JP2004291088A - 鋼材の表面品質の検査方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 鋼材の溶接性、例えば熱間プレス鋼材の酸化スケールの状態を検査する簡便確実な方法を提供する。
【解決手段】 (i)8.7N/mm2〜208N/mm2の一定の平均加圧力で押圧することができる2つの測定端子を、熱延鋼板( 冷延鋼板) を熱間プレスした部材に押し付け、測定端子間に30A以下の定電流を流し、測定端子間電圧を測定すること、
(ii) 当該鋼材の溶接試験を行い、該溶接における良否を判定すること、
(iii)そのとき良好と判断された鋼材について測定されたデータに基づいて、溶接試験の結果が良好となる測定端子間電圧値あるいは測定端子間抵抗値の範囲を求めること、そして
(iv) それに基づき実操業での鋼材の測定端子間電圧を測定し、当該鋼材の溶接性を予測・判定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、鋼材の表面品質の検査方法に関するものであり、例えば、熱延鋼板又は冷延鋼板を熱間プレスすることにより得られる熱間プレス部材の表面におけるスケールの形成状態を、さらには、この熱間プレス部材にスポット溶接や塗装を行う場合のスポット溶接性や塗装性を、簡便に、定量的に、効率良く、かつ鋼材を破壊することなく予測して判定することができる鋼材の表面品質の検査方法に関するものである。
加熱炉に装入されて約900 ℃まで加熱された鋼板に水冷金型を用いて油圧プレスを行うことにより、焼入れを行いながら高強度の鋼材からなる各種部品にプレス成型する技術(以下、「熱間プレス」という)が開発されている。特に最近では、この熱間プレスの適用範囲が拡大されており、薄鋼板を含む各種鋼材に対しても熱間プレスが行われて高強度の熱間プレス部材が製造されるようになってきた。
しかしながら、熱間プレスを行うと、加熱に伴ってスケールが不可避的に生成するため、熱間プレス部材の表面に存在するスケールに起因して、その後に行われる例えば溶接等の後処理において不具合を生じることがある。特に、熱間プレス部材にそのままスポット溶接を行うと、熱間プレス部材への電極の溶着や、スケール部における塗膜の剥離等が生じることがある。
特開平11−47935 号公報:請求項4 特開2000−273609号公報
すなわち、熱間プレスを行われる場合には鋼材は900 ℃程度の高温まで加熱される。このため、熱間プレス部材の表面に酸化スケールが不可避的に形成される。このように表面にスケールが形成された熱間プレス部材にそのままスポット溶接を行うと、スポット溶接電極と接触している熱間プレス部材のスケール生成部のジュール熱の発生が過大となり、スポット溶接機の電極が熱間プレス部材に溶着し易い。このため、溶接ガンからの電極外れが起こり易くなり、特に多数の溶接ロボットを用いるロボット自動溶接工程ではこれに起因してその非常停止が頻発される。また、スポット溶接を行われて組み立てられた熱間プレス部材には、通常、塗装が行われるが、スケール生成部の上に形成された塗膜が、このスケールの剥離に伴って剥がれてしまい、塗装不良が発生する可能性がある等の問題がある。
そこで、通常は、スポット溶接の前処理として、熱間プレス部材にショットブラスト処理等を行って熱間プレス部材の表面のスケールを除去していた。しかし、平坦な形状を有する鋼板等の場合とは異なり、熱間プレス部材の形状は複雑であるため、ショットブラスト処理におけるショットの当たりのばらつき等の不可避的な変動要因によって、熱間プレス部材の表面に部分的にスケールが残存してしまう。したがって、ショットブラスト処理を行った後にスケールが十分に除去されたか否かの表面品質を充分に確認する必要があった。
