【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コレステリック液晶層を備えた光学素子に係り、とりわけ、厚さ方向に延びる螺旋軸に沿って螺旋状に配向されてなる、コレステリック規則性を有する複数のコレステリック液晶層を備えた光学素子に関する。なお、本明細書中において「液晶層」という用語は、光学的に液晶の性質を有する層という意味で用い、層の状態としては、流動性のある液晶相の状態の他、液晶相の持つ分子配列を保って固化された状態も含む。
【0002】
【従来の技術】
コレステリック液晶層を備えた光学素子は、円偏光板やカラーフィルタ等の円偏光制御素子として、液晶表示装置等の画像表示装置に組み込まれて用いられる。このような光学素子の製造方法としては一般に、コレステリック規則性を有する液晶分子を溶液に溶解させた後、配向能を有する基材上に当該溶液を塗布して薄膜状のコレステリック液晶層を形成する方法が用いられている。
【0003】
ところで、このような光学素子は、可視光全域に亘って円偏光を選択的に反射するような用途で用いられる場合が多く、この場合には、光学素子を構成するコレステリック液晶層の選択反射波長帯域を広帯域化する必要がある。
【0004】
このための従来の方法としては、(1)異なる中心選択反射波長を有するコレステリック液晶層(液晶分子の螺旋ピッチ長が一定であるコレステリック液晶層)を複数積層する方法(特許文献1及び2参照)の他、(2)コレステリック液晶層内における液晶分子の螺旋ピッチ長を連続的に変化させる方法が提案されている(特許文献3乃至5参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−100045号公報
【特許文献2】
特開平11−44816号公報
【特許文献3】
特表平11−512849号公報
【特許文献4】
特開平6−281814号公報
【特許文献5】
特開平11−80733号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記(1)の方法では、選択反射波長帯域が加算的に広がるのみであり、選択反射波長帯域をより広範囲に亘って広帯域化しようとする場合には、より多くのコレステリック液晶層を積層する必要があり、効率的でない。具体的には、光学素子の選択反射波長帯域を可視光全域とする場合には、少なくとも5〜10層程度のコレステリック液晶層を積層する必要がある。また、この場合、コレステリック液晶層の数の増加に伴って光学的な界面が増えてしまい、光学素子の特性が劣化してしまうという問題もある。
【0007】
これに対し、上記(2)の方法では、光学素子の選択反射波長帯域を可視光全域とする場合でも、必要とされるコレステリック液晶層の数を削減することができる。しかしながら、上記(2)の方法では、広帯域化の対象となる波長域によっては、必要とされるコレステリック液晶層の膜厚が大きくなり過ぎてしまい、液晶分子の配向不良等の光学的な欠陥が生じてしまうという問題がある。
【0008】
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、可視光全域の円偏光を選択的に反射することができる、光学的な欠陥が少ない光学素子を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、厚さ方向に延びる螺旋軸に沿って螺旋状に配向されてなる、コレステリック規則性を有する複数のコレステリック液晶層を備え、前記複数のコレステリック液晶層は、可視光域内の短波長側波長域の円偏光を選択的に反射する短波長側コレステリック液晶層であって、当該液晶層の螺旋ピッチ長が厚さ方向に関して連続的に変化する短波長側コレステリック液晶層と、可視光域内の長波長側波長域の円偏光を選択的に反射する長波長側コレステリック液晶層であって、当該液晶層の螺旋ピッチ長が厚さ方向に関して実質的に一定である長波長側コレステリック液晶層とを含むことを特徴とする光学素子を提供する。
【0010】
なお、本発明において、前記短波長側コレステリック液晶層は、当該液晶層の螺旋ピッチ長が厚さ方向に関して連続的に変化する少なくとも2層のコレステリック液晶層からなることが好ましい。また、前記短波長側コレステリック液晶層は、青色の波長域及び緑色の波長域の円偏光を反射することが好ましい。さらに、前記長波長側コレステリック液晶層は、赤色の波長域の円偏光を反射することが好ましい。さらにまた、前記各コレステリック液晶層は、その膜厚が4μm以下であることが好ましい。
【0011】
なお、本発明において、「液晶層の螺旋ピッチ長が厚さ方向に関して連続的に変化する」とは、液晶層内の螺旋ピッチ長が厚さ方向に関して連続的に単調増加または単調減少することをいう。また、「液晶層の螺旋ピッチ長が厚さ方向に関して実質的に一定である」とは、液晶層内の螺旋ピッチ長が厚さ方向に関して所定の許容範囲内で一定であることをいう。なお、液晶層の螺旋ピッチ長は製造上の理由によって若干変化することがあり、上述した許容範囲はこのような製造上の理由を考慮して決められるものである。ここで、螺旋ピッチ長の変化をもたらす製造上の理由としては、例えば、(1)液晶層が形成される基板の配向膜のプレチルト角等の影響により基板側の螺旋ピッチ長が変化する場合や、(2)液晶層のうち基板の反対側に位置する空気界面の配向を制御するために界面活性剤等を入れる場合において、その界面活性剤等の影響により空気界面側の螺旋ピッチ長が変化する場合が挙げられる。
【0012】
本発明によれば、可視光域内の短波長側波長域の円偏光を選択的に反射する短波長側コレステリック液晶層と、可視光域内の長波長側波長域の円偏光を選択的に反射する長波長側コレステリック液晶層とを積層し、このうち、短波長側コレステリック液晶層を液晶分子の螺旋ピッチが厚さ方向に関して連続的に変化するように構成する一方で、長波長側コレステリック液晶層を液晶分子の螺旋ピッチが厚さ方向に関して実質的に一定であるように構成している。すなわち、広帯域化した場合でもその膜厚を薄く保つことが可能な短波長側コレステリック液晶層のみを広帯域化し、広帯域化しなくとも十分な波長バンド幅を有する長波長側コレステリック液晶層については広帯域化しないようにしている。これにより、少ない数のコレステリック液晶層により可視光全域をカバーすることが可能となり、必要とされるコレステリック液晶層の数を削減することができる。また、全てのコレステリック液晶層の膜厚を比較的薄く保つことができ、液晶分子の配向不良等の光学的な欠陥が生じることを効果的に防止することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0014】
まず、図1により、本実施の形態に係る光学素子の概略構成について説明する。
【0015】
図1に示すように、光学素子10は、配向膜15付きのガラス基板14上に積層されたコレステリック液晶層11,12,13を備えている。
【0016】
ここで、コレステリック液晶層11,12,13は、コレステリック規則性を有する液晶分子からなっており、その物理的な分子配列として、液晶分子が厚さ方向に延びる螺旋軸20に沿って螺旋状に配向されてなるコレステリック構造をとっている。そして、コレステリック液晶層11,12,13は、このような物理的な分子配列に基づいて一方向の円偏光成分(旋光成分)とこれと逆廻りの円偏光成分とを分離する旋光選択特性(偏光分離特性)を有している。すなわち、コレステリック液晶層11,12,13において、螺旋軸20に沿って入射した入射光は、右旋の円偏光成分(右旋光光)及び左旋の円偏光成分(左旋光光)に分離され、中心選択反射波長λ0を中心とした波長バンド幅(半値幅)Δλの範囲の右旋又は左旋の円偏光成分の一方が反射され、他方の円偏光成分及び他の波長領域の光が透過される。
【0017】
ここで、コレステリック液晶層11,12,13は、全体として、可視光全域(400〜750nm)の円偏光を選択的に反射するものである。このうち、配向膜15付きのガラス基板14側に位置する短波長側コレステリック液晶層11,12は、可視光域内の短波長側波長域の円偏光を選択的に反射するものであり、図2に示すように、液晶分子の螺旋ピッチ長が厚さ方向に関して連続的に変化している。なお、短波長側コレステリック液晶層11は、青色の波長域の円偏光を選択的に反射するものであることが好ましく、その中心選択反射波長(λ0)は約430〜490nm、波長バンド幅(Δλ)は約90〜110nmであることが好ましい。また、短波長側コレステリック液晶層12は、緑色の波長域の円偏光を選択的に反射するものであることが好ましく、その中心選択反射波長(λ0)は約530〜610nm、波長バンド幅(Δλ)は約110〜130nmであることが好ましい。
【0018】
また、配向膜15付きのガラス基板14の反対側に位置する長波長側コレステリック層13は、可視光域内の長波長側波長域の円偏光を選択的に反射するものであり、図2に示すように、液晶分子の螺旋ピッチ長が厚さ方向に関して実質的に一定である。なお、長波長側コレステリック液晶層11は、赤色の波長域の円偏光を選択的に反射するものであることが好ましく、その中心選択反射波長(λ0)は約630〜700nm、波長バンド幅(Δλ)は約60〜70nmであることが好ましい。
【0019】
なお、各コレステリック液晶層11,12,13は、その膜厚が4μm以下であることが好ましい。
【0020】
次に、図1及び図2に示す光学素子10の製造方法について説明する。
【0021】
まず、配向膜15付きのガラス基板14上に、コレステリック液晶材料を溶媒中に溶解させた溶液をスピンナー等により塗布する。
【0022】
ここで、溶媒としては、トルエンや、テトラヒドロキシフラン、キシレン、酢酸−3−メトキシブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン等を用いることができる。
【0023】
また、コレステリック液晶材料としては、ネマチック液晶相を呈する重合性液晶材料と、カイラル剤と、光重合開始剤とを含有するものを用いることができる。
