JP2004290134A - 細胞の培養に関する管理方法および細胞の培養に関する管理システム - Google Patents
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Abstract
【課題】細胞の培養に係る優れた管理方法や管理システムを提供すること。
【解決手段】検体から採取した細胞を冷凍状態で受入れ、該採取細胞に特定の番号を付与する第1のステップと,前記第1のステップで受入れた採取細胞に異常がないかを検査すると共に異物の混入がないかの検査を行う第2のステップと,前記第2のステップで受入れた採取細胞に異常がなく異物の混入がないことを確認した後、所望の組織を形成する幹細胞を分離する第3のステップと,前記第3のステップで他の細胞と分離して取り出した所望の組織を形成する幹細胞を成長因子が混合された培地に播種する第4のステップと,前記第4のステップで所望の組織を形成する幹細胞を成長因子が混合されている培地に播種した後、幹細胞の増殖状況を監視する第5のステップと,前記第5のステップで培地に播種した所望の組織を形成する幹細胞の増殖状況を監視し継代を行う第6のステップとを備えて構成する。
【選択図】 図1
【解決手段】検体から採取した細胞を冷凍状態で受入れ、該採取細胞に特定の番号を付与する第1のステップと,前記第1のステップで受入れた採取細胞に異常がないかを検査すると共に異物の混入がないかの検査を行う第2のステップと,前記第2のステップで受入れた採取細胞に異常がなく異物の混入がないことを確認した後、所望の組織を形成する幹細胞を分離する第3のステップと,前記第3のステップで他の細胞と分離して取り出した所望の組織を形成する幹細胞を成長因子が混合された培地に播種する第4のステップと,前記第4のステップで所望の組織を形成する幹細胞を成長因子が混合されている培地に播種した後、幹細胞の増殖状況を監視する第5のステップと,前記第5のステップで培地に播種した所望の組織を形成する幹細胞の増殖状況を監視し継代を行う第6のステップとを備えて構成する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、細胞の培養に関する管理方法および細胞の培養に関する管理システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の治療医学において、細胞を培養し、失われた人体の組織を復元(再生)する医療、いわゆる再生医療の研究が盛んに行われている(例えば、特許文献1参照。)。
この特許文献1は、細胞を予め採取しておき、依頼者からの要求に応じて、細胞に関する情報を閲覧できると共に、細胞を複数の企業に配達し、そこで細胞の増殖、分化、あるいはオーダーメードの薬品、化粧品の製造を可能にするセルバンクシステム及び細胞凍結/解凍方法に関するものである。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−27983号公報(第2頁、第1図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような組織を再生させる再生医療は、その技術を確立することが重要であるが、また一方医療ミスの防止や個人データの保護、などの関係でも改善すべき課題を抱えている。
【0005】
しかしながら、再生医療における管理システムや管理方法は、まだ検討されておらず、確立されるに至っていない。
【0006】
本発明の目的は、細胞の培養に係る優れた管理方法や管理システムを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の特徴の1つは、検体から採取した細胞を冷凍状態で受入れ、該採取細胞に特定の番号を付与する第1のステップと,前記第1のステップで受入れた採取細胞に異常がないかを検査すると共に異物の混入がないかの検査を行う第2のステップと,前記第2のステップで受入れた採取細胞に異常がなく異物の混入がないことを確認した後、所望の組織を形成する幹細胞を分離する第3のステップと,前記第3のステップで他の細胞と分離して取り出した所望の組織を形成する幹細胞を成長因子が混合された培地に播種する第4のステップと,前記第4のステップで所望の組織を形成する幹細胞を成長因子が混合されている培地に播種した後、幹細胞の増殖状況を監視する第5のステップと,前記第5のステップで培地に播種した所望の組織を形成する幹細胞の増殖状況を監視し継代を行う第6のステップとを備えたところにある。
【0008】
本発明の他の特徴の1つは、採取細胞を収納する採取用容器に採取した細胞の検体を特定する番号が付与され、該番号の付与された採取用容器に検体から採取した細胞を収納し,前記採取用容器に収納される検体から採取した細胞そのものの異常性の検査と異物混入検査を行い,前記採取用容器に採取された複数の細胞群から幹細胞の分離処理を行い,前記分離した幹細胞を培養する成長因子が混合された培地を備え、前記採取用容器に付与された番号と同一の番号が付された培養用容器に播種し,前記培養用容器内において幹細胞の増殖を行い,前記培養用容器内における幹細胞の増殖が所定範囲に達したときに継代を行い,前記継代によって得られた複数の幹細胞群同士を結合して移植用の幹細胞を形成し,前記移植用の幹細胞を前記採取用容器に付与された番号と同一の番号が付された移植幹細胞用に収納して培養を要請した依頼者に出荷し,前記採取細胞に基づいて培養した幹細胞が間違えることなく本人に植依されたことを追尾できるようにしたものである。
【0009】
本発明の他の特徴は、後述する実施の形態の中で記述する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図を用いて説明する。
【0011】
図1には、本発明に係る細胞の培養に関する管理方法および細胞の培養に関する管理システムを実施するための処理システム構成が示されている。
図1において、4は細胞培養機関で、一般に、CPC(Cell Process Center)と称されている。この細胞培養機関4は、例えば、医療機関から送られてくる採取細胞を培養し、移植した際に組織を再生する機能を有する幹細胞を業として培養する企業で、システム構成においては、具体的には、管理サーバある。この細胞培養機関(管理サーバ)4は、図1に示す如き構成を有している。
【0012】
すなわち、細胞培養機関(管理サーバ)4は、各種のデータ内容を書込・更新を実行するサーバからなるサーバ本体41と、データの入出力を行う入出力装置とディスプレイからなる端末コンピュータ43と、入出力するデータを記憶する記憶手段であるデータベース42とによって構成されている。このデータベース42は、サーバ本体41に接続されており、ときにデータベース42を含めて管理サーバと称する場合もある。ここでは、サーバ本体41の記憶装置として機能している。
【0013】
この細胞培養機関4の処理装置(具体的には、管理サーバ4のサーバ本体41)は、細胞培養機関4を利用する医療機関(具体的には、病院)1A,1B,・・・1NとIP(Internet Protocol)網、ISDN回線等の電子通信回線5A,5B,・・・5Nによって接続されている。通常のセキュリティを考慮すれば、オンラインで接続する方がIP(Internet Protocol)網を利用するよりも優れている。
この細胞培養機関4は、行政監督庁7の監督を受けて運営される。また、この処理装置は、細胞を培養するに当たって外部の検査機関8に検査を依頼することがあり、この外部の検査機関8は、行政監督庁7に報告する義務を負うことがあり得る。
【0014】
この医療機関(具体的には、病院)1A,1B,・・・1Nは、細胞培養機関4同様、各種のデータ内容を書込・更新を実行するサーバからなる管理サーバと、データの入出力を行う入出力装置とディスプレイからなる端末コンピュータと、入出力するデータを記憶する記憶手段であるデータベースとによって構成されている。この医療機関(具体的には、病院)1A,1B,・・・1Nからは、細胞培養機関4に対して、各種のデータ内容の開示を求めたり、必要な情報を送信することができるようになっている。また、医療機関(具体的には、病院)1A,1B,・・・1Nは、この培養した細胞を用いた治療を行った場合には、行政監督庁7に報告の義務を負う。
【0015】
また、43は、細胞培養機関(具体的には、管理サーバ)4のサーバ本体41に接続され、サーバ本体41に入力する入出力装置で、細胞培養機関(具体的には、管理サーバ)4のサーバ本体41にデータの入出力が必要な場合に使用するものである。これらの細胞培養機関(具体的には、管理サーバ)4、医療機関(具体的には、病院の管理サーバ)1A,1B,・・・1Nは、全てプログラム制御により動作し、医療機関(具体的には、病院の管理サーバ)1A,1B,・・・1Nは、細胞培養機関(具体的には、管理サーバ)4と電子通信回線5A,5B,・・・5Nによって接続されている。この医療機関(具体的には、病院の管理サーバ)1A,1B,・・・1Nは、各医療機関1が抱えている患者3からそれぞれ細胞の提供を受ける。また、この患者3は、再生組織の移植手術後、問題(例えば、感染症等)が生じた場合、行政監督庁7に直接訴えることもある。
【0016】
この管理サーバ4のサーバ本体41には、図2に示す如く、細胞培養機関4で細胞培養を行っている患者の治療を行っている医療機関(具体的には、病院の管理サーバ)1A,1B,・・・1N毎に、医療機関(具体的には、病院の管理サーバ)1A,1B,・・・1Nに対応したデータベース42A,42B,・・・42Nを有している。
【0017】
図3〜図16には、本発明に係る細胞の培養に関する管理方法および細胞の培養に関する管理システムを実施するための処理システムの実施の形態が示されている。
この図3〜図16では、医療機関(管理センター)1、担当医師2、患者3、細胞培養機関(再生管理センター)4との処理フローを示している。
【0018】
図において、患者3が罹患する(ステップ100)と、医療機関(管理センター)1に診察の申込み(診療申込)を行う(ステップ102)。医療機関(管理センター)1では、患者3のカルテを作成し、担当医師を決定する(通常は、受付で、内科、外科、精神科、眼科、産婦人科等に振り分ける)(ステップ104)。この担当医師2の決定により、医療機関(管理センター)1側は、担当医師2に診療を依頼する(ステップ106)。このようにして担当医師2が決まると、担当医師2は、患者3に対して問診を行う(ステップ108)。この問診は、病院によっては、担当医師2でない医師(例えば、インターンの医師)が行うことがある。この担当医師2の問診に患者3が回答し(ステップ110)、担当医師2による患者3の診察が開始する(ステップ112)。
【0019】
担当医師2による患者3の診察が開始すると、検査等を経て担当医師による患者3の疾病内容(胃粘膜損傷、慢性腎疾患等)が決定する(ステップ114)。この患者3の疾病内容(胃粘膜損傷、慢性腎疾患等)が明らかになると、担当医師2は、患者3に対し疾病内容(診断結果)の告知(インフォームド・コンセント)を行う(ステップ116)。すると、患者3は、担当医師2による疾病開示内容(診断結果)を受領する(ステップ118)。
【0020】
この担当医師2による診断結果を受領すると、患者3は、担当医師2に対し治療方法の問い合わせを行う(ステップ120)。この患者3からの治療方法の問い合わせに対し、担当医師2は、患者3に対する治療方法の選定を行う(ステップ122)。この患者3に対する治療方法には、数種類の方法があるが、ときに1種類の場合、治療方法が確立されておらず、決定的な治療方法が無い場合もある。担当医師2は、過去に有効とされる治療方法、現在進行中(研究段階にある)治療方法(再生医療による治療方法)の説明を行う(ステップ124)。この担当医師2による過去に有効とされる治療方法、現在進行中(研究段階にある)治療方法(再生医療による治療方法)の説明を受領する(ステップ126)。ここで、担当医師2は、過去の治療方法が全く効を奏さない場合、現在進行中(研究段階にある)治療方法(再生医療による治療方法)を奨めることになる。このように過去の治療方法が全く効を奏さないことが明らかになれば、あるいは、破壊された組織を切除するだけで、他に影響を与えない(例えば、抜歯するだけで問題はない)場合には、そのままにしておいても良いが、目立つ場所、あるいは、自分の歯が欲しいと強く願う場合のようなとき、患者3は、現代医学の粋を集める再生医療による治療方法を選択する(ステップ128)ことになる。
【0021】
患者3が再生医療による治療方法を選択すると、患者3は、担当医師2に対し、再生医療による治療の依頼を行う(ステップ130)。この患者3からの再生医療による治療の依頼があると、担当医師2は、再生医療による治療の依頼を受領し(ステップ132)、再生医療による治療の治療方針を決定する(ステップ134)。この再生医療による治療の治療方針を決定すると、担当医師2は、患者3に対し、再生医療による治療内容を告知する(ステップ136)。この担当医師2による患者3に対する再生医療による治療内容の告知を患者3は受領する(ステップ138)。この再生医療による治療内容の告知を受領した患者3は、担当医師2に対し、再生医療による治療内容の告知を受領したことを報告する(ステップ140)。
【0022】
この患者3からの再生医療による治療内容の告知を受領したことの回答を受領し(ステップ142)、担当医師2は、医療機関(管理センター)1に対して、再生医療による治療を行うことを報告する(ステップ144)。医療機関(管理センター)1側では、担当医師2からの再生医療による治療を実施することの報告を受領する(ステップ146)。この担当医師2からの報告を受けて、医療機関(管理センター)1は、患者3に対し、再生医療による治療の治療承諾書を送付する(ステップ148)。この医療機関(管理センター)1からの再生医療による治療の治療承諾書の送付を受けた患者3は、再生医療に対する治療承諾書を受領し(ステップ150)、患者3は、この治療承諾書に記名捺印をして医療機関(管理センター)1に送付する(ステップ152)。
【0023】
医療機関(管理センター)1側では、患者3からの記名捺印した治療承諾書を受領し(ステップ154)、担当医師2に対して患者3に再生医療による治療を施してよろしいという再生医療に対する治療許可の通知を行う(ステップ156)。この医療機関(管理センター)1側からの治療許可の通知が行われ、この治療許可の通知を受領する(ステップ158)と、担当医師2は、患者3に対して再生医療による治療開始を通知する(ステップ160)。この担当医師2からの再生医療による治療開始の通知を受けて患者3は再生医療による治療の開始の通知を受領する(ステップ162)。
【0024】
この再生医療による治療の開始の通知を受領すると患者3は担当医師2に再生医療による治療開始の依頼を行う(ステップ164)。この患者3からの再生医療による治療開始の依頼を受けた担当医師2は、再生医療による治療の開始を決定する(ステップ166)。この担当医師2の再生医療による治療の開始を決定すると担当医師2は、再生医療による治療の開始を医療機関(管理センター)1に通知する(ステップ168)。この担当医師2からの再生医療による治療の開始の通知を受けた医療機関(管理センター)1は、当該患者3の再生医療による治療の書類を作成する(ステップ170)。そして、医療機関(管理センター)1は、細胞培養機関(再生管理センター)4に対し細胞培養の依頼を行う(ステップ172)。
【0025】
この医療機関(管理センター)1からの細胞培養の依頼を受けた細胞培養機関(再生管理センター)4は、細胞培養の依頼を受領し(ステップ174)、この細胞培養の依頼を受領した細胞培養機関(再生管理センター)4では、医療機関(管理センター)1に対して必要事項(患者3の名前・担当医師2の名前等)の問い合わせを行う(ステップ176)。この必要事項(患者3の名前・担当医師2の名前等)の問い合わせを受けた医療機関(管理センター)1は、細胞培養機関(再生管理センター)4に対して必要事項(患者3の名前・担当医師2の名前等)の回答を行う(ステップ178)。この医療機関(管理センター)1からの必要事項(患者3の名前・担当医師2の名前等)の回答を受けると、細胞培養機関(再生管理センター)4は、患者3の細胞ID(Identificaition=識別)を決定し、患者3から採取する細胞に個別のID(Identificaition=識別)、細胞IDを付与する(ステップ180)。
【0026】
この患者3から採取する細胞に細胞IDを付与すると、細胞培養機関(再生管理センター)4は、採取した細胞を収納して搬送する容器に患者3の細胞IDを添付して細胞採取用容器の準備を行う(ステップ182)。この細胞採取用容器の準備を行うと、細胞培養機関(再生管理センター)4は、この患者3の細胞に細胞ID(Identificaition=識別)を添付した細胞採取用容器を医療機関(管理センター)1に送付する(ステップ184)。この患者3の細胞IDを添付した細胞採取用容器の送付を受けた医療機関(管理センター)1は、患者3の細胞IDを添付した細胞採取用容器を受領し(ステップ186)、この送付を受けた患者3の細胞IDを添付した細胞採取用容器を医療機関(管理センター)1は、担当医師2に交付する(ステップ188)。
【0027】
この医療機関(管理センター)1から患者3の細胞IDを添付した細胞採取用容器を交付された担当医師2は、患者3の細胞IDを添付した細胞採取用容器を受領する(ステップ190)。この患者3の細胞IDを添付した細胞採取用容器を受領した担当医師2は、患者3に対し、再生医療に用いる細胞の採取の実施を行う(ステップ192)。担当医師2は、患者3と再生医療に用いる細胞の採取を行う(ステップ194)。この患者3と再生医療に用いる細胞の採取を行うと、患者3は、担当医師2に対し再生医療に用いる細胞の提供を行う(ステップ196)。この患者3から再生医療に用いる細胞の提供を受けた担当医師2は、再生医療に用いる細胞を受領し(ステップ198)、この患者3から提供を受けた再生医療に用いる細胞を細胞IDの添付された細胞採取用容器に格納する(ステップ200)。
【0028】
この再生医療に用いる細胞の採取については、患者3から採取する場合を説明しているが、患者3からの採取が困難な場合(高齢で採取に耐える力がない場合、細胞が異常で採取して使用するには問題がある場合等)は、近親者(例えば、親、兄弟、子供といった三親等以内の者)に提供して貰う場合もある。また、さらに、不適合がなければ、第三者の細胞を用いることもある。
【0029】
この採取した細胞を細胞IDの添付された細胞採取用容器に格納すると、担当医師2は、この採取細胞を格納した細胞採取用容器を冷凍(具体的には、液体窒素の中に入れて冷凍)して細胞培養機関(再生管理センター)4に送付する(ステップ202)。この採取細胞を格納した細胞採取用容器の送付を受けた細胞培養機関(再生管理センター)4では、この採取細胞を格納した細胞採取用容器を受け入れる(ステップ204)。この細胞採取用容器の受け入れを行うと、細胞培養機関(再生管理センター)4は、採取細胞の受入票を作成する(ステップ206)。
【0030】
この採取細胞の受入票の作成に当たって、細胞培養機関(再生管理センター)4は、医療機関(管理センター)1に対し、採取細胞の患者3の名前と、採取部位、細胞を採取した医師名(この場合、細胞を採取した医師と担当医師2とが一致するとは限らない)の確認を行う(ステップ208)。この細胞培養機関(再生管理センター)4からの採取細胞の患者3の名前と、採取部位、細胞を採取した医師名の確認の問い合わせ受けると、医療機関(管理センター)1は、該当する患者3の細胞を採取した医師の確認を行う(ステップ210)。そして、医療機関(管理センター)1は、担当医師2(細胞を採取した医師)に該当する患者3の名前と、細胞を採取した採取部位(例えば、骨髄)の問い合わせを行う(細胞を採取した医師が担当医師2でない場合にも、担当医師2に問い合わせる場合が多い)(ステップ212)。この問い合わせを受けた担当医師2は、細胞培養機関(再生管理センター)4から問い合わせを受けた採取細胞の患者3の名前と、採取部位についての確認作業を行う(ステップ214)。
【0031】
そして、この採取細胞の患者3の名前と、採取部位の確認作業を行った担当医師2は、医療機関(管理センター)1に対し確認した採取細胞の患者3の名前と、採取部位の報告(連絡)を行う(ステップ216)。この担当医師2からの報告を受け、医療機関(管理センター)1側は、この採取細胞の患者3の名前と、採取部位の報告(連絡)を受領し(ステップ218)、この担当医師2から報告された採取細胞の患者3の名前と採取部位を細胞培養機関(再生管理センター)4に報告(連絡)する(ステップ220)。この医療機関(管理センター)1からの報告を受けて、細胞培養機関(再生管理センター)4は、報告を受けた採取細胞の患者名・採取部位と、採取細胞受入時に添付されていた患者名・採取部位との照合を行う(ステップ222)。この照合によって一致しない場合は、細胞培養機関(再生管理センター)4は、報告を受けた採取細胞の患者名・採取部位と、採取細胞受入時に添付されていた患者名・採取部位とが一致しないとの理由で採取細胞受入を拒否する。
【0032】
この報告を受けた採取細胞の患者名・採取部位と、採取細胞受入時に添付されていた患者名・採取部位との照合の結果、報告を受けた採取細胞の患者名・採取部位と、採取細胞受入時に添付されていた患者名・採取部位とが一致すると、細胞培養機関(再生管理センター)4は、提供を受けた採取細胞に対する細胞培養の受入作業を行う(ステップ224)。この細胞培養の受入作業に入ると、細胞培養機関(再生管理センター)4は、まず、受入検査を行う(ステップ226)。この受入検査は、採取細胞が病原体に犯されていないかの感染症の有無、採取細胞が培養できるものであるかの培養可能性、採取細胞が抗生物質の投与によって汚染されていないかの抗生物質の有無、採取細胞の中に異物が混入していないかの異物混入の有無について検査を行う。
【0033】
この細胞培養機関(再生管理センター)4における受入検査の時に、担当医師2は、自分の患者3の採取細胞の状態がどのような状態かを知るために、採取細胞の異常性の問い合わせを行うことができる(ステップ228)。この担当医師2からの採取細胞の異常性の問い合わせに対し、細胞培養機関(再生管理センター)4は、問い合わせてきた担当医師2に対し、患者のIDコードNo.と、医師のIDコードNo.の問い合わせを行う(ステップ230)。この細胞培養機関(再生管理センター)4からの問い合わせに対し、担当医師2が患者のIDコードNo.と、医師のIDコードNo.を回答する(ステップ232)と、細胞培養機関(再生管理センター)4では、担当医師2が回答してきた患者のIDコードNo.と、医師のIDコードNo.が間違っていないかのチェックを行い、担当医師2が回答してきた患者のIDコードNo.と、医師のIDコードNo.が間違っていない場合には、採取細胞の異常性を担当医師2に回答する(ステップ234)。
【0034】
