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記放線菌をはじめとして、酵母、細菌、かび、などが挙げられる。これらの中でも放線菌が好ましい。
前記培養は、上述した本発明の放線菌による抗生物質の製造方法(詳細は上述の通り)と同様にして好適に行うことができる。
前記抗生物質確認工程は、前記培養の後に抗生物質の存在を確認する工程である。
該抗生物質の存在の確認の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の方法の中から適宜選択することができ、例えば、各種微生物の培養における阻止円形成の有無を利用した方法、などが挙げられる。これらの方法は、1種単独で利用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記その他の処理としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、抗生物質を産生した微生物を同定する同定工程、などが挙げられる。
前記同定工程としては、特に制限はなく、公知の微生物の同定方法が挙げられる。
本発明の抗生物質のスクリーニング方法によると、従来において行われていたような、新種放線菌等の抗生物質産生菌の分離及び該新種の抗生物質産生菌による新規抗生物質の分離・同定に主眼が置かれていた抗生物質のスクリーニング方法とは全く異なり、公知の放線菌等を利用しながら新たな抗真菌性物質等の抗生物質及びその産生菌を容易にかつ簡便にスクリーニングすることができ、産業上極めて有益な、抗生物質のスクリーニング方法を提供することができる。
以下、本発明の実施例を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
(実験1)
以下示す放線菌を、本発明の放線菌培養培地又は比較のための培地を用いて培養し、抗生物質産生の有無等について評価した。
実施例1で用いた放線菌を表1に、実施例1で用いた放線菌培養培地又は他の培地を表2〜10に、それぞれ示した。
なお、表2に示すオートミール寒天(Oatmeal agar)−YGG−SE培地は、放線菌の菌株の保存及び胞子形成用培地として用いた。表3〜10は、抗生物質生産性試験用の培地であり、表3は、ベネット培地(Bennett’s medium)を表し、表4は、ニュートリエント(栄養)培地(Nutrient medium)を表し、表5は、ツァペックドックス培地(Czapek dox medium)を表し、表6は、小麦フスマ培地(Wheat bran medium)を表し、表7は、小麦フスマ懸濁液培地(Wheat bran suspension medium)を表し、表8は、小麦フスマ抽出培地(Wheat bran extraction medium)を表し、表9は、大麦フスマ培地(Barley bran)を表す。なお、表6に示す小麦フスマ培地及び表9に示す大麦フスマ培地が、本発明の放線菌培養培地に該当する。表10は、YEPD寒天培地(YEPD agar)を表す。前培養用培地としては、細菌についてはニュートリエント(栄養)寒天培地(Nutrient agar)を用い、酵母及び糸状菌についてはYEPD寒天培地(YEPD agar)を用いた。前記小麦フスマ及び前記大麦フスマは、株式会社はくばく製のものを用いた。
Figure 2004305211
T:基準株(Type Strain)
IFO:発酵研究所、大阪、日本
Figure 2004305211
* オートミール20gを1000mlの蒸留水で20分間調製した後、チーズクロスでろ過したものを更に蒸留水を加え1000mlにしたもの
** 500gの土壌物を500mlの水に加えたものを121℃で30分間オートクレーブにかけフィルターしたもの
Figure 2004305211
Figure 2004305211
Figure 2004305211
Figure 2004305211
*50ml容フラスコに小麦フスマ2g、CaCO0.2g、及び水道水3mlを入れ、均一になるようよく攪拌した後に、オートクレーブで121℃、15分間殺菌したものを小麦フスマ培地として用いた。
Figure 2004305211
*坂口フラスコに小麦フスマ4.2g、CaCO30.4g、及び水道水80mlを入れ、オートクレーブで121℃、15分間殺菌したものを小麦フスマ懸濁液培地として用いた。
Figure 2004305211
水道水1000mlに小麦フスマ100gを加え、オートクレーブで100℃で30分間煮沸した後、ろ紙で濾過された液を小麦フスマ抽出培地として用いた。
Figure 2004305211
*50ml容フラスコに小麦フスマ2g、CaCO0.2g、及び水道水3mlを入れ、均一になるようよく攪拌した後に、オートクレーブで121℃、15分間殺菌したものを大麦フスマ培地として用いた。
Figure 2004305211
