【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、分波機能を有する通信用の回折格子に係り、特にその回折格子の作製方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光通信において、波長多重伝送が用いられており、多重化された光を分波するため、回折格子が用いられている。
【0003】
回折格子は微細な凹凸を有する部品であり、通常、原版といわれる部品を切削や、フォトレジストなどで作製し、この凹凸を転写し、作製される。
【0004】
最も優れた転写の方法として、電鋳法でメッキにより転写金型を作製した後、この金型を樹脂で転写し部品とする方法が提案されている(特許文献1〜6)。
近年光伝送システム機器においては、各使用部品で低コスト化が重要な課題であり、この分波器を低コストに量産することが必要となっている。この回折格子は、微細な刻線や凹凸形状を有し、この形状を低コストに作製する技術が必要であり、特許文献1〜6に開示された方法などで原版を作製した後に、メッキにより原版を転写し金型を作製し、この金型を用いて樹脂に形状を転写する方法が検討されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平07−113193号公報
【特許文献2】
特開平06−201908号公報
【特許文献3】
特開平5−004232号公報
【特許文献4】
特開平5−195278号公報
【特許文献5】
特開平2−170994号公報
【特許文献6】
特公平5−057656号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、回折格子として、刃状の形状を有するブレーズ型回折格子は、設計、製造が難しいという欠点があるものの回折効率が高く特性の良いものが実現できる。
【0007】
しかしながら、前記従来技術を用いた方法では、ブレーズの傾き角と、ブレーズの頂角を金型から正確に再現することが難しいという問題点を有していた。
【0008】
また、前記従来技術は、回折格子の量産性に優れているものの、実際の分波器の部品として用いる時は、レンズや受光器などの他部品と位置精度を高く実装することが難しく、位置の微調整が必要であるという問題点を有している。
【0009】
また、電鋳法で作製した金型を用いて回折格子を作製する場合に、樹脂の成形条件で回折格子に歪みなどの不良が発生することがあり、この不良を簡単に見つけ成形条件にフィードバックさせることが必要である。前記従来技術では実装性と成形条件の良否確認性について問題がある。
【0010】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、量産性、分波特性、実装性に優れた回折格子の作製方法及び回折格子を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、光を分波するために用いられる微細なブレーズ形状の多数の刻線からなる回折格子を製造すべく、微細なブレーズ形状を有する電鋳金型に樹脂を溶融成形させて回折格子を製作するに際して、電鋳金型のブレーズ形状を成形樹脂の成形収縮を見込んで形成するようにした回折格子の作製方法である。
【0012】
請求項2の発明は、電鋳金型のブレーズ形状は、そのブレーズ角θ2が、成形する回折格子のブレーズ角θ1に対してやや大きく、ブレーズ頂角θ4が、成形する回折格子のブレーズ頂角θ3よりやや小さくなるように設定される請求項1記載の回折格子の作製方法である。
【0013】
請求項3の発明は、電鋳金型は、切削或いはレジスト等によりブレーズ形状が形成された原版に電気メッキして形成され、その原版のブレーズ形状は、ブレーズ角が成形する回折格子のブレーズ角θ1に対してやや大きく、ブレーズ頂角が、成形する回折格子のブレーズ頂角θ3よりやや小さくなるように形成される請求項1又は2記載の回折格子の作製方法である。
【0014】
請求項4の発明は、電鋳金型の寸法Aと樹脂成形品の寸法Bの比率からなる収縮率((A−B)/A×l00)が1%以下で作製する請求項1〜3いずれかに記載の回折格子の作製方法である。
【0015】
請求項5の発明は、回折格子の樹脂材料の線膨張係数(1/℃)が、1×10−4以下である樹脂材料で成形する請求項1〜4いずれかに記載の回折格子の作製方法である。
【0016】
請求項6の発明は、回折格子の樹脂材料がポリカーボネート、もしくは、ポリシクロオレフィンである請求項1〜5いずれかに記載の回折格子の作製方法である。
【0017】
請求項7の発明は、光を分波するために用いられる微細なブレーズ形状の多数の刻線を有する回折格子において、微細なブレーズ形状を有する電鋳金型に樹脂を溶融成形させて樹脂成形品を成形すると共に、その電鋳金型に切断用の位置決めマークを予め形成し、その位置決めマークを基に樹脂成形品を切断して作製した回折格子である。
【0018】
請求項8の発明は、切断面が位置決めのための平面である請求項7記載の回折格子である。
【0019】