しかし、これまでは、ショットブラスト処理を行われた熱間プレス部材の表面品質を簡便にかつ定量的に確認する手段はなかった。
例えば、熱間プレス部材の表面を拡大鏡等を用いて拡大してスケールの付着状況を目視で確認することがまず考えられるが、この評価は目視で行われることから、検査する作業者による評価のばらつきが避けられないばかりでなく、定量的な評価が困難であるため不良品を見逃してしまう可能性すらある。
次に、熱間プレス部材を切断して切断面のスケールの厚みを顕微鏡で調査することが考えられる。これによれば、定量的な評価は確かに可能となるものの、熱間プレス部材の切断に相当程度の時間及び工数を必要とする。また、切断した熱間プレス部材は使用不可能となるばかりでなく、実際に使用する部品のスケールの厚さは推定するしかなく不明である等の問題もある。
ここに、本発明の目的は鋼材の表面品質の検査方法を提供することであり、例えば、熱延鋼板又は冷延鋼板を熱間プレスすることにより得られる熱間プレス部材の表面におけるスケールの形成状態、さらには、この熱間プレス部材にスポット溶接や塗装を行う場合におけるスポット溶接性や塗装性を、簡便に、定量的に、効率良く、さらには鋼材を破壊することなく予測して判定することができる鋼材の表面品質の検査方法を提供することである。
本発明者らは、熱間プレス部材の母材である鉄と、この鉄の表面に形成されるスケールとの電気的な物性値の違いに着目した。すなわち、スケールは母材である鉄に比較すると非常に電気抵抗値が高い。このため、例えば熱間プレス部材等の鋼材の表面にスケールが残存していると、鋼材の表面の電気抵抗値が著しく高まる。このような電気抵抗値の違いを鋼材の表面におけるスケールの形成状態の検査に利用できないかと考え、多くの試行錯誤の結果、本発明を完成した。
本発明は、一定の平均加圧力で鋼材に押し付けられた2つの測定端子間に電流を流して測定端子間電圧を測定すること、この鋼材に後処理を行って後処理の結果の良否を判定すること、後処理の結果が良好であると判定された鋼材についての測定端子間電圧の測定値に基づいて、良好な後処理の結果を得ることができる測定端子間電圧値又は測定端子間抵抗値の範囲を求めること、及び、この範囲に基づいて測定端子間電圧を測定された鋼材に対して行われる後処理の結果を予測することを特徴とする鋼材の表面品質の検査方法である。
この本発明に係る鋼材の表面品質の検査方法では、鋼材が熱延鋼板又は冷延鋼板を熱間プレスすることにより得られる熱間プレス部材であり、後処理が溶接であることが望ましい。
これらの本発明に係る鋼材の表面品質の検査方法では、鋼材に押し付けられた2つの測定端子に負荷される平均加圧力が8.7 〜208N/mm2の範囲内の値であり、測定端子間電圧の測定の際に流される電流の値が30A以下であることが望ましい。
これらの本発明に係る鋼材の表面品質の検査方法では、測定端子間抵抗値が、予め定めた抵抗のしきい値以下である場合には溶接性良好と判定し、この抵抗のしきい値を超える場合には溶接性不良と判定することが望ましい。
この場合に、抵抗のしきい値は、平均加圧力をP(N/mm2) とした場合に58P-0.55 ( mΩ)以上 480P-0.66(mΩ)以下の範囲の値であることが望ましい。
すなわち、本発明によれば、例えば熱間プレス部材にスポット溶接を行う前に、好ましくは脱スケール処理を行ってから、所定範囲の押え力で電極を押し当てて熱間プレス部材に定電流を流してそのときの電気抵抗値を測定し、スポット溶接性(あるいは塗装性)に問題を生じない、電気抵抗値の適正な範囲を予め決定しておき、この範囲に基づいて、実際の操業では、熱間プレス部材の電気抵抗値の測定値に基づいてこの熱間プレス部材の溶接性 (塗装性) を予測して判定するというのである。
