JP2004300206A - バイオガスの都市ガス化利用方法及びその製造設備 - Google Patents
バイオガスの都市ガス化利用方法及びその製造設備 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004300206A JP2004300206A JP2003092605A JP2003092605A JP2004300206A JP 2004300206 A JP2004300206 A JP 2004300206A JP 2003092605 A JP2003092605 A JP 2003092605A JP 2003092605 A JP2003092605 A JP 2003092605A JP 2004300206 A JP2004300206 A JP 2004300206A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- gas
- biogas
- pressure
- calorific value
- city
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E50/00—Technologies for the production of fuel of non-fossil origin
- Y02E50/30—Fuel from waste, e.g. synthetic alcohol or diesel
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02W—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO WASTEWATER TREATMENT OR WASTE MANAGEMENT
- Y02W10/00—Technologies for wastewater treatment
- Y02W10/20—Sludge processing
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02W—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO WASTEWATER TREATMENT OR WASTE MANAGEMENT
- Y02W30/00—Technologies for solid waste management
- Y02W30/20—Waste processing or separation
Landscapes
- Filling Or Discharging Of Gas Storage Vessels (AREA)
- Processing Of Solid Wastes (AREA)
- Treatment Of Sludge (AREA)
Abstract
【課題】簡単なシステム構造でかつ建設費及び操業コストが低額な製造設備を用いて、低熱量のバイオガスから12A程度の都市ガスに相当する高熱量燃料ガスを能率良く経済的に製造して消費者に供給するバイオガスの都市ガス化利用方法及びその製造設備を提供する。
【解決手段】有機性廃棄物を発酵させて得られる低熱量のバイオガスを、脱硫処理、脱炭酸ガス処理、脱湿処理、熱量調整及び付臭処理を行って、12A程度の都市ガスに相当する高熱量燃料ガスを得て消費者に供給する。
【選択図】 図1
【解決手段】有機性廃棄物を発酵させて得られる低熱量のバイオガスを、脱硫処理、脱炭酸ガス処理、脱湿処理、熱量調整及び付臭処理を行って、12A程度の都市ガスに相当する高熱量燃料ガスを得て消費者に供給する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、し尿、浄化槽汚泥、下水処理汚泥、畜産施設や水産施設からの廃棄物、生ゴミなどの有機性廃棄物を発酵、生物化学的に処理して得られる低熱量の消化ガス、つまりバイオガスから、12A程度の都市ガスに相当する高熱量燃料ガスを製造して消費者に供給するバイオガスの都市ガス化利用方法及びその製造設備に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
し尿、浄化槽汚泥、畜産・水産施設からの廃棄物、生ゴミなどの有機性廃棄物を発酵、つまり生物化学的に処理して得られたバイオガスを、常圧あるいは低圧に加圧してガスホルダーに貯蔵し、必要に応じてボイラーなどの燃焼用、或いは発電用のエネルギー源として使用している。
【0003】
生物学的処理に際して発生する消化ガスを吸着貯蔵する従来技術には、例えば特開2002−327896号公報(特許文献1参照)「吸着式消化ガス貯蔵装置および消化ガスの貯蔵方法」の発明がある。
この吸着式消化ガス貯蔵に係る発明は、コンプレッサー、バッファータンク、及び吸着材が充填された吸着式タンクからなる消化ガス貯蔵装置である。
【0004】
また、消化ガスつまりバイオガスの新しい利用の仕方を考えた従来技術には、例えば特開2003−42397号公報(特許文献2参照)「ガスの利用方法及び装置」の発明がある。
この「ガスの利用方法及び装置」の発明は、消化槽から発生したバイオガスを輸送する配管の途中に分岐配管を設け、その先に加圧装置及び除湿装置を設け、さらに吸着式ガスホルダーから利用設備へ送るようにしたものである。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−327896号公報(図1及び、明細書の[0011]〜[0020]の欄)
【0006】
【特許文献2】
特開2003−42397号公報(図1及び、明細書の[0012],[0015],[0016],[0018]の欄)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記紹介した特許文献1の吸着式消化ガス貯蔵装置および消化ガスの貯蔵方法は、コンプレッサー用のバッファータンクを使用することにより、効率よく昇圧して吸着貯蔵することができるが、吸着式貯蔵タンクから高圧ガスを使用することが難しかった。
【0008】
また、上記紹介した特許文献2のガスの利用方法及び装置は、分岐配管から低圧ガスを引出してコンプレッサーで昇圧して吸着式ガスホルダーへ貯蔵して高圧ガスを供給することができるが、ガス圧力は200〜300kPa程度の低圧力での使用であり、設備が煩雑であって、さらに高圧ガス化し熱量調整して利用するには適していなかった。
【0009】
また、従来のバイオガス利用方法は、発生したバイオガスをそのまま、又は低圧力でボイラ等にて燃焼させて、発生した熱を利用したり、ガスタービン等で燃焼させて電力を製造したり、また燃料電池などに有効利用していた。
しかしながら、バイオガスを効率良く処理し増熱・付臭して、経済的に都市ガスに相当する高熱量燃料ガスを製造し、ガス圧15MPa程度の高圧力にして消費者に供給することは行われていなかった。