【0024】
このうち、ネマチック液晶相を呈する重合性液晶材料としては、重合性液晶モノマー、重合性液晶オリゴマー又は重合性液晶高分子を挙げることができる。
【0025】
このような重合性液晶材料の一例としては、例えば下記の一般式(1)で表される化合物(I)を挙げることができる。なおこのとき、化合物(I)としては、一般式(1)に包含される化合物の2種以上を混合して使用することができる。
【0026】
また、ネマチック液晶相を呈する重合性液晶材料としては、上記化合物(I)と下記の一般式(2)で表わされる化合物(II)とから構成されるものを用いることもできる。なおこのとき、化合物(I)としては、一般式(1)に包含される化合物の2種類以上を混合して使用することができ、同様に、化合物(II)としては、一般式(2)に包含される化合物の2種類以上を混合して使用することができる。
【化1】
【化2】
【0027】
化合物(I)を表わす一般式(1)において、R1及びR2はそれぞれ水素又はメチル基を示すが、液晶相を示す温度範囲の広さからR1及びR2はともに水素であることが好ましい。Xは水素、塩素、臭素、ヨウ素、炭素数1〜4のアルキル基、メトキシ基、シアノ基、ニトロ基のいずれであっても差し支えないが、塩素又はメチル基であることが好ましい。また、一般式(1)の分子鎖両末端の(メタ)アクリロイロシキ基と、芳香環とのスペーサーであるアルキレン基の鎖長を示すa及びbは、それぞれ個別に2〜12の範囲であることがさらに好ましい。a=b=0である一般式(1)の化合物は、安定性に乏しく、加水分解を受けやすい上に、化合物自体の結晶性が高い。また、a及びbがそれぞれ13以上である一般式(1)の化合物は、アイソトロピック転移温度(T1)が低い。この理由から、これらの化合物はいずれも液晶性を示す温度範囲が狭く好ましくない。
【0028】
化合物(II)を表わす一般式(2)において、R3は水素又はメチル基を示すが、液晶相を示す温度範囲の広さからR3は水素であることが好ましい。アルキレン基の鎖長を示すcに関して言えば、この値が2−12である化合物(II)は液晶性を示さない。しかしながら、液晶性を持つ化合物(I)との相溶性を考慮すると、cは4〜10の範囲であることが好ましく、6〜9の範囲であることがさらに好ましい。化合物(II)も任意の方法で合成可能であり、例えば、1当量の4−シアノフェノールと1当量の4−(n−(メタ)アクリロイロキシアルコキシ)安息香酸とのエステル化合物(I)を合成する場合と同様に、上記安息香酸を酸クロリドやスルホン酸無水物等で活性化し、これと4−シアフェノールとを反応させるのが一般的である。また、DCC(ジシクロヘキシルカルボジイミド)等の縮合剤を用いて上記安息香酸と4−シアノフェノールとを反応させてもよい。
【0029】
上述した例では、重合性液晶モノマーの例を挙げたが、本発明においては、重合性液晶オリゴマーや重合性液晶高分子等を用いることも可能である。このような重合性液晶オリゴマーや重合性液晶高分子としては、従来提案されているものを適宜選択して用いることが可能である。
【0030】
カイラル剤としては、光学活性な部位を有する低分子化合物である、分子量1500以下の化合物を用いることができる。カイラル剤は主として、例えば、化合物(I)や、必要に応じて用いられる化合物(II)に示されるような重合性液晶材料が発現する正の一軸ネマチック規則性に螺旋ピッチを誘起させる目的で用いられる。この目的が達成される限り、重合性液晶材料(例えば化合物(I)もしくは化合物(I)及び化合物(II)の混合物)と溶液状態あるいは溶融状態において相溶し、ネマチック規則性を有する重合性液晶材料の液晶性を損なうことなく、これに所望の螺旋ピッチを誘起できるものであれば、カイラル剤としての低分子化合物の種類は特に限定されない。液晶に螺旋ピッチを誘起させるために使用するカイラル剤は、少なくとも分子中に何らかのキラリティーを有していることが必須である。従って、使用可能なカイラル剤としては、例えば1つあるいは2つ以上の不斉炭素を有する化合物、キラルなアミン、キラルなスルフォキシド等のようにヘテロ原子上に不斉点がある化合物、あるいはクムレン、ビナフトール等の軸不斉を持つ化合物が挙げられる。さらに具体的には、市販のカイラルネマチック液晶、例えば、Merck社製S−811が挙げられる。
【0031】
しかし、選択したカイラル剤の性質によっては、化合物(I)もしくは化合物(I)及び化合物(II)の混合物として例示されるような重合性液晶材料が形成するネマチック規則性の破壊、配向性の低下、あるいはそのような化合物が非重合性の場合には、液晶性組成物の硬化性の低下、硬化フィルムの信頼性の低下等を招くおそれがある。さらに、光学活性な部位を有するカイラル剤の多量な使用は、組成物のコストアップを招く。
【0032】
このため、カイラル剤としては、具体的には、下記の一般式(3)又は(4)で表されるような、分子内に軸不斉を有する低分子化合物(III)を用いることが好ましい。
【化3】
【化4】
【化5】
【0033】
カイラル剤(III)を表わす一般式(3)又は(4)において、R4は水素又はメチル基を示す。Yは上記に示す(i)〜(xxiv)の任意の一つであるが、なかでも、式(i)、(ii)、(iii)、(v)及び(vii)のいずれか一つであることが好ましい。また、アルキレン基の鎖長を示すd及びeは、それぞれ個別に2〜12の範囲であることがさらに好ましい。d又はeの値が0又は1である一般式(3)又は(4)の化合物は、安定性に欠け、加水分解を受けやすく、結晶性も高い。一方、d又はeの値が13以上である化合物は融点(Tm)が低い。
これらの化合物は液晶性を示す重合性液晶材料(化合物(I)もしくは化合物(I)及び化合物(II)の混合物)との相溶性が低下し、濃度によっては相分離等が起こるおそれがある。
【0034】
重合性液晶材料に配合されるカイラル剤の量は、螺旋ピッチの誘起能力や最終的に得られるコレステック規則性を考慮して最適値が決められる。具体的には、用いられる重合性液晶材料により大きく異なるものではあるが、質量基準で、重合性液晶材料100に対し、0.01〜60が好ましく、より好ましくは0.1〜40であり、特に好ましくは0.5〜30、最も好ましくは1〜20である。
この配合量が上記範囲よりも少ない場合は、重合性液晶材料に十分なコレステック規則性を付与できない場合があり、上記範囲を超える場合は、分子の配向が阻害され、紫外線等の電離放射線によって硬化させる際に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0035】
なお、重合性液晶材料には、光重合開始剤が添加されていることが好ましい。
例えば、電子線の照射により重合性液晶材料を重合させる際には、光重合開始剤が不要な場合はあるが、一般的に用いられている例えば紫外線の照射による硬化の場合においては、通常、光重合開始剤が重合の促進のために用いられる。
【0036】
このような光重合開始剤としては、Irg907や、Irg184、Irg301、Irg651(いずれも、Ciba Speciality Chemicals社製)等を用いることができる。また、ベンジル(ビベンゾイルともいう)、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、ベンジルメチルケタール、ジメチルアミノメチルベンゾエート、2−n−ブトキシエチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、メチロベンゾイルフォーメート、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン等を挙げることができる。なお、光重合開始剤の他に増感剤を、本発明の目的が損なわれない範囲で添加することも可能である。
【0037】
このような光重合開始剤の添加量としては、一般的には、質量基準で、重合性液晶材料100に対し、0.01〜20が好ましく、より好ましくは、0.1〜10であり、特に好ましくは0.5〜5である。
【0038】
以上に説明したような組成の溶液を配向膜15付きのガラス基板14上に塗布する。そして、このようにして配向膜15付きのガラス基板14上に塗布された溶液中の溶媒を蒸発させて未硬化状態のコレステリック液晶層11を形成した後、当該コレステリック液晶層11をホットプレート等により、液晶分子がコレステリック相を示す温度で保持し、配向膜14の表面の配向規制力により液晶分子を配向させながら、空気雰囲気中で当該コレステリック液晶層11に紫外線等の電離放射線を照射し、コレステリック液晶層11を一次硬化させる。その後、窒素雰囲気中で再度コレステリック液晶層11に紫外線等の電離放射線を照射し、コレステリック液晶層11を二次硬化させる。
【0039】
ここで、上述したような一次硬化を行う際には、コレステリック液晶層11の一方の表面が空気中の酸素に接触する一方で、他方の表面が配向膜15付きのガラス基板14に接して酸素に接触しないようになっているので、コレステリック液晶層11内で配向膜15付きのガラス基板14側の表面から当該ガラス基板14の反対側に位置する表面へ向かって、コレステリック液晶材料中に含まれるネマチック液晶とカイラル剤の硬化速度の差によりカイラル剤の濃度勾配が形成され、コレステリック液晶層11内における液晶分子の螺旋ピッチ長が厚さ方向に関して連続的に変化する。
【0040】
これにより、配向膜15付きのガラス基板14上に、広帯域化された選択反射波長帯域(例えば、中心選択反射波長(λ0)が約485nm、波長バンド幅(Δλ)が約110nm)を有するコレステリック液晶層11が形成される。なおこのとき、コレステリック液晶層11の中心選択反射波長(λ0)は、コレステリック液晶材料中に含まれるカイラル剤の濃度により調整される。また、波長バンド幅(Δλ)は、1次硬化の際の雰囲気の酸素濃度及び紫外線等の電離放射線の照射量により調整される。
【0041】