ところで、特許文献1の請求項4には、溶接用部材の表面の電気抵抗値を15×10-4Ω以下とする旨、記載されている。しかし、電気抵抗値を測定する目的は、溶接箇所以外にそのような電気抵抗層を設けることによって溶接箇所に溶接熱を集中させることであり、熱間プレス部材の表面におけるスケールの形成状態から溶接性 (塗装性) を予測する本発明とは、目的が全く相違する。このため、特許文献1をもって本発明を教えるとすることはできない。
また、特許文献2には、アルミめっき鋼板を2枚重ね1対の電極で挟み、12.6kgf/mm2 の圧力をかけたときの電極間の抵抗値(接触抵抗値)が0.05〜12mΩであると記載されている。特許文献2において接触抵抗値を測定する目的は溶接性を評価するためであると記載されているが、実際はめっき層の表面粗さを測定するものである。アルミめっき層それ自体は導電性であって、またその上に設ける各種皮膜も結局は、均一層である筈であるから、抵抗値を測定することによって直接的に溶接性を評価することを教えられることはない。
なお、溶接前の接触抵抗と接合強さとは殆ど関係ないことは当業者には周知である。
本発明により、例えば、熱延鋼板又は冷延鋼板を熱間プレスすることにより得られる熱間プレス部材等の、鋼材の表面におけるスケールの形成状態、さらには、この鋼材にスポット溶接や塗装を行う場合におけるスポット溶接性や塗装性を、簡便に、定量的に、効率良く、さらには鋼材を破壊することなく予測して判定することができる。特に最近のように、熱間プレスが普及している状況下では、本発明は実用性が非常に高い発明であって、斯界の技術進歩に大きな貢献をすることができる価値の高い発明である。
ここで、添付図面を参照して本発明についてさらにその実施の形態を詳述する。
図1は、本発明にかかる方法を実施するための装置の一例を示す模式的説明図である。
図中、エアーシリンダーによる加圧機構1は、図示しないエアー供給源に接続されており、スイッチ(図示していない)を押すことによりこのエアー供給源からエアシリンダーにエアーが供給され、測定端子2を含む部分が下方向に移動する。これにより、図2に示すように、下方へ移動した測定端子2は、固定された測定端子3との間に供試材である鋼材4(本例では鋼材として熱間プレス部材を用いた)を挟んで支持することができる。
加圧機構1を有する装置に取り付けられた2つの測定端子2、3によって熱間プレス部材4を一定の平均加圧力で加圧した状態で、測定端子2、3間に微量電流を流す。そして、測定端子2、3に取り付けられた電圧計7により測定される測定端子間電圧を用いて熱間プレス部材4の電気抵抗値を計算する。
予め調査した、例えばスポット溶接性(又は塗装性)と電気抵抗値との関係から設定した電気抵抗値のしきい値に基づいて、熱間プレス部材4の表面品質の良否を判断する。すなわち、測定された熱間プレス部材4の電気抵抗値が予め定められたしきい値よりも高い場合には、熱間プレス部材4の表面に残存したスケールが基準値よりも多く、スポット溶接性や塗装性が悪いものと予測・判断される。これとは逆に、測定された熱間プレス部材4の抵抗値がしきい値よりも低い場合には、熱間プレス部材4の表面のスケールが十分除去されており、スポット溶接性や塗装性に問題がないものと予測・判断される。
本方法により、スポット溶接性や塗装性に悪影響を及ぼす表面スケールの残存状況を定量的に測定することができ、これにより、製品の良否を判断できる。
なお、上下の測定端子2、3が離れている時、測定端子2、3間は絶縁されている。
一定の電流を発生させることができる電流発生装置5には測定端子2、3が接続されており、この電流発生装置5により一定の電流を熱間プレス部材4に流すことができる。流れる電流値は電流計6により測定される。また、電圧測定装置7が測定端子2、3に接続されており、測定端子2、3間の電圧を測定することができる。
ここに、加圧機構1は、一定の平均加圧力を負荷できれば、エアーシリンダーによる加圧方法、サーボモータによる加圧方法、スプリングを利用した加圧方法等のいずれの加圧機構でも可能である。