【0010】
ところで、高熱量の燃料ガス、例えば12A程度のガス(12A程度のガスとは、発熱量:37〜42MJ/Nm3程度の燃料ガスで、用品検定ガスグループの基準に定められている,ウォッベ指数:WIが49〜54,燃焼速度MCP:34〜47の12Aグループのガスをいう)は、中小の都市などの限られた地域を対象として、配管を用いて供給していた。このガス配管設備には、長い管路でかつ大規模の配管圧送設備を必要とするため、地方の過疎地や遠隔地、分散した消費者へ配管を敷設して供給することは経済性に問題があった。
【0011】
また、ガス供給設備を持たない畜産施設などは、有機性廃棄物から得られる低熱量のバイオガスを、高熱量の燃焼ガスとして有効利用することが望まれていた。さらに、このバイオガスから得られた高熱量燃焼ガスを、高圧ガスボンベに充填して、ボンベ供給のLPGと同様の方法で利用することも期待されていた。
【0012】
この発明の目的は、上述のような従来技術が有する問題点に鑑みてなされたもので、簡単なシステム構造でかつ建設費及び操業コストが低額な製造設備を用いて、低熱量のバイオガスから12A程度の都市ガスに相当する高熱量燃料ガスを能率良く経済的に製造して消費者に供給するバイオガスの都市ガス化利用方法及びその製造設備に関するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明に係るバイオガスの都市ガス化利用方法は、有機性廃棄物を発酵させて得られる低熱量のバイオガスを、脱硫処理、脱炭酸ガス処理、脱湿処理、熱量調整及び付臭処理を行って、12A程度の都市ガスに相当する高熱量燃料ガスを得て消費者に供給するものである。
【0014】
また、請求項2の発明に係るバイオガスの都市ガス化利用方法にあっては、上記12A程度の都市ガスに相当する高熱量燃料ガスは、加圧・冷却及び加圧・吸着によって脱湿処理して、寒冷地でも水分の凝縮やガス成分の凝縮が生じることのない低露点の乾燥した高圧力ガスにして蓄圧し、高圧ガスボンベに充填して消費者に供給するものである。
【0015】
また、請求項3の発明に係るバイオガスの都市ガス化利用方法の製造設備は、有機性廃棄物を発酵させて得られる低熱量のバイオガスを、第1段階の工程にて、脱硫する脱硫器と、該脱硫したバイオガスを加圧・冷却処理する脱湿器と、該脱湿処理したガスを脱炭酸ガス器にて処理した後に、熱量調整及び付臭処理する増熱・付臭装置と、該熱量調整及び付臭処理したガスを貯蔵するガスホルダーとを備え、第2段階の工程にて、前記貯蔵ガスを加圧・吸着処理する脱湿器と、該脱湿後のガスを高圧にして蓄圧した後に、高圧ガスボンベに充填するボンベ充填装置とを備えたものである。
【0016】
また、請求項4の発明に係るバイオガスの都市ガス化利用方法の製造設備にあっては、上記脱湿器は、第1段階として圧力冷却式分離器を備え、第2段階として圧力吸着式分離器を備えて、低露点の乾燥した高圧ガスを得るものである。
【0017】
また、請求項5の発明に係るバイオガスの都市ガス化利用方法の製造設備にあっては、上記第2段階の工程における脱湿器の後に、不純ガス成分のシロキサンを除去するシロキサン除去器を設けたものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
この発明に係るバイオガスの都市ガス化利用方法及びその製造設備の実施形態について、図1及び図2を参照して説明する。
図1は、バイオガスから高熱量燃料ガスを製造する設備全体の概略フローを示し、図2の表は、図1の要部におけるガスの性状を示すものである。
【0019】
この高熱量燃料ガス製造設備へ供給されるガスは、し尿、浄化槽汚泥、下水処理汚泥、畜産施設や水産施設からの廃棄物、生ゴミなどの有機性廃棄物を発酵させ、生物化学的に処理して得られた低熱量の消化ガス、つまりバイオガスである。
例えば、牛舎や豚舎など畜産施設で排出される糞尿などを集めて、発酵槽に入れて嫌気的に発酵させ、生物化学的に処理してメタンガスを主成分とするバイオガスを発生させる。
このバイオガスには、高熱量の燃焼用ガスとして使用されるメタンガスの他に、硫化水素、炭酸ガス、アンモニアガス、シロキサンなど不純物や水分を含んでいる。
【0020】
そこで、上記有機性廃棄物を発酵させて得られる低熱量のバイオガスから、腐食性のある硫化水素を除去し、さらに発熱に関与しない水分及び炭酸ガスを除去し、熱量調整及び付臭処理を行って、ガス発熱量が37MJ/Nm3〜42MJ/Nm3程度の12Aの都市ガスに相当する高熱量燃料ガスを得て消費者に供給する。
さらに、寒冷地でも水分の凝縮や凍結、ガス成分の凝縮が生じることのない低露点の乾燥した15MPa程度の高圧力ガスにして、LPG容器等と同様の汎用性のある高圧ガスボンベに充填して消費者へ供給する。
さらにまた、燃料電池や発電等に使用する場合には、燃焼機器にケイ素成分が析出して故障の原因となるシロキサンなどの不純ガス成分を除去する必要がある。
【0021】
この発明に係るバイオガスの都市ガス化利用方法及びその製造設備は、図1のフローシートに示すように、有機性廃棄物を発酵させて得られる低圧力で水分が多く炭酸ガスを多く含有する低熱量のバイオガスから、高圧力で水分が少なく低炭酸ガス含有で、12A程度の都市ガスに相当する汎用性のある高熱量の燃料ガスを製造する設備である。
【0022】
この高熱量燃料ガスの製造設備は、第1段階の工程にて、脱硫し、加圧・冷却して脱湿処理し、脱炭酸ガス処理した後に、熱量調整し付臭処理してガスホルダー5に貯蔵する。
そして、第2段階の工程にて、加圧・吸着により脱湿処理して低露点の乾燥ガス化し、高圧力のガスにして蓄圧した後に、高圧ガスボンベに充填するものである。
【0023】
第1段階の工程において、1は脱硫器、2はガス昇圧機、3は脱湿器、4は脱炭酸ガス器、11は増熱・付臭装置、5はガスホルダーである。
また、第2段階の工程において、6はガス昇圧機、7は脱湿器、8はシロキサン除去器、9は蓄圧器、10はボンベ充填装置である。
なお、12及び13は圧力調整弁、14は開閉弁を示す。
【0024】
第1段階の工程にて、まず発酵槽などから送出されるバイオガスに含まれる腐食性のある硫化水素を、脱硫器1を用いて除去する。
この脱硫器1としては、例えば鉄粉、粘土等でペレット状に成形した酸化鉄系吸着材を充填した乾式装置、又は水洗浄式やアルカリ洗浄式、或いはナフトキノンスルホン酸塩など薬液再生式等による硫黄回収の湿式装置などを使用する。
続いてガス昇圧機2で加圧し、脱湿器3で加圧・冷却によって脱湿処理し、次いで脱炭酸ガス器4で炭酸ガスを除去する。そして、増熱・付臭装置11で熱量調整及びガス臭を加える付臭処理をして、ガスホルダー5へ貯蔵する。
この第1段階の工程は、発酵槽から生物化学的に連続処理されて継続して送出されるバイオガスに対応して、各機器は連続の全日稼動で行う。
【0025】
