JP2004301903A - 電子写真用受像シート及びその製造方法並びに画像形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】湿変ひび割れが抑制され、耐接着性が高いと共に、ひび割れが抑制され、光沢度の高い画像を形成可能な電子写真用受像シート及び該電子写真用受像シートの製造方法並びに画像形成方法の提供。
【解決手段】支持体と、該支持体上に第1のトナー受像層と、該第1トナー受像層上に設けられた第2のトナー受像層とを含み、前記第1トナー受像層及び第2トナー受像層は、いずれもコア/シェル型ラテックス粒子の水分散液を含有すると共に、該第1トナー受像層におけるコア/シェル型ラテックス粒子(A)のディマルジオの計算式から算出された絶対温度でのガラス転移温度〔aTgA(t)〕と、該第2トナー受像層におけるコア/シェル型ラテックス粒子(B)のディマルジオの計算式から算出された絶対温度でのガラス転移温度〔aTgB(t)〕とが、aTgA(t)<aTgB(t)の関係を満たす電子写真用受像シートである。
【選択図】 なし
【解決手段】支持体と、該支持体上に第1のトナー受像層と、該第1トナー受像層上に設けられた第2のトナー受像層とを含み、前記第1トナー受像層及び第2トナー受像層は、いずれもコア/シェル型ラテックス粒子の水分散液を含有すると共に、該第1トナー受像層におけるコア/シェル型ラテックス粒子(A)のディマルジオの計算式から算出された絶対温度でのガラス転移温度〔aTgA(t)〕と、該第2トナー受像層におけるコア/シェル型ラテックス粒子(B)のディマルジオの計算式から算出された絶対温度でのガラス転移温度〔aTgB(t)〕とが、aTgA(t)<aTgB(t)の関係を満たす電子写真用受像シートである。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真用受像シート及びその製造方法並びに画像形成方法に関し、特に、湿変ひび割れが抑制され、耐接着性が高いと共に、ひび割れが抑制され、光沢度の高い画像を形成可能な電子写真用受像シート、及び該電子写真用受像シートの製造方法、並びに該電子写真用受像シートを使用する画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真方法は、ドライ処理で、印字速度が優れ、普通紙や上質紙等の汎用紙などに出力できることから、コピー機や、パソコンの出力機として広く利用されている。前記電子写真方法に用いられる電子写真用受像シートのトナー受像層は、各種の方法によって形成されている。例えば、原紙等の支持体に、熱可塑性樹脂を溶融押出等によって積層する方法や、樹脂溶液を支持体に塗工する方法等が提案されている。
これらの技術の内、水系ポリマー樹脂溶液を塗工する方法は、地球環境に対する負荷が小さく、しかも、材料自体が安価であることから、近年、広く検討されるようになっている。
【0003】
しかしながら、前記水系ポリマー樹脂溶液は、通常、乳化剤(界面活性剤)を使用して乳化重合が行われるため、得られる乳化重合樹脂の表面上には、乳化剤が残存する。その結果、画像形成時において、該乳化重合樹脂から調製したトナー受像層は、この乳化剤の存在によって、環境湿度の影響を大きく受け、高温高湿環境の下では、トナー受像層は、粘着性を有し、電子写真用受像シートを積層して保存しておくと、下に位置する電子写真用受像シートのトナー受像層が、その上に位置する電子写真用受像シートの支持体と接着し、ブロックキングを起こしてしまう。また、オイルレス方式で定着処理を行う場合には、オフセット現象が生じ、低温低湿環境においては、トナー受像層が乾燥して、ひび割れが生じ、その後、画像定着処理を行うと、ひび割れの起伏に基づいて、画質が劣化してしまうという問題がある。
一方、画像形成後においては、長期間保存する間に、湿度変化等の環境の変化が起こり、それに伴い電子写真用受像シートのトナー受像層が伸縮を起こす結果、該トナー受像層にひび割れが生じてしまい画質が劣化する、所謂湿変ひび割れが生じてしまうという問題がある。
【0004】
かかる問題点を解決するため、トナー受像層に水性トナー受容性コアシェル型ラテックス組成物を用いた電子写真方法の記録媒体が提案されている(例えば、特許文献1等参照)。
この特許文献1のコアシェル型ラテックス粒子は、コア/シェル構造を使用することにより、ブロックキング及びひび割れをある程度防止することは可能である。しかし、この特許文献1においても、コア/シェル型ラテックス粒子は、乳化剤を使用して調製されるので、得られるトナー受像層は、環境湿度の影響を依然として受けてしまう。また、この特許文献1の技術では、コア/シェル型ラテックス粒子の粒径や、コア又はシェルを構成する樹脂の分子量が適正化されておらず、ひび割れ防止性と、フルカラー画質、特に、オイルレス方式定着でのオフセット防止性とを同時に十分満足できるものではなく、更なる改良が望まれている。
【0005】
【特許文献1】
特表平10−509253号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであり、従来における前記問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、特に、湿変ひび割れが抑制され、耐接着性が高いと共に、ひび割れが抑制され、光沢度の高い画像を形成可能な電子写真用受像シート、及び該電子写真用受像シートの製造方法、並びに該電子写真用受像シートを使用する画像形成方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 支持体と、該支持体の少なくとも一面に設けられた少なくとも2層のトナー受像層とを有し、該トナー受像層が第1のトナー受像層と、該第1トナー受像層上に設けられた第2のトナー受像層とを含む電子写真用受像シートであって、
前記第1トナー受像層及び第2トナー受像層は、いずれもコア/シェル型ラテックス粒子の水分散液を含有すると共に、該第1トナー受像層のコア/シェル型ラテックス粒子(A)における下記ディマルジオの計算式から算出された絶対温度でのガラス転移温度〔aTgA(t)〕と、該第2トナー受像層のコア/シェル型ラテックス粒子(B)における下記ディマルジオの計算式から算出された絶対温度でのガラス転移温度〔aTgB(t)〕とが、aTgA(t)<aTgB(t)の関係を満たすことを特徴とする電子写真用受像シートである。
〔ディマルジオの計算式〕
1/aTg(t)=w(c)/aTg(c)+w(s)/aTg(s)
上記式において、aTg(c)は、トナー受像層のコア/シェル型ラテックス粒子におけるコアの絶対温度でのガラス転移温度を意味する。aTg(s)は、トナー受像層のコア/シェル型ラテックス粒子におけるシェルの絶対温度でのガラス転移温度を意味する。w(c)は、トナー受像層のコア/シェル型ラテックス粒子中におけるコアの質量比を意味する。w(s)は、トナー受像層のコア/シェル型ラテックス粒子中におけるシェルの質量比を意味する。
<2> 第1トナー受像層におけるコア/シェル型ラテックス粒子(A)が、以下の特性(1)〜(5)を満たす前記<1>に記載の電子写真用受像シートである。
(1)コアの数平均分子量〔MnA(c)〕が、30000〜500000であること
(2)シェルの数平均分子量〔MnA(s)〕が、3000〜30000であること
(3)コア対シェルの質量比〔wA(c):wA(s)〕が、90:10〜35:65であること
(4)コアの絶対温度でのガラス転移温度〔aTgA(c)〕が、303K以下であること
(5)シェルの絶対温度でのガラス転移温度〔aTgA(s)〕が、303K〜373Kであること
<3> 第2トナー受像層におけるコア/シェル型ラテックス粒子(B)が、以下の特性(1)〜(5)を満たす前記<1>から<2>のいずれかに記載の電子写真用受像シートである。
(1)コアの数平均分子量〔MnB(c)〕が、30000〜500000であること
(2)シェルの数平均分子量〔MnB(s)〕が、3000〜30000であること
(3)コア対シェルの質量比〔wB(c):wB(s)〕が、10:90〜65:35であること
(4)コアの絶対温度でのガラス転移温度〔aTgB(c)〕が、303K以下であること
(5)シェルの絶対温度でのガラス転移温度〔aTgB(s)〕が、323K〜373Kであること
<4> コア/シェル型ラテックス粒子(A)の平均粒径(数平均粒径(D50))が、0.5μm以下である前記<1>から<3>のいずれかに記載の電子写真用受像シートである。
<5> コア/シェル型ラテックス粒子(B)の平均粒径(数平均粒径(D50))が、0.5μm以下である前記<1>から<4>のいずれかに記載の電子写真用受像シートである。
<6> 第1トナー受像層の厚み(G1)と第2トナー受像層の厚み(G2)との比(G1:G2)が、20:80〜80:20である前記<1>から<5>のいずれかに記載の電子写真用受像シートである。
<7> 支持体が、原紙、合成紙、合成樹脂シート、コート紙及びラミネート紙から選択される前記<1>から<6>のいずれかに記載の電子写真用受像シートである。
<8> 支持体上に、前記<1>から<5>のいずれかに記載のコア/シェル型ラテックス粒子(A)の水分散液を塗布して第1トナー受像層を形成した後、該第1トナー受像層上に、前記<1>から<5>のいずれかに記載のコア/シェル型ラテックス粒子(B)の水分散液を塗布して第2トナー受像層を形成することを特徴とする電子写真用受像シートの製造方法である。
<9> 前記<1>から<7>のいずれかに記載の電子写真用受像シートを使用する画像形成方法であって、前記電子写真用受像シートに、トナー画像を形成した後、該電子写真用受像シートの画像形成面を、定着ベルト及びローラにより、加熱及び加圧し、冷却した後、前記定着ベルトから剥離することを特徴とする画像形成方法である。
<10> 前記<1>から<7>のいずれかに記載の電子写真用受像シートを使用する画像形成方法であって、前記電子写真用受像シートに、トナー画像を形成し、熱ローラにより定着した後、更に、該電子写真用受像シートの画像形成面を、定着ベルト及びローラにより、加熱及び加圧し、冷却した後、前記定着ベルトから剥離することを特徴とする画像形成方法である。
<11> 形成されたトナー画像を、そのトナーに使用されるバインダー樹脂の軟化点以下又はガラス転移点+10℃以下の状態まで冷却した後、定着ベルトから剥離する前記<9>から<10>のいずれかに記載の画像形成方法である。
<12> 定着ベルトの表面にフルオロカーボンシロキサンゴム製の層を設けた前記<9>から<11>のいずれかに記載の画像形成方法である。
<13> 定着ベルトの表面にシリコーンゴム製の層を有し、かつ該シリコーンゴム層の表面にフルオロカーボンシロキサンゴム製の層を設けた前記<9>から<11>のいずれかに記載の画像形成方法である。
<14> フルオロカーボンシロキサンゴムが、主鎖にパーフルオロアルキルエーテル基及びパーフルオロアルキル基の少なくともいずれかを有する前記<12>から<13>のいずれかに記載の画像形成方法である。
【0008】
本発明の電子写真用受像シートは、支持体と、該支持体の少なくとも一面に設けられた2層のトナー受像層が、それぞれコア/シェル型ラテックス粒子の水分散液を少なくとも含有し、第1トナー受像層と該第1トナー受像層の上に設けられる第2トナー受像層から構成され、該第1トナー受像層に含有されているコア/シェル型ラテックス粒子(A)の絶対温度でのガラス転移温度〔aTgA(t)〕と前記第2トナー受像層に含有されているコア/シェル型ラテックス粒子(B)の絶対温度でのガラス転移温度〔aTgB(t)〕とが、aTgA(t)<aTgB(t)の関係を満たす。これにより、重層塗布される第1トナー受像層が硬く形成され、該第1トナー受像層より第2トナー受像層が軟らかく形成されるので、特に湿変ひび割れが抑制され、耐接着性が高いと共に、ひび割れが抑制され、光沢度にも優れた写真感覚に富む、良好な画質を実現できる電子写真用受像シートが得られる。
【0009】
本発明の電子写真用受像シートの製造方法は、前記本発明の電子写真用受像シートの製造方法であって、第1トナー受像層として、前記支持体上に前記コア/シェル型ラテックス粒子(A)の水分散液を塗布した後、第2トナー受像層として、該第1トナー受像層上に前記コア/シェル型ラテックス粒子(B)の水分散液を塗布する。これにより、特に湿変ひび割れ及び耐接着性に優れており、また、ひび割れ、光沢度にも優れた写真感覚に富む、良好な画質を実現できる電子写真用受像シートを製造することができる。
【0010】
本発明の画像形成方法は、前記本発明の電子写真用受像シートを使用したオイルレス方式で画像を形成する方法であって、トナー画像を形成した後、該電子写真用受像シートの画像形成面を、定着ベルト及び定着ローラにより、加熱及び加圧し、冷却した後、前記定着ベルトから剥離する。これにより、定着オイルのないオイルレス機を使用しても、電子写真用受像シート及びトナーの剥離性、或いは受像シート及びトナー成分のオフセットを防止でき、安定した給紙を実現できると共に、特に湿変ひび割れが抑制され、耐接着性が高いと共に、ひび割れが抑制され、光沢度にも優れた写真感覚に富む、良好な画像を実現できる。
【0011】
【発明の実施の形態】
(電子写真用受像シート)
本発明における電子写真用受像シートは、支持体と、該支持体の少なくとも一面に設けられた少なくとも2層のトナー受像層とを有し、該トナー受像層が第1のトナー受像層と、該第1トナー受像層上に設けられた第2のトナー受像層とを含み、必要に応じて適宜選択したその他の層、例えば、保護層、下塗り層、クッション層、帯電調節(防止)層、反射層、色味調製層、保存性改良層、接着防止層、アンチカール層、平滑化層などを有してなる。これらの各層は単層構造であってもよいし、積層構造であってもよい。
【0012】
〔支持体〕
前記支持体としては、例えば、原紙、合成紙、合成樹脂シート、コート紙、ラミネート紙、等が挙げられる。これらの支持体は、単層構成でもよく、2層以上の積層構成でもよい。これらの中でも、片面又は両面にポリオレフィン樹脂層を被覆したラミネート紙が、平滑光沢性及び伸縮性の点で好ましい。
【0013】
−原紙−
前記原紙としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、具体的には、上質紙、例えば、日本写真学会編「写真工学の基礎−銀塩写真編−」、株式会社コロナ社刊(昭和54年)(223)〜(240)頁記載の紙等が好適なものとして挙げられる。
【0014】
前記原紙には、表面に所望の中心線平均粗さを付与するために、例えば、特開昭58−68037号公報に記載されているように、繊維長分布(例えば、24メッシュスクリーン残留分と、42メッシュスクリーン残留分との合計が、例えば、20〜45質量%であり、かつ24メッシュスクリーン残留分が5質量%以下)のパルプ繊維を使用するのが好ましい。また、マシンカレンダー及びスーパーカレンダー等で熱及び圧力を加えて表面処理することにより、中心線平均粗さを調整することができる。
【0015】
前記原紙の材料としては、電子写真用受像シートに使用されるものとして公知の材料であれば特に制限なく、目的に応じて各種の材料から適宜選定することができ、例えば、針葉樹、広葉樹等の天然パルプ、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂製の合成パルプ、或いは天然パルプと合成パルプの混合物等が挙げられる。
【0016】
前記原紙の原料として使用できるパルプとしては、原紙の表面平滑性、剛性及び寸法安定性(カール性)を同時にバランス良く、かつ十分なレベルにまで向上させる点から、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)が望ましいが、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹サルファイトパルプ(LBSP)等を使用することもできる。
前記パルプの叩解には、ビータ、リファイナー等を使用できる。
前記パルプのカナダ標準濾水度は、抄紙工程において紙の収縮を制御できるため、200〜440mlC.S.F.がより好ましく、250〜380mlC.S.F.が更に好ましい。
前記パルプを叩解した後に得られるパルプスラリー(以下、「パルプ紙料」と称することがある)には、更に必要に応じて、各種添加剤、例えば、填料、乾燥紙力増強剤、サイズ剤、湿潤紙力増強剤、定着剤、pH調整剤、その他の薬剤などが添加される。
【0017】
前記填料としては、例えば、炭酸カルシウム、クレー、カオリン、白土、タルク、酸化チタン、珪藻土、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、等が挙げられる。
前記乾燥紙力増強剤としては、例えば、カチオン化澱粉、カチオン化ポリアクリルアミド、アニオン化ポリアクリルアミド、両性ポリアクリルアミド、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、等が挙げられる。
前記サイズ剤としては、例えば、脂肪酸塩、ロジン、マレイン化ロジン等のロジン誘導体、パラフィンワックス、アルキルケテンダイマー、アルケニル無水琥珀酸(ASA)、エポキシ化脂肪酸アミド、などが挙げられる。
前記湿潤紙力増強剤としては、例えば、ポリアミンポリアミドエピクロロヒドリン、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ化ポリアミド樹脂、等が挙げられる。
前記定着剤としては、例えば、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム等の多価金属塩;カチオン化澱粉等のカチオン性ポリマー、等が挙げられる。
前記pH調整剤としては、例えば、苛性ソーダ、炭酸ソーダ、等が挙げられる。
前記その他の薬剤としては、例えば、消泡剤、染料、スライムコントロール剤、蛍光増白剤、等が挙げられる。
更に必要に応じて、柔軟化剤等を添加することもできる。前記柔軟化剤としては、例えば、新・紙加工便覧(紙薬タイム社編)554〜555頁(1980年発行)などに記載のものを用いることができる。
【0018】
前記表面サイズ処理に使用される処理液には、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができ、例えば、水溶性高分子化合物、耐水性物質、顔料、染料、蛍光増白剤などが含まれていてもよい。
前記水溶性高分子化合物としては、例えば、カチオン化澱粉、ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースサルフェート、ゼラチン、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム、スチレン−無水マレイン酸共重合体ナトリウム塩、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、等が挙げられる。
前記耐水性物質としては、例えば、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、塩化ビニリデン共重合体等のラテックス・エマルジョン類;ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン、等が挙げられる。
前記顔料としては、例えば、炭酸カルシウム、クレー、カオリン、タルク、硫酸バリウム、酸化チタン、等が挙げられる。
【0019】
前記原紙は、剛性及び寸法安定性(カール性)の向上を図る点で、縦方向ヤング率(Ea)と横方向ヤング率(Eb)の比(Ea/Eb)が1.5〜2.0の範囲にあることが好ましい。Ea/Eb値が1.5未満、或いは2.0を超える範囲では、記録材料の剛性や、カール性が悪くなり易く、搬送時の走行性に支障をきたすことになるため、好ましくない。
【0020】
一般に、紙の「こし」は、叩解の様式の相違に基づいて異なることが分かっており、叩解後、抄紙してなる紙が持つ弾性力(率)を紙の「こし」の程度を表す重要な因子として用いることができる。特に、紙が持つ粘弾性体の物性を示す動的弾性率と密度との関係を利用し、これに超音波振動素子を使って紙中を伝播する音速を測定することにより、紙の弾性率を下記の式より求めることができる。
E=ρc2(1−n2)
〔但し、上記式において、Eは、動的弾性率を意味する。ρは密度を意味する。cは、紙中の音速を意味する。nは、ポアソン比を意味する。
【0021】
また、通常の紙の場合、n=0.2程度であるため、下記の式で計算しても大差なく、算出することができる。
E=ρc2
即ち、紙の密度、音速を測定することができれば、容易に弾性率を求めることができる。上式において、音速を測定する場合には、ソニックテスターSST−110型(野村商事(株)製)等の公知の各種機器を用いることができる。
【0022】
前記原紙の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができ、通常、30〜500μmが好ましく、50〜300μmがより好ましく、100〜250μmが更に好ましい。前記原紙の坪量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができ、例えば、50〜250g/m2が好ましく、100〜200g/m2がより好ましい。
【0023】
−合成紙−
前記合成紙は、セルロース以外のポリマー繊維を主成分とする紙であり、前記ポリマー繊維としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン繊維、などが挙げられる。
【0024】
−合成樹脂シート(フィルム)−
前記合成樹脂シート(フィルム)としては、合成樹脂をシート状に成形したもの等が挙げられ、例えば、ポリプロピレンフィルム、延伸ポリエチレンフィルム、延伸ポリプロピレン、ポリエステルフィルム、延伸ポリエステルフィルム、ナイロンフィルム、延伸により白色にしたフィルム、白色顔料を含む白色フィルムなどが挙げられる。
【0025】
−コート紙−
前記コート紙は、原紙等のシートに、各種の樹脂、ゴムラテックス又は高分子材料を片面又は両面に塗工した紙であり、用途に応じて、塗工量が異なる。このようなコート紙としては、例えば、アート紙、キャストコート紙、ヤンキー紙等が挙げられる。
【0026】
前記原紙等の表面に塗工する樹脂としては、熱可塑性樹脂を使用することが適当である。このような熱可塑性樹脂としては、例えば、以下の(イ)〜(チ)の熱可塑性樹脂を例示することができる。
【0027】
(イ)ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂や、エチレンやプロピレン等のオレフィンと、他のビニルモノマーとの共重合体樹脂や、アクリル樹脂等が挙げられる。
(ロ)エステル結合を有する熱可塑性樹脂である。例えば、ジカルボン酸成分(これらのジカルボン酸成分にはスルホン酸基、カルボキシル基等が置換していてもよい)と、アルコール成分(これらのアルコール成分には水酸基などが置換されていてもよい)との縮合により得られるポリエステル樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリブチルアクリレート等のポリアクリル酸エステル樹脂又はポリメタクリル酸エステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、スチレンアクリレート樹脂、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体樹脂、ビニルトルエンアクリレート樹脂等が挙げられる。
具体的には、特開昭59−101395号公報、同63−7971号公報、同63−7972号公報、同63−7973号公報、同60−294862号公報などに記載のものを挙げることができる。
また、市販品としては、東洋紡製のバイロン290、バイロン200、バイロン280、バイロン300、バイロン103、バイロンGK−140、バイロンGK−130;花王製のタフトンNE−382、タフトンU−5、ATR−2009、ATR−2010;ユニチカ製のエリーテルUE3500、UE3210、XA−8153、KZA−7049、KZA−1449;日本合成化学製のポリエスターTP−220、R−188;星光化学工業社製のハイロスシリーズの各種熱可塑性樹脂、等が挙げられる。
【0028】
(ハ)ポリウレタン樹脂等が挙げられる。
(ニ)ポリアミド樹脂、尿素樹脂等が挙げられる。
(ホ)ポリスルホン樹脂等が挙げられる。
(ヘ)ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−プロピオン酸ビニル共重合体樹脂等が挙げられる。
(ト)ポリビニルブチラール等の、ポリオール樹脂、エチルセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂等のセルロース樹脂等が挙げられる。
(チ)ポリカプロラクトン樹脂、スチレン−無水マレイン酸樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリエーテル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
なお、前記熱可塑性樹脂は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0029】
また、前記熱可塑性樹脂には、増白剤、導電剤、填料、酸化チタン、群青、カーボンブラック等の顔料や染料等を必要に応じて含有させておくことができる。
【0030】
−ラミネート紙−
前記ラミネート紙は、原紙等のシートに、各種の樹脂、ゴム又は高分子シート又はフィルム等をラミネートした紙である。前記ラミネート材料としては、例えば、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリイミド、トリアセチルセルロース等が挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0031】
前記ポリオレフィンは、一般に低密度ポリエチレンを用いて形成することが多いが、支持体の耐熱性を向上させるために、ポリプロピレン、ポリプロピレンとポリエチレンとのブレンド、高密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンとのブレンド等を用いるのが好ましい。特に、コストや、ラミネート適性等の点から、高密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンとのブレンドを用いるのが最も好ましい。
【0032】
前記高密度ポリエチレンと、前記低密度ポリエチレンとのブレンドは、例えば、ブレンド比率(質量比)1/9〜9/1で用いられる。該ブレンド比率としては、2/8〜8/2が好ましく、3/7〜7/3がより好ましい。該支持体の両面に熱可塑性樹脂層を形成する場合、支持体の裏面は、例えば、高密度ポリエチレン、或いは高密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンとのブレンドを用いて形成されるのが好ましい。ポリエチレンの分子量としては、特に制限はないが、メルトインデックスが、高密度ポリエチレン及び低密度ポリエチレンのいずれについても、1.0〜40g/10分の間のものであって、押出し適性を有するものが好ましい。
尚、これらのシート又はフィルムには、白色反射性を与える処理を行ってもよい。このような処理方法としては、例えば、これらのシート又はフィルム中に酸化チタンなどの顔料を配合する方法が挙げられる。
【0033】
前記支持体の厚みとしては、25μm〜300μmが好ましく、50μm〜260μmがより好ましく、75μm〜220μmが更に好ましい。該支持体の剛度としては、種々のものがその目的に応じて使用することが可能であり、写真画質の電子写真用受像シート用の支持体としては、カラー銀塩写真用の支持体に近いものが好ましい。
【0034】
〔トナー受像層〕
前記トナー受像層は、第1のトナー受像層と、該第1トナー受像層上に設けられた第2のトナー受像層とを含む。
前記第1トナー受像層及び第2トナー受像層は、いずれもコア/シェル型ラテックス粒子の水分散液を含有すると共に、該第1トナー受像層におけるコア/シェル型ラテックス粒子(A)の下記ディマルジオの計算式から算出された絶対温度でのガラス転移温度〔aTgA(t)〕と、該第2トナー受像層におけるコア/シェル型ラテックス粒子(B)の下記ディマルジオの計算式から算出された絶対温度でのガラス転移温度〔aTgB(t)〕とが、aTgA(t)<aTgB(t)の関係を満たす。aTgA(t)≧aTgB(t)になると、耐接着性及び光沢度が大きく低下することとなる。
〔ディマルジオの計算式〕
1/aTg(t)=w(c)/aTg(c)+w(s)/aTg(s)
上記式において、aTg(c)は、トナー受像層のコア/シェル型ラテックス粒子におけるコアの絶対温度でのガラス転移温度を意味する。aTg(s)は、トナー受像層のコア/シェル型ラテックス粒子におけるシェルの絶対温度でのガラス転移温度を意味する。w(c)は、トナー受像層のコア/シェル型ラテックス粒子中におけるコアの質量比を意味する。w(s)は、トナー受像層のコア/シェル型ラテックス粒子中におけるシェルの質量比を意味する。
【0035】
前記第1トナー受像層に含有されているコア/シェル型ラテックス粒子(A)の絶対温度でのガラス転移温度〔aTgA(t)〕は243〜293Kが好ましく、253〜283Kがより好ましい。また、前記第2トナー受像層に含有されているコア/シェル型ラテックス粒子(B)の絶対温度でのガラス転移温度〔aTgB(t)〕は、前記aTgA(t)<aTgB(t)の関係を満たす限り、特に制限されないが、270〜340Kが好ましく、280〜330Kがより好ましい。
【0036】
−コア/シェル型ラテックス粒子−
前記コア/シェル型ラテックス粒子(A)の水分散液は、乳化剤を使用しないで合成され、以下の特性(1)〜(5)を満たすことが好ましい。
(1)第1トナー受像層に含有されているコア/シェル型ラテックス粒子(A)におけるコアの数平均分子量〔MnA(c)〕が、30000〜500000であること。
(2)第1トナー受像層に含有されているコア/シェル型ラテックス粒子(A)におけるシェルの数平均分子量〔MnA(s)〕が、3000〜30000であること。
(3)第1トナー受像層に含有されているコア/シェル型ラテックス粒子(A)におけるコア対シェルの質量比〔wA(c):wA(s)〕が、90:10〜35:65であること。
(4)第1トナー受像層に含有されているコア/シェル型ラテックス粒子(A)におけるコアの絶対温度でのガラス転移温度〔aTgA(c)〕が、303K以下であること。
(5)第1トナー受像層に含有されているコア/シェル型ラテックス粒子(A)におけるシェルの絶対温度でのガラス転移温度〔aTgA(s)〕が、303K〜373Kであること。
【0037】
前記コア/シェル型ラテックス粒子(A)におけるコアの数平均分子量〔MnA(c)〕は、30000〜500000が好ましく、40000〜400000より好ましく、60000〜300000が更に好ましい。前記MnA(c)が30000未満であると、ひび割れ防止性が悪化する場合があり、一方、500000を超えると、130℃での貯蔵弾性率(G’)が高くなり、画質が低下するので好ましくない。
また、前記コア/シェル型ラテックス粒子(A)におけるシェルの数平均分子量〔MnA(s)〕は、3000〜30000が好ましく、5000〜20000がより好ましく、6000〜10000が更に好ましい。前記MnA(s)が3000未満であると、ひび割れ防止性及び耐接着性が悪化する場合があり、一方、30000を超えると、画質が低下するので好ましくない。
【0038】
前記コア/シェル型ラテックス粒子(A)における、コア対シェルの質量比〔wA(c):wA(s)〕、コアの絶対温度でのガラス転移温度〔aTgA(c)〕及びシェルの絶対温度でのガラス転移温度〔aTgA(s)〕は、それぞれ、前記ディマルジオの計算式で計算した場合に、aTgA(t)<aTgB(t)の関係を満たす値であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができ、具体的にはそれぞれ以下のものが好適である。
【0039】
前記コア/シェル型ラテックス粒子(A)におけるコア対シェルの質量比〔wA(c):wA(s)〕は、90:10〜35:65が好ましく、80:20〜40:60がより好ましい。
前記コア対シェルの質量比がこの範囲を外れると、湿変ひび割れ及びひび割れが悪化し、画質が低下するので好ましくない。
前記コア対シェルの質量比を好適な範囲に調整することにより、前記コア/シェル型ラテックス粒子(A)の絶対温度でのガラス転移温度〔aTgA(t)〕及びコア/シェル型ラテックス粒子(B)の絶対温度でのガラス転移温度〔aTgB(t)〕を前記の好適な範囲に調整することができる。その結果、特に湿変ひび割れが抑制され、耐接着性が高いと共にひび割れが抑制され、光沢度の高い画像を好適に形成可能な電子写真用受像シートを得ることができる。
【0040】
前記コア/シェル型ラテックス粒子(A)におけるコアの絶対温度でのガラス転移温度〔aTgA(c)〕は、303K以下が好ましく、283K以下がより好ましい。前記aTgA(c)が303Kを超えると、ひび割れ防止性が悪化することとなり好ましくない。
また、前記コア/シェル型ラテックス粒子(A)におけるシェルの絶対温度でのガラス転移温度〔aTgA(s)〕は、303K〜373Kが好ましく、323〜353Kがより好ましい。前記aTgA(s)が303K未満であると、耐接着性及び湿変ひび割れ性が悪化する場合があり、一方、前記aTgA(s)が373Kを超えると、光沢度が低下して好ましくない。
【0041】
また、前記コア/シェル型ラテックス粒子(B)の水分散液は、乳化剤を使用しないで合成され、以下の特性(1)〜(5)を満たすことが好ましい。
