JP2004281188A - 薄膜発光表示素子、その製造方法および表示装置 - Google Patents

薄膜発光表示素子、その製造方法および表示装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2004281188A
JP2004281188A JP2003069842A JP2003069842A JP2004281188A JP 2004281188 A JP2004281188 A JP 2004281188A JP 2003069842 A JP2003069842 A JP 2003069842A JP 2003069842 A JP2003069842 A JP 2003069842A JP 2004281188 A JP2004281188 A JP 2004281188A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
light emitting
transparent electrode
display element
refractive index
substrate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2003069842A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4176517B2 (ja
Inventor
Kunio Masushige
邦雄 増茂
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kyocera Display Corp
AGC Inc
Original Assignee
Asahi Glass Co Ltd
Kyocera Display Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Glass Co Ltd, Kyocera Display Corp filed Critical Asahi Glass Co Ltd
Priority to JP2003069842A priority Critical patent/JP4176517B2/ja
Publication of JP2004281188A publication Critical patent/JP2004281188A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4176517B2 publication Critical patent/JP4176517B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Electroluminescent Light Sources (AREA)
  • Devices For Indicating Variable Information By Combining Individual Elements (AREA)

Abstract

【課題】非発光時に光透過性を有する薄膜発光表示素子において、良好な視認性を与える薄膜発光表示素子を提供する。
【解決手段】表示面側に基板を配し、非表示面側に封止気体を配し、基板と封止気体との間に、表示面側から順に第1の透明電極と、発光層と、第1の透明電極に対向して設けられた第2の透明電極とを備えた薄膜発光表示素子において、非発光時に光透過性を有し、発光時には表示面側での輝度が非表示面側での輝度の1.5倍以上であるようにする。
【選択図】 図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機エレクトロルミネセンス(以下、有機ELと略称する)表示素子、無機エレクトロルミネセンス(以下、無機ELと略称する)表示素子等の薄膜発光表示素子技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
薄膜発光表示素子は、薄膜内部で発光するため外部から観察される発光色は、薄膜発光表示素子を形成する積層膜の界面で多重反射して干渉の影響を受け、発光体本来の発光スペクトルとは異なるものとなる。また、輝度も光干渉の影響により変化する。以下、薄膜発光表示素子の代表例として有機EL表示素子について説明する。
【0003】
図1は、基板1の上に電極2、発光層3、電極4を積層してなる有機EL表示素子を示す模式的横断面図である。このとき、図1の電極2として透明電極を使用し、電極4として金属電極を使用し、下方向からのみ発光が観察できるようにしたタイプをボトムエミッション型有機EL表示素子という。一般的には、電極4の上には、基板1と基板1の対向基板12と封止材13とで囲まれた封止気体11が存在する。
【0004】