表1に示す各放線菌の菌体懸濁液の調製を以下のようにして行った。即ち、表1に示す各放線菌を30℃で2週間培養した斜面培養又は平板培養(Oatmeal agar−YGG−SE)から菌体を2loops取り、殺菌水1.5mlとガラスビーズ(径3mm、約80個)の入った試験管に入れ、ミキサー(TM−100:Thermonics Co.Ltd,Tokyo)上で約3分間激しく攪拌した。以上により得たものを放線菌の菌体懸濁液とした。
次に、前記各放線菌の菌体懸濁液を、上記各培地に接種し、各放線菌の培養を行い、培養終了後に抗生物質産生の有無を阻止円の有無により観察した。具体的には、以下の通りである。即ち、平板培養法は、各プレートに前記菌体懸濁液を、パスツールピペットを用いて1滴点接種し、Streptomycetesについては30℃で5日間培養し、レアな放線菌(Rare actinomycetes)については30℃で7日間培養した。
一方、定法により平板上の培養をクロロホルム蒸気で約2時間殺菌した後、1時間放置してクロロホルムを蒸発除去した。これに被試験菌懸濁液を接種したSloppy agarを流し込み重層した。そして、この重層平板を30℃で一晩培養し阻止円の有無を観察した。
なお、被試験菌としては、Micrococcus lueus IFO 12708(グラム陽性細菌)、Staphylococcus aureus IFO 3061(グラム陽性細菌)、Agrobacterium rhizogenes IFO 14554(グラム陰性細菌)、Pseudomonas fluorescens IFO 24160(グラム陰性細菌)、Escherichia coli IFO 3044(グラム陰性細菌)、Candida kurusei(酵母)、Aspergillus niger ATCC 9642(糸状菌)、及びAspergillus oryzae(糸状菌)を用いた。なお、「ATCC」は、米国基準株コレクション、米国メリーランド州ロックビルを意味する。
これらの内、細菌は、Nutrient slantに接種し、酵母は、YEPD slantに接種し、糸状菌は、YEPD plateに接種し、細菌・酵母については3日間、糸状菌については5日間、それぞれ30℃で培養した。これらの培養から採った菌体(3〜5loops)を試験管中でガラスーズ入り殺菌水に懸濁して、Sloopy agar(200ml)に接種した。なお、Sloppy agar(寒天濃度0.7%)としては、前記細菌については表4に示すニュートリエント(栄養)寒天培地(Nutrient agar)、酵母及び糸状菌にはYEPD agar(Table10)をそれぞれ用いた。
本発明の前記放線菌培養培地としての前記小麦フスマ培地又は前記大麦フスマ培地を用いたフスマ培養法では、表6に示す前記小麦フスマ培地又は表9に示す前記大麦フスマ培地を用い、放線菌の菌体懸濁液を1ml接種し、均一になるように殺菌済みガラス棒で攪拌した後、ストレプトミセス属(Streptomycetes)については5日間、レアな放線菌(Rare actinomycetes)については7日間、それぞれ30℃で培養した。培養後、殺菌蒸留水10mlを加えガラス棒でよく攪拌した後、ロータリーシェーカー(NR−2:タイテック(株))で200rpm、30分間振盪させた。2時間静置させた後、エッペンドルフチューブに上澄みの1.0mlを採った。次いで遠心分離処理(10,000rpm、15分間)をし、上澄み50μlをピペットマンを用いてペーパーデスク(Tokyo roshi no.1、直径8mm)に浸した。これをピンセットを用いて寒天重層平板上に置いた。この重層平板を30℃で一晩培養し、阻止円の有無を観察した。
なお、寒天重層平板は、細菌では、前記ニュートリエント(栄養)寒天培地(Nutrient agar)、酵母及び糸状菌では、前記YEPD寒天培地(YEPD agar)をそれぞれ用い、10mlの基層寒天培地(寒天濃度1.5%)に前述のように被試験菌を接種したSloppy agar5mlを重層して作製した。
また、液体培養法では、それぞれの培地を坂口フラスコに80ml調製し、菌体懸濁液を1ml接種し、ストレプトミセス属(Streptomycetes)については5日間、レアな放線菌(Rare actinomycetes)については7日間、それぞれ30℃で振盪(120rec/min、60mm)培養した。培養後は、エッペンドルフチューブに培養液を1ml採った。前述のように遠心分離処理(10,000rpm、15分間)をし、上澄みを50μlペーパーデスクに浸し、これを重層寒天培地上に置いた。平板を30℃で一晩培養して阻止円の有無を観察した。
各放線菌を種々の培地で固体培養(Bennett’s plate、Nutrient plate、Czapek dox plate、Wheat bran、Barley bran)及び液体培養(Bennett’s broth、Nutrient broth、Czapek dox broth、Wheat bran suspension、Wheat bran extract)させた時の抗菌活性を調べた結果を、表11〜15に示した。なお、以上の手順を図1に示した。
