JP2004271963A - 表示パネル、表示装置、および表示パネルの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高コントラストの表示が可能で、信頼性の高い表示パネルを低コストで提供可能とする。
【解決手段】光吸収性の基板となる太陽電池パネル20を、発光素子13を有する発光層12が形成された第1の基板と接合した表示パネル3を提供する。表示パネル3を製造する際に、光吸収性の太陽電池パネル20を貼り合わせることにより、光吸収性の層を製造するプロセスを加えなくても発光層12の背面が光吸収性となった表示パネル3を製造することができ、製造プロセスの増加による歩留まりの低下や、信頼性の低下を未然に防止できる。このため、外光反射の少なく、高コントラストの表示が可能で信頼性の高い表示パネルを低コストで提供できる。さらに、太陽電池パネル20により、外光および発光素子の後方出力を電力に変えて回収し、消費電力も低い表示パネル3を提供できる。
【選択図】 図1
【解決手段】光吸収性の基板となる太陽電池パネル20を、発光素子13を有する発光層12が形成された第1の基板と接合した表示パネル3を提供する。表示パネル3を製造する際に、光吸収性の太陽電池パネル20を貼り合わせることにより、光吸収性の層を製造するプロセスを加えなくても発光層12の背面が光吸収性となった表示パネル3を製造することができ、製造プロセスの増加による歩留まりの低下や、信頼性の低下を未然に防止できる。このため、外光反射の少なく、高コントラストの表示が可能で信頼性の高い表示パネルを低コストで提供できる。さらに、太陽電池パネル20により、外光および発光素子の後方出力を電力に変えて回収し、消費電力も低い表示パネル3を提供できる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)などの自発光型素子を用いた表示パネルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自発光型のフラットパネルディスプレイ(FPD)として、有機EL素子を用いた表示パネルや、プラズマディスプレイパネル(PDP)を用いたものがある。有機ELパネルでは、陰極電極として放電率の高い、すなわち仕事関数の低い金属電極、主にアルミニウムあるいはクロムなどの金属が用いられている。一方、金属電極は、反射性の高い部材であり、昼間の太陽光の下などの明るい環境では、外光が金属電極により反射され、自発光素子である有機ELから射出される光との間のコントラストが低下する。このため、表示コントラストが低下してしまうという問題が生じる。
【0003】
外光の反射によるコントラストの低下を抑制するためには、パネル表面に円偏光板を貼る方法が知られている。しかし、この方式では円偏光板の透過率が40%程度で、EL(発光層)の放射光を必要以上に遮断してしまうという問題がある。さらに、金属反射の場合は、反射による位相の飛び(位相の周期)がπとは限らないので、金属電極での反射光を円偏光板が遮断しきれないという問題がある。
【0004】
外光反射を抑える他の方法としては、発光素子を有する表示パネルの背景を黒色化するという方法が挙げられる。特開平2−276191号公報には、反射性電極の上に吸光と干渉により、電極での光反射を0に近づける薄膜を形成する方法が開示されている。また、実開平1−68699号公報には、透明な電極で発光層を挟んだ薄膜ELのガラス基板の裏側に黒色背景層を形成することが記載されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平2−276191号公報
【特許文献2】
実開平1−68699号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
表示パネルの背景を黒色化する方法は、いったん表示パネルに入射した外光が反射されるのを防止できるので、外光の影響を阻止するために優れた方法である。しかしながら、表示パネルの構成に吸収に関わる新たな層を追加する必要が生ずる。したがって、プロセスが増加し、それと共に、光吸収用の層を形成するプロセス上の課題も増加する。たとえば、光吸収層を製造するプロセスを追加することにより、発光層にダメージを与えて信頼性を低下させる確率が増加する。また、表示パネルを製造するためのプロセスの増加により歩留まりが低下し、表示パネルの製造コストが上昇する要因となる。
【0007】
