JP2004297608A - 通話装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】容易に開発することができる通話装置を提供すること。
【解決手段】受信部2及び送信部3を用いた通話を許可する前に、スピーカ15から基準調整信号を音声にて出力し、当該出力に応じて送信部18から送信されるエコー信号の実効値が、所定の基準実効値未満となるように、調整部12にてプリアンプ8の増幅率を調整し、その後、通話を許可することを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】受信部2及び送信部3を用いた通話を許可する前に、スピーカ15から基準調整信号を音声にて出力し、当該出力に応じて送信部18から送信されるエコー信号の実効値が、所定の基準実効値未満となるように、調整部12にてプリアンプ8の増幅率を調整し、その後、通話を許可することを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、通話に際して、受話音に対応するエコー信号の除去が可能な通話装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、通話に際して、受話音がそのまま送話音として通話相手に伝わらないように、送話音から、受話音に対応するエコー信号を除去する通話装置が知られている(例えば特許文献1)。
【0003】
当該技術の概要を、図3に基づいて説明する。ここで、図3は、従来の技術を適用された通話装置の構成を示すブロック図である。
【0004】
図3に示すように、当該技術では、受話音信号をプリアンプ101、102及びパワーアンプ105が増幅した後スピーカ106が音声出力する。
【0005】
そして、マイク107が音声を取込音信号として取り込み、プリアンプ103が当該取込音信号を増幅する。
【0006】
そして、エコーキャンセラ108が、プリアンプ101にて増幅された受話音信号に基づいて、プリアンプ103にて増幅された取込音信号から、当該受話音信号に対応するエコー信号を除去する。
【0007】
そして、プリアンプ104が、当該エコー信号の除去された取込音信号を増幅し、当該増幅された送話音信号が通話相手に送信される。なお、プリアンプ101〜104、パワーアンプ105の増幅率(ゲイン)は一定である。
【0008】
ここで、通話装置が設置される環境が異なると、スピーカ106から同一の音声を出力しても、マイク107にて取り込まれる受話音の音量等が異なる。即ち、当該環境に応じて、エコーキャンセラ108による除去の対象となるエコー信号の強度等が異なる。
【0009】
そこで、従来は、エコーキャンセラ108が当該環境に応じてエコー信号を十分除去することができるように、通話装置の開発段階で、開発者等がプリアンプ101〜104の増幅率及びエコーキャンセラ108の内部設定を当該環境に応じて調整していた。
【0010】
なお、エコーキャンセラ108の内部設定としては、例えば、エコーキャンセラ108が備えるプリアンプの増幅率、フィルタの有無、ハウリング制御の有無、及びノイズキャンセラの有無等がある。そして、当該内部設定は、通話装置外部の制御装置109を用いて行われる。
【0011】
【特許文献1】
特開2000−49665号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この技術では、以下の問題点があった。
【0013】
即ち、開発者等が、当該環境に応じてプリアンプ101〜104の増幅率、及びエコーキャンセラ108の内部設定を調整する必要があったため、通話装置の開発に手間がかかっていた。特に、プリアンプ101〜104及びエコーキャンセラ108の製造に必要な部品の設定に手間がかかっていた。
【0014】
本発明はこのような従来の課題を解決するためになされるものであり、その主に目的とするところは、容易に開発することができる通話装置を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本願請求項1に記載の発明は、受話音信号を受信する受信手段と、受信手段にて受信された受話音信号と、当該受話音信号に対応する基準調整信号と、を音声にて出力する出力手段と、音を取込音信号として取り込む取込手段と、取込手段にて取り込まれた取込音信号を増幅して出力する取込側増幅手段と、取込側増幅手段の増幅率を調整する取込側調整手段と、取込側増幅手段にて出力された取込音信号を送信する送信手段と、出力手段にて出力される受話音信号及び基準調整信号に基づいて、取込側増幅手段にて出力された取込音信号から、当該受話音信号及び基準調整信号に対応するエコー信号を除去するエコーキャンセラと、を備え、出力手段から基準調整信号を出力し、当該出力に応じて送信手段から送信されるエコー信号の実効値が、所定の基準実効値未満となるように、取込側調整手段にて取込側増幅手段の増幅率を調整し、その後、出力手段による受話音信号の出力、及び送信手段による送信を共に許可することを特徴とする。
【0016】
請求項2記載の発明は、受話音信号を受信する受信手段と、受信手段にて受信された受話音信号と、当該受話音信号に対応する基準調整信号と、を音声にて出力する出力手段と、音を取込音信号として取り込む取込手段と、取込手段にて取り込まれた取込音信号を増幅して出力する取込側増幅手段と、取込側増幅手段の増幅率を調整する取込側調整手段と、取込側増幅手段にて出力された取込音信号を送信する送信手段と、出力手段にて出力される受話音信号及び基準調整信号に基づいて、取込側増幅手段にて出力された取込音信号から、当該受話音信号及び基準調整信号に対応するエコー信号を除去するエコーキャンセラと、送信手段から送信されるエコー信号の実効値を算出する算出手段と、出力手段から基準調整信号を出力し、当該出力に応じて送信手段から送信されるエコー信号の実効値が、所定の基準実効値未満となるように、取込側調整手段にて取込側増幅手段の増幅率を調整し、その後、出力手段による受話音信号の出力、及び送信手段による送信を共に許可すべく制御する制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0017】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の通話装置において、送信手段から送信される取込音信号を増幅する送信側増幅手段と、送信側増幅手段の増幅率を調整する送信側調整手段と、を備え、算出手段は、送信側増幅手段にて増幅されたエコー信号の実効値を算出し、制御手段は、算出手段にて算出された実効値が、基準実効値未満となるように、送信側調整手段にて、送信側増幅手段の増幅率を調整すべく制御することを特徴とする。
【0018】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の通話装置において、制御手段は、取込側調整手段にて取込側増幅手段の増幅率を小さくした場合には、送信側調整手段にて送信側増幅手段の増幅率を大きくすべく制御することを特徴とする。
【0019】
請求項5記載の発明は、請求項3または4に記載の通話装置において、エコーキャンセラは、取込側増幅手段にて出力された取込音信号を増幅する内部増幅手段と、内部増幅手段の増幅率を調整する内部調整手段と、を備え、当該内部増幅手段にて増幅された取込音信号からエコー信号を除去し、制御手段は、算出手段にて算出された実効値が、基準実効値未満となるように、内部調整手段にて、内部増幅手段の増幅率を調整すべく制御することを特徴とする。
【0020】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の通話装置において、制御手段は、取込側増幅手段の増幅率を小さくした場合には、内部増幅手段の増幅率を大きくした場合と、送信側増幅手段の増幅率を大きくした場合と、のそれぞれについて、算出手段にて実効値を算出し、取込側増幅手段の増幅率、内部増幅手段の増幅率、及び送信側増幅手段の増幅率を、当該算出された実効値が小さくなる方の増幅率に調整すべく制御することを特徴とする。
【0021】
請求項7記載の発明は、請求項2〜6の何れか1項に記載の通話装置において、受話音信号及び基準調整信号を増幅する第1の出力側増幅手段と、第1の出力側増幅手段の増幅率を調整する第1の出力側調整手段と、を備え、出力手段は、第1の出力側増幅手段にて増幅された受話音信号及び基準調整信号を出力し、制御手段は、算出手段にて算出された実効値が、基準実効値未満となるように、第1の出力側調整手段にて、第1の出力側増幅手段の増幅率を調整すべく制御することを特徴とする。
【0022】
請求項8記載の発明は、請求項7記載の通話装置において、第1の出力側増幅手段にて増幅された受話音信号及び基準調整信号を増幅する第2の出力側増幅手段と、第2の出力側増幅手段の増幅率を調整する第2の出力側調整手段と、を備え、エコーキャンセラは、第1の出力側増幅手段にて増幅された受話音信号及び基準調整信号に基づいて、エコー信号を除去し、出力手段は、第2の出力側増幅手段にて増幅された受話音信号及び基準調整信号を出力し、制御手段は、算出手段にて算出された実効値が、基準実効値未満となるように、第2の出力側調整手段にて、第2の出力側増幅手段の増幅率を調整すべく制御することを特徴とする。
