JP2004303068A - 長尺路自動検出方法 - Google Patents

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信治 脇阪
Keiichi Uchimura
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Abstract

【課題】リボン・スネイクス法を用いて、画像に含まれる長尺の流動路を輪郭モデルの安定性を重視しつつ高精度かつ高速に抽出することを目的とする。
【解決手段】流動路候補領域検出工程と、流動路候補領域中心線抽出工程と、制御点sの座標値と幅Wとを要素とする制御点ベクトルνで表現する工程(S17−1)と、幅wを固定した状態で、制御点ベクトルνにより表現される内部エネルギーと、判断対象領域の画像データに基づく外部エネルギーとの総和である総エネルギーが小さくなるように動的計画法により制御点sの位置を補正する工程(S17−2)と、位置補正された制御点sに基づいて幅wを増減し、総エネルギーが小さくなるように動的計画法により幅wを補正する工程(S17−3)と、収束判断の工程(S17−4)とを備える。
【選択図】 図10

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、航空写真、衛星写真、医療用透視写真などの画像データから、自動車や血液が流動する道路や血管などの長尺の流動路(長尺路)を動的輪郭モデルにより検出する長尺路自動検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
各種写真から特定の特徴物の輪郭(エッジ)を画像中の色・濃淡などの変化に着目して検出する手法では、各種物体が特徴物の輪郭と重なり合い、例えば航空写真の道路輪郭には道路に隣接する建造物、樹木の影などが重なり合い、検出した輪郭が不連続となる問題がある。
【0003】
そこで、この様な特徴部の輪郭抽出の方法として、動的輪郭モデルが注目されている。動的輪郭モデルについては例えば(特許文献1)、(特許文献2)、(特許文献3)、(特許文献4)に記載されている。動的輪郭モデルによれば、輪郭線の形状特徴である曲げ・曲率変化などを拘束する内部エネルギーと画像特徴に基づいて定義される外部エネルギーとの総和が最小化するように輪郭線を抽出する。このため、特徴物の輪郭が不連続となる形状特徴の特異点を画像特徴により補完する効果がある。動的輪郭モデルにおける総エネルギー最小化のための代表的な計算方法には変分法と動的計画法があり、解の安定性においては動的計画法が優れている。
【0004】
また、特徴物の形状が長尺である場合の動的輪郭モデルの1つとしてリボン・スネイクス法が提案されており、緩やかな曲線状の特徴物を制御点sと幅wとによって定義される制御点ベクトルνの総エネルギーの最小値を算出することで、長尺路の輪郭抽出に威力を発揮する。例えば長尺路の検出精度が高まる。このリボン・スネイクス法によれば、航空写真の道路輪郭や医療写真の血管など緩やかな曲線状の長尺な流動路を、その形状特徴と画像特徴とにより高効率に抽出することができる。
【特許文献1】
特開平10−11588号公報
【特許文献2】
特開平10−261094号公報
【特許文献3】
特開2002−49922号公報
【特許文献4】
特開2002−74328号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
動的輪郭モデルの1つであるリボン・スネイクス法と動的計画法とを組み合わて長尺の流動路の輪郭抽出を行うと安定した解が得られるが、単純にこの2つの方法を組み合わせる計算を行うならば、その計算負荷は膨大なものとなる。
