JP2004280249A - 開発工期短縮支援装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】大規模な開発プロジェクトのプロセス計画作業を効率的にする。
【解決手段】矩形領域D内に存在する依存成分(:xij=1)の数Nを用いて定義される評価関数f(X,D)=min(L1 ,L2 )/Nが略最大となる代表矩形領域D0 (網かけ部分)を探索する。長方形内に依存成分が存在しない場合、長方形の辺の長さL1 ,L2 の内の短い方は、並列化できる作業の数に相当する。また、一般に、作業を並列化するために各開発工程間の依存関係を変更すると、製品や部品の品質等が落ちることが多いため、依存関係の変化をなるべく少なくして、各開発工程間の並列化を図ることが望ましい。したがって、分母(=N)は小さいほど良い。代表矩形領域D0 には、開発工程間の並列化を図る上で解消されることが望ましいと思われる次式(8)の依存関係が含まれている。
x14,9 =1,x14,13 =1 …(8)
【選択図】 図10
【解決手段】矩形領域D内に存在する依存成分(:xij=1)の数Nを用いて定義される評価関数f(X,D)=min(L1 ,L2 )/Nが略最大となる代表矩形領域D0 (網かけ部分)を探索する。長方形内に依存成分が存在しない場合、長方形の辺の長さL1 ,L2 の内の短い方は、並列化できる作業の数に相当する。また、一般に、作業を並列化するために各開発工程間の依存関係を変更すると、製品や部品の品質等が落ちることが多いため、依存関係の変化をなるべく少なくして、各開発工程間の並列化を図ることが望ましい。したがって、分母(=N)は小さいほど良い。代表矩形領域D0 には、開発工程間の並列化を図る上で解消されることが望ましいと思われる次式(8)の依存関係が含まれている。
x14,9 =1,x14,13 =1 …(8)
【選択図】 図10
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、製品又は部品を開発する際の開発工程の実行順序に係わる改善案を提案することにより、開発工期の短縮に関する検討作業を支援する支援装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】
特開2002−41539号公報
【特許文献2】
特開平9−22433号公報
【特許文献3】
特開2001−202118号公報
【非特許文献1】
A.Yassine,D.Falkenburg,K.Chelst,”Engineering design management: an information structure approach”,Int.J.Production Research,1999,Vol.37, No.13,p.2957−2975
【0003】
例えば、上記の特許文献1に開示されている従来技術は、プロセス設計者が開発工期の短縮に関する検討作業を実行する際に、各プロセス(開発工程)間の関係等を見易く視覚化することにより、プロセス設計者の思考(検討作業)を側面から支援する所に特徴がある。
【0004】
また、上記の非特許文献1に開示されている従来技術は、作業(開発工程)間の依存関係に関する表現方法や、後工程で生じる不都合に起因する前工程への作業の戻りが少なくなる様な効率の良い作業手順を生成する方法を与えようとするものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記の特許文献1に開示されている従来技術は、データの視覚化に重点を置いたものであり、実質的な検討作業(実質的な判断)の殆どをプロセス設計者の直感や試行錯誤等に委ねるものである。このため、この様な従来技術を用いるだけでは、プロセス(開発工程)の数の増大と共に、プロセス設計者の検討時間が爆発的に増大する。
即ち、特許文献1等に開示されている従来技術では、例えばエンジン設計等の実際の大規模な開発プロジェクトのプロセス設計作業(プロセス計画作業)を容易にしたり、効率化したりすることは難しい。
【0006】
また、上記の非特許文献1に開示されている従来技術は、作業(開発工程)間の依存関係を設計構造行列(DSM:Design Structure Matrix )で表現し、この設計構造行列により与えられたある一定の依存関係に対して、その設計構造行列の行及び列に関する入れ換え操作等を行うことにより、より望ましい解(作業手順)を導こうとするものである。
即ち、上記の非特許文献1に開示されている従来技術によれば、各作業(開発工程)間の依存関係をどの様に与えるべきか、或いは、それらの依存関係をどの様に変更(修正)するべきか等についての判断は、全面的にプロセス設計者に委ねられる。
【0007】
したがって、この様な従来技術によっても、プロセス(開発工程)の数の増大と共に、プロセス設計者の検討時間が爆発的に増大するので、上記と同様に、大規模な開発プロジェクトのプロセス設計作業(プロセス計画作業)を容易にすることは難しい。
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するために成されたものであり、その目的は、大規模な開発プロジェクトのプロセス設計作業(プロセス計画作業)を容易かつ効率的にすることである。
【0009】
【課題を解決するための手段、並びに、作用及び発明の効果】
上記の課題を解決するためには、以下の手段が有効である。
即ち、本発明の第1の手段は、製品又は部品を開発する際のm個の開発工程の実行順序に係わる改善案を提案することにより、開発工期の短縮に関する検討作業を支援する支援装置において、m個の開発工程の各工程間の相互的な各依存関係を網羅的に表す、各行列成分xij(1≦i≦m,1≦j≦m)がそれぞれ全て与えられたm行m列の設計構造行列Xに基づいて、設計構造行列Xの主対角線の下方に位置する三角領域{xij|i>j}内に存在する高さL1 (≧1)の長方領域C={xij|I≦i≦I+L1 −1,J≦j≦J+L2 −1,∀xji=0}を含み、長方領域Cと左側の1辺が一致し、かつ、j=i−1を満たす成分xijを1つだけ有する矩形領域Dを確定する矩形領域確定手段と、所定の探索時間内又は所定の探索範囲内で探索し得る複数の矩形領域Dの部分集合の中から所定の評価関数f(X,D)の関数値が略最大又は略最小となる代表矩形領域D0 を探索する代表矩形領域探索手段と、その代表矩形領域D0 内に存在する行列成分xijが表す各開発工程間の依存関係を指摘することにより、それらの各開発工程間の依存関係を解消することを改善案として提案する解消依存関係指摘手段とを備えることである。
【0010】
ただし、上記の長方領域Cや矩形領域D等の「領域」とは、その行列に対する「区分け」により生成可能な行列内の「区画」と略同等の概念である。また、同様に、上記の三角領域に付いても、行列内の三角形の区画(領域)と解釈すれば良い。
【0011】
また、上記の設計構造行列Xの各行列成分xij(1≦i≦m,1≦j≦m)は、xij≠0の時、行番号jに対応する開発工程の実行結果の如何によっては、行番号iに対応する開発工程が、少なくとも部分的には再実行しなければならなくなる可能性を持つことを意味するものである。したがって、例えばこの行と列の意味を入れ換えた設計構造行列Yを導入したい場合には、上記の行番号iと列番号jとの関係を全て入れ換えれば、上記と全く同等の手段を得ることは明らかである。
【0012】
また、上記の所定の評価関数f(X,D)とは、設計構造行列Xとその部分領域(小行列)である矩形領域Dを定めれば、一意に定まる一つの実数(上記の関数値)を与える関数である。
【0013】
上記の長方領域Cの対称領域Ct (≡{xji|xij∈C,1≦i≦m,1≦j≦m})の各成分xjiは全て0である(依存関係を持たない)ため、上記の解消依存関係指摘手段の指摘に従って「その代表矩形領域D0 内に存在する行列成分xijが表す各開発工程間の依存関係」を解消すれば、上記の長方領域Cの行番号i(I≦i≦I+L1 −1)が示す一連の開発工程と、上記の長方領域Cの列番号j(J≦j≦J+L2 −1)が示す一連の開発工程とを独立的に実行(即ち、並列化)することが可能となる。
【0014】
したがって、この様な構成に従えば、上記の評価関数f(X,D)を適当に選定することにより、依存関係を解消することの難易度や、或いは、製品又は部品の品質確保等に関する実際の課題の大きさの割に、開発期間の短縮効果の高い改善案を自動的に得ることが可能又は容易となる。
逆に言えば、評価関数f(X,D)は、依存関係を解消することの難易度や、製品又は部品の品質確保等に関する実際の課題の大きさや、或いは、開発期間の短縮効果等を数値化し、それらの数値に基づいて構成すれば良い。
【0015】
また、本発明の第2の手段は、上記の第1の手段において、上記の各依存関係の依存度を、この依存度が高くなるほど大きくなる非負数で与えられる各行列成分xij(1≦i≦m,1≦j≦m)を用いて、多段階的又は連続的に表現することである。
勿論、上記の依存関係は、それらの有無を示す例えば1/0等の二値で表される変数を用いて、定性的に表現しても良い。しかしながら、上記の各依存関係の依存度を、上記の様に多段階的或いは連続的に表現することにより、これらの依存関係をより詳しく定量的に表現することが可能となる。このため、上記の構成に従えば、上記の評価関数f(X,D)をより的確に表現することが可能又は容易となる。
【0016】
また、第3の手段は、上記の第1又は第2の手段において、行番号iが開発工程の優先的な実行順序に一致する設計構造行列Xの主対角線上に、自身の主対角線が重なって位置する小行列Xkkが全てn次対角行列(n≧1)になる様に、設計構造行列Xを区分けする対称区分けの内の、小行列Xkkの個数pを最小とする対称区分けと、個数pの最小値p0 に基づいて、小行列Xkkを構成する設計構造行列Xの各行列成分xijの行番号iに対応する全ての開発工程を一纏まりの枠組開発工程k(1≦k≦p0 )として、この枠組開発工程単位に縮退されたp0 行p0 列の設計構造行列に、設計構造行列Xを再編成する縮退再編成手段を設けることである。
【0017】
ただし、n=1の場合にも、その1次対角行列(即ち、設計構造行列Xの1つの対角成分に一致するスカラー)により上記の小行列Xkkが構成されるものとする。また、設計構造行列Xの対角成分の値は、特段本質的な意味を有するものではないため任意で良い。以下、特に断らない限り、設計構造行列Xの各対角成分の値は、1であると仮定しても良い。この場合、上記のn次対角行列(n≧1)はn次単位行列(n≧1)に一致する。
【0018】
上記の構成に従えば、枠組開発工程k(1≦k≦p0 )の中にクラス分けされた各開発工程は、「i≠j⇒xij=0」を満たすため、互いに依存関係を持たない。したがって、枠組開発工程k(1≦k≦p0 )の中にクラス分けされた各開発工程は、互いに並行に実行することができる。したがって、例えば、枠組開発工程kを実行するために必要となる時間は、この中にクラス分けされた各開発工程を実行するために必要となる時間の最大値となる等し、プロジェクト全体の工期や改善策の良否等を大局的に把握したり、推し量ったりする上で都合が良くなる。
即ち、上記の縮退再編成手段を設けることにより、枠組開発工程単位に縮退されたp0 行p0 列の設計構造行列に基づいて、プロジェクト全体に係わる大局的な判定を実施することが容易となる。尚、この大局的な判定は、人為的なものであっても自動的なものであっても、上記の構成に基づく作用・効果は本質的には同じである。
【0019】
また、第4の手段は、上記の第3の手段において、合計p0 個の枠組開発工程k(1≦k≦p0 )の各見積工数Tk として、小行列Xkkを構成する設計構造行列Xの各行列成分xijの行番号iに対応する各開発工程の各見積工数ti の最大値:{max(ti )}k を用いることである。
【0020】
この第4の手段は、上記の第3の手段において、1つの小行列Xkkに対応する1つの枠組開発工程kの中にクラス分けされた各開発工程を実行するために必要となる時間の最大値を求める手段に相当する。
【0021】
また、第5の手段は、上記の第1乃至第4の何れか1つの手段において、上記の評価関数f(X,D)を概算工期短縮工数Δtと改善実施難易度Zとの比Δt/Zで与え、上記の代表矩形領域探索手段により、評価関数f(X,D)の関数値Δt/Zが略最大となる矩形領域Dを代表矩形領域D0 として探索することである。
【0022】
この様な手段によれば、1つの改善を実施する際の難易度に対する効果(概算工期短縮工数Δt)の割合に基づいて、代表矩形領域D0 を選定することが可能又は容易となる。したがって、この様な手段を備えれば、比較的少ない改善努力で極力大きな短縮効果をもたらす様な解消依存関係指摘手段を構成することができる。
【0023】
また、第6の手段は、上記の第5の手段において、上記の改善実施難易度Zを(a)矩形領域D内にある行列成分xijの総和
DΣxij≡ i=IΣI+L1−1{ j=JΣJ+L2−1xij},
又は、
(b)矩形領域D内にある行列成分xijの最大値
の何れか1項で与えることである。
【0024】
例えば「0≦xij≦1」等と設計構造行列Xの各成分xijの定義域が所定の有限な範囲内に決められている時、代表矩形領域D0 内において、例えば「∀xij≒0」或いは「殆ど全ての成分に対してxij=0」ならば、(b)の評価式により上記の改善実施難易度Zを推し量ることができる。また、その様な特性が無い場合でも、通常は、(a)の評価式により上記の改善実施難易度Zを推し量ることができる。
即ち、例えばこれらの統計的な諸方式等に基づいて、上記の改善実施難易度Zを適切に定量化することが可能である。
【0025】
また、第7の手段は、上記の第5又は第6の手段において、上記の概算工期短縮工数Δtを、
(a)m個の開発工程の各見積工数ti (1≦i≦m)を用いて算出される、矩形領域Dに関する項:
min( i=IΣI+L1−1ti , i=JΣJ+L2−1ti ),
又は、
(b)矩形領域Dに関する項:min(L1 ,L2 )
の何れか1項で与えることである。
【0026】
例えばm個の開発工程の各見積工数ti (1≦i≦m)が概ね既知の場合には、(a)の評価式により上記の概算工期短縮工数Δtを推し量ることができる。また、各見積工数ti (1≦i≦m)が未知の場合においても、(a)の評価式において「∀ti =1」と仮定した(b)の評価式により改善努力の割に高い改善効果をもたらす改善案を高い確率で導出することができる。
即ち、例えばこれらの統計的な諸方式等に基づいて、上記の概算工期短縮工数Δtを適切に定量化することが可能である。
【0027】
また、第8の手段は、上記の第1、第3、第4、又は第5の何れか1つの手段において、各行列成分xij(1≦i≦m,1≦j≦m)の値をそれぞれ1(:依存する)又は0(:依存しない)で表現し、矩形領域D内に存在する依存成分(:xij=1)の数Nをカウントする依存成分計数手段を設け、評価関数f(X,D)として、高さL1 と矩形領域Dの底辺の長さL2 と数Nの関数min(L1 ,L2 )/Nを採用し、更に、上記の代表矩形領域探索手段により、関数min(L1 ,L2 )/Nが略最大となる代表矩形領域D0 を、上記の矩形領域Dの部分集合の中から探索することである。
【0028】
この手段は、設計構造行列Xの各行列成分xij(1≦i≦m,1≦j≦m)の値が1/0に二値化されており、かつ、各見積工数ti (1≦i≦m)が未知または不詳な場合の基本的な方式を与えるものである。例えば上記の依存成分計数手段は、前記の項: DΣxij≡ i=IΣI+L1−1{ j=JΣJ+L2−1xij}(=N)を与える。
即ち、この様に必要な諸データを単純化した場合でも、上記の構成に従えば、本発明は可用かつ有効である。
【0029】
また、第9の手段は、上記の第1乃至第8の何れか1つの手段において、設計構造行列Xに対する行及び列の入れ換え操作によって導出可能な設計構造行列の部分集合の中から、設計構造行列Xの主対角線の上方に位置する三角領域{xij|i<j}内に存在する全行列成分xijに関する総和 i<jΣ{(j−i)xij}が略最小となる設計構造行列X′を求める手段(第1改善行列探索手段)を備えることである。
【0030】
ただし、上記の行列Xは設計構造行列であり、また、行及び列の入れ換え操作によって導出すべき行列X′も設計構造行列であるので、この様な行及び列の入れ換え操作は、行列Xの対角成分xiiが他の対角成分xjjと丁度入れ換わる様に、必ず行の入れ換え操作と列の入れ換え操作とを1つずつ対にして実行するものとする。この様な行及び列の入れ換え操作は任意の回数繰り返して良い。
【0031】
この第1改善行列探索手段により、依存関係を有する開発工程間において、戻り作業が発生する依存関係の数や発生確率を小さく抑えたり、或いは、戻り作業が発生した際のやり直し工程(やり直し作業)の数(量)を小さく抑えたりすることができるため、機械的に実施することが容易な行及び列の入れ換え操作によって、効果的に設計構造行列Xの改善を図ることができる。
この様な手段は、例えば設計構造行列Xの初期状態(初期行列)が与えられた際や、設計構造行列Xの各成分xijを再定義(修正)した後等に効果的に用いることができる。
【0032】
また、第10の手段は、上記の第1乃至第9の何れか1つの手段において、設計構造行列Xのi行目(2≦i≦m)の指標Gi に付いて、そのi行目(2≦i≦m)に「xij>0,i>j」を満たす行列成分xijが存在する場合には、そのi行目の「xij>0,i>j」を満たす行列成分xijの内の、列番号jが最大である行列成分xijが持つ列番号jを用いて「Gi =i−j」と定義し、かつ、設計構造行列Xのi行目(2≦i≦m)に「xij>0,i>j」を満たす行列成分xijが存在しない場合には「Gi =i」と定義した時に、設計構造行列Xに対する行及び列の入れ換え操作によって導出可能な設計構造行列の部分集合の中から、指標Gi に関する総和 i=2Σm Gi が略最大となる設計構造行列X″を求める手段(第2改善行列探索手段)を設けることである。
【0033】
ただし、上記の行列Xは設計構造行列であり、また、行及び列の入れ換え操作によって導出すべき行列X″も設計構造行列であるので、この様な行及び列の入れ換え操作は、行列Xの対角成分xiiが他の対角成分xjjと丁度入れ換わる様に、必ず行の入れ換え操作と列の入れ換え操作とを1つずつ対にして実行するものとする。この様な行及び列の入れ換え操作は任意の回数繰り返して良い。
【0034】
この第2改善行列探索手段により、設計構造行列Xの並列性を改善することができる。この手段は、例えば上記の第1改善行列探索手段を実施した際に、同程度に高い評価の設計構造行列X′が複数得られた場合に、それらの中から更に良い設計構造行列X″を求める際等に有効である。
この第2改善行列探索手段の作用については、後から実施例の所で図8、図9を用いてより具体的に例示する様に、経験的に確かめられている。
【0035】
また、第11の手段は、上記の第10の手段において、与えられたm行m列の設計構造行列Xから上記の第1改善行列探索手段により設計構造行列X′を求め、ここで求められたこの設計構造行列X′から上記の第2改善行列探索手段により設計構造行列X″を求め、ここで求められたこの設計構造行列X″を新たな設計構造行列Xとして、矩形領域確定手段、代表矩形領域探索手段、及び解消依存関係指摘手段を順次(再)実行することにより、前記の改善案を提案することである。
【0036】
この様な実行手順に従えば、各開発工程間においてそれぞれ与えられている所定の依存関係に基づいて、行や列の入れ換え操作以外の操作を行わずに、或いは、個々の依存関係を何ら修正することなく、その範囲内において、各開発工程の実行順序が最善と思われる設計構造行列を選定した上で、矩形領域確定手段、代表矩形領域探索手段、及び解消依存関係指摘手段を順次(再)実行することが可能となる。このため、上記の実行手順に従えば、任意の開発工程間において新たな依存関係が新規或いは改めて与えられる度に、その段階において最も確からしい改善案を選択することが可能となる。
従って、この様な構成に従えば、非常に高い確率で短時間に、採用すべき所望の改善案を導出することができる。
【0037】
