JP2004279437A - 光学フィルムおよび画像表示装置 - Google Patents

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実 金谷
Hironori Motomura
弘則 本村
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Abstract

【課題】光学特性は従来レベルまたは向上していることに加え、斜めから見たときの着色を抑えた輝度向上フィルムを提供することを目的とする。
【解決手段】ポリマーフィルム面内のX方向および厚み方向であるZ方向にそれぞれ適宜な力で延伸する等の方法によって、フィルム面内における三次元屈折率がnz>nx>nyの関係をもつように調整した位相差層2を作製し、この位相差層2にさらにホメオトロピック配向液晶層3を積層することによって、Nz係数の制御が容易な光学フィルムを得た。この光学フィルムにコレステリック液晶フィルム4を貼りあわせることにより輝度向上フィルムとした。さらに偏光板1と貼りあわせた積層偏光板とすることで画像表示装置に好ましく用いることができる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ホメオトロピック配向液晶層と位相差層を積層した光学フィルムに関する。本発明による光学フィルムは、画像表示装置の薄型化や表示ムラの抑制に好適であり、単独でまたは他のフィルムと組み合わせて、例えば位相差フィルム、視角補償フィルム、光学補償フィルムおよび輝度向上フィルムとして使用できる。さらには、これらの光学フィルムを用いた液晶表示装置、有機EL表示装置、PDPなどの画像表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示装置等の画像表示装置には、表示画面の輝度の向上を目的とした輝度向上フィルムが適宜用いられている。この輝度向上フィルムは、透過する光の増量を図るとともに、偏光子に吸収させにくい(透過しやすい)偏光を供給して、液晶画像表示等に利用しうる光量の増大を図ることにより輝度を向上させうるものである。その原理には例えば、誘電体の多層薄膜や屈折率異方性が相違する薄膜フィルムの多層積層体のように、所定偏光軸の直線偏光を透過して他の光は反射する特性を示すもの、コレステリック液晶ポリマーの配向フィルムやその配向液晶層をフィルム基材上に支持したもののように、左回りまたは右回りのいずれか一方の円偏光を反射して他の光は透過する特性を示すもの等があり、これらの反射光を、再び繰り返し反射させることにより表示画面における光量の増大を図る。
【0003】
円偏光を透過するタイプの輝度向上フィルムは、コレステリック液晶層および円偏光を直線偏光に変換することを目的とした位相差層(1/4波長板)を積層し、これを偏光板とともに液晶セルと光源の間に配置することによって、液晶表示装置の輝度を向上させることができる(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
しかし、前記輝度向上フィルムにコレステリック液晶層を用いる場合には、コレステリック液晶層へ斜めに入射する光、または斜めに出射する光が、コレステリック液晶層が持つ厚み方向位相差による影響を受けるために斜め方向から見た場合に着色が生じてしまう。それを、コレステリック液晶層と位相差層(1/4波長板)の間にホメオトロピック配向した液晶層を配置した輝度向上フィルムを用いることで、視角特性の改善された輝度向上フィルムが得られることがわかっている(例えば、特許文献2参照。)。
【0005】
しかしながら、従来の位相差層にホメオトロピック配向液晶層を積層した光学フィルムでは、ポリマーフィルムを一軸延伸して作製した位相差層(1/4波長板)を用いていたため、ホメオトロピック配向液晶層により改善できる視覚特性に限界があり、斜め方向から見たときの着色を抑えきれていなかった。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−311826号公報
【0007】
【特許文献2】
米国特許第5731886号明細書
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
したがって本発明では、輝度向上率等の光学特性は従来レベルまたはそれ以上であり、斜めから見たときの着色を抑えた輝度向上フィルムが得られる光学フィルムを得ることを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下に示す方法により前記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち本発明は、面内屈折率をnx,ny、厚み方向の屈折率をnzとするとき、屈折率がnz>nx>nyである位相差層とホメオトロピック配向液晶層をそれぞれ少なくとも1層積層した光学フィルムに関する。
【0011】
Nz係数=(nx−nz)/(nx−ny)としたときのNz係数が−3.0以上、−0.5以下であることが好ましく、前記位相差層のNz係数は1.0以上、3.0以下であることが好ましく、さらには、厚み方向位相差(Rth)[nm]=((nx+ny)/2−nz)×d(d:厚み[nm])としたときの前記ホメオトロピック配向液晶層のRthが−1000nm以上、−10nm以下であることが好ましい。
【0012】
前記位相差層は1/4波長板であることが好ましい。
【0013】
さらに本発明は、前記光学フィルムに少なくとも1層の光学層を積層した光学フィルムとしてもよく、前記光学フィルムを適用した画像表示装置に関するものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明は、ポリマーフィルムを厚み方向(Z方向)に延伸し、面内屈折率をnx、ny、厚み方向屈折率をnzとしたとき、nz>nx>nyの関係をもつ位相差層にホメオトロピック配向液晶層を積層することによって、位相差層面内における三次元方向それぞれ(特にZ方向)の屈折率を制御できる幅が広がり、斜め方向から見たときの着色がなく、輝度向上フィルムに最適な光学フィルムが得られることを見出したものである。
【0015】
本発明による位相差層は、面内屈折率をnx、ny、厚み方向屈折率をnzとしたとき、nz>nx>nyの関係をもつ必要があり、位相差層の三次元方向屈折率が従来のようにnx>ny=nzの関係をもつ場合には、ホメオトロピック配向液晶層を用いたとしても、斜め方向から見たときの着色を抑えきれない。
【0016】
前記位相差層面内における三次元方向の屈折率を制御する方法としては、この方法に限らず、適宜な方法を用いて制御することができるが、例えば、基板上に液晶物質を塗工し、液晶物質の光学特性によって制御する方法や、ポリマーフィルムを、三次元方向に延伸することで制御する方法が挙げられる。なかでも本発明では、ポリマーフィルムを厚み方向(Z方向)および原反の流れ方向(X方向)の二軸の方向にのみ、屈折率がnz>nx>nyの関係をもつようにそれぞれ適宜な力で延伸する方法が最も好ましい。
【0017】
Nz係数は、前記三次元方向における屈折率の値から下記式により求まる。
Nz係数=(nx−nz)/(nx−ny)
本発明における位相差層にホメオトロピック配向液晶層を積層した光学フィルムのNz係数の値としては、−3.0以上−0.5以下が好ましく、−2.0以上−0.7以下であることがより好ましく、−1.3以上−0.8以下であることが最も好ましい。このとき、Nz係数が−3.0未満なら、この光学フィルムを輝度向上フィルムに適用した際に、黄色方向へのカラーシフトが顕著となり、黄色みがかったフィルムとなってしまう。逆に−0.5を超えると、青色方向へのカラーシフトが著しく、青みがかったフィルムとなってしまう。さらに、位相差層のNz係数としては、−1.5以上0.9以下が好ましく、−1.2以上0.1以下であることがより好ましい。Nz係数が−1.5未満のものは、厚みが厚くなってしまうため、市場の薄型化要求に応えることが困難であり、逆に0.9を超えるものは、フィルムを延伸して作製することが困難である。Nz係数を制御する方法としては、前記の屈折率の制御に用いた方法により行う。
【0018】
厚み方向位相差値(Rth)は、前記屈折率および層の厚みから下記式により求まる。