この細胞培養機関(再生管理センター)4における受入検査を行い、異常がない場合には、細胞培養機関(再生管理センター)4において、さらに分離作業が行われる(ステップ236)。この細胞培養機関(再生管理センター)4における分離作業は、所望の組織を形成する幹細胞だけを分離して取り出す作業で、この分離作業によって得られた幹細胞については、この分離作業において、所望の組織を形成する幹細胞だけが分離されているか否かの分離細胞の検査と、分離細胞の中に異物が混入していないかの異物混入の有無について検査を行う。
【0035】
この細胞培養機関(再生管理センター)4における分離作業の時に、担当医師2は、自分の患者3の採取細胞の細胞培養の進捗状況がどのような状態になっているのかを知るために、細胞培養の進捗状況の問い合わせを行うことができる(ステップ238)。この担当医師2からの採取細胞の細胞培養の進捗状況の問い合わせに対し、細胞培養機関(再生管理センター)4は、問い合わせてきた担当医師2に対し、患者のIDコードNo.と、医師のIDコードNo.の問い合わせを行う(ステップ240)。この細胞培養機関(再生管理センター)4からの問い合わせに対し、担当医師2が患者のIDコードNo.と、医師のIDコードNo.を回答する(ステップ242)と、細胞培養機関(再生管理センター)4では、担当医師2が回答してきた患者のIDコードNo.と、医師のIDコードNo.が間違っていないかのチェックを行い、担当医師2が回答してきた患者のIDコードNo.と、医師のIDコードNo.が間違っていない場合には、採取細胞の細胞培養の進捗状況を担当医師2に回答する(ステップ244)。
【0036】
この細胞培養機関(再生管理センター)4における分離作業において、所望の組織を形成する幹細胞だけを分離して取り出すことが問題なく行われ、分離細胞の中に異物が混入していないことがわかると、細胞培養機関(再生管理センター)4においては、分離細胞の培養処理が行われる(ステップ246)。この細胞培養機関(再生管理センター)4における培養処理は、複数の細胞から所望の組織を形成する幹細胞だけを分離した分離細胞を栄養物を混合した培地(具体的には、培養液)に播種する分離細胞培地播種と、分離細胞を栄養物を混合した培地に播種し培養するのに適した温度に加温する分離細胞培養開始と、分離細胞がどのように生育していくか生育の状態を監視する生育状態のチェックと、分離細胞が生育していく段階で癌細胞に変質していないかの癌化チェックと、分離細胞が生育していく上で培地が十分な栄養分を有しているか否かの培地の状態チェックと、培地に雑菌が繁殖しないか否かの培地の管理と、分離細胞の生育状態を手術時期に合わせてコントロールする培養制御・管理と、分離細胞が増殖生育し組織化していくにしたがって培地内における分離細胞の密度が高くなり成長速度が低下してくるのを防止する継代を行う継代の実施を行う。
【0037】
この細胞培養機関(再生管理センター)4における培養処理の時に、担当医師2は、自分の患者3の採取細胞の培養処理がどのような状態になっているのかを知るために、細胞培養の進捗状況(培養処理)の問い合わせを行うことができる(ステップ248)。この担当医師2からの採取細胞の細胞培養の進捗状況(培養処理)の問い合わせに対し、細胞培養機関(再生管理センター)4は、問い合わせてきた担当医師2に対し、患者のIDコードNo.と、医師のIDコードNo.の問い合わせを行う(ステップ250)。この細胞培養機関(再生管理センター)4からの問い合わせに対し、担当医師2が患者のIDコードNo.と、医師のIDコードNo.を回答する(ステップ252)と、細胞培養機関(再生管理センター)4では、担当医師2が回答してきた患者のIDコードNo.と、医師のIDコードNo.が間違っていないかのチェックを行い、担当医師2が回答してきた患者のIDコードNo.と、医師のIDコードNo.が間違っていない場合には、採取細胞の細胞培養の進捗状況(培養処理)を担当医師2に回答する(ステップ254)。
【0038】
この細胞培養機関(再生管理センター)4における分離作業の時、培養処理の時に、患者3は、自分の疾病の治療に使用される培養細胞の進捗状況がどのような状態になっているのかを知るために、細胞培養の進捗状況の問い合わせを担当医師2に行うことができる(ステップ256)。この患者3からの培養細胞の進捗状況の問い合わせが行われると、担当医師2は、この患者3の細胞培養の進捗状況について回答を行う(ステップ258)。ここでは、患者3は、自分の疾病の治療に使用される培養細胞の進捗状況を自分の担当医師2に行うようになっているが、患者3が直接細胞培養機関(再生管理センター)4に問い合わせるようにしてもよい。この場合は、他人の個人情報が外部に漏れるのを防止するため、二重、三重のセキュリティチェックが必要なことは説明するまでもない。
【0039】
このようにして細胞培養機関(再生管理センター)4における幹細胞の培養が完了すると、出荷検査(出荷作業)が行われる(ステップ260)。この細胞培養機関(再生管理センター)4における出荷検査(出荷作業)は、出荷される幹細胞によって治療を行うものであるため、幹細胞を移植した後に、移植した幹細胞が原因で異常が生じるようなことになっては何のための治療か分からなくなってしまう。そこで、出荷検査(出荷作業)は、出荷前に必要最低限の検査を行うことである。この出荷検査(出荷作業)では、幹細胞そのものに異常がないか、すなわち幹細胞が癌化していないか他の病原体によって汚染されていないか、といった幹細胞の品質検査を行う。この幹細胞の品質検査の結果、幹細胞そのものに異常がないことが判明すると、幹細胞の出荷の準備を行う。この幹細胞の出荷の準備は、細胞培養が終了した幹細胞を外部からの雑菌の侵入等がないように安全に医療機関(管理センター)1に届けられ、担当医師2に渡るようにするためのものである。この幹細胞の出荷の準備が終わると、細胞培養機関(再生管理センター)4では、細胞培養した幹細胞が採取細胞を提供した患者3に移植されるように、あるいは、予め特定の患者3に移植する目的で採取した細胞が目的とする患者3に移植されるように採取細胞を送付した医療機関(管理センター)1、患者名と、出荷先の医療機関(管理センター)1、患者名との照合を行う。これが、出荷先の確認である。この出荷先の確認ができると、実際に細胞培養した幹細胞の出荷となる。
【0040】
この出荷検査(出荷作業)が完了すると、細胞培養機関(再生管理センター)4は、細胞培養の依頼を受けた医療機関(管理センター)1に、細胞培養した幹細胞を出荷する(ステップ262)。この細胞培養した幹細胞が出荷されると、医療機関(管理センター)1では、細胞培養した幹細胞を受領し(ステップ264)、受領した幹細胞の細胞IDと該当する患者3の名前が一致するか否かの照合を行う(ステップ266)。この細胞IDと該当する患者3の名前が一致するか否かの照合を行い、一致する場合は、細胞IDの付された細胞を採取した医師(必ずしも担当医2であるとは限らない)の確認を行う(ステップ268)。そして、医療機関(管理センター)1は、この細胞IDの付された細胞を採取した医師を確認して、細胞培養機関(再生管理センター)4から送付されてきた幹細胞を患者3の担当医師2に提供する(ステップ270)。
【0041】
この医療機関(管理センター)1から提供された幹細胞は、担当医師2によって受領される(ステップ272)。この幹細胞を受領すると、担当医師2は、受領した幹細胞の細胞IDから該当する患者3を確認する(ステップ274)。そして、幹細胞の細胞IDから該当する患者3を確認すると、担当医師2は、患者3に対して幹細胞の移植手術を行う(ステップ276)。
【0042】
このようにして患者3は、担当医師2の手によって幹細胞の移植手術を受ける(ステップ278)。この幹細胞の移植手術は、担当医師2から医療機関(管理センター)1に報告され(ステップ280)、医療機関(管理センター)1では、担当医師2から幹細胞の移植手術の報告を受領する(ステップ282)。
【0043】
また、幹細胞の移植手術を受けた後、担当医師2は、患者3の幹細胞の成長の確認を行い(ステップ284)、移植した幹細胞の患者3の患部への定着状態の確認を行う(ステップ286)。この移植した幹細胞の患者3の患部への定着状態の確認を行うと、経過状況として、移植した幹細胞によって患者3の患部組織が形成されているか否かの確認を行う(ステップ288)。この移植した幹細胞によって患者3の患部組織が形成されているか否かの確認を行い、この幹細胞による組織の形成によって患者3の患部の元の組織が再生したか否かの確認を行う(ステップ290)。この幹細胞による組織の形成によって患者3の患部の元の組織が再生すると、幹細胞によって再生した組織が所期の機能(切除した組織の本来の機能)を有しているか否かの確認を行う(ステップ292)。そして、この幹細胞によって再生した組織が所期の機能(切除した組織の本来の機能)を有していることが確認されると、治療は成功したことになり、患者3の治療を終了する(ステップ294)。
【0044】
このように幹細胞を患者3の患部に移植して自らの再生力によって組織を再生する場合の他、組織を外部で形成して、それを移植することがある。この場合は、細胞培養機関(再生管理センター)4における分離作業において、分離細胞が増殖生育し組織化していくにしたがって培地内における分離細胞の密度が高くなり成長速度が低下してくるのを防止する継代を行う継代の実施を行った後、出荷検査(出荷作業)に入らずに分化誘導が行われる(ステップ298)。
【0045】
この細胞培養機関(再生管理センター)4における分化誘導は、細胞培養した幹細胞を特定の組織に分化する誘導(例えば、歯胚細胞への分化)を行うものである。すなわち、細胞培養した幹細胞を取り出し、特定の組織を形成するように分化するのを誘導する前に、分化する幹細胞が特定の組織に分化する幹細胞だけか否かの事前検査を行う。そして、この幹細胞の特定組織の細胞への分化誘導前の検査で分化した幹細胞が特定の組織に分化する幹細胞だけで、組織形成を行っても問題がないとなると、幹細胞の特定組織の細胞への分化誘導を開始する。すなわち、細胞培養した幹細胞を特定の組織に分化するように誘導する。
【0046】
この細胞培養機関(再生管理センター)4における分化誘導の時に、担当医師2は、自分の患者3の採取細胞の分化誘導がどのような状態になっているのかを知るために、細胞培養の進捗状況(分化誘導)の問い合わせを行うことができる(ステップ300)。この担当医師2からの採取細胞の細胞培養の進捗状況(分化誘導)の問い合わせに対し、細胞培養機関(再生管理センター)4は、問い合わせてきた担当医師2に対し、患者のIDコードNo.と、医師のIDコードNo.の問い合わせを行う(ステップ302)。この細胞培養機関(再生管理センター)4からの問い合わせに対し、担当医師2が患者のIDコードNo.と、医師のIDコードNo.を回答する(ステップ304)と、細胞培養機関(再生管理センター)4では、担当医師2が回答してきた患者のIDコードNo.と、医師のIDコードNo.が間違っていないかのチェックを行い、担当医師2が回答してきた患者のIDコードNo.と、医師のIDコードNo.が間違っていない場合には、採取細胞の細胞培養の進捗状況(分化誘導)を担当医師2に回答する(ステップ306)。
【0047】
この細胞培養機関(再生管理センター)4における分化誘導において、所望の組織を形成するように分化誘導を行うと、細胞培養機関(再生管理センター)4においては、幹細胞による組織形成が行われる(ステップ308)。この細胞培養機関(再生管理センター)4における幹細胞による組織形成は、細胞培養した幹細胞の分化誘導した分化細胞を栄養物を混合した培地(具体的には、培養液)に播種する分化細胞培地播種と、分化細胞を栄養物を混合した培地に播種し培養するのに適した温度に加温する分化細胞培養開始と、分化細胞が組織を形成していく状態を監視する組織形成状態のチェックと、分化細胞が生育していく段階で癌細胞に変質していないかの癌化チェックと、分化細胞が生育していく上で培地が十分な栄養分を有しているか否かの培地の状態チェックと、培地に雑菌が繁殖しないか否かの培地の管理と、分化細胞の組織形成状態を手術時期に合わせてコントロールする培養制御・管理と、分化細胞が増殖生育し組織形成化していくにしたがって培地内における分化細胞の密度が高くなり成長速度が低下してくるのを防止する継代を行う継代の実施を行う。
【0048】
この細胞培養機関(再生管理センター)4における組織形成の時に、担当医師2は、自分の患者3の分化細胞の組織形成がどのような状態になっているのかを知るために、組織形成状況の問い合わせを行うことができる(ステップ310)。この担当医師2からの組織形成状況の問い合わせに対し、細胞培養機関(再生管理センター)4は、問い合わせてきた担当医師2に対し、患者のIDコードNo.と、医師のIDコードNo.の問い合わせを行う(ステップ312)。この細胞培養機関(再生管理センター)4からの問い合わせに対し、担当医師2が患者のIDコードNo.と、医師のIDコードNo.を回答する(ステップ314)と、細胞培養機関(再生管理センター)4では、担当医師2が回答してきた患者のIDコードNo.と、医師のIDコードNo.が間違っていないかのチェックを行い、担当医師2が回答してきた患者のIDコードNo.と、医師のIDコードNo.が間違っていない場合には、組織形成状況を担当医師2に回答する(ステップ316)。
【0049】
この細胞培養機関(再生管理センター)4における組織形成において、所望の組織の形成が行われ、継代の実施がなされると、細胞培養機関(再生管理センター)4においては、組織の生成が行われる(ステップ318)。この細胞培養機関(再生管理センター)4における組織の生成は、分化細胞が成長し継代の実施を行い、各継代を培養する継代の培養と、細胞培養によって増殖成長した各継代を合わせ1つの組織を形成させる継代同士の結合と、この継代同士の結合によって所望の組織を生成する組織の生成を行う。
【0050】
この細胞培養機関(再生管理センター)4における組織の生成の時に、担当医師2は、自分の患者3の分化細胞の組織の生成がどのような状態になっているのかを知るために、組織の生成状況の問い合わせを行うことができる(ステップ320)。この担当医師2からの組織の生成状況の問い合わせに対し、細胞培養機関(再生管理センター)4は、問い合わせてきた担当医師2に対し、患者のIDコードNo.と、医師のIDコードNo.の問い合わせを行う(ステップ322)。この細胞培養機関(再生管理センター)4からの問い合わせに対し、担当医師2が患者のIDコードNo.と、医師のIDコードNo.を回答する(ステップ324)と、細胞培養機関(再生管理センター)4では、担当医師2が回答してきた患者のIDコードNo.と、医師のIDコードNo.が間違っていないかのチェックを行い、担当医師2が回答してきた患者のIDコードNo.と、医師のIDコードNo.が間違っていない場合には、組織の生成状況を担当医師2に回答する(ステップ326)。
【0051】
この細胞培養機関(再生管理センター)4における組織形成の時、組織の生成の時に、患者3は、自分の疾病の治療に使用される組織がどのような状態になっているのかを知るために、織織形成状況、組織の生成状況の問い合わせを担当医師2に行うことができる(ステップ328)。この患者3からの織織形成状況、組織の生成状況の問い合わせが行われると、担当医師2は、この患者3の細胞培養による織織形成状況、組織の生成状況について回答を行う(ステップ330)。ここでは、患者3は、自分の疾病の治療に使用される培養細胞による織織形成状況、組織の生成状況を自分の担当医師2に行うようになっているが、患者3が直接細胞培養機関(再生管理センター)4に問い合わせるようにしてもよい。この場合は、他人の個人情報が外部に漏れるのを防止するため、二重、三重のセキュリティチェックが必要なことは説明するまでもない。
【0052】
このようにして細胞培養機関(再生管理センター)4における組織の生成が完了すると、出荷検査(出荷作業)が行われる(ステップ332)。この細胞培養機関(再生管理センター)4における出荷検査(出荷作業)は、出荷される再生組織によって治療を行うものであるため、再生組織を移植した後に、移植した再生組織が原因で異常が生じるようなことになっては何のための治療か分からなくなってしまう。したがって、出荷検査(出荷作業)は、出荷前に必要最低限の検査を行うことである。この出荷検査(出荷作業)では、再生組織そのものに異常がないか、すなわち再生組織を形成している細胞が癌化していないか他の病原体によって汚染されていないか、といった再生組織の品質検査を行う。この再生組織の品質検査の結果、再生組織そのものに異常がないことが判明すると、再生組織の出荷の準備を行う。この再生組織の出荷の準備は、組織の生成が終了した再生組織を外部からの雑菌の侵入等がないように安全に医療機関(管理センター)1に届け、担当医師2に渡るようにするためのものである。この再生組織の出荷の準備が終わると、細胞培養機関(再生管理センター)4では、細胞培養し組織の生成が行われた再生組織が採取細胞を提供した患者3に移植されるように、あるいは、予め特定の患者3に移植する目的で採取した細胞が目的とする患者3に移植されるように採取細胞を送付した医療機関(管理センター)1、患者名と、出荷先の医療機関(管理センター)1、患者名との照合を行う。これが、出荷先の確認である。この出荷先の確認ができると、実際に細胞培養した再生組織の出荷となる。
【0053】
この出荷検査(出荷作業)が完了すると、細胞培養機関(再生管理センター)4は、細胞培養の依頼を受けた医療機関(管理センター)1に、細胞培養し組織の生成が行われた再生組織を出荷する(ステップ334)。この細胞培養し組織の生成が行われた再生組織が出荷されると、医療機関(管理センター)1では、細胞培養し組織の生成が行われた再生組織を受領し(ステップ336)、受領した再生組織の形成に使用された幹細胞の細胞IDと幹細胞を形成するのに細胞を採取した患者3の名前が一致するか否かの照合を行う(ステップ338)。この再生組織の形成に使用された幹細胞の細胞IDと該当する患者3の名前が一致するか否かの照合を行い、一致する場合、医療機関(管理センター)1は、再生組織の形成に使用された幹細胞の細胞IDの付された細胞を採取した医師(必ずしも担当医2であるとは限らない)の確認を行う(ステップ340)。そして、医療機関(管理センター)1は、この細胞IDの付された細胞を採取した医師を確認して、細胞培養機関(再生管理センター)4から送付されてきた再生組織を患者3の担当医師2に提供する(ステップ342)。
【0054】
この医療機関(管理センター)1から提供された再生組織は、担当医師2によって受領される(ステップ344)。この再生組織を受領すると、担当医師2は、受領した再生組織の形成に使用された幹細胞の細胞IDから該当する患者3を確認する(ステップ346)。そして、再生組織の形成に使用された幹細胞の細胞IDから該当する患者3を確認すると、担当医師2は、患者3に対して再生組織の移植手術を行う(ステップ348)。
【0055】
このようにして患者3は、担当医師2の手によって再生組織の所定部位への移植手術を受ける(ステップ350)。この再生組織の移植手術は、担当医師2から医療機関(管理センター)1に報告され(ステップ352)、医療機関(管理センター)1では、担当医師2から再生組織の移植手術の報告を受領する(ステップ354)。
【0056】
また、再生組織の移植手術を受けた後、担当医師2は、患者3の所定部位へ移植した再生組織が成長しているかの確認を行う(ステップ356)。そして、移植した再生組織が患者3の患部への定着状態、すなわち、移植した再生組織が周囲の組織と結合し定着しているか否かの状態の確認を行う(ステップ358)。この移植した再生組織が周囲の組織と結合し定着しているか否かの状態の確認を行うと、経過状況として、移植した再生組織が患者3の患部組織として形成されているか否かの確認を行う(ステップ360)。さらに、移植した再生組織により患部組織が再生されたか否かの確認を行う(ステップ362)。
【0057】
そして、この移植した再生組織によって再生した患部組織が再生すると、移植した再生組織によって再生した患部組織が所期の機能(切除した組織の本来の機能)を有しているか否かの確認を行う(ステップ364)。そして、担当医師2は、治療効果が上がっているか否かの確認を行い(ステップ366)、効果が上がることによって治癒を確認する(ステップ368)。そして、担当医師2は、患者3に対し、再生組織による治療の完了の通知を行い(ステップ370)、患者3は、治療を完了する(ステップ372)。また、担当医師2は、医療機関(管理センター)1側に、再生組織による治療の完了の報告を行い(ステップ374)、この再生組織による治療の完了の報告によって医療機関(管理センター)1は、再生組織による治療の完了の報告を受領する(ステップ376)。
【0058】
次に、図17〜図26を用いて細胞培養機関(再生管理センター)4の処理について説明する。
図17には、細胞培養機関(再生管理センター)4の処理内容を表す系統図が示されている。
図17において、細胞培養機関(再生管理センター)4においては、患者3から細胞を採取すると、受入検査410を行う。
【0059】
この受入検査410の処理内容及び処理方法は、図18に示されている。すなわち、患者3から細胞を採取すると、採取細胞の受付411の処理を行う。この採取細胞の受付411の処理は、単に、採取した細胞の収納されている医療機関(管理センター)1から送付されてきた容器を受け取る(液体窒素によって冷凍状態にしてある)だけである。この採取細胞の受付411の処理に当たっては、医療機関(管理センター)1からの細胞培養機関(再生管理センター)4に対する採取細胞の培養についての事前の申込みに基づいて、細胞培養機関(再生管理センター)4では患者3の細胞IDを決定し、患者3から採取する細胞に細胞IDを付与し、採取した細胞を収納する容器を医療機関(管理センター)1に交付してある。
【0060】
この採取細胞の受付411の処理を行うと、受け付けた採取細胞の特定を行う採取細胞の特定412の処理を行う。この採取細胞の特定412の処理は、容器に格納して納入された採取細胞がどのようなものなのかを特定するもので、具体的には、採取した細胞の患者3の名前と、細胞を採取した採取部位(例えば、骨髄)、細胞を採取した医師名(この場合、胞を採取した医師と担当医師2とが一致するとは限らない)の特定を行う。この採取細胞の特定412の処理の後の段階で、細胞IDの付与413の処理、すなわち、採取細胞に対するIDコードNo.を付与する場合がある。
【0061】
この採取細胞の特定412の処理において採取細胞の特定が行われると、受入票の作成414の処理を行う。この受入票は、医療機関(管理センター)1からの細胞培養機関(再生管理センター)4に対する採取細胞の培養についての事前の申込みがあると、患者名、病院名等わかる範囲で事前に記載して用意する(仮の受入票の作成)。そして、実際には、採取細胞の受付411の処理、採取細胞の特定412の処理を行ってから正式な受入票の作成が行われる。
【0062】