また、ボトムエミッション型ではアクティブマトリクスデバイスの場合に、金属配線、TFT、キャパシタ等の存在により画素の開口率が減少するという問題に対応して、電極2として金属電極を使用し、電極4として透明電極を使用し、上方向からのみ発光が観察できるようにした、いわゆるトップエミッション型有機EL表示素子も提案されている。
【0005】
これに対し、有機EL表示素子、無機EL表示素子などの薄膜発光表示素子で非発光時には透明で背後のものが見えるような発光表示素子が提案されている(たとえば特許文献1参照。)。本発明に係る薄膜発光表示素子は、この非発光時に光透過性を有する薄膜発光表示素子の範疇に属する。従って、図1の上下のいずれの方向からでも発光が観察可能である。なお、上記において、電極2と電極4とはどちらが正極でも負極でもよいが、電極2が陽極、電極4が陰極であることが多い。
【0006】
このような素子構成においては、多重反射は、有機EL表示素子を構成する積層体のうち、主として、透明電極と基板との間の屈折率差や透明電極と封止気体との間の屈折率差が大きいために、これらの界面での反射やその他の膜界面での反射により多重反射が起こる。
【0007】
この様子を図2に示す。図2は、基板1の上に電極2、発光層3、電極4を積層し、基板1と基板1の対向基板12と封止材13とで囲まれた封止気体11が存在する有機EL表示素子において、光の屈折の様子を示す模式的横断面図である。
【0008】
発光層3に対して電極2の外側の面は基板1に接し、発光層3に対して電極4の外側の面は封止気体に接している。陽極や陰極に透明電極を使用した場合は、通常その屈折率は1.8程度、基板に使用することが多いガラスの屈折率は1.5程度である。また、封止気体として窒素ガスを使用した場合その屈折率は1.0程度である。
【0009】
本発明に係る有機EL表示素子の場合、電極2と電極4とがともに透明電極であり、発光層における発光体は等方的に発光する。このような条件下においては、発光層3の任意の点Aで発生する光のうち、図2中下方向に向かう成分については、a21のようにそのまま有機EL表示素子外に達する成分、a22のように、いったん電極4と封止気体との界面で反射してから有機EL表示素子外に達する成分、さらにa23のように、透明電極と基板との間の屈折率差が大きいためにその界面で反射し、さらに電極4と封止気体との界面で反射してから有機EL表示素子外に達する成分等が存在する。
【0010】
また、発光層3の任意の点Bで発生する光のうち、図2中上方向に向かう成分については、b21のようにそのまま有機EL表示素子外に達する成分、b22のように、透明電極と基板ガラスとの間の屈折率差が大きいために、その界面で反射する成分、b23のように、さらに、透明電極と封止気体との間の屈折率差が大きいために、その界面でも反射する成分等が存在し得る。もちろん、このような反射は、上記に限られるわけではなく、さらに多数回反射する成分や、c21,c22に示すように、上記がくみ合わさった反射も生じ得る。すなわち、多重反射が生じ得る。従って、上記多重反射によって干渉を生じ、外部から観察される発光は発光体本来の発光のスペクトルとは異なるものとなり、輝度も光干渉の影響により変化するのである。
【0011】
ボトムエミッション型有機EL表示素子では、発光層の膜厚と透明電極の膜厚とを調節して、光干渉の効果による輝度最大化、発光波長の調整を図る研究が知られている(たとえば非特許文献1参照。)。この場合に問題となるのは透明電極と基板ガラスとの間の屈折率差が大きいことに起因する多重反射であり、有機EL表示素子の表示面を観察する際の見易さを追求した技術である。
【0012】
本発明に係る非発光時に光透過性を有する薄膜発光表示素子は、たとえばアラームとして、計器または表示装置に重ねて備えられると、非発光時には薄膜発光表示素子を通して計器または表示装置を視認することが可能であり、発光時には、計器または表示装置上に、アラーム表示が存在するものとして視認することができる。しかしながら、非表示面の輝度が高いと計器または表示装置によりその光が反射散乱して、視認性が悪化し易い。
【0013】
【特許文献1】
米国特許第6,420,031号明細書(図2)
【0014】
【非特許文献1】
Y.Fukuda等,有機LEDフルカラーパッシブマトリックス(Organic LED Full−Color Passive−Matrix),エスアイディー99 ダイジェスト(SID99 Digest),米国,Society for Information Display,1999年5月,p.430
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記問題を解決し、非発光時に光透過性を有する薄膜発光表示素子において、良好な視認性を与える薄膜発光表示素子を提供することを目的としている。
【0016】
本発明のさらに他の目的および利点は、以下の説明から明らかになるであろう。