Figure 2004305211
.lu:Micuroccous luteus,
.au:Staphylococcus aureus,
.fl:Pseudomonas fluorescens,
.rh:Agrobacterium rhizogenes,
.coEscherichia coli,
.kr:Candida krusei,
.ni:Aspergillus niger,
.or:Aspergillus oryzae
阻止円の直径:固形培地;+++>44mm;++>24mm;+>13mm、
:液体培地;+++>39mm;++>19mm;+>8mm
表11は、kanamyceticusの結果であるが、前記小麦フスマ培地又は前記大麦フスマ培地を用いた場合には、他の培地では抗菌活性を示さなかったPseudomonas属のグラム陰性細菌に対して抗菌活性を示し、抗生物質の産生が確認された。
Figure 2004305211
.lu:Micuroccous luteus,
.au:Staphylococcus aureus,
.fl:Pseudomonas fluorescens,
.rh:Agrobacterium rhizogenes,
.coEscherichia coli,
.kr:Candida krusei,
.ni:Aspergillus niger,
.or:Aspergillus oryzae
阻止円の直径:固形培地;+++>44mm;++>24mm;+>13mm、
:液体培地;+++>39mm;++>19mm;+>8mm
表12は、griseusの結果であるが、前記小麦フスマ培地又は前記大麦フスマ培地を用いた場合には、他の培地では抗菌活性を示さなかったPseudomonas属のグラム陰性細菌に対して抗菌活性を示し、抗生物質の産生が確認された。
Figure 2004305211
.lu:Micuroccous luteus,
.au:Staphylococcus aureus,
.fl:Pseudomonas fluorescens,
.rh:Agrobacterium rhizogenes,
.coEscherichia coli,
.kr:Candida krusei,
.ni:Aspergillus niger,
.or:Aspergillus oryzae
阻止円の直径:固形培地;+++>44mm;++>24mm;+>13mm、
:液体培地;+++>39mm;++>19mm;+>8mm
表13は、kitasatoensisの結果であるが、前記小麦フスマ培地又は前記大麦フスマ培地を用いた場合には、広範な抗菌活性を示し、他の培地では抗菌活性を殆ど示さなかったグラム陰性細菌に対して抗菌活性を示し、抗生物質の産生が確認された。
Figure 2004305211
.lu:Micuroccous luteus,
.au:Staphylococcus aureus,
.fl:Pseudomonas fluorescens,
.rh:Agrobacterium rhizogenes,
.coEscherichia coli,
.kr:Candida krusei,
.ni:Aspergillus niger,
.or:Aspergillus oryzae

阻止円の直径:固形培地;+++>44mm;++>24mm;+>13mm、
:液体培地;+++>39mm;++>19mm;+>8mm
表14は、hygroscopicusの結果であるが、前記小麦フスマ培地又は前記大麦フスマ培地を用いた場合には、広範な抗菌活性を示し、他の培地では抗菌活性を殆ど示さなかったグラム陰性細菌に対して抗菌活性を示し、抗生物質の産生が確認された。
Figure 2004305211
.lu:Micuroccous luteus,
.au:Staphylococcus aureus,
.fl:Pseudomonas fluorescens,
.rh:Agrobacterium rhizogenes,
.coEscherichia coli,
.kr:Candida krusei,
.ni:Aspergillus niger,
.or:Aspergillus oryzae
阻止円の直径:固形培地;+++>44mm;++>24mm;+>13mm、
:液体培地;+++>39mm;++>19mm;+>8mm
表15は、Streptoalloteichus hindustanusの結果であるが、前記小麦フスマ培地又は前記大麦フスマ培地を用いた場合には、広範な抗菌活性を示し、抗生物質の産生が確認された。
(実験2)
本発明の前記放線菌培養培地としての前記小麦フスマ培地(表18)を用い、表16及び表17に示した放線菌を培養し、抗生物質産生試験を行った。なお、被試験菌として用いた細菌、酵母及びカビについては表22に示した。
Figure 2004305211
Figure 2004305211
