JP2004278335A - マイクロ/ナノディスクタービン - Google Patents
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Abstract
【課題】解決しようとする問題点は、従来の技術のタービンにおいては、小出力にした場合、熱効率が極端に低くなる点である。また、小型化すると、さらに単位出力あたりの熱損失が大きくなり、補機動力の割合の増加、発電機効率の低下など、本質的な問題があった。また、従来タービンは形状が複雑で製造コストが大きいという問題があり、実用化を阻んできた。
【解決手段】上記の課題を解決するために、本発明は、極めて薄いエレメントとディスクを交互に重ね合わせる構造を基本として、切り欠き、エレメント、微小翼型をディスク上に付与するマイクロ/ナノディスクタービンであり、小型で低コストにもかかわらず熱効率、タービン効率が良い。
【選択図】 図1
【解決手段】上記の課題を解決するために、本発明は、極めて薄いエレメントとディスクを交互に重ね合わせる構造を基本として、切り欠き、エレメント、微小翼型をディスク上に付与するマイクロ/ナノディスクタービンであり、小型で低コストにもかかわらず熱効率、タービン効率が良い。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明が属する技術分野】
この発明は、蒸気タービン、ガスタービン、およびウォータータービンなどのタービン機関に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の大型蒸気タービン(例えば100万キロワット)では、超臨界温度・圧力の蒸気を利用できたが、太陽エネルギーを含む再生可能エネルギーやバイオマス、化石燃料などを利用した近い将来の分散型の変換システムでは、得られる温度・圧力が低く、その規模が極めて小さくなる。このような小規模システムにおいて、従来技術のタービンを使用すると蒸気消費率(単位出力あたりの蒸気消費量)は10〜20倍も大きく、熱効率が極端に低くなるという大きな問題がある(図9参照)。また、小型化すると、大型機で行われていた多段化や、再熱・再生などを簡略化せざるを得ず、さらに単位出力あたりの熱損失が大きくなり、補機動力の割合の増加、発電機効率の低下など、本質的な問題があった。また、従来タービンは形状が複雑で製造コストが大きいという問題があり、実用化を阻んできた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
解決しようとする問題点は、従来の技術のタービンにおいては、小出力にした場合、蒸気消費率(Steam rate)が大きく、熱効率が低く、また製造コストが大きいという点である。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1の発明は、「重ね合わせのコンセプト(Concept of Superposition)」に基づいて、多数の極めて薄い同形状のディスクを微小なディスク間隔(数ナノメートルから数百マイクロメートルの範囲で変える)で稠密に同軸上に重ね合わせた構造のタービンディスクを有することを特徴とするマイクロ/ナノディスクタービンである。なお、ディスク間隔には作動流体とその流入条件によって最適な値がある。
【0005】
これまでの代表的な大型蒸気タービンは軸流式であるが、これは、無数の3次元翼をもつ動翼と静翼からなり、また、流れが軸流であるため蒸気条件が軸方向に変化し、タービン直径も軸方向にすべて異なる。これがタービン自体の複雑化および高コスト化(100〜500倍高い)を招く原因となり、実用化上の阻害要因であった。
【0006】
また、タービン効率を向上する方策として、請求項2の発明は、極めて薄いディスクの外縁部に衝動力を効果的に得るためのノコ歯形状の切り欠きを有し、また、衝動力を得るためのエレメントおよび微小な翼形が付与しているという特徴を有する請求項1記載のマイクロ/ナノディスクタービンである。
【0007】
さらに本発明の適用例として、請求項3の発明は、2次元および3次元CPC型や真空管式などのソーラーコレクタを用いたソーラーを熱源とする請求項1および2記載のタービンを組み込んだソーラーランキンサイクルシステムなど、あらゆるランキンサイクルシステムである。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1はマイクロ/ナノディスクタービンの実施形態を示す図である。
【0009】
図2は図1記載の実施形態の拡大図である。
【0010】
さらに図3は、図1および2記載の実施形態の説明図である。
【0011】