なお、加圧機構1について、簡便には、上下の電極間を絶縁したスポット溶接機を流用してもよい。
加圧方法については、熱間プレス部材4を両側から測定端子2、3で挟む方法が熱間プレス部材4の裏表の抵抗を同時に測定できるため望ましい。なお、熱間プレス部材4の片面の抵抗のみの抵抗を測定する場合は、後述する図4に示すように、一定の間隔を持った2つの測定端子2、3で片側から熱間プレス部材4を加圧する方法もある。
平均加圧力については特にこだわらないが、8.7N/mm2 (先端径6mmの測定端子の場合、25kgf)から208N/mm2 (先端径6mmの測定端子の場合、600kgf) の間の一定の加圧力が望ましい。8.7N/mm2(25kgf) 未満であると、熱間プレス部材4と測定端子2、3との接触状態が変わり易いことにより測定誤差が大きくなる。一方、平均加圧力が208N/mm2(600kgf)を越えると熱間プレス部材4の表面の圧痕が深くなり、供試材の商品性が低下する。また測定回数の増加に従い測定端子2、3の変形が大きくなり、測定のばらつきを生じ易くなるためである。より好適には 34.7〜173N/mm2 (100kgf〜500kgf) である。
測定端子2、3は、電流を流すことができる金属であればよい。より好適には、電気伝導度が高く、強度の高い銅合金が望ましい。
測定端子2、3の先端は平面であってもよいし15R以上あれば、アールがついていてもよい。より好適には40Rである。
電流発生装置5は、特にこだわらないが、30A程度以下の直流電流を発生させる装置が望ましい。より好適には 0.5Aから5Aである。これは電流値が高過ぎると、ジュール発熱により熱間プレス部材4の温度上昇を招き、抵抗の測定値に影響を及ぼす可能性があること、また、感電の可能性が大きくなるためである。
電流計6は、電流発生装置5で発生させる電流値を測定できる装置であればよい。なお電流発生装置5に電流測定機能が与えられている場合は不要である。
電圧測定装置7は、熱間プレス部材4の抵抗値は一般に、ゼロコンマ数mΩ〜数百mΩであるため、その範囲の抵抗を測定できる電圧測定器あるいは電圧計であればよい。
次に、このような装置を用いて行う本発明による鋼材の表面品質の検査方法について、熱間プレス部材4の溶接性を予測・評価する場合を例にとって説明する。
すなわち、本発明は次のような段階(i) ないし(iv)から構成される。
(i) 一定の平均加圧力で押圧することができる2つの測定端子2、3を熱間プレス部材4に押し付け、測定端子2、3間に定電流を流し、測定端子間電圧を測定すること、
(ii)熱間プレス部材4に後処理としてスポット溶接を行い、スポット溶接の結果の良否を判定すること、
(iii) スポット溶接の結果が良好であると判断された熱間プレス部材4について測定された測定端子間電圧に基づいて、スポット溶接の結果が良好となる測定端子間電圧値あるいは測定端子間抵抗値の範囲、すなわちしきい値を求めること、そして
(iv)求めたしきい値に基づいて端子間電圧を測定した熱間プレス部材4のスポット溶接の結果を予測して判定する。
まず、しきい値の設定方法について述べる。
この検査において、しきい値を設定するための試験と品質を予測及び判定するための試験では、測定端子2、3の形状及び平均加圧力は同じに設定することが望ましい。測定端子2、3の形状を固定する理由は、測定端子2、3の形状により測定端子2、3と熱間プレス部材4との間の接触面積が変化し、電気抵抗値へ影響を及ぼすためである。また、平均加圧力を固定する理由は、平均加圧力により測定端子2、3と熱間プレス部材4との間の微視的な接触面積が変化し、電気抵抗値へ影響を及ぼすためである。