そこで、本発明においては、発光素子を有する表示パネルの製造プロセスを増加させずに、背面が光吸収性となった表示パネルを製造する方法を提供する。そして、コントラストの高い表示パネルの製造上の歩留まりを向上し、さらに低コストで供給できるようにすることを本発明の目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明においては、発光素子を含む表示パネルを製造する際に、光吸収性の基板を使用する。基板自体が光吸収性であれば、表示パネルを製造する際のプロセスを増加させずに、背面が光吸収性となった表示パネルを製造することができ、歩留まりの低下を防止できる。さらに、基板全体が光吸収性でなくても、少なくとも発光素子の側の面または基板内部が光吸収性であれば、発光素子に最も近い位置に光吸収性の面を持った構造の表示パネルを、プロセスを増加させずに製造できる。発光素子に対して光吸収性の面または層が近ければ近いほど、発光素子と光吸収性の面との間の界面で光が反射する確率が減るので、外光の影響の少ない表示パネルを提供することができる。
【0009】
すなわち、本発明においては、ボトムエミッション型の表示パネルの製造方法として、発光素子を含む発光層が透明基板に積層された第1の基板を製造する第1の工程と、第1の基板に対し、発光層が挟まれるように、光吸収性の第2の基板を接合する第2の工程とを有する表示パネルの製造方法を提供する。この第2の基板は、第1の基板に面する側または内部が光吸収性であることが望ましい。また、トップエミッション型の表示パネルの製造方法として、少なくとも表面または内部が光吸収性の第2の基板の表面の上に発光素子を含む発光層を積層する工程を有する表示パネルの製造方法を提供する。
【0010】
これらの製造方法により、少なくとも表面が光吸収性の第2の基板の表面の上に発光素子を含む発光層が積層されている表示パネルを提供することができる。そして、これらの製造方法によれば、基板に光吸収性があるので、表示パネル内に光吸収性の層を作りこむ必要はない。したがって、プロセスの増加による製造上の課題を増やすことにならず、発光素子を含む発光層の背面が光吸収性となり、外光反射が少なく、コントラストの高い画像を表示できる表示パネルを、歩留まりを低下させずに製造でき、低コストで供給できる。また、本発明の製造方法であれば、表示パネルの製造過程で有機ELなどの発光素子にダメージを与える確率を増やすこともないので、信頼性の高い表示パネルを提供できる。
【0011】
光吸収性の第2の基板は、透明な基板の上に、黒色樹脂などの光吸収性の層を形成することによっても製造できる。また、光吸収性の素材により第2の基板を製造しても良い。シリコン基板は、単結晶であれば800nm、アモルファスシリコンであれば600nmを中心とした波長を吸収するので、表示パネル用の光吸収性の基板として適している。しかしながら、シリコン基板の吸収特性は、可視光領域に対しては多少長波長側にシフトしているので、発光層に面する側を粗面化して光吸収特性を向上することは有効である。発光層に面する側の光吸収性を向上することにより、第2の基板の界面における反射をさらに少なくできるので、フレネル反射などによる外光の影響のさらに少ない表示パネルを提供できる。
【0012】
シリコン基板の光吸収性を利用したものに太陽電池がある。したがって、光吸収性のある第2の基板として太陽電池を採用することが可能である。太陽電池により表示パネルの背面を形成することにより、表示パネルに入射した外光を表示パネルの発光素子を発光させるためのエネルギー源の一部として利用することが可能となる。さらに、発光素子から背面に放出されていた光を太陽電池により電力に変換し、従来、浪費されていたエネルギーの一部を回収することが可能となる。発光素子からは前面と共に背面にも光が放出されるが、従来、背面に放出されていた光は全く利用されていない。これに対し、本発明の太陽電池を備えた表示パネルであれば、発光素子から出力された光を電力に変換して回収することが可能となる。
【0013】