【0023】
請求項9記載の発明は、請求項7または8記載の通話装置において、出力手段は、基準調整信号の他に、所定の音量調整信号を出力し、制御手段は、エコーキャンセラによるエコー信号の除去を停止し、且つ、出力手段から音量調整信号を出力し、当該音量調整信号の出力に応じて算出手段にて算出された実効値が、所定の基準音量値と同等となるように、第1の出力側増幅手段の増幅率及び第2の出力側増幅手段の増幅率を調整し、その後、エコーキャンセラによるエコー信号の除去を許可し、且つ、出力手段にて基準調整信号を出力すべく制御することを特徴とする。
【0024】
請求項10記載の発明は、請求項1〜9の何れか1項に記載の通話装置において、基準調整信号の周波数帯域は、聞き取り可能な音声に対応する周波数帯域を含むことを特徴とする。
【0025】
請求項11記載の発明は、請求項8〜10の何れか1項に記載の通話装置において、制御手段は、音量調整信号の出力に応じて算出された実効値が、基準音量値を超える場合には、第2の出力側増幅手段の増幅率を小さくし、当該実効値が、基準音量値未満となる場合には、第1の出力側増幅手段の増幅率を大きくするべく制御することを特徴とする。
【0026】
請求項12記載の発明は、請求項2〜11の何れか1項に記載の通話装置において、入力操作が可能な入力手段を備え、制御手段は、入力手段にて行われた入力操作に応じて、制御を行うことを特徴とする。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。まず、本実施の形態に係る通話装置1の構成及び各構成要素の主な機能を図1に基づいて説明する。
【0028】
通話装置1は、車両に搭載されるハンドフリー電話であり、受信部2と、発信回路3と、切換スイッチ4と、プリアンプ6〜9と、調整部10〜13と、パワーアンプ14と、スピーカ15と、マイク16と、エコーキャンセラ17と、送信部18と、rms(実効値)回路19と、入力部20と、制御部21を備える。
【0029】
受信部(受信手段)2は、通話に際して、通話相手から送信される受話音信号を受信して出力する。
【0030】
発信回路3は、制御部21による制御により、音量調整信号、及び基準調整信号のうち、何れかを出力する。
【0031】
音量調整信号はsin波であり、その周波数は1(kHz)である。また、基準調整信号は、受話音信号に対応する。具体的には、基準調整信号は、ホワイトノイズであり、その周波数帯域には、聞き取り可能な音声に対応する周波数帯域が含まれる。
【0032】
切換スイッチ4は、制御部21による制御により、調整部10と、受信部2及び発信回路3の何れか一方と、を接続する。
【0033】
調整部(第1の出力側調整手段)10は、受信部2及び発信回路3から与えられた信号を増幅してプリアンプ6に出力する。ここで、調整部10の増幅率は、制御部21により調整される。
【0034】
プリアンプ(第1の出力側増幅手段)6は、調整部10から与えられた信号を増幅してエコーキャンセラ17及び調整部11に出力する。
【0035】
ここで、プリアンプ6の増幅率は一定である。しかし、プリアンプ6は、調整部10にて増幅された信号を増幅するので、プリアンプ6の増幅率は、調整部10の増幅率が調整されることで、実質上調整される。
【0036】
即ち、調整部10は、制御部21による制御により、プリアンプ6の増幅率を調整する。
【0037】
調整部(第2の出力側調整手段)11は、プリアンプ6から与えられた信号を増幅してプリアンプ7に出力する。ここで、調整部11の増幅率は、制御部21により調整される。
【0038】
プリアンプ(第2の出力側増幅手段)7は、調整部11から与えられた信号を増幅してパワーアンプ14に出力する。
【0039】
ここで、プリアンプ7の増幅率は一定である。しかし、プリアンプ7は、調整部11にて増幅された信号を増幅するので、プリアンプ7の増幅率は、調整部11の増幅率が調整されることで、実質上調整される。
【0040】
即ち、調整部11は、制御部21による制御により、プリアンプ6の増幅率を調整する。
【0041】
パワーアンプ14は、プリアンプ7から与えられた信号を増幅してスピーカ15に出力する。
【0042】
スピーカ(出力手段)15は、パワーアンプ14から与えられた信号を音声にて出力する。
【0043】
マイク(取込手段)16は、音を取込音信号として取り込んで調整部12及び制御部21に出力する。
【0044】
調整部(取込側調整手段)12は、マイク16にて取り込まれた取込音信号を増幅してプリアンプ8に出力する。ここで、調整部12の増幅率は、制御部21により調整される。
【0045】
プリアンプ(取込側増幅手段)8は、調整部12から与えられた信号を増幅してエコーキャンセラ17に出力する。
【0046】
ここで、プリアンプ8の増幅率は一定である。しかし、プリアンプ8は、調整部12にて増幅された信号を増幅するので、プリアンプ8の増幅率は、調整部12の増幅率が調整されることで、実質上調整される。
【0047】
即ち、調整部12は、制御部21による制御により、プリアンプ8の増幅率を調整する。
【0048】
エコーキャンセラ17は、内部アンプ(内部増幅手段)171と、調整部(内部調整手段)172と、エコー除去部173を備える。
【0049】
内部アンプ171は、プリアンプ8から与えられた取込音信号を増幅して調整部13に出力する。
【0050】
調整部172は、制御部21による制御により、内部アンプ171の増幅率を調整する。
【0051】
エコー除去部173は、図示しないメモリを備え、プリアンプ6から与えられた信号を記憶する。
【0052】
そして、当該記憶された信号及び所定の演算手法に基づいて、内部アンプ171から出力された取込音信号から、当該記憶された信号に対応するエコー信号を除去する。
【0053】
したがって、内部アンプ171は、当該エコー信号が除去された取込音信号を調整部13に出力することとなる。
【0054】
調整部(送信側調整手段)13は、内部アンプ171から与えられた取込音信号を増幅してプリアンプ9に出力する。ここで、調整部13の増幅率は、制御部21により調整される。
【0055】
プリアンプ(送信側増幅手段)9は、調整部13から与えられた信号を増幅して送信部18及びrms回路19に出力する。
【0056】
ここで、プリアンプ9の増幅率は一定である。しかし、プリアンプ9は、調整部13にて増幅された信号を増幅するので、プリアンプ9の増幅率は、調整部13の増幅率が調整されることで、実質上調整される。
【0057】
即ち、調整部13は、制御部21による制御により、プリアンプ9の増幅率を調整する。
【0058】
送信部(送信手段)18は、制御部21により送信を許可された後、プリアンプ9から与えられた取込音信号を送信する。
【0059】
rms回路(算出手段)19は、プリアンプ9から与えられた取込音信号に含まれるエコー信号、即ち送信部18から送信されるエコー信号の実効値を算出し、当該算出された実効値に関する実効値信号を生成して制御部21に出力する。
【0060】
入力部20は、例えば車両のインストルメントパネル上に設置され、入力操作に応じて調整要求信号を生成して制御部21に出力する。
【0061】
制御部21は、図示しないメモリを備え、当該メモリには基準音量値情報及び基準実効値情報が記憶される。
【0062】
ここで、基準音量値は、聞き取り可能な音声に対応する音量値程度となり、予め設定される。また、基準実効値は、当該基準実効値に対応するエコー信号の強度と、マイク16にて取り込まれた取込音信号に含まれるエコー信号との比が、所定値(例えば、−15(dB)程度)となるように、制御部21により設定される。
【0063】
また、発信回路3、切換スイッチ4、及びエコーキャンセラ17の制御、調整部10〜13の増幅率を調整する制御、及び送信部18による送信を許可する制御等を行う。
【0064】
なお、上述した調整部10〜13、及び内部アンプ171の増幅率は、初期状態では、所定の基準増幅率に設定される。
【0065】
次に、通話装置1による処理の手順を図2に示すフローチャートに沿って説明する。
【0066】
ステップS1にて、入力部20にて入力操作が行われると、入力部20は、調整要求信号を生成して制御部21に出力する。
【0067】
次いで、制御部21は、入力部20から調整要求信号が与えられた後、以下に述べる処理を行う。
【0068】
即ち、まず、制御部21は、切換スイッチ4にて発信回路3と調整部10とを接続する。
【0069】
次いで、制御部21は、エコー除去部173によるエコー信号の除去を停止し、且つ発信回路3にて音量調整信号を出力する。
【0070】
次いで、プリアンプ6〜7、調整部10〜11、及びパワーアンプ14が当該出力された音量調整信号を増幅し、スピーカ15が当該増幅された音量調整信号を音声にて出力する。
【0071】
