JP2004287022A - マルチビーム走査装置、マルチビーム走査方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】複数の光ビームの各々の間隔を高精度に保ちつつ、装置の小型化、簡略化、及びコストダウンを図る。
【解決手段】被走査面上で形成される複数の光ビームの各々のビームスポットの副走査方向の間隔を設定する設定手段と、それら複数の光ビームのいずれかの被走査面上のビームスポット位置を変更させる少なくとも1つの光路偏向手段と、少なくとも1つの光路偏向手段を複数の光ビームの少なくとも1つの光路上で挿脱させる移動手段と、設定手段により設定されたビームスポット間隔に基づいて、少なくとも1つの光路偏向手段を少なくとも1つの光路上で移動手段により挿脱させる制御手段とを備えている。
【選択図】 図4
【解決手段】被走査面上で形成される複数の光ビームの各々のビームスポットの副走査方向の間隔を設定する設定手段と、それら複数の光ビームのいずれかの被走査面上のビームスポット位置を変更させる少なくとも1つの光路偏向手段と、少なくとも1つの光路偏向手段を複数の光ビームの少なくとも1つの光路上で挿脱させる移動手段と、設定手段により設定されたビームスポット間隔に基づいて、少なくとも1つの光路偏向手段を少なくとも1つの光路上で移動手段により挿脱させる制御手段とを備えている。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、複数の発光素子から射出される複数の光ビームを偏向器を用いて偏向させることにより被走査面上で同時に走査させるマルチビーム走査装置、及びマルチビーム走査方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、複数の発光素子から射出される複数の光ビームを偏向器を用いて偏向させることにより被走査面上で同時に走査させるマルチビーム走査装置において、副走査方向の解像度(すなわち、副走査方向のビームスポット間隔)を変更する構成はさまざまなものが提供されている。
【0003】
例えば、複数の発光素子と被走査面との間の複数の光ビームの光路上にズームレンズを配置してその焦点距離を変化させることにより、被走査面上で走査される複数の光ビームの各々のビーム間隔を変化させて副走査方向の解像度を変更させたり、光軸と垂直に配置されて複数の発光素子が実装されている基板を回動させることにより、被走査面上で走査される複数の光ビームの各々のビーム間隔を変化させて副走査方向の解像度を変更させたりする装置などがあり、広く実用に供している(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−172815公報(第5頁、第4図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述の特許文献1に記載されているマルチビーム走査装置は複数の発光素子が実装されている基板を含む光源部全体をごと回動させて副走査方向の解像度を変更するよう構成されている。従って、この光源部の回転軸周りを精密に仕上げなければならない。すなわちこの光源部全体が回転してもその周方向に光源部(言い換えると、基板上に実装されている複数の発光素子)がぶれないように、回転軸及び回転軸周りの光源部全体を高精度に仕上げなければならない。しかしながら、素子を実装するこのような光源部全体と筐体との嵌合部を高精度に仕上げることは難しいため、このようなマルチビーム走査装置に用いられるこれらの発光素子に要求される位置精度を光源部回動後も高く保ち続けることは難しかった。
【0006】
また、このマルチビーム走査装置は基板を含む光源部の回転角度と副走査方向のビーム間隔とをモニタして、設定されている解像度に該当する位置(基板の回転角度)に複数の発光素子があるかどうかを検出してフィードバックを行うことにより副走査方向の解像度を変更している。すなわち、このマルチビーム走査装置ではこのようなクローズドループ方式のフィードバック制御を行う機構が必要となるため、装置の大型化、複雑化、及びコストアップに繋がっていた。
【0007】
そこで、本発明は上記の事情に鑑み、複数の光ビームの各々の間隔を高精度に保ちつつ、装置の小型化、簡略化、クイック変換、及びコストダウンを図ることができるマルチビーム走査装置、及びマルチビーム走査方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決する本発明の一態様に係るマルチビーム走査装置は、複数の発光素子から射出される複数の光ビームを偏向器を用いて偏向させることにより被走査面上で同時に走査させるものであって、被走査面上で形成される複数の光ビームの各々のビームスポットの副走査方向の間隔を設定する設定手段と、それら複数の光ビームのいずれかの被走査面上のビームスポット位置を変更させる少なくとも1つの光路偏向手段と、少なくとも1つの光路偏向手段を複数の光ビームの少なくとも1つの光路上で挿脱させる移動手段と、設定手段により設定されたビームスポット間隔に基づいて、少なくとも1つの光路偏向手段を少なくとも1つの光路上で移動手段により挿脱させる制御手段とを備えている。このようにマルチビーム走査装置を構成すると、複数の光ビームのうち、光路偏向手段が光路上に挿脱される光ビームの被走査面上のビームスポット位置を、光路偏向手段が光路上に挿脱されない他の光ビームの被走査面上のビームスポット位置に対して変化させることができる。従って、複数の発光素子全体を移動させることなく、副走査方向の解像度を変更することが可能となる。そのため、副走査方向の解像度を変更しても複数の光ビームの各々の間隔を高精度に保つことが容易となる。また、光路偏向手段の光路上への挿脱のみで副走査方向の解像度を変更しているため、ビームスポット間隔をモニタする必要がない。従って、装置の小型化、簡略化、及びコストダウンを図ることができる。
【0009】
また、上記マルチビーム走査装置は、光路偏向手段が光路上に挿入されている状態と、光路偏向手段が前記光路上から退避している状態とを比較すると、光路偏向手段が光路上に挿入されている状態の方が、複数の光ビームの各々の副走査方向のビームスポット間隔が広い。
【0010】
また、上記マルチビーム走査装置は、光路偏向手段が光路上に挿入されている状態と、光路偏向手段が前記光路上から退避している状態とを比較すると、光路偏向手段が光路上に挿入されている状態の方が、複数の光ビームの各々の副走査方向のビームスポット間隔が狭い。
【0011】
また、上記マルチビーム走査装置において、複数の光ビームは、第1、第2、及び第3の光ビームを含み、第1の光ビームの光路上で挿脱される光路偏向手段がその光路上から退避していると、被走査面上の副走査方向において第1、第2、第3の光ビームの順に、第1、第2、及び第3の光ビームの各々が第1の所定のビームスポット間隔で走査し、光路偏向手段がその光路上に挿入されていると、被走査面上の副走査方向において第2、第1、第3の光ビームの順に、第1、第2、及び第3の光ビームの各々が第2の所定のビームスポット間隔で走査する。
