JP2004282207A - Cnr推定装置、cnr推定方法、cnr推定プログラム、適応伝送無線システム、無線装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】受信側で周波数領域における伝送路特性を推定して受信信号を周波数領域で伝送路等化する周波数領域等化方式を用いた無線システム(受信機2)において、受信側のCNRを推定するCNR推定装置であり、伝送路等化する前の受信信号に基づいてノイズ電力を推定するノイズ電力推定部25と、推定されたノイズ電力と推定された伝送路特性に基づいて伝送路等化後のCNRを推定する等化後CNR推定部27とを備えたことを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、周波数領域等化(FDE;Frequency Domain Equalization)方式を用い、且つ適応的に伝送方式を変更する適応伝送無線システム、並びにその適応伝送無線システムに適用されるCNR(Carrier to Noise Ratio)推定装置、CNR推定方法、CNR推定プログラム、無線装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、音声や動画像などの種々のメディアのコンテンツを含むデータを無線通信回線を介してエンドユーザに提供するマルチメディア無線通信サービスの検討がなされている。この無線通信サービスでは高速度の無線データ通信が要求されるために、無線通信に特有のマルチパスフェージングによる通信品質の劣化が問題となる。この対策の一つとして、周波数領域等化(Frequency Domain Equalization)方式が注目を集めている。
【0003】
周波数領域等化方式においては、送信側が時間領域で信号を生成して送信する。そして、受信側が周波数領域における伝送路特性を推定し、この推定した伝送路特性により受信信号を周波数領域で伝送路等化して時間領域に戻し、復調する。これにより、マルチパスの影響で周波数選択性フェージングが発生し、歪んだ信号を補正することが可能となる。
【0004】
上記周波数領域等化方式は、直交周波数分割多重(OFDM;Orthogonal Frequency Division Multiplex)方式やSC(Single Carrier)−FDE方式などの無線システムに適用される。また、周波数領域等化方式を用い、さらに、受信特性に基づいて、キャリア単位で、変調方式や符号化方式等の伝送方式を適応的に変更するシステム(以下、適応伝送無線システムと称する)にも適用される。この適応伝送無線システムでは、例えば、受信側で伝送路等化前に受信時のCNR(Carrier to Noise Ratio)を求め、この求めたCNRに基づいて伝送方式(変調方式や符号化方式等)を選択し、送信側に通知する。そして、送信側がその通知された伝送方式により送信処理を行う。また、受信側で受信信号を復調した際のビット誤り率(BER;Bit Error Rate)を求め、このBERにより伝送方式を変更するものもある。これにより、伝送路特性の変化に応じて適切な伝送方式(変調方式や符号化方式等)で無線通信を行うようにしている。例えば、SC−FDE(Single Carrier−Frequency Domain Equalization)方式における適応伝送方式が、非特許文献1に記載されている。
【0005】
【非特許文献1】
“SC−FDE PHY Layer System Proposal for Sub 11 GHz BWA (An OFDM Compatible Solution)”、[online]、2001年3月5日、IEEE 802.16 Broadband Wireless Access Working Group、[平成15年2月6日検索]、インターネット<URL:http://www.ieee802.org/16/tg3/contrib/802163c−01_32.pdf>
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述した従来の適応伝送無線システムでは、伝送路等化前に求めたCNRを使用するので、伝送路等化後に復調した復調信号に基づく実際のCNRとは差が生じ、最適な伝送方式(変調方式や符号化方式等)を選択することができないという問題がある。しかし、復調信号を使用して実際のCNRを算出すると、伝送方式の選択にかかる処理時間が増大し、移動通信システムのように伝送路特性が頻繁に変わるシステムには不向きなものとなる。また、復調後のBERを使用する方式においても、段階的に伝送方式を変更するため、最適な伝送方式に達するのに時間がかかるうえ、伝送路特性の変動に追従できないという問題がある。