この受入票は、図19〜図20に示す如き記載事項について記載する。この受入票の記載事項として、患者を特定するために採取者名(患者名)、採取者(患者)の生年月日、性別、年齢、住所、連絡先を記載する。さらに、依頼者名(これは、患者であることが通常)、依頼者IDコードNo.(これは、依頼者を特定するために医療機関1又は細胞培養機関4が付与する)、住所、連絡先を記載する。これらは個人を特定するための個人情報である。そして、受入票の記載事項としては、医療機関(管理センター)1からの細胞培養機関(再生管理センター)4に対する採取細胞の培養についての事前の申込みによって細胞培養機関(再生管理センター)4が付与した採取細胞の特定番号(IDコードNo.又はバーコード)を記載する。この採取細胞の特定番号は、細胞採取の前に付与されている。これが採取細胞を特定するものである。そして、この採取細胞の特定番号と、採取者名(患者名)と、依頼者IDコードNo.とが両者を結びつける情報となる。また、この採取細胞の特定に当たっては、依頼者IDコードNo.と患者に関する情報(例えば、氏名、住所、性別、生年月日、細胞採取機関、担当医師、採取細胞の部位、細胞培養機関、細胞採取年月日等)を記録したRF(Radio Frequency=無線周波数)IDチップを用いることもできる。このRFIDチップをRFタグ(Tag=標識)として採取用容器に内蔵することによって採取した細胞の検体を特定することができる。
【0063】
さらに、細胞を採取した採取医師名、採取病院、採取年月日が記載される。そして、何処の細胞を採取したのかを示す採取細胞(採取部位、例えば、骨髄、歯根、臓器等)、どのような再生細胞を求めるのか(希望培養)、幹細胞なのか、再生組織(皮膚、臓器等)なのかの別を記載する。そして、この幹細胞、再生組織は、何処に出荷するのかを示す出荷先(再生細胞銀行に預託するのか、移植する病院に送るのか)を記載する。この細胞培養機関(再生管理センター)4においては、採取した細胞を培養して、幹細胞あるいは再生組織を生成するだけで、保存することはしない。勿論、幹細胞あるいは再生組織を保存する機能、スペースがあれば、再生細胞銀行のような業務を行うこともできるが、ここでは幹細胞あるいは再生組織の預託はしないものとしている。
【0064】
図18において、受入票の作成414の処理が行われると、採取した細胞について異常があるかないかを検査する細胞異常検査415の処理を行う。この細胞異常検査415の処理には、感染症検査415Aの処理、癌化検査415Bの処理、異分化処理415Cの処理がある。この感染症検査415Aの処理は、採取した細胞が病原体に汚染されていないかどうかを検査するもので、既存の検査方法である免疫検査法、核酸検査法等によって行う。また、癌化検査415Bの処理は、採取した細胞が癌細胞に変化していないかどうかを検査するもので、癌遺伝子検査法、癌抑制遺伝子検査法、細胞増殖検査法、病理検査法等によって行う。さらに、異分化処理415Cの処理は、所望の組織を形成する幹細胞を分離して排除するもので、所望の組織を形成する幹細胞を分別する方法として分化マーカー、外観・立体感消失、外観・伸展がある。
【0065】
図18において、細胞異常検査415の処理が行われると、採取した細胞について培養できるか否か、すなわち、細胞レベル検査416の処理を行う。この細胞レベル検査416の処理には、細胞被数416Aの処理、活性度416Bの処理、抗生物質検査416Cの処理、異物混入検査416Dの処理がある。
【0066】
細胞培養機関(再生管理センター)4においては、図17において、患者3から細胞を採取し、受入検査410を行うと、次に分離作業420を行う。
この分離作業420の処理内容及び処理方法は、図21に示されている。すなわち、患者3から採取した細胞について受入検査410を行った後、分離作業420においては、再生組織の確認421の処理を行う。この再生組織の確認421の処理は、採取した細胞が何の組織を再生するためのものであるかを確認する作業である。この再生組織の確認421の処理を行うと、幹細胞の特定422の処理を行う。この幹細胞の特定422の処理は、特定の組織を再生するための幹細胞がどれかを特定する作業である。この幹細胞の特定422の処理を行うと、幹細胞の分離423の処理を行う。この幹細胞の分離423の処理は、特定した幹細胞を他の細胞から分離して取り出す作業である。この幹細胞の分離423の処理には、分離した幹細胞を検査する分離細胞検査423Aの処理、分離した幹細胞の中に異物が混入していないかを検査する異物混入検査423Bの処理がある。
【0067】
細胞培養機関(再生管理センター)4において、図17における分離作業420が終了すると、次に培養処理430を行う。
この培養処理430の処理内容及び処理方法は、図22に示されている。すなわち、分離した幹細胞について培養処理430においては、まず、分離した幹細胞を培地に播く分離細胞培地播種431の処理を行う。この分離細胞培地播種431の処理においては、培地に播いた分離した幹細胞の播種状態をチェックする細胞播種状態431Aの処理を行う。
この分離細胞培地播種431の処理を行うと、分離細胞を培養する分離細胞培養開始432の処理を行う。この分離細胞培養開始432の処理が行われると、培地に播かれた幹細胞がどのように成育しているかをチェックする成育状態チェック433の処理が行われる。この成育状態チェック433の処理には、培養して増殖した細胞の数を計数する細胞数433Aの処理、培養して増殖した細胞の形態がどのようになっているかを見る細胞の形態433Bの処理、培養して増殖した細胞の周りがどのようになっているか見る細胞の辺縁433Cの処理、培養して増殖した細胞の増殖状態がどのようになっているか見る細胞増殖速度433Dの処理がある。
【0068】
この成育状態チェック433の処理を行うと、成育した細胞が正常に成長しているか、すなわち、癌細胞に変化しいていないかどうかをチェックする癌化チェック434の処理を行う。この癌化チェック434の処理は、成育した細胞を採取し、この細胞が癌細胞になっていないかを調べる癌化検査434Aの処理を行う。そして、この癌化チェック434の処理によって成育した細胞が正常に成長している、すなわち、癌細胞に変化していないとなると、分離した幹細胞を播いた培地の状態がどのような状態になっているのかを見る培地の状態チェック435の処理を行う。この培地の状態チェック435の処理には、まず、培地(培養液)が正常か、すなわち培地の濁り具合を検査する培地混濁度435Aの処理、培地をいつ交換するかの培地交換時期435Bの処理、培地に入っている成長細胞がどの程度の活力を持っているのかを見る活性度435Cの処理、培地の中に微生物(病原菌等)が入り込んでいないかを見る微生物検査435Dの処理がある。
【0069】
この培地の状態チェック435の処理を行うと、継続して培地の状態を見ていく培地の管理436の処理を行う。この培地の管理436の処理は、培地を監視し続ける培地モニタ436Aの処理を行う。そして培地の管理436の処理を行うと、培養制御、管理437の処理を行う。この培養制御、管理437の処理には、環境状態がどのようになっているのかを見る環境モニタ437Aの処理、細胞を剥がして増殖しやすい状態にする継代を行う時期を見定める継代の時期437Bの処理がある。
【0070】
この培養制御、管理437の処理を行うと、細胞を剥がして増殖しやすい状態にする継代を行う、継代の実施438の処理を行う。この継代の実施438の処理は、継代後の細胞監視438Aの処理を含んでいる。
【0071】
細胞培養機関(再生管理センター)4において、図17における培養処理430が終了すると、次に幹細胞生成440、分割450、出荷検査460A、出荷検査460B、出荷470A、出荷470Bを行う。
この幹細胞生成440、分割450、出荷検査460、出荷470の各処理内容及び処理方法は、図23に示されている。すなわち、培養処理430が終了すると、分離した幹細胞が所望の幹細胞に生成される幹細胞生成441の処理を行う。そして、幹細胞が生成されると、生成された幹細胞を何回かに分けて出荷できるように分割450が行われる。この分割450が行われると、出荷検査460Aを行う。この出荷検査460Aに当たっては、まず、生成された幹細胞の状態が移植可能な物か否かを見る幹細胞品質検査461の処理を行う。この幹細胞品質検査461の処理には、本人確認461Aの処理、癌化検査461Bの処理がある。この幹細胞品質検査461の処理で適合すると、幹細胞出荷準備462の処理を行う。そして、この幹細胞出荷準備462の処理に伴って、出荷先の確認463の処理を行う。このように出荷検査460Aを行うと、出荷470A、すなわち現実に幹細胞を出荷する幹細胞の出荷471の処理を行う。
この図23において、出荷検査460B、出荷470Bのルートは、2回目の幹細胞の出荷を示している。
【0072】
細胞培養機関(再生管理センター)4において、図17における培養処理430が終了し、幹細胞生成440が行われると、この幹細胞のまま出荷する方法と、さらに組織を形成する方法とがある。この組織を形成する方法の場合は、幹細胞生成440の後、特定の組織を形成させるために細胞を所望の組織が形成されるように誘導していく分化誘導500を行う。
この分化誘導500の処理内容及び処理方法は、図24に示されている。すなわち、幹細胞生成440が行われると、まず、特定組織に分化する幹細胞の取り出し501の処理を行う。そして、次に幹細胞の特定組織の細胞への分化誘導前の検査502の処理を行う。この幹細胞の特定組織の細胞への分化誘導前の検査502の処理は、目的の組織を再生するのに適するか502Aの処理を行う。この目的の組織を再生するのに適するか502Aの処理で問題が無ければ、幹細胞の特定組織の細胞への分化誘導の開始503の処理を行う。そして、幹細胞の特定組織の細胞への分化誘導の完了504の処理を行う。この503の処理と504の処理は、特定組織再生細胞の抽出504Aの処理により行う。
【0073】
細胞培養機関(再生管理センター)4において、図17における分化誘導500が終了すると、次に組織形成510を行う。
この組織形成510の処理内容及び処理方法は、図25に示されている。すなわち、分化した幹細胞について組織形成510においては、まず、分化した幹細胞を培地に播く分化幹細胞培地播種511の処理を行う。この分化幹細胞培地播種511の処理においては、培地に播いた分化した幹細胞の播種状態をチェックする細胞播種状態511Aの処理を行う。
この分化幹細胞培地播種511の処理を行うと、分化幹細胞を培養する分化幹細胞培養開始512の処理を行う。この分化幹細胞培養開始512の処理が行われると、培地に播かれた幹細胞がどのように組織形成がなされるかをチェックする組織形成状態のチェック513の処理が行われる。この組織形成状態チェック513の処理には、培養して組織形成した組織の成長状態を見る組織の成長513Aの処理、培養して組織形成した組織の成長状態を見る組織の成長513Aの処理、培養して形成された組織状態がどのようになっているか見る組織成長速度513Bの処理、培養して増殖した組織の形態がどのようになっているかを見る組織の形状513Cの処理がある。
【0074】
この組織形成状態のチェック513の処理を行うと、成育した組織が正常に形成されているか、すなわち、癌細胞に変化してないかどうかをチェックする癌化チェック514の処理を行う。この癌化チェック514の処理は、形成した組織から細胞を採取し、この細胞が癌細胞になっていないかを調べる癌化検査514Aの処理を行う。そして、この癌化チェック514の処理によって形成した組織から採取した細胞が正常に成長している、すなわち、癌細胞に変化していないとなると、分化した幹細胞を播いた培地の状態がどのような状態になっているのかを見る培地の状態チェック515の処理を行う。この培地の状態チェック515の処理には、まず、培地(培養液)が正常か、すなわち培地の濁り具合を検査する培地混濁度515Aの処理、培地をいつ交換するかの培地交換時期515Bの処理、培地に入っている組織がどの程度の活力を持っているのかを見る活性度515Cの処理、培地の中に微生物(病原菌等)が入り込んでいないかを見る微生物検査515Dの処理がある。
【0075】
この培地の状態チェック515の処理を行うと、継続して培地の状態を見ていく培地の管理516の処理を行う。この培地の管理516の処理は、培地を監視し続ける培地モニタ516Aの処理を行う。そして培地の管理516の処理を行うと、培養制御、管理517の処理を行う。この培養制御、管理517の処理には、環境状態がどのようになっているのかを見る環境モニタ517Aの処理、細胞を剥がして増殖しやすい状態にする継代を行う時期を見定める継代の時期517Bの処理がある。
【0076】
この培養制御、管理517の処理を行うと、細胞を剥がして増殖しやすい状態にする継代を行う、継代の実施518の処理を行う。この継代の実施518の処理は、継代後の細胞監視518Aの処理を含んでいる。
【0077】
この培地の管理516の処理、培養制御、管理517の処理、継代の実施518の処理を経て、出荷検査520、出荷530となる。この出荷検査520、出荷530の各処理内容及び処理方法は、図26に示されている。すなわち、培地の管理516の処理を行うと、組織を剥がして組織形成しやすい状態にする継代の実施518の処理を行い、組織の生成・出荷検査520を行う。
この培地の管理516の処理、培養制御、管理517の処理、継代の実施518の処理を経て、出荷検査520、出荷530となる。この出荷検査520、出荷530の各処理内容及び処理方法は、図26に示されている。すなわち、培地の管理516の処理を行うと、組織を剥がして組織形成しやすい状態にする継代の実施518の処理を行って、分化した幹細胞による組織について組織の生成・出荷検査520においては、継代の実施518の処理によって分けられたそれぞれの継代を培養する継代の培養521の処理を行う。
【0078】
そして、それぞれ培養された継代を合わせて継代同士を互いに結合させる継代同士の結合522の処理を行う。この継代同士の結合522の処理は、組織の形成522Aの処理となる。この継代同士の結合522の処理によって、組織が形成される組織の生成を行う組織の生成523の処理を行う。そして、出荷検査520を行う。この出荷検査520に当たっては、まず、形成された組織の状態が移植可能なものか否かを見る組織の品質検査524の処理を行う。この組織の品質検査524の処理には、本人確認524Aの処理、癌化検査524Bの処理がある。この組織の品質検査524の処理で適合すると、組織の出荷準備525の処理を行う。そして、この組織の出荷準備525の処理に伴って、出荷先の確認526の処理を行う。このように出荷検査520を行うと、出荷530、すなわち現実に幹細胞を出荷する幹細胞の出荷531の処理を行う。
【0079】
このように細胞培養機関(再生管理センター)4において細胞培養処理された情報は、図27〜図29に示す如き個人データ票700の状態で細胞培養機関(再生管理センター)4の管理サーバに個人毎に管理データとしてデータベース化されて保存されている。この図27〜図29に示される個人データ票700には、細胞培養を行った個人のデータが示されている。この個人データ票700には、細胞を採取した被採取者の氏名、住所、年齢、性別、細胞採取の依頼者(通常は、被採取者)等の他、採取部位、癌細胞かの傾向等、個人の身体の属性が克明に記載され、しかも、採取細胞の各検査結果が詳細に記入される。この個人データ票700は、培養した細胞、組織の移植がどのような経緯で行われたかをいつでも追跡調査ができるようにすると共に、将来において被採取者の治療方法として細胞培養による再生医療が適しているか否かを測定する資料にするためである。
【0080】
次に、これらの細胞培養機関(再生管理センター)4で行われている本人、患者等の細胞培養の進捗状況、保管されている過去のデータ等の問い合わせ(検索)について図30〜図34を用いて説明する。
【0081】
まず、医師が自己が管理する医療機関(具体的には、病院)1のコンピュータの端末を立ち上げ、細胞培養機関(再生管理センター)4の管理サーバにアクセスすると、図30に示す如き画面が表示され、簡単に細胞培養機関(再生管理センター)4の管理サーバにアクセスできないことがディスプレィに表示される。そして、画面に表示された内容を了解すると、図31に示す如きアクセス者の個人を特定する問い合わせの画面がディスプレィに表示される。この図31に示す如き表示画面の個人情報の入力画面に入力すると、図32に示す如きセキュリティを守るための入力画面が表示される。この図32に図示の表示画面で重要なのは、細胞提供者(具体的には、患者)のIDコードNo.の入力と、アクセスしている人(具体的には、医師)のIDコードNo.の入力を求めている点である。これらの入力事項を入力すると、図33に示す如き入力画面がディスプレィに表示される。この図33においては、最後の扉となる細胞を採取する際に細胞培養機関(再生管理センター)4が付した細胞のIDコードNo.の入力を求めている。この細胞のIDコードNo.は、原則として医師(又は医療機関)にしか知らせていない。したがって、原則として細胞培養機関(再生管理センター)4の管理サーバにアクセスできる者は、担当医師2ということになる。
【0082】
この図33に記載される入力事項を入力すると、図34に示す如く、担当医師2が指定した患者3の個人データの管理票がアクセスしている人(具体的には、医師)のディスプレィに表示され、必要なデータが得られることになる。この担当医師2の管理するコンピュータの端末ディスプレィに画面表示される個人データの管理票は、図27〜図29に示される細胞培養機関(再生管理センター)4の管理サーバに収納されている個人データの管理票700と同一のものが表示される。
【0083】
この患者3の個人データのアクセスに関しては、患者3の個人データの管理票700と同一のデータが表示するのではなく、必要なデータのみ、例えば、現在細胞培養を行っている細胞に関するデータのみ(過去に行った細胞培養に関するデータ、他の担当医師が細胞培養の依頼をした細胞に関するデータ)を表示できるようにしても良い。この場合は、患者3の各データを細胞を採取する際に細胞培養機関(再生管理センター)4が付した細胞のIDコードNo.で括り、当該細胞のIDコードNo.とリンクして、当該細胞のIDコードNo.では、当該細胞のIDコードNo.に関するデータのみが読み出されるようにすることによって実現することができる。
【0084】
次に、医療機関(具体的には、病院)1からの細胞培養機関(再生管理センター)4に対する採取細胞の培養についての申込みが有り、医療機関(具体的には、病院)1において、担当医師2が患者3から細胞を採取し、細胞培養機関(再生管理センター)4に送られてきたときの細胞培養機関(再生管理センター)4の受付担当者の処理状況を、図35、図36で説明する。すなわち、医療機関(具体的には、病院)1からの細胞培養機関(再生管理センター)4に対する採取細胞が送付されてくると、図35に示す如く、受入担当者は、コンピュータの端末ディスプレィ上で、患者3と採取細胞とを関連づけるためのデータを入力する。
【0085】
所定の記載事項を記入することによって、医療機関(具体的には、病院)1からの細胞培養のための採取細胞の受入作業を完了する。この入力事項を全て入力すると、受入担当者の端末ディスプレィには、図36に示す如く、受入れた採取細胞について何を行うべきかを示す作業内容の一覧(担当者作業リスト)が表示される。この端末ディスプレィに表示された担当者作業リストは、細胞培養を行う手順毎の作業内容が表示される。この作業は、受入担当者がやることもあるが、分業化されると、受入担当者と作業担当者が異なってくる。
【0086】
受入作業が終わると、細胞培養作業に入るが、この細胞培養作業が最も重要で、現在の細胞培養作業における作業状況を示す管理データが図37に示されている。この図37には、細胞培養の依頼を受けた各細胞の作業状況が示されている。すなわち、図37において、細胞1(実際には、細胞IDコードNo.で表示)は、現在培養開始の作業であり、細胞2(実際には、細胞IDコードNo.で表示)は、癌化チェックの段階であるといったように、各細胞の培養処理における現在の作業が検体(細胞1、細胞2、・・・・・)に対応して培養処理に入っている各細胞の作業内容と、当該作業について未、済の表示がされる。
【0087】
また、実際に担当医師2が患者3の採取細胞の培養で関心が強いのが、その工程毎に行われる検査についての結果である。この検査結果が「×」ということになったり、出荷予定通り培養が進んでいるか、出荷が予定よりずれ込むことにでもなれば、培養細胞を用いた再生医療が実施できなくなるため、常に関心をもっているところである。この細胞検査結果の管理データが図38に示されている。この図38に図示の細胞検査結果管理の表は、検査した全ての細胞について細胞IDコードNo.で各検査の結果(「異常」、「正常」の表示)が表示され、それが何の検査かの検査内容も合わせて表示されるようになっている。この検査結果は、各細胞についての直近の検査結果だけを表示できるようにしたのでも良い。この図38においては、各細胞についての直近の検査結果(当該細胞で、最後に行った検査の結果)について細胞IDコードNo.(図においては、細胞1、細胞2、・・・と表示している)で各検査の結果(「異常」、「正常」の表示)が表示した例となっている。
【0088】
担当医師2は、自分の患者3の再生医療で使用する採取細胞に付いての培養の進捗状況を自己が管理する医療機関(具体的には、病院)1のコンピュータの端末から検索できるようになっている。この採取細胞の培養の進捗状況では、採取細胞の受け入れ検査から、出荷までの状態が分かるようになっている。すなわち、採取細胞のIDコードNo.を特定すると、その特定された細胞についての受け入れ検査から、出荷までの培養の進捗状況が表になって表示される。すなわち、図39においては、採取細胞のIDコードNo.を特定することによって、該当するIDコードNo.の採取細胞の培養の進捗状況データが細胞培養機関(再生管理センター)4の管理サーバに収納されている個人データの中から抽出され、IDコードNo.に対応する採取細胞の状態が表示される。このIDコードNo.に対応する採取細胞が現在どの段階にあり、過去の検査結果でどのような結果を得ており、次どのような工程に進むのか、さらに、いつ出荷が予定されているかが一目で見られるようになっている。
【0089】
また、このシステムでは、担当医師2が指定したIDコードNo.(自己が診察している患者3のIDコードNo.の場合が多い)を特定すると、IDコードNo.に該当する採取細胞の全履歴(個体履歴検索)を検索できるようになっている。すなわち、担当医師2が自己の管理する医療機関(具体的には、病院)1のコンピュータの端末を立ち上げ、細胞培養機関(再生管理センター)4の管理サーバにアクセスし、細胞のIDコードNo.検索を実施することができる。この細胞のIDコードNo.検索に当たって、担当医師2が検索したい採取細胞のIDコードNo.を入力すると、図40〜図42に示す如きIDコードNo.に対応する採取細胞についての検索結果画面、全履歴(細胞培養管理データ)が、担当医師2の管理する医療機関(具体的には、病院)1のコンピュータの端末ディスプレィに表示される。
【0090】