*吉田幸弘「抗菌活性を有する特定Streptomycetes群放線菌の選択分離に関する研究」山梨大学大学院工学研究科修士論文(2000)
**太田知洋「南極大陸由来の放線菌低温性株の分離、分類及び生物学的特性に関する研究」山梨大学大学院工学研究科修士論文(2003)
Figure 2004305211
抗菌活性試験の1次スクリーニングには、表18に示す小麦フスマ培地(Wheat−bran medium)を用いた。また、HPLC分析用には、表19に示す小麦フスマ培地LS(Wheat−bran medium−LS)を用いた。また、前記小麦フスマ培養との比較のため、表20に示す抗菌性生産物B培地(Medium for antibiotics production B)、表7に示す小麦フスマ懸濁液培地(Wheat−bran suspension medium)、及び、表3に示すベネット培地(Bennett‘s medium)の3種類の培地を用いた。そして、液体培養又は平板培養を行い、抗菌活性試験を行った。なお、前記小麦フスマ培地(Wheat−bran)における小麦フスマは、株式会社はくばく製のものを使用した。この小麦フスマは、乳鉢ですり潰した後、ふるい(φ2mm)にかけたものを実験に用いた。
抗菌活性試験の被試験菌の前培養培地としては、細菌については表4に示すニュートリエント(栄養)培地(Nutrient medium)、酵母については表10に示すYEPD培地(YEPD medium)、カビについては表2に示すオートミール寒天培地−YGG培地(Oatmeal agar−YGG medium)をそれぞれ用いた。重層寒天平板には、細菌についてはニュートリエント(栄養)培地(Nutrient medium)を用い、酵母及びカビについてはYEPD培地(YEPD medium)を用いた。
なお、培地のpHは、COMPACT pH METER B−212(HORIBA, Kyoto)により調整した。
Figure 2004305211
Figure 2004305211
実験1と同様にして調製した菌体懸濁液(1ml)を前記小麦フスマ培地に接種し、スパチュラで均一になるよう撹拌した後、28℃で6日間培養した。培養後、溶媒(滅菌水、n-ブタノール、酢酸エチル)をそれぞれ10mlずつ添加し、スパチュラで撹拌した。ロータリーシェーカー(NR−2;タイテック、埼玉)で振盪(200rpm、60min)した後、約1時間静置した。抽出液をエッペンドルフチューブに移し、遠心分離機(H-1500F;コクサン、東京)により遠心処理(10,000rpm、10min)後、上清を得た。この上清(50μl)を150℃、1時間乾熱殺菌処理済みのペーパーディスク(φ8mm, 厚手;ADVANTEC,Tokyo)に染み込ませ、滅菌水抽出に関してはそのまま、n-ブタノールと酢酸エチル抽出に関しては、真空乾燥(V−30D;ADVANTEC, Tokyo)後、前記寒天重層平板上に乗せた。30℃で一晩培養後、形成した阻止円を観察した。以上の手順を図2に示した。
実験1と同様にして液体培養を行い、実験1と同様に調製した菌体懸濁液(2〜3滴)を駒込ピペットを用いて各液体培地(5ml/testtube)に接種した。30℃で振盪培養(120rec/min、60mm)した。培養日数は、表16に示す既知の放線菌に関しては4日間とし、表17に示すStreptomyces分離株に関しては3日間及び6日間とした。培養液をスピッツ管(黒キャップ付き)に移し、等量のn-ブタノールを加えた。シェーカー(MK100;YAMATO SCIENTIFIC CO., LTD, Tokyo)によって室温にて1時間撹拌した後、大容量遠心管用CENTRIFUGE(05P−21;HITACHI,Tokyo)により遠心処理(3,000rpm、15min)し上清を得た。上清(50μl)をペーパーディスクに染み込ませ真空乾燥後、前記寒天重層平板上に乗せ、30℃で一晩培養後、形成した阻止円を観察した。
実験1と同様にして平板培養を行い、実験1と同様に調製した菌体懸濁液をBennett‘s plate(15ml/plate)に1点接種し30℃で5日間培養した。定法によりクロロホルム蒸気で殺菌した後、被試験菌を接種したSloppy agar(寒天濃度0.7%(w/v))を流し込んだ。30℃で一晩培養後、形成した阻止円の有無を観察した。なお、使用した被試験菌は、細菌ではNutrient slantに1loop接種し、30℃で2日間培養した。酵母は、YEPD slantに1loop接種し、30℃で2日間培養した。また、カビに関しては、Oatmeal agar−YGG plateに接種し十分胞子形成が観られるまで30℃で1週間以上培養した。また、Sloppy agarとしては、細菌ではNutrient mediumを用い、酵母及びカビについてはYEPD mediumを用いた。
Streptomyces kanamyceticus IFO 13414TStreptomyces kitasatoensis IFO 13686、及びStreptomyces kasugaensis IFO 13851Tについて、以下のようにしてHPLC分析を行った。
