JP2004285918A - 自動車及び二輪自動車の排気装置に用いるジョイント部 - Google Patents

自動車及び二輪自動車の排気装置に用いるジョイント部 Download PDF

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Abstract

【目的】エンジン性能向上、燃費低下、排気ガス騒音低下、消音性能向上及び耐久性向上を可能にするジョイント部を提供する。
【構成】本発明による自動車及び二輪自動車の排気装置に用いるジョイント部は、上流側からの複数の排気ガス流が、相互に平行で、ジョイント部から流出する排気ガス流と同一方向で流入して合流し、その合流排気ガス流が回転を誘導されて流出する構造を備えてなる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車及び二輪自動車の排気装置に用いられるジョイント部に関する。
本発明は、具体的には、エンジン性能向上、燃費低下、排気ガス騒音低下、消音性能向上及び耐久性向上を可能にするジョイント部に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車及び二輪自動車の排気ガス装置は、エンジンの各気筒からの排気ガスをマニホ−ルド若しくは排気管に流出させて、それらの複数の排気ガス流をジョイント部で合流して1本の排気管に流して触媒コンバ−タ及び消音器(マフラ)等で処理してから外部に放出する。
自動車及び二輪自動車の排気ガス系装置の用語については、排気装置(exhaust sistem)、排気管(exhaust pipe)及び排気消音器等の使用が推奨されている(JISD0109等に記載)。英語を日本語読みした用語(例えば、エキゾ−ストパイプ等)も通用性を備えている(例えば、非特許文献1を参照)。
【0003】
【非特許文献1】
社団法人 日本自動車部品工業会編:「自動車用排気ガス系マニュアル」、2000年
【0004】
「排気管」については、エキゾ−ストパイプ、排気導管及び管部等が同義語として使用されている。エキゾ−ストパイプは、フロントエキゾ−ストパイプ、センタエキゾ−ストパイプ及びリアエキゾ−ストパイプに区分して使用されることもある。本明細書では、「排気管」の用語を使用する。
ジョイント部については、ジョイント、集合管及びトルネ−ド集合管等が同義語として使用されている。本明細書では、「ジョイント部」の用語を使用する。ジョイント部は、上流側の複数(2本、4本若しくは6本等)の排気管を流入口に連結し、流出口に単一排気管を連結する構造上の必然性からは、流入口の断面積を大きくして、流出口の断面積を単一排気管の近似の大きにして、流入した排気ガスの合流を円滑に行う形状であることが必要となる。
そのために、流入口から流出口に至る形状を金属板材により切頭円錐形に形成したジョイント部(公報では、集合管と称されている)が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開昭57−86515号公報
【0006】
しかし、この提案によるジョイント部では、上流側から流入する排気ガス流が直進して直接的に円錐形斜面に衝突する等して流出するところから、流出する排気ガスの成分濃度に変動が生じている。
また、エンジン制御(代表的には、空/燃比率)に必要な排気ガスの成分濃度の検出装置(代表的には、酸素濃度検出装置)は、ジョイント部若しくはジョイント部の近辺への配置が多いところから、排気ガス流と検出装置との間の接触性を向上させるジョイント部(特許文献2では、管部と称されている)も提案されている(例えば、特許文献2を参照)。
【0007】
【特許文献2】
実開昭58−36810号公報
【0008】
図8はその公報に開示のジョイント部の説明図である。図8に示すジョイント部80は、集合部81と4つに分かれた導入部82とから形成されて、排気ガスは、エンジンに連結の4本の排気管から矢印83、84、85、86の方向に向けてジョイント部80の内部に流入し、符号A及び符号Bの2か所で合流させて、符号Bより下流に配置される検出装置の前方に湾曲部を設けて、それによって、合流排気ガス流と検出装置との接触性を向上させている。
従って、図8に示すジョイント部80は、エンジンの4つの気筒の作動によって、各気筒からの排気ガスが時系列的に矢印83、84、85、86の方向に順次に流れると各気筒間での排気干渉が生ずる。