【0012】
また、上記マルチビーム走査装置において、光路偏向手段は、光路偏向手段が光路上で挿脱される光ビームの偏向角度に相当するクサビ角を有したクサビプリズムである。
【0013】
また、上記の課題を解決する本発明の一態様に係るマルチビーム走査方法は、複数の発光素子から射出される複数の光ビームを偏向器を用いて偏向させることにより被走査面上で同時に走査させる方法であって、設定された副走査方向の解像度に応じて、複数の光ビームの少なくとも1つの光路上に、その光ビームの被走査面上のビームスポット位置を変更させる少なくとも1つの光路偏向手段を挿脱させるものである。このようなマルチビーム走査方法であれば、複数の光ビームのうち、光路偏向手段が光路上に挿脱される光ビームの被走査面上のビームスポット位置を、光路偏向手段が光路上に挿脱されない他の光ビームの被走査面上のビームスポット位置に対して変化させることができる。従って、複数の発光素子全体を移動させることなく、副走査方向の解像度を変更することが可能となる。そのため、副走査方向の解像度を変更しても複数の光ビームの各々の間隔を高精度に保つことが容易となる。また、光路偏向手段の光路上への挿脱のみで副走査方向の解像度を変更しているため、ビームスポット間隔をモニタする必要がない。従って、装置の小型化、簡略化、及びコストダウンを図ることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の一実施形態に係るマルチビーム走査装置100の構成を示す図である。
【0015】
マルチビーム走査装置100は、それぞれ第1、第2および第3の光ビーム102、104、106を生成する第1、第2および第3の発光素子108、110、112を有している。発光素子としては、例えばレーザダイオードを用いることができる。各々の発光素子から射出される3つの光ビームは、例えばポリゴンミラー114などの偏光器により被走査面116へ向けて偏向され、fθレンズ118を通過した後に被走査面116上に3つのビームスポットを形成する。形成された3つのビームスポットは、ポリゴンミラー114の回転に伴い、被走査面116上を等速度で走査される。なお、本明細書では、3つのビームスポットが走査される方向を主走査方向、その主走査方向に直交する方向(ポリゴンミラー114の回転軸に平行な方向)を副走査方向と呼ぶ。
【0016】
3つの発光素子108、110、112は、同一の平面、例えばポリゴンミラー114の回転軸114aを法線とする平面に沿って各々の光ビームがほぼ同一方向にほぼ平行に射出されるように配置されている。
【0017】
各発光素子から射出された光ビームは、それぞれ異なるコリメータレンズ120、122、124を過することにより平行光に変換される。さらに、各光ビームは、プリズムユニット130、シリンドリカルレンズ150、およびスリット152を通過した後、ポリゴンミラー114の反射面114bに入射し、前述した被走査面116へ向けて反射される。
【0018】
シリンドリカルレンズ150は、各光ビームがポリゴンミラー114の反射面114bの近傍において副走査方向においてのみ収束するようなパワーを有する。スリット152は、第1から第3の光ビーム102、104、106を通過させることにより、各光ビームの有効光束の断面形状を定めるスリットである。本実施形態においてこのスリット152は、特に、第1および第2の光ビーム102、104のビーム幅をそれら光ビームの間に位置している第3の光ビーム106のビーム幅とほぼ同一の幅に揃えるという機能を果たす。
【0019】
本実施形態のマルチビーム走査装置100は、第1から第3の光ビーム102、104、106の各々の副走査方向のビームスポット間隔、すなわち副走査方向の解像度を設定することができる設定部190を備えている。本実施形態では、例えば設定可能な副走査方向の解像度は2種類あって、操作者がこの設定部190を操作して所望の解像度を設定することにより、マルチビーム走査装置100はその設定された解像度で被走査面116に第1から第3の光ビーム102、104、106の各々を走査させる。
【0020】
設定部190により副走査方向の解像度の変更を表す信号が出力されると、設定部190と接続している制御部180にその信号が入力する。制御部180に上記信号が入力すると、制御部180はその入力した信号に基づいて駆動部170の駆動を制御する。
【0021】
駆動部170は、図示しない駆動機構により第1の光ビーム102の光路上であるコリメータレンズ120とプリズムユニット130との間に、クサビの形状の断面を有しているクサビプリズム154を挿入したり退避させたりするものである。クサビプリズム154が第1の光ビーム102の光路に挿入される場合、この駆動部170は、このクサビプリズム154を、第1の光ビーム102の光軸方向の断面がクサビの形状となるように挿入させる。このクサビプリズム154は第1の光ビーム102の光路上に挿入された際にこの第1の光ビーム102を偏向するプリズムであって、この偏向される第1の光ビーム102の偏向角度に相当するクサビ角を有したプリズムである。
【0022】
クサビプリズム154は、第1の発光素子108側から入射した第1の光ビーム102を入射時と異なった角度で射出させる機能を有している。従って、第1の光ビーム102の光路上にクサビプリズム154が挿入した状態と退避した状態とで光ビームのシリンドリカルレンズ150に入射する副走査方向の位置を変えることができる。光ビームのシリンドリカルレンズ150へ入射する副走査方向の位置が変わると、その光ビームがポリゴンミラー114に入射するときの副走査方向の角度が変化し、その結果、被走査面116上に形成される第1の光ビーム102のビームスポットの位置も変化する。
【0023】
図3は、被走査面116上で走査される第1から第3の光ビーム102、104、106の各々のビームスポットの位置関係を示す図である。図3(a)は、クサビプリズム154が第1の光ビーム102の光路上から退避している場合の第1から第3の光ビーム102、104、106の各々のビームスポットの位置関係を示す図である。また、図3(b)は、クサビプリズム154が第1の光ビーム102の光路上に挿入されている場合の第1から第3の光ビーム102、104、106の各々のビームスポットの位置関係を示す図である。
【0024】
クサビプリズム154が第1の光ビーム102の光路上から退避している場合、図3(a)に示すように、第1から第3の光ビーム102、104、106の各々は、副走査方向にそれぞれビームスポット間隔lで走査する。また、クサビプリズム154が第1の光ビーム102の光路上に挿入されている場合、上述したように、被走査面116上に形成される第1の光ビーム102のビームスポットの位置は、クサビプリズム154が第1の光ビーム102の光路上から退避している場合と比べてクサビプリズム154の偏向角に相当する分変化している。このときこの第1の光ビーム102は、図3(b)に示すように、被走査面116上の副走査方向において第2の光ビーム104と第3の光ビーム106との中間位置に移動されて走査する。すなわち、第1の光ビーム102、第2の光ビーム104、及び第3の光ビーム106の各々は、副走査方向にそれぞれビームスポット間隔l/2で走査する。従って、第1の光ビーム102の光路上にクサビプリズム154を挿入したり退避させたりすることにより、第1から第3の光ビーム102、104、106の各々の副走査方向のビームスポット間隔を変化させることができる。
