JP2004280393A - 指紋画像取得装置および指紋画像の画質判定プログラム - Google Patents
指紋画像取得装置および指紋画像の画質判定プログラム Download PDFInfo
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Abstract
【課題】指紋照合時の特徴点の抽出に適した高精度の指紋画像を取得する。
【解決手段】指紋センサで読み取った指紋画像に画像処理を施して、指紋の隆線に相当する領域(隆線領域)と谷線に相当する領域(谷線領域)とを区別できるように分離する(ステップS103)。さらに画像処理を施すことにより、隆線の本数、個々の隆線領域の周囲長、個々の隆線領域の面積を求め、求めた値から指紋画像の画質を表す指標値を算出する(ステップS104)。指標値を所定の閾値と比較することによって、指紋画像の画質を判定する(ステップS105)。画質が悪く指紋の特徴点を抽出できない場合には、好ましくは指紋センサの感度を調整してから(ステップS106)、再度指紋センサによる読取りを実施する。判定と再読取りを繰り返し、十分な画質と判定された時点で、その指紋画像を出力する(ステップS107)。
【選択図】 図1
【解決手段】指紋センサで読み取った指紋画像に画像処理を施して、指紋の隆線に相当する領域(隆線領域)と谷線に相当する領域(谷線領域)とを区別できるように分離する(ステップS103)。さらに画像処理を施すことにより、隆線の本数、個々の隆線領域の周囲長、個々の隆線領域の面積を求め、求めた値から指紋画像の画質を表す指標値を算出する(ステップS104)。指標値を所定の閾値と比較することによって、指紋画像の画質を判定する(ステップS105)。画質が悪く指紋の特徴点を抽出できない場合には、好ましくは指紋センサの感度を調整してから(ステップS106)、再度指紋センサによる読取りを実施する。判定と再読取りを繰り返し、十分な画質と判定された時点で、その指紋画像を出力する(ステップS107)。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、指紋センサを用いて指紋画像を取得する指紋画像取得装置と、指紋画像の画質判定プログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
入出門管理などに用いられる指紋照合装置は、指紋センサにより指紋を読み取って指紋画像を取得し、その指紋画像から指紋の隆線の端点あるいは分岐点などの特徴点を抽出し、その特徴点を予め登録された指紋の特徴点と比較判定することによって指紋の照合を行う。このような装置では、指紋画像の画質が悪いと判定を誤る可能性が高くなるため、まず取得した指紋画像の画質を判定し、必要に応じて画像補正あるいは指紋の再読取りを行ってから特徴点の抽出を行うことが一般的である。
【0003】
指紋画像の画質は、通常、画像の濃度に基づいて判定される。例えば、特許文献1に開示されている発明では、指紋画像の隆線を表す部分の濃度値を測定し、濃度のピーク値が所定値に満たない場合に、その指紋画像は不鮮明であると判定している。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−319234号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
指紋センサによる指紋の読取りでは、1本の隆線が、分断された複数の細かい線として読み取られてしまう場合が少なくない。このような指紋画像に対し特徴点の抽出を行えば、実際の隆線の端点のみならず指紋画像上の分断箇所までもが隆線の端点として抽出されてしまう。すなわち、本来1本の線として読み取られるべき隆線が複数の線として読み取られてしまった場合、その指紋画像は指紋照合に用いる画像として十分な画質を有しているとは言えない。
【0006】
しかし、上記濃度値に基づく画質判定では、線が分断された画像であっても、各線の濃度が十分濃ければ、画質は良いと判断されてしまう。すなわち、従来の指紋照合装置では、画質判定機能があるのにも拘わらず、不適当な画像で指紋照合が行われてしまい、結果として正しい照合結果が得られない場合があった。
【0007】
このため、指紋画像の画質を、特徴点の抽出を行うという目的に適っているかという観点で判定するような装置あるいはプログラムの提供が望まれる。さらには、上記判定機能により、常に高精度な指紋画像を取得する指紋画像取得装置の実現が望まれる。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために新たな指紋画像の取得処理を提案し、その処理を実行する手段として、次のような指紋画像取得装置および画質判定プログラムを提供する。
【0009】
本発明の指紋画像取得装置は、指紋センサを用いて指紋画像を取得する指紋画像取得装置であり、次の特徴を有する。この装置は、指紋画像の画質を表す指標値を算出する指標値算出手段と、その指標値算出手段により算出された指標値に基づいて指紋画像の画質を判定する画質判定手段とを備える。指紋画像の画質を表す指標値は、隆線または谷線のうちいずれか一方の指紋線について、指紋画像に含まれる指紋線の本数、指紋画像中の指紋線に相当する領域の周囲長、その領域の面積の中の少なくとも1つを用いて算出される。
【0010】
これは、指紋線の本数、周囲長あるいは面積は、特徴点の抽出し易さという観点から見た指紋画像の画質と関連があるということに着目したものである。この関連性を利用することにより、上記指標値に基づく精度の高い画質判定が可能になり、指紋センサにより得られた指紋画像が、指紋の特徴点の抽出に適していない場合に、読取り直しを行うことができる。
【0011】
この際、上記指紋画像取得装置に、画質判定手段による判定結果に基づいて指紋センサの感度を調整する感度調整手段を設けるとよい。読取条件を改善してから読取り直しを行えば、早く効率よく画質の良い指紋画像を取得できるからである。結果として、常に高精度な指紋画像を取得できるようになり、正確な特徴点抽出に基づく正確な指紋照合を行えるようになる。
【0012】
また、本発明の画質判定プログラムは、指紋センサを用いて取得された指紋画像の画質を判定する画質判定プログラムであって、指紋センサと接続された汎用コンピュータに実装することにより、そのコンピュータを前述の指標値算出手段および画質判定手段として機能させるプログラムである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について、図面を参照して詳細に説明する。はじめに、指紋画像取得処理の概要について説明する。
【0014】
図1は、本発明が提案する指紋画像取得処理の概要を示すフローチャートである。図に示すように、指紋画像取得処理では、ステップS101において指紋センサの上に指が置かれたことが検出されると、ステップS102において指紋センサによる指紋読取りが行われ、デジタルデータ形式の指紋画像が生成される。指紋画像は、例えば、指紋センサの縦横のサイズがそれぞれ15mmで、1画素が50×50μmであれば、300×300画素の解像度の画像となる。
【0015】
図2は、指紋センサが出力する指紋画像の一例を示す図である。指紋の紋様は隆線(盛り上がった線)と谷線(溝状の線)により構成されるが、図に示されるように、指紋画像上では隆線に相当する領域(以下、隆線領域と称する)は濃度が濃く、谷線に相当する領域(以下、谷線領域と称する)は濃度が薄く表示される。但し、指紋センサの読取方式によっては濃淡が逆の画像が得られる場合もある。
【0016】