そして、各気筒間での排気干渉防止するために提案されたのが、図9の説明図に示すジョイント部(特許文献3では、集合管部と称されている)である(例えば、特許文献3を参照)
【0009】
【特許文献3】
特許第3089678号公報
【0010】
図9の示すジョイント部90は、エンジンに連結の4本の排気管(特許文献3では、分岐管と称されている)91、92、93、94が、集合管部95の中央線96に対して一定の角度で交わって、かつ、隣り合う排気管91、92、93、94が一定の平面角度で交わらせて、符号Cの一つ合流点で合流する配置で設けられている。
ジョイント部90では、排気管91、92、93、94の配置条件を充足するためにエンジンの気筒からジョイント部90に至る間に複雑に湾曲した管路を形成させている。
【0011】
【発明の解決すべき課題】
自動車及び二輪自動車の排気装置のジョイント部に関しては、実質的に、ジョイント部若しくはその近傍に成分濃度検出装置を配置する場合に、対象となる排気ガス流の成分を均一化する提案が実質的に主たるものである。従って、従来提案のジョイント部にあっては、ジョイント部とエンジン性能及び排気装置との関連につい、次の(i)〜(iv)に代表される基本的問題点が存在していた。(i)従来のジョイント部90は、排気ガス流の合流が円滑でなく、通過時間が長いので、エンジン出力・燃費の向上には寄与していないとする問題点が存在していた。
(ii)従来のジョイント部80、90は、それに連結する複数の排気管を湾曲させ連結して、その湾曲によって排気ガス流に渦流を生じさせるために、弱い渦流が生成するだけで、エンジン出力・燃費の向上に直結する渦流が得られないとの問題点が存在していた。
(iii)従来のジョイント部90は、上流側の複数のエキゾ−ストマニホ−ルド若しくは排気管を2種類の角度の条件により連結するので、エキゾ−ストマニホ−ルド若しくは排気管の配置が複雑化して、排気ガス流の圧力損失の増大、振動増大及びメインテナスの複雑化を招くとの問題点が存在していた。
(iv)従来のジョイント部80、90は、上流側のエキゾ−ストマニホ−ルド若しくは排気管の数が変わると、流入させる角度を変える必要があって、最適角度を設定するのが複雑である。
【0012】
そこで、本発明者は、次の(イ)〜(ホ)を目的とするる新規なジョイント部に関する技術思想を創案した。
(イ)本発明は、エンジン出力・燃費を向上させる排気ガス流の合流化・渦流化を可能にするジョイント部を提供すること、を目的とする。
(ロ)本発明は、ジョイント部を含む排気管系における排気ガス流の圧力損失を低減させるジョイント部を提供すること、をも目的とする。
(ハ)本発明は、ジョイント部を含む排気管系の振動を低減させるジョイント部を提供すること、をも目的とする。
(ニ)本発明は、ジョイント部を含む排気管系の強度を向上させるジョイント部を提供すること、をも目的とする。
(ホ)本発明は、ジョイント部を含む排気装置の取り付け及びメインテナンスを容易にするジョイント部を提供すること、をも目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明による自動車及び二輪自動車の排気装置に用いるジョイント部は、自動車及び二輪自動車のエンジンに連通する上流側の複数のエキゾ−ストマニホ−ルド若しくは排気管と下流側の単一の排気管との間に介装されて、上流側から流入する排気ガス流を合流させて単一の排気ガス流にして下流側に流出させるジョイント部であって、
複数の排気ガス流が、相互に平行で、ジョイント部から流出する排気ガス流と同一方向で内部に流入して合流し、その合流排気ガス流が回転しながら流出する構造を備えてなること、を特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図1〜図7に基づいて具体的に説明する。なお、図1〜〜図7に図示する実施の形態は、本発明の好適な実施の形態ではあるが、本発明に包含される多様な実施の形態の一部の例示である。なお、以下の各図において、同一符号を付したものは同一若しくは同等のものを示している。
【0015】
図1は、自動車及び二輪自動車の4気筒エンジンの排気装置に使用されるジョイント部の斜視図である。図1に示すジョイント部1は、鋳物による一体型の中空立体状物からなるもので、上流側からの排気ガス流を個々に流入・直進させる流入直進部(図1のハッチングを施した領域)2と、合流排気ガス流に回転を誘導して渦流にして下流の排気管に流出させる回転誘導部3とから構成されている。