【0025】
図2は、図1のマルチビーム走査装置100のうち、プリズムユニット130を含む部分を拡大して示した図である。図2に示すプリズムユニット130は、それぞれ第1、第2および第3の光ビーム102、104、106が入射する第1、第2および第3のプリズム132、134、136から構成されている。第3のプリズム136は、第1および第2のプリズム132、134の間に配置されており、その対向する2つの側面の一方において第1のプリズムの側面と、他方において第2のプリズムの側面とそれぞれ貼り合わせられている。
【0026】
第1および第3のプリズム132、136が貼り合わせられている面138には、入射してくる光ビームを鏡面反射するための第1の反射膜140が設けられている。また、第2および第3のプリズム134、136が貼り合わせられている面142にも第1の反射膜140と同様の第2の反射膜144が設けられている。
【0027】
さらに、第1および第2のプリズム132、136がそれぞれ有する面のうち、第3のプリズム136と貼り合わせられている面と対向している側面には、それぞれ第1および第2の光ビーム102、104を反射させるための第3及び第4の反射膜146、148が設けられている。なお、上記の4つの反射膜としては、例えば金属の薄膜を用いることができる。
【0028】
第3のプリズム136は、台形の断面形状を有しており、互いに平行な底面136aと、底面より幅の狭い上面136bとを有している。この第3のプリズム136は、底面136aが第3の発光素子112側に、上面136bがポリゴンミラー114側に位置するように第3の光ビーム106の光路上に配置されている。このために、第3の光ビーム106は、第3のプリズム136にその底面136aから入射し、その上面からポリゴンミラー114に向けて射出する。
【0029】
第1および第2の反射膜140、144は、上記のような形状をした第3のプリズム136の側面に配置されているので、それら反射膜の間は、第3のプリズム136の上面の幅とほぼ等しい隙間S1が存在する。第3のプリズムの上面136bは、第3の光ビーム106のビーム幅よりも幅が狭い。したがって、第1および第2の反射膜140、144の間の隙間S1も第3の光ビームのビーム幅より狭い。
【0030】
本実施形態では、第3の光ビーム106の主光線が第3のプリズムの上面136aのほぼ中央を通過するように、プリズムユニット130が配置されている。このために、第3の光ビーム106の光束の外縁は、第1の反射膜140および第2の反射膜144に照射される。第1および第2の反射膜140、144に照射された光束は、ポリゴンミラー114があるのと異なる方向へ反射される。このため、第3の光ビーム106は、プリズムユニット130を通過することで、そのビーム幅を第1および第2の反射膜140、144の隙間S1に制限される。
【0031】
第1の光ビーム102は、第1のプリズム132内へその前面132aから入射し、第3の反射膜146において第1の反射膜140へ向けて反射される。さらに、第1の光ビーム102は、第1の反射膜140で反射され、第1のプリズム132の後面136bからポリゴンミラー114へ向けて射出する。
【0032】
第3の反射膜146は、第1の反射膜140のポリゴンミラー144側の端部にも第1の光ビーム102が照射されるような角度で第1の光ビーム102を反射させる。これにより、第1の反射膜140で反射された第1の光ビーム102は、第3の光ビーム106がプリズムユニット130から射出する位置の極めて近傍の位置において、あるいは第3の光ビーム106と隙間なく隣接する位置においてプリズムユニット130から射出される。したがって、図1及び図2の示したマルチビーム走査装置100において、第1の光ビーム102と第3の光ビーム106との間のポリゴンミラー114が回転する方向における開き角θは小さい。
【0033】
第2の光ビーム104は、第2のプリズム134内へその前面134aから入射し、第4の反射膜148において第2の反射膜144へ向けて反射される。さらに、第2の光ビーム104は、第2の反射膜144で反射され、第2のプリズム134の後面134bからポリゴンミラー114へ向けて射出する。第2の光ビーム104の場合も、第4の反射膜148は、第2の反射膜144のポリゴンミラー144側の端部にも第2の光ビーム104が照射されるような角度で第2の光ビーム104を反射させる。したがって、第2の光ビーム104と第3の光ビーム106との間のポリゴンミラー114が回転する方向における開き角θも極めて小さい。
【0034】
図1および図2に示したマルチビーム走査装置100では、第1および第2の光ビーム102、104が、第3の光ビーム106とほぼ同じ位置においてポリゴンミラー114に入射するように第1から第3の各プリズム132、134、136が形成されている。このため、図2に見られるように、プリズムユニット130から射出した後の第1および第2の光ビーム102、104は、第3の光ビーム106の方へやや傾れている。
【0035】
図1に示したマルチビーム走査装置100は、第1から第3の発光素子108、110、112等を一の支持部材に取り付けた光源装置を予め用意し、その光源装置をマルチビーム走査装置100の筐体内に設置するという方法で製造することができる。
【0036】
図4は、そのような光源装置160の一例を示す上面図(a)、側面図(b)、および正面図(c)を示している。光源装置160は支持部材(基板)162を有し、その支持部材162の上に、第1から第3の発光素子108、110、112、コリメータレンズ120、122、124、プリズムユニット130、シリンドリカルレンズ150、およびスリット152が取り付けられている。また、クサビプリズム154は、駆動部170の図示しない駆動機構により光源装置160から着脱可能に構成されている。
【0037】
第1から第3までの発光素子108、110、112は、それらがほぼ同じ平面内でほぼ同一方向へほぼ平行に光ビームを照射するように支持部材162に取り付けられている。このように発光素子を取り付けた場合、各発光素子を駆動するための電気回路(不図示)を発光装置160の背面側(発光素子が光を射出する側と反対の側)にまとめて配置することができ、便利である。
【0038】
また、発光装置160では、支持部材162に第1から第3の発光素子108、110、112と共に、各発光素子に対応するコリメータレンズ120、122、124が一体に固定されているので、各コリメータレンズにより平行光に変換された光ビームの相対的な位置関係を維持することが容易である。
【0039】