この図40〜図42に示される個体履歴検索画面(細胞培養管理データ)では、IDコードNo.によって特定された採取細胞について、被採取者名(原則は、患者名)、細胞提供者名(被採取者以外に居る場合に記載される)、採取場所(通常は、医療機関、将来は、医療機関に限らない細胞採取機関)、採取者名(原則は、医師名)、採取部位(例えば、骨髄、角膜、歯胚、血液等)、受入年月日、出荷予定年月日、受入年月日、受入検査実施日、受入検査結果、分離作業検査、培養作業検査、継代(幹細胞)、幹細胞検査、出荷検査、幹細胞での出荷回数、出荷年月日、出荷先が分かるようになっている。さらに、幹細胞の状態で出荷をしないで、組織として出荷する場合もある。そこで、このように幹細胞についての継代を経て幹細胞での出荷をしないで、組織として出荷する場合には、さらに、分化誘導が必要になる。この図40〜図42に示される個体履歴検索画面(細胞培養管理データ)では、分化誘導、培養作業検査、継代(組織)、組織形成、形成した組織の検査、組織での出荷回数、出荷年月日、出荷先が分かるようになっている。
【0091】
移植後全く問題なく経過すれば最適であるが、移植した後に不適合(拒絶反応)になる場合もある。そこで、さらに加えて、このように不適合(拒絶反応)になった事象(有害事象)が分かるようになっている。この有害事象については、幹細胞で出荷を受け、その幹細胞を移植した結果、有害事象が生じた場合と、組織が形成され、その組織(例えば、角膜)で出荷を受け、その組織を移植した結果、有害事象が生じた場合とがある。そこで、図40〜図42に示される個体履歴検索画面(細胞培養管理データ)においては、それらが別々に記載される。さらには、この培養細胞は、自分(本人)が使用する場合(自家)の他、他人に使用する(例えば、角膜)場合(他家)があるので、図40〜図42に示される個体履歴検索画面(細胞培養管理データ)においては有害事象が発症した人(発症者)が表示されるようになっている。
【0092】
次に、培養細胞管理データの表示画面を図43を用いて説明する。
図43には、メニューが表示される。
このメニュー画面には、作業工程毎(「受入状況」、「培養別」、「出荷状況」)別に検索できるようになっている。「受入状況」では、医療機関別(将来は、細胞培養別)、採取部位別に検索することができる。ここで、「受入状況」で医療機関別を選択する(図43の画面上で「医療機関別」をクリックする)と、図44に示す如き月毎の各医療機関(具体的には、病院)から細胞培養機関(再生管理センター)4に依頼された細胞培養件数(採取部位、形成状態に無関係)が一覧表になって表示される。すなわち、○月度が表示された図44において、「○○病院」は10件、「△△病院」は18件、「××病院」は1件、・・・・・ということになる。
【0093】
また、「受入状況」で採取部位別を採取部位(例えば、角膜)を選択する(図43の画面上で「採取部位別」をクリックする)と、図45に示す如く、月毎の指定した採取部位(具体的には、各組織細胞の採取場所)について、細胞培養機関(再生管理センター)4に依頼された医療機関別の細胞培養件数(医療機関別に無関係)が一覧表になって表示される。すなわち、○月度の採取部位「○○○○」(例えば、角膜)について表示された図45において、採取部位「○○○○」について「○○病院」は2件、採取部位「○○○○」について「△△病院」は8件、採取部位「○○○○」について「××病院」は1件、・・・・・ということになる。
【0094】
また、「培養別」で特定の採取部位(例えば、角膜)を選択する(図43の画面上で「角膜」をクリックする)と、図示していないが、現在培養している採取部位(例えば、角膜)の全数(医療機関に無関係)に付いての培養状況が表示される。「培養別」で特定の採取部位として例えば、歯胚を選択(図43の画面上で「歯胚」をクリック)した場合も同様に表示される。
【0095】
さらに、「出荷状況」で医療機関別を選択する(図43の画面上で「医療機関別」をクリックする)と、図46に示す如く、細胞培養機関(再生管理センター)4から選択した「医療機関」に出荷された培養細胞(培養組織も含む)の「件数」(全体件数)、「不良発生率」、「出荷状況」(全体件数)が表示される。この「不良発生率」は、色々な観点から見る必要があるので、「細胞の採取部位別」、「細胞採取者年齢別」、「性別」の統計が表示できるようになっている。この「細胞の採取部位別」では、現在、細胞を採取する部位(骨髄、角膜、歯胚、各種臓器)によって、その細胞培養の成功率が異なることが知られており、どのような状態にすると成功率が増加するかの改良に寄与する。また、この細胞培養の成功率が例えば、98%というように高い成功率を備えているのであれば、薬物による長期に渡る治療よりも短期間で治癒率が高い再生医療を容易に選択することができ、かつ、患者の身体に与える負担が小さければ治療方法としての選択の幅が広くなるという利点が出てくる。
【0096】
また、「細胞採取者年齢別」では、現在、若い年齢層の人の細胞の方が細胞培養の成功率が大きいことが医学的に認められている。細胞も、若い勢いの有る年齢の細胞の方が活力があり、細胞培養の成功率が高い。しかし、高年齢層ほど疾病に罹り易いのも事実である。したがって、10歳〜20歳代の年齢層の細胞培養の成功率(図46では、不良発生率となっている)が大きくなっている。図46においても、不良発生率が50歳代の年齢層では50%、40歳代の年齢層では30%、30歳代の年齢層では15%、10歳〜20歳代の年齢層では5%となっている。このことからも年齢の若年の方が細胞培養の成功率が大きい。歯胚の場合は、乳歯の方がいいといわれている。保存しておいても細胞に傷が付くなどの不都合が無ければ、10歳〜20歳代の年齢層のときに、「骨髄」、「角膜」、「歯胚」、「肝細胞」、「心筋」といった将来高年齢になったときに高い確率で疾病する部位の幹細胞を採取しておき実際に罹患したときに再生医療の方法を採ることができることになる。
【0097】
「出荷状況」を選択すると、図44に図示と同様に各医療期間毎の出荷件数が表示される。
【0098】
図47には、培養作業者の培養作業報告書が示されている。この図47に図示の培養作業報告書は、培養作業者が細胞培養機関4に提出する作業日報書である。
図において、培養作業者の作業日報書には、作業をやった日付(報告日となる)と、「1.処理した検体数」には、作業処理を行った検体数で、図47においては、例えば、25件である。また、「2.使用した薬品名」には、作業処理において使用した薬品名の羅列である。この表から、使用してはいけない薬品が使用されていれば、その薬品を使用した検体は、細胞培養がどのように変化しているか予測が付かないので廃棄することになる。そして、この「2.使用した薬品名」に対応して、「3.使用した薬品の量(g)」には、それらの薬品の使用量を記入する。この「3.使用した薬品の量(g)」は、たとえ使用が許されている薬品であっても、その使用量を間違えれば、毒になる。したがって、「2.使用した薬品名」と共に「3.使用した薬品の量(g)」を記入することになる。この「2.使用した薬品名」と「3.使用した薬品の量(g)」とはリンクしており、「2.使用した薬品名」に薬品を記入すると、「3.使用した薬品の量(g)」の欄にも自動的に表示されるようになっている。したがって、「2.使用した薬品名」に記載した薬品を「3.使用した薬品の量(g)」の欄で記載漏れ起こすことがない。
【0099】
さらに、図47においては、「4.廃棄した細胞」を記載することになっている。この「4.廃棄した細胞」は、培養している細胞が死滅した場合、培養している細胞が癌化した場合、培養している細胞が病原体に汚染されたようなこのまま培養を続けていくことが困難な場合である。この廃棄する細胞は、個人の遺伝子情報が入っており、プライバシーの問題から、安易に取り扱うことは許されない。このように「4.廃棄した細胞」に現実に廃棄処分にする細胞を記入する。そして、、図47においては、「5.出荷した検体数」を記載することになっている。この「5.出荷した検体数」は、受入に多大に影響してくるため、記入させ、どの程度順調に培養できたかを明確にする効果がある。そして、これらの処理を行った「作業担当者名」を記入することになる。
【0100】
図48には、細胞培養機関の培養報告書が示されている。この図48に図示の培養報告書は、細胞培養機関4が毎月行政監督庁に提出する培養報告書(月報)となっている。
図において、細胞培養機関4の作業月報書には、集計した作業月(報告月となる)と、記載事項は、「1.処理した検体数」、「2.使用した薬品名」、「3.使用した薬品の量(g)」、「4.廃棄した細胞」、「5.出荷した検体数」と図47に図示の培養作業者の培養作業報告書の記載内容と同一である。すなわち、この図48に図示の培養報告書は、全ての培養作業者の培養作業報告書の記載内容を集計したものである。
【0101】
次に、図49〜図50を用いて培養スケジュールについて説明する。
【0102】
図において、まず、細胞培養によって得られた組織によって再生医療による治療を実施する場合、治療の段取りをする必要がある。患者の体力、疾病の進行状況、病床の有無、手術の込み具合等を考慮すると、細胞培養によって得られた組織によって再生医療による治療を実施する場合は、培養スケジュールが重要になる。
【0103】
まず、担当医師2が診察している患者3に再生医療による治療を施す場合、移植手術を行う日取り等が分かっていないと細胞培養が失敗し、実際に患者に再生医療による治療を施すことができなくなることがある。そこで、担当医師2は、細胞培養機関4の管理サーバにアクセスし、培養スケジュールを行う。この培養スケジュールを行う場合、担当医師2の管理するコンピュータを立ち上げ、培養スケジュールのプログラムを選択すると、図49に示す如き画面が表示される。この図49に示される入力項目で、まず、「1.検体年齢」を入力する。この「1.検体年齢」は、原則として患者3の年齢である。この「1.検体年齢」の高低によって培養の速度が異なるため、出荷予定に影響がある。次に、「2.検体性別」を入力する。この「2.検体性別」は、原則として患者3の性別である。この「2.検体性別」の男性か、女性かによって培養の速度が異なるため、出荷予定に影響がでる。
【0104】
つぎに、担当医師2が再生医療による治療を患者3に施す部位を特定し、細胞を採取する部位を決め、「3.検体部位」を入力する。基本的には、再生しようとする部位(例えば、肝臓)の細胞を採取するのが妥当である。ただ、再生しようとする部位の細胞の破壊が著しく採取が困難な場合もあり、その場合は、骨髄から採取するなど最も再生しようとする組織を再生できる確率の高い細胞が適している。この「3.検体部位」を入力すると、培養スケジュールをシュミレーションすることができるようになる。
【0105】
そこで、「4.検体の培養スケジュール」の入力を行う。すなわち、検体をすると、まず、細胞培養機関4に受入する年月日である「受入年月日」に日付を入力する。この細胞培養機関4に受入する年月日を入力すると、図50に示される標準スケジュールに各作業月日が自動的に入力される。この標準スケジュールは、「1.検体年齢」、「2.検体性別」、「3.検体部位」の3つの要素によって予めシュミレーションされているパターンから標準となるパターンが選ばれ、それが表示される。したがって、「1.検体年齢」、「2.検体性別」、「3.検体部位」のいずれかが変更になる、すなわち、間違っていた等の理由で、変更すると、図50に示される標準スケジュールの各作業月日が自動的に変更になる。
【0106】
このように「1.検体年齢」、「2.検体性別」、「3.検体部位」の3つを入力し、「4.検体の培養スケジュール」の「受入年月日」を入力すると、この入力した「受入年月日」が図50に示される標準スケジュールの受入月日に入力され、受け入れ検査の「月日」、分離作業「月日」、培養開始「月日」、成長因子を投入する「月日」、継代の実施「月日」、培養完了「月日」、出荷予定「月日」が自動的に入力決定される。このシュミレーション(標準スケジュール)に基づいて培養処理が行われる。この時点で、図50に示される標準スケジュールの「受入年月日」と、「出荷予定年月日」が入力されると共に、図49に示される「4.検体の培養スケジュール」の「出荷予定年月日」に数字が入力される。
【0107】
この標準スケジュールに示される「出荷予定年月日」を変更する(例えば、1月1日を1月15日と15日遅らせる)と、標準スケジュールに示される「受入年月日」も15日遅くなるという関係になっている。したがって、手術予定日に合わせて「出荷予定年月日」を設定すると、標準スケジュールに示される「受入年月日」が決定されることになる。
【0108】
このように「1.検体年齢」、「2.検体性別」、「3.検体部位」の各自要件による標準スケジュールパターンを予め過去のデータから収集して統計化を取り、平均化してデータとして持っておくことにより、平均化したタイムスケジュールが決定される。したがって、「4.検体の培養スケジュール」の「出荷予定年月日」が決定され、これによって手術日を中心に培養計画を立てることができる。また、生検の担当医の都合で、「4.検体の培養スケジュール」の「受入年月日」が先に決定される場合は、この「4.検体の培養スケジュール」の「受入年月日」によって「4.検体の培養スケジュール」の「出荷予定年月日」が決定するため、この培養細胞の「出荷予定年月日」に合わせて手術日を決定することになる。
【0109】
このように「4.検体の培養スケジュール」の「受入年月日」を先に決定する方法でも、「4.検体の培養スケジュール」の「出荷予定年月日」を先に決定する方法でも、いずれかの「年月日」が決定すれば、「4.検体の培養スケジュール」の「出荷予定年月日」が特定され、培養細胞の移植手術日が決定することになる。
【0110】
このように完全に予定を組んで、培養細胞の移植手術日が決定し、検体の受入をし、細胞培養が開始され、培養が行われている最中に、患者3の容体が急変し、当初予定していた移植手術日では、患者3の容体が持たなくなることがある。そのような場合、培養細胞の移植手術日を繰り上げる必要がある。そのような場合には、既に検体の受入を行って「4.検体の培養スケジュール」の「受入年月日」が決定してしまっているため、「4.検体の培養スケジュール」の「受入年月日」を固定し、「4.検体の培養スケジュール」の「出荷予定年月日」を希望する「出荷予定年月日」に変更する。すなわち、図49に示される「5.検体の培養スケジュール」の「出荷予定変更年月日」に数字を入力する。これによって標準スケジュールに示される「出荷予定年月日」を変更することになる。
【0111】
この図49に示される「4.検体の培養スケジュール」の「受入年月日」と「4.検体の培養スケジュール」の「出荷予定年月日」の関係は、相関関係を有しており、培養細胞によって十分な時間をとってある。この「受入年月日」から「出荷予定年月日」までの時間を短縮するということは、それなりの無理が生じる。最大限短縮できる期間というのは細胞の培養速度と関係してくるため、限界がある。この最大限短縮できる期間は、細胞培養機関4側の管理サーバに予めデータで持っている。そこで、図49に示される「5.検体の培養スケジュール」の「出荷予定変更年月日」に数字を入力すると、細胞培養機関4側の管理サーバで演算し、担当医師2が入力した図49に示される「5.検体の培養スケジュール」の「出荷予定変更年月日」で細胞培養ができるか判断する。この「出荷予定年月日」を変更する場合は、最大限細胞培養に影響が出難い処理を短縮して「出荷予定年月日」を前倒しにするものである。
【0112】
図49に示される「5.検体の培養スケジュール」の「出荷予定変更年月日」に数字を入力すればどのような場合でも、変更できる訳ではないため、細胞培養機関4側の管理サーバの演算結果を「6.培養細胞の出荷変更の可否」において表示する。図49に示される「出荷予定年月日」を希望する日に変更できない場合、「出荷を希望日に変更することは、採取細胞を受入れた日から起算して不可能です」と表示される。そして、図49に示される「7.培養細胞の出荷変更可能日」に「○月○日〜○月△日の間に変更することはできます」と表示し、最大限変更できる(短縮できる)日を表示する。この○月○日〜○月△日の間に変更する場合は、図49に示される「6.培養細胞の出荷変更の可否」に「変更が可能です。変更しますか?」というメッセージが表示される。この○月○日〜○月△日の間に変更した場合は、図50に示される調整スケジュール シュミレーションで全体の細胞培養スケジュールが決定され、既に完了している作業は除いて、受け入れ検査の「月日」、分離作業「月日」、培養開始「月日」、成長因子を投入する「月日」、継代の実施「月日」、培養完了「月日」、出荷予定「月日」が自動的に変更入力決定される。この結果、期間短縮が決定される。もし、この変更によって出荷上で注意すべき点等の問題点は図50の下欄に表示される。何の問題も無い場合は、表示されない。
【0113】
【発明の効果】
本発明によれば、細胞の培養に係る優れた管理方法や管理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る細胞の培養に関する管理方法および細胞の培養に関する管理システムを実施するための処理システム構成図である。
【図2】図1に図示の管理サーバの処理構成図である。
【図3】本発明に係る細胞の培養に関する管理方法および細胞の培養に関する管理システムの実施の形態の概略フローチャートである。
【図4】本発明に係る細胞の培養に関する管理方法および細胞の培養に関する管理システムの一実施の形態を示すフローチャートである。
【図5】本発明に係る細胞の培養に関する管理方法および細胞の培養に関する管理システムの一実施の形態を示すフローチャートである。
【図6】本発明に係る細胞の培養に関する管理方法および細胞の培養に関する管理システムの一実施の形態を示すフローチャートである。
【図7】本発明に係る細胞の培養に関する管理方法および細胞の培養に関する管理システムの一実施の形態を示すフローチャートである。
【図8】本発明に係る細胞の培養に関する管理方法および細胞の培養に関する管理システムの一実施の形態を示すフローチャートである。
【図9】本発明に係る細胞の培養に関する管理方法および細胞の培養に関する管理システムの一実施の形態を示すフローチャートである。
【図10】本発明に係る細胞の培養に関する管理方法および細胞の培養に関する管理システムの一実施の形態を示すフローチャートである。
【図11】本発明に係る細胞の培養に関する管理方法および細胞の培養に関する管理システムの一実施の形態を示すフローチャートである。
【図12】本発明に係る細胞の培養に関する管理方法および細胞の培養に関する管理システムの一実施の形態を示すフローチャートである。
【図13】本発明に係る細胞の培養に関する管理方法および細胞の培養に関する管理システムの一実施の形態を示すフローチャートである。
【図14】本発明に係る細胞の培養に関する管理方法および細胞の培養に関する管理システムの一実施の形態を示すフローチャートである。
【図15】本発明に係る細胞の培養に関する管理方法および細胞の培養に関する管理システムの一実施の形態を示すフローチャートである。
【図16】本発明に係る細胞の培養に関する管理方法および細胞の培養に関する管理システムの一実施の形態を示すフローチャートである。
【図17】図1に図示の細胞培養機関の処理内容を表すブロック図である。
【図18】図17に図示の細胞培養機関の受入検査の処理内容を表すブロック図である。
【図19】図18に図示の細胞培養機関の受入検査における受入票の記載事項を示す図である。
【図20】図18に図示の細胞培養機関の受入検査における受入票の記載事項を示す図である。
【図21】図17に図示の細胞培養機関の分離作業の処理内容を表すブロック図である。
【図22】図17に図示の細胞培養機関の培養処理の処理内容を表すブロック図である。
【図23】図17に図示の細胞培養機関の幹細胞生成・出荷検査の処理内容を表すブロック図である。
【図24】図17に図示の細胞培養機関の分化誘導の処理内容を表すブロック図である。
【図25】図17に図示の細胞培養機関の組織形成の処理内容を表すブロック図である。
【図26】図17に図示の細胞培養機関の組織の生成・出荷検査の処理内容を表すブロック図である。
【図27】細胞培養機関の管理サーバに収納される個人データの管理票を示す図である。
【図28】細胞培養機関の管理サーバに収納される個人データの管理票を示す図である。
【図29】細胞培養機関の管理サーバに収納される個人データの管理票を示す図である。
【図30】細胞培養機関における細胞培養状態検索画面を示す図である。
【図31】細胞培養機関における検索の際の個人情報の入力画面を示す図である。
【図32】細胞培養機関における検索の際のIDコードNo.の入力画面を示す図である。
【図33】細胞培養機関における検索の際の細胞IDコードNo.の入力画面を示す図である。
【図34】細胞培養機関における検索の際の表示される個人データ管理票を示す図である。
【図35】細胞培養機関で採取細胞を受け付けた後の受入担当者のデータ入力画面を示す図である。
【図36】細胞培養機関で採取細胞を受け付けたときの受入担当者の作業リストを示す図である。
【図37】細胞培養の依頼を受けた各細胞の作業状況を示す図である。
【図38】細胞検査結果についての管理データを示す図である。
【図39】細胞培養の採取細胞毎の進捗状況についての管理データを示す図である。
【図40】採取細胞毎の細胞培養についての管理データを示す図である。
【図41】採取細胞毎の細胞培養についての管理データを示す図である。
【図42】採取細胞毎の細胞培養についての管理データを示す図である。
【図43】検索メニューを示す図である。
【図44】月毎の各医療機関から細胞培養機関に依頼された細胞培養の受入状況の一覧を示す図である。
【図45】月毎の細胞培養機関に依頼された細胞培養の採取部位別の受入状況の一覧を示す図である。
【図46】医療機関の月別の培養細胞の件数・不良発生率・出荷状況を示す図である。
【図47】培養作業者の培養作業報告書を示す図である。
【図48】細胞培養機関の培養報告書を示す図である。
【図49】培養スケジュールのシュミレーションを示す図である。
【図50】培養スケジュールのシュミレーションを示す図である。
【符号の説明】
1………………………医療機関
4………………………細胞培養機関
41……………………サーバ本体
42……………………データベース
43……………………端末コンピュータ
5………………………電子通信回線
7………………………行政監督庁
8………………………外部検査機関
【発明の属する技術分野】
本発明は、細胞の培養に関する管理方法および細胞の培養に関する管理システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の治療医学において、細胞を培養し、失われた人体の組織を復元(再生)する医療、いわゆる再生医療の研究が盛んに行われている(例えば、特許文献1参照。)。
この特許文献1は、細胞を予め採取しておき、依頼者からの要求に応じて、細胞に関する情報を閲覧できると共に、細胞を複数の企業に配達し、そこで細胞の増殖、分化、あるいはオーダーメードの薬品、化粧品の製造を可能にするセルバンクシステム及び細胞凍結/解凍方法に関するものである。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−27983号公報(第2頁、第1図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような組織を再生させる再生医療は、その技術を確立することが重要であるが、また一方医療ミスの防止や個人データの保護、などの関係でも改善すべき課題を抱えている。