【0016】
流入直進部2は、4本の平行に配置の短管を最も密接状態に接触集合させて、各短管の隣接部分(図3の符号30、30、30、30を参照)を結合・固定した短管集合体にして、短管集合体を直進する排気ガス流の方向と、回転誘導部3からの合流排気ガス流の流出方向とが同方向になる構造にされている。短管集合体の開放口4、4a、4b、4cに、上流側の4本のエキゾ−ストマニホ−ルド若しくは排気管の連結用端部が挿入・連結されて、上流側の排気ガス流が、それらを直進して(すなわち、流入直進部2を直進することでもある)を回転誘導部3に流入して合流排気ガス流になる。短管集合体の開放口4、4a、4b、4cの平面中央部と回転誘導部3の流出口5の平面中央部とは同一軸線上にあって、流出口5と開放口4、4a、4b、4cとは対向して存在する。
従って、上流側の排気ガス流は、圧力ホジ損失を最小限にして、運動エネルギ−を保有して回転誘導部3で合流排気ガス流になって、その保有される運動エネルギ−により回転が誘導されて、短時間の滞在時間で流出口5から下流側に流出する。
【0017】
回転誘導部3は、流入直進部2との境界6から流出口5に至る空間領域であって、図1に示すジョイント部1の斜視図に対応する形態の空間領域になっている。回転誘導部3における流入直進部2との境界6に相当する部分は、流入直進部2の短管集合体の横断面(排気ガス流の直進方向と直交する面)の外形と同一の形状であって、上流側の排気ガス流が流入直進部2から円滑に回転誘導部3に流入する構造になっている。しかも、境界6から流出口5に至る空間領域は、境界6に相当する部分の外形の形状(すなわち、短管集合体の横断面の外形と同一の形状)を捩じって体積を連続的に小さくして流出口5に至る形態を備えている。すなわち、流入直進部2の短管集合体の4つの丸みを有する凸状部は、連続的性を保持して緩やかに捻じれて流出口5に至る。従って、排気ガス流は、回転誘導部3で円滑に合流排気ガス流になって、回転誘導部3の4つの捻じれた丸みを有する凸状部分の連続的な減少により連続的かつ強制的に大きな回転運動が誘導されて出口5から下流の排気管に流出する。
【0018】
回転誘導部3と流入直進部2との境界6は、ジョイント部1の長さ方向の中央よりも流入直進部2の開放口4、4a、4b、4cよりの場所である方が、合流排気ガス流に大きな回転運動を誘導してエンジンの出力を向上させることができる。回転誘導部3の外形形状の捻じれの角度は、例えば、28〜80度程度でも大きな回転運動の付与が可能である。図2は、排気ガス流が流入直進部2に流入・直進して回転誘導部3に流入し、そこで合流排気ガス流が回転を誘導されて流出口5に向かう状況を模式的に表示する説明図である。
【0019】
図3は、図1に示すジョイント部1を短管集合体の開放口4、4a、4b、4cから視た説明図であって、図4は、図1に示すジョイント部1を流出口5から視た説明図である。図3及び図4からは、回転誘導部3の内部が図1の回転誘導部3の外面と反対の凹凸面に形成されているのが分かる。
【0020】
なお、図1〜図4では、流入直進部2が4本の短管から構成される場合を説明したが、本発明では、流入直進部2を構成する短管の本数について特に制約がなく、例えば、2本若しくは6本でも可能である。
【0021】
図5は、流入直進部2を構成する短管が2本の場合のジョイント部を示す説明図であって、図6は、流入直進部2を構成する短管が6本の場合のジョイント部を示す説明図である。
【0022】
本発明のジョイント部1は、その構成によって下記(1)〜(6)の特別の性能を生ずることになる。
(1)ジョイント部1は、その構成によって、実験的においても、エンジン性能の向上が発現する。図7は、ジョイント部1を介装した排気装置を用いて行われたエンジン性能の試験結果である。図7のハッチングを施した領域が、ジョイント部1の使用によりエンジン性能が向上する領域である。比較用に試験したジョイント部は、略切頭円錐状の現在でも実用に供されているものである。また、ジョイント部80、90は、配管の設定が複雑であって、比較試験したジョイント部よりも低いものがあった。
(2)上流側のエキゾ−ストマニホ−ルド若しくは排気管の配気管系が、直線状若しくは近似の条件で配置可能であるので、排気管系全体の、圧力損失低減、振動低減、排気ガス騒音低下及び強度向上等を容易に可能にすることができる。