(1)第2トナー受像層に含有されているコア/シェル型ラテックス粒子(B)におけるコアの数平均分子量〔MnB(c)〕が、30000〜500000であること。
(2)第2トナー受像層に含有されているコア/シェル型ラテックス粒子(B)におけるシェルの数平均分子量〔MnB(s)〕が、3000〜30000であること。
(3)第2トナー受像層に含有されているコア/シェル型ラテックス粒子(B)におけるコア対シェルの質量比〔wB(c):wB(s)〕が、10:90〜60:40であること。
(4)第2トナー受像層に含有されているコア/シェル型ラテックス粒子(B)におけるコアの絶対温度でのガラス転移温度〔aTgB(c)〕が、303K以下であること。
(5)第2トナー受像層に含有されているコア/シェル型ラテックス粒子(B)におけるシェルの絶対温度でのガラス転移温度〔aTgB(s)〕が、323K〜373Kであること。
【0042】
前記コア/シェル型ラテックス粒子(B)におけるコアの数平均分子量〔MnB(c)〕は、30000〜500000が好ましく、40000〜400000がより好ましく、60000〜200000が更に好ましい。前記MnB(c)が30000未満であると、ひび割れ防止性及び耐接着性が悪化する場合があり、一方、500000を超えると、130℃での貯蔵弾性率(G’)が高くなり、画質が低下するので好ましくない。
また、前記コア/シェル型ラテックス粒子(B)におけるシェルの数平均分子量〔MnB(s)〕は、3000〜30000が好ましく、5000〜20000がより好ましく、6000〜10000が更に好ましい。前記MnB(s)が3000未満であると、ひび割れ防止性及び耐接着性が悪化する場合があり、一方、30000を超えると、画質が低下するので好ましくない。
【0043】
本発明においては、前記コア/シェル型ラテックス粒子(B)における、コア対シェルの質量比〔wB(c):wB(s)〕、コアの絶対温度でのガラス転移温度〔aTgB(c)〕及びシェルの絶対温度でのガラス転移温度〔aTgB(s)〕は、それぞれ、前記ディマルジオの計算式で計算した場合に、aTgA(t)<aTgB(t)の関係を満たす値であれば、特に制限されないが、具体的にはそれぞれ以下のものが好適である。
【0044】
前記コア/シェル型ラテックス粒子(B)におけるコア対シェルの質量比〔wB(c):wB(s)〕は、10:90〜65:35が好ましく、20:80〜60:40がより好ましい。前記コア対シェルの質量比がこの範囲を外れると、湿変ひび割れ防止性及びひび割れ防止性が悪化し、画質が低下するので好ましくない。
前記コア対シェルの質量比を好適な範囲に調整することにより、前記コア/シェル型ラテックス粒子(A)の絶対温度でのガラス転移温度〔aTgA(t)〕及びコア/シェル型ラテックス粒子(B)の絶対温度でのガラス転移温度〔aTgB(t)〕を前記の好適な範囲に調整することができる。その結果、特に湿変ひび割れが抑制され、耐接着性が高いと共にひび割れが抑制され、光沢度の高い画像を好適に形成可能な電子写真用受像シートを得ることができる。
【0045】
前記コア/シェル型ラテックス粒子(B)におけるコアの絶対温度でのガラス転移温度〔aTgB(c)〕は、303K以下が好ましく、283K以下がより好ましい。前記aTgB(c)が303Kを超えると、ひび割れ防止性が低下し好ましくない。
前記コア/シェル型ラテックス粒子(B)におけるシェルの絶対温度でのガラス転移温度〔aTgB(s)〕は、323K〜373Kが好ましく、333〜363Kがより好ましい。前記aTgB(s)が323K未満であると、耐接着性が低下しやすい場合があり、一方、前記aTgB(s)が373Kを超えると、画質が低下しやすい。
【0046】
前記コア/シェル型ラテックス粒子(A)の平均粒径(数平均粒径(D50))は、好ましくは0.5μm以下であり、更に好ましくは、0.2μm以下である。平均粒径(数平均粒径(D50))が、0.5μmを超えると、コア/シェル構造の特徴を生かすことができない。
また、前記コア/シェル型ラテックス粒子(B)の平均粒径(数平均粒径(D50))は、好ましくは0.5μm以下であり、更に好ましくは、0.2μm以下である。平均粒径(数平均粒径(D50))が、0.5μmを超えると、コア/シェル構造の特徴を生かすことができない。
【0047】
前記コア/シェル型ラテックス粒子(A)及びコア/シェル型ラテックス粒子(B)の403Kにおける貯蔵弾性率は、好ましくは、5×102〜5×104Pa、特に好ましくは、7×102〜1×104Paとすることが適当である。前記貯蔵弾性率が、5×102Pa未満では、定着ロールへのオフセット防止性が低下するので好ましくない。一方、前記貯蔵弾性率が、5×104Paを超えると、画質が低下し易いので、やはり好ましくない。
【0048】
前記コア/シェル型ラテックス粒子は、水分散液の形態で使用される。従って、有機溶媒を使用する場合に遭遇する環境問題や、作業環境の問題が低減される。
前記コア/シェル型ラテックス粒子(A)及びコア/シェル型ラテックス粒子(B)は、それぞれ、水分散液の質量に基づいて、固形分濃度で、10〜60質量%、好ましくは、20〜50質量%の範囲で使用することが適当である。
前記コア/シェル型ラテックス粒子の水分散液には、必要に応じて各種添加剤を配合することができる。前記添加剤としては、例えば、マット剤、顔料、可塑剤、離型剤、潤滑剤、増粘剤、帯電防止剤、蛍光増白剤、色味調整染料、等が挙げられる。
【0049】
−コア/シェル型ラテックス粒子の製造−
前記水分散液に含まれるコア/シェル型ラテックス粒子を製造する方法としては、各種の製造方法を使用することができる。このような乳化剤(界面活性剤)を使用しない乳化重合方法によって得られたコア/シェル型ラテックス粒子は、通常、「ソープフリーラテックス」と呼ばれている(例えば、「アクリル樹脂の合成・設計と新用途開発」(中部経営開発センター出版部、昭和60年7月1日発行)279〜281頁)。
このようなソープフリーラテックスの製造方法としては、例えば、シード法や、反応性乳化剤法、オリゴマー法等が挙げられる。
前記シード法は、水溶性又は水分散性のポリマーを予め調製しておき、これをシードポリマーとして、モノマーを加え、重合させる方法である。
前記シード法では、通常、シードポリマーがコア部を形成し、モノマーの重合に従って、重合したポリマーがシェル部を形成し、コア/シェル構造を形成する。
【0050】
前記反応性乳化剤法は、分子中にエチレン性不飽和結合とアニオン性又はノニオン性の親水性基とを有する化合物(反応性乳化剤)を、従来の乳化剤と同様に使用する方法である。但し、使用される反応性乳化剤は、生成する重合体中に取り込まれ、乳化剤として残存することはない。
前記反応性乳化剤としては、各種の反応性乳化剤が知られており、アクリル酸誘導体(特開昭55−11252号公報、特開昭56−28208号公報等)、イタコン酸誘導体(特開昭51−30284号公報等)、マレイン酸誘導体(特開昭51−30284号公報、特公昭56−29657号公報等)、フマル酸誘導体(特開昭51−30285号公報、特開昭51−30284号公報等)などが挙げられる。
【0051】
以下、シード法を例にとって、本発明のコア/シェル型ラテックス樹脂組成物の製造方法について説明する。
前記コア/シェル型ラテックス樹脂組成物を製造するのに適当なシードポリマーとしては、乳化重合法、懸濁重合法、分散重合法のいずれの方法で調製されたシードポリマーを使用することができる。このうち、乳化重合法で調製されたシードポリマーを使用することが適当である。前記乳化重合法において乳化剤が使用されているとしても、分離及び精製工程によって乳化剤の量を大幅に低減することができる。また、若干、シードポリマーに乳化剤が含まれていても、シードポリマーがコア/シェル構造内に取り込まれ、コア/シェル構造表面に存在することがないので、湿度の影響を受け難い。一方、懸濁重合法、分散重合法で調製したシードポリマーについては、分散剤、溶媒等を除去する煩雑な工程が必要となる。
前記シードポリマーとしては、具体的には、水溶性高分子が好適であり、例えば、ポリアクリル酸塩又はその共重合体、ゼラチン、トラガカントゴム、澱粉、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、などを使用することができる。
【0052】
前記シード法において、上記シードポリマーの存在下で、添加されるモノマーとしては、ラジカル重合可能なものであれば、各種のエチレン性不飽和モノマーを使用することができる。この場合、前記モノマーとしては、上記シードポリマーを製造するのに使用したモノマーと同一であっても、異なるものであってもよい。
このようなモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、モノビニル芳香族モノマー、(メタ)ビニルエステル系モノマー、ビニルエーテル系モノマー、モノオレフィン系モノマー、ジオレフィン系モノマー、ハロゲン化オレフィン系モノマー、ポリビニル系モノマー等が好適に挙げられる。
【0053】
前記(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸メチル、β−ヒドロキシアクリル酸エチル、γ−アミノアクリル酸プロピル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、又はこれらの混合物が好適に挙げられる。
前記ビニル芳香族系モノマーとしては、例えば、スチレンや、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、p−エチルスチレン、p−ブチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、p−ヘキシルスチレン、p−オクチルスチレン、p−ノニルスチレン、p−デシルスチレン、p−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、3,4−ジクロルスチレン等のスチレン系モノマー、又は該スチレン系モノマーの誘導体、又はこれらの混合物が挙げられる。
【0054】
前記ビニルエステル系モノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル、等が挙げられる。
前記ビニルエーテル系モノマーとしては、例えば、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、ビニルフェニルエーテル、等が挙げられる。
前記オレフィン系モノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン等のモノオレフィン系モノマー;ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のジオレフィン系モノマー、等が挙げられる。
更に、シードポリマーの特性を改良するために架橋性モノマーを添加してもよい。前記架橋性モノマーとしては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルエーテル、ジエチレングリコールメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、フタル酸ジアリル等の不飽和結合を2個以上有するものが挙げられる。
【0055】
前記シード法においては、ラジカル重合開始剤を使用することができる。前記ラジカル重合開始剤は、水溶性であれば、適宜使用が可能である。このようなラジカル重合開始剤としては、例えば、過硫酸塩(過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等);アゾ系化合物(4,4’−アゾビス4−シアノ吉草酸及びその塩、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩等);パーオキサイド化合物等が好適に挙げられる。
【0056】
更に、上記重合開始剤は、必要に応じて還元剤と組み合わせレドックス系開始剤としてもよい。レドックス系開始剤を用いることにより、重合活性が上昇し、重合温度の低下が図れ、更に重合時間の短縮が期待できる。
前記重合温度は、重合開始剤の最低ラジカル生成温度以上であれば、どの温度を選択しても良いが、例えば、通常50℃〜80℃の範囲が用いられる。但し、常温開始の重合開始剤、例えば、過酸化水素−還元剤(アスコルビン酸等)の組み合わせを用いることで室温又はそれ以下の温度で重合することも可能である。
【0057】
上記のようにして得られたコア/シェル型ラテックス粒子は、上記の特徴的な物性を有する。
【0058】
前記第1トナー受像層の厚み(G1)と第2トナー受像層の厚み(G2)との比(G1:G2)は、20:80〜80:20が好ましく、30:70〜70:30がより好ましい。前記第1トナー受像層と第2トナー受像層との厚みの比がこの範囲を外れると、プリント後の光沢、耐接着性、及び脆性が低下する。
なお、前記第1トナー受像層の厚み(G1)は2〜50μmが好ましい。また、前記第2トナー受像層の厚み(G2)は2〜50μmが好ましい。
【0059】
次に、前記トナー受像層には、前記コア/シェル型ラテックス粒子の他に、トナー受像層の熱力学的特性を改良する目的で各種添加剤を配向することができる。該各種添加剤としては、例えば、離型剤、可塑剤、着色剤、フィラー、架橋剤、帯電制御剤、その他の添加剤、などが挙げられる。
【0060】
−離型剤−
前記離型剤は、トナー受像層のオフセットを防ぐため、トナー受像層に配合される。前記離型剤は、定着温度において加熱・融解し、トナー受像層表面に析出してトナー受像層表面に偏在し、更に、冷却・固化されることによってトナー受像層表面に離型剤材料の層を形成するものであれば、その種類は限定されない。このような作用効果を奏する離型剤としては、シリコーン化合物、フッ素化合物、ワックス及びマット剤から選択される少なくとも1種の離型剤が挙げられる。好ましくは、シリコーンオイル、ポリエチレンワックス、カルナバワックス、及びシリコーン粒子並びにポリエチレンワックス粒子からなる群より選択される少なくとも1種以上の離型剤が挙げられる。
【0061】
前記離型剤としては、例えば、幸書房「改訂 ワックスの性質と応用」や、日刊工業新聞社発行のシリコーンハンドブック記載の化合物を用いることができる。また、特公昭59−38581号、特公平4−32380号、特許第2838498号、同2949558号、特開昭50−117433号、同52−52640号、同57−148755号、同61−62056号、同61−62057号、同61−118760号、特開平2−42451号、同3−41465号、同4−212175号、同4−214570号、同4−263267号、同5−34966号、同5−119514号、同6−59502号、同6−161150号、同6−175396号、同6−219040号、同6−230600号、同6−295093号、同7−36210号、同7−43940号、同7−56387号、同7−56390号、同7−64335号、同7−199681号、同7−223362号、同7−287413号、同8−184992号、同8−227180号、同8−248671号、同8−248799号、同8−248801号、同8−278663号、同9−152739号、同9−160278号、同9−185181号、同9−319139号、同9−319143号、同10−20549号、同10−48889号、同10−198069号、同10−207116号、同11−2917号、同11−44969号、同11−65156号、同11−73049号、同11−194542号各公報に記載のトナーに用いられているシリコーン系化合物、フッ素化合物又はワックスも好ましく用いることができる。また、これら化合物を複数組み合わせて使用することもできる。
【0062】
具体的には、シリコーン系化合物としては、シリコーンオイルとして無変性シリコーンオイル(具体的には、ジメチルシロキサンオイルや、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、フェニルメチルシリコーンオイル、市販品として信越化学工業製KF−96、KF−96L、KF−96H、KF−99、KF−50、KF−54、KF−56、KF−965、KF−968、KF−994、KF−995、HIVAC F−4、F−5;東レ・ダウコーニング・シリコーン製SH200、SH203、SH490、SH510、SH550、SH710、SH704、SH705、SH7028A、SH7036、SM7060、SM7001、SM7706、SH7036、SH8710、SH1107、SH8627;東芝シリコーン製TSF400、TSF401、TSF404、TSF405、TSF431、TSF433、TSF434、TSF437、TSF450シリーズ、TSF451シリーズ、TSF456、TSF458シリーズ、TSF483、TSF484、TSF4045、TSF4300、TSF4600、YF33シリーズ、YF−3057、YF−3800、YF−3802、YF−3804、YF−3807、YF−3897、XF−3905、XS69−A1753、TEX100、TEX101、TEX102、TEX103、TEX104、TSW831、など)、アミノ変性シリコーンオイル(市販品として信越化学工業製KF−857、KF−858、KF−859、KF−861、KF−864、KF−880、東レ・ダウコーニング・シリコーン製SF8417、SM8709、東芝シリコーン製TSF4700、TSF4701、TSF4702、TSF4703、TSF4704、TSF4705、TSF4706、TEX150、TEX151、TEX154など)、カルボキシ変性シリコーンオイル(市販品として東レ・ダウコーニング・シリコーン製BY16−880、東芝シリコーン製TSF4770、XF42−A9248など)、カルビノール変性シリコーンオイル(市販品として東芝シリコーン製XF42−B0970など)、ビニル変性シリコーンオイル(市販品として東芝シリコーン製XF40−A1987など)、エポキシ変性シリコーンオイル(市販品として東レ・ダウコーニング・シリコーン製SF8411、SF8413;東芝シリコーン製TSF3965、TSF4730、TSF4732、XF42−A4439、XF42−A4438、XF42−A5041、XC96−A4462、XC96−A4463、XC96−A4464、TEX170など)、ポリエーテル変性シリコーンオイル(市販品として信越化学工業製KF−351(A)、KF−352(A)、KF−353(A)、KF−354(A)、KF−355(A)、KF−615(A)、KF−618、KF−945(A);東レ・ダウコーニング・シリコーン製SH3746、SH3771、SF8421、SF8419、SH8400、SF8410;東芝シリコーン製TSF4440、TSF4441、TSF4445、TSF4446、TSF4450、TSF4452、TSF4453、TSF4460など)、シラノール変性シリコーンオイル、メタクリル変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイル(市販品として東レ・ダウコーニング・シリコーン製SF8427、SF8428、東芝シリコーン製TSF4750、TSF4751、XF42−B0970など)、アルキル変性シリコーンオイル(市販品として東レ・ダウコーニング・シリコーン製SF8416、東芝シリコーン製TSF410、TSF411、TSF4420、TSF4421、TSF4422、TSF4450、XF42−334、XF42−A3160、XF42−A3161など)、フッ素変性シリコーンオイル(市販品として東レ・ダウコーニング・シリコーン製FS1265、東芝シリコーン製FQF501など)、シリコーンゴムやシリコーン微粒子(市販品として東レ・ダウコーニング・シリコーン製SH851U、SH745U、SH55UA、SE4705U、SH502UA&B、SRX539U、SE6770U−P、DY38−038、DY38−047、トレフィルF−201、F−202、F−250、R−900、R−902A、E−500、E−600、E−601、E−506、BY29−119;東芝シリコーン製トスパール105、120、130、145、240、3120など)、シリコーン変性樹脂(具体的には、オレフィン樹脂やポリエステル樹脂、ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂などやこれらの共重合樹脂をシリコーン変性した化合物など、市販品として大日精化製ダイアロマーSP203V、SP712、SP2105、SP3023;日本油脂製モディパーFS700、FS710、FS720、FS730、FS770;東亜合成化学製サイマックUS−270、US−350、US−352、US−380、US−413、US−450、レゼダGP−705、GS−30、GF−150、GF−300;東レ・ダウコーニング・シリコーン製SH997、SR2114、SH2104、SR2115、SR2202、DCI−2577、SR2317、SE4001U、SRX625B、SRX643、SRX439U、SRX488U、SH804、SH840、SR2107、SR2115;東芝シリコーン製YR3370、TSR1122、TSR102、TSR108、TSR116、TSR117、TSR125A、TSR127B、TSR144、TSR180、TSR187、YR47、YR3187、YR3224、YR3232、YR3270、YR3286、YR3340、YR3365、TEX152、TEX153、TEX171、TEX172など)、反応性シリコーン化合物(具体的には、付加反応型や、過酸化物硬化型、紫外線硬化型があり、市販品として東芝シリコーン製TSR1500、TSR1510、TSR1511、TSR1515、TSR1520、YR3286、YR3340、PSA6574、TPR6500、TPR6501、TPR6600、TPR6702、TPR6604、TPR6700、TPR6701、TPR6705、TPR6707、TPR6708、TPR6710、TPR6712、TPR6721、TPR6722、UV9300、UV9315、UV9425、UV9430、XS56−A2775、XS56−A2982、XS56−A3075、XS56−A3969、XS56−A5730、XS56−A8012、XS56−B1794、SL6100、SM3000、SM3030、SM3200、YSR3022など)などが挙げられる。
【0063】
前記フッ素化合物としては、フッ素オイル(市販品としてダイキン工業製ダイフロイル#1、#3、#10、#20、#50、#100、ユニダインTG−440、TG−452、TG−490、TG−560、TG−561、TG−590、TG−652、TG−670U、TG−991、TG−999、TG−3010、TG−3020、TG−3510;トーケムプロダクツ製MF−100、MF−110、MF−120、MF−130、MF−160、MF−160E;旭硝子製サーフロンS−111、S−112、S−113、S−121、S−131、S−132、S−141、S−145;三井フロロケミカル製FC−430、FC−431など)、フッ素ゴム(市販品として東レ・ダウコーニング・シリコーン製LS63Uなど)、フッ素変性樹脂(市販品として日本油脂製モディパーF200、F220、F600、F2020、F3035;大日精化製ダイアロマーFF203、FF204;旭硝子製サーフロンS−381、S−383、S−393、SC−101、SC−105、KH−40、SA−100;トーケムプロダクツ製EF−351、EF−352、EF−801、EF−802、EF−601、TFE、TFEA、TFEMA、PDFOH;住友3M製THV−200Pなど)、フッ素スルホン酸化合物(市販品としてトーケムプロダクツ製EF−101、EF−102、EF−103、EF−104、EF−105、EF−112、EF−121、EF−122A、EF−122B、EF−122C、EF−123A、EF−123B、EF−125M、EF−132、EF−135M、EF−305、FBSA、KFBS、LFBSなど)、フルオロスルホン酸、フッ素酸化合物や塩(具体的には無水フッ酸、稀フッ酸、ホウフッ酸、ホウフッ化亜鉛、ホウフッ化ニッケル、ホウフッ化錫、ホウフッ化鉛、ホウフッ化銅、ケイフッ酸、フッ化チタン酸カリウム、パーフルオロカプリル酸、パーフルオロオクタン酸アンモニウムなど)、無機フッ化物(具体的にはフッ化アルミニウム、ケイフッ化カリウム、フッ化ジルコン酸カリウム、フッ化亜鉛4水和物、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、フッ化バリウム、フッ化錫、フッ化カリウム、酸性フッ化カリウム、フッ化マグネシウム、フッ化チタン酸、フッ化ジルコン酸、六フッ化リン酸アンモニウム、六フッ化リン酸カリウムなど)などが挙げられる。
【0064】
前記ワックスとしては、例えば、合成炭化水素、変性ワックス、水素化ワックス、天然ワックスなどが挙げられる。
【0065】
前記合成炭化水素としては、例えば、ポリエチレンワックス(市販品として中京油脂製ポリロンA、393、H−481;三洋化成製サンワックスE−310、E−330、E−250P、LEL−250、LEL−800、LEL−400Pなど)、ポリプロピレンワックス(市販品として三洋化成製ビスコール330−P、550−P、660−P)、フィッシャートロプシュワックス(市販品として日本精鑞製FT100、FT−0070など)、酸アミド化合物或いは酸イミド化合物(具体的には、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミドなど、市販品として中京油脂製セロゾール920、B−495、ハイミクロンG−270、G−110、ハイドリンD−757など)などが挙げられる。
【0066】
前記変性ワックスとしては、例えば、アミン変性ポリプロピレン(市販品として三洋化成製QN−7700)、アクリル酸変性やフッ素変性、オレフィン変性ワックス、ウレタン型ワックス(市販品として日本精鑞製NPS−6010、HAD−5090など)、アルコール型ワックス(市販品として日本精鑞製NPS−9210、NPS−9215、OX−1949、XO−020Tなど)などが挙げられる。
【0067】
前記水素化ワックスとしては、例えば、硬化ひまし油(市販品として伊藤製油製カスターワックスなど)、ヒマシ油誘導体(市販品として伊藤製油製の脱水ヒマシ油DCO、DCO Z−1、DCO Z−3、ヒマシ油脂肪酸CO−FA、リシノレイン酸、脱水ヒマシ油脂肪酸DCO−FA、脱水ヒマシ油脂肪酸エポキシエステルD−4エステル、ヒマシ油系ウレタンアクリレートCA−10、CA−20、CA−30、ヒマシ油誘導体MINERASOL S−74、S−80、S−203、S−42X、S−321、特殊ヒマシ油系縮合脂肪酸MINERASOL RC−2、RC−17、RC−55、RC−335、特殊ヒマシ油系縮合脂肪酸エステルMINERASOL LB−601、LB−603、LB−604、LB−702、LB−703、#11、L−164、など)、ステアリン酸(市販品として伊藤製油製の12−ヒドロキシステアリン酸など)、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ベヘニン酸、セバシン酸(市販品として伊藤製油製のセバシン酸など)、ウンデシレン酸(市販品として伊藤製油製のウンデシレン酸など)、ヘプチル酸(市販品として伊藤製油製のヘプチル酸など)、マレイン酸、高度マレイン化油(市販品として伊藤製油製のHIMALEIN DC−15、LN−10、00−15、DF−20、SF−20など)、吹込油(市販品として伊藤製油製のセルボノール#10、#30、#60、R−40、S−7など)、シクロペンタジエン化油(市販品として伊藤製油製のCPオイル、CPオイル−Sなど)などの合成ワックスなどが挙げられる。
【0068】
前記天然ワックスとしては、植物系ワックス、動物系ワックス、鉱物系ワックス及び石油ワックスから選択される少なくともいずれかが好ましい。
【0069】
前記植物系ワックスとしては、例えば、カルナバワックス(市販品として日本精鑞製EMUSTAR−0413、中京油脂製セロゾール524など)、ヒマシ油(市販品として伊藤製油製精製ヒマシ油など)、ナタネ油、大豆油、木ろう、綿ろう、ライスワックス、サトウキビワックス、キャンデリラワックス、ジャパンワックス、ホホバ油、などが挙げられる。これらの中でも、特に、耐オフセット性、耐接着性、通紙性、光沢感が優れ、ひび割れが生じ難く、高画質の画像を形成可能な電子写真用受像シートを提供可能である点で、融点が70〜95℃のカルナバワックスが特に好ましい。
前記動物系ワックスとしては、例えば、ラノリン、鯨蝋、ステ蝋(鯨油)、羊毛蝋、等が挙げられる。
【0070】
前記鉱物系ワックスとしては、例えば、モンタンワックス、モンタン系エステルワックス、オゾケライト、セレシン、脂肪酸エステル(市販品として新日本理化製サンソサイザーDOA、AN−800、DINA、DIDA、DOZ、DOS、TOTM、TITM、E−PS、nE−PS、E−PO、E−4030、E−6000、E−2000H、E−9000H、TCP、C−1100など)、等が挙げられる。これらの中でも、特に、耐オフセット性、耐接着性、通紙性、光沢感が優れ、ひび割れが生じ難く、高画質の画像を形成可能な電子写真用受像シートを提供可能である点で、融点が70〜95℃のカルナバワックスのモンタンワックスが特に好ましい。
【0071】
前記石油ワックスとしては、例えば、パラフィンワックス(市販品として日本精鑞製パラフィンワックス155、150、140、135、130、125、120、115、HNP−3、HNP−5、HNP−9、HNP−10、HNP−11、HNP−12、HNP−14G、SP−0160、SP−0145、SP−1040、SP−1035、SP−3040、SP−3035、NPS−8070、NPS−L−70、OX−2151、OX−2251、EMUSTAR−0384、EMUSTAR−0136、中京油脂製セロゾール686、428、651−A、A、H−803、B−460、E−172、866、K−133、ハイドリンD−337、E−139、日石三菱石油製125°パラフィン、125°FD、130°パラフィン、135°パラフィン、135°H、140°パラフィン、140°N、145°パラフィン、パラフィンワックスMなど)、マイクロクリスタリンワックス(市販品として日本精鑞製Hi−Mic−2095、Hi−Mic−3090、Hi−Mic−1080、Hi−Mic−1070、Hi−Mic−2065、Hi−Mic−1045、Hi−Mic−2045、EMUSTAR−0001、EMUSTAR−042X、中京油脂製セロゾール967、M、日石三菱石油製155マイクロワックス、180マイクロワックスなど)、ペトロラタム(市販品として日本精鑞製OX−1749、OX−0450、OX−0650B、OX−0153、OX−261BN、OX−0851、OX−0550、OX−0750B、JP−1500、JP−056R、JP−011Pなど)などが挙げられる。
【0072】
前記天然ワックスの前記トナー受像層(表面)における含有量(g/m2)としては、0.1〜4g/m2が好ましく、0.2〜2g/m2が好ましい。
前記含有量が、0.1g/m2未満であると、耐オフセット性、耐接着性が特に不充分となることがある一方、4g/m2を超えると、ワックス量が多過ぎ、形成される画像の画質が劣ることがある。
前記天然ワックスの融点(℃)としては、特に、耐オフセット性、及び、通紙性の点で、70〜95℃が好ましく、75〜90℃がより好ましい。
【0073】
前記マット剤としては、種々の公知のものが挙げられる。マット剤として用いられる固体粒子は、無機粒子と有機粒子とに分類できる。
前記無機マット剤の材料としては、具体的には、酸化物(例えば、二酸化ケイ素、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム)、アルカリ土類金属塩(例えば、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、硫酸マグネシウム)、ハロゲン化銀(例えば、塩化銀、臭化銀)、ガラス、などが挙げられる。
【0074】
前記無機マット剤としては、例えば、西独特許2529321号、英国特許760775号、同1260772号、米国特許1201905号、同2192241号、同3053662号、同3062649号、同3257206号、同3322555号、同3353958号、同3370951号、同3411907号、同3437484号、同3523022号、同3615554号、同3635714号、同3769020号、同4021245号、同4029504号の各明細書に記載されたものが挙げられる。
【0075】
前記有機マット剤の材料としては、例えば、デンプン、セルロースエステル(例えば、セルロースアセテートプロピオネート)、セルロースエーテル(例えば、エチルセルロース)、合成樹脂、などが挙げられる。前記合成樹脂は、水不溶性又は水難溶性であることが好ましい。
前記水不溶性又は水難溶性の合成樹脂としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸エステル(例えば、ポリアルキル(メタ)アクリレート、ポリアルコキシアルキル(メタ)アクリレート、ポリグリシジル(メタ)アクリレート)、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリビニルエステル(例えば、ポリ酢酸ビニル)、ポリアクリロニトリル、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン)、ポリスチレン、ベンゾグアナミン樹脂、ホルムアルデヒド縮合ポリマー、エポキシ樹脂、ポリアミド、ポリカーボネート、フェノール樹脂、ポリビニルカルバゾール、ポリ塩化ビニリデン、などが挙げられる。
以上のポリマーに使用されるモノマーを組み合わせたコポリマーを用いてもよい。
【0076】