請求項9の発明は、光を分波するために用いられる微細なブレーズ形状の多数の刻線を有する回折格子において、微細なブレーズ形状を有する電鋳金型に樹脂を溶融成形させて樹脂成形品を成形すると共に、その樹脂成形品の表面に刻線の無い鏡面の部分が形成されている回折格子である。
【0020】
請求項10の発明は、鏡面が位置決めのための平面である請求項9記載の回折格子である。
【0021】
このように、本発明では、成形収縮を見込んで電鋳金型を作製して樹脂成形することで、適正なブレーズ形状をもった回折格子を得ることが可能となる。
【0022】
また、樹脂材料は、収縮率が1%以下のものを用いることで、寸法精度のよい回折格子を得ることができる。
【0023】
この場合、収縮率が1%以上になると電鋳金型との転写性が低下しかつ、回折格子表面にうねりなどの欠陥が発生する問題が生じる。
【0024】
また回折格子には、切断のために1箇所以上に切断のための目印が刻まれている金型を用いて、表面に切断用の位置決めマークが形成されていることが望ましい。また回折格子の刻線部分の付近の一部に刻線の無い鏡面の部分を形成しておけば、この鏡面を検査することで成形条件の良否を簡単に検査することができる。
【0025】
鏡面を検査する理由は、刻線の検査は形状が複雑であるため、検査に時間を要し、検査コストが増大するため望ましくないためである。
【0026】
鏡面の検査は容易であり刻線と同じ部品内にある鏡面を観察して刻線の転写の良否を低コストで判断することが可能である。
【0027】
すなわち、鏡面部分の表面状態と刻線とは100%相関しており、表面状態がよければ、刻線も良好な関係にある。
【0028】
この表面状態は、鏡面の特性(表面粗さ、そり、うねり等)を測定し回折格子のブレーズ形状の状態を推定できる。すなわち、鏡面部分の表面に粗さがある場合には、これに隣接する刻線部分にも粗さが発生していると推定でき、逆に鏡面部分が良好に粗さがなく転写(形成)されていれば、刻線部分も良好に転写(形成)されていると推定できる。
【0029】
さらに、回折格子の刻線部側の表面の一部と側面部分の一面が位置決めのための平面を設けておけば、この二面を他の二面と突き当てることで簡単に精度の高い実装が可能となる。
【0030】
本発明の回折格子の樹脂材料の線膨張係数(1/℃)は、ASTM D696測定で1×10−4以下であることが望ましい。
【0031】
なお、線膨張係数が1×10−4以上の場合は回折格子が温度変化により、刻線ピッチなどが寸法変化し、分光位置が変化するなどの問題が生じてしまい、特別な温調が必要になり、望ましく無い。
【0032】
また、本発明の回折格子は樹脂として成形性、転写性が高い、ポリカーボネート、もくは、ポリシクロオレフィンであることが望ましい。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な一実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0034】
図1(a)〜図1(e)は、本発明の回折格子を作製するプロセスを示す模式図である。
【0035】
先ず図1(a)に示すように、切削加工などにより、分波を行うべくブレーズ形状の刻線11を形成すると共に刻線11と並んで鏡面12を形成した原版10を作製する。
【0036】
この原版10を基にして、図1(b)に示すように原版10上に金属スパッタリングなどの導電処理を行い、さらに電気メッキ(電鋳)で転写して電鋳金型13を形成し、これを原版10から取り外して図1(c)に示すように電鋳金型13を得る。
【0037】
この電鋳金型13には、刻線11の形状に倣ったブレーズ部14と、鏡面12に倣った鏡面部15とが形成され、さらに図には示していないが後述する成形品に切断用の位置決めマークが付与されている。この位置決めマークは電鋳金型13の成形後に形成しても原版10に予め形成しておき、転写により形成されるようにしてもよい。
【0038】
次に、図1(d)に示すように、電鋳金型13を用いて、ポリカーボネート樹脂などの樹脂を溶融成形し、これを脱型して図1(e)に示すように樹脂成形品16を形成する。
【0039】
樹脂成形品16には、原版10の刻線11と同じブレーズ形状の刻線17と、原版10の鏡面12と同じ鏡面18が形成される。
【0040】
この樹脂成形品16の刻線17と鏡面18の表面に必要に応じてアルミニウム、金などの反射膜(図示せず)を作製する。
【0041】
図2は樹脂成形品16の斜視図を示したもので、刻線17と鏡面18の表面には、上述したように位置決めマーク19が付与されており、この位置決めマーク19を利用して切断して図3に示した回折格子20を得る。
【0042】
この回折格子20の切断面21、22は平面に研磨され、鏡面18と、鏡面18側の切断面21との二面が分波器本体(図示せず)に取り付ける位置決め面となり、この面18,21を利用して分波器本体の取付面に突き当てて固定することで他の部品との実装が実現できる。
【0043】
この場合、鏡面18は、その平坦性を検査することで回折格子の作製の良否を推定することができる。