続いて、コレステリック液晶層11上に、コレステリック液晶材料を溶解させた別の溶液をスピンナー等により塗布する。そして、コレステリック液晶層11を形成したのと同様の手法により、コレステリック液晶層11上に、広帯域化された選択反射波長帯域(例えば、中心選択反射波長(λ0)が約605nm、波長バンド幅(Δλ)が約120nm)を有するコレステリック液晶層12を形成する。
【0042】
さらに、コレステリック液晶層12上に、コレステリック液晶材料を溶解させた別の溶液をスピンナー等により塗布する。
【0043】
その後、コレステリック液晶層12上に塗布された溶液中の溶媒を蒸発させて未硬化状態のコレステリック液晶層13を形成した後、当該コレステリック液晶層13をホットプレート等により、液晶分子がコレステリック相を示す温度で保持し、コレステリック液晶層12の表面の配向規制力により液晶分子を配向させながら、窒素雰囲気中で当該コレステリック液晶層13に紫外線等の電離放射線を照射し、コレステリック液晶層13を硬化させる。
【0044】
これにより、コレステリック液晶層12上に、液晶分子の螺旋ピッチ長が厚さ方向に関して一定である、所定の選択反射波長帯域(中心選択反射波長(λ0)が約700nm、波長バンド幅(Δλ)が約65nm)を有するコレステリック液晶層13が形成される。
【0045】
図3は、このようにして製造された光学素子10における各コレステリック液晶層11,12,13の右円偏光透過率の波長依存性の一例を示す線図である。図3に示すように、光学素子10は、上述したような2層の短波長側コレステリック液晶層11,12及び1層の長波長側コレステリック液晶層13により可視光全域をカバーするようになっている。
【0046】
ここで、参考のために、広帯域化されていないコレステリック液晶層及び広帯域化されたコレステリック液晶層における右円偏光透過率の波長依存性の一例を図4及び図5にそれぞれ示す。また、図4及び図5に示すコレステリック液晶層における、中心選択反射波長(λ0)、波長バンド幅(Δλ)及び膜厚(d)の関係(円偏光を所定の反射率(70%)で反射するために必要とされる膜厚)を次表1及び次表2に示す。
【表1】
【表2】
【0047】
図4及び上表1から明らかなように、異なる中心選択反射波長(λ0)を有するコレステリック液晶層(液晶分子の螺旋ピッチ長が一定であるコレステリック液晶層)を複数積層することにより、可視光全域(400〜750nm)の円偏光を選択的に反射する光学素子を得ることができる。しかしながら、この場合には、各コレステリック液晶層の膜厚(d)は製造を容易に行うことが可能な4μm以下に抑えられるが、コレステリック液晶層の数の増加に伴って光学的な界面も増えてしまう。
【0048】
一方、図5及び上表2から明らかなように、コレステリック液晶層内における液晶分子の螺旋ピッチ長を連続的に変化させることにより、可視光全域(400〜750nm)の円偏光を選択的に反射する光学素子を得ることができる。しかしながら、この場合には、広帯域化の対象となる波長域(長波長側波長域)において、必要とされるコレステリック液晶層の膜厚が大きくなり過ぎてしまい、液晶分子の配向不良等の光学的な欠陥が生じてしまう。
【0049】
これに対し、本実施の形態は、図3に示すように、広帯域化した場合でもその膜厚を薄く保つことが可能な短波長側コレステリック液晶層11,12のみを広帯域化し、広帯域化しなくとも十分な波長バンド幅(Δλ)を有する長波長側コレステリック液晶層13については広帯域化しないようにするものである。
【0050】
このように本実施の形態によれば、可視光域内の短波長側波長域の円偏光を選択的に反射する短波長側コレステリック液晶層11,12と、可視光域内の長波長側波長域の円偏光を選択的に反射する長波長側コレステリック液晶層13とを積層し、このうち、短波長側コレステリック液晶層11,12を液晶分子の螺旋ピッチが厚さ方向に関して連続的に変化するように構成する一方で、長波長側コレステリック液晶層13を液晶分子の螺旋ピッチが厚さ方向に関して実質的に一定であるように構成している。すなわち、広帯域化した場合でもその膜厚を薄く保つことが可能な短波長側コレステリック液晶層11,12のみを広帯域化し、広帯域化しなくとも十分な波長バンド幅(Δλ)を有する長波長側コレステリック液晶層13については広帯域化しないようにしている。これにより、短波長側コレステリック液晶層11,12及び長波長側コレステリック液晶層13という少ない数のコレステリック液晶層により可視光全域をカバーすることが可能となり、必要とされるコレステリック液晶層の数を削減することができる。また、全てのコレステリック液晶層(短波長側コレステリック液晶層11,12及び長波長側コレステリック液晶層13)の膜厚を比較的薄く保つことができ、液晶分子の配向不良等の光学的な欠陥が生じることを効果的に防止することができる。
【0051】
また、本実施の形態によれば、広帯域化される短波長側コレステリック液晶層11,12により、青色の波長域及び緑色の波長域をそれぞれカバーするようにしているので、青色の波長域及び緑色の波長域の分光特性がなだらかになり、光学素子10がカラーフィルター等として用いられた場合における光学的な特性を向上させることができる。
【0052】
なお、上述した実施の形態においては、広帯域化する際の一次硬化に関して、未硬化状態のコレステック液晶層11,12に対して紫外線等の電離放射線を照射する際の雰囲気を空気雰囲気としているが、この雰囲気は空気雰囲気に限定されるものではなく、常圧での酸素濃度が10%以上のガス雰囲気であればよい。
【0053】
また、上述した実施の形態においては、広帯域化する際の二次硬化および広帯域化しない際の硬化に関して、コレステック液晶層11,12,13に対して紫外線等の電離放射線を照射する際の雰囲気を窒素雰囲気としているが、この雰囲気は窒素雰囲気に限定されるものではなく、常圧での酸素濃度が1%以下のガス雰囲気であればよい。また、紫外線等の電離放射線の強度を十分に大きくした場合には、空気雰囲気等の任意のガス雰囲気とすることができる。
【0054】
さらに、上述した実施の形態においては、配向能を有する基材として、配向膜15付きのガラス基板14を用いているが、これに限らず、延伸プラスチックフィルム等の基材そのものが配向能を有するものを用いてもよい。
【0055】
【実施例】
次に、上述した実施の形態の具体的実施例について述べる。
【0056】
(実施例)
ネマチック液晶相を呈する重合性モノマーと、カイラル剤として機能する重合性モノマーとからなる紫外線硬化型のカイラル・ネマチック液晶を用い、その重量比(すなわち、ネマチック成分とカイラル成分との比)を所望の中心選択反射波長が得られるよう各層ごとに調整したものをトルエンに溶解させた25重量%のトルエン溶液を準備した。なお、前記トルエン溶液には、重合開始剤として、前記カイラル・ネマチック液晶に対して5重量%のIrg907(Ciba Speciality Chemicals社製)を添加した。
【0057】
一方、ガラス基板上にポリイミド(PI)からなる配向膜を形成し、その表面にラビング処理を施した。
【0058】
そして、このような配向膜付きのガラス基板上に前記トルエン溶液をスピンナーにより塗布した。
【0059】
次に、85℃で5分間の乾燥を行い、配向膜付きのガラス基板上に塗布された溶液中の溶媒を蒸発させるとともに、配向膜の表面の配向規制力により液晶分子を配向させ、未硬化状態の1層目のコレステリック液晶層を形成した。
【0060】
そして、このようにして形成された1層目のコレステリック液晶層をホットプレートにより85℃の温度で保持しながら、空気雰囲気中で当該コレステリック液晶層に5.15mW/cm2の照射量で0.5秒だけ紫外線(365nm)を照射し、1層目のコレステリック液晶層を一次硬化させた。
【0061】
その後、窒素雰囲気中で再度1層目のコレステリック液晶層に1.8mW/cm2の照射量で4秒だけ紫外線(365nm)を照射し、1層目のコレステリック液晶層を二次硬化させた。
【0062】
これにより、配向膜付きのガラス基板上に、広帯域化された選択反射波長帯域(中心選択反射波長(λ0)が477nm、波長バンド幅(Δλ)が112nm)を有する1層目のコレステリック液晶層が形成された。
【0063】
続いて、このようにして形成された1層目のコレステリック液晶層上に、カイラル剤の濃度が異なる別の溶液をスピンナーにより塗布し、熱処理により乾燥させながら1層目のコレステリック液晶層の表面の配向規制力により液晶分子を配向させた。
【0064】
そして、このようにして形成された2層目のコレステリック液晶層をホットプレートにより85℃の温度で保持しながら、空気雰囲気中で当該コレステリック液晶層に3.6mW/cm2の照射量で0.5秒だけ紫外線(365nm)を照射し、2層目のコレステリック液晶層を一次硬化させた。
【0065】
その後、窒素雰囲気中で再度2層目のコレステリック液晶層に1.8mW/cm2の照射量で4秒だけ紫外線(365nm)を照射し、2層目のコレステリック液晶層を二次硬化させた。
【0066】
これにより、1層目のコレステリック液晶層上に、広帯域化された選択反射波長帯域(中心選択反射波長(λ0)が575nm、波長バンド幅(Δλ)が128nm)を有する2層目のコレステリック液晶層が形成された。
【0067】
さらに、このようにして形成された2層目のコレステリック液晶層上に、カイラル剤の濃度が異なる別の溶液をスピンナーにより塗布した。
【0068】
その後、85℃で5分間の乾燥を行い、2層目のコレステリック液晶層上に塗布された溶液中の溶媒を蒸発させるとともに、2層目のコレステリック液晶層の表面の配向規制力により液晶分子を配向させ、未硬化状態の3層目のコレステリック液晶層を形成した。
【0069】
そして、このようにして形成された3層目のコレステリック液晶層をホットプレートにより85℃の温度で保持しながら、窒素雰囲気中で当該コレステリック液晶層に1.8mW/cm2の照射量で4秒だけ紫外線(365nm)を照射し、3層目のコレステリック液晶層を硬化させた。