前記コポリマーの場合、少量の親水性の繰り返し単位が含まれていてもよい。前記親水性の繰り返し単位を形成するモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、α,β−不飽和ジカルボン酸、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、スルホアルキル(メタ)アクリレート、スチレンスルホン酸、などが挙げられる。
前記有機マット剤としては、例えば、英国特許1055713号、米国特許1939213号、同2221873号、同2268662号、同2322037号、同2376005号、同2391181号、同2701245号、同2992101号、同3079257号、同3262782号、同3443946号、同3516832号、同3539344号、同3591379号、同3754924号、同3767448号の各明細書、特開昭49−106821号公報、特開昭57−14835号公報に記載されたものが挙げられる。
また、二種類以上の固体粒子を併用してもよい。固体粒子の平均粒径は、例えば、1〜100μmが好ましく、4〜30μmがより好ましい。固体粒子の使用量は、0.01〜0.5g/m2が好ましく、0.02〜0.3g/m2がより好ましい。
【0077】
前記トナー受像層に添加される離型剤としては、これらの誘導体や、酸化物、精製品、混合物を用いることもできる。また、これらは、反応性の置換基を有していてもよい。
【0078】
前記離型剤の融点(℃)としては、特に耐オフセット性、及び、通紙性の点で、70〜95℃が好ましく、75〜90℃がより好ましい。
また前記離型剤としては、特に、前記トナー受像層の熱可塑性樹脂として水系の熱可塑性樹脂を用いた場合の相溶性等の点で、水分散型の離型剤が好ましい。前記離型剤の含有量は、前記トナー受像層全量に対し0.1〜10質量%が好ましく、0.3〜8.0質量%がより好ましく、0.5〜5.0質量%が更に好ましい。
【0079】
−可塑剤−
前記可塑剤としては、公知の樹脂用の可塑剤を特に制限なく使用することができる。前記可塑剤は、トナーを定着する時の熱及び/又は圧力によって、トナー受像層が流動又は柔軟化するのを調整する機能を有する。
前記可塑剤としては、「化学便覧」(日本化学会編、丸善)、「可塑剤−その理論と応用−」(村井孝一編著、幸書房)、「可塑剤の研究 上」「可塑剤の研究 下」(高分子化学協会編)、「便覧 ゴム・プラスチック配合薬品」(ラバーダイジェスト社編)等を参考にして選択することができる。
【0080】
前記可塑剤は、高沸点有機溶剤や熱溶剤などとして記載されているものもあるが、例えば、特開昭59−83154号、同59−178451号、同59−178453号、同59−178454号、同59−178455号、同59−178457号、同62−174754号、同62−245253号、同61−209444号、同61−200538号、同62−8145号、同62−9348号、同62−30247号、同62−136646号、同62−174754号、同62−245253号、同61−209444号、同61−200538号、同62−8145号、同62−9348号、同62−30247号、同62−136646号、特開平2−235694号などの各公報等に記載されているようなエステル類(例えば、フタル酸エステル類、リン酸エステル類、脂肪酸エステル類、アビエチン酸エステル類、アジピン酸エステル類、セバシン酸エステル類、アゼライン酸エステル類、安息香酸エステル類、酪酸エステル類、エポキシ化脂肪酸エステル類、グリコール酸エステル類、プロピオン酸エステル類、トリメリット酸エステル類、クエン酸エステル類、スルホン酸エステル類、カルボン酸エステル類、コハク酸エステル類、マレイン酸エステル類、フマル酸エステル類、フタル酸エステル類、ステアリン酸エステル類など)、アミド類(例えば、脂肪酸アミド類、スルホアミド類など)、エーテル類、アルコール類、ラクトン類、ポリエチレンオキシ類などの化合物が挙げられる。
前記可塑剤は、樹脂に混合して使用することができる。
【0081】
前記可塑剤としては、比較的低分子量のポリマーを用いることができる。この場合、前記可塑剤の分子量としては、可塑化されるべきバインダー樹脂の分子量より低いものが好ましい。前記可塑剤の分子量は15000以下が好ましく、5000以下がより好ましい。
また、ポリマー可塑剤の場合、可塑化されるべきバインダー樹脂と同種のポリマーであることが好ましい。例えば、ポリエステル樹脂の可塑化には、低分子量のポリエステルが好ましい。更にオリゴマーも可塑剤として用いることができる。
上記に挙げた化合物以外にも市販品として、例えば、旭電化工業製アデカサイザーPN−170、PN−1430;C.P.HALL社製品PARAPLEX−G−25、G−30、G−40;理化ハーキュレス製品エステルガム8L−JA、エステルR−95、ペンタリン4851、FK115、4820、830、ルイゾール28−JA、ピコラスチックA75、ピコテックスLC、クリスタレックス3085等が挙げられる。
【0082】
前記可塑剤は、トナー粒子がトナー受像層に埋め込まれる際に生じる応力や歪み(弾性力や粘性などの物理的な歪み、分子やバインダー主鎖やペンダント部分などの物質収支による歪み等)を緩和するために任意に使用することができる。
前記可塑剤は、トナー受像層中において、ミクロに分散された状態でもよいし、海島状にミクロに相分離した状態でもよいし、バインダー等の他の成分と充分に混合溶解した状態でもよい。
前記可塑剤の、前記トナー受像層における含有量としては、0.001〜90質量%が好ましく、0.1〜60質量%がより好ましく、1〜40質量%が更に好ましい。
前記可塑剤は、スベリ性(摩擦力低下による搬送性向上)の調整や、定着部オフセット(定着部へのトナーや層の剥離)の改良、カールバランスの調整、帯電調整(トナー静電像の形成)等の目的で使用してもよい。
【0083】
−着色剤−
前記着色剤としては、蛍光増白剤、白色顔料、有色顔料、染料等が挙げられる。
前記蛍光増白剤は、近紫外部に吸収を持ち、400〜500nmに蛍光を発する化合物で、公知の蛍光増白剤が特に制限なく各種使用することができる。該蛍光増白剤としては、K.VeenRataraman編“The Chemistry of Synthetic Dyes”V巻8章に記載されている化合物を好適に挙げることができる。具体的には、スチルベン系化合物や、クマリン系化合物、ビフェニル系化合物、ベンゾオキサゾリン系化合物、ナフタルイミド系化合物、ピラゾリン系化合物、カルボスチリル系化合物などが挙げられる。それらの例としては、住友化学製ホワイトフルファーPSN、PHR、HCS、PCS、B;Ciba−Geigy社製UVITEX−OBなどが挙げられる。
【0084】
前記白色顔料としては、後述するフィラーの項の無機顔料(例えば、酸化チタン、炭酸カルシウム他)を用いることができる。
前記有色顔料としては、特開昭63−44653号公報等に記載されている各種顔料及びアゾ顔料(例えば、アゾレーキ;カーミン6B、レッド2B、不溶性アゾ;モノアゾイエロ、ジスアゾイエロ、ピラゾロオレンジ、バルカンオレンジ、縮合アゾ系;クロモフタルイエロ、クロモフタルレッド)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン系;銅フタロシアニンブルー、銅フタロシアニングリーン、シオキサジン系;ジオキサジンバイオレット、イソインドリノン系;イソインドリノンイエロ、スレン系;ペリレン、ペリノン、フラバントロン、チオインジゴ;レーキ顔料(例えば、マラカイトグリーン、ローダミンB、ローダミンG、ビクトリアブルーB);無機顔料(例えば、酸化物、二酸化チタン、ベンガラ、硫酸塩;沈降性硫酸バリウム、炭酸塩;沈降性炭酸カルシウム、硅酸塩;含水硅酸塩、無水硅酸塩、金属粉;アルミニウム粉、ブロンズ粉、亜鉛末、カーボンブラック、黄鉛、紺青等)などが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記顔料としては、特に酸化チタンが好ましい。
【0085】
前記染料としては、公知の種々の染料を用いることができる。
前記油溶性染料としては、アントラキノン系化合物、アゾ系化合物などが挙げられる。
前記水不溶性染料としては、例えば、C.I.Vatヴァイオレット1、C.I.Vatヴァイオレット2、C.I.Vatヴァイオレット9、C.I.Vatヴァイオレット13,C.I.Vatヴァイオレット21、C.I.Vatブルー1、C.I.Vatブルー3、C.I.Vatブルー4、C.I.Vatブルー6、C.I.Vatブルー14、C.I.Vatブルー20、C.I.Vatブルー35等の建染染料;C.I.ディスパーズヴァイオレット1、C.I.ディスパーズヴァイオレット4、C.I.ディスパーズヴァイオレット10、C.I.ディスパーズブルー3、C.I.ディスパーズブルー7、C.I.ディスパーズブルー58等の分散染料;C.I.ソルベントヴァイオレット13、C.I.ソルベントヴァイオレット14、C.I.ソルベントヴァイオレット21、C.I.ソルベントヴァイオレット27、C.I.ソルベントブルー11、C.I.ソルベントブルー12、C.I.ソルベントブルー25、C.I.ソルベントブルー55、などが挙げられる。
なお、銀塩写真で用いられているカラードカプラーも好ましく用いることができる。
【0086】
前記着色剤の、前記トナー受像層(表面)における含有量(g/m2)としては、0.1〜8g/m2が好ましく、0.5〜5g/m2がより好ましい。
前記着色剤の含有量が0.1g/m2に満たないと、トナー受像層における光透過率が高くなり、一方、着色剤の含有量が8g/m2を超えると、ヒビ割れ、耐接着等の取り扱い性が悪いことがある。
【0087】
−フィラー−
前記フィラーとしては、有機フィラー又は無機のフィラーが挙げられ、バインダー樹脂用の補強剤や、充填剤、強化材として公知のものが用いることができる。
前記フィラーとしては、「便覧 ゴム・プラスチック配合薬品」(ラバーダイジェスト社編)、「新版 プラスチック配合剤 基礎と応用」(大成社)、「フィラーハンドブック」(大成社)等を参考にして選択することができる。
また、前記フィラーとして、各種無機フィラー(又は顔料)を用いることができる。前記無機顔料としては、例えば、シリカ、アルミナ、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、雲母状酸化鉄、鉛白、酸化鉛、酸化コバルト、ストロンチウムクロメート、モリブデン系顔料、スメクタイト、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、ムライト等が挙げられる。前記フィラーとしては、特に、シリカや、アルミナが好ましい。これらのフィラーは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また前記フィラーとしては、粒径の小さいものが好ましい。粒径が大きいと、トナー受像層の表面が粗面化し易い。
【0088】
前記シリカには、球状シリカと無定形シリカが含まれる。該シリカは、乾式法、湿式法又はエアロゲル法により合成できる。疎水性シリカ粒子の表面を、トリメチルシリル基又はシリコーンで表面処理してもよい。シリカとしては、コロイド状シリカが好ましい。シリカの平均粒径としては、200〜5000nmが好ましい。
前記シリカは、多孔質であるのが好ましい。多孔質シリカの平均孔径は、4〜120nmが好ましく、4〜90nmがより好ましい。また、多孔質シリカの質量当りの平均孔容積は、0.5〜3ml/gが好ましい。
【0089】
前記アルミナには、無水アルミナ及びアルミナ水和物が含まれる。前記無水アルミナの結晶型としては、α、β、γ、δ、ζ、η、θ、κ、ρ又はχを用いることができる。無水アルミナよりもアルミナ水和物の方が好ましい。前記アルミナ水和物としては、一水和物又は三水和物を用いることできる。前記一水和物には、擬ベーマイト、ベーマイト、ダイアスポアが含まれる。前記三水和物には、ジブサイト、バイヤライトが含まれる。
前記アルミナの平均粒径としては、4〜300nmが好ましく、4〜200nmがより好ましい。前記アルミナは、多孔質であるのが好ましい。多孔質アルミナの平均孔径としては、50〜500nmが好ましい。多孔質アルミナの質量当りの平均孔容積としては、0.3〜3ml/g程度が好ましい。
【0090】
前記アルミナ水和物は、アルミニウム塩溶液にアンモニアを加えて沈澱させるゾルゲル法又はアルミン酸アルカリを加水分解する方法により合成できる。前記無水アルミナは、アルミナ水和物を加熱により脱水することで得ることができる。
前記フィラーは、添加する層のバインダーの乾燥質量に基づいて、5〜2000質量部が好ましい。
【0091】
−架橋剤−
前記架橋剤は、トナー受像層の保存安定性や、熱可塑性等を調整するために配合することができる。このような架橋剤としては、反応基としてエポキシ基、イソシアネート基、アルデヒド基、活性ハロゲン基、活性メチレン基、アセチレン基、その他公知の反応基を2個以上分子内に有する化合物が用いられる。
【0092】
前記架橋剤として、これとは別に、水素結合、イオン結合、配位結合等により結合を形成することが可能な基を2個以上有する化合物も用いることができる。前記架橋剤としては、樹脂用のカップリング剤、硬化剤、重合剤、重合促進剤、凝固剤、造膜剤、造膜助剤等として公知の化合物を用いることができる。カップリング剤の例としては、例えば、クロロシラン類、ビニルシラン類、エポキシシラン類、アミノシラン類、アルコキシアルミニウムキレート類、チタネートカップリング剤などが挙げられる他、「便覧 ゴム・プラスチック配合薬品」(ラバーダイジェスト社編)等に挙げられた公知のものを用いることができる。
【0093】
−帯電制御剤−
前記トナー受像層には、トナーの転写や、付着等を調整したり、トナー受像層の帯電接着を防止するために、帯電制御剤を含有させることが好ましい。
前記帯電制御剤としては、従来から公知の各種帯電制御剤を使用することができる。このような帯電制御剤としては、例えば、カチオン界面活性剤や、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤等の界面活性剤等の他、高分子電解質、導電性金属酸化物等を使用できる。例えば、第4級アンモニウム塩、ポリアミン誘導体、カチオン変性ポリメチルメタクリレート、カチオン変性ポリスチレン等のカチオン系帯電防止剤、アルキルホスフェート、アニオン系ポリマー等のアニオン系帯電防止剤、脂肪酸エステル、ポリエチレンオキサイド等のノニオン系帯電防止剤が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0094】
トナーが負電荷を有する場合、トナー受像層に配合される帯電制御剤としては、例えば、カチオンやノニオンが好ましい。
前記導電性金属酸化物としては、例えば、ZnO、TiO2、SnO2、Al2O3、In2O3、SiO2、MgO、BaO、MoO3等を挙げることができる。これらの導電性金属酸化物は、単独で使用しても良く、これらの複合酸化物で使用しても良い。また、前記金属酸化物は、異種元素を更に含有させてもよく、例えば、ZnOに対して、Al、In等、TiO2に対してNb、Ta等、SnO2に対しては、Sb、Nb、ハロゲン元素等を含有(ドーピング)させることができる。
【0095】
−その他の添加剤−
前記トナー受像層に使用され得る材料には、出力画像の安定性改良やトナー受像層自身の安定性改良のため各種添加剤を含めることができる。前記添加剤としては、種々の公知の酸化防止剤、老化防止剤、劣化防止剤、オゾン劣化防止剤、紫外線吸収剤、金属錯体、光安定剤、防腐剤、防かび剤、等が挙げられる。
【0096】
前記酸化防止剤としては、例えば、クロマン化合物、クマラン化合物、フェノール化合物(例、ヒンダードフェノール)、ハイドロキノン誘導体、ヒンダードアミン誘導体、スピロインダン化合物が挙げられる。なお、酸化防止剤については、特開昭61−159644号公報などに記載されている。
【0097】
前記老化防止剤としては、例えば、「便覧 ゴム・プラスチック配合薬品 改訂第2版」(1993年、ラバーダイジェスト社)p76〜121に記載のものが挙げられる。
【0098】
前記紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール化合物(米国特許3533794号明細書記載)、4−チアゾリドン化合物(米国特許3352681号明細書記載)、ベンゾフェノン化合物(特開昭46−2784号公報記載)及び紫外線吸収ポリマー(特開昭62−260152号公報記載)が挙げられる。
【0099】
前記金属錯体としては、例えば、米国特許4241155号、同4245018号、同4254195号の各明細書、特開昭61−88256号、同62−174741号、同63−199248号、特開平1−75568号、同1−74272号の各公報に記載されているものが適当である。
また、「便覧 ゴム・プラスチック配合薬品 改訂第2版」(1993年、ラバーダイジェスト社)p122〜137に記載の紫外線吸収剤、光安定剤も好ましく用いられる。
【0100】
なお、前記トナー受像層に使用され得る材料には、上述したように公知の写真用添加剤を必要に応じて添加することができる。前記写真用添加剤としては、例えば、リサーチ・ディスクロージャー誌(以下、RDと略記する)No.17643(1978年12月)、同No.18716(1979年11月)及び同No.307105(1989年11月)に記載されており、その該当箇所を下記にまとめて示す。
【0101】〔トナー受像層の諸物性〕
前記トナー受像層は、白色度が高いのが好ましい。該白色度としては、JISP 8123に規定される方法で測定して、85%以上が好ましい。また、440nm〜640nmの波長域で、分光反射率が85%以上、かつ同波長域の最大分光反射率と最低分光反射率の差は5%以内が好ましい。更には、400nm〜700nmの波長域で分光反射率が85%以上、かつ同波長域の最大分光反射率と最低分光反射率の差は5%以内がより好ましい。
また、前記白色度としては、具体的には、CIE 1976(L*a*b*)色空間において、L*値は80以上が好ましく、85以上がより好ましく、90以上が更に好ましい。また、白色の色味はできるだけニュートラルであるのが好ましい。白色色味としては、L*a*b*空間において、(a*)2+(b*)2の値は50以下が好ましく、18以下がより好ましく、5以下が更に好ましい。
【0102】
前記トナー受像層としては、光沢性が高いのが好ましい。光沢度としては、トナーが無い白色から最大濃度の黒色までの全領域において、45度光沢度は60以上が好ましく、75以上がより好ましく、90以上が更に好ましい。
但し、光沢度は110以下が好ましい。110を超えると金属光沢のようになり画質として好ましくない。
尚、前記光沢度は、JIS Z 8741に基づいて測定することができる。
【0103】
前記トナー受像層は、平滑性が高いのが好ましい。該平滑度としては、トナーが無い白色から最大濃度の黒色までの全領域において、算術平均粗さ(Ra)が3μm以下が好ましく、1μm以下がより好ましく、0.5μm以下が更に好ましい。
尚、前記算術平均粗さは、JIS B 0601、B 0651、B 0652に基づいて測定することができる。
【0104】
前記トナー受像層は、以下の項目の内の1項目の物性を有することが好ましく、更に好ましくは、複数の項目、最も好ましくは、全ての項目の物性を有することが適当である。
(1)トナー受像層のTg(ガラス転移温度)が30℃以上、トナーのTg+20℃以下である。
(2)トナー受像層のT1/2(1/2法軟化点)が、60〜200℃、好ましくは、80〜170℃。ここで、1/2法軟化点は、特定の装置を使用し、特定の条件の下で、所定の押出加重を加えながら、初期設定温度(例えば、50℃)で余熱時間、例えば、300秒後に、所定の等速昇温速度で昇温した時の各温度における流出開始時と終了時のピストンストロークの差の2分の1となる温度で評価される。
(3)トナー受像層のTfb(流出開始温度)が、40〜200℃、好ましくは、トナー受像層のTfbが、トナーのTfb+50℃以下である。
(4)トナー受像層の粘度が1×105CPになる温度が、40℃以上、トナーのそれより低い。
(5)トナー受像層の定着温度における貯蔵弾性率(G’)が、1×102〜1×105Pa、損失弾性率(G”)が、1×102〜1×105Paである。
(6)トナー受像層の定着温度における損失弾性率(G”)と、貯蔵弾性率(G’)との比である損失正接(G”/G’)が、0.01〜10である。
(7)トナー受像層の定着温度における貯蔵弾性率(G’)が、トナーの定着温度における貯蔵弾性率(G”)に対して、−50〜+2500である。
(8)溶融トナーのトナー受像層上の傾斜角が、50度以下、特に40度以下である。
また、トナー受像層としては、特許第2788358号明細書、特開平7−248637号、同8−305067号、同10−239889号公報等に開示されている物性等を満足するものが好ましい。
【0105】
前記(1)の物性は、示差走査熱量測定装置(DSC)により測定することができる。前記(2)〜(3)の物性は、例えば、島津製作所製フローテスターCFT−500又は500Dを用いて測定することができる。前記(5)〜(7)の物性は、回転型レオメーター(例えば、レオメトリック社製ダイナミックアナライザーRADII)を用いて測定することができる。前記(8)の物性は、協和界面科学(株)製の接触角測定装置を用い、特開平8−334916号公報に開示した方法で測定することができる。
【0106】
前記トナー受像層としては、1×106〜1×1015Ω/cm2の範囲(25℃、65%RHの条件にて)の表面電気抵抗を有するのが好ましい。
前記表面抵抗が1×106Ω/cm2未満であると、トナー受像層にトナーが転写される際のトナー量が充分でなく、得られるトナー画像の濃度が低くなり易いことがある一方、表面電気抵抗が、1×1015Ω/cm2を超えると、転写時に必要以上の電荷が発生し、トナーが充分に転写されず、画像の濃度が低く、電子写真用受像シートの取り扱い中に静電気を帯びて塵埃が付着し易く、また複写時にミスフィード、重送、放電マーク、トナー転写ヌケ等が発生することがある。
【0107】
尚、前記支持体に対し、トナー受像層と反対側の面の表面電気抵抗としては、5×108〜3.2×1010Ω/cm2が好ましく、1×109〜1×1010Ω/cm2がより好ましい。
前記表面電気抵抗の測定は、JIS K 6911に準拠し、サンプルを温度20℃、湿度65%の環境下に8時間以上調湿し、同じ環境下で、アドバンテスト(株)製R8340を使用し、印加電圧100Vの条件で、通電して1分間経過した後に測定することで得られる。
【0108】
〔その他の層〕
前記その他の層としては、例えば、表面保護層、バック層、密着改良層、中間層、下塗り層、クッション層、帯電調節(防止)層、反射層、色味調製層、保存性改良層、接着防止層、アンチカール層、及び、平滑化層等が挙げられる。これらの層は、単層構成であってもよく、2以上の層より構成されていてもよい。
【0109】
−表面保護層−
前記表面保護層は、前記電子写真用受像シートにおける表面の保護、保存性の改良、取り扱い性の改良、筆記性の付与、機器通過性の改良、アンチオフセット性の付与等の目的で、前記トナー受像層の表面に設けることができる。該表面保護層は、1層であってもよいし、2層以上の層からなっていてもよい。表面保護層には、バインダーとして各種の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等を用いることができ、前記トナー受像層と同種の樹脂を用いるのが好ましい。但し、熱力学的特性や、静電特性等は、トナー受像層と同じである必要はなく、各々最適化することができる。
【0110】
前記表面保護層には、トナー受像層に使用可能な、前述の各種の添加剤を配合することができる。特に、前記表面保護層には、前記離型剤と共に、他の添加剤、例えば、マット剤等を配合することができる。なお、前記マット剤としては、種々の公知のものが挙げられる。
前記電子写真用受像シートにおける最表面層(例えば、表面保護層が形成されている場合には、表面保護層等)としては、定着性の点で、トナーとの相溶性が良いのが好ましい。具体的には、溶融したトナーとの接触角が、例えば0〜40度であることが好ましい。
【0111】
−バック層−
前記バック層は、前記電子写真用受像シートにおいて、裏面出力適性付与、裏面出力画質改良、カールバランス改良、機器通過性改良等の目的で、支持体に対して、トナー受像層の反対側に設けられるのが好ましい。
前記バック層の色としては、特に制限はないが、前記電子写真用受像シートが、裏面にも画像を形成する両面出力型受像シートの場合、バック層も白色であることが好ましい。白色度及び分光反射率は、表面と同様に85%以上が好ましい。
また、両面出力適性改良のため、バック層の構成がトナー受像層側と同様であってもよい。バック層には、上記で説明した各種の添加剤を用いることができる。このような添加剤として、特にマット剤や、帯電調整剤等を配合することが適当である。バック層は、単層構成であってもよく、2層以上の積層構成であってもよい。
また、定着時のオフセット防止のため、定着ローラ等に離型性オイルを用いている場合、バック層は、オイル吸収性としてもよい。
【0112】
−密着改良層等−
前記密着改良層は、前記電子写真用受像シートにおいて、支持体及びトナー受像層の密着性を改良する目的で、形成するのが好ましい。密着改良層には、前述の各種の添加剤を配合することができ、特に架橋剤を配合するのが好ましい。また、前記電子写真用受像シートには、トナーの受容性を改良するため、該密着改良層及びトナー受像層の間に、更にクッション層等を設けるのが好ましい。
【0113】
−中間層−
前記中間層は、例えば、支持体及び密着改良層の間、密着改良層及びクッション層の間、クッション層及びトナー受像層の間、トナー受像層及び保存性改良層との間等に形成することができる。なお、支持体、トナー受像層、及び、中間層からなる電子写真用受像シートの場合には、前記中間層は、例えば、支持体及びトナー受像層の間に存在させることができる。
【0114】
なお、前記電子写真用受像シートの厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、例えば、50〜350μmが好ましく、100〜280μmがより好ましい。
【0115】
(電子写真用受像シートの製造方法)
本発明の電子写真用受像シートの製造方法は、支持体上に前記本発明のコア/シェル型ラテックス粒子(A)の水分散液を塗布して第1トナー受像層を形成した後、該第1トナー受像層上に前記本発明のコア/シェル型ラテックス粒子(B)の水分散液を塗布して第2トナー受像層を形成する。
【0116】
具体的には、前記コア/シェル型ラテックス粒子の水分散液をワイヤーコーター等を用いて塗布することによって、支持体表面には、第1トナー受像層及び第2トナー受像層が形成され、同時に、原紙の厚み方向におけるコア/シェル型ラテックス粒子のしみ込みを行える。このような所定の深さにおいて、原紙中にコア/シェル型ラテックス粒子が浸透し、存在していると、原紙と、トナー受像層との熱に対する追随性が良化し、トナー受像層のひび割れ防止が図れるとともに、電子写真用受像シートのカール防止性が改善される。更に、しみ込みが大きいと、原紙そのものの吸湿性が低下し、それに伴い、原紙が吸湿することによる伸びも小さくなり、更にカール性が改善される。特に、原紙の裏面に対しても、原紙表面に設けるトナー受像層に使用されるコア/シェル型ラテックス粒子を使用して、バック層又はトナー受像層及びしみ込み部分を設ける場合には、カール防止性が大幅に向上する。
【0117】
<トナー>
本発明の電子写真用受像シートは、印刷又は複写の際に、トナー受像層にトナーを受容させて使用される。
前記トナーは、結着樹脂と着色剤とを少なくとも含有し、必要に応じて離型剤、その他の成分を含有する。
【0118】
−トナー 結着樹脂−
前記結着樹脂としては、スチレン、パラクロルスチレンなどのスチレン類;ビニルナフタレン、塩化ビニル、臭化ビニル、弗化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル、酪酸ビニルなどのビニルエステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル、α−クロルアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルなどのメチレン脂肪族カルボン酸エステル類;アクリロニトリル、メタクリルロニトリル、アクリルアミドなどのビニルニトリル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンなどのN−ビニル化合物類;メタクリル酸、アクリル酸、桂皮酸などのビニルカルボン酸類などビニル系モノマーの単独重合体やその共重合体、更には各種ポリエステル類を使用することができ、各種ワックス類を併用することも可能である。
これらの樹脂の中で、特に前記トナー受像層に用いたものと同一系統の樹脂を用いるのが好ましい。
【0119】
−トナー 着色剤−
前記着色剤としては、通常トナーに用いられているものを制限なく使用することができ、例えば、カーボンブラック、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーメネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、デイポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ローズベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオクサレレートなどの種々の顔料が挙げられる。また、アクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、チオインジコ系、ジオキサジン系、チアジン系、アゾメチン系、インジコ系、チオインジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアジン系、チアゾール系、キサンテン系などの各種染料などが挙げられる。これら着色剤は1種単独で使用してもよいし、複数種類を併せて使用してもよい。
前記着色剤の含有量は、2〜8質量%の範囲が好ましい。前記着色剤の含有量が2質量%以上であれば着色力が弱くなることもなく、一方、8質量%以下であれば、透明性が損なわれることもないので好ましい。
【0120】
−トナー 離型剤−
前記離型剤としては、原理的には、公知のワックス全てが使用可能であるが、比較的低分子量の高結晶性ポリエチレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、アミドワックス、ウレタン化合物など窒素を含有する極性ワックスなどが特に有効である。ポリエチレンワックスについては分子量が1000以下のものが特に有効であり、300〜1000の範囲がより好ましい。
【0121】
前記ウレタン結合を有する化合物は、低分子量であっても極性基による凝集力の強さにより、固体状態を保ち、融点も分子量のわりには高く設定できるので好適である。分子量の好ましい範囲は300〜1000である。原料は、ジイソシアン酸化合物類とモノアルコール類との組み合わせ、モノイソシアン酸とモノアルコールとの組み合わせ、ジアルコール類とモノイソシアン酸との組み合わせ、トリアルコール類とモノイソシアン酸との組み合わせ、トリイソシアン酸化合物類とモノアルコール類との組み合わせなど、種々の組み合わせを選択することができが、高分子量化させないために、多官能基と単官能基の化合物を組み合わせることが好ましく、また等価の官能基量となるようにすることが重要である。
【0122】
具体的な、原料化合物のうちモノイソシアン酸化合物としては、例えば、イソシアン酸ドデシル、イソシアン酸フェニル及びその誘導体、イソシアン酸ナフチル、イソシアン酸ヘキシル、イソシアン酸ベンジル、イソシアン酸ブチル、イソシアン酸アリルなどが挙げられる。
ジイソシアン酸化合物としては、ジイソシアン酸トリレン、ジイソシアン酸4、4’ジフェニルメタン、ジイソシアン酸トルエン、ジイソシアン酸1、3−フェニレン、ジイソシアン酸ヘキサメチレン、ジイソシアン酸4−メチル−m−フェニレン、ジイソシアン酸イソホロンなどが挙げられる。
モノアルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノールなど極く一般的なアルコール類を使用することが可能である。
原料化合物のうちジアルコール類としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、トリメチレングリコールなど多数のグリコール類;トリアルコール類としては、トリメチロールプロパン、トリエチロールプロパン、トリメタノールエタンなどが使用可能であるが、必ずしもこの範囲に限定されない。
【0123】
これらのウレタン化合物類は、通常の離型剤のように、混練時に樹脂や着色剤とともに混合して、混練粉砕型トナーとしても使用できる。また、前記の乳化重合凝集溶融法トナーに用いる場合には、水中にイオン性界面活性剤や高分子酸や高分子塩基などの高分子電解質とともに分散し、融点以上に加熱してホモジナイザーや圧力吐出型分散機で強い剪断をかけて微粒子化し、1μm以下の離型剤粒子分散液を調製し、樹脂粒子分散液、着色剤分散液などとともに用いることができる。
【0124】
−トナー その他の成分−
また、前記トナーには、内添剤、帯電制御剤、無機微粒子等のその他の成分を配合することができる。内添剤としては、フェライト、マグネタイト、還元鉄、コバルト、ニッケル、マンガン等の金属、合金、又はこれら金属を含む化合物などの磁性体を使用することができる。
【0125】
前記帯電制御剤としては、4級アンモニウム塩化合物、ニグロシン系化合物、アルミや、鉄、クロムなどの錯体からなる染料、トリフェニルメタン系顔料など通常使用される種々の帯電制御剤を使用することができる。なお、凝集、溶融時の安定性に影響するイオン強度の制御や、廃水汚染を減少する観点から水に溶解しにくい材料が好ましい。