【0007】
このような理由から、適応伝送無線システムにおいて、伝送路等化後のCNRを推定して使用することにより、最適な伝送方式(変調方式や符号化方式等)を選択し、通信品質の向上を図ることが要望されている。
【0008】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、その目的は、適応伝送無線システムにおいて、伝送路等化後のCNRを推定することができるCNR推定装置、CNR推定方法、CNR推定プログラムを提供することにある。
【0009】
また、本発明の他の目的は、そのCNR推定装置を備えることにより、伝送路等化後のCNRを使用して最適な伝送方式(変調方式や符号化方式等)を選択し、通信品質の向上を図ることができる適応伝送無線システム、無線装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載のCNR推定装置は、受信側で周波数領域における伝送路特性を推定して受信信号を周波数領域で伝送路等化する周波数領域等化方式を用いた無線システムにおいて、受信側のCNRを推定するCNR推定装置であって、前記伝送路等化する前の受信信号に基づいてノイズ電力を推定するノイズ電力推定手段と、前記推定されたノイズ電力と前記推定された伝送路特性に基づいて伝送路等化後のCNRを推定する等化後CNR推定手段とを備えたことを特徴としている。
【0011】
請求項2に記載のCNR推定装置においては、前記等化後CNR推定手段は、既知の平均シンボル電力を使用して前記伝送路等化の方式に対応する所定の演算式により、前記伝送路等化後のCNRを算出することを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載のCNR推定方法は、受信側で周波数領域における伝送路特性を推定して受信信号を周波数領域で伝送路等化する周波数領域等化方式を用いた無線システムにおいて、受信側のCNRを推定するCNR推定方法であって、前記伝送路等化する前の受信信号に基づいてノイズ電力を推定する過程と、前記推定されたノイズ電力と前記推定された伝送路特性に基づいて伝送路等化後のCNRを推定する過程とを含むことを特徴としている。
【0013】
請求項4に記載のCNR推定プログラムは、受信側で周波数領域における伝送路特性を推定して受信信号を周波数領域で伝送路等化する周波数領域等化方式を用いた無線システムにおいて、受信側のCNRを推定するCNR推定処理を行うためのCNR推定プログラムであって、前記伝送路等化する前の受信信号に基づいてノイズ電力を推定する処理と、前記推定されたノイズ電力と前記推定された伝送路特性に基づいて伝送路等化後のCNRを推定する処理とをコンピュータに実行させることを特徴としている。
これにより、前述のCNR推定装置がコンピュータを利用して実現できるようになる。
【0014】
請求項5に記載の適応伝送無線システムは、周波数領域等化方式を用いて受信信号を伝送路等化する無線受信装置と、受信特性に基づき選択された伝送方式を用いて送信処理を行う無線送信装置とを備えた適応伝送無線システムにおいて、前記無線受信装置は、請求項1または請求項2に記載のCNR推定装置と、前記CNR推定装置により推定された伝送路等化後のCNRに基づいて伝送方式を選択する伝送方式選択手段と、該選択された伝送方式を前記無線送信装置に通知する伝送方式通知手段とを備えたことを特徴としている。
【0015】
請求項6に記載の適応伝送無線システムは、周波数領域等化方式を用いて受信信号を伝送路等化する無線受信装置と、受信特性に基づき選択された伝送方式を用いて送信処理を行う無線送信装置とを備えた適応伝送無線システムにおいて、前記無線受信装置は、請求項1または請求項2に記載のCNR推定装置を備え、前記CNR推定装置により推定された伝送路等化後のCNRを前記無線送信装置に通知し、前記無線送信装置は、前記無線受信装置から通知された伝送路等化後のCNRに基づいて伝送方式を選択する伝送方式選択手段を備えたことを特徴としている。
【0016】