【0044】
すなわち、鏡面18の部分の表面粗さを接触式或いは光学式表面粗さ計で測定し、表面粗さ(JIS B0601−2001の表面粗さRa)が、分波器での使用波長の1/10以下のものを「良」とし、それ以上のものは「不良」とする。
【0045】
この表面粗さRaを測定することで、刻線17のブレーズ形状も鏡面18と100%相関があるため、刻線17の良否が判定できる。
【0046】
また、表面粗さを測定する別の方法としては、反射率を測定(入力光パワーと出力光パワーの比)するようにしてもよい。すなわち、鏡面研磨した石英板(表面粗さ10nm以下)に金を蒸着した試料の蒸着面の反射率を「100」としたとき、当該品の鏡面18の反射率が「95」以上の場合に「良」とする。この場合、測定光の波長は、分波器で使用される波長とする。
【0047】
図4は、電鋳金型13(図4(a))と樹脂成形品16(図4(b))のブレーズ形状を示したものである。
【0048】
電鋳金型13に溶融成形により樹脂成形品16を形成した場合、電鋳金型13の寸法Aと樹脂成形品16の寸法Bの比率からなる収縮率((A−B)/A×100)は、樹脂材料と成形条件により変化するが、収縮率を、1%以下、好ましくは0.5%以下の収縮率とし、その上で、この成形収縮を予め見込んで、樹脂成形品16(回折格子20)のブレース形状の傾きであるブレーズ角θ1と、ブレーズ形状の頂角であるブレーズ頂角θ3が、設計値となるように、電鋳金型13のブレーズ角θ2とブレーズ頂角θ4とを設計しておく。
【0049】
すなわち、樹脂成形品16の刻線17は収縮するため、電鋳金型13のブレーズ角θ2に対して、樹脂成形品16のブレーズ角θ1は、小さくなり、また逆に電鋳金型13のブレーズ頂角θ4に対して樹脂成形品16のブレーズ頂角θ3は大きくなる。そこで、樹脂成形品16のブレーズ角θ1の設計値をθ1=35°としたとき、電鋳金型13のブレーズ角θ2を2°程度大きいθ2=37°とし、また樹脂成形品16のブレーズ頂角θ3の設計値をθ3=92°としたとき、電鋳金型13のブレーズ頂角θ4を3°程度小さいθ4=89°となるように電鋳金型13を作製する。
【0050】
このためには、図1(a)で説明した原版10のブレーズ角を37°、ブレーズ頂角を93°とした刻線11を形成し、さらに、刻線11間の間隔も成形収縮を見込んで設定しておく。
【0051】
このように原版10を形成して、電鋳金型13を形成することで、樹脂成形品16(回折格子20)は、収縮成形後でも、回折格子20は設計のブレーズ角θ1とブレーズ頂角θ3にすることが可能となる。
【0052】
【実施例】
次に本発明より具体的な実施例を比較例と共に説明する。
【0053】
実施例1
図1(a)に示した原版10を切削加工などにより作製した、刻線11のブレーズ角は、37°、ブレーズ頂角は93°とした。
【0054】
この原版10を基にして、その上に金属スパッタリングなどの導電処理を行いさらに電気メッキで電鋳金型13を得た。
【0055】
この電鋳金型13を用いて、線膨張係数(1/℃)7×l0−5の三菱ガス化学社製ポリカーボネート樹脂ユーピロンH4000を溶融成形して図1(d)に示した樹脂成形品16を製造した。
【0056】
この樹脂成形品16には、刻線17と鏡面18とが形成されており、成形品16のブレーズ角θ1の平均は35°で、電鋳金型13のブレーズ角平均θ2=37°よりも平均2°小さく、かつ、成形品16のブレーズ頂角平均θ3=92°は金型のブレーズ頂角平均θ4=89°よりも3°大きく成形されており、この違いを事前に分波特性に考慮し、形状を設計した。
【0057】
さらに、金型と成形品の刻線間隔を測定したところ、0.5%の成形収縮が測定された。
【0058】
この成形品16の刻線17と鏡面18の表面に必要に応じてアルミニウム、金などの反射膜を作製する。
【0059】
また、樹脂成形品16には、図2に示す位置決めマーク19が刻まれて、このマーク19を利用して、切断されて回折格子20とされる。
【0060】
この回析格子20の切断面21は平面に研磨されており、また鏡面18は平面であり、この2面を利用して、その2面を分波器本体に突き当て固定することで簡単に他部品との実装が実現できる。
【0061】
さらに鏡面18の平坦性の検査をすることで、簡単に回折格子20の作製の良否を推定することができる。
【0062】
本実施例1の回折格子を用いて、0〜70℃の使用範囲で、1.28μm、1.30μm、1.32μm、1.34μmの4波長の光を持つ光ファイバからの光をレンズを介して分波したところ、低損失で4波を等間隔でバラツキ少なく分光できることを確認した。
【0063】
実施例2
樹脂として、ポリカーボネートに代えて、線膨張係数(1/℃)6×10−5のポリシクロオレフィン、日本ゼオン社製ゼオネックク280Rを用いて、回折格子を成形したそれ以外は実施例1と同じ方法で実施した。
【0064】
樹脂成形品のブレーズ角は金型のブレーズ角よりも平均2°小さく、かつ、成形品のブレーズ頂角は電鋳金型のブレーズ頂角よりも3°大きく成形されており、この違いを事前に分波特性に考慮し、形状を設計した。