【0126】
前記無機微粒子としては、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸三カルシウムなど、通常、トナー表面の外添剤を全て使用で、それらをイオン性界面活性剤や高分子酸、高分子塩基で分散して使用することが好ましい。
【0127】
更に、乳化重合、シード重合、顔料分散、樹脂粒子分散、離型剤分散、凝集、更には、それらの安定化などに界面活性剤を用いることができる。例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤、アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン系界面活性剤、また、ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン性界面活性剤を併用することも効果的である。その際の分散手段としては、回転せん断型ホモジナイザーやメデイアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなどの一般的なものが使用可能である。
【0128】
なお、前記トナーには、必要に応じて更に外添剤を添加してもよい。前記外添剤としては、無機粉末及び有機粒子等が挙げられる。前記無機粒子としては、SiO2、TiO2、Al2O3、CuO、ZnO、SnO2、Fe2O3、MgO、BaO、CaO、K2O、Na2O、ZrO2、CaO・SiO2、K2O・(TiO2)n、Al2O3・2SiO2、CaCO3、MgCO3、BaSO4、MgSO4等を例示することができる。また、前記有機粒子としては、脂肪酸又はその誘導体や、これ等の金属塩等の粉末、フッ素系樹脂、ポリエチレン樹脂、アクリル樹脂等の樹脂粉末を用いることができる。これらの粉末の平均粒径は、例えば、0.01〜5μm、好ましくは、0.1〜2μmであることが適当である。
【0129】
前記トナーの製造方法は、特に制限されないが、(i)樹脂粒子を分散させてなる分散液中で凝集粒子を形成し凝集粒子分散液を調製する工程、(ii)前記凝集粒子分散液中に、微粒子を分散させてなる微粒子分散液を添加混合して前記凝集粒子に前記微粒子を付着させて付着粒子を形成する工程、及び(iii)前記付着粒子を加熱し融合してトナー粒子を形成する工程、とを含むトナーの製造方法により得られるものが好ましい。
【0130】
−トナー物性等−
前記トナーの体積平均粒子径は0.5μm以上10μm以下が好ましい。
前記トナーの体積平均粒子径が小さすぎると、トナーのハンドリング(補給性、クリーニング性、流動性等)に悪影響が生じる場合があり、また、粒子生産性が低下する場合がある。一方、トナーの体積平均粒子径が大きすぎると、粒状性、転写性に起因する画質、解像度に悪影響を与える場合がある。
また、前記トナーは、前記トナーの体積平均粒子径範囲を満たし、かつ体積平均粒度分布指数(GSDv)が1.3以下であることが好ましい。
前記体積平均粒度分布指数(GSDv)と数平均粒度分布指数(GSDn)との比(GSDv/GSDn)は0.95以上が好ましい。
また、前記トナーは、前記トナーの体積平均粒子径範囲を満たし、かつ下記式で表される形状係数の平均値は1.00〜1.50が好ましい。
形状係数=(π×L2)/(4×S)
(但し、Lはトナー粒子の最大長、Sはトナー粒子の投影面積を示す。)
前記トナーが上記条件を満たす場合には、画質、特に、粒状性、解像度に効果があり、また、転写に伴う抜けやブラーが生じにくく、平均粒径が小さくなくてもハンドリング性に悪影響が出にくくなる。
【0131】
なお、前記トナー自体の150℃における貯蔵弾性率G’(角周波数10rad/secで測定)は、10〜200Paであることが、定着工程での画質向上とオフセット性の防止の面から適当である。
【0132】
(画像形成方法)
本発明の画像形成方法は、第1の態様として、前記電子写真用受像シートに、トナー画像を形成した後、該電子写真用受像シートの該画像形成面を、定着ベルト及び定着ローラにより、加熱及び加圧し、冷却した後、前記定着ベルトから剥離する。
また、本発明の画像形成方法は、第2の態様として、前記電子写真用受像シートに、トナー画像を形成し、熱ローラにより定着した後、更に、前記電子写真用受像シートの画像形成面を、定着ベルト及び定着ローラにより、加熱及び加圧し、冷却した後、前記定着ベルトから剥離する。
【0133】
なお、転写の方法としては、通常の電子写真方法で使用される方法、例えば、現像ローラ上に形成したトナー画像を電子写真用受像シートに転写する直接転写方式、或いは中間転写ベルト等に一次転写した後、電子写真用受像シートに転写する中間転写ベルト方式がある。環境安定性及び高画質化の面から、中間転写ベルト方式が好ましくは使用される。
【0134】
前記電子写真用受像シートは、定着ベルトを有する電子写真装置を使用して、電子写真用受像シート上に転写されたトナーが電子写真用受像シートに定着される。ベルト定着方式としては、例えば、特開平11−352819号公報に記載のオイルレスタイプのベルト定着方法、特開平11−231671号公報及び特開平5−341666号公報に記載の二次転写と定着を同時に達成する方法等が知られている。本発明でいう定着ベルトを有する電子写真装置は、例えば、少なくとも、トナーを溶融し、加圧し得る加熱加圧部と、トナーの付着した電子写真用受像シートをトナー受像層と接する状態で搬送することができる定着ベルトと、任意に、加熱した電子写真用受像シートを定着ベルトに付着させたままの状態で冷却できる冷却部とを有するベルト方式のトナー定着部を有する電子写真装置が挙げられる。このような定着ベルトを有する電子写真装置にトナー受像層を有する電子写真用受像シートを使用することにより、トナー受像層に付着したトナーが、電子写真用受像シートに広がることなく細密に定着されると共に、定着ベルトに密着した状態で溶融トナーが冷却・固化するので、トナー受像層にトナーが完全に埋め込まれた状態でトナー受像層に受容される。従って、画像段差がなく、光沢のある平滑なトナー画像を得ることができる。
【0135】
前記電子写真用受像シートは、特にオイルレス方式のベルト定着方式による画像形成方法に好適であり、これにより、オフセットが大幅に改善される。但し、それ以外の各種の画像形成法に対しても、同様に使用することができる。
例えば、前記電子写真用受像シートを使用することにより、フルカラー画像を、画質の改善及びひび割れの防止を図りながら、好適に形成することができる。カラー画像の形成は、フルカラー画像を形成し得る電子写真装置を用いて行うことができる。通常の電子写真装置は、受像紙搬送部と、潜像形成部と、潜像形成部に近接して配設されている現像部とがあり、機種によっては、装置本体の中央に潜像形成部と受像紙搬送部に近接してトナー像中間転写部を有している。
【0136】
更に、画質の向上を図るための方法として、静電転写又はバイアスローラ転写に代わって、或いは併用して、粘着転写又は熱支援型の転写方式が知られている。例えば、特開昭63−113576号公報及び特開平5−341666号公報にはその具体的な構造が記載されている。特に熱支援型転写方式の中間転写ベルトを用いる方法が好ましい。また、前記電子写真用受像シートへのトナー転写後又は転写後半の中間ベルトには冷却装置を設けることが好ましい。該冷却装置により、トナー(トナー画像)は、それに使用されるバインダー樹脂の軟化温度以下又はトナーの絶対温度でのガラス転移温度+10℃以下に冷却され、効率よく電子写真用受像シートに転写され、中間ベルトからの剥離が可能となる。
【0137】
定着は、最終画像の光沢や平滑性を左右する重要な工程である。定着方式は、加熱加圧ローラによる定着、ベルトを用いたベルト定着などが知られているが、上記光沢、平滑性等の画像品質の点からはベルト定着方式の方が好ましい。ベルト定着方式については、例えば、特開平11−352819号公報に記載のオイルレスタイプのベルト定着方法、特開平11−231671号公報及び特開平5−341666号公報に記載の二次転写と定着を同時に達成する方法等が知られている。また、定着ベルトと定着ローラによる加圧及び加熱の前に、熱ローラによる一次定着を行ってもよい。
【0138】
前記定着ベルトの表面は、トナーの剥離性又はトナー成分のオフセットを防止するためにシリコーン系又はフッ素系或いはその併用系の表面処理が施されていてもよい。また、定着の後半にはベルトの冷却装置を備え、電子写真用受像シートの剥離を良好にすることが好ましい。冷却温度は、トナーバインダー樹脂及び/又は電子写真用受像シートのトナー受像層におけるポリマーの軟化点以下、或いはガラス転移点+10℃以下にすることが好ましい。一方、定着初期には、電子写真用受像シートのトナー受像層又はトナーが十分に軟化する温度まで昇温する必要がある。具体的には冷却温度は70℃以下、30℃以上が実用上好ましく、定着初期においては180℃以下、100℃以上が好ましい。
【0139】
以下、典型的な定着ベルトを有する画像形成装置の一例を示す図1に基づいて具体的に説明する。なお、本発明の態様は、図1に示される態様に限定されるものではない。
まず、画像形成装置(図示せず)でトナー(12)が電子写真用受像シート(1)に転写される。トナー(12)が付着した受像シート(1)は、搬送設備(図示せず)でA点に運ばれ、加熱ローラ(14)と加圧ローラ(15)の間を通過し、電子写真用受像シート(1)のトナー受像層或いはトナー(12)が十分に軟化する温度(定着温度)及び圧力で加熱及び加圧される。
【0140】
ここで、定着温度とは、A点における加熱ローラ(14)と加圧ローラ(15)とニップ部の位置で測定したトナー受像層表面の温度を意味し、例えば、80〜190℃、より好ましくは、100〜170℃である。また、圧力は、加熱ローラ(14)と加圧ローラ(15)とニップ部で測定したトナー受像層表面の圧力を意味し、例えば、1〜10kg/cm2、より好ましくは、2〜7kg/cm2である。このように加熱及び加圧され、後に電子写真用受像シート(1)が、定着ベルト(13)により冷却装置(16)に運ばれる間に、トナー受像層内に離散的に存在していた離型剤(図示せず)が十分に加熱されて溶融し、トナー受像層表面に移動する。移動してきた離型剤は、トナー受像層表面に離型剤の層(膜)を形成する。その後、電子写真用受像シート(1)は、定着ベルト(13)により冷却装置(16)に運ばれて、例えば、トナー受像層のポリマー及び/又はトナーに使用されるバインダー樹脂の軟化点以下又はガラス転移点+10℃以下の温度、好ましくは、20〜80℃、より好ましくは室温(25℃)に冷却される。これにより、トナー受像層表面に形成された離型剤の層(膜)が冷却・固化し、トナー受像層内離型剤の変剤による離型剤層を形成する。
冷却された電子写真用受像シート(1)は、更に定着ベルト(13)によりB点に運ばれ、定着ベルト(13)は、テンションローラ(17)上を移動する。従って、B点にて電子写真用受像シート(1)と定着ベルト(13)が剥離する。なお、電子写真用受像シートが自身の剛性(腰の強さ)でベルトから剥離するようにテンションロールの径を小さく設定することが好ましい。
【0141】
ここで、前記画像形成装置に使用される定着ベルトとしては、例えば、ポリイミド、電鋳ニッケル及びアルミニウム等を基材として形成された無端状ベルトであることが適当である。
前記定着ベルトの表面には、シリコーンゴム、フッ素ゴム、シリコーン樹脂、フッ素樹脂からなる群より選択される少なくとも1種以上からなる薄膜が形成されることが好ましい。これらの中でも、定着ベルトの表面に均一な厚さのフルオロカーボンシロキサンゴム製の層を設ける態様、前記定着ベルトの表面に均一な厚さのシリコーンゴム製の層を有し、かつ該シリコーンゴム層の表面に均一な厚さのフルオロカーボンシロキサンゴム製の層を設ける態様が好ましい。
【0142】
前記フルオロカーボンシロキサンゴムとしては、主鎖にパーフルオロアルキルエーテル基及び/又はパーフルオロアルキル基を有するものが好ましい。
このようなフルオロカーボンシロキサンゴムとしては、(A)下記一般式(1)のフルオロカーボンシロキサンを主成分とし、脂肪族不飽和基を有するフルオロカーボンポリマー、(B)1分子中に2個以上の≡SiH基を含有し、上記フルオロカーボンシロキサンゴム組成物中の脂肪族不飽和基量に対して上記≡SiH基の含有量が1〜4倍モル量であるオルガノポリシロキサン及び/又はフルオロカーボンシロキサン、(C)充填剤、(D)有効量の触媒を含有するフルオロカーボンシロキサンゴム組成物の硬化物が好適に用いられる。
【0143】
前記(A)成分のフルオロカーボンポリマーは、下記一般式(1)で示される繰り返し単位を有するフルオロカーボンシロキサンを主成分とし、脂肪族不飽和基を有するものである。
【0144】
【化1】
【0145】
ここで、上記式(1)において、R10は非置換又は置換の好ましくは炭素数1〜8の一価炭化水素基であり、好ましくは炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数2〜3のアルケニル基であり、特にメチル基であることが好ましい。a,eはそれぞれ0又は1、b,dはそれぞれ1〜4の整数、cは0〜8の整数である。また、xは1以上の整数、好ましくは10〜30である。
【0146】
このような(A)成分としては、下記式(2)で示すものを挙げることができる。
【0147】
【化2】
【0148】
前記(B)成分において、≡SiH基を有するオルガノポリシロキサンとしては、ケイ素原子に結合した水素原子を分子中に少なくとも2個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンを挙げることができる。
【0149】
また、前記フルオロカーボンシロキサンゴム組成物においては、(A)成分のフルオロカーボンポリマーが脂肪族不飽和基を有するものであるときには、硬化剤として上述したオルガノハイドロジェンポリシロキサンを使用することができる。即ち、この場合には、フルオロカーボンシロキサン中の脂肪族不飽和基と、オルガノハイドロジェンポリシロキサン中のケイ素原子に結合した水素原子との間で生ずる付加反応によって硬化物が形成されるものである。
【0150】
前記オルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、付加硬化型のシリコーンゴム組成物に使用される種々のオルガノハイドロジェンポリシロキサンを使用することができる。
【0151】
前記オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、一般にその≡SiH基の数が、(A)成分のフルオロカーボンシロキサン中の脂肪族不飽和炭化水素基1個に対して、少なくとも1個、特に1〜5個となるような割合で配合することが好適である。
【0152】
また、≡SiH基を有するフルオロカーボンとしては、上記式(1)の単位又は式(1)においてR10がジアルキルハイドロジェンシロキシ基であり、かつ末端がジアルキルハイドロジェンシロキシ基又はシリル基等の≡SiH基であるものが好ましく、下記式(3)で示すものを挙げることができる。
【0153】
【化3】
【0154】
前記(C)成分の充填剤としては、一般的なシリコーンゴム組成物に使用されている種々の充填剤を用いることができる。例えば、煙霧質シリカ、沈降性シリカ、カーボン粉末、二酸化チタン、酸化アルミニウム、石英粉末、タルク、セリサイト及びベントナイト等の補強性充填剤、アスベスト、ガラス繊維、有機繊維等の繊維質充填剤などを例示することができる。
【0155】
前記(D)成分の触媒としては、付加反応用触媒として公知とされている塩化白金酸、アルコール変性塩化白金酸、塩化白金酸とオレフィンとの錯体、白金黒又はパラジウムをアルミナ、シリカ、カーボンなどの担体に担持したもの、ロジウムとオレフィンとの錯体、クロロトリス(トリフェニルフォスフィン)ロジウム(ウィルキンソン触媒)、ロジウム(III)アセチルアセトネートなどのような周期律表第VIII族元素又はその化合物が例示されるが、これらの錯体はアルコール系、エーテル系、炭化水素などの溶剤に溶解して用いることが好ましい。
【0156】
前記フルオロカーボンシロキサンゴム組成物においては、耐溶剤性を向上させるという本発明の目的を損なわない範囲において、種々の配合剤を添加することができる。例えば、ジフェニルシランジオール、低重合度の分子鎖末端水酸基封鎖ジメチルポリシロキサン、ヘキサメチルジシラザン等の分散剤、酸化第一鉄、酸化第二鉄、酸化セリウム、オクチル酸鉄等の耐熱性向上剤、顔料等の着色剤等を必要に応じて配合することができる。
【0157】
前記定着用ベルトは、耐熱性樹脂製又は金属製のベルト本体の表面を上記フルオロカーボンシロキサンゴム組成物で被覆し、加熱硬化することによって得られるが、必要に応じて更に、m−キシレンヘキサフロライド、ベンゾトリフロライド等の溶剤で希釈して塗工液とし、スプレーコート、ディップコート及びナイフコート等の一般的なコーティング法によって塗布することができる。また、加熱硬化の温度、時間は適宜選定することができ、通常、温度100〜500℃、5秒〜5時間の範囲でベルト本体の種類及び製造方法などに応じて選択される。
【0158】
前記定着ベルトの表面に形成するフルオロカーボンシロキサンゴム層の厚さは特に限定されるものではないが、トナーの剥離性或いはトナー成分のオフセットを防止して画像の良好な定着性を得るために20〜500μmが好ましく、40〜200μmがより好ましい。
【0159】
前記電子写真用受像シートに画像を形成する方法は、定着ベルトを使用した電子写真方法であれば、上記、特に図1に示した方法に制限されるものではない。通常の電子写真法であれば、いずれも適用することができる。
例えば、前記電子写真用受像シートには、カラー画像を好ましく形成することができる。カラー画像の形成は、フルカラー画像を形成し得る電子写真装置を用いて行うことができる。通常の電子写真装置は、受像シート搬送部と、潜像形成部と、潜像形成部に近接して配設されている現像部とがあり、機種によっては、装置本体の中央に潜像形成部と受像シート搬送部に近接してトナー像中間転写部を有している。
【0160】
更に、画質の向上を図るための方法として、静電転写或いはバイアスローラ転写に代わって、或いは併用して、粘着転写又は熱支援型の転写方式が知られている。例えば、特開昭63−113576号公報及び特開平5−341666号公報にはその具体的な構造が記載されている。特に熱支援型転写方式の中間転写ベルトを用いた方法は、小粒径のトナーを使用する場合には好ましい。
【0161】
前記画像形成方法によれば、定着オイルのないオイルレス機を使用しても、電子写真用受像シート及びトナーの剥離性、或いは受像シート及びトナー成分のオフセットを防止でき、安定した給紙を実現できると共に、特に湿変ひび割れ、耐接着性とひび割れ、光沢度に優れた、写真感覚に富む、良好な画像を実現できる。
【0162】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
なお、以下の実施例及び比較例において、「%」及び「部」は、それぞれ質量基準である。
【0163】
(合成例1)
−コア/シェル型ラテックス粒子A−1の水分散液の合成−
シード法により、コア/シェル型ラテックス粒子A−1を製造した。まず、シードポリマーとしての、アクリル酸2−エチルヘキシル(EHA)と、メタクリル酸メチル(MMA)とを、質量比(EHA/MMA)で90対10の割合で共重合化した。得られた共重合体(数平均分子量(Mn)=33000)(平均粒径=0.06μm)に、メタクリル酸メチル(MMA)、アクリル酸ブチル(BA)及びメタクリル酸(MAA)を、質量比(MMA/BA/MAA)で70対25対5の割合で添加した。次いで、重合開始剤としての過硫酸アンモニウムを配合し、60℃で重合させて、コア/シェル型ラテックス粒子A−1を合成した。
【0164】
得られたコア/シェル型ラテックス粒子A−1の物性は以下の通りである。
コアの数平均分子量:MnA(c)=330000
シェルの数平均分子量:MnA(s)=18000
コアの絶対温度でのガラス転移点:aTgA(c)=235.16K
シェルの絶対温度でのガラス転移点:aTgA(s)=333.16K
コア/シェルの含有比(質量比;コア/シェル)=75/25
コア/シェル型ラテックス粒子の平均粒径(数平均粒径(D50))=0.08μm
【0165】
得られたコア/シェル型ラテックス粒子A−1を水に固形分含量が30質量%となるように分散させて合成例1のコア/シェル型ラテックス粒子A−1の水分散液を調製した。
【0166】
(合成例2)
−コア/シェル型ラテックス粒子A−2の水分散液の合成−
合成例1と同様にして、コア/シェル型ラテックス粒子A−2を調製した。このコア/シェル型ラテックス粒子A−2の平均粒径(数平均粒径(D50))は0.08μmであった。
得られたコア/シェル型ラテックス粒子A−2を水に固形分含量が30質量%となるように分散させて合成例2のコア/シェル型ラテックス粒子A−2の水分散液を調製した。
【0167】
(合成例3)
−コア/シェル型ラテックス粒子A−3の水分散液の合成−
合成例1と同様にして、コア/シェル型ラテックス粒子A−2を調製した。このコア/シェル型ラテックス粒子A−3の平均粒径(数平均粒径(D50))は0.08μmであった。
得られたコア/シェル型ラテックス粒子A−3を水に固形分含量が30質量%となるように分散させて合成例3のコア/シェル型ラテックス粒子A−3の水分散液を調製した。
【0168】
(合成例4)
−コア/シェル型ラテックス粒子B−1の水分散液の合成−
合成例1と同様にして、コア/シェル型ラテックス粒子B−1を調製した。このコア/シェル型ラテックス粒子B−1の平均粒径(数平均粒径(D50))は0.08μmであった。
得られたコア/シェル型ラテックス粒子B−1を水に固形分含量が30質量%となるように分散させて合成例4のコア/シェル型ラテックス粒子B−1の水分散液を調製した。
【0169】
(合成例5)
−コア/シェル型ラテックス粒子B−2の水分散液の合成−
合成例1と同様にして、コア/シェル型ラテックス粒子B−2を調製した。このコア/シェル型ラテックス粒子B−2の平均粒径(数平均粒径(D50))は0.06μmであった。
得られたコア/シェル型ラテックス粒子B−2を水に固形分含量が30質量%となるように分散させて合成例5のコア/シェル型ラテックス粒子B−2の水分散液を調製した。
【0170】
(合成例6)
−コア/シェル型ラテックス粒子B−3の水分散液の合成−
合成例1と同様にして、コア/シェル型ラテックス粒子A−2を調製した。このコア/シェル型ラテックス粒子B−3の平均粒径(数平均粒径(D50))は0.09μmであった。
得られたコア/シェル型ラテックス粒子B−3を水に固形分含量が30質量%となるように分散させて合成例6のコア/シェル型ラテックス粒子B−3の水分散液を調製した。
【0171】
次に、合成例1〜6で得られたコア/シェルラテックス粒子A−1〜B−3について、絶対温度でのガラス転移温度〔aTg(t)〕を、以下のディマルジオの計算式で計算した。結果を上記コア/シェル型ラテックス粒子の物性と共に表1に示す。
〔ディマルジオの計算式〕
1/aTg(t)=w(c)/aTg(c)+w(s)/aTg(s)
上記式において、aTg(c)は、トナー受像層のコア/シェル型ラテックス粒子におけるコアの絶対温度でのガラス転移温度を意味する。aTg(s)は、トナー受像層のコア/シェル型ラテックス粒子におけるシェルの絶対温度でのガラス転移温度を意味する。w(c)は、トナー受像層のコア/シェル型ラテックス粒子中におけるコアの質量比を意味する。w(s)は、トナー受像層のコア/シェル型ラテックス粒子中におけるシェルの質量比を意味する。
【0172】
【表1】
注1)×103
注2)コア/シェル型ラテックス粒子におけるシェル又はコアの比率(質量)
【0173】
(実施例1〜6及び比較例1〜6)
−支持体の調製−
広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)をディスクリファイナーで300ml(カナダ標準ろ水度、C.F.S.)まで叩解し、繊維長0.58mmに調整した。このパルプ紙料に対して、パルプの質量に基づいて、以下の割合で添加剤を添加した。
注)AKDは、アルキルケテンダイマー(アルキル部分は、ベヘン酸を主体とする脂肪酸に由来する)を意味し、EFAは、エポキシ化脂肪酸アミド(脂肪酸部分は、ベヘン酸を主体とする脂肪酸に由来する)を意味する。
【0174】
得られたパルプ紙料を、長網抄紙機により坪量150g/m2の原紙を作製した。なお、長網抄紙機の乾燥ゾーンの中間でサイズプレス装置により、PVA 1.0g/m2、CaCl2 0.8g/m2を付着した。
抄紙工程の最後で、ソフトカレンダーを用いて、密度を1.01g/cm3に調製した。得られた原紙をトナー受像層が設けられる側に金属ロールが接するように通紙した。なお、金属ロールの表面温度は140℃であった。
【0175】
−トナー受像層の塗工−
表2に示したコア/シェル型ラテックス粒子の水分散液の組み合わせで、上記支持体の表面(トナー受像層を形成する側)に、ワイヤーコーターにて乾燥後の塗布厚みが7μmとなるようにコア/シェル型ラテックス粒子の水分散液を塗布し、乾燥させて第1トナー受像層を形成した。該第1トナー受像層の上に、同様にしてワイヤーコーターにて乾燥後の厚みが3μmとなるようにコア/シェル型ラテックス粒子の水分散液を塗布し、乾燥させて第2トナー受像層を形成した。なお、各トナー受像層は、塗布後、オンラインで熱風により乾燥した。
【0176】
−バック層用塗布液の調製−
下記の成分を混合し、攪拌して、バック層用塗布液を調製した。
アクリル樹脂水分散物
(固形分30%、ハイロスXBH−997L、星光化学製) 100.0g
マット剤
(テクポマーMBX−12、積水化成品工業製) 5.0g
離型剤(ハイドリンD337、中京油脂製) 10.0g
増粘剤(CMC) 2.0g
アニオン界面活性剤(AOT) 0.5g
イオン交換水 80ml
バック層用の塗布液の粘度は、35mPa・sであり、表面張力は、33mN/mであった。
【0177】
−バック層の塗工−
支持体の裏面には、上記バック層用塗布液を、上記トナー受像層用塗布液の場合と同様に、ワイヤーコーターで塗布した。塗布量は、乾燥質量で9g/m2であった。
バック層は、塗布後、オンラインで熱風により乾燥した。乾燥は、塗布後2分以内に乾燥するように、乾燥風量及び温度を調整した。乾燥点は、塗布表面温度が乾燥風の湿球温度と同じ温度となる点とした。
乾燥した後、カレンダー処理を行った。前記カレンダー処理は、グロスカレンダーを用い、金属ローラを40℃に保温した状態で、圧力147kN/m(15kgf/cm)にて行い、実施例1〜6及び比較例1〜6の電子写真用受像シートを作製した。
【0178】
<電子写真用受像シートの物性の評価>
得られた各電子写真用受像シートについて、下記方法により耐接着性、ひび割れ、湿変ひび割れ及び光沢度の評価を行った。結果を表2に示す。
【0179】
<<耐接着性>>
得られた各電子写真用受像シートを、40℃、80%RHに24時間調整した後、トナー受像面を対向させて重ね合わせて、3.5cm□(Acm□は、タテ×ヨコそれぞれAcmを意味する。)×500gの加重を加え、同一環境下で7日間放置した後、電子写真用受像シートを引き離す際の状態を観察し、以下の評価基準に従って評価した。
〔評価基準〕
1:剥離音及び接着跡ともになし。
2:軽微な剥離音又は接着跡がある。
3:接着跡が1/4未満である。
4:接着跡が1/4以上〜1/2未満である。
5:接着跡が1/2以上である。
【0180】
<<ひび割れ>>
得られた各電子写真用受像シートに対して、富士ゼロックス(株)製のカラーレーザープリンターC−2220を使用し(但し、定着部を図1に示すベルト定着方式に変更した)、黒色の最大濃度で均一10cm□の画像をプリント出力し、10℃、15%RH環境下で1日間放置した。次に、1、2、3、4及び5cm径の丸棒を用意し、画像面が、外側になるように大径の棒から順次小径の棒に巻き付け、ひび割れの発生状態を観察し、ひび割れの発生する径を記録した。
【0181】
なお、図1において、定着ベルト基材として、ポリイミド製のベース層上に東レ・ダウコーニング・シリコーン社製 シリコーンゴム用プライマーであるDY39−115を塗布後、風乾30分の後、シリコーンゴム前駆体であるDY35−796AB 100部とn−ヘキサン 30部により調整した塗布液を浸漬塗布により塗膜を形成し、120℃で10分の一次加硫を行い、厚さ40μmのシリコーンゴム層を形成した。
このシリコーンゴム層上に、信越化学工業社製 フルオロカーボンシロキサンゴム前駆体であるSIFEL610 100部とフッ素系溶媒(m−キシレンヘキサフロライド、パーフロロアルカン、パーフロロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)の混合溶剤) 20部により調整した塗布液を浸漬塗布により塗膜を形成した後、120℃で10分の一次加硫、180℃で4時間の二次加硫を行い、フルオロカーボンシロキサンゴムが20μmの膜厚を有する定着ベルトを用いた。
この定着ベルト系においては、定着ベルト(13)の搬送速度は、30mm/秒であり、加熱ローラ(14)と加圧ローラ(15)との間のニップ圧力は、0.2MPa(2kgf/cm2)であり、加熱ローラ(14)の設定温度は、155℃であり、これが定着温度に相当する。なお、加圧ローラ(15)の設定温度は、130℃であった。電子写真用受像シートは、定着ベルト(13)から剥離する時点で60℃以下に冷却されていた。
【0182】
<<湿変ひび割れ>>
得られた各電子写真用受像シートに対して、富士ゼロックス(株)製のカラーレーザープリンターC−2220を使用し(但し、定着部を前述の図1のベルト定着方式に変更した)、黒色の最大濃度(100%)及び最低濃度(0%)で均一に10cm×10cmの画像をプリント出力した。その後、40℃で80%RH環境に16時間放置し、更に25℃で50%RHの環境に24時間放置した後、画像表面のひび割れ状態を蛍光灯下で目視観察し、下記基準で評価した。
[評価基準]
○:ひびが目視で観察できない。
△:ひびが目視でわずかに確認できる。
×:ひびが目視で明確に観察できる。
【0183】
<<光沢度(%)>>
得られた各電子写真用受像シートに対して、富士ゼロックス(株)製のカラーレーザープリンターC−2220を使用し(但し、定着部を前述の図1のベルト定着方式に変更した)、黒/白条件下で、濃度を6段階(0、20、40、60、80及び100%)に10cm四方の画像をプリント出力した。この6段階部分を、JIS Z 8741、デジタル変角光沢度計(スガ試験機製、UGV−5D)、45度測定で測定し、その最小値を記録した。
【0184】
【表2】
表2の結果から、第1トナー受像層におけるコア/シェル型ラテックス粒子(A)の絶対温度でのガラス転移温度〔aTgA(t)〕と、該第2トナー受像層におけるコア/シェル型ラテックス粒子(B)の絶対温度でのガラス転移温度〔aTgB(t)〕とが、aTgA(t)<aTgB(t)の関係を満たす実施例1〜6は、比較例1〜6に比べて、湿変ひび割れが抑制され、耐接着性が高いと共に、ひび割れが抑制され、光沢度の高い画像を形成であることが認められる。
【0185】
【発明の効果】
本発明によると、支持体上に第1のトナー受像層と、該第1トナー受像層上に設けられた第2のトナー受像層とを形成し、コアとシェルの比率を調整して、該2トナー受像層のコア/シェル型ラテックス粒子より絶対温度でのガラス転移温度の低いコア/シェル型ラテックス粒子を第1トナー受像層に使用することによって、特に、湿変ひび割れが抑制され、耐接着性が高いと共に、ひび割れが抑制され、光沢度の高い画像を好適に形成可能な電子写真用受像シートを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の定着ベルト方式の電子写真装置の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
1 電子写真用受像シート
12 トナー
13 定着ベルト
14 加熱ローラ
15 加圧ローラ
16 冷却装置
17 テンションローラ
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真用受像シート及びその製造方法並びに画像形成方法に関し、特に、湿変ひび割れが抑制され、耐接着性が高いと共に、ひび割れが抑制され、光沢度の高い画像を形成可能な電子写真用受像シート、及び該電子写真用受像シートの製造方法、並びに該電子写真用受像シートを使用する画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真方法は、ドライ処理で、印字速度が優れ、普通紙や上質紙等の汎用紙などに出力できることから、コピー機や、パソコンの出力機として広く利用されている。前記電子写真方法に用いられる電子写真用受像シートのトナー受像層は、各種の方法によって形成されている。例えば、原紙等の支持体に、熱可塑性樹脂を溶融押出等によって積層する方法や、樹脂溶液を支持体に塗工する方法等が提案されている。
これらの技術の内、水系ポリマー樹脂溶液を塗工する方法は、地球環境に対する負荷が小さく、しかも、材料自体が安価であることから、近年、広く検討されるようになっている。
【0003】
しかしながら、前記水系ポリマー樹脂溶液は、通常、乳化剤(界面活性剤)を使用して乳化重合が行われるため、得られる乳化重合樹脂の表面上には、乳化剤が残存する。その結果、画像形成時において、該乳化重合樹脂から調製したトナー受像層は、この乳化剤の存在によって、環境湿度の影響を大きく受け、高温高湿環境の下では、トナー受像層は、粘着性を有し、電子写真用受像シートを積層して保存しておくと、下に位置する電子写真用受像シートのトナー受像層が、その上に位置する電子写真用受像シートの支持体と接着し、ブロックキングを起こしてしまう。また、オイルレス方式で定着処理を行う場合には、オフセット現象が生じ、低温低湿環境においては、トナー受像層が乾燥して、ひび割れが生じ、その後、画像定着処理を行うと、ひび割れの起伏に基づいて、画質が劣化してしまうという問題がある。