また、第12の手段は、上記の第1乃至第11の何れか1つの手段において、行番号iが開発工程の優先的な実行順序に一致する設計構造行列Xの主対角線上に、自身の主対角線が重なって位置する小行列Xkkが全てn次対角行列(n≧1)になる様に、設計構造行列Xを区分けする対称区分けの内の、小行列Xkkの個数pを最小とする対称区分けが与える個数pの最小値p0 を用いて構成される所定の評価式Fに基づいて、設計構造行列Xに対する評価判定を実行する手段(設計構造行列評価判定手段)を設けることである。
【0038】
上記の枠組開発工程k(1≦k≦p0 )の中にクラス分けされた各開発工程は、「i≠j⇒xij=0」を満たすため、互いに依存関係を持たない。したがって、枠組開発工程k(1≦k≦p0 )の中にクラス分けされた各開発工程は、互いに並行に実行することができる。したがって、例えば、枠組開発工程kを実行するために必要となる時間は、この中にクラス分けされた各開発工程を実行するために必要となる時間の最大値となる。
【0039】
この様に、上記のp0 の値は、小さいほど各開発工程は並列に実行し易い。例えばp0 =1の場合には、m個の各開発工程は全て並行に実行することができる。また、p0 =mの場合には、m個の各開発工程は、基本的には全て直列に実行することしかできない。
したがって、この様な並列性を端的に表すパラメータp0 を用いて評価式Fを構成し、この評価式Fを用いて設計構造行列を評価することにより、その設計構造行列が意味する各開発工程の実行順序がもたらす開発工期の短縮効率を簡単かつ的確に推し量ることができる。
【0040】
また、第13の手段は、上記の第12の手段において、最小値p0 と開発工程の数mを独立変数とする関数:S≡p0 /mを上記の評価式Fの定義/演算に用いることである。この関数Sの関数値p0 /mは、小さいほど、プロジェクトの開発工期を短くすることができる。即ち、例えばこの様な形式により、上記の評価式Fを決定することができる。
以下、この指標(関数S)を設計構造行列Xが意味する各開発工程の実行順序の逐次実行率又は直列化率と言う。この直列化率(関数S)の値が大きいほど、プロジェクトの開発工期は長くなる。
【0041】
また、第14の手段は、上記の第12の手段において、m個の開発工程の各見積工数ti (1≦i≦m)と、小行列Xkkの個数pを最小とする対称区分けが与えるk番目(1≦k≦p0 )の小行列Xkkが有する、設計構造行列Xの各対角成分xiiの行番号iと、小行列Xkkを構成する全ての行番号iの内の、見積工数ti を最大にする行番号iの関数として定義することができる、小行列Xkkに関する見積工数Tk ≡{max(ti )}k とを用いて定義される関数:
S≡〔 k=1Σp0{max(ti )}k 〕/( i=1Σm ti )
を上記の評価式Fの定義/演算に用いることである。
【0042】
前述の通り、枠組開発工程kを実行するために必要となる時間は、この中にクラス分けされた各開発工程を実行するために必要となる時間の最大値となる。この最大値は、上記の小行列Xkkに関する見積工数Tk (≡{max(ti )}k )と一致する。また、最小値p0 の定義から、上記の各枠組開発工程は、枠組開発工程単位ではそれ以上並列化することはできない。
したがって、上記の関数Sの分子〔 k=1Σp0{max(ti )}k 〕は、該当するプロジェクトの全開発工期の長さの概算値を表している。
以下、この指標(関数S)を設計構造行列Xが意味する各開発工程の実行順序の逐次実行率又は直列化率と言う。この直列化率(関数S)の値が大きいほど、プロジェクトの開発工期は長くなる。
【0043】
また、この直列化率(関数S)の値は、「∀ti =1」の時、前述の第13の手段において定義した直列化率(関数S)の値に一致する。したがって、本発明の第14の手段は、上記の本発明の第13の手段を論理的に含んだものと考えても良い。
言い換えれば、前述の第13の手段は、各見積工数ti (1≦i≦m)が未知又は不詳の時に、有効な手段を与えるものである。
【0044】
また、第15の手段は、上記の第13又は第14の何れか1つの手段において、関数Sを用いて定義される並列化率:P≡1−Sを上記の評価式Fの定義/演算に用いることである。
上記の第13又は第14の何れの手段においても、この並列化率Pの値域は、「0≦P<1」となり、この並列化率Pの値が大きい場合ほど、開発工期の短縮が図られていると考えることができる。したがって、我々は、製品などの品質を確保した上で、この並列化率Pの増加率を極力大きくすることができる改善策を策定(選択)することが望まれていると考えて良い。
即ち、この様な指標(並列化率P)を導入することにより、開発工期短縮に係わる改善効果を分り易く定量化することができる。
【0045】
また、本発明の第16の手段は、上記の第12乃至第15の何れか1つの手段において、上記の設計構造行列評価判定手段により、比較基準として与えられた設計構造行列Xの対照基準行列X0 に対する評価式Fの関数値F0 と、設計構造行列Xの改善後の設計構造行列X1 に対する評価式Fの関数値F1 との差分ΔF(=F1 −F0 )に基づいて、設計構造行列Xに対する評価判定を実行することである。
【0046】
上記の対照基準行列X0 としては、設計構造行列Xの初期値(初期行列)を当てても良いし、改善案を繰り返し採用する際の1つの(1段階或いは1回の)改善案を反映する直前の設計構造行列Xの前回値を当てても良い。
この様な差分ΔF(=F1 −F0 )を導入することにより、例えば、評価式Fとして上記の並列化率Pを採用する際等には、上記の「並列化率Pの増加率」この差分ΔFを演算することにより算出することができる。
即ち、この様な指標(差分ΔF)を導入することにより、開発工期短縮に係わる改善効果を更に分り易く定量化することができる。
【0047】
また、第17の手段は、上記の第12乃至第16の何れか1つの手段において、比較基準として与えられた設計構造行列Xの対照基準行列X0 に対する評価式Fの関数値F0 と、設計構造行列Xの改善後の設計構造行列X1 に対する評価式Fの関数値F1 との差分ΔF(=F1 −F0 )を画面表示又は印刷する評価指標出力手段を設けることである。
【0048】
上記の対照基準行列X0 としては、設計構造行列Xの初期値(初期行列)を当てても良いし、改善案を繰り返し採用する際の1つの(1段階或いは1回の)改善案を反映する直前の設計構造行列Xの前回値を当てても良い。
この様な差分ΔF(=F1 −F0 )を導入することにより、例えば、評価式Fとして上記の並列化率Pを採用する際等には、上記の「並列化率Pの増加率」この差分ΔFを演算することにより算出することができる。したがって、この様な指標(差分ΔF)を画面表示又は印刷することにより、開発工期短縮に係わる改善効果を、プロセス設計者に対して定量的に分り易く示すことができる。
【0049】
また、第18の手段は、上記の第1乃至第17の何れか1つの手段において、設計構造行列Xに対する行及び列の入れ換え操作によって導出可能な設計構造行列の部分集合を遺伝的アルゴリズムを利用して求める第1部分集合高速算定手段を備えることである。
【0050】
設計構造行列Xの行数が大きくなると、行及び列の入れ換え操作によって導出可能な設計構造行列の数は爆発的に増大する。したがって、例えば新規エンジンの開発等における開発プロジェクトの開発計画等を行う際等、製品や部品等の開発工程が非常に多く、また、各開発工程の実行順序に関する検討時間が比較的短い場合等に、全開発工程に関する略最善の実行順序をある程度限られた時間内で導くためには、総当たり的な演算方式に頼るべきではない場合が多い。例えば用意できる開発工期短縮支援装置の処理性能が余り高くは望めない場合などがそれらの場合に該当する。
【0051】
しかしながら、評価、選択、交叉、突然変異を順次繰り返すことにより、評価の高い設計構造行列Xの部分集合を探索する遺伝的アルゴリズムを用いれば、総当たり的な演算方式に頼らずに構成可能なこの遺伝的アルゴリズムの作用により、比較的短い検討時間の間に、目標の開発工期を満たす設計構造行列Xを含んだ設計構造行列の部分集合が見つかる場合が多い。
【0052】
また、第19の手段は、上記の第1乃至第18の何れか1つの手段において、設計構造行列Xに対して所定の探索時間内又は所定の探索範囲内で探索し得る、複数の矩形領域Dの部分集合を遺伝的アルゴリズムを利用して求める第2部分集合高速算定手段を備えることである。
【0053】
複数の矩形領域Dの部分集合を求める場合にも、前記と同様に総当たり的な演算方式に頼るべきではない場合が多いが、しかしながら、評価、選択、交叉、突然変異を順次繰り返すことにより、評価の高い矩形領域Dの部分集合を探索する遺伝的アルゴリズムを用いれば、総当たり的な演算方式に頼らずに構成可能なこの遺伝的アルゴリズムの作用により、比較的短い時間の間に、コストパフォーマンス(例:Δt/Z)が略最大と思われる矩形領域D(代表矩形領域D0 )を含んだ矩形領域Dの部分集合が見つかる場合が多い。
【0054】
また、第20の手段は、上記の第1乃至第19の何れか1つの手段の解消依存関係指摘手段において、設計構造行列Xの代表矩形領域D0 内にある各行列成分xij(≠0,i>j)が示す開発工程iと開発工程jの各開発工程番号、各開発工程名、各開発工程の内容情報、又は各開発工程の工程IDをそれぞれ各行列成分xij(≠0,i>j)毎に画面表示又は印刷することにより、代表矩形領域D0 内に現れた解消すべき依存関係の具体的内容を指摘する解消依存関係出力手段を設けることである。
【0055】
この様な手段により、プロセス設計者は解消すべき依存関係を認識することができる。特に、各開発工程の内容情報を示す場合には、プロセス設計者は各開発工程番号や、各開発工程の工程ID等を、例えば別途用意された表などの別の所から参照する必要が無くなるので、提案された改善案を具体的かつ迅速に把握するのに都合がよい。この様な手段により、プロセス設計者の判断を速く正確に実行し易くすることができる。
【0056】
また、第21の手段は、上記の第1乃至第20の何れか1つの手段において、解消依存関係指摘手段によって指摘された全ての依存関係を解消した後の、開発工程関連図又は開発工程タイムチャートを画面表示又は印刷する改善効果視覚化手段を備えることである。
【0057】
画面表示又は印刷する範囲は、勿論、依存関係の解消により変更される部分だけでも良い。注目の依存関係を解消した後の、開発工程関連図又は開発工程タイムチャートを画面表示又は印刷することにより、プロセス設計者はその時の改善効果を視覚的に認識することができるので、改善案によりもたらされる効果を具体的かつ迅速に把握するのに都合がよい。この様な手段によっても、プロセス設計者の判断を速く正確に実行し易くすることができる。
【0058】
また、第22の手段は、上記の第1乃至第21の何れか1つの手段において、改善案が採用又は却下された際に、行列成分xij(1≦i≦m,1≦j≦m)に対する部分的な修正を実施することをユーザに対して指示、示唆、推奨、警告、又は案内するプロンプティング手段を設けることである。
【0059】
通常、上記の改善案を採用する場合には、依存関係が解消される開発工程間の行列成分xijを0にする等の処理が必要となる。また、却下する場合には、依存関係が解消されない(/解消できない)開発工程間の行列成分xijの数値(依存度等)を見直した方が良い場合が多い。
したがって、上記の様なプロンプティング手段を設けることにより、プロセス設計者が改善案を採用又は却下する際に、これらの行列成分xijの数値に係わる修正処理を実施し忘れることを未然に防止することができる。
【0060】
また、第23の手段は、上記の第1乃至第22の何れか1つの手段において、改善案が採用又は却下された際に、行列成分xij(1≦i≦m,1≦j≦m)に対する部分的な修正を自動的に実行する行列成分自動修正手段を設けることである。
【0061】
通常、上記の改善案を採用する場合には、依存関係が解消される開発工程間の行列成分xijを0にする等の処理が必要となる。また、却下する場合には、依存関係が解消されない(/解消できない)開発工程間の行列成分xijの数値(依存度等)を見直した方が良い場合が多い。
したがって、上記の様な行列成分自動修正手段を設けることにより、プロセス設計者が改善案を採用又は却下する際に、これらの行列成分xijの数値に係わる修正処理を実施し忘れることを未然に防止することができ、また、プロセス設計者が、該当する行列成分xijの修正作業を行わなくとも良くなる。
特に、改善案を採用する場合には、依存関係が解消される開発工程間の行列成分xijを0にする等により、上記の行列成分自動修正手段を簡単に構成することができる。
【0062】
また、設計構造行列Xの行数が大きくなると、行及び列の入れ換え操作によって導出可能な設計構造行列の数は爆発的に増大するため、処理方式を検討する上で注意を要する場合がある。
例えば、新規エンジンの開発等における開発プロジェクトの開発計画等を行う際等、製品や部品等の開発工程が非常に多く、また、各開発工程の実行順序に関する検討時間が比較的短い場合等に、全開発工程に関する略最善の実行順序をある程度限られた時間内で導くためには、総当たり的な演算方式に頼るべきではない場合が多い。例えば用意できる開発工期短縮支援装置の処理性能が余り高くは望めない場合などがそれらの場合に該当する。
【0063】
しかしながら、評価、選択、交叉、突然変異を順次繰り返す周知の遺伝的アルゴリズムを用いれば、総当たり的な演算方式に頼らずに構成可能なこの遺伝的アルゴリズムの特徴的な作用により、比較的短い検討時間の間に目標の開発工期を達成する改善案が見つかる場合が多い。
【0064】
例えば、プロセス設計者が下す判断は、十分に合理的なものであると期待されるが、開発工期短縮支援装置を構成する時点では、それらは予測不能な判断であり、開発工期短縮支援装置を構成する上では、これらの判断は必ずしも客観性を持つものとは限らない。この意味で、各開発工程間の依存関係を解消することを改善案として提案する解消依存関係指摘手段に対してプロセス設計者が採否回答を行う際等に下す判断(特に採用時)は、設計構造行列Xを進化させる遺伝的アルゴリズムにおける突然変異を与えるものと解釈することができる。言い換えれば、解消依存関係指摘手段が与えた改善案を設計構造行列Xに関する「突然変異」として受け付けることにより、上記の様な遺伝的アルゴリズムを効果的に構成することができる。
【0065】
即ち、各開発工程間の依存関係を解消することを改善案として提案する解消依存関係指摘手段に対してプロセス設計者が採否回答を行う際等に下す判断を遺伝的アルゴリズムにおける突然変異を与えるステップとして、開発工期短縮支援装置の処理アルゴリズムを構成することにより、開発工程が非常に多く、また、各開発工程の実行順序に関する検討時間が比較的短い場合等においても、全開発工程に関する略最善の実行順序をある程度限られた時間内で導くことが可能又は容易となる。
また、この様な観点から見れば、上記の第22の手段や、第23の手段は、上記の突然変異を与えるステップを円滑に実行するための手段であると解釈することも可能である。
【0066】
また、設計構造行列Xの行と列の定義を入れ換え、設計構造行列Xの主対角線に対して対称的な定義、操作及び判定を行う等の各種の変形を行っても良い。以上の各手段において、上記の設計構造行列Xの各行列成分xij(1≦i≦m,1≦j≦m)は、xij≠0の時、行番号jに対応する開発工程の実行結果の如何によっては、行番号iに対応する開発工程が、少なくとも部分的には再実行しなければならなくなる可能性を持つことを意味するものである。したがって、例えばこの行と列の意味を入れ換えた設計構造行列Yを導入したい場合には、上記の行番号iと列番号jとの関係を全て入れ換えれば、全く同等の手段を得ることは明らかである。
【0067】
即ち、この様な自明な結果をもたらす、行と列の意味を入れ換える変形的な定義には、別途改めて言及する特別な意義がないので、以下、その様な設計構造行列Yについては特段言及しないが、本発明がその様な入れ換えに対しても、等価の作用・効果をもたらす手段を与えることは明らかである。
したがって、その様な設計構造行列Yの導入により構成可能な対称的な手段についても、本発明の範疇にあるものと考えることができるので、以下、その様な設計構造行列Yの導入により構成可能な対称的な手段についても、本発明の範疇にあるものとする。
【0068】
更に、本発明の第24の手段は、製品又は部品を開発する際のm個の開発工程の実行順序に係わる改善案を提案することにより、開発工期の短縮に関する検討作業を支援する支援装置において、m個の開発工程の内の開発工程i(1≦i≦m)と開発工程j(1≦j≦m)との相互的な依存関係を網羅的に表す工程間依存関係関数H(i,j)に対して引数領域D≡{(i,j)|I1 ≦i≦I2 ,J1 ≦j≦I1 −1,∀H(j,i)=0}を確定する引数領域確定手段と、所定の探索時間内又は所定の探索範囲内で探索し得る複数の引数領域Dの部分集合の中から所定の評価関数f(H,D)の関数値が略最大又は略最小となる代表引数領域D0 を探索する代表引数領域探索手段と、この代表引数領域D0 に属する引数(i,j)が示す各開発工程間の依存関係(H(i,j)≠0)を指摘することにより、それらの各開発工程間の依存関係を解消することを上記の改善案として提案する解消依存関係指摘手段とを備えることである。
【0069】
このような構成に従えば、必ずしも行列を使用しなくとも、前述の開発工期短縮支援装置(本発明の第1乃至第23の何れか1つの手段に基づく装置)と略同等の機能を有する開発工期短縮支援装置を前述の開発工期短縮支援装置と略同様の作用に基づいて構成することができる。
即ち、本発明を理解する上では、設計構造行列(DSM)と言う概念は非常に有用かつ重要であるが、必ずしも、設計構造行列そのものをそのまま直接的に装置の具体的構成要件に組み込まなくとも、例えば上記の様な工程間依存関係関数H(i,j)等を導入すること等により、本発明の開発工期短縮支援装置と同等の装置を具体的に構成することが可能である。
【0070】
言い換えれば、例えば、設計構造行列(DSM)を直接用いなくとも、例えば上記の様な工程間依存関係関数H(i,j)等を用いることにより、設計構造行列(DSM)を用いて構成される第1乃至第23の何れか1つの手段に基づく開発工期短縮支援装置と機能的或いは数学的に同値の装置を構成することができ、かつ、それらの装置においても前記と同様の作用又は効果を得ることができる。しかし、その様な装置もまた、上記の本発明の第24の手段に基づいた本発明の開発工期短縮支援装置の範疇に有るものと解釈することができる。
【0071】
また、上記の本発明の各手段においては、「xij=0⇔開発工程jの実行結果は開発工程iの実施内容に影響を与えない。」又は「H(i,j)=0⇔開発工程jの実行結果は開発工程iの実施内容に影響を与えない。」としたが、依存関係を持たないことを意味する数値(行列の成分、又は関数値)は、必ずしも0である必要は無い。ただし、この数に関してその他の数値a(a≠0)を用いたところで何ら進歩性を持ち得ないので、以下、依存関係を持たないことを意味する数値としては、0を用いるものとする。
以上の本発明の手段により、前記の課題を効果的、或いは合理的に解決することができる。
【0072】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体的な実施例に基づいて説明する。ただし、本発明は以下に示す実施例に限定されるものではない。
〔実施例〕
図1は、本発明の実施例に係わる開発工期短縮支援装置100の論理的なハードウェア構成図である。本発明に基づく開発工期短縮支援装置100は、本図1の論理的なハードウェア構成図に代表的な構成例を例示する様に、ハードウェア構成に関する側面から見れば、一般のパソコン上でも実現することが可能である。
【0073】
図1のコンピュータの本体は、主にCPU101,RAM102,ROM103,ハードディスク104等を内蔵しており、図略の入出力インターフェイスを介して、各種の周辺装置(即ち、CD−R入出力装置105,FD入出力装置106,データベース(DB107),ポインティングデバイス(マウス121),画面表示装置(ディスプレイ123),キーボード125,プリンタ127等)に対する、各種のデータや制御信号や指令信号等の入力処理又は出力処理を実行することができる。
また、データベース(DB107)は、スタンドアロンのものであっても良いし、社内又は部門内等で共用されるものであっても良いし、或いは広域ネットワーク上のものであっても良い。ただし、LAN,WAN等のネットワークを構成する際に必要となるモデム等の図示は省略してある。
