JP2004286768A - 意思伝達装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】障害者や高齢者がいつでも、どこでも、誰とでも確実に意思を伝達する装置を提供する。
【解決手段】第1の文字盤3または第2の文字盤4を点灯盤2の前に設置して文字盤の文字をブロック毎に順次点灯させると共に入力スイッチのオンオフでブロックを選択し、次に選択したブロックの文字列を順次点灯して選択させ、選択した文字列の文字を順次点灯して選択させることによって、点灯盤の所定の部位、点灯色、点灯輝度、点灯順序、発する音声、点灯速度を変化させて意思を伝達する。
【選択図】 図1
【解決手段】第1の文字盤3または第2の文字盤4を点灯盤2の前に設置して文字盤の文字をブロック毎に順次点灯させると共に入力スイッチのオンオフでブロックを選択し、次に選択したブロックの文字列を順次点灯して選択させ、選択した文字列の文字を順次点灯して選択させることによって、点灯盤の所定の部位、点灯色、点灯輝度、点灯順序、発する音声、点灯速度を変化させて意思を伝達する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に言語障害および/または四肢障害により周囲への意思伝達が困難な障害者が使用する、単語・文章作成用の意思伝達装置に関するものである。
【従来の技術】
重度の障害者の中には、四肢が不自由かつ発声の困難な方も少なくない。中には、知的障害を併発している方もおられるが、意思の聡明な方もいる。
例えば、ALS(筋萎縮性側索硬化症)の方は体の筋肉が衰えて徐々に動かなくなるのに対し、思考はほとんど阻害されることがないので、日々の生活の中で様々な欲求がある。
また脳性まひの方は、体の動きが安定しないため会話や筆談が困難なものの、思考は健常者と同等の方も多く、また非進行性の障害であり、健常者と同様の生活をしたいという要望がある。
【0002】
また、交通事故などで左脳に損傷を受けた場合、一般的な思考には障害が無いものの、発声・発語上の障害と右半身の障害を併発する方もいる。
つまり四肢(特に利き腕)が不自由、かつ発声の困難であるが、思考の聡明な障害者は、要望、欲求は一般の健常者となんら変わりない一方、手足が不自由であることから周囲へ物事を依頼することが増えることから、必然的に周囲とコミュニケーションを取る回数は、健常者同士のコミュニケーションと比べて比べものにならない程多く、その内容も命に関わる重要な内容が多くなる。
【0003】
しかし、そのような障害者は一般の会話も筆談も思うようにできないので、自分の意図を周囲の人へ伝えられず、また周囲の人もなかなか理解できないことで悩むケースが少なくない。そのため、体の不調を訴えたり、生活するうえで必要な事を家族など周囲の介護者へ伝えたりするための「意思伝達手段」として、透明のプラスチック板にマトリクス状の升目を記し、それぞれの升目に平仮名や数字等を記載した文字盤を用いる方法がある。障害者等が文字盤上の文字を順次一つずつ見つめ、その視線を介護者が追いかけることで、障害者等の言いたい事を介護者が読み取るという方法で意思伝達を行うのである。
【0004】
この方法では、普段から障害者と接する機会の多い、障害者の家族等なら、ある程度の慣れから、障害者の意図することを理解するのが早くなることが期待されるが、医者や介護ヘルパーの方とのコミュニケーションでは、そのような文字盤を用いても意思の伝達が上手くいかないことが多い。そのため、せっかく障害者のフォローをするために来られた方が、何をすればいいのか判らないので何もできない・・・、といった課題に陥ることがある。
【0005】
そのような課題を解決するために、近年の上肢障害または言語障害を持つ障害者は、パーソナルコンピュータを用いて自分の意思を周囲の人へ伝えるようになってきた。
指先で一個ずつキーボードのキーを打ち込み、パソコンの画面上でワープロなどを用いて文章を作成するのである。パソコンの普及は、健常者以上に、これらの障害者に、社会参加の機会を与えることとなったと考えられる。
【0006】
一方、ALSを始めとする難病や、脳性まひ等の障害者の中には、指先すらまともに動かすことができない障害者もいる。そのような障害者のために、接点スイッチひとつを自分の意思で「入り切り」できる部位に接点スイッチを設け、スイッチひとつだけでパソコンのキーボードやマウスを操作する方法も考案され、「意思伝達装置」として市場に出ている。
つまり、体の中のどこか一部、例えば、息を吹きかけることができるのであれば、ストローに息を吹き込むことでスイッチが入り切りする吸気スイッチを、顔をわずかに傾けることができるのであれば、ほほや耳の付近に光センサを取り付け、顔を動かすことで光を遮断してスイッチを入り切りする光センサスイッチを、まぶたがあがるのであれば、まぶたに金属片を貼り付け、メガネのフレームを介して、眉の近くにスイッチを固定し、まぶたを動かすことで金属片をスイッチに接触させて入り切りする眉スイッチを設けるなど、あらゆる工夫を行って、接点スイッチを操作しているのが実情である。
【0007】
一方、その接点スイッチを用いて動かすパソコン側の工夫として、パソコンのディスプレイの一部に複数の文字をマトリクス状に表示し、行・列ごとに輝度または色を変化させるオートスキャン方式で文字を走査して、入力したい文字の輝度または色が変化しているときにスイッチを押すことで文字を選択する手段を備えたパソコン入力支援装置がある(特許文献1参照)。この手法を適用した機器がパソコンによる「意思伝達装置」として市販されている。
【0008】
これらの方式では、いずれも、パソコンのディスプレイの一部に、選択候補となる文字やマウスの移動方向の一覧を表示させ、それら候補の中から決定した入力項目に応じてパソコンを操作して文章を作成したり、電子メールやインターネットの閲覧などの機能を操作したりするようにしている。
【特許文献1】
特開昭62−160523号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、パソコン上でソフトウェアを活用した入力装置では、パソコン自体の起動に時間がかかるために、急に伝えたいことができても対応できないので、1日中パソコンを付けておかざるを得ないといった不満点があった。また、パソコン自身が必ずしも安定していないことから、コミュニケーションの最中にフリーズして、会話が続かないと言った不具合も避けられなかった。そして何よりも、重度障害者にとってパソコンは、唯一意思を発信する手段であり体の一部であるにもかかわらず、安心して利用することができないという、不安が付きまとっていた。
【0010】
また、重度障害者にとっては、緊急時に周囲の人を呼ぶための呼び出しボタンが必要不可欠である。しかし、パソコンに呼び出し機能を搭載しても、パソコン自体がフリーズしては機能しない。障害者が重度であればあるほど、操作できるスイッチは一つに限られる場合が多く、そのような障害者は命の確保を優先するため、唯一利用できるスイッチはパソコンの操作ではなく、呼び出しブザーなどをつながざるを得なかった。
つまりパソコンによる「意思伝達装置」はこれら重度障害者にとって様々な恩恵はあるものの、パソコンによる「意思伝達装置」だけでは、コミュニケーションの基本的な概念である「いつでも」「どこでも」「誰とでも」「確実に」、自分の意思を表現することができないのが現状である。
【0011】
また、マイコンを用いながら画面上の表示のセルを順次走査する方式で文章を作成する機器も存在するが、手軽に選択する文章を切り替えながら文字を作成できる機器としては、小型・軽量・一体化とは程遠く、自分の意思を発信するための機器としては、実用的ではなかった。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、マトリクス形状に分割されたセルと、各セルの背面に配された点灯装置からなる点灯盤と、前記点灯盤の前に配され、同様にマトリクス形状に分割されたセルの各枠の中に文字または記号の表記された文字盤と、前記点灯装置の点灯・消灯を制御する点灯制御手段と、前記文字盤の表記内容を前記点灯制御手段へ伝達する文字盤表記項目伝達手段と、前記点灯盤へ接点の入/切の信号を入力する入力スイッチと、前記点灯装置の点灯および消灯に対応して音声を出力するる音声出力手段を備えた身体障害者高齢者用の意思伝達装置であって、前記点灯制御手段は、前記文字盤表記項目伝達手段と前記入力スイッチからの信号にしたがい、前記点灯盤の点灯および消灯させるセルのパターンを提供する点灯パターン提供手段と、前記点灯および消灯したセルに対応して出力する音声情報を提供する音声情報提供手段と、前記点灯パターン提供手段と前記音声情報提供手段から提供された内容から決定される前記点灯装置の点灯パターンを前記点灯装置へ伝達し、前記音声情報を前記音声出力手段へ伝達する入出力制御手段を有し、前記入力スイッチの接点を入とすることで、前記点灯盤が一定間隔で順次点灯し、入力したい文字が点灯した際に前記入力スイッチの接点を入とすることで、前記文字盤の複数の文字または記号から1つを決定し、前記文字盤の表記内容、セルの枠の大きさ、セルの形状、セルの位置に応じて、前記点灯盤の、点灯する部位、点灯する色、点灯する輝度、点灯する順序、発する音声および点灯する速度の少なくとも一つが変化することを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0014】
(実施の形態1)
図1に本実施の形態の全体構成を示す。電子文字盤1は点灯盤2、第1の文字盤3、第2の文字盤4、電子文字盤1内部に収納された点灯制御装置5、および第1の入力スイッチ6から構成されている。点灯盤2は電子文字盤1の前面にはめ込まれており、点灯盤2の前面左右および下部には、ガイドレール7が備えられている。第1の文字盤3または第2の文字盤4のいずれか一方が、ガイドレール7の内側に沿って上方から点灯盤2の前面に挿入され、固定される。第1の入力スイッチ6は、電子文字盤1に接続されており、スイッチを操作した信号は点灯制御装置5へ入力される。
点灯盤2および第1の文字盤3はいずれも10列×5行のマトリクス状に分割されており、文字盤3が点灯盤2の前面に固定されるときには、各々のセルの境界線は一致する。
【0015】
点灯盤2のマトリクスの50個の各セルの後方(電子文字盤1内部)には発光ダイオード(図示せず、以下LEDで表す)が備えられており、各LEDは点灯制御装置5により独立して点灯させることができる。
点灯盤2の右下部には、小さな枠が3個、縦に並べられており、それぞれの枠の背面には、磁石を取り付けた文字盤動作パターン切替スイッチ(ON/OFFスイッチ)8、9、10が備えられており、各々の枠の前面に金属を近づけるとスイッチが入る仕組みになっている。
【0016】
図2は第1の文字盤3の各セルに記載されている文字を示している。第1の文字盤3では、ひらがなの50音を左から「あ・か・さ・た・な」の順に、上から「あ・い・う・え・お」順に、記載されている。第1の文字盤3の右下部には、小さな枠が3個、縦に備えられており、その中で、一番上の枠のみに金属片11が貼り付けてある。
【0017】
図3は、点灯制御装置5の内部構造を示している。点灯制御装置5は入力/表示/音声制御回路301、点灯制御プログラム302、音声データ303より構成されている。
入力/表示/音声制御回路301は、設定スイッチ(文字盤パターン切替スイッチ8、9、10)の設定に従って点灯制御プログラム302より、点灯パターンを読み込み、入力装置(入力スイッチ6)の入力に連動して点灯装置(点灯盤2)へ、点灯/消灯の信号を送信する。
また同時に、入力/表示/音声制御回路301は、音声データ303から、点灯パターンに伴い発する音声データを読み込み、音声出力304(スピーカーなど)より対応する音声を出力する。
なお、点灯制御装置5は必要に応じて日時データを取得するための日時データ取得装置305(リアルタイムクロックなど)、第1の文字盤3および第2の文字盤4等から選択された文字や記号を表示する液晶出力装置306、同様に選択された文字や記号を印刷する印刷出力装置307等を備えても構わない。
【0018】
以下、図4、図6、図8の各フローチャートを参照しながら、第1の文字盤3を点灯盤2の前面にセットして、第1の文字盤3を用いて文章を作成する具体的な操作手順を示す。
第1の文字盤3を点灯盤2の前面にセットすると、電子文字盤1は、金属片11と磁石を取り付けた文字盤動作パターン切替スイッチ8が引き合うことで第1の文字盤3が点灯盤2の前面に設置されたことを認識し、点灯制御プログラム302で設定された内容に沿って、第1の文字盤3に対応したLED点灯パターンで点灯させることを判断する。
【0019】
ここでは、一例として、利用者である障害者が周囲の介護者へ、電子文字盤1を用いて「こんにちは」と単語を作成する際の電子文字盤1の操作の実施例を示す。まず、「こ」という単語を作成する手順を示す。すべてのLEDが消灯している状態が待機状態であり、待機状態から操作を開始するものとする。
【0020】
第1の手順として、図4のフローチャートに従って動作を行う。利用者が入力スイッチ6を一度押して離す(ステップ411)と、点灯制御装置5の内部で、点灯のループ回数を数える変数Nに対して、N=1を格納する。
さらに、音声出力304を経て「ピッ」の電子音を発した後、電子文字盤1の点灯盤は点灯制御装置5であらかじめ記録された点灯パターンに従い、図5Aに示す左パート点灯パターン(ステップ412、第1の文字盤3の第1の点灯パターン) で一定の時間だけ、左パートが点灯し(オートスキャン)、音声出力304を介して「ひだり」と音声が発せられる。この間に、利用者が入力スイッチ6を押すかどうかの判断がなされる(ステップ413)。第2回目のスイッチ6が押された場合には、左パートの中から、さらに一つの列を決定する点灯パターンへ移行する。
【0021】