(3)排気管系全体のメインテナンスが容易である。
(4)ジョイント部1は、上流側のエキゾ−ストマニホ−ルド若しくは排気管の数が変わっても、排気ガス流の直進運動エネルギ−を利用して、強制的に回転に誘導するので同様の渦流で流出させることが可能である。
(5)上流側の排気ガス流はジョイント部1内を直進して下流側に流出するので、ジョイント部1内での滞留時間が短縮される。
(6)流入直進部2は、鋳物で全体が強度が大きくなる構造(例えば、回転誘導部3の構造)にされているので上流側の配管系の保持が容易である。
【0023】
なお、本発明においては、本発明の目的に沿うものであって、本発明の効果を特に害さない限りにおいては、改変あるいは部分的な変更及び付加は任意であって、いずれも本発明の範囲である。なお、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、実施例は例示であって本発明を拘束するものではない。
【0024】
【発明の効果】
本発明のジョイント部によれば、下記(a)〜(h)に代表される様々な効果が得られる。
(a)エンジン効率が向上する。
(b)排気管系での排気ガス流の圧力損失が低減する。
(c)排気管系の振動が低減する。
(d)燃費が低下する。
(e)排気ガス流による騒音発生の可能性が低下する。
(f)排気装置の強度が向上する。
(g)排気装置のメインテナスが容易になる。
(h)構造から強度の大きいジョイント部にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のジョイント部の実施の形態の一例の斜視図である。
【図2】ジョイント部での排気ガス流の運動を模式的に表示する説明図である。
【図3】図1に示すジョイント部を短管集合体の開放口から視た説明図である。
【図4】図1に示すジョイント部を回転誘導部の流出口から視た説明図である。
【図5】流入直進部を構成する短管が2本の場合のジョイント部を示す説明図である。
【図6】流入直進部を構成する短管が6本の場合のジョイント部を示す説明図である。
【図7】エンジン性能の試験結果を示す線図である。
【図8】従来のジョイント部の説明図である。
【図9】他の従来のジョイント部の説明図である。
【符号の説明】
1 ジョイント部
2 流入直進部
3 回転誘導部
4 開放口 、
4a 開放口
4b 開放口
4c 開放口
5 流出口
6 境界

Claims (3)

  1. 自動車及び二輪自動車のエンジンに連通する上流側の複数のエキゾ−ストマニホ−ルド若しくは排気管と下流側の単一の排気管との間に介装されて、上流側から流入する排気ガス流を合流させて単一の排気ガス流にして下流側に流出させるジョイント部であって、
    複数の排気ガス流が、相互に平行で、ジョイント部から流出する排気ガス流と同一方向で内部に流入して合流し、その合流排気ガス流が回転を誘導されて流出する構造を備えてなること、を特徴とする自動車及び二輪自動車の排気装置に用いるジョイント部。
  2. 複数の短管を束ねた固定した短管集合体からなる流入直進部と、それに連通して流出口に至る空間領域からなる回転誘導部とより構成されて、上流側から流入直進部に流入する排気ガス流を回転誘導部で合流排気ガス流に回転運動を誘導させて下流側に流出させるジョイント部であって、
    (a)流入直進部は、各短管がいずれも同方向に向けて束ねられた短管集合体が、短管集合体を直進流動する排気ガス流の方向と、回転誘導部の流出口から流出する排気ガス流の方向とが同方向になる配置で回転誘導部に連通する構造を備えて、
    (b)回転誘導部は、流入直進部の短管集合体の横断面の外形と同一の形状を捩じって体積を連続的に小さくして流出口に至る構造を備えてなること、を特徴とする自動車及び二輪自動車の排気装置に用いるジョイント部。
  3. 下記(1)〜(4)の一つ若しくは複数の特徴を有する請求項2に記載のジョイント部。
    (1)前記流入直進部は、2本、4本若しくは6本の短管集合体からなる。
    (2)前記ジョイント部は、一体構造物からなる。
    (3)前記ジョイント部は、流入直進部と回転誘導部との境界がジョイント部の長さ方向の中央より流入直進部側に設けられている。
    (4)前記回転誘導部は、その外形形状の捻じれの角度が28〜80度の範囲である。
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