ステップS103では、ステップS102において生成された指紋画像に対し画像処理が施され、隆線領域と谷線領域とが区別可能な状態に分離される。隆線領域と谷線領域を分離するためには、例えば指紋画像を走査して、画素ごとに画像濃度を判定し、濃度が所定値を超えていれば画素値を1に置き換え、超えていなければ画素値を0に置き換える処理を実行すればよい。図3は、このような処理によって二値化された指紋画像の一例を示す図である。
【0017】
次に、ステップS104において、二値化された指紋画像が、指紋の特徴点抽出に必要な画質を備えているか否かを表す指標値が算出される。ここでは、この指標値として、以下の5種類の値を用いることを提案する。
【0018】
第1の指標値は、個々の隆線領域の周囲長の総和である。図4(a)、(b)および(c)は、同じ指紋を読み取って得られた指紋画像の同じ部分を拡大した図である。図4(a)は指紋センサによる読取りが正しく行われた結果、ある1本の隆線が指紋画像上で隆線領域1として読み取られた場合を表している。一方、図4(b)および(c)は指紋センサによる読取りが正しく行われず、1本の隆線が複数の分断された隆線領域2a〜2fとして読み取られた場合を表している。図4(b)を図4(a)と比較すると、隆線が僅かに分断されて読みとられた場合には、隆線領域2a〜2fの周囲長を合計した値(総和)は、読み取りが正しく行われた場合の隆線領域1の周囲長よりも分断部分の周辺長分長くなることがわかる。一方、図4(c)を図4(a)と比較すると、読取精度がさらに低い場合には、隆線領域2a〜2fの周囲長を合計した値(総和)は、読み取りが正しく行われた場合の隆線領域1の周囲長よりも短くなることがわかる。
【0019】
隆線の幅、本数は、多少の個人差はあるものの、概ね決まった範囲内の値になる。したがって、指紋センサによる読取りが正しく行われた場合には、隆線領域の周囲長の総和も所定の範囲内の値となる。このことから、周囲長の総和が、その所定の範囲を逸脱した値である場合、例えば所定の上限閾値を超えた値であるか、または所定の下限閾値を下回る値である場合には、読取りが正しく行われず、1本の隆線が複数の領域に分断されている可能性が高いと考えられる。このように、隆線領域の周囲長の総和と指紋画像の画質の間には関連性が認められるため、隆線領域の周囲長の総和を指標値として指紋画像の画質を判定することができる。なお、閾値は、上記所定の範囲と指紋センサの面積、すなわち指紋センサにより読取れる範囲に応じて定めればよい。
【0020】
隆線領域の周囲長は、隆線領域と谷線領域の境界線を構成する画素の数として求めることができる。境界線は、公知の各種エッジ判定(抽出)方法により抽出することができる。指紋画像を隆線領域のエッジ判定を行いながら走査し、エッジと判定された画素の数をカウントすれば、隆線領域の周囲長の総和が求められる。
【0021】
第2の指標値は、個々の隆線の面積の総和である。図4(a)と図4(b)、(c)の比較から明らかであるように、読取りが正しく行われなかった場合の6個の隆線領域2a〜2fの面積の合計(総和)は、読取りが正しく行われた場合の隆線領域1の面積よりも小さくなる。隆線領域の面積の総和も、読取りが正確であれば、周囲長の総和と同様、通常は所定の範囲内の値になる。このことから、隆線領域の面積の総和が所定の閾値(例えば、上記所定の範囲の下限値)よりも小さい場合には、読取りが正しく行われず、1本の隆線が複数の領域に分断されている可能性が高いと考えられる。このように、隆線領域の面積の総和と指紋画像の画質の間には関連性が認められるため、隆線領域の面積の総和を指標値として指紋画像の画質を判定することができる。なお、閾値は、上記所定の範囲と指紋センサの面積、すなわち指紋センサにより読取れる範囲に応じて定めればよい。
【0022】
隆線領域の面積の総和は、例えば、隆線と谷線を分離するための二値化処理を実行する過程で、値1(黒)と判定された画素の数をカウントすることにより求められる。
【0023】
第3の指標値は、隆線の本数である。前述のように、1本の隆線は正しく読み取られれば、図4(a)に示されるように指紋画像上でも1本の隆線領域1となるはずである。しかし、読取りが不適切であれば、図4(b)あるいは(c)に示されるように指紋画像上では複数の隆線領域2a〜2f、すなわち6本の隆線として認識される。前述のように隆線の本数は、個人差こそあるものの概ね決まった範囲の本数である。したがって、指紋画像に含まれる隆線の本数が所定数(例えば20本)よりも多ければ、読取りが正しく行われなかった可能性が高いと考えてよい。このように、指紋画像に含まれる隆線の本数と指紋画像の画質の間には関連性が認められるため、指紋画像に含まれる隆線の本数を指標値として指紋画像の画質を判定することができる。
【0024】
第4の指標値は、隆線領域の周囲長の個数分布である。図4(a)と図4(b)、(c)の比較から明らかであるように、隆線が図4(b)、(c)のように指紋画像上で分断されてしまった場合、各隆線領域2a〜2fの1個あたりの周囲長は、図4(a)の1個の隆線領域1の周囲長よりも明らかに短くなる。このことから、隆線領域1個あたりの周囲長について所定の閾値を定め(例えば60画素)、その閾値以上の周囲長を有する隆線領域の個数が規定数に満たなければ、読取りが正しく行われなかった可能性が高いと考えてよい。このように、隆線領域の周囲長の個数分布と、指紋画像の画質の間には関連性が認められるため、隆線領域の周囲長の個数分布を指標値として指紋画像の画質を判定することができる。
【0025】
第5の指標値は、隆線領域の面積の個数分布である。図4(a)と図4(b)、(c)の比較から明らかであるように、隆線が図4(b)、(c)のように指紋画像上で分断されてしまった場合、各隆線領域2a〜2fの1個あたりの面積は、図4(a)の1個の隆線領域1の面積よりも明らかに小さくなる。このことから、隆線領域1個あたりの面積について所定の閾値を定め(例えば80画素)、その閾値以上の面積を有する隆線領域の個数が規定数に満たなければ、読取りが正しく行われなかった可能性が高いと考えてよい。このように、隆線領域の面積の個数分布を指標値として指紋画像の画質を判定することができる。
【0026】
隆線の本数、個々の隆線領域の周囲長および面積は、例えば、次の方法により求めることができる。図5は、図3に示したような二値化画像の一部を拡大した図である。図の個々の四角形は1つの画素を表している。a〜fの符号が付された画素(以下「画素a」などと称する)は隆線領域を構成する画素であり、その値は1である。一方、符号の無い画素は谷線領域を構成する画素であり、その値は0である。
【0027】
はじめに、指紋画像の中から任意の隆線領域を選択し、その隆線領域を構成する任意の一画素を第1隆線集合と定義する。以下、図の画素aが、第1隆線集合と定義された場合について説明する。なお、図において、符号の下の括弧書きの数字Nは、その画素が第N隆線集合に属する画素と定義されたことを意味する。
【0028】
次に、第1隆線集合の画素に隣接する8つの画素(太枠21内の画素)の中から隆線領域を構成する画素、すなわち値が1の画素を選択し、選択した画素の集合を第2隆線集合と定義する。図の例では、画素bと画素cが第2隆線集合に属することになる。
【0029】
さらに、第2隆線集合に属する各画素に隣接する画素の中から隆線領域を構成する画素を選択し、その中から第1隆線領域または第2隆線領域に属する画素を除いた残りの画素の集合を、第3隆線集合と定義する。図の例では、画素bと画素cに隣接する画素(破線枠22a、b内の画素)のうち隆線領域を構成する画素は、画素a,b、c、d、e、fの6つである。その中から第1隆線集合に属する画素aと、第2隆線集合に属する画素b、cを除外した残りの画素、すなわち画素d、e、fが第3隆線集合の画素と定義される。