Rth[nm]=((nx+ny)/2−nz)×d (d:厚み)
本発明におけるホメオトロピック配向液晶層のRthとしては、−1000nm〜−10nmの範囲が好ましく、−800nm〜−100nmの範囲にあることがより好ましい。Rthの値が−1000nm未満なら、このホメオトロピック配向液晶層を輝度向上フィルムに適用した際に、黄色方向へのカラーシフトが顕著となり、黄色みがかったフィルムとなってしまい、逆に−10nmを超えると、青色方向へのカラーシフトが著しく、青みがかったフィルムとなってしまう。このRth値はホメオトロピック配向液晶層の厚みによって制御することができる。
【0019】
位相差層とホメオトロピック配向液晶層を積層した前記光学フィルムのNz係数は、ホメオトロピック配向液晶層の厚み方向位相差値(Rth)および位相差層の正面位相差値を下記式に基づいて調整することにより目標とする値を得る。(式)Nz={(位相差層の正面位相差値+ホメオトロピック配向液晶層のRt
h)/位相差層の正面位相差値}
このとき、上記Nz係数は光学フィルムの使用用途に合わせて適宜目標値を設定することができるが、本発明においては前記の通り、−3.0以上−0.5以下が好ましく、−2.0以上−0.7以下であることがより好ましく、−1.3以上−0.8以下に調整することが最も好ましい。
【0020】
前記屈折率、Nz係数およびRthは、各種測定装置を用いて測定することができるが、具体的には、自動複屈折率計(例えば、王子計測機器社製:KOBRA−21ADH)を用いることで、それぞれの値を測定することができる。
【0021】
輝度向上フィルムに適用した光学フィルムの光学特性を評価するために、輝度向上率および正面色度差を測定した。この方法としては例えば、光学フィルムをバックライトの光出射側に偏光板がくるように配置し、輝度計(例えば、トプコン社製:BM−7)を用いて、最大輝度を示す軸角度に調節する。そのときの正面(垂直)方向の輝度(B1)および色度(x1、y1)を測定し、同時に、輝度向上フィルムがない状態(偏光板のみ)での正面輝度(B0)と正面方向の色度(x0、y0)を測定し、次式により輝度向上率と正面色度差を求める。
(輝度向上率)=B1/B0
(正面色度差)=√{(x1−x0)+(y1−y0)
【0022】
輝度向上率の数値としては、130%以上であれば良く、数値が高ければ高いほど良い。理論上は上限200%程度の数値が期待できる。また、正面色度差の数値は、0.015未満であれば実用に耐えうるレベルであり、0.008未満であることがより好ましい。
【0023】
光学フィルムとしては、各種画像表示装置に適用されうる光学的特性を有する光透過性のフィルムであれば、その層構成(単層および2層以上も含む)とともに特に限定されるものではないが、本発明における光学フィルムは、面内屈折率をnx,ny、厚み方向の屈折率をnzとするとき、屈折率がnz>nx>nyである位相差層とホメオトロピック配向液晶層をそれぞれ少なくとも1層積層したものおよび、この光学フィルムにさらに各種光学層を積層したものをいう。
【0024】
本発明における前記位相差層としては、ポリマーフィルムをZ方向(厚み方向)およびフィルム面内のX方向(流れ方向)に二軸延伸処理してなる複屈折性フィルムあるいは、液晶性ポリマーや液晶性モノマーからなる液晶性組成物によりポリマーフィルム上に液晶配向層を形成した液晶配向フィルムなどがあげられる。ただし、面内屈折率をnx,ny、厚み方向の屈折率をnzとするとき、屈折率がnz>nx>nyの関係を示す必要がある。延伸処理としては、例えばロール延伸法、長間隙沿延伸法、テンター延伸法、チューブラー延伸法等の任意の延伸方法により適宜行うことができる。延伸倍率は、Z方向への延伸で1.1〜1.7倍程度が好ましく、1.2〜1.5倍程度であることがより好ましい。X方向への延伸では1.1〜2.0倍程度が好ましく、1.2〜1.8倍程度になることがより好ましい。このとき、X方向への延伸倍率をx、Z方向への延伸倍率をzとすると、z>xの関係を示すことが好ましい。延伸後の位相差層の厚さとしては、これに限定されるものではないが、一般的には10〜200μm、好ましくは10〜80μmである。
【0025】
前記ポリマーフィルムに用いられる高分子素材としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリメチルビニルエーテル、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリアリルスルホン、ポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、セルロース系重合体、またはこれらの二元系、三元系各種共重合体、グラフト共重合体、ブレンド物などがあげられる。
【0026】
前記液晶配向フィルムに用いられる液晶ポリマーとしては、例えば、液晶配向性を付与する共役性の直線状原子団(メソゲン)がポリマーの主鎖や側鎖に導入された主鎖型や側鎖型の各種のものなどがあげられる。主鎖型の液晶性ポリマーの具体例としては、屈曲性を付与するスペーサ部でメソゲン基を結合した構造の、例えばネマチック配向性のポリエステル系液晶性ポリマー、ディスコティック液晶ポリマーやコレステリック液晶ポリマーなどがあげられる。側鎖型の液晶性ポリマーの具体例としては、ポリシロキサン、ポリアクリレート、ポリメタクリレートまたはポリマロネートを主鎖骨格とし、側鎖として共役性の原子団からなるスペーサ部を介してネマチック配向付与性のパラ置換環状化合物単位からなるメソゲン部を有するものなどがあげられる。これら液晶ポリマーは、例えば、ガラス板上に形成したポリイミドやポリビニルアルコール等の薄膜の表面をラビング処理したもの、酸化ケイ素を斜方蒸着したものなどの配向処理面上に液晶性ポリマーの溶液を展開して熱処理することにより行われる。
【0027】
本発明におけるホメオトロピック配向液晶層を形成しうるホメオトロピック配向液晶性組成物としては、ホメオトロピック配向を示すネマチック液晶性組成物であれば特にこれに限定されるものではないが、例えば、液晶性フラグメント側鎖を含有するモノマーユニット(a)と非液晶性フラグメント側鎖を含有するモノマーユニット(b)を含む側鎖型液晶ポリマーおよび、当該側鎖型液晶ポリマーに光重合性液晶化合物を配合したものがあげられる。
【0028】
前記側鎖型液晶ポリマーの場合、垂直配向膜を用いずに、液晶ポリマーのホメオトロピック配向を実現することができる。当該側鎖型液晶ポリマーは、通常の側鎖型液晶ポリマーが有する液晶性フラグメント側鎖を含有するモノマーユニット(a)の他に、アルキル鎖等を有する非液晶性フラグメント側鎖を含有するモノマーユニット(b)を有しており、非液晶性フラグメント側鎖を含有するモノマーユニット(b)の作用により、垂直配向膜を用いなくても、例えば熱処理により液晶状態とし、ネマチック液晶相を発現させ、ホメオトロピック配向を示すようになったものと推察する。
【0029】
前記モノマーユニット(a)はネマチック液晶性を有する側鎖を有するものであり、例えば、一般式(a):
【化1】
Figure 2004279437
(ただし、Rは水素原子またはメチル基を、aは1〜6の正の整数を、Xは−CO−基または−OCO−基を、Rはシアノ基、炭素数1〜6のアルコキシ基、フルオロ基または炭素数1〜6のアルキル基を、bおよびcは1または2の整数を示す。)で表されるモノマーユニットがあげられる。
【0030】
またモノマーユニット(b)は、直鎖上側鎖を有するものであり、例えば、一般式(b):
【化2】
Figure 2004279437
(ただし、R3は水素原子またはメチル基を、R4は炭素数1〜22のアルキル基、炭素数1〜22のフルオロアルキル基を示す。)または一般式(b1):
【化3】
Figure 2004279437
(ただし、dは1〜6の正の整数を、Rは炭素数1〜6のアルキル基を示す。)で表されるモノマーユニットがあげられる。
【0031】
また、モノマーユニット(a)とモノマーユニット(b)の割合は、特に制限されるものではなく、モノマーユニットの種類によっても異なるが、モノマーユニット(b)の割合が多くなると側鎖型液晶ポリマーが液晶モノドメイン配向性を示さなくなるため、(b)/{(a)+(b)}=0.01〜0.8(モル比)とするのが好ましい。特に0.1〜0.5とするのがより好ましい。