【0065】
さらに、電鋳金型と樹脂成形品の刻線間隔を測定したところ、0.3%の成形収縮が測定された。
【0066】
本実施例2の回折格子を用いて、0〜70℃の使用範囲で、1.28μm、1.30μm、1.3μm、1.34μmの4波長の光を持つ光ファイバからの光を分波し、別の光ファイバで受光したところ、低損失で4波を等間隔でバラツキ少なく分光できることを確認した。
【0067】
比較例1
電鋳金型のブレーズ形状を成形する樹脂成形品のブレーズ形状と同じに形成し、その他は実施例1と同様の方法を用いた。また、射出圧力を低くして、かつ、金型冷却時間を短くして、回折格子を得た。さらに、電鋳金型と樹脂成形品の刻線間隔を測定したところ、0.3%の成形収縮が測定された。
【0068】
ここで、樹脂成形品のブレーズ角θ1の平均は29°で、電鋳金型のブレーズθ2=35°より小さく、またブレーズ頂角平均θ3は、95°で、電鋳金型のブレーズ頂角平均θ4=89°よりも6°大きく成形されていた。
【0069】
本品は成形歪のため、分光スポットが拡がってしまい。光ファイバとの取り込み損失が欠きいという問題点があった。
【0070】
比較例2
実施例1と同様の方法を用いて、樹脂として線膨脹係数(1/℃)8×l0−5の旭化成ポリスチレンADION−H H100を用いて、回折格子を得た。さらに、電鋳金型と樹脂成形品の刻線間隔を測定したところ、1.2%の成形収縮が測定された。
【0071】
ここで、樹脂成形品のブレーズ角θ1の平均は29°で金型のブレーズ角平均θ2=35°よりも平均6°小さく、かつ樹脂成形品のブレーズ頂角平均θ3=96°は金型のブレーズ頂角平均θ4=89°よりも7°大きく成形されていた。
【0072】
本品は成形歪のため、分光スポットが拡がってしまい。光ファイバとの取り込み損失が大きいという問題点があった。
【0073】
比較例3
実施例1と同様の方法を用いて、樹脂として出光石油化学製ポリプロピレンJ5051HP 線膨張係数(1/℃)1.1×10−4を用いて、回折格子を得た。さらに、電鋳金型と樹脂成形品の刻線間隔を測定したところ、0.8%の成形収縮が測定された。
【0074】
ここで、樹脂成形品のブレーズ角θ1の平均は33°で電鋳金型のブレーズ角平均θ2=35°よりも平均2°小さく、かつ、樹脂成形品のブレーズ頂角平均θ3=89°は金型のブレーズ頂角平均も平均4°小さく成形されていた。
【0075】
本品は分波器として0〜70℃の使用中に温度変化のため分光位置が激しく変化し損失が増大するという問題があった。
【0076】
【発明の効果】
以上要するに本発明によれば、実装性に優れた回折格子を低コストで製作することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態を示すプロセス図である。
【図2】図1で成形した樹脂成形品の斜視図である。
【図3】図2の樹脂成形品を切断して得られた回折格子の斜視図である。
【図4】本発明において、電鋳金型と樹脂成形品のブレーズ形状を表す拡大側面図である。
【符号の説明】
10 原版
13 電鋳金型
16 樹脂成形品
20 回折格子[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a communication diffraction grating having a demultiplexing function, and more particularly to a method for manufacturing the diffraction grating.
[0002]
[Prior art]
In optical communication, wavelength division multiplexing transmission is used, and a diffraction grating is used to demultiplex multiplexed light.
[0003]
The diffraction grating is a component having fine irregularities, and is usually produced by cutting a part called an original plate or manufacturing the same with a photoresist and transferring the unevenness.
[0004]
As the most excellent transfer method, there has been proposed a method in which a transfer mold is produced by plating using an electroforming method, and then the mold is transferred with a resin to form a part (Patent Documents 1 to 6).