【0005】
しかしながら、再生医療における管理システムや管理方法は、まだ検討されておらず、確立されるに至っていない。
【0006】
本発明の目的は、細胞の培養に係る優れた管理方法や管理システムを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の特徴の1つは、検体から採取した細胞を冷凍状態で受入れ、該採取細胞に特定の番号を付与する第1のステップと,前記第1のステップで受入れた採取細胞に異常がないかを検査すると共に異物の混入がないかの検査を行う第2のステップと,前記第2のステップで受入れた採取細胞に異常がなく異物の混入がないことを確認した後、所望の組織を形成する幹細胞を分離する第3のステップと,前記第3のステップで他の細胞と分離して取り出した所望の組織を形成する幹細胞を成長因子が混合された培地に播種する第4のステップと,前記第4のステップで所望の組織を形成する幹細胞を成長因子が混合されている培地に播種した後、幹細胞の増殖状況を監視する第5のステップと,前記第5のステップで培地に播種した所望の組織を形成する幹細胞の増殖状況を監視し継代を行う第6のステップとを備えたところにある。
【0008】
本発明の他の特徴の1つは、採取細胞を収納する採取用容器に採取した細胞の検体を特定する番号が付与され、該番号の付与された採取用容器に検体から採取した細胞を収納し,前記採取用容器に収納される検体から採取した細胞そのものの異常性の検査と異物混入検査を行い,前記採取用容器に採取された複数の細胞群から幹細胞の分離処理を行い,前記分離した幹細胞を培養する成長因子が混合された培地を備え、前記採取用容器に付与された番号と同一の番号が付された培養用容器に播種し,前記培養用容器内において幹細胞の増殖を行い,前記培養用容器内における幹細胞の増殖が所定範囲に達したときに継代を行い,前記継代によって得られた複数の幹細胞群同士を結合して移植用の幹細胞を形成し,前記移植用の幹細胞を前記採取用容器に付与された番号と同一の番号が付された移植幹細胞用に収納して培養を要請した依頼者に出荷し,前記採取細胞に基づいて培養した幹細胞が間違えることなく本人に植依されたことを追尾できるようにしたものである。
【0009】
本発明の他の特徴は、後述する実施の形態の中で記述する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図を用いて説明する。
【0011】
図1には、本発明に係る細胞の培養に関する管理方法および細胞の培養に関する管理システムを実施するための処理システム構成が示されている。
図1において、4は細胞培養機関で、一般に、CPC(Cell Process Center)と称されている。この細胞培養機関4は、例えば、医療機関から送られてくる採取細胞を培養し、移植した際に組織を再生する機能を有する幹細胞を業として培養する企業で、システム構成においては、具体的には、管理サーバある。この細胞培養機関(管理サーバ)4は、図1に示す如き構成を有している。
【0012】
すなわち、細胞培養機関(管理サーバ)4は、各種のデータ内容を書込・更新を実行するサーバからなるサーバ本体41と、データの入出力を行う入出力装置とディスプレイからなる端末コンピュータ43と、入出力するデータを記憶する記憶手段であるデータベース42とによって構成されている。このデータベース42は、サーバ本体41に接続されており、ときにデータベース42を含めて管理サーバと称する場合もある。ここでは、サーバ本体41の記憶装置として機能している。
【0013】
この細胞培養機関4の処理装置(具体的には、管理サーバ4のサーバ本体41)は、細胞培養機関4を利用する医療機関(具体的には、病院)1A,1B,・・・1NとIP(Internet Protocol)網、ISDN回線等の電子通信回線5A,5B,・・・5Nによって接続されている。通常のセキュリティを考慮すれば、オンラインで接続する方がIP(Internet Protocol)網を利用するよりも優れている。
この細胞培養機関4は、行政監督庁7の監督を受けて運営される。また、この処理装置は、細胞を培養するに当たって外部の検査機関8に検査を依頼することがあり、この外部の検査機関8は、行政監督庁7に報告する義務を負うことがあり得る。
【0014】
この医療機関(具体的には、病院)1A,1B,・・・1Nは、細胞培養機関4同様、各種のデータ内容を書込・更新を実行するサーバからなる管理サーバと、データの入出力を行う入出力装置とディスプレイからなる端末コンピュータと、入出力するデータを記憶する記憶手段であるデータベースとによって構成されている。この医療機関(具体的には、病院)1A,1B,・・・1Nからは、細胞培養機関4に対して、各種のデータ内容の開示を求めたり、必要な情報を送信することができるようになっている。また、医療機関(具体的には、病院)1A,1B,・・・1Nは、この培養した細胞を用いた治療を行った場合には、行政監督庁7に報告の義務を負う。
【0015】
また、43は、細胞培養機関(具体的には、管理サーバ)4のサーバ本体41に接続され、サーバ本体41に入力する入出力装置で、細胞培養機関(具体的には、管理サーバ)4のサーバ本体41にデータの入出力が必要な場合に使用するものである。これらの細胞培養機関(具体的には、管理サーバ)4、医療機関(具体的には、病院の管理サーバ)1A,1B,・・・1Nは、全てプログラム制御により動作し、医療機関(具体的には、病院の管理サーバ)1A,1B,・・・1Nは、細胞培養機関(具体的には、管理サーバ)4と電子通信回線5A,5B,・・・5Nによって接続されている。この医療機関(具体的には、病院の管理サーバ)1A,1B,・・・1Nは、各医療機関1が抱えている患者3からそれぞれ細胞の提供を受ける。また、この患者3は、再生組織の移植手術後、問題(例えば、感染症等)が生じた場合、行政監督庁7に直接訴えることもある。
【0016】
この管理サーバ4のサーバ本体41には、図2に示す如く、細胞培養機関4で細胞培養を行っている患者の治療を行っている医療機関(具体的には、病院の管理サーバ)1A,1B,・・・1N毎に、医療機関(具体的には、病院の管理サーバ)1A,1B,・・・1Nに対応したデータベース42A,42B,・・・42Nを有している。
【0017】
図3〜図16には、本発明に係る細胞の培養に関する管理方法および細胞の培養に関する管理システムを実施するための処理システムの実施の形態が示されている。
この図3〜図16では、医療機関(管理センター)1、担当医師2、患者3、細胞培養機関(再生管理センター)4との処理フローを示している。
【0018】
図において、患者3が罹患する(ステップ100)と、医療機関(管理センター)1に診察の申込み(診療申込)を行う(ステップ102)。医療機関(管理センター)1では、患者3のカルテを作成し、担当医師を決定する(通常は、受付で、内科、外科、精神科、眼科、産婦人科等に振り分ける)(ステップ104)。この担当医師2の決定により、医療機関(管理センター)1側は、担当医師2に診療を依頼する(ステップ106)。このようにして担当医師2が決まると、担当医師2は、患者3に対して問診を行う(ステップ108)。この問診は、病院によっては、担当医師2でない医師(例えば、インターンの医師)が行うことがある。この担当医師2の問診に患者3が回答し(ステップ110)、担当医師2による患者3の診察が開始する(ステップ112)。
【0019】
担当医師2による患者3の診察が開始すると、検査等を経て担当医師による患者3の疾病内容(胃粘膜損傷、慢性腎疾患等)が決定する(ステップ114)。この患者3の疾病内容(胃粘膜損傷、慢性腎疾患等)が明らかになると、担当医師2は、患者3に対し疾病内容(診断結果)の告知(インフォームド・コンセント)を行う(ステップ116)。すると、患者3は、担当医師2による疾病開示内容(診断結果)を受領する(ステップ118)。
【0020】
この担当医師2による診断結果を受領すると、患者3は、担当医師2に対し治療方法の問い合わせを行う(ステップ120)。この患者3からの治療方法の問い合わせに対し、担当医師2は、患者3に対する治療方法の選定を行う(ステップ122)。この患者3に対する治療方法には、数種類の方法があるが、ときに1種類の場合、治療方法が確立されておらず、決定的な治療方法が無い場合もある。担当医師2は、過去に有効とされる治療方法、現在進行中(研究段階にある)治療方法(再生医療による治療方法)の説明を行う(ステップ124)。この担当医師2による過去に有効とされる治療方法、現在進行中(研究段階にある)治療方法(再生医療による治療方法)の説明を受領する(ステップ126)。ここで、担当医師2は、過去の治療方法が全く効を奏さない場合、現在進行中(研究段階にある)治療方法(再生医療による治療方法)を奨めることになる。このように過去の治療方法が全く効を奏さないことが明らかになれば、あるいは、破壊された組織を切除するだけで、他に影響を与えない(例えば、抜歯するだけで問題はない)場合には、そのままにしておいても良いが、目立つ場所、あるいは、自分の歯が欲しいと強く願う場合のようなとき、患者3は、現代医学の粋を集める再生医療による治療方法を選択する(ステップ128)ことになる。
【0021】
患者3が再生医療による治療方法を選択すると、患者3は、担当医師2に対し、再生医療による治療の依頼を行う(ステップ130)。この患者3からの再生医療による治療の依頼があると、担当医師2は、再生医療による治療の依頼を受領し(ステップ132)、再生医療による治療の治療方針を決定する(ステップ134)。この再生医療による治療の治療方針を決定すると、担当医師2は、患者3に対し、再生医療による治療内容を告知する(ステップ136)。この担当医師2による患者3に対する再生医療による治療内容の告知を患者3は受領する(ステップ138)。この再生医療による治療内容の告知を受領した患者3は、担当医師2に対し、再生医療による治療内容の告知を受領したことを報告する(ステップ140)。
【0022】
この患者3からの再生医療による治療内容の告知を受領したことの回答を受領し(ステップ142)、担当医師2は、医療機関(管理センター)1に対して、再生医療による治療を行うことを報告する(ステップ144)。医療機関(管理センター)1側では、担当医師2からの再生医療による治療を実施することの報告を受領する(ステップ146)。この担当医師2からの報告を受けて、医療機関(管理センター)1は、患者3に対し、再生医療による治療の治療承諾書を送付する(ステップ148)。この医療機関(管理センター)1からの再生医療による治療の治療承諾書の送付を受けた患者3は、再生医療に対する治療承諾書を受領し(ステップ150)、患者3は、この治療承諾書に記名捺印をして医療機関(管理センター)1に送付する(ステップ152)。
【0023】
医療機関(管理センター)1側では、患者3からの記名捺印した治療承諾書を受領し(ステップ154)、担当医師2に対して患者3に再生医療による治療を施してよろしいという再生医療に対する治療許可の通知を行う(ステップ156)。この医療機関(管理センター)1側からの治療許可の通知が行われ、この治療許可の通知を受領する(ステップ158)と、担当医師2は、患者3に対して再生医療による治療開始を通知する(ステップ160)。この担当医師2からの再生医療による治療開始の通知を受けて患者3は再生医療による治療の開始の通知を受領する(ステップ162)。
【0024】
この再生医療による治療の開始の通知を受領すると患者3は担当医師2に再生医療による治療開始の依頼を行う(ステップ164)。この患者3からの再生医療による治療開始の依頼を受けた担当医師2は、再生医療による治療の開始を決定する(ステップ166)。この担当医師2の再生医療による治療の開始を決定すると担当医師2は、再生医療による治療の開始を医療機関(管理センター)1に通知する(ステップ168)。この担当医師2からの再生医療による治療の開始の通知を受けた医療機関(管理センター)1は、当該患者3の再生医療による治療の書類を作成する(ステップ170)。そして、医療機関(管理センター)1は、細胞培養機関(再生管理センター)4に対し細胞培養の依頼を行う(ステップ172)。
【0025】
この医療機関(管理センター)1からの細胞培養の依頼を受けた細胞培養機関(再生管理センター)4は、細胞培養の依頼を受領し(ステップ174)、この細胞培養の依頼を受領した細胞培養機関(再生管理センター)4では、医療機関(管理センター)1に対して必要事項(患者3の名前・担当医師2の名前等)の問い合わせを行う(ステップ176)。この必要事項(患者3の名前・担当医師2の名前等)の問い合わせを受けた医療機関(管理センター)1は、細胞培養機関(再生管理センター)4に対して必要事項(患者3の名前・担当医師2の名前等)の回答を行う(ステップ178)。この医療機関(管理センター)1からの必要事項(患者3の名前・担当医師2の名前等)の回答を受けると、細胞培養機関(再生管理センター)4は、患者3の細胞ID(Identificaition=識別)を決定し、患者3から採取する細胞に個別のID(Identificaition=識別)、細胞IDを付与する(ステップ180)。
【0026】
この患者3から採取する細胞に細胞IDを付与すると、細胞培養機関(再生管理センター)4は、採取した細胞を収納して搬送する容器に患者3の細胞IDを添付して細胞採取用容器の準備を行う(ステップ182)。この細胞採取用容器の準備を行うと、細胞培養機関(再生管理センター)4は、この患者3の細胞に細胞ID(Identificaition=識別)を添付した細胞採取用容器を医療機関(管理センター)1に送付する(ステップ184)。この患者3の細胞IDを添付した細胞採取用容器の送付を受けた医療機関(管理センター)1は、患者3の細胞IDを添付した細胞採取用容器を受領し(ステップ186)、この送付を受けた患者3の細胞IDを添付した細胞採取用容器を医療機関(管理センター)1は、担当医師2に交付する(ステップ188)。
【0027】
この医療機関(管理センター)1から患者3の細胞IDを添付した細胞採取用容器を交付された担当医師2は、患者3の細胞IDを添付した細胞採取用容器を受領する(ステップ190)。この患者3の細胞IDを添付した細胞採取用容器を受領した担当医師2は、患者3に対し、再生医療に用いる細胞の採取の実施を行う(ステップ192)。担当医師2は、患者3と再生医療に用いる細胞の採取を行う(ステップ194)。この患者3と再生医療に用いる細胞の採取を行うと、患者3は、担当医師2に対し再生医療に用いる細胞の提供を行う(ステップ196)。この患者3から再生医療に用いる細胞の提供を受けた担当医師2は、再生医療に用いる細胞を受領し(ステップ198)、この患者3から提供を受けた再生医療に用いる細胞を細胞IDの添付された細胞採取用容器に格納する(ステップ200)。
【0028】
この再生医療に用いる細胞の採取については、患者3から採取する場合を説明しているが、患者3からの採取が困難な場合(高齢で採取に耐える力がない場合、細胞が異常で採取して使用するには問題がある場合等)は、近親者(例えば、親、兄弟、子供といった三親等以内の者)に提供して貰う場合もある。また、さらに、不適合がなければ、第三者の細胞を用いることもある。
【0029】
この採取した細胞を細胞IDの添付された細胞採取用容器に格納すると、担当医師2は、この採取細胞を格納した細胞採取用容器を冷凍(具体的には、液体窒素の中に入れて冷凍)して細胞培養機関(再生管理センター)4に送付する(ステップ202)。この採取細胞を格納した細胞採取用容器の送付を受けた細胞培養機関(再生管理センター)4では、この採取細胞を格納した細胞採取用容器を受け入れる(ステップ204)。この細胞採取用容器の受け入れを行うと、細胞培養機関(再生管理センター)4は、採取細胞の受入票を作成する(ステップ206)。
【0030】
この採取細胞の受入票の作成に当たって、細胞培養機関(再生管理センター)4は、医療機関(管理センター)1に対し、採取細胞の患者3の名前と、採取部位、細胞を採取した医師名(この場合、細胞を採取した医師と担当医師2とが一致するとは限らない)の確認を行う(ステップ208)。この細胞培養機関(再生管理センター)4からの採取細胞の患者3の名前と、採取部位、細胞を採取した医師名の確認の問い合わせ受けると、医療機関(管理センター)1は、該当する患者3の細胞を採取した医師の確認を行う(ステップ210)。そして、医療機関(管理センター)1は、担当医師2(細胞を採取した医師)に該当する患者3の名前と、細胞を採取した採取部位(例えば、骨髄)の問い合わせを行う(細胞を採取した医師が担当医師2でない場合にも、担当医師2に問い合わせる場合が多い)(ステップ212)。この問い合わせを受けた担当医師2は、細胞培養機関(再生管理センター)4から問い合わせを受けた採取細胞の患者3の名前と、採取部位についての確認作業を行う(ステップ214)。
【0031】
そして、この採取細胞の患者3の名前と、採取部位の確認作業を行った担当医師2は、医療機関(管理センター)1に対し確認した採取細胞の患者3の名前と、採取部位の報告(連絡)を行う(ステップ216)。この担当医師2からの報告を受け、医療機関(管理センター)1側は、この採取細胞の患者3の名前と、採取部位の報告(連絡)を受領し(ステップ218)、この担当医師2から報告された採取細胞の患者3の名前と採取部位を細胞培養機関(再生管理センター)4に報告(連絡)する(ステップ220)。この医療機関(管理センター)1からの報告を受けて、細胞培養機関(再生管理センター)4は、報告を受けた採取細胞の患者名・採取部位と、採取細胞受入時に添付されていた患者名・採取部位との照合を行う(ステップ222)。この照合によって一致しない場合は、細胞培養機関(再生管理センター)4は、報告を受けた採取細胞の患者名・採取部位と、採取細胞受入時に添付されていた患者名・採取部位とが一致しないとの理由で採取細胞受入を拒否する。
【0032】
この報告を受けた採取細胞の患者名・採取部位と、採取細胞受入時に添付されていた患者名・採取部位との照合の結果、報告を受けた採取細胞の患者名・採取部位と、採取細胞受入時に添付されていた患者名・採取部位とが一致すると、細胞培養機関(再生管理センター)4は、提供を受けた採取細胞に対する細胞培養の受入作業を行う(ステップ224)。この細胞培養の受入作業に入ると、細胞培養機関(再生管理センター)4は、まず、受入検査を行う(ステップ226)。この受入検査は、採取細胞が病原体に犯されていないかの感染症の有無、採取細胞が培養できるものであるかの培養可能性、採取細胞が抗生物質の投与によって汚染されていないかの抗生物質の有無、採取細胞の中に異物が混入していないかの異物混入の有無について検査を行う。
【0033】
この細胞培養機関(再生管理センター)4における受入検査の時に、担当医師2は、自分の患者3の採取細胞の状態がどのような状態かを知るために、採取細胞の異常性の問い合わせを行うことができる(ステップ228)。この担当医師2からの採取細胞の異常性の問い合わせに対し、細胞培養機関(再生管理センター)4は、問い合わせてきた担当医師2に対し、患者のIDコードNo.と、医師のIDコードNo.の問い合わせを行う(ステップ230)。この細胞培養機関(再生管理センター)4からの問い合わせに対し、担当医師2が患者のIDコードNo.と、医師のIDコードNo.を回答する(ステップ232)と、細胞培養機関(再生管理センター)4では、担当医師2が回答してきた患者のIDコードNo.と、医師のIDコードNo.が間違っていないかのチェックを行い、担当医師2が回答してきた患者のIDコードNo.と、医師のIDコードNo.が間違っていない場合には、採取細胞の異常性を担当医師2に回答する(ステップ234)。
【0034】
この細胞培養機関(再生管理センター)4における受入検査を行い、異常がない場合には、細胞培養機関(再生管理センター)4において、さらに分離作業が行われる(ステップ236)。この細胞培養機関(再生管理センター)4における分離作業は、所望の組織を形成する幹細胞だけを分離して取り出す作業で、この分離作業によって得られた幹細胞については、この分離作業において、所望の組織を形成する幹細胞だけが分離されているか否かの分離細胞の検査と、分離細胞の中に異物が混入していないかの異物混入の有無について検査を行う。
【0035】
この細胞培養機関(再生管理センター)4における分離作業の時に、担当医師2は、自分の患者3の採取細胞の細胞培養の進捗状況がどのような状態になっているのかを知るために、細胞培養の進捗状況の問い合わせを行うことができる(ステップ238)。この担当医師2からの採取細胞の細胞培養の進捗状況の問い合わせに対し、細胞培養機関(再生管理センター)4は、問い合わせてきた担当医師2に対し、患者のIDコードNo.と、医師のIDコードNo.の問い合わせを行う(ステップ240)。この細胞培養機関(再生管理センター)4からの問い合わせに対し、担当医師2が患者のIDコードNo.と、医師のIDコードNo.を回答する(ステップ242)と、細胞培養機関(再生管理センター)4では、担当医師2が回答してきた患者のIDコードNo.と、医師のIDコードNo.が間違っていないかのチェックを行い、担当医師2が回答してきた患者のIDコードNo.と、医師のIDコードNo.が間違っていない場合には、採取細胞の細胞培養の進捗状況を担当医師2に回答する(ステップ244)。
【0036】
この細胞培養機関(再生管理センター)4における分離作業において、所望の組織を形成する幹細胞だけを分離して取り出すことが問題なく行われ、分離細胞の中に異物が混入していないことがわかると、細胞培養機関(再生管理センター)4においては、分離細胞の培養処理が行われる(ステップ246)。この細胞培養機関(再生管理センター)4における培養処理は、複数の細胞から所望の組織を形成する幹細胞だけを分離した分離細胞を栄養物を混合した培地(具体的には、培養液)に播種する分離細胞培地播種と、分離細胞を栄養物を混合した培地に播種し培養するのに適した温度に加温する分離細胞培養開始と、分離細胞がどのように生育していくか生育の状態を監視する生育状態のチェックと、分離細胞が生育していく段階で癌細胞に変質していないかの癌化チェックと、分離細胞が生育していく上で培地が十分な栄養分を有しているか否かの培地の状態チェックと、培地に雑菌が繁殖しないか否かの培地の管理と、分離細胞の生育状態を手術時期に合わせてコントロールする培養制御・管理と、分離細胞が増殖生育し組織化していくにしたがって培地内における分離細胞の密度が高くなり成長速度が低下してくるのを防止する継代を行う継代の実施を行う。
【0037】
この細胞培養機関(再生管理センター)4における培養処理の時に、担当医師2は、自分の患者3の採取細胞の培養処理がどのような状態になっているのかを知るために、細胞培養の進捗状況(培養処理)の問い合わせを行うことができる(ステップ248)。この担当医師2からの採取細胞の細胞培養の進捗状況(培養処理)の問い合わせに対し、細胞培養機関(再生管理センター)4は、問い合わせてきた担当医師2に対し、患者のIDコードNo.と、医師のIDコードNo.の問い合わせを行う(ステップ250)。この細胞培養機関(再生管理センター)4からの問い合わせに対し、担当医師2が患者のIDコードNo.と、医師のIDコードNo.を回答する(ステップ252)と、細胞培養機関(再生管理センター)4では、担当医師2が回答してきた患者のIDコードNo.と、医師のIDコードNo.が間違っていないかのチェックを行い、担当医師2が回答してきた患者のIDコードNo.と、医師のIDコードNo.が間違っていない場合には、採取細胞の細胞培養の進捗状況(培養処理)を担当医師2に回答する(ステップ254)。