例えば、周囲環境の温度が変化し、図1に示したマルチビーム走査装置100を構成している各部品が熱膨脹又は収縮をすると、その影響を受けて発光素子や、コリメータレンズの位置がずれ、その結果、発光素子から射出され、コリメータレンズを通過した各光ビーム間の平行が失われる可能性がある。発光素子又はコリメータの近傍で光ビームの位置や傾きに僅かな変化生じても、その変化は被走査面116では大きく拡大され、被走査面116に描画される画像の質を著しく低下させる。
【0040】
しかし、図4に示した光源装置160では、一の支持部材162に発光素子およびコリメータレンズを一体に取り付けているので、周囲温度変化により支持部材160が熱膨脹等を行っても、各光ビーム間の平行は失われにくく、したがって、被走査面116に各光ビーム102、104、106により描画される画像の質を維持することが容易である。
【0041】
発光装置160の支持部材162は、例えば金属材料等の高熱伝導性を有する材料から形成することが好ましい。例えばいわゆるモードホップを生じるレーザダイオードのように、出力する光の波長が温度により変化する発光素子を利用した場合、周囲温度の影響を受けて各発光素子がそれぞれ異なる温度で作動し、それぞれ異なる波長の光ビームを出力する可能性がある。各発光素子から異なる波長の光ビームが出力されると、それら光ビームがfθレンズを通過する際に色収差の影響が現れる。すなわち、各光ビームにより被走査面上に形成されるビームスポットの位置が本来の位置からずれ、その結果、いわゆるマルチビーム間のジッターという現象が生じる。これに対し、図4に示した光源装置160では、支持部材162が金属等の高熱伝導性の材料から形成されており、支持部材162とそれに取り付けられている第1から第3の発光素子108、110、112との間で熱が伝わりやすいので、支持部材162により、3つの発光素子の温度がほぼ同じ温度に維持される。このため、各発光素子間で出力する光の波長が異なるという不都合は生じにくい。
【0042】
以上が本発明の実施形態である。本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく様々な範囲で変形が可能である。
【0043】
なお、本実施形態において、クサビプリズム154が第1の光ビーム102の光路上から退避していると、3つの光ビームの各々は、副走査方向にそれぞれビームスポット間隔lで走査し、クサビプリズム154が第1の光ビーム102の光路上に挿入されていると、3つの光ビームの各々は、副走査方向にそれぞれビームスポット間隔l/2で走査しているが、別の実施形態では、クサビプリズム154退避時に3つの光ビームの各々は副走査方向にそれぞれビームスポット間隔l/2で走査し、クサビプリズム154挿入時に3つの光ビームの各々は副走査方向にそれぞれビームスポット間隔lで走査するよう構成してもよい。
【0044】
すなわち、別の実施形態は、クサビプリズム154退避時に第1の光ビーム102が被走査面116上の副走査方向において第2の光ビーム104と第3の光ビーム106との中間位置で走査するよう第1の発光素子108の配置角度を本実施形態に対して変更したものである。さらに、クサビプリズム154を挿入して被走査面116上に形成される第1の光ビーム102のビームスポットの位置を変化させたとき、3つの光ビームの各々が副走査方向にそれぞれビームスポット間隔lで走査するよう構成したものである。
【0045】
また、本実施形態において、被走査面116上のビームスポット位置を変化させるクサビプリズム154のような光路偏向手段が挿入される光路は1つであるが、別の実施形態では、複数の光路偏向手段の各々を複数の光路の各々で挿脱できるよう構成してもよい。この実施形態では、複数の光路偏向手段の各々の複数の光路の各々に対する挿脱状態によりさまざまな副走査方向の解像度を実現することが可能となる。
【0046】
【発明の効果】
以上のように本発明のマルチビーム走査装置は、複数の発光素子から射出された複数の光ビームの少なくとも1つの光路上に、被走査面上の副走査方向のビームスポット位置を変化させる光路偏向手段を挿脱可能に備えているものである。また、本発明のマルチビーム走査方法は、設定された副走査方向の解像度に応じて、複数の光ビームの少なくとも1つの光路上に、その光ビームの被走査面上のビームスポット位置を変更させる少なくとも1つの光路偏向手段を挿脱させるものである。このようなマルチビーム走査装置、及びマルチビーム走査方法であれば、複数の光ビームのうち、光路偏向手段が光路上に挿脱される光ビームの被走査面上のビームスポット位置を、光路偏向手段が光路上に挿脱されない他の光ビームの被走査面上のビームスポット位置に対して変化させることができる。従って、複数の発光素子全体を移動させることなく、副走査方向の解像度を変更することが可能となる。そのため、副走査方向の解像度を変更しても複数の光ビームの各々の間隔を高精度に保つことが容易となる。また、光路偏向手段の光路上への挿脱のみで副走査方向の解像度を変更しているため、ビームスポット間隔をモニタする必要がない。従って、装置の小型化、簡略化、及びコストダウンを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るマルチビーム走査装置の構成を示す図である。
【図2】図1のマルチビーム走査装置のうち、プリズムユニットを含む部分を拡大して示した図である。
【図3】被走査面上で走査される第1から第3の光ビームの各々の走査位置の関係を示す図である。
【図4】光源装置の一例を示す上面図(a)、側面図(b)、および正面図(c)である。
【符号の説明】
100 マルチビーム走査装置
108、110、112 発光素子
154 クサビプリズム
160 光源装置
170 駆動部
180 制御部
190 設定部
【発明の属する技術分野】
この発明は、複数の発光素子から射出される複数の光ビームを偏向器を用いて偏向させることにより被走査面上で同時に走査させるマルチビーム走査装置、及びマルチビーム走査方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、複数の発光素子から射出される複数の光ビームを偏向器を用いて偏向させることにより被走査面上で同時に走査させるマルチビーム走査装置において、副走査方向の解像度(すなわち、副走査方向のビームスポット間隔)を変更する構成はさまざまなものが提供されている。
【0003】