【0070】
これにより、2層目のコレステリック液晶層上に、液晶分子の螺旋ピッチ長が厚さ方向に関して一定である、所定の選択反射波長帯域(中心選択反射波長(λ0)が652nm、波長バンド幅(Δλ)が65nm)を有する3層目のコレステリック液晶層が形成された。
【0071】
ここで、このようにして製造された実施例に係る光学素子の3層のコレステリック液晶層の中心選択反射波長(λ0)、波長バンド幅(Δλ)及び膜厚(d)をまとめると次表3に示すとおりであった。
【表3】
【0072】
また、このようにして製造された実施例に係る光学素子における右円偏光透過率の波長依存性は図6に示すとおりであった。
【0073】
(比較例1)
比較例1に係る光学素子として、上述した実施例1と同様の手法により、1層目のコレステリック液晶層及び2層目のコレステリック液晶層のみを形成したものを製造した。
【0074】
ここで、このようにして製造された比較例1に係る光学素子の2層のコレステリック液晶層の中心選択反射波長(λ0)、波長バンド幅(Δλ)及び膜厚(d)は次表4に示すとおりであった。
【表4】
【0075】
また、このようにして製造された比較例1に係る光学素子における右円偏光透過率の波長依存性は図7に示すとおりであった。
【0076】
(比較例2)
比較例2に係る光学素子として、上述した実施例1と同様の手法により、1層目のコレステリック液晶層及び2層目のコレステリック液晶層を形成した後、3層目のコレステリック液晶層として、広帯域化された選択反射波長帯域を有するコレステリック液晶層を形成した。
【0077】
具体的には、1層目のコレステリック液晶層及び2層目のコレステリック液晶層を形成した後、2層目のコレステリック液晶層上に、カイラル剤の濃度が異なる別の溶液をスピンナーにより塗布した。
【0078】
その後、85℃で5分間の乾燥を行い、2層目のコレステリック液晶層上に塗布された溶液中の溶媒を蒸発させるとともに、2層目のコレステリック液晶層の表面の配向規制力により液晶分子を配向させ、未硬化状態の3層目のコレステリック液晶層を形成した。
【0079】
そして、このようにして形成された3層目のコレステリック液晶層をホットプレートにより85℃の温度で保持しながら、空気雰囲気中で当該コレステリック液晶層に3.6mW/cm2の照射量で0.5秒だけ紫外線(365nm)を照射し、3層目のコレステリック液晶層を一次硬化させた。
【0080】
その後、窒素雰囲気中で再度3層目のコレステリック液晶層に1.8mW/cm2の照射量で4秒だけ紫外線(365nm)を照射し、3層目のコレステリック液晶層を二次硬化させた。
【0081】
これにより、2層目のコレステリック液晶層上に、広帯域化された選択反射波長帯域(中心選択反射波長(λ0)が702nm、波長バンド幅(Δλ)が140nm)を有する3層目のコレステリック液晶層が形成された。
【0082】
ここで、このようにして製造された比較例2に係る光学素子の3層のコレステリック液晶層の中心選択反射波長(λ0)、波長バンド幅(Δλ)及び膜厚(d)は次表5に示すとおりであった。
【表5】
【0083】
また、このようにして製造された比較例2に係る光学素子における右円偏光透過率の波長依存性は図8に示すとおりであった。
【0084】
(評価結果)
図6に示すように、実施例に係る光学素子によれば、可視光全域に亘る選択反射波長帯域の円偏光を選択的に反射することができた。また、上表3に示すように、光学素子を構成する各コレステリック液晶層の膜厚が、製造を容易に行うことが可能な3.5μm以下に抑えられた。
【0085】
これに対し、比較例1に係る光学素子では、図7に示すように、可視光全域に亘る選択反射波長帯域をとることができなかった。また、比較例2に係る光学素子では、図8に示すように、選択反射波長帯域は広くとることができるものの、上表4に示すように、光学素子を構成する3層のコレステリック液晶層のうち3層目のコレステリック液晶層の膜厚が厚くなってしまい、光学素子の面内で液晶分子の配向不良が見られた。
【0086】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、可視光全域の円偏光を選択的に反射することができる、光学的な欠陥が少ない光学素子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る光学素子の概略構成を示す図。
【図2】図1に示す光学素子のコレステリック液晶層における螺旋ピッチ長の厚さ方向の変化を示す概念図。
【図3】図1及び図2に示す光学素子における各コレステリック液晶層の右円偏光透過率の波長依存性を示す線図。
【図4】広帯域化されていないコレステリック液晶層における右円偏光透過率の波長依存性を示す線図。
【図5】広帯域化されたコレステリック液晶層における右円偏光透過率の波長依存性を示す線図。
【図6】実施例に係る光学素子における右円偏光透過率の波長依存性を示す線図。
【図7】比較例1に係る光学素子における右円偏光透過率の波長依存性を示す線図。
【図8】比較例2に係る光学素子における右円偏光透過率の波長依存性を示す線図。
【符号の説明】
10 光学素子
11,12 短波長側コレステリック液晶層
13 長波長側コレステリック液晶層
14 ガラス基板
15 配向膜
20 螺旋軸[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to an optical element including a cholesteric liquid crystal layer, and more particularly, to an optical element including a plurality of cholesteric liquid crystal layers having cholesteric regularity and being helically oriented along a helical axis extending in a thickness direction. About. In this specification, the term “liquid crystal layer” is used to mean a layer having optically liquid crystal properties, and the state of the layer includes a liquid crystal phase having a fluidity and a liquid crystal phase. This includes the state where the molecular arrangement is maintained and solidified.
[0002]
[Prior art]
An optical element having a cholesteric liquid crystal layer is used as a circularly polarized light control element such as a circularly polarizing plate or a color filter incorporated in an image display device such as a liquid crystal display device. As a method for manufacturing such an optical element, generally, a liquid crystal molecule having cholesteric regularity is dissolved in a solution, and then the solution is applied on a substrate having alignment ability to form a thin cholesteric liquid crystal layer. A method is used.
[0003]
By the way, such an optical element is often used for the purpose of selectively reflecting circularly polarized light over the entire visible light range. In this case, the selective reflection wavelength of the cholesteric liquid crystal layer constituting the optical element is used. It is necessary to widen the band.
[0004]
As a conventional method for this, (1) a method of laminating a plurality of cholesteric liquid crystal layers having different center selective reflection wavelengths (cholesteric liquid crystal layers having a constant helical pitch length of liquid crystal molecules) (see Patent Documents 1 and 2) Besides, (2) a method of continuously changing the helical pitch length of liquid crystal molecules in a cholesteric liquid crystal layer has been proposed (see Patent Documents 3 to 5).