したがって、本発明の表示パネルと、表示パネルの発光素子を駆動する駆動装置とを有する表示装置により、高コントラストで鮮明な画像を表示できる表示装置を低コストで提供できる。さらに、太陽電池を背面に備えた表示パネルであれば、太陽電池に占有される面積を設けることなく、表示パネルと同じ、またはそれ以上の大きさの太陽電池を設けることが可能であり、太陽電池で発電される電力を表示や他の目的で使用できる。したがって、電池や外部電源の消費を低く抑えることが可能な表示装置を提供できる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して本発明をさらに詳しく説明する。図1に本発明に係る表示パネル3と、この表示パネル3を構成する発光素子を駆動して画像を表示する駆動装置2とを備えた表示装置1を示してある。この表示装置1は、さらに、通信機器5などを備えており、携帯電話機として機能する。本例の表示パネル3は、ユーザ9に向けて表示用の光を出力して画像を提供すると共に、背面に設けられた太陽電池により外光7を吸収して発電し、表示装置1に内蔵されたバッテリー6に充電できるようになっている。
【0015】
図2に、表示パネル3の概略構成を断面図により示してある。本例の表示パネル3は、表示機能を備えた第1の基板10と、太陽電池としての機能を備えた第2の基板20とが接着剤40により貼りあわされた構成となっている。まず、第1の基板10は、透明なガラス基板11に、発光素子13を含んだ発光層12が積層された構成である。本例の発光素子13は有機ELが用いられており、発光素子13の構成には、正孔輸送層および電子輸送層が含まれている。第1の基板10には、複数の発光素子13が、ガラス基板11に沿ってポリイミドからなるバンク15によって仕切られた状態で、2次元にマトリクス状に配置されており、発光素子13の上下には発光素子を駆動するためにITOなどの透明電極16および17が設けられている。
【0016】
第2の基板20は、pin型のアモルファスシリコン太陽電池パネルであり、p型のシリコン層21と、i型のシリコン発電層22と、n型のシリコン層23とが積層された発電層24を備えており、i型のシリコン発電層22が光を吸収することにより発生したキャリア(正孔および電子)が内部電界によるドリフトで運ばれて電圧が発生する。第2の基板20においては、発電層24が透明電極25および26に挟まれた状態でガラス基板29に積層されている。さらに、基板29と反対側の、第1の基板10に面した側には反射防止膜27が形成されている。そして、第1の基板10に対し、発光層12が挟まれるように、第2の基板20が接着剤40により接合されて表示パネル10を構成している。
【0017】
この表示パネル10は、第1の基板10のガラス基板11の側から表示用の光8fが出力されるボトムエミッション型の表示パネルである。さらに、このパネル10は、光が出力される前面9fに対して、裏面あるいは背面9bに位置する太陽電池パネル20は、反射防止膜27を経て入力された光が内部のシリコン発電層22で主に吸収され、発電されるので、背面9bに光吸収性のパネルが設けられた表示パネルとなっている。したがって、表示パネル3に入力された外光7は、第1の基板10を透過して第2の基板である太陽電池パネル20に至り、その内部で吸収され電力に変換される。このため、表示パネル3に入力された外光7が表示パネル3の内部で反射されて出力光8fと共にユーザ9の側に出力されることはなく、外光7によるコントラストの低下を防止できる。
【0018】
さらに、発光素子13から背面9bにむけて出力された光8bも、太陽電池パネル20に至り、その内部で吸収されて電力に変換される。したがって、本例の表示パネル3では、外光7および後方射出光8bを太陽電池パネル20により電力に変換することが可能であり、その電力をバッテリー6に戻すことでバッテリー6の消費電力を軽減できるという効果も備えている。太陽電池パネル20の発電効率を向上する点からは、太陽電池パネル20の基板29または基板上の電極25を反射性として、発電層24を透過した光を発電層24に戻すことが望ましい。しかしながら、戻した光が発電層24を透過して再び第1の基板10に戻って出力光8fと共に出力される可能性がある。このため、本例の表示パネル3においては、太陽電池パネル20に反射性の層を設けずに、発電効率よりも入射した光を反射しない機能を優先した設計を採用している。
【0019】
図3に本例の表示パネル3の製造方法を示してある。この表示パネル3の製造工程は大きく2つに分けられる。第1の工程は、図3の下方に示した第1の基板10を製造する工程であり、透明なガラス基板11の上に、上述した幾つかの層を製膜して発光素子13を含む発光層12が積層された第1の基板10を形成する。第2の工程は、第1の基板10と太陽電池パネル20とを貼り合わせる工程であり、第1の基板10に対し、発光層12が挟まれるように、光吸収性の第2の基板となる太陽電池パネル20を接着剤40により接合する。この第2の工程においては、光の入射側となる反射防止膜27を第1の基板10に向けて太陽電池パネル20を貼り付ける。