In recent years, in optical transmission system equipment, cost reduction of each used component is an important issue, and it is necessary to mass-produce this duplexer at low cost. This diffraction grating has fine score lines and irregularities, and a technique for producing this shape at low cost is necessary. After producing an original by the method disclosed in Patent Documents 1 to 6, the plating is performed by plating. A method has been studied in which a mold is prepared by transferring an original plate and a shape is transferred to a resin using the mold.
[0005]
[Patent Document 1]
JP 07-113193 A [Patent Document 2]
Japanese Patent Application Laid-Open No. 06-201908 [Patent Document 3]
JP-A-5-004232 [Patent Document 4]
JP-A-5-195278 [Patent Document 5]
JP-A-2-170994 [Patent Document 6]
Japanese Patent Publication No. 5-057656
[Problems to be solved by the invention]
By the way, as a diffraction grating, a blazed diffraction grating having an edge shape has a drawback that it is difficult to design and manufacture, but can realize a diffraction grating with high diffraction efficiency and good characteristics.
[0007]
However, the method using the conventional technique has a problem that it is difficult to accurately reproduce the inclination angle of the blaze and the apex angle of the blaze from the mold.
[0008]
Further, although the prior art is excellent in mass productivity of the diffraction grating, it is difficult to mount it with other components such as a lens and a light receiver with high positional accuracy when used as a component of an actual duplexer. There is a problem that fine adjustment is required.
[0009]
In addition, when a diffraction grating is manufactured using a metal mold manufactured by an electroforming method, a defect such as distortion may occur in the diffraction grating under resin molding conditions, and this defect is easily found and fed back to the molding conditions. It is necessary to let In the above-mentioned prior art, there is a problem with respect to mountability and confirmability of molding conditions.
[0010]
Therefore, an object of the present invention is to solve the above problems and provide a method for manufacturing a diffraction grating excellent in mass productivity, demultiplexing characteristics, and mountability, and a diffraction grating.
[0011]
[Means for Solving the Problems]
In order to achieve the above object, the invention of claim 1 provides an electroforming mold having a fine blazed shape for manufacturing a diffraction grating comprising a large number of fine blazed shapes used for splitting light. This is a method of producing a diffraction grating in which a blazed shape of an electroforming mold is formed in consideration of molding shrinkage of a molding resin when a diffraction grating is manufactured by melt-molding a resin.
[0012]
The blaze shape of the electroforming mold is such that the blaze angle θ2 is slightly larger than the blaze angle θ1 of the diffraction grating to be formed, and the blaze apex angle θ4 is equal to the blaze apex angle θ3 of the diffraction grating to be formed. 2. The method according to claim 1, wherein the diffraction grating is set to be slightly smaller.
[0013]
According to a third aspect of the present invention, the electroforming mold is formed by electroplating an original plate having a blazed shape formed by cutting or a resist, and the blazed shape of the original plate has a blaze angle θ1 of a diffraction grating formed by a blaze angle. 3. The method of manufacturing a diffraction grating according to claim 1, wherein the blaze apex angle is formed to be slightly larger than the blazed apex angle θ3 of the diffraction grating to be formed.
[0014]
According to the invention of claim 4, the shrinkage ratio ((A−B) / A × 100), which is a ratio of the dimension A of the electroformed mold to the dimension B of the resin molded product, is 1% or less. And a method for producing a diffraction grating.
[0015]
The invention according to claim 5 is a method of manufacturing a diffraction grating according to any one of claims 1 to 4, wherein the resin material of the diffraction grating is formed of a resin material having a linear expansion coefficient (1 / ° C.) of 1 × 10 −4 or less. Is the way.
[0016]
The invention of claim 6 is the method for producing a diffraction grating according to any one of claims 1 to 5, wherein the resin material of the diffraction grating is polycarbonate or polycycloolefin.
[0017]
An invention according to claim 7 is a diffraction grating having a large number of fine blaze-shaped scribe lines used for splitting light, wherein the resin is melt-molded in an electroformed mold having a fine blazed shape. Is a diffraction grating produced by forming a positioning mark for cutting in advance on the electroforming die and cutting a resin molded product based on the positioning mark.
[0018]
The invention according to claim 8 is the diffraction grating according to claim 7, wherein the cut surface is a plane for positioning.
[0019]
According to a ninth aspect of the present invention, in a diffraction grating having a large number of scribed lines of a fine blazed shape used for splitting light, a resin molded product is obtained by melt-molding a resin in an electroformed mold having a fine blazed shape. And a diffraction grating in which a mirror surface portion without a score line is formed on the surface of the resin molded product.
[0020]
The invention according to claim 10 is the diffraction grating according to claim 9, wherein the mirror surface is a plane for positioning.
[0021]
As described above, in the present invention, a diffraction grating having an appropriate blaze shape can be obtained by preparing an electroformed mold and performing resin molding in consideration of molding shrinkage.