【0030】
同様に、第(N−1)隆線集合に属する画素に隣接する画素の中から隆線領域を構成する画素を選択し、さらにその中から第(N―2)隆線集合にも第(N−1)隆線集合にも属さない画素のみを選択して第N隆線集合と定義する処理を繰り返す。例えば、図6は、太枠23で示される1個の隆線領域に対し、上述の処理を繰り返した結果を示している。各画素に付された数字Nは、その画素が第N隆線集合に属することを示している。図の例では、第11隆線集合に属する画素に隣接する画素(○印が付された画素)は、すべて谷線領域を構成する画素である。このため、第12隆線集合は空集合となり、これにより、太枠23で示される1個の隆線領域を識別することができる。
【0031】
また、上記処理の過程で、隆線領域を構成する画素とそれ以外の画素を判別しながら、隆線領域を構成する画素の数をカウントすれば、個々の隆線領域の面積を画素数として求めることができる。さらに、隆線領域を構成する画素のうち、谷線領域と隣接する画素の数をカウントすれば、その隆線領域の周囲長を画素数として求めることができる。
【0032】
1個の隆線領域が識別できたら、次に、指紋画像の、識別した隆線領域を除いた他の領域について、同様の処理を繰り返す。処理の対象となる隆線領域がなくなるまでに識別した隆線領域の個数を、隆線の本数とする。さらに、前述のように画素をカウントすることにより求めた各隆線領域の面積や周囲長のデータを集計すれば、隆線領域の面積や周囲長の個数分布を算出することができる。
【0033】
なお、例えば指紋センサの読取感度が高すぎて、隆線領域の幅が広く、隆線同士が接触したような指紋画像(つぶれた指紋画像)の場合には、隆線領域ではなく谷線の本数、谷線領域の周辺長、面積、あるいはそれらの個数分布を指標値としてもよいことは言うまでもない。本発明において重要なのは、画質判定のための指標値として、指紋線の本数や指紋線に相当する領域の周囲長、面積を取り入れた点にあり、対象とする指紋線は隆線には限られない。
【0034】
次に、図1のステップS105において、上記指標値に基づいて指紋画像の画質、すなわち指紋画像が指紋の特徴点を抽出できる程度に鮮明か否かを判定する。判定は、上記指標値のうちいずれか1つを利用して行ってもよいし、複数の指標値を組み合わせて判定してもよい。
【0035】
組み合わせの例としては、第1の指標値に基づいて第1の判定を行い、その画像が鮮明画像であると判定された場合にはさらに第2の指標値に基づいて第2の判定を行うというように段階的に判定を行い、5種類の判定のすべてにおいて鮮明画像であるとの判定結果が得られた場合にはじめて、その指紋画像は特徴点を抽出できる程度に鮮明であると判定する方法が考えられる。
【0036】
あるいは、指標値ごとに5種類の判定を並列に行い、鮮明画像であるという判定結果が得られた指標値の数と不鮮明画像であるという判定結果が得られた指標値の数とを比較し、多いほうを最終的な判定結果とする方法も考えられる。
【0037】
また、指紋線の本数、指紋線に相当する領域の周囲長あるいは面積について、それぞれ個別に指標値を定義するのではなく、それらを組み合わせた複合指標値を定義して、その複合指標値に基づいて判定を行ってもよい。複合指標値としては、例えば個々の隆線の周囲長と、面積の比などが考えられる。
【0038】
なお、上記判定手法や複合指標値の例は、本発明の範囲を限定するものではない。上記例以外にも、指紋画像が特徴点を抽出できる程度に鮮明であるか否かを表すような指標値、複合指標値あるいは判定手法が考えられることは言うまでもない。
【0039】
ステップS105において、指紋画像が鮮明であると判定された場合には、ステップS107において、その指紋画像が取得画像として出力される。一方、指紋画像が不鮮明であり誤った特徴点が抽出されるおそれがあると判定された場合には、ステップS106において自動的に指紋センサの感度が調整される。
【0040】
あるいは、感度調整に代えて、指紋の読取条件を改善するための何らかの処理が実行されるようにしてもよい。読取条件を改善するための処理とは、例えば、表示画面に「指が乾燥しています。指を湿らせてから、もう1度指を載せて下さい。」というメッセージを出力する処理などである。
【0041】
また、指紋画像が不鮮明である場合に、単に再読取りのみ行うようにしてもよい。但し、指の乾燥が原因である場合などには、再読取りを繰り返しても同じく不鮮明な画像しか得られないことが多いので、望ましくは前記センサ感度の調整のように、ハードウェアレベルで読取条件が改善される何らかの処理が実行されるようにするのがよい。画像を最初に取得する段階で改善を行うことにより、読取後の画像に対して画像補正を行うよりも、効率よく早く高精度な画像を取得することができるからである。
【0042】
ステップS102からS106までの処理は、ステップS105において特徴点の抽出に適した鮮明な画像が得られたと判定されるまで繰り返される。
【0043】
なお、指標値の算出と画質の判定は、必ずしも指紋画像全体を走査して行う必要はない。例えば、指紋画像の一部分のみを走査して指標値の算出、画質の判定、指紋センサの感度調整を繰り返し、十分な画質の指紋画像が得られると判断した時点で、あらためて指紋センサに指紋画像の読取りを指示し、最終画像として出力する指紋画像を取得してもよい。
【0044】
以上、指紋画像取得処理について説明した。次に上記処理を実行する指紋画像取得装置の具体的な実施の形態について、上記処理とハードウェアの構成とを関連づけながら説明する。
【0045】
まず、第1の実施の形態として、パソコンなどの汎用コンピュータの利用者制限を目的とした指紋照合システムについて、図7を参照して説明する。図に示すように、このシステムはパソコン4と、そのパソコン4に付属するディスプレイ5と、パソコン4に接続された指紋画像取得装置3とにより構成される。
【0046】
指紋画像取得装置3は、マイクロプロセッサ8と、そのマイクロプロセッサ8に接続された指紋センサ7、メモリ9およびUSB(Universal Serial Bus)などの外部接続インタフェース10を備えている。一方、パソコン4は、システムバス15により相互に接続されたCPU12,メモリ13、ディスプレイへの出力を制御する表示制御部11および外部接続インタフェース14を備えている。指紋画像取得装置3とパソコン4とは、外部接続インタフェース10および14を介してケーブル6により接続されている。
【0047】
図8は、図7のシステムを、システムの機能を実現するためのプログラムおよびデータに着目して表した図である。図に示すように、指紋画像取得装置3のメモリ9には、図1の指紋画像取得処理を実行する画像取得プログラム24と、画質判定に用いられる画質判定閾値データ25が記憶されている。一方、パソコン4のメモリ13には、指紋照合結果を利用する利用者制限プログラム26と、指紋照合プログラム27および登録指紋特徴点データ28が記憶されている。
【0048】
図7のマイクロプロセッサ8は、メモリ9から読み出した画像取得プログラム24に従って、指紋センサ7から指紋画像を表すデータを受信し(図1のステップS101、S102)、受信したデータに対し前述のような画像処理を施して指標値を算出し(ステップS103,104)、さらにメモリ9内に記憶されている画質判定閾値データ25と算出した指標値との比較により指紋画像の画質を判定し(ステップS105)、必要であれば指紋センサ7に対して感度の調整を指示する信号を送出する(ステップS106)。
【0049】
