JP2004297747A - 自動音量制御装置 - Google Patents

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憲三 伊藤
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【目的】本発明はカーオーディオのように周囲の騒音が時間とともに変化するような環境で使用する音響機器において、環境騒音が変化したときに個人の聴知覚特性に対応するよう信号レベルや音質を自動的に制御することが出来る自動音量制御装置に関するものである。
【構成】信号源の信号と環境騒音のアナログ信号をディジタル信号に変換するA/D IV(1)およびIV(2)と、信号を増幅する増幅手段Iと、マイクで集音された周囲の騒音レベルと信号レベルを計算する信号/騒音レベル算出手段IIと、主観評価実験Aで得られた快適係数などの数値や信号/騒音レベル算出手段IIで得られた平均信号レベルや平均騒音レベルおよび快適信号レベル等の数値などをもとにして制御量の算出をする制御量算出手段IIIと、該制御量算出手段IIIからのデータを制御する利得制御手段Vよりなる自動音量制御装置
【選択図】 図1

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明はカーオーディオのように周囲の騒音が時間とともに変化するような環境で使用する音響機器において、環境騒音が変化したときに個人の聴知覚特性に対応するよう信号レベルや音質を自動的に制御することが出来る自動音量制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の自動音量制御装置,例えば図4にブロック図を示した特願平6−334457号は音楽再生時の周囲の騒音による聴感音量の減少および聴者の聴覚特性を補償し、音声信号の全周波数帯域にわたり適当な音量を維持する自動音量制御装置に関するものである。
図中1は入力端子、2は出力端子、3はA/D変換器、4はFIRフィルター、5はD/A変換器、6は高速フーリエ変換器(以下FFTと称す)、7はレベル検出器、8は利得算定手段、9は補間器、10はフィルタ係数算定手段、11はマイクロフォン、12は増幅器、13はA/D変換器、14はFFT、15はレベル検出器、18はA/D変換器、20は聴覚特性保持手段、21は比較器,100は音声信号分析手段、102は周囲音分析手段、102はフィルタ手段を示すものである。
【0003】
この自動音量制御装置では入力音声信号は,A/D変換器18でデジタル信号に変換の後、FFT6により等周波数間隔の各中心周波数における信号成分のレベルを与えるデータの組に変換される。 また、レベル検出器7は、FFT6の出力を適当な周波数帯域毎にこれに含まれる音声信号のレベルを与えるもので、設定した周波数帯領域内に入るデータ全体による実効値を求める処理を行い、FFT6およびレベル検出器7は音声信号分析手段100を形成する。
【0004】
また、聴覚特性保持手段20は人の年齢別の平均的聴覚特性を保持するもので、周囲音信号の周波数帯域分割と周波数帯域の聴力をデータとして保持する。
比較器21は周囲音分析手段101の出力データと聴覚特性保持手段20の出力とを分割された周波数帯域に比較し、大きい方を利得算定手段8に出力するようにしたものである。
【0005】
上記の発明を要約すると、音声信号を複数の周波数帯域の成分に分け、各周波数帯域に入る音声信号成分のレベルを求める音声信号分析手段と、マイクロフォンと、マイクロフォンから得た周囲信号を複数の周波数帯域の成分に分け、各周波数帯域に入る周囲音信号成分のレベルを求める周囲音信号分析手段と、聴者の聴覚特性を保持する聴覚特性保持手段と、前記音声信号分析手段の出力、周囲音信号分析手段の出力および聴覚特性保持手段に保持される聴覚特性から前記複数の周波数帯域の各音声信号成分に与えるべき利得を算定する利得算定手段と、この利得算定手段の出力として与えられる利得周波数特性を実現するフィルタ手段とを備えたものである。
【0006】