【0017】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明の態様1は、表示面側に基板を配し、非表示面側に封止気体を配し、基板と封止気体との間に、表示面側から順に第1の透明電極と、発光層と、第1の透明電極に対向して設けられた第2の透明電極とを備えた薄膜発光表示素子において、非発光時に光透過性を有し、発光時には表示面側での輝度が非表示面側での輝度の1.5倍以上である薄膜発光表示素子を提供する。
【0018】
本発明の態様2は、基板の屈折率と第1の透明電極の屈折率との差、または封止気体の屈折率と第2の透明電極の屈折率との差、またはその両方が0.3以上である、上記態様1に記載の薄膜発光表示素子を提供する。
【0019】
本発明の態様3は、基板と第1の透明電極との間に、第1の透明電極の屈折率との差が0.2以下の屈折率を有する干渉制御用透明膜を配した、上記態様1または2に記載の薄膜発光表示素子を提供する。
【0020】
本発明の態様4は、封止気体と第2の透明電極との間に、第2の透明電極の屈折率との差が0.2以下の屈折率を有する干渉制御用透明膜を配した、上記態様1,2または3に記載の薄膜発光表示素子を提供する。
【0021】
本発明の態様5は、上記態様1,2,3または4に記載の薄膜発光表示素子が第2の表示素子に重ねて配置された表示装置を提供する。
【0022】
本発明の態様6は、表示面側に基板を配し、非表示面側に封止気体を配し、基板と封止気体との間に、表示面側から順に第1の透明電極と、発光層と、第1の透明電極に対向して設けられた第2の透明電極とを備えた薄膜発光表示素子の製造方法において、非発光時に光透過性を有し、発光時には表示面側での輝度が非表示面側での輝度の1.5倍以上になるように薄膜発光表示素子の積層構造を調節する薄膜発光表示素子の製造方法を提供する。
【0023】
本発明の態様7は、基板の屈折率と第1の透明電極の屈折率との差、または封止気体の屈折率と第2の透明電極の屈折率との差、またはその両方が0.3以上である、上記態様6に記載の薄膜発光表示素子の製造方法を提供する。
【0024】
本発明の態様8は、基板と第1の透明電極との間に、第1の透明電極の屈折率との差が0.2以下の屈折率を有する干渉制御用透明膜を配する、上記態様6または7に記載の薄膜発光表示素子の製造方法を提供する。
【0025】
本発明の態様9は、封止気体と第2の透明電極との間に、第2の透明電極の屈折率との差が0.2以下の屈折率を有する干渉制御用透明膜を配する、上記態様6,7または8に記載の薄膜発光表示素子の製造方法を提供する。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を図、実施例等を使用して説明する。なお、これらの図、実施例等および説明は本発明を例示するものであり、本発明の範囲を制限するものではない。本発明の趣旨に合致する限り他の実施の形態も本発明の範疇に属し得ることはいうまでもない。
【0027】
本発明の基礎となる、非発光時に光透過性を有する薄膜発光表示素子を有機EL表示素子で例示すると、図1,3のようになる。図1は本発明の有機EL表示素子の基本的な構成例の模式的側断面図である。図1において、有機EL表示素子は、基板1、陽極2、発光層3、陰極4をこの順に積層し、電極4の上に、基板1と基板1の対向基板12と封止材13とで囲まれた封止気体11が存在する構造となっている。この構造はもっとも基本的なものである。図3は、より複雑な構造を採用した例で、陽極2と発光層3との層間に正孔輸送層5と界面層6とが、陰極4と発光層3との層間に電子輸送層7と界面層8とが設けられている。陽極2に代えて陰極を使用し、陰極4に代えて陽極を使用することも可能である。
【0028】
本発明における基板1は、有機EL表示素子の支持体であり、ガラス、プラスチックフィルム等の透明な基板が一般的には使用される。プラスチックの場合には、ポリカーボネート、ポリメタアクリレート、ポリスルホンなどを例示できる。陽極2と陰極4とは透明電極である。この透明電極としては、インジウム錫酸化物(ITO)薄膜、錫酸化物の膜を使用することができる。また、仕事関数の大きい銀、金等の金属、ヨウ化銅などの無機導電性物質、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性高分子により構成してもよい。
【0029】
電極の膜厚は、必要とする透明性に依存するが、可視光の透過率が60%以上、好ましくは80%以上であり、この場合の膜厚は一般的には5〜1000nm、好ましくは10〜500nmである。
【0030】
基本的な構成では、発光層3は、陽極2の上に設けられる。発光層3に用いる物質としては、蛍光量子収率が高く、陰極4からの電子注入効率が高く、さらに電子移動度が高い化合物が有効であり、公知の有機発光性物質、たとえば、8−オキシキノリン系錯体、テトラフェニルブタジエン、スチリル系色素、オキサジアゾール系色素などを使用することができる。このような発光層3の膜厚は、通常10〜200nmであり、好ましくは、20〜80nmである。