即ち、実験2で調製した前記菌体懸濁液(3ml)を前記小麦フスマ培地に接種し、スパチュラで均一になるよう撹拌し、28℃で6日間培養した。培養後、溶媒(n-ブタノール、酢酸エチル)をそれぞれ60mlずつ添加し、スパチュラで撹拌した。ロータリーシェーカーで振盪(200rpm,60min)した後、約1時間静置した。抽出液を2ml容エッペンドルフチューブに移し、遠心処理(10,000rpm,10min)後、上清を得た。この上清(1.5ml)を2ml容エッペンドルフチューブに移し、エバポレーター(CVE−100;EYELA, Tokyo)によって減圧乾固した。
また、以上のようにして得た上清(50〜150μl)をペーパーディスクに染み込ませ、滅菌水抽出に関してはそのまま、n-ブタノールと酢酸エチル抽出に関しては真空乾燥後、前記寒天重層平板上に乗せた。30℃で一晩培養後形成した阻止円を観察した。また、小麦フスマ培養のコントロールとして、前記菌体懸濁液に代わり滅菌水(3ml)を添加し、同様に試験を行った。
前記HPLCの分析条件については、以下の通りである。即ち、減圧乾固した培養物サンプルは、Dimethyl sulfoxide(以下DMSO)に溶解後、D.J. Hook, D.J., More,C.F.,Yacobucci,J.J.,Dubay,G. and O‘conneor, S.:Integrated biological−physicochemicalb system for the identification of antitumor compounds in fermentation broths. J. Chromatogr. 385,99−108(1987)に記載の方法に従い、HP 1090 HPLC system(Hewlett−Packard, U.S.A.)によって分析を行った。HPLCの分析条件については、表21に示した。また、移動相のグラディエントは、図3に示した。また、HPLCの溶出時間により分取したサンプル(Fraction No. 1〜31)は、乾固後、DMSOに溶解し抗菌活性試験を行い、形成した阻止円の有無を+(プラス)又は−(マイナス)で示した。抗菌活性試験に使用した被試験菌は、表22に示した。
Figure 2004305211
Figure 2004305211
AJ;実験用菌株(味の素株式会社)
ATCC;米国基準株コレクション、米国メリーランド州ロックビル
本発明の放線菌培養培地としての前記小麦フスマ培地を用いた培養による抗菌活性試験の結果は、以下の通りである。Streptomyces属既知株6株の結果を表23〜26に示した。また、分離株24株の結果を表27〜44に示した。
Figure 2004305211
Figure 2004305211
Streptomyces griseus IFO 13350は、グラム陽性細菌及びグラム陰性細菌に対して有効なストレプトマイシンを生産する株である。また、Streptomyces coelicolor A3(2)は、グラム陽性菌に有効なアクチノロージンを生産する株として知られている。抗菌活性試験の結果、平板培養では両株とも抗細菌活性が観られたことからストレプトマイシンやアクチノロージンが生産されたと推測された。しかし、前記小麦フスマ培地を用いた小麦フスマ培養の場合、前記グラム陽性細菌及び前記グラム陰性細菌に対して抗細菌活性を示さず、Aspergillus nigerPenicillium chrysogenumの真菌類に対して阻止円の形成が観られた。
また、Streptomyces lividans TK21に関しては、平板培養では供試した被試験菌10株の全てに対して抗菌活性は示さなかったが、前記小麦フスマ培地を用いた前記小麦フスマ培養の場合、Streptomyces griseus IFO 13350、Streptomyces coelicolor A3(2)と同様にAspergillus niger 及びPenicillium chrysogenumの真菌類に対して阻止円の形成が観られた。液体培養と比較すると小麦フスマ懸濁液培地(Wheat−bran suspension培地)による結果でも抗菌スペクトラムは同様であることから、固体としての小麦フスマが抗生物質生産に適していることが推測された。
Figure 2004305211
Figure 2004305211
一方、Streptomyces kanamyceticus IFO 13414TStreptomyces kitasatoensis IFO 13686及びStreptomyces kasugaensis IFO 13851Tの場合、前記平板培養や前記液体培養とは異なる抗菌スペクトルを有することが示され、前述のStreptomyces griseus IFO 13350、Streptomyces lividans TK21、及びStreptomyces coelicolor A3(2)とは異なり、細菌や真菌に対して殺菌的かつ大きな阻止円の形成が同時に観られた。このことから、前記小麦フスマ培地を用いた小麦フスマ培養により、複数の抗生物質が生産されたと推測された。