【0032】
また、ホメオトロピック配向液晶層を形成しうるホメオトロピック配向液晶組成物としては、前記液晶性フラグメント側鎖を含有するモノマーユニット(a)と脂環族環状構造を有する液晶性フラグメント側鎖を含有するモノマーユニット(c)を含む側鎖型液晶ポリマーを用いることもできる。
【0033】
前記側鎖型液晶ポリマーによれば、垂直配向膜を用いずに、液晶ポリマーのホメオトロピック配向を実現することができる。当該側鎖型液晶ポリマーは、通常の側鎖型液晶ポリマーが有する液晶性フラグメント側鎖を含有するモノマーユニット(a)の他に、脂環族環状構造を有する液晶性フラグメント側鎖を含有するモノマーユニット(c)を有しており、当該モノマーユニット(c)の作用により垂直配向膜を用いなくても、例えば熱処理により液晶状態としネマチック液晶層を発現させ、ホメオトロピック配向を示すようになったと推察する。
【0034】
前記モノマーユニット(c)はネマチック液晶性を示す側鎖を有するものであり、例えば、一般式(c):
【化4】
Figure 2004279437
(ただし、Rは水素原子またはメチル基を、hは1〜6の正の整数を、Xは−CO−基または−OCO−基を、eとgは1または2の整数を、fは0〜2の整数を、Rはシアノ基、炭素数1〜12のアルキル基を示す。)で表されるモノマーユニットが挙げられる。
【0035】
また、モノマーユニット(a)とモノマーユニット(c)の割合は、特に制限されるものではなく、モノマーユニットの種類によっても異なるが、モノマーユニット(c)の割合が多くなると側鎖型液晶ポリマーが液晶モノドメイン配向性を示さなくなるため、(c)/{(a)+(c)}=0.01〜0.8(モル比)とするのが好ましい。特に0.1〜0.6とするのがより好ましい。
【0036】
ホメオトロピック配向液晶層を形成しうる液晶ポリマーは、前記例示のモノマーユニットを有するものに限られず、また前記例示のモノマーユニットは適宜に組み合わせることができる。
【0037】
前記側鎖型液晶ポリマーの重量平均分子量は、2千〜10万であるのが好ましい。重量平均分子量をかかる範囲に調整することにより液晶ポリマーとしての性能を発揮する。側鎖型液晶ポリマーの重量平均分子量が過少では配向層の成膜性に乏しくなる傾向があるため、重量平均分子量は2.5千以上とするのがより好ましい。一方、重量平均分子量が過多では液晶としての配向性に乏しくなって均一な配向状態を形成しにくくなる傾向があるため、重量平均分子量は5万以下とするのがより好ましい。
【0038】
なお、前記例示の側鎖型液晶ポリマーは、前記モノマーユニット(a)、モノマーユニット(b)、モノマーユニット(c)に対応するアクリル系モノマーまたはメタクリル系モノマーを共重合することにより調整できる。なお、モノマーユニット(a)、モノマーユニット(b)、モノマーユニット(c)に対応するモノマーは公知の方法により合成できる。共重合体の調整は、例えばラジカル重合方式、カチオン重合方式、アニオン重合方式などの通例のアクリル系モノマー等による重合方式に準じて行うことができる。なお、ラジカル重合方式を適用する場合、各種の重合開始剤を用いうるが、そのうちアゾビスイソブチロニトリルや過酸化ベンゾイルなどの分解温度が高くもなく、かつ低くもない中間的温度で分解するものが好ましく用いられる。
【0039】
前記側鎖型液晶ポリマーに光重合性液晶化合物を配合してホメオトロピック配向液晶性組成物とすることもできる。このとき、光重合性液晶化合物は、光重合性官能基として、例えば、アクリロイル基またはメタアクリロイル基等の不飽和二重結合を少なくとも1つ有する液晶性化合物であり、ネマチック液晶性のものが賞用される。かかる光重合性液晶化合物としては、前記モノマーユニット(a)となるアクリレートやメタクリレートを例示できる。光重合性液晶化合物として、耐久性を向上させるには、光重合性官能基を2つ以上有するものが好ましい。このような光重合性液晶化合物として、例えば、下記化5:
【化5】
Figure 2004279437
(式中、Rは水素原子またはメチル基を、AおよびDはそれぞれ独立して1,4−フェニレン基または1,4シクロへキシレン基を、Xはそれぞれ独立して−COO−基、−OCO−基または−O−基を、Bは1,4フェニレン基、1,4−シクロへキシレン基、4,4‘−ビフェニレン基または4,4’−ビシクロヘキシレン基を、mおよびnはそれぞれ独立して2〜6の整数を示す。)で表される架橋型ネマチック性液晶モノマー等を例示できる。また、光重合性液晶化合物としては、前記化5における末端の「HC=CR−CO−」を、ビニルエーテル基またはエポキシ基に置換した化合物や、「−(CH−」および/または「−(CH−」を「−(CH−CH(CH)−(CH−」または「−(CH−CH(CH)−(CH−」に置換した化合物を例示できる。
【0040】
上記光重合性液晶化合物は、熱処理により液晶状態として、例えば、ネマチック液晶層を発現させて側鎖型液晶ポリマーとともにホメオトロピック配向させることができ、その後に光重合性液晶化合物を重合または架橋させることによりホメオトロピック配向液晶フィルムの耐久性を向上させることができる。
【0041】
ホメオトロピック配向液晶性組成物中の光重合性液晶化合物と側鎖型液晶ポリマーの比率は、特に制限されず、得られるホメオトロピック配向液晶フィルムの耐久性等を考慮して適宜に決定されるが、通常、光重合性液晶化合物:側鎖型液晶ポリマー(重量比)=0.1:1〜30:1程度が好ましく、特に0.5:1〜20:1が好ましく、さらには1:1〜10:1が好ましい。
【0042】
前記光重合性液晶化合物を配合したホメオトロピック配向液晶性組成物中には、通常、光重合開始剤を含有する。光重合開始剤は各種のものを特に制限なく使用できる。光重合開始剤としては、例えば、チバスペシャリティケミカルズ社製のイルガキュア(Irgacure)907、同184、同651、同369などを例示できる。光重合開始剤の添加量は、光重合液晶化合物の種類、液晶性組成物の配合比等を考慮して、液晶性組成物のホメオトロピック配向性を乱さない程度に加えられる。通常、光重合性液晶化合物100重量部に対して、0.5〜30重量部程度が好ましい。特に、3〜15重量部が好ましい。
【0043】
前記ホメオトロピック配向液晶性組成物を塗工する基板は、ポリマー物質、ガラス、金属等の各種材質のものを用いることができる。また、これら基板のみでは垂直配向しにくい場合にはホメオトロピック配向液晶性組成物がホメオトロピック配向するような配向層を、上記基板上に設け、基板と配向層を合わせて垂直配向性基板とする。基板の厚さは、一般に10〜1000μm程度である。通常、基板上に形成したホメオトロピック配向液晶層は、この液晶層のみを位相差層等に転写して用いるが、光学異方性の小さいプラスチックフィルムを用いた場合には転写することなく用いることができる。
【0044】
ポリマー物質を基板とする場合、液晶を配向させる温度により、フィルムの表面状態や耐久性に不具合を生じないものであれば特に制限はなく、たとえば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー等の透明ポリマーフィルムからなるフィルムが挙げられる。また、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体等のスチレン系ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ないしノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体等のオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー等の透明ポリマーからなるフィルムも挙げられる。さらにイミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマーや前記ポリマーのブレンド物等の透明ポリマーからなるフィルムなども挙げられる。これらのなかでも水素結合性が高く、各種光学層としても用いることができるトリアセチルセルロース、ポリカーボネート、ノルボルネンポリオレフィン等が賞用される。
【0045】