一般の動的輪郭モデルは、輪郭線の骨格である制御点sの座標値(x,y)のみが変数となる。従ってこれに動的計画法を適用するならば、例えば二次元座標上でのN個の制御点s(i=1〜N)の取り得る位置がk個であり、輪郭線ベクトルの1階微分と2階微分により定義される制御点sの内部エネルギーは3つの制御点si+1,s,si−1の最小値の総和と等しくなるから、このとき1回の輪郭線抽出に要する計算回数はO(Nk)(O(X)は、計算回数がXであることを示している。以下、同様)となる。これは、総当たり的に制御点sを算出する計算回数O(k)とは対数のオーダの計算量軽減となる。
【0006】
しかし、リボン・スネイクス法の輪郭線は、制御点sの座標値(x,y)と幅wとにより定義される制御点ベクトルνの1階微分と2階微分により内部エネルギーが算出される。従って、N個の制御点sの取り得る位置がk個であり、その制御点sの幅wが取り得る値がM個(i=1〜M)であるとき、例え動的計画法を適用してもO(N(Mk))となり、その計算量は幅wの取り得る値Mの3乗倍にも増大することになる。
これでは、幅wの値がほぼ連続的に変化する道路や血管などの流動路を高精度に抽出するために、幅wを微小値だけ変化させて輪郭抽出を行うためには膨大な計算量が必要となり、大量の航空写真や医療写真から流動路を自動的に抽出する際の大きな障害となる。
【0007】
本発明の目的は、形状特徴と画像特徴の両立による効率的な動的輪郭モデルの1つであるリボン・スネイクス法を用いて、輪郭モデルの安定性を重視しつつ、画像に含まれる長尺の流動路を高精度かつ高速に抽出するための長尺路自動検出方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段および作用・効果】
上記課題を解決するために本発明の長尺路自動検出方法は、画像に含まれる長尺の流動路を動的輪郭モデルにより検出する長尺路自動検出方法であって、流動路の画像データである教師データとの比較により、画像に含まれる流動路の候補となる流動路候補領域を検出する工程と、流動路候補領域の中心線を抽出する工程と、中心線上に所定間隔でN個の制御点s(i=1〜N)と各制御点sから中心線の法線方向に幅w(i=1〜M)だけ離れた輪郭線とを設定し、制御点sの座標値(x,y)と幅wとを要素とする制御点ベクトルνで表現する工程と、幅wを固定した状態で、この制御点ベクトルνにより表現される輪郭線に沿った1階微分と2階微分の積分値である内部エネルギーと、制御点sと固定した幅wの輪郭線により囲まれた判断対象領域の画像データに基づく外部エネルギーとの総和である総エネルギーが小さくなるように動的計画法により制御点sの位置を補正する工程と、位置補正された制御点sに基づいて幅wを増減し、総エネルギーが小さくなるように動的計画法により幅wを補正する工程と、制御点sの位置補正と幅wの補正に起因する制御点ベクトルνの変化量から動的輪郭抽出の収束を判断し、未だに収束していないときには制御点sの位置補正と幅wの補正とを再度行う収束判断の工程と、を備える構成を有している。
これにより、形状特徴と画像特徴の両立による効率的な動的輪郭モデルの1つであるリボン・スネイクス法を用いて、輪郭モデルの安定性を重視しつつ、画像に含まれる長尺の流動路を高精度かつ高速に抽出するための長尺路自動検出方法が得られる。
【0009】
すなわち、本発明の長尺路自動検出方法によれば、制御点sの位置補正と幅wの補正がそれぞれ独立して動的計画法により決定される。従って、制御点ベクトルνの総エネルギーを算出する1回の輪郭線抽出に要する計算量は制御点sの計算量O(Nk)と幅wの計算量O(NM)の総和O(N(M+k))となり、単純に動的計画法を用いた場合の計算量O(N(Mk))と比較して対数的に計算量を軽減することができる。
上記制御点s、幅wを独立的に動的計画法により補正する方法では、抽出対象である長尺路の形状や前工程である中心線抽出の誤差に起因して、ごく稀に局所的な解が得られることが認められる。これに対処するためには、幅wの補正の工程で、制御点sの位置を位置補正の結果の真位置と、中心線の法線方向への最小移動量だけ移動した左右位置とで総エネルギーを算出し、総エネルギーが小さくなるように制御点sを微少補正しつつ幅wを補正することが効果的である。このように制御点sの微少補正を行えば、幅wの補正の際に制御点sがより安定する方向に微少修正されるため局所的な解に陥ることを防止することができる。