[0005]
[Patent Document 1]
JP 2001-100045 A
[Patent Document 2]
JP-A-11-44816
[Patent Document 3]
Japanese Patent Publication No. 11-512849
[Patent Document 4]
JP-A-6-281814
[Patent Document 5]
JP-A-11-80733
[0006]
[Problems to be solved by the invention]
However, in the above method (1), the selective reflection wavelength band only increases in an additive manner, and when the selective reflection wavelength band is to be broadened over a wider range, more cholesteric liquid crystal layers are stacked. Need to be inefficient. Specifically, when the selective reflection wavelength band of the optical element is set to the entire visible light range, it is necessary to stack at least about 5 to 10 cholesteric liquid crystal layers. In this case, there is also a problem that the optical interface increases as the number of cholesteric liquid crystal layers increases, and the characteristics of the optical element deteriorate.
[0007]
On the other hand, in the method (2), the required number of cholesteric liquid crystal layers can be reduced even when the selective reflection wavelength band of the optical element is the entire visible light range. However, in the above method (2), the required film thickness of the cholesteric liquid crystal layer becomes too large depending on the wavelength range to be broadened, and optical defects such as poor alignment of liquid crystal molecules are caused. There is a problem that it occurs.
[0008]
The present invention has been made in view of such a point, and an object of the present invention is to provide an optical element which can selectively reflect circularly polarized light in the entire visible light range and has few optical defects.
[0009]
[Means for Solving the Problems]
The present invention comprises a plurality of cholesteric liquid crystal layers having cholesteric regularity, which are helically oriented along a helical axis extending in the thickness direction, and the plurality of cholesteric liquid crystal layers are arranged on a short wavelength side in a visible light region. A short-wavelength cholesteric liquid crystal layer that selectively reflects circularly polarized light in a wavelength range, and a helical pitch length of the liquid crystal layer in which the helical pitch length continuously changes in the thickness direction; A long-wavelength cholesteric liquid crystal layer that selectively reflects circularly polarized light in a long-wavelength wavelength region, wherein the helical pitch length of the liquid crystal layer is substantially constant in the thickness direction. An optical element characterized by including:
[0010]
In the present invention, it is preferable that the short-wavelength cholesteric liquid crystal layer is composed of at least two cholesteric liquid crystal layers in which the helical pitch length of the liquid crystal layer changes continuously in the thickness direction. Further, it is preferable that the short wavelength side cholesteric liquid crystal layer reflects circularly polarized light in a blue wavelength range and a green wavelength range. Further, it is preferable that the long wavelength side cholesteric liquid crystal layer reflects circularly polarized light in a red wavelength range. Furthermore, each of the cholesteric liquid crystal layers preferably has a thickness of 4 μm or less.
[0011]
In the present invention, "the helical pitch length of the liquid crystal layer continuously changes in the thickness direction" means that the helical pitch length in the liquid crystal layer continuously increases or decreases monotonically in the thickness direction. Say. Further, "the helical pitch length of the liquid crystal layer is substantially constant in the thickness direction" means that the helical pitch length in the liquid crystal layer is constant within a predetermined allowable range in the thickness direction. Note that the helical pitch length of the liquid crystal layer may slightly change due to manufacturing reasons, and the above-mentioned allowable range is determined in consideration of such manufacturing reasons. Here, the manufacturing reasons that cause the change in the helical pitch length include, for example, (1) the case where the helical pitch length on the substrate side changes due to the influence of the pretilt angle of the alignment film of the substrate on which the liquid crystal layer is formed, or (2) When a surfactant or the like is added to control the orientation of the air interface located on the opposite side of the substrate in the liquid crystal layer, the helical pitch length on the air interface side changes due to the effect of the surfactant or the like. There is a case to do.
[0012]
According to the present invention, a short-wavelength cholesteric liquid crystal layer that selectively reflects circularly polarized light in a short wavelength side wavelength region in a visible light region, and selectively reflects circularly polarized light in a long wavelength side wavelength region in a visible light region. The long-wavelength cholesteric liquid crystal layer is laminated, and the short-wavelength cholesteric liquid crystal layer is configured so that the helical pitch of the liquid crystal molecules changes continuously in the thickness direction. The configuration is such that the helical pitch of the liquid crystal molecules is substantially constant in the thickness direction. In other words, even if the band is widened, only the short-wavelength cholesteric liquid crystal layer capable of keeping its film thickness thinned is widened, and the wide-band cholesteric liquid crystal layer having a sufficient wavelength bandwidth is not widened without widening the band. Like that. This makes it possible to cover the entire visible light region with a small number of cholesteric liquid crystal layers, and it is possible to reduce the required number of cholesteric liquid crystal layers. In addition, the thickness of all the cholesteric liquid crystal layers can be kept relatively small, and the occurrence of optical defects such as poor alignment of liquid crystal molecules can be effectively prevented.
[0013]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
Hereinafter, embodiments of the present invention will be described with reference to the drawings.
[0014]
First, a schematic configuration of the optical element according to the present embodiment will be described with reference to FIG.
[0015]
As shown in FIG. 1, the optical element 10 includes cholesteric liquid crystal layers 11, 12, and 13 laminated on a glass substrate 14 having an alignment film 15.
[0016]
Here, the cholesteric liquid crystal layers 11, 12, and 13 are composed of liquid crystal molecules having cholesteric regularity, and as a physical molecular arrangement, the liquid crystal molecules spiral in a spiral axis 20 extending in the thickness direction. It has an oriented cholesteric structure. The cholesteric liquid crystal layers 11, 12, and 13 are based on such a physical molecular arrangement, and have an optical rotation selection characteristic (that separates a circularly polarized light component in one direction (optical rotation component) from a circularly polarized light component in the opposite direction to the component (optical rotation component). Polarization splitting characteristic). That is, in the cholesteric liquid crystal layers 11, 12, and 13, the incident light incident along the helical axis 20 is separated into a right-handed circularly polarized light component (right-handed light) and a left-handed circularly polarized light component (left-handed light). , Center selective reflection wavelength λ 0 Is reflected, and one of the right-handed or left-handed circularly polarized light components in the wavelength band width (half width) Δλ centered on is reflected, and the other circularly polarized light component and light in other wavelength regions are transmitted.
[0017]
Here, the cholesteric liquid crystal layers 11, 12, and 13 selectively reflect circularly polarized light in the entire visible light range (400 to 750 nm) as a whole. Among them, the short-wavelength cholesteric liquid crystal layers 11 and 12 located on the glass substrate 14 side with the alignment film 15 selectively reflect circularly polarized light in the short-wavelength side wavelength range within the visible light range. As shown in the figure, the helical pitch length of the liquid crystal molecules changes continuously in the thickness direction. It is preferable that the cholesteric liquid crystal layer 11 on the short wavelength side selectively reflects circularly polarized light in a blue wavelength range, and has a center selective reflection wavelength (λ). 0 ) Is preferably about 430 to 490 nm, and the wavelength bandwidth (Δλ) is preferably about 90 to 110 nm. Further, the short-wavelength side cholesteric liquid crystal layer 12 preferably reflects circularly polarized light in a green wavelength range, and has a center selective reflection wavelength (λ). 0 ) Is preferably about 530 to 610 nm, and the wavelength bandwidth (Δλ) is preferably about 110 to 130 nm.
[0018]
The long-wavelength cholesteric layer 13 located on the opposite side of the glass substrate 14 with the alignment film 15 selectively reflects circularly polarized light in the long-wavelength side wavelength region in the visible light region, and is shown in FIG. As described above, the helical pitch length of the liquid crystal molecules is substantially constant in the thickness direction. The long-wavelength cholesteric liquid crystal layer 11 preferably reflects circularly polarized light in the red wavelength region selectively, and has a center-selective reflection wavelength (λ). 0 ) Is preferably about 630 to 700 nm, and the wavelength bandwidth (Δλ) is preferably about 60 to 70 nm.
[0019]
Note that each of the cholesteric liquid crystal layers 11, 12, and 13 preferably has a thickness of 4 μm or less.
[0020]
Next, a method for manufacturing the optical element 10 shown in FIGS. 1 and 2 will be described.
[0021]
First, a solution in which a cholesteric liquid crystal material is dissolved in a solvent is applied on a glass substrate 14 having an alignment film 15 by using a spinner or the like.
[0022]
Here, as the solvent, toluene, tetrahydroxyfuran, xylene, -3-methoxybutyl acetate, propylene glycol monomethyl ether acetate, cyclohexanone, or the like can be used.
[0023]
As the cholesteric liquid crystal material, a material containing a polymerizable liquid crystal material exhibiting a nematic liquid crystal phase, a chiral agent, and a photopolymerization initiator can be used.
[0024]
Among them, examples of the polymerizable liquid crystal material exhibiting a nematic liquid crystal phase include a polymerizable liquid crystal monomer, a polymerizable liquid crystal oligomer, and a polymerizable liquid crystal polymer.
[0025]
An example of such a polymerizable liquid crystal material is, for example, a compound (I) represented by the following general formula (1). At this time, as the compound (I), a mixture of two or more of the compounds included in the general formula (1) can be used.
[0026]
Further, as the polymerizable liquid crystal material exhibiting a nematic liquid crystal phase, a material composed of the compound (I) and the compound (II) represented by the following general formula (2) can be used. At this time, as the compound (I), two or more kinds of compounds included in the general formula (1) can be used as a mixture, and similarly, as the compound (II), the compound represented by the general formula (2) Can be used as a mixture of two or more compounds.