上記の発明は環境騒音や聴覚特性を考慮した点については本願発明の目的と類似しているが、FFTやFIRのような高度の信号分析手段や高度なデジタル信号処理を構成の要としているので生産コストが極めて高く、したがって安価に市販できないという致命的な欠点を有している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本願発明は、前記のような欠点を払拭するためになされたものであって、FFTのような高度の信号分析手段を用いることなく、非常に簡便な方法で環境騒音レベルに適応した信号レベルを自動的に制御できる自動音量制御装置、即ち、予め主観評価実験により求めた平均特性関係式を応用した自動音量制御手段を装置に組込むことによって、環境騒音の変化に適応した信号レベルや音質を個人の聴力(以下聴知覚特性と称す)に対応して自動的に制御できる新規な自動音量制御装置を安価に提供するためになされたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
カーオーディオや携帯電話などを使用する場所は周囲の雑音が様々であり、また、時間とともに大きく変化する場合が多く、このような騒音環境下において目的の信号を快適に聞き取るには信号レベルの調整を頻繁に行う必要がある。
通常、信号レベルや音質の制御は我々の聴力の特性や好みに基づいて操作されているのが現状である。
【0009】
一般的に,好みの信号レベルは個人によって様々であり,また,それぞれ快適な信号レベルも存在し,さらには,周囲の騒音の大小にも大きく左右される。
本願の発明者はいろいろと変化する環境騒音下で目的の信号を聴き取る場合の快適信号レベルについて以下のような主観評価実験を行った。
【0010】
主観評価実験(試験結果を図2および図3に示す)
本実験の方法
・信号と騒音を個別の音響系を用いてスピーカーより流し、被験者はさまざまな大きさの騒音下で信号を受聴し、信号レベルが最も聴きやすい状態になるよう自己調整する。
・騒音レベルを30dBSPL〜70dBSPLまで変化させ、そのときの騒音レベルと快適信号レベルの関係を求める。
・実験に用いた信号は楽音(Jポップジャズ、Orange Pekoe、やわらかな夜,約60秒長)である。
・環境騒音は車の走行時の社内騒音を収録したものを使用。
・被験者は年齢18歳から33歳、男子18名、女子11名である。
【0011】
上記の主観評価実験の結果は図2および図3に示す通りであり、図2は被験者個人の結果プロットしたものであり、図3は被験者全員の平均特性を示したものである。 なお,図面の横軸Xは環境騒音レベル(単位はdB)、縦軸Yは快適信号レベル(単位はdB)を示す。
【0012】
図3の快適信号レベルは個人差があるが、環境騒音に応じてほぼ直線的に変化していることがわかる。
また、図3から平均特性をY=0.53X+37(dB)で表すことが出来るという結果が得られた。
ここで、快適信号レベルをSk、快適係数をa、騒音レベルをN、定数をB、装置始動時の使用者の快適信号レベルに設定するときのプリセットレベルをαとすると、Sk=aN+(B+α)が導かれる。
なお、この式への入力はNとαで,aは0.5,Bは37をセットしておく。
【0013】
本願発明の自動音量制御装置は図1に示したブロック図のシステムより構成されており,この平均特性の関係式を利用すると予め環境騒音レベルと信号レベルに応じた快適信号レベルを確実に設定することが出来る。
したがって、その処理や制御も従来装置のようなFFTやFIRフィルタなどの高度なディジタル信号処理を行う必要がないから装置を極めて簡単な構造とすることが出来る。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の1例を図面によって詳述する。
【0015】
【実施例】
図1は本発明実施の一例を示すブロック図であって、信号は通常のアナログ的な増幅手段I等で増幅され、スピーカーSPより発せられる。
環境音モニター用のマイクMicで集音された音には周囲の騒音とともに信号音が混在しており、これら騒音レベルと信号レベルはそれぞれA/D(アナログ/ディジタル変換)IV(1),IV(2)においてディジタル信号に変換され、信号/騒音レベル算出手段IIで信号と騒音それぞれの平均的信号レベルを算出する。
この際,信号音の存在する時間区間は信号源情報から既知であるので信号の存在しない時間区間から平均的な騒音レベルを計測することが出来る。 なお時定数は,環境騒音の種類や利用場所などによっても異なるが、カーステレオなどへ応用する場合は通常1〜3秒程度が最適と思われる。 なお,図面中VIは信号源、VIIはマイク(Mic)、VIIIはスピーカー(SP)を示すものである。
【0016】
このとき、Mic VIIより入力される信号は、SP VIIIより放出された信号と騒音が重畳された信号(Sa+N)であるので元の信号(S)を用いて騒音レベルNを推定して求めることになる。 ここでは、便宜的にSa+N−S=N+(Sa−N)でおおまかにNのレベルを算出しておく。