【0010】
また、上記発明においては、外部エネルギーとして教師データの特徴分布と判断対象領域の画像データの特徴分布との類似度を用いることが好ましい。外部エネルギーは、動的輪郭抽出に画像特徴を反映させる重要なファクターである。本発明の検出対象は流動路であって、輪郭が不連続となることはあり得ない。そこで、エッジ欠けなどの局所的特徴を排除し、判断対象領域の画像データという比較的広範囲の領域特徴を採用することで、輪郭が不連続となる解を回避することができる。
【0011】
更に、収束判断の工程の後に、教師データの特徴分布と判断対象領域の画像データの特徴分布との類似度に基づいて多項式曲線により整形する工程を行うことも輪郭の滑らかさを維持する効果がある。一般的に動的輪郭の形状は、3次のスプライン曲線形状に近似することが知られている。そこで、動的輪郭抽出後の輪郭の一部が画像ノイズなどにより歪んでいる際に、輪郭線を多項式曲線に沿うように補正することが効果的となる。なお、この多項式曲線の採用に際しても上記外部エネルギーの逆数を重み付き最小二乗法などを用いて利用し、画像特徴と教師データの画像特徴とが類似する場合には輪郭整形を小さく、類似度が小さい場合には輪郭整形を大きく作用させることがより効果的である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図12を用いて説明する。
(実施の形態1)
図1(a)は一般的なスタンドアロン型のコンピュータを示す構成図であり、図1(b)は図1のコンピュータを示すブロック図、図1(c)はコンピュータを構成するCPU(中央処理装置)が格納プログラムを実行することにより実現される機能を有する各部を示す機能ブロック図である。
【0013】
図1において、1はスタンドアロン型のコンピュータ、2は画面を直接タッチして画素を指定するライトペン、3はマウス、10は全体を制御する長尺路自動検出装置としてのCPU(中央処理装置)、11はライトペン2やマウス3、図示しないキーボードなどから成る入力装置、12は文字や図形を表示する表示装置、13はデータを記憶するRAM、14はデータやプログラムを記憶するROM、15はコンパクトディスク(CD)16を読み込むことが可能なディスクドライブである。
【0014】
また、101はコンパクトディスク16に格納されているカラー画像データを入力する入力部、102はコンパクトディスク16に格納されているカラー画像データのRGB表色系データをHSV表色系データに変換する色成分範囲変換部、103は教師データのHSV画素散布領域データを作成するHSV画素指定部、104は教師データから得たデータ散布領域に含まれる画素を道路候補領域として抽出し、不要なノイズを取り除くために道路候補領域を修正する道路候補領域抽出・修正部、105は画像のノイズなどにより振動を起こした動的輪郭を整形、補正するために制御点に対して多項式曲線による当てはめを行った結果を抽出する輪郭抽出・修正部である。
【0015】
本実施の形態では、コンパクトディスク16には航空写真のRGB表色系カラー画像データが格納されており、コンピュータ1は、コンパクトディスク16からカラー画像データを読み込んで道路検出を行うが、図示しないネットワークからカラー画像データを読み込む構成であってもよい。また、本実施の形態では、各部101〜105はCPU10のプログラム動作によりソフトウェア的に実現することとしたが、これらをハードウェア構成としてもよい。
【0016】
本実施の形態による長尺路自動検出装置10は、航空写真などのカラー画像データを用いて、信頼性の高い道路自動検出を実現している。以下では、長尺路自動検出装置10が動的輪郭モデルにより道路自動検出の計算負荷を軽減する処理内容を図2〜図7を用いて説明する。図2は図1の長尺路自動検出装置10の動作(道路自動検出動作)を示すフローチャートであり、図3は対象航空写真画像と教師データを示す画像図、図4は図3に基づくHSV色空間を示す色空間図、図5は教師データによる分類結果を示す画像図、図6は図5の画像に対して後処理を加えた結果を示す画像図、図7は道路候補中心線を示す画像図である。