【0031】
正孔輸送層5は、図2に示すように陽極2と発光層3との層間に必要に応じて設けることができる。この正孔輸送層5に用いる正孔輸送材料としては、陽極2からの正孔注入障壁が低く、さらに正孔移動度が高い材料が使用できる。このような正孔輸送材料としては、公知の正孔輸送材料が使用できる。正孔輸送層の膜厚は、通常、10〜200nmであり、好ましくは、20〜80nmである。
【0032】
陽極2と正孔輸送層5との層間に、リーク電流の防止、正孔注入障壁の低減、密着性向上等を目的として、界面層6を設けてもよい。この界面層6を設けるときの膜厚は5〜100nmが好ましい。
【0033】
電子輸送層7は、発光層3と陰極4との層間に必要に応じて設けることができる。この電子輸送層7の電子輸送性物質としては、シクロペンタジエン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ビススチリルベンゼン誘導体、p−フェニレン化合物、フェナントロリン誘導体、トリアゾール誘導体などの電子親和力が大きく電子の移動度が大きい物質が好適である。
【0034】
電子輸送層7と陰極4との層間に、界面層8を必要に応じて設けることもできる。この界面層を設けることにより、駆動電圧の低減や発光効率の向上、長寿命化を達成することができる。界面層は陰極からの電子注入を容易にする効果や陰極との密着性をあげる効果がある。
【0035】
界面層6,8の材料としては、トリフェニルアミンの誘導体である4,4’,4”−トリス{N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ}トリフェニルアミン(MTDATA)、4,4’,4”−トリス{N,Nジフェニルアミノ}トリフェニルアミン(TDATA)、銅フタロシアニン(CuPc)等やアルカリ金属やアルカリ土類金属のフッ化物、酸化物を好ましく使用できる。
【0036】
本発明に係る薄膜発光表示素子は、上記構成に例示するように、表示面側に基板を配し、非表示面側に封止気体を配し、基板と封止気体との間に、表示面側から順に第1の透明電極と、発光層と、第1の透明電極に対向して設けられた第2の透明電極とを備える。また、非発光時には光透過性を有し、発光時には表示面側での輝度が非表示面側での輝度の1.5倍以上である。
【0037】
本発明に係る薄膜発光表示素子は、表示面側に基板を配し、非表示面側に封止気体を配し、基板と封止気体との間に、表示面側から順に第1の透明電極と、発光層と、第1の透明電極に対向して設けられた第2の透明電極とを備えた積層構造とし、非発光時に光透過性を有し、発光時には表示面側での輝度が非表示面側での輝度の1.5倍以上になるように薄膜発光表示素子の積層構造を調節することで製造することができる。
【0038】
なお、封止気体としては、湿気が薄膜発光表示素子に侵入するのを防止するため、一般的に乾燥窒素や乾燥アルゴン等の乾燥した不活性な気体が使用される。第1の透明電極と第2の透明電極とはいずれが陽極でも陰極でもよい。
【0039】
非発光時に光透過性を確保するためには、上記二つの電極がともに透明電極であることに加え、薄膜発光表示素子を構成する他の要素も光透過性を有するものであることが必要である。非発光時の光透過率は、薄膜発光表示素子全体として、70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。
【0040】
このような場合に、発光時には表示面側から見た場合に、その輝度が非表示面側での輝度の1.5倍以上であるようにすると、良好な視認性を与える薄膜発光表示素子とすることができる。なお、本発明における輝度は可視光の全領域に対する値であり、表示面側での輝度は基板の外側で測定する。また、非表示面側での輝度は、対向電極を設けない状態で測定する。
【0041】
基板の屈折率と第1の透明電極の屈折率との差、または封止気体の屈折率と第2の透明電極の屈折率との差、またはその両方が0.3以上である場合には、光干渉の影響が現れ易くなるので、本発明の効果がより明確になる。具体的には、屈折率1.5程度のガラス製基板が陽極2と接する場合や、屈折率が1.0程度の窒素ガスを封止気体として使用する場合である。
【0042】
発光時に表示面側での輝度が非表示面側での輝度の1.5倍以上とする具体的手段は、公知のどのような技術を適用してもよい。たとえば、薄膜発光表示素子の積層構造を調節して光路長を変え、干渉を利用した輝度の調整を行うことも可能である。干渉を利用して表示面側をより高い輝度とする方法、逆に非表示面側をより低い輝度とする方法、その両方を実現する方法等が考えられる。
【0043】
具体的には、たとえば、積層構造を形成する各層の材料の選定、発光層の膜厚、透明電極の膜厚、その他の層の膜厚の選定により、光路長を調節することによって実現することもできる。しかしながら、通常これらの膜厚は発光表示素子自体の電気光学特性を最適化するための値に設定することが優先されるため、自由度は小さい。