マイクロ/ナノディスクタービンは、「重ね合わせのコンセプト(Concept of Superposition)」に基づいて、多数の極めて薄い同形状のディスク1を、微小なディスク間隔で稠密に出力軸6上に重ね合わせた構造のタービンローター11を有しており、さらに、ディスク1の外縁部には、流入してくる作動流体からの衝動力を効果的に得るためのノコ歯形状の切り欠き2があり、また、同じく作動流体から衝動力を得るためのエレメント3および微小翼形4が多数付与している。マイクロ/ナノディスクタービンの1ユニットは、このタービンローター11とノズル7を含むケーシング8から構成され、ユニット単位での多段化(これをカスケーディングと呼ぶ)を可能としている。
【0012】
ディスク間隔には作動流体とその流入条件によって最適な値があり、とくに動粘性係数が極めて小さい有機冷媒(フロン、代替フロン、アンモニアなど)を作動流体とした場合は、ミクロンオーダー、サブミクロンオーダー、もしくはそれ以下(ナノオーダー)のディスク間隔に最適値がある場合がある。
【0013】
図10は、ある蒸気条件に基づいて数値計算によって得られたディスク間隔とタービン効率の関係図である。この場合は、ディスク間隔が1〜10ミクロンの間に最大効率点が存在するが、選択する作動流体および蒸気条件によっては、このピークがナノメートルの領域に移動する。
【0014】
図11は、図10において最もタービン効率の高いディスク間隔における無次元流路厚さ方向の無次元速度分布を表している。ディスク間隔が大きい場合、たとえば300ミクロン以上の場合は、ディスク方向の速度分布は、中央部分がフラットな台形の分布となり、中央部分は粘性力に関与しなくなるが、このようにディスク間隔を狭めることにより、粘性力が支配的になり、衝動力を得るためのエレメント等に頼らずとも、非常に単純なディスク形状のみで構成したタービンローター11でも高性能を発揮できる場合がある。その場合は、製造コスト削減のためエレメントの数を大幅に減らしたり、微小翼形などを省略することがある。
【0015】
従来の大型タービンのタービン効率は、多くの場合85%を超えているが、小型のタービンでは、その効率は10〜40%と極端に低下する。その理由は、多段化・多重化や再熱・再生などが十分にできないことによる熱効率低下もあるが、最も重要な要因は、タービンそのものの構造にある。すなわち、従来の軸流または、ラジアルタービンでは、小型化するとタービン入口から出口までの滞留時間(Residence time)が短くなり、これが蒸気消費率の増加を招き、タービン効率を大幅に低下させる。
【0016】
これに対し、本発明のタービンの滞留時間は同じ規模のタービンと比し、10倍以上大きく、小さくてもタービン効率を低下させないという大きな効果を生む。図11に例示するようにタービン効率は90%を超えることがある。これは100万キロワットの蒸気タービンの効率を凌ぐ値である。またコンパクトでありながら、大きな出力が得られる。将来、スペースシャトルなどの宇宙機や地上用としては移動体用など、広汎な応用が期待できる。
【0017】
ノズル7入口より流入した作動流体の蒸気は、ノズル7出口から噴射された後、出力軸6に非常に狭い間隔で稠密に取り付けられたディスク1の間を外周から軸に向かって遠心力に逆らって流れ、蒸気流の粘性力と付着力によってディスク1を回転させる。このとき、ディスク1に加工が施されている切り欠き2、衝動エレメント3および微小翼型4に衝突する蒸気噴流の衝動力および反動力によって、さらに出力が増大する。そして、ディスクの中心部付近にある出口穴5を経由して軸方向に流れの向きを変えて、排出口9を通ってタービンユニット外部へ排気される。
【0018】
【実施例】
マイクロ/ナノディスクタービンのディスク形状の他の実施例を図4に示す。
【0019】
図1、図2および図3記載の実施形態で、ディスク間隔をミクロンオーダー、サブミクロンオーダー、ナノオーダーに狭めていくと、ディスク間隔に較べてディスク本体の厚さが大きくなる。このような場合、ディスクの外縁部を鋭く、且つ滑らかな形状にすることによって、流れの乱流を抑制する効果がある。
【0020】
図5、図6、図7および図8にマイクロ/ナノディスクタービンの他の実施例を示す。各図の(a)はエレメントのみを加工したもの(これをエレメントディスクと呼ぶ)である。各図の(b)はディスクのみを加工したものである。これらを各図の(c)に示すように同軸上に交互に重ねていくことで、所定の流路を形成することができる。この場合、ディスク間隔はエレメントディスクの厚さによって調整することができる。図5はほぼ一定の厚みのあるエレメントを用いた場合で、この場合、蒸気の流路は出口穴5に向かうほど狭くなる。このエレメントの曲線の一例としては、インボリュート曲線などの幾何学曲線が挙げられる。図6は、エレメントの厚さに変化をもたせ、蒸気流路面積をほぼ一定にした場合であり、さらに図7は、蒸気流路面積を出口穴5に向かうほど拡大した実施例である。図8は、エレメントの厚さを極力薄くした場合の例である。
【0021】
さらに、マイクロ/ナノディスクタービンは、太陽熱発電システム(Solar thermal electric system)に組み込むことが可能で、太陽エネルギーを高温熱源としたランキンサイクル発電システム(ソーラーランキンサイクルシステムと呼ぶ)の動力取り出し部(エキスパンダ)として利用できる。また同様に、一般の化石燃料や水素、バイオガスなどを用いた分散型発電システムとして利用できる。
【0022】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、多数の極めて薄い同形状のディスクを微小なディスク間隔で稠密に同軸上に重ね合わせた構造を基本として、切り欠き、エレメント、微小翼型をディスク上に付与することにより、小型でありながら低コストで高効率のタービンができる。
本発明のもたらす効果、特徴を下記に列挙する。
(1)高々300℃以下の低温度差で稼働する。熱源も、太陽、バイオマス、地熱、温度差(海洋など)や排熱などが使える。
(2)20世紀に発達した巨大エンジン(たとえば、100万kW蒸気タービン)などの従来の原理から脱却した新しい原理に基づく。
(3)CO2を排出しない。従来の化石燃料も使える。燃料(Repoweringを含む)として用いるときは、たとえば、水素を用いる。
(4)効率が高い。少なくとも太陽電池の2〜3倍の高効率である。
(5)多機能・多目的性を有する。発電はもとより、暖・冷房、給湯、殺菌、消毒、蒸気利用、乾燥、プロセスヒートなど多目的に使える。
(6)自動車用、家庭用、産業用など、あらゆる用途に使える。
(7)宇宙機用としての用途がある。
(8)国際的価格競争力がある。爆発的普及の可能性を有する。
(9)ガスタービン、蒸気タービン、オーガニックタービンなどを組み合わせることができる。
(10)コージェネレーションとして暖房・給湯も賄える。
(11)ガスタービン、蒸気タービン、ウォータータービン、コンプレッサー、エキスパンダ、ポンプなどに使える。
【図面の簡単な説明】
【図1】マイクロ/ナノディスクタービンの実施形態を示す図である。
【図2】図1記載のマイクロ/ナノディスクタービンの実施形態の拡大図である。
【図3】図1および図2記載のマイクロ/ナノディスクタービンの説明図である。
【図4】マイクロ/ナノディスクタービンの他の実施例を示す図である。
【図5】マイクロ/ナノディスクタービンの他の実施例である。
【図6】マイクロ/ナノディスクタービンの他の実施例である。
【図7】マイクロ/ナノディスクタービンの他の実施例である。
【図8】マイクロ/ナノディスクタービンの他の実施例である。
【図9】一般的な出力と蒸気消費率の関係図である。
【図10】ディスク間隔とタービン効率の関係図である。
【図11】流路厚さ方向の速度分布の例を示した図である。
【符号の説明】
1 ディスク
2 切り欠き
3 エレメント
4 微小翼型
5 出口穴
6 出力軸
7 ノズル
8 ケーシング
9 排気口
10 軸穴
11 タービンローター
【発明が属する技術分野】
この発明は、蒸気タービン、ガスタービン、およびウォータータービンなどのタービン機関に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の大型蒸気タービン(例えば100万キロワット)では、超臨界温度・圧力の蒸気を利用できたが、太陽エネルギーを含む再生可能エネルギーやバイオマス、化石燃料などを利用した近い将来の分散型の変換システムでは、得られる温度・圧力が低く、その規模が極めて小さくなる。このような小規模システムにおいて、従来技術のタービンを使用すると蒸気消費率(単位出力あたりの蒸気消費量)は10〜20倍も大きく、熱効率が極端に低くなるという大きな問題がある(図9参照)。また、小型化すると、大型機で行われていた多段化や、再熱・再生などを簡略化せざるを得ず、さらに単位出力あたりの熱損失が大きくなり、補機動力の割合の増加、発電機効率の低下など、本質的な問題があった。また、従来タービンは形状が複雑で製造コストが大きいという問題があり、実用化を阻んできた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
解決しようとする問題点は、従来の技術のタービンにおいては、小出力にした場合、蒸気消費率(Steam rate)が大きく、熱効率が低く、また製造コストが大きいという点である。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1の発明は、「重ね合わせのコンセプト(Concept of Superposition)」に基づいて、多数の極めて薄い同形状のディスクを微小なディスク間隔(数ナノメートルから数百マイクロメートルの範囲で変える)で稠密に同軸上に重ね合わせた構造のタービンディスクを有することを特徴とするマイクロ/ナノディスクタービンである。なお、ディスク間隔には作動流体とその流入条件によって最適な値がある。
【0005】
これまでの代表的な大型蒸気タービンは軸流式であるが、これは、無数の3次元翼をもつ動翼と静翼からなり、また、流れが軸流であるため蒸気条件が軸方向に変化し、タービン直径も軸方向にすべて異なる。これがタービン自体の複雑化および高コスト化(100〜500倍高い)を招く原因となり、実用化上の阻害要因であった。
【0006】
また、タービン効率を向上する方策として、請求項2の発明は、極めて薄いディスクの外縁部に衝動力を効果的に得るためのノコ歯形状の切り欠きを有し、また、衝動力を得るためのエレメントおよび微小な翼形が付与しているという特徴を有する請求項1記載のマイクロ/ナノディスクタービンである。
【0007】
さらに本発明の適用例として、請求項3の発明は、2次元および3次元CPC型や真空管式などのソーラーコレクタを用いたソーラーを熱源とする請求項1および2記載のタービンを組み込んだソーラーランキンサイクルシステムなど、あらゆるランキンサイクルシステムである。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1はマイクロ/ナノディスクタービンの実施形態を示す図である。
【0009】
図2は図1記載の実施形態の拡大図である。
【0010】
さらに図3は、図1および2記載の実施形態の説明図である。
【0011】
マイクロ/ナノディスクタービンは、「重ね合わせのコンセプト(Concept of Superposition)」に基づいて、多数の極めて薄い同形状のディスク1を、微小なディスク間隔で稠密に出力軸6上に重ね合わせた構造のタービンローター11を有しており、さらに、ディスク1の外縁部には、流入してくる作動流体からの衝動力を効果的に得るためのノコ歯形状の切り欠き2があり、また、同じく作動流体から衝動力を得るためのエレメント3および微小翼形4が多数付与している。マイクロ/ナノディスクタービンの1ユニットは、このタービンローター11とノズル7を含むケーシング8から構成され、ユニット単位での多段化(これをカスケーディングと呼ぶ)を可能としている。
【0012】
ディスク間隔には作動流体とその流入条件によって最適な値があり、とくに動粘性係数が極めて小さい有機冷媒(フロン、代替フロン、アンモニアなど)を作動流体とした場合は、ミクロンオーダー、サブミクロンオーダー、もしくはそれ以下(ナノオーダー)のディスク間隔に最適値がある場合がある。
【0013】
図10は、ある蒸気条件に基づいて数値計算によって得られたディスク間隔とタービン効率の関係図である。この場合は、ディスク間隔が1〜10ミクロンの間に最大効率点が存在するが、選択する作動流体および蒸気条件によっては、このピークがナノメートルの領域に移動する。
【0014】
図11は、図10において最もタービン効率の高いディスク間隔における無次元流路厚さ方向の無次元速度分布を表している。ディスク間隔が大きい場合、たとえば300ミクロン以上の場合は、ディスク方向の速度分布は、中央部分がフラットな台形の分布となり、中央部分は粘性力に関与しなくなるが、このようにディスク間隔を狭めることにより、粘性力が支配的になり、衝動力を得るためのエレメント等に頼らずとも、非常に単純なディスク形状のみで構成したタービンローター11でも高性能を発揮できる場合がある。その場合は、製造コスト削減のためエレメントの数を大幅に減らしたり、微小翼形などを省略することがある。
【0015】
従来の大型タービンのタービン効率は、多くの場合85%を超えているが、小型のタービンでは、その効率は10〜40%と極端に低下する。その理由は、多段化・多重化や再熱・再生などが十分にできないことによる熱効率低下もあるが、最も重要な要因は、タービンそのものの構造にある。すなわち、従来の軸流または、ラジアルタービンでは、小型化するとタービン入口から出口までの滞留時間(Residence time)が短くなり、これが蒸気消費率の増加を招き、タービン効率を大幅に低下させる。
【0016】
これに対し、本発明のタービンの滞留時間は同じ規模のタービンと比し、10倍以上大きく、小さくてもタービン効率を低下させないという大きな効果を生む。図11に例示するようにタービン効率は90%を超えることがある。これは100万キロワットの蒸気タービンの効率を凌ぐ値である。またコンパクトでありながら、大きな出力が得られる。将来、スペースシャトルなどの宇宙機や地上用としては移動体用など、広汎な応用が期待できる。
【0017】
ノズル7入口より流入した作動流体の蒸気は、ノズル7出口から噴射された後、出力軸6に非常に狭い間隔で稠密に取り付けられたディスク1の間を外周から軸に向かって遠心力に逆らって流れ、蒸気流の粘性力と付着力によってディスク1を回転させる。このとき、ディスク1に加工が施されている切り欠き2、衝動エレメント3および微小翼型4に衝突する蒸気噴流の衝動力および反動力によって、さらに出力が増大する。そして、ディスクの中心部付近にある出口穴5を経由して軸方向に流れの向きを変えて、排出口9を通ってタービンユニット外部へ排気される。
【0018】
【実施例】
マイクロ/ナノディスクタービンのディスク形状の他の実施例を図4に示す。
【0019】
図1、図2および図3記載の実施形態で、ディスク間隔をミクロンオーダー、サブミクロンオーダー、ナノオーダーに狭めていくと、ディスク間隔に較べてディスク本体の厚さが大きくなる。このような場合、ディスクの外縁部を鋭く、且つ滑らかな形状にすることによって、流れの乱流を抑制する効果がある。
【0020】
図5、図6、図7および図8にマイクロ/ナノディスクタービンの他の実施例を示す。各図の(a)はエレメントのみを加工したもの(これをエレメントディスクと呼ぶ)である。各図の(b)はディスクのみを加工したものである。これらを各図の(c)に示すように同軸上に交互に重ねていくことで、所定の流路を形成することができる。この場合、ディスク間隔はエレメントディスクの厚さによって調整することができる。図5はほぼ一定の厚みのあるエレメントを用いた場合で、この場合、蒸気の流路は出口穴5に向かうほど狭くなる。このエレメントの曲線の一例としては、インボリュート曲線などの幾何学曲線が挙げられる。図6は、エレメントの厚さに変化をもたせ、蒸気流路面積をほぼ一定にした場合であり、さらに図7は、蒸気流路面積を出口穴5に向かうほど拡大した実施例である。図8は、エレメントの厚さを極力薄くした場合の例である。
【0021】
さらに、マイクロ/ナノディスクタービンは、太陽熱発電システム(Solar thermal electric system)に組み込むことが可能で、太陽エネルギーを高温熱源としたランキンサイクル発電システム(ソーラーランキンサイクルシステムと呼ぶ)の動力取り出し部(エキスパンダ)として利用できる。また同様に、一般の化石燃料や水素、バイオガスなどを用いた分散型発電システムとして利用できる。
【0022】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、多数の極めて薄い同形状のディスクを微小なディスク間隔で稠密に同軸上に重ね合わせた構造を基本として、切り欠き、エレメント、微小翼型をディスク上に付与することにより、小型でありながら低コストで高効率のタービンができる。
本発明のもたらす効果、特徴を下記に列挙する。
(1)高々300℃以下の低温度差で稼働する。熱源も、太陽、バイオマス、地熱、温度差(海洋など)や排熱などが使える。
(2)20世紀に発達した巨大エンジン(たとえば、100万kW蒸気タービン)などの従来の原理から脱却した新しい原理に基づく。
(3)CO2を排出しない。従来の化石燃料も使える。燃料(Repoweringを含む)として用いるときは、たとえば、水素を用いる。
(4)効率が高い。少なくとも太陽電池の2〜3倍の高効率である。
(5)多機能・多目的性を有する。発電はもとより、暖・冷房、給湯、殺菌、消毒、蒸気利用、乾燥、プロセスヒートなど多目的に使える。
(6)自動車用、家庭用、産業用など、あらゆる用途に使える。
(7)宇宙機用としての用途がある。
(8)国際的価格競争力がある。爆発的普及の可能性を有する。
(9)ガスタービン、蒸気タービン、オーガニックタービンなどを組み合わせることができる。
(10)コージェネレーションとして暖房・給湯も賄える。
(11)ガスタービン、蒸気タービン、ウォータータービン、コンプレッサー、エキスパンダ、ポンプなどに使える。
【図面の簡単な説明】
【図1】マイクロ/ナノディスクタービンの実施形態を示す図である。
【図2】図1記載のマイクロ/ナノディスクタービンの実施形態の拡大図である。
【図3】図1および図2記載のマイクロ/ナノディスクタービンの説明図である。
【図4】マイクロ/ナノディスクタービンの他の実施例を示す図である。
【図5】マイクロ/ナノディスクタービンの他の実施例である。
【図6】マイクロ/ナノディスクタービンの他の実施例である。
【図7】マイクロ/ナノディスクタービンの他の実施例である。
【図8】マイクロ/ナノディスクタービンの他の実施例である。
【図9】一般的な出力と蒸気消費率の関係図である。
【図10】ディスク間隔とタービン効率の関係図である。
【図11】流路厚さ方向の速度分布の例を示した図である。
【符号の説明】
1 ディスク
2 切り欠き
3 エレメント
4 微小翼型
5 出口穴
6 出力軸
7 ノズル
8 ケーシング
9 排気口
10 軸穴
11 タービンローター
Claims (3)
- 「重ね合わせのコンセプト(Concept of Superposition)」に基づいて、多数の極めて薄い同形状のディスクを、マイクロメートルからナノメートルの微小なディスク間隔で稠密に同軸上に重ね合わせた構造のタービンディスクを有することを特徴とするマイクロ/ナノディスクタービン。なお、ディスク間隔には作動流体とその流入条件によって最適な値がある。
- 極めて薄いディスクの外縁部に衝動力を効果的に得るためのノコ歯形状の切り欠きを有し、また、同様に衝動力を得るための衝動エレメント(以下、単にエレメントと呼ぶ)および微小な翼形が付与しているという特徴を有する請求項1記載のマイクロ/ナノディスクタービン。
- 2次元および3次元CPC(Compound Parabolic Concentrator)型や真空管式などのソーラーコレクタを用いたソーラーを熱源とする請求項1および2記載のタービンを組み込んだソーラーランキンサイクルシステムを含むすべてのディスクタービンランキンサイクルシステム。作動流体は水蒸気または有機熱媒体などを用いる。
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---|---|---|---|
JP2003067787A JP2004278335A (ja) | 2003-03-13 | 2003-03-13 | マイクロ/ナノディスクタービン |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003067787A JP2004278335A (ja) | 2003-03-13 | 2003-03-13 | マイクロ/ナノディスクタービン |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2004278335A true JP2004278335A (ja) | 2004-10-07 |
Family
ID=33285297
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JP2003067787A Pending JP2004278335A (ja) | 2003-03-13 | 2003-03-13 | マイクロ/ナノディスクタービン |
Country Status (1)
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---|---|
JP (1) | JP2004278335A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2007117056A1 (en) * | 2006-04-10 | 2007-10-18 | Nam-Sik Ju | Centripetal turbine |
CN102080576A (zh) * | 2010-12-16 | 2011-06-01 | 清华大学 | 一种边界层透平发电装置 |
CN102192115A (zh) * | 2011-05-27 | 2011-09-21 | 清华大学 | 基于边界层透平的太阳能热发电系统 |
US8678749B2 (en) | 2010-01-05 | 2014-03-25 | Takeo S. Saitoh | Centrifugal reverse flow disk turbine and method to obtain rotational power thereby |
US20140328666A1 (en) * | 2008-06-24 | 2014-11-06 | Diana Michaels Christopher | Bezentropic Bladeless Turbine |
-
2003
- 2003-03-13 JP JP2003067787A patent/JP2004278335A/ja active Pending
Cited By (5)
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