例えば、複数の発光素子と被走査面との間の複数の光ビームの光路上にズームレンズを配置してその焦点距離を変化させることにより、被走査面上で走査される複数の光ビームの各々のビーム間隔を変化させて副走査方向の解像度を変更させたり、光軸と垂直に配置されて複数の発光素子が実装されている基板を回動させることにより、被走査面上で走査される複数の光ビームの各々のビーム間隔を変化させて副走査方向の解像度を変更させたりする装置などがあり、広く実用に供している(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−172815公報(第5頁、第4図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述の特許文献1に記載されているマルチビーム走査装置は複数の発光素子が実装されている基板を含む光源部全体をごと回動させて副走査方向の解像度を変更するよう構成されている。従って、この光源部の回転軸周りを精密に仕上げなければならない。すなわちこの光源部全体が回転してもその周方向に光源部(言い換えると、基板上に実装されている複数の発光素子)がぶれないように、回転軸及び回転軸周りの光源部全体を高精度に仕上げなければならない。しかしながら、素子を実装するこのような光源部全体と筐体との嵌合部を高精度に仕上げることは難しいため、このようなマルチビーム走査装置に用いられるこれらの発光素子に要求される位置精度を光源部回動後も高く保ち続けることは難しかった。
【0006】
また、このマルチビーム走査装置は基板を含む光源部の回転角度と副走査方向のビーム間隔とをモニタして、設定されている解像度に該当する位置(基板の回転角度)に複数の発光素子があるかどうかを検出してフィードバックを行うことにより副走査方向の解像度を変更している。すなわち、このマルチビーム走査装置ではこのようなクローズドループ方式のフィードバック制御を行う機構が必要となるため、装置の大型化、複雑化、及びコストアップに繋がっていた。
【0007】
そこで、本発明は上記の事情に鑑み、複数の光ビームの各々の間隔を高精度に保ちつつ、装置の小型化、簡略化、クイック変換、及びコストダウンを図ることができるマルチビーム走査装置、及びマルチビーム走査方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決する本発明の一態様に係るマルチビーム走査装置は、複数の発光素子から射出される複数の光ビームを偏向器を用いて偏向させることにより被走査面上で同時に走査させるものであって、被走査面上で形成される複数の光ビームの各々のビームスポットの副走査方向の間隔を設定する設定手段と、それら複数の光ビームのいずれかの被走査面上のビームスポット位置を変更させる少なくとも1つの光路偏向手段と、少なくとも1つの光路偏向手段を複数の光ビームの少なくとも1つの光路上で挿脱させる移動手段と、設定手段により設定されたビームスポット間隔に基づいて、少なくとも1つの光路偏向手段を少なくとも1つの光路上で移動手段により挿脱させる制御手段とを備えている。このようにマルチビーム走査装置を構成すると、複数の光ビームのうち、光路偏向手段が光路上に挿脱される光ビームの被走査面上のビームスポット位置を、光路偏向手段が光路上に挿脱されない他の光ビームの被走査面上のビームスポット位置に対して変化させることができる。従って、複数の発光素子全体を移動させることなく、副走査方向の解像度を変更することが可能となる。そのため、副走査方向の解像度を変更しても複数の光ビームの各々の間隔を高精度に保つことが容易となる。また、光路偏向手段の光路上への挿脱のみで副走査方向の解像度を変更しているため、ビームスポット間隔をモニタする必要がない。従って、装置の小型化、簡略化、及びコストダウンを図ることができる。
【0009】
また、上記マルチビーム走査装置は、光路偏向手段が光路上に挿入されている状態と、光路偏向手段が前記光路上から退避している状態とを比較すると、光路偏向手段が光路上に挿入されている状態の方が、複数の光ビームの各々の副走査方向のビームスポット間隔が広い。
【0010】
また、上記マルチビーム走査装置は、光路偏向手段が光路上に挿入されている状態と、光路偏向手段が前記光路上から退避している状態とを比較すると、光路偏向手段が光路上に挿入されている状態の方が、複数の光ビームの各々の副走査方向のビームスポット間隔が狭い。
【0011】
また、上記マルチビーム走査装置において、複数の光ビームは、第1、第2、及び第3の光ビームを含み、第1の光ビームの光路上で挿脱される光路偏向手段がその光路上から退避していると、被走査面上の副走査方向において第1、第2、第3の光ビームの順に、第1、第2、及び第3の光ビームの各々が第1の所定のビームスポット間隔で走査し、光路偏向手段がその光路上に挿入されていると、被走査面上の副走査方向において第2、第1、第3の光ビームの順に、第1、第2、及び第3の光ビームの各々が第2の所定のビームスポット間隔で走査する。
【0012】
また、上記マルチビーム走査装置において、光路偏向手段は、光路偏向手段が光路上で挿脱される光ビームの偏向角度に相当するクサビ角を有したクサビプリズムである。
【0013】
また、上記の課題を解決する本発明の一態様に係るマルチビーム走査方法は、複数の発光素子から射出される複数の光ビームを偏向器を用いて偏向させることにより被走査面上で同時に走査させる方法であって、設定された副走査方向の解像度に応じて、複数の光ビームの少なくとも1つの光路上に、その光ビームの被走査面上のビームスポット位置を変更させる少なくとも1つの光路偏向手段を挿脱させるものである。このようなマルチビーム走査方法であれば、複数の光ビームのうち、光路偏向手段が光路上に挿脱される光ビームの被走査面上のビームスポット位置を、光路偏向手段が光路上に挿脱されない他の光ビームの被走査面上のビームスポット位置に対して変化させることができる。従って、複数の発光素子全体を移動させることなく、副走査方向の解像度を変更することが可能となる。そのため、副走査方向の解像度を変更しても複数の光ビームの各々の間隔を高精度に保つことが容易となる。また、光路偏向手段の光路上への挿脱のみで副走査方向の解像度を変更しているため、ビームスポット間隔をモニタする必要がない。従って、装置の小型化、簡略化、及びコストダウンを図ることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の一実施形態に係るマルチビーム走査装置100の構成を示す図である。
【0015】
マルチビーム走査装置100は、それぞれ第1、第2および第3の光ビーム102、104、106を生成する第1、第2および第3の発光素子108、110、112を有している。発光素子としては、例えばレーザダイオードを用いることができる。各々の発光素子から射出される3つの光ビームは、例えばポリゴンミラー114などの偏光器により被走査面116へ向けて偏向され、fθレンズ118を通過した後に被走査面116上に3つのビームスポットを形成する。形成された3つのビームスポットは、ポリゴンミラー114の回転に伴い、被走査面116上を等速度で走査される。なお、本明細書では、3つのビームスポットが走査される方向を主走査方向、その主走査方向に直交する方向(ポリゴンミラー114の回転軸に平行な方向)を副走査方向と呼ぶ。
【0016】
3つの発光素子108、110、112は、同一の平面、例えばポリゴンミラー114の回転軸114aを法線とする平面に沿って各々の光ビームがほぼ同一方向にほぼ平行に射出されるように配置されている。
【0017】