光学異方性の小さいプラスチックフィルムとしては、特にゼオノア(商品名,日本ゼオン社製)、ゼオネックス(商品名,日本ゼオン社製)、アートン(商品名,JSR社製)などのノルボルネン構造を有するポリマー物質からなるプラスチックフィルムが光学的にも優れた特性を有する。これらのプラスチックフィルムにホメオトロピック配向液晶層を形成する場合には、配向層や転写の必要がないため、ホメオトロピック配向液晶フィルムとして単独に使用できる。
【0046】
前記垂直配向性基板を形成する基板上に設ける配向層としては、例えば、ガラス質高分子、界面活性剤またはシリコーンのように、前記垂直配向性液晶組成物が垂直配向するような物質の薄膜層を設ける必要がある。また、これらの物質は基板表面あるいは基板中に含有していても良く、垂直配向性液晶組成物中に含有していても良い。
【0047】
ガラス質高分子層を形成する材料としては、金属アルコキシド、特に金属シリコンアルコキシドゾルが賞用される。金属アルコキシドは、通常アルコール系の溶液として用いられる。前記溶液は、基板に塗布された後、溶媒を除去し、加熱によりゾルゲル反応を促進させることで、基板上で透明ガラス質高分子膜を形成する。金属シリコンアルコキシドゾルからは金属シリコンアルコキシドゲル層が形成される。上記の金属アルコキシドゾル溶液を、基板上に塗工する方法としては、例えば、ロールコート法、グラビアコート法、スピンコート法、バーコート法などを採用することができる。溶媒除去や反応を促進する方法としては、通常、室温での乾燥、乾燥炉での乾燥、ホットプレート上での加熱などが利用される。均一かつ柔軟性のある膜が必要であるため、配向層の厚みは、0.04〜2μm程度が好ましく、0.05〜0.2μm程度がより好ましい。
【0048】
界面活性剤による処理としては、両親媒性の界面活性剤を塗布する方法が知られている。例えば、レシチン、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド等の有機溶媒の塗布や、直鎖アルキル基を有する有機シランカップリング剤や一塩基性カルボン酸クロム錯体の溶液で基板を処理する方法などが知られている。
【0049】
本発明による位相差層とホメオトロピック配向液晶層を積層した光学フィルムは、実用に際して、さらに前記光学フィルムに、各種光学層を積層した光学フィルムとして用いることができる。その光学層については、要求される光学特性を満たすものであれば特に限定されるものではなく、例えば、偏光板、反射板、半透過板、拡散板、前記位相差層と同様あるいは異なる特性をもつ位相差板(1/2や1/4等の波長板(λ板)を含む)、視角補償フィルム、輝度向上フィルムまたはコレステリック液晶フィルムなどの画像表示装置の形成に用いられる光学層を1層または2層以上積層したものが挙げられる。なかでも、コレステリック液晶層(コレステリック液晶フィルム)と積層することにより輝度向上フィルムとすることができ、さらに偏光板と積層することにより画像表示装置に適用することができる。また、偏光板、その他の光学層あるいは本発明の位相差層に対して、ハードコート処理や反射防止処理、スティッキング防止や、拡散ないしアンチグレアを目的とした表面処理を施すこと、視角補償等を目的とした配向液晶層も光学層として挙げられる。
【0050】
前記偏光板の基本的な構成としては、例えば、二色性物質含有のポリビニルアルコール系フィルム等からなる偏光子の片面または両面に、ビニルアルコール系ポリマー等からなる適宜な接着層を介して保護シートを接着したものがあげられる。
【0051】
偏光子としては、特に限定されることなく各種のものを使用できる。例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリエン系配向フィルム等があげられる。これらのなかでもポリビニルアルコール系フィルムとヨウ素などの二色性物質からなる偏光子が好適である。必要に応じてホウ酸や硫酸亜鉛、塩化亜鉛等を含んでいてもよい。これら偏光子の厚さは特に限定されるものではないが、一般的に、5〜80μm程度である。
【0052】
前記偏光子の片面または両面に設けられる保護シートを形成する材料としては、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性、等方性などに優れるものが好ましい。例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、ジアセチルセルロースやトリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)等のスチレン系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマーがあげられる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロ系ないしはノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体の如きポリオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや方向族ポリアミド等のアミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、または前記ポリマーのブレンド物なども前記保護シートを形成するポリマーの例としてあげられる。保護シートは、アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化型、紫外線硬化型の樹脂の硬化層として形成することもできる。これらの中でもセルロース系ポリマーが好ましい。
【0053】
また、保護シートとしては、特開2001−343529号公報(WO01/37007)に記載のポリマーフィルム、例えば、(A)側鎖に置換および/または非置換イミド基を有する熱可塑性樹脂と、(B)側鎖に置換および/または非置換フェニル基ならびにニトリル基を有する熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物が挙げられ、具体例としてはイソブテンとN−メチルマレイミドからなる交互共重合体とアクリロニトリル・スチレン共重合体とを含有する樹脂組成物のフィルムが挙げられる。フィルムは樹脂組成物の混合押出し品などからなるフィルムを用いることができる。
【0054】
保護シートの厚さは特に限定されるものではないが、一般には500μm以下であり、1〜300μmが好ましい。特に5〜200μmとするのがより好ましい。また、偏光特性や耐久性などの点より、保護フィルム表面をアルカリなどでケン化処理することが好ましい。
【0055】
また、保護シートはできるだけ色付きがないことが好ましい。したがって、Rth=[(nx+ny)/2−nz]・d(ただし、nx、nyはフィルム平面内の主屈折率、nzはフィルム厚方向の屈折率、dはフィルム厚である)で表されるフィルム厚み方向の位相差値が−90nm〜+75nmであるものが好ましく用いられる。かかる厚み方向の位相差値(Rth)が−90nm〜+75nmのものを使用することにより、保護シートに起因する偏光板の着色(光学的な着色)をほぼ解消することができる。厚み方向の位相差値(Rth)は、さらに好ましくは−80〜+60nm、特に−70nm〜+45nmが好ましい。
【0056】
前記保護シートは偏光子の両面に貼りあわせる2枚がそれぞれ異なる特性をもつものを用いてもよい。その特性としては、これに限定されるものではないが、例えば、厚み、材質、光透過率、引張り弾性率あるいは光学層の有無等が挙げられる。
【0057】
前記ハードコート処理としては光学フィルム表面の傷つき防止などを目的に施されるものであり、例えばアクリル系、シリコーン系などの適宜な紫外線硬化型樹脂による硬度や滑り特性等に優れる硬化皮膜を透明保護フィルムの表面に付加する方式などにて形成することができる。反射防止処理は偏光板表面での外光の反射防止を目的に施されるものであり、従来に準じた反射防止膜などの形成により達成することができる。また、スティッキング防止処理は隣接層との密着防止を目的に施される。
【0058】