図2に示すように、測定端子2、3の形状と圧力とを固定した後、測定端子2、3で熱間プレス部材4を挟んだ状態で支持し、電流発生装置5からの定電流を測定端子2、3に流し、電圧が安定したところで電圧値を読み取る。ここでオームの法則により、測定端子2、3間の全体の抵抗値Rtotalが得られる。図2において図1と同一の部材(装置)は同一符号で表す。
図3に模式的に示すように、測定端子2、3間の全体の抵抗値Rtotalは、測定端子2、3から鋼板4までの全体の抵抗値であり、次式により表される。
Rtotal=Rl+R2+R3+R4十R5 ・・・・・・・・(1)
(1) 式において、Rlは測定端子2の固有抵抗を示し、R2は測定端子2の側の表面のスケールによる接触抵抗を示し、R3は供試材である母材の固有抵抗を示し、R4は測定端子3の側の表面のスケールによる接触抵抗を示し、さらに、R5は測定端子3の固有抵抗を示す。
ここで、事前に紙やすり等を用いて完全に表面のスケールを除いた熱間プレス部材4の電気抵抗値を計測すると、次式で示す母材の固有抵抗と測定端子2、3の固有抵抗の和が得られる。
(Rl+R3+R5) ・・・・・・・・(2)
(1) 式により求められる、測定端子2、3から鋼板4までの全体の抵抗値から、(2) 式により求められる、母材の固有抵抗と測定端子2、3の固有抵抗の和を差し引くと、(3) 式で示すスケールのみの抵抗値Rscaleが求められる。
Rscale=R2+R4 ・・・・・・・・(3)
表面のスケール量が多い熱間プレス部材4ほど、スケールのみの抵抗値Rscaleが高くなる。このため、表面状態の異なる熱間プレス部材4について、スポット溶接や塗装の不良の程度とスケールのみの抵抗値Rscaleとの関係を求め、スケールのみの抵抗値Rscaleにしきい値を設定する。
以上により、熱間プレス部材4の表面品質を判断するための準備は終了である。
ここで、表面品質のしきい値を決めた後、表面品質の検査を行いたい熱間プレス部材4について、上述した操作と同様の操作によってスケールのみの抵抗値Rscaleを求め、スケールのみの抵抗値Rscaleとしきい値と比較することにより、表面品質の良否を判断する。すなわちスケールのみの抵抗値Rscaleがしきい値より高い場合には、熱間プレス部材4の表面に残存したスケールが基準値を超えており、スポット溶接性や塗装性が悪いものと判断される。これとは逆に、スケールのみの抵抗値Rscaleがしきい値より低い場合には、熱間プレス部材4の表面のスケールが十分除去されており、スポット溶接性や塗装性に問題はないものと判断される。
このように、本発明により、スポット溶接性や塗装性に悪影響を及ぼすスケールの残存状況を定量的に測定でき、熱間プレス部材4の良否の判断ができる。
なお、後述する実施例ではスケールのみの抵抗値Rscaleの値による検査方法を示したが、一般に測定端子2、3の電気抵抗、特に鋼からなる母材の電気抵抗は、スケールの電気抵抗に比較して著しく小さく、また、しきい値の設定値にも、測定値にも測定端子2、3の電気抵抗:Rl、R5、熱間プレス部材4の電気抵抗:R3が含まれるため、測定端子2、3から熱間プレス部材4までの全体の抵抗値Rtotalを指標としてしきい値を設定し、検査を行ってもよい。
表面抵抗のしきい値については、一般に表面抵抗は低ければ低いほど溶着し難いため、溶接の観点では望ましいが、抵抗を下げるためには、ショットブラストを長時間、強く当てる必要があるため、生産性の低下や強くショットブラストが当たることによる部品の変形等の問題を引き起こすため、下げ過ぎるのは現実的ではない。このため、抵抗のしきい値の設定については、溶着電流を10kAから14kAの範囲の所定の値に設定するのが望ましい。図5は、溶着電流値(kA)とスケールのみの抵抗値Rscale(mΩ) との関係の一例を示すグラフである。同図にグラフで示すように、抵抗のしきい値は平均加圧力87N/mm2(250kgf) において5mΩから 25mΩの間の所定の値となる。