一方、画像形成後においては、長期間保存する間に、湿度変化等の環境の変化が起こり、それに伴い電子写真用受像シートのトナー受像層が伸縮を起こす結果、該トナー受像層にひび割れが生じてしまい画質が劣化する、所謂湿変ひび割れが生じてしまうという問題がある。
【0004】
かかる問題点を解決するため、トナー受像層に水性トナー受容性コアシェル型ラテックス組成物を用いた電子写真方法の記録媒体が提案されている(例えば、特許文献1等参照)。
この特許文献1のコアシェル型ラテックス粒子は、コア/シェル構造を使用することにより、ブロックキング及びひび割れをある程度防止することは可能である。しかし、この特許文献1においても、コア/シェル型ラテックス粒子は、乳化剤を使用して調製されるので、得られるトナー受像層は、環境湿度の影響を依然として受けてしまう。また、この特許文献1の技術では、コア/シェル型ラテックス粒子の粒径や、コア又はシェルを構成する樹脂の分子量が適正化されておらず、ひび割れ防止性と、フルカラー画質、特に、オイルレス方式定着でのオフセット防止性とを同時に十分満足できるものではなく、更なる改良が望まれている。
【0005】
【特許文献1】
特表平10−509253号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであり、従来における前記問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、特に、湿変ひび割れが抑制され、耐接着性が高いと共に、ひび割れが抑制され、光沢度の高い画像を形成可能な電子写真用受像シート、及び該電子写真用受像シートの製造方法、並びに該電子写真用受像シートを使用する画像形成方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 支持体と、該支持体の少なくとも一面に設けられた少なくとも2層のトナー受像層とを有し、該トナー受像層が第1のトナー受像層と、該第1トナー受像層上に設けられた第2のトナー受像層とを含む電子写真用受像シートであって、
前記第1トナー受像層及び第2トナー受像層は、いずれもコア/シェル型ラテックス粒子の水分散液を含有すると共に、該第1トナー受像層のコア/シェル型ラテックス粒子(A)における下記ディマルジオの計算式から算出された絶対温度でのガラス転移温度〔aTgA(t)〕と、該第2トナー受像層のコア/シェル型ラテックス粒子(B)における下記ディマルジオの計算式から算出された絶対温度でのガラス転移温度〔aTgB(t)〕とが、aTgA(t)<aTgB(t)の関係を満たすことを特徴とする電子写真用受像シートである。
〔ディマルジオの計算式〕
1/aTg(t)=w(c)/aTg(c)+w(s)/aTg(s)
上記式において、aTg(c)は、トナー受像層のコア/シェル型ラテックス粒子におけるコアの絶対温度でのガラス転移温度を意味する。aTg(s)は、トナー受像層のコア/シェル型ラテックス粒子におけるシェルの絶対温度でのガラス転移温度を意味する。w(c)は、トナー受像層のコア/シェル型ラテックス粒子中におけるコアの質量比を意味する。w(s)は、トナー受像層のコア/シェル型ラテックス粒子中におけるシェルの質量比を意味する。
<2> 第1トナー受像層におけるコア/シェル型ラテックス粒子(A)が、以下の特性(1)〜(5)を満たす前記<1>に記載の電子写真用受像シートである。
(1)コアの数平均分子量〔MnA(c)〕が、30000〜500000であること
(2)シェルの数平均分子量〔MnA(s)〕が、3000〜30000であること
(3)コア対シェルの質量比〔wA(c):wA(s)〕が、90:10〜35:65であること
(4)コアの絶対温度でのガラス転移温度〔aTgA(c)〕が、303K以下であること
(5)シェルの絶対温度でのガラス転移温度〔aTgA(s)〕が、303K〜373Kであること
<3> 第2トナー受像層におけるコア/シェル型ラテックス粒子(B)が、以下の特性(1)〜(5)を満たす前記<1>から<2>のいずれかに記載の電子写真用受像シートである。
(1)コアの数平均分子量〔MnB(c)〕が、30000〜500000であること
(2)シェルの数平均分子量〔MnB(s)〕が、3000〜30000であること
(3)コア対シェルの質量比〔wB(c):wB(s)〕が、10:90〜65:35であること
(4)コアの絶対温度でのガラス転移温度〔aTgB(c)〕が、303K以下であること
(5)シェルの絶対温度でのガラス転移温度〔aTgB(s)〕が、323K〜373Kであること
<4> コア/シェル型ラテックス粒子(A)の平均粒径(数平均粒径(D50))が、0.5μm以下である前記<1>から<3>のいずれかに記載の電子写真用受像シートである。
<5> コア/シェル型ラテックス粒子(B)の平均粒径(数平均粒径(D50))が、0.5μm以下である前記<1>から<4>のいずれかに記載の電子写真用受像シートである。
<6> 第1トナー受像層の厚み(G1)と第2トナー受像層の厚み(G2)との比(G1:G2)が、20:80〜80:20である前記<1>から<5>のいずれかに記載の電子写真用受像シートである。
<7> 支持体が、原紙、合成紙、合成樹脂シート、コート紙及びラミネート紙から選択される前記<1>から<6>のいずれかに記載の電子写真用受像シートである。
<8> 支持体上に、前記<1>から<5>のいずれかに記載のコア/シェル型ラテックス粒子(A)の水分散液を塗布して第1トナー受像層を形成した後、該第1トナー受像層上に、前記<1>から<5>のいずれかに記載のコア/シェル型ラテックス粒子(B)の水分散液を塗布して第2トナー受像層を形成することを特徴とする電子写真用受像シートの製造方法である。
<9> 前記<1>から<7>のいずれかに記載の電子写真用受像シートを使用する画像形成方法であって、前記電子写真用受像シートに、トナー画像を形成した後、該電子写真用受像シートの画像形成面を、定着ベルト及びローラにより、加熱及び加圧し、冷却した後、前記定着ベルトから剥離することを特徴とする画像形成方法である。
<10> 前記<1>から<7>のいずれかに記載の電子写真用受像シートを使用する画像形成方法であって、前記電子写真用受像シートに、トナー画像を形成し、熱ローラにより定着した後、更に、該電子写真用受像シートの画像形成面を、定着ベルト及びローラにより、加熱及び加圧し、冷却した後、前記定着ベルトから剥離することを特徴とする画像形成方法である。
<11> 形成されたトナー画像を、そのトナーに使用されるバインダー樹脂の軟化点以下又はガラス転移点+10℃以下の状態まで冷却した後、定着ベルトから剥離する前記<9>から<10>のいずれかに記載の画像形成方法である。
<12> 定着ベルトの表面にフルオロカーボンシロキサンゴム製の層を設けた前記<9>から<11>のいずれかに記載の画像形成方法である。
<13> 定着ベルトの表面にシリコーンゴム製の層を有し、かつ該シリコーンゴム層の表面にフルオロカーボンシロキサンゴム製の層を設けた前記<9>から<11>のいずれかに記載の画像形成方法である。
<14> フルオロカーボンシロキサンゴムが、主鎖にパーフルオロアルキルエーテル基及びパーフルオロアルキル基の少なくともいずれかを有する前記<12>から<13>のいずれかに記載の画像形成方法である。
【0008】
本発明の電子写真用受像シートは、支持体と、該支持体の少なくとも一面に設けられた2層のトナー受像層が、それぞれコア/シェル型ラテックス粒子の水分散液を少なくとも含有し、第1トナー受像層と該第1トナー受像層の上に設けられる第2トナー受像層から構成され、該第1トナー受像層に含有されているコア/シェル型ラテックス粒子(A)の絶対温度でのガラス転移温度〔aTgA(t)〕と前記第2トナー受像層に含有されているコア/シェル型ラテックス粒子(B)の絶対温度でのガラス転移温度〔aTgB(t)〕とが、aTgA(t)<aTgB(t)の関係を満たす。これにより、重層塗布される第1トナー受像層が硬く形成され、該第1トナー受像層より第2トナー受像層が軟らかく形成されるので、特に湿変ひび割れが抑制され、耐接着性が高いと共に、ひび割れが抑制され、光沢度にも優れた写真感覚に富む、良好な画質を実現できる電子写真用受像シートが得られる。
【0009】
本発明の電子写真用受像シートの製造方法は、前記本発明の電子写真用受像シートの製造方法であって、第1トナー受像層として、前記支持体上に前記コア/シェル型ラテックス粒子(A)の水分散液を塗布した後、第2トナー受像層として、該第1トナー受像層上に前記コア/シェル型ラテックス粒子(B)の水分散液を塗布する。これにより、特に湿変ひび割れ及び耐接着性に優れており、また、ひび割れ、光沢度にも優れた写真感覚に富む、良好な画質を実現できる電子写真用受像シートを製造することができる。
【0010】
本発明の画像形成方法は、前記本発明の電子写真用受像シートを使用したオイルレス方式で画像を形成する方法であって、トナー画像を形成した後、該電子写真用受像シートの画像形成面を、定着ベルト及び定着ローラにより、加熱及び加圧し、冷却した後、前記定着ベルトから剥離する。これにより、定着オイルのないオイルレス機を使用しても、電子写真用受像シート及びトナーの剥離性、或いは受像シート及びトナー成分のオフセットを防止でき、安定した給紙を実現できると共に、特に湿変ひび割れが抑制され、耐接着性が高いと共に、ひび割れが抑制され、光沢度にも優れた写真感覚に富む、良好な画像を実現できる。
【0011】
【発明の実施の形態】
(電子写真用受像シート)
本発明における電子写真用受像シートは、支持体と、該支持体の少なくとも一面に設けられた少なくとも2層のトナー受像層とを有し、該トナー受像層が第1のトナー受像層と、該第1トナー受像層上に設けられた第2のトナー受像層とを含み、必要に応じて適宜選択したその他の層、例えば、保護層、下塗り層、クッション層、帯電調節(防止)層、反射層、色味調製層、保存性改良層、接着防止層、アンチカール層、平滑化層などを有してなる。これらの各層は単層構造であってもよいし、積層構造であってもよい。
【0012】
〔支持体〕
前記支持体としては、例えば、原紙、合成紙、合成樹脂シート、コート紙、ラミネート紙、等が挙げられる。これらの支持体は、単層構成でもよく、2層以上の積層構成でもよい。これらの中でも、片面又は両面にポリオレフィン樹脂層を被覆したラミネート紙が、平滑光沢性及び伸縮性の点で好ましい。
【0013】
−原紙−
前記原紙としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、具体的には、上質紙、例えば、日本写真学会編「写真工学の基礎−銀塩写真編−」、株式会社コロナ社刊(昭和54年)(223)〜(240)頁記載の紙等が好適なものとして挙げられる。
【0014】
前記原紙には、表面に所望の中心線平均粗さを付与するために、例えば、特開昭58−68037号公報に記載されているように、繊維長分布(例えば、24メッシュスクリーン残留分と、42メッシュスクリーン残留分との合計が、例えば、20〜45質量%であり、かつ24メッシュスクリーン残留分が5質量%以下)のパルプ繊維を使用するのが好ましい。また、マシンカレンダー及びスーパーカレンダー等で熱及び圧力を加えて表面処理することにより、中心線平均粗さを調整することができる。
【0015】
前記原紙の材料としては、電子写真用受像シートに使用されるものとして公知の材料であれば特に制限なく、目的に応じて各種の材料から適宜選定することができ、例えば、針葉樹、広葉樹等の天然パルプ、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂製の合成パルプ、或いは天然パルプと合成パルプの混合物等が挙げられる。
【0016】
前記原紙の原料として使用できるパルプとしては、原紙の表面平滑性、剛性及び寸法安定性(カール性)を同時にバランス良く、かつ十分なレベルにまで向上させる点から、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)が望ましいが、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹サルファイトパルプ(LBSP)等を使用することもできる。
前記パルプの叩解には、ビータ、リファイナー等を使用できる。
前記パルプのカナダ標準濾水度は、抄紙工程において紙の収縮を制御できるため、200〜440mlC.S.F.がより好ましく、250〜380mlC.S.F.が更に好ましい。
前記パルプを叩解した後に得られるパルプスラリー(以下、「パルプ紙料」と称することがある)には、更に必要に応じて、各種添加剤、例えば、填料、乾燥紙力増強剤、サイズ剤、湿潤紙力増強剤、定着剤、pH調整剤、その他の薬剤などが添加される。
【0017】
前記填料としては、例えば、炭酸カルシウム、クレー、カオリン、白土、タルク、酸化チタン、珪藻土、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、等が挙げられる。
前記乾燥紙力増強剤としては、例えば、カチオン化澱粉、カチオン化ポリアクリルアミド、アニオン化ポリアクリルアミド、両性ポリアクリルアミド、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、等が挙げられる。
前記サイズ剤としては、例えば、脂肪酸塩、ロジン、マレイン化ロジン等のロジン誘導体、パラフィンワックス、アルキルケテンダイマー、アルケニル無水琥珀酸(ASA)、エポキシ化脂肪酸アミド、などが挙げられる。
前記湿潤紙力増強剤としては、例えば、ポリアミンポリアミドエピクロロヒドリン、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ化ポリアミド樹脂、等が挙げられる。
前記定着剤としては、例えば、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム等の多価金属塩;カチオン化澱粉等のカチオン性ポリマー、等が挙げられる。
前記pH調整剤としては、例えば、苛性ソーダ、炭酸ソーダ、等が挙げられる。
前記その他の薬剤としては、例えば、消泡剤、染料、スライムコントロール剤、蛍光増白剤、等が挙げられる。
更に必要に応じて、柔軟化剤等を添加することもできる。前記柔軟化剤としては、例えば、新・紙加工便覧(紙薬タイム社編)554〜555頁(1980年発行)などに記載のものを用いることができる。
【0018】
前記表面サイズ処理に使用される処理液には、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができ、例えば、水溶性高分子化合物、耐水性物質、顔料、染料、蛍光増白剤などが含まれていてもよい。
前記水溶性高分子化合物としては、例えば、カチオン化澱粉、ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースサルフェート、ゼラチン、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム、スチレン−無水マレイン酸共重合体ナトリウム塩、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、等が挙げられる。
前記耐水性物質としては、例えば、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、塩化ビニリデン共重合体等のラテックス・エマルジョン類;ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン、等が挙げられる。
前記顔料としては、例えば、炭酸カルシウム、クレー、カオリン、タルク、硫酸バリウム、酸化チタン、等が挙げられる。
【0019】
前記原紙は、剛性及び寸法安定性(カール性)の向上を図る点で、縦方向ヤング率(Ea)と横方向ヤング率(Eb)の比(Ea/Eb)が1.5〜2.0の範囲にあることが好ましい。Ea/Eb値が1.5未満、或いは2.0を超える範囲では、記録材料の剛性や、カール性が悪くなり易く、搬送時の走行性に支障をきたすことになるため、好ましくない。
【0020】
一般に、紙の「こし」は、叩解の様式の相違に基づいて異なることが分かっており、叩解後、抄紙してなる紙が持つ弾性力(率)を紙の「こし」の程度を表す重要な因子として用いることができる。特に、紙が持つ粘弾性体の物性を示す動的弾性率と密度との関係を利用し、これに超音波振動素子を使って紙中を伝播する音速を測定することにより、紙の弾性率を下記の式より求めることができる。
E=ρc2(1−n2)
〔但し、上記式において、Eは、動的弾性率を意味する。ρは密度を意味する。cは、紙中の音速を意味する。nは、ポアソン比を意味する。
【0021】
また、通常の紙の場合、n=0.2程度であるため、下記の式で計算しても大差なく、算出することができる。
E=ρc2
即ち、紙の密度、音速を測定することができれば、容易に弾性率を求めることができる。上式において、音速を測定する場合には、ソニックテスターSST−110型(野村商事(株)製)等の公知の各種機器を用いることができる。
【0022】
前記原紙の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができ、通常、30〜500μmが好ましく、50〜300μmがより好ましく、100〜250μmが更に好ましい。前記原紙の坪量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができ、例えば、50〜250g/m2が好ましく、100〜200g/m2がより好ましい。
【0023】
−合成紙−
前記合成紙は、セルロース以外のポリマー繊維を主成分とする紙であり、前記ポリマー繊維としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン繊維、などが挙げられる。
【0024】
−合成樹脂シート(フィルム)−
前記合成樹脂シート(フィルム)としては、合成樹脂をシート状に成形したもの等が挙げられ、例えば、ポリプロピレンフィルム、延伸ポリエチレンフィルム、延伸ポリプロピレン、ポリエステルフィルム、延伸ポリエステルフィルム、ナイロンフィルム、延伸により白色にしたフィルム、白色顔料を含む白色フィルムなどが挙げられる。
【0025】
−コート紙−
前記コート紙は、原紙等のシートに、各種の樹脂、ゴムラテックス又は高分子材料を片面又は両面に塗工した紙であり、用途に応じて、塗工量が異なる。このようなコート紙としては、例えば、アート紙、キャストコート紙、ヤンキー紙等が挙げられる。
【0026】
前記原紙等の表面に塗工する樹脂としては、熱可塑性樹脂を使用することが適当である。このような熱可塑性樹脂としては、例えば、以下の(イ)〜(チ)の熱可塑性樹脂を例示することができる。
【0027】
(イ)ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂や、エチレンやプロピレン等のオレフィンと、他のビニルモノマーとの共重合体樹脂や、アクリル樹脂等が挙げられる。
(ロ)エステル結合を有する熱可塑性樹脂である。例えば、ジカルボン酸成分(これらのジカルボン酸成分にはスルホン酸基、カルボキシル基等が置換していてもよい)と、アルコール成分(これらのアルコール成分には水酸基などが置換されていてもよい)との縮合により得られるポリエステル樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリブチルアクリレート等のポリアクリル酸エステル樹脂又はポリメタクリル酸エステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、スチレンアクリレート樹脂、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体樹脂、ビニルトルエンアクリレート樹脂等が挙げられる。
具体的には、特開昭59−101395号公報、同63−7971号公報、同63−7972号公報、同63−7973号公報、同60−294862号公報などに記載のものを挙げることができる。
また、市販品としては、東洋紡製のバイロン290、バイロン200、バイロン280、バイロン300、バイロン103、バイロンGK−140、バイロンGK−130;花王製のタフトンNE−382、タフトンU−5、ATR−2009、ATR−2010;ユニチカ製のエリーテルUE3500、UE3210、XA−8153、KZA−7049、KZA−1449;日本合成化学製のポリエスターTP−220、R−188;星光化学工業社製のハイロスシリーズの各種熱可塑性樹脂、等が挙げられる。
【0028】
(ハ)ポリウレタン樹脂等が挙げられる。
(ニ)ポリアミド樹脂、尿素樹脂等が挙げられる。
(ホ)ポリスルホン樹脂等が挙げられる。
(ヘ)ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−プロピオン酸ビニル共重合体樹脂等が挙げられる。
(ト)ポリビニルブチラール等の、ポリオール樹脂、エチルセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂等のセルロース樹脂等が挙げられる。
(チ)ポリカプロラクトン樹脂、スチレン−無水マレイン酸樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリエーテル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
なお、前記熱可塑性樹脂は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0029】
また、前記熱可塑性樹脂には、増白剤、導電剤、填料、酸化チタン、群青、カーボンブラック等の顔料や染料等を必要に応じて含有させておくことができる。
【0030】
−ラミネート紙−
前記ラミネート紙は、原紙等のシートに、各種の樹脂、ゴム又は高分子シート又はフィルム等をラミネートした紙である。前記ラミネート材料としては、例えば、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリイミド、トリアセチルセルロース等が挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0031】
前記ポリオレフィンは、一般に低密度ポリエチレンを用いて形成することが多いが、支持体の耐熱性を向上させるために、ポリプロピレン、ポリプロピレンとポリエチレンとのブレンド、高密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンとのブレンド等を用いるのが好ましい。特に、コストや、ラミネート適性等の点から、高密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンとのブレンドを用いるのが最も好ましい。
【0032】
前記高密度ポリエチレンと、前記低密度ポリエチレンとのブレンドは、例えば、ブレンド比率(質量比)1/9〜9/1で用いられる。該ブレンド比率としては、2/8〜8/2が好ましく、3/7〜7/3がより好ましい。該支持体の両面に熱可塑性樹脂層を形成する場合、支持体の裏面は、例えば、高密度ポリエチレン、或いは高密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンとのブレンドを用いて形成されるのが好ましい。ポリエチレンの分子量としては、特に制限はないが、メルトインデックスが、高密度ポリエチレン及び低密度ポリエチレンのいずれについても、1.0〜40g/10分の間のものであって、押出し適性を有するものが好ましい。
尚、これらのシート又はフィルムには、白色反射性を与える処理を行ってもよい。このような処理方法としては、例えば、これらのシート又はフィルム中に酸化チタンなどの顔料を配合する方法が挙げられる。
【0033】
前記支持体の厚みとしては、25μm〜300μmが好ましく、50μm〜260μmがより好ましく、75μm〜220μmが更に好ましい。該支持体の剛度としては、種々のものがその目的に応じて使用することが可能であり、写真画質の電子写真用受像シート用の支持体としては、カラー銀塩写真用の支持体に近いものが好ましい。
【0034】
〔トナー受像層〕
前記トナー受像層は、第1のトナー受像層と、該第1トナー受像層上に設けられた第2のトナー受像層とを含む。
前記第1トナー受像層及び第2トナー受像層は、いずれもコア/シェル型ラテックス粒子の水分散液を含有すると共に、該第1トナー受像層におけるコア/シェル型ラテックス粒子(A)の下記ディマルジオの計算式から算出された絶対温度でのガラス転移温度〔aTgA(t)〕と、該第2トナー受像層におけるコア/シェル型ラテックス粒子(B)の下記ディマルジオの計算式から算出された絶対温度でのガラス転移温度〔aTgB(t)〕とが、aTgA(t)<aTgB(t)の関係を満たす。aTgA(t)≧aTgB(t)になると、耐接着性及び光沢度が大きく低下することとなる。
〔ディマルジオの計算式〕
1/aTg(t)=w(c)/aTg(c)+w(s)/aTg(s)
上記式において、aTg(c)は、トナー受像層のコア/シェル型ラテックス粒子におけるコアの絶対温度でのガラス転移温度を意味する。aTg(s)は、トナー受像層のコア/シェル型ラテックス粒子におけるシェルの絶対温度でのガラス転移温度を意味する。w(c)は、トナー受像層のコア/シェル型ラテックス粒子中におけるコアの質量比を意味する。w(s)は、トナー受像層のコア/シェル型ラテックス粒子中におけるシェルの質量比を意味する。
【0035】
前記第1トナー受像層に含有されているコア/シェル型ラテックス粒子(A)の絶対温度でのガラス転移温度〔aTgA(t)〕は243〜293Kが好ましく、253〜283Kがより好ましい。また、前記第2トナー受像層に含有されているコア/シェル型ラテックス粒子(B)の絶対温度でのガラス転移温度〔aTgB(t)〕は、前記aTgA(t)<aTgB(t)の関係を満たす限り、特に制限されないが、270〜340Kが好ましく、280〜330Kがより好ましい。
【0036】
−コア/シェル型ラテックス粒子−
前記コア/シェル型ラテックス粒子(A)の水分散液は、乳化剤を使用しないで合成され、以下の特性(1)〜(5)を満たすことが好ましい。
(1)第1トナー受像層に含有されているコア/シェル型ラテックス粒子(A)におけるコアの数平均分子量〔MnA(c)〕が、30000〜500000であること。
(2)第1トナー受像層に含有されているコア/シェル型ラテックス粒子(A)におけるシェルの数平均分子量〔MnA(s)〕が、3000〜30000であること。
(3)第1トナー受像層に含有されているコア/シェル型ラテックス粒子(A)におけるコア対シェルの質量比〔wA(c):wA(s)〕が、90:10〜35:65であること。
(4)第1トナー受像層に含有されているコア/シェル型ラテックス粒子(A)におけるコアの絶対温度でのガラス転移温度〔aTgA(c)〕が、303K以下であること。
(5)第1トナー受像層に含有されているコア/シェル型ラテックス粒子(A)におけるシェルの絶対温度でのガラス転移温度〔aTgA(s)〕が、303K〜373Kであること。
【0037】
前記コア/シェル型ラテックス粒子(A)におけるコアの数平均分子量〔MnA(c)〕は、30000〜500000が好ましく、40000〜400000より好ましく、60000〜300000が更に好ましい。前記MnA(c)が30000未満であると、ひび割れ防止性が悪化する場合があり、一方、500000を超えると、130℃での貯蔵弾性率(G’)が高くなり、画質が低下するので好ましくない。
また、前記コア/シェル型ラテックス粒子(A)におけるシェルの数平均分子量〔MnA(s)〕は、3000〜30000が好ましく、5000〜20000がより好ましく、6000〜10000が更に好ましい。前記MnA(s)が3000未満であると、ひび割れ防止性及び耐接着性が悪化する場合があり、一方、30000を超えると、画質が低下するので好ましくない。
【0038】
前記コア/シェル型ラテックス粒子(A)における、コア対シェルの質量比〔wA(c):wA(s)〕、コアの絶対温度でのガラス転移温度〔aTgA(c)〕及びシェルの絶対温度でのガラス転移温度〔aTgA(s)〕は、それぞれ、前記ディマルジオの計算式で計算した場合に、aTgA(t)<aTgB(t)の関係を満たす値であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができ、具体的にはそれぞれ以下のものが好適である。
【0039】
前記コア/シェル型ラテックス粒子(A)におけるコア対シェルの質量比〔wA(c):wA(s)〕は、90:10〜35:65が好ましく、80:20〜40:60がより好ましい。
前記コア対シェルの質量比がこの範囲を外れると、湿変ひび割れ及びひび割れが悪化し、画質が低下するので好ましくない。
前記コア対シェルの質量比を好適な範囲に調整することにより、前記コア/シェル型ラテックス粒子(A)の絶対温度でのガラス転移温度〔aTgA(t)〕及びコア/シェル型ラテックス粒子(B)の絶対温度でのガラス転移温度〔aTgB(t)〕を前記の好適な範囲に調整することができる。その結果、特に湿変ひび割れが抑制され、耐接着性が高いと共にひび割れが抑制され、光沢度の高い画像を好適に形成可能な電子写真用受像シートを得ることができる。
【0040】
前記コア/シェル型ラテックス粒子(A)におけるコアの絶対温度でのガラス転移温度〔aTgA(c)〕は、303K以下が好ましく、283K以下がより好ましい。前記aTgA(c)が303Kを超えると、ひび割れ防止性が悪化することとなり好ましくない。
また、前記コア/シェル型ラテックス粒子(A)におけるシェルの絶対温度でのガラス転移温度〔aTgA(s)〕は、303K〜373Kが好ましく、323〜353Kがより好ましい。前記aTgA(s)が303K未満であると、耐接着性及び湿変ひび割れ性が悪化する場合があり、一方、前記aTgA(s)が373Kを超えると、光沢度が低下して好ましくない。
【0041】
また、前記コア/シェル型ラテックス粒子(B)の水分散液は、乳化剤を使用しないで合成され、以下の特性(1)〜(5)を満たすことが好ましい。
(1)第2トナー受像層に含有されているコア/シェル型ラテックス粒子(B)におけるコアの数平均分子量〔MnB(c)〕が、30000〜500000であること。
(2)第2トナー受像層に含有されているコア/シェル型ラテックス粒子(B)におけるシェルの数平均分子量〔MnB(s)〕が、3000〜30000であること。
(3)第2トナー受像層に含有されているコア/シェル型ラテックス粒子(B)におけるコア対シェルの質量比〔wB(c):wB(s)〕が、10:90〜60:40であること。
(4)第2トナー受像層に含有されているコア/シェル型ラテックス粒子(B)におけるコアの絶対温度でのガラス転移温度〔aTgB(c)〕が、303K以下であること。
(5)第2トナー受像層に含有されているコア/シェル型ラテックス粒子(B)におけるシェルの絶対温度でのガラス転移温度〔aTgB(s)〕が、323K〜373Kであること。
【0042】
前記コア/シェル型ラテックス粒子(B)におけるコアの数平均分子量〔MnB(c)〕は、30000〜500000が好ましく、40000〜400000がより好ましく、60000〜200000が更に好ましい。前記MnB(c)が30000未満であると、ひび割れ防止性及び耐接着性が悪化する場合があり、一方、500000を超えると、130℃での貯蔵弾性率(G’)が高くなり、画質が低下するので好ましくない。
また、前記コア/シェル型ラテックス粒子(B)におけるシェルの数平均分子量〔MnB(s)〕は、3000〜30000が好ましく、5000〜20000がより好ましく、6000〜10000が更に好ましい。前記MnB(s)が3000未満であると、ひび割れ防止性及び耐接着性が悪化する場合があり、一方、30000を超えると、画質が低下するので好ましくない。
【0043】
本発明においては、前記コア/シェル型ラテックス粒子(B)における、コア対シェルの質量比〔wB(c):wB(s)〕、コアの絶対温度でのガラス転移温度〔aTgB(c)〕及びシェルの絶対温度でのガラス転移温度〔aTgB(s)〕は、それぞれ、前記ディマルジオの計算式で計算した場合に、aTgA(t)<aTgB(t)の関係を満たす値であれば、特に制限されないが、具体的にはそれぞれ以下のものが好適である。
【0044】
前記コア/シェル型ラテックス粒子(B)におけるコア対シェルの質量比〔wB(c):wB(s)〕は、10:90〜65:35が好ましく、20:80〜60:40がより好ましい。前記コア対シェルの質量比がこの範囲を外れると、湿変ひび割れ防止性及びひび割れ防止性が悪化し、画質が低下するので好ましくない。
前記コア対シェルの質量比を好適な範囲に調整することにより、前記コア/シェル型ラテックス粒子(A)の絶対温度でのガラス転移温度〔aTgA(t)〕及びコア/シェル型ラテックス粒子(B)の絶対温度でのガラス転移温度〔aTgB(t)〕を前記の好適な範囲に調整することができる。その結果、特に湿変ひび割れが抑制され、耐接着性が高いと共にひび割れが抑制され、光沢度の高い画像を好適に形成可能な電子写真用受像シートを得ることができる。
【0045】
前記コア/シェル型ラテックス粒子(B)におけるコアの絶対温度でのガラス転移温度〔aTgB(c)〕は、303K以下が好ましく、283K以下がより好ましい。前記aTgB(c)が303Kを超えると、ひび割れ防止性が低下し好ましくない。
前記コア/シェル型ラテックス粒子(B)におけるシェルの絶対温度でのガラス転移温度〔aTgB(s)〕は、323K〜373Kが好ましく、333〜363Kがより好ましい。前記aTgB(s)が323K未満であると、耐接着性が低下しやすい場合があり、一方、前記aTgB(s)が373Kを超えると、画質が低下しやすい。