各発光素子から射出された光ビームは、それぞれ異なるコリメータレンズ120、122、124を過することにより平行光に変換される。さらに、各光ビームは、プリズムユニット130、シリンドリカルレンズ150、およびスリット152を通過した後、ポリゴンミラー114の反射面114bに入射し、前述した被走査面116へ向けて反射される。
【0018】
シリンドリカルレンズ150は、各光ビームがポリゴンミラー114の反射面114bの近傍において副走査方向においてのみ収束するようなパワーを有する。スリット152は、第1から第3の光ビーム102、104、106を通過させることにより、各光ビームの有効光束の断面形状を定めるスリットである。本実施形態においてこのスリット152は、特に、第1および第2の光ビーム102、104のビーム幅をそれら光ビームの間に位置している第3の光ビーム106のビーム幅とほぼ同一の幅に揃えるという機能を果たす。
【0019】
本実施形態のマルチビーム走査装置100は、第1から第3の光ビーム102、104、106の各々の副走査方向のビームスポット間隔、すなわち副走査方向の解像度を設定することができる設定部190を備えている。本実施形態では、例えば設定可能な副走査方向の解像度は2種類あって、操作者がこの設定部190を操作して所望の解像度を設定することにより、マルチビーム走査装置100はその設定された解像度で被走査面116に第1から第3の光ビーム102、104、106の各々を走査させる。
【0020】
設定部190により副走査方向の解像度の変更を表す信号が出力されると、設定部190と接続している制御部180にその信号が入力する。制御部180に上記信号が入力すると、制御部180はその入力した信号に基づいて駆動部170の駆動を制御する。
【0021】
駆動部170は、図示しない駆動機構により第1の光ビーム102の光路上であるコリメータレンズ120とプリズムユニット130との間に、クサビの形状の断面を有しているクサビプリズム154を挿入したり退避させたりするものである。クサビプリズム154が第1の光ビーム102の光路に挿入される場合、この駆動部170は、このクサビプリズム154を、第1の光ビーム102の光軸方向の断面がクサビの形状となるように挿入させる。このクサビプリズム154は第1の光ビーム102の光路上に挿入された際にこの第1の光ビーム102を偏向するプリズムであって、この偏向される第1の光ビーム102の偏向角度に相当するクサビ角を有したプリズムである。
【0022】
クサビプリズム154は、第1の発光素子108側から入射した第1の光ビーム102を入射時と異なった角度で射出させる機能を有している。従って、第1の光ビーム102の光路上にクサビプリズム154が挿入した状態と退避した状態とで光ビームのシリンドリカルレンズ150に入射する副走査方向の位置を変えることができる。光ビームのシリンドリカルレンズ150へ入射する副走査方向の位置が変わると、その光ビームがポリゴンミラー114に入射するときの副走査方向の角度が変化し、その結果、被走査面116上に形成される第1の光ビーム102のビームスポットの位置も変化する。
【0023】
図3は、被走査面116上で走査される第1から第3の光ビーム102、104、106の各々のビームスポットの位置関係を示す図である。図3(a)は、クサビプリズム154が第1の光ビーム102の光路上から退避している場合の第1から第3の光ビーム102、104、106の各々のビームスポットの位置関係を示す図である。また、図3(b)は、クサビプリズム154が第1の光ビーム102の光路上に挿入されている場合の第1から第3の光ビーム102、104、106の各々のビームスポットの位置関係を示す図である。
【0024】
クサビプリズム154が第1の光ビーム102の光路上から退避している場合、図3(a)に示すように、第1から第3の光ビーム102、104、106の各々は、副走査方向にそれぞれビームスポット間隔lで走査する。また、クサビプリズム154が第1の光ビーム102の光路上に挿入されている場合、上述したように、被走査面116上に形成される第1の光ビーム102のビームスポットの位置は、クサビプリズム154が第1の光ビーム102の光路上から退避している場合と比べてクサビプリズム154の偏向角に相当する分変化している。このときこの第1の光ビーム102は、図3(b)に示すように、被走査面116上の副走査方向において第2の光ビーム104と第3の光ビーム106との中間位置に移動されて走査する。すなわち、第1の光ビーム102、第2の光ビーム104、及び第3の光ビーム106の各々は、副走査方向にそれぞれビームスポット間隔l/2で走査する。従って、第1の光ビーム102の光路上にクサビプリズム154を挿入したり退避させたりすることにより、第1から第3の光ビーム102、104、106の各々の副走査方向のビームスポット間隔を変化させることができる。
【0025】
図2は、図1のマルチビーム走査装置100のうち、プリズムユニット130を含む部分を拡大して示した図である。図2に示すプリズムユニット130は、それぞれ第1、第2および第3の光ビーム102、104、106が入射する第1、第2および第3のプリズム132、134、136から構成されている。第3のプリズム136は、第1および第2のプリズム132、134の間に配置されており、その対向する2つの側面の一方において第1のプリズムの側面と、他方において第2のプリズムの側面とそれぞれ貼り合わせられている。
【0026】
第1および第3のプリズム132、136が貼り合わせられている面138には、入射してくる光ビームを鏡面反射するための第1の反射膜140が設けられている。また、第2および第3のプリズム134、136が貼り合わせられている面142にも第1の反射膜140と同様の第2の反射膜144が設けられている。
【0027】
さらに、第1および第2のプリズム132、136がそれぞれ有する面のうち、第3のプリズム136と貼り合わせられている面と対向している側面には、それぞれ第1および第2の光ビーム102、104を反射させるための第3及び第4の反射膜146、148が設けられている。なお、上記の4つの反射膜としては、例えば金属の薄膜を用いることができる。
【0028】
第3のプリズム136は、台形の断面形状を有しており、互いに平行な底面136aと、底面より幅の狭い上面136bとを有している。この第3のプリズム136は、底面136aが第3の発光素子112側に、上面136bがポリゴンミラー114側に位置するように第3の光ビーム106の光路上に配置されている。このために、第3の光ビーム106は、第3のプリズム136にその底面136aから入射し、その上面からポリゴンミラー114に向けて射出する。
【0029】
第1および第2の反射膜140、144は、上記のような形状をした第3のプリズム136の側面に配置されているので、それら反射膜の間は、第3のプリズム136の上面の幅とほぼ等しい隙間S1が存在する。第3のプリズムの上面136bは、第3の光ビーム106のビーム幅よりも幅が狭い。したがって、第1および第2の反射膜140、144の間の隙間S1も第3の光ビームのビーム幅より狭い。