第2回目のスイッチ6が押されなかった場合には、一定時間の経過後、図5Bに示す中パート点灯パターン(ステップ414、第1の文字盤3の第2の点灯パターン) で一定の時間だけ、中パートが点灯し、音声出力304を介して「なか」と音声が発せられる。
以下、同様に中パートが点灯している間に、利用者が入力スイッチ6を押すかどうかの判断がなされる(ステップ415)。第2回目のスイッチ6が押して離された場合には、中パートの中から、さらに一つの列を決定する点灯パターンへ移行する。
【0022】
第2回目のスイッチ6が押されなかった場合には、一定時間の経過後、図5Cに示す右パート点灯パターン(ステップ416、第1の文字盤3の第2の点灯パターン) で一定の時間だけ、右パートが点灯し、音声出力304を介して「みぎ」と音声が発せられる。
以下、同様に右パターンが点灯している間に、利用者が入力スイッチ6を押すかどうかの判断がなされる(ステップ417)。第2回目のスイッチ6が押して離された場合には、右パートの中からさらに一つの列を決定する点灯パターンへ移行する。
【0023】
第2回目のスイッチ6が押されなかった場合には、一定時間の経過後、変数Nに対してN=N+1の処理を行い(ステップ418)、N>=2であるかを判断し(ステップ419)、N>=2であれば、点灯盤2の点灯の2回繰り返しが経過したと判断され、待機状態へ戻る。N<2であれば、点灯盤2の点灯の繰り返しが2回以下であると判断され、再び左パート点灯(ステップ412)へ戻る。
【0024】
ここでは、「こ」の文字を含む図5Aの「左パート」点灯時(ステップ413)に入力スイッチ6を押して離すことで、第1の手順におけるパート移動時とは異なる音質で「ひだり」と発声し、LEDが2度点滅し、「あ列」から「さ列」の中から1つの列を選択するパターンへと移行する。
【0025】
第2の手順として、図6のフローチャートに従い、上記第1の手順のステップ413で、第2回目のスイッチ6が押されて左パートが選択され、その中から、さらに一つの列を決定する点灯パターンへ移行する場合を検討する。まず、点灯制御装置5の内部で、点灯のループ回数を数える変数Nに対して、N=1を格納する。
電子文字盤1の点灯盤は点灯制御装置5であらかじめ記録された点灯パターンに従い、図7Aに示すあ列点灯パターン(ステップ611) で一定の時間だけ、「あ列」が点灯し (オートスキャン)、音声出力304を介して「あ列」と音声が発せられる。この間に、利用者が入力スイッチ6を押すかどうかの判断がなされる(ステップ612)。第3回目のスイッチ6が押して離された場合には、「あ列」の「あ、い、う、え、お」の中から、一つの文字を決定する点灯パターンへ移行する。
【0026】
第3回目のスイッチ6が押されなかった場合には、一定時間の経過後、図7Bに示すか列点灯パターン(ステップ613) で一定の時間だけ、「か列」が点灯するパターンへ移行する。この時、音声出力304を介して「か列」と音声が発せられる。以下、同様に「か列」が点灯している間に、利用者が入力スイッチ6を押すかどうかの判断がなされる(ステップ614)。第3回目のスイッチ6が押して離された場合には、「か列」の「か、き、く、け、こ」の中から、一つの文字を決定する点灯パターンへ移行する。
【0027】
第3回目のスイッチ6が押されなかった場合には、一定時間の経過後、図7Cに示すさ列点灯パターン(ステップ615) で一定の時間だけ、「さ列」が点灯するパターンへ移行する。この時、音声出力304を介して「さ列」と音声が発せられる。以下、同様に「さ列」が点灯している間に、利用者が入力スイッチ6を押すかどうかの判断がなされる(ステップ616)。第3回目のスイッチ6が押して離された場合には、「さ列」の「さ、し、す、せ、そ」の中から、一つの文字を決定する点灯パターンへ移行する。
【0028】
第3回目のスイッチ6が押されなかった場合には、一定時間の経過後、変数Nに対してN=N+1の処理を行い(ステップ617)、N>=2であるかを判断し(ステップ618)、N>=2であれば、点灯盤2の点灯の2回繰り返しが経過したと判断され、図4に示すフローチャートの待機状態へ戻る。N<2であれば、点灯盤2の点灯の繰り返しが2回以下であると判断され、再びあ列点灯(ステップ611)へ戻る。
【0029】
ここでは、「こ」の文字を含む「か列」点灯時(ステップ614)に入力スイッチ6を押すことで、第2の手順におけるパート移動時とは異なる音質で「かぎょう」と発声し、LEDが2度点滅し、「か」から「こ」の中から1つの文字を選択するパターンへと移行する。
【0030】
第3の手順として、図8のフローチャートに従い、上記第2の手順のステップ614で、第3回目のスイッチ6が押されて「か行」が選択され、その中から、さらに一つの文字を決定する点灯パターンへ移行する場合を検討する。まず、点灯制御装置5の内部で、点灯のループ回数を数える変数Nに対して、N=1を格納する。
【0031】
電子文字盤1の点灯盤は点灯制御装置5で予め記録された点灯パターンに従い、図9Aに示す「か」点灯パターン(ステップ811) で一定の時間だけ、「か」の文字が点灯し(オートスキャン)、音声出力304を介して「か」と音声が発せられる。この間に、利用者が入力スイッチ6を押すかどうかの判断がなされる(ステップ812)。第4回目のスイッチ6が押して離された場合には、「か」の文字のみが点灯することで、利用者が「か」を選択したことが判断される。
【0032】
第4回目のスイッチ6が押されなかった場合には、一定時間の経過後、図9Bに示す「き」点灯パターン(ステップ813) で一定の時間だけ、「き」が点灯するパターンへ移行する。この時、音声出力304を介して「き」と音声が発せられる。
【0033】
以下、同様に「き」が点灯している間に、利用者が入力スイッチ6を押すかどうかの判断がなされる(ステップ814)。第4回目のスイッチ6が押して離された場合には、「き」の文字のみが点灯することで、利用者が「き」を選択したことが判断される。
【0034】
第4回目のスイッチ6が押されなかった場合には、一定時間の経過後、図9Cに示す「く」点灯パターン(ステップ815) で一定の時間だけ、「く」が点灯するパターンへ移行する。この時、音声出力304を介して「く」と音声が発せられる。
【0035】
以下、同様に「く」が点灯している間に、利用者が入力スイッチ6を押すかどうかの判断がなされる(ステップ816)。このとき第4回目のスイッチ6が押して離された場合には、「く」の文字のみが点灯することで、利用者が「く」を選択したことが判断される。
【0036】
第4回目のスイッチ6が押されなかった場合には、一定時間の経過後、図9Dに示す「け」点灯パターン(ステップ817) で一定の時間だけ、「け」が点灯するパターンへ移行する。この時、音声出力304を介して「け」と音声が発せられる。
【0037】
以下、同様に「け」が点灯している間に、利用者が入力スイッチ6を押すかどうかの判断がなされる(ステップ818)。このとき第4回目のスイッチ6が押して離された場合には、「け」の文字のみが点灯することで、利用者が「け」を選択したことが判断される。
【0038】
第4回目のスイッチ6が押されなかった場合には、一定時間の経過後、図9Eに示す「こ」点灯パターン(ステップ819) で一定の時間だけ、「こ」が点灯するパターンへ移行する。この時、音声出力304を介して「こ」と音声が発せられる。
以下、同様に「こ」が点灯している間に、利用者が入力スイッチ6を押すかどうかの判断がなされる(ステップ820)。第4回目のスイッチ6が押して離された場合には、「こ」の文字のみが点灯することで、利用者が「こ」を選択したことが判断される。
【0039】
ここでは、「こ」の文字の点灯時に入力スイッチ6を押すことで、第3の手順におけるパート移動時とは異なる音質で「こ」と発声し、LEDが2度点滅し、第1の文字盤3の50音のひらがなの中から、「こ」を選択することができる。
第4回目のスイッチ6が押されなかった場合には、一定時間の経過後、変数Nに対してN=N+1の処理を行い(ステップ821)、N>=2であるかを判断し(ステップ822)、N>=2であれば、点灯盤2の点灯の2回繰り返しが経過したと判断され、図4に示すフローチャートの待機状態へ戻る。N<2であれば、点灯盤2の点灯の繰り返しが2回以下であると判断され、再びあ列点灯(ステップ811)へ戻る。
【0040】
以下、同様に第1〜第3の手順を繰り返すことで「こ」「ん」「に」「ち」「は」という単語を作成することで、利用者は周囲の人に自分の意思を伝えることができる。
尚、前記第1〜3の各手順において、各パートの点滅の繰り返しを2回行っても、入力スイッチ6を押さなかった場合は、いずれも最初の待機状態に戻る。
【0041】
次に、第2の文字盤4を点灯盤2の前面にセットして、文字盤を用いて文章を作成する具体的な操作手順を示す。図6は第2の文字盤4の各セルに記載されている文字を示している。第2の文字盤4では、変則8列×5行のマトリクス状にセルが分割されており、左側に「体の部位」を、真ん中に「位置、程度」を、右側に「状態、対応」を順に、記載している。
【0042】
第2の文字盤4の右下部にも小さな枠が3個縦に備えられており、その中で、真中の枠のみに金属片11を貼り付けてある。第2の文字盤4を点灯盤2の前面にセットすると、電子文字盤1は、金属片11と磁石を取り付けた文字盤動作パターン切替スイッチ9が反応することで第2の文字盤4が点灯盤2の前面に設置されたことを認識し、点灯制御装置5に予め記憶された、第2の文字盤4に対応した(第1の文字盤3とは異なるパターンの)LED点灯パターンで点灯させることを判断する。
ここで示す第1の文字盤3とは異なるパターンとは、第2の文字盤4はセルの構成が第1の文字盤3とは違うことから生じるLEDの点灯パターンの違いを示しており、例えば第2の文字盤4で「痛い」が点灯する場合には、第1の文字盤3における「ま」および「や」の2つに相当する、文字の後ろの点灯盤2内のLEDが同時に点灯することで対応している。
【0043】
ここでは、一例として、利用者である障害者が周囲介護者へ、電子文字盤1を用いて「背・下・少し・かゆい」と文章を作成する実施例を示す。第2の文字盤4の表記の中から1つの項目を選択・決定するまでの「パート」「列」「文字」の各項目の決定までのフローチャートは第1の実施の形態の図4、図6、図8に示した各フローチャートと同様の流れである。
また、「背」「下」を選択する手順は、第1の実施例の「こ」を選択する方法と全く同等である。ここでは、「背」「下」を選択した後に、「少し」という単語を選択する流れを示す。
【0044】
第1の手順として、利用者が入力スイッチ6を一度押す(第1回目スイッチオン)ことで、「ピッ」の電子音を発した後、電子文字盤の点灯盤は点灯制御装置5で記録された点灯パターン(第2の文字盤4の第1の点灯パターン)に従い、図11A〜図11Cに示す点灯パターンで順次点灯盤2の各パートが点灯する。
このとき、図11Aのパートが点灯した時「ひだり」、図11Bのパートが点灯した時「なか」、図11Cのパートが点灯した時「みぎ」とそれぞれ発声しながら各パートを2回繰り返し移動する。
【0045】
ここで、図11Bに示すパートのLEDが点灯している際に、利用者が入力スイッチ6を一度押す(第2回目スイッチオン)。すると、第1の手順におけるパート移動時とは異なる音質で「なか」と発声し、LEDが2度点滅する。次に、利用者が押されたままの入力スイッチ6を離す(戻す)と、保持されていたLEDの点灯している状態が解除され、次に図12A〜図12Cに示す点灯パターン(第2の文字盤4の第2の点灯パターン)で順次点灯盤2の各パートが点灯する。このとき、図12Aのパートが点灯した時「なかのぎょう」、図12Bのパートが点灯した時「まえのぎょう」、図12Cのパートが点灯した時「うしろのぎょう」とそれぞれ発音をしながら各パートを2回繰り返し移動する。
【0046】
第2の手順として、図12Bに示すパートのLEDが点灯している際に、利用者が入力スイッチ6を一度押す(第3回目スイッチオン)。すると、第1の手順におけるパート移動時とは異なる音質で「まえのぎょう」と発声し、LEDが2度点滅する。
次に、利用者が(押されたままの)入力スイッチ6を離す(戻す)と、保持されていたLEDの点灯している状態が解除され、次に図13A〜図13Eに示す点灯パターン(第2の文字盤4の第3の点灯パターン)で順次点灯盤2の各パートが点灯する。
このとき、図13Aのパートが点灯した時「まえ」、図13Bのパートが点灯した時「すこし」、図13Cのパートが点灯した時「たいへん」、図13Dのパートが点灯した時「はい」、図13Eのパートが点灯した時「いいえ」、とそれぞれ発音をしながら各パートを2回繰り返し移動する。
【0047】
第3の手順として、図13Bに示すパートのLEDが点灯している際に、利用者が入力スイッチ6を一度押す(第4回目スイッチオン)。すると、第2の手順におけるパート移動時とは異なる音質で「すこし」と発声し、LEDが2度点滅する。
次に、利用者が(押されたままの)入力スイッチ6を離す(戻す)と、保持されていたLEDの点灯している状態が解除され、第2の文字盤4に示された「体の部位」「位置」「状態、対応」の中から「すこし」という状態を示す単語を選択することができる。
【0048】
以下、同様に第1から第3の手順を繰り返すことで「背」「下」「少し」「痛い」という文章を作成することで、利用者は周囲の人に、自分の意思を伝えることができる。
尚、前記第1〜3の各手順において各パートの点滅の繰り返しを2回行っても、入力スイッチ6を押さなかった場合は、いずれも最初の待機状態に戻る。
【0049】
このように、点灯盤2に備えられた文字盤動作パターン切替スイッチ8、9、10が第1の文字盤3または第2の文字盤4の金属片11と連動することで、第1の文字盤3を点灯盤2の前にセットした際には第1の文字盤3に対応して点灯盤が1個単位で点灯し、第2の文字盤4を点灯盤2の前にセットした際には第2の文字盤4に対応して点灯盤が単語単位で点灯するなど、文字盤3または4をセットするだけで、それぞれの文字盤3または4に適したLEDの点灯パターンが自動的に設定される。