十分な画質の指紋画像を取得できた場合には、その画像は外部接続インタフェース10および14を介してパソコン4のメモリ13に転送される。パソコン4側では、CPU12が指紋照合プログラム27にしたがって、転送された指紋画像から特徴点を抽出し、抽出した特徴点を登録指紋特徴点データ28と比較することにより指紋照合を行う。利用者制限プログラム26は、指紋照合結果を参照することにより、パソコン4の利用者を制限する。
【0050】
次に説明する第2の実施の形態は、第1の実施の形態と同じく汎用コンピュータの利用者制限を目的とした指紋照合システムであり、ハードウェアの構成も図7に示した第1の実施の形態のハードウェア構成と同じである。但し、指紋画像取得装置3とパソコン4の機能は、第1の実施の形態とは異なる。
【0051】
図9は、第2の実施の形態において、指紋画像取得装置3およびパソコン4のそれぞれに組み込まれるプログラムおよびデータを表した図である。図に示すように、第2の実施の形態では、指紋画像取得装置3のメモリ9に、画像取得プログラム24と画質判定閾値データ25のみならず、指紋照合プログラム27および登録指紋の特徴点データ28が記憶されている。言い換えれば、指紋画像取得装置3は、指紋照合装置29としての機能を兼ね備えており、画像取得から指紋照合までの一連の処理が、すべて1つの装置により実行される。
【0052】
指紋照合装置29からパソコン4に対しては、外部接続インタフェース10および14を介して指紋照合の結果のみが伝達され、パソコン側の利用者制限プログラム26は、指紋照合結果を参照することにより、パソコン4の利用者を制限する。
【0053】
次に、第3の実施の形態として、汎用パソコンに指紋画像の画質判定機能を備えさせたシステムを示す。図10は、前記2つの実施の形態と同様に、パソコンなどの汎用コンピュータの利用者制限を目的とした指紋照合システムを示している。図7と同じ要素については同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0054】
図に示すように、このシステムはパソコン4と、そのパソコン4に附属するディスプレイ5と、パソコン4に接続された指紋読取装置16とにより構成される。指紋読取装置16は、指紋センサ7により指紋を読み取って指紋画像を表すデータを生成する機能のみを提供する装置である。指紋読取装置16により生成されたデータは、画質の良し悪しに拘わらず全てパソコン4に転送され、パソコン4のメモリ17に記憶される。すなわち、図1のステップS101の処理は指紋読取装置16により実行され、ステップS102の処理は、指紋読取装置16が指紋の読取を行ってパソコンに指紋画像を転送することにより完了する。
【0055】
このシステムでは、パソコン4のメモリ17に、指紋画像の画質判定プログラムが記憶されており、図1のステップS103からS105に相当する処理は、このプログラムを実行するCPU12により実行される。すなわち、指紋読取装置16から転送された指紋画像がメモリ17に記憶されると、CPU12は、メモリ17から読み出したプログラムにしたがって、その指紋画像について指標値の算出および画質の判定を行う。
【0056】
図1のステップS106の処理は、画質判定プログラムが感度調整および指紋の再読取りを指示する信号を生成して指紋読取装置16に転送し、指紋読取装置16がその信号に基づいて指紋センサ7の感度を調整し、指紋センサ7が指紋の再読取りを実行することにより完了する。再読取りの結果得られた指紋画像は、再び、その画質の良し悪しに拘わらずパソコン4に転送される。パソコン4の画質判定プログラムは、以上の処理を繰り返し、鮮明な指紋画像が得られたと判断した時点で、その指紋画像を指紋照合に用いる画像としてメモリに記憶する。以下、前記実施の形態と同様の指紋照合処理が実行される。
【0057】
さらに、第4の実施の形態として、本発明の指紋画像取得装置を、指紋照合機能を必要とする各種装置への組込ユニット(組込モジュール)として提供する場合について説明する。
【0058】
図11は、プリント基板18上に、指紋センサ7と、指紋画像取得専用プロセッサ19と、プリント基板18を装置本体に組み込む際の接続インタフェース20とが配置された組込ユニットを表している。この形態では、指紋センサ7により生成された指紋画像のデータは専用プロセッサ19に入力され、専用プロセッサ19により、上記指標値の算出、画質判定の処理が実行され、必要に応じて専用プロセッサ19から指紋センサ7に対し感度調整を要求する制御信号が送出される。
【0059】
以上に示したように、本発明が提案する指紋画像取得のための機能は、第1の実施の形態のような指紋画像取得専用の箱型装置として提供することもできるし、第2の実施の形態のように指紋照合装置の一機能として提供することもできるし、第3の実施の形態のようなパソコン用のプログラムとして提供することもできるし、第4の実施の形態のような組込ユニットとして提供することもできる。さらに、これらの実施の形態に一部変更を加えた他の提供形態も考えられるが、それらはすべて本発明の技術的思想の範囲に含まれる。
【0060】
言い換えれば、本発明の装置あるいはプログラムの特徴は、画質の判定を指紋画像に含まれる指紋線の本数、指紋画像中の前記指紋線に相当する領域の周囲長、その領域の面積を用いて算出される指標値に基づいて判定するという点にある。したがって、このような判定処理のためのプログラムを記憶できる記憶部と、そのプログラムを実行し得る処理部を備えていれば、あるいはこのような判定機能を備えた専用プロセッサを備えていれば、装置(システム)全体の構成はどのようなものであってもよい。
【0061】
また、本発明の装置あるいはプログラムのもう1つの特徴は、画質の判定結果に基づいて指紋センサの感度調整を行うなど、画質の判定結果を指紋センサによる読取段階にまでフィードバックさせる点にある。指紋センサによる読取段階で情報が欠落してしまった場合(隆線の途切れ)には、その後の画像処理では、もともと情報を含んでいない画素と、不適切な読取りにより情報が欠落してしまった画素とを区別することはできない。すなわち、画像処理による画質向上には限界がある。これに対し、本発明の装置あるいはプログラムは、読取り、画質判定、指紋センサの感度調整の繰り返しにより指紋画像を取得するため、欠落した情報の再取得が可能である。これにより、正確な指紋照合に必要不可欠な高精度の指紋画像を取得することが可能になる。
【0062】
【発明の効果】
本発明は、特徴点の抽出し易さという観点から見た指紋画像の画質と、指紋線の本数、指紋画像中の指紋線に相当する領域の周囲長あるいは面積との関連性に着目したものである。本発明の指紋画像取得装置および指紋画像の画質判定プログラムは、この関連性を利用して、指紋線の本数、指紋線の領域の周囲長あるいは面積から算出した指標値に基づいて画質を判定するため、精度の高い画質判定を行うことができる。
【0063】
さらに、画質判定の結果に基づいて指紋センサの感度を調整する機能を追加した場合には、常に最適な感度で読み取られた高精度な指紋画像を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】指紋画像取得処理の概要を示すフローチャート
【図2】指紋センサにより取得された指紋画像の一例を示す図
【図3】隆線領域と谷線領域が分離された指紋画像の一例を示す図
【図4】指標値について説明するための図
【図5】指標値を算出する方法について説明するための図
【図6】指標値算出処理の一例を示す図
【図7】指紋照合システムの構成概要を示す図
【図8】本発明の指紋画像取得装置の一実施の形態を表す図
【図9】本発明の指紋画像取得装置の他の実施の形態を表す図
【図10】本発明の画質判定プログラムの一実施の形態を表す図
【図11】本発明の指紋画像取得装置のさらに他の実施の形態を示す図