次いで、第2段階の工程において、上記ガスホルダー5から引き抜いたガスを、ガス昇圧機6で加圧し、さらに吸着式の脱湿器7で水分を除去し、さらにシロキサン除去器8でシロキサンなどの不純物を除去し、蓄圧器9に蓄える。
そして、開閉弁14を開け、ボンベ充填装置10において可搬用の高圧ガスボンベへ充填する。
この第2段階の工程は、ガスの需要に応じて間欠の昼間稼動対応で行う。
【0026】
ボンベ充填装置10は、例えば、容量3.3リットル、10リットル、47リットル等、種々容量の高圧ガスボンベ25本を2列に設置し、一日当たり2〜4サイクルの充填作業によって、昼間の操業時間内に必要量を充填する。
この高熱量燃料ガスは、高圧ガスボンベに充填した場合でも、加圧によって液化することなく、また寒冷地においても液化しないため、高圧ガスボンベで供給することができる。
そのため、地方の過疎地や遠隔地、分散した消費者へ、配管設備を用いることなく高圧ガスボンベを使用して、12A程度の都市ガスに相当する高熱量の燃料ガスを供給することができる。
【0027】
バイオガスに含有する水分は多いので、この発熱に関与しない余分な水分を効率良く除去する必要がある。そこで、第1段階の工程における脱湿処理は、圧力を増加するだけで結露作用によって脱水する圧力分離式の脱湿器3で行う。次いで、第2段階の工程における脱湿処理は、水分を物理化学的に吸着させて除去する圧力吸着式の脱湿器7を使用して行う。この吸着材は、例えば活性炭、ゼオライト、シリカゲル、或いは有機金属錯体など多孔性材料を使用する。
【0028】
脱炭酸ガス処理は、気体分離膜や多孔性中空糸膜などを用いた膜式の脱炭酸ガス器4を使用する。この膜式の脱炭酸ガス器4は、複雑な構造で除去率の高い吸着式のものに比べて簡単な構造であって、除去率は90%程度とそれ程高くなくてもよい。そして、含有率で約4%程度まで短時間に炭酸ガス濃度を下げすることができ、吸着剤を使用していないので、吸着剤の交換の必要もなくランニングコストもかからず経済的である。
また、分離した炭酸ガス及び残留メタンガスを含む混合ガスは大気中へ放散することなく、フィードバックして低熱量機器で再利用したり、或いは回収して植物の成長促進などに有効利用する。
このように、分離した炭酸ガスや余剰のガスなどを回収する閉鎖形のフローとしているので、ブローガスの発生が無いため、環境に配慮した安全性に優れたバイオガス有効利用設備となる。
【0029】
熱量調整及び付臭処理は、ガスホルダー5へ貯蔵する前に、液化石油ガス(LPG)を用いて増熱・付臭装置11によって行う。
この増熱・付臭装置11においては、例えば、発熱量約15MJ/Nm3(メガジュール/ノルマルリッポウメートル)〜25MJ/Nm3程度の低熱量のバイオガスに、発熱量約84MJ/Nm3〜126MJ/Nm3程度の液化石油ガス(LPG)を、容量比で約0.5〜5%程度の少量を加えて熱量を増加し、さらに漏洩を検知し安全確認のためのガスへの付臭(都市ガス臭の着臭)は、都市ガス用の付臭剤を添加して行い、発熱量約37MJ/Nm3〜42MJ/Nm3程度の高熱量の燃料ガス、12A程度の都市ガスに相当する燃料ガスを製造する。
【0030】
バイオガスを貯蔵するガスホルダー5は、有柱ピストン構造の有水式、オイルシールの無水式、バルーン式、コンテナ可搬の膜式などの低圧貯槽、或いは円筒形や球形の高圧貯槽のうち、圧力や容量などの供給条件に適応した形式のガス貯蔵槽を使用する。
上記フローシートに示す設備のガスホルダー5は、最終的なガス昇圧機6の動力低減のためには、円筒形又は球形の高圧貯槽を使用するのが好ましい。
【0031】
シロキサン除去器8としては、シロキサンなどの不純物を吸着し、水分の冷却熱によって水分とともに凝縮させる多孔質吸着材を充填した装置を使用する。
このシロキサンなどの不純物を吸着する多孔質吸着材は、例えばヨウ素や臭素のオキソ酸、酸化物などを、活性炭やゼオライトなどの多孔質吸着材に担持または添着して形成する。
【0032】
図2の表は、図1のフローシート中の要部、A〜Cにおけるガスの性状を示ず。
表中Aは、バイオガスを脱硫器1で処理した後、ガス昇圧機2の前におけるガス性状を示す。
このバイオガスは、約1.0kPa〜5.0kPa程度の低い圧力で、水分は飽和、炭酸ガスを約35%程度、メタンガスを約65%程度含有し、発熱量は約15MJ/Nm3〜25MJ/Nm3程度の低発熱量のガス性状である。
【0033】
また、表中Bは、昇圧して脱水した後で、脱炭酸ガス器4の後方におけるガス性状を示す。
このガスは、約0.5MPa〜1.0MPa程度の圧力で、炭酸ガス濃度は約4%程度に低下し、メタンガス濃度は約96%程度に増加し、発熱量は約30MJ/Nm3〜36MJ/Nm3程度の高発熱量のガス性状となる。
【0034】
また、表中Cは、ガス昇圧機6から脱湿器7、シロキサン除去器8、蓄圧器9を経た後方におけるガス性状を示す。
このガス性状は、昇圧によって15MPa程度の高い圧力となり、さらに水分を除去して露点は−20℃程度となる。
そして、少量のLPGを添加する増熱によって、発熱量は約37MJ/Nm3〜42MJ/Nm3程度の高発熱量となり、汎用性のある12A程度の都市ガスに相当する燃料ガスとなる。
この高熱量燃料ガスは、高圧ガスボンベに充填した場合でも加圧によって液化することなく、また寒冷地においても液化することなくガス状態で供給することができる。また、露点を−20℃程度にしたので、寒冷地においてもガスボンベ等の供給機器が結露や氷結をすることがない。
【0035】
【発明の効果】
請求項1の発明に係るバイオガスの都市ガス化利用方法は、有機性廃棄物を発酵させて得られる低熱量のバイオガスを、脱硫処理、脱炭酸ガス処理、脱湿処理、熱量調整及び付臭処理を行って、12A程度の都市ガスに相当する高熱量燃料ガスを得て、消費者に供給するので、有機性廃棄物から得られたバイオガス資源を効率良く処理し熱量調整して、汎用性のある都市ガス機器に適用することが可能となり、燃料ガスとして有効利用し、地球に優しい燃料資源としてのエネルギー利用を図ることができる。
そして、有機性廃棄物を処理した高熱量の燃料ガスが連続的に安定して得られ、かつ需要条件に対応して供給の利便性が良いエネルギー資源となる。
【0036】
また、請求項2の発明に係るバイオガスの都市ガス化利用方法にあっては、上記12A程度の都市ガスに相当する高熱量燃料ガスは、加圧・冷却及び加圧・吸着によって脱湿処理して、寒冷地でも水分の凝縮やガス成分の凝縮が生じることのない低露点の乾燥した高圧力ガスにして蓄圧し、高圧ガスボンベに充填して消費者に供給するので、効率良く脱水、脱炭酸ガス処理し、熱量増加して一旦貯蔵した後に、必要に応じて高圧力で高熱量のガスをボンベに充填することができ、高圧ガスボンベに充填した場合に、加圧によって液化することなく、また寒冷地においても液化する心配も生じないため、高圧ガスボンベで供給することができる。