【0050】
以上のように、本実施の形態は、文字や単語等の記号を記載した文字盤3および4を交換しても、点灯盤2が連動して点灯パターンが適切に変化することで、電子文字盤1を用いて簡単に文章を作成したり自分の体調を表したりすることができる。特に、高齢者や障害者で会話を交わすことも文章を書くことも困難となった人でも、文字盤2および3の交換と入力スイッチ6のみの操作で、容易に周囲の人と会話を交わすことが可能となる。
また、点灯盤2の点灯パターンが切り替わる毎に、点灯したパートを示す音声が発声されることから、目が不自由な人であっても、電子文字盤1を見ることなく、単語や文章を作成することができる。
【0051】
特に、進行性の病気を持つ人が、まだ自由の利く間に電子文字盤1の操作に慣れていれば、症状が進行し体の自由が利かなくなってからでも、電子文字盤1の文字盤3または4の表記を見ることなく、第1の入力スイッチ6のみの操作で、容易に文章を作成することが可能となるので、病気の初期から末期まで電子文字盤1が使用可能となる。
また、オートスキャン方式で選択肢が移動するが、入力スイッチ6を「押す」とオートスキャンが停止し、入力スイッチ6を「離す」と項目の選択が決定して次のオートスキャンを開始することで、動作が遅く、操作の遅れがちな利用者であっても、遅れることなく電子文字盤1を操作することが可能となる。
【0052】
本実施の形態では、文字盤の表記パターンとして第1の文字盤3および第2の文字盤4を示したが、これに限られるものではない。利用者である障害者の状況に応じて様々な表記パターンの文字盤を用いることができる。
また、本実施の形態では、いずれの文字盤を点灯盤2の前に設置しているかを認識しているのかを示す手段として、3個の磁石を用いた文字盤動作パターン切替スイッチ8、9、10と文字盤3および4に付加された金属片11を用いたが、方式、スイッチの数共にこれに限るものではない。たとえば、光の透過具合を感知する光センサを利用するなどの方法でももちろんよい。
【0053】
点灯盤2のLEDの点灯パターンも本実施の形態に限るものではなく、様々な文字盤を点灯盤2の前面に備えることで、利用者の好みや文字盤の表示項目に応じて、点灯パターンを設定することができる。
本実施の形態では、LEDの点灯パターンの反復は2回としたが、これに限るものではなく、利用者の状況に合わせて、点灯パターンの反復を行ってもよい。点灯パターンの反復回数、点灯部位の移動速度、点灯輝度、点灯色等を、前記ON/OFFスイッチ8、9、10に連動して、点灯盤2の前面に備える文字盤に応じて切り替えるようにしてもよい。
【0054】
本実施の形態では、入力スイッチ6の例として、ボタンを押して、離すプッシュ方式のスイッチを示したが、これに限られるものではない。光を遮ることでON/OFFを行う方式や、ストローに息を吹き込む吸気スイッチや、タッチセンサを用いるなど、接点信号を「入れる」および「切る」の操作を行うことができるものであれば、方式を問わない。
【0055】
(実施の形態2)
図14は、本発明の実施の形態2の全体構成を示す斜視図である。実施の形態2の構成において、実施の形態1と同一機能を有する部品については同一番号を使用し、構成および作用の説明は省く。
図14において、12は、表示装置306としての、バックライトを備えた液晶画面を、13は印刷出力307として、パラレル方式のプリンタポートを、14はUSBポートを、15はプリンタ、16は一般のパソコンを示しており、プリンタポート13とプリンタ15はプリンタケーブルで接続されており、USBポート14はパソコン16のUSBポート(図示せず)に接続されている。
また、図3における点灯制御装置5の内部には、時刻を刻むための日時データ取得装置305としてリアルタイムクロックと、日時データ取得装置305専用のバックアップ用電池(図示ぜず)を内蔵している。
【0056】
図15は、本実施の形態において使用する第3の文字盤17を示す。
第3の文字盤17の第1の文字盤3との相違点は、11列×5行のマトリクスのセルを有し、最右列に「音声」「印刷」「PC」「時間」「終了」の列が備えられていることである。
以下、本実施の形態の利用内容について説明する。なお、第3の文字盤17から特定のセルを選択するまでのパート、列、文字を決定するためのフローチャートは、図4、図6、図8と同様なので省略する。
【0057】
第3の文字盤17から平仮名を選択する手順は実施の形態1と同様であるが、本実施の形態が実施の形態1と異なる点は、選択された平仮名が自動的にバックライトを備えた液晶画面12に表示されることである。
例えば、実施の形態1の第4の操作で「こ」を選択された際、液晶画面12には「こ」が表示される。よって、文字を選択する操作を繰り返すことで、液晶画面12に単語や文章を作成することができる。
さらに、第3の文字盤17において「音声」のセルを同様の手順で選択することで、液晶画面12の文字を声を出して読み上げることができる。
このとき、液晶画面12の文字を読み上げる際の音声は、予め電子文字盤1を利用する利用者の音声を記録しておき、その音声を再生するものとする。
また、第3の文字盤17において「印刷」のセルを同様の手順で選択することで、液晶画面12の文字をプリンタポート13を通じてプリンタ15で印刷することができる。
【0058】
また、第3の文字盤17において「PC」のセルを同様の手順で選択することで、液晶画面12の文字データに対応するキーボード信号(一般にはアスキー信号が多い)を、USBポート14を通じてパソコン16へ送信する。パソコン16は電子文字盤1からの信号を、通常のパソコンのキーボード信号と同質の信号として受信する。このとき、予めパソコン16でワープロソフト等を起動させ、「文字データの入力待ち状態」としておくことで、電子文字盤1で選択した文字を、パソコン16のワープロソフトへ入力することになる。
【0059】
また、第3の文字盤17において「時間」のセルを同様の手順で選択することで、時刻を刻むためのIC回路から得られた日時情報を元に、液晶画面12に日時を表示すると同時に、日時を声を出して読み上げることができる。
また、第3の文字盤17において「終了のセルを同様の手順で選択することで、点灯盤2のLEDおよび液晶画面12の照明を消灯する(省電力モード)ことができる。
または第1の入力スイッチ6による電子文字盤1の操作を一定時間(例えば10分間)操作しないことでも、同様に点灯盤2のLEDおよび液晶画面12の照明は自動的に消灯される。
さらに、点灯盤2のLEDおよび液晶画面12の照明を消灯している(省電力モード)時に、第1の入力スイッチ6を一定時間押し続けることで、液晶画面12のバックライトを点灯させ、再度、初期状態復帰させることができる。
【0060】
以上のように、本実施の形態は、電子文字盤1で選択した文字を液晶画面12へ順次表示させることで、液晶画面上に単語や文章を作成することができる。これにより、電子文字盤1の利用者は、第1の入力スイッチ6のみの操作を行うことで、長い文章を作成することが可能となり、周囲の者は、利用者が作成を完了した液晶画面12の単語や文章を見ることで、利用者の伝えたいことを理解することができる。
【0061】
特に、液晶画面12をバックライト付としたことで、選択する文字はLEDにより点灯することと、作成された単語や文章はバックライト付の液晶画面12に表示されることで、利用者が寝室や病院で夜間に利用する際も、明るいところとなんら変わり無く電子文字盤1を利用することが可能となる。もちろん、例えば光センサ等を設けることで液晶画面12のバックライトの点灯・消灯を制御し、消費電力を削減するなどの工夫をしてもよい。
【0062】
また、液晶画面12に表示された文字を読み上げることで、周囲の者へその内容を音声で伝えることができる。さらに、点灯制御装置5内の音声データ303に記憶させる文字を読み上げる際の音声として、予め利用者個人の音声を記録しておくことで、利用者が病気や障害により、発生が困難となった場合でも、本電子文字盤1を用いることが可能となり、より自分の声に近い自然な音声で、利用者の意思を周囲に伝えることができる。
【0063】
また、液晶画面12に表示された文字データをプリンタポート13を通じてプリンタ15へ送信することで、第1の入力スイッチ6のみの操作だけで、作成した文章を印刷することが可能となる。
液晶画面12に表示された文字データをUSBポート14を通じてパソコン16へ送信することで、プッシュボタン6のみの操作だけで、パソコン16へのキー入力が可能となる。
また、液晶画面12に時刻が表示され、音声で時刻を読み上げることで、利用者は日時を知りたいときに、別途時計の方向を向いたりすることなく、第1の入力スイッチを操作するのみで、日時を表示と音声にて容易に知ることができる。
【0064】
特に高齢者や障害者は体位を移動させるのが困難な場合が多いが、本装置を用いることで、簡単な動作で日時を確実に知るすることが可能である。
また、「終了」のセルを選択するか、一定時間機器を操作しない状態で放置することで省電力モードに移行し、再び入力スイッチ6を操作することで省電力モードから初期状態へ移行することで、消費電力を低く抑えながら、必要なときにいつでも電子文字盤1を利用することができる。
【0065】
本実施の形態では、液晶画面12への文字の表示、プリンタ15での印刷は、第3の文字盤17を用いて実行したが、これに限られるものではない。アルファベットや句読点の選択が可能となるような、より多くの選択肢を備えた文字盤でもよいし、複数の文字盤を併用してもよい。さらに、液晶画面12への表示やパソコン16への入力をより便利とするために、句読点、スペース、リターン、削除等の表記を第3の文字盤17に加え、それらを液晶画面12に表示したり、それらに対応したキーボード信号をパソコン16へ送信したりするようにしてもよい。
【0066】
本実施の形態では、液晶文字晩2に表示された文字を読み上げる際に、予め準備された利用者自身の声を利用したが、これに限るものではなく、点灯盤2の文字をスキャンする際に発声される音声も利用者自身の音声を用いてもかまわないし、利用者と同姓の音声で代用するなどの手段を用いてもかまわない。
【0067】
本実施の形態では、電子文字盤1とプリンタ15の接続手段としてパラレルポートを用いたが、これに限るものではなく、一般のパソコンとプリンタを接続する場合と同様に、USBポートなどを用いて接続してもよい。
また、本実施の形態では、USBポート14を通じてパソコン16へ信号を送る手段として、「PC」のセルを選択するとそれまでの液晶画面12に表示されている文字を送信する手法を記したが、これに限られるものではない。
【0068】
例えば、「PC」のセルを選択した場合、それ以降、再び「PC」のセルを選択するまで、第3の電子文字盤17上で選択した文字に対応するキーボード信号を逐次USBポート14を通じてパソコン16へ送信するなどの手法をとってもよい。
また、本実施の形態では、日時を表示させる手段として液晶画面12に日時を表示させる手法を示したが、これに限られるものではない。例えば、時刻を常時表示させる機能に特化した液晶を別途備えるなどの手法を用いても構わない。
また、日時を取得する方法として「時間」のセルを選択する方法を示したが、これに限るものではなく、例えば、主電源を入れた際に、もしくは切ったりした際にも日時を知らせるもしくは表示するなどしても良い。
【0069】
本実施の形態は、図14に示すように、液晶画面12を電子文字盤1の下部に備えたがこれに限るものではなく、利用者と介護者の利用時の位置関係に応じて液晶画面12を電子文字盤1の上部に設けても構わないし、電子文字盤1の前面に加えて、背面にも同様に備えても構わない。要するに双方が使いやすく、見やすい位置であれば、液晶画面の大きさや位置や数にこだわるものではない。
【0070】
(実施の形態3)
図16は、本発明の実施の形態3における文字盤を示す図である。実施の形態3の構成において、実施の形態2と同一機能を有する部品については同一番号を使用し、構成および作用の説明は省く。また、電子文字盤1の全体の構成は実施の形態2と同様なので、図面とその構成の説明も省く。
【0071】
図16に示すように、第4の文字盤18と第2の文字盤17との相違点は、右から2番目の列の「ん」のセルの下に「単語」のセルが備えられていることである。また、それに伴い、「単語」を選択された直後に文字を選択する場合には、図8および図9で示した文字を決定する際に入力される文字は、「あ」「い」「う」・・・「ん」ではなく、予め点灯制御プログラム302でプログラムされた、特定の単語を入力することになる。
【0072】
例えば、「あ」を選択した場合には「あ」ではなく「ありがとう」、「い」を選択した場合には「い」ではなく「いいえ」と発音し、液晶画面12にも同様に表示されることになる。
【0073】
以下、本実施の形態の利用内容について説明する。なお、第3の文字盤17から一つのセルを選択するまでのパート、列、文字を決定するためのフローチャートは、図4、図6、図8と同様なので省略する。
【0074】
第4の文字盤18から一つのセルを選択する手順は実施の形態3と同様であるが、本実施の形態が実施の形態3と異なる点は、「単語」というセルを選択した際の動作にある。
「単語」のセルを選択した後、続けて第1の手順として図4のフローチャートに従い「左のパートが選択され、第2の手順として図6のフローチャートに従い「あ行」が選択された後の、第3の手順を以下に説明する。
まず、点灯制御装置5の内部で、点灯のループ回数を数える変数Nに対して、N=1を格納する。
【0075】