Figure 2004305211
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Figure 2004305211
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Streptomyces分離株については、前記小麦フスマ培地を用いた小麦フスマ培養の場合、カビ(真菌類)に対してのみ阻止円の形成が観察され、抗真菌性物質の産生能が発現している菌株があり、YU 914−C1やYU 914−P3では、液体培養とは異なる抗菌スペクトラムが観察され、抗生物質産生能が変化していた。
前記抗菌活性試験に供試したStreptomyces属放線菌35株より、小麦フスマ培養により良好な結果の得られたStreptomyces kanamyceticus IFO 13414TStreptomyces kitasatoensis IFO 13686及びStreptomyces kasugaensis IFO 13851Tの3株を選択した。その小麦フスマ培地の小麦フスマ培養抽出物についてHPLC分析を行い、以下の結果を得た。なお、HPLC分析に当たりスケールアップして培養を行った。
Streptomyces kanamyceticus IFO 13414Tのn-ブタノール抽出物をHPLCにより分析した結果を図4に示した。各フラクションサンプルの抗菌活性試験の結果を図4Bに示した。Fraction No.(以下Fr.)21及び23にAspergillus nigerに対する阻止円の形成が観られた。Fr.23に存在する22.5 Min及び22.7 minのピークは、図4C2〜3に示したように、280nmの単一吸収の波形を示した。これは、Macrolide系物質に多く観られる特徴的な波形である。なお、Streptomyces kanamyceticus IFO 13414Tの酢酸エチル抽出物のクロマトグラムはn-ブタノールの結果と類似していた。
以上より、抗Aspergillus niger活性は、Fr21に存在する物質及びMacrolide系物質に類似した構造を有する物質によると推測された。
Streptomyces kitasatoensis IFO 13686のn-ブタノール抽出物の分析結果を図5に、また、酢酸エチル抽出物の分析結果を図6に示した。図5Bに示した抗菌活性試験の結果より、Fr9及び11に抗Aspergillus niger活性及び抗Staphylococcus aureus活性が観られた。Fr9(8.2 min、8.9 min)及び11(10.3 min)に存在する物質は、図5C1〜3に示したUV spectrumを有しており、これは、抗真菌物質であるPentaene系物質に特徴的な波形であることから抗Aspergillus niger活性は、Pentaene系物質によると推測された。
図6より、酢酸エチル抽出ではAspergillus nigerに対する活性が観られず、細菌に対してのみ活性を示したことから酢酸エチル抽出物についてHPLC分析を行ったところ、図61〜2に示したようにFr.9にPentaene系物質のピークは観られなかったことから、抗細菌物質は、Pentaene系物質とは別物質であると推測された。以上の点からStreptomyces kitasatoensis IFO 13686の小麦フスマ培地の小麦フスマ培養により抗真菌性物質及び抗細菌性物質が生産されることが確認された。抗真菌性物質は、Pentaene系物質であり、滅菌水やn-ブタノールに移行することから比較的親水性の物質であると推測された。
Streptomyces kasugaensis IFO 13851Tのn-ブタノール抽出物のHPLC分析結果を図7に示した。抗菌活性試験の結果を図7Bに示した。Aspergillus niger及びStaphylococcus aureusに対する阻止円の形成が観られた。また、保持時間7.7minにPentaene系物質に特徴的なピークが観られた(図7C2)。更に11.5minに小麦フスマ培地のHPLC分析では観られない、代謝産物のピークが確認できた。このPentaene系物質と11.5minの物質はStreptomyces kasugaensis IFO 13851Tの平板培養及び液体培養でも存在することから、培養方法に関係なく生産される物質であると推測された。一方、抽出溶媒は異なるが、平板培養及び液体培養と、小麦フスマ培地を用いた培養との3種類の培養によるクロマトグラムは、非常に類似していた。n-ブタノールとアセトンが水溶性、脂溶性どちらの物質も抽出可能な性質を考慮すると、平板培養ではFr.24〜26に抗Aspergillus活性物質が存在するのに対して、小麦フスマ培地を用いた培養ではFr.4〜7に活性物質が存在したことから、小麦フスマ培地を用いた培養により、平板培養とは異なる抗生物質の生産がされた可能性が推測された。