Embedded image
Embedded image
[0027]
In the general formula (1) representing the compound (I), R 1 And R 2 Represents a hydrogen or a methyl group, respectively. 1 And R 2 Are preferably both hydrogen. X may be any of hydrogen, chlorine, bromine, iodine, an alkyl group having 1 to 4 carbon atoms, a methoxy group, a cyano group, and a nitro group, but is preferably a chlorine or methyl group. Further, a and b indicating the chain length of the (meth) acryloyloxy group at both ends of the molecular chain of the general formula (1) and the alkylene group which is a spacer to the aromatic ring are each independently in the range of 2 to 12. Is more preferred. The compound of the general formula (1) in which a = b = 0 has poor stability, is susceptible to hydrolysis, and has high crystallinity of the compound itself. Further, the compound of the general formula (1) in which a and b are each 13 or more has a low isotropic transition temperature (T1). For this reason, these compounds are not preferred because the temperature range in which they exhibit liquid crystallinity is narrow.
[0028]
In the general formula (2) representing the compound (II), R 3 Represents a hydrogen or a methyl group, but because of the wide temperature range showing the liquid crystal phase, R 3 Is preferably hydrogen. With respect to c indicating the chain length of the alkylene group, the compound (II) having this value of 2-12 does not exhibit liquid crystallinity. However, considering the compatibility with the compound (I) having liquid crystallinity, c is preferably in the range of 4 to 10, and more preferably in the range of 6 to 9. Compound (II) can also be synthesized by any method. For example, ester compound (I) of 1 equivalent of 4-cyanophenol and 1 equivalent of 4- (n- (meth) acryloyloxyalkoxy) benzoic acid can be synthesized. As in the case of synthesis, it is common to activate the above-mentioned benzoic acid with acid chloride or sulfonic anhydride and to react it with 4-siaphenol. The above-mentioned benzoic acid and 4-cyanophenol may be reacted with a condensing agent such as DCC (dicyclohexylcarbodiimide).
[0029]
In the above-described example, the example of the polymerizable liquid crystal monomer is given. However, in the present invention, a polymerizable liquid crystal oligomer, a polymerizable liquid crystal polymer, or the like can be used. As such a polymerizable liquid crystal oligomer or polymerizable liquid crystal polymer, conventionally proposed ones can be appropriately selected and used.
[0030]
As the chiral agent, a compound having a molecular weight of 1500 or less, which is a low molecular compound having an optically active site, can be used. The chiral agent is mainly used for the purpose of inducing a helical pitch in a positive uniaxial nematic regularity expressed by a polymerizable liquid crystal material such as the compound (I) or the compound (II) used as needed. Can be As long as this object is achieved, it is compatible with a polymerizable liquid crystal material (for example, compound (I) or a mixture of compound (I) and compound (II)) in a solution state or a molten state, and has a nematic regularity. The type of the low-molecular compound as the chiral agent is not particularly limited as long as a desired helical pitch can be induced without impairing the liquid crystallinity of the material. It is essential that the chiral agent used to induce a helical pitch in the liquid crystal has at least some chirality in the molecule. Therefore, usable chiral agents include, for example, compounds having one or more asymmetric carbon atoms, chiral amines, compounds having an asymmetric point on a hetero atom such as chiral sulfoxide, or cumulene, Compounds having axial asymmetry such as binaphthol are exemplified. More specifically, a commercially available chiral nematic liquid crystal, for example, S-811 manufactured by Merck is mentioned.
[0031]
However, depending on the properties of the selected chiral agent, the nematic regularity formed by the polymerizable liquid crystal material as exemplified by the compound (I) or a mixture of the compound (I) and the compound (II) is degraded, and the alignment property is reduced. Alternatively, when such a compound is non-polymerizable, the curability of the liquid crystal composition may be reduced, and the reliability of the cured film may be reduced. Further, the use of a large amount of a chiral agent having an optically active site causes an increase in the cost of the composition.
[0032]
For this reason, as the chiral agent, specifically, it is preferable to use a low molecular compound (III) having an axial asymmetry in the molecule as represented by the following general formula (3) or (4). .
Embedded image
Embedded image
Embedded image
[0033]
In the general formula (3) or (4) representing the chiral agent (III), R 4 Represents hydrogen or a methyl group. Y is any one of (i) to (xxiv) shown above, and among them, any one of formulas (i), (ii), (iii), (v), and (vii) Preferably, there is. Further, d and e indicating the chain length of the alkylene group are more preferably individually in the range of 2 to 12. The compound of the general formula (3) or (4) in which the value of d or e is 0 or 1 lacks stability, is susceptible to hydrolysis, and has high crystallinity. On the other hand, compounds having a value of d or e of 13 or more have a low melting point (Tm).
These compounds have reduced compatibility with a polymerizable liquid crystal material (compound (I) or a mixture of compound (I) and compound (II)) exhibiting liquid crystallinity, and may cause phase separation or the like depending on the concentration.
[0034]
The optimal amount of the chiral agent to be incorporated into the polymerizable liquid crystal material is determined in consideration of the helical pitch inducing ability and the finally obtained cholesteric regularity. Specifically, although it differs greatly depending on the polymerizable liquid crystal material used, it is preferably 0.01 to 60, more preferably 0.1 to 40, based on the mass of the polymerizable liquid crystal material 100, Particularly preferably, it is 0.5 to 30, most preferably 1 to 20.
If the amount is less than the above range, sufficient cholesteric regularity may not be imparted to the polymerizable liquid crystal material.If the amount exceeds the above range, molecular orientation is inhibited, and ionizing radiation such as ultraviolet light causes There is a risk of adverse effects when curing.
[0035]
Note that a photopolymerization initiator is preferably added to the polymerizable liquid crystal material.
For example, when polymerizing a polymerizable liquid crystal material by irradiation with an electron beam, a photopolymerization initiator may not be necessary, but in the case of curing by commonly used, for example, ultraviolet irradiation, A photopolymerization initiator is used to promote the polymerization.
[0036]
As such a photopolymerization initiator, Irg907, Irg184, Irg301, Irg651 (all manufactured by Ciba Specialty Chemicals) and the like can be used. Benzyl (also called bibenzoyl), benzoin isobutyl ether, benzoin isopropyl ether, benzophenone, benzoyl benzoic acid, methyl benzoyl benzoate, 4-benzoyl-4'-methyldiphenyl sulfide, benzyl methyl ketal, dimethylaminomethyl benzoate, n-butoxyethyl-4-dimethylaminobenzoate, isoamyl p-dimethylaminobenzoate, 3,3'-dimethyl-4-methoxybenzophenone, methylobenzoylformate, 2-methyl-1- (4- (methylthio) phenyl ) -2-morpholinopropan-1-one, 2-benzyl-2-dimethylamino-1- (4-morpholinophenyl) -butan-1-one, 1- (4-dodecylphenyl) -2-hydroxy- 2-me Lepropan-1-one, 1-hydroxycyclohexylphenyl ketone, 2-hydroxy-2-methyl-1-phenylpropan-1-one, 1- (4-isopropylphenyl) -2-hydroxy-2-methylpropane-1- Examples thereof include on, 2-chlorothioxanthone, 2,4-diethylthioxanthone 2,4-diisopropylthioxanthone, 2,4-dimethylthioxanthone, isopropylthioxanthone, and 1-chloro-4-propoxythioxanthone. In addition, it is also possible to add a sensitizer other than the photopolymerization initiator within a range that does not impair the object of the present invention.
[0037]
In general, the amount of the photopolymerization initiator to be added is preferably 0.01 to 20, more preferably 0.1 to 10, with respect to the polymerizable liquid crystal material 100 on a mass basis. Particularly preferably, it is 0.5 to 5.
[0038]
The solution having the composition described above is applied on the glass substrate 14 having the alignment film 15. Then, after evaporating the solvent in the solution applied on the glass substrate 14 with the alignment film 15 in this manner to form the cholesteric liquid crystal layer 11 in an uncured state, the cholesteric liquid crystal layer 11 is placed on a hot plate or the like. The cholesteric liquid crystal layer 11 is irradiated with ionizing radiation such as ultraviolet rays in an air atmosphere while maintaining the temperature at which the liquid crystal molecules show a cholesteric phase and orienting the liquid crystal molecules by the alignment regulating force on the surface of the alignment film 14. The liquid crystal layer 11 is primarily cured. Thereafter, the cholesteric liquid crystal layer 11 is again irradiated with ionizing radiation such as ultraviolet rays in a nitrogen atmosphere, and the cholesteric liquid crystal layer 11 is secondarily cured.
[0039]
Here, when the above-described primary curing is performed, one surface of the cholesteric liquid crystal layer 11 contacts oxygen in the air, while the other surface contacts the glass substrate 14 with the alignment film 15 and is exposed to oxygen. Is included in the cholesteric liquid crystal material from the surface of the cholesteric liquid crystal layer 11 on the glass substrate 14 side with the alignment film 15 toward the surface located on the opposite side of the glass substrate 14. The concentration gradient of the chiral agent is formed by the difference in the curing speed between the nematic liquid crystal and the chiral agent, and the helical pitch length of the liquid crystal molecules in the cholesteric liquid crystal layer 11 changes continuously in the thickness direction.