そのため、地方の過疎地や遠隔地、分散した消費者へ、長い管路でかつ大規模の配管圧送設備を用いることなく、12A程度の都市ガスに相当する高熱量の燃料ガスを、高圧ガスボンベを使用して消費者に供給することができる。
【0037】
また、請求項3の発明に係るバイオガスの都市ガス化利用方法の製造設備は、有機性廃棄物を発酵させて得られる低熱量のバイオガスを、第1段階の工程で脱硫する脱硫器と、該脱硫したバイオガスを加圧・冷却処理する脱湿器と、該脱湿処理したガスを脱炭酸ガス器にて処理した後に、熱量調整及び付臭処理して貯蔵するガスホルダーと、該貯蔵ガスを第2段階の工程で加圧・吸着処理する脱湿器と、該脱湿後のガスを高圧にして蓄圧した後に、高圧ガスボンベに充填するボンベ充填装置とを備えたので、システムが簡単かつ機器の運転操作が簡単で、設備費及びランニングコストが安価で、バイオガス資源を効率良く処理し、12A程度の都市ガスに相当する高熱量燃料ガスを効率良く製造することができ、経済性に優れたバイオガス有効利用の製造設備となる。
【0038】
また、請求項4の発明に係るバイオガスの都市ガス化利用方法の製造設備にあっては、上記脱湿器は、第1段階として圧力冷却式分離器を備え、第2段階として圧力吸着式分離器を備えて、低露点の乾燥した高圧ガスを得るので、温度と圧力を利用した脱水と、吸着による脱水とによって、水分の多いバイオガスを2段階に効率良く経済的に脱水処理することができ、寒冷地においても結露や氷結をすることがなく高熱量燃料ガスを安定供給することができる。
【0039】
また、請求項5の発明に係るバイオガスの都市ガス化利用方法の製造設備にあっては、上記第2段階の工程における脱湿器の後に、不純ガス成分のシロキサンを除去するシロキサン除去器を設けたので、一層不純物の少ないガスとなるため、燃料電池用やタービン用など、より利用範囲の拡大を図ることができ、燃焼機器の保全を向上させることができる。
【0040】
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係るバイオガスの都市ガス化利用方法及びその製造設備の全体フローシートを示す説明図である。
【図2】図1のフローシートの要部におけるガス性状の概略を示す表である。
【符号の説明】
1 脱硫器 2 ガス昇圧機
3 脱湿器 4 脱炭酸ガス器
5 ガスホルダー 6 ガス昇圧器
7 脱湿器 8 シロキサン除去器
9 蓄圧器 10 ボンベ充填装置
11 増熱・付臭装置 12 圧力調整弁
13 圧力調整弁 14 開閉弁
【発明の属する技術分野】
この発明は、し尿、浄化槽汚泥、下水処理汚泥、畜産施設や水産施設からの廃棄物、生ゴミなどの有機性廃棄物を発酵、生物化学的に処理して得られる低熱量の消化ガス、つまりバイオガスから、12A程度の都市ガスに相当する高熱量燃料ガスを製造して消費者に供給するバイオガスの都市ガス化利用方法及びその製造設備に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
し尿、浄化槽汚泥、畜産・水産施設からの廃棄物、生ゴミなどの有機性廃棄物を発酵、つまり生物化学的に処理して得られたバイオガスを、常圧あるいは低圧に加圧してガスホルダーに貯蔵し、必要に応じてボイラーなどの燃焼用、或いは発電用のエネルギー源として使用している。
【0003】
生物学的処理に際して発生する消化ガスを吸着貯蔵する従来技術には、例えば特開2002−327896号公報(特許文献1参照)「吸着式消化ガス貯蔵装置および消化ガスの貯蔵方法」の発明がある。
この吸着式消化ガス貯蔵に係る発明は、コンプレッサー、バッファータンク、及び吸着材が充填された吸着式タンクからなる消化ガス貯蔵装置である。
【0004】
また、消化ガスつまりバイオガスの新しい利用の仕方を考えた従来技術には、例えば特開2003−42397号公報(特許文献2参照)「ガスの利用方法及び装置」の発明がある。
この「ガスの利用方法及び装置」の発明は、消化槽から発生したバイオガスを輸送する配管の途中に分岐配管を設け、その先に加圧装置及び除湿装置を設け、さらに吸着式ガスホルダーから利用設備へ送るようにしたものである。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−327896号公報(図1及び、明細書の[0011]〜[0020]の欄)
【0006】
【特許文献2】
特開2003−42397号公報(図1及び、明細書の[0012],[0015],[0016],[0018]の欄)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記紹介した特許文献1の吸着式消化ガス貯蔵装置および消化ガスの貯蔵方法は、コンプレッサー用のバッファータンクを使用することにより、効率よく昇圧して吸着貯蔵することができるが、吸着式貯蔵タンクから高圧ガスを使用することが難しかった。
【0008】
また、上記紹介した特許文献2のガスの利用方法及び装置は、分岐配管から低圧ガスを引出してコンプレッサーで昇圧して吸着式ガスホルダーへ貯蔵して高圧ガスを供給することができるが、ガス圧力は200〜300kPa程度の低圧力での使用であり、設備が煩雑であって、さらに高圧ガス化し熱量調整して利用するには適していなかった。
【0009】
また、従来のバイオガス利用方法は、発生したバイオガスをそのまま、又は低圧力でボイラ等にて燃焼させて、発生した熱を利用したり、ガスタービン等で燃焼させて電力を製造したり、また燃料電池などに有効利用していた。
しかしながら、バイオガスを効率良く処理し増熱・付臭して、経済的に都市ガスに相当する高熱量燃料ガスを製造し、ガス圧15MPa程度の高圧力にして消費者に供給することは行われていなかった。
【0010】
ところで、高熱量の燃料ガス、例えば12A程度のガス(12A程度のガスとは、発熱量:37〜42MJ/Nm3程度の燃料ガスで、用品検定ガスグループの基準に定められている,ウォッベ指数:WIが49〜54,燃焼速度MCP:34〜47の12Aグループのガスをいう)は、中小の都市などの限られた地域を対象として、配管を用いて供給していた。このガス配管設備には、長い管路でかつ大規模の配管圧送設備を必要とするため、地方の過疎地や遠隔地、分散した消費者へ配管を敷設して供給することは経済性に問題があった。
【0011】
また、ガス供給設備を持たない畜産施設などは、有機性廃棄物から得られる低熱量のバイオガスを、高熱量の燃焼ガスとして有効利用することが望まれていた。さらに、このバイオガスから得られた高熱量燃焼ガスを、高圧ガスボンベに充填して、ボンベ供給のLPGと同様の方法で利用することも期待されていた。
【0012】