【0017】
図2において、まず、入力部101は、コンパクトディスク16からカラー画像データを取得し、そのデータを色変換部102へ送る(S11)。色変換部102において、カラー画像データの各画素はRGB表色系から色相・彩度・明度で表すHSV表色系に変換され、RAM13に記憶される(S12)。変換式は(数1)を用いた。
【数1】
Figure 2004303068
HSV画素指定部103は、図3に模式的に示すように、入力画像データから目視で道路と判断される部分を、図1のマウス3やライトペン2などを使ってカラー画像データ17から道路の一部分を指定し、教師データ18とする(S13)。また、HSV色空間上に教師データ18の画素をプロットし、そのプロットの散布からデータ散布領域を作成し、その領域内に含まれる画素を道路候補とする(S14)。なお、この時、教師データの画素の散布は正規分布に従うと仮定した。色相・彩度・明度を示す座標系は図4のように円筒座標系なので,(数2)によりデカルト座標系に変換する(S14)。
【数2】
Figure 2004303068
【0018】
道路候補領域抽出・修正部104は、対象画像の画素を順次HSV色空間上にプロットしていき、教師データ18から得たデータ散布領域に含まれる画素を道路候補領域として抽出する(S15)。図5は抽出された道路候補領域を示す画像図であるが、ここでは教師データ18に似た色特徴をもつ道路候領域が抽出され、色の似た家屋・畑も抽出されてしまう。また、領域が途中で切れたり、穴が開いていたりするため、不要なノイズを取り除くために、道路候補領域の膨張・収縮処理を2回づつ繰り返す修正処理をおこない図6の画像図に示すような領域が特定される(S15)。
道路中心線の抽出は、細線化によって道路領域の境界を幅が最小画素になるまで狭め、その結果抽出されたものが道路候補中心線として表示される(S16)。図6の画像図のように線図形境界の凹凸が激しいと、図7の画像図のように細線化特有のいわゆるひげが生じる場合がある。このような場合には、短く抽出された線分はひげとみなしカットする(S16)。
【0019】
次に、本実施の形態の特徴である動的輪郭モデルのエネルギー最小化のために動的計画法による手法を用いて道路輪郭検出の計算の低減を図る処理(動的輪郭抽出処理、ステップS17)の内容を図8〜図12を用いて説明する。図8は本発明の実施の形態1における道路モデルを示す説明図であり、図9は外部エネルギー計算領域を示す説明図、図10はステップS17の動的輪郭抽出処理を示すフローチャート、図11は制御点sの補正の説明図、図12(a)は振動の過適合を示す説明図、図12(b)は多項式曲線による近似当てはめを示す説明図である。
本実施の形態では、(1)道路は細長く、中心線に対して平行な道路左端・右端を持つ (2)道路は滑らかな線形形状を持つ (3)道路の幅の変化は緩やかである といった道路の形状制約を動的輪郭の内部エネルギーにより与えることが可能であるなどの理由により、幅をもつ動的輪郭を道路モデルとして採用するリボン・スネイクス法を用いる。
【0020】
図8は、本実施の形態における道路モデルをあらわしている。輪郭線は、道路中心線上に所定間隔で設定されるN個の制御点sと各制御点sから前記道路中心線の法線方向の距離である幅wを用いて次のように定義する。
【数3】
Figure 2004303068
,yは制御点sの位置である。sにおける道路の左端・右端は、それぞれ道路中心線からその法線方向にw離れた個所に位置する。
【0021】
また、以下の動的輪郭抽出処理を行うために、この制御点sと幅wとを要素とする制御点ベクトルν、この制御点ベクトルνで表現される幅wのリボン状の輪郭線の内部エネルギーEint、外部エネルギーEextを(数4)、(数5)のように定義する。