電子文字盤1の点灯盤は点灯制御装置5であらかじめ記録された点灯パターンに従い、「あ」点灯パターン(ステップ1711) で一定の時間だけ、「あ」の文字が点灯する(オートスキャン)が、この際、前回「単語」のセルが選択されていることを反映して音声出力304を介して「ありがとう」と音声が発せられる。この間に、利用者が入力スイッチ6を押すかどうかの判断がなされる(ステップ1712)。第4回目のスイッチ6が押して離された場合には、「あ」の文字が点灯し、同時に液晶画面12に「ありがとう」と文字列が入力される。
【0076】
第4回目のスイッチ6が押されなかった場合には、一定時間の経過後「い」点灯パターン(ステップ1713) で一定の時間だけ、「き」が点灯するパターンへ移行する。この際、前回「単語」のセルが選択されていることを反映して音声出力304を介して「いいえ」と音声が発せられる。この間に、利用者が入力スイッチ6を押すかどうかの判断がなされる(ステップ1714)。第4回目のスイッチ6が押して離された場合には、「い」の文字が点灯し、同時に液晶画面12に「いいえ」と文字列が入力される。
【0077】
第4回目のスイッチ6が押されなかった場合には、一定時間の経過後、「う」点灯パターン(ステップ1715) で一定の時間だけ、「う」が点灯するパターンへ移行する。この際、前回「単語」のセルが選択されていることを反映して音声出力304を介して「うれしい」と音声が発せられる。この間に、利用者が入力スイッチ6を押すかどうかの判断がなされる(ステップ1716)。第4回目のスイッチ6が押して離された場合には、「う」の文字が点灯し、同時に液晶画面12に「うれしい」と文字列が入力される。
【0078】
第4回目のスイッチ6が押されなかった場合には、一定時間の経過後、「え」点灯パターン(ステップ1717) で一定の時間だけ、「え」が点灯するパターンへ移行する。この際、前回「単語」のセルが選択されていることを反映して音声出力304を介して「えっと」と音声が発せられる。この間に、利用者が入力スイッチ6を押すかどうかの判断がなされる(ステップ1718)。第4回目のスイッチ6が押して離された場合には、「え」の文字が点灯し、同時に液晶画面12に「えっと」と文字列が入力される。
【0079】
第4回目のスイッチ6が押されなかった場合には、一定時間の経過後、「お」点灯パターン(ステップ1719) で一定の時間だけ、「お」が点灯するパターンへ移行する。この際、前回「単語」のセルが選択されていることを反映して音声出力304を介して「おめでとう」と音声が発せられる。この間に、利用者が入力スイッチ6を押すかどうかの判断がなされる(ステップ1720)。第4回目のスイッチ6が押して離された場合には、「お」の文字が点灯し、同時に液晶画面12に「おめでとう」と文字列が入力される。
【0080】
第4回目のスイッチ6が押されなかった場合には、一定時間の経過後、変数Nに対してN=N+1の処理を行い(ステップ1721)、N>=2であるかを判断し(ステップ1722)、N>=2であれば、点灯盤2の点灯の2回繰り返しが経過したと判断され、図4に示すフローチャートの待機状態へ戻る。N<2であれば、点灯盤2の点灯の繰り返しが2回以下であると判断され、再びあ列点灯(ステップ1711)へ戻る。
【0081】
以上のように、本実施の形態は、電子文字盤1で選択した文字を、備えられた液晶画面12へ順次表示させることで、液晶画面上に単語や文章を作成することができる。これにより、電子文字盤1の利用者は、第1の入力スイッチ6のみの操作を行うことで、長い文章を作成することが可能となり、周囲の者は、利用者が作成を完了した液晶画面12の単語や文章を見ることで、利用者の伝えたいことを理解することができる。
【0082】
以上説明したように、「単語」というセルを選択し、続けて別のセルを選択する組み合わせを用いることで、文字盤の表記の内容を交換することなく、別の文字や単語を選択することを可能とする。特に、本実施の形態においては、別の文字や単語を選択する際にも、一つずつ変更した選択肢を読み上げることから、予め利用者が、変更した選択肢を記憶する必要もなく、単純に要求する単語が発音された際に、第1の入力スイッチ6を押すことで、簡単に単語を入力することが可能となる。
【0083】
なお、本実施の形態においては、変更した選択肢をよりわかりやすくするために、「あ」のセルには「ありがとう」、「い」のセルには「いいえ」といった様に、各単語の頭文字を一致させることで、より簡単に、変更した選択肢を連想しやすくしたが、必ずしもこれに限る必要はなく、いずれのセルにどのような単語を充ててもかまわない。
【0084】
また、選択肢をより多くするために、「単語」に相当するセルを2つ以上設定し、例えば「単語1」を選んだ後、続けて別のセルを選択する際と、「単語2」を選んだ後、続けて別のセルを選択する際で、入力される単語を別にするなどの工夫を設けてもかまわない。
【0085】
(実施の形態4)
図18は本発明の実施の形態3の全体構成を示す斜視図である。本実施の形態と実施の形態1〜3との相違点は、第1の入力スイッチ6に加えて第2の入力スイッチ19が加わり、入力スイッチが二つ接続されていることである。
【0086】
ここでは、第1の入力スイッチ6は、実施の形態1と同様、項目の決定を行うのに対して、第2の入力スイッチ19は、選択項目の次への”送り”を行う。
これにより、例えば実施の形態1で「こ」を選択するには、
第1の入力スイッチ6ON→「ひだり」で第1の入力スイッチ6ON→「あ行」で待ち→「か行」で第1の入力スイッチ6ON→「か」で待ち→「き」で待ち→「く」で待ち→「け」で待ち→「こ」で第1の入力スイッチ6ONで決定
と、オートスキャンのみで選択肢が移動するために、必ず次の選択項目へ移動するまでの「待ち」状態が発生する。オートスキャン方式では、自動的に選択肢が変わってくれることが便利である一方、利用者のペースで選択肢の変更を行うことができないので、体の動作や判断能力に余裕のある利用者であれば、自分で選択肢を好きなペースで変更したいという要望がある。
【0087】
そこで、本実施の形態4で「こ」を選択するには、
第1の入力スイッチ6ON→「ひだり」で第1の入力スイッチ6ON→「あ行」で第2の入力スイッチ19ON→「か行」で第1の入力スイッチ6ON→「か」で第2の入力スイッチ19ON→「き」で第2の入力スイッチ19ON→「く」で第2の入力スイッチ19ON→「け」で第2の入力スイッチ19ON→「こ」で第1の入力スイッチ6ONで決定
となり、第2の入力スイッチ19を押す毎に、図5A→図5B→図5C→図5C→・・・と、順番に点灯パターンが切り替わることで、利用者が自分のペースで選択肢を切り替えることができるので、「待ち」の状態が発生しないため、体の動作や判断能力に余裕のある利用者でも、ストレス無く本電子文字盤1を使用することができる。
【0088】
以上のように、本実施の形態4は、第1の入力スイッチ6と第2のスイッチ19の、2つの入力スイッチを用いて、一方の入力スイッチ(本実施の形態における第2の入力スイッチ19)を押して離すことで選択肢の切替・変更を行い、もう一方の入力スイッチ(本実施の形態における第1の入力スイッチ6)を押して離すことで、選択肢の項目の決定を行うことで、利用者が自分の判断速度に応じて、選択肢の切替を自由に行うことが可能となる。
【0089】
(実施の形態5)
図19は本発明の実施の形態5の全体構成を示す斜視図である。本実施の形態と実施の形態4との相違点は、第1の入力スイッチ6、第2のスイッチ19に加えて、第3のスイッチ20と、入力スイッチが三つ接続されていることである。ここでは、第1の入力スイッチ6は、実施の形態1と同様、項目の決定を行うのに対して、第2の入力スイッチ19は、選択項目の左右方向への送りを行い、第3の入力スイッチ20は、選択項目の上下方向への送りを行う。
【0090】
これにより、本実施の形態5で「こ」を選択するには、
第1の入力スイッチON→「ひだり」で第1の入力スイッチON→「あ行」で第2の入力スイッチON→「か行」で第3の入力スイッチON→「き」で第3の入力スイッチON→「く」で第3の入力スイッチON→「け」で第3の入力スイッチON→「こ」で第1の入力スイッチONで決定
となり、項目を決定するまでの「待ち」の時間が短くなるか、入力スイッチを押す回数が実施の形態1〜4と比較して短くなることで、より早く、文字の入力が可能となる。さらに、行方向の選択肢の移動と、列方向の選択肢の移動が、好きな順番で実行できることから、選択途中での選択肢の変更や訂正も容易に行うことが可能となる。
【0091】
以上のように本実施の形態は、第1の入力スイッチ6、第2のスイッチ19に加えて、第3のスイッチ20の、3つの入力スイッチを操作して、選択肢の項目の決定を行うことで、より早く、便利に文字の入力を行うことが可能となる。
【0092】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、障害者、高齢者など、四肢が不自由で会話が十分に交わせない人でも、「いつでも」「だれでも」「どこでも」「簡単に」意思を伝達できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1の全体構成を示す斜視図
【図2】実施の形態1における第1の文字盤3の表記を示す図
【図3】実施の形態1における点灯制御装置5の内部構造を示す図
【図4】実施の形態1における第1の電子文字盤のパートを選択するフローチャート
【図5】(A)〜(C)実施の形態1における第1の文字盤3の第1の点灯パターンを示す図
【図6】実施の形態1における第1の電子文字盤の列を選択するフローチャート
【図7】(A)〜(C)実施の形態1における第1の文字盤3の第2の点灯パターンを示す図
【図8】実施の形態1における第1の電子文字盤の文字を選択するフローチャート
【図9】(A)〜(E)実施の形態1における第1の文字盤3の第3の点灯パターンを示す図
【図10】実施の形態1における第2の文字盤4の表記を示す図
【図11】(A)〜(C)実施の形態1における第2の文字盤4の第1の点灯パターンを示す図
【図12】(A)〜(C)実施の形態1における第2の文字盤4の第2の点灯パターンを示す図
【図13】(A)〜(E)実施の形態1における第2の文字盤4の第3の点灯パターンを示す図
【図14】実施の形態2における電子文字盤1の全体構成を示す斜視図
【図15】実施の形態2における第3の文字盤17の表記を示す図
【図16】実施の形態3における第4の文字盤18の表記を示す図
【図17】実施の形態3における第4の電子文字盤の文字(単語)を選択するフローチャート
【図18】実施の形態4における電子文字盤1の全体構成を示す斜視図
【図19】実施の形態5における電子文字盤1の全体構成を示す斜視図
【符号の説明】
1 電子文字盤
2 点灯盤
3 第1の文字盤
4 第2の文字盤
5 点灯制御装置
6 第1の入力スイッチ
7 ガイドレール
8、9、10 文字盤動作パターン切替スイッチ
11 金属片
12 液晶画面(バックライト付)
13 プリンタポート(パラレル方式)
14 USBポート
15 プリンタ
16 パソコン
17 第3の文字盤
18 第4の文字盤
19 第2の入力スイッチ
20 第3の入力スイッチ
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に言語障害および/または四肢障害により周囲への意思伝達が困難な障害者が使用する、単語・文章作成用の意思伝達装置に関するものである。
【従来の技術】
重度の障害者の中には、四肢が不自由かつ発声の困難な方も少なくない。中には、知的障害を併発している方もおられるが、意思の聡明な方もいる。
例えば、ALS(筋萎縮性側索硬化症)の方は体の筋肉が衰えて徐々に動かなくなるのに対し、思考はほとんど阻害されることがないので、日々の生活の中で様々な欲求がある。
また脳性まひの方は、体の動きが安定しないため会話や筆談が困難なものの、思考は健常者と同等の方も多く、また非進行性の障害であり、健常者と同様の生活をしたいという要望がある。
【0002】
また、交通事故などで左脳に損傷を受けた場合、一般的な思考には障害が無いものの、発声・発語上の障害と右半身の障害を併発する方もいる。
つまり四肢(特に利き腕)が不自由、かつ発声の困難であるが、思考の聡明な障害者は、要望、欲求は一般の健常者となんら変わりない一方、手足が不自由であることから周囲へ物事を依頼することが増えることから、必然的に周囲とコミュニケーションを取る回数は、健常者同士のコミュニケーションと比べて比べものにならない程多く、その内容も命に関わる重要な内容が多くなる。
【0003】
しかし、そのような障害者は一般の会話も筆談も思うようにできないので、自分の意図を周囲の人へ伝えられず、また周囲の人もなかなか理解できないことで悩むケースが少なくない。そのため、体の不調を訴えたり、生活するうえで必要な事を家族など周囲の介護者へ伝えたりするための「意思伝達手段」として、透明のプラスチック板にマトリクス状の升目を記し、それぞれの升目に平仮名や数字等を記載した文字盤を用いる方法がある。障害者等が文字盤上の文字を順次一つずつ見つめ、その視線を介護者が追いかけることで、障害者等の言いたい事を介護者が読み取るという方法で意思伝達を行うのである。
【0004】
この方法では、普段から障害者と接する機会の多い、障害者の家族等なら、ある程度の慣れから、障害者の意図することを理解するのが早くなることが期待されるが、医者や介護ヘルパーの方とのコミュニケーションでは、そのような文字盤を用いても意思の伝達が上手くいかないことが多い。そのため、せっかく障害者のフォローをするために来られた方が、何をすればいいのか判らないので何もできない・・・、といった課題に陥ることがある。
【0005】
そのような課題を解決するために、近年の上肢障害または言語障害を持つ障害者は、パーソナルコンピュータを用いて自分の意思を周囲の人へ伝えるようになってきた。