また、アンチグレア処理は偏光板の表面で外光が反射して、偏光板透過光の視認を阻害することの防止等を目的に施されるものであり、例えば、サンドブラスト方式やエンボス加工方式による粗面化方式や透明微粒子の配合方式などの適宜な方式にて透明保護フィルムの表面に微細凹凸構造を付与することにより形成することができる。前記表面微細凹凸構造の形成に含有させる微粒子としては、例えば平均粒径が0.5〜50μmのシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化錫、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化アンチモン等からなり、導電性を有することもある無機系微粒子、架橋または未架橋のポリマー等からなる有機系微粒子などの透明微粒子が用いられる。表面微細凹凸構造を形成する場合、微粒子の使用量は、表面微細凹凸構造を形成する透明樹脂100重量部に対して一般的に2〜70重量部程度であり、5〜50重量部が好ましい。アンチグレア層は、偏光板透過光を拡散して視角などを拡大するための拡散層(視角拡大機能など)をかねるものであってもよい。
【0059】
なお、これらの反射防止層、スティッキング防止層、拡散層やアンチグレア層等の光学層は、光学フィルムそのものに設けることができるほか、別途、光学フィルムとは別体のものとして設けることもできる。
【0060】
前記光学層として用いられる位相差板としては、前記位相差層と同様に、延伸フィルム、液晶配向フィルムなどがあげられる。この位相差板としては、例えば各種波長板や液晶層の複屈折による着色や視角等の補償を目的としたものなどの使用目的に応じた適宜な位相差を有するものであってよく、2種以上の位相差板を積層して位相差等の光学特性を制御したものなどであってもよい。
【0061】
本発明による光学フィルムは、コレステリック液晶層等と積層することにより輝度向上フィルムとして用いることができる。さらに、輝度向上フィルムは偏光板と貼りあわせて使用される。偏光板と輝度向上フィルムを貼りあわせた偏光板は、通常液晶セルの裏側サイドに設けて使用される。輝度向上フィルムは、液晶表示装置などのバックライトや裏側からの反射などにより自然光が入射すると所定偏光軸の直線偏光または所定方向の円偏光を反射し、他の光は透過する特性を示すもので、輝度向上フィルムを偏光板と積層した偏光板は、バックライト等の光源からの光を入射させて所定偏光状態の透過光を得るとともに、前記所定偏光状態以外の光は透過せずに反射される。この輝度向上フィルム面で反射した光をさらにその後ろ側に設けられた反射層等を介し反転させて輝度向上フィルムに再入射させ、その一部または全部を所定偏光状態の光として透過させて輝度向上フィルムを透過する光の増量を図るとともに、偏光子に吸収させにくい偏光を供給して、液晶画像表示等に利用しうる光量の増大を図ることにより輝度を向上させうるものである。すなわち、輝度向上フィルムを使用せずに、バックライトなどで液晶セルの裏側から偏光子を通して光を入射した場合には、偏光子の偏光軸に一致していない偏光方向を有する光は、ほとんど偏光子に吸収されてしまい、偏光子を透過してこない。すなわち、用いた偏光子の特性によっても異なるが、およそ50%の光が偏光子に吸収されてしまい、その分、液晶画像表示等に利用しうる光量が減少し、画像が暗くなる。輝度向上フィルムは、偏光子に吸収されるような偏光方向を有する光を偏光子に入射させずに、輝度向上フィルムでいったん反射させ、さらにその後ろ側に設けられた反射層等を介して反転させて輝度向上フィルムに再入射させることを繰り返し、この両者間で反射、反転している光の偏光方向が偏光子を通過しうるような偏光方向になった偏光のみを透過させて偏光子に供給するので、バックライトなどの光を効率的に液晶表示装置の画像の表示に使用でき、画面を明るくすることができる。
【0062】
輝度向上フィルムと上記反射層等の間に拡散板を設けることもできる。輝度向上フィルムによって反射した偏光状態の光は上記反射層等に向かうが、設置された拡散板は通過する光を均一に拡散すると同時に偏光状態を解消し、非偏光状態とする。すなわち元の自然光状態にもどす。この非偏光状態すなわち自然光状態の光が反射層等に向かい、反射層等を介して反射して、拡散板を再び通過して輝度向上フィルムに再入射することを繰り返す。元の自然光状態に戻す拡散板を設けることにより、表示画面の明るさを維持しつつ、同時に表示画面の明るさのムラを少なくし、均一の明るい画面を提供することができる。元の自然光状態に戻す拡散板を設けることにより、初回の入射光は反射の繰り返し回数が程よく増加し、拡散板の拡散機能とあいまって均一の明るい表示画面を提供することができたものと考えられる。
【0063】
前記輝度向上フィルムとしては、例えば誘電体の多層薄膜や屈折率異方性が相違する薄膜フィルムの多層積層体の如き、所定偏光軸の直線偏光を透過して他の光は反射する特性を示すもの、コレステリック液晶ポリマーの配向フィルムやその配向液晶層をフィルム基材上に支持したものの如き、左回りまたは右回りのいずれか一方の円偏光を反射して他の光は透過する特性を示すもの等の偏光変換素子のような適宜なものを用いうる。
【0064】
したがって、前記した所定偏光軸の直線偏光を透過させるタイプの輝度向上フィルムでは、その透過光をそのまま偏光板に偏光軸をそろえて入射させることにより、偏光板による吸収ロスを抑制しつつ、効率よく透過させることができる。一方、コレステリック液晶層の如く円偏光を透過するタイプの輝度向上フィルムでは、そのまま偏光子に入射させることもできるが、吸収ロスを抑制する点よりその円偏光を位相差板を介し直線偏光化して偏光板に入射させることが好ましい。なお、その位相差板として1/4波長板を用いることにより、円偏光を直線偏光に変換することができる。
【0065】
偏光変換素子としては、例えば、異方性反射型偏光素子や異方性散乱型偏光素子等があげられる。異方性反射型偏光素子としては、コレステリック液晶層、特にコレステリック液晶ポリマーの配向フィルムや、その配向液晶層をフィルム基材上に支持したもののように、左回りまたは右回りのいずれか一方の円偏光を反射して他の光は透過する特性を示すものと、その反射帯域のうちのいずれかの任意の波長の0.25倍の位相差を有する位相差板との複合体、あるいは、誘電体の多層薄膜や屈折率異方性が相違する薄膜フィルムの多層積層体のように、所定偏光軸の直線偏光を透過して他の光は反射する特性を示すものが好ましい。前者の例としては、日東電工製のPCFシリーズ等を挙げることができ、後者の例としては、3M社製のDBEFシリーズ等を挙げることができる。また、異方性反射型偏光素子として、反射型グリッド偏光子も好ましく用いうる。その例としては、Moxtek製のMicro Wires等を挙げることができる。一方、異方性散乱型偏光素子としては、例えば、3M社製のDRPF等を挙げられる。
【0066】
なお、コレステリック液晶層についても、反射波長が相違するものの組み合わせにして2層または3層以上重畳した配置構造とすることにより、可視光領域等の広い波長範囲で円偏光を反射するものを得ることができ、それに基づいて広い波長範囲の透過円偏光を得ることができる。
【0067】
前記位相差層および前記光学フィルムを輝度向上フィルムに適用する場合、可視光域等の広い波長範囲で1/4波長板として機能するものを用いることが好ましい。1/4波長板は、面内屈折率であるnxおよびnyの値を|nx−ny|=λ/4(λ:測定波長[nm])を満たすように前記屈折率を制御することにより作製できる。また、この1/4波長板は、例えば波長550nmの単色光に対して1/4波長板として機能する位相差層と他の位相差特性を示す位相差層、例えば1/2波長板として機能する位相差層とを重畳する方式などにより得ることができる。したがって、この位相差層は、1層または2層以上からなるものであってもよい。
【0068】
前記光学層を積層した光学フィルムは、液晶表示装置等の製造過程で順次別個に積層する方式にても形成することができるが、あらかじめ積層して光学フィルムとしたものは、品質の安定性や組立作業等に優れていて液晶表示装置などの製造工程を向上させうる利点がある。積層には粘着剤層等の適宜な接着手段を用いうる。前記の偏光板と他の光学層の接着に際し、それらの光学軸は目的とする位相差特性などに応じて適宜な配置角度とすることができる。
【0069】