【0074】
本発明の開発工期短縮支援装置は、上記の各種のハードウェアを的確に効率よく制御することにより、例えば上記の様な一般的なコンピュータシステム上において具現することができる。本発明に基づいて具現される主な手段としては、例えば設計構造行列の改善に係わる下記の(1)〜(15)の手段等があり、本発明の開発工期短縮支援装置上でこれらの手段を効果的に組み合わせたり、的確に運用したりすることにより、例えば大規模な開発プロジェクトのプロセス設計作業(プロセス計画作業)を容易かつ効率的にすることができる。
【0075】
(1)矩形領域確定手段
(2)代表矩形領域探索手段
(3)解消依存関係指摘手段
(4)縮退再編成手段
(5)依存成分計数手段
(6)第1改善行列探索手段
(7)第2改善行列探索手段
(8)設計構造行列評価判定手段
(9)評価指標出力手段
(10)第1部分集合高速算定手段
(11)第2部分集合高速算定手段
(12)解消依存関係出力手段
(13)改善効果視覚化手段
(14)プロンプティング手段
(15)行列成分自動修正手段
【0076】
図2は、本発明の実施例に係わる開発工期短縮支援装置100の典型的な利用形態(運用手順)を例示するフローチャートである。ここでは、自動車のエンジン部品の一つクランクの製品・生産設計にかかわる製品設計部署や生産技術部署の作業者が目標リードタイム(目標とする開発工期)を達成するために、作業分担等や、設計の進め方(手順)、使用するDEツール(例:ForgeCAE等)、導入すべき各種標準等の各側面から多面的に、設計プロセスを見直す検討作業を行う場面を想定しており、特にクランクの製品・生産設計に関してリードタイム短縮をするための標準化活動場面を考えている。以下の開発工程等の説明では、クランク設計の現場を背景とした具体例等を中心に説明する。
【0077】
図3は、図2の作業依存関係マトリクス(以下、「設計構造行列X」等と言う。)の初期行列を例示する表である。この初期行列は、現状の設計プロセスの各開発工程間の依存関係を表すマトリクスデータを手作業で作成したものである。この設計構造行列X(作業依存関係マトリクス)の初期行列の行番号iは、各作業(各開発工程)の作業IDと一致するが、作業の実行順序や実行優先順位等とは通常一致しない。
【0078】
例えば、この設計構造行列Xの初期行列の2行1列成分x21の値は1であるが、これは作業1の実行結果如何によっては、作業2の作業内容を変更せざるを得ない場合があり得ることを示している。また、例えば、この設計構造行列Xの初期行列の4行10列成分x4,10の値は1であるが、これは作業10の実行結果如何によっては、作業4の作業内容を変更せざるを得ない場合があり得ることを示している。
【0079】
設計構造行列Xの各成分xij(1≦i≦m,1≦j≦m)の値は、依存度若しくはやり直し作業が発生する確率(0≦x≦1)等で表す場合も多いが、本実施例では、作業jが作業iに対して影響を与え得る依存関係があり得る場合にxij=1、そうでなければxij=0と仮定する。また、設計構造行列Xの各対角成分は、重要ではなく任意で良い。
【0080】
クランク設計の設計プロセスにおいては、例えば図3に例示する様に、設計作業や検証(見積もり)作業の依存関係が複雑に入り組んでいるため、仮設計やラフな見積もりを行って各作業を進めていき、関係する設計作業や検証作業の結果をもとに、設計値をスパイラルアップしていくのが一般的な手法である。
【0081】
図3の初期行列の作業16は、DEツール(ForgeCAE)を導入して、クランクの鍛造成形性を検証するシミュレーション作業である。この作業16の導入により、設計構造行列Xの行数m及び列数mは図3に図示する様にそれぞれ1ずつ増加されたが、この作業16の導入により、作業14(試作によるクランクの鍛造成形性の検証)が作業1、作業2、作業4、作業10、及び作業11の各作業に与えていた影響(依存関係)を排除することができた。
図4は、初期行列の決定過程において、上記のDEツール(ForgeCAE)を導入することにより削除することができた依存関係を示している。
【0082】
言い換えれば、この様なシミュレーションを用いた開発工程の新規導入により、設計構造行列Xの初期行列(図3)において、次式(1)に示す様な関係を得ることができた。
【数1】
x1,14 =0,
x2,14 =0,
x4,14 =0,
x10,14 =0,
x11,14 =0 …(1)
【0083】
例えば、以上の様な手作業により、品質を確保し易い状況をできるだけ維持した上で、プロジェクト全体の工期の短期化に及ぼす悪影響が予想される依存関係をできるだけ排除しながら、設計構造行列Xの初期行列を確定していくことが望ましい。図2のステップ210は、この様な初期行列(マトリックスデータ)を作成する手順を示している。
【0084】
その他にも、上記の様な悪影響が予想される依存関係をできるだけ排除するための各種のアプローチが考えられる。
図5は、初期行列の決定過程において、各種の標準要件を導入することにより削除することができた依存関係を示している。
【0085】
これらの標準要件の導入により、例えば次式(2)に示す様な関係を得ることができた。
【数2】
x2,14=0,
x2,15=0 …(2)
【0086】
また、図6は、初期行列の決定過程において、各種の標準作業手順(作業の実施順序や実施優先順位等に関する標準)を導入することにより削除することができた依存関係を示している。
これらの標準作業手順の導入により、例えば次式(3)に示す様な関係を得ることができた。
【0087】
【数3】
x4,15 =0,
x10,15 =0,
x12,10 =0,
x12,14 =0,
x12,15 =0,
x13,10 =0,
x13,14 =0,
x13,15 =0,
x21,14 =0 …(3)
【0088】
図2のステップ220は、以上の様にして作成された初期行列(マトリックスデータ)を図1のシステム(開発工期短縮支援装置100)に入力するステップを示している。
【0089】
(第1改善行列探索手段)
図7に、上記の初期行列に関する列や行の入れ換え操作(第1改善行列探索手段)により得られた設計構造行列X′を例示する。ここでは、設計構造行列Xの初期行列に対する行及び列の入れ換え操作によって導出可能な設計構造行列の部分集合の中から、設計構造行列の主対角線の上方に位置する三角領域{xij|i<j}内に存在する全行列成分xijに関する総和 i<jΣ{(j−i)xij}が略最小となる設計構造行列X′を求める。
【0090】
ただし、上記の行列Xは設計構造行列であり、また、行及び列の入れ換え操作によって導出すべき行列X′も設計構造行列であるので、この様な行及び列の入れ換え操作は、行列Xの対角成分xiiが他の対角成分xjjと丁度入れ換わる様に、必ず行の入れ換え操作と列の入れ換え操作とを1つずつ対にして実行する。この様な行及び列の入れ換え操作は任意の回数繰り返して良い。
【0091】
尚、設計構造行列Xの初期行列においては、設計構造行列Xの行番号iと作業番号(即ち、開発工程番号)とが一致するが、行及び列の入れ換え操作により、これらは必ずしも一致しなくなる点に注意する必要がある。
【0092】
この第1改善行列探索手段により、依存関係を有する開発工程間において、戻り作業が発生する依存関係の数や発生確率を小さく抑えたり、或いは、戻り作業が発生した際のやり直し工程(やり直し作業)の数(量)を小さく抑えたりすることができるため、機械的に実施することが容易な行及び列の入れ換え操作だけで、効果的に設計構造行列Xの改善を図ることができる。
【0093】
ただし、上記の第1改善行列探索手段によって、行列成分xij(i<j)に関する総和 i<jΣ{(j−i)xij}が最小かつ同値となる設計構造行列X′が複数得られた場合には、次に示す本発明の第2改善行列探索手段を用いることが望ましい。
【0094】
(第2改善行列探索手段)
図8、図9に、本発明の第2改善行列探索手段の実施形態を例示する。この第2改善行列探索手段では、設計構造行列Xのi行目(2≦i≦m)の指標Gi に付いて次式(4)の様に定義する時、設計構造行列Xに対する行及び列の入れ換え操作によって導出可能な設計構造行列の部分集合の中から、指標Gi に関する総和 i=2Σm Gi が略最大となる設計構造行列X″を求める。図8、図9の各行列の右横にはそれぞれこの i=2Σm Gi の値が記してある。
【0095】
【数4】
Gi =i−j (ケースa),
Gi =i (ケースb) …(4)
(ケースa):設計構造行列Xのi行目(2≦i≦m)に
「xij>0,i>j」を満たす行列成分xijが存在する場合
(ケースb):その他の場合
ただし、式(4)のjは、そのi行目の「xij>0,i>j」を満たす行列成分xijの内の、列番号jが最大である行列成分xijが持つ列番号jを示す。
【0096】
この様な実行手順に従えば、各開発工程間においてそれぞれ与えられている所定の依存関係に基づいて、行や列の入れ換え操作以外の操作を行わずに、或いは、個々の依存関係を何ら修正することなく(その範囲内において)、各開発工程の実行順序が最善と思われる設計構造行列を選定した上で、以下に述べるその後の処理(矩形領域確定手段、代表矩形領域探索手段、及び解消依存関係指摘手段等)を順次(再)実行することが可能となる。このため、上記の実行手順に従えば、任意の開発工程間において新たな依存関係が新規或いは改めて与えられる度に、その段階において最も確からしい改善案を選択することができる。
従って、この様な手段を用いれば、非常に高い確率で短時間に、採用すべき所望の改善案を導出することができる。
【0097】
図10に、本発明の矩形領域確定手段と代表矩形領域探索手段の実施形態を例示する。
(矩形領域確定手段)
この矩形領域確定手段は、次式(5)を満たす高さL1 (≧1)の長方領域Cを含み、この長方領域Cと左側の1辺が一致し、かつ、j=i−1を満たす成分xijを1つだけ有する矩形領域Dを確定するものである。
【0098】
ただし、これらの図形(長方形)は、設計構造行列Xを構成する小行列が、例えば図10の様な設計構造行列Xを表現する表の中で占める領域を表すものであり、設計構造行列Xが持つ1つの成分が1単位面積を有するものと考える。したがって、これらの図形の高さL1 はその小行列が有する行数と一致し、横幅L2 はその小行列が有する列数と一致する。以下、例えばA={xij}と書いた場合、長方形Aの面積は、集合{xij}に含まれる要素(行列成分)の数に一致し、長方形Aの位置は、集合{xij}に含まれる要素(行列成分)によって構成される設計構造行列Xの小行列が占める位置に一致するものとする。
【数5】
C={xij|i>j,I≦i≦I+L1 −1,
J≦j≦J+L2 −1,∀xji=0} …(5)
本図10の設計構造行列X上に網かけで示されている長方形の部分が上記の矩形領域Dを例示している。本図10に例示した矩形領域Dは、上記の式(5)において、次式(6)の条件を満たす長方領域Cを含んだ図形となっている。
【数6】
I =14,
J = 9,
L1 = 4,
L2 = 4 …(6)
【0099】
上記の長方領域Cの対称領域Ct (≡{xji|xij∈C})の各成分xjiは全て0である(依存関係を持たない)ため、もし長方領域Cの各行列成分xijも全て0ならば、上記の長方領域Cの行番号i(I≦i≦I+L1 −1)が示す一連の開発工程と、上記の長方領域Cの列番号j(J≦j≦J+L2 −1)が示す一連の開発工程とは、両者互いに独立的に実行することが可能である。
【0100】
(依存成分計数手段)
本発明の依存成分計数手段は、上記の矩形領域D内に存在する依存成分(:xij=1)の数Nをカウントするものである。この手段は、設計構造行列Xの成分xijが1と0に二値化されている場合に、矩形領域D内にある行列成分xijの総和 DΣxij(≡ i=IΣI+L1−1{ j=JΣJ+L2−1xij};0≦xij≦1)を演算する演算手段が、機能的に縮退したものと考えることもできる。これらの演算手段は、改善策の実施難易度Zを求める手段として有用である。
【0101】
(代表矩形領域探索手段)
所定の探索時間内又は所定の探索範囲内で探索し得る多数の矩形領域Dの一部のD(:多数のDの内の在る部分集合)の中から所定の評価関数f(X,D)の関数値が略最大となる代表矩形領域D0 を探索する。
ただし、上記の複数の矩形領域Dの部分集合は、必ずしも矩形領域Dの真部分集合である必要はない。即ち、上記の複数の矩形領域Dの部分集合は、求め得る矩形領域Dの全て(全体集合)であっても良い。
【0102】
本実施例では、前述の本発明の第8の手段に準じて、矩形領域D内に存在する依存成分(:xij=1)の数Nを用いて定義される次式(7)の評価関数f(X,D)が略最大となる代表矩形領域D0 を、上記の矩形領域Dの部分集合の中から探索する。
【数7】
f(X,D)=min(L1 ,L2 )/N …(7)
ここで、関数min(L1 ,L2 )は、矩形領域Dの各辺の長さの最小値を与える関数である。ただし、矩形領域Dが正方形の場合には、任意の辺の長さを与える。
【0103】
この式(7)の評価関数f(X,D)は、設計構造行列Xの各行列成分xij(1≦i≦m,1≦j≦m)の値が1/0に二値化されており、かつ、各開発工程iの見積工数ti (1≦i≦m)が未知または不詳な場合に有用である。
言い換えれば、式(7)の評価関数f(X,D)は、任意の開発工程間において依存関係が存在する場合にはその依存関係の強度は一定であり、かつ、各開発工程を実行するための作業時間も一定であることが仮定される場合に、良い評価を与える。
【0104】
その理由は、次の通りである。
(理由1)長方形内に依存成分(:xij=1)が存在しない場合、長方形の辺の長さL1 ,L2 の内の短い方は、前出し(並列化)できる作業の数に相当するため、min(L1 ,L2 )の値は大きいほどよい。
(理由2)一般に開発工期を短縮する(即ち、作業を並列化する)ために、各開発工程間の依存関係を変更しようとすると、製品や部品の品質等が落ちることが多いため、依存関係の変化をなるべく少なくして、各開発工程間の並列化を図ることが望ましい。したがって、Nの値は小さいほど良い。
【0105】
この様な評価関数f(X,D)に基づいて探索された、図10の網かけ部分で示される代表矩形領域D0 には、開発工程間の並列化を図る上で解消されることが望ましいと思われる次式(8)の依存関係が含まれている。
【数8】
x14,9 =1,
x14,13 =1 …(8)
尚、設計構造行列Xの行番号i=14に対応する開発工程は、作業3である。また、設計構造行列Xの列番号j=9に対応する開発工程は、作業1である。また、設計構造行列Xの列番号j=13に対応する開発工程は、作業14である。(各作業の内容)
作業3 : クランクC/W外周の公差の決定
作業1 : クランクC/Wの形状の設計(面取り除く)
作業14: 試作によるクランク鍛造成形性の検証
【0106】
(解消依存関係指摘手段)
この解消依存関係指摘手段は、代表矩形領域D0 内に存在する行列成分xijが表す各開発工程間の依存関係を指摘することにより、それらの各開発工程間の依存関係を解消することを改善案として提案するものである。即ち、この手段は、例えば、上記の式(8)が意味する依存関係を指摘する図11の解消依存関係出力手段の様なものを用いて構成しても良い。
【0107】
図11に、本発明の解消依存関係指摘手段(解消依存関係出力手段)の実施形態を例示する。これらの表示は、単に作業番号だけの表示であっても良い。例えば、作業番号だけの表示によれば、以下の様な出力形式等も考えられる。
(出力形式1)
作業1 ==>作業3
作業14==>作業3
(出力形式2)
Pro.1 −− Pro.3
Pro.14−− Pro.3
(出力形式3)
1,3
14,3
【0108】
図10の代表矩形領域D0 は、設計構造行列Xの主対角線の下側にあるので、これらの依存成分(:xij=1)は、行番号iに対応する作業が、列番号j(<i)に対応する作業から、作業内容に係わる影響を受け得ることを意味している。
また、図10の代表矩形領域D0 は、上記の式(7)を略最大とする矩形領域であることから、これらのN(=2)個の依存関係を解消することができれば、比較的少数の依存関係の変更による、比較的大きな開発工期の短縮効果を期待することができる。
【0109】
(改善効果視覚化手段)
図12及び図13に、上記の場合の改善効果視覚化手段の実施形態を例示する。図10の設計構造行列Xから判る様に、図11に示された依存関係(即ち、式(8)に示された依存関係)を解消することができれば、例えば本図12及び図13に例示する様に、図10の設計構造行列Xの第9行の開発工程(作業1)から同じ行列Xの第17行の開発工程(作業9)までの一連の9つの開発工程(作業1、作業16、作業11、作業2、作業14、作業3、作業4、作業5、作業9)を効率よく並列化することができることが判る。
【0110】
プロセス設計者は、図10の様な表を見て、式(8)の依存関係の解消の是非について検討しても良いし、図11の様な表示を見てから、それらの依存関係の解消の是非について検討しても良いし、或いは、図12(又は図13)の開発工程関連図(又は開発工程タイムチャート)等をみてから、それらの依存関係の解消の是非について検討しても良い。
例えば、クランクC/W外周の公差を標準化することが、品質等に対して特段の派生問題を起こすことなく実施可能であるならば、その様な標準要件を新たに導入することにより、式(8)の依存関係を解消することができる。
【0111】
以上の様に図10〜図13や或いは上記の(出力形式1)〜(出力形式3)等に相当する情報の少なくとも何れかを画面表示又は印刷等により出力するステップ(解消依存関係指摘手段)が、図2のステップ230に相当し、それらの依存関係の解消の是非について、プロセス設計者が検討するステップが図2のステップ240に相当する。
【0112】
〔設計構造行列評価判定手段〕
この設計構造行列評価判定手段は、行番号iが開発工程の優先的な実行順序に一致する設計構造行列Xの主対角線上に、自身の主対角線が重なって位置する小行列Xkkが全てn次対角行列(n≧1)になる様に、設計構造行列Xを区分けする対称区分けの内の、小行列Xkkの個数pを最小とする対称区分けが与える個数pの最小値p0 を用いて構成される所定の評価式Fに基づいて、設計構造行列Xに対する評価判定を実行するものである。
【0113】
図14は、本発明の設計構造行列評価判定手段の実施形態を説明する表である。ここに記載した設計構造行列Xは、図7や図10に記載した設計構造行列Xと各成分何れも同じ値を持つので、例えば、設計構造行列Xの初期行列(図3)においては設計構造行列Xの行番号iと作業番号(即ち、開発工程番号)とが一致していたが、初期行列に対する行及び列の入れ換え操作によって得られた図14の設計構造行列Xにおいては、(図7や図10に記載した設計構造行列Xと同様に、)これらは一致しなくなっている。
図14に記載した設計構造行列Xは、図7や図10に記載した設計構造行列Xと各成分何れも同じ値を持つが、特に本図14は上記の対称区分けを例示するものである。
【0114】
この対称区分けは、下記の小行列Xkk(1≦k≦10)を、設計構造行列Xの主対角線上に、主対角線が重なって配置される様に左上から右下に順次並べたものである。
小行列X11:設計構造行列Xの対角成分x11のみからなる1次単位行列
小行列X22:設計構造行列Xの対角成分x22〜x55を有する4次単位行列
小行列X33:設計構造行列Xの対角成分x66〜x88を有する3次単位行列
小行列X44:設計構造行列Xの対角成分x99のみからなる1次単位行列
小行列X55:設計構造行列Xの対角成分x10,10
〜x12,12 を有する3次単位行列
小行列X66:設計構造行列Xの対角成分x13,13 のみからなる1次単位行列
小行列X77:設計構造行列Xの対角成分x14,14 のみからなる1次単位行列
小行列X88:設計構造行列Xの対角成分x15,15 のみからなる1次単位行列
小行列X99:設計構造行列Xの対角成分x16,16
〜x18,18 を有する3次単位行列
小行列X10,10 :設計構造行列Xの対角成分x19,19
〜x21,21 を有する3次単位行列
【0115】