指先で一個ずつキーボードのキーを打ち込み、パソコンの画面上でワープロなどを用いて文章を作成するのである。パソコンの普及は、健常者以上に、これらの障害者に、社会参加の機会を与えることとなったと考えられる。
【0006】
一方、ALSを始めとする難病や、脳性まひ等の障害者の中には、指先すらまともに動かすことができない障害者もいる。そのような障害者のために、接点スイッチひとつを自分の意思で「入り切り」できる部位に接点スイッチを設け、スイッチひとつだけでパソコンのキーボードやマウスを操作する方法も考案され、「意思伝達装置」として市場に出ている。
つまり、体の中のどこか一部、例えば、息を吹きかけることができるのであれば、ストローに息を吹き込むことでスイッチが入り切りする吸気スイッチを、顔をわずかに傾けることができるのであれば、ほほや耳の付近に光センサを取り付け、顔を動かすことで光を遮断してスイッチを入り切りする光センサスイッチを、まぶたがあがるのであれば、まぶたに金属片を貼り付け、メガネのフレームを介して、眉の近くにスイッチを固定し、まぶたを動かすことで金属片をスイッチに接触させて入り切りする眉スイッチを設けるなど、あらゆる工夫を行って、接点スイッチを操作しているのが実情である。
【0007】
一方、その接点スイッチを用いて動かすパソコン側の工夫として、パソコンのディスプレイの一部に複数の文字をマトリクス状に表示し、行・列ごとに輝度または色を変化させるオートスキャン方式で文字を走査して、入力したい文字の輝度または色が変化しているときにスイッチを押すことで文字を選択する手段を備えたパソコン入力支援装置がある(特許文献1参照)。この手法を適用した機器がパソコンによる「意思伝達装置」として市販されている。
【0008】
これらの方式では、いずれも、パソコンのディスプレイの一部に、選択候補となる文字やマウスの移動方向の一覧を表示させ、それら候補の中から決定した入力項目に応じてパソコンを操作して文章を作成したり、電子メールやインターネットの閲覧などの機能を操作したりするようにしている。
【特許文献1】
特開昭62−160523号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、パソコン上でソフトウェアを活用した入力装置では、パソコン自体の起動に時間がかかるために、急に伝えたいことができても対応できないので、1日中パソコンを付けておかざるを得ないといった不満点があった。また、パソコン自身が必ずしも安定していないことから、コミュニケーションの最中にフリーズして、会話が続かないと言った不具合も避けられなかった。そして何よりも、重度障害者にとってパソコンは、唯一意思を発信する手段であり体の一部であるにもかかわらず、安心して利用することができないという、不安が付きまとっていた。
【0010】
また、重度障害者にとっては、緊急時に周囲の人を呼ぶための呼び出しボタンが必要不可欠である。しかし、パソコンに呼び出し機能を搭載しても、パソコン自体がフリーズしては機能しない。障害者が重度であればあるほど、操作できるスイッチは一つに限られる場合が多く、そのような障害者は命の確保を優先するため、唯一利用できるスイッチはパソコンの操作ではなく、呼び出しブザーなどをつながざるを得なかった。
つまりパソコンによる「意思伝達装置」はこれら重度障害者にとって様々な恩恵はあるものの、パソコンによる「意思伝達装置」だけでは、コミュニケーションの基本的な概念である「いつでも」「どこでも」「誰とでも」「確実に」、自分の意思を表現することができないのが現状である。
【0011】
また、マイコンを用いながら画面上の表示のセルを順次走査する方式で文章を作成する機器も存在するが、手軽に選択する文章を切り替えながら文字を作成できる機器としては、小型・軽量・一体化とは程遠く、自分の意思を発信するための機器としては、実用的ではなかった。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、マトリクス形状に分割されたセルと、各セルの背面に配された点灯装置からなる点灯盤と、前記点灯盤の前に配され、同様にマトリクス形状に分割されたセルの各枠の中に文字または記号の表記された文字盤と、前記点灯装置の点灯・消灯を制御する点灯制御手段と、前記文字盤の表記内容を前記点灯制御手段へ伝達する文字盤表記項目伝達手段と、前記点灯盤へ接点の入/切の信号を入力する入力スイッチと、前記点灯装置の点灯および消灯に対応して音声を出力するる音声出力手段を備えた身体障害者高齢者用の意思伝達装置であって、前記点灯制御手段は、前記文字盤表記項目伝達手段と前記入力スイッチからの信号にしたがい、前記点灯盤の点灯および消灯させるセルのパターンを提供する点灯パターン提供手段と、前記点灯および消灯したセルに対応して出力する音声情報を提供する音声情報提供手段と、前記点灯パターン提供手段と前記音声情報提供手段から提供された内容から決定される前記点灯装置の点灯パターンを前記点灯装置へ伝達し、前記音声情報を前記音声出力手段へ伝達する入出力制御手段を有し、前記入力スイッチの接点を入とすることで、前記点灯盤が一定間隔で順次点灯し、入力したい文字が点灯した際に前記入力スイッチの接点を入とすることで、前記文字盤の複数の文字または記号から1つを決定し、前記文字盤の表記内容、セルの枠の大きさ、セルの形状、セルの位置に応じて、前記点灯盤の、点灯する部位、点灯する色、点灯する輝度、点灯する順序、発する音声および点灯する速度の少なくとも一つが変化することを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0014】
(実施の形態1)
図1に本実施の形態の全体構成を示す。電子文字盤1は点灯盤2、第1の文字盤3、第2の文字盤4、電子文字盤1内部に収納された点灯制御装置5、および第1の入力スイッチ6から構成されている。点灯盤2は電子文字盤1の前面にはめ込まれており、点灯盤2の前面左右および下部には、ガイドレール7が備えられている。第1の文字盤3または第2の文字盤4のいずれか一方が、ガイドレール7の内側に沿って上方から点灯盤2の前面に挿入され、固定される。第1の入力スイッチ6は、電子文字盤1に接続されており、スイッチを操作した信号は点灯制御装置5へ入力される。
点灯盤2および第1の文字盤3はいずれも10列×5行のマトリクス状に分割されており、文字盤3が点灯盤2の前面に固定されるときには、各々のセルの境界線は一致する。
【0015】
点灯盤2のマトリクスの50個の各セルの後方(電子文字盤1内部)には発光ダイオード(図示せず、以下LEDで表す)が備えられており、各LEDは点灯制御装置5により独立して点灯させることができる。
点灯盤2の右下部には、小さな枠が3個、縦に並べられており、それぞれの枠の背面には、磁石を取り付けた文字盤動作パターン切替スイッチ(ON/OFFスイッチ)8、9、10が備えられており、各々の枠の前面に金属を近づけるとスイッチが入る仕組みになっている。
【0016】
図2は第1の文字盤3の各セルに記載されている文字を示している。第1の文字盤3では、ひらがなの50音を左から「あ・か・さ・た・な」の順に、上から「あ・い・う・え・お」順に、記載されている。第1の文字盤3の右下部には、小さな枠が3個、縦に備えられており、その中で、一番上の枠のみに金属片11が貼り付けてある。
【0017】
図3は、点灯制御装置5の内部構造を示している。点灯制御装置5は入力/表示/音声制御回路301、点灯制御プログラム302、音声データ303より構成されている。
入力/表示/音声制御回路301は、設定スイッチ(文字盤パターン切替スイッチ8、9、10)の設定に従って点灯制御プログラム302より、点灯パターンを読み込み、入力装置(入力スイッチ6)の入力に連動して点灯装置(点灯盤2)へ、点灯/消灯の信号を送信する。
また同時に、入力/表示/音声制御回路301は、音声データ303から、点灯パターンに伴い発する音声データを読み込み、音声出力304(スピーカーなど)より対応する音声を出力する。
なお、点灯制御装置5は必要に応じて日時データを取得するための日時データ取得装置305(リアルタイムクロックなど)、第1の文字盤3および第2の文字盤4等から選択された文字や記号を表示する液晶出力装置306、同様に選択された文字や記号を印刷する印刷出力装置307等を備えても構わない。
【0018】
以下、図4、図6、図8の各フローチャートを参照しながら、第1の文字盤3を点灯盤2の前面にセットして、第1の文字盤3を用いて文章を作成する具体的な操作手順を示す。
第1の文字盤3を点灯盤2の前面にセットすると、電子文字盤1は、金属片11と磁石を取り付けた文字盤動作パターン切替スイッチ8が引き合うことで第1の文字盤3が点灯盤2の前面に設置されたことを認識し、点灯制御プログラム302で設定された内容に沿って、第1の文字盤3に対応したLED点灯パターンで点灯させることを判断する。
【0019】
ここでは、一例として、利用者である障害者が周囲の介護者へ、電子文字盤1を用いて「こんにちは」と単語を作成する際の電子文字盤1の操作の実施例を示す。まず、「こ」という単語を作成する手順を示す。すべてのLEDが消灯している状態が待機状態であり、待機状態から操作を開始するものとする。
【0020】
第1の手順として、図4のフローチャートに従って動作を行う。利用者が入力スイッチ6を一度押して離す(ステップ411)と、点灯制御装置5の内部で、点灯のループ回数を数える変数Nに対して、N=1を格納する。
さらに、音声出力304を経て「ピッ」の電子音を発した後、電子文字盤1の点灯盤は点灯制御装置5であらかじめ記録された点灯パターンに従い、図5Aに示す左パート点灯パターン(ステップ412、第1の文字盤3の第1の点灯パターン) で一定の時間だけ、左パートが点灯し(オートスキャン)、音声出力304を介して「ひだり」と音声が発せられる。この間に、利用者が入力スイッチ6を押すかどうかの判断がなされる(ステップ413)。第2回目のスイッチ6が押された場合には、左パートの中から、さらに一つの列を決定する点灯パターンへ移行する。
【0021】
第2回目のスイッチ6が押されなかった場合には、一定時間の経過後、図5Bに示す中パート点灯パターン(ステップ414、第1の文字盤3の第2の点灯パターン) で一定の時間だけ、中パートが点灯し、音声出力304を介して「なか」と音声が発せられる。
以下、同様に中パートが点灯している間に、利用者が入力スイッチ6を押すかどうかの判断がなされる(ステップ415)。第2回目のスイッチ6が押して離された場合には、中パートの中から、さらに一つの列を決定する点灯パターンへ移行する。
【0022】
第2回目のスイッチ6が押されなかった場合には、一定時間の経過後、図5Cに示す右パート点灯パターン(ステップ416、第1の文字盤3の第2の点灯パターン) で一定の時間だけ、右パートが点灯し、音声出力304を介して「みぎ」と音声が発せられる。
以下、同様に右パターンが点灯している間に、利用者が入力スイッチ6を押すかどうかの判断がなされる(ステップ417)。第2回目のスイッチ6が押して離された場合には、右パートの中からさらに一つの列を決定する点灯パターンへ移行する。
【0023】
第2回目のスイッチ6が押されなかった場合には、一定時間の経過後、変数Nに対してN=N+1の処理を行い(ステップ418)、N>=2であるかを判断し(ステップ419)、N>=2であれば、点灯盤2の点灯の2回繰り返しが経過したと判断され、待機状態へ戻る。N<2であれば、点灯盤2の点灯の繰り返しが2回以下であると判断され、再び左パート点灯(ステップ412)へ戻る。
【0024】
ここでは、「こ」の文字を含む図5Aの「左パート」点灯時(ステップ413)に入力スイッチ6を押して離すことで、第1の手順におけるパート移動時とは異なる音質で「ひだり」と発声し、LEDが2度点滅し、「あ列」から「さ列」の中から1つの列を選択するパターンへと移行する。
【0025】
第2の手順として、図6のフローチャートに従い、上記第1の手順のステップ413で、第2回目のスイッチ6が押されて左パートが選択され、その中から、さらに一つの列を決定する点灯パターンへ移行する場合を検討する。まず、点灯制御装置5の内部で、点灯のループ回数を数える変数Nに対して、N=1を格納する。
電子文字盤1の点灯盤は点灯制御装置5であらかじめ記録された点灯パターンに従い、図7Aに示すあ列点灯パターン(ステップ611) で一定の時間だけ、「あ列」が点灯し (オートスキャン)、音声出力304を介して「あ列」と音声が発せられる。この間に、利用者が入力スイッチ6を押すかどうかの判断がなされる(ステップ612)。第3回目のスイッチ6が押して離された場合には、「あ列」の「あ、い、う、え、お」の中から、一つの文字を決定する点灯パターンへ移行する。
【0026】
第3回目のスイッチ6が押されなかった場合には、一定時間の経過後、図7Bに示すか列点灯パターン(ステップ613) で一定の時間だけ、「か列」が点灯するパターンへ移行する。この時、音声出力304を介して「か列」と音声が発せられる。以下、同様に「か列」が点灯している間に、利用者が入力スイッチ6を押すかどうかの判断がなされる(ステップ614)。第3回目のスイッチ6が押して離された場合には、「か列」の「か、き、く、け、こ」の中から、一つの文字を決定する点灯パターンへ移行する。
【0027】
第3回目のスイッチ6が押されなかった場合には、一定時間の経過後、図7Cに示すさ列点灯パターン(ステップ615) で一定の時間だけ、「さ列」が点灯するパターンへ移行する。この時、音声出力304を介して「さ列」と音声が発せられる。以下、同様に「さ列」が点灯している間に、利用者が入力スイッチ6を押すかどうかの判断がなされる(ステップ616)。第3回目のスイッチ6が押して離された場合には、「さ列」の「さ、し、す、せ、そ」の中から、一つの文字を決定する点灯パターンへ移行する。
【0028】
