JP2004300492A - Al母合金の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高融点金属の濃化した偏析部が存在しない均質組成のAl母合金を製造できる方法を提供する。
【解決手段】所要量のAl母合金と高融点金属の酸化物とをレビテーション溶解炉でテルミット反応させつつ浮揚溶解し、その浮揚溶湯部を吸引した。
【選択図】 図1
【解決手段】所要量のAl母合金と高融点金属の酸化物とをレビテーション溶解炉でテルミット反応させつつ浮揚溶解し、その浮揚溶湯部を吸引した。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はAl母合金の製造方法に関する。所要量の金属Alと高融点金属の酸化物とをテルミット反応させたAl母合金が、例えばTi合金を製造するときの原料として用いられている。かかるAl母合金は市販されているが、市販のAl母合金には一般に高融点金属、例えばV、Nb、Mo等の濃化した偏析部が存在する。高融点金属の濃化した偏析部が存在するAl母合金を例えばTi合金の製造原料として用いると、得られるTi合金中には、Al母合金中の前記した偏析部に起因する未溶解物(所謂HDI:Heavy Dencity Inclusion)が残存することとなり、これがかかるTi合金から作製した構造部品や機械部品等の使用中において応力集中に伴う疲労破壊の起点になる危険性がある。したがって、Al母合金を例えばTi合金の製造原料として用いる場合には、そのようなAl母合金は高融点金属の濃化した偏析部が存在しないものであることが重要である。本発明はかかるAl母合金の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、Al母合金は一般に、着火源を備える溶解炉を用いて、所要量の金属Alと高融点金属の酸化物とをテルミット反応させることにより製造されている(特許文献1及び2参照)。しかし、かくして製造されたAl母合金には、前記したように高融点金属の濃化した偏析部が存在するという問題がある。かかるAl母合金を例えばTi合金の製造原料として用いる場合には、プラズマトーチを備えるコールドハース炉等を用いて、Ti合金中にAl母合金に含まれる高融点金属の濃化した偏析部ができるだけ持ち込まれないようにしているのが実情である。
【0003】
【特許文献1】
特開昭49−90615号公報
【特許文献2】
特表平8−501828号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、高融点金属の濃化した偏析部が存在しない均質組成のAl母合金を製造できる方法を提供する処にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を解決する本発明は、所要量の金属Alと高融点金属の酸化物とをレビテーション溶解炉でテルミット反応させつつ浮揚溶解し、その浮揚溶湯部を吸引することを特徴とするAl母合金の製造方法に係る。
【0006】
本発明では、所要量の金属Alと高融点金属の酸化物とをレビテーション溶解炉でテルミット反応させつつ浮揚溶解する。レビテーション溶解炉それ自体は、例えば特開平4−41062号公報や特開平8−313163号公報に記載されている通り、公知である。かかるレビテーション溶解炉は、炉底部上に複数の水冷銅製セグメントを相互に絶縁して筒状に立設し、その外周回りに高周波誘導コイルを配置したもので、炉内に装入した金属材料を、例えばArガス雰囲気下で高周波誘導コイルへ高周波電流を流すことにより誘導加熱し、この際に発生するローレンツ斥力により浮揚させた状態で溶解するようになっている。
【0007】
本発明では、前記のように所要量の金属Alと高融点金属の酸化物とをレビテーション溶解炉でテルミット反応させつつ浮揚溶解し、その浮揚溶湯部を吸引する。例えば、レビテーション溶解炉の上方から吸引筒を下降して浮揚溶湯部中へ挿入し、吸引するのである。吸引筒の基端部に鋳型を接続しておけば、かかる吸引により所定のインゴットを鋳造できる。
【0008】
前記したように、所要量の金属Alと高融点金属の酸化物とを着火源を備える溶解炉でテルミット反応させることにより製造される市販のAl母合金には、かかる高融点金属の濃化した偏析部、なかでもV、Nb、Mo等の濃化した偏析部が存在する。例えば50V−50Alの組成のAl母合金の場合には80V−20AlのようにVの濃化した組成の偏析部、また60Nb−40Alの組成のAl母合金の場合には70Nb−30AlのようにNbの濃化した組成の偏析部、更に50Mo−50Alの組成のAl母合金の場合には70Mo−30AlのようにMoの濃化した組成の偏析部が存在する。これらの偏析部は他の部分に比べて高融点且つ高比重であるため、かかる偏析部が存在するAl母合金を例えばTi合金の製造原料として用いると、Ti合金の製造時に溶解されず、溶け残りとしてTi合金中に残存することとなる。これに対し、所要量の金属Alと高融点金属の酸化物とをレビテーション溶解炉でテルミット反応させつつ浮揚溶解し、その浮揚溶湯部を吸引する本発明によると、前記のような偏析部が存在しない均質組成のAl母合金に製造できる。レビテーション溶解炉における浮揚溶解時に高融点金属の濃化した偏析部が生成し、これが溶け残ったとしても、それらは炉底部に溜り、また炉底部に形成される凝固シェル部として捕捉されるので、吸引されることはない。