【0020】
この製造方法では、太陽電池パネル20は、発光層12が積層される第1の基板10とは別の工程により、独立して製造される。したがって、太陽電池パネル20の歩留まりと、第1の基板10の歩留まりとは独立して管理することができる。このため、発光層12の上に、さらに太陽電池を構成する各層を重ねて製膜する製造方法と比較すると、表示パネル3を製造する一連のプロセスの増加を防ぐことができ、単に、基板を積層するプロセスだけで太陽電池パネル20を背面に備えた表示パネル3を製造できる。したがって、製造プロセスの増加に伴う問題、すなわち、歩留まりの低下や、発光層に対する影響を最小限に抑えることが可能となる。このため、背面が吸収性の面となった表示パネル3を、低コストで、信頼性の高い状態で提供することが可能となる。
【0021】
そして、製造された表示パネル3は、上述したように、発光素子13の背面9bに位置する太陽電池パネル20が光吸収体となるので、外光7の反射が抑制され、外光によるコントラストの低下を防止できる。さらに、外光7および発光素子13の後方出力8bが太陽電池パネル20により電力に変換されて出力されるので、実質的な消費電力を低減することができる。また、太陽電池パネル20は、基板内部のシリコン製の発電層24により光が吸収されるので、基板の外側、たとえば、基板29の背面9bに吸収層を設けた構成と比較すると、発光層12に近い位置で光を吸収することが可能となり、発光層12の背面側の各界面において反射される確率が低く、外光反射が低い構成となっている。さらに、太陽電池パネル20の前面には反射防止膜27が形成され、第1の基板10と第2の基板20との界面における反射は小さくして外光反射を低減すると共に、太陽電池パネル20へ供給される光量を大きくして発電効率を高めている。
【0022】
図4に、本発明の表示パネルの異なる例を示してある。この表示パネル31は、太陽電池パネル20の代わりに、単結晶シリコン基板39を第2の基板として第1の基板10に対し接着剤40により貼り合わせてある。単結晶シリコンは波長が800nm付近を中心とする比較的広い範囲の光を吸収する。したがって、発光層12の背面に設ける光吸収性の基板として適している。さらに、シリコン基板39であると、第1の基板10に面した表面39aが光吸収性となるので、第1の基板10との界面における反射が少なく、外光反射の影響をさらに小さくできる。単結晶シリコン基板の代わりにアモルファスシリコン基板を用いることも可能である。アモルファスシリコン基板は波長が600nm前後を中心とする領域の吸収率が高く、太陽光のスペクトルのピーク(約550nm)にさらに近い吸収域を備えている。したがって、外光反射を抑制するにはさらに適した材料であるといえる。
【0023】
しかしながら、シリコン基板はいずれも長波長側に吸収率が高いので、短波長側の反射をそれほど効率良く抑制することができない。したがって、シリコン基板の表面を粗面化することにより基板表面の吸収率を向上することが望ましい。
【0024】
図5に、本発明の表示パネルの異なる例を示してある。この表示パネル32は、表面39aを粗面化したシリコン基板39を用いて製造されたトップエミッション型の表示パネルである。この表示パネル32の製造方法は、まず、図5(a)に示すように、表面39aを粗面化したシリコン基板31を用意する。そして、図5(b)に示すように、このシリコン基板31の上に、発光素子13を含む発光層12を積層する。さらに、発光層12の上に透明な保護層19を製膜することにより、トップエミッション型で、背面が光吸収性となった表示パネル32を製造し、提供できる。この例では、光吸収性の基板を用いているので、トップエミッション型の表示パネル32においても、製造プロセスを増やすことなく発光層12の背面に光吸収性の面を設け、外光反射を防止できる。さらに、発光層12の背面を構成するシリコン基板39は表面39aが粗面化されているので、発光層12の極めて近傍で広い帯域の外光を効率良く吸収することができる。
【0025】
シリコン基板39の代わりに太陽電池パネル20の上に発光層12を積層し、トップエミッション型で背面が太陽電池となった表示パネルを提供することも可能である。太陽電池パネル20を主構造とした表示パネルは、非常に薄く、背面が吸収性で高コントラストの画像を表示することができ、さらに、太陽電池で発電された電力を表示あるいはその他の目的で利用することができる。そして、この薄い表示パネルを搭載することにより、少なくとも同じサイズの太陽電池を搭載した表示装置を提供できるので、携帯端末など、搭載できるバッテリーのサイズが限られた端末には好適な表示パネルを提供できる。