【0038】
この細胞培養機関(再生管理センター)4における分離作業の時、培養処理の時に、患者3は、自分の疾病の治療に使用される培養細胞の進捗状況がどのような状態になっているのかを知るために、細胞培養の進捗状況の問い合わせを担当医師2に行うことができる(ステップ256)。この患者3からの培養細胞の進捗状況の問い合わせが行われると、担当医師2は、この患者3の細胞培養の進捗状況について回答を行う(ステップ258)。ここでは、患者3は、自分の疾病の治療に使用される培養細胞の進捗状況を自分の担当医師2に行うようになっているが、患者3が直接細胞培養機関(再生管理センター)4に問い合わせるようにしてもよい。この場合は、他人の個人情報が外部に漏れるのを防止するため、二重、三重のセキュリティチェックが必要なことは説明するまでもない。
【0039】
このようにして細胞培養機関(再生管理センター)4における幹細胞の培養が完了すると、出荷検査(出荷作業)が行われる(ステップ260)。この細胞培養機関(再生管理センター)4における出荷検査(出荷作業)は、出荷される幹細胞によって治療を行うものであるため、幹細胞を移植した後に、移植した幹細胞が原因で異常が生じるようなことになっては何のための治療か分からなくなってしまう。そこで、出荷検査(出荷作業)は、出荷前に必要最低限の検査を行うことである。この出荷検査(出荷作業)では、幹細胞そのものに異常がないか、すなわち幹細胞が癌化していないか他の病原体によって汚染されていないか、といった幹細胞の品質検査を行う。この幹細胞の品質検査の結果、幹細胞そのものに異常がないことが判明すると、幹細胞の出荷の準備を行う。この幹細胞の出荷の準備は、細胞培養が終了した幹細胞を外部からの雑菌の侵入等がないように安全に医療機関(管理センター)1に届けられ、担当医師2に渡るようにするためのものである。この幹細胞の出荷の準備が終わると、細胞培養機関(再生管理センター)4では、細胞培養した幹細胞が採取細胞を提供した患者3に移植されるように、あるいは、予め特定の患者3に移植する目的で採取した細胞が目的とする患者3に移植されるように採取細胞を送付した医療機関(管理センター)1、患者名と、出荷先の医療機関(管理センター)1、患者名との照合を行う。これが、出荷先の確認である。この出荷先の確認ができると、実際に細胞培養した幹細胞の出荷となる。
【0040】
この出荷検査(出荷作業)が完了すると、細胞培養機関(再生管理センター)4は、細胞培養の依頼を受けた医療機関(管理センター)1に、細胞培養した幹細胞を出荷する(ステップ262)。この細胞培養した幹細胞が出荷されると、医療機関(管理センター)1では、細胞培養した幹細胞を受領し(ステップ264)、受領した幹細胞の細胞IDと該当する患者3の名前が一致するか否かの照合を行う(ステップ266)。この細胞IDと該当する患者3の名前が一致するか否かの照合を行い、一致する場合は、細胞IDの付された細胞を採取した医師(必ずしも担当医2であるとは限らない)の確認を行う(ステップ268)。そして、医療機関(管理センター)1は、この細胞IDの付された細胞を採取した医師を確認して、細胞培養機関(再生管理センター)4から送付されてきた幹細胞を患者3の担当医師2に提供する(ステップ270)。
【0041】
この医療機関(管理センター)1から提供された幹細胞は、担当医師2によって受領される(ステップ272)。この幹細胞を受領すると、担当医師2は、受領した幹細胞の細胞IDから該当する患者3を確認する(ステップ274)。そして、幹細胞の細胞IDから該当する患者3を確認すると、担当医師2は、患者3に対して幹細胞の移植手術を行う(ステップ276)。
【0042】
このようにして患者3は、担当医師2の手によって幹細胞の移植手術を受ける(ステップ278)。この幹細胞の移植手術は、担当医師2から医療機関(管理センター)1に報告され(ステップ280)、医療機関(管理センター)1では、担当医師2から幹細胞の移植手術の報告を受領する(ステップ282)。
【0043】
また、幹細胞の移植手術を受けた後、担当医師2は、患者3の幹細胞の成長の確認を行い(ステップ284)、移植した幹細胞の患者3の患部への定着状態の確認を行う(ステップ286)。この移植した幹細胞の患者3の患部への定着状態の確認を行うと、経過状況として、移植した幹細胞によって患者3の患部組織が形成されているか否かの確認を行う(ステップ288)。この移植した幹細胞によって患者3の患部組織が形成されているか否かの確認を行い、この幹細胞による組織の形成によって患者3の患部の元の組織が再生したか否かの確認を行う(ステップ290)。この幹細胞による組織の形成によって患者3の患部の元の組織が再生すると、幹細胞によって再生した組織が所期の機能(切除した組織の本来の機能)を有しているか否かの確認を行う(ステップ292)。そして、この幹細胞によって再生した組織が所期の機能(切除した組織の本来の機能)を有していることが確認されると、治療は成功したことになり、患者3の治療を終了する(ステップ294)。
【0044】
このように幹細胞を患者3の患部に移植して自らの再生力によって組織を再生する場合の他、組織を外部で形成して、それを移植することがある。この場合は、細胞培養機関(再生管理センター)4における分離作業において、分離細胞が増殖生育し組織化していくにしたがって培地内における分離細胞の密度が高くなり成長速度が低下してくるのを防止する継代を行う継代の実施を行った後、出荷検査(出荷作業)に入らずに分化誘導が行われる(ステップ298)。
【0045】
この細胞培養機関(再生管理センター)4における分化誘導は、細胞培養した幹細胞を特定の組織に分化する誘導(例えば、歯胚細胞への分化)を行うものである。すなわち、細胞培養した幹細胞を取り出し、特定の組織を形成するように分化するのを誘導する前に、分化する幹細胞が特定の組織に分化する幹細胞だけか否かの事前検査を行う。そして、この幹細胞の特定組織の細胞への分化誘導前の検査で分化した幹細胞が特定の組織に分化する幹細胞だけで、組織形成を行っても問題がないとなると、幹細胞の特定組織の細胞への分化誘導を開始する。すなわち、細胞培養した幹細胞を特定の組織に分化するように誘導する。
【0046】
この細胞培養機関(再生管理センター)4における分化誘導の時に、担当医師2は、自分の患者3の採取細胞の分化誘導がどのような状態になっているのかを知るために、細胞培養の進捗状況(分化誘導)の問い合わせを行うことができる(ステップ300)。この担当医師2からの採取細胞の細胞培養の進捗状況(分化誘導)の問い合わせに対し、細胞培養機関(再生管理センター)4は、問い合わせてきた担当医師2に対し、患者のIDコードNo.と、医師のIDコードNo.の問い合わせを行う(ステップ302)。この細胞培養機関(再生管理センター)4からの問い合わせに対し、担当医師2が患者のIDコードNo.と、医師のIDコードNo.を回答する(ステップ304)と、細胞培養機関(再生管理センター)4では、担当医師2が回答してきた患者のIDコードNo.と、医師のIDコードNo.が間違っていないかのチェックを行い、担当医師2が回答してきた患者のIDコードNo.と、医師のIDコードNo.が間違っていない場合には、採取細胞の細胞培養の進捗状況(分化誘導)を担当医師2に回答する(ステップ306)。
【0047】
この細胞培養機関(再生管理センター)4における分化誘導において、所望の組織を形成するように分化誘導を行うと、細胞培養機関(再生管理センター)4においては、幹細胞による組織形成が行われる(ステップ308)。この細胞培養機関(再生管理センター)4における幹細胞による組織形成は、細胞培養した幹細胞の分化誘導した分化細胞を栄養物を混合した培地(具体的には、培養液)に播種する分化細胞培地播種と、分化細胞を栄養物を混合した培地に播種し培養するのに適した温度に加温する分化細胞培養開始と、分化細胞が組織を形成していく状態を監視する組織形成状態のチェックと、分化細胞が生育していく段階で癌細胞に変質していないかの癌化チェックと、分化細胞が生育していく上で培地が十分な栄養分を有しているか否かの培地の状態チェックと、培地に雑菌が繁殖しないか否かの培地の管理と、分化細胞の組織形成状態を手術時期に合わせてコントロールする培養制御・管理と、分化細胞が増殖生育し組織形成化していくにしたがって培地内における分化細胞の密度が高くなり成長速度が低下してくるのを防止する継代を行う継代の実施を行う。
【0048】
この細胞培養機関(再生管理センター)4における組織形成の時に、担当医師2は、自分の患者3の分化細胞の組織形成がどのような状態になっているのかを知るために、組織形成状況の問い合わせを行うことができる(ステップ310)。この担当医師2からの組織形成状況の問い合わせに対し、細胞培養機関(再生管理センター)4は、問い合わせてきた担当医師2に対し、患者のIDコードNo.と、医師のIDコードNo.の問い合わせを行う(ステップ312)。この細胞培養機関(再生管理センター)4からの問い合わせに対し、担当医師2が患者のIDコードNo.と、医師のIDコードNo.を回答する(ステップ314)と、細胞培養機関(再生管理センター)4では、担当医師2が回答してきた患者のIDコードNo.と、医師のIDコードNo.が間違っていないかのチェックを行い、担当医師2が回答してきた患者のIDコードNo.と、医師のIDコードNo.が間違っていない場合には、組織形成状況を担当医師2に回答する(ステップ316)。
【0049】
この細胞培養機関(再生管理センター)4における組織形成において、所望の組織の形成が行われ、継代の実施がなされると、細胞培養機関(再生管理センター)4においては、組織の生成が行われる(ステップ318)。この細胞培養機関(再生管理センター)4における組織の生成は、分化細胞が成長し継代の実施を行い、各継代を培養する継代の培養と、細胞培養によって増殖成長した各継代を合わせ1つの組織を形成させる継代同士の結合と、この継代同士の結合によって所望の組織を生成する組織の生成を行う。
【0050】
この細胞培養機関(再生管理センター)4における組織の生成の時に、担当医師2は、自分の患者3の分化細胞の組織の生成がどのような状態になっているのかを知るために、組織の生成状況の問い合わせを行うことができる(ステップ320)。この担当医師2からの組織の生成状況の問い合わせに対し、細胞培養機関(再生管理センター)4は、問い合わせてきた担当医師2に対し、患者のIDコードNo.と、医師のIDコードNo.の問い合わせを行う(ステップ322)。この細胞培養機関(再生管理センター)4からの問い合わせに対し、担当医師2が患者のIDコードNo.と、医師のIDコードNo.を回答する(ステップ324)と、細胞培養機関(再生管理センター)4では、担当医師2が回答してきた患者のIDコードNo.と、医師のIDコードNo.が間違っていないかのチェックを行い、担当医師2が回答してきた患者のIDコードNo.と、医師のIDコードNo.が間違っていない場合には、組織の生成状況を担当医師2に回答する(ステップ326)。
【0051】
この細胞培養機関(再生管理センター)4における組織形成の時、組織の生成の時に、患者3は、自分の疾病の治療に使用される組織がどのような状態になっているのかを知るために、織織形成状況、組織の生成状況の問い合わせを担当医師2に行うことができる(ステップ328)。この患者3からの織織形成状況、組織の生成状況の問い合わせが行われると、担当医師2は、この患者3の細胞培養による織織形成状況、組織の生成状況について回答を行う(ステップ330)。ここでは、患者3は、自分の疾病の治療に使用される培養細胞による織織形成状況、組織の生成状況を自分の担当医師2に行うようになっているが、患者3が直接細胞培養機関(再生管理センター)4に問い合わせるようにしてもよい。この場合は、他人の個人情報が外部に漏れるのを防止するため、二重、三重のセキュリティチェックが必要なことは説明するまでもない。
【0052】
このようにして細胞培養機関(再生管理センター)4における組織の生成が完了すると、出荷検査(出荷作業)が行われる(ステップ332)。この細胞培養機関(再生管理センター)4における出荷検査(出荷作業)は、出荷される再生組織によって治療を行うものであるため、再生組織を移植した後に、移植した再生組織が原因で異常が生じるようなことになっては何のための治療か分からなくなってしまう。したがって、出荷検査(出荷作業)は、出荷前に必要最低限の検査を行うことである。この出荷検査(出荷作業)では、再生組織そのものに異常がないか、すなわち再生組織を形成している細胞が癌化していないか他の病原体によって汚染されていないか、といった再生組織の品質検査を行う。この再生組織の品質検査の結果、再生組織そのものに異常がないことが判明すると、再生組織の出荷の準備を行う。この再生組織の出荷の準備は、組織の生成が終了した再生組織を外部からの雑菌の侵入等がないように安全に医療機関(管理センター)1に届け、担当医師2に渡るようにするためのものである。この再生組織の出荷の準備が終わると、細胞培養機関(再生管理センター)4では、細胞培養し組織の生成が行われた再生組織が採取細胞を提供した患者3に移植されるように、あるいは、予め特定の患者3に移植する目的で採取した細胞が目的とする患者3に移植されるように採取細胞を送付した医療機関(管理センター)1、患者名と、出荷先の医療機関(管理センター)1、患者名との照合を行う。これが、出荷先の確認である。この出荷先の確認ができると、実際に細胞培養した再生組織の出荷となる。
【0053】
この出荷検査(出荷作業)が完了すると、細胞培養機関(再生管理センター)4は、細胞培養の依頼を受けた医療機関(管理センター)1に、細胞培養し組織の生成が行われた再生組織を出荷する(ステップ334)。この細胞培養し組織の生成が行われた再生組織が出荷されると、医療機関(管理センター)1では、細胞培養し組織の生成が行われた再生組織を受領し(ステップ336)、受領した再生組織の形成に使用された幹細胞の細胞IDと幹細胞を形成するのに細胞を採取した患者3の名前が一致するか否かの照合を行う(ステップ338)。この再生組織の形成に使用された幹細胞の細胞IDと該当する患者3の名前が一致するか否かの照合を行い、一致する場合、医療機関(管理センター)1は、再生組織の形成に使用された幹細胞の細胞IDの付された細胞を採取した医師(必ずしも担当医2であるとは限らない)の確認を行う(ステップ340)。そして、医療機関(管理センター)1は、この細胞IDの付された細胞を採取した医師を確認して、細胞培養機関(再生管理センター)4から送付されてきた再生組織を患者3の担当医師2に提供する(ステップ342)。
【0054】
この医療機関(管理センター)1から提供された再生組織は、担当医師2によって受領される(ステップ344)。この再生組織を受領すると、担当医師2は、受領した再生組織の形成に使用された幹細胞の細胞IDから該当する患者3を確認する(ステップ346)。そして、再生組織の形成に使用された幹細胞の細胞IDから該当する患者3を確認すると、担当医師2は、患者3に対して再生組織の移植手術を行う(ステップ348)。
【0055】
このようにして患者3は、担当医師2の手によって再生組織の所定部位への移植手術を受ける(ステップ350)。この再生組織の移植手術は、担当医師2から医療機関(管理センター)1に報告され(ステップ352)、医療機関(管理センター)1では、担当医師2から再生組織の移植手術の報告を受領する(ステップ354)。
【0056】
また、再生組織の移植手術を受けた後、担当医師2は、患者3の所定部位へ移植した再生組織が成長しているかの確認を行う(ステップ356)。そして、移植した再生組織が患者3の患部への定着状態、すなわち、移植した再生組織が周囲の組織と結合し定着しているか否かの状態の確認を行う(ステップ358)。この移植した再生組織が周囲の組織と結合し定着しているか否かの状態の確認を行うと、経過状況として、移植した再生組織が患者3の患部組織として形成されているか否かの確認を行う(ステップ360)。さらに、移植した再生組織により患部組織が再生されたか否かの確認を行う(ステップ362)。
【0057】
そして、この移植した再生組織によって再生した患部組織が再生すると、移植した再生組織によって再生した患部組織が所期の機能(切除した組織の本来の機能)を有しているか否かの確認を行う(ステップ364)。そして、担当医師2は、治療効果が上がっているか否かの確認を行い(ステップ366)、効果が上がることによって治癒を確認する(ステップ368)。そして、担当医師2は、患者3に対し、再生組織による治療の完了の通知を行い(ステップ370)、患者3は、治療を完了する(ステップ372)。また、担当医師2は、医療機関(管理センター)1側に、再生組織による治療の完了の報告を行い(ステップ374)、この再生組織による治療の完了の報告によって医療機関(管理センター)1は、再生組織による治療の完了の報告を受領する(ステップ376)。
【0058】
次に、図17〜図26を用いて細胞培養機関(再生管理センター)4の処理について説明する。
図17には、細胞培養機関(再生管理センター)4の処理内容を表す系統図が示されている。
図17において、細胞培養機関(再生管理センター)4においては、患者3から細胞を採取すると、受入検査410を行う。
【0059】
この受入検査410の処理内容及び処理方法は、図18に示されている。すなわち、患者3から細胞を採取すると、採取細胞の受付411の処理を行う。この採取細胞の受付411の処理は、単に、採取した細胞の収納されている医療機関(管理センター)1から送付されてきた容器を受け取る(液体窒素によって冷凍状態にしてある)だけである。この採取細胞の受付411の処理に当たっては、医療機関(管理センター)1からの細胞培養機関(再生管理センター)4に対する採取細胞の培養についての事前の申込みに基づいて、細胞培養機関(再生管理センター)4では患者3の細胞IDを決定し、患者3から採取する細胞に細胞IDを付与し、採取した細胞を収納する容器を医療機関(管理センター)1に交付してある。
【0060】
この採取細胞の受付411の処理を行うと、受け付けた採取細胞の特定を行う採取細胞の特定412の処理を行う。この採取細胞の特定412の処理は、容器に格納して納入された採取細胞がどのようなものなのかを特定するもので、具体的には、採取した細胞の患者3の名前と、細胞を採取した採取部位(例えば、骨髄)、細胞を採取した医師名(この場合、胞を採取した医師と担当医師2とが一致するとは限らない)の特定を行う。この採取細胞の特定412の処理の後の段階で、細胞IDの付与413の処理、すなわち、採取細胞に対するIDコードNo.を付与する場合がある。
【0061】
この採取細胞の特定412の処理において採取細胞の特定が行われると、受入票の作成414の処理を行う。この受入票は、医療機関(管理センター)1からの細胞培養機関(再生管理センター)4に対する採取細胞の培養についての事前の申込みがあると、患者名、病院名等わかる範囲で事前に記載して用意する(仮の受入票の作成)。そして、実際には、採取細胞の受付411の処理、採取細胞の特定412の処理を行ってから正式な受入票の作成が行われる。
【0062】
この受入票は、図19〜図20に示す如き記載事項について記載する。この受入票の記載事項として、患者を特定するために採取者名(患者名)、採取者(患者)の生年月日、性別、年齢、住所、連絡先を記載する。さらに、依頼者名(これは、患者であることが通常)、依頼者IDコードNo.(これは、依頼者を特定するために医療機関1又は細胞培養機関4が付与する)、住所、連絡先を記載する。これらは個人を特定するための個人情報である。そして、受入票の記載事項としては、医療機関(管理センター)1からの細胞培養機関(再生管理センター)4に対する採取細胞の培養についての事前の申込みによって細胞培養機関(再生管理センター)4が付与した採取細胞の特定番号(IDコードNo.又はバーコード)を記載する。この採取細胞の特定番号は、細胞採取の前に付与されている。これが採取細胞を特定するものである。そして、この採取細胞の特定番号と、採取者名(患者名)と、依頼者IDコードNo.とが両者を結びつける情報となる。また、この採取細胞の特定に当たっては、依頼者IDコードNo.と患者に関する情報(例えば、氏名、住所、性別、生年月日、細胞採取機関、担当医師、採取細胞の部位、細胞培養機関、細胞採取年月日等)を記録したRF(Radio Frequency=無線周波数)IDチップを用いることもできる。このRFIDチップをRFタグ(Tag=標識)として採取用容器に内蔵することによって採取した細胞の検体を特定することができる。
【0063】
さらに、細胞を採取した採取医師名、採取病院、採取年月日が記載される。そして、何処の細胞を採取したのかを示す採取細胞(採取部位、例えば、骨髄、歯根、臓器等)、どのような再生細胞を求めるのか(希望培養)、幹細胞なのか、再生組織(皮膚、臓器等)なのかの別を記載する。そして、この幹細胞、再生組織は、何処に出荷するのかを示す出荷先(再生細胞銀行に預託するのか、移植する病院に送るのか)を記載する。この細胞培養機関(再生管理センター)4においては、採取した細胞を培養して、幹細胞あるいは再生組織を生成するだけで、保存することはしない。勿論、幹細胞あるいは再生組織を保存する機能、スペースがあれば、再生細胞銀行のような業務を行うこともできるが、ここでは幹細胞あるいは再生組織の預託はしないものとしている。
【0064】
図18において、受入票の作成414の処理が行われると、採取した細胞について異常があるかないかを検査する細胞異常検査415の処理を行う。この細胞異常検査415の処理には、感染症検査415Aの処理、癌化検査415Bの処理、異分化処理415Cの処理がある。この感染症検査415Aの処理は、採取した細胞が病原体に汚染されていないかどうかを検査するもので、既存の検査方法である免疫検査法、核酸検査法等によって行う。また、癌化検査415Bの処理は、採取した細胞が癌細胞に変化していないかどうかを検査するもので、癌遺伝子検査法、癌抑制遺伝子検査法、細胞増殖検査法、病理検査法等によって行う。さらに、異分化処理415Cの処理は、所望の組織を形成する幹細胞を分離して排除するもので、所望の組織を形成する幹細胞を分別する方法として分化マーカー、外観・立体感消失、外観・伸展がある。
【0065】
図18において、細胞異常検査415の処理が行われると、採取した細胞について培養できるか否か、すなわち、細胞レベル検査416の処理を行う。この細胞レベル検査416の処理には、細胞被数416Aの処理、活性度416Bの処理、抗生物質検査416Cの処理、異物混入検査416Dの処理がある。
【0066】
細胞培養機関(再生管理センター)4においては、図17において、患者3から細胞を採取し、受入検査410を行うと、次に分離作業420を行う。