この発明の目的は、上述のような従来技術が有する問題点に鑑みてなされたもので、簡単なシステム構造でかつ建設費及び操業コストが低額な製造設備を用いて、低熱量のバイオガスから12A程度の都市ガスに相当する高熱量燃料ガスを能率良く経済的に製造して消費者に供給するバイオガスの都市ガス化利用方法及びその製造設備に関するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明に係るバイオガスの都市ガス化利用方法は、有機性廃棄物を発酵させて得られる低熱量のバイオガスを、脱硫処理、脱炭酸ガス処理、脱湿処理、熱量調整及び付臭処理を行って、12A程度の都市ガスに相当する高熱量燃料ガスを得て消費者に供給するものである。
【0014】
また、請求項2の発明に係るバイオガスの都市ガス化利用方法にあっては、上記12A程度の都市ガスに相当する高熱量燃料ガスは、加圧・冷却及び加圧・吸着によって脱湿処理して、寒冷地でも水分の凝縮やガス成分の凝縮が生じることのない低露点の乾燥した高圧力ガスにして蓄圧し、高圧ガスボンベに充填して消費者に供給するものである。
【0015】
また、請求項3の発明に係るバイオガスの都市ガス化利用方法の製造設備は、有機性廃棄物を発酵させて得られる低熱量のバイオガスを、第1段階の工程にて、脱硫する脱硫器と、該脱硫したバイオガスを加圧・冷却処理する脱湿器と、該脱湿処理したガスを脱炭酸ガス器にて処理した後に、熱量調整及び付臭処理する増熱・付臭装置と、該熱量調整及び付臭処理したガスを貯蔵するガスホルダーとを備え、第2段階の工程にて、前記貯蔵ガスを加圧・吸着処理する脱湿器と、該脱湿後のガスを高圧にして蓄圧した後に、高圧ガスボンベに充填するボンベ充填装置とを備えたものである。
【0016】
また、請求項4の発明に係るバイオガスの都市ガス化利用方法の製造設備にあっては、上記脱湿器は、第1段階として圧力冷却式分離器を備え、第2段階として圧力吸着式分離器を備えて、低露点の乾燥した高圧ガスを得るものである。
【0017】
また、請求項5の発明に係るバイオガスの都市ガス化利用方法の製造設備にあっては、上記第2段階の工程における脱湿器の後に、不純ガス成分のシロキサンを除去するシロキサン除去器を設けたものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
この発明に係るバイオガスの都市ガス化利用方法及びその製造設備の実施形態について、図1及び図2を参照して説明する。
図1は、バイオガスから高熱量燃料ガスを製造する設備全体の概略フローを示し、図2の表は、図1の要部におけるガスの性状を示すものである。
【0019】
この高熱量燃料ガス製造設備へ供給されるガスは、し尿、浄化槽汚泥、下水処理汚泥、畜産施設や水産施設からの廃棄物、生ゴミなどの有機性廃棄物を発酵させ、生物化学的に処理して得られた低熱量の消化ガス、つまりバイオガスである。
例えば、牛舎や豚舎など畜産施設で排出される糞尿などを集めて、発酵槽に入れて嫌気的に発酵させ、生物化学的に処理してメタンガスを主成分とするバイオガスを発生させる。
このバイオガスには、高熱量の燃焼用ガスとして使用されるメタンガスの他に、硫化水素、炭酸ガス、アンモニアガス、シロキサンなど不純物や水分を含んでいる。
【0020】
そこで、上記有機性廃棄物を発酵させて得られる低熱量のバイオガスから、腐食性のある硫化水素を除去し、さらに発熱に関与しない水分及び炭酸ガスを除去し、熱量調整及び付臭処理を行って、ガス発熱量が37MJ/Nm3〜42MJ/Nm3程度の12Aの都市ガスに相当する高熱量燃料ガスを得て消費者に供給する。
さらに、寒冷地でも水分の凝縮や凍結、ガス成分の凝縮が生じることのない低露点の乾燥した15MPa程度の高圧力ガスにして、LPG容器等と同様の汎用性のある高圧ガスボンベに充填して消費者へ供給する。
さらにまた、燃料電池や発電等に使用する場合には、燃焼機器にケイ素成分が析出して故障の原因となるシロキサンなどの不純ガス成分を除去する必要がある。
【0021】
この発明に係るバイオガスの都市ガス化利用方法及びその製造設備は、図1のフローシートに示すように、有機性廃棄物を発酵させて得られる低圧力で水分が多く炭酸ガスを多く含有する低熱量のバイオガスから、高圧力で水分が少なく低炭酸ガス含有で、12A程度の都市ガスに相当する汎用性のある高熱量の燃料ガスを製造する設備である。
【0022】
この高熱量燃料ガスの製造設備は、第1段階の工程にて、脱硫し、加圧・冷却して脱湿処理し、脱炭酸ガス処理した後に、熱量調整し付臭処理してガスホルダー5に貯蔵する。
そして、第2段階の工程にて、加圧・吸着により脱湿処理して低露点の乾燥ガス化し、高圧力のガスにして蓄圧した後に、高圧ガスボンベに充填するものである。
【0023】
第1段階の工程において、1は脱硫器、2はガス昇圧機、3は脱湿器、4は脱炭酸ガス器、11は増熱・付臭装置、5はガスホルダーである。
また、第2段階の工程において、6はガス昇圧機、7は脱湿器、8はシロキサン除去器、9は蓄圧器、10はボンベ充填装置である。
なお、12及び13は圧力調整弁、14は開閉弁を示す。
【0024】
第1段階の工程にて、まず発酵槽などから送出されるバイオガスに含まれる腐食性のある硫化水素を、脱硫器1を用いて除去する。
この脱硫器1としては、例えば鉄粉、粘土等でペレット状に成形した酸化鉄系吸着材を充填した乾式装置、又は水洗浄式やアルカリ洗浄式、或いはナフトキノンスルホン酸塩など薬液再生式等による硫黄回収の湿式装置などを使用する。
続いてガス昇圧機2で加圧し、脱湿器3で加圧・冷却によって脱湿処理し、次いで脱炭酸ガス器4で炭酸ガスを除去する。そして、増熱・付臭装置11で熱量調整及びガス臭を加える付臭処理をして、ガスホルダー5へ貯蔵する。
この第1段階の工程は、発酵槽から生物化学的に連続処理されて継続して送出されるバイオガスに対応して、各機器は連続の全日稼動で行う。
【0025】
次いで、第2段階の工程において、上記ガスホルダー5から引き抜いたガスを、ガス昇圧機6で加圧し、さらに吸着式の脱湿器7で水分を除去し、さらにシロキサン除去器8でシロキサンなどの不純物を除去し、蓄圧器9に蓄える。
そして、開閉弁14を開け、ボンベ充填装置10において可搬用の高圧ガスボンベへ充填する。
この第2段階の工程は、ガスの需要に応じて間欠の昼間稼動対応で行う。
【0026】
ボンベ充填装置10は、例えば、容量3.3リットル、10リットル、47リットル等、種々容量の高圧ガスボンベ25本を2列に設置し、一日当たり2〜4サイクルの充填作業によって、昼間の操業時間内に必要量を充填する。
この高熱量燃料ガスは、高圧ガスボンベに充填した場合でも、加圧によって液化することなく、また寒冷地においても液化しないため、高圧ガスボンベで供給することができる。
そのため、地方の過疎地や遠隔地、分散した消費者へ、配管設備を用いることなく高圧ガスボンベを使用して、12A程度の都市ガスに相当する高熱量の燃料ガスを供給することができる。
【0027】