【0026】
このように、シリコン基板は光吸収性の基板として優れた特性を備えている。しかしながら、シリコンウェハとして提供されるのは最大でも直径が12インチ程度に限られ、それ以上大きなサイズの表示パネルには適用できない。これに対し、ガラス基板などに吸光性の高い樹脂や金属を製膜して表面を光吸収性とした基板は、種々のサイズのものを提供可能である。
【0027】
図6に、本発明のさらに異なる表示パネルの例を示してある。この表示パネル33は、ガラス基板51の表面に黒色樹脂シート52を貼り付けて光吸収性とした第2の基板50を用いて製造されたボトムエミッション型の表示パネルである。この表示パネル33の製造方法は、まず、図7に示すように、表面50aに黒色で光吸収性のシート52が貼り付けられた、または製膜された光吸収性の基板50を用意する。そして、透明なガラス基板11の上に発光層12が形成された第1の基板10に対し、発光層12を挟み込むように、黒色の表面を発光層12に向けて第2の基板50を接着剤40により貼り付ける。これにより、発光層12の背面が黒色の光吸収性となった表示パネル33を製造し、提供できる。
【0028】
光吸収性の基板は、表面が光拡散性の拡散板であっても良く、また、表面に干渉多層膜が形成された基板であっても良い。これらの基板は、それほど困難ではなく、様々なサイズのものを得ることができる。そして、これらの表面が光吸収性となった第2の基板を、発光層が形成された第1の基板10とは独立して製造できる。したがって、第2の基板を、発光層が形成された第1の基板10と接合して製造された表示パネルは、製造プロセスを増やすことなく、表示パネルの構造の内部に光吸収性の層が形成される。このため、本発明により、製造プロセスの増加に伴う歩留まりの低下や、発光素子の信頼性の低下を引き起こすことなく、外光反射を極めて高いレベルで防止された表示パネルを提供できる。
【0029】
本発明にかかる表示パネルは、上述したような携帯電話機のような表示装置に限定されず、カーナビゲーションシステム、コンピュータのモニタ、テレビなどの多種多様な表示装置に適用可能であり、鮮明な画像を提供できる。また、発光素子は有機ELに限定されるものではなく、他の自発光素子、たとえば、放電セルを発光素子とするプラズマディスプレイパネルや、LEDを発光素子とする表示パネルに対しても、本発明を適用することができる。
【0030】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明においては、光吸収性の第2の基板を用意し、その第2の基板を発光層が形成された第1の基板と接合したり、第2の基板の上に発光層を積層することにより表示パネルを製造している。したがって、表示パネルを製造する際に、光吸収性の層を製造するプロセスを加えなくても発光層の背面が光吸収性となった表示パネルを製造することができ、製造プロセスの増加による歩留まりの低下や、信頼性の低下を未然に防止できる。したがって、外光反射の少ない、高コントラストの表示が可能で信頼性の高い表示パネルを低コストで提供できる。さらに、第2の基板として太陽電池パネルを採用することが可能であり、外光および発光素子の後方出力を電力に変えて回収することができる。したがって、実質的に表示パネルで消費される電力を低減することができ、消費電力が低く、信頼性が高く、さらに表示能力の優れた表示パネルおよび表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る表示パネルを含む表示装置の一例を示す図である。
【図2】本発明に係る表示パネルの概略構成を示す断面図である。
【図3】図2の表示パネルを製造する様子を示す図である。
【図4】本発明の異なる表示パネルの構成を示す図である。
【図5】本発明のさらに異なる表示パネルの構成を示す図である。
【図6】本発明のさらに異なる表示パネルの構成を示す図である。
【図7】図6に示す表示パネルを製造する様子を示す図である。
【符号の説明】
1 表示装置
2 駆動装置
3、31、32、33 表示パネル
7 外光
8、8f、8b 出力光
10 第1の基板
20 太陽電池パネル(第2の基板)