[0040]
Thus, the selective reflection wavelength band (for example, the central selective reflection wavelength (λ) is broadened on the glass substrate 14 having the alignment film 15. 0 ) Has a cholesteric liquid crystal layer 11 having a wavelength bandwidth (Δλ) of about 110 nm). At this time, the center selective reflection wavelength of the cholesteric liquid crystal layer 11 (λ 0 ) Is adjusted by the concentration of the chiral agent contained in the cholesteric liquid crystal material. The wavelength bandwidth (Δλ) is adjusted by the oxygen concentration in the atmosphere during the primary curing and the irradiation amount of ionizing radiation such as ultraviolet rays.
[0041]
Subsequently, another solution in which the cholesteric liquid crystal material is dissolved is applied on the cholesteric liquid crystal layer 11 by a spinner or the like. Then, a broadened selective reflection wavelength band (for example, center selective reflection wavelength (λ)) is formed on the cholesteric liquid crystal layer 11 in the same manner as when the cholesteric liquid crystal layer 11 is formed. 0 ) And a cholesteric liquid crystal layer 12 having a wavelength bandwidth (Δλ) of about 120 nm).
[0042]
Further, another solution in which the cholesteric liquid crystal material is dissolved is applied on the cholesteric liquid crystal layer 12 by a spinner or the like.
[0043]
Thereafter, the solvent in the solution applied on the cholesteric liquid crystal layer 12 is evaporated to form an uncured cholesteric liquid crystal layer 13, and then the cholesteric liquid crystal layer 13 is turned into a cholesteric phase by a hot plate or the like. While maintaining the temperature, the cholesteric liquid crystal layer 13 is cured by irradiating the cholesteric liquid crystal layer 13 with ionizing radiation such as ultraviolet rays in a nitrogen atmosphere while aligning the liquid crystal molecules by the alignment regulating force on the surface of the cholesteric liquid crystal layer 12.
[0044]
As a result, on the cholesteric liquid crystal layer 12, a predetermined selective reflection wavelength band (center selective reflection wavelength (λ) where the helical pitch length of the liquid crystal molecules is constant in the thickness direction. 0 ) Has a cholesteric liquid crystal layer 13 having a wavelength bandwidth (Δλ) of about 700 nm.
[0045]
FIG. 3 is a diagram showing an example of the wavelength dependence of the right circularly polarized light transmittance of each of the cholesteric liquid crystal layers 11, 12, and 13 in the optical element 10 manufactured as described above. As shown in FIG. 3, the optical element 10 covers the entire visible light region by the two short-wavelength cholesteric liquid crystal layers 11 and 12 and the one long-wavelength cholesteric liquid crystal layer 13 as described above. I have.
[0046]
Here, for reference, examples of the wavelength dependence of the right circularly polarized light transmittance of the cholesteric liquid crystal layer not broadened and the cholesteric liquid crystal layer broadened are shown in FIGS. 4 and 5, respectively. In addition, the center selective reflection wavelength (λ) in the cholesteric liquid crystal layer shown in FIGS. 0 ), The relationship between the wavelength bandwidth (Δλ) and the film thickness (d) (the film thickness required to reflect circularly polarized light at a predetermined reflectance (70%)) are shown in the following Tables 1 and 2. .
[Table 1]
[Table 2]
[0047]
As is clear from FIG. 4 and Table 1 above, different center selective reflection wavelengths (λ 0 ) To obtain an optical element that selectively reflects circularly polarized light in the entire visible light range (400 to 750 nm) by laminating a plurality of cholesteric liquid crystal layers having a constant helical pitch of liquid crystal molecules. Can be. However, in this case, the thickness (d) of each cholesteric liquid crystal layer can be suppressed to 4 μm or less, which enables easy production, but the optical interface also increases as the number of cholesteric liquid crystal layers increases. Would.
[0048]
On the other hand, as is apparent from FIG. 5 and Table 2 above, by continuously changing the helical pitch length of the liquid crystal molecules in the cholesteric liquid crystal layer, circularly polarized light in the entire visible light range (400 to 750 nm) is selectively reflected. Optical element can be obtained. However, in this case, the required film thickness of the cholesteric liquid crystal layer becomes too large in the wavelength range (long wavelength side wavelength range) to be broadened, and optical characteristics such as poor alignment of liquid crystal molecules are caused. Defects occur.
[0049]
On the other hand, in the present embodiment, as shown in FIG. 3, only the short-wavelength-side cholesteric liquid crystal layers 11 and 12 capable of keeping the film thickness small even when the band is widened are widened, and even if the band is not widened. The long-wavelength cholesteric liquid crystal layer 13 having a sufficient wavelength bandwidth ([Delta] [lambda]) is designed not to widen the band.
[0050]
As described above, according to the present embodiment, the short-wavelength cholesteric liquid crystal layers 11 and 12 that selectively reflect circularly polarized light in the short-wavelength region in the visible light region and the long-wavelength-side wavelength region in the visible light region. A long-wavelength cholesteric liquid crystal layer 13 that selectively reflects circularly polarized light is laminated, and among these, the short-wavelength cholesteric liquid crystal layers 11 and 12 are arranged so that the helical pitch of liquid crystal molecules changes continuously in the thickness direction. On the other hand, the cholesteric liquid crystal layer 13 on the long wavelength side is configured so that the helical pitch of the liquid crystal molecules is substantially constant in the thickness direction. That is, only the short-wavelength-side cholesteric liquid crystal layers 11 and 12 capable of keeping the film thickness small even when the band is widened are widened, and the long-wavelength-side cholesteric liquid crystal having a sufficient wavelength bandwidth (Δλ) is obtained without widening the band. The layer 13 is not broadened. This makes it possible to cover the entire visible light region with a small number of the cholesteric liquid crystal layers 11 and 12 and the long wavelength cholesteric liquid crystal layer 13, thereby reducing the number of required cholesteric liquid crystal layers. can do. Further, the thickness of all the cholesteric liquid crystal layers (the cholesteric liquid crystal layers 11 and 12 on the short wavelength side and the cholesteric liquid crystal layer 13 on the long wavelength side) can be kept relatively thin, and optical defects such as poor alignment of liquid crystal molecules can be prevented. This can be effectively prevented.
[0051]
Further, according to the present embodiment, the blue wavelength region and the green wavelength region are respectively covered by the short-wavelength-side cholesteric liquid crystal layers 11 and 12 which are broadened, so that the blue wavelength region and the green wavelength region are covered. In this case, the spectral characteristics in the wavelength range become gentle, and the optical characteristics when the optical element 10 is used as a color filter or the like can be improved.
[0052]
In the above-described embodiment, the atmosphere for irradiating ionizing radiation such as ultraviolet rays to the uncured cholesteric liquid crystal layers 11 and 12 is the air atmosphere for the primary curing for broadening the band. The atmosphere is not limited to the air atmosphere, but may be any gas atmosphere having an oxygen concentration of 10% or more at normal pressure.
[0053]
Further, in the above-described embodiment, regarding the secondary curing when the band is widened and the curing when the band is not widened, the atmosphere when the cholesteric liquid crystal layers 11, 12, and 13 are irradiated with ionizing radiation such as ultraviolet rays. Is a nitrogen atmosphere, but this atmosphere is not limited to a nitrogen atmosphere, and may be any gas atmosphere having an oxygen concentration of 1% or less at normal pressure. When the intensity of ionizing radiation such as ultraviolet rays is sufficiently increased, an arbitrary gas atmosphere such as an air atmosphere can be used.
[0054]
Further, in the above-described embodiment, the glass substrate 14 with the alignment film 15 is used as the substrate having alignment ability, but the present invention is not limited to this, and the substrate itself such as a stretched plastic film has alignment ability. A thing may be used.
[0055]
【Example】
Next, a specific example of the above-described embodiment will be described.
[0056]
(Example)
Using a UV-curable chiral nematic liquid crystal composed of a polymerizable monomer exhibiting a nematic liquid crystal phase and a polymerizable monomer functioning as a chiral agent, the weight ratio (that is, the ratio between the nematic component and the chiral component) is determined as desired. A 25% by weight toluene solution was prepared by dissolving in toluene each one adjusted for each layer so as to obtain a center selective reflection wavelength. To the toluene solution, 5% by weight of Irg907 (manufactured by Ciba Specialty Chemicals) with respect to the chiral nematic liquid crystal was added as a polymerization initiator.
[0057]
On the other hand, an alignment film made of polyimide (PI) was formed on a glass substrate, and its surface was subjected to a rubbing treatment.
[0058]
Then, the toluene solution was applied on such a glass substrate provided with an alignment film using a spinner.