[0022]
By using a resin material having a shrinkage ratio of 1% or less, a diffraction grating with good dimensional accuracy can be obtained.
[0023]
In this case, when the shrinkage ratio is 1% or more, there arises a problem that the transferability with the electroforming mold is reduced and a defect such as undulation is generated on the diffraction grating surface.
[0024]
In addition, it is preferable that a positioning mark for cutting is formed on the surface of the diffraction grating by using a mold in which a mark for cutting is cut at one or more places for cutting. In addition, if a mirror surface portion having no scribe line is formed in a part near the scribe line portion of the diffraction grating, the quality of molding conditions can be easily inspected by inspecting the mirror surface.
[0025]
The reason for inspecting the mirror surface is that the inspection of the scored line is not desirable because the shape is complicated, which requires time for the inspection and increases the inspection cost.
[0026]
Inspection of the mirror surface is easy, and it is possible to observe the mirror surface in the same part as the score line to judge the quality of the transfer of the score line at low cost.
[0027]
In other words, the surface state of the mirror surface portion and the score line are 100% correlated, and if the surface state is good, the score line also has a good relationship.
[0028]
This surface state can be estimated by measuring the characteristics of the mirror surface (surface roughness, warpage, waviness, etc.) and estimating the state of the blaze shape of the diffraction grating. In other words, if the surface of the mirror portion has roughness, it can be estimated that the roughness is also generated in the inscribed line portion adjacent to the surface, and conversely, the mirror portion is not satisfactorily rough and is transferred (formed). If so, it can be estimated that the score line portion is also well transferred (formed).
[0029]
Furthermore, if a part of the surface on the side of the score line part of the diffraction grating and one surface of the side surface part are provided with a plane for positioning, it is possible to easily mount the two surfaces with the other two surfaces to easily achieve high precision mounting. Becomes possible.
[0030]
The linear expansion coefficient (1 / ° C.) of the resin material of the diffraction grating of the present invention is desirably 1 × 10 −4 or less as measured by ASTM D696.
[0031]
If the coefficient of linear expansion is 1 × 10 −4 or more, the diffraction grating changes in temperature due to a change in temperature, the scribe line pitch and the like change in size, and a problem such as a change in the spectral position occurs. Which is not desirable.
[0032]
Further, the diffraction grating of the present invention is desirably a polycarbonate or a polycycloolefin having high moldability and transferability as a resin.
[0033]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
Hereinafter, a preferred embodiment of the present invention will be described in detail with reference to the accompanying drawings.
[0034]
FIGS. 1A to 1E are schematic views showing a process for producing a diffraction grating of the present invention.
[0035]
First, as shown in FIG. 1A, an original plate 10 having a blazed scored line 11 formed by cutting or the like to perform demultiplexing and a mirror surface 12 formed alongside the scored line 11 is manufactured.
[0036]
Based on the original plate 10, as shown in FIG. 1B, a conductive treatment such as metal sputtering is performed on the original plate 10, and is further transferred by electroplating (electroforming) to form an electroformed mold 13. Is removed from the original plate 10 to obtain an electroformed mold 13 as shown in FIG.
[0037]
The electroformed mold 13 is formed with a blaze portion 14 following the shape of the score line 11 and a mirror surface portion 15 following the mirror surface 12. A positioning mark is provided. The positioning mark may be formed after the electroforming mold 13 is formed, or may be formed on the original plate 10 in advance and formed by transfer.
[0038]
Next, as shown in FIG. 1 (d), a resin such as a polycarbonate resin is melt-molded using an electroforming mold 13, which is demolded to form a resin molded product 16 as shown in FIG. 1 (e). To form
[0039]
On the resin molded product 16, a blaze-shaped engraved line 17 that is the same as the engraved line 11 of the original 10 and a mirror surface 18 that is the same as the mirror surface 12 of the original 10 are formed.
[0040]
A reflection film (not shown) of aluminum, gold, or the like is formed on the surface of the scored line 17 and the mirror surface 18 of the resin molded product 16 as necessary.
[0041]
FIG. 2 is a perspective view of the resin molded product 16. The positioning marks 19 are provided on the surfaces of the engraved line 17 and the mirror surface 18 as described above. Thus, the diffraction grating 20 shown in FIG. 3 is obtained.
[0042]
The cut surfaces 21 and 22 of the diffraction grating 20 are polished to a flat surface, and two surfaces of the mirror surface 18 and the cut surface 21 on the mirror surface 18 side serve as positioning surfaces to be attached to the duplexer main body (not shown). , 21 can be mounted on other parts by abutting against the mounting surface of the duplexer body.
[0043]
In this case, the quality of the manufacture of the diffraction grating can be estimated by inspecting the flatness of the mirror surface 18.