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)などの自発光型素子を用いた表示パネルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自発光型のフラットパネルディスプレイ(FPD)として、有機EL素子を用いた表示パネルや、プラズマディスプレイパネル(PDP)を用いたものがある。有機ELパネルでは、陰極電極として放電率の高い、すなわち仕事関数の低い金属電極、主にアルミニウムあるいはクロムなどの金属が用いられている。一方、金属電極は、反射性の高い部材であり、昼間の太陽光の下などの明るい環境では、外光が金属電極により反射され、自発光素子である有機ELから射出される光との間のコントラストが低下する。このため、表示コントラストが低下してしまうという問題が生じる。
【0003】
外光の反射によるコントラストの低下を抑制するためには、パネル表面に円偏光板を貼る方法が知られている。しかし、この方式では円偏光板の透過率が40%程度で、EL(発光層)の放射光を必要以上に遮断してしまうという問題がある。さらに、金属反射の場合は、反射による位相の飛び(位相の周期)がπとは限らないので、金属電極での反射光を円偏光板が遮断しきれないという問題がある。
【0004】
外光反射を抑える他の方法としては、発光素子を有する表示パネルの背景を黒色化するという方法が挙げられる。特開平2−276191号公報には、反射性電極の上に吸光と干渉により、電極での光反射を0に近づける薄膜を形成する方法が開示されている。また、実開平1−68699号公報には、透明な電極で発光層を挟んだ薄膜ELのガラス基板の裏側に黒色背景層を形成することが記載されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平2−276191号公報
【特許文献2】
実開平1−68699号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
表示パネルの背景を黒色化する方法は、いったん表示パネルに入射した外光が反射されるのを防止できるので、外光の影響を阻止するために優れた方法である。しかしながら、表示パネルの構成に吸収に関わる新たな層を追加する必要が生ずる。したがって、プロセスが増加し、それと共に、光吸収用の層を形成するプロセス上の課題も増加する。たとえば、光吸収層を製造するプロセスを追加することにより、発光層にダメージを与えて信頼性を低下させる確率が増加する。また、表示パネルを製造するためのプロセスの増加により歩留まりが低下し、表示パネルの製造コストが上昇する要因となる。
【0007】
そこで、本発明においては、発光素子を有する表示パネルの製造プロセスを増加させずに、背面が光吸収性となった表示パネルを製造する方法を提供する。そして、コントラストの高い表示パネルの製造上の歩留まりを向上し、さらに低コストで供給できるようにすることを本発明の目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明においては、発光素子を含む表示パネルを製造する際に、光吸収性の基板を使用する。基板自体が光吸収性であれば、表示パネルを製造する際のプロセスを増加させずに、背面が光吸収性となった表示パネルを製造することができ、歩留まりの低下を防止できる。さらに、基板全体が光吸収性でなくても、少なくとも発光素子の側の面または基板内部が光吸収性であれば、発光素子に最も近い位置に光吸収性の面を持った構造の表示パネルを、プロセスを増加させずに製造できる。発光素子に対して光吸収性の面または層が近ければ近いほど、発光素子と光吸収性の面との間の界面で光が反射する確率が減るので、外光の影響の少ない表示パネルを提供することができる。
【0009】
すなわち、本発明においては、ボトムエミッション型の表示パネルの製造方法として、発光素子を含む発光層が透明基板に積層された第1の基板を製造する第1の工程と、第1の基板に対し、発光層が挟まれるように、光吸収性の第2の基板を接合する第2の工程とを有する表示パネルの製造方法を提供する。この第2の基板は、第1の基板に面する側または内部が光吸収性であることが望ましい。また、トップエミッション型の表示パネルの製造方法として、少なくとも表面または内部が光吸収性の第2の基板の表面の上に発光素子を含む発光層を積層する工程を有する表示パネルの製造方法を提供する。
【0010】