【符号の説明】
1,2a〜2f 隆線領域、 3 指紋画像取得装置、 4 パソコン、 6ケーブル、 15 システムバス、 18 プリント基板、 29 指紋照合装置。
【発明の属する技術分野】
本発明は、指紋センサを用いて指紋画像を取得する指紋画像取得装置と、指紋画像の画質判定プログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
入出門管理などに用いられる指紋照合装置は、指紋センサにより指紋を読み取って指紋画像を取得し、その指紋画像から指紋の隆線の端点あるいは分岐点などの特徴点を抽出し、その特徴点を予め登録された指紋の特徴点と比較判定することによって指紋の照合を行う。このような装置では、指紋画像の画質が悪いと判定を誤る可能性が高くなるため、まず取得した指紋画像の画質を判定し、必要に応じて画像補正あるいは指紋の再読取りを行ってから特徴点の抽出を行うことが一般的である。
【0003】
指紋画像の画質は、通常、画像の濃度に基づいて判定される。例えば、特許文献1に開示されている発明では、指紋画像の隆線を表す部分の濃度値を測定し、濃度のピーク値が所定値に満たない場合に、その指紋画像は不鮮明であると判定している。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−319234号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
指紋センサによる指紋の読取りでは、1本の隆線が、分断された複数の細かい線として読み取られてしまう場合が少なくない。このような指紋画像に対し特徴点の抽出を行えば、実際の隆線の端点のみならず指紋画像上の分断箇所までもが隆線の端点として抽出されてしまう。すなわち、本来1本の線として読み取られるべき隆線が複数の線として読み取られてしまった場合、その指紋画像は指紋照合に用いる画像として十分な画質を有しているとは言えない。
【0006】
しかし、上記濃度値に基づく画質判定では、線が分断された画像であっても、各線の濃度が十分濃ければ、画質は良いと判断されてしまう。すなわち、従来の指紋照合装置では、画質判定機能があるのにも拘わらず、不適当な画像で指紋照合が行われてしまい、結果として正しい照合結果が得られない場合があった。
【0007】
このため、指紋画像の画質を、特徴点の抽出を行うという目的に適っているかという観点で判定するような装置あるいはプログラムの提供が望まれる。さらには、上記判定機能により、常に高精度な指紋画像を取得する指紋画像取得装置の実現が望まれる。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために新たな指紋画像の取得処理を提案し、その処理を実行する手段として、次のような指紋画像取得装置および画質判定プログラムを提供する。
【0009】
本発明の指紋画像取得装置は、指紋センサを用いて指紋画像を取得する指紋画像取得装置であり、次の特徴を有する。この装置は、指紋画像の画質を表す指標値を算出する指標値算出手段と、その指標値算出手段により算出された指標値に基づいて指紋画像の画質を判定する画質判定手段とを備える。指紋画像の画質を表す指標値は、隆線または谷線のうちいずれか一方の指紋線について、指紋画像に含まれる指紋線の本数、指紋画像中の指紋線に相当する領域の周囲長、その領域の面積の中の少なくとも1つを用いて算出される。
【0010】
これは、指紋線の本数、周囲長あるいは面積は、特徴点の抽出し易さという観点から見た指紋画像の画質と関連があるということに着目したものである。この関連性を利用することにより、上記指標値に基づく精度の高い画質判定が可能になり、指紋センサにより得られた指紋画像が、指紋の特徴点の抽出に適していない場合に、読取り直しを行うことができる。
【0011】
この際、上記指紋画像取得装置に、画質判定手段による判定結果に基づいて指紋センサの感度を調整する感度調整手段を設けるとよい。読取条件を改善してから読取り直しを行えば、早く効率よく画質の良い指紋画像を取得できるからである。結果として、常に高精度な指紋画像を取得できるようになり、正確な特徴点抽出に基づく正確な指紋照合を行えるようになる。
【0012】
また、本発明の画質判定プログラムは、指紋センサを用いて取得された指紋画像の画質を判定する画質判定プログラムであって、指紋センサと接続された汎用コンピュータに実装することにより、そのコンピュータを前述の指標値算出手段および画質判定手段として機能させるプログラムである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について、図面を参照して詳細に説明する。はじめに、指紋画像取得処理の概要について説明する。
【0014】
図1は、本発明が提案する指紋画像取得処理の概要を示すフローチャートである。図に示すように、指紋画像取得処理では、ステップS101において指紋センサの上に指が置かれたことが検出されると、ステップS102において指紋センサによる指紋読取りが行われ、デジタルデータ形式の指紋画像が生成される。指紋画像は、例えば、指紋センサの縦横のサイズがそれぞれ15mmで、1画素が50×50μmであれば、300×300画素の解像度の画像となる。
【0015】
図2は、指紋センサが出力する指紋画像の一例を示す図である。指紋の紋様は隆線(盛り上がった線)と谷線(溝状の線)により構成されるが、図に示されるように、指紋画像上では隆線に相当する領域(以下、隆線領域と称する)は濃度が濃く、谷線に相当する領域(以下、谷線領域と称する)は濃度が薄く表示される。但し、指紋センサの読取方式によっては濃淡が逆の画像が得られる場合もある。
【0016】
ステップS103では、ステップS102において生成された指紋画像に対し画像処理が施され、隆線領域と谷線領域とが区別可能な状態に分離される。隆線領域と谷線領域を分離するためには、例えば指紋画像を走査して、画素ごとに画像濃度を判定し、濃度が所定値を超えていれば画素値を1に置き換え、超えていなければ画素値を0に置き換える処理を実行すればよい。図3は、このような処理によって二値化された指紋画像の一例を示す図である。
【0017】
次に、ステップS104において、二値化された指紋画像が、指紋の特徴点抽出に必要な画質を備えているか否かを表す指標値が算出される。ここでは、この指標値として、以下の5種類の値を用いることを提案する。
【0018】
第1の指標値は、個々の隆線領域の周囲長の総和である。図4(a)、(b)および(c)は、同じ指紋を読み取って得られた指紋画像の同じ部分を拡大した図である。図4(a)は指紋センサによる読取りが正しく行われた結果、ある1本の隆線が指紋画像上で隆線領域1として読み取られた場合を表している。一方、図4(b)および(c)は指紋センサによる読取りが正しく行われず、1本の隆線が複数の分断された隆線領域2a〜2fとして読み取られた場合を表している。図4(b)を図4(a)と比較すると、隆線が僅かに分断されて読みとられた場合には、隆線領域2a〜2fの周囲長を合計した値(総和)は、読み取りが正しく行われた場合の隆線領域1の周囲長よりも分断部分の周辺長分長くなることがわかる。一方、図4(c)を図4(a)と比較すると、読取精度がさらに低い場合には、隆線領域2a〜2fの周囲長を合計した値(総和)は、読み取りが正しく行われた場合の隆線領域1の周囲長よりも短くなることがわかる。
【0019】