【0046】
前記コア/シェル型ラテックス粒子(A)の平均粒径(数平均粒径(D50))は、好ましくは0.5μm以下であり、更に好ましくは、0.2μm以下である。平均粒径(数平均粒径(D50))が、0.5μmを超えると、コア/シェル構造の特徴を生かすことができない。
また、前記コア/シェル型ラテックス粒子(B)の平均粒径(数平均粒径(D50))は、好ましくは0.5μm以下であり、更に好ましくは、0.2μm以下である。平均粒径(数平均粒径(D50))が、0.5μmを超えると、コア/シェル構造の特徴を生かすことができない。
【0047】
前記コア/シェル型ラテックス粒子(A)及びコア/シェル型ラテックス粒子(B)の403Kにおける貯蔵弾性率は、好ましくは、5×102〜5×104Pa、特に好ましくは、7×102〜1×104Paとすることが適当である。前記貯蔵弾性率が、5×102Pa未満では、定着ロールへのオフセット防止性が低下するので好ましくない。一方、前記貯蔵弾性率が、5×104Paを超えると、画質が低下し易いので、やはり好ましくない。
【0048】
前記コア/シェル型ラテックス粒子は、水分散液の形態で使用される。従って、有機溶媒を使用する場合に遭遇する環境問題や、作業環境の問題が低減される。
前記コア/シェル型ラテックス粒子(A)及びコア/シェル型ラテックス粒子(B)は、それぞれ、水分散液の質量に基づいて、固形分濃度で、10〜60質量%、好ましくは、20〜50質量%の範囲で使用することが適当である。
前記コア/シェル型ラテックス粒子の水分散液には、必要に応じて各種添加剤を配合することができる。前記添加剤としては、例えば、マット剤、顔料、可塑剤、離型剤、潤滑剤、増粘剤、帯電防止剤、蛍光増白剤、色味調整染料、等が挙げられる。
【0049】
−コア/シェル型ラテックス粒子の製造−
前記水分散液に含まれるコア/シェル型ラテックス粒子を製造する方法としては、各種の製造方法を使用することができる。このような乳化剤(界面活性剤)を使用しない乳化重合方法によって得られたコア/シェル型ラテックス粒子は、通常、「ソープフリーラテックス」と呼ばれている(例えば、「アクリル樹脂の合成・設計と新用途開発」(中部経営開発センター出版部、昭和60年7月1日発行)279〜281頁)。
このようなソープフリーラテックスの製造方法としては、例えば、シード法や、反応性乳化剤法、オリゴマー法等が挙げられる。
前記シード法は、水溶性又は水分散性のポリマーを予め調製しておき、これをシードポリマーとして、モノマーを加え、重合させる方法である。
前記シード法では、通常、シードポリマーがコア部を形成し、モノマーの重合に従って、重合したポリマーがシェル部を形成し、コア/シェル構造を形成する。
【0050】
前記反応性乳化剤法は、分子中にエチレン性不飽和結合とアニオン性又はノニオン性の親水性基とを有する化合物(反応性乳化剤)を、従来の乳化剤と同様に使用する方法である。但し、使用される反応性乳化剤は、生成する重合体中に取り込まれ、乳化剤として残存することはない。
前記反応性乳化剤としては、各種の反応性乳化剤が知られており、アクリル酸誘導体(特開昭55−11252号公報、特開昭56−28208号公報等)、イタコン酸誘導体(特開昭51−30284号公報等)、マレイン酸誘導体(特開昭51−30284号公報、特公昭56−29657号公報等)、フマル酸誘導体(特開昭51−30285号公報、特開昭51−30284号公報等)などが挙げられる。
【0051】
以下、シード法を例にとって、本発明のコア/シェル型ラテックス樹脂組成物の製造方法について説明する。
前記コア/シェル型ラテックス樹脂組成物を製造するのに適当なシードポリマーとしては、乳化重合法、懸濁重合法、分散重合法のいずれの方法で調製されたシードポリマーを使用することができる。このうち、乳化重合法で調製されたシードポリマーを使用することが適当である。前記乳化重合法において乳化剤が使用されているとしても、分離及び精製工程によって乳化剤の量を大幅に低減することができる。また、若干、シードポリマーに乳化剤が含まれていても、シードポリマーがコア/シェル構造内に取り込まれ、コア/シェル構造表面に存在することがないので、湿度の影響を受け難い。一方、懸濁重合法、分散重合法で調製したシードポリマーについては、分散剤、溶媒等を除去する煩雑な工程が必要となる。
前記シードポリマーとしては、具体的には、水溶性高分子が好適であり、例えば、ポリアクリル酸塩又はその共重合体、ゼラチン、トラガカントゴム、澱粉、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、などを使用することができる。
【0052】
前記シード法において、上記シードポリマーの存在下で、添加されるモノマーとしては、ラジカル重合可能なものであれば、各種のエチレン性不飽和モノマーを使用することができる。この場合、前記モノマーとしては、上記シードポリマーを製造するのに使用したモノマーと同一であっても、異なるものであってもよい。
このようなモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、モノビニル芳香族モノマー、(メタ)ビニルエステル系モノマー、ビニルエーテル系モノマー、モノオレフィン系モノマー、ジオレフィン系モノマー、ハロゲン化オレフィン系モノマー、ポリビニル系モノマー等が好適に挙げられる。
【0053】
前記(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸メチル、β−ヒドロキシアクリル酸エチル、γ−アミノアクリル酸プロピル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、又はこれらの混合物が好適に挙げられる。
前記ビニル芳香族系モノマーとしては、例えば、スチレンや、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、p−エチルスチレン、p−ブチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、p−ヘキシルスチレン、p−オクチルスチレン、p−ノニルスチレン、p−デシルスチレン、p−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、3,4−ジクロルスチレン等のスチレン系モノマー、又は該スチレン系モノマーの誘導体、又はこれらの混合物が挙げられる。
【0054】
前記ビニルエステル系モノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル、等が挙げられる。
前記ビニルエーテル系モノマーとしては、例えば、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、ビニルフェニルエーテル、等が挙げられる。
前記オレフィン系モノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン等のモノオレフィン系モノマー;ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のジオレフィン系モノマー、等が挙げられる。
更に、シードポリマーの特性を改良するために架橋性モノマーを添加してもよい。前記架橋性モノマーとしては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルエーテル、ジエチレングリコールメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、フタル酸ジアリル等の不飽和結合を2個以上有するものが挙げられる。
【0055】
前記シード法においては、ラジカル重合開始剤を使用することができる。前記ラジカル重合開始剤は、水溶性であれば、適宜使用が可能である。このようなラジカル重合開始剤としては、例えば、過硫酸塩(過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等);アゾ系化合物(4,4’−アゾビス4−シアノ吉草酸及びその塩、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩等);パーオキサイド化合物等が好適に挙げられる。
【0056】
更に、上記重合開始剤は、必要に応じて還元剤と組み合わせレドックス系開始剤としてもよい。レドックス系開始剤を用いることにより、重合活性が上昇し、重合温度の低下が図れ、更に重合時間の短縮が期待できる。
前記重合温度は、重合開始剤の最低ラジカル生成温度以上であれば、どの温度を選択しても良いが、例えば、通常50℃〜80℃の範囲が用いられる。但し、常温開始の重合開始剤、例えば、過酸化水素−還元剤(アスコルビン酸等)の組み合わせを用いることで室温又はそれ以下の温度で重合することも可能である。
【0057】
上記のようにして得られたコア/シェル型ラテックス粒子は、上記の特徴的な物性を有する。
【0058】
前記第1トナー受像層の厚み(G1)と第2トナー受像層の厚み(G2)との比(G1:G2)は、20:80〜80:20が好ましく、30:70〜70:30がより好ましい。前記第1トナー受像層と第2トナー受像層との厚みの比がこの範囲を外れると、プリント後の光沢、耐接着性、及び脆性が低下する。
なお、前記第1トナー受像層の厚み(G1)は2〜50μmが好ましい。また、前記第2トナー受像層の厚み(G2)は2〜50μmが好ましい。
【0059】
次に、前記トナー受像層には、前記コア/シェル型ラテックス粒子の他に、トナー受像層の熱力学的特性を改良する目的で各種添加剤を配向することができる。該各種添加剤としては、例えば、離型剤、可塑剤、着色剤、フィラー、架橋剤、帯電制御剤、その他の添加剤、などが挙げられる。
【0060】
−離型剤−
前記離型剤は、トナー受像層のオフセットを防ぐため、トナー受像層に配合される。前記離型剤は、定着温度において加熱・融解し、トナー受像層表面に析出してトナー受像層表面に偏在し、更に、冷却・固化されることによってトナー受像層表面に離型剤材料の層を形成するものであれば、その種類は限定されない。このような作用効果を奏する離型剤としては、シリコーン化合物、フッ素化合物、ワックス及びマット剤から選択される少なくとも1種の離型剤が挙げられる。好ましくは、シリコーンオイル、ポリエチレンワックス、カルナバワックス、及びシリコーン粒子並びにポリエチレンワックス粒子からなる群より選択される少なくとも1種以上の離型剤が挙げられる。
【0061】
前記離型剤としては、例えば、幸書房「改訂 ワックスの性質と応用」や、日刊工業新聞社発行のシリコーンハンドブック記載の化合物を用いることができる。また、特公昭59−38581号、特公平4−32380号、特許第2838498号、同2949558号、特開昭50−117433号、同52−52640号、同57−148755号、同61−62056号、同61−62057号、同61−118760号、特開平2−42451号、同3−41465号、同4−212175号、同4−214570号、同4−263267号、同5−34966号、同5−119514号、同6−59502号、同6−161150号、同6−175396号、同6−219040号、同6−230600号、同6−295093号、同7−36210号、同7−43940号、同7−56387号、同7−56390号、同7−64335号、同7−199681号、同7−223362号、同7−287413号、同8−184992号、同8−227180号、同8−248671号、同8−248799号、同8−248801号、同8−278663号、同9−152739号、同9−160278号、同9−185181号、同9−319139号、同9−319143号、同10−20549号、同10−48889号、同10−198069号、同10−207116号、同11−2917号、同11−44969号、同11−65156号、同11−73049号、同11−194542号各公報に記載のトナーに用いられているシリコーン系化合物、フッ素化合物又はワックスも好ましく用いることができる。また、これら化合物を複数組み合わせて使用することもできる。
【0062】
具体的には、シリコーン系化合物としては、シリコーンオイルとして無変性シリコーンオイル(具体的には、ジメチルシロキサンオイルや、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、フェニルメチルシリコーンオイル、市販品として信越化学工業製KF−96、KF−96L、KF−96H、KF−99、KF−50、KF−54、KF−56、KF−965、KF−968、KF−994、KF−995、HIVAC F−4、F−5;東レ・ダウコーニング・シリコーン製SH200、SH203、SH490、SH510、SH550、SH710、SH704、SH705、SH7028A、SH7036、SM7060、SM7001、SM7706、SH7036、SH8710、SH1107、SH8627;東芝シリコーン製TSF400、TSF401、TSF404、TSF405、TSF431、TSF433、TSF434、TSF437、TSF450シリーズ、TSF451シリーズ、TSF456、TSF458シリーズ、TSF483、TSF484、TSF4045、TSF4300、TSF4600、YF33シリーズ、YF−3057、YF−3800、YF−3802、YF−3804、YF−3807、YF−3897、XF−3905、XS69−A1753、TEX100、TEX101、TEX102、TEX103、TEX104、TSW831、など)、アミノ変性シリコーンオイル(市販品として信越化学工業製KF−857、KF−858、KF−859、KF−861、KF−864、KF−880、東レ・ダウコーニング・シリコーン製SF8417、SM8709、東芝シリコーン製TSF4700、TSF4701、TSF4702、TSF4703、TSF4704、TSF4705、TSF4706、TEX150、TEX151、TEX154など)、カルボキシ変性シリコーンオイル(市販品として東レ・ダウコーニング・シリコーン製BY16−880、東芝シリコーン製TSF4770、XF42−A9248など)、カルビノール変性シリコーンオイル(市販品として東芝シリコーン製XF42−B0970など)、ビニル変性シリコーンオイル(市販品として東芝シリコーン製XF40−A1987など)、エポキシ変性シリコーンオイル(市販品として東レ・ダウコーニング・シリコーン製SF8411、SF8413;東芝シリコーン製TSF3965、TSF4730、TSF4732、XF42−A4439、XF42−A4438、XF42−A5041、XC96−A4462、XC96−A4463、XC96−A4464、TEX170など)、ポリエーテル変性シリコーンオイル(市販品として信越化学工業製KF−351(A)、KF−352(A)、KF−353(A)、KF−354(A)、KF−355(A)、KF−615(A)、KF−618、KF−945(A);東レ・ダウコーニング・シリコーン製SH3746、SH3771、SF8421、SF8419、SH8400、SF8410;東芝シリコーン製TSF4440、TSF4441、TSF4445、TSF4446、TSF4450、TSF4452、TSF4453、TSF4460など)、シラノール変性シリコーンオイル、メタクリル変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイル(市販品として東レ・ダウコーニング・シリコーン製SF8427、SF8428、東芝シリコーン製TSF4750、TSF4751、XF42−B0970など)、アルキル変性シリコーンオイル(市販品として東レ・ダウコーニング・シリコーン製SF8416、東芝シリコーン製TSF410、TSF411、TSF4420、TSF4421、TSF4422、TSF4450、XF42−334、XF42−A3160、XF42−A3161など)、フッ素変性シリコーンオイル(市販品として東レ・ダウコーニング・シリコーン製FS1265、東芝シリコーン製FQF501など)、シリコーンゴムやシリコーン微粒子(市販品として東レ・ダウコーニング・シリコーン製SH851U、SH745U、SH55UA、SE4705U、SH502UA&B、SRX539U、SE6770U−P、DY38−038、DY38−047、トレフィルF−201、F−202、F−250、R−900、R−902A、E−500、E−600、E−601、E−506、BY29−119;東芝シリコーン製トスパール105、120、130、145、240、3120など)、シリコーン変性樹脂(具体的には、オレフィン樹脂やポリエステル樹脂、ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂などやこれらの共重合樹脂をシリコーン変性した化合物など、市販品として大日精化製ダイアロマーSP203V、SP712、SP2105、SP3023;日本油脂製モディパーFS700、FS710、FS720、FS730、FS770;東亜合成化学製サイマックUS−270、US−350、US−352、US−380、US−413、US−450、レゼダGP−705、GS−30、GF−150、GF−300;東レ・ダウコーニング・シリコーン製SH997、SR2114、SH2104、SR2115、SR2202、DCI−2577、SR2317、SE4001U、SRX625B、SRX643、SRX439U、SRX488U、SH804、SH840、SR2107、SR2115;東芝シリコーン製YR3370、TSR1122、TSR102、TSR108、TSR116、TSR117、TSR125A、TSR127B、TSR144、TSR180、TSR187、YR47、YR3187、YR3224、YR3232、YR3270、YR3286、YR3340、YR3365、TEX152、TEX153、TEX171、TEX172など)、反応性シリコーン化合物(具体的には、付加反応型や、過酸化物硬化型、紫外線硬化型があり、市販品として東芝シリコーン製TSR1500、TSR1510、TSR1511、TSR1515、TSR1520、YR3286、YR3340、PSA6574、TPR6500、TPR6501、TPR6600、TPR6702、TPR6604、TPR6700、TPR6701、TPR6705、TPR6707、TPR6708、TPR6710、TPR6712、TPR6721、TPR6722、UV9300、UV9315、UV9425、UV9430、XS56−A2775、XS56−A2982、XS56−A3075、XS56−A3969、XS56−A5730、XS56−A8012、XS56−B1794、SL6100、SM3000、SM3030、SM3200、YSR3022など)などが挙げられる。
【0063】
前記フッ素化合物としては、フッ素オイル(市販品としてダイキン工業製ダイフロイル#1、#3、#10、#20、#50、#100、ユニダインTG−440、TG−452、TG−490、TG−560、TG−561、TG−590、TG−652、TG−670U、TG−991、TG−999、TG−3010、TG−3020、TG−3510;トーケムプロダクツ製MF−100、MF−110、MF−120、MF−130、MF−160、MF−160E;旭硝子製サーフロンS−111、S−112、S−113、S−121、S−131、S−132、S−141、S−145;三井フロロケミカル製FC−430、FC−431など)、フッ素ゴム(市販品として東レ・ダウコーニング・シリコーン製LS63Uなど)、フッ素変性樹脂(市販品として日本油脂製モディパーF200、F220、F600、F2020、F3035;大日精化製ダイアロマーFF203、FF204;旭硝子製サーフロンS−381、S−383、S−393、SC−101、SC−105、KH−40、SA−100;トーケムプロダクツ製EF−351、EF−352、EF−801、EF−802、EF−601、TFE、TFEA、TFEMA、PDFOH;住友3M製THV−200Pなど)、フッ素スルホン酸化合物(市販品としてトーケムプロダクツ製EF−101、EF−102、EF−103、EF−104、EF−105、EF−112、EF−121、EF−122A、EF−122B、EF−122C、EF−123A、EF−123B、EF−125M、EF−132、EF−135M、EF−305、FBSA、KFBS、LFBSなど)、フルオロスルホン酸、フッ素酸化合物や塩(具体的には無水フッ酸、稀フッ酸、ホウフッ酸、ホウフッ化亜鉛、ホウフッ化ニッケル、ホウフッ化錫、ホウフッ化鉛、ホウフッ化銅、ケイフッ酸、フッ化チタン酸カリウム、パーフルオロカプリル酸、パーフルオロオクタン酸アンモニウムなど)、無機フッ化物(具体的にはフッ化アルミニウム、ケイフッ化カリウム、フッ化ジルコン酸カリウム、フッ化亜鉛4水和物、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、フッ化バリウム、フッ化錫、フッ化カリウム、酸性フッ化カリウム、フッ化マグネシウム、フッ化チタン酸、フッ化ジルコン酸、六フッ化リン酸アンモニウム、六フッ化リン酸カリウムなど)などが挙げられる。
【0064】
前記ワックスとしては、例えば、合成炭化水素、変性ワックス、水素化ワックス、天然ワックスなどが挙げられる。
【0065】
前記合成炭化水素としては、例えば、ポリエチレンワックス(市販品として中京油脂製ポリロンA、393、H−481;三洋化成製サンワックスE−310、E−330、E−250P、LEL−250、LEL−800、LEL−400Pなど)、ポリプロピレンワックス(市販品として三洋化成製ビスコール330−P、550−P、660−P)、フィッシャートロプシュワックス(市販品として日本精鑞製FT100、FT−0070など)、酸アミド化合物或いは酸イミド化合物(具体的には、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミドなど、市販品として中京油脂製セロゾール920、B−495、ハイミクロンG−270、G−110、ハイドリンD−757など)などが挙げられる。
【0066】
前記変性ワックスとしては、例えば、アミン変性ポリプロピレン(市販品として三洋化成製QN−7700)、アクリル酸変性やフッ素変性、オレフィン変性ワックス、ウレタン型ワックス(市販品として日本精鑞製NPS−6010、HAD−5090など)、アルコール型ワックス(市販品として日本精鑞製NPS−9210、NPS−9215、OX−1949、XO−020Tなど)などが挙げられる。
【0067】
前記水素化ワックスとしては、例えば、硬化ひまし油(市販品として伊藤製油製カスターワックスなど)、ヒマシ油誘導体(市販品として伊藤製油製の脱水ヒマシ油DCO、DCO Z−1、DCO Z−3、ヒマシ油脂肪酸CO−FA、リシノレイン酸、脱水ヒマシ油脂肪酸DCO−FA、脱水ヒマシ油脂肪酸エポキシエステルD−4エステル、ヒマシ油系ウレタンアクリレートCA−10、CA−20、CA−30、ヒマシ油誘導体MINERASOL S−74、S−80、S−203、S−42X、S−321、特殊ヒマシ油系縮合脂肪酸MINERASOL RC−2、RC−17、RC−55、RC−335、特殊ヒマシ油系縮合脂肪酸エステルMINERASOL LB−601、LB−603、LB−604、LB−702、LB−703、#11、L−164、など)、ステアリン酸(市販品として伊藤製油製の12−ヒドロキシステアリン酸など)、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ベヘニン酸、セバシン酸(市販品として伊藤製油製のセバシン酸など)、ウンデシレン酸(市販品として伊藤製油製のウンデシレン酸など)、ヘプチル酸(市販品として伊藤製油製のヘプチル酸など)、マレイン酸、高度マレイン化油(市販品として伊藤製油製のHIMALEIN DC−15、LN−10、00−15、DF−20、SF−20など)、吹込油(市販品として伊藤製油製のセルボノール#10、#30、#60、R−40、S−7など)、シクロペンタジエン化油(市販品として伊藤製油製のCPオイル、CPオイル−Sなど)などの合成ワックスなどが挙げられる。
【0068】
前記天然ワックスとしては、植物系ワックス、動物系ワックス、鉱物系ワックス及び石油ワックスから選択される少なくともいずれかが好ましい。
【0069】
前記植物系ワックスとしては、例えば、カルナバワックス(市販品として日本精鑞製EMUSTAR−0413、中京油脂製セロゾール524など)、ヒマシ油(市販品として伊藤製油製精製ヒマシ油など)、ナタネ油、大豆油、木ろう、綿ろう、ライスワックス、サトウキビワックス、キャンデリラワックス、ジャパンワックス、ホホバ油、などが挙げられる。これらの中でも、特に、耐オフセット性、耐接着性、通紙性、光沢感が優れ、ひび割れが生じ難く、高画質の画像を形成可能な電子写真用受像シートを提供可能である点で、融点が70〜95℃のカルナバワックスが特に好ましい。
前記動物系ワックスとしては、例えば、ラノリン、鯨蝋、ステ蝋(鯨油)、羊毛蝋、等が挙げられる。
【0070】
前記鉱物系ワックスとしては、例えば、モンタンワックス、モンタン系エステルワックス、オゾケライト、セレシン、脂肪酸エステル(市販品として新日本理化製サンソサイザーDOA、AN−800、DINA、DIDA、DOZ、DOS、TOTM、TITM、E−PS、nE−PS、E−PO、E−4030、E−6000、E−2000H、E−9000H、TCP、C−1100など)、等が挙げられる。これらの中でも、特に、耐オフセット性、耐接着性、通紙性、光沢感が優れ、ひび割れが生じ難く、高画質の画像を形成可能な電子写真用受像シートを提供可能である点で、融点が70〜95℃のカルナバワックスのモンタンワックスが特に好ましい。
【0071】
前記石油ワックスとしては、例えば、パラフィンワックス(市販品として日本精鑞製パラフィンワックス155、150、140、135、130、125、120、115、HNP−3、HNP−5、HNP−9、HNP−10、HNP−11、HNP−12、HNP−14G、SP−0160、SP−0145、SP−1040、SP−1035、SP−3040、SP−3035、NPS−8070、NPS−L−70、OX−2151、OX−2251、EMUSTAR−0384、EMUSTAR−0136、中京油脂製セロゾール686、428、651−A、A、H−803、B−460、E−172、866、K−133、ハイドリンD−337、E−139、日石三菱石油製125°パラフィン、125°FD、130°パラフィン、135°パラフィン、135°H、140°パラフィン、140°N、145°パラフィン、パラフィンワックスMなど)、マイクロクリスタリンワックス(市販品として日本精鑞製Hi−Mic−2095、Hi−Mic−3090、Hi−Mic−1080、Hi−Mic−1070、Hi−Mic−2065、Hi−Mic−1045、Hi−Mic−2045、EMUSTAR−0001、EMUSTAR−042X、中京油脂製セロゾール967、M、日石三菱石油製155マイクロワックス、180マイクロワックスなど)、ペトロラタム(市販品として日本精鑞製OX−1749、OX−0450、OX−0650B、OX−0153、OX−261BN、OX−0851、OX−0550、OX−0750B、JP−1500、JP−056R、JP−011Pなど)などが挙げられる。
【0072】
前記天然ワックスの前記トナー受像層(表面)における含有量(g/m2)としては、0.1〜4g/m2が好ましく、0.2〜2g/m2が好ましい。
前記含有量が、0.1g/m2未満であると、耐オフセット性、耐接着性が特に不充分となることがある一方、4g/m2を超えると、ワックス量が多過ぎ、形成される画像の画質が劣ることがある。
前記天然ワックスの融点(℃)としては、特に、耐オフセット性、及び、通紙性の点で、70〜95℃が好ましく、75〜90℃がより好ましい。
【0073】
前記マット剤としては、種々の公知のものが挙げられる。マット剤として用いられる固体粒子は、無機粒子と有機粒子とに分類できる。
前記無機マット剤の材料としては、具体的には、酸化物(例えば、二酸化ケイ素、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム)、アルカリ土類金属塩(例えば、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、硫酸マグネシウム)、ハロゲン化銀(例えば、塩化銀、臭化銀)、ガラス、などが挙げられる。
【0074】
前記無機マット剤としては、例えば、西独特許2529321号、英国特許760775号、同1260772号、米国特許1201905号、同2192241号、同3053662号、同3062649号、同3257206号、同3322555号、同3353958号、同3370951号、同3411907号、同3437484号、同3523022号、同3615554号、同3635714号、同3769020号、同4021245号、同4029504号の各明細書に記載されたものが挙げられる。
【0075】
前記有機マット剤の材料としては、例えば、デンプン、セルロースエステル(例えば、セルロースアセテートプロピオネート)、セルロースエーテル(例えば、エチルセルロース)、合成樹脂、などが挙げられる。前記合成樹脂は、水不溶性又は水難溶性であることが好ましい。
前記水不溶性又は水難溶性の合成樹脂としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸エステル(例えば、ポリアルキル(メタ)アクリレート、ポリアルコキシアルキル(メタ)アクリレート、ポリグリシジル(メタ)アクリレート)、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリビニルエステル(例えば、ポリ酢酸ビニル)、ポリアクリロニトリル、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン)、ポリスチレン、ベンゾグアナミン樹脂、ホルムアルデヒド縮合ポリマー、エポキシ樹脂、ポリアミド、ポリカーボネート、フェノール樹脂、ポリビニルカルバゾール、ポリ塩化ビニリデン、などが挙げられる。
以上のポリマーに使用されるモノマーを組み合わせたコポリマーを用いてもよい。
【0076】
前記コポリマーの場合、少量の親水性の繰り返し単位が含まれていてもよい。前記親水性の繰り返し単位を形成するモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、α,β−不飽和ジカルボン酸、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、スルホアルキル(メタ)アクリレート、スチレンスルホン酸、などが挙げられる。
前記有機マット剤としては、例えば、英国特許1055713号、米国特許1939213号、同2221873号、同2268662号、同2322037号、同2376005号、同2391181号、同2701245号、同2992101号、同3079257号、同3262782号、同3443946号、同3516832号、同3539344号、同3591379号、同3754924号、同3767448号の各明細書、特開昭49−106821号公報、特開昭57−14835号公報に記載されたものが挙げられる。
また、二種類以上の固体粒子を併用してもよい。固体粒子の平均粒径は、例えば、1〜100μmが好ましく、4〜30μmがより好ましい。固体粒子の使用量は、0.01〜0.5g/m2が好ましく、0.02〜0.3g/m2がより好ましい。
【0077】
前記トナー受像層に添加される離型剤としては、これらの誘導体や、酸化物、精製品、混合物を用いることもできる。また、これらは、反応性の置換基を有していてもよい。
【0078】
前記離型剤の融点(℃)としては、特に耐オフセット性、及び、通紙性の点で、70〜95℃が好ましく、75〜90℃がより好ましい。
また前記離型剤としては、特に、前記トナー受像層の熱可塑性樹脂として水系の熱可塑性樹脂を用いた場合の相溶性等の点で、水分散型の離型剤が好ましい。前記離型剤の含有量は、前記トナー受像層全量に対し0.1〜10質量%が好ましく、0.3〜8.0質量%がより好ましく、0.5〜5.0質量%が更に好ましい。
【0079】
−可塑剤−
前記可塑剤としては、公知の樹脂用の可塑剤を特に制限なく使用することができる。前記可塑剤は、トナーを定着する時の熱及び/又は圧力によって、トナー受像層が流動又は柔軟化するのを調整する機能を有する。
前記可塑剤としては、「化学便覧」(日本化学会編、丸善)、「可塑剤−その理論と応用−」(村井孝一編著、幸書房)、「可塑剤の研究 上」「可塑剤の研究 下」(高分子化学協会編)、「便覧 ゴム・プラスチック配合薬品」(ラバーダイジェスト社編)等を参考にして選択することができる。
【0080】
前記可塑剤は、高沸点有機溶剤や熱溶剤などとして記載されているものもあるが、例えば、特開昭59−83154号、同59−178451号、同59−178453号、同59−178454号、同59−178455号、同59−178457号、同62−174754号、同62−245253号、同61−209444号、同61−200538号、同62−8145号、同62−9348号、同62−30247号、同62−136646号、同62−174754号、同62−245253号、同61−209444号、同61−200538号、同62−8145号、同62−9348号、同62−30247号、同62−136646号、特開平2−235694号などの各公報等に記載されているようなエステル類(例えば、フタル酸エステル類、リン酸エステル類、脂肪酸エステル類、アビエチン酸エステル類、アジピン酸エステル類、セバシン酸エステル類、アゼライン酸エステル類、安息香酸エステル類、酪酸エステル類、エポキシ化脂肪酸エステル類、グリコール酸エステル類、プロピオン酸エステル類、トリメリット酸エステル類、クエン酸エステル類、スルホン酸エステル類、カルボン酸エステル類、コハク酸エステル類、マレイン酸エステル類、フマル酸エステル類、フタル酸エステル類、ステアリン酸エステル類など)、アミド類(例えば、脂肪酸アミド類、スルホアミド類など)、エーテル類、アルコール類、ラクトン類、ポリエチレンオキシ類などの化合物が挙げられる。