次いで、マイク16が、当該音声出力された音量調整信号を含む音を取込音信号として取り込み、プリアンプ8〜9、調整部12〜13、及び内部アンプ171が当該取込音信号を増幅し、プリアンプ9が当該増幅された取込音信号をrms回路19及び送信部18に出力する。
【0072】
次いで、rms回路19は、プリアンプ9から与えられた取込音信号に含まれるエコー信号の実効値を算出し、当該算出された実効値に関する実効値情報を生成して制御部21に出力する。
【0073】
次いで、制御部21は、rms回路19から実効値情報を与えられた際に、メモリから基準音量値情報を取得し、これらの情報に基づいて、当該実効値情報による実効値が、基準音量値情報による基準音量値と同等かどうかを判定する。
【0074】
この結果、実効値が基準音量値を超える場合、調整部11の増幅率、即ちプリアンプ7の増幅率を小さくし、実効値が基準音量値未満の場合には、調整部10の増幅率、即ちプリアンプ6の増幅率を大きくする。
【0075】
次いで、制御部21は、当該実効値が基準音量値と同等となるまで、上述した音量調整処理を繰り返す。
【0076】
次いで、ステップS2にて、制御部21は、エコー測定処理を行う。
【0077】
即ち、まず、制御部21は、エコー除去部173によるエコー信号の除去を許可し、且つ、発信回路3にて基準調整信号を出力する。
【0078】
これにより、プリアンプ6が当該出力された基準調整信号を増幅してエコー除去部173及び調整部11に出力する。
【0079】
次いで、調整部11、プリアンプ7、及びパワーアンプ14が当該プリアンプ7に与えられた基準調整信号を増幅し、スピーカ15が当該増幅された準調整信号を音声にて出力する。一方、エコー除去部173は、プリアンプ6から与えられた基準調整信号をメモリに記憶する。
【0080】
次いで、マイク16が、当該音声出力された基準調整信号を含む音を取込音信号として取り込み、当該取込音信号を制御部21及びプリアンプ8に出力する。次いで、プリアンプ8、調整部12、及び内部アンプ171は、当該プリアンプ8に与えられた取込音信号を増幅して調整部13に出力する。
【0081】
次いで、エコー除去部173が、メモリに記憶された基準調整信号及び所定の演算手法に基づいて、当該調整部13に出力された取込音信号から、当該基準調整信号に対応するエコー信号を除去する。したがって、調整部13には、エコー信号が除去された取込音信号が与えられる。
【0082】
一方、制御部21は、マイク16から与えられた取込音信号に基づいて、基準実効値を算出し、当該基準実効値に関する基準実効値情報を生成して当該制御部21のメモリに記憶する。
【0083】
次いで、調整部13及びプリアンプ9が、当該調整部13に与えられた取込音信号を増幅してrms回路19及び送信部18に出力する。
【0084】
次いで、rms回路19は、プリアンプ9から与えられた取込音信号に含まれるエコー信号の実効値を算出し、当該算出された実効値に関する実効値情報を生成して制御部21に出力する。
【0085】
ステップS3にて、制御部21は、rms回路19から実効値情報を与えられた際に、メモリから基準実効値情報を取得し、これらの情報に基づいて、当該実効値情報による実効値が、基準実効値情報による基準実効値未満となるかどうかを判定する。
【0086】
この結果、実効値が基準実効値未満となる場合には、ステップS4に進み、基準実効値以上となる場合(ステップS3にてNO)には、ステップS5に進む。
【0087】
ステップS4にて、制御部21は、調整部10〜13及び内部アンプ171の増幅率を現在の増幅率に維持した状態で、切換スイッチ4にて受信部2と調整部10を接続する。
【0088】
これにより、受信部2にて受信された受話音信号は、調整部10〜11、プリアンプ6〜7、及びパワーアンプ14にて増幅された後、スピーカ15にて出力される。即ち、制御部21は、スピーカ15による受話音信号の出力を許可する。
【0089】
また、制御部21は、送信部18による送信を許可する。即ち、通話を許可する。その後、通話装置1は、本処理を終了する。
【0090】
これにより、受信部2が受話音信号を受信した場合には、当該受話音信号が増幅された後にスピーカ15から音声出力される。そして、当該音声出力に応じてマイク16にて取り込まれた取込音信号は、増幅され、且つエコー信号が除去された後に送信部18にて送信される。ここで、基準調整信号は受話音信号に対応しているため、マイク16が受話音信号に対応するエコー信号を取り込んだ場合であっても、送信部18から送信されるエコー信号の実効値は低くなる。即ち、通話が許可された後は、通話装置1は、エコーキャンセラ17による機能が十分発揮できる状態となっている。
【0091】
一方、ステップS3にて実効値が基準実効値以上となる場合、ステップS5にて、以下の増幅率調整処理を行う。
【0092】
即ち、制御部21は、調整部12の増幅率、即ちプリアンプ8の増幅率を所定量小さくし、且つ、調整部13の増幅率、即ちプリアンプ9の増幅率を当該所定量大きくする。
【0093】
次いで、制御部21は、上述したエコー測定処理を行い、当該エコー測定処理により取得した基準実効値情報をメモリに記憶すると共に、当該エコー測定処理取得した実効値情報を第1の実効値情報としてメモリに記憶する。
【0094】
次いで、制御部21は、調整部13の増幅率を上述した所定量小さくし、且つ内部アンプ171の増幅率を当該所定量大きくする。
【0095】
次いで、制御部21は、上述したエコー測定処理を行い、これにより得られた実効値情報を第2の実効値情報としてメモリに記憶する。
【0096】
次いで、制御部21は、メモリから第1〜第2の実効値情報とを取得し、当該取得された第1〜第2の実効値情報から、実効値が小さい方の実効値情報を選択する。
【0097】
次いで、制御部21は、当該選択された実効値情報が第2の実効値情報である場合には、調整部10〜13及び内部アンプ171の増幅率をそのままの状態に維持する。一方、選択された実効値情報が第1の実効値情報である場合には、調整部10〜13及び内部アンプ171の増幅率を、第1の実効値情報を取得した際の増幅率に調整する。
【0098】
次いで、ステップS6にて、制御部21は、当該選択された実効値情報による実効値と、メモリに記憶される基準音量値情報による基準実効値とを比較する。
【0099】
この結果、当該実効値が基準実効値未満となった場合には、ステップS4に進み、基準実効値以上の場合には、ステップS5に進む。
【0100】
以上により、本実施の形態では、通話装置1は、マイク16にて取り込まれるエコー信号の振幅が、通話装置1が設置される環境(当該環境は、例えば、車両の種類、及び車室内の状況に応じて異なる)に応じて異なっても、受信部2及び送信部3を用いた通話を許可する前にプリアンプ8の増幅率を調整して、通話に際して送信されるエコー信号の実効値を低くした後、当該通話を許可することができる(ステップS1〜ステップS6参照)。即ち、通話装置1が設置される環境に応じてプリアンプ8の増幅率を調整し、エコーキャンセラ17の機能を十分発揮できる状態となった後に、通話を許可することができる。
【0101】
これにより、開発者等は、通話装置1の開発段階で、プリアンプ8の増幅率を、通話装置1が設置される環境に応じて調整する必要がない。即ち、当該プリアンプ8の製造に必要な部品を、当該環境に応じて設定する必要がない。
【0102】
したがって、通話装置1の開発を容易に行うことができる。また、通話装置1の製造に際しても、当該部品を当該環境に応じて用意する必要がないので、通話装置1を容易に製造することができる。
【0103】
さらに、通話装置1が実際に車両に搭載された後であっても、車室内環境(例えば、車室内に荷物があるかどうか)に応じて、エコーキャンセラ17の機能を十分発揮することができるように、当該増幅率を調整することができる。
【0104】
また、通話装置1は、エコー信号の実効値が基準実効値未満となるように、プリアンプ8の他に、プリアンプ9及び内部アンプ171の増幅率も調整することができる。
【0105】
これにより、通話装置1が設置される環境が、プリアンプ8の増幅率の調整のみでは対応できない環境であっても、当該エコー信号の実効値を低くすることができる。
【0106】
また、開発者等は、通話装置1の開発段階で、プリアンプ9及び内部アンプ171の増幅率を通話装置1が設置される環境に応じて調整する必要がない。即ち、当該プリアンプ9及び内部アンプ171の製造に必要な部品を、当該環境に応じて設定する必要がない。
【0107】
したがって、通話装置1の開発を容易に行うことができる。また、通話装置1の製造に際しても、当該部品を当該環境に応じて用意する必要がないので、通話装置1を容易に製造することができる。
【0108】
また、通話装置1は、プリアンプ8の増幅率を小さくした場合には、プリアンプ9または内部アンプ171の増幅率を大きくする(ステップS5参照)。したがって、プリアンプ8が小さい増幅率にて取込音信号を増幅した場合であっても、プリアンプ9または内部アンプ171は、大きな増幅率にて当該取込音信号を増幅することができる。即ち、送信部18にて送信される取込音信号の振幅を大きくすることができる。これにより、送信部18は、プリアンプ8の増幅率が小さい場合であっても、振幅の大きい取込音信号を送信することができる。