[0044]
That is, the surface roughness of the mirror surface 18 is measured by a contact or optical surface roughness meter, and the surface roughness (the surface roughness Ra according to JIS B0601-2001) is 1/1 of the wavelength used in the duplexer. Those with 10 or less are defined as “good”, and those with more than 10 are defined as “bad”.
[0045]
By measuring the surface roughness Ra, the quality of the score line 17 can be determined because the blaze shape of the score line 17 also has a 100% correlation with the mirror surface 18.
[0046]
As another method for measuring the surface roughness, the reflectance may be measured (the ratio between the input light power and the output light power). That is, assuming that the reflectance of the deposited surface of a sample obtained by depositing gold on a mirror-polished quartz plate (surface roughness of 10 nm or less) is “100”, the reflectance of the mirror surface 18 of the product is “95” or more. "Good". In this case, the wavelength of the measurement light is the wavelength used in the demultiplexer.
[0047]
FIG. 4 shows the blaze shapes of the electroformed mold 13 (FIG. 4A) and the resin molded product 16 (FIG. 4B).
[0048]
When the resin molded product 16 is formed by melt molding in the electroformed mold 13, the shrinkage ratio ((A−B) / A × 100) which is a ratio of the dimension A of the electroformed mold 13 and the dimension B of the resin molded product 16 is: Although it varies depending on the resin material and the molding conditions, the shrinkage is set to 1% or less, preferably 0.5% or less. The blaze angle θ2 and the blaze vertex θ4 of the electroformed mold 13 are designed so that the blaze angle θ1 which is the inclination of the brace shape and the blaze vertex θ3 which is the vertex of the blaze shape are designed values. Keep it.
[0049]
That is, since the score line 17 of the resin molded product 16 shrinks, the blaze angle θ1 of the resin molded product 16 becomes smaller than the blaze angle θ2 of the electroformed die 13, and conversely, the blaze angle of the electroformed die 13 becomes smaller. The blaze apex angle θ3 of the resin molded product 16 becomes larger than the angle θ4. Therefore, when the design value of the blaze angle θ1 of the resin molded product 16 is θ1 = 35 °, the blaze angle θ2 of the electroforming mold 13 is set to θ2 = 37 °, which is about 2 ° larger, and the blaze apex angle of the resin molded product 16 When the design value of θ3 is set to θ3 = 92 °, the electroformed mold 13 is manufactured such that the blaze apex angle θ4 of the electroformed mold 13 is reduced by about 3 ° to θ4 = 89 °.
[0050]
For this purpose, a score line 11 having a blaze angle of 37 ° and a blaze apex angle of 93 ° of the original plate 10 described with reference to FIG. Set in.
[0051]
By forming the original plate 10 and forming the electroforming mold 13 in this manner, the resin molded product 16 (diffraction grating 20) can maintain the designed blaze angle θ1 and the blaze apex angle θ3 even after shrinkage molding. It becomes possible to.
[0052]
【Example】
Next, specific examples of the present invention will be described together with comparative examples.
[0053]
Example 1
The original plate 10 shown in FIG. 1A was manufactured by cutting or the like. The blaze angle of the score line 11 was 37 ° and the blaze apex angle was 93 °.
[0054]
Based on the original plate 10, a conductive treatment such as metal sputtering was performed thereon, and an electroforming mold 13 was obtained by electroplating.
[0055]
Using this electroforming mold 13, a polycarbonate resin Iupilon H4000 manufactured by Mitsubishi Gas Chemical Co., Ltd. having a linear expansion coefficient (1 / ° C.) of 7 × 10 −5 was melt-formed to obtain a resin molded product 16 shown in FIG. Manufactured.
[0056]
The resin molded product 16 has a score line 17 and a mirror surface 18 formed thereon. The average of the blaze angle θ1 of the molded product 16 is 35 °, which is more than the average of the blaze angle θ2 = 37 ° of the electroformed mold 13. The blaze apex angle average θ3 = 92 ° of the molded product 16 is formed 3 ° larger than the blaze apex angle average θ4 = 89 ° of the mold, and this difference is determined in advance in the demultiplexing characteristics. The shape was designed considering this.
[0057]
Further, when the line interval between the mold and the molded product was measured, a molding shrinkage of 0.5% was measured.
[0058]
A reflection film of aluminum, gold or the like is formed on the surface of the marking line 17 and the mirror surface 18 of the molded product 16 as necessary.
[0059]
Further, a positioning mark 19 shown in FIG. 2 is engraved on the resin molded product 16, and is cut into a diffraction grating 20 using the mark 19.