隆線の幅、本数は、多少の個人差はあるものの、概ね決まった範囲内の値になる。したがって、指紋センサによる読取りが正しく行われた場合には、隆線領域の周囲長の総和も所定の範囲内の値となる。このことから、周囲長の総和が、その所定の範囲を逸脱した値である場合、例えば所定の上限閾値を超えた値であるか、または所定の下限閾値を下回る値である場合には、読取りが正しく行われず、1本の隆線が複数の領域に分断されている可能性が高いと考えられる。このように、隆線領域の周囲長の総和と指紋画像の画質の間には関連性が認められるため、隆線領域の周囲長の総和を指標値として指紋画像の画質を判定することができる。なお、閾値は、上記所定の範囲と指紋センサの面積、すなわち指紋センサにより読取れる範囲に応じて定めればよい。
【0020】
隆線領域の周囲長は、隆線領域と谷線領域の境界線を構成する画素の数として求めることができる。境界線は、公知の各種エッジ判定(抽出)方法により抽出することができる。指紋画像を隆線領域のエッジ判定を行いながら走査し、エッジと判定された画素の数をカウントすれば、隆線領域の周囲長の総和が求められる。
【0021】
第2の指標値は、個々の隆線の面積の総和である。図4(a)と図4(b)、(c)の比較から明らかであるように、読取りが正しく行われなかった場合の6個の隆線領域2a〜2fの面積の合計(総和)は、読取りが正しく行われた場合の隆線領域1の面積よりも小さくなる。隆線領域の面積の総和も、読取りが正確であれば、周囲長の総和と同様、通常は所定の範囲内の値になる。このことから、隆線領域の面積の総和が所定の閾値(例えば、上記所定の範囲の下限値)よりも小さい場合には、読取りが正しく行われず、1本の隆線が複数の領域に分断されている可能性が高いと考えられる。このように、隆線領域の面積の総和と指紋画像の画質の間には関連性が認められるため、隆線領域の面積の総和を指標値として指紋画像の画質を判定することができる。なお、閾値は、上記所定の範囲と指紋センサの面積、すなわち指紋センサにより読取れる範囲に応じて定めればよい。
【0022】
隆線領域の面積の総和は、例えば、隆線と谷線を分離するための二値化処理を実行する過程で、値1(黒)と判定された画素の数をカウントすることにより求められる。
【0023】
第3の指標値は、隆線の本数である。前述のように、1本の隆線は正しく読み取られれば、図4(a)に示されるように指紋画像上でも1本の隆線領域1となるはずである。しかし、読取りが不適切であれば、図4(b)あるいは(c)に示されるように指紋画像上では複数の隆線領域2a〜2f、すなわち6本の隆線として認識される。前述のように隆線の本数は、個人差こそあるものの概ね決まった範囲の本数である。したがって、指紋画像に含まれる隆線の本数が所定数(例えば20本)よりも多ければ、読取りが正しく行われなかった可能性が高いと考えてよい。このように、指紋画像に含まれる隆線の本数と指紋画像の画質の間には関連性が認められるため、指紋画像に含まれる隆線の本数を指標値として指紋画像の画質を判定することができる。
【0024】
第4の指標値は、隆線領域の周囲長の個数分布である。図4(a)と図4(b)、(c)の比較から明らかであるように、隆線が図4(b)、(c)のように指紋画像上で分断されてしまった場合、各隆線領域2a〜2fの1個あたりの周囲長は、図4(a)の1個の隆線領域1の周囲長よりも明らかに短くなる。このことから、隆線領域1個あたりの周囲長について所定の閾値を定め(例えば60画素)、その閾値以上の周囲長を有する隆線領域の個数が規定数に満たなければ、読取りが正しく行われなかった可能性が高いと考えてよい。このように、隆線領域の周囲長の個数分布と、指紋画像の画質の間には関連性が認められるため、隆線領域の周囲長の個数分布を指標値として指紋画像の画質を判定することができる。
【0025】
第5の指標値は、隆線領域の面積の個数分布である。図4(a)と図4(b)、(c)の比較から明らかであるように、隆線が図4(b)、(c)のように指紋画像上で分断されてしまった場合、各隆線領域2a〜2fの1個あたりの面積は、図4(a)の1個の隆線領域1の面積よりも明らかに小さくなる。このことから、隆線領域1個あたりの面積について所定の閾値を定め(例えば80画素)、その閾値以上の面積を有する隆線領域の個数が規定数に満たなければ、読取りが正しく行われなかった可能性が高いと考えてよい。このように、隆線領域の面積の個数分布を指標値として指紋画像の画質を判定することができる。
【0026】
隆線の本数、個々の隆線領域の周囲長および面積は、例えば、次の方法により求めることができる。図5は、図3に示したような二値化画像の一部を拡大した図である。図の個々の四角形は1つの画素を表している。a〜fの符号が付された画素(以下「画素a」などと称する)は隆線領域を構成する画素であり、その値は1である。一方、符号の無い画素は谷線領域を構成する画素であり、その値は0である。
【0027】
はじめに、指紋画像の中から任意の隆線領域を選択し、その隆線領域を構成する任意の一画素を第1隆線集合と定義する。以下、図の画素aが、第1隆線集合と定義された場合について説明する。なお、図において、符号の下の括弧書きの数字Nは、その画素が第N隆線集合に属する画素と定義されたことを意味する。
【0028】
次に、第1隆線集合の画素に隣接する8つの画素(太枠21内の画素)の中から隆線領域を構成する画素、すなわち値が1の画素を選択し、選択した画素の集合を第2隆線集合と定義する。図の例では、画素bと画素cが第2隆線集合に属することになる。
【0029】
さらに、第2隆線集合に属する各画素に隣接する画素の中から隆線領域を構成する画素を選択し、その中から第1隆線領域または第2隆線領域に属する画素を除いた残りの画素の集合を、第3隆線集合と定義する。図の例では、画素bと画素cに隣接する画素(破線枠22a、b内の画素)のうち隆線領域を構成する画素は、画素a,b、c、d、e、fの6つである。その中から第1隆線集合に属する画素aと、第2隆線集合に属する画素b、cを除外した残りの画素、すなわち画素d、e、fが第3隆線集合の画素と定義される。
【0030】
同様に、第(N−1)隆線集合に属する画素に隣接する画素の中から隆線領域を構成する画素を選択し、さらにその中から第(N―2)隆線集合にも第(N−1)隆線集合にも属さない画素のみを選択して第N隆線集合と定義する処理を繰り返す。例えば、図6は、太枠23で示される1個の隆線領域に対し、上述の処理を繰り返した結果を示している。各画素に付された数字Nは、その画素が第N隆線集合に属することを示している。図の例では、第11隆線集合に属する画素に隣接する画素(○印が付された画素)は、すべて谷線領域を構成する画素である。このため、第12隆線集合は空集合となり、これにより、太枠23で示される1個の隆線領域を識別することができる。
【0031】
また、上記処理の過程で、隆線領域を構成する画素とそれ以外の画素を判別しながら、隆線領域を構成する画素の数をカウントすれば、個々の隆線領域の面積を画素数として求めることができる。さらに、隆線領域を構成する画素のうち、谷線領域と隣接する画素の数をカウントすれば、その隆線領域の周囲長を画素数として求めることができる。
【0032】
1個の隆線領域が識別できたら、次に、指紋画像の、識別した隆線領域を除いた他の領域について、同様の処理を繰り返す。処理の対象となる隆線領域がなくなるまでに識別した隆線領域の個数を、隆線の本数とする。さらに、前述のように画素をカウントすることにより求めた各隆線領域の面積や周囲長のデータを集計すれば、隆線領域の面積や周囲長の個数分布を算出することができる。
【0033】
なお、例えば指紋センサの読取感度が高すぎて、隆線領域の幅が広く、隆線同士が接触したような指紋画像(つぶれた指紋画像)の場合には、隆線領域ではなく谷線の本数、谷線領域の周辺長、面積、あるいはそれらの個数分布を指標値としてもよいことは言うまでもない。本発明において重要なのは、画質判定のための指標値として、指紋線の本数や指紋線に相当する領域の周囲長、面積を取り入れた点にあり、対象とする指紋線は隆線には限られない。