【0109】
また、エコー除去部173は、内部アンプ171にて増幅された取込音信号からエコー信号を除去するので、より正確且つ確実にエコー信号を除去することができる。
【0110】
また、通話装置1は、プリアンプ8の増幅率を小さくした場合には、内部アンプ171の増幅率を大きくした場合と、プリアンプ9の増幅率を大きくした場合と、のそれぞれについて、実効値を算出し、プリアンプ8〜9及び内部アンプ171の増幅率を、当該算出された実効値が小さくなる方の増幅率に調整する。これにより、送信部18にて送信されるエコー信号の実効値をより低くすることができる。
【0111】
また、エコー除去部173は、プリアンプ6にて増幅された信号に基づいて、エコー信号を除去するので、エコー信号をより正確且つ確実に除去することができる。
【0112】
また、基準調整信号の周波数帯域は、聞き取り可能な音声に対応する周波数帯域を含むので、通話装置1は、通話を許可した後に送信されるエコー信号の実効値をより確実に小さくすることができる。
【0113】
また、通話装置1は、ステップS2〜ステップS6の処理を行う前に、エコー除去部173によるエコー除去を停止し、且つ、スピーカ15から音量調整信号を音声にて出力する。そして、当該出力に応じて算出された実効値が、所定の基準音量値と同等となるように、調整部10〜11にて、プリアンプ6〜7の増幅率を調整する(ステップS1参照)。
【0114】
即ち、通話装置1は、スピーカ15から出力される信号の音量をある程度大きくした状態で、ステップS2〜ステップS6の処理を行うことができる。
【0115】
したがって、通話装置1は、通話を許可した後は、スピーカ15からある程度大きい音量の受話音信号を出力することができると共に、当該出力に応じて送信されるエコー信号の実効値を小さくすることができる。
【0116】
また、開発者等は、通話装置1の開発段階で当該音量の調整を行いたい場合であっても、プリアンプ6〜7の増幅率を通話装置1が設置される環境に応じて調整する必要がない。即ち、当該プリアンプ9及び内部アンプ171の製造に必要な部品を、当該環境に応じて設定する必要がない。
【0117】
したがって、通話装置1の開発を容易に行うことができる。また、通話装置1の製造に際しても、当該部品を当該環境に応じて用意する必要がないので、通話装置1を容易に製造することができる。
【0118】
また、通話装置1は、ステップS1にて、音量調整信号の出力に応じて算出された実効値が、基準音量値を超える場合には、プリアンプ7の増幅率を小さくし、当該実効値が、基準音量値未満となる場合には、プリアンプ6の増幅率を大きくする。
【0119】
したがって、通話装置1は、スピーカ15から音声出力される信号の音量が大きい場合であっても、エコー除去部173に与えられる信号の振幅を維持した状態で、当該音量を小さくすることができ、当該音量が小さい場合には、エコー除去部173に与えられる信号の振幅及び当該音量を大きくすることができる。したがって、何れの場合であっても、音量を適切に調整することができる。また、何れの場合であっても、エコー除去部173に与えられる信号の振幅が小さくなることがないので、エコー除去部173によるエコー信号の除去に影響は生じない。
【0120】
また、通話装置1は、入力操作にて入力操作が行われた際に、ステップS1〜ステップS6の処理を行うので、当該処理を入力操作に応じていつでも行うことができる。
【0121】
したがって、通話装置1が搭載された車両の環境が変化した際(例えば、車室内に荷物を何も積んでしていない状態から、荷物を積んだ状態に変化した際)には、入力部20にて入力操作を行うことで、当該変化後の状態に応じてエコーキャンセラ17が十分機能するように、プリアンプ6〜9及び内部アンプ171の増幅率を調整することができる。
【0122】
なお、本実施の形態では、通話装置1を車両に搭載されるハンドフリー電話に適用することとしたが、他の種類の電話に適用することができるのは勿論である。
【0123】
また、通話装置1では、エコー信号の実効値が基準実効値未満となるように、プリアンプ8〜9及び内部アンプ171の増幅率を調整することとしたが、プリアンプ6〜7の増幅率も調整しても良い。
【0124】
この場合、通話装置1は、エコー信号の実効値が基準実効値未満となるように、より多くのプリアンプについて増幅率を調整することができる。したがって、通話装置1が設置される環境が、プリアンプ8〜9及び内部アンプ171の増幅率の調整のみでは対応できない環境であっても、当該エコー信号の実効値を低くすることができる。
【0125】
また、調整部10〜13にてプリアンプ6〜9の増幅率を調整することとしたが、プリアンプ6〜9の内部抵抗を可変抵抗にし、当該抵抗の値を制御部21にて変更することで、プリアンプ6〜9自体の増幅率を調整するようにしても良い。
【0126】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、開発者等は、通話装置の開発段階で、取込側増幅手段の増幅率を通話装置が設置される環境に応じて調整する必要がない。即ち、当該取込側増幅手段の製造に必要な部品を、当該環境に応じて設定する必要がない。
【0127】
したがって、通話装置の開発を容易に行うことができる。また、通話装置の製造に際しても、当該部品を当該環境に応じて用意する必要がないので、通話装置を容易に製造することができる。
【0128】
さらに、通話装置が実際に車両に搭載された後であっても、車室内環境(例えば、車室内に荷物があるかどうか)に応じて、エコー信号の実効値を低くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る通話装置の構成を示したブロック図である。
【図2】通話装置による処理の手順を示したフローチャートである。
【図3】従来の通話装置の構成を示したブロック図である。
【符号の説明】
1…通話装置
2…受信部
3…発信回路
4…切換スイッチ
6〜9…プリアンプ
10〜13…調整部
14…パワーアンプ
15…スピーカ
16…マイク
17…エコーキャンセラ
171…内部アンプ
172…調整部
173…エコー除去部
18…送信部
19…rms回路
20…入力部
21…制御部
【発明の属する技術分野】
本発明は、通話に際して、受話音に対応するエコー信号の除去が可能な通話装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、通話に際して、受話音がそのまま送話音として通話相手に伝わらないように、送話音から、受話音に対応するエコー信号を除去する通話装置が知られている(例えば特許文献1)。
【0003】
当該技術の概要を、図3に基づいて説明する。ここで、図3は、従来の技術を適用された通話装置の構成を示すブロック図である。
【0004】
図3に示すように、当該技術では、受話音信号をプリアンプ101、102及びパワーアンプ105が増幅した後スピーカ106が音声出力する。
【0005】
そして、マイク107が音声を取込音信号として取り込み、プリアンプ103が当該取込音信号を増幅する。
【0006】
そして、エコーキャンセラ108が、プリアンプ101にて増幅された受話音信号に基づいて、プリアンプ103にて増幅された取込音信号から、当該受話音信号に対応するエコー信号を除去する。
【0007】
そして、プリアンプ104が、当該エコー信号の除去された取込音信号を増幅し、当該増幅された送話音信号が通話相手に送信される。なお、プリアンプ101〜104、パワーアンプ105の増幅率(ゲイン)は一定である。
【0008】
ここで、通話装置が設置される環境が異なると、スピーカ106から同一の音声を出力しても、マイク107にて取り込まれる受話音の音量等が異なる。即ち、当該環境に応じて、エコーキャンセラ108による除去の対象となるエコー信号の強度等が異なる。
【0009】
そこで、従来は、エコーキャンセラ108が当該環境に応じてエコー信号を十分除去することができるように、通話装置の開発段階で、開発者等がプリアンプ101〜104の増幅率及びエコーキャンセラ108の内部設定を当該環境に応じて調整していた。
【0010】
なお、エコーキャンセラ108の内部設定としては、例えば、エコーキャンセラ108が備えるプリアンプの増幅率、フィルタの有無、ハウリング制御の有無、及びノイズキャンセラの有無等がある。そして、当該内部設定は、通話装置外部の制御装置109を用いて行われる。
【0011】
【特許文献1】
特開2000−49665号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この技術では、以下の問題点があった。
【0013】
即ち、開発者等が、当該環境に応じてプリアンプ101〜104の増幅率、及びエコーキャンセラ108の内部設定を調整する必要があったため、通話装置の開発に手間がかかっていた。特に、プリアンプ101〜104及びエコーキャンセラ108の製造に必要な部品の設定に手間がかかっていた。
【0014】