【0044】
薄膜発光表示素子の積層構造を調節する手段の一つとして、基板と第1の透明電極との間、または封止気体と第2の透明電極との間、またはその両方に干渉制御用透明膜を配することが効果的であることが見いだされた。
【0045】
干渉制御用透明膜の効果を図2と図4を用いて説明する。図4は、基板1の上に、電極2、発光層3、電極4、干渉制御用透明膜9を積層し、干渉制御用透明膜9の上に、基板1と基板1の対向基板12と封止材13とで囲まれた封止気体11が存在する有機EL表示素子において、光の屈折の様子を示す模式的横断面図である。説明を容易にするため、電極4の屈折率と干渉制御用透明膜9の屈折率とは同一で、界面における反射はないものとし、反射のない成分(図2のa21)と、陰極4と封止気体との界面で一回反射がある場合(図2のa22)とのみを考慮するものとする。
【0046】
まず、干渉制御用透明膜9が存在しない図2の場合、a21とa22を比べると2×Lだけa22の方が光路長が長い。この光路長差が光干渉の原因となる。この場合、上記したように電極4の膜厚を変更して最適の光路長差とし、光干渉の影響を調節することにより輝度を調節することも可能である。
【0047】
これに対し、図4のように、干渉制御用透明膜9を設けるのは、より積極的に光路長差を調整することにより干渉を利用した輝度の調整を図るためである。図4中、a42の光路長は2xLだけa41の光路長より長くなる。従って、電極4の膜厚を変更することなく、あるいは電極4の膜厚変更に加えて干渉制御用透明膜によって光路長差を変更し、光干渉を調節することにより輝度を調節することが可能となる。具体的には、光路長差を光の波長の整数倍とすることにより、輝度をより高くすることが可能となる。なお、干渉制御用透明膜9は保護膜としての機能を兼ねていてもよい。
【0048】
表示面側での輝度が非表示面側での輝度の1.5倍以上であるようにするのは、このように、表示面側での輝度を高める方法のほかに、非表示面側での輝度を低くする方法も考えられる。
【0049】
しかしながら、図4のように、封止気体と第2の透明電極との間に干渉制御用透明膜を配した例では、非表示面側方向での光路長差の影響は小さい。従って、非表示面側での輝度を低くするためには、図5のように、基板1の上に、干渉制御用透明膜10、電極2、発光層3、電極4を積層し、電極4の上に、基板1と基板1の対向基板12と封止材13とで囲まれた封止気体11が存在する構造において、干渉制御用透明膜10によって光路長差を変更し、光干渉を調節することにより輝度を低下させる方法が考えられる。具体的には、光路長差を光の波長の整数倍としないことにより、非表示面側での輝度をより低下させることが可能となる。
【0050】
上記の二つの効果を組み合わせることも可能である。すなわち、図6のように、基板1の上に、干渉制御用透明膜10、電極2、発光層3、電極4、干渉制御用透明膜9を積層し、干渉制御用透明膜9の上に、基板1と基板1の対向基板12と封止材13とで囲まれた封止気体11が存在するようにすることが考えられる。
【0051】
一般的には、封止気体の屈折率と第2の透明電極の屈折率との差の方が、基板の屈折率と第1の透明電極の屈折率との差より大きいため、封止気体と第2の透明電極との界面での反射率の方が、基板と第1の透明電極との界面における反射率より大きい。従って、輝度の調整効果は、封止気体と第2の透明電極との間に干渉制御用透明膜を配した場合の方が大きく、より好ましい。
【0052】
なお、透明膜と透明電極の界面の反射率が高くならないよう、この干渉制御用透明膜の屈折率は透明電極の屈折率に近くなければならない。具体的には、1.6〜2.2が好ましい。対応する透明電極の屈折率との差、すなわち、基板と第1の透明電極との間にある干渉制御用透明膜については第1の透明電極の屈折率との差、封止気体と第2の透明電極との間にある干渉制御用透明膜については第2の透明電極の屈折率との差が0.2以下であることがより好ましい。
【0053】
干渉制御用透明膜としては、たとえば、SiN、SiO、SiO、AlO(xは互いに独立した実数)の一般的な式で表される、窒化ケイ素、酸化ケイ素、窒酸化ケイ素、酸化アルミニウム等の無機膜、または有機膜、高分子膜、それらの積層膜が使用できる。干渉制御用透明膜の膜厚は、光路長調整のためには、光学距離が発光波長と同程度あれば足りるので1〜200nmの範囲から選べばよいが、実際には、膜厚を精度良く制御することも考慮しなけばならないため、10〜300nmの範囲にするのが好ましい。
【0054】
基板と第1の透明電極との間に干渉制御用透明膜を設ける場合は、真空蒸着、スパッタリング、プラズマCVD等の真空成膜により、基板上に干渉制御用透明膜を形成し、その上に同様の方法で第1の透明電極を形成する方法が合理的であるが、他のどのような方法によってもよい。
【0055】