【0009】
本発明により製造された均質組成のAl母合金は、各種合金の母材、例えばTi合金の製造原料として利用するのに有利である。本発明により製造された均質組成のAl母合金及びTiスポンジを原料として用い、例えばPPC(プラズマプログシブ キャスティング)溶解、更にVAR(真空アーク)溶解を行なうと、前記のような高融点金属の濃化した偏析部に由来する溶け残りのないTi合金を製造できるのである。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の実施状態を略示する全体図である。レビテーション溶解炉11は、炉底部12と、炉底部12上に相互に絶縁して筒状に立設された複数の水冷銅製セグメント13,13と、これらの水冷銅製セグメント13,13の外周回りに配置された高周波誘導コイル14とを備えている。レビテーション溶解炉11の上部には包囲体21が装備されており、包囲体21には鋳型31が昇降可能に摺嵌されていて、鋳型31の下部に吸引筒32が取付けられている。
【0011】
レビテーション溶解炉11に所要量の金属Alと高融点金属の酸化物とを装入する。これらをArガス雰囲気下で高周波誘導コイル14へ高周波電流を流すことにより誘導加熱してテルミット反応させつつ、この際に発生するローレンツ斥力により浮揚された状態で溶解する。レビテーション溶解炉11には、浮揚溶湯部Aと、その炉底部12に凝固シェル部Bとが形成される。かかる状態で、鋳型31と共に吸引筒32を下降させて、吸引筒32の下端部を浮揚溶湯部A中へ挿入し、図示しない真空ポンプにより吸引する。図1はこの状態を示している。浮揚溶湯部Aは吸引筒32を介して鋳型31へと到り、ここで冷却される。かくして前記のような偏析部が存在しない均質組成のAl母合金のインゴットを製造する。
【0012】
【実施例】
実施例1及び比較例1
図1について前述した実施状態にしたがい、所要量の金属Alと酸化バナジウム(V2O5を主成分とするもの)とをレビテーション溶解炉でテルミット反応させつつ浮揚溶解し、その浮揚溶湯部を吸引して、50V−50Alの組成のAl母合金を10kg製造した(実施例1)。別に、前記と同じ所要量の金属Alと酸化バナジウムとをアーク式の溶解炉で溶解して、50V−50Alの組成のAl母合金を製造した(比較例1)。以上の各例のAl母合金を粒径1〜4mmの粒子に粉砕し、その粒子を30cm四方の平面にできるだけ均一にばらまき、その上からX線を透過して、Vが濃化した組成の偏析部を持つ粒子の有無を検査した。同様のX線検査を各例のAl母合金の粒子について合計5回行なったところ、実施例1のAl母合金の粒子の場合は、5回のX線検査でいずれの回にもVが濃化した組成の偏析部を持つ粒子は認められなかったが、比較例1のAl母合金の粒子の場合には、5回のX線検査でいずれの回にもVが濃化した組成の偏析部を持つ粒子が認められた。
【0013】
実施例2及び比較例2
図1について前述した実施状態にしたがい、所要量の金属Alと酸化ニオブ(Nb2O5を主成分とするもの)とをレビテーション溶解炉でテルミット反応させつつ浮揚溶解し、その浮揚溶湯部を吸引して、60Nb−40Alの組成のAl母合金を10kg製造した(実施例2)。別に、前記と同じ所要量の金属Alと酸化ニオブとをアーク式の溶解炉で溶解して、60Nb−40Alの組成のAl母合金を製造した(比較例1)。以上の各例のAl母合金を粒径1〜4mmの粒子に粉砕し、その粒子を30cm四方の平面にできるだけ均一にばらまき、その上からX線を透過して、Nbが濃化した組成の偏析部を持つ粒子の有無を検査した。同様のX線検査を各例のAl母合金の粒子について合計5回行なったところ、実施例2のAl母合金の粒子の場合は、5回のX線検査でいずれの回にもNbが濃化した組成の偏析部を持つ粒子は認められなかったが、比較例2のAl母合金の粒子の場合には、5回のX線検査でいずれの回にもNbが濃化した組成の偏析部を持つ粒子が認められた。
【0014】
実施例3及び比較例3