上記の様な対称区分けが、上記の個数pを最小とする。即ち、個数pの最小値は10(=p0 )で最大値は21(=m)である。上記の設計構造行列Xに対して、p=p0 (=10)とする対称区分けは他にも存在する。それらの複数存在し得る対称区分けの内、最も簡単に探索することができる対称区分けとしては、例えば次式(9)の評価式Eを最大にするもの等がある。
【数9】
E= k=1Σp0(102(p0−k) ×nk ) …(9)
ただし、ここで、nk は小行列Xkkを構成するn次単位行列の次数を2桁の10進数で表したものである。また、例えばnk を6桁の2進数で表す場合には、次式(10)を用いれば良い。
【0116】
【数10】
E= k=1Σp0(26(p0−k) ×nk ) …(10)
即ち、これらの式(9)や式(10)の評価式Eを最大にする方式とは、上の行(即ち、行番号iの若い方)から順番に依存関係を確認していき、毎回小行列Xkk(:nk 次単位行列)を構成する際に、できるだけnk の値が大きくなる様に小行列Xkkを構成していく方式のことである。
図14の「枠組開発工程」とは、この様な対称区分けに基づいて、設計構造行列Xの行番号iの若い方からnk 個の開発工程毎に、各開発工程をクラス分けしたグルーピングされた1群の一連の開発工程のことである。
【0117】
(a)縮退再編成手段
図15に、この様な対称区分けに基づいて実行される本発明の縮退再編成手段の実施形態を例示する。この設計構造行列ξは、図14の設計構造行列Xを上記の枠組開発工程単位に、書き改めたものである。即ち、縮退再編成手段は、小行列Xkkを構成する設計構造行列X(例:図14)の各行列成分xijの行番号iに対応する全ての開発工程を一纏まりの枠組開発工程k(1≦k≦p0 )として、この枠組開発工程単位に縮退されたp0 行p0 列の設計構造行列に、設計構造行列Xを再編成する。
【0118】
例えばこの様に縮約された設計構造行列ξ(例:図15)を求めれば、枠組開発工程k(1≦k≦p0 )の中にクラス分けされた各開発工程は「i≠j⇒xij=0」を満たすため、互いに依存関係を持たないので、枠組開発工程k(1≦k≦p0 )の中にクラス分けされた各開発工程は、互いに並行に実行することができる。したがって、例えば、枠組開発工程kを実行するために必要となる時間は、この中にクラス分けされた各開発工程を実行するために必要となる時間の最大値となる等し、プロジェクト全体の工期や改善策の良否等を大局的に把握したり、推し量ったりする上で都合が良くなる。
【0119】
(b)対称区分けに基づく評価
上記の様な対称区分けを用いれば、設計構造行列X(例:図14)に対する評価式Fを、例えば、次式(11)に例示する直列化率Sを用いて定義したり演算したりすることができる。勿論、この直列化率Sをそのまま評価式Fとして利用しても良い。
【数11】
S≡p0 /m …(11)
【0120】
このSの値は、1/m≦S≦1の範囲の値を取る。p0 の値が小さいほど、各開発工程の並列化が進むので、直列化率Sの値は小さいほど、高い効率(大きな開発工期短縮効果)が期待できる。並列化の促進度を表すためには、むしろ次式(12)又は次式(13)を使った方が分り易いかもしれない。
【数12】
P=1−S=(m−p0 )/m …(12)
【数13】
P=(1−S)×100% …(13)
以下、式(12)の変数Pのことを並列化率と呼ぶ。
【0121】
例えば上記の式(11)〜式(13)等の様な設計構造行列に対する評価式を用いれば、設計構造行列の改善効果を定量的に把握することができる。
また、前述した様に、設計構造行列X(1例:図14)に対して、最大値p0 を与える対称区分けは複数存在し得る。しかしながら、その様な場合であっても、次式(14)を用いれば、上記と同様に、並列化率P(=1−S)が高い設計構造行列程、高い効率(大きな開発工期短縮効果)をもたらすものと判定することができる。
【0122】
【数14】
S≡〔 k=1Σp0{max(ti )}k 〕/( i=1Σm ti ) …(14)
ただし、ここで、ti は設計構造行列Xの第i行に対応する開発工程(作業iではない)の作業時間の見積もりの概算値であり、{max(ti )}k は小行列Xkkに対応する各行に対応する開発工程(作業iではない)の作業時間の見積もりの概算値ti の最大値である。
即ち、式(14)は式(11)よりも高い精度の評価を与える。尚、∀ti =1と仮定する時、式(14)は式(11)に一致する。
【0123】
上記の式(13)と式(14)、及び次式(15)を組み合わせて用いると、設計構造行列Xの改善効果が非常に分り易い。
【数15】
ΔF=F1 −F0
=P1 −P0 …(15)
ただし、ここで、P1 は改善後の設計構造行列の評価式F(式(13))で、P0 は改善前の設計構造行列の評価式F(式(13))である。例えばこの様な表記(評価式ΔF)を用いれば、「今回の改善により並列化率がΔFポイント向上した」等と表現することができ、分り易い。
【0124】
(評価指標出力手段)
本発明の評価指標出力手段では、例えばこの様な表現で、改善後の設計構造行列Xに対する評価指標を画面表示又は印刷する。勿論、式(11)や式(14)の値をそのまま出力しても良いし、これらと式(15)(ΔF=F1 −F0 )とを組み合わせて出力する等しても良い。
【0125】
これらの評価指標の出力は、例えば図2のステップ230の所で、図10、図11、図12、或いは図13等の出力と同様のタイミングで出力すると良い。この様な定量的で分り易い評価指標を出力することにより、プロセス設計者の検討作業(図2のステップ240)を正確或いは迅速なものにすることができる。
また、上記の式(14)或いは、上記の式(14)の分子は、図2のステップ270等にも有用である。
【0126】
(プロンプティング手段)
本発明のプロンプティング手段は、改善案が採用又は却下された際に、行列成分xij(1≦i≦m,1≦j≦m)に対する部分的な修正を実施することをユーザに対して指示、示唆、推奨、警告、又は案内するものである。
【0127】
通常、改善案を採用する場合には、依存関係が解消される開発工程間の行列成分xijを0にする等の処理が必要となる。また、却下する場合には、依存関係が解消されない(/依存関係を解消できない又は、容易には解消できない)開発工程間の行列成分xijの数値(依存度等)を見直した方が良い場合が多い。
したがって、上記の様なプロンプティング手段は、図2のステップ250やステップ260において特に有用であり、この様な手段を設けることにより、プロセス設計者が改善案を採用又は却下する際に、これらの行列成分xijの数値に係わる修正処理を実施し忘れることを未然に防止することができる。
【0128】
(行列成分自動修正手段)
また、図2のステップ250やステップ260等で、改善案が採用又は却下された際に、行列成分xij(1≦i≦m,1≦j≦m)に対する部分的な修正を自動的に実行する手段(行列成分自動修正手段)を設ける様にしても良い。
【0129】
この様な手段を設けることにより、プロセス設計者が改善案を採用又は却下する際に、これらの行列成分xijの数値に係わる修正処理を実施し忘れることを未然に防止することができ、また、プロセス設計者が、該当する行列成分xijの修正作業を行わなくとも良くなる。
特に、改善案を採用する場合には、依存関係が解消される開発工程間の行列成分xijを0にする等により、上記の行列成分自動修正手段を簡単に構成することができる。
【0130】
(遺伝的アルゴリズムの適用)
また、解消依存関係指摘手段が与えた改善案を設計構造行列Xに関する「突然変異」として受け付ける遺伝的アルゴリズムを構成すると都合がよい場合も少なくない。図16は、遺伝的アルゴリズムの一般的かつ基本的な実行手順の概要を例示するゼネラルフローチャートである。
【0131】
設計構造行列Xの行数が大きくなると、行及び列の入れ換え操作によって導出可能な設計構造行列の数は爆発的に増大する。したがって、例えば新規エンジンの開発等における開発プロジェクトの開発計画等を行う際等、製品や部品等の開発工程が非常に多く、また、各開発工程の実行順序に関する検討時間が比較的短い場合等に、全開発工程に関する略最善の実行順序をある程度限られた時間内で導くためには、総当たり的な演算方式に頼るべきではない場合が多い。例えば用意できる開発工期短縮支援装置の処理性能が余り高くは望めない場合などがそれらの場合に該当する。
【0132】
しかしながら、評価(ステップ330)、選択(ステップ350)、交叉(ステップ370)、突然変異(ステップ390)等を順次繰り返す遺伝的アルゴリズムを用いれば、総当たり的な演算方式に頼らずに、比較的短い検討時間の間に目標の開発工期を達成する改善案が見つかる場合が多い。
【0133】
例えば、図16のステップ310(初期集団の生成)は図2のステップ210及びステップ220に相当し、図16のステップ390(突然変異)は図2のステップ240及びステップ260に相当すると考えることができる。
また、図16のステップ370(交叉)は、本発明の「縮退再編成手段」や「第1改善行列探索手段」や「第2改善行列探索手段」等により実行されるものと考えても良い。
【0134】
図2のステップ240等でプロセス設計者が下す判断は、十分に合理的なものであると期待されるが、開発工期短縮支援装置を構成する時点では、それらは予測不能な判断であり、開発工期短縮支援装置を構成する上では、これらの判断は必ずしも客観性を持つものとは限らない。また、これらの判断は例えば材料の価格変動等の時流的な不確定要素等にも左右され得る。これらの意味で、各開発工程間の依存関係を解消することを改善案として提案する解消依存関係指摘手段に対してプロセス設計者が採否回答を行う際等に下す判断(特に採用時:図2のステップ260)は、ある種気まぐれ或いは確率的であり、よって、設計構造行列Xを進化させる遺伝的アルゴリズムにおける突然変異を与えるものと解釈することができる。
【0135】
そこで、各開発工程間の依存関係を解消することを改善案として提案する解消依存関係指摘手段に対してプロセス設計者が採否回答を行う際等に下す判断を遺伝的アルゴリズムにおける突然変異を与えるステップとして、開発工期短縮支援装置の処理アルゴリズムを構成する方法が有用と考えられる。
事実、この様な構成により、開発工程が非常に多く、また、各開発工程の実行順序に関する検討時間が比較的短い場合等においても、全開発工程に関する略最善の実行順序をある程度限られた時間内で導くことが可能又は容易となる。
また、この様な観点から見れば、上記の行列成分自動修正手段やプロンプティング手段等は、上記の突然変異を与える処理ステップを円滑に実行するための手段であると考えることができる。
【0136】
(第1部分集合高速算定手段)
また、設計構造行列Xに対する行及び列の入れ換え操作によって導出可能な設計構造行列の部分集合を遺伝的アルゴリズムを利用して求める手段(第1部分集合高速算定手段)を用いる様に開発工期短縮支援装置100を構成しても良い。この様な手段を用いれば、比較的短い検討時間の間に、目標の開発工期を満たす設計構造行列Xを含んだ設計構造行列の部分集合が見つかる場合が多い。
【0137】
(第2部分集合高速算定手段)
また、設計構造行列Xに対して所定の探索時間内又は所定の探索範囲内で探索し得る、複数の矩形領域Dの部分集合を遺伝的アルゴリズムを利用して求める手段(第2部分集合高速算定手段)を用いる様に開発工期短縮支援装置100を構成しても良い。
【0138】
複数の矩形領域Dの部分集合を求める場合にも、前記と同様に総当たり的な演算方式に頼るべきではない場合が多いが、しかしながら、評価、選択、交叉、突然変異を順次繰り返すことにより、評価の高い矩形領域Dの部分集合を探索する遺伝的アルゴリズムを用いれば、総当たり的な演算方式に頼らずに、比較的短い時間の間に、コストパフォーマンス(例:Δt/Z)が略最大と思われる矩形領域D(代表矩形領域D0 )を含んだ矩形領域Dの部分集合が見つかる場合が多い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係わる開発工期短縮支援装置100の論理的なハードウェア構成図。
【図2】本発明の実施例に係わる開発工期短縮支援装置100の典型的な利用形態(運用手順)を例示するフローチャート。
【図3】設計構造行列Xの初期行列を例示する表。
【図4】初期行列の決定過程において、DEツール(ForgeCAE)を導入することにより削除することができた依存関係を示す表。
【図5】初期行列の決定過程において、各種の標準要件を導入することにより削除することができた依存関係を示す表。
【図6】初期行列の決定過程において、各種の標準手順を導入することにより削除することができた依存関係を示す表。
【図7】初期行列に関する列や行の入れ換え操作(第1改善行列探索手段)により得られた設計構造行列X′を例示する表。
【図8】本発明の第2改善行列探索手段の実施形態を例示する表。
【図9】本発明の第2改善行列探索手段の実施形態を例示する表。
【図10】本発明の矩形領域確定手段、及び代表矩形領域探索手段の実施形態を例示する表。
【図11】本発明の解消依存関係指摘手段(解消依存関係出力手段)の実施形態を例示する出力形式図。
【図12】本発明の改善効果視覚化手段の実施形態を例示する出力形式図。
【図13】本発明の改善効果視覚化手段の実施形態を例示する出力形式図。
【図14】本発明の設計構造行列評価判定手段の実施形態を説明する表。
【図15】本発明の縮退再編成手段の実施形態を例示する表。
【図16】遺伝的アルゴリズムの一般的かつ基本的な実行手順の概要を例示するゼネラルフローチャート。
【符号の説明】
100 … 開発工期短縮支援装置
101 … CPU
102 … RAM
103 … ROM
104 … ハードディスク
105 … CD−R
106 … FD
107 … DB
121 … マウス
123 … ディスプレイ装置
125 … キーボード
X … 設計構造行列(DSM:Design Structure Matrix )
X′ … 設計構造行列(DSM)
X″ … 設計構造行列(DSM)
xij … 設計構造行列Xの各行列成分(1≦i≦m,1≦j≦m)
i … 設計構造行列Xの行番号
j … 設計構造行列Xの列番号
C … 長方領域{xij|I≦i≦I+L1 −1,
J≦j≦J+L2 −1,∀xji=0}
L1 … 長方領域Cの高さ
L2 … 長方領域Cの横幅
I … 長方領域Cの左上角の成分の行番号
J … 長方領域Cの左上角の成分の列番号
D … 長方領域Cを含んだ矩形領域
D0 … 代表矩形領域
f … 設計構造行列Xの矩形領域Dに対する評価関数
Xkk … 設計構造行列Xに対する対称区分けにより得られる小行列
(1≦k≦p0 )
ti … 行番号iに対応する開発工程iを
実行するのに必要となる作業時間
Tk … 小行列Xkkに対応する枠組開発工程kを
実行するのに必要となる作業時間
Δt … 開発工程単位で算定された概算工期短縮工数
ΔT … 枠組開発工程単位で算定された概算工期短縮工数
Z … 改善実施難易度
S … 直列化率
P … 並列化率
F … 設計構造行列Xに対する評価式
【発明の属する技術分野】
本発明は、製品又は部品を開発する際の開発工程の実行順序に係わる改善案を提案することにより、開発工期の短縮に関する検討作業を支援する支援装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】
特開2002−41539号公報
【特許文献2】
特開平9−22433号公報
【特許文献3】
特開2001−202118号公報
【非特許文献1】
A.Yassine,D.Falkenburg,K.Chelst,”Engineering design management: an information structure approach”,Int.J.Production Research,1999,Vol.37, No.13,p.2957−2975
【0003】
例えば、上記の特許文献1に開示されている従来技術は、プロセス設計者が開発工期の短縮に関する検討作業を実行する際に、各プロセス(開発工程)間の関係等を見易く視覚化することにより、プロセス設計者の思考(検討作業)を側面から支援する所に特徴がある。
【0004】
また、上記の非特許文献1に開示されている従来技術は、作業(開発工程)間の依存関係に関する表現方法や、後工程で生じる不都合に起因する前工程への作業の戻りが少なくなる様な効率の良い作業手順を生成する方法を与えようとするものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記の特許文献1に開示されている従来技術は、データの視覚化に重点を置いたものであり、実質的な検討作業(実質的な判断)の殆どをプロセス設計者の直感や試行錯誤等に委ねるものである。このため、この様な従来技術を用いるだけでは、プロセス(開発工程)の数の増大と共に、プロセス設計者の検討時間が爆発的に増大する。
即ち、特許文献1等に開示されている従来技術では、例えばエンジン設計等の実際の大規模な開発プロジェクトのプロセス設計作業(プロセス計画作業)を容易にしたり、効率化したりすることは難しい。
【0006】
また、上記の非特許文献1に開示されている従来技術は、作業(開発工程)間の依存関係を設計構造行列(DSM:Design Structure Matrix )で表現し、この設計構造行列により与えられたある一定の依存関係に対して、その設計構造行列の行及び列に関する入れ換え操作等を行うことにより、より望ましい解(作業手順)を導こうとするものである。
即ち、上記の非特許文献1に開示されている従来技術によれば、各作業(開発工程)間の依存関係をどの様に与えるべきか、或いは、それらの依存関係をどの様に変更(修正)するべきか等についての判断は、全面的にプロセス設計者に委ねられる。
【0007】
したがって、この様な従来技術によっても、プロセス(開発工程)の数の増大と共に、プロセス設計者の検討時間が爆発的に増大するので、上記と同様に、大規模な開発プロジェクトのプロセス設計作業(プロセス計画作業)を容易にすることは難しい。
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するために成されたものであり、その目的は、大規模な開発プロジェクトのプロセス設計作業(プロセス計画作業)を容易かつ効率的にすることである。
【0009】
【課題を解決するための手段、並びに、作用及び発明の効果】
上記の課題を解決するためには、以下の手段が有効である。
即ち、本発明の第1の手段は、製品又は部品を開発する際のm個の開発工程の実行順序に係わる改善案を提案することにより、開発工期の短縮に関する検討作業を支援する支援装置において、m個の開発工程の各工程間の相互的な各依存関係を網羅的に表す、各行列成分xij(1≦i≦m,1≦j≦m)がそれぞれ全て与えられたm行m列の設計構造行列Xに基づいて、設計構造行列Xの主対角線の下方に位置する三角領域{xij|i>j}内に存在する高さL1 (≧1)の長方領域C={xij|I≦i≦I+L1 −1,J≦j≦J+L2 −1,∀xji=0}を含み、長方領域Cと左側の1辺が一致し、かつ、j=i−1を満たす成分xijを1つだけ有する矩形領域Dを確定する矩形領域確定手段と、所定の探索時間内又は所定の探索範囲内で探索し得る複数の矩形領域Dの部分集合の中から所定の評価関数f(X,D)の関数値が略最大又は略最小となる代表矩形領域D0 を探索する代表矩形領域探索手段と、その代表矩形領域D0 内に存在する行列成分xijが表す各開発工程間の依存関係を指摘することにより、それらの各開発工程間の依存関係を解消することを改善案として提案する解消依存関係指摘手段とを備えることである。
【0010】
ただし、上記の長方領域Cや矩形領域D等の「領域」とは、その行列に対する「区分け」により生成可能な行列内の「区画」と略同等の概念である。また、同様に、上記の三角領域に付いても、行列内の三角形の区画(領域)と解釈すれば良い。
【0011】
また、上記の設計構造行列Xの各行列成分xij(1≦i≦m,1≦j≦m)は、xij≠0の時、行番号jに対応する開発工程の実行結果の如何によっては、行番号iに対応する開発工程が、少なくとも部分的には再実行しなければならなくなる可能性を持つことを意味するものである。したがって、例えばこの行と列の意味を入れ換えた設計構造行列Yを導入したい場合には、上記の行番号iと列番号jとの関係を全て入れ換えれば、上記と全く同等の手段を得ることは明らかである。