この分離作業420の処理内容及び処理方法は、図21に示されている。すなわち、患者3から採取した細胞について受入検査410を行った後、分離作業420においては、再生組織の確認421の処理を行う。この再生組織の確認421の処理は、採取した細胞が何の組織を再生するためのものであるかを確認する作業である。この再生組織の確認421の処理を行うと、幹細胞の特定422の処理を行う。この幹細胞の特定422の処理は、特定の組織を再生するための幹細胞がどれかを特定する作業である。この幹細胞の特定422の処理を行うと、幹細胞の分離423の処理を行う。この幹細胞の分離423の処理は、特定した幹細胞を他の細胞から分離して取り出す作業である。この幹細胞の分離423の処理には、分離した幹細胞を検査する分離細胞検査423Aの処理、分離した幹細胞の中に異物が混入していないかを検査する異物混入検査423Bの処理がある。
【0067】
細胞培養機関(再生管理センター)4において、図17における分離作業420が終了すると、次に培養処理430を行う。
この培養処理430の処理内容及び処理方法は、図22に示されている。すなわち、分離した幹細胞について培養処理430においては、まず、分離した幹細胞を培地に播く分離細胞培地播種431の処理を行う。この分離細胞培地播種431の処理においては、培地に播いた分離した幹細胞の播種状態をチェックする細胞播種状態431Aの処理を行う。
この分離細胞培地播種431の処理を行うと、分離細胞を培養する分離細胞培養開始432の処理を行う。この分離細胞培養開始432の処理が行われると、培地に播かれた幹細胞がどのように成育しているかをチェックする成育状態チェック433の処理が行われる。この成育状態チェック433の処理には、培養して増殖した細胞の数を計数する細胞数433Aの処理、培養して増殖した細胞の形態がどのようになっているかを見る細胞の形態433Bの処理、培養して増殖した細胞の周りがどのようになっているか見る細胞の辺縁433Cの処理、培養して増殖した細胞の増殖状態がどのようになっているか見る細胞増殖速度433Dの処理がある。
【0068】
この成育状態チェック433の処理を行うと、成育した細胞が正常に成長しているか、すなわち、癌細胞に変化しいていないかどうかをチェックする癌化チェック434の処理を行う。この癌化チェック434の処理は、成育した細胞を採取し、この細胞が癌細胞になっていないかを調べる癌化検査434Aの処理を行う。そして、この癌化チェック434の処理によって成育した細胞が正常に成長している、すなわち、癌細胞に変化していないとなると、分離した幹細胞を播いた培地の状態がどのような状態になっているのかを見る培地の状態チェック435の処理を行う。この培地の状態チェック435の処理には、まず、培地(培養液)が正常か、すなわち培地の濁り具合を検査する培地混濁度435Aの処理、培地をいつ交換するかの培地交換時期435Bの処理、培地に入っている成長細胞がどの程度の活力を持っているのかを見る活性度435Cの処理、培地の中に微生物(病原菌等)が入り込んでいないかを見る微生物検査435Dの処理がある。
【0069】
この培地の状態チェック435の処理を行うと、継続して培地の状態を見ていく培地の管理436の処理を行う。この培地の管理436の処理は、培地を監視し続ける培地モニタ436Aの処理を行う。そして培地の管理436の処理を行うと、培養制御、管理437の処理を行う。この培養制御、管理437の処理には、環境状態がどのようになっているのかを見る環境モニタ437Aの処理、細胞を剥がして増殖しやすい状態にする継代を行う時期を見定める継代の時期437Bの処理がある。
【0070】
この培養制御、管理437の処理を行うと、細胞を剥がして増殖しやすい状態にする継代を行う、継代の実施438の処理を行う。この継代の実施438の処理は、継代後の細胞監視438Aの処理を含んでいる。
【0071】
細胞培養機関(再生管理センター)4において、図17における培養処理430が終了すると、次に幹細胞生成440、分割450、出荷検査460A、出荷検査460B、出荷470A、出荷470Bを行う。
この幹細胞生成440、分割450、出荷検査460、出荷470の各処理内容及び処理方法は、図23に示されている。すなわち、培養処理430が終了すると、分離した幹細胞が所望の幹細胞に生成される幹細胞生成441の処理を行う。そして、幹細胞が生成されると、生成された幹細胞を何回かに分けて出荷できるように分割450が行われる。この分割450が行われると、出荷検査460Aを行う。この出荷検査460Aに当たっては、まず、生成された幹細胞の状態が移植可能な物か否かを見る幹細胞品質検査461の処理を行う。この幹細胞品質検査461の処理には、本人確認461Aの処理、癌化検査461Bの処理がある。この幹細胞品質検査461の処理で適合すると、幹細胞出荷準備462の処理を行う。そして、この幹細胞出荷準備462の処理に伴って、出荷先の確認463の処理を行う。このように出荷検査460Aを行うと、出荷470A、すなわち現実に幹細胞を出荷する幹細胞の出荷471の処理を行う。
この図23において、出荷検査460B、出荷470Bのルートは、2回目の幹細胞の出荷を示している。
【0072】
細胞培養機関(再生管理センター)4において、図17における培養処理430が終了し、幹細胞生成440が行われると、この幹細胞のまま出荷する方法と、さらに組織を形成する方法とがある。この組織を形成する方法の場合は、幹細胞生成440の後、特定の組織を形成させるために細胞を所望の組織が形成されるように誘導していく分化誘導500を行う。
この分化誘導500の処理内容及び処理方法は、図24に示されている。すなわち、幹細胞生成440が行われると、まず、特定組織に分化する幹細胞の取り出し501の処理を行う。そして、次に幹細胞の特定組織の細胞への分化誘導前の検査502の処理を行う。この幹細胞の特定組織の細胞への分化誘導前の検査502の処理は、目的の組織を再生するのに適するか502Aの処理を行う。この目的の組織を再生するのに適するか502Aの処理で問題が無ければ、幹細胞の特定組織の細胞への分化誘導の開始503の処理を行う。そして、幹細胞の特定組織の細胞への分化誘導の完了504の処理を行う。この503の処理と504の処理は、特定組織再生細胞の抽出504Aの処理により行う。
【0073】
細胞培養機関(再生管理センター)4において、図17における分化誘導500が終了すると、次に組織形成510を行う。
この組織形成510の処理内容及び処理方法は、図25に示されている。すなわち、分化した幹細胞について組織形成510においては、まず、分化した幹細胞を培地に播く分化幹細胞培地播種511の処理を行う。この分化幹細胞培地播種511の処理においては、培地に播いた分化した幹細胞の播種状態をチェックする細胞播種状態511Aの処理を行う。
この分化幹細胞培地播種511の処理を行うと、分化幹細胞を培養する分化幹細胞培養開始512の処理を行う。この分化幹細胞培養開始512の処理が行われると、培地に播かれた幹細胞がどのように組織形成がなされるかをチェックする組織形成状態のチェック513の処理が行われる。この組織形成状態チェック513の処理には、培養して組織形成した組織の成長状態を見る組織の成長513Aの処理、培養して組織形成した組織の成長状態を見る組織の成長513Aの処理、培養して形成された組織状態がどのようになっているか見る組織成長速度513Bの処理、培養して増殖した組織の形態がどのようになっているかを見る組織の形状513Cの処理がある。
【0074】
この組織形成状態のチェック513の処理を行うと、成育した組織が正常に形成されているか、すなわち、癌細胞に変化してないかどうかをチェックする癌化チェック514の処理を行う。この癌化チェック514の処理は、形成した組織から細胞を採取し、この細胞が癌細胞になっていないかを調べる癌化検査514Aの処理を行う。そして、この癌化チェック514の処理によって形成した組織から採取した細胞が正常に成長している、すなわち、癌細胞に変化していないとなると、分化した幹細胞を播いた培地の状態がどのような状態になっているのかを見る培地の状態チェック515の処理を行う。この培地の状態チェック515の処理には、まず、培地(培養液)が正常か、すなわち培地の濁り具合を検査する培地混濁度515Aの処理、培地をいつ交換するかの培地交換時期515Bの処理、培地に入っている組織がどの程度の活力を持っているのかを見る活性度515Cの処理、培地の中に微生物(病原菌等)が入り込んでいないかを見る微生物検査515Dの処理がある。
【0075】
この培地の状態チェック515の処理を行うと、継続して培地の状態を見ていく培地の管理516の処理を行う。この培地の管理516の処理は、培地を監視し続ける培地モニタ516Aの処理を行う。そして培地の管理516の処理を行うと、培養制御、管理517の処理を行う。この培養制御、管理517の処理には、環境状態がどのようになっているのかを見る環境モニタ517Aの処理、細胞を剥がして増殖しやすい状態にする継代を行う時期を見定める継代の時期517Bの処理がある。
【0076】
この培養制御、管理517の処理を行うと、細胞を剥がして増殖しやすい状態にする継代を行う、継代の実施518の処理を行う。この継代の実施518の処理は、継代後の細胞監視518Aの処理を含んでいる。
【0077】
この培地の管理516の処理、培養制御、管理517の処理、継代の実施518の処理を経て、出荷検査520、出荷530となる。この出荷検査520、出荷530の各処理内容及び処理方法は、図26に示されている。すなわち、培地の管理516の処理を行うと、組織を剥がして組織形成しやすい状態にする継代の実施518の処理を行い、組織の生成・出荷検査520を行う。
この培地の管理516の処理、培養制御、管理517の処理、継代の実施518の処理を経て、出荷検査520、出荷530となる。この出荷検査520、出荷530の各処理内容及び処理方法は、図26に示されている。すなわち、培地の管理516の処理を行うと、組織を剥がして組織形成しやすい状態にする継代の実施518の処理を行って、分化した幹細胞による組織について組織の生成・出荷検査520においては、継代の実施518の処理によって分けられたそれぞれの継代を培養する継代の培養521の処理を行う。
【0078】
そして、それぞれ培養された継代を合わせて継代同士を互いに結合させる継代同士の結合522の処理を行う。この継代同士の結合522の処理は、組織の形成522Aの処理となる。この継代同士の結合522の処理によって、組織が形成される組織の生成を行う組織の生成523の処理を行う。そして、出荷検査520を行う。この出荷検査520に当たっては、まず、形成された組織の状態が移植可能なものか否かを見る組織の品質検査524の処理を行う。この組織の品質検査524の処理には、本人確認524Aの処理、癌化検査524Bの処理がある。この組織の品質検査524の処理で適合すると、組織の出荷準備525の処理を行う。そして、この組織の出荷準備525の処理に伴って、出荷先の確認526の処理を行う。このように出荷検査520を行うと、出荷530、すなわち現実に幹細胞を出荷する幹細胞の出荷531の処理を行う。
【0079】
このように細胞培養機関(再生管理センター)4において細胞培養処理された情報は、図27〜図29に示す如き個人データ票700の状態で細胞培養機関(再生管理センター)4の管理サーバに個人毎に管理データとしてデータベース化されて保存されている。この図27〜図29に示される個人データ票700には、細胞培養を行った個人のデータが示されている。この個人データ票700には、細胞を採取した被採取者の氏名、住所、年齢、性別、細胞採取の依頼者(通常は、被採取者)等の他、採取部位、癌細胞かの傾向等、個人の身体の属性が克明に記載され、しかも、採取細胞の各検査結果が詳細に記入される。この個人データ票700は、培養した細胞、組織の移植がどのような経緯で行われたかをいつでも追跡調査ができるようにすると共に、将来において被採取者の治療方法として細胞培養による再生医療が適しているか否かを測定する資料にするためである。
【0080】
次に、これらの細胞培養機関(再生管理センター)4で行われている本人、患者等の細胞培養の進捗状況、保管されている過去のデータ等の問い合わせ(検索)について図30〜図34を用いて説明する。
【0081】
まず、医師が自己が管理する医療機関(具体的には、病院)1のコンピュータの端末を立ち上げ、細胞培養機関(再生管理センター)4の管理サーバにアクセスすると、図30に示す如き画面が表示され、簡単に細胞培養機関(再生管理センター)4の管理サーバにアクセスできないことがディスプレィに表示される。そして、画面に表示された内容を了解すると、図31に示す如きアクセス者の個人を特定する問い合わせの画面がディスプレィに表示される。この図31に示す如き表示画面の個人情報の入力画面に入力すると、図32に示す如きセキュリティを守るための入力画面が表示される。この図32に図示の表示画面で重要なのは、細胞提供者(具体的には、患者)のIDコードNo.の入力と、アクセスしている人(具体的には、医師)のIDコードNo.の入力を求めている点である。これらの入力事項を入力すると、図33に示す如き入力画面がディスプレィに表示される。この図33においては、最後の扉となる細胞を採取する際に細胞培養機関(再生管理センター)4が付した細胞のIDコードNo.の入力を求めている。この細胞のIDコードNo.は、原則として医師(又は医療機関)にしか知らせていない。したがって、原則として細胞培養機関(再生管理センター)4の管理サーバにアクセスできる者は、担当医師2ということになる。
【0082】
この図33に記載される入力事項を入力すると、図34に示す如く、担当医師2が指定した患者3の個人データの管理票がアクセスしている人(具体的には、医師)のディスプレィに表示され、必要なデータが得られることになる。この担当医師2の管理するコンピュータの端末ディスプレィに画面表示される個人データの管理票は、図27〜図29に示される細胞培養機関(再生管理センター)4の管理サーバに収納されている個人データの管理票700と同一のものが表示される。
【0083】
この患者3の個人データのアクセスに関しては、患者3の個人データの管理票700と同一のデータが表示するのではなく、必要なデータのみ、例えば、現在細胞培養を行っている細胞に関するデータのみ(過去に行った細胞培養に関するデータ、他の担当医師が細胞培養の依頼をした細胞に関するデータ)を表示できるようにしても良い。この場合は、患者3の各データを細胞を採取する際に細胞培養機関(再生管理センター)4が付した細胞のIDコードNo.で括り、当該細胞のIDコードNo.とリンクして、当該細胞のIDコードNo.では、当該細胞のIDコードNo.に関するデータのみが読み出されるようにすることによって実現することができる。
【0084】
次に、医療機関(具体的には、病院)1からの細胞培養機関(再生管理センター)4に対する採取細胞の培養についての申込みが有り、医療機関(具体的には、病院)1において、担当医師2が患者3から細胞を採取し、細胞培養機関(再生管理センター)4に送られてきたときの細胞培養機関(再生管理センター)4の受付担当者の処理状況を、図35、図36で説明する。すなわち、医療機関(具体的には、病院)1からの細胞培養機関(再生管理センター)4に対する採取細胞が送付されてくると、図35に示す如く、受入担当者は、コンピュータの端末ディスプレィ上で、患者3と採取細胞とを関連づけるためのデータを入力する。
【0085】
所定の記載事項を記入することによって、医療機関(具体的には、病院)1からの細胞培養のための採取細胞の受入作業を完了する。この入力事項を全て入力すると、受入担当者の端末ディスプレィには、図36に示す如く、受入れた採取細胞について何を行うべきかを示す作業内容の一覧(担当者作業リスト)が表示される。この端末ディスプレィに表示された担当者作業リストは、細胞培養を行う手順毎の作業内容が表示される。この作業は、受入担当者がやることもあるが、分業化されると、受入担当者と作業担当者が異なってくる。
【0086】
受入作業が終わると、細胞培養作業に入るが、この細胞培養作業が最も重要で、現在の細胞培養作業における作業状況を示す管理データが図37に示されている。この図37には、細胞培養の依頼を受けた各細胞の作業状況が示されている。すなわち、図37において、細胞1(実際には、細胞IDコードNo.で表示)は、現在培養開始の作業であり、細胞2(実際には、細胞IDコードNo.で表示)は、癌化チェックの段階であるといったように、各細胞の培養処理における現在の作業が検体(細胞1、細胞2、・・・・・)に対応して培養処理に入っている各細胞の作業内容と、当該作業について未、済の表示がされる。
【0087】
また、実際に担当医師2が患者3の採取細胞の培養で関心が強いのが、その工程毎に行われる検査についての結果である。この検査結果が「×」ということになったり、出荷予定通り培養が進んでいるか、出荷が予定よりずれ込むことにでもなれば、培養細胞を用いた再生医療が実施できなくなるため、常に関心をもっているところである。この細胞検査結果の管理データが図38に示されている。この図38に図示の細胞検査結果管理の表は、検査した全ての細胞について細胞IDコードNo.で各検査の結果(「異常」、「正常」の表示)が表示され、それが何の検査かの検査内容も合わせて表示されるようになっている。この検査結果は、各細胞についての直近の検査結果だけを表示できるようにしたのでも良い。この図38においては、各細胞についての直近の検査結果(当該細胞で、最後に行った検査の結果)について細胞IDコードNo.(図においては、細胞1、細胞2、・・・と表示している)で各検査の結果(「異常」、「正常」の表示)が表示した例となっている。
【0088】
担当医師2は、自分の患者3の再生医療で使用する採取細胞に付いての培養の進捗状況を自己が管理する医療機関(具体的には、病院)1のコンピュータの端末から検索できるようになっている。この採取細胞の培養の進捗状況では、採取細胞の受け入れ検査から、出荷までの状態が分かるようになっている。すなわち、採取細胞のIDコードNo.を特定すると、その特定された細胞についての受け入れ検査から、出荷までの培養の進捗状況が表になって表示される。すなわち、図39においては、採取細胞のIDコードNo.を特定することによって、該当するIDコードNo.の採取細胞の培養の進捗状況データが細胞培養機関(再生管理センター)4の管理サーバに収納されている個人データの中から抽出され、IDコードNo.に対応する採取細胞の状態が表示される。このIDコードNo.に対応する採取細胞が現在どの段階にあり、過去の検査結果でどのような結果を得ており、次どのような工程に進むのか、さらに、いつ出荷が予定されているかが一目で見られるようになっている。
【0089】
また、このシステムでは、担当医師2が指定したIDコードNo.(自己が診察している患者3のIDコードNo.の場合が多い)を特定すると、IDコードNo.に該当する採取細胞の全履歴(個体履歴検索)を検索できるようになっている。すなわち、担当医師2が自己の管理する医療機関(具体的には、病院)1のコンピュータの端末を立ち上げ、細胞培養機関(再生管理センター)4の管理サーバにアクセスし、細胞のIDコードNo.検索を実施することができる。この細胞のIDコードNo.検索に当たって、担当医師2が検索したい採取細胞のIDコードNo.を入力すると、図40〜図42に示す如きIDコードNo.に対応する採取細胞についての検索結果画面、全履歴(細胞培養管理データ)が、担当医師2の管理する医療機関(具体的には、病院)1のコンピュータの端末ディスプレィに表示される。
【0090】
この図40〜図42に示される個体履歴検索画面(細胞培養管理データ)では、IDコードNo.によって特定された採取細胞について、被採取者名(原則は、患者名)、細胞提供者名(被採取者以外に居る場合に記載される)、採取場所(通常は、医療機関、将来は、医療機関に限らない細胞採取機関)、採取者名(原則は、医師名)、採取部位(例えば、骨髄、角膜、歯胚、血液等)、受入年月日、出荷予定年月日、受入年月日、受入検査実施日、受入検査結果、分離作業検査、培養作業検査、継代(幹細胞)、幹細胞検査、出荷検査、幹細胞での出荷回数、出荷年月日、出荷先が分かるようになっている。さらに、幹細胞の状態で出荷をしないで、組織として出荷する場合もある。そこで、このように幹細胞についての継代を経て幹細胞での出荷をしないで、組織として出荷する場合には、さらに、分化誘導が必要になる。この図40〜図42に示される個体履歴検索画面(細胞培養管理データ)では、分化誘導、培養作業検査、継代(組織)、組織形成、形成した組織の検査、組織での出荷回数、出荷年月日、出荷先が分かるようになっている。
【0091】
移植後全く問題なく経過すれば最適であるが、移植した後に不適合(拒絶反応)になる場合もある。そこで、さらに加えて、このように不適合(拒絶反応)になった事象(有害事象)が分かるようになっている。この有害事象については、幹細胞で出荷を受け、その幹細胞を移植した結果、有害事象が生じた場合と、組織が形成され、その組織(例えば、角膜)で出荷を受け、その組織を移植した結果、有害事象が生じた場合とがある。そこで、図40〜図42に示される個体履歴検索画面(細胞培養管理データ)においては、それらが別々に記載される。さらには、この培養細胞は、自分(本人)が使用する場合(自家)の他、他人に使用する(例えば、角膜)場合(他家)があるので、図40〜図42に示される個体履歴検索画面(細胞培養管理データ)においては有害事象が発症した人(発症者)が表示されるようになっている。
【0092】
次に、培養細胞管理データの表示画面を図43を用いて説明する。
図43には、メニューが表示される。
このメニュー画面には、作業工程毎(「受入状況」、「培養別」、「出荷状況」)別に検索できるようになっている。「受入状況」では、医療機関別(将来は、細胞培養別)、採取部位別に検索することができる。ここで、「受入状況」で医療機関別を選択する(図43の画面上で「医療機関別」をクリックする)と、図44に示す如き月毎の各医療機関(具体的には、病院)から細胞培養機関(再生管理センター)4に依頼された細胞培養件数(採取部位、形成状態に無関係)が一覧表になって表示される。すなわち、○月度が表示された図44において、「○○病院」は10件、「△△病院」は18件、「××病院」は1件、・・・・・ということになる。
【0093】
また、「受入状況」で採取部位別を採取部位(例えば、角膜)を選択する(図43の画面上で「採取部位別」をクリックする)と、図45に示す如く、月毎の指定した採取部位(具体的には、各組織細胞の採取場所)について、細胞培養機関(再生管理センター)4に依頼された医療機関別の細胞培養件数(医療機関別に無関係)が一覧表になって表示される。すなわち、○月度の採取部位「○○○○」(例えば、角膜)について表示された図45において、採取部位「○○○○」について「○○病院」は2件、採取部位「○○○○」について「△△病院」は8件、採取部位「○○○○」について「××病院」は1件、・・・・・ということになる。
【0094】