本発明はこのような従来の課題を解決するためになされるものであり、その主に目的とするところは、容易に開発することができる通話装置を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本願請求項1に記載の発明は、受話音信号を受信する受信手段と、受信手段にて受信された受話音信号と、当該受話音信号に対応する基準調整信号と、を音声にて出力する出力手段と、音を取込音信号として取り込む取込手段と、取込手段にて取り込まれた取込音信号を増幅して出力する取込側増幅手段と、取込側増幅手段の増幅率を調整する取込側調整手段と、取込側増幅手段にて出力された取込音信号を送信する送信手段と、出力手段にて出力される受話音信号及び基準調整信号に基づいて、取込側増幅手段にて出力された取込音信号から、当該受話音信号及び基準調整信号に対応するエコー信号を除去するエコーキャンセラと、を備え、出力手段から基準調整信号を出力し、当該出力に応じて送信手段から送信されるエコー信号の実効値が、所定の基準実効値未満となるように、取込側調整手段にて取込側増幅手段の増幅率を調整し、その後、出力手段による受話音信号の出力、及び送信手段による送信を共に許可することを特徴とする。
【0016】
請求項2記載の発明は、受話音信号を受信する受信手段と、受信手段にて受信された受話音信号と、当該受話音信号に対応する基準調整信号と、を音声にて出力する出力手段と、音を取込音信号として取り込む取込手段と、取込手段にて取り込まれた取込音信号を増幅して出力する取込側増幅手段と、取込側増幅手段の増幅率を調整する取込側調整手段と、取込側増幅手段にて出力された取込音信号を送信する送信手段と、出力手段にて出力される受話音信号及び基準調整信号に基づいて、取込側増幅手段にて出力された取込音信号から、当該受話音信号及び基準調整信号に対応するエコー信号を除去するエコーキャンセラと、送信手段から送信されるエコー信号の実効値を算出する算出手段と、出力手段から基準調整信号を出力し、当該出力に応じて送信手段から送信されるエコー信号の実効値が、所定の基準実効値未満となるように、取込側調整手段にて取込側増幅手段の増幅率を調整し、その後、出力手段による受話音信号の出力、及び送信手段による送信を共に許可すべく制御する制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0017】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の通話装置において、送信手段から送信される取込音信号を増幅する送信側増幅手段と、送信側増幅手段の増幅率を調整する送信側調整手段と、を備え、算出手段は、送信側増幅手段にて増幅されたエコー信号の実効値を算出し、制御手段は、算出手段にて算出された実効値が、基準実効値未満となるように、送信側調整手段にて、送信側増幅手段の増幅率を調整すべく制御することを特徴とする。
【0018】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の通話装置において、制御手段は、取込側調整手段にて取込側増幅手段の増幅率を小さくした場合には、送信側調整手段にて送信側増幅手段の増幅率を大きくすべく制御することを特徴とする。
【0019】
請求項5記載の発明は、請求項3または4に記載の通話装置において、エコーキャンセラは、取込側増幅手段にて出力された取込音信号を増幅する内部増幅手段と、内部増幅手段の増幅率を調整する内部調整手段と、を備え、当該内部増幅手段にて増幅された取込音信号からエコー信号を除去し、制御手段は、算出手段にて算出された実効値が、基準実効値未満となるように、内部調整手段にて、内部増幅手段の増幅率を調整すべく制御することを特徴とする。
【0020】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の通話装置において、制御手段は、取込側増幅手段の増幅率を小さくした場合には、内部増幅手段の増幅率を大きくした場合と、送信側増幅手段の増幅率を大きくした場合と、のそれぞれについて、算出手段にて実効値を算出し、取込側増幅手段の増幅率、内部増幅手段の増幅率、及び送信側増幅手段の増幅率を、当該算出された実効値が小さくなる方の増幅率に調整すべく制御することを特徴とする。
【0021】
請求項7記載の発明は、請求項2〜6の何れか1項に記載の通話装置において、受話音信号及び基準調整信号を増幅する第1の出力側増幅手段と、第1の出力側増幅手段の増幅率を調整する第1の出力側調整手段と、を備え、出力手段は、第1の出力側増幅手段にて増幅された受話音信号及び基準調整信号を出力し、制御手段は、算出手段にて算出された実効値が、基準実効値未満となるように、第1の出力側調整手段にて、第1の出力側増幅手段の増幅率を調整すべく制御することを特徴とする。
【0022】
請求項8記載の発明は、請求項7記載の通話装置において、第1の出力側増幅手段にて増幅された受話音信号及び基準調整信号を増幅する第2の出力側増幅手段と、第2の出力側増幅手段の増幅率を調整する第2の出力側調整手段と、を備え、エコーキャンセラは、第1の出力側増幅手段にて増幅された受話音信号及び基準調整信号に基づいて、エコー信号を除去し、出力手段は、第2の出力側増幅手段にて増幅された受話音信号及び基準調整信号を出力し、制御手段は、算出手段にて算出された実効値が、基準実効値未満となるように、第2の出力側調整手段にて、第2の出力側増幅手段の増幅率を調整すべく制御することを特徴とする。
【0023】
請求項9記載の発明は、請求項7または8記載の通話装置において、出力手段は、基準調整信号の他に、所定の音量調整信号を出力し、制御手段は、エコーキャンセラによるエコー信号の除去を停止し、且つ、出力手段から音量調整信号を出力し、当該音量調整信号の出力に応じて算出手段にて算出された実効値が、所定の基準音量値と同等となるように、第1の出力側増幅手段の増幅率及び第2の出力側増幅手段の増幅率を調整し、その後、エコーキャンセラによるエコー信号の除去を許可し、且つ、出力手段にて基準調整信号を出力すべく制御することを特徴とする。
【0024】
請求項10記載の発明は、請求項1〜9の何れか1項に記載の通話装置において、基準調整信号の周波数帯域は、聞き取り可能な音声に対応する周波数帯域を含むことを特徴とする。
【0025】
請求項11記載の発明は、請求項8〜10の何れか1項に記載の通話装置において、制御手段は、音量調整信号の出力に応じて算出された実効値が、基準音量値を超える場合には、第2の出力側増幅手段の増幅率を小さくし、当該実効値が、基準音量値未満となる場合には、第1の出力側増幅手段の増幅率を大きくするべく制御することを特徴とする。
【0026】
請求項12記載の発明は、請求項2〜11の何れか1項に記載の通話装置において、入力操作が可能な入力手段を備え、制御手段は、入力手段にて行われた入力操作に応じて、制御を行うことを特徴とする。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。まず、本実施の形態に係る通話装置1の構成及び各構成要素の主な機能を図1に基づいて説明する。
【0028】
通話装置1は、車両に搭載されるハンドフリー電話であり、受信部2と、発信回路3と、切換スイッチ4と、プリアンプ6〜9と、調整部10〜13と、パワーアンプ14と、スピーカ15と、マイク16と、エコーキャンセラ17と、送信部18と、rms(実効値)回路19と、入力部20と、制御部21を備える。
【0029】
受信部(受信手段)2は、通話に際して、通話相手から送信される受話音信号を受信して出力する。
【0030】
発信回路3は、制御部21による制御により、音量調整信号、及び基準調整信号のうち、何れかを出力する。
【0031】
音量調整信号はsin波であり、その周波数は1(kHz)である。また、基準調整信号は、受話音信号に対応する。具体的には、基準調整信号は、ホワイトノイズであり、その周波数帯域には、聞き取り可能な音声に対応する周波数帯域が含まれる。
【0032】
切換スイッチ4は、制御部21による制御により、調整部10と、受信部2及び発信回路3の何れか一方と、を接続する。
【0033】
調整部(第1の出力側調整手段)10は、受信部2及び発信回路3から与えられた信号を増幅してプリアンプ6に出力する。ここで、調整部10の増幅率は、制御部21により調整される。
【0034】
プリアンプ(第1の出力側増幅手段)6は、調整部10から与えられた信号を増幅してエコーキャンセラ17及び調整部11に出力する。
【0035】
ここで、プリアンプ6の増幅率は一定である。しかし、プリアンプ6は、調整部10にて増幅された信号を増幅するので、プリアンプ6の増幅率は、調整部10の増幅率が調整されることで、実質上調整される。
【0036】
即ち、調整部10は、制御部21による制御により、プリアンプ6の増幅率を調整する。
【0037】
調整部(第2の出力側調整手段)11は、プリアンプ6から与えられた信号を増幅してプリアンプ7に出力する。ここで、調整部11の増幅率は、制御部21により調整される。
【0038】
プリアンプ(第2の出力側増幅手段)7は、調整部11から与えられた信号を増幅してパワーアンプ14に出力する。