【0034】
次に、図1のステップS105において、上記指標値に基づいて指紋画像の画質、すなわち指紋画像が指紋の特徴点を抽出できる程度に鮮明か否かを判定する。判定は、上記指標値のうちいずれか1つを利用して行ってもよいし、複数の指標値を組み合わせて判定してもよい。
【0035】
組み合わせの例としては、第1の指標値に基づいて第1の判定を行い、その画像が鮮明画像であると判定された場合にはさらに第2の指標値に基づいて第2の判定を行うというように段階的に判定を行い、5種類の判定のすべてにおいて鮮明画像であるとの判定結果が得られた場合にはじめて、その指紋画像は特徴点を抽出できる程度に鮮明であると判定する方法が考えられる。
【0036】
あるいは、指標値ごとに5種類の判定を並列に行い、鮮明画像であるという判定結果が得られた指標値の数と不鮮明画像であるという判定結果が得られた指標値の数とを比較し、多いほうを最終的な判定結果とする方法も考えられる。
【0037】
また、指紋線の本数、指紋線に相当する領域の周囲長あるいは面積について、それぞれ個別に指標値を定義するのではなく、それらを組み合わせた複合指標値を定義して、その複合指標値に基づいて判定を行ってもよい。複合指標値としては、例えば個々の隆線の周囲長と、面積の比などが考えられる。
【0038】
なお、上記判定手法や複合指標値の例は、本発明の範囲を限定するものではない。上記例以外にも、指紋画像が特徴点を抽出できる程度に鮮明であるか否かを表すような指標値、複合指標値あるいは判定手法が考えられることは言うまでもない。
【0039】
ステップS105において、指紋画像が鮮明であると判定された場合には、ステップS107において、その指紋画像が取得画像として出力される。一方、指紋画像が不鮮明であり誤った特徴点が抽出されるおそれがあると判定された場合には、ステップS106において自動的に指紋センサの感度が調整される。
【0040】
あるいは、感度調整に代えて、指紋の読取条件を改善するための何らかの処理が実行されるようにしてもよい。読取条件を改善するための処理とは、例えば、表示画面に「指が乾燥しています。指を湿らせてから、もう1度指を載せて下さい。」というメッセージを出力する処理などである。
【0041】
また、指紋画像が不鮮明である場合に、単に再読取りのみ行うようにしてもよい。但し、指の乾燥が原因である場合などには、再読取りを繰り返しても同じく不鮮明な画像しか得られないことが多いので、望ましくは前記センサ感度の調整のように、ハードウェアレベルで読取条件が改善される何らかの処理が実行されるようにするのがよい。画像を最初に取得する段階で改善を行うことにより、読取後の画像に対して画像補正を行うよりも、効率よく早く高精度な画像を取得することができるからである。
【0042】
ステップS102からS106までの処理は、ステップS105において特徴点の抽出に適した鮮明な画像が得られたと判定されるまで繰り返される。
【0043】
なお、指標値の算出と画質の判定は、必ずしも指紋画像全体を走査して行う必要はない。例えば、指紋画像の一部分のみを走査して指標値の算出、画質の判定、指紋センサの感度調整を繰り返し、十分な画質の指紋画像が得られると判断した時点で、あらためて指紋センサに指紋画像の読取りを指示し、最終画像として出力する指紋画像を取得してもよい。
【0044】
以上、指紋画像取得処理について説明した。次に上記処理を実行する指紋画像取得装置の具体的な実施の形態について、上記処理とハードウェアの構成とを関連づけながら説明する。
【0045】
まず、第1の実施の形態として、パソコンなどの汎用コンピュータの利用者制限を目的とした指紋照合システムについて、図7を参照して説明する。図に示すように、このシステムはパソコン4と、そのパソコン4に付属するディスプレイ5と、パソコン4に接続された指紋画像取得装置3とにより構成される。
【0046】
指紋画像取得装置3は、マイクロプロセッサ8と、そのマイクロプロセッサ8に接続された指紋センサ7、メモリ9およびUSB(Universal Serial Bus)などの外部接続インタフェース10を備えている。一方、パソコン4は、システムバス15により相互に接続されたCPU12,メモリ13、ディスプレイへの出力を制御する表示制御部11および外部接続インタフェース14を備えている。指紋画像取得装置3とパソコン4とは、外部接続インタフェース10および14を介してケーブル6により接続されている。
【0047】
図8は、図7のシステムを、システムの機能を実現するためのプログラムおよびデータに着目して表した図である。図に示すように、指紋画像取得装置3のメモリ9には、図1の指紋画像取得処理を実行する画像取得プログラム24と、画質判定に用いられる画質判定閾値データ25が記憶されている。一方、パソコン4のメモリ13には、指紋照合結果を利用する利用者制限プログラム26と、指紋照合プログラム27および登録指紋特徴点データ28が記憶されている。
【0048】
図7のマイクロプロセッサ8は、メモリ9から読み出した画像取得プログラム24に従って、指紋センサ7から指紋画像を表すデータを受信し(図1のステップS101、S102)、受信したデータに対し前述のような画像処理を施して指標値を算出し(ステップS103,104)、さらにメモリ9内に記憶されている画質判定閾値データ25と算出した指標値との比較により指紋画像の画質を判定し(ステップS105)、必要であれば指紋センサ7に対して感度の調整を指示する信号を送出する(ステップS106)。
【0049】
十分な画質の指紋画像を取得できた場合には、その画像は外部接続インタフェース10および14を介してパソコン4のメモリ13に転送される。パソコン4側では、CPU12が指紋照合プログラム27にしたがって、転送された指紋画像から特徴点を抽出し、抽出した特徴点を登録指紋特徴点データ28と比較することにより指紋照合を行う。利用者制限プログラム26は、指紋照合結果を参照することにより、パソコン4の利用者を制限する。
【0050】
次に説明する第2の実施の形態は、第1の実施の形態と同じく汎用コンピュータの利用者制限を目的とした指紋照合システムであり、ハードウェアの構成も図7に示した第1の実施の形態のハードウェア構成と同じである。但し、指紋画像取得装置3とパソコン4の機能は、第1の実施の形態とは異なる。
【0051】
図9は、第2の実施の形態において、指紋画像取得装置3およびパソコン4のそれぞれに組み込まれるプログラムおよびデータを表した図である。図に示すように、第2の実施の形態では、指紋画像取得装置3のメモリ9に、画像取得プログラム24と画質判定閾値データ25のみならず、指紋照合プログラム27および登録指紋の特徴点データ28が記憶されている。言い換えれば、指紋画像取得装置3は、指紋照合装置29としての機能を兼ね備えており、画像取得から指紋照合までの一連の処理が、すべて1つの装置により実行される。
【0052】
指紋照合装置29からパソコン4に対しては、外部接続インタフェース10および14を介して指紋照合の結果のみが伝達され、パソコン側の利用者制限プログラム26は、指紋照合結果を参照することにより、パソコン4の利用者を制限する。
【0053】
次に、第3の実施の形態として、汎用パソコンに指紋画像の画質判定機能を備えさせたシステムを示す。図10は、前記2つの実施の形態と同様に、パソコンなどの汎用コンピュータの利用者制限を目的とした指紋照合システムを示している。図7と同じ要素については同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0054】