[0060]
The cut surface 21 of the diffraction grating 20 is polished to a flat surface, and the mirror surface 18 is a flat surface. By using these two surfaces, the two surfaces are easily abutted and fixed to the duplexer main body. Mounting with other components can be realized.
[0061]
Further, by inspecting the flatness of the mirror surface 18, the quality of the production of the diffraction grating 20 can be easily estimated.
[0062]
Using the diffraction grating of the first embodiment, light from an optical fiber having light of four wavelengths of 1.28 μm, 1.30 μm, 1.32 μm, and 1.34 μm in a use range of 0 to 70 ° C. is used as a lens. As a result, it was confirmed that the four waves could be separated at a low loss with little variation at equal intervals.
[0063]
Example 2
The same method as in Example 1 except that a diffraction grating was formed using a polycycloolefin having a linear expansion coefficient (1 / ° C.) of 6 × 10 −5 and ZEONEC 280R manufactured by Zeon Corporation instead of polycarbonate. It was carried out in.
[0064]
The blaze angle of the resin molded product is 2 ° smaller than the blaze angle of the mold on average, and the blaze apex angle of the molded product is 3 ° larger than the blaze apex angle of the electroformed mold. The shape was designed in consideration of the demultiplexing characteristics.
[0065]
Further, when the line interval between the electroformed mold and the resin molded product was measured, a molding shrinkage of 0.3% was measured.
[0066]
Using the diffraction grating of the second embodiment, light from an optical fiber having light of four wavelengths of 1.28 μm, 1.30 μm, 1.3 μm, and 1.34 μm is demultiplexed in a use range of 0 to 70 ° C. Then, when the light was received by another optical fiber, it was confirmed that the four waves could be separated with low loss and little variation at equal intervals.
[0067]
Comparative Example 1
The blazed shape of the electroformed mold was formed to be the same as the blazed shape of the resin molded product to be molded, and the other method was the same as that in Example 1. Further, a diffraction grating was obtained by lowering the injection pressure and shortening the mold cooling time. Further, when the line interval between the electroformed mold and the resin molded product was measured, a molding shrinkage of 0.3% was measured.
[0068]
Here, the average of the blaze angle θ1 of the resin molded product is 29 °, which is smaller than the blaze θ2 = 35 ° of the electroformed mold, and the average blaze apex angle θ3 is 95 °, and the average of the blaze apex angle θ4 of the electroformed mold. = 6 ° larger than 89 °.
[0069]
Since this product has molding distortion, the spectral spot will spread. There is a problem that the loss of taking in the optical fiber is lacking.
[0070]
Comparative Example 2
Using the same method as in Example 1, a diffraction grating was obtained using Asahi Kasei polystyrene ADION-H H100 having a linear expansion coefficient (1 / ° C.) of 8 × 10 −5 as a resin. Further, when the engraved line interval between the electroformed mold and the resin molded product was measured, a molding shrinkage of 1.2% was measured.
[0071]
Here, the average of the blaze angle θ1 of the resin molded product is 29 °, which is 6 ° smaller than the average of the blaze angle θ2 = 35 ° of the mold, and the average of the blaze apex angle θ3 = 96 ° of the resin molded product is equal to that of the mold. The blaze apex angle was 7 ° larger than the average θ4 = 89 °.
[0072]
Since this product has molding distortion, the spectral spot will spread. There is a problem that the loss of taking in the optical fiber is large.
[0073]
Comparative Example 3
Using the same method as in Example 1, a diffraction grating was obtained using Idemitsu Petrochemical's polypropylene J5051HP linear expansion coefficient (1 / ° C.) 1.1 × 10 −4 as a resin. Further, when the line interval between the electroformed mold and the resin molded product was measured, a molding shrinkage of 0.8% was measured.
[0074]
Here, the average of the blaze angle θ1 of the resin molded product is 33 °, which is 2 ° smaller than the average of the blaze angle θ2 = 35 ° of the electroformed mold, and the average of the blaze apex angle θ3 = 89 ° of the resin molded product is gold. The average blaze apex angle of the mold was also reduced by an average of 4 °.
[0075]
This product has a problem that the spectral position changes drastically due to a temperature change during use at 0 to 70 ° C. as a duplexer, and the loss increases.
[0076]
【The invention's effect】
In short, according to the present invention, a diffraction grating excellent in mountability can be manufactured at low cost.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a process diagram showing one embodiment of the present invention.
FIG. 2 is a perspective view of the resin molded product molded in FIG.
FIG. 3 is a perspective view of a diffraction grating obtained by cutting the resin molded product of FIG. 2;
FIG. 4 is an enlarged side view showing a blaze shape of an electroformed mold and a resin molded product in the present invention.
[Explanation of symbols]
Reference Signs List 10 original plate 13 electroforming mold 16 resin molded product 20 diffraction grating