【0039】
ここで、プリアンプ7の増幅率は一定である。しかし、プリアンプ7は、調整部11にて増幅された信号を増幅するので、プリアンプ7の増幅率は、調整部11の増幅率が調整されることで、実質上調整される。
【0040】
即ち、調整部11は、制御部21による制御により、プリアンプ6の増幅率を調整する。
【0041】
パワーアンプ14は、プリアンプ7から与えられた信号を増幅してスピーカ15に出力する。
【0042】
スピーカ(出力手段)15は、パワーアンプ14から与えられた信号を音声にて出力する。
【0043】
マイク(取込手段)16は、音を取込音信号として取り込んで調整部12及び制御部21に出力する。
【0044】
調整部(取込側調整手段)12は、マイク16にて取り込まれた取込音信号を増幅してプリアンプ8に出力する。ここで、調整部12の増幅率は、制御部21により調整される。
【0045】
プリアンプ(取込側増幅手段)8は、調整部12から与えられた信号を増幅してエコーキャンセラ17に出力する。
【0046】
ここで、プリアンプ8の増幅率は一定である。しかし、プリアンプ8は、調整部12にて増幅された信号を増幅するので、プリアンプ8の増幅率は、調整部12の増幅率が調整されることで、実質上調整される。
【0047】
即ち、調整部12は、制御部21による制御により、プリアンプ8の増幅率を調整する。
【0048】
エコーキャンセラ17は、内部アンプ(内部増幅手段)171と、調整部(内部調整手段)172と、エコー除去部173を備える。
【0049】
内部アンプ171は、プリアンプ8から与えられた取込音信号を増幅して調整部13に出力する。
【0050】
調整部172は、制御部21による制御により、内部アンプ171の増幅率を調整する。
【0051】
エコー除去部173は、図示しないメモリを備え、プリアンプ6から与えられた信号を記憶する。
【0052】
そして、当該記憶された信号及び所定の演算手法に基づいて、内部アンプ171から出力された取込音信号から、当該記憶された信号に対応するエコー信号を除去する。
【0053】
したがって、内部アンプ171は、当該エコー信号が除去された取込音信号を調整部13に出力することとなる。
【0054】
調整部(送信側調整手段)13は、内部アンプ171から与えられた取込音信号を増幅してプリアンプ9に出力する。ここで、調整部13の増幅率は、制御部21により調整される。
【0055】
プリアンプ(送信側増幅手段)9は、調整部13から与えられた信号を増幅して送信部18及びrms回路19に出力する。
【0056】
ここで、プリアンプ9の増幅率は一定である。しかし、プリアンプ9は、調整部13にて増幅された信号を増幅するので、プリアンプ9の増幅率は、調整部13の増幅率が調整されることで、実質上調整される。
【0057】
即ち、調整部13は、制御部21による制御により、プリアンプ9の増幅率を調整する。
【0058】
送信部(送信手段)18は、制御部21により送信を許可された後、プリアンプ9から与えられた取込音信号を送信する。
【0059】
rms回路(算出手段)19は、プリアンプ9から与えられた取込音信号に含まれるエコー信号、即ち送信部18から送信されるエコー信号の実効値を算出し、当該算出された実効値に関する実効値信号を生成して制御部21に出力する。
【0060】
入力部20は、例えば車両のインストルメントパネル上に設置され、入力操作に応じて調整要求信号を生成して制御部21に出力する。
【0061】
制御部21は、図示しないメモリを備え、当該メモリには基準音量値情報及び基準実効値情報が記憶される。
【0062】
ここで、基準音量値は、聞き取り可能な音声に対応する音量値程度となり、予め設定される。また、基準実効値は、当該基準実効値に対応するエコー信号の強度と、マイク16にて取り込まれた取込音信号に含まれるエコー信号との比が、所定値(例えば、−15(dB)程度)となるように、制御部21により設定される。
【0063】
また、発信回路3、切換スイッチ4、及びエコーキャンセラ17の制御、調整部10〜13の増幅率を調整する制御、及び送信部18による送信を許可する制御等を行う。
【0064】
なお、上述した調整部10〜13、及び内部アンプ171の増幅率は、初期状態では、所定の基準増幅率に設定される。
【0065】
次に、通話装置1による処理の手順を図2に示すフローチャートに沿って説明する。
【0066】
ステップS1にて、入力部20にて入力操作が行われると、入力部20は、調整要求信号を生成して制御部21に出力する。
【0067】
次いで、制御部21は、入力部20から調整要求信号が与えられた後、以下に述べる処理を行う。
【0068】
即ち、まず、制御部21は、切換スイッチ4にて発信回路3と調整部10とを接続する。
【0069】
次いで、制御部21は、エコー除去部173によるエコー信号の除去を停止し、且つ発信回路3にて音量調整信号を出力する。
【0070】
次いで、プリアンプ6〜7、調整部10〜11、及びパワーアンプ14が当該出力された音量調整信号を増幅し、スピーカ15が当該増幅された音量調整信号を音声にて出力する。
【0071】
次いで、マイク16が、当該音声出力された音量調整信号を含む音を取込音信号として取り込み、プリアンプ8〜9、調整部12〜13、及び内部アンプ171が当該取込音信号を増幅し、プリアンプ9が当該増幅された取込音信号をrms回路19及び送信部18に出力する。
【0072】
次いで、rms回路19は、プリアンプ9から与えられた取込音信号に含まれるエコー信号の実効値を算出し、当該算出された実効値に関する実効値情報を生成して制御部21に出力する。
【0073】
次いで、制御部21は、rms回路19から実効値情報を与えられた際に、メモリから基準音量値情報を取得し、これらの情報に基づいて、当該実効値情報による実効値が、基準音量値情報による基準音量値と同等かどうかを判定する。
【0074】
この結果、実効値が基準音量値を超える場合、調整部11の増幅率、即ちプリアンプ7の増幅率を小さくし、実効値が基準音量値未満の場合には、調整部10の増幅率、即ちプリアンプ6の増幅率を大きくする。
【0075】
次いで、制御部21は、当該実効値が基準音量値と同等となるまで、上述した音量調整処理を繰り返す。
【0076】
次いで、ステップS2にて、制御部21は、エコー測定処理を行う。
【0077】
即ち、まず、制御部21は、エコー除去部173によるエコー信号の除去を許可し、且つ、発信回路3にて基準調整信号を出力する。
【0078】
これにより、プリアンプ6が当該出力された基準調整信号を増幅してエコー除去部173及び調整部11に出力する。
【0079】
次いで、調整部11、プリアンプ7、及びパワーアンプ14が当該プリアンプ7に与えられた基準調整信号を増幅し、スピーカ15が当該増幅された準調整信号を音声にて出力する。一方、エコー除去部173は、プリアンプ6から与えられた基準調整信号をメモリに記憶する。
【0080】
次いで、マイク16が、当該音声出力された基準調整信号を含む音を取込音信号として取り込み、当該取込音信号を制御部21及びプリアンプ8に出力する。次いで、プリアンプ8、調整部12、及び内部アンプ171は、当該プリアンプ8に与えられた取込音信号を増幅して調整部13に出力する。
【0081】
次いで、エコー除去部173が、メモリに記憶された基準調整信号及び所定の演算手法に基づいて、当該調整部13に出力された取込音信号から、当該基準調整信号に対応するエコー信号を除去する。したがって、調整部13には、エコー信号が除去された取込音信号が与えられる。
【0082】
一方、制御部21は、マイク16から与えられた取込音信号に基づいて、基準実効値を算出し、当該基準実効値に関する基準実効値情報を生成して当該制御部21のメモリに記憶する。
【0083】
次いで、調整部13及びプリアンプ9が、当該調整部13に与えられた取込音信号を増幅してrms回路19及び送信部18に出力する。
【0084】
次いで、rms回路19は、プリアンプ9から与えられた取込音信号に含まれるエコー信号の実効値を算出し、当該算出された実効値に関する実効値情報を生成して制御部21に出力する。
【0085】
ステップS3にて、制御部21は、rms回路19から実効値情報を与えられた際に、メモリから基準実効値情報を取得し、これらの情報に基づいて、当該実効値情報による実効値が、基準実効値情報による基準実効値未満となるかどうかを判定する。
【0086】
この結果、実効値が基準実効値未満となる場合には、ステップS4に進み、基準実効値以上となる場合(ステップS3にてNO)には、ステップS5に進む。
【0087】
ステップS4にて、制御部21は、調整部10〜13及び内部アンプ171の増幅率を現在の増幅率に維持した状態で、切換スイッチ4にて受信部2と調整部10を接続する。
【0088】
これにより、受信部2にて受信された受話音信号は、調整部10〜11、プリアンプ6〜7、及びパワーアンプ14にて増幅された後、スピーカ15にて出力される。即ち、制御部21は、スピーカ15による受話音信号の出力を許可する。
【0089】
また、制御部21は、送信部18による送信を許可する。即ち、通話を許可する。その後、通話装置1は、本処理を終了する。