請求項7に記載の無線装置は、時分割複信方式の適応伝送無線システムに使用される無線装置であって、周波数領域等化方式により受信信号を周波数領域で伝送路等化して時間領域に戻し、復調する無線受信手段と、請求項1または請求項2に記載のCNR推定装置と、前記CNR推定装置により推定された伝送路等化後のCNRに基づいて伝送方式を選択する伝送方式選択手段と、該選択された伝送方式を使用して送信処理を行う無線送信手段とを備えたことを特徴としている。
【0017】
請求項8に記載の無線装置は、時分割複信方式の適応伝送無線システムに使用される無線装置であって、周波数領域等化方式により受信信号を周波数領域で伝送路等化して時間領域に戻し、復調する無線受信手段と、請求項1または請求項2に記載のCNR推定装置と、前記復調後のビット誤り率を算出するビット誤り率算出手段と、前記CNR推定装置により推定された伝送路等化後のCNRと前記算出されたビット誤り率とに基づいて伝送方式を選択する伝送方式選択手段と、該選択された伝送方式を使用して送信処理を行う無線送信手段とを備えたことを特徴としている。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。本実施形態においては、SC−FDE方式及びOFDM方式の適応伝送無線システムを例に挙げて説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態による適応伝送無線システムの構成を示すブロック図である。図1に示す適応伝送無線システムでは、無線送信機(以下、単に送信機と称する)1と無線受信機(以下、単に受信機と称する)2を備えている。送信機1から送信された電波は伝送路3を介して受信機2に到達し受信される。
【0019】
送信機1は適応伝送部11とガードインターバル(GI)挿入部12を有する。適応伝送部11は、受信機2から通知された伝送方式(変調方式や符号化方式等)を使用して、送信データに対する変調、符号化等の送信処理を行う。GI挿入部12は、適応伝送部11により送信処理された送信データと伝送方式データを、SC−FDE方式で所定の伝送フレームによりアンテナ(図示せず)を介して無線送信する。ここで、伝送フレームにはガードインターバルが挿入される。
【0020】
図2は、その伝送フレームの構成例を示す図である。図2において、一つのフレームは先頭に位置するプリアンブル部分と、このプリアンブル部分に続くユーザデータ格納部分とから構成されている。プリアンブル部分には1シンボル分(1伝送単位分)のパイロットデータが格納されている。ユーザデータ格納部分には、データ1からデータNまでのN個のユーザデータシンボル(伝送単位のユーザデータ)が格納されるとともに、各シンボル毎にガードインターバルが格納されている。ガードインターバルは、直後のユーザデータシンボルの後ろMサンプル分のデータがコピーされたものである。このMサンプル分の時間、すなわちガードインターバルの時間は伝送時の最大遅延許容時間を示している。この最大遅延許容時間は、無線システムにおいて予め定められており、送信機1及び受信機2にそれぞれ設定される。
各ユーザデータシンボルには、ユーザデータ本体とその誤り訂正用符号が含まれている。また、ユーザデータシンボル中に、伝送方式データを挿入することもできる。
【0021】
受信機2は、GI除去部20とフーリエ変換部21と周波数領域等化部22と逆フーリエ変換部23と復調部24とノイズ電力推定部25と伝送路特性推定部26と等化後CNR推定部27と伝送方式選択部28と伝送方式通知部29とを有する。
【0022】
GI除去部20は、アンテナ(図示せず)を介して受信した信号からガードインターバルを除去する。フーリエ変換部21は、そのガードインターバルが除去された信号を離散フーリエ変換(以下、単にフーリエ変換と称する)する。これにより、受信信号は周波数領域の信号に変換される。周波数領域等化部22は、その周波数領域の受信信号を、伝送路特性推定部26から入力された伝送路特性データに基づいて補正する。これにより、周波数領域の受信信号は周波数領域で伝送路等化される。逆フーリエ変換部23は、その伝送路等化後の受信信号を逆フーリエ変換して時間領域の信号に戻す。復調部24は、その時間領域の受信信号を復調して受信データを出力する。この復調時には、受信信号に含まれている伝送方式データにより今回使用された伝送方式が特定され、送信データの復調が行われる。
【0023】
ノイズ電力推定部25は、アンテナを介して受信した信号(伝送路等化前の時間領域の受信信号)に基づいて伝送路等化前のノイズ電力を推定する。このノイズ電力推定方法については後述する。