本発明による光学フィルムや、前記光学層を積層した光学フィルムには、液晶セル等の他部材と接着するための粘着剤層を設けることもできる。その粘着剤層は、特に限定されるものではないが、アクリル系等の従来に準じた適宜な粘着剤にて形成することができる。吸湿による発泡現象や剥がれ現象の防止、熱膨張差等による光学特性の低下や液晶セルの反り防止、ひいては高品質で耐久性に優れる画像表示装置の形成性等の点により、吸湿率が低くて耐熱性に優れる粘着剤層であることが好ましい。また、微粒子を含有して光拡散性を示す粘着剤層などとすることもできる。粘着剤層は必要に応じて必要な面に設ければよく、必要に応じて、光学フィルムの片面または両面に粘着剤層を設ければよい。
【0070】
前記粘着剤層が表面に露出する場合には、その粘着剤層を実用に供するまでの間の汚染防止等を目的としてセパレータにて仮着カバーをすることが好ましい。セパレータは、上記の透明保護フィルム等に準じた適宜なフィルムに、必要に応じてシリコーン系や長鎖アルキル系、フッ素系や硫化モリブデン等の適宜な剥離剤による剥離コートを設ける方式などにより形成することができる。
【0071】
なお、前記光学フィルムにおける光学層や粘着剤層などの各層は、例えば、サリチル酸エステル系化合物やベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物やシアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等の紫外線吸収剤で処理する方式などの適宜な方式により紫外線吸収能を持たせたものであってもよい。
【0072】
前記偏光子と透明保護フィルムとの接着処理は特に限定されるものではないが、例えば、ビニルポリマーからなる接着剤、あるいは、ホウ酸やホウ砂、グルタルアルデヒドやメラミン、シュウ酸などのビニルアルコール系ポリマーの水溶性架橋剤から少なくともなる接着剤などを介して行うことができる。この接着剤層は、水溶液の塗布乾燥層などとして形成しうるが、その水溶液の調製に際しては、必要に応じて、他の添加剤や、酸等の触媒も配合することができる。
【0073】
反射型偏光板は、偏光板に反射層を設けたもので、視認側(表示側)からの入射光を反射させて表示するタイプの液晶表示装置などを形成するためのものであり、バックライト等の光源の内臓を省略できて、液晶表示装置の薄型化を図りやすいなどの利点を有する。反射型偏光板の形成は、必要に応じ透明保護層等を介して偏光板の片面に金属等からなる反射層を付設する方式などの適宜な方式にて行うことができる。
【0074】
反射型偏光板の具体例としては、必要に応じ、マット処理した透明保護フィルムの片面に、アルミニウム等の反射性金属からなる箔や蒸着膜を付設して反射層を形成したものなどがあげられる。また、前記透明保護フィルムに微粒子を含有させて表面微細凹凸構造とし、その上に微細凹凸構造の反射層を有するものなどもあげられる。前記した微細凹凸構造の反射層は、入射光を乱反射により拡散させて指向性やギラギラした見栄えを防止し、明暗のムラを抑制しうる利点などを有する。また微粒子含有の透明保護フィルムは、入射光およびその反射光がそれを透過する際に拡散されて、明暗ムラをより抑制しうる利点なども有している。透明保護フィルムの表面微細凹凸構造を反映させた微細凹凸構造の反射層の形成は、例えば真空蒸着方式、イオンプレーティング方式、スパッタリング方式等の蒸着方式やメッキ方式などの適宜な方式で、金属を透明保護層の表面に直接付設する方法などにより行うことができる。
【0075】
反射板は、前記偏光板の透明保護フィルムに直接付与する方式に代えて、その透明フィルムに準じた適宜なフィルムに反射層を設けてなる反射シートなどとして用いることもできる。なお、反射層は通常、金属からなるので、その反射面が透明保護フィルムや偏光板等で被覆された状態の使用形態が、酸化による反射率の低下防止、ひいては初期反射率の長期持続の点や、保護層の別途付設回避の点などにより好ましい。
【0076】
なお、半透過型偏光板は、上記において反射層で光を反射し、かつ透過するハーフミラー等の半透過型の反射層とすることにより得ることができる。半透過型偏光板は通常、液晶セルの裏側に設けられ、液晶表示装置などを比較的明るい雰囲気で使用する場合には、視認側(表示側)からの入射光を反射させて画像を表示し、比較的暗い雰囲気においては、半透過型偏光板のバックサイドに内蔵されているバックライト等の内臓光源を使用して画像を表示するタイプの液晶表示装置などを形成できる。すなわち、半透過型偏光板は、明るい雰囲気下では、バックライト等の光源使用のエネルギーを節約でき、比較的明るい雰囲気下においても内蔵光源を用いて使用できるタイプの液晶表示装置などの形成に有用である。
【0077】
偏光板にさらに位相差板が積層されてなる楕円偏光板または円偏光板について説明する。直線偏光を楕円偏光または円偏光に変えたり、楕円偏光または円偏光を直線偏光に変えたり、あるいは直線偏光の偏光方向を変える場合に、位相差板などが用いられる。特に、直線偏光を円偏光に変えたり、円偏光を直線偏光に変えたりする位相差板としては、いわゆる1/4波長板(λ/4板ともいう)が用いられる。1/2波長板(λ/2板ともいう)は、通常、直線偏光の偏光方向を変える場合に用いられる。
【0078】
楕円偏光板はスーパーツイストネマチック(STN)型液晶表示装置の液晶層の複屈折により生じた着色(青または黄)を補償(防止)して、前記着色のない白黒表示する場合などに有効に用いられる。さらに、三次元の屈折率を制御したものは、液晶表示装置の画面を斜め方向から見た際に生じる着色も補償(防止)することができて好ましい。円偏光板は、例えば画像がカラー表示になる反射型液晶表示装置の画像の色調を整える場合などに有効に用いられ、また、反射防止の機能も有する。
【0079】
視角補償フィルムは、液晶表示装置の画面を、画面に垂直でなくやや斜めの方向から見た場合でも、画像が比較的鮮明に見えるように視野角を広げるためのフィルムである。このような視角補償フィルムとしては、例えば液晶ポリマー等の配向フィルムや透明基材上に液晶ポリマー等の配向層を支持したものや前記位相差板などからなる。通常の位相差板は、その面方向に一軸延伸された複屈折を有するポリマーフィルムが用いられるのに対し、視角補償フィルムとして用いられる位相差板には、面方向に二軸に延伸された複屈折を有するポリマーフィルムとか、面方向に一軸に延伸され、厚さ方向にも延伸された、厚さ方向の屈折率を制御した複屈折を有するポリマーや傾斜配向フィルムのような二方向延伸フィルムなどが用いられる。傾斜配向フィルムとしては、例えばポリマーフィルムに熱収縮フィルムを接着して加熱によるその収縮力の作用下にポリマーフィルムを延伸処理または/および収縮処理したものや、液晶ポリマーを斜め配向させたものなどが挙げられる。位相差板の素材原料ポリマーは、先の位相差板で説明したポリマーと同様のものが用いられ、液晶セルによる位相差に基づく視認角の変化による着色等の防止や良視認の視野角の拡大などを目的とした適宜なものを用いうる。
【0080】
本発明による光学フィルムは液晶表示装置、有機EL表示装置、PDP等の画像表示装置の形成に好ましく用いることができ、特に、画像表示装置に設けた輝度向上フィルムの光学補償層として用いることが好ましい。
【0081】
液晶表示装置の構成としては、特に限定されることなく任意であり、液晶セル基板は、プラスチック基板、ガラス基板のいずれでも良い。さらに、液晶表示装置を形成する液晶セルは任意であり、例えば薄膜トランジスタ型に代表されるアクティブマトリクス駆動型のもの、ツイストネマチック型やスーパーツイストネマチック型に代表される単純マトリクス駆動型のものなど適宜なタイプの液晶セルを用いたものであって良い。
【0082】
また、液晶セルの両側に偏光板や光学部材を設ける場合、それらは同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。さらに、液晶表示装置の形成に際しては、例えばプリズムアレイシートやレンズアレイシート、光拡散板やバックライト等の適宜な部品を適宜な位置に1層または2層以上配置することができる。
【0083】