【0012】
また、上記の所定の評価関数f(X,D)とは、設計構造行列Xとその部分領域(小行列)である矩形領域Dを定めれば、一意に定まる一つの実数(上記の関数値)を与える関数である。
【0013】
上記の長方領域Cの対称領域Ct (≡{xji|xij∈C,1≦i≦m,1≦j≦m})の各成分xjiは全て0である(依存関係を持たない)ため、上記の解消依存関係指摘手段の指摘に従って「その代表矩形領域D0 内に存在する行列成分xijが表す各開発工程間の依存関係」を解消すれば、上記の長方領域Cの行番号i(I≦i≦I+L1 −1)が示す一連の開発工程と、上記の長方領域Cの列番号j(J≦j≦J+L2 −1)が示す一連の開発工程とを独立的に実行(即ち、並列化)することが可能となる。
【0014】
したがって、この様な構成に従えば、上記の評価関数f(X,D)を適当に選定することにより、依存関係を解消することの難易度や、或いは、製品又は部品の品質確保等に関する実際の課題の大きさの割に、開発期間の短縮効果の高い改善案を自動的に得ることが可能又は容易となる。
逆に言えば、評価関数f(X,D)は、依存関係を解消することの難易度や、製品又は部品の品質確保等に関する実際の課題の大きさや、或いは、開発期間の短縮効果等を数値化し、それらの数値に基づいて構成すれば良い。
【0015】
また、本発明の第2の手段は、上記の第1の手段において、上記の各依存関係の依存度を、この依存度が高くなるほど大きくなる非負数で与えられる各行列成分xij(1≦i≦m,1≦j≦m)を用いて、多段階的又は連続的に表現することである。
勿論、上記の依存関係は、それらの有無を示す例えば1/0等の二値で表される変数を用いて、定性的に表現しても良い。しかしながら、上記の各依存関係の依存度を、上記の様に多段階的或いは連続的に表現することにより、これらの依存関係をより詳しく定量的に表現することが可能となる。このため、上記の構成に従えば、上記の評価関数f(X,D)をより的確に表現することが可能又は容易となる。
【0016】
また、第3の手段は、上記の第1又は第2の手段において、行番号iが開発工程の優先的な実行順序に一致する設計構造行列Xの主対角線上に、自身の主対角線が重なって位置する小行列Xkkが全てn次対角行列(n≧1)になる様に、設計構造行列Xを区分けする対称区分けの内の、小行列Xkkの個数pを最小とする対称区分けと、個数pの最小値p0 に基づいて、小行列Xkkを構成する設計構造行列Xの各行列成分xijの行番号iに対応する全ての開発工程を一纏まりの枠組開発工程k(1≦k≦p0 )として、この枠組開発工程単位に縮退されたp0 行p0 列の設計構造行列に、設計構造行列Xを再編成する縮退再編成手段を設けることである。
【0017】
ただし、n=1の場合にも、その1次対角行列(即ち、設計構造行列Xの1つの対角成分に一致するスカラー)により上記の小行列Xkkが構成されるものとする。また、設計構造行列Xの対角成分の値は、特段本質的な意味を有するものではないため任意で良い。以下、特に断らない限り、設計構造行列Xの各対角成分の値は、1であると仮定しても良い。この場合、上記のn次対角行列(n≧1)はn次単位行列(n≧1)に一致する。
【0018】
上記の構成に従えば、枠組開発工程k(1≦k≦p0 )の中にクラス分けされた各開発工程は、「i≠j⇒xij=0」を満たすため、互いに依存関係を持たない。したがって、枠組開発工程k(1≦k≦p0 )の中にクラス分けされた各開発工程は、互いに並行に実行することができる。したがって、例えば、枠組開発工程kを実行するために必要となる時間は、この中にクラス分けされた各開発工程を実行するために必要となる時間の最大値となる等し、プロジェクト全体の工期や改善策の良否等を大局的に把握したり、推し量ったりする上で都合が良くなる。
即ち、上記の縮退再編成手段を設けることにより、枠組開発工程単位に縮退されたp0 行p0 列の設計構造行列に基づいて、プロジェクト全体に係わる大局的な判定を実施することが容易となる。尚、この大局的な判定は、人為的なものであっても自動的なものであっても、上記の構成に基づく作用・効果は本質的には同じである。
【0019】
また、第4の手段は、上記の第3の手段において、合計p0 個の枠組開発工程k(1≦k≦p0 )の各見積工数Tk として、小行列Xkkを構成する設計構造行列Xの各行列成分xijの行番号iに対応する各開発工程の各見積工数ti の最大値:{max(ti )}k を用いることである。
【0020】
この第4の手段は、上記の第3の手段において、1つの小行列Xkkに対応する1つの枠組開発工程kの中にクラス分けされた各開発工程を実行するために必要となる時間の最大値を求める手段に相当する。
【0021】
また、第5の手段は、上記の第1乃至第4の何れか1つの手段において、上記の評価関数f(X,D)を概算工期短縮工数Δtと改善実施難易度Zとの比Δt/Zで与え、上記の代表矩形領域探索手段により、評価関数f(X,D)の関数値Δt/Zが略最大となる矩形領域Dを代表矩形領域D0 として探索することである。
【0022】
この様な手段によれば、1つの改善を実施する際の難易度に対する効果(概算工期短縮工数Δt)の割合に基づいて、代表矩形領域D0 を選定することが可能又は容易となる。したがって、この様な手段を備えれば、比較的少ない改善努力で極力大きな短縮効果をもたらす様な解消依存関係指摘手段を構成することができる。
【0023】
また、第6の手段は、上記の第5の手段において、上記の改善実施難易度Zを(a)矩形領域D内にある行列成分xijの総和
DΣxij≡ i=IΣI+L1−1{ j=JΣJ+L2−1xij},
又は、
(b)矩形領域D内にある行列成分xijの最大値
の何れか1項で与えることである。
【0024】
例えば「0≦xij≦1」等と設計構造行列Xの各成分xijの定義域が所定の有限な範囲内に決められている時、代表矩形領域D0 内において、例えば「∀xij≒0」或いは「殆ど全ての成分に対してxij=0」ならば、(b)の評価式により上記の改善実施難易度Zを推し量ることができる。また、その様な特性が無い場合でも、通常は、(a)の評価式により上記の改善実施難易度Zを推し量ることができる。
即ち、例えばこれらの統計的な諸方式等に基づいて、上記の改善実施難易度Zを適切に定量化することが可能である。
【0025】
また、第7の手段は、上記の第5又は第6の手段において、上記の概算工期短縮工数Δtを、
(a)m個の開発工程の各見積工数ti (1≦i≦m)を用いて算出される、矩形領域Dに関する項:
min( i=IΣI+L1−1ti , i=JΣJ+L2−1ti ),
又は、
(b)矩形領域Dに関する項:min(L1 ,L2 )
の何れか1項で与えることである。
【0026】
例えばm個の開発工程の各見積工数ti (1≦i≦m)が概ね既知の場合には、(a)の評価式により上記の概算工期短縮工数Δtを推し量ることができる。また、各見積工数ti (1≦i≦m)が未知の場合においても、(a)の評価式において「∀ti =1」と仮定した(b)の評価式により改善努力の割に高い改善効果をもたらす改善案を高い確率で導出することができる。
即ち、例えばこれらの統計的な諸方式等に基づいて、上記の概算工期短縮工数Δtを適切に定量化することが可能である。
【0027】
また、第8の手段は、上記の第1、第3、第4、又は第5の何れか1つの手段において、各行列成分xij(1≦i≦m,1≦j≦m)の値をそれぞれ1(:依存する)又は0(:依存しない)で表現し、矩形領域D内に存在する依存成分(:xij=1)の数Nをカウントする依存成分計数手段を設け、評価関数f(X,D)として、高さL1 と矩形領域Dの底辺の長さL2 と数Nの関数min(L1 ,L2 )/Nを採用し、更に、上記の代表矩形領域探索手段により、関数min(L1 ,L2 )/Nが略最大となる代表矩形領域D0 を、上記の矩形領域Dの部分集合の中から探索することである。
【0028】
この手段は、設計構造行列Xの各行列成分xij(1≦i≦m,1≦j≦m)の値が1/0に二値化されており、かつ、各見積工数ti (1≦i≦m)が未知または不詳な場合の基本的な方式を与えるものである。例えば上記の依存成分計数手段は、前記の項: DΣxij≡ i=IΣI+L1−1{ j=JΣJ+L2−1xij}(=N)を与える。
即ち、この様に必要な諸データを単純化した場合でも、上記の構成に従えば、本発明は可用かつ有効である。
【0029】
また、第9の手段は、上記の第1乃至第8の何れか1つの手段において、設計構造行列Xに対する行及び列の入れ換え操作によって導出可能な設計構造行列の部分集合の中から、設計構造行列Xの主対角線の上方に位置する三角領域{xij|i<j}内に存在する全行列成分xijに関する総和 i<jΣ{(j−i)xij}が略最小となる設計構造行列X′を求める手段(第1改善行列探索手段)を備えることである。
【0030】
ただし、上記の行列Xは設計構造行列であり、また、行及び列の入れ換え操作によって導出すべき行列X′も設計構造行列であるので、この様な行及び列の入れ換え操作は、行列Xの対角成分xiiが他の対角成分xjjと丁度入れ換わる様に、必ず行の入れ換え操作と列の入れ換え操作とを1つずつ対にして実行するものとする。この様な行及び列の入れ換え操作は任意の回数繰り返して良い。
【0031】
この第1改善行列探索手段により、依存関係を有する開発工程間において、戻り作業が発生する依存関係の数や発生確率を小さく抑えたり、或いは、戻り作業が発生した際のやり直し工程(やり直し作業)の数(量)を小さく抑えたりすることができるため、機械的に実施することが容易な行及び列の入れ換え操作によって、効果的に設計構造行列Xの改善を図ることができる。
この様な手段は、例えば設計構造行列Xの初期状態(初期行列)が与えられた際や、設計構造行列Xの各成分xijを再定義(修正)した後等に効果的に用いることができる。
【0032】
また、第10の手段は、上記の第1乃至第9の何れか1つの手段において、設計構造行列Xのi行目(2≦i≦m)の指標Gi に付いて、そのi行目(2≦i≦m)に「xij>0,i>j」を満たす行列成分xijが存在する場合には、そのi行目の「xij>0,i>j」を満たす行列成分xijの内の、列番号jが最大である行列成分xijが持つ列番号jを用いて「Gi =i−j」と定義し、かつ、設計構造行列Xのi行目(2≦i≦m)に「xij>0,i>j」を満たす行列成分xijが存在しない場合には「Gi =i」と定義した時に、設計構造行列Xに対する行及び列の入れ換え操作によって導出可能な設計構造行列の部分集合の中から、指標Gi に関する総和 i=2Σm Gi が略最大となる設計構造行列X″を求める手段(第2改善行列探索手段)を設けることである。
【0033】
ただし、上記の行列Xは設計構造行列であり、また、行及び列の入れ換え操作によって導出すべき行列X″も設計構造行列であるので、この様な行及び列の入れ換え操作は、行列Xの対角成分xiiが他の対角成分xjjと丁度入れ換わる様に、必ず行の入れ換え操作と列の入れ換え操作とを1つずつ対にして実行するものとする。この様な行及び列の入れ換え操作は任意の回数繰り返して良い。
【0034】
この第2改善行列探索手段により、設計構造行列Xの並列性を改善することができる。この手段は、例えば上記の第1改善行列探索手段を実施した際に、同程度に高い評価の設計構造行列X′が複数得られた場合に、それらの中から更に良い設計構造行列X″を求める際等に有効である。
この第2改善行列探索手段の作用については、後から実施例の所で図8、図9を用いてより具体的に例示する様に、経験的に確かめられている。
【0035】
また、第11の手段は、上記の第10の手段において、与えられたm行m列の設計構造行列Xから上記の第1改善行列探索手段により設計構造行列X′を求め、ここで求められたこの設計構造行列X′から上記の第2改善行列探索手段により設計構造行列X″を求め、ここで求められたこの設計構造行列X″を新たな設計構造行列Xとして、矩形領域確定手段、代表矩形領域探索手段、及び解消依存関係指摘手段を順次(再)実行することにより、前記の改善案を提案することである。
【0036】
この様な実行手順に従えば、各開発工程間においてそれぞれ与えられている所定の依存関係に基づいて、行や列の入れ換え操作以外の操作を行わずに、或いは、個々の依存関係を何ら修正することなく、その範囲内において、各開発工程の実行順序が最善と思われる設計構造行列を選定した上で、矩形領域確定手段、代表矩形領域探索手段、及び解消依存関係指摘手段を順次(再)実行することが可能となる。このため、上記の実行手順に従えば、任意の開発工程間において新たな依存関係が新規或いは改めて与えられる度に、その段階において最も確からしい改善案を選択することが可能となる。
従って、この様な構成に従えば、非常に高い確率で短時間に、採用すべき所望の改善案を導出することができる。
【0037】
また、第12の手段は、上記の第1乃至第11の何れか1つの手段において、行番号iが開発工程の優先的な実行順序に一致する設計構造行列Xの主対角線上に、自身の主対角線が重なって位置する小行列Xkkが全てn次対角行列(n≧1)になる様に、設計構造行列Xを区分けする対称区分けの内の、小行列Xkkの個数pを最小とする対称区分けが与える個数pの最小値p0 を用いて構成される所定の評価式Fに基づいて、設計構造行列Xに対する評価判定を実行する手段(設計構造行列評価判定手段)を設けることである。
【0038】
上記の枠組開発工程k(1≦k≦p0 )の中にクラス分けされた各開発工程は、「i≠j⇒xij=0」を満たすため、互いに依存関係を持たない。したがって、枠組開発工程k(1≦k≦p0 )の中にクラス分けされた各開発工程は、互いに並行に実行することができる。したがって、例えば、枠組開発工程kを実行するために必要となる時間は、この中にクラス分けされた各開発工程を実行するために必要となる時間の最大値となる。
【0039】
この様に、上記のp0 の値は、小さいほど各開発工程は並列に実行し易い。例えばp0 =1の場合には、m個の各開発工程は全て並行に実行することができる。また、p0 =mの場合には、m個の各開発工程は、基本的には全て直列に実行することしかできない。
したがって、この様な並列性を端的に表すパラメータp0 を用いて評価式Fを構成し、この評価式Fを用いて設計構造行列を評価することにより、その設計構造行列が意味する各開発工程の実行順序がもたらす開発工期の短縮効率を簡単かつ的確に推し量ることができる。
【0040】
また、第13の手段は、上記の第12の手段において、最小値p0 と開発工程の数mを独立変数とする関数:S≡p0 /mを上記の評価式Fの定義/演算に用いることである。この関数Sの関数値p0 /mは、小さいほど、プロジェクトの開発工期を短くすることができる。即ち、例えばこの様な形式により、上記の評価式Fを決定することができる。
以下、この指標(関数S)を設計構造行列Xが意味する各開発工程の実行順序の逐次実行率又は直列化率と言う。この直列化率(関数S)の値が大きいほど、プロジェクトの開発工期は長くなる。
【0041】
また、第14の手段は、上記の第12の手段において、m個の開発工程の各見積工数ti (1≦i≦m)と、小行列Xkkの個数pを最小とする対称区分けが与えるk番目(1≦k≦p0 )の小行列Xkkが有する、設計構造行列Xの各対角成分xiiの行番号iと、小行列Xkkを構成する全ての行番号iの内の、見積工数ti を最大にする行番号iの関数として定義することができる、小行列Xkkに関する見積工数Tk ≡{max(ti )}k とを用いて定義される関数:
S≡〔 k=1Σp0{max(ti )}k 〕/( i=1Σm ti )
を上記の評価式Fの定義/演算に用いることである。
【0042】
前述の通り、枠組開発工程kを実行するために必要となる時間は、この中にクラス分けされた各開発工程を実行するために必要となる時間の最大値となる。この最大値は、上記の小行列Xkkに関する見積工数Tk (≡{max(ti )}k )と一致する。また、最小値p0 の定義から、上記の各枠組開発工程は、枠組開発工程単位ではそれ以上並列化することはできない。
したがって、上記の関数Sの分子〔 k=1Σp0{max(ti )}k 〕は、該当するプロジェクトの全開発工期の長さの概算値を表している。
以下、この指標(関数S)を設計構造行列Xが意味する各開発工程の実行順序の逐次実行率又は直列化率と言う。この直列化率(関数S)の値が大きいほど、プロジェクトの開発工期は長くなる。
【0043】
また、この直列化率(関数S)の値は、「∀ti =1」の時、前述の第13の手段において定義した直列化率(関数S)の値に一致する。したがって、本発明の第14の手段は、上記の本発明の第13の手段を論理的に含んだものと考えても良い。
言い換えれば、前述の第13の手段は、各見積工数ti (1≦i≦m)が未知又は不詳の時に、有効な手段を与えるものである。
【0044】
また、第15の手段は、上記の第13又は第14の何れか1つの手段において、関数Sを用いて定義される並列化率:P≡1−Sを上記の評価式Fの定義/演算に用いることである。
上記の第13又は第14の何れの手段においても、この並列化率Pの値域は、「0≦P<1」となり、この並列化率Pの値が大きい場合ほど、開発工期の短縮が図られていると考えることができる。したがって、我々は、製品などの品質を確保した上で、この並列化率Pの増加率を極力大きくすることができる改善策を策定(選択)することが望まれていると考えて良い。
即ち、この様な指標(並列化率P)を導入することにより、開発工期短縮に係わる改善効果を分り易く定量化することができる。
【0045】
また、本発明の第16の手段は、上記の第12乃至第15の何れか1つの手段において、上記の設計構造行列評価判定手段により、比較基準として与えられた設計構造行列Xの対照基準行列X0 に対する評価式Fの関数値F0 と、設計構造行列Xの改善後の設計構造行列X1 に対する評価式Fの関数値F1 との差分ΔF(=F1 −F0 )に基づいて、設計構造行列Xに対する評価判定を実行することである。
【0046】
上記の対照基準行列X0 としては、設計構造行列Xの初期値(初期行列)を当てても良いし、改善案を繰り返し採用する際の1つの(1段階或いは1回の)改善案を反映する直前の設計構造行列Xの前回値を当てても良い。
この様な差分ΔF(=F1 −F0 )を導入することにより、例えば、評価式Fとして上記の並列化率Pを採用する際等には、上記の「並列化率Pの増加率」この差分ΔFを演算することにより算出することができる。
即ち、この様な指標(差分ΔF)を導入することにより、開発工期短縮に係わる改善効果を更に分り易く定量化することができる。
【0047】
また、第17の手段は、上記の第12乃至第16の何れか1つの手段において、比較基準として与えられた設計構造行列Xの対照基準行列X0 に対する評価式Fの関数値F0 と、設計構造行列Xの改善後の設計構造行列X1 に対する評価式Fの関数値F1 との差分ΔF(=F1 −F0 )を画面表示又は印刷する評価指標出力手段を設けることである。
【0048】
上記の対照基準行列X0 としては、設計構造行列Xの初期値(初期行列)を当てても良いし、改善案を繰り返し採用する際の1つの(1段階或いは1回の)改善案を反映する直前の設計構造行列Xの前回値を当てても良い。
この様な差分ΔF(=F1 −F0 )を導入することにより、例えば、評価式Fとして上記の並列化率Pを採用する際等には、上記の「並列化率Pの増加率」この差分ΔFを演算することにより算出することができる。したがって、この様な指標(差分ΔF)を画面表示又は印刷することにより、開発工期短縮に係わる改善効果を、プロセス設計者に対して定量的に分り易く示すことができる。
【0049】
また、第18の手段は、上記の第1乃至第17の何れか1つの手段において、設計構造行列Xに対する行及び列の入れ換え操作によって導出可能な設計構造行列の部分集合を遺伝的アルゴリズムを利用して求める第1部分集合高速算定手段を備えることである。
【0050】
設計構造行列Xの行数が大きくなると、行及び列の入れ換え操作によって導出可能な設計構造行列の数は爆発的に増大する。したがって、例えば新規エンジンの開発等における開発プロジェクトの開発計画等を行う際等、製品や部品等の開発工程が非常に多く、また、各開発工程の実行順序に関する検討時間が比較的短い場合等に、全開発工程に関する略最善の実行順序をある程度限られた時間内で導くためには、総当たり的な演算方式に頼るべきではない場合が多い。例えば用意できる開発工期短縮支援装置の処理性能が余り高くは望めない場合などがそれらの場合に該当する。