封止気体と第2の透明電極との間に配された干渉制御用透明膜の成膜においては、すでに発光層等が配された状態で成膜するため、高温等により有機EL表示素子に損傷を与えるような成腹方法は採用できない。真空蒸着、スパッタリング等が好ましい。
【0056】
本発明に係る薄膜発光表示素子は、他の物体、たとえば他の計器または表示装置に重ねた表示装置とした場合、発光時には、下にある計器の指示または表示装置の表示に邪魔されず表示することが可能となり、また、非発光時に光透過性を有するために、薄膜発光表示素子を通して、下にある計器の指示や表示装置の表示を見ることができるため、圧迫感なく狭い空間を有効に使用できる。また、審美的にも好ましい場合が多い。特に、自動車、計測器、電子玩具用表示装置として使用した場合に実用性が高いと考えられる。
【0057】
【実施例】
次に本発明の実施例および比較例を詳述する。例2が実施例であり、例1が比較例である。特性の測定方法は下記の通りである。
【0058】
(光透過率)
大塚電子(株)製顕微分光光度計により400〜800nmの範囲の波長について測定した。
【0059】
(輝度)
(株)トプコン社製輝度計BM−7により測定した。
【0060】
[例1]
ガラス基板上にITOを膜厚150nmで蒸着して陽極を形成した。この陽極上に、CuPcを膜厚10nmで蒸着して界面層を形成し、その上に4,4’−ビス(N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ)ビフェニル(α−NPD)を、真空蒸着法により蒸着して、膜厚40nmの正孔輸送層を形成した。次いで、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq)を蒸着し、膜厚50nmの発光層を形成した。さらに、その上にCuPcを膜厚5nmで蒸着して界面層を形成し、ついでITOを膜厚40nmで蒸着して陰極を形成して、薄膜発光表示素子を作製した。なお、非表示面側からの輝度測定を可能とするため、気体封止は行わなかった。
【0061】
この薄膜発光表示素子は、非発光時に光透過性を有し、非発光時の光透過率は、薄膜発光表示素子全体として、520nmにおいて77%であった。
【0062】
この薄膜発光表示素子について、表示面側と非表示面側とから輝度を測定した結果、10mA/cmの定電流駆動で、表示面側が54cd/m、非表示面側が40cd/mとなり、表示面側での輝度が非表示面側での輝度の約1.3倍であった。
【0063】
ガラスの屈折率を1.5、ITOの屈折率を1.8、大気の屈折率を1.0として、この素子の発光のピーク波長である520nmについて、図2のa21とa22とに該当する光路長差を計算により求めたところ、波長の0.66倍となった。すなわち、基板側への発光は干渉により弱められていることが示された。
【0064】
[例2]
ガラス基板上にITOを膜厚150nmで蒸着して陽極を形成した。この陽極上に、α−NPDを、真空蒸着法により蒸着して、膜厚40nmの正孔輸送層を形成した。次いで、Alqを蒸着し、膜厚50nmの発光層を形成した。さらに、その上にCuPcを膜厚5nmで蒸着して界面層を形成し、ついでITOを膜厚40nmで蒸着して陰極を形成し、その上にSiNを膜厚200nmで蒸着して、干渉制御用透明膜を形成し、薄膜発光表示素子を作製した。この場合も、非表示面側からの輝度測定を可能とするため、気体封止は行わなかった。
【0065】
この薄膜発光表示素子について、表示面側と非表示面側とから輝度を測定した結果、12.1Vの駆動で、表示面側が27cd/m、非表示面側が15cd/mとなった。表示面側での輝度が非表示面側での輝度の約1.8倍であり、例1に比べてより視認性が高められた。
【0066】
ガラスの屈折率を1.5,ITOの屈折率を1.8、大気の屈折率を1.0として、この素子の発光のピーク波長である520nmについて、図2のa21とa22との光路長差を計算により求めたところ、波長の2.0倍(整数倍)となった。すなわち、基板側への発光は干渉により強められていることが示された。
【0067】
【発明の効果】
本発明により、非発光時に光透過性を有する薄膜発光表示素子において、良好な視認性を与える薄膜発光表示素子が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】有機EL表示素子の模式的横断面図。
【図2】有機EL表示素子において、光の屈折の様子を示す模式的横断面図。
【図3】有機EL表示素子の他の模式的横断面図。
【図4】干渉制御用透明膜を有する有機EL表示素子において、光の屈折の様子を示す模式的横断面図。
【図5】干渉制御用透明膜を有する有機EL表示素子の模式的横断面図。
【図6】干渉制御用透明膜を有する有機EL表示素子の他の模式的横断面図。
【符号の説明】
1 基板
2 電極
3 発光層
4 電極
5 正孔輸送層
6 界面層
7 電子輸送層
8 界面層
9 干渉制御用透明膜
10 干渉制御用透明膜
11 封止気体
12 対向基板
13 封止材