次いで、有機エレクトロルミネセンス装置(有機EL表示装置)について説明する。一般に、有機EL表示装置は、透明基板上に透明電極と有機発光層と金属電極とを順に積層して発光体(有機エレクトロルミネセンス発光体)を形成している。ここで、有機発光層は、種々の有機薄膜の積層体であり、例えばトリフェニルアミン誘導体等からなる正孔注入層と、アントラセン等の蛍光性の有機固体からなる発光層との積層体や、あるいはこのような発光層とペリレン誘導体等からなる電子注入層の積層体や、またあるいはこれらの正孔注入層、発光層、および電子注入層の積層体等、種々の組み合わせを持った構成が知られている。
【0084】
有機EL表示装置は、透明電極と金属電極とに電圧を印加することによって、有機発光層に正孔と電子とが注入され、これら正孔と電子との再結合によって生じるエネルギーが蛍光物質を励起し、励起された蛍光物質が基底状態に戻るときに光を放射する、という原理で発光する。途中の再結合というメカニズムは、一般のダイオードと同様であり、このことからも予想できるように、電流と発光強度は印加電圧に対して整流性に伴う強い非線形性を示す。
【0085】
有機EL表示装置においては、有機発光層での発光を取り出すために、少なくとも一方の電極が透明でなくてはならず、通常、酸化インジウムスズ(ITO)などの透明導電体で形成した透明電極を陽極として用いている。一方、電子注入を容易にして発光効率を上げるには、陰極に仕事関数の小さな物質を用いることが重要で、通常Mg−Ag、Al−Liなどの金属電極を用いている。
【0086】
このような構成の有機EL表示装置において、有機発光層は、厚さ10nm程度と極めて薄い膜で形成されている。このため、有機発光層も透明電極と同様、光をほぼ完全に透過する。その結果、非発光時に透明基板の表面から入射し、透明電極と有機発光層とを透過して金属電極で反射した光が、再び透明基板の表面側へと出るため、外部から視認したとき、有機EL表示装置の表示面が鏡面のように見える。
【0087】
電圧の印加によって発光する有機発光層の表面側に透明電極を備えるとともに、有機発光層の裏面側に金属電極を備えてなる有機エレクトロルミネセンス発光体を含む有機EL表示装置において、透明電極の表面側に偏光板を設けるとともに、これら透明電極と偏光板との間に位相差フィルムを設けることができる。
【0088】
位相差フィルムおよび偏光板は、外部から入射して金属電極で反射してきた光を偏光する作用を有するため、その偏光作用によって金属電極の鏡面を外部から視認させないという効果がある。特に、位相差フィルムを1/4波長板で構成し、かつ偏光板と位相差フィルムとの偏光方向のなす角をπ/4に調整すれば、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。
【0089】
すなわち、この有機EL表示装置に入射する外部光は、偏光板により直線偏光成分のみが透過する。この直線偏光は位相差フィルムにより一般に楕円偏光となるが、特に位相差フィルムが1/4波長板でしかも偏光板と位相差フィルムとの偏光方向のなす角がπ/4のときには円偏光となる。
【0090】
この円偏光は、透明基板、透明電極、有機薄膜を透過し、金属電極で反射して、再び有機薄膜、透明電極、透明基板を透過して、位相差フィルムで再び直線偏光となる。そして、この直線偏光は、偏光板の偏光方向と直交しているので、偏光板を透過できない。その結果、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。
【0091】
PDPは、パネル内に封入された希ガス、とくにネオンを主体としたガス中で放電を発生させ、その際に発生する真空紫外線により、パネルのセルに塗られたR、G、Bの蛍光体を発生させる。
【0092】
以上のように本発明は、面内屈折率nx,nyおよび厚み方向屈折率nzの関係がnz>nx>nyとなるように設計した位相差層にホメオトロピック配向液晶層を積層した光学フィルムにおいて、この光学フィルムのNz係数の制御が容易になり、それに伴って、この光学フィルムを輝度向上フィルムとした場合に、斜めから見たときの着色のないものが得られることを見出したものである。この光学フィルムの製造方法の一例としては、まず、ポリマーフィルムを二軸延伸することにより位相差層を作製し、次に、これとは別に、基板上にホメオトロピック配向液晶性組成物を塗工し、乾燥、重合硬化することにより、ホメオトロピック配向液晶層を有するホメオトロピック配向液晶フィルムを作製する。さらに、これらのフィルムを、粘着剤等を介して貼り合わせることによって前記光学フィルムを作製できる。このとき、ホメオトロピック配向液晶フィルムのホメオトロピック配向液晶層側と位相差層を粘着剤等を介して貼り合わせた際に、ホメオトロピック配向液晶フィルムから基板を剥離して、残った位相差層とホメオトロピック配向液晶層の積層物からなる光学フィルムとしてもよく、また、別々のフィルムを作製するのではなく、位相差層上に直接ホメオトロピック配向液晶組成物を塗工することによりホメオトロピック配向液晶層を形成した光学フィルムとすることも好ましく用いられる。
【0093】
前記光学フィルムはコレステリック液晶層等と積層して輝度向上フィルムとして用いることが好ましく、さらにこの輝度向上フィルムは偏光板等を適宜積層することによって、画像表示装置に適用することができる。また、前記光学フィルムおよび位相差層のNz係数および、前記ホメオトロピック配向液晶層の厚み方向位相差値(Rth)を特定の数値範囲に制御することによって、より輝度向上フィルムに最適な光学フィルムを得ることができる。
【0094】
【実施例】
以下に実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。
【0095】
実施例1
(位相差層の作製)
正面位相差130nmである一軸延伸ポリカーボネートフィルム(鐘淵化学工業(株)製)を、厚み方向に1.5倍延伸することによって、Nz係数=−0.1、厚み方向位相差値(Rth)=−145nmの1/4波長板として機能する位相差層を得た。このときの屈折率は、nz>nx>nyの関係を示した。
【0096】
(ホメオトロピック配向液晶層の作製)
ネマチック液晶相を示す重合性液晶(BASF社製:Paliocolor LC242)を20重量部および光重合開始剤(チバスペシャリティケミカルズ社 製:Irgacure907)を液晶に対して3重量部、シクロヘキサノン(80重量部)に溶解し、その溶液を、基板としてのゼオノアフィルム(日本ゼオン社製:ZEONOR)上にバーコーターで塗工した。そのフィルムを100℃で10分間乾燥、UV照射し重合硬化させることにより、基板上に厚み0.5μm(Rth=−50nm)のホメオトロピック配向液晶層を有するホメオトロピック配向液晶フィルムを得た(このホメオトロピック配向液晶層の厚みを調整することで、位相差層とホメオトロピック配向液晶層を積層した光学フィルムのNz係数を調整できる。)。このフィルムの光学位相差を測定(測定光をサンプル表面に対して垂直あるいは斜めから入射)したところ、正面位相差がほぼゼロであり、また測定光の入射角度の増加に伴い位相差が増加したことからホメオトロピック配向が得られていることを確認した。
【0097】
(コレステリック液晶フィルムの作製)
厚さ50μmのトリアセチルセルロース(TAC)フィルム上に、バーコーターを用いて厚さ0.1μmのポリビニルアルコール(PVA)層を形成し、このPVA層上にラビング処理を施した後、アクリル系側鎖型のコレステリック液晶ポリマーで選択反射中心波長が700nm、550nm、400nmのコレステリック液晶層を3層順次、PVA層をラビングした配向膜上に形成し配向させ、薄膜化した。各層の厚みは全て3μmとした。
【0098】
(輝度向上フィルムの作製)
作製したホメオトロピック配向液晶フィルムのホメオトロピック配向液晶層側の面と位相差層を厚み21μmのアクリル系粘着剤を介して貼りあわせ、ホメオトロピック配向液晶フィルムからゼオノアフィルムを剥離することにより、ホメオトロピック配向液晶層のみを位相差層側に転写し、ホメオトロピック配向液晶層と位相差層からなる光学フィルムを得た。この光学フィルムのNz係数は−0.5であった。次いで、この光学フィルムのホメオトロピック配向液晶層側に、作製したコレステリック液晶フィルムを厚み21μmのアクリル系粘着剤を介して貼りあわせることにより、輝度向上フィルムとした。
【0099】
(偏光板との積層)