第3回目のスイッチ6が押されなかった場合には、一定時間の経過後、変数Nに対してN=N+1の処理を行い(ステップ617)、N>=2であるかを判断し(ステップ618)、N>=2であれば、点灯盤2の点灯の2回繰り返しが経過したと判断され、図4に示すフローチャートの待機状態へ戻る。N<2であれば、点灯盤2の点灯の繰り返しが2回以下であると判断され、再びあ列点灯(ステップ611)へ戻る。
【0029】
ここでは、「こ」の文字を含む「か列」点灯時(ステップ614)に入力スイッチ6を押すことで、第2の手順におけるパート移動時とは異なる音質で「かぎょう」と発声し、LEDが2度点滅し、「か」から「こ」の中から1つの文字を選択するパターンへと移行する。
【0030】
第3の手順として、図8のフローチャートに従い、上記第2の手順のステップ614で、第3回目のスイッチ6が押されて「か行」が選択され、その中から、さらに一つの文字を決定する点灯パターンへ移行する場合を検討する。まず、点灯制御装置5の内部で、点灯のループ回数を数える変数Nに対して、N=1を格納する。
【0031】
電子文字盤1の点灯盤は点灯制御装置5で予め記録された点灯パターンに従い、図9Aに示す「か」点灯パターン(ステップ811) で一定の時間だけ、「か」の文字が点灯し(オートスキャン)、音声出力304を介して「か」と音声が発せられる。この間に、利用者が入力スイッチ6を押すかどうかの判断がなされる(ステップ812)。第4回目のスイッチ6が押して離された場合には、「か」の文字のみが点灯することで、利用者が「か」を選択したことが判断される。
【0032】
第4回目のスイッチ6が押されなかった場合には、一定時間の経過後、図9Bに示す「き」点灯パターン(ステップ813) で一定の時間だけ、「き」が点灯するパターンへ移行する。この時、音声出力304を介して「き」と音声が発せられる。
【0033】
以下、同様に「き」が点灯している間に、利用者が入力スイッチ6を押すかどうかの判断がなされる(ステップ814)。第4回目のスイッチ6が押して離された場合には、「き」の文字のみが点灯することで、利用者が「き」を選択したことが判断される。
【0034】
第4回目のスイッチ6が押されなかった場合には、一定時間の経過後、図9Cに示す「く」点灯パターン(ステップ815) で一定の時間だけ、「く」が点灯するパターンへ移行する。この時、音声出力304を介して「く」と音声が発せられる。
【0035】
以下、同様に「く」が点灯している間に、利用者が入力スイッチ6を押すかどうかの判断がなされる(ステップ816)。このとき第4回目のスイッチ6が押して離された場合には、「く」の文字のみが点灯することで、利用者が「く」を選択したことが判断される。
【0036】
第4回目のスイッチ6が押されなかった場合には、一定時間の経過後、図9Dに示す「け」点灯パターン(ステップ817) で一定の時間だけ、「け」が点灯するパターンへ移行する。この時、音声出力304を介して「け」と音声が発せられる。
【0037】
以下、同様に「け」が点灯している間に、利用者が入力スイッチ6を押すかどうかの判断がなされる(ステップ818)。このとき第4回目のスイッチ6が押して離された場合には、「け」の文字のみが点灯することで、利用者が「け」を選択したことが判断される。
【0038】
第4回目のスイッチ6が押されなかった場合には、一定時間の経過後、図9Eに示す「こ」点灯パターン(ステップ819) で一定の時間だけ、「こ」が点灯するパターンへ移行する。この時、音声出力304を介して「こ」と音声が発せられる。
以下、同様に「こ」が点灯している間に、利用者が入力スイッチ6を押すかどうかの判断がなされる(ステップ820)。第4回目のスイッチ6が押して離された場合には、「こ」の文字のみが点灯することで、利用者が「こ」を選択したことが判断される。
【0039】
ここでは、「こ」の文字の点灯時に入力スイッチ6を押すことで、第3の手順におけるパート移動時とは異なる音質で「こ」と発声し、LEDが2度点滅し、第1の文字盤3の50音のひらがなの中から、「こ」を選択することができる。
第4回目のスイッチ6が押されなかった場合には、一定時間の経過後、変数Nに対してN=N+1の処理を行い(ステップ821)、N>=2であるかを判断し(ステップ822)、N>=2であれば、点灯盤2の点灯の2回繰り返しが経過したと判断され、図4に示すフローチャートの待機状態へ戻る。N<2であれば、点灯盤2の点灯の繰り返しが2回以下であると判断され、再びあ列点灯(ステップ811)へ戻る。
【0040】
以下、同様に第1〜第3の手順を繰り返すことで「こ」「ん」「に」「ち」「は」という単語を作成することで、利用者は周囲の人に自分の意思を伝えることができる。
尚、前記第1〜3の各手順において、各パートの点滅の繰り返しを2回行っても、入力スイッチ6を押さなかった場合は、いずれも最初の待機状態に戻る。
【0041】
次に、第2の文字盤4を点灯盤2の前面にセットして、文字盤を用いて文章を作成する具体的な操作手順を示す。図6は第2の文字盤4の各セルに記載されている文字を示している。第2の文字盤4では、変則8列×5行のマトリクス状にセルが分割されており、左側に「体の部位」を、真ん中に「位置、程度」を、右側に「状態、対応」を順に、記載している。
【0042】
第2の文字盤4の右下部にも小さな枠が3個縦に備えられており、その中で、真中の枠のみに金属片11を貼り付けてある。第2の文字盤4を点灯盤2の前面にセットすると、電子文字盤1は、金属片11と磁石を取り付けた文字盤動作パターン切替スイッチ9が反応することで第2の文字盤4が点灯盤2の前面に設置されたことを認識し、点灯制御装置5に予め記憶された、第2の文字盤4に対応した(第1の文字盤3とは異なるパターンの)LED点灯パターンで点灯させることを判断する。
ここで示す第1の文字盤3とは異なるパターンとは、第2の文字盤4はセルの構成が第1の文字盤3とは違うことから生じるLEDの点灯パターンの違いを示しており、例えば第2の文字盤4で「痛い」が点灯する場合には、第1の文字盤3における「ま」および「や」の2つに相当する、文字の後ろの点灯盤2内のLEDが同時に点灯することで対応している。
【0043】
ここでは、一例として、利用者である障害者が周囲介護者へ、電子文字盤1を用いて「背・下・少し・かゆい」と文章を作成する実施例を示す。第2の文字盤4の表記の中から1つの項目を選択・決定するまでの「パート」「列」「文字」の各項目の決定までのフローチャートは第1の実施の形態の図4、図6、図8に示した各フローチャートと同様の流れである。
また、「背」「下」を選択する手順は、第1の実施例の「こ」を選択する方法と全く同等である。ここでは、「背」「下」を選択した後に、「少し」という単語を選択する流れを示す。
【0044】
第1の手順として、利用者が入力スイッチ6を一度押す(第1回目スイッチオン)ことで、「ピッ」の電子音を発した後、電子文字盤の点灯盤は点灯制御装置5で記録された点灯パターン(第2の文字盤4の第1の点灯パターン)に従い、図11A〜図11Cに示す点灯パターンで順次点灯盤2の各パートが点灯する。
このとき、図11Aのパートが点灯した時「ひだり」、図11Bのパートが点灯した時「なか」、図11Cのパートが点灯した時「みぎ」とそれぞれ発声しながら各パートを2回繰り返し移動する。
【0045】
ここで、図11Bに示すパートのLEDが点灯している際に、利用者が入力スイッチ6を一度押す(第2回目スイッチオン)。すると、第1の手順におけるパート移動時とは異なる音質で「なか」と発声し、LEDが2度点滅する。次に、利用者が押されたままの入力スイッチ6を離す(戻す)と、保持されていたLEDの点灯している状態が解除され、次に図12A〜図12Cに示す点灯パターン(第2の文字盤4の第2の点灯パターン)で順次点灯盤2の各パートが点灯する。このとき、図12Aのパートが点灯した時「なかのぎょう」、図12Bのパートが点灯した時「まえのぎょう」、図12Cのパートが点灯した時「うしろのぎょう」とそれぞれ発音をしながら各パートを2回繰り返し移動する。
【0046】
第2の手順として、図12Bに示すパートのLEDが点灯している際に、利用者が入力スイッチ6を一度押す(第3回目スイッチオン)。すると、第1の手順におけるパート移動時とは異なる音質で「まえのぎょう」と発声し、LEDが2度点滅する。
次に、利用者が(押されたままの)入力スイッチ6を離す(戻す)と、保持されていたLEDの点灯している状態が解除され、次に図13A〜図13Eに示す点灯パターン(第2の文字盤4の第3の点灯パターン)で順次点灯盤2の各パートが点灯する。
このとき、図13Aのパートが点灯した時「まえ」、図13Bのパートが点灯した時「すこし」、図13Cのパートが点灯した時「たいへん」、図13Dのパートが点灯した時「はい」、図13Eのパートが点灯した時「いいえ」、とそれぞれ発音をしながら各パートを2回繰り返し移動する。
【0047】
第3の手順として、図13Bに示すパートのLEDが点灯している際に、利用者が入力スイッチ6を一度押す(第4回目スイッチオン)。すると、第2の手順におけるパート移動時とは異なる音質で「すこし」と発声し、LEDが2度点滅する。
次に、利用者が(押されたままの)入力スイッチ6を離す(戻す)と、保持されていたLEDの点灯している状態が解除され、第2の文字盤4に示された「体の部位」「位置」「状態、対応」の中から「すこし」という状態を示す単語を選択することができる。
【0048】
以下、同様に第1から第3の手順を繰り返すことで「背」「下」「少し」「痛い」という文章を作成することで、利用者は周囲の人に、自分の意思を伝えることができる。
尚、前記第1〜3の各手順において各パートの点滅の繰り返しを2回行っても、入力スイッチ6を押さなかった場合は、いずれも最初の待機状態に戻る。
【0049】
このように、点灯盤2に備えられた文字盤動作パターン切替スイッチ8、9、10が第1の文字盤3または第2の文字盤4の金属片11と連動することで、第1の文字盤3を点灯盤2の前にセットした際には第1の文字盤3に対応して点灯盤が1個単位で点灯し、第2の文字盤4を点灯盤2の前にセットした際には第2の文字盤4に対応して点灯盤が単語単位で点灯するなど、文字盤3または4をセットするだけで、それぞれの文字盤3または4に適したLEDの点灯パターンが自動的に設定される。
【0050】
以上のように、本実施の形態は、文字や単語等の記号を記載した文字盤3および4を交換しても、点灯盤2が連動して点灯パターンが適切に変化することで、電子文字盤1を用いて簡単に文章を作成したり自分の体調を表したりすることができる。特に、高齢者や障害者で会話を交わすことも文章を書くことも困難となった人でも、文字盤2および3の交換と入力スイッチ6のみの操作で、容易に周囲の人と会話を交わすことが可能となる。
また、点灯盤2の点灯パターンが切り替わる毎に、点灯したパートを示す音声が発声されることから、目が不自由な人であっても、電子文字盤1を見ることなく、単語や文章を作成することができる。
【0051】
特に、進行性の病気を持つ人が、まだ自由の利く間に電子文字盤1の操作に慣れていれば、症状が進行し体の自由が利かなくなってからでも、電子文字盤1の文字盤3または4の表記を見ることなく、第1の入力スイッチ6のみの操作で、容易に文章を作成することが可能となるので、病気の初期から末期まで電子文字盤1が使用可能となる。
また、オートスキャン方式で選択肢が移動するが、入力スイッチ6を「押す」とオートスキャンが停止し、入力スイッチ6を「離す」と項目の選択が決定して次のオートスキャンを開始することで、動作が遅く、操作の遅れがちな利用者であっても、遅れることなく電子文字盤1を操作することが可能となる。
【0052】
本実施の形態では、文字盤の表記パターンとして第1の文字盤3および第2の文字盤4を示したが、これに限られるものではない。利用者である障害者の状況に応じて様々な表記パターンの文字盤を用いることができる。
また、本実施の形態では、いずれの文字盤を点灯盤2の前に設置しているかを認識しているのかを示す手段として、3個の磁石を用いた文字盤動作パターン切替スイッチ8、9、10と文字盤3および4に付加された金属片11を用いたが、方式、スイッチの数共にこれに限るものではない。たとえば、光の透過具合を感知する光センサを利用するなどの方法でももちろんよい。
【0053】
点灯盤2のLEDの点灯パターンも本実施の形態に限るものではなく、様々な文字盤を点灯盤2の前面に備えることで、利用者の好みや文字盤の表示項目に応じて、点灯パターンを設定することができる。
本実施の形態では、LEDの点灯パターンの反復は2回としたが、これに限るものではなく、利用者の状況に合わせて、点灯パターンの反復を行ってもよい。点灯パターンの反復回数、点灯部位の移動速度、点灯輝度、点灯色等を、前記ON/OFFスイッチ8、9、10に連動して、点灯盤2の前面に備える文字盤に応じて切り替えるようにしてもよい。
【0054】
本実施の形態では、入力スイッチ6の例として、ボタンを押して、離すプッシュ方式のスイッチを示したが、これに限られるものではない。光を遮ることでON/OFFを行う方式や、ストローに息を吹き込む吸気スイッチや、タッチセンサを用いるなど、接点信号を「入れる」および「切る」の操作を行うことができるものであれば、方式を問わない。
【0055】
(実施の形態2)
図14は、本発明の実施の形態2の全体構成を示す斜視図である。実施の形態2の構成において、実施の形態1と同一機能を有する部品については同一番号を使用し、構成および作用の説明は省く。
図14において、12は、表示装置306としての、バックライトを備えた液晶画面を、13は印刷出力307として、パラレル方式のプリンタポートを、14はUSBポートを、15はプリンタ、16は一般のパソコンを示しており、プリンタポート13とプリンタ15はプリンタケーブルで接続されており、USBポート14はパソコン16のUSBポート(図示せず)に接続されている。
また、図3における点灯制御装置5の内部には、時刻を刻むための日時データ取得装置305としてリアルタイムクロックと、日時データ取得装置305専用のバックアップ用電池(図示ぜず)を内蔵している。