バイオガスに含有する水分は多いので、この発熱に関与しない余分な水分を効率良く除去する必要がある。そこで、第1段階の工程における脱湿処理は、圧力を増加するだけで結露作用によって脱水する圧力分離式の脱湿器3で行う。次いで、第2段階の工程における脱湿処理は、水分を物理化学的に吸着させて除去する圧力吸着式の脱湿器7を使用して行う。この吸着材は、例えば活性炭、ゼオライト、シリカゲル、或いは有機金属錯体など多孔性材料を使用する。
【0028】
脱炭酸ガス処理は、気体分離膜や多孔性中空糸膜などを用いた膜式の脱炭酸ガス器4を使用する。この膜式の脱炭酸ガス器4は、複雑な構造で除去率の高い吸着式のものに比べて簡単な構造であって、除去率は90%程度とそれ程高くなくてもよい。そして、含有率で約4%程度まで短時間に炭酸ガス濃度を下げすることができ、吸着剤を使用していないので、吸着剤の交換の必要もなくランニングコストもかからず経済的である。
また、分離した炭酸ガス及び残留メタンガスを含む混合ガスは大気中へ放散することなく、フィードバックして低熱量機器で再利用したり、或いは回収して植物の成長促進などに有効利用する。
このように、分離した炭酸ガスや余剰のガスなどを回収する閉鎖形のフローとしているので、ブローガスの発生が無いため、環境に配慮した安全性に優れたバイオガス有効利用設備となる。
【0029】
熱量調整及び付臭処理は、ガスホルダー5へ貯蔵する前に、液化石油ガス(LPG)を用いて増熱・付臭装置11によって行う。
この増熱・付臭装置11においては、例えば、発熱量約15MJ/Nm3(メガジュール/ノルマルリッポウメートル)〜25MJ/Nm3程度の低熱量のバイオガスに、発熱量約84MJ/Nm3〜126MJ/Nm3程度の液化石油ガス(LPG)を、容量比で約0.5〜5%程度の少量を加えて熱量を増加し、さらに漏洩を検知し安全確認のためのガスへの付臭(都市ガス臭の着臭)は、都市ガス用の付臭剤を添加して行い、発熱量約37MJ/Nm3〜42MJ/Nm3程度の高熱量の燃料ガス、12A程度の都市ガスに相当する燃料ガスを製造する。
【0030】
バイオガスを貯蔵するガスホルダー5は、有柱ピストン構造の有水式、オイルシールの無水式、バルーン式、コンテナ可搬の膜式などの低圧貯槽、或いは円筒形や球形の高圧貯槽のうち、圧力や容量などの供給条件に適応した形式のガス貯蔵槽を使用する。
上記フローシートに示す設備のガスホルダー5は、最終的なガス昇圧機6の動力低減のためには、円筒形又は球形の高圧貯槽を使用するのが好ましい。
【0031】
シロキサン除去器8としては、シロキサンなどの不純物を吸着し、水分の冷却熱によって水分とともに凝縮させる多孔質吸着材を充填した装置を使用する。
このシロキサンなどの不純物を吸着する多孔質吸着材は、例えばヨウ素や臭素のオキソ酸、酸化物などを、活性炭やゼオライトなどの多孔質吸着材に担持または添着して形成する。
【0032】
図2の表は、図1のフローシート中の要部、A〜Cにおけるガスの性状を示ず。
表中Aは、バイオガスを脱硫器1で処理した後、ガス昇圧機2の前におけるガス性状を示す。
このバイオガスは、約1.0kPa〜5.0kPa程度の低い圧力で、水分は飽和、炭酸ガスを約35%程度、メタンガスを約65%程度含有し、発熱量は約15MJ/Nm3〜25MJ/Nm3程度の低発熱量のガス性状である。
【0033】
また、表中Bは、昇圧して脱水した後で、脱炭酸ガス器4の後方におけるガス性状を示す。
このガスは、約0.5MPa〜1.0MPa程度の圧力で、炭酸ガス濃度は約4%程度に低下し、メタンガス濃度は約96%程度に増加し、発熱量は約30MJ/Nm3〜36MJ/Nm3程度の高発熱量のガス性状となる。
【0034】
また、表中Cは、ガス昇圧機6から脱湿器7、シロキサン除去器8、蓄圧器9を経た後方におけるガス性状を示す。
このガス性状は、昇圧によって15MPa程度の高い圧力となり、さらに水分を除去して露点は−20℃程度となる。
そして、少量のLPGを添加する増熱によって、発熱量は約37MJ/Nm3〜42MJ/Nm3程度の高発熱量となり、汎用性のある12A程度の都市ガスに相当する燃料ガスとなる。
この高熱量燃料ガスは、高圧ガスボンベに充填した場合でも加圧によって液化することなく、また寒冷地においても液化することなくガス状態で供給することができる。また、露点を−20℃程度にしたので、寒冷地においてもガスボンベ等の供給機器が結露や氷結をすることがない。
【0035】
【発明の効果】
請求項1の発明に係るバイオガスの都市ガス化利用方法は、有機性廃棄物を発酵させて得られる低熱量のバイオガスを、脱硫処理、脱炭酸ガス処理、脱湿処理、熱量調整及び付臭処理を行って、12A程度の都市ガスに相当する高熱量燃料ガスを得て、消費者に供給するので、有機性廃棄物から得られたバイオガス資源を効率良く処理し熱量調整して、汎用性のある都市ガス機器に適用することが可能となり、燃料ガスとして有効利用し、地球に優しい燃料資源としてのエネルギー利用を図ることができる。
そして、有機性廃棄物を処理した高熱量の燃料ガスが連続的に安定して得られ、かつ需要条件に対応して供給の利便性が良いエネルギー資源となる。
【0036】
また、請求項2の発明に係るバイオガスの都市ガス化利用方法にあっては、上記12A程度の都市ガスに相当する高熱量燃料ガスは、加圧・冷却及び加圧・吸着によって脱湿処理して、寒冷地でも水分の凝縮やガス成分の凝縮が生じることのない低露点の乾燥した高圧力ガスにして蓄圧し、高圧ガスボンベに充填して消費者に供給するので、効率良く脱水、脱炭酸ガス処理し、熱量増加して一旦貯蔵した後に、必要に応じて高圧力で高熱量のガスをボンベに充填することができ、高圧ガスボンベに充填した場合に、加圧によって液化することなく、また寒冷地においても液化する心配も生じないため、高圧ガスボンベで供給することができる。
そのため、地方の過疎地や遠隔地、分散した消費者へ、長い管路でかつ大規模の配管圧送設備を用いることなく、12A程度の都市ガスに相当する高熱量の燃料ガスを、高圧ガスボンベを使用して消費者に供給することができる。
【0037】
また、請求項3の発明に係るバイオガスの都市ガス化利用方法の製造設備は、有機性廃棄物を発酵させて得られる低熱量のバイオガスを、第1段階の工程で脱硫する脱硫器と、該脱硫したバイオガスを加圧・冷却処理する脱湿器と、該脱湿処理したガスを脱炭酸ガス器にて処理した後に、熱量調整及び付臭処理して貯蔵するガスホルダーと、該貯蔵ガスを第2段階の工程で加圧・吸着処理する脱湿器と、該脱湿後のガスを高圧にして蓄圧した後に、高圧ガスボンベに充填するボンベ充填装置とを備えたので、システムが簡単かつ機器の運転操作が簡単で、設備費及びランニングコストが安価で、バイオガス資源を効率良く処理し、12A程度の都市ガスに相当する高熱量燃料ガスを効率良く製造することができ、経済性に優れたバイオガス有効利用の製造設備となる。
【0038】
また、請求項4の発明に係るバイオガスの都市ガス化利用方法の製造設備にあっては、上記脱湿器は、第1段階として圧力冷却式分離器を備え、第2段階として圧力吸着式分離器を備えて、低露点の乾燥した高圧ガスを得るので、温度と圧力を利用した脱水と、吸着による脱水とによって、水分の多いバイオガスを2段階に効率良く経済的に脱水処理することができ、寒冷地においても結露や氷結をすることがなく高熱量燃料ガスを安定供給することができる。