【0024】
伝送路特性推定部26は、フーリエ変換部21から入力された周波数領域の受信信号を使用して、周波数領域における伝送路特性を推定する。この伝送路特性推定方法としては、例えば、伝送路特性推定部26に送信側でプリアンブル部分に格納するパイロットデータと同じ既知のパイロットデータを予め保持させておく。そして、受信信号のプリアンブル部分のパイロットデータを該保持しているパイロットデータで除すことにより、伝送路特性データを算出する。次いで、フィルタリングにより該伝送路特性データからノイズ成分を除去して出力する。
【0025】
等化後CNR推定部27は、伝送路特性推定部26から入力された伝送路特性データと、ノイズ電力推定部から入力された伝送路等化前のノイズ電力のデータとから、伝送路等化後のCNRを推定する。この伝送路等化後のCNRの推定方法については後述する。
【0026】
伝送方式選択部28は、その推定された伝送路等化後のCNRに基づいて、伝送方式(変調方式や符号化方式等)を選択する。例えば、変調方式の選択方法としては、受信CNR特性(受信電力特性)が優れており所定の範囲にあれば、対応した所定の多値変調方式を選択し、一方、受信CNR特性が劣っている時には復調特性の良い、CNRに対応した所定の変調方式を選択する。なお、多値変調方式を適用した際には復調時に同期検波を行うが、伝送路特性を推定して受信信号に対し伝送路等化を行っているので、精度よく同期検波を行うことが可能である。
【0027】
伝送方式通知部29は、伝送方式選択部28によって選択された伝送方式を何らかの通信回線を使用して送信機1に通知する。送信機1の適応伝送部11は、その通知された伝送方式を使用して以降の送信処理を行う。
これにより、伝送路等化後の受信CNR特性に基づいて選択された最適な伝送方式(変調方式や符号化方式等)によって、送信側で使用される伝送方式が適応的に変更されるので、現在の伝送路特性に合致した無線通信が可能となり、通信品質の向上を図ることができる。
【0028】
なお、上述した第1の実施形態では、受信機2が伝送路等化後のCNRに基づいて伝送方式を選択し、送信機1に通知するようにしたが、受信機2からは伝送路等化後のCNRを送信機1に通知し、送信機1がその通知されたCNRに基づいて伝送方式を選択するようにしてもよい。
【0029】
また、受信機2から送信機1への通知方法としては、受信後に受信機2から送信機1へ返すACK信号に多重するようにしてもよい。
【0030】
次に、上記したノイズ電力の推定方法を説明する。ノイズ電力推定方法としては各種の方法があるが、その例を挙げて以下に説明する。
第1のノイズ電力推定方法;送信機1からの受信電力が0の状態における受信信号から、ノイズ電力を算出する。
第2のノイズ電力推定方法;同一信号で構成される受信信号間の差分を求めてノイズ波形を得る。次いで、このノイズ波形からノイズ電力を算出する。
第3のノイズ電力推定方法;同一信号で構成される受信信号間で平均化し、この平均値と受信信号間の差分を求めてノイズ波形を得る。次いで、このノイズ波形からノイズ電力を算出する。
なお、上記第2,第3の方法においては、図2に示すプリアンブル部分を複数連続させることにより受信信号間で同一な信号として利用可能である。あるいは、ガードインターバルとその対応するユーザデータシンボルの最後尾部分の信号が、受信信号間で同一な信号として利用可能である。
【0031】
また、伝送路特性推定部26の伝送路特性推定結果を用いて伝送路等化前のノイズ電力を推定することも可能である。このノイズ電力推定方法では、ノイズ成分を除去した伝送路特性推定結果と周波数領域のプリアンブル信号とから、フーリエ変換後の周波数領域における受信信号を作成する。次いで、この周波数領域の受信信号と実際の受信信号のフーリエ変換後の信号との差分を求め、この差分からノイズ電力を算出する。
【0032】
次に、上記した伝送路等化後のCNRの推定方法を説明する。伝送路等化後のCNRの推定方法は伝送路等化方法により異なるが、二通りの伝送路等化方法について各々の伝送路等化後のCNRの推定方法の例を挙げて説明する。ここで挙げる例は、推定した伝送路特性と推定したノイズ電力と既知の平均シンボル電力とから、伝送路等化後のCNRを算出するものである。
なお、以下の説明において、HTC(f)は伝送路特性、σd 2は平均シンボル電力、σn 2はノイズ電力、NはFFTポイント数である。
【0033】