前記可塑剤は、樹脂に混合して使用することができる。
【0081】
前記可塑剤としては、比較的低分子量のポリマーを用いることができる。この場合、前記可塑剤の分子量としては、可塑化されるべきバインダー樹脂の分子量より低いものが好ましい。前記可塑剤の分子量は15000以下が好ましく、5000以下がより好ましい。
また、ポリマー可塑剤の場合、可塑化されるべきバインダー樹脂と同種のポリマーであることが好ましい。例えば、ポリエステル樹脂の可塑化には、低分子量のポリエステルが好ましい。更にオリゴマーも可塑剤として用いることができる。
上記に挙げた化合物以外にも市販品として、例えば、旭電化工業製アデカサイザーPN−170、PN−1430;C.P.HALL社製品PARAPLEX−G−25、G−30、G−40;理化ハーキュレス製品エステルガム8L−JA、エステルR−95、ペンタリン4851、FK115、4820、830、ルイゾール28−JA、ピコラスチックA75、ピコテックスLC、クリスタレックス3085等が挙げられる。
【0082】
前記可塑剤は、トナー粒子がトナー受像層に埋め込まれる際に生じる応力や歪み(弾性力や粘性などの物理的な歪み、分子やバインダー主鎖やペンダント部分などの物質収支による歪み等)を緩和するために任意に使用することができる。
前記可塑剤は、トナー受像層中において、ミクロに分散された状態でもよいし、海島状にミクロに相分離した状態でもよいし、バインダー等の他の成分と充分に混合溶解した状態でもよい。
前記可塑剤の、前記トナー受像層における含有量としては、0.001〜90質量%が好ましく、0.1〜60質量%がより好ましく、1〜40質量%が更に好ましい。
前記可塑剤は、スベリ性(摩擦力低下による搬送性向上)の調整や、定着部オフセット(定着部へのトナーや層の剥離)の改良、カールバランスの調整、帯電調整(トナー静電像の形成)等の目的で使用してもよい。
【0083】
−着色剤−
前記着色剤としては、蛍光増白剤、白色顔料、有色顔料、染料等が挙げられる。
前記蛍光増白剤は、近紫外部に吸収を持ち、400〜500nmに蛍光を発する化合物で、公知の蛍光増白剤が特に制限なく各種使用することができる。該蛍光増白剤としては、K.VeenRataraman編“The Chemistry of Synthetic Dyes”V巻8章に記載されている化合物を好適に挙げることができる。具体的には、スチルベン系化合物や、クマリン系化合物、ビフェニル系化合物、ベンゾオキサゾリン系化合物、ナフタルイミド系化合物、ピラゾリン系化合物、カルボスチリル系化合物などが挙げられる。それらの例としては、住友化学製ホワイトフルファーPSN、PHR、HCS、PCS、B;Ciba−Geigy社製UVITEX−OBなどが挙げられる。
【0084】
前記白色顔料としては、後述するフィラーの項の無機顔料(例えば、酸化チタン、炭酸カルシウム他)を用いることができる。
前記有色顔料としては、特開昭63−44653号公報等に記載されている各種顔料及びアゾ顔料(例えば、アゾレーキ;カーミン6B、レッド2B、不溶性アゾ;モノアゾイエロ、ジスアゾイエロ、ピラゾロオレンジ、バルカンオレンジ、縮合アゾ系;クロモフタルイエロ、クロモフタルレッド)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン系;銅フタロシアニンブルー、銅フタロシアニングリーン、シオキサジン系;ジオキサジンバイオレット、イソインドリノン系;イソインドリノンイエロ、スレン系;ペリレン、ペリノン、フラバントロン、チオインジゴ;レーキ顔料(例えば、マラカイトグリーン、ローダミンB、ローダミンG、ビクトリアブルーB);無機顔料(例えば、酸化物、二酸化チタン、ベンガラ、硫酸塩;沈降性硫酸バリウム、炭酸塩;沈降性炭酸カルシウム、硅酸塩;含水硅酸塩、無水硅酸塩、金属粉;アルミニウム粉、ブロンズ粉、亜鉛末、カーボンブラック、黄鉛、紺青等)などが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記顔料としては、特に酸化チタンが好ましい。
【0085】
前記染料としては、公知の種々の染料を用いることができる。
前記油溶性染料としては、アントラキノン系化合物、アゾ系化合物などが挙げられる。
前記水不溶性染料としては、例えば、C.I.Vatヴァイオレット1、C.I.Vatヴァイオレット2、C.I.Vatヴァイオレット9、C.I.Vatヴァイオレット13,C.I.Vatヴァイオレット21、C.I.Vatブルー1、C.I.Vatブルー3、C.I.Vatブルー4、C.I.Vatブルー6、C.I.Vatブルー14、C.I.Vatブルー20、C.I.Vatブルー35等の建染染料;C.I.ディスパーズヴァイオレット1、C.I.ディスパーズヴァイオレット4、C.I.ディスパーズヴァイオレット10、C.I.ディスパーズブルー3、C.I.ディスパーズブルー7、C.I.ディスパーズブルー58等の分散染料;C.I.ソルベントヴァイオレット13、C.I.ソルベントヴァイオレット14、C.I.ソルベントヴァイオレット21、C.I.ソルベントヴァイオレット27、C.I.ソルベントブルー11、C.I.ソルベントブルー12、C.I.ソルベントブルー25、C.I.ソルベントブルー55、などが挙げられる。
なお、銀塩写真で用いられているカラードカプラーも好ましく用いることができる。
【0086】
前記着色剤の、前記トナー受像層(表面)における含有量(g/m2)としては、0.1〜8g/m2が好ましく、0.5〜5g/m2がより好ましい。
前記着色剤の含有量が0.1g/m2に満たないと、トナー受像層における光透過率が高くなり、一方、着色剤の含有量が8g/m2を超えると、ヒビ割れ、耐接着等の取り扱い性が悪いことがある。
【0087】
−フィラー−
前記フィラーとしては、有機フィラー又は無機のフィラーが挙げられ、バインダー樹脂用の補強剤や、充填剤、強化材として公知のものが用いることができる。
前記フィラーとしては、「便覧 ゴム・プラスチック配合薬品」(ラバーダイジェスト社編)、「新版 プラスチック配合剤 基礎と応用」(大成社)、「フィラーハンドブック」(大成社)等を参考にして選択することができる。
また、前記フィラーとして、各種無機フィラー(又は顔料)を用いることができる。前記無機顔料としては、例えば、シリカ、アルミナ、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、雲母状酸化鉄、鉛白、酸化鉛、酸化コバルト、ストロンチウムクロメート、モリブデン系顔料、スメクタイト、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、ムライト等が挙げられる。前記フィラーとしては、特に、シリカや、アルミナが好ましい。これらのフィラーは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また前記フィラーとしては、粒径の小さいものが好ましい。粒径が大きいと、トナー受像層の表面が粗面化し易い。
【0088】
前記シリカには、球状シリカと無定形シリカが含まれる。該シリカは、乾式法、湿式法又はエアロゲル法により合成できる。疎水性シリカ粒子の表面を、トリメチルシリル基又はシリコーンで表面処理してもよい。シリカとしては、コロイド状シリカが好ましい。シリカの平均粒径としては、200〜5000nmが好ましい。
前記シリカは、多孔質であるのが好ましい。多孔質シリカの平均孔径は、4〜120nmが好ましく、4〜90nmがより好ましい。また、多孔質シリカの質量当りの平均孔容積は、0.5〜3ml/gが好ましい。
【0089】
前記アルミナには、無水アルミナ及びアルミナ水和物が含まれる。前記無水アルミナの結晶型としては、α、β、γ、δ、ζ、η、θ、κ、ρ又はχを用いることができる。無水アルミナよりもアルミナ水和物の方が好ましい。前記アルミナ水和物としては、一水和物又は三水和物を用いることできる。前記一水和物には、擬ベーマイト、ベーマイト、ダイアスポアが含まれる。前記三水和物には、ジブサイト、バイヤライトが含まれる。
前記アルミナの平均粒径としては、4〜300nmが好ましく、4〜200nmがより好ましい。前記アルミナは、多孔質であるのが好ましい。多孔質アルミナの平均孔径としては、50〜500nmが好ましい。多孔質アルミナの質量当りの平均孔容積としては、0.3〜3ml/g程度が好ましい。
【0090】
前記アルミナ水和物は、アルミニウム塩溶液にアンモニアを加えて沈澱させるゾルゲル法又はアルミン酸アルカリを加水分解する方法により合成できる。前記無水アルミナは、アルミナ水和物を加熱により脱水することで得ることができる。
前記フィラーは、添加する層のバインダーの乾燥質量に基づいて、5〜2000質量部が好ましい。
【0091】
−架橋剤−
前記架橋剤は、トナー受像層の保存安定性や、熱可塑性等を調整するために配合することができる。このような架橋剤としては、反応基としてエポキシ基、イソシアネート基、アルデヒド基、活性ハロゲン基、活性メチレン基、アセチレン基、その他公知の反応基を2個以上分子内に有する化合物が用いられる。
【0092】
前記架橋剤として、これとは別に、水素結合、イオン結合、配位結合等により結合を形成することが可能な基を2個以上有する化合物も用いることができる。前記架橋剤としては、樹脂用のカップリング剤、硬化剤、重合剤、重合促進剤、凝固剤、造膜剤、造膜助剤等として公知の化合物を用いることができる。カップリング剤の例としては、例えば、クロロシラン類、ビニルシラン類、エポキシシラン類、アミノシラン類、アルコキシアルミニウムキレート類、チタネートカップリング剤などが挙げられる他、「便覧 ゴム・プラスチック配合薬品」(ラバーダイジェスト社編)等に挙げられた公知のものを用いることができる。
【0093】
−帯電制御剤−
前記トナー受像層には、トナーの転写や、付着等を調整したり、トナー受像層の帯電接着を防止するために、帯電制御剤を含有させることが好ましい。
前記帯電制御剤としては、従来から公知の各種帯電制御剤を使用することができる。このような帯電制御剤としては、例えば、カチオン界面活性剤や、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤等の界面活性剤等の他、高分子電解質、導電性金属酸化物等を使用できる。例えば、第4級アンモニウム塩、ポリアミン誘導体、カチオン変性ポリメチルメタクリレート、カチオン変性ポリスチレン等のカチオン系帯電防止剤、アルキルホスフェート、アニオン系ポリマー等のアニオン系帯電防止剤、脂肪酸エステル、ポリエチレンオキサイド等のノニオン系帯電防止剤が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0094】
トナーが負電荷を有する場合、トナー受像層に配合される帯電制御剤としては、例えば、カチオンやノニオンが好ましい。
前記導電性金属酸化物としては、例えば、ZnO、TiO2、SnO2、Al2O3、In2O3、SiO2、MgO、BaO、MoO3等を挙げることができる。これらの導電性金属酸化物は、単独で使用しても良く、これらの複合酸化物で使用しても良い。また、前記金属酸化物は、異種元素を更に含有させてもよく、例えば、ZnOに対して、Al、In等、TiO2に対してNb、Ta等、SnO2に対しては、Sb、Nb、ハロゲン元素等を含有(ドーピング)させることができる。
【0095】
−その他の添加剤−
前記トナー受像層に使用され得る材料には、出力画像の安定性改良やトナー受像層自身の安定性改良のため各種添加剤を含めることができる。前記添加剤としては、種々の公知の酸化防止剤、老化防止剤、劣化防止剤、オゾン劣化防止剤、紫外線吸収剤、金属錯体、光安定剤、防腐剤、防かび剤、等が挙げられる。
【0096】
前記酸化防止剤としては、例えば、クロマン化合物、クマラン化合物、フェノール化合物(例、ヒンダードフェノール)、ハイドロキノン誘導体、ヒンダードアミン誘導体、スピロインダン化合物が挙げられる。なお、酸化防止剤については、特開昭61−159644号公報などに記載されている。
【0097】
前記老化防止剤としては、例えば、「便覧 ゴム・プラスチック配合薬品 改訂第2版」(1993年、ラバーダイジェスト社)p76〜121に記載のものが挙げられる。
【0098】
前記紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール化合物(米国特許3533794号明細書記載)、4−チアゾリドン化合物(米国特許3352681号明細書記載)、ベンゾフェノン化合物(特開昭46−2784号公報記載)及び紫外線吸収ポリマー(特開昭62−260152号公報記載)が挙げられる。
【0099】
前記金属錯体としては、例えば、米国特許4241155号、同4245018号、同4254195号の各明細書、特開昭61−88256号、同62−174741号、同63−199248号、特開平1−75568号、同1−74272号の各公報に記載されているものが適当である。
また、「便覧 ゴム・プラスチック配合薬品 改訂第2版」(1993年、ラバーダイジェスト社)p122〜137に記載の紫外線吸収剤、光安定剤も好ましく用いられる。
【0100】
なお、前記トナー受像層に使用され得る材料には、上述したように公知の写真用添加剤を必要に応じて添加することができる。前記写真用添加剤としては、例えば、リサーチ・ディスクロージャー誌(以下、RDと略記する)No.17643(1978年12月)、同No.18716(1979年11月)及び同No.307105(1989年11月)に記載されており、その該当箇所を下記にまとめて示す。
【0101】〔トナー受像層の諸物性〕
前記トナー受像層は、白色度が高いのが好ましい。該白色度としては、JISP 8123に規定される方法で測定して、85%以上が好ましい。また、440nm〜640nmの波長域で、分光反射率が85%以上、かつ同波長域の最大分光反射率と最低分光反射率の差は5%以内が好ましい。更には、400nm〜700nmの波長域で分光反射率が85%以上、かつ同波長域の最大分光反射率と最低分光反射率の差は5%以内がより好ましい。
また、前記白色度としては、具体的には、CIE 1976(L*a*b*)色空間において、L*値は80以上が好ましく、85以上がより好ましく、90以上が更に好ましい。また、白色の色味はできるだけニュートラルであるのが好ましい。白色色味としては、L*a*b*空間において、(a*)2+(b*)2の値は50以下が好ましく、18以下がより好ましく、5以下が更に好ましい。
【0102】
前記トナー受像層としては、光沢性が高いのが好ましい。光沢度としては、トナーが無い白色から最大濃度の黒色までの全領域において、45度光沢度は60以上が好ましく、75以上がより好ましく、90以上が更に好ましい。
但し、光沢度は110以下が好ましい。110を超えると金属光沢のようになり画質として好ましくない。
尚、前記光沢度は、JIS Z 8741に基づいて測定することができる。
【0103】
前記トナー受像層は、平滑性が高いのが好ましい。該平滑度としては、トナーが無い白色から最大濃度の黒色までの全領域において、算術平均粗さ(Ra)が3μm以下が好ましく、1μm以下がより好ましく、0.5μm以下が更に好ましい。
尚、前記算術平均粗さは、JIS B 0601、B 0651、B 0652に基づいて測定することができる。
【0104】
前記トナー受像層は、以下の項目の内の1項目の物性を有することが好ましく、更に好ましくは、複数の項目、最も好ましくは、全ての項目の物性を有することが適当である。
(1)トナー受像層のTg(ガラス転移温度)が30℃以上、トナーのTg+20℃以下である。
(2)トナー受像層のT1/2(1/2法軟化点)が、60〜200℃、好ましくは、80〜170℃。ここで、1/2法軟化点は、特定の装置を使用し、特定の条件の下で、所定の押出加重を加えながら、初期設定温度(例えば、50℃)で余熱時間、例えば、300秒後に、所定の等速昇温速度で昇温した時の各温度における流出開始時と終了時のピストンストロークの差の2分の1となる温度で評価される。
(3)トナー受像層のTfb(流出開始温度)が、40〜200℃、好ましくは、トナー受像層のTfbが、トナーのTfb+50℃以下である。
(4)トナー受像層の粘度が1×105CPになる温度が、40℃以上、トナーのそれより低い。
(5)トナー受像層の定着温度における貯蔵弾性率(G’)が、1×102〜1×105Pa、損失弾性率(G”)が、1×102〜1×105Paである。
(6)トナー受像層の定着温度における損失弾性率(G”)と、貯蔵弾性率(G’)との比である損失正接(G”/G’)が、0.01〜10である。
(7)トナー受像層の定着温度における貯蔵弾性率(G’)が、トナーの定着温度における貯蔵弾性率(G”)に対して、−50〜+2500である。
(8)溶融トナーのトナー受像層上の傾斜角が、50度以下、特に40度以下である。
また、トナー受像層としては、特許第2788358号明細書、特開平7−248637号、同8−305067号、同10−239889号公報等に開示されている物性等を満足するものが好ましい。
【0105】
前記(1)の物性は、示差走査熱量測定装置(DSC)により測定することができる。前記(2)〜(3)の物性は、例えば、島津製作所製フローテスターCFT−500又は500Dを用いて測定することができる。前記(5)〜(7)の物性は、回転型レオメーター(例えば、レオメトリック社製ダイナミックアナライザーRADII)を用いて測定することができる。前記(8)の物性は、協和界面科学(株)製の接触角測定装置を用い、特開平8−334916号公報に開示した方法で測定することができる。
【0106】
前記トナー受像層としては、1×106〜1×1015Ω/cm2の範囲(25℃、65%RHの条件にて)の表面電気抵抗を有するのが好ましい。
前記表面抵抗が1×106Ω/cm2未満であると、トナー受像層にトナーが転写される際のトナー量が充分でなく、得られるトナー画像の濃度が低くなり易いことがある一方、表面電気抵抗が、1×1015Ω/cm2を超えると、転写時に必要以上の電荷が発生し、トナーが充分に転写されず、画像の濃度が低く、電子写真用受像シートの取り扱い中に静電気を帯びて塵埃が付着し易く、また複写時にミスフィード、重送、放電マーク、トナー転写ヌケ等が発生することがある。
【0107】
尚、前記支持体に対し、トナー受像層と反対側の面の表面電気抵抗としては、5×108〜3.2×1010Ω/cm2が好ましく、1×109〜1×1010Ω/cm2がより好ましい。
前記表面電気抵抗の測定は、JIS K 6911に準拠し、サンプルを温度20℃、湿度65%の環境下に8時間以上調湿し、同じ環境下で、アドバンテスト(株)製R8340を使用し、印加電圧100Vの条件で、通電して1分間経過した後に測定することで得られる。
【0108】
〔その他の層〕
前記その他の層としては、例えば、表面保護層、バック層、密着改良層、中間層、下塗り層、クッション層、帯電調節(防止)層、反射層、色味調製層、保存性改良層、接着防止層、アンチカール層、及び、平滑化層等が挙げられる。これらの層は、単層構成であってもよく、2以上の層より構成されていてもよい。
【0109】
−表面保護層−
前記表面保護層は、前記電子写真用受像シートにおける表面の保護、保存性の改良、取り扱い性の改良、筆記性の付与、機器通過性の改良、アンチオフセット性の付与等の目的で、前記トナー受像層の表面に設けることができる。該表面保護層は、1層であってもよいし、2層以上の層からなっていてもよい。表面保護層には、バインダーとして各種の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等を用いることができ、前記トナー受像層と同種の樹脂を用いるのが好ましい。但し、熱力学的特性や、静電特性等は、トナー受像層と同じである必要はなく、各々最適化することができる。
【0110】
前記表面保護層には、トナー受像層に使用可能な、前述の各種の添加剤を配合することができる。特に、前記表面保護層には、前記離型剤と共に、他の添加剤、例えば、マット剤等を配合することができる。なお、前記マット剤としては、種々の公知のものが挙げられる。
前記電子写真用受像シートにおける最表面層(例えば、表面保護層が形成されている場合には、表面保護層等)としては、定着性の点で、トナーとの相溶性が良いのが好ましい。具体的には、溶融したトナーとの接触角が、例えば0〜40度であることが好ましい。
【0111】
−バック層−
前記バック層は、前記電子写真用受像シートにおいて、裏面出力適性付与、裏面出力画質改良、カールバランス改良、機器通過性改良等の目的で、支持体に対して、トナー受像層の反対側に設けられるのが好ましい。
前記バック層の色としては、特に制限はないが、前記電子写真用受像シートが、裏面にも画像を形成する両面出力型受像シートの場合、バック層も白色であることが好ましい。白色度及び分光反射率は、表面と同様に85%以上が好ましい。
また、両面出力適性改良のため、バック層の構成がトナー受像層側と同様であってもよい。バック層には、上記で説明した各種の添加剤を用いることができる。このような添加剤として、特にマット剤や、帯電調整剤等を配合することが適当である。バック層は、単層構成であってもよく、2層以上の積層構成であってもよい。
また、定着時のオフセット防止のため、定着ローラ等に離型性オイルを用いている場合、バック層は、オイル吸収性としてもよい。
【0112】
−密着改良層等−
前記密着改良層は、前記電子写真用受像シートにおいて、支持体及びトナー受像層の密着性を改良する目的で、形成するのが好ましい。密着改良層には、前述の各種の添加剤を配合することができ、特に架橋剤を配合するのが好ましい。また、前記電子写真用受像シートには、トナーの受容性を改良するため、該密着改良層及びトナー受像層の間に、更にクッション層等を設けるのが好ましい。
【0113】
−中間層−
前記中間層は、例えば、支持体及び密着改良層の間、密着改良層及びクッション層の間、クッション層及びトナー受像層の間、トナー受像層及び保存性改良層との間等に形成することができる。なお、支持体、トナー受像層、及び、中間層からなる電子写真用受像シートの場合には、前記中間層は、例えば、支持体及びトナー受像層の間に存在させることができる。
【0114】
なお、前記電子写真用受像シートの厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、例えば、50〜350μmが好ましく、100〜280μmがより好ましい。
【0115】
(電子写真用受像シートの製造方法)
本発明の電子写真用受像シートの製造方法は、支持体上に前記本発明のコア/シェル型ラテックス粒子(A)の水分散液を塗布して第1トナー受像層を形成した後、該第1トナー受像層上に前記本発明のコア/シェル型ラテックス粒子(B)の水分散液を塗布して第2トナー受像層を形成する。
【0116】
具体的には、前記コア/シェル型ラテックス粒子の水分散液をワイヤーコーター等を用いて塗布することによって、支持体表面には、第1トナー受像層及び第2トナー受像層が形成され、同時に、原紙の厚み方向におけるコア/シェル型ラテックス粒子のしみ込みを行える。このような所定の深さにおいて、原紙中にコア/シェル型ラテックス粒子が浸透し、存在していると、原紙と、トナー受像層との熱に対する追随性が良化し、トナー受像層のひび割れ防止が図れるとともに、電子写真用受像シートのカール防止性が改善される。更に、しみ込みが大きいと、原紙そのものの吸湿性が低下し、それに伴い、原紙が吸湿することによる伸びも小さくなり、更にカール性が改善される。特に、原紙の裏面に対しても、原紙表面に設けるトナー受像層に使用されるコア/シェル型ラテックス粒子を使用して、バック層又はトナー受像層及びしみ込み部分を設ける場合には、カール防止性が大幅に向上する。
【0117】
<トナー>
本発明の電子写真用受像シートは、印刷又は複写の際に、トナー受像層にトナーを受容させて使用される。
前記トナーは、結着樹脂と着色剤とを少なくとも含有し、必要に応じて離型剤、その他の成分を含有する。
【0118】
−トナー 結着樹脂−
前記結着樹脂としては、スチレン、パラクロルスチレンなどのスチレン類;ビニルナフタレン、塩化ビニル、臭化ビニル、弗化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル、酪酸ビニルなどのビニルエステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル、α−クロルアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルなどのメチレン脂肪族カルボン酸エステル類;アクリロニトリル、メタクリルロニトリル、アクリルアミドなどのビニルニトリル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンなどのN−ビニル化合物類;メタクリル酸、アクリル酸、桂皮酸などのビニルカルボン酸類などビニル系モノマーの単独重合体やその共重合体、更には各種ポリエステル類を使用することができ、各種ワックス類を併用することも可能である。
これらの樹脂の中で、特に前記トナー受像層に用いたものと同一系統の樹脂を用いるのが好ましい。
【0119】
−トナー 着色剤−
前記着色剤としては、通常トナーに用いられているものを制限なく使用することができ、例えば、カーボンブラック、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーメネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、デイポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ローズベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオクサレレートなどの種々の顔料が挙げられる。また、アクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、チオインジコ系、ジオキサジン系、チアジン系、アゾメチン系、インジコ系、チオインジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアジン系、チアゾール系、キサンテン系などの各種染料などが挙げられる。これら着色剤は1種単独で使用してもよいし、複数種類を併せて使用してもよい。
前記着色剤の含有量は、2〜8質量%の範囲が好ましい。前記着色剤の含有量が2質量%以上であれば着色力が弱くなることもなく、一方、8質量%以下であれば、透明性が損なわれることもないので好ましい。
【0120】
−トナー 離型剤−
前記離型剤としては、原理的には、公知のワックス全てが使用可能であるが、比較的低分子量の高結晶性ポリエチレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、アミドワックス、ウレタン化合物など窒素を含有する極性ワックスなどが特に有効である。ポリエチレンワックスについては分子量が1000以下のものが特に有効であり、300〜1000の範囲がより好ましい。
【0121】
前記ウレタン結合を有する化合物は、低分子量であっても極性基による凝集力の強さにより、固体状態を保ち、融点も分子量のわりには高く設定できるので好適である。分子量の好ましい範囲は300〜1000である。原料は、ジイソシアン酸化合物類とモノアルコール類との組み合わせ、モノイソシアン酸とモノアルコールとの組み合わせ、ジアルコール類とモノイソシアン酸との組み合わせ、トリアルコール類とモノイソシアン酸との組み合わせ、トリイソシアン酸化合物類とモノアルコール類との組み合わせなど、種々の組み合わせを選択することができが、高分子量化させないために、多官能基と単官能基の化合物を組み合わせることが好ましく、また等価の官能基量となるようにすることが重要である。
【0122】
具体的な、原料化合物のうちモノイソシアン酸化合物としては、例えば、イソシアン酸ドデシル、イソシアン酸フェニル及びその誘導体、イソシアン酸ナフチル、イソシアン酸ヘキシル、イソシアン酸ベンジル、イソシアン酸ブチル、イソシアン酸アリルなどが挙げられる。
ジイソシアン酸化合物としては、ジイソシアン酸トリレン、ジイソシアン酸4、4’ジフェニルメタン、ジイソシアン酸トルエン、ジイソシアン酸1、3−フェニレン、ジイソシアン酸ヘキサメチレン、ジイソシアン酸4−メチル−m−フェニレン、ジイソシアン酸イソホロンなどが挙げられる。
モノアルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノールなど極く一般的なアルコール類を使用することが可能である。
原料化合物のうちジアルコール類としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、トリメチレングリコールなど多数のグリコール類;トリアルコール類としては、トリメチロールプロパン、トリエチロールプロパン、トリメタノールエタンなどが使用可能であるが、必ずしもこの範囲に限定されない。
【0123】
これらのウレタン化合物類は、通常の離型剤のように、混練時に樹脂や着色剤とともに混合して、混練粉砕型トナーとしても使用できる。また、前記の乳化重合凝集溶融法トナーに用いる場合には、水中にイオン性界面活性剤や高分子酸や高分子塩基などの高分子電解質とともに分散し、融点以上に加熱してホモジナイザーや圧力吐出型分散機で強い剪断をかけて微粒子化し、1μm以下の離型剤粒子分散液を調製し、樹脂粒子分散液、着色剤分散液などとともに用いることができる。
【0124】
−トナー その他の成分−
また、前記トナーには、内添剤、帯電制御剤、無機微粒子等のその他の成分を配合することができる。内添剤としては、フェライト、マグネタイト、還元鉄、コバルト、ニッケル、マンガン等の金属、合金、又はこれら金属を含む化合物などの磁性体を使用することができる。
【0125】
前記帯電制御剤としては、4級アンモニウム塩化合物、ニグロシン系化合物、アルミや、鉄、クロムなどの錯体からなる染料、トリフェニルメタン系顔料など通常使用される種々の帯電制御剤を使用することができる。なお、凝集、溶融時の安定性に影響するイオン強度の制御や、廃水汚染を減少する観点から水に溶解しにくい材料が好ましい。
【0126】
前記無機微粒子としては、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸三カルシウムなど、通常、トナー表面の外添剤を全て使用で、それらをイオン性界面活性剤や高分子酸、高分子塩基で分散して使用することが好ましい。
【0127】
更に、乳化重合、シード重合、顔料分散、樹脂粒子分散、離型剤分散、凝集、更には、それらの安定化などに界面活性剤を用いることができる。例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤、アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン系界面活性剤、また、ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン性界面活性剤を併用することも効果的である。その際の分散手段としては、回転せん断型ホモジナイザーやメデイアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなどの一般的なものが使用可能である。
【0128】
なお、前記トナーには、必要に応じて更に外添剤を添加してもよい。前記外添剤としては、無機粉末及び有機粒子等が挙げられる。前記無機粒子としては、SiO2、TiO2、Al2O3、CuO、ZnO、SnO2、Fe2O3、MgO、BaO、CaO、K2O、Na2O、ZrO2、CaO・SiO2、K2O・(TiO2)n、Al2O3・2SiO2、CaCO3、MgCO3、BaSO4、MgSO4等を例示することができる。また、前記有機粒子としては、脂肪酸又はその誘導体や、これ等の金属塩等の粉末、フッ素系樹脂、ポリエチレン樹脂、アクリル樹脂等の樹脂粉末を用いることができる。これらの粉末の平均粒径は、例えば、0.01〜5μm、好ましくは、0.1〜2μmであることが適当である。
【0129】
前記トナーの製造方法は、特に制限されないが、(i)樹脂粒子を分散させてなる分散液中で凝集粒子を形成し凝集粒子分散液を調製する工程、(ii)前記凝集粒子分散液中に、微粒子を分散させてなる微粒子分散液を添加混合して前記凝集粒子に前記微粒子を付着させて付着粒子を形成する工程、及び(iii)前記付着粒子を加熱し融合してトナー粒子を形成する工程、とを含むトナーの製造方法により得られるものが好ましい。
【0130】
−トナー物性等−
前記トナーの体積平均粒子径は0.5μm以上10μm以下が好ましい。
前記トナーの体積平均粒子径が小さすぎると、トナーのハンドリング(補給性、クリーニング性、流動性等)に悪影響が生じる場合があり、また、粒子生産性が低下する場合がある。一方、トナーの体積平均粒子径が大きすぎると、粒状性、転写性に起因する画質、解像度に悪影響を与える場合がある。
また、前記トナーは、前記トナーの体積平均粒子径範囲を満たし、かつ体積平均粒度分布指数(GSDv)が1.3以下であることが好ましい。
前記体積平均粒度分布指数(GSDv)と数平均粒度分布指数(GSDn)との比(GSDv/GSDn)は0.95以上が好ましい。
また、前記トナーは、前記トナーの体積平均粒子径範囲を満たし、かつ下記式で表される形状係数の平均値は1.00〜1.50が好ましい。
形状係数=(π×L2)/(4×S)
(但し、Lはトナー粒子の最大長、Sはトナー粒子の投影面積を示す。)
前記トナーが上記条件を満たす場合には、画質、特に、粒状性、解像度に効果があり、また、転写に伴う抜けやブラーが生じにくく、平均粒径が小さくなくてもハンドリング性に悪影響が出にくくなる。