なお、小麦フスマ培地自体のHPLC分析結果を図8に示した。図8Bに示したように、小麦フスマ培地自体にも阻止円の形成が観られ抗菌物質を有すると考えられるが、図4〜7のデータとの比較において、放線菌の培養により、新たな抗菌物質が生産されることが確認された。また、他の分析結果と比較すると、小麦フスマ培地で高含量に存在する22.5minのピークは減少していることから放線菌の増殖に従って分解されたと推測された。
以上の結果から、Streptomyces kanamyceticus IFO 13414TStreptomyces kitasatoensis IFO 13686及びStreptomyces kasugaensis IFO 13851Tの3株が生産する抗生物質は、既知の抗生物質とは異なることが示され、小麦フスマ培地を用いた培養が放線菌の抗生物質産生能を変化させ、新たな抗生物質産生能を発現させることができ、更には新規な抗生物質が産生される可能性があることが明らかとなった。前記小麦フスマ培地を用いて放線菌の培養を行うと、これまで抗生物質生産方法として工業的に行われている液体培養又は固体表面での平板培養とは異なる抗菌スペクトラムが得られ、新規抗生物質生産に有効であることが示された。また、異なる抗菌スペクトラムが観られた既知株Streptomyces kanamyceticus IFO 13414TStreptomyces kitasatoensis IFO 13686、及びStreptomyces kasugaensis IFO 13851Tは既に実用化されている抗生物質の生産菌であるが、小麦フスマ培地を用いた培養抽出物のHPLC分析により、既知物質とは異なる抗菌物質を生産することが明らかとなった。したがって、前記小麦フスマ培地を用いた培養により、抗生物質産生能が変化したことが確認された。
本発明の放線菌培養培地である前記小麦フスマ培地又は前記大麦フスマ培地を用いて行った培養、即ち本発明の放線菌による抗生物質の製造方法による場合にのみ、Candida alibicansA.nigerA.oryzaeなどの真菌類に対しても抗菌活性を有する抗生物質の産生が確認された。現在、真菌類に効果を示す抗生物質は少ないが、本発明の放線菌培養培地を用いて本発明の放線菌による抗生物質の製造方法を行うと、従来の培養法では得られなかった抗生物質産生能が放線菌に新たに発現される可能性が示された。
本発明によると、他の公知の液体培養、平板培養等を用いて前記放線菌を培養した場合に産生される抗生物質とは異なる抗生物質を効率的に生産することができ、該放線菌が産生する抗生物質の種類や量を変更乃至変化させることができ、新規な抗生物質の産生能を発現させることができる放線菌培養培地を提供することができる。
また、本発明によると、他の公知の液体培養、平板培養等により放線菌が産生した抗生物質とは異なる各種抗生物質を効率よく製造することができ、従来は有していないと考えられていた抗生物質の産生能を放線菌に新たに発現させることにより、放線菌の遺伝子組換え、菌株改良等を行うことなく、容易にかつ簡便にしかも効率的に抗生物質の製造を行うことができ、新規な抗真菌性物質をも製造可能な、放線菌による抗生物質の製造方法を提供することができる。
また、本発によると、公知の液体培養、平板培養等を利用して放線菌に産生させていた抗生物質の種類や量を変化乃至改善させることができ、該放線菌にそれまで発現していなかった抗生物質産生能を新たに発現させることができ、該放線菌の抗生物質産生能を顕著に変化乃至改善させることができ、従来では産生が容易ではなかった抗真菌性物質等の抗生物質をも効率的にかつ簡便に製造することが可能な、放線菌の抗生物質産生能改善方法を提供することができる。
また、本発明によると、従来において行われていたような、新種放線菌等の抗生物質産生菌の分離及び該新種の抗生物質産生菌による新規抗生物質の分離・同定に主眼が置かれていた抗生物質のスクリーニング方法とは全く異なり、公知の放線菌等を利用しながら新たな抗真菌性物質等の抗生物質を容易にかつ簡便にスクリーニングすることができ、産業上極めて有益な、抗生物質のスクリーニング方法を提供することができる。
図1は、本発明の放線菌による抗生物質の製造方法の工程並びに比較としての固体培養及び液体培養の工程を示す概略説明図である。 図2は、小麦フスマ培地を用いた培養後に抗菌活性試験を行っている状態を説明するための概略図である。 図3は、HPLC分析における移動層のグラディエントを示すグラフである。 図4は、小麦フスマ培地上で培養されたStreptomyces kasnamyceticus IFO 13414T生産物のHPLC分析結果のデータである。 図5は、小麦フスマ培地上で培養されたStreptomyces kitasatoensis IFO 13686生産物のHPLC分析結果(n−ブタノール抽出)のデータである。 図6は、小麦フスマ培地上で培養されたStreptomyces kitasatoensis IFO 13686生産物のHPLC分析結果(酢酸エチル抽出)のデータである。 図7は、小麦フスマ培地上で培養されたStreptomyces kasugaensis IFO 13,851T生産物のHPLC分析結果(n−ブタノール抽出)のデータである。 図8は、小麦フスマ培地のHPLC分析結果(n−ブタノール抽出)のデータである。