伝送路等化方法がZF(Zero Forcing)等化の場合、伝送路等化後のCNRは、(1)式により算出する。
【0034】
【数1】
【0035】
伝送路等化方法がMMSE(Minimum Mean Square Error)等化の場合、伝送路等化後のCNRは、(2)式により算出する。
【0036】
【数2】
【0037】
なお、上記ノイズ電力σn 2は、受信機側でフーリエ変換する直前の時間領域におけるノイズ電力であってもよく、あるいは、フーリエ変換直後の周波数領域におけるノイズ電力であってもよい。
また、平均シンボル電力σd 2は、送信データ系列から信号を変調する際に生成されるシンボル(このシンボルは図2のOFDMのシンボルとは異なる)の平均電力のことであり、通常は電力1に設定される。
【0038】
次に、第2の実施形態を説明する。図3は、本発明の第2の実施形態による適応伝送無線システムの構成を示すブロック図である。この図3において図1の各部に対応する部分には同一の符号を付け、その説明を省略する。
図3に示す適応伝送無線システムでは、一対の無線送受信機(以下、単に送受信機と称する)30a,30bを備えている。この適応伝送無線システムは、時分割複信(TDD;Time Division Duplex)方式を用いている。そして、TDD方式のため、送受信機30aから30bへ向かう方向の無線通信回線で使用する周波数と、送受信機30bから30aへ向かう方向の無線通信回線で使用する周波数は同じである。したがって、送受信機30a,30bは伝送路3を介して相互に同じ周波数の電波を送受する。これにより、各送受信機30a,30bに対応する伝送路特性、ノイズ電力は同じものとなる、もしくは、異なっていた場合でも事前に通知することにより相手側のノイズ電力を取得し記憶できるので、各送受信機30a,30bに対応する伝送路等化後のCNRも同じものとなる、もしくは、推定できる。
【0039】
このような知見に基づき、第2の実施形態では、図3に示すように、送受信機30a,30bに上述した第1の実施形態の送信機1と受信機2の双方の機能を備え、各送受信機30a,30bが自己の受信信号に基づき伝送路等化後のCNRを推定し、このCNRにより自己の伝送方式を選択する構成としている。すなわち、伝送方式選択部28が、自送受信機で受信した信号に基づき推定されたCNRにより最適な伝送方式を選択し、自送受信機の適応伝送部11に通知する。次いで、適応伝送部11は、その自送受信機の伝送方式選択部28から通知された伝送方式を使用して、これ以降の送信処理を行う。
【0040】
これにより、受信側から送信側への伝送方式あるいは伝送路等化後のCNRの通知が不要となるので、適応伝送無線システムの構成を簡略化することができる。
【0041】
なお、上述した第2の実施形態において、受信信号を復調した際のビット誤り率(BER)を算出するようにし、伝送方式選択部28がそのBERと伝送路等化後のCNRに基づいて最適な伝送方式を選択するようにしてもよい。例えば、伝送路等化後のCNRが所定の伝送方式を示す範囲の境界付近にある場合に、BERの算出結果が所定の条件を満たすか否かによって伝送方式の選択を行う。これにより、伝送方式の適応度がさらに向上する。
【0042】
また、図1に示す受信機あるいは図3に示す送受信機が行う各処理を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによりCNR推定処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0043】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【0044】
以上、本発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、適応伝送無線システムにおいて、伝送路等化後のCNRを推定することができる。また、伝送路等化後のCNRを推定して使用することにより、最適な伝送方式(変調方式や符号化方式等)を選択し、通信品質の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態による適応伝送無線システムの構成を示すブロック図である。
【図2】伝送フレームの構成例を示す図である。