図に示すように、このシステムはパソコン4と、そのパソコン4に附属するディスプレイ5と、パソコン4に接続された指紋読取装置16とにより構成される。指紋読取装置16は、指紋センサ7により指紋を読み取って指紋画像を表すデータを生成する機能のみを提供する装置である。指紋読取装置16により生成されたデータは、画質の良し悪しに拘わらず全てパソコン4に転送され、パソコン4のメモリ17に記憶される。すなわち、図1のステップS101の処理は指紋読取装置16により実行され、ステップS102の処理は、指紋読取装置16が指紋の読取を行ってパソコンに指紋画像を転送することにより完了する。
【0055】
このシステムでは、パソコン4のメモリ17に、指紋画像の画質判定プログラムが記憶されており、図1のステップS103からS105に相当する処理は、このプログラムを実行するCPU12により実行される。すなわち、指紋読取装置16から転送された指紋画像がメモリ17に記憶されると、CPU12は、メモリ17から読み出したプログラムにしたがって、その指紋画像について指標値の算出および画質の判定を行う。
【0056】
図1のステップS106の処理は、画質判定プログラムが感度調整および指紋の再読取りを指示する信号を生成して指紋読取装置16に転送し、指紋読取装置16がその信号に基づいて指紋センサ7の感度を調整し、指紋センサ7が指紋の再読取りを実行することにより完了する。再読取りの結果得られた指紋画像は、再び、その画質の良し悪しに拘わらずパソコン4に転送される。パソコン4の画質判定プログラムは、以上の処理を繰り返し、鮮明な指紋画像が得られたと判断した時点で、その指紋画像を指紋照合に用いる画像としてメモリに記憶する。以下、前記実施の形態と同様の指紋照合処理が実行される。
【0057】
さらに、第4の実施の形態として、本発明の指紋画像取得装置を、指紋照合機能を必要とする各種装置への組込ユニット(組込モジュール)として提供する場合について説明する。
【0058】
図11は、プリント基板18上に、指紋センサ7と、指紋画像取得専用プロセッサ19と、プリント基板18を装置本体に組み込む際の接続インタフェース20とが配置された組込ユニットを表している。この形態では、指紋センサ7により生成された指紋画像のデータは専用プロセッサ19に入力され、専用プロセッサ19により、上記指標値の算出、画質判定の処理が実行され、必要に応じて専用プロセッサ19から指紋センサ7に対し感度調整を要求する制御信号が送出される。
【0059】
以上に示したように、本発明が提案する指紋画像取得のための機能は、第1の実施の形態のような指紋画像取得専用の箱型装置として提供することもできるし、第2の実施の形態のように指紋照合装置の一機能として提供することもできるし、第3の実施の形態のようなパソコン用のプログラムとして提供することもできるし、第4の実施の形態のような組込ユニットとして提供することもできる。さらに、これらの実施の形態に一部変更を加えた他の提供形態も考えられるが、それらはすべて本発明の技術的思想の範囲に含まれる。
【0060】
言い換えれば、本発明の装置あるいはプログラムの特徴は、画質の判定を指紋画像に含まれる指紋線の本数、指紋画像中の前記指紋線に相当する領域の周囲長、その領域の面積を用いて算出される指標値に基づいて判定するという点にある。したがって、このような判定処理のためのプログラムを記憶できる記憶部と、そのプログラムを実行し得る処理部を備えていれば、あるいはこのような判定機能を備えた専用プロセッサを備えていれば、装置(システム)全体の構成はどのようなものであってもよい。
【0061】
また、本発明の装置あるいはプログラムのもう1つの特徴は、画質の判定結果に基づいて指紋センサの感度調整を行うなど、画質の判定結果を指紋センサによる読取段階にまでフィードバックさせる点にある。指紋センサによる読取段階で情報が欠落してしまった場合(隆線の途切れ)には、その後の画像処理では、もともと情報を含んでいない画素と、不適切な読取りにより情報が欠落してしまった画素とを区別することはできない。すなわち、画像処理による画質向上には限界がある。これに対し、本発明の装置あるいはプログラムは、読取り、画質判定、指紋センサの感度調整の繰り返しにより指紋画像を取得するため、欠落した情報の再取得が可能である。これにより、正確な指紋照合に必要不可欠な高精度の指紋画像を取得することが可能になる。
【0062】
【発明の効果】
本発明は、特徴点の抽出し易さという観点から見た指紋画像の画質と、指紋線の本数、指紋画像中の指紋線に相当する領域の周囲長あるいは面積との関連性に着目したものである。本発明の指紋画像取得装置および指紋画像の画質判定プログラムは、この関連性を利用して、指紋線の本数、指紋線の領域の周囲長あるいは面積から算出した指標値に基づいて画質を判定するため、精度の高い画質判定を行うことができる。
【0063】
さらに、画質判定の結果に基づいて指紋センサの感度を調整する機能を追加した場合には、常に最適な感度で読み取られた高精度な指紋画像を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】指紋画像取得処理の概要を示すフローチャート
【図2】指紋センサにより取得された指紋画像の一例を示す図
【図3】隆線領域と谷線領域が分離された指紋画像の一例を示す図
【図4】指標値について説明するための図
【図5】指標値を算出する方法について説明するための図
【図6】指標値算出処理の一例を示す図
【図7】指紋照合システムの構成概要を示す図
【図8】本発明の指紋画像取得装置の一実施の形態を表す図
【図9】本発明の指紋画像取得装置の他の実施の形態を表す図
【図10】本発明の画質判定プログラムの一実施の形態を表す図
【図11】本発明の指紋画像取得装置のさらに他の実施の形態を示す図
【符号の説明】
1,2a〜2f 隆線領域、 3 指紋画像取得装置、 4 パソコン、 6ケーブル、 15 システムバス、 18 プリント基板、 29 指紋照合装置。
Claims (3)
- 指紋センサを用いて指紋画像を取得する指紋画像取得装置であって、
隆線または谷線のうちいずれか一方の指紋線について、前記指紋画像に含まれる前記指紋線の本数、前記指紋画像中の前記指紋線に相当する領域の周囲長、前記領域の面積の中の少なくとも1つを用いて、前記指紋画像の画質を表す指標値を算出する指標値算出手段と、
前記指標値算出手段により算出された指標値に基づいて、前記指紋画像の画質を判定する画質判定手段とを備えたことを特徴とする指紋画像取得装置。 - 前記画質判定手段による判定結果に基づいて、前記指紋センサの感度を調整する感度調整手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1記載の指紋画像取得装置。
- 指紋センサを用いて取得された指紋画像の画質を判定する画質判定プログラムであって、コンピュータを、
隆線または谷線のうちいずれか一方の指紋線について、前記指紋画像に含まれる前記指紋線の本数、前記指紋画像中の前記指紋線に相当する領域の周囲長、前記領域の面積の中の少なくとも1つを用いて、前記指紋画像の画質を表す指標値を算出する指標値算出手段、および
前記指標値算出手段により算出された指標値に基づいて、前記指紋画像の画質を判定する画質判定手段として機能させる指紋画像の画質判定プログラム。
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- 2003-03-14 JP JP2003070118A patent/JP2004280393A/ja active Pending
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