図1について前述した実施状態にしたがい、所要量の金属Alと酸化モリブデン(MoO3を主成分とするもの)とをレビテーション溶解炉でテルミット反応させつつ浮揚溶解し、その浮揚溶湯部を吸引して、50Mo−50Alの組成のAl母合金を10kg製造した(実施例3)。別に、前記と同じ所要量の金属Alと酸化モリブデンとをアーク式の溶解炉で溶解して、50Mo−50Alの組成のAl母合金を製造した(比較例3)。以上の各例のAl母合金を粒径1〜4mmの粒子に粉砕し、その粒子を30cm四方の平面にできるだけ均一にばらまき、その上からX線を透過して、Moが濃化した組成の偏析部を持つ粒子の有無を検査した。同様のX線検査を各例のAl母合金の粒子について合計5回行なったところ、実施例3のAl母合金の粒子の場合は、5回のX線検査でいずれの回にもMoが濃化した組成の偏析部を持つ粒子は認められなかったが、比較例3のAl母合金の粒子の場合には、5回のX線検査でいずれの回にもMoが濃化した組成の偏析部を持つ粒子が認められた。
【0015】
【発明の効果】
既に明らかなように、以上説明した本発明には、高融点金属の濃化した偏析部が存在しない均質組成のAl母合金を製造できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施状態を略示する全体図。
【符号の説明】
11・・レビテーション溶解炉、12・・炉底部、13・・水冷銅製セグメント、14・・高周波誘導コイル、21・・包囲体、31・・鋳型、32・・吸引筒、A・・浮揚溶湯部、B・・凝固シェル
【発明の属する技術分野】
本発明はAl母合金の製造方法に関する。所要量の金属Alと高融点金属の酸化物とをテルミット反応させたAl母合金が、例えばTi合金を製造するときの原料として用いられている。かかるAl母合金は市販されているが、市販のAl母合金には一般に高融点金属、例えばV、Nb、Mo等の濃化した偏析部が存在する。高融点金属の濃化した偏析部が存在するAl母合金を例えばTi合金の製造原料として用いると、得られるTi合金中には、Al母合金中の前記した偏析部に起因する未溶解物(所謂HDI:Heavy Dencity Inclusion)が残存することとなり、これがかかるTi合金から作製した構造部品や機械部品等の使用中において応力集中に伴う疲労破壊の起点になる危険性がある。したがって、Al母合金を例えばTi合金の製造原料として用いる場合には、そのようなAl母合金は高融点金属の濃化した偏析部が存在しないものであることが重要である。本発明はかかるAl母合金の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、Al母合金は一般に、着火源を備える溶解炉を用いて、所要量の金属Alと高融点金属の酸化物とをテルミット反応させることにより製造されている(特許文献1及び2参照)。しかし、かくして製造されたAl母合金には、前記したように高融点金属の濃化した偏析部が存在するという問題がある。かかるAl母合金を例えばTi合金の製造原料として用いる場合には、プラズマトーチを備えるコールドハース炉等を用いて、Ti合金中にAl母合金に含まれる高融点金属の濃化した偏析部ができるだけ持ち込まれないようにしているのが実情である。
【0003】
【特許文献1】
特開昭49−90615号公報
【特許文献2】
特表平8−501828号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、高融点金属の濃化した偏析部が存在しない均質組成のAl母合金を製造できる方法を提供する処にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を解決する本発明は、所要量の金属Alと高融点金属の酸化物とをレビテーション溶解炉でテルミット反応させつつ浮揚溶解し、その浮揚溶湯部を吸引することを特徴とするAl母合金の製造方法に係る。
【0006】
本発明では、所要量の金属Alと高融点金属の酸化物とをレビテーション溶解炉でテルミット反応させつつ浮揚溶解する。レビテーション溶解炉それ自体は、例えば特開平4−41062号公報や特開平8−313163号公報に記載されている通り、公知である。かかるレビテーション溶解炉は、炉底部上に複数の水冷銅製セグメントを相互に絶縁して筒状に立設し、その外周回りに高周波誘導コイルを配置したもので、炉内に装入した金属材料を、例えばArガス雰囲気下で高周波誘導コイルへ高周波電流を流すことにより誘導加熱し、この際に発生するローレンツ斥力により浮揚させた状態で溶解するようになっている。
【0007】
本発明では、前記のように所要量の金属Alと高融点金属の酸化物とをレビテーション溶解炉でテルミット反応させつつ浮揚溶解し、その浮揚溶湯部を吸引する。例えば、レビテーション溶解炉の上方から吸引筒を下降して浮揚溶湯部中へ挿入し、吸引するのである。吸引筒の基端部に鋳型を接続しておけば、かかる吸引により所定のインゴットを鋳造できる。
【0008】