【0056】
図15は、本実施の形態において使用する第3の文字盤17を示す。
第3の文字盤17の第1の文字盤3との相違点は、11列×5行のマトリクスのセルを有し、最右列に「音声」「印刷」「PC」「時間」「終了」の列が備えられていることである。
以下、本実施の形態の利用内容について説明する。なお、第3の文字盤17から特定のセルを選択するまでのパート、列、文字を決定するためのフローチャートは、図4、図6、図8と同様なので省略する。
【0057】
第3の文字盤17から平仮名を選択する手順は実施の形態1と同様であるが、本実施の形態が実施の形態1と異なる点は、選択された平仮名が自動的にバックライトを備えた液晶画面12に表示されることである。
例えば、実施の形態1の第4の操作で「こ」を選択された際、液晶画面12には「こ」が表示される。よって、文字を選択する操作を繰り返すことで、液晶画面12に単語や文章を作成することができる。
さらに、第3の文字盤17において「音声」のセルを同様の手順で選択することで、液晶画面12の文字を声を出して読み上げることができる。
このとき、液晶画面12の文字を読み上げる際の音声は、予め電子文字盤1を利用する利用者の音声を記録しておき、その音声を再生するものとする。
また、第3の文字盤17において「印刷」のセルを同様の手順で選択することで、液晶画面12の文字をプリンタポート13を通じてプリンタ15で印刷することができる。
【0058】
また、第3の文字盤17において「PC」のセルを同様の手順で選択することで、液晶画面12の文字データに対応するキーボード信号(一般にはアスキー信号が多い)を、USBポート14を通じてパソコン16へ送信する。パソコン16は電子文字盤1からの信号を、通常のパソコンのキーボード信号と同質の信号として受信する。このとき、予めパソコン16でワープロソフト等を起動させ、「文字データの入力待ち状態」としておくことで、電子文字盤1で選択した文字を、パソコン16のワープロソフトへ入力することになる。
【0059】
また、第3の文字盤17において「時間」のセルを同様の手順で選択することで、時刻を刻むためのIC回路から得られた日時情報を元に、液晶画面12に日時を表示すると同時に、日時を声を出して読み上げることができる。
また、第3の文字盤17において「終了のセルを同様の手順で選択することで、点灯盤2のLEDおよび液晶画面12の照明を消灯する(省電力モード)ことができる。
または第1の入力スイッチ6による電子文字盤1の操作を一定時間(例えば10分間)操作しないことでも、同様に点灯盤2のLEDおよび液晶画面12の照明は自動的に消灯される。
さらに、点灯盤2のLEDおよび液晶画面12の照明を消灯している(省電力モード)時に、第1の入力スイッチ6を一定時間押し続けることで、液晶画面12のバックライトを点灯させ、再度、初期状態復帰させることができる。
【0060】
以上のように、本実施の形態は、電子文字盤1で選択した文字を液晶画面12へ順次表示させることで、液晶画面上に単語や文章を作成することができる。これにより、電子文字盤1の利用者は、第1の入力スイッチ6のみの操作を行うことで、長い文章を作成することが可能となり、周囲の者は、利用者が作成を完了した液晶画面12の単語や文章を見ることで、利用者の伝えたいことを理解することができる。
【0061】
特に、液晶画面12をバックライト付としたことで、選択する文字はLEDにより点灯することと、作成された単語や文章はバックライト付の液晶画面12に表示されることで、利用者が寝室や病院で夜間に利用する際も、明るいところとなんら変わり無く電子文字盤1を利用することが可能となる。もちろん、例えば光センサ等を設けることで液晶画面12のバックライトの点灯・消灯を制御し、消費電力を削減するなどの工夫をしてもよい。
【0062】
また、液晶画面12に表示された文字を読み上げることで、周囲の者へその内容を音声で伝えることができる。さらに、点灯制御装置5内の音声データ303に記憶させる文字を読み上げる際の音声として、予め利用者個人の音声を記録しておくことで、利用者が病気や障害により、発生が困難となった場合でも、本電子文字盤1を用いることが可能となり、より自分の声に近い自然な音声で、利用者の意思を周囲に伝えることができる。
【0063】
また、液晶画面12に表示された文字データをプリンタポート13を通じてプリンタ15へ送信することで、第1の入力スイッチ6のみの操作だけで、作成した文章を印刷することが可能となる。
液晶画面12に表示された文字データをUSBポート14を通じてパソコン16へ送信することで、プッシュボタン6のみの操作だけで、パソコン16へのキー入力が可能となる。
また、液晶画面12に時刻が表示され、音声で時刻を読み上げることで、利用者は日時を知りたいときに、別途時計の方向を向いたりすることなく、第1の入力スイッチを操作するのみで、日時を表示と音声にて容易に知ることができる。
【0064】
特に高齢者や障害者は体位を移動させるのが困難な場合が多いが、本装置を用いることで、簡単な動作で日時を確実に知るすることが可能である。
また、「終了」のセルを選択するか、一定時間機器を操作しない状態で放置することで省電力モードに移行し、再び入力スイッチ6を操作することで省電力モードから初期状態へ移行することで、消費電力を低く抑えながら、必要なときにいつでも電子文字盤1を利用することができる。
【0065】
本実施の形態では、液晶画面12への文字の表示、プリンタ15での印刷は、第3の文字盤17を用いて実行したが、これに限られるものではない。アルファベットや句読点の選択が可能となるような、より多くの選択肢を備えた文字盤でもよいし、複数の文字盤を併用してもよい。さらに、液晶画面12への表示やパソコン16への入力をより便利とするために、句読点、スペース、リターン、削除等の表記を第3の文字盤17に加え、それらを液晶画面12に表示したり、それらに対応したキーボード信号をパソコン16へ送信したりするようにしてもよい。
【0066】
本実施の形態では、液晶文字晩2に表示された文字を読み上げる際に、予め準備された利用者自身の声を利用したが、これに限るものではなく、点灯盤2の文字をスキャンする際に発声される音声も利用者自身の音声を用いてもかまわないし、利用者と同姓の音声で代用するなどの手段を用いてもかまわない。
【0067】
本実施の形態では、電子文字盤1とプリンタ15の接続手段としてパラレルポートを用いたが、これに限るものではなく、一般のパソコンとプリンタを接続する場合と同様に、USBポートなどを用いて接続してもよい。
また、本実施の形態では、USBポート14を通じてパソコン16へ信号を送る手段として、「PC」のセルを選択するとそれまでの液晶画面12に表示されている文字を送信する手法を記したが、これに限られるものではない。
【0068】
例えば、「PC」のセルを選択した場合、それ以降、再び「PC」のセルを選択するまで、第3の電子文字盤17上で選択した文字に対応するキーボード信号を逐次USBポート14を通じてパソコン16へ送信するなどの手法をとってもよい。
また、本実施の形態では、日時を表示させる手段として液晶画面12に日時を表示させる手法を示したが、これに限られるものではない。例えば、時刻を常時表示させる機能に特化した液晶を別途備えるなどの手法を用いても構わない。
また、日時を取得する方法として「時間」のセルを選択する方法を示したが、これに限るものではなく、例えば、主電源を入れた際に、もしくは切ったりした際にも日時を知らせるもしくは表示するなどしても良い。
【0069】
本実施の形態は、図14に示すように、液晶画面12を電子文字盤1の下部に備えたがこれに限るものではなく、利用者と介護者の利用時の位置関係に応じて液晶画面12を電子文字盤1の上部に設けても構わないし、電子文字盤1の前面に加えて、背面にも同様に備えても構わない。要するに双方が使いやすく、見やすい位置であれば、液晶画面の大きさや位置や数にこだわるものではない。
【0070】
(実施の形態3)
図16は、本発明の実施の形態3における文字盤を示す図である。実施の形態3の構成において、実施の形態2と同一機能を有する部品については同一番号を使用し、構成および作用の説明は省く。また、電子文字盤1の全体の構成は実施の形態2と同様なので、図面とその構成の説明も省く。
【0071】
図16に示すように、第4の文字盤18と第2の文字盤17との相違点は、右から2番目の列の「ん」のセルの下に「単語」のセルが備えられていることである。また、それに伴い、「単語」を選択された直後に文字を選択する場合には、図8および図9で示した文字を決定する際に入力される文字は、「あ」「い」「う」・・・「ん」ではなく、予め点灯制御プログラム302でプログラムされた、特定の単語を入力することになる。
【0072】
例えば、「あ」を選択した場合には「あ」ではなく「ありがとう」、「い」を選択した場合には「い」ではなく「いいえ」と発音し、液晶画面12にも同様に表示されることになる。
【0073】
以下、本実施の形態の利用内容について説明する。なお、第3の文字盤17から一つのセルを選択するまでのパート、列、文字を決定するためのフローチャートは、図4、図6、図8と同様なので省略する。
【0074】
第4の文字盤18から一つのセルを選択する手順は実施の形態3と同様であるが、本実施の形態が実施の形態3と異なる点は、「単語」というセルを選択した際の動作にある。
「単語」のセルを選択した後、続けて第1の手順として図4のフローチャートに従い「左のパートが選択され、第2の手順として図6のフローチャートに従い「あ行」が選択された後の、第3の手順を以下に説明する。
まず、点灯制御装置5の内部で、点灯のループ回数を数える変数Nに対して、N=1を格納する。
【0075】
電子文字盤1の点灯盤は点灯制御装置5であらかじめ記録された点灯パターンに従い、「あ」点灯パターン(ステップ1711) で一定の時間だけ、「あ」の文字が点灯する(オートスキャン)が、この際、前回「単語」のセルが選択されていることを反映して音声出力304を介して「ありがとう」と音声が発せられる。この間に、利用者が入力スイッチ6を押すかどうかの判断がなされる(ステップ1712)。第4回目のスイッチ6が押して離された場合には、「あ」の文字が点灯し、同時に液晶画面12に「ありがとう」と文字列が入力される。
【0076】
第4回目のスイッチ6が押されなかった場合には、一定時間の経過後「い」点灯パターン(ステップ1713) で一定の時間だけ、「き」が点灯するパターンへ移行する。この際、前回「単語」のセルが選択されていることを反映して音声出力304を介して「いいえ」と音声が発せられる。この間に、利用者が入力スイッチ6を押すかどうかの判断がなされる(ステップ1714)。第4回目のスイッチ6が押して離された場合には、「い」の文字が点灯し、同時に液晶画面12に「いいえ」と文字列が入力される。
【0077】
第4回目のスイッチ6が押されなかった場合には、一定時間の経過後、「う」点灯パターン(ステップ1715) で一定の時間だけ、「う」が点灯するパターンへ移行する。この際、前回「単語」のセルが選択されていることを反映して音声出力304を介して「うれしい」と音声が発せられる。この間に、利用者が入力スイッチ6を押すかどうかの判断がなされる(ステップ1716)。第4回目のスイッチ6が押して離された場合には、「う」の文字が点灯し、同時に液晶画面12に「うれしい」と文字列が入力される。
【0078】
第4回目のスイッチ6が押されなかった場合には、一定時間の経過後、「え」点灯パターン(ステップ1717) で一定の時間だけ、「え」が点灯するパターンへ移行する。この際、前回「単語」のセルが選択されていることを反映して音声出力304を介して「えっと」と音声が発せられる。この間に、利用者が入力スイッチ6を押すかどうかの判断がなされる(ステップ1718)。第4回目のスイッチ6が押して離された場合には、「え」の文字が点灯し、同時に液晶画面12に「えっと」と文字列が入力される。
【0079】
第4回目のスイッチ6が押されなかった場合には、一定時間の経過後、「お」点灯パターン(ステップ1719) で一定の時間だけ、「お」が点灯するパターンへ移行する。この際、前回「単語」のセルが選択されていることを反映して音声出力304を介して「おめでとう」と音声が発せられる。この間に、利用者が入力スイッチ6を押すかどうかの判断がなされる(ステップ1720)。第4回目のスイッチ6が押して離された場合には、「お」の文字が点灯し、同時に液晶画面12に「おめでとう」と文字列が入力される。
【0080】
第4回目のスイッチ6が押されなかった場合には、一定時間の経過後、変数Nに対してN=N+1の処理を行い(ステップ1721)、N>=2であるかを判断し(ステップ1722)、N>=2であれば、点灯盤2の点灯の2回繰り返しが経過したと判断され、図4に示すフローチャートの待機状態へ戻る。N<2であれば、点灯盤2の点灯の繰り返しが2回以下であると判断され、再びあ列点灯(ステップ1711)へ戻る。
【0081】
以上のように、本実施の形態は、電子文字盤1で選択した文字を、備えられた液晶画面12へ順次表示させることで、液晶画面上に単語や文章を作成することができる。これにより、電子文字盤1の利用者は、第1の入力スイッチ6のみの操作を行うことで、長い文章を作成することが可能となり、周囲の者は、利用者が作成を完了した液晶画面12の単語や文章を見ることで、利用者の伝えたいことを理解することができる。
【0082】
以上説明したように、「単語」というセルを選択し、続けて別のセルを選択する組み合わせを用いることで、文字盤の表記の内容を交換することなく、別の文字や単語を選択することを可能とする。特に、本実施の形態においては、別の文字や単語を選択する際にも、一つずつ変更した選択肢を読み上げることから、予め利用者が、変更した選択肢を記憶する必要もなく、単純に要求する単語が発音された際に、第1の入力スイッチ6を押すことで、簡単に単語を入力することが可能となる。