なお、スケールのみの抵抗値Rscaleは絶対値ではない。図6は、電気抵抗値(mΩ) と平均加圧力(N/mm2) との関係の一例を示すグラフである。同図にグラフで示すように、スケールのみの抵抗値Rscale(mΩ) は、平均加圧力により変わる値であり、平均加圧力P(N/mm2)の関数として、Rscale=AP-Bの式により近似することができる(A、B は定数) 。
このため、測定する平均加圧力が異なる場合、抵抗値(mΩ) のしきい値は、平均加圧力87N/mm2(250kgf) における5mΩから 25mΩの間に相当する加圧力、つまり評価を行う平均加圧力P(N/mm2)の値によって、58P-0.55 ≦Rscale≦480 P-0.66 で示される範囲の所定の値に設定すればよい。なお、Rscale≒RtotalであるためRscaleの代わりにRtotalで示しても差し支えない。
また、電流を一定と決めている場合は、必ずしも電気抵抗値を指標とする必要はなく、電圧を指標としてもよい。この場合の電圧V(V) のしきい値は、測定電流I(A)とすると58IP-0.55 以上 480IP-0.66 以下のいずれかの値に設定すればよい。
次に、このような本発明による熱間プレス部材4の表面品質の検査方法について、熱間プレス部材4の溶接性を予測・評価する場合を例にとってまとめると次の通りである。なお、測定に際して、デスケール処理を行った後でも、それを行わない場合であっても、検査操作それ自体は変わらないので、以下の操作ではデスケール処理は行わない場合を例にとる。
(i) 8.7N/mm2〜208N/mm2の一定の平均加圧力で押圧することができる2つの測定端子2、3を、熱延鋼板又は冷延鋼板を熱間プレスした熱間プレス部材4に押し付け、測定端子2、3間に30A 以下の定電流を流し、測定端子間電圧を測定する。
(ii)熱間プレス部材4にスポット溶接を行い、このスポット溶接の結果の良否を判定する。
(iii) スポット溶接の結果が良好であると判定された熱間プレス部材4について測定されたデータに基づいて、スポット溶接の結果が良好となる測定端子間電圧値あるいは測定端子間抵抗値の範囲、つまりしきい値を求める。
(iv)求めたしきい値に基づいて実操業での熱間プレス部材4の測定端子間電圧を測定し、熱間プレス部材4の溶接性を予測・判定する。
図4は、本発明にかかる方法の別の実施形態を示すもので、これまで説明してきた態様では、測定端子2、3は、供試材である熱間プレス部材4を上下方向から挟んでいたが、図示例のように、横方向に並列させて設けてもよい。本例において具体的測定操作はこれまでの形態のものと実質上同一であることからその説明は省略する。なお、図1と同一部材は同一符号で示してある。
次に、実施例によって本発明の作用効果についてさらに具体的に説明する。
図1に示す装置を用いるが、本例では、加圧機構1として定置式スポット溶接機を使用した。そして測定端子2、3とトランスをつないでいる銅ケーブルを外し、上下の測定端子2、3を絶縁状態にした。次に、図1のように測定端子2、3に電流発生装置5の銅線と電圧測定装置7の銅線とをつないだ。
設定条件
測定端子 :Cr−Cu電極 ドームラジアス型
元直径16mm 先端直径6mm(先端40R)
平均加圧力:87N/mm2(250kgf)
電流 :直流電流 2A
鋼板の表面品質の評価基準となる「しきい値」の設定は次のようにして行った。
供試材として、板厚1.2mm の冷延鋼板を母材とする熱間プレス部材4を使用した。
(1) 測定端子2、3間に何も挟まずに短絡させ、測定端子2、3の抵抗を求めた。
(2) 完全にスケールを除去した熱間プレス部材4で母材の抵抗を求めた。
(3) ショットブラストの条件を変えることで、表面の状態を変えた複数のテストピースを作成し、電気抵抗値を調査した。