前記したように、所要量の金属Alと高融点金属の酸化物とを着火源を備える溶解炉でテルミット反応させることにより製造される市販のAl母合金には、かかる高融点金属の濃化した偏析部、なかでもV、Nb、Mo等の濃化した偏析部が存在する。例えば50V−50Alの組成のAl母合金の場合には80V−20AlのようにVの濃化した組成の偏析部、また60Nb−40Alの組成のAl母合金の場合には70Nb−30AlのようにNbの濃化した組成の偏析部、更に50Mo−50Alの組成のAl母合金の場合には70Mo−30AlのようにMoの濃化した組成の偏析部が存在する。これらの偏析部は他の部分に比べて高融点且つ高比重であるため、かかる偏析部が存在するAl母合金を例えばTi合金の製造原料として用いると、Ti合金の製造時に溶解されず、溶け残りとしてTi合金中に残存することとなる。これに対し、所要量の金属Alと高融点金属の酸化物とをレビテーション溶解炉でテルミット反応させつつ浮揚溶解し、その浮揚溶湯部を吸引する本発明によると、前記のような偏析部が存在しない均質組成のAl母合金に製造できる。レビテーション溶解炉における浮揚溶解時に高融点金属の濃化した偏析部が生成し、これが溶け残ったとしても、それらは炉底部に溜り、また炉底部に形成される凝固シェル部として捕捉されるので、吸引されることはない。
【0009】
本発明により製造された均質組成のAl母合金は、各種合金の母材、例えばTi合金の製造原料として利用するのに有利である。本発明により製造された均質組成のAl母合金及びTiスポンジを原料として用い、例えばPPC(プラズマプログシブ キャスティング)溶解、更にVAR(真空アーク)溶解を行なうと、前記のような高融点金属の濃化した偏析部に由来する溶け残りのないTi合金を製造できるのである。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の実施状態を略示する全体図である。レビテーション溶解炉11は、炉底部12と、炉底部12上に相互に絶縁して筒状に立設された複数の水冷銅製セグメント13,13と、これらの水冷銅製セグメント13,13の外周回りに配置された高周波誘導コイル14とを備えている。レビテーション溶解炉11の上部には包囲体21が装備されており、包囲体21には鋳型31が昇降可能に摺嵌されていて、鋳型31の下部に吸引筒32が取付けられている。
【0011】
レビテーション溶解炉11に所要量の金属Alと高融点金属の酸化物とを装入する。これらをArガス雰囲気下で高周波誘導コイル14へ高周波電流を流すことにより誘導加熱してテルミット反応させつつ、この際に発生するローレンツ斥力により浮揚された状態で溶解する。レビテーション溶解炉11には、浮揚溶湯部Aと、その炉底部12に凝固シェル部Bとが形成される。かかる状態で、鋳型31と共に吸引筒32を下降させて、吸引筒32の下端部を浮揚溶湯部A中へ挿入し、図示しない真空ポンプにより吸引する。図1はこの状態を示している。浮揚溶湯部Aは吸引筒32を介して鋳型31へと到り、ここで冷却される。かくして前記のような偏析部が存在しない均質組成のAl母合金のインゴットを製造する。
【0012】
【実施例】
実施例1及び比較例1
図1について前述した実施状態にしたがい、所要量の金属Alと酸化バナジウム(V2O5を主成分とするもの)とをレビテーション溶解炉でテルミット反応させつつ浮揚溶解し、その浮揚溶湯部を吸引して、50V−50Alの組成のAl母合金を10kg製造した(実施例1)。別に、前記と同じ所要量の金属Alと酸化バナジウムとをアーク式の溶解炉で溶解して、50V−50Alの組成のAl母合金を製造した(比較例1)。以上の各例のAl母合金を粒径1〜4mmの粒子に粉砕し、その粒子を30cm四方の平面にできるだけ均一にばらまき、その上からX線を透過して、Vが濃化した組成の偏析部を持つ粒子の有無を検査した。同様のX線検査を各例のAl母合金の粒子について合計5回行なったところ、実施例1のAl母合金の粒子の場合は、5回のX線検査でいずれの回にもVが濃化した組成の偏析部を持つ粒子は認められなかったが、比較例1のAl母合金の粒子の場合には、5回のX線検査でいずれの回にもVが濃化した組成の偏析部を持つ粒子が認められた。
【0013】
実施例2及び比較例2
図1について前述した実施状態にしたがい、所要量の金属Alと酸化ニオブ(Nb2O5を主成分とするもの)とをレビテーション溶解炉でテルミット反応させつつ浮揚溶解し、その浮揚溶湯部を吸引して、60Nb−40Alの組成のAl母合金を10kg製造した(実施例2)。別に、前記と同じ所要量の金属Alと酸化ニオブとをアーク式の溶解炉で溶解して、60Nb−40Alの組成のAl母合金を製造した(比較例1)。以上の各例のAl母合金を粒径1〜4mmの粒子に粉砕し、その粒子を30cm四方の平面にできるだけ均一にばらまき、その上からX線を透過して、Nbが濃化した組成の偏析部を持つ粒子の有無を検査した。同様のX線検査を各例のAl母合金の粒子について合計5回行なったところ、実施例2のAl母合金の粒子の場合は、5回のX線検査でいずれの回にもNbが濃化した組成の偏析部を持つ粒子は認められなかったが、比較例2のAl母合金の粒子の場合には、5回のX線検査でいずれの回にもNbが濃化した組成の偏析部を持つ粒子が認められた。