【0090】
これにより、受信部2が受話音信号を受信した場合には、当該受話音信号が増幅された後にスピーカ15から音声出力される。そして、当該音声出力に応じてマイク16にて取り込まれた取込音信号は、増幅され、且つエコー信号が除去された後に送信部18にて送信される。ここで、基準調整信号は受話音信号に対応しているため、マイク16が受話音信号に対応するエコー信号を取り込んだ場合であっても、送信部18から送信されるエコー信号の実効値は低くなる。即ち、通話が許可された後は、通話装置1は、エコーキャンセラ17による機能が十分発揮できる状態となっている。
【0091】
一方、ステップS3にて実効値が基準実効値以上となる場合、ステップS5にて、以下の増幅率調整処理を行う。
【0092】
即ち、制御部21は、調整部12の増幅率、即ちプリアンプ8の増幅率を所定量小さくし、且つ、調整部13の増幅率、即ちプリアンプ9の増幅率を当該所定量大きくする。
【0093】
次いで、制御部21は、上述したエコー測定処理を行い、当該エコー測定処理により取得した基準実効値情報をメモリに記憶すると共に、当該エコー測定処理取得した実効値情報を第1の実効値情報としてメモリに記憶する。
【0094】
次いで、制御部21は、調整部13の増幅率を上述した所定量小さくし、且つ内部アンプ171の増幅率を当該所定量大きくする。
【0095】
次いで、制御部21は、上述したエコー測定処理を行い、これにより得られた実効値情報を第2の実効値情報としてメモリに記憶する。
【0096】
次いで、制御部21は、メモリから第1〜第2の実効値情報とを取得し、当該取得された第1〜第2の実効値情報から、実効値が小さい方の実効値情報を選択する。
【0097】
次いで、制御部21は、当該選択された実効値情報が第2の実効値情報である場合には、調整部10〜13及び内部アンプ171の増幅率をそのままの状態に維持する。一方、選択された実効値情報が第1の実効値情報である場合には、調整部10〜13及び内部アンプ171の増幅率を、第1の実効値情報を取得した際の増幅率に調整する。
【0098】
次いで、ステップS6にて、制御部21は、当該選択された実効値情報による実効値と、メモリに記憶される基準音量値情報による基準実効値とを比較する。
【0099】
この結果、当該実効値が基準実効値未満となった場合には、ステップS4に進み、基準実効値以上の場合には、ステップS5に進む。
【0100】
以上により、本実施の形態では、通話装置1は、マイク16にて取り込まれるエコー信号の振幅が、通話装置1が設置される環境(当該環境は、例えば、車両の種類、及び車室内の状況に応じて異なる)に応じて異なっても、受信部2及び送信部3を用いた通話を許可する前にプリアンプ8の増幅率を調整して、通話に際して送信されるエコー信号の実効値を低くした後、当該通話を許可することができる(ステップS1〜ステップS6参照)。即ち、通話装置1が設置される環境に応じてプリアンプ8の増幅率を調整し、エコーキャンセラ17の機能を十分発揮できる状態となった後に、通話を許可することができる。
【0101】
これにより、開発者等は、通話装置1の開発段階で、プリアンプ8の増幅率を、通話装置1が設置される環境に応じて調整する必要がない。即ち、当該プリアンプ8の製造に必要な部品を、当該環境に応じて設定する必要がない。
【0102】
したがって、通話装置1の開発を容易に行うことができる。また、通話装置1の製造に際しても、当該部品を当該環境に応じて用意する必要がないので、通話装置1を容易に製造することができる。
【0103】
さらに、通話装置1が実際に車両に搭載された後であっても、車室内環境(例えば、車室内に荷物があるかどうか)に応じて、エコーキャンセラ17の機能を十分発揮することができるように、当該増幅率を調整することができる。
【0104】
また、通話装置1は、エコー信号の実効値が基準実効値未満となるように、プリアンプ8の他に、プリアンプ9及び内部アンプ171の増幅率も調整することができる。
【0105】
これにより、通話装置1が設置される環境が、プリアンプ8の増幅率の調整のみでは対応できない環境であっても、当該エコー信号の実効値を低くすることができる。
【0106】
また、開発者等は、通話装置1の開発段階で、プリアンプ9及び内部アンプ171の増幅率を通話装置1が設置される環境に応じて調整する必要がない。即ち、当該プリアンプ9及び内部アンプ171の製造に必要な部品を、当該環境に応じて設定する必要がない。
【0107】
したがって、通話装置1の開発を容易に行うことができる。また、通話装置1の製造に際しても、当該部品を当該環境に応じて用意する必要がないので、通話装置1を容易に製造することができる。
【0108】
また、通話装置1は、プリアンプ8の増幅率を小さくした場合には、プリアンプ9または内部アンプ171の増幅率を大きくする(ステップS5参照)。したがって、プリアンプ8が小さい増幅率にて取込音信号を増幅した場合であっても、プリアンプ9または内部アンプ171は、大きな増幅率にて当該取込音信号を増幅することができる。即ち、送信部18にて送信される取込音信号の振幅を大きくすることができる。これにより、送信部18は、プリアンプ8の増幅率が小さい場合であっても、振幅の大きい取込音信号を送信することができる。
【0109】
また、エコー除去部173は、内部アンプ171にて増幅された取込音信号からエコー信号を除去するので、より正確且つ確実にエコー信号を除去することができる。
【0110】
また、通話装置1は、プリアンプ8の増幅率を小さくした場合には、内部アンプ171の増幅率を大きくした場合と、プリアンプ9の増幅率を大きくした場合と、のそれぞれについて、実効値を算出し、プリアンプ8〜9及び内部アンプ171の増幅率を、当該算出された実効値が小さくなる方の増幅率に調整する。これにより、送信部18にて送信されるエコー信号の実効値をより低くすることができる。
【0111】
また、エコー除去部173は、プリアンプ6にて増幅された信号に基づいて、エコー信号を除去するので、エコー信号をより正確且つ確実に除去することができる。
【0112】
また、基準調整信号の周波数帯域は、聞き取り可能な音声に対応する周波数帯域を含むので、通話装置1は、通話を許可した後に送信されるエコー信号の実効値をより確実に小さくすることができる。
【0113】
また、通話装置1は、ステップS2〜ステップS6の処理を行う前に、エコー除去部173によるエコー除去を停止し、且つ、スピーカ15から音量調整信号を音声にて出力する。そして、当該出力に応じて算出された実効値が、所定の基準音量値と同等となるように、調整部10〜11にて、プリアンプ6〜7の増幅率を調整する(ステップS1参照)。
【0114】
即ち、通話装置1は、スピーカ15から出力される信号の音量をある程度大きくした状態で、ステップS2〜ステップS6の処理を行うことができる。
【0115】
したがって、通話装置1は、通話を許可した後は、スピーカ15からある程度大きい音量の受話音信号を出力することができると共に、当該出力に応じて送信されるエコー信号の実効値を小さくすることができる。
【0116】
また、開発者等は、通話装置1の開発段階で当該音量の調整を行いたい場合であっても、プリアンプ6〜7の増幅率を通話装置1が設置される環境に応じて調整する必要がない。即ち、当該プリアンプ9及び内部アンプ171の製造に必要な部品を、当該環境に応じて設定する必要がない。
【0117】
したがって、通話装置1の開発を容易に行うことができる。また、通話装置1の製造に際しても、当該部品を当該環境に応じて用意する必要がないので、通話装置1を容易に製造することができる。
【0118】
また、通話装置1は、ステップS1にて、音量調整信号の出力に応じて算出された実効値が、基準音量値を超える場合には、プリアンプ7の増幅率を小さくし、当該実効値が、基準音量値未満となる場合には、プリアンプ6の増幅率を大きくする。
【0119】
したがって、通話装置1は、スピーカ15から音声出力される信号の音量が大きい場合であっても、エコー除去部173に与えられる信号の振幅を維持した状態で、当該音量を小さくすることができ、当該音量が小さい場合には、エコー除去部173に与えられる信号の振幅及び当該音量を大きくすることができる。したがって、何れの場合であっても、音量を適切に調整することができる。また、何れの場合であっても、エコー除去部173に与えられる信号の振幅が小さくなることがないので、エコー除去部173によるエコー信号の除去に影響は生じない。
【0120】
また、通話装置1は、入力操作にて入力操作が行われた際に、ステップS1〜ステップS6の処理を行うので、当該処理を入力操作に応じていつでも行うことができる。
【0121】
したがって、通話装置1が搭載された車両の環境が変化した際(例えば、車室内に荷物を何も積んでしていない状態から、荷物を積んだ状態に変化した際)には、入力部20にて入力操作を行うことで、当該変化後の状態に応じてエコーキャンセラ17が十分機能するように、プリアンプ6〜9及び内部アンプ171の増幅率を調整することができる。
【0122】