【0039】
また、請求項5の発明に係るバイオガスの都市ガス化利用方法の製造設備にあっては、上記第2段階の工程における脱湿器の後に、不純ガス成分のシロキサンを除去するシロキサン除去器を設けたので、一層不純物の少ないガスとなるため、燃料電池用やタービン用など、より利用範囲の拡大を図ることができ、燃焼機器の保全を向上させることができる。
【0040】
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係るバイオガスの都市ガス化利用方法及びその製造設備の全体フローシートを示す説明図である。
【図2】図1のフローシートの要部におけるガス性状の概略を示す表である。
【符号の説明】
1 脱硫器 2 ガス昇圧機
3 脱湿器 4 脱炭酸ガス器
5 ガスホルダー 6 ガス昇圧器
7 脱湿器 8 シロキサン除去器
9 蓄圧器 10 ボンベ充填装置
11 増熱・付臭装置 12 圧力調整弁
13 圧力調整弁 14 開閉弁
Claims (5)
- 有機性廃棄物を発酵させて得られる低熱量のバイオガスを、脱硫処理、脱炭酸ガス処理、脱湿処理、熱量調整及び付臭処理を行って、12A程度の都市ガスに相当する高熱量燃料ガスを得て消費者に供給することを特徴とするバイオガスの都市ガス化利用方法。
- 上記12A程度の都市ガスに相当する高熱量燃料ガスは、加圧・冷却及び加圧・吸着によって脱湿処理して、寒冷地でも水分の凝縮やガス成分の凝縮が生じることのない低露点の乾燥した高圧力ガスにして蓄圧し、高圧ガスボンベに充填して消費者に供給することを特徴とする請求項1記載のバイオガスの都市ガス化利用方法。
- 有機性廃棄物を発酵させて得られる低熱量のバイオガスを、第1段階の工程にて、脱硫する脱硫器と、該脱硫したバイオガスを加圧・冷却処理する脱湿器と、該脱湿処理したガスを脱炭酸ガス器にて処理した後に、熱量調整及び付臭処理する増熱・付臭装置と、該熱量調整及び付臭処理したガスを貯蔵するガスホルダーとを備え、第2段階の工程にて、前記貯蔵ガスを加圧・吸着処理する脱湿器と、該脱湿後のガスを高圧にして蓄圧した後に、高圧ガスボンベに充填するボンベ充填装置とを備えたことを特徴とするバイオガスの都市ガス化利用方法の製造設備。
- 上記脱湿器は、第1段階として圧力冷却式分離器を備え、第2段階として圧力吸着式分離器を備えて、低露点の乾燥した高圧ガスを得ることを特徴とする請求項3記載のバイオガスの都市ガス化利用方法の製造設備。
- 上記第2段階の工程における脱湿器の後に、不純ガス成分のシロキサンを除去するシロキサン除去器を設けたことを特徴とする請求項3又は4記載のバイオガスの都市ガス化利用方法の製造設備。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003092605A JP2004300206A (ja) | 2003-03-28 | 2003-03-28 | バイオガスの都市ガス化利用方法及びその製造設備 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003092605A JP2004300206A (ja) | 2003-03-28 | 2003-03-28 | バイオガスの都市ガス化利用方法及びその製造設備 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004300206A true JP2004300206A (ja) | 2004-10-28 |
Family
ID=33405646
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003092605A Pending JP2004300206A (ja) | 2003-03-28 | 2003-03-28 | バイオガスの都市ガス化利用方法及びその製造設備 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004300206A (ja) |
Cited By (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006122879A (ja) * | 2004-11-01 | 2006-05-18 | Yasuo Morikawa | メタンガスを生産する方法及びその装置、ならびに、メタンガスを生産する方法を利用して電気を造り出す方法 |
JP2008163804A (ja) * | 2006-12-27 | 2008-07-17 | Toshiba Corp | メタン発酵ガス自動車システム |
CN100458266C (zh) * | 2006-01-25 | 2009-02-04 | 朱裕丰 | 瓦斯恒超低浓度输送、提纯增压发电装置 |
JP2009242773A (ja) * | 2008-03-14 | 2009-10-22 | Air Water Inc | メタンガス濃縮装置および方法ならびに燃料ガスの製造装置および方法 |
JP2010254743A (ja) * | 2009-04-21 | 2010-11-11 | Tsukishima Kikai Co Ltd | 消化ガスのシロキサン除去装置およびシロキサン除去方法 |
JP2012149138A (ja) * | 2011-01-17 | 2012-08-09 | Sumitomo Seika Chem Co Ltd | メタン回収方法およびメタン回収装置 |
JP2013107923A (ja) * | 2011-11-17 | 2013-06-06 | Kobelco Eco-Solutions Co Ltd | バイオガスの付臭設備 |
JP2014077065A (ja) * | 2012-10-10 | 2014-05-01 | Metawater Co Ltd | 都市ガスの製造方法および製造システム |
CN113692971A (zh) * | 2021-08-03 | 2021-11-26 | 安徽水部落环保科技有限公司 | 一种基于沼液净化的蔬菜种植系统 |
-
2003
- 2003-03-28 JP JP2003092605A patent/JP2004300206A/ja active Pending
Cited By (11)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006122879A (ja) * | 2004-11-01 | 2006-05-18 | Yasuo Morikawa | メタンガスを生産する方法及びその装置、ならびに、メタンガスを生産する方法を利用して電気を造り出す方法 |