【数4】
Figure 2004303068
【数5】
Figure 2004303068
(数5)は、離散的な値をとる制御点ベクトルνの伸び縮みを表現しているエネルギー(第一項)、曲げのエネルギー(第二項)を差分式に表現したものである。なお、α,βはこれらを制御するパラメータである。
【0022】
外部エネルギーEextは、教師データの特徴の分布と図9に示す判断対象領域の画像データの特徴分布との類似度により与える。制御点sの周りから画素を取り出し、教師データのHSV濃度分布と制御点の周りの濃度を(数6)において計算する。
【数6】
Figure 2004303068
ここで、p及びqは確率密度関数である。
(数6)を用いて、外部エネルギーを(数7)のようにおく。
【数7】
Figure 2004303068
pは教師データの特徴の分布、qは判断対象領域の画像データの特徴分布で与える。λは重み係数である。qは制御点を中心とする幅2wの長さhの矩形内の画から求める。
【0023】
動的輪郭エネルギーE(ν)は、全ての制御点ベクトルνに関する内部エネルギーEintと外部エネルギーEextの総和として定義され、(数8)で示される。
【数8】
Figure 2004303068
この動的輪郭エネルギーE(ν)の最小値となるように制御点ベクトルνの要素である制御点sの位置および幅wを補正することにより、制御点s、幅wで表される輪郭線は、伸び・縮みや曲げ変化が少ないという形状特徴を保ち、かつ、教師データと類似の特徴分布をもつ画像特徴の位置へと引き寄せられる。また、差分式で表された動的輪郭エネルギーは、制御点ベクトルνの動的エネルギーを算出するに際して、その前後の制御点ベクトルνi−1,νi+1が規定されることで算出可能であることが分かる。
【0024】
以上のように定義された動的輪郭モデルにおいて、動的輪郭抽出処理(ステップS17)は、図10に示す詳細なフローチャートに基づき動的計画法により検出される。
動的輪郭抽出処理では、まず処理対象とする任意の1つの道路候補中心線を読み込み、道路候補中心線lを等間隔で分割し、制御点sの座標値を割り当てる(S17−1)。
【0025】
動的輪郭エネルギーE(ν)は、制御点sの位置(x,y)と幅wの関数であるが、本実施の形態では制御点sの位置と幅wとをそれぞれ独立して動的計画法により決定する。すなわち、図11の説明図に示すように、幅wを固定した状態で、動的輪郭エネルギーE(ν)が小さくなるように道路候補中心線l上に割り当てられた制御点sの位置を補正する(S17−2)。この時、幅wは固定されているから、二次元座標上でのN個の制御点s(i=1〜N)の取り得る位置がk個である場合には、図11のように、例えば輪郭線ベクトルの1階微分と2階微分により定義される制御点sの内部エネルギーは3つの制御点si+1,s,si−1の最小値の総和と等しくなるから、このとき1回の輪郭線抽出に要する計算回数はO(Nk)となる。
【0026】
こうして制御点sの位置が補正された後には、次のステップS17−3において、制御点sの幅wを動的計画法により決定する。その際に制御点の局所的な収束を避けるために、制御点の法線方向nに局所座標をとり、制御点を[ν,ν+ξn,ν−ξn]の3点に移動させる。ξは1画素相当の値に設定している。このときの計算量はO(3NW)である。Wはwのとり得る値の数である。結局、ステップS17−2及びステップS17−3における計算量はO(NM)+O(3NW)となる。これは幅と位置を同時に決定したときの計算量O(N(WM))よりもはるかに効率がよい。
【0027】
また、細線化された道路中心線が必ずしも本来の画像の道路の中心線にくるとは限らないが、幅wを動的計画法によって決定する際に制御点sを法線方向に1画素ずつずらし動的輪郭エネルギーE(ν)が小さくなるように制御点sを微小補正しているので、局所的な解に陥ることを防止することができる。