[0059]
Next, drying is performed at 85 ° C. for 5 minutes to evaporate the solvent in the solution applied on the glass substrate provided with the alignment film, and to align the liquid crystal molecules by the alignment regulating force on the surface of the alignment film. A first cholesteric liquid crystal layer in a state was formed.
[0060]
Then, while the first cholesteric liquid crystal layer thus formed was kept at a temperature of 85 ° C. by a hot plate, the cholesteric liquid crystal layer was added to the cholesteric liquid crystal layer in an air atmosphere at 5.15 mW / cm. 2 UV light (365 nm) was irradiated for 0.5 seconds at the irradiation amount of, and the first cholesteric liquid crystal layer was primarily cured.
[0061]
Thereafter, the first cholesteric liquid crystal layer was again set to 1.8 mW / cm in a nitrogen atmosphere. 2 UV light (365 nm) was applied for 4 seconds at the irradiation amount of, and the first cholesteric liquid crystal layer was secondarily cured.
[0062]
As a result, a broadened selective reflection wavelength band (center selective reflection wavelength (λ) 0 ) And a first cholesteric liquid crystal layer having a wavelength bandwidth (Δλ) of 112 nm).
[0063]
Subsequently, another solution having a different concentration of the chiral agent is applied to the thus formed first cholesteric liquid crystal layer by a spinner, and dried by heat treatment to form a surface of the first cholesteric liquid crystal layer. The liquid crystal molecules were aligned by the alignment control force.
[0064]
Then, while holding the second cholesteric liquid crystal layer thus formed at a temperature of 85 ° C. by a hot plate, the cholesteric liquid crystal layer was applied to the cholesteric liquid crystal layer in an air atmosphere at 3.6 mW / cm. 2 UV light (365 nm) was irradiated for 0.5 seconds at the irradiation amount of, and the second cholesteric liquid crystal layer was primarily cured.
[0065]
Thereafter, the second cholesteric liquid crystal layer was again set to 1.8 mW / cm in a nitrogen atmosphere. 2 UV light (365 nm) was irradiated for 4 seconds at the irradiation amount of, and the second cholesteric liquid crystal layer was secondarily cured.
[0066]
As a result, a broadened selective reflection wavelength band (center selective reflection wavelength (λ) is provided on the first cholesteric liquid crystal layer. 0 ) And a second cholesteric liquid crystal layer having a wavelength bandwidth (Δλ) of 128 nm).
[0067]
Further, another solution having a different concentration of the chiral agent was applied to the second cholesteric liquid crystal layer thus formed by a spinner.
[0068]
After that, drying is performed at 85 ° C. for 5 minutes to evaporate the solvent in the solution applied on the second cholesteric liquid crystal layer and to control the liquid crystal molecules by the alignment regulating force of the surface of the second cholesteric liquid crystal layer. Orientation was performed to form an uncured third cholesteric liquid crystal layer.
[0069]
Then, while the third cholesteric liquid crystal layer thus formed is kept at a temperature of 85 ° C. by a hot plate, the cholesteric liquid crystal layer is 1.8 mW / cm 2 in a nitrogen atmosphere. 2 UV light (365 nm) was irradiated for 4 seconds at the irradiation amount of, and the third cholesteric liquid crystal layer was cured.
[0070]
Thereby, on the second cholesteric liquid crystal layer, a predetermined selective reflection wavelength band (center selective reflection wavelength (λ) where the helical pitch length of the liquid crystal molecules is constant in the thickness direction. 0 ) And a third cholesteric liquid crystal layer having a wavelength bandwidth (Δλ) of 65 nm).
[0071]
Here, the center selective reflection wavelength (λ) of the three cholesteric liquid crystal layers of the optical element according to the example manufactured in this manner. 0 ), Wavelength bandwidth (Δλ) and film thickness (d) are summarized in Table 3 below.
[Table 3]
[0072]
In addition, the wavelength dependence of the right circularly polarized light transmittance of the optical element according to the example manufactured as described above is as shown in FIG.
[0073]
(Comparative Example 1)
As the optical element according to Comparative Example 1, an element having only the first cholesteric liquid crystal layer and the second cholesteric liquid crystal layer was manufactured in the same manner as in Example 1 described above.
[0074]
Here, the center selective reflection wavelength (λ) of the two cholesteric liquid crystal layers of the optical element according to Comparative Example 1 manufactured in this manner. 0 ), Wavelength bandwidth (Δλ) and film thickness (d) were as shown in Table 4 below.
[Table 4]
[0075]
Further, the wavelength dependence of the right circularly polarized light transmittance of the optical element according to Comparative Example 1 thus manufactured was as shown in FIG.
[0076]
(Comparative Example 2)
As an optical element according to Comparative Example 2, a first cholesteric liquid crystal layer and a second cholesteric liquid crystal layer were formed in the same manner as in Example 1 described above, and then a wide band was formed as a third cholesteric liquid crystal layer. A cholesteric liquid crystal layer having an optimized selective reflection wavelength band was formed.
[0077]
Specifically, after forming the first cholesteric liquid crystal layer and the second cholesteric liquid crystal layer, another solution having a different concentration of the chiral agent was applied on the second cholesteric liquid crystal layer by a spinner.
[0078]
After that, drying is performed at 85 ° C. for 5 minutes to evaporate the solvent in the solution applied on the second cholesteric liquid crystal layer, and to control the liquid crystal molecules by the alignment regulating force on the surface of the second cholesteric liquid crystal layer. Orientation was performed to form an uncured third cholesteric liquid crystal layer.
[0079]
Then, while the third cholesteric liquid crystal layer thus formed is kept at a temperature of 85 ° C. by a hot plate, the cholesteric liquid crystal layer is applied to the cholesteric liquid crystal layer in an air atmosphere at 3.6 mW / cm. 2 UV light (365 nm) was irradiated for 0.5 seconds at the irradiation amount of, and the third cholesteric liquid crystal layer was primarily cured.
[0080]
After that, 1.8 mW / cm was again applied to the third cholesteric liquid crystal layer in a nitrogen atmosphere. 2 UV light (365 nm) was applied for 4 seconds at the irradiation amount of, and the third cholesteric liquid crystal layer was secondarily cured.
[0081]
As a result, a broadened selective reflection wavelength band (center selective reflection wavelength (λ) is provided on the second cholesteric liquid crystal layer. 0 ) And a third cholesteric liquid crystal layer having a wavelength bandwidth (Δλ) of 140 nm).
[0082]
Here, the center selective reflection wavelength (λ) of the three cholesteric liquid crystal layers of the optical element according to Comparative Example 2 thus manufactured is described. 0 ), Wavelength bandwidth (Δλ) and film thickness (d) are as shown in Table 5 below.
[Table 5]
[0083]
Further, the wavelength dependence of the right circularly polarized light transmittance of the optical element according to Comparative Example 2 thus manufactured was as shown in FIG.
[0084]
(Evaluation results)
As shown in FIG. 6, the optical element according to the example was able to selectively reflect circularly polarized light in the selective reflection wavelength band over the entire visible light range. Further, as shown in Table 3 above, the film thickness of each cholesteric liquid crystal layer constituting the optical element was suppressed to 3.5 μm or less at which production could be easily performed.
[0085]
On the other hand, in the optical element according to Comparative Example 1, as shown in FIG. 7, the selective reflection wavelength band over the entire visible light range could not be obtained. Further, in the optical element according to Comparative Example 2, although the selective reflection wavelength band can be wide as shown in FIG. 8, as shown in Table 4 above, the three cholesteric liquid crystal layers constituting the optical element were Of these, the thickness of the third cholesteric liquid crystal layer was increased, and poor alignment of liquid crystal molecules was observed in the plane of the optical element.
[0086]
【The invention's effect】
As described above, according to the present invention, it is possible to obtain an optical element that can selectively reflect circularly polarized light in the entire visible light range and has few optical defects.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a diagram showing a schematic configuration of an optical element according to an embodiment of the present invention.
FIG. 2 is a conceptual diagram showing a change in a helical pitch length in a thickness direction of a cholesteric liquid crystal layer of the optical element shown in FIG. 1;
FIG. 3 is a diagram showing the wavelength dependence of the right circularly polarized light transmittance of each cholesteric liquid crystal layer in the optical element shown in FIGS. 1 and 2;
FIG. 4 is a diagram showing the wavelength dependence of the right circularly polarized light transmittance of a cholesteric liquid crystal layer that is not broadened.
FIG. 5 is a diagram showing the wavelength dependence of the right circularly polarized light transmittance of a cholesteric liquid crystal layer having a wide band.
FIG. 6 is a diagram showing the wavelength dependence of the right circularly polarized light transmittance of the optical element according to the example.
FIG. 7 is a diagram showing the wavelength dependence of the right circularly polarized light transmittance of the optical element according to Comparative Example 1.
FIG. 8 is a diagram showing the wavelength dependence of the right circularly polarized light transmittance of the optical element according to Comparative Example 2.
[Explanation of symbols]
10 Optical element
11,12 Cholesteric liquid crystal layer on short wavelength side
13 Long wavelength cholesteric liquid crystal layer
14 Glass substrate
15 Alignment film
20 spiral shaft