CN100458266C (zh) * | 2006-01-25 | 2009-02-04 | 朱裕丰 | 瓦斯恒超低浓度输送、提纯增压发电装置 |
JP2008163804A (ja) * | 2006-12-27 | 2008-07-17 | Toshiba Corp | メタン発酵ガス自動車システム |
JP4728945B2 (ja) * | 2006-12-27 | 2011-07-20 | 株式会社東芝 | メタン発酵ガス自動車システム |
JP2009242773A (ja) * | 2008-03-14 | 2009-10-22 | Air Water Inc | メタンガス濃縮装置および方法ならびに燃料ガスの製造装置および方法 |
JP2010254743A (ja) * | 2009-04-21 | 2010-11-11 | Tsukishima Kikai Co Ltd | 消化ガスのシロキサン除去装置およびシロキサン除去方法 |
JP2012149138A (ja) * | 2011-01-17 | 2012-08-09 | Sumitomo Seika Chem Co Ltd | メタン回収方法およびメタン回収装置 |
JP2013107923A (ja) * | 2011-11-17 | 2013-06-06 | Kobelco Eco-Solutions Co Ltd | バイオガスの付臭設備 |
JP2014077065A (ja) * | 2012-10-10 | 2014-05-01 | Metawater Co Ltd | 都市ガスの製造方法および製造システム |
CN113692971A (zh) * | 2021-08-03 | 2021-11-26 | 安徽水部落环保科技有限公司 | 一种基于沼液净化的蔬菜种植系统 |
CN113692971B (zh) * | 2021-08-03 | 2023-02-28 | 安徽水部落环保科技有限公司 | 一种基于沼液净化的蔬菜种植系统 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Ahmed et al. | Biogas upgrading, economy and utilization: a review | |
Olugasa et al. | Energy production from biogas: A conceptual review for use in Nigeria | |
Papacz | Biogas as vehicle fuel | |
CN202322831U (zh) | 沼气和垃圾填埋气利用系统 | |
Vijay et al. | Biogas purification and bottling into CNG cylinders: producing Bio-CNG from biomass for rural automotive applications | |
JP2006095512A (ja) | バイオガスの精製方法及びバイオガス精製設備 | |
FR3079523A1 (fr) | Procede de production mutualisee de biomethane pour injection dans le reseau de gaz naturel | |
Ofori-Boateng et al. | Water scrubbing: a better option for biogas purification for effective storage | |
CN103402929A (zh) | 利用家畜粪尿的高浓度沼气产生及发酵的残留物的环保处理系统 | |
KR101194168B1 (ko) | 바이오가스 및 축열기를 이용한 농업시설의 난방 방법 및 설비 | |
CA3032787A1 (en) | Method and device for biogas upgrading and hydrogen production from anaerobic fermentation of biological material | |
JP2004300206A (ja) | バイオガスの都市ガス化利用方法及びその製造設備 | |
KR20140087599A (ko) | 연료전지용 바이오가스 전처리 장치 | |
JP2010082518A (ja) | メタンガス回収方法及びエネルギー変換システム | |
Devi et al. | A comprehensive review on current trends and development of biomethane production from food waste: Circular economy and techno economic analysis | |
KR101059830B1 (ko) | 환경기초시설에서 발생되어 메탄과 이산화탄소를 다량 함유한 부생가스의 유용성분 회수 방법 및 그 시스템 | |
CN101434967B (zh) | 一种利用生活垃圾制备车用动力燃料的方法 | |
KR100793107B1 (ko) | 메탄가스정화시스템이 구비된 고효율 열병합 발전 시스템 | |
CN107381503B (zh) | 一种含硫化氢变换气净化的系统和方法 | |
Ray et al. | Water scrubbing of biogas produced from kitchen wastes for enrichment and bottling in LPG cylinder for cooking applications | |
KR101240444B1 (ko) | 하이드레이트 기술을 활용한 폐기물 발생가스의 자원화 방법 | |
CN103525490A (zh) | 一种利用沼气制取车用压缩天然气的工艺 | |
Vijay | Biogas refining for production of bio-methane and its bottling for automotive applications and holistic development | |
KR101542453B1 (ko) | 바이오가스의 이산화탄소 회수장치 | |
JP2002239508A (ja) | バイオガス生成システム |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20060327 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20080903 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20081202 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20090331 |