これらの製造方法により、少なくとも表面が光吸収性の第2の基板の表面の上に発光素子を含む発光層が積層されている表示パネルを提供することができる。そして、これらの製造方法によれば、基板に光吸収性があるので、表示パネル内に光吸収性の層を作りこむ必要はない。したがって、プロセスの増加による製造上の課題を増やすことにならず、発光素子を含む発光層の背面が光吸収性となり、外光反射が少なく、コントラストの高い画像を表示できる表示パネルを、歩留まりを低下させずに製造でき、低コストで供給できる。また、本発明の製造方法であれば、表示パネルの製造過程で有機ELなどの発光素子にダメージを与える確率を増やすこともないので、信頼性の高い表示パネルを提供できる。
【0011】
光吸収性の第2の基板は、透明な基板の上に、黒色樹脂などの光吸収性の層を形成することによっても製造できる。また、光吸収性の素材により第2の基板を製造しても良い。シリコン基板は、単結晶であれば800nm、アモルファスシリコンであれば600nmを中心とした波長を吸収するので、表示パネル用の光吸収性の基板として適している。しかしながら、シリコン基板の吸収特性は、可視光領域に対しては多少長波長側にシフトしているので、発光層に面する側を粗面化して光吸収特性を向上することは有効である。発光層に面する側の光吸収性を向上することにより、第2の基板の界面における反射をさらに少なくできるので、フレネル反射などによる外光の影響のさらに少ない表示パネルを提供できる。
【0012】
シリコン基板の光吸収性を利用したものに太陽電池がある。したがって、光吸収性のある第2の基板として太陽電池を採用することが可能である。太陽電池により表示パネルの背面を形成することにより、表示パネルに入射した外光を表示パネルの発光素子を発光させるためのエネルギー源の一部として利用することが可能となる。さらに、発光素子から背面に放出されていた光を太陽電池により電力に変換し、従来、浪費されていたエネルギーの一部を回収することが可能となる。発光素子からは前面と共に背面にも光が放出されるが、従来、背面に放出されていた光は全く利用されていない。これに対し、本発明の太陽電池を備えた表示パネルであれば、発光素子から出力された光を電力に変換して回収することが可能となる。
【0013】
したがって、本発明の表示パネルと、表示パネルの発光素子を駆動する駆動装置とを有する表示装置により、高コントラストで鮮明な画像を表示できる表示装置を低コストで提供できる。さらに、太陽電池を背面に備えた表示パネルであれば、太陽電池に占有される面積を設けることなく、表示パネルと同じ、またはそれ以上の大きさの太陽電池を設けることが可能であり、太陽電池で発電される電力を表示や他の目的で使用できる。したがって、電池や外部電源の消費を低く抑えることが可能な表示装置を提供できる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して本発明をさらに詳しく説明する。図1に本発明に係る表示パネル3と、この表示パネル3を構成する発光素子を駆動して画像を表示する駆動装置2とを備えた表示装置1を示してある。この表示装置1は、さらに、通信機器5などを備えており、携帯電話機として機能する。本例の表示パネル3は、ユーザ9に向けて表示用の光を出力して画像を提供すると共に、背面に設けられた太陽電池により外光7を吸収して発電し、表示装置1に内蔵されたバッテリー6に充電できるようになっている。
【0015】
図2に、表示パネル3の概略構成を断面図により示してある。本例の表示パネル3は、表示機能を備えた第1の基板10と、太陽電池としての機能を備えた第2の基板20とが接着剤40により貼りあわされた構成となっている。まず、第1の基板10は、透明なガラス基板11に、発光素子13を含んだ発光層12が積層された構成である。本例の発光素子13は有機ELが用いられており、発光素子13の構成には、正孔輸送層および電子輸送層が含まれている。第1の基板10には、複数の発光素子13が、ガラス基板11に沿ってポリイミドからなるバンク15によって仕切られた状態で、2次元にマトリクス状に配置されており、発光素子13の上下には発光素子を駆動するためにITOなどの透明電極16および17が設けられている。
【0016】