(4) 表面の状態を変えたテストピースの溶接性を調査し、12000Aまで溶着しない供試材の場合を溶接性「OK」と判断し、12000A未満で溶着する供試材の場合を溶接性「NG」と判断し、そのときのしきい値を本例では、15mΩと設定した。
次に、検査が必要な熱間プレス部材4の溶接予定位置の近傍を測定端子2、3で挟んで電流を流し、電気抵抗値を算出した。
算出した電気抵抗値より測定端子2、3、母材の電気抵抗値を引き算し、スケールの電気抵抗値を算出した。スケールの電気抵抗値としきい値とを比較し、スケールの抵抗値がしきい値(15mΩ)以下である場合に溶接性は問題がないと判断し、スケールの抵抗値がしきい値15mΩを超える場合には溶接性に問題があると判断した。
確認のため、検査作業により、表面品質を判断した熱間プレス部材4の溶接性を調査した結果を表1に示す。検査結果が「NG」と判断された熱間プレス部材4は、溶接による溶着が発生し易かった。このため、本発明にかかる方法により正確に溶接性を検査することが可能であることが確認できた。
Figure 2004291088
本例では、実施例1を繰り返したが、供試材としては、板厚1.4mm の熱延鋼板を熱間プレスして得た熱間プレス部材を使用した。
結果を表2にまとめて示す。
Figure 2004291088
検査結果が「NG」と判断された熱間プレス部材4は、溶接による溶着が発生し易かった。このため、本発明にかかる方法により正確に溶接性を検査することが可能であることが確認できた。
本発明にかかる方法を実施するための抵抗測定装置の概略説明図である。 図2の装置の抵抗測定時の概略説明図である。 本発明にかかる方法において測定される抵抗値の説明図である。 鋼材の片側から測定する図1の抵抗測定装置の別の態様の概略説明図である。 溶着電流値(kA)とスケールのみの抵抗値Rscale(mΩ) との関係の一例を示すグラフである。 電気抵抗値(mΩ) と平均加圧力(N/mm2) との関係の一例を示すグラフである。
符号の説明
1:加圧機構
2:測定端子
3:測定端子
4:電気抵抗を測定する供試材
5:電流発生装置
6:電流計
7:電圧測定装置

Claims (5)

  1. 一定の平均加圧力で鋼材に押し付けられた2つの測定端子間に電流を流して測定端子間電圧を測定すること、当該鋼材に後処理を行って当該後処理の結果の良否を判定すること、当該後処理の結果が良好であると判定された鋼材についての測定端子間電圧の測定値に基づいて、良好な後処理の結果を得ることができる測定端子間電圧値又は測定端子間抵抗値の範囲を求めること、及び、当該範囲に基づいて前記測定端子間電圧を測定された鋼材に対して行われる後処理の結果を予測することを特徴とする鋼材の表面品質の検査方法。
  2. 前記鋼材は熱延鋼板又は冷延鋼板を熱間プレスすることにより得られる熱間プレス部材であり、前記後処理は溶接である請求項1に記載された鋼材の表面品質の検査方法。
  3. 前記平均加圧力は8.7 〜208N/mm2の範囲内の値であり、前記電流の値は30A以下である請求項2に記載された鋼材の表面品質の検査方法。
  4. 前記測定端子間抵抗値が、予め定めた抵抗のしきい値以下である場合には溶接性良好と判定し、該抵抗のしきい値を超える場合には溶接性不良と判定する請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載された鋼材の表面品質の検査方法。
  5. 前記抵抗のしきい値は、前記平均加圧力をP(N/mm2) とした場合に58P-0.55(mΩ)以上 480P-0.66(mΩ)以下の範囲の値である請求項4に記載された鋼材の表面品質の検査方法。
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