【0083】
なお、本実施の形態においては、変更した選択肢をよりわかりやすくするために、「あ」のセルには「ありがとう」、「い」のセルには「いいえ」といった様に、各単語の頭文字を一致させることで、より簡単に、変更した選択肢を連想しやすくしたが、必ずしもこれに限る必要はなく、いずれのセルにどのような単語を充ててもかまわない。
【0084】
また、選択肢をより多くするために、「単語」に相当するセルを2つ以上設定し、例えば「単語1」を選んだ後、続けて別のセルを選択する際と、「単語2」を選んだ後、続けて別のセルを選択する際で、入力される単語を別にするなどの工夫を設けてもかまわない。
【0085】
(実施の形態4)
図18は本発明の実施の形態3の全体構成を示す斜視図である。本実施の形態と実施の形態1〜3との相違点は、第1の入力スイッチ6に加えて第2の入力スイッチ19が加わり、入力スイッチが二つ接続されていることである。
【0086】
ここでは、第1の入力スイッチ6は、実施の形態1と同様、項目の決定を行うのに対して、第2の入力スイッチ19は、選択項目の次への”送り”を行う。
これにより、例えば実施の形態1で「こ」を選択するには、
第1の入力スイッチ6ON→「ひだり」で第1の入力スイッチ6ON→「あ行」で待ち→「か行」で第1の入力スイッチ6ON→「か」で待ち→「き」で待ち→「く」で待ち→「け」で待ち→「こ」で第1の入力スイッチ6ONで決定
と、オートスキャンのみで選択肢が移動するために、必ず次の選択項目へ移動するまでの「待ち」状態が発生する。オートスキャン方式では、自動的に選択肢が変わってくれることが便利である一方、利用者のペースで選択肢の変更を行うことができないので、体の動作や判断能力に余裕のある利用者であれば、自分で選択肢を好きなペースで変更したいという要望がある。
【0087】
そこで、本実施の形態4で「こ」を選択するには、
第1の入力スイッチ6ON→「ひだり」で第1の入力スイッチ6ON→「あ行」で第2の入力スイッチ19ON→「か行」で第1の入力スイッチ6ON→「か」で第2の入力スイッチ19ON→「き」で第2の入力スイッチ19ON→「く」で第2の入力スイッチ19ON→「け」で第2の入力スイッチ19ON→「こ」で第1の入力スイッチ6ONで決定
となり、第2の入力スイッチ19を押す毎に、図5A→図5B→図5C→図5C→・・・と、順番に点灯パターンが切り替わることで、利用者が自分のペースで選択肢を切り替えることができるので、「待ち」の状態が発生しないため、体の動作や判断能力に余裕のある利用者でも、ストレス無く本電子文字盤1を使用することができる。
【0088】
以上のように、本実施の形態4は、第1の入力スイッチ6と第2のスイッチ19の、2つの入力スイッチを用いて、一方の入力スイッチ(本実施の形態における第2の入力スイッチ19)を押して離すことで選択肢の切替・変更を行い、もう一方の入力スイッチ(本実施の形態における第1の入力スイッチ6)を押して離すことで、選択肢の項目の決定を行うことで、利用者が自分の判断速度に応じて、選択肢の切替を自由に行うことが可能となる。
【0089】
(実施の形態5)
図19は本発明の実施の形態5の全体構成を示す斜視図である。本実施の形態と実施の形態4との相違点は、第1の入力スイッチ6、第2のスイッチ19に加えて、第3のスイッチ20と、入力スイッチが三つ接続されていることである。ここでは、第1の入力スイッチ6は、実施の形態1と同様、項目の決定を行うのに対して、第2の入力スイッチ19は、選択項目の左右方向への送りを行い、第3の入力スイッチ20は、選択項目の上下方向への送りを行う。
【0090】
これにより、本実施の形態5で「こ」を選択するには、
第1の入力スイッチON→「ひだり」で第1の入力スイッチON→「あ行」で第2の入力スイッチON→「か行」で第3の入力スイッチON→「き」で第3の入力スイッチON→「く」で第3の入力スイッチON→「け」で第3の入力スイッチON→「こ」で第1の入力スイッチONで決定
となり、項目を決定するまでの「待ち」の時間が短くなるか、入力スイッチを押す回数が実施の形態1〜4と比較して短くなることで、より早く、文字の入力が可能となる。さらに、行方向の選択肢の移動と、列方向の選択肢の移動が、好きな順番で実行できることから、選択途中での選択肢の変更や訂正も容易に行うことが可能となる。
【0091】
以上のように本実施の形態は、第1の入力スイッチ6、第2のスイッチ19に加えて、第3のスイッチ20の、3つの入力スイッチを操作して、選択肢の項目の決定を行うことで、より早く、便利に文字の入力を行うことが可能となる。
【0092】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、障害者、高齢者など、四肢が不自由で会話が十分に交わせない人でも、「いつでも」「だれでも」「どこでも」「簡単に」意思を伝達できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1の全体構成を示す斜視図
【図2】実施の形態1における第1の文字盤3の表記を示す図
【図3】実施の形態1における点灯制御装置5の内部構造を示す図
【図4】実施の形態1における第1の電子文字盤のパートを選択するフローチャート
【図5】(A)〜(C)実施の形態1における第1の文字盤3の第1の点灯パターンを示す図
【図6】実施の形態1における第1の電子文字盤の列を選択するフローチャート
【図7】(A)〜(C)実施の形態1における第1の文字盤3の第2の点灯パターンを示す図
【図8】実施の形態1における第1の電子文字盤の文字を選択するフローチャート
【図9】(A)〜(E)実施の形態1における第1の文字盤3の第3の点灯パターンを示す図
【図10】実施の形態1における第2の文字盤4の表記を示す図
【図11】(A)〜(C)実施の形態1における第2の文字盤4の第1の点灯パターンを示す図
【図12】(A)〜(C)実施の形態1における第2の文字盤4の第2の点灯パターンを示す図
【図13】(A)〜(E)実施の形態1における第2の文字盤4の第3の点灯パターンを示す図
【図14】実施の形態2における電子文字盤1の全体構成を示す斜視図
【図15】実施の形態2における第3の文字盤17の表記を示す図
【図16】実施の形態3における第4の文字盤18の表記を示す図
【図17】実施の形態3における第4の電子文字盤の文字(単語)を選択するフローチャート
【図18】実施の形態4における電子文字盤1の全体構成を示す斜視図
【図19】実施の形態5における電子文字盤1の全体構成を示す斜視図
【符号の説明】
1 電子文字盤
2 点灯盤
3 第1の文字盤
4 第2の文字盤
5 点灯制御装置
6 第1の入力スイッチ
7 ガイドレール
8、9、10 文字盤動作パターン切替スイッチ
11 金属片
12 液晶画面(バックライト付)
13 プリンタポート(パラレル方式)
14 USBポート
15 プリンタ
16 パソコン
17 第3の文字盤
18 第4の文字盤
19 第2の入力スイッチ
20 第3の入力スイッチ
Claims (18)
- マトリクス形状に分割されたセルと、各セルの背面に配された点灯装置からなる点灯盤と、前記点灯盤の前に配され、同様にマトリクス形状に分割されたセルの各枠の中に文字または記号の表記された文字盤と、前記点灯装置の点灯・消灯を制御する点灯制御手段と、前記文字盤の表記内容を前記点灯制御手段へ伝達する文字盤表記項目伝達手段と、前記点灯盤へ接点の入/切の信号を入力する第1の入力スイッチと、前記点灯装置の点灯および消灯に対応して音声を出力する音声出力手段を備えた身体障害者高齢者用の意思伝達装置であって、
前記点灯制御手段は、前記文字盤表記項目伝達手段と前記第1の入力スイッチからの信号にしたがい、前記点灯盤の点灯および消灯させるセルのパターンを提供する点灯パターン提供手段と、前記点灯および消灯したセルに対応して出力する音声情報を提供する音声情報提供手段と、前記点灯パターン提供手段および前記音声情報提供手段から提供された内容から決定される前記点灯装置の点灯パターンを前記点灯装置へ伝達し、前記音声情報を前記音声出力手段へ伝達する入出力制御手段を有し、
前記第1の入力スイッチの接点を入とすることで、前記点灯盤が一定間隔で順次点灯し、入力したい文字が点灯した際に前記第1の入力スイッチの接点を入とすることで、前記文字盤の複数の文字または記号から1つを決定し、
前記文字盤の表記内容、セルの枠の大きさ、セルの形状、セルの位置に応じて、前記点灯盤の、点灯する部位、点灯する色、点灯する輝度、点灯する順序、発する音声および点灯する速度の少なくとも一つが変化する意思伝達装置。 - 前記文字盤表記項目伝達手段は、前記文字盤の表記内容に対応して切り替える文字盤動作パターン切替スイッチである請求項1記載の意思伝達装置。
- 文字盤動作パターン切替スイッチは、前記文字盤は形状および/または色の異なる複数の文字盤であり、前記各々の形状および/または色の異なる文字盤が前記点灯盤の前に配されることで前記切替スイッチが切り替わる請求項2記載の意思伝達装置。
- 前記点灯盤の点灯・消灯する部位が点灯および/または消灯する毎に、対応する部位に応じた音声または電子音が発生する請求項3記載の意思伝達装置。
- 前記電子文字盤は液晶表示部を備え、前記第1の入力スイッチの操作で決定した記号を、前記液晶表示部に順次表示する表示機能を備えた請求項1〜4のいずれかに記載の意思伝達装置。
- 前記液晶表示部は照明を備えている請求項5記載の意思伝達装置。
- 前記液晶表示部に表示された前記記号を読み上げる単語読み上げ機能を備えた請求項5または6記載の意思伝達装置。
- 前記点灯盤の前面に配した前記文字盤の特定のセルを選択した後で、第2番目に選択するセルを選択する際、選択する図形の候補が順次点灯する毎に発する音声が変化すると共に、文字が選択された場合に、対応して発声する音声および前記液晶表示部に表示される記号が同様に変化する請求項1〜8のいずれかに記載の意思伝達装置。
- 前記点灯盤の点灯・消灯する部位が点灯および/または消灯する毎に対応する部位に応じて発声される音声および/または前記液晶表示部に表示された前記記号を読み上げる音声は、予め準備された、前記文字盤を利用する利用者自身の音声である請求項4〜8のいずれかに記載の意思伝達装置。
- 前記第1の入力スイッチの操作で決定した文字および/または前記液晶表示部に表示された前記記号を印刷する印刷機能を備えた請求項5〜9のいずれかに記載の意思伝達装置。
- 前記第1の入力スイッチの操作で決定した文字および/または前記液晶表示部に表示された前記記号のデータ信号を出力する信号出力機能を備えた請求項1〜10のいずれかに記載の意思伝達装置。
- 前記電子文字盤は第2の入力スイッチを備え、前記第2の入力スイッチを押して離すことで前記点灯盤の点灯部の移動を行い、前記第1の入力スイッチを押して離すことで前記記号を決定する請求項1〜11のいずれかに記載の意思伝達装置。
- 前記電子文字盤は第3の入力スイッチを備え、前記第2の入力スイッチを押して離すことで前記点灯盤の点灯部位の左右方向への移動を行い、前記第3の入力スイッチを押して離すことで前記点灯盤の点灯部位の上下方向への切替を行い、前記第1の入力スイッチを押して離すことで記号を決定する請求項1〜12のいずれかに記載の意思伝達装置。
- 前記第1から前記第3の入力スイッチを押すことで前記点灯盤の動作が一時停止し、その後、前記第1から第3の入力スイッチを離すことで前記一時停止が解除されて前記点灯盤の動作を決定する請求項1〜13のいずれかに記載の意思伝達装置。
- 前記文字盤のいずれかの記号を選択した際に、現在の日時を前記液晶表示部に表示する請求項1〜14のいずれかに記載の意思伝達装置。
- 前記文字盤のいずれかの記号を選択した際に、現在の日時を音声で読み上げる請求項1〜15のいずれかに記載の意思伝達装置。
- 前記第1から前記第3の入力スイッチのいずれかを押すおよび/または離す動作を行わない時間を一定時間継続した際に、自動的に前記点灯盤の照明および/または前記液晶表示部の照明が消灯する請求項1〜16のいずれかに記載の意思伝達装置。
- 前記点灯盤の照明および/または前記液晶表示部の照明が消灯しているときに、前記第1から前記第3のいずれかの入力スイッチを押すおよび/または離す動作を行うことで、自動的に前記点灯盤の照明および/または前記液晶表示部の照明が点灯する請求項17に記載の意思伝達装置。
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Cited By (2)
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WO2012029742A1 (ja) | 2010-09-01 | 2012-03-08 | 独立行政法人産業技術総合研究所 | 意思伝達支援装置及び方法 |
WO2012169010A1 (ja) * | 2011-06-07 | 2012-12-13 | 株式会社日立製作所 | 生体特徴計測装置および生体特徴計測プログラム |
-
2003
- 2003-03-07 JP JP2003062263A patent/JP2004286768A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2012029742A1 (ja) | 2010-09-01 | 2012-03-08 | 独立行政法人産業技術総合研究所 | 意思伝達支援装置及び方法 |
WO2012169010A1 (ja) * | 2011-06-07 | 2012-12-13 | 株式会社日立製作所 | 生体特徴計測装置および生体特徴計測プログラム |
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