なお、本実施の形態では、通話装置1を車両に搭載されるハンドフリー電話に適用することとしたが、他の種類の電話に適用することができるのは勿論である。
【0123】
また、通話装置1では、エコー信号の実効値が基準実効値未満となるように、プリアンプ8〜9及び内部アンプ171の増幅率を調整することとしたが、プリアンプ6〜7の増幅率も調整しても良い。
【0124】
この場合、通話装置1は、エコー信号の実効値が基準実効値未満となるように、より多くのプリアンプについて増幅率を調整することができる。したがって、通話装置1が設置される環境が、プリアンプ8〜9及び内部アンプ171の増幅率の調整のみでは対応できない環境であっても、当該エコー信号の実効値を低くすることができる。
【0125】
また、調整部10〜13にてプリアンプ6〜9の増幅率を調整することとしたが、プリアンプ6〜9の内部抵抗を可変抵抗にし、当該抵抗の値を制御部21にて変更することで、プリアンプ6〜9自体の増幅率を調整するようにしても良い。
【0126】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、開発者等は、通話装置の開発段階で、取込側増幅手段の増幅率を通話装置が設置される環境に応じて調整する必要がない。即ち、当該取込側増幅手段の製造に必要な部品を、当該環境に応じて設定する必要がない。
【0127】
したがって、通話装置の開発を容易に行うことができる。また、通話装置の製造に際しても、当該部品を当該環境に応じて用意する必要がないので、通話装置を容易に製造することができる。
【0128】
さらに、通話装置が実際に車両に搭載された後であっても、車室内環境(例えば、車室内に荷物があるかどうか)に応じて、エコー信号の実効値を低くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る通話装置の構成を示したブロック図である。
【図2】通話装置による処理の手順を示したフローチャートである。
【図3】従来の通話装置の構成を示したブロック図である。
【符号の説明】
1…通話装置
2…受信部
3…発信回路
4…切換スイッチ
6〜9…プリアンプ
10〜13…調整部
14…パワーアンプ
15…スピーカ
16…マイク
17…エコーキャンセラ
171…内部アンプ
172…調整部
173…エコー除去部
18…送信部
19…rms回路
20…入力部
21…制御部
Claims (12)
- 受話音信号を受信する受信手段と、
前記受信手段にて受信された受話音信号と、当該受話音信号に対応する基準調整信号と、を音声にて出力する出力手段と、
音を取込音信号として取り込む取込手段と、
前記取込手段にて取り込まれた取込音信号を増幅して出力する取込側増幅手段と、
前記取込側増幅手段の増幅率を調整する取込側調整手段と、
前記取込側増幅手段にて出力された取込音信号を送信する送信手段と、
前記出力手段にて出力される受話音信号及び基準調整信号に基づいて、前記取込側増幅手段にて出力された取込音信号から、当該受話音信号及び基準調整信号に対応するエコー信号を除去するエコーキャンセラと、を備え、
前記出力手段から前記基準調整信号を出力し、当該出力に応じて前記送信手段から送信されるエコー信号の実効値が、所定の基準実効値未満となるように、前記取込側調整手段にて前記取込側増幅手段の増幅率を調整し、その後、前記出力手段による前記受話音信号の出力、及び前記送信手段による送信を共に許可することを特徴とする通話装置。 - 受話音信号を受信する受信手段と、
前記受信手段にて受信された受話音信号と、当該受話音信号に対応する基準調整信号と、を音声にて出力する出力手段と、
音を取込音信号として取り込む取込手段と、
前記取込手段にて取り込まれた取込音信号を増幅して出力する取込側増幅手段と、
前記取込側増幅手段の増幅率を調整する取込側調整手段と、
前記取込側増幅手段にて出力された取込音信号を送信する送信手段と、
前記出力手段にて出力される受話音信号及び基準調整信号に基づいて、前記取込側増幅手段にて出力された取込音信号から、当該受話音信号及び基準調整信号に対応するエコー信号を除去するエコーキャンセラと、
前記送信手段から送信されるエコー信号の実効値を算出する算出手段と、
前記出力手段から前記基準調整信号を出力し、当該出力に応じて前記送信手段から送信されるエコー信号の実効値が、所定の基準実効値未満となるように、前記取込側調整手段にて前記取込側増幅手段の増幅率を調整し、その後、前記出力手段による前記受話音信号の出力、及び前記送信手段による送信を共に許可すべく制御する制御手段と、を備えることを特徴とする通話装置。 - 請求項2記載の通話装置において、
前記送信手段から送信される取込音信号を増幅する送信側増幅手段と、
前記送信側増幅手段の増幅率を調整する送信側調整手段と、を備え、
前記算出手段は、前記送信側増幅手段にて増幅されたエコー信号の実効値を算出し、
前記制御手段は、前記算出手段にて算出された実効値が、前記基準実効値未満となるように、前記送信側調整手段にて、前記送信側増幅手段の増幅率を調整すべく制御することを特徴とする通話装置。 - 請求項3記載の通話装置において、
前記制御手段は、前記取込側調整手段にて前記取込側増幅手段の増幅率を小さくした場合には、前記送信側調整手段にて前記送信側増幅手段の増幅率を大きくすべく制御することを特徴とする通話装置。 - 請求項3または4に記載の通話装置において、
前記エコーキャンセラは、
前記取込側増幅手段にて出力された取込音信号を増幅する内部増幅手段と、
前記内部増幅手段の増幅率を調整する内部調整手段と、を備え、
当該内部増幅手段にて増幅された取込音信号から前記エコー信号を除去し、
前記制御手段は、前記算出手段にて算出された実効値が、前記基準実効値未満となるように、前記内部調整手段にて、前記内部増幅手段の増幅率を調整すべく制御することを特徴とする通話装置。 - 請求項5記載の通話装置において、
前記制御手段は、前記取込側増幅手段の増幅率を小さくした場合には、
前記内部増幅手段の増幅率を大きくした場合と、前記送信側増幅手段の増幅率を大きくした場合と、のそれぞれについて、前記算出手段にて前記実効値を算出し、
前記取込側増幅手段の増幅率、前記内部増幅手段の増幅率、及び前記送信側増幅手段の増幅率を、当該算出された実効値が小さくなる方の増幅率に調整すべく制御することを特徴とする通話装置。 - 請求項2〜6の何れか1項に記載の通話装置において、
前記受話音信号及び前記基準調整信号を増幅する第1の出力側増幅手段と、
前記第1の出力側増幅手段の増幅率を調整する第1の出力側調整手段と、を備え、
前記出力手段は、前記第1の出力側増幅手段にて増幅された受話音信号及び基準調整信号を出力し、
前記制御手段は、前記算出手段にて算出された実効値が、前記基準実効値未満となるように、前記第1の出力側調整手段にて、前記第1の出力側増幅手段の増幅率を調整すべく制御することを特徴とする通話装置。 - 請求項7記載の通話装置において、
前記第1の出力側増幅手段にて増幅された受話音信号及び基準調整信号を増幅する第2の出力側増幅手段と、
前記第2の出力側増幅手段の増幅率を調整する第2の出力側調整手段と、を備え、
前記エコーキャンセラは、前記第1の出力側増幅手段にて増幅された受話音信号及び基準調整信号に基づいて、前記エコー信号を除去し、
前記出力手段は、前記第2の出力側増幅手段にて増幅された受話音信号及び基準調整信号を出力し、
前記制御手段は、前記算出手段にて算出された実効値が、前記基準実効値未満となるように、前記第2の出力側調整手段にて、前記第2の出力側増幅手段の増幅率を調整すべく制御することを特徴とする通話装置。 - 請求項7または8記載の通話装置において、
前記出力手段は、前記基準調整信号の他に、所定の音量調整信号を出力し、
前記制御手段は、前記エコーキャンセラによる前記エコー信号の除去を停止し、且つ、前記出力手段から前記音量調整信号を出力し、
当該音量調整信号の出力に応じて前記算出手段にて算出された実効値が、所定の基準音量値と同等となるように、前記第1の出力側増幅手段の増幅率及び前記第2の出力側増幅手段の増幅率を調整し、
その後、前記エコーキャンセラによる前記エコー信号の除去を許可し、且つ、前記出力手段にて前記基準調整信号を出力すべく制御することを特徴とする通話装置。 - 請求項1〜9の何れか1項に記載の通話装置において、
前記基準調整信号の周波数帯域は、聞き取り可能な音声に対応する周波数帯域を含むことを特徴とする通話装置。 - 請求項8〜10の何れか1項に記載の通話装置において、
前記制御手段は、前記音量調整信号の出力に応じて算出された実効値が、前記基準音量値を超える場合には、前記第2の出力側増幅手段の増幅率を小さくし、
当該実効値が、前記基準音量値未満となる場合には、前記第1の出力側増幅手段の増幅率を大きくするべく制御することを特徴とする通話装置。 - 請求項2〜11の何れか1項に記載の通話装置において、
入力操作が可能な入力手段を備え、
前記制御手段は、前記入力手段にて行われた入力操作に応じて、前記制御を行うことを特徴とする通話装置。
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