【0051】
しかしながら、評価、選択、交叉、突然変異を順次繰り返すことにより、評価の高い設計構造行列Xの部分集合を探索する遺伝的アルゴリズムを用いれば、総当たり的な演算方式に頼らずに構成可能なこの遺伝的アルゴリズムの作用により、比較的短い検討時間の間に、目標の開発工期を満たす設計構造行列Xを含んだ設計構造行列の部分集合が見つかる場合が多い。
【0052】
また、第19の手段は、上記の第1乃至第18の何れか1つの手段において、設計構造行列Xに対して所定の探索時間内又は所定の探索範囲内で探索し得る、複数の矩形領域Dの部分集合を遺伝的アルゴリズムを利用して求める第2部分集合高速算定手段を備えることである。
【0053】
複数の矩形領域Dの部分集合を求める場合にも、前記と同様に総当たり的な演算方式に頼るべきではない場合が多いが、しかしながら、評価、選択、交叉、突然変異を順次繰り返すことにより、評価の高い矩形領域Dの部分集合を探索する遺伝的アルゴリズムを用いれば、総当たり的な演算方式に頼らずに構成可能なこの遺伝的アルゴリズムの作用により、比較的短い時間の間に、コストパフォーマンス(例:Δt/Z)が略最大と思われる矩形領域D(代表矩形領域D0 )を含んだ矩形領域Dの部分集合が見つかる場合が多い。
【0054】
また、第20の手段は、上記の第1乃至第19の何れか1つの手段の解消依存関係指摘手段において、設計構造行列Xの代表矩形領域D0 内にある各行列成分xij(≠0,i>j)が示す開発工程iと開発工程jの各開発工程番号、各開発工程名、各開発工程の内容情報、又は各開発工程の工程IDをそれぞれ各行列成分xij(≠0,i>j)毎に画面表示又は印刷することにより、代表矩形領域D0 内に現れた解消すべき依存関係の具体的内容を指摘する解消依存関係出力手段を設けることである。
【0055】
この様な手段により、プロセス設計者は解消すべき依存関係を認識することができる。特に、各開発工程の内容情報を示す場合には、プロセス設計者は各開発工程番号や、各開発工程の工程ID等を、例えば別途用意された表などの別の所から参照する必要が無くなるので、提案された改善案を具体的かつ迅速に把握するのに都合がよい。この様な手段により、プロセス設計者の判断を速く正確に実行し易くすることができる。
【0056】
また、第21の手段は、上記の第1乃至第20の何れか1つの手段において、解消依存関係指摘手段によって指摘された全ての依存関係を解消した後の、開発工程関連図又は開発工程タイムチャートを画面表示又は印刷する改善効果視覚化手段を備えることである。
【0057】
画面表示又は印刷する範囲は、勿論、依存関係の解消により変更される部分だけでも良い。注目の依存関係を解消した後の、開発工程関連図又は開発工程タイムチャートを画面表示又は印刷することにより、プロセス設計者はその時の改善効果を視覚的に認識することができるので、改善案によりもたらされる効果を具体的かつ迅速に把握するのに都合がよい。この様な手段によっても、プロセス設計者の判断を速く正確に実行し易くすることができる。
【0058】
また、第22の手段は、上記の第1乃至第21の何れか1つの手段において、改善案が採用又は却下された際に、行列成分xij(1≦i≦m,1≦j≦m)に対する部分的な修正を実施することをユーザに対して指示、示唆、推奨、警告、又は案内するプロンプティング手段を設けることである。
【0059】
通常、上記の改善案を採用する場合には、依存関係が解消される開発工程間の行列成分xijを0にする等の処理が必要となる。また、却下する場合には、依存関係が解消されない(/解消できない)開発工程間の行列成分xijの数値(依存度等)を見直した方が良い場合が多い。
したがって、上記の様なプロンプティング手段を設けることにより、プロセス設計者が改善案を採用又は却下する際に、これらの行列成分xijの数値に係わる修正処理を実施し忘れることを未然に防止することができる。
【0060】
また、第23の手段は、上記の第1乃至第22の何れか1つの手段において、改善案が採用又は却下された際に、行列成分xij(1≦i≦m,1≦j≦m)に対する部分的な修正を自動的に実行する行列成分自動修正手段を設けることである。
【0061】
通常、上記の改善案を採用する場合には、依存関係が解消される開発工程間の行列成分xijを0にする等の処理が必要となる。また、却下する場合には、依存関係が解消されない(/解消できない)開発工程間の行列成分xijの数値(依存度等)を見直した方が良い場合が多い。
したがって、上記の様な行列成分自動修正手段を設けることにより、プロセス設計者が改善案を採用又は却下する際に、これらの行列成分xijの数値に係わる修正処理を実施し忘れることを未然に防止することができ、また、プロセス設計者が、該当する行列成分xijの修正作業を行わなくとも良くなる。
特に、改善案を採用する場合には、依存関係が解消される開発工程間の行列成分xijを0にする等により、上記の行列成分自動修正手段を簡単に構成することができる。
【0062】
また、設計構造行列Xの行数が大きくなると、行及び列の入れ換え操作によって導出可能な設計構造行列の数は爆発的に増大するため、処理方式を検討する上で注意を要する場合がある。
例えば、新規エンジンの開発等における開発プロジェクトの開発計画等を行う際等、製品や部品等の開発工程が非常に多く、また、各開発工程の実行順序に関する検討時間が比較的短い場合等に、全開発工程に関する略最善の実行順序をある程度限られた時間内で導くためには、総当たり的な演算方式に頼るべきではない場合が多い。例えば用意できる開発工期短縮支援装置の処理性能が余り高くは望めない場合などがそれらの場合に該当する。
【0063】
しかしながら、評価、選択、交叉、突然変異を順次繰り返す周知の遺伝的アルゴリズムを用いれば、総当たり的な演算方式に頼らずに構成可能なこの遺伝的アルゴリズムの特徴的な作用により、比較的短い検討時間の間に目標の開発工期を達成する改善案が見つかる場合が多い。
【0064】
例えば、プロセス設計者が下す判断は、十分に合理的なものであると期待されるが、開発工期短縮支援装置を構成する時点では、それらは予測不能な判断であり、開発工期短縮支援装置を構成する上では、これらの判断は必ずしも客観性を持つものとは限らない。この意味で、各開発工程間の依存関係を解消することを改善案として提案する解消依存関係指摘手段に対してプロセス設計者が採否回答を行う際等に下す判断(特に採用時)は、設計構造行列Xを進化させる遺伝的アルゴリズムにおける突然変異を与えるものと解釈することができる。言い換えれば、解消依存関係指摘手段が与えた改善案を設計構造行列Xに関する「突然変異」として受け付けることにより、上記の様な遺伝的アルゴリズムを効果的に構成することができる。
【0065】
即ち、各開発工程間の依存関係を解消することを改善案として提案する解消依存関係指摘手段に対してプロセス設計者が採否回答を行う際等に下す判断を遺伝的アルゴリズムにおける突然変異を与えるステップとして、開発工期短縮支援装置の処理アルゴリズムを構成することにより、開発工程が非常に多く、また、各開発工程の実行順序に関する検討時間が比較的短い場合等においても、全開発工程に関する略最善の実行順序をある程度限られた時間内で導くことが可能又は容易となる。
また、この様な観点から見れば、上記の第22の手段や、第23の手段は、上記の突然変異を与えるステップを円滑に実行するための手段であると解釈することも可能である。
【0066】
また、設計構造行列Xの行と列の定義を入れ換え、設計構造行列Xの主対角線に対して対称的な定義、操作及び判定を行う等の各種の変形を行っても良い。以上の各手段において、上記の設計構造行列Xの各行列成分xij(1≦i≦m,1≦j≦m)は、xij≠0の時、行番号jに対応する開発工程の実行結果の如何によっては、行番号iに対応する開発工程が、少なくとも部分的には再実行しなければならなくなる可能性を持つことを意味するものである。したがって、例えばこの行と列の意味を入れ換えた設計構造行列Yを導入したい場合には、上記の行番号iと列番号jとの関係を全て入れ換えれば、全く同等の手段を得ることは明らかである。
【0067】
即ち、この様な自明な結果をもたらす、行と列の意味を入れ換える変形的な定義には、別途改めて言及する特別な意義がないので、以下、その様な設計構造行列Yについては特段言及しないが、本発明がその様な入れ換えに対しても、等価の作用・効果をもたらす手段を与えることは明らかである。
したがって、その様な設計構造行列Yの導入により構成可能な対称的な手段についても、本発明の範疇にあるものと考えることができるので、以下、その様な設計構造行列Yの導入により構成可能な対称的な手段についても、本発明の範疇にあるものとする。
【0068】
更に、本発明の第24の手段は、製品又は部品を開発する際のm個の開発工程の実行順序に係わる改善案を提案することにより、開発工期の短縮に関する検討作業を支援する支援装置において、m個の開発工程の内の開発工程i(1≦i≦m)と開発工程j(1≦j≦m)との相互的な依存関係を網羅的に表す工程間依存関係関数H(i,j)に対して引数領域D≡{(i,j)|I1 ≦i≦I2 ,J1 ≦j≦I1 −1,∀H(j,i)=0}を確定する引数領域確定手段と、所定の探索時間内又は所定の探索範囲内で探索し得る複数の引数領域Dの部分集合の中から所定の評価関数f(H,D)の関数値が略最大又は略最小となる代表引数領域D0 を探索する代表引数領域探索手段と、この代表引数領域D0 に属する引数(i,j)が示す各開発工程間の依存関係(H(i,j)≠0)を指摘することにより、それらの各開発工程間の依存関係を解消することを上記の改善案として提案する解消依存関係指摘手段とを備えることである。
【0069】
このような構成に従えば、必ずしも行列を使用しなくとも、前述の開発工期短縮支援装置(本発明の第1乃至第23の何れか1つの手段に基づく装置)と略同等の機能を有する開発工期短縮支援装置を前述の開発工期短縮支援装置と略同様の作用に基づいて構成することができる。
即ち、本発明を理解する上では、設計構造行列(DSM)と言う概念は非常に有用かつ重要であるが、必ずしも、設計構造行列そのものをそのまま直接的に装置の具体的構成要件に組み込まなくとも、例えば上記の様な工程間依存関係関数H(i,j)等を導入すること等により、本発明の開発工期短縮支援装置と同等の装置を具体的に構成することが可能である。
【0070】
言い換えれば、例えば、設計構造行列(DSM)を直接用いなくとも、例えば上記の様な工程間依存関係関数H(i,j)等を用いることにより、設計構造行列(DSM)を用いて構成される第1乃至第23の何れか1つの手段に基づく開発工期短縮支援装置と機能的或いは数学的に同値の装置を構成することができ、かつ、それらの装置においても前記と同様の作用又は効果を得ることができる。しかし、その様な装置もまた、上記の本発明の第24の手段に基づいた本発明の開発工期短縮支援装置の範疇に有るものと解釈することができる。
【0071】
また、上記の本発明の各手段においては、「xij=0⇔開発工程jの実行結果は開発工程iの実施内容に影響を与えない。」又は「H(i,j)=0⇔開発工程jの実行結果は開発工程iの実施内容に影響を与えない。」としたが、依存関係を持たないことを意味する数値(行列の成分、又は関数値)は、必ずしも0である必要は無い。ただし、この数に関してその他の数値a(a≠0)を用いたところで何ら進歩性を持ち得ないので、以下、依存関係を持たないことを意味する数値としては、0を用いるものとする。
以上の本発明の手段により、前記の課題を効果的、或いは合理的に解決することができる。
【0072】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体的な実施例に基づいて説明する。ただし、本発明は以下に示す実施例に限定されるものではない。
〔実施例〕
図1は、本発明の実施例に係わる開発工期短縮支援装置100の論理的なハードウェア構成図である。本発明に基づく開発工期短縮支援装置100は、本図1の論理的なハードウェア構成図に代表的な構成例を例示する様に、ハードウェア構成に関する側面から見れば、一般のパソコン上でも実現することが可能である。
【0073】
図1のコンピュータの本体は、主にCPU101,RAM102,ROM103,ハードディスク104等を内蔵しており、図略の入出力インターフェイスを介して、各種の周辺装置(即ち、CD−R入出力装置105,FD入出力装置106,データベース(DB107),ポインティングデバイス(マウス121),画面表示装置(ディスプレイ123),キーボード125,プリンタ127等)に対する、各種のデータや制御信号や指令信号等の入力処理又は出力処理を実行することができる。
また、データベース(DB107)は、スタンドアロンのものであっても良いし、社内又は部門内等で共用されるものであっても良いし、或いは広域ネットワーク上のものであっても良い。ただし、LAN,WAN等のネットワークを構成する際に必要となるモデム等の図示は省略してある。
【0074】
本発明の開発工期短縮支援装置は、上記の各種のハードウェアを的確に効率よく制御することにより、例えば上記の様な一般的なコンピュータシステム上において具現することができる。本発明に基づいて具現される主な手段としては、例えば設計構造行列の改善に係わる下記の(1)〜(15)の手段等があり、本発明の開発工期短縮支援装置上でこれらの手段を効果的に組み合わせたり、的確に運用したりすることにより、例えば大規模な開発プロジェクトのプロセス設計作業(プロセス計画作業)を容易かつ効率的にすることができる。
【0075】
(1)矩形領域確定手段
(2)代表矩形領域探索手段
(3)解消依存関係指摘手段
(4)縮退再編成手段
(5)依存成分計数手段
(6)第1改善行列探索手段
(7)第2改善行列探索手段
(8)設計構造行列評価判定手段
(9)評価指標出力手段
(10)第1部分集合高速算定手段
(11)第2部分集合高速算定手段
(12)解消依存関係出力手段
(13)改善効果視覚化手段
(14)プロンプティング手段
(15)行列成分自動修正手段
【0076】
図2は、本発明の実施例に係わる開発工期短縮支援装置100の典型的な利用形態(運用手順)を例示するフローチャートである。ここでは、自動車のエンジン部品の一つクランクの製品・生産設計にかかわる製品設計部署や生産技術部署の作業者が目標リードタイム(目標とする開発工期)を達成するために、作業分担等や、設計の進め方(手順)、使用するDEツール(例:ForgeCAE等)、導入すべき各種標準等の各側面から多面的に、設計プロセスを見直す検討作業を行う場面を想定しており、特にクランクの製品・生産設計に関してリードタイム短縮をするための標準化活動場面を考えている。以下の開発工程等の説明では、クランク設計の現場を背景とした具体例等を中心に説明する。
【0077】
図3は、図2の作業依存関係マトリクス(以下、「設計構造行列X」等と言う。)の初期行列を例示する表である。この初期行列は、現状の設計プロセスの各開発工程間の依存関係を表すマトリクスデータを手作業で作成したものである。この設計構造行列X(作業依存関係マトリクス)の初期行列の行番号iは、各作業(各開発工程)の作業IDと一致するが、作業の実行順序や実行優先順位等とは通常一致しない。
【0078】
例えば、この設計構造行列Xの初期行列の2行1列成分x21の値は1であるが、これは作業1の実行結果如何によっては、作業2の作業内容を変更せざるを得ない場合があり得ることを示している。また、例えば、この設計構造行列Xの初期行列の4行10列成分x4,10の値は1であるが、これは作業10の実行結果如何によっては、作業4の作業内容を変更せざるを得ない場合があり得ることを示している。
【0079】
設計構造行列Xの各成分xij(1≦i≦m,1≦j≦m)の値は、依存度若しくはやり直し作業が発生する確率(0≦x≦1)等で表す場合も多いが、本実施例では、作業jが作業iに対して影響を与え得る依存関係があり得る場合にxij=1、そうでなければxij=0と仮定する。また、設計構造行列Xの各対角成分は、重要ではなく任意で良い。
【0080】
クランク設計の設計プロセスにおいては、例えば図3に例示する様に、設計作業や検証(見積もり)作業の依存関係が複雑に入り組んでいるため、仮設計やラフな見積もりを行って各作業を進めていき、関係する設計作業や検証作業の結果をもとに、設計値をスパイラルアップしていくのが一般的な手法である。
【0081】
図3の初期行列の作業16は、DEツール(ForgeCAE)を導入して、クランクの鍛造成形性を検証するシミュレーション作業である。この作業16の導入により、設計構造行列Xの行数m及び列数mは図3に図示する様にそれぞれ1ずつ増加されたが、この作業16の導入により、作業14(試作によるクランクの鍛造成形性の検証)が作業1、作業2、作業4、作業10、及び作業11の各作業に与えていた影響(依存関係)を排除することができた。
図4は、初期行列の決定過程において、上記のDEツール(ForgeCAE)を導入することにより削除することができた依存関係を示している。
【0082】
言い換えれば、この様なシミュレーションを用いた開発工程の新規導入により、設計構造行列Xの初期行列(図3)において、次式(1)に示す様な関係を得ることができた。
【数1】
x1,14 =0,
x2,14 =0,
x4,14 =0,
x10,14 =0,
x11,14 =0 …(1)
【0083】
例えば、以上の様な手作業により、品質を確保し易い状況をできるだけ維持した上で、プロジェクト全体の工期の短期化に及ぼす悪影響が予想される依存関係をできるだけ排除しながら、設計構造行列Xの初期行列を確定していくことが望ましい。図2のステップ210は、この様な初期行列(マトリックスデータ)を作成する手順を示している。
【0084】
その他にも、上記の様な悪影響が予想される依存関係をできるだけ排除するための各種のアプローチが考えられる。
図5は、初期行列の決定過程において、各種の標準要件を導入することにより削除することができた依存関係を示している。
【0085】
これらの標準要件の導入により、例えば次式(2)に示す様な関係を得ることができた。
【数2】
x2,14=0,
x2,15=0 …(2)
【0086】
また、図6は、初期行列の決定過程において、各種の標準作業手順(作業の実施順序や実施優先順位等に関する標準)を導入することにより削除することができた依存関係を示している。
これらの標準作業手順の導入により、例えば次式(3)に示す様な関係を得ることができた。
【0087】
【数3】
x4,15 =0,
x10,15 =0,
x12,10 =0,
x12,14 =0,
x12,15 =0,
x13,10 =0,
x13,14 =0,
x13,15 =0,
x21,14 =0 …(3)
【0088】
図2のステップ220は、以上の様にして作成された初期行列(マトリックスデータ)を図1のシステム(開発工期短縮支援装置100)に入力するステップを示している。
【0089】
(第1改善行列探索手段)
図7に、上記の初期行列に関する列や行の入れ換え操作(第1改善行列探索手段)により得られた設計構造行列X′を例示する。ここでは、設計構造行列Xの初期行列に対する行及び列の入れ換え操作によって導出可能な設計構造行列の部分集合の中から、設計構造行列の主対角線の上方に位置する三角領域{xij|i<j}内に存在する全行列成分xijに関する総和 i<jΣ{(j−i)xij}が略最小となる設計構造行列X′を求める。
【0090】
ただし、上記の行列Xは設計構造行列であり、また、行及び列の入れ換え操作によって導出すべき行列X′も設計構造行列であるので、この様な行及び列の入れ換え操作は、行列Xの対角成分xiiが他の対角成分xjjと丁度入れ換わる様に、必ず行の入れ換え操作と列の入れ換え操作とを1つずつ対にして実行する。この様な行及び列の入れ換え操作は任意の回数繰り返して良い。
【0091】
尚、設計構造行列Xの初期行列においては、設計構造行列Xの行番号iと作業番号(即ち、開発工程番号)とが一致するが、行及び列の入れ換え操作により、これらは必ずしも一致しなくなる点に注意する必要がある。
【0092】