【0030】
本実施形態では、第3の光ビーム106の主光線が第3のプリズムの上面136aのほぼ中央を通過するように、プリズムユニット130が配置されている。このために、第3の光ビーム106の光束の外縁は、第1の反射膜140および第2の反射膜144に照射される。第1および第2の反射膜140、144に照射された光束は、ポリゴンミラー114があるのと異なる方向へ反射される。このため、第3の光ビーム106は、プリズムユニット130を通過することで、そのビーム幅を第1および第2の反射膜140、144の隙間S1に制限される。
【0031】
第1の光ビーム102は、第1のプリズム132内へその前面132aから入射し、第3の反射膜146において第1の反射膜140へ向けて反射される。さらに、第1の光ビーム102は、第1の反射膜140で反射され、第1のプリズム132の後面136bからポリゴンミラー114へ向けて射出する。
【0032】
第3の反射膜146は、第1の反射膜140のポリゴンミラー144側の端部にも第1の光ビーム102が照射されるような角度で第1の光ビーム102を反射させる。これにより、第1の反射膜140で反射された第1の光ビーム102は、第3の光ビーム106がプリズムユニット130から射出する位置の極めて近傍の位置において、あるいは第3の光ビーム106と隙間なく隣接する位置においてプリズムユニット130から射出される。したがって、図1及び図2の示したマルチビーム走査装置100において、第1の光ビーム102と第3の光ビーム106との間のポリゴンミラー114が回転する方向における開き角θは小さい。
【0033】
第2の光ビーム104は、第2のプリズム134内へその前面134aから入射し、第4の反射膜148において第2の反射膜144へ向けて反射される。さらに、第2の光ビーム104は、第2の反射膜144で反射され、第2のプリズム134の後面134bからポリゴンミラー114へ向けて射出する。第2の光ビーム104の場合も、第4の反射膜148は、第2の反射膜144のポリゴンミラー144側の端部にも第2の光ビーム104が照射されるような角度で第2の光ビーム104を反射させる。したがって、第2の光ビーム104と第3の光ビーム106との間のポリゴンミラー114が回転する方向における開き角θも極めて小さい。
【0034】
図1および図2に示したマルチビーム走査装置100では、第1および第2の光ビーム102、104が、第3の光ビーム106とほぼ同じ位置においてポリゴンミラー114に入射するように第1から第3の各プリズム132、134、136が形成されている。このため、図2に見られるように、プリズムユニット130から射出した後の第1および第2の光ビーム102、104は、第3の光ビーム106の方へやや傾れている。
【0035】
図1に示したマルチビーム走査装置100は、第1から第3の発光素子108、110、112等を一の支持部材に取り付けた光源装置を予め用意し、その光源装置をマルチビーム走査装置100の筐体内に設置するという方法で製造することができる。
【0036】
図4は、そのような光源装置160の一例を示す上面図(a)、側面図(b)、および正面図(c)を示している。光源装置160は支持部材(基板)162を有し、その支持部材162の上に、第1から第3の発光素子108、110、112、コリメータレンズ120、122、124、プリズムユニット130、シリンドリカルレンズ150、およびスリット152が取り付けられている。また、クサビプリズム154は、駆動部170の図示しない駆動機構により光源装置160から着脱可能に構成されている。
【0037】
第1から第3までの発光素子108、110、112は、それらがほぼ同じ平面内でほぼ同一方向へほぼ平行に光ビームを照射するように支持部材162に取り付けられている。このように発光素子を取り付けた場合、各発光素子を駆動するための電気回路(不図示)を発光装置160の背面側(発光素子が光を射出する側と反対の側)にまとめて配置することができ、便利である。
【0038】
また、発光装置160では、支持部材162に第1から第3の発光素子108、110、112と共に、各発光素子に対応するコリメータレンズ120、122、124が一体に固定されているので、各コリメータレンズにより平行光に変換された光ビームの相対的な位置関係を維持することが容易である。
【0039】
例えば、周囲環境の温度が変化し、図1に示したマルチビーム走査装置100を構成している各部品が熱膨脹又は収縮をすると、その影響を受けて発光素子や、コリメータレンズの位置がずれ、その結果、発光素子から射出され、コリメータレンズを通過した各光ビーム間の平行が失われる可能性がある。発光素子又はコリメータの近傍で光ビームの位置や傾きに僅かな変化生じても、その変化は被走査面116では大きく拡大され、被走査面116に描画される画像の質を著しく低下させる。
【0040】
しかし、図4に示した光源装置160では、一の支持部材162に発光素子およびコリメータレンズを一体に取り付けているので、周囲温度変化により支持部材160が熱膨脹等を行っても、各光ビーム間の平行は失われにくく、したがって、被走査面116に各光ビーム102、104、106により描画される画像の質を維持することが容易である。
【0041】
発光装置160の支持部材162は、例えば金属材料等の高熱伝導性を有する材料から形成することが好ましい。例えばいわゆるモードホップを生じるレーザダイオードのように、出力する光の波長が温度により変化する発光素子を利用した場合、周囲温度の影響を受けて各発光素子がそれぞれ異なる温度で作動し、それぞれ異なる波長の光ビームを出力する可能性がある。各発光素子から異なる波長の光ビームが出力されると、それら光ビームがfθレンズを通過する際に色収差の影響が現れる。すなわち、各光ビームにより被走査面上に形成されるビームスポットの位置が本来の位置からずれ、その結果、いわゆるマルチビーム間のジッターという現象が生じる。これに対し、図4に示した光源装置160では、支持部材162が金属等の高熱伝導性の材料から形成されており、支持部材162とそれに取り付けられている第1から第3の発光素子108、110、112との間で熱が伝わりやすいので、支持部材162により、3つの発光素子の温度がほぼ同じ温度に維持される。このため、各発光素子間で出力する光の波長が異なるという不都合は生じにくい。
【0042】
以上が本発明の実施形態である。本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく様々な範囲で変形が可能である。
【0043】
なお、本実施形態において、クサビプリズム154が第1の光ビーム102の光路上から退避していると、3つの光ビームの各々は、副走査方向にそれぞれビームスポット間隔lで走査し、クサビプリズム154が第1の光ビーム102の光路上に挿入されていると、3つの光ビームの各々は、副走査方向にそれぞれビームスポット間隔l/2で走査しているが、別の実施形態では、クサビプリズム154退避時に3つの光ビームの各々は副走査方向にそれぞれビームスポット間隔l/2で走査し、クサビプリズム154挿入時に3つの光ビームの各々は副走査方向にそれぞれビームスポット間隔lで走査するよう構成してもよい。