Claims (9)

  1. 表示面側に基板を配し、非表示面側に封止気体を配し、基板と封止気体との間に、表示面側から順に第1の透明電極と、発光層と、第1の透明電極に対向して設けられた第2の透明電極とを備えた薄膜発光表示素子において、
    非発光時に光透過性を有し、発光時には表示面側での輝度が非表示面側での輝度の1.5倍以上である薄膜発光表示素子。
  2. 基板の屈折率と第1の透明電極の屈折率との差、または封止気体の屈折率と第2の透明電極の屈折率との差、またはその両方が0.3以上である、請求項1に記載の薄膜発光表示素子。
  3. 基板と第1の透明電極との間に、第1の透明電極の屈折率との差が0.2以下の屈折率を有する干渉制御用透明膜を配した、請求項1または2に記載の薄膜発光表示素子。
  4. 封止気体と第2の透明電極との間に、第2の透明電極の屈折率との差が0.2以下の屈折率を有する干渉制御用透明膜を配した、請求項1,2または3に記載の薄膜発光表示素子。
  5. 請求項1,2,3または4に記載の薄膜発光表示素子が第2の表示素子に重ねて配置された表示装置。
  6. 表示面側に基板を配し、非表示面側に封止気体を配し、基板と封止気体との間に、表示面側から順に第1の透明電極と、発光層と、第1の透明電極に対向して設けられた第2の透明電極とを備えた薄膜発光表示素子の製造方法において、
    非発光時に光透過性を有し、発光時には表示面側での輝度が非表示面側での輝度の1.5倍以上になるように薄膜発光表示素子の積層構造を調節する、
    薄膜発光表示素子の製造方法。
  7. 基板の屈折率と第1の透明電極の屈折率との差、または封止気体の屈折率と第2の透明電極の屈折率との差、またはその両方が0.3以上である、請求項6に記載の薄膜発光表示素子の製造方法。
  8. 基板と第1の透明電極との間に、第1の透明電極の屈折率との差が0.2以下の屈折率を有する干渉制御用透明膜を配する、請求項6または7に記載の薄膜発光表示素子の製造方法。
  9. 封止気体と第2の透明電極との間に、第2の透明電極の屈折率との差が0.2以下の屈折率を有する干渉制御用透明膜を配する、請求項6,7または8に記載の薄膜発光表示素子の製造方法。
JP2003069842A 2003-03-14 2003-03-14 薄膜発光表示素子、その製造方法および表示装置 Expired - Fee Related JP4176517B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003069842A JP4176517B2 (ja) 2003-03-14 2003-03-14 薄膜発光表示素子、その製造方法および表示装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003069842A JP4176517B2 (ja) 2003-03-14 2003-03-14 薄膜発光表示素子、その製造方法および表示装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2004281188A true JP2004281188A (ja) 2004-10-07
JP4176517B2 JP4176517B2 (ja) 2008-11-05