最終的な輪郭位置は、以上のステップS17−2及びステップS17−3の輪郭位置更新ステップを繰り返し、所定の回数を越えるか制御点の移動が収束するまで反復することにより得られる(S17−4)。
【0028】
そしてステップS17−4による収束判断の工程の後に、算出された輪郭線を多項式曲線や直線近似による整形工程を行う。一般に動的輪郭の形状は、3次のスプライン曲線の形状に近づくことが知られている。しかし、スプライン曲線はきわめて自由度の高い曲線であり、図12に示すように画像のノイズ等により振動を起こした動的輪郭に対して過適合してしまう恐れがある。それらを整形、補正する意味で制御点を多項式曲線による当てはめた結果を抽出輪郭とする。当てはめには重みつき最小二乗法を用い、重みには外部エネルギーの逆数を用いる(S17−5)。
【0029】
以上説明したプログラム処理により、本実施の形態による長尺路自動検出方法は、動的輪郭モデルにより道路自動検出の計算負荷を軽減する処理を行い、かつ安定性、信頼性の高い道路自動検出を実現している。
【0030】
以上のように本実施の形態によれば、流動路の画像データである教師データとの比較により、画像に含まれる流動路の候補となる流動路候補領域を検出する工程(S15)と、流動路候補領域の中心線を抽出する工程(S16)と、中心線上に所定間隔でN個の制御点sと各制御点sから中心線の法線方向に幅wだけ離れた輪郭線とを設定し、制御点sの座標値(x,y)と幅wとを要素とする制御点ベクトルνで表現する工程(S17−1)と、幅wを固定した状態で、この制御点ベクトルνにより表現される輪郭線に沿った1階微分と2階微分の積分値である内部エネルギーと、制御点sと固定した幅wの輪郭線により囲まれた判断対象領域の画像データに基づく外部エネルギーとの総和である総エネルギーが小さくなるように動的計画法により制御点sの位置を補正する工程(S17−2)と、位置補正された制御点sに基づいて幅wを増減し、総エネルギーが小さくなるように動的計画法により幅wを補正する工程(S17−3)と、制御点sの位置補正と幅wの補正に起因する制御点ベクトルνの変化量から動的輪郭抽出の収束を判断し、未だに収束していないときには制御点sの位置補正と幅wの補正とを再度行う収束判断の工程(S17−4)と、を備えることにより、制御点sの位置補正と幅wの補正がそれぞれ独立して動的計画法により決定されるので、制御点ベクトルνの総エネルギーを算出する1回の輪郭線抽出に要する計算量は制御点sの計算量O(Nk)と幅wの計算量O(N(Mk))の総和O(N(M+k))となり、単純に動的計画法を用いた場合の計算量O(N(Mk))と比較して対数的に計算量を軽減することができる。
【0031】
また、幅wを補正する工程で、制御点sの位置を位置補正の結果の真位置と、中心線の法線方向への最小移動量だけ移動した左右位置とで総エネルギーを算出し、総エネルギーが小さくなるように制御点sを微少補正しつつ幅wを補正することにより、制御点sの微少補正を行うようにしたので、幅wの補正の際に制御点sがより安定する方向に微少修正されるため、局所的な解に陥ることを防止することができる。
【0032】
さらに、外部エネルギーは、教師データの特徴分布と判断対象領域の画像データの特徴分布との類似度であることにより、エッジ欠けなどの局所的特徴を排除し、判断対象領域の画像データという比較的広範囲の領域特徴を採用するようにしたので、輪郭が不連続となる解を回避することができる。
【0033】
さらに、収束判断の工程の後に、教師データの特徴分布と判断対象領域の画像データの特徴分布との類似度に基づいて多項式曲線により整形する工程を行うことにより、動的輪郭抽出後の輪郭の一部が画像ノイズなどにより歪んでいる際に、輪郭線を多項式曲線に沿うように補正することができるので、輪郭の滑らかさを維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)一般的なスタンドアロン型のコンピュータを示す構成図
(b)図1のコンピュータを示すブロック図