また、「培養別」で特定の採取部位(例えば、角膜)を選択する(図43の画面上で「角膜」をクリックする)と、図示していないが、現在培養している採取部位(例えば、角膜)の全数(医療機関に無関係)に付いての培養状況が表示される。「培養別」で特定の採取部位として例えば、歯胚を選択(図43の画面上で「歯胚」をクリック)した場合も同様に表示される。
【0095】
さらに、「出荷状況」で医療機関別を選択する(図43の画面上で「医療機関別」をクリックする)と、図46に示す如く、細胞培養機関(再生管理センター)4から選択した「医療機関」に出荷された培養細胞(培養組織も含む)の「件数」(全体件数)、「不良発生率」、「出荷状況」(全体件数)が表示される。この「不良発生率」は、色々な観点から見る必要があるので、「細胞の採取部位別」、「細胞採取者年齢別」、「性別」の統計が表示できるようになっている。この「細胞の採取部位別」では、現在、細胞を採取する部位(骨髄、角膜、歯胚、各種臓器)によって、その細胞培養の成功率が異なることが知られており、どのような状態にすると成功率が増加するかの改良に寄与する。また、この細胞培養の成功率が例えば、98%というように高い成功率を備えているのであれば、薬物による長期に渡る治療よりも短期間で治癒率が高い再生医療を容易に選択することができ、かつ、患者の身体に与える負担が小さければ治療方法としての選択の幅が広くなるという利点が出てくる。
【0096】
また、「細胞採取者年齢別」では、現在、若い年齢層の人の細胞の方が細胞培養の成功率が大きいことが医学的に認められている。細胞も、若い勢いの有る年齢の細胞の方が活力があり、細胞培養の成功率が高い。しかし、高年齢層ほど疾病に罹り易いのも事実である。したがって、10歳〜20歳代の年齢層の細胞培養の成功率(図46では、不良発生率となっている)が大きくなっている。図46においても、不良発生率が50歳代の年齢層では50%、40歳代の年齢層では30%、30歳代の年齢層では15%、10歳〜20歳代の年齢層では5%となっている。このことからも年齢の若年の方が細胞培養の成功率が大きい。歯胚の場合は、乳歯の方がいいといわれている。保存しておいても細胞に傷が付くなどの不都合が無ければ、10歳〜20歳代の年齢層のときに、「骨髄」、「角膜」、「歯胚」、「肝細胞」、「心筋」といった将来高年齢になったときに高い確率で疾病する部位の幹細胞を採取しておき実際に罹患したときに再生医療の方法を採ることができることになる。
【0097】
「出荷状況」を選択すると、図44に図示と同様に各医療期間毎の出荷件数が表示される。
【0098】
図47には、培養作業者の培養作業報告書が示されている。この図47に図示の培養作業報告書は、培養作業者が細胞培養機関4に提出する作業日報書である。
図において、培養作業者の作業日報書には、作業をやった日付(報告日となる)と、「1.処理した検体数」には、作業処理を行った検体数で、図47においては、例えば、25件である。また、「2.使用した薬品名」には、作業処理において使用した薬品名の羅列である。この表から、使用してはいけない薬品が使用されていれば、その薬品を使用した検体は、細胞培養がどのように変化しているか予測が付かないので廃棄することになる。そして、この「2.使用した薬品名」に対応して、「3.使用した薬品の量(g)」には、それらの薬品の使用量を記入する。この「3.使用した薬品の量(g)」は、たとえ使用が許されている薬品であっても、その使用量を間違えれば、毒になる。したがって、「2.使用した薬品名」と共に「3.使用した薬品の量(g)」を記入することになる。この「2.使用した薬品名」と「3.使用した薬品の量(g)」とはリンクしており、「2.使用した薬品名」に薬品を記入すると、「3.使用した薬品の量(g)」の欄にも自動的に表示されるようになっている。したがって、「2.使用した薬品名」に記載した薬品を「3.使用した薬品の量(g)」の欄で記載漏れ起こすことがない。
【0099】
さらに、図47においては、「4.廃棄した細胞」を記載することになっている。この「4.廃棄した細胞」は、培養している細胞が死滅した場合、培養している細胞が癌化した場合、培養している細胞が病原体に汚染されたようなこのまま培養を続けていくことが困難な場合である。この廃棄する細胞は、個人の遺伝子情報が入っており、プライバシーの問題から、安易に取り扱うことは許されない。このように「4.廃棄した細胞」に現実に廃棄処分にする細胞を記入する。そして、、図47においては、「5.出荷した検体数」を記載することになっている。この「5.出荷した検体数」は、受入に多大に影響してくるため、記入させ、どの程度順調に培養できたかを明確にする効果がある。そして、これらの処理を行った「作業担当者名」を記入することになる。
【0100】
図48には、細胞培養機関の培養報告書が示されている。この図48に図示の培養報告書は、細胞培養機関4が毎月行政監督庁に提出する培養報告書(月報)となっている。
図において、細胞培養機関4の作業月報書には、集計した作業月(報告月となる)と、記載事項は、「1.処理した検体数」、「2.使用した薬品名」、「3.使用した薬品の量(g)」、「4.廃棄した細胞」、「5.出荷した検体数」と図47に図示の培養作業者の培養作業報告書の記載内容と同一である。すなわち、この図48に図示の培養報告書は、全ての培養作業者の培養作業報告書の記載内容を集計したものである。
【0101】
次に、図49〜図50を用いて培養スケジュールについて説明する。
【0102】
図において、まず、細胞培養によって得られた組織によって再生医療による治療を実施する場合、治療の段取りをする必要がある。患者の体力、疾病の進行状況、病床の有無、手術の込み具合等を考慮すると、細胞培養によって得られた組織によって再生医療による治療を実施する場合は、培養スケジュールが重要になる。
【0103】
まず、担当医師2が診察している患者3に再生医療による治療を施す場合、移植手術を行う日取り等が分かっていないと細胞培養が失敗し、実際に患者に再生医療による治療を施すことができなくなることがある。そこで、担当医師2は、細胞培養機関4の管理サーバにアクセスし、培養スケジュールを行う。この培養スケジュールを行う場合、担当医師2の管理するコンピュータを立ち上げ、培養スケジュールのプログラムを選択すると、図49に示す如き画面が表示される。この図49に示される入力項目で、まず、「1.検体年齢」を入力する。この「1.検体年齢」は、原則として患者3の年齢である。この「1.検体年齢」の高低によって培養の速度が異なるため、出荷予定に影響がある。次に、「2.検体性別」を入力する。この「2.検体性別」は、原則として患者3の性別である。この「2.検体性別」の男性か、女性かによって培養の速度が異なるため、出荷予定に影響がでる。
【0104】
つぎに、担当医師2が再生医療による治療を患者3に施す部位を特定し、細胞を採取する部位を決め、「3.検体部位」を入力する。基本的には、再生しようとする部位(例えば、肝臓)の細胞を採取するのが妥当である。ただ、再生しようとする部位の細胞の破壊が著しく採取が困難な場合もあり、その場合は、骨髄から採取するなど最も再生しようとする組織を再生できる確率の高い細胞が適している。この「3.検体部位」を入力すると、培養スケジュールをシュミレーションすることができるようになる。
【0105】
そこで、「4.検体の培養スケジュール」の入力を行う。すなわち、検体をすると、まず、細胞培養機関4に受入する年月日である「受入年月日」に日付を入力する。この細胞培養機関4に受入する年月日を入力すると、図50に示される標準スケジュールに各作業月日が自動的に入力される。この標準スケジュールは、「1.検体年齢」、「2.検体性別」、「3.検体部位」の3つの要素によって予めシュミレーションされているパターンから標準となるパターンが選ばれ、それが表示される。したがって、「1.検体年齢」、「2.検体性別」、「3.検体部位」のいずれかが変更になる、すなわち、間違っていた等の理由で、変更すると、図50に示される標準スケジュールの各作業月日が自動的に変更になる。
【0106】
このように「1.検体年齢」、「2.検体性別」、「3.検体部位」の3つを入力し、「4.検体の培養スケジュール」の「受入年月日」を入力すると、この入力した「受入年月日」が図50に示される標準スケジュールの受入月日に入力され、受け入れ検査の「月日」、分離作業「月日」、培養開始「月日」、成長因子を投入する「月日」、継代の実施「月日」、培養完了「月日」、出荷予定「月日」が自動的に入力決定される。このシュミレーション(標準スケジュール)に基づいて培養処理が行われる。この時点で、図50に示される標準スケジュールの「受入年月日」と、「出荷予定年月日」が入力されると共に、図49に示される「4.検体の培養スケジュール」の「出荷予定年月日」に数字が入力される。
【0107】
この標準スケジュールに示される「出荷予定年月日」を変更する(例えば、1月1日を1月15日と15日遅らせる)と、標準スケジュールに示される「受入年月日」も15日遅くなるという関係になっている。したがって、手術予定日に合わせて「出荷予定年月日」を設定すると、標準スケジュールに示される「受入年月日」が決定されることになる。
【0108】
このように「1.検体年齢」、「2.検体性別」、「3.検体部位」の各自要件による標準スケジュールパターンを予め過去のデータから収集して統計化を取り、平均化してデータとして持っておくことにより、平均化したタイムスケジュールが決定される。したがって、「4.検体の培養スケジュール」の「出荷予定年月日」が決定され、これによって手術日を中心に培養計画を立てることができる。また、生検の担当医の都合で、「4.検体の培養スケジュール」の「受入年月日」が先に決定される場合は、この「4.検体の培養スケジュール」の「受入年月日」によって「4.検体の培養スケジュール」の「出荷予定年月日」が決定するため、この培養細胞の「出荷予定年月日」に合わせて手術日を決定することになる。
【0109】
このように「4.検体の培養スケジュール」の「受入年月日」を先に決定する方法でも、「4.検体の培養スケジュール」の「出荷予定年月日」を先に決定する方法でも、いずれかの「年月日」が決定すれば、「4.検体の培養スケジュール」の「出荷予定年月日」が特定され、培養細胞の移植手術日が決定することになる。
【0110】
このように完全に予定を組んで、培養細胞の移植手術日が決定し、検体の受入をし、細胞培養が開始され、培養が行われている最中に、患者3の容体が急変し、当初予定していた移植手術日では、患者3の容体が持たなくなることがある。そのような場合、培養細胞の移植手術日を繰り上げる必要がある。そのような場合には、既に検体の受入を行って「4.検体の培養スケジュール」の「受入年月日」が決定してしまっているため、「4.検体の培養スケジュール」の「受入年月日」を固定し、「4.検体の培養スケジュール」の「出荷予定年月日」を希望する「出荷予定年月日」に変更する。すなわち、図49に示される「5.検体の培養スケジュール」の「出荷予定変更年月日」に数字を入力する。これによって標準スケジュールに示される「出荷予定年月日」を変更することになる。
【0111】
この図49に示される「4.検体の培養スケジュール」の「受入年月日」と「4.検体の培養スケジュール」の「出荷予定年月日」の関係は、相関関係を有しており、培養細胞によって十分な時間をとってある。この「受入年月日」から「出荷予定年月日」までの時間を短縮するということは、それなりの無理が生じる。最大限短縮できる期間というのは細胞の培養速度と関係してくるため、限界がある。この最大限短縮できる期間は、細胞培養機関4側の管理サーバに予めデータで持っている。そこで、図49に示される「5.検体の培養スケジュール」の「出荷予定変更年月日」に数字を入力すると、細胞培養機関4側の管理サーバで演算し、担当医師2が入力した図49に示される「5.検体の培養スケジュール」の「出荷予定変更年月日」で細胞培養ができるか判断する。この「出荷予定年月日」を変更する場合は、最大限細胞培養に影響が出難い処理を短縮して「出荷予定年月日」を前倒しにするものである。
【0112】
図49に示される「5.検体の培養スケジュール」の「出荷予定変更年月日」に数字を入力すればどのような場合でも、変更できる訳ではないため、細胞培養機関4側の管理サーバの演算結果を「6.培養細胞の出荷変更の可否」において表示する。図49に示される「出荷予定年月日」を希望する日に変更できない場合、「出荷を希望日に変更することは、採取細胞を受入れた日から起算して不可能です」と表示される。そして、図49に示される「7.培養細胞の出荷変更可能日」に「○月○日〜○月△日の間に変更することはできます」と表示し、最大限変更できる(短縮できる)日を表示する。この○月○日〜○月△日の間に変更する場合は、図49に示される「6.培養細胞の出荷変更の可否」に「変更が可能です。変更しますか?」というメッセージが表示される。この○月○日〜○月△日の間に変更した場合は、図50に示される調整スケジュール シュミレーションで全体の細胞培養スケジュールが決定され、既に完了している作業は除いて、受け入れ検査の「月日」、分離作業「月日」、培養開始「月日」、成長因子を投入する「月日」、継代の実施「月日」、培養完了「月日」、出荷予定「月日」が自動的に変更入力決定される。この結果、期間短縮が決定される。もし、この変更によって出荷上で注意すべき点等の問題点は図50の下欄に表示される。何の問題も無い場合は、表示されない。
【0113】
【発明の効果】
本発明によれば、細胞の培養に係る優れた管理方法や管理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る細胞の培養に関する管理方法および細胞の培養に関する管理システムを実施するための処理システム構成図である。
【図2】図1に図示の管理サーバの処理構成図である。
【図3】本発明に係る細胞の培養に関する管理方法および細胞の培養に関する管理システムの実施の形態の概略フローチャートである。
【図4】本発明に係る細胞の培養に関する管理方法および細胞の培養に関する管理システムの一実施の形態を示すフローチャートである。
【図5】本発明に係る細胞の培養に関する管理方法および細胞の培養に関する管理システムの一実施の形態を示すフローチャートである。
【図6】本発明に係る細胞の培養に関する管理方法および細胞の培養に関する管理システムの一実施の形態を示すフローチャートである。
【図7】本発明に係る細胞の培養に関する管理方法および細胞の培養に関する管理システムの一実施の形態を示すフローチャートである。
【図8】本発明に係る細胞の培養に関する管理方法および細胞の培養に関する管理システムの一実施の形態を示すフローチャートである。
【図9】本発明に係る細胞の培養に関する管理方法および細胞の培養に関する管理システムの一実施の形態を示すフローチャートである。
【図10】本発明に係る細胞の培養に関する管理方法および細胞の培養に関する管理システムの一実施の形態を示すフローチャートである。
【図11】本発明に係る細胞の培養に関する管理方法および細胞の培養に関する管理システムの一実施の形態を示すフローチャートである。
【図12】本発明に係る細胞の培養に関する管理方法および細胞の培養に関する管理システムの一実施の形態を示すフローチャートである。
【図13】本発明に係る細胞の培養に関する管理方法および細胞の培養に関する管理システムの一実施の形態を示すフローチャートである。
【図14】本発明に係る細胞の培養に関する管理方法および細胞の培養に関する管理システムの一実施の形態を示すフローチャートである。
【図15】本発明に係る細胞の培養に関する管理方法および細胞の培養に関する管理システムの一実施の形態を示すフローチャートである。
【図16】本発明に係る細胞の培養に関する管理方法および細胞の培養に関する管理システムの一実施の形態を示すフローチャートである。
【図17】図1に図示の細胞培養機関の処理内容を表すブロック図である。
【図18】図17に図示の細胞培養機関の受入検査の処理内容を表すブロック図である。
【図19】図18に図示の細胞培養機関の受入検査における受入票の記載事項を示す図である。
【図20】図18に図示の細胞培養機関の受入検査における受入票の記載事項を示す図である。
【図21】図17に図示の細胞培養機関の分離作業の処理内容を表すブロック図である。
【図22】図17に図示の細胞培養機関の培養処理の処理内容を表すブロック図である。
【図23】図17に図示の細胞培養機関の幹細胞生成・出荷検査の処理内容を表すブロック図である。
【図24】図17に図示の細胞培養機関の分化誘導の処理内容を表すブロック図である。
【図25】図17に図示の細胞培養機関の組織形成の処理内容を表すブロック図である。
【図26】図17に図示の細胞培養機関の組織の生成・出荷検査の処理内容を表すブロック図である。
【図27】細胞培養機関の管理サーバに収納される個人データの管理票を示す図である。
【図28】細胞培養機関の管理サーバに収納される個人データの管理票を示す図である。
【図29】細胞培養機関の管理サーバに収納される個人データの管理票を示す図である。
【図30】細胞培養機関における細胞培養状態検索画面を示す図である。
【図31】細胞培養機関における検索の際の個人情報の入力画面を示す図である。
【図32】細胞培養機関における検索の際のIDコードNo.の入力画面を示す図である。
【図33】細胞培養機関における検索の際の細胞IDコードNo.の入力画面を示す図である。
【図34】細胞培養機関における検索の際の表示される個人データ管理票を示す図である。
【図35】細胞培養機関で採取細胞を受け付けた後の受入担当者のデータ入力画面を示す図である。
【図36】細胞培養機関で採取細胞を受け付けたときの受入担当者の作業リストを示す図である。
【図37】細胞培養の依頼を受けた各細胞の作業状況を示す図である。
【図38】細胞検査結果についての管理データを示す図である。
【図39】細胞培養の採取細胞毎の進捗状況についての管理データを示す図である。
【図40】採取細胞毎の細胞培養についての管理データを示す図である。
【図41】採取細胞毎の細胞培養についての管理データを示す図である。
【図42】採取細胞毎の細胞培養についての管理データを示す図である。
【図43】検索メニューを示す図である。
【図44】月毎の各医療機関から細胞培養機関に依頼された細胞培養の受入状況の一覧を示す図である。
【図45】月毎の細胞培養機関に依頼された細胞培養の採取部位別の受入状況の一覧を示す図である。
【図46】医療機関の月別の培養細胞の件数・不良発生率・出荷状況を示す図である。
【図47】培養作業者の培養作業報告書を示す図である。
【図48】細胞培養機関の培養報告書を示す図である。
【図49】培養スケジュールのシュミレーションを示す図である。
【図50】培養スケジュールのシュミレーションを示す図である。
【符号の説明】
1………………………医療機関
4………………………細胞培養機関
41……………………サーバ本体
42……………………データベース
43……………………端末コンピュータ
5………………………電子通信回線
7………………………行政監督庁
8………………………外部検査機関
Claims (12)
- 検体から採取した細胞を冷凍状態で受入れ、該採取細胞に特定の番号を付与する第1のステップと,
前記第1のステップで受入れた採取細胞に異常がないかを検査すると共に異物の混入がないかの検査を行う第2のステップと,
前記第2のステップで受入れた採取細胞に異常がなく異物の混入がないことを確認した後、所望の組織を形成する幹細胞を分離する第3のステップと,
前記第3のステップで他の細胞と分離して取り出した所望の組織を形成する幹細胞を成長因子が混合された培地に播種する第4のステップと,
前記第4のステップで所望の組織を形成する幹細胞を成長因子が混合されている培地に播種した後、幹細胞の増殖状況を監視する第5のステップと,
前記第5のステップで培地に播種した所望の組織を形成する幹細胞の増殖状況を監視し継代を行う第6のステップと,
を備えたことを特徴とする細胞の培養に関する管理方法。 - 前記第1のステップにおける採取細胞に付する特定の番号は、細胞ID又はバーコードである請求項1に記載の細胞の培養に関する管理方法。
- 前記第2のステップにおける採取細胞の異常性の検査は、採取細胞が病原菌に感染していないか、癌細胞に変化していないかの検査を行うものである請求項1又は2に記載の細胞の培養に関する管理方法。
- 前記第3のステップにおける幹細胞の分離は、採取した細胞群の中から増殖した際に所望する特定の組織を形成していく細胞を取り出すことである請求項1、2又は3に記載の細胞の培養に関する管理方法。
- 前記第4のステップにおける培地は、幹細胞が成長するに必要な栄養素を予め混合し、幹細胞が成長するのに最適なPH、温度に調整したものである請求項1、2、3又は4に記載の細胞の培養に関する管理方法。
- 前記第5のステップにおける幹細胞の増殖状況を監視は、細胞臓移植が予めシュミレーションした細胞個数の範囲内に入っているか否かで時系列的に、サンプリングして行うものである請求項1、2、3、4又は5に記載の細胞の培養に関する管理方法。
- 前記第6のステップにおける幹細胞の継代は、増殖した幹細胞を複数に分割して、分割したそれぞれの幹細胞を各々予め成長因子が混合されている培地に播種して行うものである請求項1、2、3、4、5又は6に記載の細胞の培養に関する管理方法。
- 採取細胞を収納する採取用容器に採取した細胞の検体を特定する番号が付与され、該番号の付与された採取用容器に検体から採取した細胞を収納し,
前記採取用容器に収納される検体から採取した細胞そのものの異常性の検査と異物混入検査を行い,
前記採取用容器に採取された複数の細胞群から幹細胞の分離処理を行い,
前記分離した幹細胞を培養する成長因子が混合された培地を備え、前記採取用容器に付与された番号と同一の番号が付された培養用容器に播種し,
前記培養用容器内において幹細胞の増殖を行い,
前記培養用容器内における幹細胞の増殖が所定範囲に達したときに継代を行い,
前記継代によって得られた複数の幹細胞群同士を結合して移植用の幹細胞を形成し,
前記移植用の幹細胞を前記採取用容器に付与された番号と同一の番号が付された移植幹細胞用に収納して培養を要請した依頼者に出荷し,
前記採取細胞に基づいて培養した幹細胞が間違えることなく本人に植依されたことを追尾できるようにしたことを特徴とする細胞の培養に関する管理システム。 - 前記培養を要請した依頼者、本人は、依頼者と本人にそれぞれ設定された細胞ID又はバーコードを用いて細胞培養機関に対して前記培養用容器内において幹細胞の増殖処理中に、該培養細胞の異常の有無、該培養細胞の成長状態、出荷予定の問い合わせを行うことができる請求項8に記載の細胞の培養に関する管理システム。
- 前記出荷する培養細胞は、前記培養を要請した依頼者からの要望に基づき幹細胞状態又は再生組織の形態で行うことができるように管理したものである請求項8又は9に記載の細胞の培養に関する管理システム。
- 前記培養細胞の培養状態は、出荷時期に合わせて制御することができるものである請求項8、9又は10に記載の細胞の培養に関する管理システム。
- 前記出荷時期は、手術予定日である請求項11に記載の細胞の培養に関する管理システム。
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