作製した輝度向上フィルムの位相差層側に、厚さ21μmの粘着剤を介して偏光板(日東電工(株)製:TEG1465DU)を貼りあわせて、積層偏光板を得た。
【0100】
実施例2
実施例1(輝度向上フィルムの作製)において、コレステリック液晶フィルムを位相差層側に貼りあわせ、実施例1(偏光板との積層)において、偏光板をホメオトロピック配向液晶層側に貼りあわせた以外は、実施例1と同様にして積層偏光板を作製した。
【0101】
実施例3
実施例1(ホメオトロピック配向液晶層の作成)において、ホメオトロピック配向液晶層の厚みを1.15μm(Rth=−115nm)とし、実施例1(輝度向上フィルムの作製)におけるホメオトロピック配向液晶層と位相差層からなる光学フィルムのNz係数を−1.0とした以外は、実施例1と同様にして積層偏光板を作製した。
【0102】
実施例4
実施例1(ホメオトロピック配向液晶層の作成)において、ホメオトロピック配向液晶層の厚みを2.45μm(Rth=−245nm)とし、実施例1(輝度向上フィルムの作製)におけるホメオトロピック配向液晶層と位相差層からなる光学フィルムのNz係数を−2.0とした以外は、実施例1と同様にして積層偏光板を作製した。
【0103】
実施例5
実施例1(ホメオトロピック配向液晶層の作成)において、ホメオトロピック配向液晶層の厚みを3.75μm(Rth=−375nm)とし、実施例1(輝度向上フィルムの作製)におけるホメオトロピック配向液晶層と位相差層からなる光学フィルムのNz係数を−3.0とした以外は、実施例1と同様にして積層偏光板を作製した。
【0104】
参考例1
実施例1(位相差層の作製)において、ポリカーボネートの延伸フィルムからなる正面位相差130nmの1/4波長板を厚み方向に延伸せず(Nz=1、Rth=0.0nm)、実施例1(ホメオトロピック配向液晶層の作成)において、ホメオトロピック配向液晶層の厚みを2.5μm(Rth=−250nm)とし、実施例1(輝度向上フィルムの作製)におけるホメオトロピック配向液晶層と位相差層からなる光学フィルムのNz係数を−1.0とした以外は、実施例1と同様にして積層偏光板を作製した。
【0105】
比較例1
実施例1(位相差層の作製)において、ポリカーボネートフィルムを厚み(Z)方向に1.2倍延伸することでRthを−25nmとし、実施例1(ホメオトロピック配向液晶層の作成)において、ホメオトロピック配向液晶層の厚みを0.30μm(Rth=−30nm)とし、実施例1(輝度向上フィルムの作製)におけるホメオトロピック配向液晶層と位相差層からなる光学フィルムのNz係数を0.0とした以外は、実施例1と同様にして積層偏光板を作製した。
【0106】
比較例2
実施例1(位相差層の作製)において、ポリカーボネートフィルムを厚み(Z)方向に1.2倍延伸することでRthを−25nmとし、実施例1(ホメオトロピック配向液晶層の作成)において、ホメオトロピック配向液晶層の厚みを0.30μm(Rth=−30nm)とした。さらに、実施例1(輝度向上フィルムの作製)において、ホメオトロピック配向液晶層と位相差層からなる光学フィルムのNz係数を0.0とし、コレステリック液晶フィルムを位相差層側に貼りあわせ、実施例1(偏光板との積層)において、偏光板をホメオトロピック配向液晶層側に貼りあわせた以外は、実施例1と同様にして積層偏光板を作製した。
【0107】
比較例3
実施例1(ホメオトロピック配向液晶層の作成)において、ホメオトロピック配向液晶層の厚みを0.30μm(Rth=−30nm)とし、実施例1(輝度向上フィルムの作製)におけるホメオトロピック配向液晶層と位相差層からなる光学フィルムのNz係数を−3.5とした以外は実施例1と同様にして積層偏光板を作製した。
【0108】
(屈折率、Nz係数および、厚み方向位相差(Rth)測定方法)
位相差層の屈折率、位相差層およびホメオトロピック配向液晶層のRthおよび、位相差層とホメオトロピック配向液晶層を積層した光学フィルムについてのNz係数を自動複屈折率計(王子計測機器社製:KOBRA−21ADH)を用いて測定した。
【0109】
(輝度向上率、正面色度差測定方法)
実施例、参考例および比較例で得られた積層偏光板をバックライトの光出射側に偏光板がくるように配置し、輝度計(トプコン社製:BM−7)を用いて、最大輝度を示す軸角度に調節した。そのときの正面(垂直)方向の輝度(B1)、色度(x1、y1)を測定し、同時に、輝度向上フィルムがない状態(偏光板のみ)での正面輝度(B0)と正面方向の色度(x0、y0)を測定した。そして、次式により輝度向上率と正面色度差を求めた。
(輝度向上率)=B1/B0
(正面色度差)=√{(x1−x0)+(y1−y0)
【0110】
(斜視色相測定方法)
実施例、参考例および比較例で得られた積層偏光板をバックライトの光出射側に偏光板がくるように配置し、積層偏光板の法線方向から右斜め45°の位置で目視により評価した。
【0111】
前記実施例および比較例の評価結果を表1に示す。
【0112】
【表1】
Figure 2004279437
【0113】
(積層構成の説明)
▲1▼位相差層のみの測定。
▲2▼ホメオトロピック配向液晶層のみの測定。
▲3▼位相差層とホメオトロピック配向液晶層を積層した光学フィルムについて測定。
▲4▼偏光板、位相差層、ホメオトロピック配向液晶層およびコレステリック配向液晶層を積層した積層偏光板(図1)について測定。
【0114】
表1の結果からわかるように、実施例に示した構成を用いることにより、斜視色相に着色がなく、輝度向上率および色度差の値についても良好な光学フィルムが得られていることがわかる。ところが、参考例および比較例では、斜めから見たときの色付きが確認され、さらに、比較例においては、輝度向上率および色度差の値についても、実施例と比べて劣る。
【0115】
【発明の効果】
以上のように本発明による光学フィルムは、ポリマーフィルム面内のX方向および厚み方向であるZ方向にそれぞれ適宜な力で延伸することによって、フィルム面内における三次元方向の屈折率がnz>nx>nyの関係をもつように調整した位相差層が得られ、この位相差層にホメオトロピック配向液晶層を積層することにより、Nz係数の制御が容易な光学フィルムを得た。さらに、この光学フィルムを輝度向上フィルムとすることで、斜視着色がなく、輝度向上率および色度差の向上した輝度向上フィルムが得られた。また、この位相差層、ホメオトロピック配向液晶層およびこれらを積層した光学フィルムの光学特性(Nz係数、Rth)を規定の数値範囲に制御することによって、従来以上の光学特性(輝度向上率、色度差)をもつ輝度向上フィルムを得ることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である輝度向上フィルムと偏光板を積層した積層偏光板の断面図を示す。
【符号の説明】
1 偏光板
2 位相差層
3 ホメオトロピック配向液晶層
4 コレステリック液晶フィルム

Claims (7)

  1. 面内屈折率をnx,ny、厚み方向の屈折率をnzとするとき、屈折率がnz>nx>nyである位相差層とホメオトロピック配向液晶層をそれぞれ少なくとも1層積層した光学フィルム。
  2. Nz係数=(nx−nz)/(nx−ny)としたときのNz係数が−3.0以上、−0.5以下である請求項1記載の光学フィルム。
  3. 位相差層のNz係数が−1.5以上、0.9以下である請求項1または2記載の光学フィルム。
  4. 厚み方向位相差(Rth)[nm]=((nx+ny)/2−nz)×d(d:厚み[nm])としたときのホメオトロピック配向液晶層のRthが−1000nm以上、−10nm以下である請求項1〜3のいずれかに記載の光学フィルム。
  5. 位相差層が1/4波長板であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光学フィルム。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の光学フィルムに少なくとも1層の光学層を積層した光学フィルム。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の光学フィルムを有する画像表示装置。
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