【0014】
実施例3及び比較例3
図1について前述した実施状態にしたがい、所要量の金属Alと酸化モリブデン(MoO3を主成分とするもの)とをレビテーション溶解炉でテルミット反応させつつ浮揚溶解し、その浮揚溶湯部を吸引して、50Mo−50Alの組成のAl母合金を10kg製造した(実施例3)。別に、前記と同じ所要量の金属Alと酸化モリブデンとをアーク式の溶解炉で溶解して、50Mo−50Alの組成のAl母合金を製造した(比較例3)。以上の各例のAl母合金を粒径1〜4mmの粒子に粉砕し、その粒子を30cm四方の平面にできるだけ均一にばらまき、その上からX線を透過して、Moが濃化した組成の偏析部を持つ粒子の有無を検査した。同様のX線検査を各例のAl母合金の粒子について合計5回行なったところ、実施例3のAl母合金の粒子の場合は、5回のX線検査でいずれの回にもMoが濃化した組成の偏析部を持つ粒子は認められなかったが、比較例3のAl母合金の粒子の場合には、5回のX線検査でいずれの回にもMoが濃化した組成の偏析部を持つ粒子が認められた。
【0015】
【発明の効果】
既に明らかなように、以上説明した本発明には、高融点金属の濃化した偏析部が存在しない均質組成のAl母合金を製造できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施状態を略示する全体図。
【符号の説明】
11・・レビテーション溶解炉、12・・炉底部、13・・水冷銅製セグメント、14・・高周波誘導コイル、21・・包囲体、31・・鋳型、32・・吸引筒、A・・浮揚溶湯部、B・・凝固シェル
Claims (3)
- 所要量の金属Alと高融点金属の酸化物とをレビテーション溶解炉でテルミット反応させつつ浮揚溶解し、その浮揚溶湯部を吸引することを特徴とするAl母合金の製造方法。
- 高融点金属がV、Nb及びMoから選ばれる一つ又は二つ以上である請求項1記載のAl母合金の製造方法。
- Al母合金がTi合金用のものである請求項1又は2記載のAl母合金の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003093345A JP2004300492A (ja) | 2003-03-31 | 2003-03-31 | Al母合金の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003093345A JP2004300492A (ja) | 2003-03-31 | 2003-03-31 | Al母合金の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004300492A true JP2004300492A (ja) | 2004-10-28 |
Family
ID=33406167
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003093345A Pending JP2004300492A (ja) | 2003-03-31 | 2003-03-31 | Al母合金の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004300492A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014513197A (ja) * | 2010-09-27 | 2014-05-29 | パブリックストックカンパニー “ヴイエスエムピーオー アヴィスマ コーポレーション” | (4.0〜6.0)%のAl−(4.5〜6.0)%のMo−(4.5〜6.0)%のV−(2.0〜3.6)%のCr−(0.2〜0.5)%のFe−(0.1〜2.0)%のZrからなる近β型チタン合金の溶解方法 |
-
2003
- 2003-03-31 JP JP2003093345A patent/JP2004300492A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014513197A (ja) * | 2010-09-27 | 2014-05-29 | パブリックストックカンパニー “ヴイエスエムピーオー アヴィスマ コーポレーション” | (4.0〜6.0)%のAl−(4.5〜6.0)%のMo−(4.5〜6.0)%のV−(2.0〜3.6)%のCr−(0.2〜0.5)%のFe−(0.1〜2.0)%のZrからなる近β型チタン合金の溶解方法 |
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