【0131】
なお、前記トナー自体の150℃における貯蔵弾性率G’(角周波数10rad/secで測定)は、10〜200Paであることが、定着工程での画質向上とオフセット性の防止の面から適当である。
【0132】
(画像形成方法)
本発明の画像形成方法は、第1の態様として、前記電子写真用受像シートに、トナー画像を形成した後、該電子写真用受像シートの該画像形成面を、定着ベルト及び定着ローラにより、加熱及び加圧し、冷却した後、前記定着ベルトから剥離する。
また、本発明の画像形成方法は、第2の態様として、前記電子写真用受像シートに、トナー画像を形成し、熱ローラにより定着した後、更に、前記電子写真用受像シートの画像形成面を、定着ベルト及び定着ローラにより、加熱及び加圧し、冷却した後、前記定着ベルトから剥離する。
【0133】
なお、転写の方法としては、通常の電子写真方法で使用される方法、例えば、現像ローラ上に形成したトナー画像を電子写真用受像シートに転写する直接転写方式、或いは中間転写ベルト等に一次転写した後、電子写真用受像シートに転写する中間転写ベルト方式がある。環境安定性及び高画質化の面から、中間転写ベルト方式が好ましくは使用される。
【0134】
前記電子写真用受像シートは、定着ベルトを有する電子写真装置を使用して、電子写真用受像シート上に転写されたトナーが電子写真用受像シートに定着される。ベルト定着方式としては、例えば、特開平11−352819号公報に記載のオイルレスタイプのベルト定着方法、特開平11−231671号公報及び特開平5−341666号公報に記載の二次転写と定着を同時に達成する方法等が知られている。本発明でいう定着ベルトを有する電子写真装置は、例えば、少なくとも、トナーを溶融し、加圧し得る加熱加圧部と、トナーの付着した電子写真用受像シートをトナー受像層と接する状態で搬送することができる定着ベルトと、任意に、加熱した電子写真用受像シートを定着ベルトに付着させたままの状態で冷却できる冷却部とを有するベルト方式のトナー定着部を有する電子写真装置が挙げられる。このような定着ベルトを有する電子写真装置にトナー受像層を有する電子写真用受像シートを使用することにより、トナー受像層に付着したトナーが、電子写真用受像シートに広がることなく細密に定着されると共に、定着ベルトに密着した状態で溶融トナーが冷却・固化するので、トナー受像層にトナーが完全に埋め込まれた状態でトナー受像層に受容される。従って、画像段差がなく、光沢のある平滑なトナー画像を得ることができる。
【0135】
前記電子写真用受像シートは、特にオイルレス方式のベルト定着方式による画像形成方法に好適であり、これにより、オフセットが大幅に改善される。但し、それ以外の各種の画像形成法に対しても、同様に使用することができる。
例えば、前記電子写真用受像シートを使用することにより、フルカラー画像を、画質の改善及びひび割れの防止を図りながら、好適に形成することができる。カラー画像の形成は、フルカラー画像を形成し得る電子写真装置を用いて行うことができる。通常の電子写真装置は、受像紙搬送部と、潜像形成部と、潜像形成部に近接して配設されている現像部とがあり、機種によっては、装置本体の中央に潜像形成部と受像紙搬送部に近接してトナー像中間転写部を有している。
【0136】
更に、画質の向上を図るための方法として、静電転写又はバイアスローラ転写に代わって、或いは併用して、粘着転写又は熱支援型の転写方式が知られている。例えば、特開昭63−113576号公報及び特開平5−341666号公報にはその具体的な構造が記載されている。特に熱支援型転写方式の中間転写ベルトを用いる方法が好ましい。また、前記電子写真用受像シートへのトナー転写後又は転写後半の中間ベルトには冷却装置を設けることが好ましい。該冷却装置により、トナー(トナー画像)は、それに使用されるバインダー樹脂の軟化温度以下又はトナーの絶対温度でのガラス転移温度+10℃以下に冷却され、効率よく電子写真用受像シートに転写され、中間ベルトからの剥離が可能となる。
【0137】
定着は、最終画像の光沢や平滑性を左右する重要な工程である。定着方式は、加熱加圧ローラによる定着、ベルトを用いたベルト定着などが知られているが、上記光沢、平滑性等の画像品質の点からはベルト定着方式の方が好ましい。ベルト定着方式については、例えば、特開平11−352819号公報に記載のオイルレスタイプのベルト定着方法、特開平11−231671号公報及び特開平5−341666号公報に記載の二次転写と定着を同時に達成する方法等が知られている。また、定着ベルトと定着ローラによる加圧及び加熱の前に、熱ローラによる一次定着を行ってもよい。
【0138】
前記定着ベルトの表面は、トナーの剥離性又はトナー成分のオフセットを防止するためにシリコーン系又はフッ素系或いはその併用系の表面処理が施されていてもよい。また、定着の後半にはベルトの冷却装置を備え、電子写真用受像シートの剥離を良好にすることが好ましい。冷却温度は、トナーバインダー樹脂及び/又は電子写真用受像シートのトナー受像層におけるポリマーの軟化点以下、或いはガラス転移点+10℃以下にすることが好ましい。一方、定着初期には、電子写真用受像シートのトナー受像層又はトナーが十分に軟化する温度まで昇温する必要がある。具体的には冷却温度は70℃以下、30℃以上が実用上好ましく、定着初期においては180℃以下、100℃以上が好ましい。
【0139】
以下、典型的な定着ベルトを有する画像形成装置の一例を示す図1に基づいて具体的に説明する。なお、本発明の態様は、図1に示される態様に限定されるものではない。
まず、画像形成装置(図示せず)でトナー(12)が電子写真用受像シート(1)に転写される。トナー(12)が付着した受像シート(1)は、搬送設備(図示せず)でA点に運ばれ、加熱ローラ(14)と加圧ローラ(15)の間を通過し、電子写真用受像シート(1)のトナー受像層或いはトナー(12)が十分に軟化する温度(定着温度)及び圧力で加熱及び加圧される。
【0140】
ここで、定着温度とは、A点における加熱ローラ(14)と加圧ローラ(15)とニップ部の位置で測定したトナー受像層表面の温度を意味し、例えば、80〜190℃、より好ましくは、100〜170℃である。また、圧力は、加熱ローラ(14)と加圧ローラ(15)とニップ部で測定したトナー受像層表面の圧力を意味し、例えば、1〜10kg/cm2、より好ましくは、2〜7kg/cm2である。このように加熱及び加圧され、後に電子写真用受像シート(1)が、定着ベルト(13)により冷却装置(16)に運ばれる間に、トナー受像層内に離散的に存在していた離型剤(図示せず)が十分に加熱されて溶融し、トナー受像層表面に移動する。移動してきた離型剤は、トナー受像層表面に離型剤の層(膜)を形成する。その後、電子写真用受像シート(1)は、定着ベルト(13)により冷却装置(16)に運ばれて、例えば、トナー受像層のポリマー及び/又はトナーに使用されるバインダー樹脂の軟化点以下又はガラス転移点+10℃以下の温度、好ましくは、20〜80℃、より好ましくは室温(25℃)に冷却される。これにより、トナー受像層表面に形成された離型剤の層(膜)が冷却・固化し、トナー受像層内離型剤の変剤による離型剤層を形成する。
冷却された電子写真用受像シート(1)は、更に定着ベルト(13)によりB点に運ばれ、定着ベルト(13)は、テンションローラ(17)上を移動する。従って、B点にて電子写真用受像シート(1)と定着ベルト(13)が剥離する。なお、電子写真用受像シートが自身の剛性(腰の強さ)でベルトから剥離するようにテンションロールの径を小さく設定することが好ましい。
【0141】
ここで、前記画像形成装置に使用される定着ベルトとしては、例えば、ポリイミド、電鋳ニッケル及びアルミニウム等を基材として形成された無端状ベルトであることが適当である。
前記定着ベルトの表面には、シリコーンゴム、フッ素ゴム、シリコーン樹脂、フッ素樹脂からなる群より選択される少なくとも1種以上からなる薄膜が形成されることが好ましい。これらの中でも、定着ベルトの表面に均一な厚さのフルオロカーボンシロキサンゴム製の層を設ける態様、前記定着ベルトの表面に均一な厚さのシリコーンゴム製の層を有し、かつ該シリコーンゴム層の表面に均一な厚さのフルオロカーボンシロキサンゴム製の層を設ける態様が好ましい。
【0142】
前記フルオロカーボンシロキサンゴムとしては、主鎖にパーフルオロアルキルエーテル基及び/又はパーフルオロアルキル基を有するものが好ましい。
このようなフルオロカーボンシロキサンゴムとしては、(A)下記一般式(1)のフルオロカーボンシロキサンを主成分とし、脂肪族不飽和基を有するフルオロカーボンポリマー、(B)1分子中に2個以上の≡SiH基を含有し、上記フルオロカーボンシロキサンゴム組成物中の脂肪族不飽和基量に対して上記≡SiH基の含有量が1〜4倍モル量であるオルガノポリシロキサン及び/又はフルオロカーボンシロキサン、(C)充填剤、(D)有効量の触媒を含有するフルオロカーボンシロキサンゴム組成物の硬化物が好適に用いられる。
【0143】
前記(A)成分のフルオロカーボンポリマーは、下記一般式(1)で示される繰り返し単位を有するフルオロカーボンシロキサンを主成分とし、脂肪族不飽和基を有するものである。
【0144】
【化1】
【0145】
ここで、上記式(1)において、R10は非置換又は置換の好ましくは炭素数1〜8の一価炭化水素基であり、好ましくは炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数2〜3のアルケニル基であり、特にメチル基であることが好ましい。a,eはそれぞれ0又は1、b,dはそれぞれ1〜4の整数、cは0〜8の整数である。また、xは1以上の整数、好ましくは10〜30である。
【0146】
このような(A)成分としては、下記式(2)で示すものを挙げることができる。
【0147】
【化2】
【0148】
前記(B)成分において、≡SiH基を有するオルガノポリシロキサンとしては、ケイ素原子に結合した水素原子を分子中に少なくとも2個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンを挙げることができる。
【0149】
また、前記フルオロカーボンシロキサンゴム組成物においては、(A)成分のフルオロカーボンポリマーが脂肪族不飽和基を有するものであるときには、硬化剤として上述したオルガノハイドロジェンポリシロキサンを使用することができる。即ち、この場合には、フルオロカーボンシロキサン中の脂肪族不飽和基と、オルガノハイドロジェンポリシロキサン中のケイ素原子に結合した水素原子との間で生ずる付加反応によって硬化物が形成されるものである。
【0150】
前記オルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、付加硬化型のシリコーンゴム組成物に使用される種々のオルガノハイドロジェンポリシロキサンを使用することができる。
【0151】
前記オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、一般にその≡SiH基の数が、(A)成分のフルオロカーボンシロキサン中の脂肪族不飽和炭化水素基1個に対して、少なくとも1個、特に1〜5個となるような割合で配合することが好適である。
【0152】
また、≡SiH基を有するフルオロカーボンとしては、上記式(1)の単位又は式(1)においてR10がジアルキルハイドロジェンシロキシ基であり、かつ末端がジアルキルハイドロジェンシロキシ基又はシリル基等の≡SiH基であるものが好ましく、下記式(3)で示すものを挙げることができる。
【0153】
【化3】
【0154】
前記(C)成分の充填剤としては、一般的なシリコーンゴム組成物に使用されている種々の充填剤を用いることができる。例えば、煙霧質シリカ、沈降性シリカ、カーボン粉末、二酸化チタン、酸化アルミニウム、石英粉末、タルク、セリサイト及びベントナイト等の補強性充填剤、アスベスト、ガラス繊維、有機繊維等の繊維質充填剤などを例示することができる。
【0155】
前記(D)成分の触媒としては、付加反応用触媒として公知とされている塩化白金酸、アルコール変性塩化白金酸、塩化白金酸とオレフィンとの錯体、白金黒又はパラジウムをアルミナ、シリカ、カーボンなどの担体に担持したもの、ロジウムとオレフィンとの錯体、クロロトリス(トリフェニルフォスフィン)ロジウム(ウィルキンソン触媒)、ロジウム(III)アセチルアセトネートなどのような周期律表第VIII族元素又はその化合物が例示されるが、これらの錯体はアルコール系、エーテル系、炭化水素などの溶剤に溶解して用いることが好ましい。
【0156】
前記フルオロカーボンシロキサンゴム組成物においては、耐溶剤性を向上させるという本発明の目的を損なわない範囲において、種々の配合剤を添加することができる。例えば、ジフェニルシランジオール、低重合度の分子鎖末端水酸基封鎖ジメチルポリシロキサン、ヘキサメチルジシラザン等の分散剤、酸化第一鉄、酸化第二鉄、酸化セリウム、オクチル酸鉄等の耐熱性向上剤、顔料等の着色剤等を必要に応じて配合することができる。
【0157】
前記定着用ベルトは、耐熱性樹脂製又は金属製のベルト本体の表面を上記フルオロカーボンシロキサンゴム組成物で被覆し、加熱硬化することによって得られるが、必要に応じて更に、m−キシレンヘキサフロライド、ベンゾトリフロライド等の溶剤で希釈して塗工液とし、スプレーコート、ディップコート及びナイフコート等の一般的なコーティング法によって塗布することができる。また、加熱硬化の温度、時間は適宜選定することができ、通常、温度100〜500℃、5秒〜5時間の範囲でベルト本体の種類及び製造方法などに応じて選択される。
【0158】
前記定着ベルトの表面に形成するフルオロカーボンシロキサンゴム層の厚さは特に限定されるものではないが、トナーの剥離性或いはトナー成分のオフセットを防止して画像の良好な定着性を得るために20〜500μmが好ましく、40〜200μmがより好ましい。
【0159】
前記電子写真用受像シートに画像を形成する方法は、定着ベルトを使用した電子写真方法であれば、上記、特に図1に示した方法に制限されるものではない。通常の電子写真法であれば、いずれも適用することができる。
例えば、前記電子写真用受像シートには、カラー画像を好ましく形成することができる。カラー画像の形成は、フルカラー画像を形成し得る電子写真装置を用いて行うことができる。通常の電子写真装置は、受像シート搬送部と、潜像形成部と、潜像形成部に近接して配設されている現像部とがあり、機種によっては、装置本体の中央に潜像形成部と受像シート搬送部に近接してトナー像中間転写部を有している。
【0160】
更に、画質の向上を図るための方法として、静電転写或いはバイアスローラ転写に代わって、或いは併用して、粘着転写又は熱支援型の転写方式が知られている。例えば、特開昭63−113576号公報及び特開平5−341666号公報にはその具体的な構造が記載されている。特に熱支援型転写方式の中間転写ベルトを用いた方法は、小粒径のトナーを使用する場合には好ましい。
【0161】
前記画像形成方法によれば、定着オイルのないオイルレス機を使用しても、電子写真用受像シート及びトナーの剥離性、或いは受像シート及びトナー成分のオフセットを防止でき、安定した給紙を実現できると共に、特に湿変ひび割れ、耐接着性とひび割れ、光沢度に優れた、写真感覚に富む、良好な画像を実現できる。
【0162】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
なお、以下の実施例及び比較例において、「%」及び「部」は、それぞれ質量基準である。
【0163】
(合成例1)
−コア/シェル型ラテックス粒子A−1の水分散液の合成−
シード法により、コア/シェル型ラテックス粒子A−1を製造した。まず、シードポリマーとしての、アクリル酸2−エチルヘキシル(EHA)と、メタクリル酸メチル(MMA)とを、質量比(EHA/MMA)で90対10の割合で共重合化した。得られた共重合体(数平均分子量(Mn)=33000)(平均粒径=0.06μm)に、メタクリル酸メチル(MMA)、アクリル酸ブチル(BA)及びメタクリル酸(MAA)を、質量比(MMA/BA/MAA)で70対25対5の割合で添加した。次いで、重合開始剤としての過硫酸アンモニウムを配合し、60℃で重合させて、コア/シェル型ラテックス粒子A−1を合成した。
【0164】
得られたコア/シェル型ラテックス粒子A−1の物性は以下の通りである。
コアの数平均分子量:MnA(c)=330000
シェルの数平均分子量:MnA(s)=18000
コアの絶対温度でのガラス転移点:aTgA(c)=235.16K
シェルの絶対温度でのガラス転移点:aTgA(s)=333.16K
コア/シェルの含有比(質量比;コア/シェル)=75/25
コア/シェル型ラテックス粒子の平均粒径(数平均粒径(D50))=0.08μm
【0165】
得られたコア/シェル型ラテックス粒子A−1を水に固形分含量が30質量%となるように分散させて合成例1のコア/シェル型ラテックス粒子A−1の水分散液を調製した。
【0166】
(合成例2)
−コア/シェル型ラテックス粒子A−2の水分散液の合成−
合成例1と同様にして、コア/シェル型ラテックス粒子A−2を調製した。このコア/シェル型ラテックス粒子A−2の平均粒径(数平均粒径(D50))は0.08μmであった。
得られたコア/シェル型ラテックス粒子A−2を水に固形分含量が30質量%となるように分散させて合成例2のコア/シェル型ラテックス粒子A−2の水分散液を調製した。
【0167】
(合成例3)
−コア/シェル型ラテックス粒子A−3の水分散液の合成−
合成例1と同様にして、コア/シェル型ラテックス粒子A−2を調製した。このコア/シェル型ラテックス粒子A−3の平均粒径(数平均粒径(D50))は0.08μmであった。
得られたコア/シェル型ラテックス粒子A−3を水に固形分含量が30質量%となるように分散させて合成例3のコア/シェル型ラテックス粒子A−3の水分散液を調製した。
【0168】
(合成例4)
−コア/シェル型ラテックス粒子B−1の水分散液の合成−
合成例1と同様にして、コア/シェル型ラテックス粒子B−1を調製した。このコア/シェル型ラテックス粒子B−1の平均粒径(数平均粒径(D50))は0.08μmであった。
得られたコア/シェル型ラテックス粒子B−1を水に固形分含量が30質量%となるように分散させて合成例4のコア/シェル型ラテックス粒子B−1の水分散液を調製した。
【0169】
(合成例5)
−コア/シェル型ラテックス粒子B−2の水分散液の合成−
合成例1と同様にして、コア/シェル型ラテックス粒子B−2を調製した。このコア/シェル型ラテックス粒子B−2の平均粒径(数平均粒径(D50))は0.06μmであった。
得られたコア/シェル型ラテックス粒子B−2を水に固形分含量が30質量%となるように分散させて合成例5のコア/シェル型ラテックス粒子B−2の水分散液を調製した。
【0170】
(合成例6)
−コア/シェル型ラテックス粒子B−3の水分散液の合成−
合成例1と同様にして、コア/シェル型ラテックス粒子A−2を調製した。このコア/シェル型ラテックス粒子B−3の平均粒径(数平均粒径(D50))は0.09μmであった。
得られたコア/シェル型ラテックス粒子B−3を水に固形分含量が30質量%となるように分散させて合成例6のコア/シェル型ラテックス粒子B−3の水分散液を調製した。
【0171】
次に、合成例1〜6で得られたコア/シェルラテックス粒子A−1〜B−3について、絶対温度でのガラス転移温度〔aTg(t)〕を、以下のディマルジオの計算式で計算した。結果を上記コア/シェル型ラテックス粒子の物性と共に表1に示す。
〔ディマルジオの計算式〕
1/aTg(t)=w(c)/aTg(c)+w(s)/aTg(s)
上記式において、aTg(c)は、トナー受像層のコア/シェル型ラテックス粒子におけるコアの絶対温度でのガラス転移温度を意味する。aTg(s)は、トナー受像層のコア/シェル型ラテックス粒子におけるシェルの絶対温度でのガラス転移温度を意味する。w(c)は、トナー受像層のコア/シェル型ラテックス粒子中におけるコアの質量比を意味する。w(s)は、トナー受像層のコア/シェル型ラテックス粒子中におけるシェルの質量比を意味する。
【0172】
【表1】
注1)×103
注2)コア/シェル型ラテックス粒子におけるシェル又はコアの比率(質量)
【0173】
(実施例1〜6及び比較例1〜6)
−支持体の調製−
広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)をディスクリファイナーで300ml(カナダ標準ろ水度、C.F.S.)まで叩解し、繊維長0.58mmに調整した。このパルプ紙料に対して、パルプの質量に基づいて、以下の割合で添加剤を添加した。
注)AKDは、アルキルケテンダイマー(アルキル部分は、ベヘン酸を主体とする脂肪酸に由来する)を意味し、EFAは、エポキシ化脂肪酸アミド(脂肪酸部分は、ベヘン酸を主体とする脂肪酸に由来する)を意味する。
【0174】
得られたパルプ紙料を、長網抄紙機により坪量150g/m2の原紙を作製した。なお、長網抄紙機の乾燥ゾーンの中間でサイズプレス装置により、PVA 1.0g/m2、CaCl2 0.8g/m2を付着した。
抄紙工程の最後で、ソフトカレンダーを用いて、密度を1.01g/cm3に調製した。得られた原紙をトナー受像層が設けられる側に金属ロールが接するように通紙した。なお、金属ロールの表面温度は140℃であった。
【0175】
−トナー受像層の塗工−
表2に示したコア/シェル型ラテックス粒子の水分散液の組み合わせで、上記支持体の表面(トナー受像層を形成する側)に、ワイヤーコーターにて乾燥後の塗布厚みが7μmとなるようにコア/シェル型ラテックス粒子の水分散液を塗布し、乾燥させて第1トナー受像層を形成した。該第1トナー受像層の上に、同様にしてワイヤーコーターにて乾燥後の厚みが3μmとなるようにコア/シェル型ラテックス粒子の水分散液を塗布し、乾燥させて第2トナー受像層を形成した。なお、各トナー受像層は、塗布後、オンラインで熱風により乾燥した。
【0176】
−バック層用塗布液の調製−
下記の成分を混合し、攪拌して、バック層用塗布液を調製した。
アクリル樹脂水分散物
(固形分30%、ハイロスXBH−997L、星光化学製) 100.0g
マット剤
(テクポマーMBX−12、積水化成品工業製) 5.0g
離型剤(ハイドリンD337、中京油脂製) 10.0g
増粘剤(CMC) 2.0g
アニオン界面活性剤(AOT) 0.5g
イオン交換水 80ml
バック層用の塗布液の粘度は、35mPa・sであり、表面張力は、33mN/mであった。
【0177】
−バック層の塗工−
支持体の裏面には、上記バック層用塗布液を、上記トナー受像層用塗布液の場合と同様に、ワイヤーコーターで塗布した。塗布量は、乾燥質量で9g/m2であった。
バック層は、塗布後、オンラインで熱風により乾燥した。乾燥は、塗布後2分以内に乾燥するように、乾燥風量及び温度を調整した。乾燥点は、塗布表面温度が乾燥風の湿球温度と同じ温度となる点とした。
乾燥した後、カレンダー処理を行った。前記カレンダー処理は、グロスカレンダーを用い、金属ローラを40℃に保温した状態で、圧力147kN/m(15kgf/cm)にて行い、実施例1〜6及び比較例1〜6の電子写真用受像シートを作製した。
【0178】
<電子写真用受像シートの物性の評価>
得られた各電子写真用受像シートについて、下記方法により耐接着性、ひび割れ、湿変ひび割れ及び光沢度の評価を行った。結果を表2に示す。
【0179】
<<耐接着性>>
得られた各電子写真用受像シートを、40℃、80%RHに24時間調整した後、トナー受像面を対向させて重ね合わせて、3.5cm□(Acm□は、タテ×ヨコそれぞれAcmを意味する。)×500gの加重を加え、同一環境下で7日間放置した後、電子写真用受像シートを引き離す際の状態を観察し、以下の評価基準に従って評価した。
〔評価基準〕
1:剥離音及び接着跡ともになし。
2:軽微な剥離音又は接着跡がある。
3:接着跡が1/4未満である。
4:接着跡が1/4以上〜1/2未満である。
5:接着跡が1/2以上である。
【0180】
<<ひび割れ>>
得られた各電子写真用受像シートに対して、富士ゼロックス(株)製のカラーレーザープリンターC−2220を使用し(但し、定着部を図1に示すベルト定着方式に変更した)、黒色の最大濃度で均一10cm□の画像をプリント出力し、10℃、15%RH環境下で1日間放置した。次に、1、2、3、4及び5cm径の丸棒を用意し、画像面が、外側になるように大径の棒から順次小径の棒に巻き付け、ひび割れの発生状態を観察し、ひび割れの発生する径を記録した。
【0181】
なお、図1において、定着ベルト基材として、ポリイミド製のベース層上に東レ・ダウコーニング・シリコーン社製 シリコーンゴム用プライマーであるDY39−115を塗布後、風乾30分の後、シリコーンゴム前駆体であるDY35−796AB 100部とn−ヘキサン 30部により調整した塗布液を浸漬塗布により塗膜を形成し、120℃で10分の一次加硫を行い、厚さ40μmのシリコーンゴム層を形成した。
このシリコーンゴム層上に、信越化学工業社製 フルオロカーボンシロキサンゴム前駆体であるSIFEL610 100部とフッ素系溶媒(m−キシレンヘキサフロライド、パーフロロアルカン、パーフロロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)の混合溶剤) 20部により調整した塗布液を浸漬塗布により塗膜を形成した後、120℃で10分の一次加硫、180℃で4時間の二次加硫を行い、フルオロカーボンシロキサンゴムが20μmの膜厚を有する定着ベルトを用いた。
この定着ベルト系においては、定着ベルト(13)の搬送速度は、30mm/秒であり、加熱ローラ(14)と加圧ローラ(15)との間のニップ圧力は、0.2MPa(2kgf/cm2)であり、加熱ローラ(14)の設定温度は、155℃であり、これが定着温度に相当する。なお、加圧ローラ(15)の設定温度は、130℃であった。電子写真用受像シートは、定着ベルト(13)から剥離する時点で60℃以下に冷却されていた。
【0182】
<<湿変ひび割れ>>
得られた各電子写真用受像シートに対して、富士ゼロックス(株)製のカラーレーザープリンターC−2220を使用し(但し、定着部を前述の図1のベルト定着方式に変更した)、黒色の最大濃度(100%)及び最低濃度(0%)で均一に10cm×10cmの画像をプリント出力した。その後、40℃で80%RH環境に16時間放置し、更に25℃で50%RHの環境に24時間放置した後、画像表面のひび割れ状態を蛍光灯下で目視観察し、下記基準で評価した。
[評価基準]
○:ひびが目視で観察できない。
△:ひびが目視でわずかに確認できる。
×:ひびが目視で明確に観察できる。
【0183】
<<光沢度(%)>>
得られた各電子写真用受像シートに対して、富士ゼロックス(株)製のカラーレーザープリンターC−2220を使用し(但し、定着部を前述の図1のベルト定着方式に変更した)、黒/白条件下で、濃度を6段階(0、20、40、60、80及び100%)に10cm四方の画像をプリント出力した。この6段階部分を、JIS Z 8741、デジタル変角光沢度計(スガ試験機製、UGV−5D)、45度測定で測定し、その最小値を記録した。
【0184】
【表2】
表2の結果から、第1トナー受像層におけるコア/シェル型ラテックス粒子(A)の絶対温度でのガラス転移温度〔aTgA(t)〕と、該第2トナー受像層におけるコア/シェル型ラテックス粒子(B)の絶対温度でのガラス転移温度〔aTgB(t)〕とが、aTgA(t)<aTgB(t)の関係を満たす実施例1〜6は、比較例1〜6に比べて、湿変ひび割れが抑制され、耐接着性が高いと共に、ひび割れが抑制され、光沢度の高い画像を形成であることが認められる。
【0185】
【発明の効果】
本発明によると、支持体上に第1のトナー受像層と、該第1トナー受像層上に設けられた第2のトナー受像層とを形成し、コアとシェルの比率を調整して、該2トナー受像層のコア/シェル型ラテックス粒子より絶対温度でのガラス転移温度の低いコア/シェル型ラテックス粒子を第1トナー受像層に使用することによって、特に、湿変ひび割れが抑制され、耐接着性が高いと共に、ひび割れが抑制され、光沢度の高い画像を好適に形成可能な電子写真用受像シートを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の定着ベルト方式の電子写真装置の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
1 電子写真用受像シート
12 トナー
13 定着ベルト
14 加熱ローラ
15 加圧ローラ
16 冷却装置
17 テンションローラ
Claims (14)
- 支持体と、該支持体の少なくとも一面に設けられた少なくとも2層のトナー受像層とを有し、該トナー受像層が第1のトナー受像層と、該第1トナー受像層上に設けられた第2のトナー受像層とを含む電子写真用受像シートであって、
前記第1トナー受像層及び第2トナー受像層は、いずれもコア/シェル型ラテックス粒子の水分散液を含有すると共に、該第1トナー受像層のコア/シェル型ラテックス粒子(A)における下記ディマルジオの計算式から算出された絶対温度でのガラス転移温度〔aTgA(t)〕と、該第2トナー受像層のコア/シェル型ラテックス粒子(B)における下記ディマルジオの計算式から算出された絶対温度でのガラス転移温度〔aTgB(t)〕とが、aTgA(t)<aTgB(t)の関係を満たすことを特徴とする電子写真用受像シート。
〔ディマルジオの計算式〕
1/aTg(t)=w(c)/aTg(c)+w(s)/aTg(s)
上記式において、aTg(c)は、トナー受像層のコア/シェル型ラテックス粒子におけるコアの絶対温度でのガラス転移温度を意味する。aTg(s)は、トナー受像層のコア/シェル型ラテックス粒子におけるシェルの絶対温度でのガラス転移温度を意味する。w(c)は、トナー受像層のコア/シェル型ラテックス粒子中におけるコアの質量比を意味する。w(s)は、トナー受像層のコア/シェル型ラテックス粒子中におけるシェルの質量比を意味する。 - 第1トナー受像層におけるコア/シェル型ラテックス粒子(A)が、以下の特性(1)〜(5)を満たす請求項1に記載の電子写真用受像シート。
(1)コアの数平均分子量〔MnA(c)〕が、30000〜500000であること
(2)シェルの数平均分子量〔MnA(s)〕が、3000〜30000であること
(3)コア対シェルの質量比〔wA(c):wA(s)〕が、90:10〜35:65であること
(4)コアの絶対温度でのガラス転移温度〔aTgA(c)〕が、303K以下であること
(5)シェルの絶対温度でのガラス転移温度〔aTgA(s)〕が、303K〜373Kであること - 第2トナー受像層におけるコア/シェル型ラテックス粒子(B)が、以下の特性(1)〜(5)を満たす請求項1から2のいずれかに記載の電子写真用受像シート。
(1)コアの数平均分子量〔MnB(c)〕が、30000〜500000であること
(2)シェルの数平均分子量〔MnB(s)〕が、3000〜30000であること
(3)コア対シェルの質量比〔wB(c):wB(s)〕が、10:90〜65:35であること
(4)コアの絶対温度でのガラス転移温度〔aTgB(c)〕が、303K以下であること
(5)シェルの絶対温度でのガラス転移温度〔aTgB(s)〕が、323K〜373Kであること - コア/シェル型ラテックス粒子(A)の平均粒径(数平均粒径(D50))が、0.5μm以下である請求項1から3のいずれかに記載の電子写真用受像シート。
- コア/シェル型ラテックス粒子(B)の平均粒径(数平均粒径(D50))が、0.5μm以下である請求項1から4のいずれかに記載の電子写真用受像シート。
- 第1トナー受像層の厚み(G1)と第2トナー受像層の厚み(G2)との比(G1:G2)が、20:80〜80:20である請求項1から5のいずれかに記載の電子写真用受像シート。
- 支持体が、原紙、合成紙、合成樹脂シート、コート紙及びラミネート紙から選択される請求項1から6のいずれかに記載の電子写真用受像シート。
- 支持体上に、請求項1から5のいずれかに記載のコア/シェル型ラテックス粒子(A)の水分散液を塗布して第1トナー受像層を形成した後、該第1トナー受像層上に請求項1から5のいずれかに記載のコア/シェル型ラテックス粒子(B)の水分散液を塗布して第2トナー受像層を形成することを特徴とする電子写真用受像シートの製造方法。
- 請求項1から7のいずれかに記載の電子写真用受像シートを使用する画像形成方法であって、前記電子写真用受像シートに、トナー画像を形成した後、該電子写真用受像シートの画像形成面を、定着ベルト及びローラにより、加熱及び加圧し、冷却した後、前記定着ベルトから剥離することを特徴とする画像形成方法。
- 請求項1から7のいずれかに記載の電子写真用受像シートを使用する画像形成方法であって、前記電子写真用受像シートに、トナー画像を形成し、熱ローラにより定着した後、更に、該電子写真用受像シートの画像形成面を、定着ベルト及びローラにより、加熱及び加圧し、冷却した後、前記定着ベルトから剥離することを特徴とする画像形成方法。
- 形成されたトナー画像を、そのトナーに使用されるバインダー樹脂の軟化点以下又はガラス転移点+10℃以下の状態まで冷却した後、定着ベルトから剥離する請求項9から10のいずれかに記載の画像形成方法。
- 定着ベルトの表面にフルオロカーボンシロキサンゴム製の層を設けた請求項9から11のいずれかに記載の画像形成方法。
- 定着ベルトの表面にシリコーンゴム製の層を有し、かつ該シリコーンゴム層の表面にフルオロカーボンシロキサンゴム製の層を設けた請求項9から11のいずれかに記載の画像形成方法。
- フルオロカーボンシロキサンゴムが、主鎖にパーフルオロアルキルエーテル基及びパーフルオロアルキル基の少なくともいずれかを有する請求項12から13のいずれかに記載の画像形成方法。
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