【図3】本発明の第2の実施形態による適応伝送無線システムの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1…無線送信機(送信機)、2…無線受信機(受信機)、3…伝送路、11…適応伝送部、12…ガードインターバル(GI)挿入部、20…GI除去部、21…フーリエ変換部、22…周波数領域等化部、23…逆フーリエ変換部、24…復調部、25…ノイズ電力推定部、26…伝送路特性推定部、27…等化後CNR推定部、28…伝送方式選択部、29…伝送方式通知部、30a,30b…無線送受信機(送受信機)
Claims (8)
- 受信側で周波数領域における伝送路特性を推定して受信信号を周波数領域で伝送路等化する周波数領域等化方式を用いた無線システムにおいて、受信側のCNRを推定するCNR推定装置であって、
前記伝送路等化する前の受信信号に基づいてノイズ電力を推定するノイズ電力推定手段と、
前記推定されたノイズ電力と前記推定された伝送路特性に基づいて伝送路等化後のCNRを推定する等化後CNR推定手段と、
を備えたことを特徴とするCNR推定装置。 - 前記等化後CNR推定手段は、既知の平均シンボル電力を使用して前記伝送路等化の方式に対応する所定の演算式により、前記伝送路等化後のCNRを算出することを特徴とする請求項1に記載のCNR推定装置。
- 受信側で周波数領域における伝送路特性を推定して受信信号を周波数領域で伝送路等化する周波数領域等化方式を用いた無線システムにおいて、受信側のCNRを推定するCNR推定方法であって、
前記伝送路等化する前の受信信号に基づいてノイズ電力を推定する過程と、
前記推定されたノイズ電力と前記推定された伝送路特性に基づいて伝送路等化後のCNRを推定する過程と、
を含むことを特徴とするCNR推定方法。 - 受信側で周波数領域における伝送路特性を推定して受信信号を周波数領域で伝送路等化する周波数領域等化方式を用いた無線システムにおいて、受信側のCNRを推定するCNR推定処理を行うためのCNR推定プログラムであって、
前記伝送路等化する前の受信信号に基づいてノイズ電力を推定する処理と、
前記推定されたノイズ電力と前記推定された伝送路特性に基づいて伝送路等化後のCNRを推定する処理と、
をコンピュータに実行させることを特徴とするCNR推定プログラム。 - 周波数領域等化方式を用いて受信信号を伝送路等化する無線受信装置と、受信特性に基づき選択された伝送方式を用いて送信処理を行う無線送信装置とを備えた適応伝送無線システムにおいて、
前記無線受信装置は、
請求項1または請求項2に記載のCNR推定装置と、
前記CNR推定装置により推定された伝送路等化後のCNRに基づいて伝送方式を選択する伝送方式選択手段と、
該選択された伝送方式を前記無線送信装置に通知する伝送方式通知手段と、
を備えたことを特徴とする適応伝送無線システム。 - 周波数領域等化方式を用いて受信信号を伝送路等化する無線受信装置と、受信特性に基づき選択された伝送方式を用いて送信処理を行う無線送信装置とを備えた適応伝送無線システムにおいて、
前記無線受信装置は、請求項1または請求項2に記載のCNR推定装置を備え、前記CNR推定装置により推定された伝送路等化後のCNRを前記無線送信装置に通知し、
前記無線送信装置は、前記無線受信装置から通知された伝送路等化後のCNRに基づいて伝送方式を選択する伝送方式選択手段を備えた
ことを特徴とする適応伝送無線システム。 - 時分割複信方式の適応伝送無線システムに使用される無線装置であって、
周波数領域等化方式により受信信号を周波数領域で伝送路等化して時間領域に戻し、復調する無線受信手段と、
請求項1または請求項2に記載のCNR推定装置と、
前記CNR推定装置により推定された伝送路等化後のCNRに基づいて伝送方式を選択する伝送方式選択手段と、
該選択された伝送方式を使用して送信処理を行う無線送信手段と、
を備えたことを特徴とする無線装置。 - 時分割複信方式の適応伝送無線システムに使用される無線装置であって、
周波数領域等化方式により受信信号を周波数領域で伝送路等化して時間領域に戻し、復調する無線受信手段と、
請求項1または請求項2に記載のCNR推定装置と、
前記復調後のビット誤り率を算出するビット誤り率算出手段と、
前記CNR推定装置により推定された伝送路等化後のCNRと前記算出されたビット誤り率とに基づいて伝送方式を選択する伝送方式選択手段と、
該選択された伝送方式を使用して送信処理を行う無線送信手段と、
を備えたことを特徴とする無線装置。
Priority Applications (1)
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