この第1改善行列探索手段により、依存関係を有する開発工程間において、戻り作業が発生する依存関係の数や発生確率を小さく抑えたり、或いは、戻り作業が発生した際のやり直し工程(やり直し作業)の数(量)を小さく抑えたりすることができるため、機械的に実施することが容易な行及び列の入れ換え操作だけで、効果的に設計構造行列Xの改善を図ることができる。
【0093】
ただし、上記の第1改善行列探索手段によって、行列成分xij(i<j)に関する総和 i<jΣ{(j−i)xij}が最小かつ同値となる設計構造行列X′が複数得られた場合には、次に示す本発明の第2改善行列探索手段を用いることが望ましい。
【0094】
(第2改善行列探索手段)
図8、図9に、本発明の第2改善行列探索手段の実施形態を例示する。この第2改善行列探索手段では、設計構造行列Xのi行目(2≦i≦m)の指標Gi に付いて次式(4)の様に定義する時、設計構造行列Xに対する行及び列の入れ換え操作によって導出可能な設計構造行列の部分集合の中から、指標Gi に関する総和 i=2Σm Gi が略最大となる設計構造行列X″を求める。図8、図9の各行列の右横にはそれぞれこの i=2Σm Gi の値が記してある。
【0095】
【数4】
Gi =i−j (ケースa),
Gi =i (ケースb) …(4)
(ケースa):設計構造行列Xのi行目(2≦i≦m)に
「xij>0,i>j」を満たす行列成分xijが存在する場合
(ケースb):その他の場合
ただし、式(4)のjは、そのi行目の「xij>0,i>j」を満たす行列成分xijの内の、列番号jが最大である行列成分xijが持つ列番号jを示す。
【0096】
この様な実行手順に従えば、各開発工程間においてそれぞれ与えられている所定の依存関係に基づいて、行や列の入れ換え操作以外の操作を行わずに、或いは、個々の依存関係を何ら修正することなく(その範囲内において)、各開発工程の実行順序が最善と思われる設計構造行列を選定した上で、以下に述べるその後の処理(矩形領域確定手段、代表矩形領域探索手段、及び解消依存関係指摘手段等)を順次(再)実行することが可能となる。このため、上記の実行手順に従えば、任意の開発工程間において新たな依存関係が新規或いは改めて与えられる度に、その段階において最も確からしい改善案を選択することができる。
従って、この様な手段を用いれば、非常に高い確率で短時間に、採用すべき所望の改善案を導出することができる。
【0097】
図10に、本発明の矩形領域確定手段と代表矩形領域探索手段の実施形態を例示する。
(矩形領域確定手段)
この矩形領域確定手段は、次式(5)を満たす高さL1 (≧1)の長方領域Cを含み、この長方領域Cと左側の1辺が一致し、かつ、j=i−1を満たす成分xijを1つだけ有する矩形領域Dを確定するものである。
【0098】
ただし、これらの図形(長方形)は、設計構造行列Xを構成する小行列が、例えば図10の様な設計構造行列Xを表現する表の中で占める領域を表すものであり、設計構造行列Xが持つ1つの成分が1単位面積を有するものと考える。したがって、これらの図形の高さL1 はその小行列が有する行数と一致し、横幅L2 はその小行列が有する列数と一致する。以下、例えばA={xij}と書いた場合、長方形Aの面積は、集合{xij}に含まれる要素(行列成分)の数に一致し、長方形Aの位置は、集合{xij}に含まれる要素(行列成分)によって構成される設計構造行列Xの小行列が占める位置に一致するものとする。
【数5】
C={xij|i>j,I≦i≦I+L1 −1,
J≦j≦J+L2 −1,∀xji=0} …(5)
本図10の設計構造行列X上に網かけで示されている長方形の部分が上記の矩形領域Dを例示している。本図10に例示した矩形領域Dは、上記の式(5)において、次式(6)の条件を満たす長方領域Cを含んだ図形となっている。
【数6】
I =14,
J = 9,
L1 = 4,
L2 = 4 …(6)
【0099】
上記の長方領域Cの対称領域Ct (≡{xji|xij∈C})の各成分xjiは全て0である(依存関係を持たない)ため、もし長方領域Cの各行列成分xijも全て0ならば、上記の長方領域Cの行番号i(I≦i≦I+L1 −1)が示す一連の開発工程と、上記の長方領域Cの列番号j(J≦j≦J+L2 −1)が示す一連の開発工程とは、両者互いに独立的に実行することが可能である。
【0100】
(依存成分計数手段)
本発明の依存成分計数手段は、上記の矩形領域D内に存在する依存成分(:xij=1)の数Nをカウントするものである。この手段は、設計構造行列Xの成分xijが1と0に二値化されている場合に、矩形領域D内にある行列成分xijの総和 DΣxij(≡ i=IΣI+L1−1{ j=JΣJ+L2−1xij};0≦xij≦1)を演算する演算手段が、機能的に縮退したものと考えることもできる。これらの演算手段は、改善策の実施難易度Zを求める手段として有用である。
【0101】
(代表矩形領域探索手段)
所定の探索時間内又は所定の探索範囲内で探索し得る多数の矩形領域Dの一部のD(:多数のDの内の在る部分集合)の中から所定の評価関数f(X,D)の関数値が略最大となる代表矩形領域D0 を探索する。
ただし、上記の複数の矩形領域Dの部分集合は、必ずしも矩形領域Dの真部分集合である必要はない。即ち、上記の複数の矩形領域Dの部分集合は、求め得る矩形領域Dの全て(全体集合)であっても良い。
【0102】
本実施例では、前述の本発明の第8の手段に準じて、矩形領域D内に存在する依存成分(:xij=1)の数Nを用いて定義される次式(7)の評価関数f(X,D)が略最大となる代表矩形領域D0 を、上記の矩形領域Dの部分集合の中から探索する。
【数7】
f(X,D)=min(L1 ,L2 )/N …(7)
ここで、関数min(L1 ,L2 )は、矩形領域Dの各辺の長さの最小値を与える関数である。ただし、矩形領域Dが正方形の場合には、任意の辺の長さを与える。
【0103】
この式(7)の評価関数f(X,D)は、設計構造行列Xの各行列成分xij(1≦i≦m,1≦j≦m)の値が1/0に二値化されており、かつ、各開発工程iの見積工数ti (1≦i≦m)が未知または不詳な場合に有用である。
言い換えれば、式(7)の評価関数f(X,D)は、任意の開発工程間において依存関係が存在する場合にはその依存関係の強度は一定であり、かつ、各開発工程を実行するための作業時間も一定であることが仮定される場合に、良い評価を与える。
【0104】
その理由は、次の通りである。
(理由1)長方形内に依存成分(:xij=1)が存在しない場合、長方形の辺の長さL1 ,L2 の内の短い方は、前出し(並列化)できる作業の数に相当するため、min(L1 ,L2 )の値は大きいほどよい。
(理由2)一般に開発工期を短縮する(即ち、作業を並列化する)ために、各開発工程間の依存関係を変更しようとすると、製品や部品の品質等が落ちることが多いため、依存関係の変化をなるべく少なくして、各開発工程間の並列化を図ることが望ましい。したがって、Nの値は小さいほど良い。
【0105】
この様な評価関数f(X,D)に基づいて探索された、図10の網かけ部分で示される代表矩形領域D0 には、開発工程間の並列化を図る上で解消されることが望ましいと思われる次式(8)の依存関係が含まれている。
【数8】
x14,9 =1,
x14,13 =1 …(8)
尚、設計構造行列Xの行番号i=14に対応する開発工程は、作業3である。また、設計構造行列Xの列番号j=9に対応する開発工程は、作業1である。また、設計構造行列Xの列番号j=13に対応する開発工程は、作業14である。(各作業の内容)
作業3 : クランクC/W外周の公差の決定
作業1 : クランクC/Wの形状の設計(面取り除く)
作業14: 試作によるクランク鍛造成形性の検証
【0106】
(解消依存関係指摘手段)
この解消依存関係指摘手段は、代表矩形領域D0 内に存在する行列成分xijが表す各開発工程間の依存関係を指摘することにより、それらの各開発工程間の依存関係を解消することを改善案として提案するものである。即ち、この手段は、例えば、上記の式(8)が意味する依存関係を指摘する図11の解消依存関係出力手段の様なものを用いて構成しても良い。
【0107】
図11に、本発明の解消依存関係指摘手段(解消依存関係出力手段)の実施形態を例示する。これらの表示は、単に作業番号だけの表示であっても良い。例えば、作業番号だけの表示によれば、以下の様な出力形式等も考えられる。
(出力形式1)
作業1 ==>作業3
作業14==>作業3
(出力形式2)
Pro.1 −− Pro.3
Pro.14−− Pro.3
(出力形式3)
1,3
14,3
【0108】
図10の代表矩形領域D0 は、設計構造行列Xの主対角線の下側にあるので、これらの依存成分(:xij=1)は、行番号iに対応する作業が、列番号j(<i)に対応する作業から、作業内容に係わる影響を受け得ることを意味している。
また、図10の代表矩形領域D0 は、上記の式(7)を略最大とする矩形領域であることから、これらのN(=2)個の依存関係を解消することができれば、比較的少数の依存関係の変更による、比較的大きな開発工期の短縮効果を期待することができる。
【0109】
(改善効果視覚化手段)
図12及び図13に、上記の場合の改善効果視覚化手段の実施形態を例示する。図10の設計構造行列Xから判る様に、図11に示された依存関係(即ち、式(8)に示された依存関係)を解消することができれば、例えば本図12及び図13に例示する様に、図10の設計構造行列Xの第9行の開発工程(作業1)から同じ行列Xの第17行の開発工程(作業9)までの一連の9つの開発工程(作業1、作業16、作業11、作業2、作業14、作業3、作業4、作業5、作業9)を効率よく並列化することができることが判る。
【0110】
プロセス設計者は、図10の様な表を見て、式(8)の依存関係の解消の是非について検討しても良いし、図11の様な表示を見てから、それらの依存関係の解消の是非について検討しても良いし、或いは、図12(又は図13)の開発工程関連図(又は開発工程タイムチャート)等をみてから、それらの依存関係の解消の是非について検討しても良い。
例えば、クランクC/W外周の公差を標準化することが、品質等に対して特段の派生問題を起こすことなく実施可能であるならば、その様な標準要件を新たに導入することにより、式(8)の依存関係を解消することができる。
【0111】
以上の様に図10〜図13や或いは上記の(出力形式1)〜(出力形式3)等に相当する情報の少なくとも何れかを画面表示又は印刷等により出力するステップ(解消依存関係指摘手段)が、図2のステップ230に相当し、それらの依存関係の解消の是非について、プロセス設計者が検討するステップが図2のステップ240に相当する。
【0112】
〔設計構造行列評価判定手段〕
この設計構造行列評価判定手段は、行番号iが開発工程の優先的な実行順序に一致する設計構造行列Xの主対角線上に、自身の主対角線が重なって位置する小行列Xkkが全てn次対角行列(n≧1)になる様に、設計構造行列Xを区分けする対称区分けの内の、小行列Xkkの個数pを最小とする対称区分けが与える個数pの最小値p0 を用いて構成される所定の評価式Fに基づいて、設計構造行列Xに対する評価判定を実行するものである。
【0113】
図14は、本発明の設計構造行列評価判定手段の実施形態を説明する表である。ここに記載した設計構造行列Xは、図7や図10に記載した設計構造行列Xと各成分何れも同じ値を持つので、例えば、設計構造行列Xの初期行列(図3)においては設計構造行列Xの行番号iと作業番号(即ち、開発工程番号)とが一致していたが、初期行列に対する行及び列の入れ換え操作によって得られた図14の設計構造行列Xにおいては、(図7や図10に記載した設計構造行列Xと同様に、)これらは一致しなくなっている。
図14に記載した設計構造行列Xは、図7や図10に記載した設計構造行列Xと各成分何れも同じ値を持つが、特に本図14は上記の対称区分けを例示するものである。
【0114】
この対称区分けは、下記の小行列Xkk(1≦k≦10)を、設計構造行列Xの主対角線上に、主対角線が重なって配置される様に左上から右下に順次並べたものである。
小行列X11:設計構造行列Xの対角成分x11のみからなる1次単位行列
小行列X22:設計構造行列Xの対角成分x22〜x55を有する4次単位行列
小行列X33:設計構造行列Xの対角成分x66〜x88を有する3次単位行列
小行列X44:設計構造行列Xの対角成分x99のみからなる1次単位行列
小行列X55:設計構造行列Xの対角成分x10,10
〜x12,12 を有する3次単位行列
小行列X66:設計構造行列Xの対角成分x13,13 のみからなる1次単位行列
小行列X77:設計構造行列Xの対角成分x14,14 のみからなる1次単位行列
小行列X88:設計構造行列Xの対角成分x15,15 のみからなる1次単位行列
小行列X99:設計構造行列Xの対角成分x16,16
〜x18,18 を有する3次単位行列
小行列X10,10 :設計構造行列Xの対角成分x19,19
〜x21,21 を有する3次単位行列
【0115】
上記の様な対称区分けが、上記の個数pを最小とする。即ち、個数pの最小値は10(=p0 )で最大値は21(=m)である。上記の設計構造行列Xに対して、p=p0 (=10)とする対称区分けは他にも存在する。それらの複数存在し得る対称区分けの内、最も簡単に探索することができる対称区分けとしては、例えば次式(9)の評価式Eを最大にするもの等がある。
【数9】
E= k=1Σp0(102(p0−k) ×nk ) …(9)
ただし、ここで、nk は小行列Xkkを構成するn次単位行列の次数を2桁の10進数で表したものである。また、例えばnk を6桁の2進数で表す場合には、次式(10)を用いれば良い。
【0116】
【数10】
E= k=1Σp0(26(p0−k) ×nk ) …(10)
即ち、これらの式(9)や式(10)の評価式Eを最大にする方式とは、上の行(即ち、行番号iの若い方)から順番に依存関係を確認していき、毎回小行列Xkk(:nk 次単位行列)を構成する際に、できるだけnk の値が大きくなる様に小行列Xkkを構成していく方式のことである。
図14の「枠組開発工程」とは、この様な対称区分けに基づいて、設計構造行列Xの行番号iの若い方からnk 個の開発工程毎に、各開発工程をクラス分けしたグルーピングされた1群の一連の開発工程のことである。
【0117】
(a)縮退再編成手段
図15に、この様な対称区分けに基づいて実行される本発明の縮退再編成手段の実施形態を例示する。この設計構造行列ξは、図14の設計構造行列Xを上記の枠組開発工程単位に、書き改めたものである。即ち、縮退再編成手段は、小行列Xkkを構成する設計構造行列X(例:図14)の各行列成分xijの行番号iに対応する全ての開発工程を一纏まりの枠組開発工程k(1≦k≦p0 )として、この枠組開発工程単位に縮退されたp0 行p0 列の設計構造行列に、設計構造行列Xを再編成する。
【0118】
例えばこの様に縮約された設計構造行列ξ(例:図15)を求めれば、枠組開発工程k(1≦k≦p0 )の中にクラス分けされた各開発工程は「i≠j⇒xij=0」を満たすため、互いに依存関係を持たないので、枠組開発工程k(1≦k≦p0 )の中にクラス分けされた各開発工程は、互いに並行に実行することができる。したがって、例えば、枠組開発工程kを実行するために必要となる時間は、この中にクラス分けされた各開発工程を実行するために必要となる時間の最大値となる等し、プロジェクト全体の工期や改善策の良否等を大局的に把握したり、推し量ったりする上で都合が良くなる。
【0119】
(b)対称区分けに基づく評価
上記の様な対称区分けを用いれば、設計構造行列X(例:図14)に対する評価式Fを、例えば、次式(11)に例示する直列化率Sを用いて定義したり演算したりすることができる。勿論、この直列化率Sをそのまま評価式Fとして利用しても良い。
【数11】
S≡p0 /m …(11)
【0120】
このSの値は、1/m≦S≦1の範囲の値を取る。p0 の値が小さいほど、各開発工程の並列化が進むので、直列化率Sの値は小さいほど、高い効率(大きな開発工期短縮効果)が期待できる。並列化の促進度を表すためには、むしろ次式(12)又は次式(13)を使った方が分り易いかもしれない。
【数12】
P=1−S=(m−p0 )/m …(12)
【数13】
P=(1−S)×100% …(13)
以下、式(12)の変数Pのことを並列化率と呼ぶ。
【0121】
例えば上記の式(11)〜式(13)等の様な設計構造行列に対する評価式を用いれば、設計構造行列の改善効果を定量的に把握することができる。
また、前述した様に、設計構造行列X(1例:図14)に対して、最大値p0 を与える対称区分けは複数存在し得る。しかしながら、その様な場合であっても、次式(14)を用いれば、上記と同様に、並列化率P(=1−S)が高い設計構造行列程、高い効率(大きな開発工期短縮効果)をもたらすものと判定することができる。
【0122】
【数14】
S≡〔 k=1Σp0{max(ti )}k 〕/( i=1Σm ti ) …(14)
ただし、ここで、ti は設計構造行列Xの第i行に対応する開発工程(作業iではない)の作業時間の見積もりの概算値であり、{max(ti )}k は小行列Xkkに対応する各行に対応する開発工程(作業iではない)の作業時間の見積もりの概算値ti の最大値である。
即ち、式(14)は式(11)よりも高い精度の評価を与える。尚、∀ti =1と仮定する時、式(14)は式(11)に一致する。
【0123】
上記の式(13)と式(14)、及び次式(15)を組み合わせて用いると、設計構造行列Xの改善効果が非常に分り易い。
【数15】
ΔF=F1 −F0
=P1 −P0 …(15)
ただし、ここで、P1 は改善後の設計構造行列の評価式F(式(13))で、P0 は改善前の設計構造行列の評価式F(式(13))である。例えばこの様な表記(評価式ΔF)を用いれば、「今回の改善により並列化率がΔFポイント向上した」等と表現することができ、分り易い。
【0124】
(評価指標出力手段)
本発明の評価指標出力手段では、例えばこの様な表現で、改善後の設計構造行列Xに対する評価指標を画面表示又は印刷する。勿論、式(11)や式(14)の値をそのまま出力しても良いし、これらと式(15)(ΔF=F1 −F0 )とを組み合わせて出力する等しても良い。
【0125】
これらの評価指標の出力は、例えば図2のステップ230の所で、図10、図11、図12、或いは図13等の出力と同様のタイミングで出力すると良い。この様な定量的で分り易い評価指標を出力することにより、プロセス設計者の検討作業(図2のステップ240)を正確或いは迅速なものにすることができる。
また、上記の式(14)或いは、上記の式(14)の分子は、図2のステップ270等にも有用である。
【0126】
(プロンプティング手段)
本発明のプロンプティング手段は、改善案が採用又は却下された際に、行列成分xij(1≦i≦m,1≦j≦m)に対する部分的な修正を実施することをユーザに対して指示、示唆、推奨、警告、又は案内するものである。
【0127】
通常、改善案を採用する場合には、依存関係が解消される開発工程間の行列成分xijを0にする等の処理が必要となる。また、却下する場合には、依存関係が解消されない(/依存関係を解消できない又は、容易には解消できない)開発工程間の行列成分xijの数値(依存度等)を見直した方が良い場合が多い。
したがって、上記の様なプロンプティング手段は、図2のステップ250やステップ260において特に有用であり、この様な手段を設けることにより、プロセス設計者が改善案を採用又は却下する際に、これらの行列成分xijの数値に係わる修正処理を実施し忘れることを未然に防止することができる。
【0128】
(行列成分自動修正手段)
また、図2のステップ250やステップ260等で、改善案が採用又は却下された際に、行列成分xij(1≦i≦m,1≦j≦m)に対する部分的な修正を自動的に実行する手段(行列成分自動修正手段)を設ける様にしても良い。
【0129】
この様な手段を設けることにより、プロセス設計者が改善案を採用又は却下する際に、これらの行列成分xijの数値に係わる修正処理を実施し忘れることを未然に防止することができ、また、プロセス設計者が、該当する行列成分xijの修正作業を行わなくとも良くなる。
特に、改善案を採用する場合には、依存関係が解消される開発工程間の行列成分xijを0にする等により、上記の行列成分自動修正手段を簡単に構成することができる。
【0130】