Claims (22)

  1. 穀物の破砕片を含むことを特徴とする放線菌培養培地。
  2. 穀物の破砕片が穀物未利用部分である請求項1に記載の放線菌培養培地。
  3. 穀物未利用部分が穀物殻である請求項1から2のいずれかに記載の放線菌培養培地。
  4. 穀物が、小麦、大麦、オーツ麦、米、粟、稗及び豆類から選択される少なくとも1種である請求項1から3のいずれかに記載の放線菌培養培地。
  5. 穀物未利用部分が小麦フスマ及び大麦フスマから選択される請求項2から3のいずれかに記載の放線菌培養培地。
  6. 使用時に穀物の破砕片に対し水を質量(g):体積(ml)(穀物の破砕片:水)で1:0.5〜1:2の割合で含有する請求項1から5のいずれかに記載の放線菌培養培地。
  7. 使用時に穀物の破砕片に対し水を質量(g):体積(ml)(穀物の破砕片:水)で1:0.7〜1:1.7の割合で含有する請求項1から5のいずれかに記載の放線菌培養培地。
  8. 放線菌による抗生物質の生産に用いられる請求項1から7のいずれかに記載の放線菌培養培地。
  9. 放線菌の抗生物質産生能の改善に用いられる請求項1から7のいずれかに記載の放線菌培養培地。
  10. 抗生物質のスクリーニングに用いられる請求項1から7のいずれかに記載の放線菌培養培地。
  11. 請求項1から10のいずれかに記載の放線菌培養培地を用いて放線菌を培養することを特徴とする放線菌による抗生物質の製造方法。
  12. 抗生物質が抗真菌性物質である請求項11に記載の放線菌による抗生物質の製造方法。
  13. 放線菌がStreptomyces属放線菌から選択される少なくとも1種である請求項11から12のいずれかに記載の放線菌による抗生物質の製造方法。
  14. Streptomyces属放線菌が、Streptomyces kanamyceticusStreptomyces griseusStreptomyces linvidansStreptomyces coelicolorStreptomyces hygroscopicusStreptomyces kasugaensis、及びStreptomyces kitasatoensis から選択される少なくとも1種である請求項13に記載の放線菌による抗生物質の製造方法。
  15. 培養が、20〜40℃で2週間以内で行われる請求項11から14のいずれかに記載の放線菌による抗生物質の製造方法。
  16. 培養後に溶媒で抗生物質を抽出する請求項11から15のいずれかに記載の放線菌による抗生物質の製造方法。
  17. 平板培養及び液体培養の少なくともいずれかで培養された放線菌を、請求項1から10のいずれかに記載の放線菌培養培地を用いて培養することを特徴とする放線菌の抗生物質産生能改善方法。
  18. 放線菌がStreptomyces属放線菌から選択される少なくとも1種である請求項17に記載の放線菌の抗生物質産生能改善方法。
  19. Streptomyces属放線菌が、Streptomyces kanamyceticusStreptomyces griseusStreptomyces linvidansStreptomyces coelicolorStreptomyces hygroscopicusStreptomyces kasugaensis、及びStreptomyces kitasatoensis から選択される少なくとも1種である請求項18に記載の放線菌の抗生物質産生能改善方法。
  20. 培養が、20〜40℃で2週間以内で行われる請求項17から19のいずれかに記載の放線菌の抗生物質産生能改善方法。
  21. 請求項1から10のいずれかに記載の放線菌培養培地を用いて微生物を培養する培養工程、及び培養後に抗生物質の存在を確認する抗生物質確認工程を含む特徴とする抗生物質のスクリーニング方法。
  22. 抗生物質を産生した微生物を同定する同定工程を含む請求項21に記載の抗生物質のスクリーニング方法。
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WO2015053285A1 (ja) * 2013-10-08 2015-04-16 日本農薬株式会社 微生物を植菌してなる種菌及びそれを使用する抗生物質の生産方法

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