【0017】
上記の信号/騒音レベル算出手段IIで算出された結果はに送られる。 制御量算出手段IIIにおいては、予め前記主観評価実験によって求めておいた快適係数a,信号/騒音レベル算出手段IIで得られた平均信号レベル(S)および平均騒音レベル(N)および装置始動時に快適と思われる快適信号プリセットレベル(α)から快適信号レベル(Sk)を設定する。
【0018】
制御量算出手段IIIで算定されたデータは利得制御手段Vに送られ、電子ボリューム等の簡単な器具を利用することにより実施することが出来る。 利得制御データは増幅手段Iにおくられる。
【0019】
このシステムを使用するに際しては,システム立ち上げ時に信号レベルを好みのレベルにプリセットする必要がある. システムはこの値を基に相対的なレベルを信号レベルとして逐次設定することが出来る。 また、利得制御手段Vにおいて、信号源の特性を積極的に強調することが出来る。 例えば、カーラジオから流れてくるアナウンサーの声を強調して聴き易くするフォルマント強調がこれに該当し,この強調処理を音量制御と併用することにより、より信号源の情報を習得し易くなる。
【0020】
【発明の効果】
本発明は前記のように構成されているので、予め主観評価実験により求めた関係式Sk=aN+(B+α)に環境騒音レベル(N)とプリセットレベル(α)を入力するだけで簡単かつ確実に快適信号レベルを設定することが出来る。
したがって、本願発明をカーステレオやカーラジオなど周囲の騒音が時々刻々と変化する環境で使用する音響再生装置に応用すると、環境騒音の大きさに応じて受聴者が快適と感じる信号レベルに自動的に制御でき、目的の音を快適に聞くことが出来る。
また、本発明のシステムを音響再生装置に応用する際に使用する部品類は極めて簡単なものであるから、従来の自動音量制御装置のFFTのような高度の信号分析手段を用いるものと比較して極めて安価に製造することが出来るなど数多くの特徴を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の自動音量制御装置のブロック図である。
【図2】主観評価実験における被験者個人の結果を表示したグラフである。
【図3】主観評価実験における平均特性を表示したグラフである。
【図4】従来の自動音量制御装置のブロック図である。
【符号の説明】
1 入力端子
2 出力端子
3 A/D変換器
4 FIRフィルター
5 D/A変換器
6 高速フーリエ変換器
7 レベル検出器
8 利得算定手段
9 補聴器
10 フィルタ係数算定手段
11 マイクロフォン
12 増幅器
13 A/D変換器
14 FFT
15 レベル検出器
20 聴覚特性保持手段
21 比較期
100 音声信号分析手段
102 フィルタ手段
A 主観評価実験
I 増幅手段
II 信号/騒音レベル算出手段
III 制御量算出手段
IV(1)、IV(2) A/D(アナログ/ディジタル変換器)
V 利得制御手段
VI 信号源
VII マイク
VIII スピーカー

Claims (1)

  1. 信号源の信号と環境騒音のアナログ信号をディジタル信号に変換するA/D IV(1)およびIV(2)と、信号を増幅する増幅手段Iと、マイクで集音された周囲の騒音レベルと信号レベルを計算する信号/騒音レベル算出手段IIと、主観評価実験Aで得られた快適係数などの数値や信号/騒音レベル算出手段IIで得られた平均信号レベルや平均騒音レベルおよび快適信号レベル等の数値などをもとにして制御量の算出をする制御量算出手段IIIと、該制御量算出手段IIIからのデータを制御する利得制御手段Vを具備したことを特徴とする自動音量制御装置
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7756280B2 (en) 2005-11-25 2010-07-13 Hong Fu Jin Precision Industry (Shen Zhen) Co., Ltd. Audio processing system and method for automatically adjusting volume
US20100296659A1 (en) * 2008-01-25 2010-11-25 Kawasaki Jukogyo Kabushiki Kaisha Sound device and sound control device
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