Family

ID=33286754

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003069842A Expired - Fee Related JP4176517B2 (ja) 2003-03-14 2003-03-14 薄膜発光表示素子、その製造方法および表示装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4176517B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20090118848A (ko) * 2008-05-14 2009-11-18 세이코 엡슨 가부시키가이샤 발광 장치 및 전자 기기
WO2015146904A1 (ja) * 2014-03-27 2015-10-01 株式会社オルタステクノロジー 表示装置
JPWO2018061102A1 (ja) * 2016-09-28 2019-07-11 パイオニア株式会社 発光装置
WO2021111501A1 (ja) * 2019-12-02 2021-06-10 シャープ株式会社 表示デバイス

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20090118848A (ko) * 2008-05-14 2009-11-18 세이코 엡슨 가부시키가이샤 발광 장치 및 전자 기기
KR101598026B1 (ko) * 2008-05-14 2016-02-26 세이코 엡슨 가부시키가이샤 발광 장치 및 전자 기기
WO2015146904A1 (ja) * 2014-03-27 2015-10-01 株式会社オルタステクノロジー 表示装置
JP2015191708A (ja) * 2014-03-27 2015-11-02 株式会社 オルタステクノロジー 表示装置
JPWO2018061102A1 (ja) * 2016-09-28 2019-07-11 パイオニア株式会社 発光装置
WO2021111501A1 (ja) * 2019-12-02 2021-06-10 シャープ株式会社 表示デバイス

Also Published As

Publication number Publication date
JP4176517B2 (ja) 2008-11-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6505901B1 (en) Organic electroluminescence device and process for fabricating the same
US6876018B2 (en) Organic light-emitting diode devices having reduced ambient-light reflection and method of making the same
US8212269B2 (en) Organic light emitting device, method for producing thereof and array of organic light emitting devices
KR20100071539A (ko) 유기 발광 표시 장치 및 그 제조 방법
US20060049419A1 (en) Light emitting diode device
US9343510B2 (en) Organic light emitting display device
JP2017501585A (ja) 有機発光表示装置及び視野角特性を改善したトップエミッション型oled装置
JP2003272855A (ja) 有機el素子および有機elパネル
JP2006244712A (ja) 有機エレクトロルミネッセント素子
JP6309707B2 (ja) 有機発光装置
KR100874321B1 (ko) 발광 소자 및 표시 장치
CN108134012B (zh) 有机发光二极管、有机发光显示面板及显示装置
JP4454354B2 (ja) 発光表示装置
KR100892369B1 (ko) 양면 디스플레이형 유기발광다이오드
JP4286216B2 (ja) 発光表示装置
JP2004014360A (ja) 有機el発光素子
KR20030002182A (ko) 유기 발광소자 및 그 제조방법
JP4176517B2 (ja) 薄膜発光表示素子、その製造方法および表示装置
JP4303011B2 (ja) 上面発光型有機エレクトロルミネセンス表示素子およびその製造方法
KR20150076000A (ko) 유기 발광 표시 장치 및 그 제조 방법
JP2004079421A (ja) 有機el素子
KR100528916B1 (ko) 배면발광형 전계발광소자
KR20140099973A (ko) 다층 구조로 형성된 절연층을 포함하는 유기 발광 표시 장치
JPH053081A (ja) 面発光装置
KR102098068B1 (ko) 마이크로 캐비티 구조를 적용한 화이트 유기발광다이오드 표시장치

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20051017

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20080218

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080627

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080701

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080714

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20080812

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20080820

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110829

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110829

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140829

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140829

Year of fee payment: 6

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140829

Year of fee payment: 6

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees