JP2004275926A - 有害ガス除去装置及び有害ガス除去方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】一酸化炭素ガスを含む有害ガスを、容易に且つ確実に除去することができるようにする。
【解決手段】準安定準位を有する触媒ガスと、大気中の空気とを加湿装置14を介して放電装置15により形成された放電プラズマに供給することにより、上記空気中の一酸化炭素ガスを含む有害ガスが酸素と反応する際の触媒として作用する準安定状態にある原子の濃度を高めるようにして、上記空気中の一酸化炭素ガスを含む有害ガスを容易に且つ確実に除去することができるようにする。
【選択図】 図1
【解決手段】準安定準位を有する触媒ガスと、大気中の空気とを加湿装置14を介して放電装置15により形成された放電プラズマに供給することにより、上記空気中の一酸化炭素ガスを含む有害ガスが酸素と反応する際の触媒として作用する準安定状態にある原子の濃度を高めるようにして、上記空気中の一酸化炭素ガスを含む有害ガスを容易に且つ確実に除去することができるようにする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有害ガス除去装置及び有害ガス除去方法に関し、特に、一酸化炭素ガスを含む有害ガスを除去するために用いて好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、室内環境を快適にしたいという要望に応えるために、大気中に存在する有害ガスを除去する技術が提案されている。
【0003】
例えば、二酸化マンガンやチタン酸バリウムなどの固形分解触媒の作用により、放電によって発生させたオゾンを分解してラジカル酸素を発生させるようにし、この発生させたラジカル酸素を除去対象の有害ガスと反応させ、空気の脱臭を行うようにする技術が提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2を参照。)。
【0004】
この他、二酸化マンガンなどの金属酸化物粒子と、活性炭などの吸着粒子と、熱可塑性樹脂粒子と、繊維状基材とからなるガス除去用ボードに空気を通して、空気の脱臭を行うようにする技術が提案されている(例えば、特許文献3を参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開平5−317639号公報
【特許文献2】
特開2001−247485号公報
【特許文献3】
特開平11−216335号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年、分煙化が至る所で実施されていること等の理由から、煙草から発せられるガス中に多量に含まれている一酸化炭素ガスを除去するようにする技術が強く求められている。
【0007】
そこで、本願発明者らは、上述した従来の技術を用いた場合に、一酸化炭素ガスをどの程度除去することができるのかを詳細に調査した。
その結果、上述した従来の技術を用いた場合の一酸化炭素ガスの除去率は、最大でも7[%]程度であり、上述した従来の技術では、一酸化炭素ガスを殆ど除去することができないという知見を得た。
【0008】
このように、上述した従来の技術では、煙草から多量に発せられる一酸化炭素ガスを、殆ど除去することができないという問題点があった。
【0009】
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、一酸化炭素ガスを含む有害ガスを、容易に且つ確実に除去することができるようにすることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の有害ガス除去装置は、放電を起こすことによりプラズマを発生させるようにするための放電電極を有し、上記プラズマに大気中の気体を通して上記気体内の一酸化炭素ガスを含む有害ガスを除去する有害ガス除去装置であって、上記プラズマを通る大気中の酸素ガスの濃度を、所定の範囲内に低下させる酸素濃度調整手段を有することを特徴としている。
また、本発明の他の特徴とするところは、放電を起こすことによりプラズマを発生させるようにするための放電電極を有し、上記プラズマに大気中の気体を通して上記気体内の一酸化炭素ガスを含む有害ガスを除去する有害ガス除去装置であって、上記プラズマに水蒸気を供給する水蒸気供給手段を有する点にある。
【0011】
本発明の有害ガス除去方法は、放電を起こすことによりプラズマを発生させ、上記発生させたプラズマに大気中の気体を通して上記気体内の一酸化炭素ガスを含む有害ガスを除去する有害ガス除去方法であって、上記プラズマを通る大気中の酸素ガスの濃度を、所定の範囲内に低下させる酸素濃度調整処理を行うことを特徴としている。
また、本発明の他の特徴とするところは、放電を起こすことによりプラズマを発生させ、上記発生させたプラズマに大気中の気体を通して上記気体内の一酸化炭素ガスを含む有害ガスを除去する有害ガス除去方法であって、上記プラズマに水蒸気を供給する水蒸気供給処理を行う点にある。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に、添付の図面を参照しながら、本発明の有害物質除去装置及び有害物質除去方法の実施の形態について詳細に説明する。
【0013】
図1は、本実施の形態における有害物質除去装置の構成の一例を示した図である。
図1において、有害物質除去装置10は、送風機11と、通風路12と、触媒ガス供給装置13と、加湿装置14と、放電装置15と、オゾン分解装置16とを有している。
【0014】
送風機11は、送風路12の上流側に配設されており、大気中の空気(気体)を送風路12の下流側に送るためのものである。
酸素濃度調整手段(触媒ガス供給手段)として配設される触媒ガス供給装置13は、送風機11によって通風されている通風路12に触媒ガスを供給するためのものである。
【0015】
この触媒ガス供給装置13により供給される触媒ガスは、例えば、アルゴンガス(Arガス)、ヘリウムガス(Heガス)、ネオンガス(Neガス)、キセノンガス(Xeガス)、クリプトンガス(Krガス)などの希ガス、または窒素ガス(N2ガス)である。
【0016】
水蒸気供給手段として配設される加湿装置14は、送風機11によって通風されている通風路12に水蒸気を供給するためのものであり、送風機11によって通風路12に送られた大気中の空気と、触媒ガス供給装置13によって通風路12に供給された触媒ガスとを加湿する。
【0017】
放電装置15は、バリア放電を起こすことによって、通風路12内の所定の空間に放電プラズマを形成するためのものである。なお、上記放電プラズマは、非平衡プラズマであり、且つ低温プラズマである。
【0018】
そして、本実施の形態の有害物質除去装置10では、加湿装置14によって加湿された上記大気中の空気及び触媒ガスを、放電装置15によって形成される上記放電プラズマに供給するようにしている。
【0019】
このように、加湿装置14によって加湿された大気中の空気及び触媒ガスを上記放電プラズマに供給すると、大気中の空気に含まれている窒素ガスの原子や、触媒ガスの原子が、エネルギーを受けて準安定準位(metastable level)に励起される。
【0020】
上記準安定準位に励起された原子は、触媒として作用し、大気中の空気に含まれている一酸化炭素ガスやVOC(揮発性有機化合物)ガスなどが酸素ガスと反応するのを促進させる。なお、上記VOCガスは、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、及びベンゼンなどである。
【0021】
また、上記放電プラズマに供給した水蒸気は、上記放電プラズマ内でプラズマ化する。これにより、OHラジカルが発生する。そして、大気中の空気に含まれている一酸化炭素ガスやVOCガスなどが酸素ガスと反応するのを、この発生したOHラジカルが促進させる。
【0022】
本実施の形態の有害物質除去装置10では、このような放電装置15内で起こる反応により、大気中の空気に含まれている一酸化炭素ガスやVOCガスなどの有害物質を除去する。
【0023】
オゾン分解装置16は、放電装置15で放電が起こることにより発生するオゾンガスを、二酸化マンガン粒子などの固形触媒を用いて分解するためのものである。
このようにしてオゾンガスを分解するとラジカル酸素が発生し、この発生したラジカル酸素が、放電装置15内で除去しきれなかった有害物質と反応する。
【0024】
本実施の形態の有害物質除去装置10では、このようなオゾン分解装置16内で起こる反応によっても、大気中の空気に含まれている一酸化炭素ガスやVOCガスなどの有害物質を除去するようにしている。
【0025】
そして、本実施の形態の有害物質除去装置10では、以上のようにして有害物質が除去された空気が、送風路12の下流から大気中に放出されるようにしている。
【0026】
(試験例)
本願発明者らは、上述したようにして構成される有害物質除去装置10が、大気中の空気に含まれている有害物質をどの程度除去するのかを詳細に調査するとともに、有害物質除去装置10がどのようなメカニズムにより有害物質を除去するのかを詳細に調査した。以下、これらの結果について述べる。
【0027】
(試験装置)
図2は、図1に示した有害物質除去装置10の性能を確認するための試験装置の構成の一例を示した図である。
図2において、試験装置20は、空気ボンベ21aと、触媒ガスボンベ21bと、除去対象ガスボンベ21cと、空気流量調節器22aと、触媒ガス流量調節器22bと、除去対象ガス流量調節器22cと、通風路23と、加湿装置14と、放電装置15と、オゾン分解装置16と、排出流量調節器24と、排出流量計25と、ガスクロマトグラフ装置26とを有している。
【0028】
空気ボンベ21aには、80[%]の窒素ガスと、20[%]の酸素ガスとの混合気体が入っている。空気ボンベ21aから流出する混合ガスは、空気流量調節器22aによって流量が調節されて、通風路23に供給される。
【0029】
触媒ガスボンベ21bには、上記触媒ガスが入っている。触媒ガスボンベ21bから流出する触媒ガスは、触媒ガス流量調節器22bによって流量が調節されて、通風路23に供給される。なお、試験装置20では、窒素ガスと、アルゴンガスと、ヘリウムガスとを上記触媒ガスとして用いた。
【0030】
除去対象ガスボンベ21cには、除去対象ガス(上記有害物質)が入っている。除去対象ガスボンベ21cから流出する上記除去対象ガスは、除去対象ガス流量調節器22cによって流量が調節されて、通風路23に供給される。
【0031】
なお、試験装置20では、従来では殆ど除去することができなかった一酸化炭素ガスを上記除去対象ガスとして用いた。また、VOCガスであるホルムアルデヒドも上記除去対象ガスとして用いた。
【0032】
このように、試験装置20では、空気ボンベ21aと、空気流量調節器22aと、除去対象ガスボンベ21cと、除去対象ガス流量調節器22cとによって、図1に示した通風路12の上流側から下流側に通風される空気に相当する構成が得られるようにしている。
【0033】
また、触媒ガスボンベ21bと、触媒ガス流量調節器22bとによって、図1に示した触媒ガス供給装置13から通風路12に供給される触媒ガスに相当する構成が得られるようにしている。
【0034】
加湿装置14、放電装置15、及びオゾン分解装置16は、それぞれ図1に示したものと同じものである。
【0035】
ここで、図3を参照しながら、本実施の形態の放電装置15の構成について説明する。
図3は、本実施の形態の放電装置15の具体的な構成例を示した断面図である。
図3(a)に示すように、放電装置15は、ガラス管30と、金属棒電極31aと、箔電極32と、ゴム栓33a、33bとからなるプラズマ反応器27aと、高圧電源34とを有している。
【0036】
ガラス管30は、概ね中空円筒形状を有している。また、ガラス管30の側面には、上記除去対象ガスを含む空気を通風路53からガラス管30内に流入させるための気体流入口30aと、上記除去対象ガスが除去された空気をガラス管30から通風路53に流出させるための気体流出口30bとが形成されている。このように、本実施の形態では、ガラス管30が通風路の一部を形成するようにしている。
【0037】
ゴム栓33a、33bは、ガラス管30の両端部を塞ぐためのものである。また、ゴム栓33a、33bの中央部には、金属棒電極31を貫挿するための孔が形成されている。
【0038】
金属棒電極31aは、螺子状の金属棒であり、ゴム栓33a、33bの中央部に形成された孔に貫挿されることにより、ガラス管30の円筒軸上付近に配設される。
箔電極32は、金属製のテープであり、ガラス管30の側面に巻き付けられている。
【0039】
このように、本実施の形態の放電装置15では、金属棒電極31aと、箔電極32とが、ガラス管30を介して対向するようにしている。
【0040】
高圧電源34は、金属棒電極31aと、箔電極32に接続され、周波数が50Hz(商用周波数)、実効値が30[kV]の交流電圧を金属棒電極31aと、箔電極32との間に印加するためのものである。
【0041】
なお、金属棒電極31aと、箔電極32との間に印加する交流電圧の値は、ガラス管30内に上記放電プラズマを形成することができれば、上述した値に限定されるものではないということは言うまでもない。
【0042】
また、試験装置20では、放電電極として螺子状の金属棒電極31aを用いるようにしたが、図3(b)に示すように、螺子状でない金属棒電極(単なる棒形状の電極)31bを用いるようにしてもよい。また、図3(c)に示すように、ガラス管30の円筒軸から内壁に向かって放射状に延設された針形状の電極31cを放電電極として用いるようにしてもよい。
【0043】
以上のような形状を有する電極31a〜31cを放電電極として用いれば、電極31a〜31cと、箔電極32との間に交流高電圧を印加した際に、ガラス管30内に略一様な放電プラズマを形成することができ好ましいが、図3(d)に示すようなコイル形状の電極31dを放電電極として用いたり、図3(e)に示すような網形状の電極31eを放電電極として用いたりしてもよい。
【0044】
また、図3に示した例では、電極31a〜31eと、箔電極32とを、ガラス管30を介して対向させるようにしてバリア放電を起こすようにしているが、バリア放電を起こすことができる構成であれば、必ずしもガラス管30を介してこれらを対向させるようにする必要はない。
【0045】
例えば、図4に示すように、板形状の電極42の上に誘電体シート43を配設し、棒形状の電極41と、板形状の電極42とを誘電体シート43を介して対向させるようにしてもよい。
【0046】
また、図3及び図4に示した例では、バリア放電を起こすことにより放電プラズマを形成する構成を放電装置15が有するようにしたが、放電プラズマを形成することができれば、必ずしもバリア放電を起こす必要はない。
【0047】
例えば、コロナ放電、沿面放電、またはグロー放電を起こすことにより放電プラズマを形成するようにしてもよい。この場合、高圧電源34は、必ずしも交流電源を用いる必要はなく、直流電源を用いるようにしてもよい。
また、交流または直流の何れかを選択することができる構成を高圧電源34が有するようにしてもよい。
さらに、上述したようにして放電プラズマを形成することができれば、電極31、32、41、42の材質は、金属に限定されない。例えば、導電性または半導電性の樹脂を用いて電極31、41を形成するようにしてもよい。
【0048】
図2に説明を戻し、以上のようにして構成された放電装置15と、オゾン分解装置16により浄化された空気は、2つの経路に分かれて大気中に放出される。この2つの経路のうちの1つには、排出流量計25が配設されている。試験装置20では、大気中に放出される上記浄化された空気の流量を、排出流量計25により監視するようにしている。
【0049】
また、もう1つの経路には、排出流量調節器24とガスクロマトグラフ装置26とが配設されている。
排出流量調節器24は、上記浄化された空気の流量を所定の値にしてガスクロマトグラフ装置26に供給するためのものである。
【0050】
ガスクロマトグラフ装置26は、排出流量調整器24により所定の値に流量が調節された空気の成分を、ガスクロマトグラフィー(gas chromatography)により分析するためのものである。
【0051】
このように、試験装置20では、除去対象ガスボンベ22bから通風路23に供給された上記除去対象ガスが、どの程度除去されたのかを、このガスクロマトグラフ装置26を用いて計測するようにしている。
そして、本願発明者らは、以上のような構成を有する試験装置20を種々の条件で動作させて、上記除去対象ガスの除去率を調査した。
【0052】
なお、試験装置20で測定される一酸化炭素ガスの除去率は、放電装置15だけでなく、オゾン分解装置16における除去効果も含んだ値となるが、上述したように、オゾン分解装置16における一酸化炭素ガスの除去率は、最大でも7[%]程度である。したがって、放電装置15における一酸化炭素ガスの除去率は、このことを考慮して求めるようにすればよい。
【0053】
(第1の試験例)
本試験例では、上記触媒ガスを窒素ガスとし、上記除去対象ガスを一酸化炭素ガスとした。
【0054】
具体的に説明すると、1000[ppm](=0.1[%])の濃度の一酸化炭素ガスを上記放電プラズマ(ガラス管30)に供給するようにした。
ここで、1000[ppm]の濃度の一酸化炭素ガスとは、上記放電プラズマに供給される気体に含まれる単位体積当たりの一酸化炭素ガスの量が0.1[%]であるということである。
【0055】
したがって、この一酸化炭素ガスの濃度は、上記放電プラズマに供給される気体に含まれる一酸化炭素ガス以外のガスの量によって相対的に定まるものである。このことは、以下の説明における一酸化炭素ガス以外のガスの濃度についても同様である。
【0056】
そして、本試験例では、上記窒素ガスの流量を調節することにより、上記放電プラズマに供給する酸素ガスの濃度を変えて上記一酸化炭素ガスの除去率を測定した。
また、10000[ppm](=1[%])の濃度の水蒸気を、通風路23に供給して、ガスボンベ21a〜21cから供給されたガスを加湿した場合と、水蒸気を供給しないようにして、ガスボンベ21a〜21cから供給されたガスを加湿しない場合(すなわち、乾燥ガスを用いた場合)との2つ場合で上記一酸化炭素ガスの除去率を測定した。
【0057】
このような条件で試験装置20を動作させたときの一酸化炭素ガスの除去率の測定結果を図5と図6に示す。
図5は、上記放電プラズマに供給する酸素ガスの濃度と、一酸化炭素ガスの除去率との関係を示したグラフである。
【0058】
図5において、符号51は、ガスボンベ21a〜21cから供給されたガスを加湿しない場合のグラフである。また、符号52は、ガスボンベ21a〜21cから供給されたガスを加湿した場合のグラフである。
【0059】
図6は、上記放電プラズマに供給する窒素ガスの濃度と、一酸化炭素ガスの除去率との関係を示したグラフである。
図6において、符号61は、ガスボンベ21a〜21cから供給されたガスを加湿しない場合のグラフである。また、符号62は、ガスボンベ21a〜21cから供給されたガスを加湿した場合のグラフである。
【0060】
図5から分かるように、酸素ガスの濃度と一酸化炭素ガスの除去率との関係を示すグラフ51、52は、酸素ガスの濃度が0.5[%]程度のところでピークを持つ特性を有する。
【0061】
具体的に説明すると、酸素ガスの濃度が0.5[%]程度になるまでは、酸素ガスの濃度の低下とともに、一酸化炭素ガスの除去率は大きくなるが、酸素ガスの濃度が0.5[%]程度よりも低くなると、酸素ガスの濃度の低下とともに、一酸化炭素ガスの除去率は逆に小さくなる。
【0062】
また、図6から分かるように、窒素ガスの濃度と、一酸化炭素ガスの除去率との関係を示すグラフ61、62は、窒素ガスの濃度が99.5[%]程度のところでピークを持つ特性を有する。
【0063】
具体的に説明すると、窒素ガスの濃度が99.5[%]程度になるまでは、窒素ガスの濃度の増加とともに、一酸化炭素ガスの除去率は大きくなるが、窒素ガスの濃度が99.5[%]程度よりも増加すると、窒素ガスの濃度の増加とともに、一酸化炭素ガスの除去率は逆に小さくなる。
【0064】
このように図5のグラフ51、52と、図6のグラフ61、62とがピークを持つ特性を有するのは、以下のような理由によると考えられる。
図7に示すように、空気ガスボンベ21aや触媒ガスボンベ21bからガラス管30内に供給された窒素原子は、ガラス管30内に形成された上記放電プラズマ内でエネルギーを受けて、基底状態から所定のエネルギー準位E1に励起する。
【0065】
このようにしてエネルギー準位E1に励起された窒素原子は、不安定な状態にあり、10−8[秒]くらいしかこのエネルギー準位E1に留まることができず、すぐに光子を放出して基底状態(または、低いエネルギー準位)に転移してしまう。
【0066】
ところが、本試験例で触媒ガスとして使用した窒素は、準安定準位(metastable level)E2を有する。この準安定準位E2に励起された窒素原子は、他のエネルギー準位E1に励起された窒素原子に比較して格段に高い安定度を持っている。
【0067】
このため、準安定準位E2に励起された窒素原子は、準安定準位E2に留まることができ、数十秒以上の長い間、活性化された状態(準安定状態)となり、上記放電プラズマに供給された一酸化炭素ガスが酸化する際の触媒として作用する。
【0068】
すなわち、除去対象ガスボンベ21cから上記放電プラズマに供給された一酸化炭素ガスが、酸素ガスと反応して二酸化炭素ガスになるのを、上記準安定状態となった窒素原子が促進させる。
このように、気体を触媒として作用させることで、固体を触媒として作用させた場合よりも流動性の高い反応性に富んだ状態を得ることができる。
【0069】
したがって、上記放電プラズマに供給される窒素ガスの濃度を増加させれば、上記準安定状態となる窒素原子の濃度も増加し、一酸化炭素ガスの酸化反応がより一層促進される。これにより、図6に示すように、一酸化炭素ガスの除去率は、窒素ガスの濃度の増加とともに増大する。
【0070】
また、図5及び図6に示すように、一酸化炭素ガスの除去率は、酸素ガスの濃度の低下(窒素ガスの濃度の増加)に伴って単調に大きくならない。
具体的に説明すると、図5に示すように、例えば、酸素ガスの濃度を3[%]程度に低下させても、一酸化炭素ガスの除去率は、大きく変化しない。これに対して、酸素ガスの濃度を3[%]程度から0.5[%]程度に低下させると、一酸化炭素ガスの除去率は、大きく変化する。
【0071】
これは、一酸化炭素ガスが酸化反応を起こすのに必要となる濃度よりも高濃度の酸素ガスが上記放電プラズマに供給されると、一酸化炭素ガスの酸化反応が抑制されてしまうからであると考えられる。
【0072】
すなわち、上記放電プラズマでエネルギーを受けて準安定準位E2に励起された窒素原子が上記準安定状態にあること(準安定準位E2に留まっていること)を、余分な酸素原子が妨害することにより、一酸化炭素ガスの酸化反応が抑制されてしまうと考えられる。
【0073】
これに対し、一酸化炭素ガスが酸化反応を起こすのに必要となる適切な濃度の酸素ガスが上記放電プラズマに供給されるように、窒素ガスを上記放電プラズマに供給すれば、一酸化炭素ガスの酸化反応が抑制されることがなくなり、一酸化炭素ガスの酸化反応が上述したようにして急激に促進されるようになると考えられる。
【0074】
一方、一酸化炭素ガスを除去する際には、ある一定量の酸素ガスが必要になる。
したがって、図5に示すように、酸素ガスの濃度がある値よりも低くなると、一酸化炭素ガスが酸化できず、一酸化炭素ガスの除去率は逆に低下する。
【0075】
このように、本試験例では、上記放電プラズマに供給する窒素ガスの濃度を増大させて、酸素ガスの濃度を所定の範囲内に低下させることにより、一酸化炭素ガスを従来の装置よりも大幅に除去することができるということが検証された。
【0076】
そして、本試験例のように、1000[ppm]の濃度の一酸化炭素ガスを除去する場合には、酸素ガスの濃度を10[%]以下、好ましくは、0.01[%]以上1[%]以下の範囲にするのがよいということが図5及び図6の測定結果から検証された。
【0077】
また、図5及び図6に示すように、ガスボンベ21a〜21cから供給されたガスを加湿しない場合よりも(符号51、61)、ガスボンベ21a〜21cから供給されたガスを加湿した場合の方が(符号52、62)、一酸化炭素ガスの除去率が高くなった。
【0078】
これは、上記放電プラズマ内に水蒸気が供給されると、上記水蒸気が上記放電プラズマ内でプラズマ化して、反応性に富んだOHラジカルが発生し、この発生したOHラジカルが一酸化炭素ガスの酸化反応を促進させるためであると考えられる。
【0079】
このように、ガスボンベ21a〜21cから供給されたガスを加湿することによっても、一酸化炭素ガスの除去率を向上させることができるということが、図5及び図6の測定結果から検証された。
【0080】
(第2の試験例)
上記第1の試験例で説明したように、上記準安定準位を有する窒素ガスの濃度を増大させることにより、酸素ガスの濃度を所定の範囲内に低下させれば、一酸化炭素ガスの除去率が向上する。
【0081】
そこで、本願発明者らは、上記放電プラズマに供給される酸素ガスの濃度をどの程度にすれば、一酸化炭素ガスを適切に除去することができるのかをより詳細に調査した。具体的に、本試験例では、一酸化炭素ガスの濃度を変えて上述した第1の試験例と同様の試験を行った。その結果を図8及び図9に示す。
【0082】
図8は、上記放電プラズマに供給する酸素ガスの濃度と、一酸化炭素の除去率との関係を示したグラフである。
なお、図8では、ガスボンベ21a〜21cから供給されたガスを加湿しない場合の測定結果を示している。
【0083】
図8に示すように、一酸化炭素ガスの濃度が約200[ppm](=0.02[%])の場合の最適酸素濃度範囲は、400[ppm](=0.04[%])以上2000[ppm](=0.2[%])以下であることが検証された。
【0084】
また、一酸化炭素ガスの濃度が約2000[ppm](=0.2[%])の場合の最適酸素濃度範囲は、4000[ppm](=0.4[%])以上20000[ppm](=2[%])以下であることが検証された。
【0085】
これらのことから、最適酸素濃度は、図9に示す領域90の範囲内であるという結果が得られた。
すなわち、図9に示すように、上記放電プラズマに供給する酸素ガスの濃度を、一酸化炭素ガスの濃度の2倍以上10倍以下にすると、一酸化炭素ガスを従来よりも大幅に除去することができるということが検証された。
【0086】
(第3の試験例)
上記第1の試験例で説明したように、ガスボンベ21a〜21cから供給されたガスを加湿することも一酸化炭素ガスの除去率の向上に寄与している。
【0087】
そこで、本願発明者らは、上記放電プラズマに供給する水蒸気(ガラス管30内の湿度)をどの程度にすれば、一酸化炭素ガスを適切に除去することができるのかをより詳細に調査した。具体的に、本試験例では、加湿装置14から供給する水蒸気の量を変えて上述した第1の試験例と同様の試験を行った。その結果を図10に示す。
【0088】
図10は、ガラス管30内の絶対湿度と、一酸化炭素ガスの除去率との関係を示したグラフである。また、図10では、上記ガラス管30内の絶対湿度と、オゾンガスの濃度との関係についても併せて示している。
【0089】
図10において、符号101は、ガラス管30内の絶対湿度と、一酸化炭素ガスの除去率の関係を示したグラフである。このグラフ101から、ガラス管30内の絶対湿度を0.01[kg/kg]以上にすると、一酸化炭素ガスの除去率を従来よりも大幅に向上させることができるということが検証された。
【0090】
また、符号102は、ガラス管30内の絶対湿度と、オゾンガスの濃度との関係を示したグラフである。このグラフ102から、オゾンガスの濃度が低下しても一酸化炭素ガスの除去率が低下しないことが検証された。このことは、放電装置15によって有害物質を除去する際のメカニズムが、オゾンガスの分解を利用した装置とは全く異なることを裏付けている。
【0091】
このように、本試験例では、上記放電プラズマに供給される気体の絶対湿度を高くすることにより、オゾンガスの発生を抑制させることができ、周囲の環境を害すことなく一酸化炭素ガスを除去することができるということが検証された。
【0092】
(第4の試験例)
上述した第1〜第3の試験例では、触媒ガスとして窒素ガスを用いるようにしたが、本試験例では、上記準安定準位を有するアルゴンガス(Arガス)を上記触媒ガスとして用いた。なお、その他の測定条件は上述した第1の試験例と同じであるので詳細な説明を省略する。
【0093】
本試験例における一酸化炭素ガスの除去率の測定結果を図11に示す。
図11は、上記放電プラズマに供給するアルゴンガスの濃度と、一酸化炭素ガスの除去率との関係を示したグラフである。
なお、本試験例では、ガスボンベ21a〜21cから供給されたガスを、上述した第1の試験例と同じの条件で加湿して測定を行った。
【0094】
図11のグラフ111に示すように、上記放電プラズマに供給するアルゴンガスの濃度を90[%]程度にすると、一酸化炭素ガスを略100[%]除去することができ、アルゴンガスを供給すると、一酸化炭素ガスを略完全に除去することができるということが検証された。
【0095】
(第5の試験例)
本試験例では、上記準安定準位を有するヘリウムガス(Heガス)を上記触媒ガスとして用いた。なお、その他の測定条件は上述した第1の試験例と同じであるので詳細な説明を省略する。
【0096】
本試験例における一酸化炭素ガスの除去率の測定結果を図12に示す。
図12は、上記放電プラズマに供給するヘリウムガスの濃度と、一酸化炭素ガスの除去率との関係を示したグラフである。
なお、本試験例では、ガスボンベ21a〜21cから供給されたガスを、上述した第1の試験例と同じの条件で加湿して測定を行った。
【0097】
図12のグラフ121に示すように、上記放電プラズマにヘリウムガスを供給しても、一酸化炭素ガスの除去率を向上させることができるということが検証された。
【0098】
(第6の試験例)
本願発明者らは、上記一酸化炭素ガス以外の有害物質についても確実に除去することかできるかどうかを調査した。その結果を図13に示す。
本試験例では、上記除去対象ガスをホルムアルデヒドとした。具体的に説明すると、7.5[ppm](=0.00075[%])の濃度のホルムアルデヒドをガラス管30内に形成された放電プラズマに供給するようにした。その他の測定条件は上述した第1の試験例と同じであるので詳細な説明を省略する。
【0099】
図13は、放電装置15の入側と出側におけるホルムアルデヒドの濃度を測定した結果を表形式で示した図である。
なお、本試験例では、ガスボンベ21a〜21cから供給されたガスを、上述した第1の試験例と同じの条件で加湿して測定を行った。
【0100】
図13に示すように、放電装置15の出側におけるホルムアルデヒドの濃度は0.0[ppm]であり、ホルムアルデヒドなどのVOCガスについても、試験装置20により確実に除去することができることが検証された。
【0101】
以上のように、本実施の形態では、放電により形成される放電プラズマに大気中の空気を通して、上記大気中の空気に含まれる一酸化炭素ガスなどの有害物質を除去する際に、上記放電プラズマを通る空気中の酸素ガスの濃度を、上記一酸化炭素ガスの濃度の2倍以上10倍以下にしたので、余分な酸素原子が上記放電プラズマ内に存在することを防止することができ、上記放電プラズマ内でエネルギーを受けて準安定状態になっている(空気中の)窒素原子を、活性化状態(上記準安定状態)に留めることができる。これにより、一酸化炭素ガスが酸化反応する際の触媒として上記準安定状態にある窒素原子を作用させることができ、従来では殆ど除去することができなかった一酸化炭素ガスを始めとする有害物質を容易に且つ確実に除去することができる。
【0102】
また、準安定準位を有する窒素ガスや希ガスを上記放電プラズマに供給することにより、上記放電プラズマを通る空気中の酸素ガスの濃度を低下させるようにすれば、上記準安定状態にある原子の濃度をより高くすることができる。これにより、一酸化炭素ガスを始めとする有害物質の除去率をより向上させることができる。
【0103】
また、上記放電プラズマに水蒸気を供給することにより、上記放電プラズマを通る気体を加湿するようにすれば、上記一酸化炭素ガスを始めとする有害ガスが上記放電プラズマ内で酸素と反応する際に、上記水蒸気を有効に作用させることができる。これにより、一酸化炭素ガスを始めとする有害物質の除去率をより一層向上させることができる。
【0104】
さらに、放電装置15により浄化された空気を、オゾン分解装置16を用いてさらに浄化するようにすれば、一酸化炭素ガスを始めとする有害物質をより確実に除去することができるとともに、オゾンガスが排出されてしまうことを防止することができる。
【0105】
なお、本実施の形態(上述した試験例)では、窒素ガスや希ガスを上記触媒ガスとして用いるようにしたが、上記放電プラズマに供給される酸素ガスの濃度を低下させることができれば、必ずしも窒素ガスや希ガスを上記触媒ガスとして用いる必要はない。
【0106】
例えば、異なる希ガスの混合ガスを触媒ガスとして用いるようにしてもよい。このような異なる希ガスの混合ガスを触媒ガスとして用いれば、ペニング効果により、放電開始電圧を低減させることができ、より低い電圧で上記放電プラズマを形成することができるようになる。このような混合ガスの例としては、ヘリウムネオンガス(He−Neガス)が挙げられる。
【0107】
また、本実施の形態では、加湿装置14を用いて水蒸気を供給するようにしたが、必ずしも水蒸気を供給する装置を独立させて設ける必要はない。
例えば、上記触媒ガスと水蒸気との混合ガスを触媒ガス供給装置で生成し、生成した混合ガスを供給するようにしてもよい。
【0108】
さらに、上述したように、上記放電プラズマに水蒸気を供給しなくても、一酸化炭素ガスを除去することができるので(図5の符号51、図6の符号61などを参照)、例えば、図14に示すようにして有害物質除去装置140を構成してもよい。
【0109】
一方、上述したように、上記放電プラズマに水蒸気を供給するだけでも、一酸化炭素ガスを除去することができるので(図10などを参照)、例えば、図15に示すようにして有害物質除去装置150を構成してもよい。
なお、図14及び図15において、図1と同一の部分については、図1に付した符号と同一の符号を付している。
【0110】
さらに、上述したように、オゾン分解装置16を用いれば一酸化炭素を始めとする有害物質をより確実に除去することができるとともに、オゾンガスが排出されるのを防止することができ好ましいが、上述したように、オゾン分解装置16を用いなくても、一酸化炭素を始めとする有害物質を充分に除去することができるので、必ずしもオゾン分解装置16を用いる必要はない。
【0111】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、放電を起こすことによりプラズマを発生させ、上記発生させたプラズマに大気中の気体を通して上記気体内の一酸化炭素ガスを含む有害ガスを除去するに際し、上記プラズマを通る大気中の酸素ガスの濃度を、所定の範囲内に低下させるようにしたので、余分な酸素原子が上記プラズマ内に存在することを防止することができる。これにより、上記大気中の気体に含まれている窒素原子を、上記プラズマ内で活性化状態(準安定状態)に留めることができる。したがって、上記一酸化炭素ガスを含む有害ガスが上記プラズマ内で酸素と反応する際の触媒として、上記準安定状態にある窒素原子を作用させることができ、従来では殆ど除去することができなかった一酸化炭素ガスを始めとする有害物質を容易に且つ確実に除去することができる。
【0112】
また、本発明の他の特徴によれば、準安定準位を有する触媒ガスを上記プラズマに供給するようにしたので、準安定状態にある原子の濃度をより高くすることができ、一酸化炭素ガスを始めとする有害物質の除去率をより向上させることができる。
【0113】
また、本発明のその他の特徴によれば、放電を起こすことによりプラズマを発生させ、上記発生させたプラズマに大気中の気体を通して上記気体内の一酸化炭素ガスを含む有害ガスを除去するに際し、上記プラズマに水蒸気を供給するようにしたので、上記一酸化炭素ガスを含む有害ガスが上記プラズマ内で酸素と反応する際に、上記水蒸気を有効に作用させることができる。これにより、オゾンガスの発生を抑制させながら、上記一酸化炭素ガスを含む有害ガスを容易に、且つ確実に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示し、有害物質除去装置の構成の一例を示した図である。
【図2】本発明の実施の形態における試験例を示し、有害物質除去装置の性能を確認するための試験装置の構成の一例を示した図である。
【図3】本発明の実施の形態を示し、放電装置の具体的な構成例を示した断面図である。
【図4】本発明の実施の形態を示し、放電装置の他の構成例を示した図である。
【図5】本発明の実施の形態における第1の試験例を示し、放電プラズマに供給する酸素ガスの濃度と、一酸化炭素ガスの除去率との関係を示した図である。
【図6】本発明の実施の形態における第1の試験例を示し、放電プラズマに供給する窒素ガスの濃度と、一酸化炭素ガスの除去率との関係を示した図である。
【図7】本発明の実施の形態を示し、準安定準位を説明するための概念図である。
【図8】本発明の実施の形態における第2の試験例を示し、放電プラズマに供給する酸素ガスの濃度と、一酸化炭素の除去率との関係を示した図である。
【図9】本発明の実施の形態における第2の試験例を示し、最適酸素濃度の範囲を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態における第3の試験例を示し、ガラス管内の絶対湿度と、一酸化炭素ガスの除去率との関係を示した図である。
【図11】本発明の実施の形態における第4の試験例を示し、放電プラズマに供給するアルゴンガスの濃度と、一酸化炭素ガスの除去率との関係を示した図である。
【図12】本発明の実施の形態における第5の試験例を示し、放電プラズマに供給するヘリウムガスの濃度と、一酸化炭素ガスの除去率との関係を示した図である。
【図13】本発明の実施の形態における第6の試験例を示し、ホルムアルデヒドの除去効果を表形式に示した図である。
【図14】本発明の実施の形態を示し、有害物質除去装置の構成の他の例を示した図である。
【図15】本発明の実施の形態を示し、有害物質除去装置の構成のその他の例を示した図である。
【符号の説明】
10、140、150 有害物質除去装置
11 送風機
12、53 通風路
13 触媒ガス供給装置
14 加湿装置
15 放電装置
20 試験装置
21 ボンベ
22 流量調節器
30 ガラス管
31 電極
32 箔電極
34 高圧電源
【発明の属する技術分野】
本発明は、有害ガス除去装置及び有害ガス除去方法に関し、特に、一酸化炭素ガスを含む有害ガスを除去するために用いて好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、室内環境を快適にしたいという要望に応えるために、大気中に存在する有害ガスを除去する技術が提案されている。
【0003】
例えば、二酸化マンガンやチタン酸バリウムなどの固形分解触媒の作用により、放電によって発生させたオゾンを分解してラジカル酸素を発生させるようにし、この発生させたラジカル酸素を除去対象の有害ガスと反応させ、空気の脱臭を行うようにする技術が提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2を参照。)。
【0004】
この他、二酸化マンガンなどの金属酸化物粒子と、活性炭などの吸着粒子と、熱可塑性樹脂粒子と、繊維状基材とからなるガス除去用ボードに空気を通して、空気の脱臭を行うようにする技術が提案されている(例えば、特許文献3を参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開平5−317639号公報
【特許文献2】
特開2001−247485号公報
【特許文献3】
特開平11−216335号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年、分煙化が至る所で実施されていること等の理由から、煙草から発せられるガス中に多量に含まれている一酸化炭素ガスを除去するようにする技術が強く求められている。
【0007】
そこで、本願発明者らは、上述した従来の技術を用いた場合に、一酸化炭素ガスをどの程度除去することができるのかを詳細に調査した。
その結果、上述した従来の技術を用いた場合の一酸化炭素ガスの除去率は、最大でも7[%]程度であり、上述した従来の技術では、一酸化炭素ガスを殆ど除去することができないという知見を得た。
【0008】
このように、上述した従来の技術では、煙草から多量に発せられる一酸化炭素ガスを、殆ど除去することができないという問題点があった。
【0009】
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、一酸化炭素ガスを含む有害ガスを、容易に且つ確実に除去することができるようにすることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の有害ガス除去装置は、放電を起こすことによりプラズマを発生させるようにするための放電電極を有し、上記プラズマに大気中の気体を通して上記気体内の一酸化炭素ガスを含む有害ガスを除去する有害ガス除去装置であって、上記プラズマを通る大気中の酸素ガスの濃度を、所定の範囲内に低下させる酸素濃度調整手段を有することを特徴としている。
また、本発明の他の特徴とするところは、放電を起こすことによりプラズマを発生させるようにするための放電電極を有し、上記プラズマに大気中の気体を通して上記気体内の一酸化炭素ガスを含む有害ガスを除去する有害ガス除去装置であって、上記プラズマに水蒸気を供給する水蒸気供給手段を有する点にある。
【0011】
本発明の有害ガス除去方法は、放電を起こすことによりプラズマを発生させ、上記発生させたプラズマに大気中の気体を通して上記気体内の一酸化炭素ガスを含む有害ガスを除去する有害ガス除去方法であって、上記プラズマを通る大気中の酸素ガスの濃度を、所定の範囲内に低下させる酸素濃度調整処理を行うことを特徴としている。
また、本発明の他の特徴とするところは、放電を起こすことによりプラズマを発生させ、上記発生させたプラズマに大気中の気体を通して上記気体内の一酸化炭素ガスを含む有害ガスを除去する有害ガス除去方法であって、上記プラズマに水蒸気を供給する水蒸気供給処理を行う点にある。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に、添付の図面を参照しながら、本発明の有害物質除去装置及び有害物質除去方法の実施の形態について詳細に説明する。
【0013】
図1は、本実施の形態における有害物質除去装置の構成の一例を示した図である。
図1において、有害物質除去装置10は、送風機11と、通風路12と、触媒ガス供給装置13と、加湿装置14と、放電装置15と、オゾン分解装置16とを有している。
【0014】
送風機11は、送風路12の上流側に配設されており、大気中の空気(気体)を送風路12の下流側に送るためのものである。
酸素濃度調整手段(触媒ガス供給手段)として配設される触媒ガス供給装置13は、送風機11によって通風されている通風路12に触媒ガスを供給するためのものである。
【0015】
この触媒ガス供給装置13により供給される触媒ガスは、例えば、アルゴンガス(Arガス)、ヘリウムガス(Heガス)、ネオンガス(Neガス)、キセノンガス(Xeガス)、クリプトンガス(Krガス)などの希ガス、または窒素ガス(N2ガス)である。
【0016】
水蒸気供給手段として配設される加湿装置14は、送風機11によって通風されている通風路12に水蒸気を供給するためのものであり、送風機11によって通風路12に送られた大気中の空気と、触媒ガス供給装置13によって通風路12に供給された触媒ガスとを加湿する。
【0017】
放電装置15は、バリア放電を起こすことによって、通風路12内の所定の空間に放電プラズマを形成するためのものである。なお、上記放電プラズマは、非平衡プラズマであり、且つ低温プラズマである。
【0018】
そして、本実施の形態の有害物質除去装置10では、加湿装置14によって加湿された上記大気中の空気及び触媒ガスを、放電装置15によって形成される上記放電プラズマに供給するようにしている。
【0019】
このように、加湿装置14によって加湿された大気中の空気及び触媒ガスを上記放電プラズマに供給すると、大気中の空気に含まれている窒素ガスの原子や、触媒ガスの原子が、エネルギーを受けて準安定準位(metastable level)に励起される。
【0020】
上記準安定準位に励起された原子は、触媒として作用し、大気中の空気に含まれている一酸化炭素ガスやVOC(揮発性有機化合物)ガスなどが酸素ガスと反応するのを促進させる。なお、上記VOCガスは、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、及びベンゼンなどである。
【0021】
また、上記放電プラズマに供給した水蒸気は、上記放電プラズマ内でプラズマ化する。これにより、OHラジカルが発生する。そして、大気中の空気に含まれている一酸化炭素ガスやVOCガスなどが酸素ガスと反応するのを、この発生したOHラジカルが促進させる。
【0022】
本実施の形態の有害物質除去装置10では、このような放電装置15内で起こる反応により、大気中の空気に含まれている一酸化炭素ガスやVOCガスなどの有害物質を除去する。
【0023】
オゾン分解装置16は、放電装置15で放電が起こることにより発生するオゾンガスを、二酸化マンガン粒子などの固形触媒を用いて分解するためのものである。
このようにしてオゾンガスを分解するとラジカル酸素が発生し、この発生したラジカル酸素が、放電装置15内で除去しきれなかった有害物質と反応する。
【0024】
本実施の形態の有害物質除去装置10では、このようなオゾン分解装置16内で起こる反応によっても、大気中の空気に含まれている一酸化炭素ガスやVOCガスなどの有害物質を除去するようにしている。
【0025】
そして、本実施の形態の有害物質除去装置10では、以上のようにして有害物質が除去された空気が、送風路12の下流から大気中に放出されるようにしている。
【0026】
(試験例)
本願発明者らは、上述したようにして構成される有害物質除去装置10が、大気中の空気に含まれている有害物質をどの程度除去するのかを詳細に調査するとともに、有害物質除去装置10がどのようなメカニズムにより有害物質を除去するのかを詳細に調査した。以下、これらの結果について述べる。
【0027】
(試験装置)
図2は、図1に示した有害物質除去装置10の性能を確認するための試験装置の構成の一例を示した図である。
図2において、試験装置20は、空気ボンベ21aと、触媒ガスボンベ21bと、除去対象ガスボンベ21cと、空気流量調節器22aと、触媒ガス流量調節器22bと、除去対象ガス流量調節器22cと、通風路23と、加湿装置14と、放電装置15と、オゾン分解装置16と、排出流量調節器24と、排出流量計25と、ガスクロマトグラフ装置26とを有している。
【0028】
空気ボンベ21aには、80[%]の窒素ガスと、20[%]の酸素ガスとの混合気体が入っている。空気ボンベ21aから流出する混合ガスは、空気流量調節器22aによって流量が調節されて、通風路23に供給される。
【0029】
触媒ガスボンベ21bには、上記触媒ガスが入っている。触媒ガスボンベ21bから流出する触媒ガスは、触媒ガス流量調節器22bによって流量が調節されて、通風路23に供給される。なお、試験装置20では、窒素ガスと、アルゴンガスと、ヘリウムガスとを上記触媒ガスとして用いた。
【0030】
除去対象ガスボンベ21cには、除去対象ガス(上記有害物質)が入っている。除去対象ガスボンベ21cから流出する上記除去対象ガスは、除去対象ガス流量調節器22cによって流量が調節されて、通風路23に供給される。
【0031】
なお、試験装置20では、従来では殆ど除去することができなかった一酸化炭素ガスを上記除去対象ガスとして用いた。また、VOCガスであるホルムアルデヒドも上記除去対象ガスとして用いた。
【0032】
このように、試験装置20では、空気ボンベ21aと、空気流量調節器22aと、除去対象ガスボンベ21cと、除去対象ガス流量調節器22cとによって、図1に示した通風路12の上流側から下流側に通風される空気に相当する構成が得られるようにしている。
【0033】
また、触媒ガスボンベ21bと、触媒ガス流量調節器22bとによって、図1に示した触媒ガス供給装置13から通風路12に供給される触媒ガスに相当する構成が得られるようにしている。
【0034】
加湿装置14、放電装置15、及びオゾン分解装置16は、それぞれ図1に示したものと同じものである。
【0035】
ここで、図3を参照しながら、本実施の形態の放電装置15の構成について説明する。
図3は、本実施の形態の放電装置15の具体的な構成例を示した断面図である。
図3(a)に示すように、放電装置15は、ガラス管30と、金属棒電極31aと、箔電極32と、ゴム栓33a、33bとからなるプラズマ反応器27aと、高圧電源34とを有している。
【0036】
ガラス管30は、概ね中空円筒形状を有している。また、ガラス管30の側面には、上記除去対象ガスを含む空気を通風路53からガラス管30内に流入させるための気体流入口30aと、上記除去対象ガスが除去された空気をガラス管30から通風路53に流出させるための気体流出口30bとが形成されている。このように、本実施の形態では、ガラス管30が通風路の一部を形成するようにしている。
【0037】
ゴム栓33a、33bは、ガラス管30の両端部を塞ぐためのものである。また、ゴム栓33a、33bの中央部には、金属棒電極31を貫挿するための孔が形成されている。
【0038】
金属棒電極31aは、螺子状の金属棒であり、ゴム栓33a、33bの中央部に形成された孔に貫挿されることにより、ガラス管30の円筒軸上付近に配設される。
箔電極32は、金属製のテープであり、ガラス管30の側面に巻き付けられている。
【0039】
このように、本実施の形態の放電装置15では、金属棒電極31aと、箔電極32とが、ガラス管30を介して対向するようにしている。
【0040】
高圧電源34は、金属棒電極31aと、箔電極32に接続され、周波数が50Hz(商用周波数)、実効値が30[kV]の交流電圧を金属棒電極31aと、箔電極32との間に印加するためのものである。
【0041】
なお、金属棒電極31aと、箔電極32との間に印加する交流電圧の値は、ガラス管30内に上記放電プラズマを形成することができれば、上述した値に限定されるものではないということは言うまでもない。
【0042】
また、試験装置20では、放電電極として螺子状の金属棒電極31aを用いるようにしたが、図3(b)に示すように、螺子状でない金属棒電極(単なる棒形状の電極)31bを用いるようにしてもよい。また、図3(c)に示すように、ガラス管30の円筒軸から内壁に向かって放射状に延設された針形状の電極31cを放電電極として用いるようにしてもよい。
【0043】
以上のような形状を有する電極31a〜31cを放電電極として用いれば、電極31a〜31cと、箔電極32との間に交流高電圧を印加した際に、ガラス管30内に略一様な放電プラズマを形成することができ好ましいが、図3(d)に示すようなコイル形状の電極31dを放電電極として用いたり、図3(e)に示すような網形状の電極31eを放電電極として用いたりしてもよい。
【0044】
また、図3に示した例では、電極31a〜31eと、箔電極32とを、ガラス管30を介して対向させるようにしてバリア放電を起こすようにしているが、バリア放電を起こすことができる構成であれば、必ずしもガラス管30を介してこれらを対向させるようにする必要はない。
【0045】
例えば、図4に示すように、板形状の電極42の上に誘電体シート43を配設し、棒形状の電極41と、板形状の電極42とを誘電体シート43を介して対向させるようにしてもよい。
【0046】
また、図3及び図4に示した例では、バリア放電を起こすことにより放電プラズマを形成する構成を放電装置15が有するようにしたが、放電プラズマを形成することができれば、必ずしもバリア放電を起こす必要はない。
【0047】
例えば、コロナ放電、沿面放電、またはグロー放電を起こすことにより放電プラズマを形成するようにしてもよい。この場合、高圧電源34は、必ずしも交流電源を用いる必要はなく、直流電源を用いるようにしてもよい。
また、交流または直流の何れかを選択することができる構成を高圧電源34が有するようにしてもよい。
さらに、上述したようにして放電プラズマを形成することができれば、電極31、32、41、42の材質は、金属に限定されない。例えば、導電性または半導電性の樹脂を用いて電極31、41を形成するようにしてもよい。
【0048】
図2に説明を戻し、以上のようにして構成された放電装置15と、オゾン分解装置16により浄化された空気は、2つの経路に分かれて大気中に放出される。この2つの経路のうちの1つには、排出流量計25が配設されている。試験装置20では、大気中に放出される上記浄化された空気の流量を、排出流量計25により監視するようにしている。
【0049】
また、もう1つの経路には、排出流量調節器24とガスクロマトグラフ装置26とが配設されている。
排出流量調節器24は、上記浄化された空気の流量を所定の値にしてガスクロマトグラフ装置26に供給するためのものである。
【0050】
ガスクロマトグラフ装置26は、排出流量調整器24により所定の値に流量が調節された空気の成分を、ガスクロマトグラフィー(gas chromatography)により分析するためのものである。
【0051】
このように、試験装置20では、除去対象ガスボンベ22bから通風路23に供給された上記除去対象ガスが、どの程度除去されたのかを、このガスクロマトグラフ装置26を用いて計測するようにしている。
そして、本願発明者らは、以上のような構成を有する試験装置20を種々の条件で動作させて、上記除去対象ガスの除去率を調査した。
【0052】
なお、試験装置20で測定される一酸化炭素ガスの除去率は、放電装置15だけでなく、オゾン分解装置16における除去効果も含んだ値となるが、上述したように、オゾン分解装置16における一酸化炭素ガスの除去率は、最大でも7[%]程度である。したがって、放電装置15における一酸化炭素ガスの除去率は、このことを考慮して求めるようにすればよい。
【0053】
(第1の試験例)
本試験例では、上記触媒ガスを窒素ガスとし、上記除去対象ガスを一酸化炭素ガスとした。
【0054】
具体的に説明すると、1000[ppm](=0.1[%])の濃度の一酸化炭素ガスを上記放電プラズマ(ガラス管30)に供給するようにした。
ここで、1000[ppm]の濃度の一酸化炭素ガスとは、上記放電プラズマに供給される気体に含まれる単位体積当たりの一酸化炭素ガスの量が0.1[%]であるということである。
【0055】
したがって、この一酸化炭素ガスの濃度は、上記放電プラズマに供給される気体に含まれる一酸化炭素ガス以外のガスの量によって相対的に定まるものである。このことは、以下の説明における一酸化炭素ガス以外のガスの濃度についても同様である。
【0056】
そして、本試験例では、上記窒素ガスの流量を調節することにより、上記放電プラズマに供給する酸素ガスの濃度を変えて上記一酸化炭素ガスの除去率を測定した。
また、10000[ppm](=1[%])の濃度の水蒸気を、通風路23に供給して、ガスボンベ21a〜21cから供給されたガスを加湿した場合と、水蒸気を供給しないようにして、ガスボンベ21a〜21cから供給されたガスを加湿しない場合(すなわち、乾燥ガスを用いた場合)との2つ場合で上記一酸化炭素ガスの除去率を測定した。
【0057】
このような条件で試験装置20を動作させたときの一酸化炭素ガスの除去率の測定結果を図5と図6に示す。
図5は、上記放電プラズマに供給する酸素ガスの濃度と、一酸化炭素ガスの除去率との関係を示したグラフである。
【0058】
図5において、符号51は、ガスボンベ21a〜21cから供給されたガスを加湿しない場合のグラフである。また、符号52は、ガスボンベ21a〜21cから供給されたガスを加湿した場合のグラフである。
【0059】
図6は、上記放電プラズマに供給する窒素ガスの濃度と、一酸化炭素ガスの除去率との関係を示したグラフである。
図6において、符号61は、ガスボンベ21a〜21cから供給されたガスを加湿しない場合のグラフである。また、符号62は、ガスボンベ21a〜21cから供給されたガスを加湿した場合のグラフである。
【0060】
図5から分かるように、酸素ガスの濃度と一酸化炭素ガスの除去率との関係を示すグラフ51、52は、酸素ガスの濃度が0.5[%]程度のところでピークを持つ特性を有する。
【0061】
具体的に説明すると、酸素ガスの濃度が0.5[%]程度になるまでは、酸素ガスの濃度の低下とともに、一酸化炭素ガスの除去率は大きくなるが、酸素ガスの濃度が0.5[%]程度よりも低くなると、酸素ガスの濃度の低下とともに、一酸化炭素ガスの除去率は逆に小さくなる。
【0062】
また、図6から分かるように、窒素ガスの濃度と、一酸化炭素ガスの除去率との関係を示すグラフ61、62は、窒素ガスの濃度が99.5[%]程度のところでピークを持つ特性を有する。
【0063】
具体的に説明すると、窒素ガスの濃度が99.5[%]程度になるまでは、窒素ガスの濃度の増加とともに、一酸化炭素ガスの除去率は大きくなるが、窒素ガスの濃度が99.5[%]程度よりも増加すると、窒素ガスの濃度の増加とともに、一酸化炭素ガスの除去率は逆に小さくなる。
【0064】
このように図5のグラフ51、52と、図6のグラフ61、62とがピークを持つ特性を有するのは、以下のような理由によると考えられる。
図7に示すように、空気ガスボンベ21aや触媒ガスボンベ21bからガラス管30内に供給された窒素原子は、ガラス管30内に形成された上記放電プラズマ内でエネルギーを受けて、基底状態から所定のエネルギー準位E1に励起する。
【0065】
このようにしてエネルギー準位E1に励起された窒素原子は、不安定な状態にあり、10−8[秒]くらいしかこのエネルギー準位E1に留まることができず、すぐに光子を放出して基底状態(または、低いエネルギー準位)に転移してしまう。
【0066】
ところが、本試験例で触媒ガスとして使用した窒素は、準安定準位(metastable level)E2を有する。この準安定準位E2に励起された窒素原子は、他のエネルギー準位E1に励起された窒素原子に比較して格段に高い安定度を持っている。
【0067】
このため、準安定準位E2に励起された窒素原子は、準安定準位E2に留まることができ、数十秒以上の長い間、活性化された状態(準安定状態)となり、上記放電プラズマに供給された一酸化炭素ガスが酸化する際の触媒として作用する。
【0068】
すなわち、除去対象ガスボンベ21cから上記放電プラズマに供給された一酸化炭素ガスが、酸素ガスと反応して二酸化炭素ガスになるのを、上記準安定状態となった窒素原子が促進させる。
このように、気体を触媒として作用させることで、固体を触媒として作用させた場合よりも流動性の高い反応性に富んだ状態を得ることができる。
【0069】
したがって、上記放電プラズマに供給される窒素ガスの濃度を増加させれば、上記準安定状態となる窒素原子の濃度も増加し、一酸化炭素ガスの酸化反応がより一層促進される。これにより、図6に示すように、一酸化炭素ガスの除去率は、窒素ガスの濃度の増加とともに増大する。
【0070】
また、図5及び図6に示すように、一酸化炭素ガスの除去率は、酸素ガスの濃度の低下(窒素ガスの濃度の増加)に伴って単調に大きくならない。
具体的に説明すると、図5に示すように、例えば、酸素ガスの濃度を3[%]程度に低下させても、一酸化炭素ガスの除去率は、大きく変化しない。これに対して、酸素ガスの濃度を3[%]程度から0.5[%]程度に低下させると、一酸化炭素ガスの除去率は、大きく変化する。
【0071】
これは、一酸化炭素ガスが酸化反応を起こすのに必要となる濃度よりも高濃度の酸素ガスが上記放電プラズマに供給されると、一酸化炭素ガスの酸化反応が抑制されてしまうからであると考えられる。
【0072】
すなわち、上記放電プラズマでエネルギーを受けて準安定準位E2に励起された窒素原子が上記準安定状態にあること(準安定準位E2に留まっていること)を、余分な酸素原子が妨害することにより、一酸化炭素ガスの酸化反応が抑制されてしまうと考えられる。
【0073】
これに対し、一酸化炭素ガスが酸化反応を起こすのに必要となる適切な濃度の酸素ガスが上記放電プラズマに供給されるように、窒素ガスを上記放電プラズマに供給すれば、一酸化炭素ガスの酸化反応が抑制されることがなくなり、一酸化炭素ガスの酸化反応が上述したようにして急激に促進されるようになると考えられる。
【0074】
一方、一酸化炭素ガスを除去する際には、ある一定量の酸素ガスが必要になる。
したがって、図5に示すように、酸素ガスの濃度がある値よりも低くなると、一酸化炭素ガスが酸化できず、一酸化炭素ガスの除去率は逆に低下する。
【0075】
このように、本試験例では、上記放電プラズマに供給する窒素ガスの濃度を増大させて、酸素ガスの濃度を所定の範囲内に低下させることにより、一酸化炭素ガスを従来の装置よりも大幅に除去することができるということが検証された。
【0076】
そして、本試験例のように、1000[ppm]の濃度の一酸化炭素ガスを除去する場合には、酸素ガスの濃度を10[%]以下、好ましくは、0.01[%]以上1[%]以下の範囲にするのがよいということが図5及び図6の測定結果から検証された。
【0077】
また、図5及び図6に示すように、ガスボンベ21a〜21cから供給されたガスを加湿しない場合よりも(符号51、61)、ガスボンベ21a〜21cから供給されたガスを加湿した場合の方が(符号52、62)、一酸化炭素ガスの除去率が高くなった。
【0078】
これは、上記放電プラズマ内に水蒸気が供給されると、上記水蒸気が上記放電プラズマ内でプラズマ化して、反応性に富んだOHラジカルが発生し、この発生したOHラジカルが一酸化炭素ガスの酸化反応を促進させるためであると考えられる。
【0079】
このように、ガスボンベ21a〜21cから供給されたガスを加湿することによっても、一酸化炭素ガスの除去率を向上させることができるということが、図5及び図6の測定結果から検証された。
【0080】
(第2の試験例)
上記第1の試験例で説明したように、上記準安定準位を有する窒素ガスの濃度を増大させることにより、酸素ガスの濃度を所定の範囲内に低下させれば、一酸化炭素ガスの除去率が向上する。
【0081】
そこで、本願発明者らは、上記放電プラズマに供給される酸素ガスの濃度をどの程度にすれば、一酸化炭素ガスを適切に除去することができるのかをより詳細に調査した。具体的に、本試験例では、一酸化炭素ガスの濃度を変えて上述した第1の試験例と同様の試験を行った。その結果を図8及び図9に示す。
【0082】
図8は、上記放電プラズマに供給する酸素ガスの濃度と、一酸化炭素の除去率との関係を示したグラフである。
なお、図8では、ガスボンベ21a〜21cから供給されたガスを加湿しない場合の測定結果を示している。
【0083】
図8に示すように、一酸化炭素ガスの濃度が約200[ppm](=0.02[%])の場合の最適酸素濃度範囲は、400[ppm](=0.04[%])以上2000[ppm](=0.2[%])以下であることが検証された。
【0084】
また、一酸化炭素ガスの濃度が約2000[ppm](=0.2[%])の場合の最適酸素濃度範囲は、4000[ppm](=0.4[%])以上20000[ppm](=2[%])以下であることが検証された。
【0085】
これらのことから、最適酸素濃度は、図9に示す領域90の範囲内であるという結果が得られた。
すなわち、図9に示すように、上記放電プラズマに供給する酸素ガスの濃度を、一酸化炭素ガスの濃度の2倍以上10倍以下にすると、一酸化炭素ガスを従来よりも大幅に除去することができるということが検証された。
【0086】
(第3の試験例)
上記第1の試験例で説明したように、ガスボンベ21a〜21cから供給されたガスを加湿することも一酸化炭素ガスの除去率の向上に寄与している。
【0087】
そこで、本願発明者らは、上記放電プラズマに供給する水蒸気(ガラス管30内の湿度)をどの程度にすれば、一酸化炭素ガスを適切に除去することができるのかをより詳細に調査した。具体的に、本試験例では、加湿装置14から供給する水蒸気の量を変えて上述した第1の試験例と同様の試験を行った。その結果を図10に示す。
【0088】
図10は、ガラス管30内の絶対湿度と、一酸化炭素ガスの除去率との関係を示したグラフである。また、図10では、上記ガラス管30内の絶対湿度と、オゾンガスの濃度との関係についても併せて示している。
【0089】
図10において、符号101は、ガラス管30内の絶対湿度と、一酸化炭素ガスの除去率の関係を示したグラフである。このグラフ101から、ガラス管30内の絶対湿度を0.01[kg/kg]以上にすると、一酸化炭素ガスの除去率を従来よりも大幅に向上させることができるということが検証された。
【0090】
また、符号102は、ガラス管30内の絶対湿度と、オゾンガスの濃度との関係を示したグラフである。このグラフ102から、オゾンガスの濃度が低下しても一酸化炭素ガスの除去率が低下しないことが検証された。このことは、放電装置15によって有害物質を除去する際のメカニズムが、オゾンガスの分解を利用した装置とは全く異なることを裏付けている。
【0091】
このように、本試験例では、上記放電プラズマに供給される気体の絶対湿度を高くすることにより、オゾンガスの発生を抑制させることができ、周囲の環境を害すことなく一酸化炭素ガスを除去することができるということが検証された。
【0092】
(第4の試験例)
上述した第1〜第3の試験例では、触媒ガスとして窒素ガスを用いるようにしたが、本試験例では、上記準安定準位を有するアルゴンガス(Arガス)を上記触媒ガスとして用いた。なお、その他の測定条件は上述した第1の試験例と同じであるので詳細な説明を省略する。
【0093】
本試験例における一酸化炭素ガスの除去率の測定結果を図11に示す。
図11は、上記放電プラズマに供給するアルゴンガスの濃度と、一酸化炭素ガスの除去率との関係を示したグラフである。
なお、本試験例では、ガスボンベ21a〜21cから供給されたガスを、上述した第1の試験例と同じの条件で加湿して測定を行った。
【0094】
図11のグラフ111に示すように、上記放電プラズマに供給するアルゴンガスの濃度を90[%]程度にすると、一酸化炭素ガスを略100[%]除去することができ、アルゴンガスを供給すると、一酸化炭素ガスを略完全に除去することができるということが検証された。
【0095】
(第5の試験例)
本試験例では、上記準安定準位を有するヘリウムガス(Heガス)を上記触媒ガスとして用いた。なお、その他の測定条件は上述した第1の試験例と同じであるので詳細な説明を省略する。
【0096】
本試験例における一酸化炭素ガスの除去率の測定結果を図12に示す。
図12は、上記放電プラズマに供給するヘリウムガスの濃度と、一酸化炭素ガスの除去率との関係を示したグラフである。
なお、本試験例では、ガスボンベ21a〜21cから供給されたガスを、上述した第1の試験例と同じの条件で加湿して測定を行った。
【0097】
図12のグラフ121に示すように、上記放電プラズマにヘリウムガスを供給しても、一酸化炭素ガスの除去率を向上させることができるということが検証された。
【0098】
(第6の試験例)
本願発明者らは、上記一酸化炭素ガス以外の有害物質についても確実に除去することかできるかどうかを調査した。その結果を図13に示す。
本試験例では、上記除去対象ガスをホルムアルデヒドとした。具体的に説明すると、7.5[ppm](=0.00075[%])の濃度のホルムアルデヒドをガラス管30内に形成された放電プラズマに供給するようにした。その他の測定条件は上述した第1の試験例と同じであるので詳細な説明を省略する。
【0099】
図13は、放電装置15の入側と出側におけるホルムアルデヒドの濃度を測定した結果を表形式で示した図である。
なお、本試験例では、ガスボンベ21a〜21cから供給されたガスを、上述した第1の試験例と同じの条件で加湿して測定を行った。
【0100】
図13に示すように、放電装置15の出側におけるホルムアルデヒドの濃度は0.0[ppm]であり、ホルムアルデヒドなどのVOCガスについても、試験装置20により確実に除去することができることが検証された。
【0101】
以上のように、本実施の形態では、放電により形成される放電プラズマに大気中の空気を通して、上記大気中の空気に含まれる一酸化炭素ガスなどの有害物質を除去する際に、上記放電プラズマを通る空気中の酸素ガスの濃度を、上記一酸化炭素ガスの濃度の2倍以上10倍以下にしたので、余分な酸素原子が上記放電プラズマ内に存在することを防止することができ、上記放電プラズマ内でエネルギーを受けて準安定状態になっている(空気中の)窒素原子を、活性化状態(上記準安定状態)に留めることができる。これにより、一酸化炭素ガスが酸化反応する際の触媒として上記準安定状態にある窒素原子を作用させることができ、従来では殆ど除去することができなかった一酸化炭素ガスを始めとする有害物質を容易に且つ確実に除去することができる。
【0102】
また、準安定準位を有する窒素ガスや希ガスを上記放電プラズマに供給することにより、上記放電プラズマを通る空気中の酸素ガスの濃度を低下させるようにすれば、上記準安定状態にある原子の濃度をより高くすることができる。これにより、一酸化炭素ガスを始めとする有害物質の除去率をより向上させることができる。
【0103】
また、上記放電プラズマに水蒸気を供給することにより、上記放電プラズマを通る気体を加湿するようにすれば、上記一酸化炭素ガスを始めとする有害ガスが上記放電プラズマ内で酸素と反応する際に、上記水蒸気を有効に作用させることができる。これにより、一酸化炭素ガスを始めとする有害物質の除去率をより一層向上させることができる。
【0104】
さらに、放電装置15により浄化された空気を、オゾン分解装置16を用いてさらに浄化するようにすれば、一酸化炭素ガスを始めとする有害物質をより確実に除去することができるとともに、オゾンガスが排出されてしまうことを防止することができる。
【0105】
なお、本実施の形態(上述した試験例)では、窒素ガスや希ガスを上記触媒ガスとして用いるようにしたが、上記放電プラズマに供給される酸素ガスの濃度を低下させることができれば、必ずしも窒素ガスや希ガスを上記触媒ガスとして用いる必要はない。
【0106】
例えば、異なる希ガスの混合ガスを触媒ガスとして用いるようにしてもよい。このような異なる希ガスの混合ガスを触媒ガスとして用いれば、ペニング効果により、放電開始電圧を低減させることができ、より低い電圧で上記放電プラズマを形成することができるようになる。このような混合ガスの例としては、ヘリウムネオンガス(He−Neガス)が挙げられる。
【0107】
また、本実施の形態では、加湿装置14を用いて水蒸気を供給するようにしたが、必ずしも水蒸気を供給する装置を独立させて設ける必要はない。
例えば、上記触媒ガスと水蒸気との混合ガスを触媒ガス供給装置で生成し、生成した混合ガスを供給するようにしてもよい。
【0108】
さらに、上述したように、上記放電プラズマに水蒸気を供給しなくても、一酸化炭素ガスを除去することができるので(図5の符号51、図6の符号61などを参照)、例えば、図14に示すようにして有害物質除去装置140を構成してもよい。
【0109】
一方、上述したように、上記放電プラズマに水蒸気を供給するだけでも、一酸化炭素ガスを除去することができるので(図10などを参照)、例えば、図15に示すようにして有害物質除去装置150を構成してもよい。
なお、図14及び図15において、図1と同一の部分については、図1に付した符号と同一の符号を付している。
【0110】
さらに、上述したように、オゾン分解装置16を用いれば一酸化炭素を始めとする有害物質をより確実に除去することができるとともに、オゾンガスが排出されるのを防止することができ好ましいが、上述したように、オゾン分解装置16を用いなくても、一酸化炭素を始めとする有害物質を充分に除去することができるので、必ずしもオゾン分解装置16を用いる必要はない。
【0111】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、放電を起こすことによりプラズマを発生させ、上記発生させたプラズマに大気中の気体を通して上記気体内の一酸化炭素ガスを含む有害ガスを除去するに際し、上記プラズマを通る大気中の酸素ガスの濃度を、所定の範囲内に低下させるようにしたので、余分な酸素原子が上記プラズマ内に存在することを防止することができる。これにより、上記大気中の気体に含まれている窒素原子を、上記プラズマ内で活性化状態(準安定状態)に留めることができる。したがって、上記一酸化炭素ガスを含む有害ガスが上記プラズマ内で酸素と反応する際の触媒として、上記準安定状態にある窒素原子を作用させることができ、従来では殆ど除去することができなかった一酸化炭素ガスを始めとする有害物質を容易に且つ確実に除去することができる。
【0112】
また、本発明の他の特徴によれば、準安定準位を有する触媒ガスを上記プラズマに供給するようにしたので、準安定状態にある原子の濃度をより高くすることができ、一酸化炭素ガスを始めとする有害物質の除去率をより向上させることができる。
【0113】
また、本発明のその他の特徴によれば、放電を起こすことによりプラズマを発生させ、上記発生させたプラズマに大気中の気体を通して上記気体内の一酸化炭素ガスを含む有害ガスを除去するに際し、上記プラズマに水蒸気を供給するようにしたので、上記一酸化炭素ガスを含む有害ガスが上記プラズマ内で酸素と反応する際に、上記水蒸気を有効に作用させることができる。これにより、オゾンガスの発生を抑制させながら、上記一酸化炭素ガスを含む有害ガスを容易に、且つ確実に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示し、有害物質除去装置の構成の一例を示した図である。
【図2】本発明の実施の形態における試験例を示し、有害物質除去装置の性能を確認するための試験装置の構成の一例を示した図である。
【図3】本発明の実施の形態を示し、放電装置の具体的な構成例を示した断面図である。
【図4】本発明の実施の形態を示し、放電装置の他の構成例を示した図である。
【図5】本発明の実施の形態における第1の試験例を示し、放電プラズマに供給する酸素ガスの濃度と、一酸化炭素ガスの除去率との関係を示した図である。
【図6】本発明の実施の形態における第1の試験例を示し、放電プラズマに供給する窒素ガスの濃度と、一酸化炭素ガスの除去率との関係を示した図である。
【図7】本発明の実施の形態を示し、準安定準位を説明するための概念図である。
【図8】本発明の実施の形態における第2の試験例を示し、放電プラズマに供給する酸素ガスの濃度と、一酸化炭素の除去率との関係を示した図である。
【図9】本発明の実施の形態における第2の試験例を示し、最適酸素濃度の範囲を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態における第3の試験例を示し、ガラス管内の絶対湿度と、一酸化炭素ガスの除去率との関係を示した図である。
【図11】本発明の実施の形態における第4の試験例を示し、放電プラズマに供給するアルゴンガスの濃度と、一酸化炭素ガスの除去率との関係を示した図である。
【図12】本発明の実施の形態における第5の試験例を示し、放電プラズマに供給するヘリウムガスの濃度と、一酸化炭素ガスの除去率との関係を示した図である。
【図13】本発明の実施の形態における第6の試験例を示し、ホルムアルデヒドの除去効果を表形式に示した図である。
【図14】本発明の実施の形態を示し、有害物質除去装置の構成の他の例を示した図である。
【図15】本発明の実施の形態を示し、有害物質除去装置の構成のその他の例を示した図である。
【符号の説明】
10、140、150 有害物質除去装置
11 送風機
12、53 通風路
13 触媒ガス供給装置
14 加湿装置
15 放電装置
20 試験装置
21 ボンベ
22 流量調節器
30 ガラス管
31 電極
32 箔電極
34 高圧電源
Claims (21)
- 放電を起こすことによりプラズマを発生させるようにするための放電電極を有し、
上記プラズマに大気中の気体を通して上記気体内の一酸化炭素ガスを含む有害ガスを除去する有害ガス除去装置であって、
上記プラズマを通る大気中の酸素ガスの濃度を、所定の範囲内に低下させる酸素濃度調整手段を有することを特徴とする有害ガス除去装置。 - 上記酸素濃度調整手段は、準安定準位を有する触媒ガスを上記プラズマに供給する触媒ガス供給手段を有することを特徴とする請求項1に記載の有害ガス除去装置。
- 上記触媒ガスは、希ガスまたは窒素ガスであることを特徴とする請求項2に記載の有害ガス除去装置。
- 上記触媒ガス供給手段は、上記プラズマを通る大気中の酸素ガスの濃度が、上記プラズマを通る大気中の一酸化炭素ガスの濃度の2倍以上10倍以下となるように、上記プラズマに触媒ガスを供給することを特徴とする請求項2または3に記載の有害ガス除去装置。
- 上記触媒ガス供給手段は、上記プラズマを通る大気中の酸素ガスの濃度が、0.01[%]以上1[%]以下となるように、上記プラズマに触媒ガスを供給することを特徴とする請求項2または3に記載の有害ガス除去装置。
- 上記プラズマに水蒸気を供給する水蒸気供給手段を有することを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の有害ガス除去装置。
- 上記水蒸気供給手段は、上記プラズマを通る気体の絶対湿度を、0.01[kg/kg]以上にすることを特徴とする請求項6に記載の有害ガス除去装置。
- 上記触媒ガス供給手段は、上記放電電極よりも上流側から上記触媒ガスを供給することを特徴とする請求項2〜7の何れか1項に記載の有害ガス除去装置。
- 放電を起こすことによりプラズマを発生させるようにするための放電電極を有し、
上記プラズマに大気中の気体を通して上記気体内の一酸化炭素ガスを含む有害ガスを除去する有害ガス除去装置であって、
上記プラズマに水蒸気を供給する水蒸気供給手段を有することを特徴とする有害ガス除去装置。 - 上記水蒸気供給手段は、上記プラズマを通る気体の絶対湿度を、0.01[kg/kg]以上にすることを特徴とする請求項9に記載の有害ガス除去装置。
- 交流電力又は直流電力のうち、少なくとも何れか一方の電力を上記放電電極に供給する電源を有することを特徴とする請求項1〜10の何れか1項に記載の有害ガス除去装置。
- 放電を起こすことによりプラズマを発生させ、上記発生させたプラズマに大気中の気体を通して上記気体内の一酸化炭素ガスを含む有害ガスを除去する有害ガス除去方法であって、
上記プラズマを通る大気中の酸素ガスの濃度を、所定の範囲内に低下させる酸素濃度調整処理を行うことを特徴とする有害ガス除去方法。 - 上記酸素濃度調整処理は、準安定準位を有する触媒ガスを上記プラズマに供給することを特徴とする請求項12に記載の有害ガス除去方法。
- 上記触媒ガスは、希ガスまたは窒素ガスであることを特徴とする請求項13に記載の有害ガス除去方法。
- 上記触媒ガス供給処理は、上記プラズマを通る大気中の酸素ガスの濃度が、上記プラズマを通る大気中の一酸化炭素ガスの濃度の2倍以上10倍以下となるように、上記プラズマに触媒ガスを供給することを特徴とする請求項13または14に記載の有害ガス除去方法。
- 上記触媒ガス供給処理は、上記プラズマを通る大気中の酸素ガスの濃度が、0.01[%]以上1[%]以下となるように、上記プラズマに触媒ガスを供給することを特徴とする請求項13または14に記載の有害ガス除去方法。
- 上記プラズマに水蒸気を供給する水蒸気供給処理を行うことを特徴とする請求項12〜16の何れか1項に記載の有害ガス除去方法。
- 上記水蒸気供給処理は、上記プラズマを通る気体の絶対湿度を、0.01[kg/kg]以上にすることを特徴とする請求項17に記載の有害ガス除去方法。
- 上記触媒ガス供給処理は、上記放電電極よりも上流側から上記触媒ガスを供給することを特徴とする請求項13〜18の何れか1項に記載の有害ガス除去方法。
- 放電を起こすことによりプラズマを発生させ、上記発生させたプラズマに大気中の気体を通して上記気体内の一酸化炭素ガスを含む有害ガスを除去する有害ガス除去方法であって、
上記プラズマに水蒸気を供給する水蒸気供給処理を行うことを特徴とする有害ガス除去方法。 - 上記水蒸気供給処理は、上記プラズマを通る気体の絶対湿度を、0.01[kg/kg]以上にすることを特徴とする請求項20に記載の有害ガス除去方法。
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JP2008202918A (ja) * | 2007-02-22 | 2008-09-04 | Oriental Kiden Kk | 廃棄物処理設備の廃棄物貯留部内圧力保持システムおよび廃棄物焼却炉の脱臭システム |
JP2016187559A (ja) * | 2005-09-20 | 2016-11-04 | イマジニアリング株式会社 | 処理装置 |
JP2018118219A (ja) * | 2017-01-26 | 2018-08-02 | アズビル株式会社 | ガス処理装置 |
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-
2003
- 2003-03-17 JP JP2003072608A patent/JP2004275926A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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