(遺伝的アルゴリズムの適用)
また、解消依存関係指摘手段が与えた改善案を設計構造行列Xに関する「突然変異」として受け付ける遺伝的アルゴリズムを構成すると都合がよい場合も少なくない。図16は、遺伝的アルゴリズムの一般的かつ基本的な実行手順の概要を例示するゼネラルフローチャートである。
【0131】
設計構造行列Xの行数が大きくなると、行及び列の入れ換え操作によって導出可能な設計構造行列の数は爆発的に増大する。したがって、例えば新規エンジンの開発等における開発プロジェクトの開発計画等を行う際等、製品や部品等の開発工程が非常に多く、また、各開発工程の実行順序に関する検討時間が比較的短い場合等に、全開発工程に関する略最善の実行順序をある程度限られた時間内で導くためには、総当たり的な演算方式に頼るべきではない場合が多い。例えば用意できる開発工期短縮支援装置の処理性能が余り高くは望めない場合などがそれらの場合に該当する。
【0132】
しかしながら、評価(ステップ330)、選択(ステップ350)、交叉(ステップ370)、突然変異(ステップ390)等を順次繰り返す遺伝的アルゴリズムを用いれば、総当たり的な演算方式に頼らずに、比較的短い検討時間の間に目標の開発工期を達成する改善案が見つかる場合が多い。
【0133】
例えば、図16のステップ310(初期集団の生成)は図2のステップ210及びステップ220に相当し、図16のステップ390(突然変異)は図2のステップ240及びステップ260に相当すると考えることができる。
また、図16のステップ370(交叉)は、本発明の「縮退再編成手段」や「第1改善行列探索手段」や「第2改善行列探索手段」等により実行されるものと考えても良い。
【0134】
図2のステップ240等でプロセス設計者が下す判断は、十分に合理的なものであると期待されるが、開発工期短縮支援装置を構成する時点では、それらは予測不能な判断であり、開発工期短縮支援装置を構成する上では、これらの判断は必ずしも客観性を持つものとは限らない。また、これらの判断は例えば材料の価格変動等の時流的な不確定要素等にも左右され得る。これらの意味で、各開発工程間の依存関係を解消することを改善案として提案する解消依存関係指摘手段に対してプロセス設計者が採否回答を行う際等に下す判断(特に採用時:図2のステップ260)は、ある種気まぐれ或いは確率的であり、よって、設計構造行列Xを進化させる遺伝的アルゴリズムにおける突然変異を与えるものと解釈することができる。
【0135】
そこで、各開発工程間の依存関係を解消することを改善案として提案する解消依存関係指摘手段に対してプロセス設計者が採否回答を行う際等に下す判断を遺伝的アルゴリズムにおける突然変異を与えるステップとして、開発工期短縮支援装置の処理アルゴリズムを構成する方法が有用と考えられる。
事実、この様な構成により、開発工程が非常に多く、また、各開発工程の実行順序に関する検討時間が比較的短い場合等においても、全開発工程に関する略最善の実行順序をある程度限られた時間内で導くことが可能又は容易となる。
また、この様な観点から見れば、上記の行列成分自動修正手段やプロンプティング手段等は、上記の突然変異を与える処理ステップを円滑に実行するための手段であると考えることができる。
【0136】
(第1部分集合高速算定手段)
また、設計構造行列Xに対する行及び列の入れ換え操作によって導出可能な設計構造行列の部分集合を遺伝的アルゴリズムを利用して求める手段(第1部分集合高速算定手段)を用いる様に開発工期短縮支援装置100を構成しても良い。この様な手段を用いれば、比較的短い検討時間の間に、目標の開発工期を満たす設計構造行列Xを含んだ設計構造行列の部分集合が見つかる場合が多い。
【0137】
(第2部分集合高速算定手段)
また、設計構造行列Xに対して所定の探索時間内又は所定の探索範囲内で探索し得る、複数の矩形領域Dの部分集合を遺伝的アルゴリズムを利用して求める手段(第2部分集合高速算定手段)を用いる様に開発工期短縮支援装置100を構成しても良い。
【0138】
複数の矩形領域Dの部分集合を求める場合にも、前記と同様に総当たり的な演算方式に頼るべきではない場合が多いが、しかしながら、評価、選択、交叉、突然変異を順次繰り返すことにより、評価の高い矩形領域Dの部分集合を探索する遺伝的アルゴリズムを用いれば、総当たり的な演算方式に頼らずに、比較的短い時間の間に、コストパフォーマンス(例:Δt/Z)が略最大と思われる矩形領域D(代表矩形領域D0 )を含んだ矩形領域Dの部分集合が見つかる場合が多い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係わる開発工期短縮支援装置100の論理的なハードウェア構成図。
【図2】本発明の実施例に係わる開発工期短縮支援装置100の典型的な利用形態(運用手順)を例示するフローチャート。
【図3】設計構造行列Xの初期行列を例示する表。
【図4】初期行列の決定過程において、DEツール(ForgeCAE)を導入することにより削除することができた依存関係を示す表。
【図5】初期行列の決定過程において、各種の標準要件を導入することにより削除することができた依存関係を示す表。
【図6】初期行列の決定過程において、各種の標準手順を導入することにより削除することができた依存関係を示す表。
【図7】初期行列に関する列や行の入れ換え操作(第1改善行列探索手段)により得られた設計構造行列X′を例示する表。
【図8】本発明の第2改善行列探索手段の実施形態を例示する表。
【図9】本発明の第2改善行列探索手段の実施形態を例示する表。
【図10】本発明の矩形領域確定手段、及び代表矩形領域探索手段の実施形態を例示する表。
【図11】本発明の解消依存関係指摘手段(解消依存関係出力手段)の実施形態を例示する出力形式図。
【図12】本発明の改善効果視覚化手段の実施形態を例示する出力形式図。
【図13】本発明の改善効果視覚化手段の実施形態を例示する出力形式図。
【図14】本発明の設計構造行列評価判定手段の実施形態を説明する表。
【図15】本発明の縮退再編成手段の実施形態を例示する表。
【図16】遺伝的アルゴリズムの一般的かつ基本的な実行手順の概要を例示するゼネラルフローチャート。
【符号の説明】
100 … 開発工期短縮支援装置
101 … CPU
102 … RAM
103 … ROM
104 … ハードディスク
105 … CD−R
106 … FD
107 … DB
121 … マウス
123 … ディスプレイ装置
125 … キーボード
X … 設計構造行列(DSM:Design Structure Matrix )
X′ … 設計構造行列(DSM)
X″ … 設計構造行列(DSM)
xij … 設計構造行列Xの各行列成分(1≦i≦m,1≦j≦m)
i … 設計構造行列Xの行番号
j … 設計構造行列Xの列番号
C … 長方領域{xij|I≦i≦I+L1 −1,
J≦j≦J+L2 −1,∀xji=0}
L1 … 長方領域Cの高さ
L2 … 長方領域Cの横幅
I … 長方領域Cの左上角の成分の行番号
J … 長方領域Cの左上角の成分の列番号
D … 長方領域Cを含んだ矩形領域
D0 … 代表矩形領域
f … 設計構造行列Xの矩形領域Dに対する評価関数
Xkk … 設計構造行列Xに対する対称区分けにより得られる小行列
(1≦k≦p0 )
ti … 行番号iに対応する開発工程iを
実行するのに必要となる作業時間
Tk … 小行列Xkkに対応する枠組開発工程kを
実行するのに必要となる作業時間
Δt … 開発工程単位で算定された概算工期短縮工数
ΔT … 枠組開発工程単位で算定された概算工期短縮工数
Z … 改善実施難易度
S … 直列化率
P … 並列化率
F … 設計構造行列Xに対する評価式
Claims (24)
- 製品又は部品を開発する際のm個の開発工程の実行順序に係わる改善案を提案することにより、開発工期の短縮に関する検討作業を支援する支援装置であって、
m個の前記開発工程の各工程間の相互的な各依存関係を網羅的に表す、各行列成分xij(1≦i≦m,1≦j≦m)がそれぞれ全て与えられたm行m列の設計構造行列Xに基づいて、
前記設計構造行列Xの主対角線の下方に位置する三角領域{xij|i>j}内に存在する高さL1 (≧1)の長方領域C={xij|I≦i≦I+L1 −1,J≦j≦J+L2 −1,∀xji=0}を含み、前記長方領域Cと左側の1辺が一致し、かつ、j=i−1を満たす成分xijを1つだけ有する矩形領域Dを確定する矩形領域確定手段と、
所定の探索時間内又は所定の探索範囲内で探索し得る、複数の前記矩形領域Dの部分集合の中から、所定の評価関数f(X,D)の関数値が略最大又は略最小となる代表矩形領域D0 を探索する代表矩形領域探索手段と、
前記代表矩形領域D0 内に存在する前記行列成分xijが表す各開発工程間の依存関係を指摘することにより、それらの各開発工程間の依存関係を解消することを前記改善案として提案する解消依存関係指摘手段と
を有する
ことを特徴とする開発工期短縮支援装置。 - 前記各依存関係の依存度を、この依存度が高くなるほど大きくなる非負数で与えられる前記各行列成分xij(1≦i≦m,1≦j≦m)を用いて、多段階的又は連続的に表現した
ことを特徴とする請求項1に記載の開発工期短縮支援装置。 - 行番号iが前記開発工程の優先的な実行順序に一致する前記設計構造行列Xの主対角線上に、自身の主対角線が重なって位置する小行列Xkkが全てn次対角行列(n≧1)になる様に、前記設計構造行列Xを区分けする対称区分けの内の、前記小行列Xkkの個数pを最小とする対称区分けと、前記個数pの最小値p0 に基づいて、
前記小行列Xkkを構成する前記設計構造行列Xの各行列成分xijの行番号iに対応する全ての前記開発工程を一纏まりの枠組開発工程k(1≦k≦p0 )として、この枠組開発工程単位に縮退されたp0 行p0 列の設計構造行列に、前記設計構造行列Xを再編成する縮退再編成手段を有する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の開発工期短縮支援装置。 - 合計p0 個の前記枠組開発工程k(1≦k≦p0 )の各見積工数Tk として、前記小行列Xkkを構成する前記設計構造行列Xの各行列成分xijの行番号iに対応する各前記開発工程の各見積工数ti の最大値:{max(ti )}k を用いた
ことを特徴とする請求項3に記載の開発工期短縮支援装置。 - 前記評価関数f(X,D)は、概算工期短縮工数Δtと改善実施難易度Zとの比Δt/Zで与えられ、
前記代表矩形領域探索手段は、前記評価関数f(X,D)の関数値Δt/Zが略最大となる前記矩形領域Dを前記代表矩形領域D0 として探索する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の開発工期短縮支援装置。 - 前記改善実施難易度Zは、
(a)前記矩形領域D内にある前記行列成分xijの総和
DΣxij≡ i=IΣI+L1−1{ j=JΣJ+L2−1xij},
又は、
(b)前記矩形領域D内にある前記行列成分xijの最大値
の何れか1項で与えられる
ことを特徴とする請求項5に記載の開発工期短縮支援装置。 - 前記概算工期短縮工数Δtは、
(a)m個の前記開発工程の各見積工数ti (1≦i≦m)を用いて算出される、前記矩形領域Dに関する項:
min( i=IΣI+L1−1ti , i=JΣJ+L2−1ti ),
又は、
(b)前記矩形領域Dに関する項:min(L1 ,L2 )
の何れか1項で与えられる
ことを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の開発工期短縮支援装置。 - 前記各行列成分xij(1≦i≦m,1≦j≦m)の値をそれぞれ1(:依存する)又は0(:依存しない)で表現し、
前記矩形領域D内に存在する依存成分(:xij=1)の数Nをカウントする依存成分計数手段を有し、
前記評価関数f(X,D)として、前記高さL1 と前記矩形領域Dの底辺の長さL2 と前記数Nの関数min(L1 ,L2 )/Nを採用し、
前記代表矩形領域探索手段は、前記関数min(L1 ,L2 )/Nが略最大となる代表矩形領域D0 を、前記矩形領域Dの部分集合の中から探索する
ことを特徴とする請求項1、請求項3、請求項4、又は請求項5の何れか1項に記載の開発工期短縮支援装置。 - 前記設計構造行列Xに対する行及び列の入れ換え操作によって導出可能な設計構造行列の部分集合の中から、
前記設計構造行列Xの主対角線の上方に位置する三角領域{xij|i<j}内に存在する全行列成分xijに関する総和 i<jΣ{(j−i)xij}が略最小となる設計構造行列X′
を求める第1改善行列探索手段を有する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れか1項に記載の開発工期短縮支援装置。 - 前記設計構造行列Xのi行目(2≦i≦m)の指標Gi に付いて、そのi行目(2≦i≦m)に「xij>0,i>j」を満たす行列成分xijが存在する場合には、そのi行目の「xij>0,i>j」を満たす行列成分xijの内の、列番号jが最大である行列成分xijが持つ列番号jを用いて「Gi =i−j」と定義し、かつ、前記設計構造行列Xのi行目(2≦i≦m)に「xij>0,i>j」を満たす行列成分xijが存在しない場合には「Gi =i」と定義した場合に、
前記設計構造行列Xに対する行及び列の入れ換え操作によって導出可能な設計構造行列の部分集合の中から、
前記指標Gi に関する総和 i=2Σm Gi が略最大となる設計構造行列X″
を求める第2改善行列探索手段を有する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項9の何れか1項に記載の開発工期短縮支援装置。 - 与えられたm行m列の前記設計構造行列Xから前記第1改善行列探索手段により前記設計構造行列X′を求め、ここで求められた前記設計構造行列X′から前記第2改善行列探索手段により前記設計構造行列X″を求め、ここで求められた前記設計構造行列X″を前記設計構造行列Xとして、前記矩形領域確定手段、前記代表矩形領域探索手段、及び前記解消依存関係指摘手段を順次実行することにより、前記改善案を提案する
ことを特徴とする請求項10に記載の開発工期短縮支援装置。 - 行番号iが前記開発工程の優先的な実行順序に一致する前記設計構造行列Xの主対角線上に、自身の主対角線が重なって位置する小行列Xkkが全てn次対角行列(n≧1)になる様に、前記設計構造行列Xを区分けする対称区分けの内の、前記小行列Xkkの個数pを最小とする対称区分けが与える前記個数pの最小値p0 を用いて構成される所定の評価式Fに基づいて、前記設計構造行列Xに対する評価判定を実行する設計構造行列評価判定手段を有する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項11の何れか1項に記載の開発工期短縮支援装置。 - 前記最小値p0 と前記開発工程の数mを独立変数とする関数:
S≡p0 /m
を前記評価式Fの定義/演算に用いる
ことを特徴とする請求項12に記載の開発工期短縮支援装置。 - m個の前記開発工程の各見積工数ti (1≦i≦m)と、
前記小行列Xkkの前記個数pを最小とする前記対称区分けが与えるk番目(1≦k≦p0 )の前記小行列Xkkが有する、前記設計構造行列Xの各対角成分xiiの行番号iと、
前記小行列Xkkを構成する全ての前記行番号iの内の、前記見積工数ti を最大にする行番号iの関数として定義することができる、前記小行列Xkkに関する見積工数Tk ≡{max(ti )}k と
を用いて定義される関数:
S≡〔 k=1Σp0{max(ti )}k 〕/( i=1Σm ti )
を前記評価式Fの定義/演算に用いる
ことを特徴とする請求項12に記載の開発工期短縮支援装置。 - 前記関数Sを用いて定義される並列化率:
P≡1−S
を前記評価式Fの定義/演算に用いる
ことを特徴とする請求項13又は請求項14の何れか1項に記載の開発工期短縮支援装置。 - 前記設計構造行列評価判定手段は、
比較基準として与えられた前記設計構造行列Xの対照基準行列X0 に対する前記評価式Fの関数値F0 と、前記設計構造行列Xの改善後の設計構造行列X1 に対する前記評価式Fの関数値F1 との差分ΔF(=F1 −F0 )に基づいて、
前記設計構造行列Xに対する前記評価判定を実行する
ことを特徴とする請求項12乃至請求項15の何れか1項に記載の開発工期短縮支援装置。 - 比較基準として与えられた前記設計構造行列Xの対照基準行列X0 に対する前記評価式Fの関数値F0 と、前記設計構造行列Xの改善後の設計構造行列X1 に対する前記評価式Fの関数値F1 との差分ΔF(=F1 −F0 )を画面表示又は印刷する評価指標出力手段を有する
ことを特徴とする請求項12乃至請求項16の何れか1項に記載の開発工期短縮支援装置。 - 前記設計構造行列Xに対する行及び列の入れ換え操作によって導出可能な設計構造行列の部分集合を遺伝的アルゴリズムを利用して求める
第1部分集合高速算定手段を有する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項17の何れか1項に記載の開発工期短縮支援装置。 - 前記設計構造行列Xに対して所定の探索時間内又は所定の探索範囲内で探索し得る、複数の前記矩形領域Dの部分集合を遺伝的アルゴリズムを利用して求める第2部分集合高速算定手段を有する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項18の何れか1項に記載の開発工期短縮支援装置。 - 前記解消依存関係指摘手段は、
前記設計構造行列Xの前記代表矩形領域D0 内にある行列成分xij(≠0,i>j)が示す開発工程iと開発工程jの
各開発工程番号、各開発工程名、各開発工程の内容情報、又は各開発工程の工程IDをそれぞれ各前記行列成分xij(≠0,i>j)毎に画面表示又は印刷することにより、
前記代表矩形領域D0 内に現れた解消すべき依存関係の具体的内容を指摘する解消依存関係出力手段を有する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項19の何れか1項に記載の開発工期短縮支援装置。 - 前記解消依存関係指摘手段によって指摘された全ての依存関係を解消した後の、開発工程関連図又は開発工程タイムチャートを画面表示又は印刷する
改善効果視覚化手段を有する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項20の何れか1項に記載の開発工期短縮支援装置。 - 前記改善案が採用又は却下された際に、前記行列成分xij(1≦i≦m,1≦j≦m)に対する部分的な修正を実施することをユーザに対して指示、示唆、推奨、警告、又は案内するプロンプティング手段を有する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項21の何れか1項に記載の開発工期短縮支援装置。 - 前記改善案が採用又は却下された際に、前記行列成分xij(1≦i≦m,1≦j≦m)に対する部分的な修正を自動的に実行する行列成分自動修正手段を有する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項22の何れか1項に記載の開発工期短縮支援装置。 - 製品又は部品を開発する際のm個の開発工程の実行順序に係わる改善案を提案することにより、開発工期の短縮に関する検討作業を支援する支援装置であって、
m個の前記開発工程の内の開発工程i(1≦i≦m)と開発工程j(1≦j≦m)との相互的な依存関係を網羅的に表す工程間依存関係関数H(i,j)に対して、引数領域D≡{(i,j)|I1 ≦i≦I2 ,J1 ≦j≦I1 −1,∀H(j,i)=0}を確定する引数領域確定手段と、
所定の探索時間内又は所定の探索範囲内で探索し得る、複数の前記引数領域Dの部分集合の中から、所定の評価関数f(H,D)の関数値が略最大又は略最小となる代表引数領域D0 を探索する代表引数領域探索手段と、
前記代表引数領域D0 に属する引数(i,j)が示す各開発工程間の依存関係(H(i,j)≠0)を指摘することにより、それらの各開発工程間の依存関係を解消することを前記改善案として提案する解消依存関係指摘手段と
を有する
ことを特徴とする開発工期短縮支援装置。
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