【0044】
すなわち、別の実施形態は、クサビプリズム154退避時に第1の光ビーム102が被走査面116上の副走査方向において第2の光ビーム104と第3の光ビーム106との中間位置で走査するよう第1の発光素子108の配置角度を本実施形態に対して変更したものである。さらに、クサビプリズム154を挿入して被走査面116上に形成される第1の光ビーム102のビームスポットの位置を変化させたとき、3つの光ビームの各々が副走査方向にそれぞれビームスポット間隔lで走査するよう構成したものである。
【0045】
また、本実施形態において、被走査面116上のビームスポット位置を変化させるクサビプリズム154のような光路偏向手段が挿入される光路は1つであるが、別の実施形態では、複数の光路偏向手段の各々を複数の光路の各々で挿脱できるよう構成してもよい。この実施形態では、複数の光路偏向手段の各々の複数の光路の各々に対する挿脱状態によりさまざまな副走査方向の解像度を実現することが可能となる。
【0046】
【発明の効果】
以上のように本発明のマルチビーム走査装置は、複数の発光素子から射出された複数の光ビームの少なくとも1つの光路上に、被走査面上の副走査方向のビームスポット位置を変化させる光路偏向手段を挿脱可能に備えているものである。また、本発明のマルチビーム走査方法は、設定された副走査方向の解像度に応じて、複数の光ビームの少なくとも1つの光路上に、その光ビームの被走査面上のビームスポット位置を変更させる少なくとも1つの光路偏向手段を挿脱させるものである。このようなマルチビーム走査装置、及びマルチビーム走査方法であれば、複数の光ビームのうち、光路偏向手段が光路上に挿脱される光ビームの被走査面上のビームスポット位置を、光路偏向手段が光路上に挿脱されない他の光ビームの被走査面上のビームスポット位置に対して変化させることができる。従って、複数の発光素子全体を移動させることなく、副走査方向の解像度を変更することが可能となる。そのため、副走査方向の解像度を変更しても複数の光ビームの各々の間隔を高精度に保つことが容易となる。また、光路偏向手段の光路上への挿脱のみで副走査方向の解像度を変更しているため、ビームスポット間隔をモニタする必要がない。従って、装置の小型化、簡略化、及びコストダウンを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るマルチビーム走査装置の構成を示す図である。
【図2】図1のマルチビーム走査装置のうち、プリズムユニットを含む部分を拡大して示した図である。
【図3】被走査面上で走査される第1から第3の光ビームの各々の走査位置の関係を示す図である。
【図4】光源装置の一例を示す上面図(a)、側面図(b)、および正面図(c)である。
【符号の説明】
100 マルチビーム走査装置
108、110、112 発光素子
154 クサビプリズム
160 光源装置
170 駆動部
180 制御部
190 設定部
Claims (6)
- 複数の発光素子から射出される複数の光ビームを、偏向器を用いて偏向させることにより被走査面上で同時に走査させるマルチビーム走査装置において、
前記被走査面上で形成される前記複数の光ビームの各々のビームスポットの副走査方向の間隔を設定する設定手段と、
前記複数の光ビームのいずれかの前記被走査面上のビームスポット位置を変更させる少なくとも1つの光路偏向手段と、
前記少なくとも1つの光路偏向手段を、前記複数の光ビームの少なくとも1つの光路上で挿脱させる移動手段と、
前記設定手段により設定された前記ビームスポット間隔に基づいて、前記少なくとも1つの光路偏向手段を前記少なくとも1つの光路上で前記移動手段により挿脱させる制御手段と、を備えていること、を特徴とするマルチビーム走査装置。 - 前記光路偏向手段が前記光路上に挿入されている状態と、前記光路偏向手段が前記光路上から退避している状態と、を比較すると、
前記光路偏向手段が前記光路上に挿入されている状態の方が、前記複数の光ビームの各々の前記ビームスポット間隔が広いこと、を特徴とする請求項1に記載のマルチビーム走査装置。 - 前記光路偏向手段が前記光路上に挿入されている状態と、前記光路偏向手段が前記光路上から退避している状態と、を比較すると、
前記光路偏向手段が前記光路上に挿入されている状態の方が、前記複数の光ビームの各々の前記ビームスポット間隔が狭いこと、を特徴とする請求項1に記載のマルチビーム走査装置。 - 前記複数の光ビームは、第1、第2、及び第3の光ビームを含み、
前記第1の光ビームの光路上で挿脱される前記光路偏向手段が前記光路上から退避していると、前記被走査面上の副走査方向において前記第1、第2、第3の光ビームの順に、前記第1、第2、及び第3の光ビームの各々が第1の所定のビームスポット間隔で走査し、
前記光路偏向手段が前記光路上に挿入されていると、前記被走査面上の副走査方向において前記第2、第1、第3の光ビームの順に、前記第1、第2、及び第3の光ビームの各々が第2の所定のビームスポット間隔で走査すること、を特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のマルチビーム走査装置。 - 前記光路偏向手段は、前記光路偏向手段が光路上で挿脱される前記光ビームの偏向角度に相当するクサビ角を有したクサビプリズムであること、を特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のマルチビーム走査装置。
- 複数の発光素子から射出される複数の光ビームを偏向器を用いて偏向させることにより被走査面上で同時に走査させるマルチビーム走査方法において、
設定された副走査方向の解像度に応じて、前記複数の光ビームの少なくとも1つの光路上に、前記光ビームの前記被走査面上のビームスポット位置を変更させる少なくとも1つの光路偏向手段を挿脱させること、を特徴とするマルチビーム走査方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003078158A JP2004287022A (ja) | 2003-03-20 | 2003-03-20 | マルチビーム走査装置、マルチビーム走査方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008089833A (ja) * | 2006-09-29 | 2008-04-17 | Fujifilm Corp | マルチビーム走査方法およびマルチビーム走査光学系 |
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2003
- 2003-03-20 JP JP2003078158A patent/JP2004287022A/ja active Pending
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