(c)コンピュータを構成するCPU(中央処理装置)が格納プログラムを実行することにより実現される機能を有する各部を示す機能ブロック図
【図2】図1の長尺路自動検出装置の動作(道路自動検出動作)を示すフローチャート
【図3】対象航空写真画像と教師データを示す画像図
【図4】図3に基づくHSV色空間を示す色空間図
【図5】教師データによる分類結果を示す画像図
【図6】図5の画像に対して後処理を加えた結果を示す画像図
【図7】道路候補中心線を示す画像図
【図8】本発明の実施の形態1における道路モデルを示す説明図
【図9】外部エネルギー計算領域を示す説明図
【図10】動的輪郭抽出処理を示すフローチャート
【図11】制御点sの補正の説明図
【図12】(a)振動の過適合を示す説明図
(b)多項式曲線による近似当てはめを示す説明図
【符号の説明】
1 コンピュータ
2 ライトペン
3 マウス
10 CPU(中央処理装置、長尺路自動検出装置)
11 入力装置
12 表示装置
13 RAM
14 ROM
15 ディスクドライブ
16 CD−ROM
101 入力部
102 色変換部
103 HSV画素指定部
104 道路候補領域抽出・修正部
105 輪郭修正部

Claims (4)

  1. 画像に含まれる長尺の流動路を動的輪郭モデルにより検出する長尺路自動検出方法であって、
    流動路の画像データである教師データとの比較により、前記画像に含まれる流動路の候補となる流動路候補領域を検出する工程と、
    流動路候補領域の中心線を抽出する工程と、
    前記中心線上に所定間隔でN個の制御点s(i=1〜N)と各制御点sから前記中心線の法線方向に幅w(i=1〜M)だけ離れた輪郭線とを設定し、制御点sの座標値(x,y)と幅wとを要素とする制御点ベクトルνで表現する工程と、
    前記幅wを固定した状態で、前記制御点ベクトルνにより表現される輪郭線に沿った1階微分と2階微分の積分値である内部エネルギーと、前記制御点sと固定した前記幅wの輪郭線により囲まれた判断対象領域の前記画像データに基づく外部エネルギーとの総和である総エネルギーが小さくなるように動的計画法により前記制御点sの位置を補正する工程と、
    位置補正された制御点sに基づいて前記幅wを増減し、前記総エネルギーが小さくなるように動的計画法により前記幅wを補正する工程と、
    制御点sの位置補正と幅wの補正に起因する前記制御点ベクトルνの変化量から動的輪郭抽出の収束を判断し、未だに収束していないときには前記制御点sの位置補正と幅wの補正とを再度行う収束判断の工程と、
    を備えることを特徴とする長尺路自動検出方法。
  2. 前記幅wを補正する工程で、制御点sの位置を位置補正の結果の真位置と、中心線の法線方向への最小移動量だけ移動した左右位置とで総エネルギーを算出し、総エネルギーが小さくなるように制御点sを微少補正しつつ幅wを補正することを特徴とする請求項1に記載の長尺路自動検出方法。
  3. 前記外部エネルギーは、教師データの特徴分布と判断対象領域の画像データの特徴分布との類似度であることを特徴とする請求項1または2に記載の長尺路自動検出方法。
  4. 前記収束判断の工程の後に、教師データの特徴分布と判断対象領域の画像データの特徴分布との類似度に基づいて多項式曲線により整形する工程を行うことを特徴とする請求項1ないし3の何れか1に記載の長尺路自動検出方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN111015208A (zh) * 2019-12-06 2020-04-17 汕头轻工装备研究院 一种充电设备的自动装配检测装置及方法
JP2022108197A (ja) * 2021-01-12 2022-07-25 国立大学法人東北大学 地形表示方法、地形表示システム、および地形表示プログラム

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