第2の基板20は、pin型のアモルファスシリコン太陽電池パネルであり、p型のシリコン層21と、i型のシリコン発電層22と、n型のシリコン層23とが積層された発電層24を備えており、i型のシリコン発電層22が光を吸収することにより発生したキャリア(正孔および電子)が内部電界によるドリフトで運ばれて電圧が発生する。第2の基板20においては、発電層24が透明電極25および26に挟まれた状態でガラス基板29に積層されている。さらに、基板29と反対側の、第1の基板10に面した側には反射防止膜27が形成されている。そして、第1の基板10に対し、発光層12が挟まれるように、第2の基板20が接着剤40により接合されて表示パネル10を構成している。
【0017】
この表示パネル10は、第1の基板10のガラス基板11の側から表示用の光8fが出力されるボトムエミッション型の表示パネルである。さらに、このパネル10は、光が出力される前面9fに対して、裏面あるいは背面9bに位置する太陽電池パネル20は、反射防止膜27を経て入力された光が内部のシリコン発電層22で主に吸収され、発電されるので、背面9bに光吸収性のパネルが設けられた表示パネルとなっている。したがって、表示パネル3に入力された外光7は、第1の基板10を透過して第2の基板である太陽電池パネル20に至り、その内部で吸収され電力に変換される。このため、表示パネル3に入力された外光7が表示パネル3の内部で反射されて出力光8fと共にユーザ9の側に出力されることはなく、外光7によるコントラストの低下を防止できる。
【0018】
さらに、発光素子13から背面9bにむけて出力された光8bも、太陽電池パネル20に至り、その内部で吸収されて電力に変換される。したがって、本例の表示パネル3では、外光7および後方射出光8bを太陽電池パネル20により電力に変換することが可能であり、その電力をバッテリー6に戻すことでバッテリー6の消費電力を軽減できるという効果も備えている。太陽電池パネル20の発電効率を向上する点からは、太陽電池パネル20の基板29または基板上の電極25を反射性として、発電層24を透過した光を発電層24に戻すことが望ましい。しかしながら、戻した光が発電層24を透過して再び第1の基板10に戻って出力光8fと共に出力される可能性がある。このため、本例の表示パネル3においては、太陽電池パネル20に反射性の層を設けずに、発電効率よりも入射した光を反射しない機能を優先した設計を採用している。
【0019】
図3に本例の表示パネル3の製造方法を示してある。この表示パネル3の製造工程は大きく2つに分けられる。第1の工程は、図3の下方に示した第1の基板10を製造する工程であり、透明なガラス基板11の上に、上述した幾つかの層を製膜して発光素子13を含む発光層12が積層された第1の基板10を形成する。第2の工程は、第1の基板10と太陽電池パネル20とを貼り合わせる工程であり、第1の基板10に対し、発光層12が挟まれるように、光吸収性の第2の基板となる太陽電池パネル20を接着剤40により接合する。この第2の工程においては、光の入射側となる反射防止膜27を第1の基板10に向けて太陽電池パネル20を貼り付ける。
【0020】
この製造方法では、太陽電池パネル20は、発光層12が積層される第1の基板10とは別の工程により、独立して製造される。したがって、太陽電池パネル20の歩留まりと、第1の基板10の歩留まりとは独立して管理することができる。このため、発光層12の上に、さらに太陽電池を構成する各層を重ねて製膜する製造方法と比較すると、表示パネル3を製造する一連のプロセスの増加を防ぐことができ、単に、基板を積層するプロセスだけで太陽電池パネル20を背面に備えた表示パネル3を製造できる。したがって、製造プロセスの増加に伴う問題、すなわち、歩留まりの低下や、発光層に対する影響を最小限に抑えることが可能となる。このため、背面が吸収性の面となった表示パネル3を、低コストで、信頼性の高い状態で提供することが可能となる。
【0021】
そして、製造された表示パネル3は、上述したように、発光素子13の背面9bに位置する太陽電池パネル20が光吸収体となるので、外光7の反射が抑制され、外光によるコントラストの低下を防止できる。さらに、外光7および発光素子13の後方出力8bが太陽電池パネル20により電力に変換されて出力されるので、実質的な消費電力を低減することができる。また、太陽電池パネル20は、基板内部のシリコン製の発電層24により光が吸収されるので、基板の外側、たとえば、基板29の背面9bに吸収層を設けた構成と比較すると、発光層12に近い位置で光を吸収することが可能となり、発光層12の背面側の各界面において反射される確率が低く、外光反射が低い構成となっている。さらに、太陽電池パネル20の前面には反射防止膜27が形成され、第1の基板10と第2の基板20との界面における反射は小さくして外光反射を低減すると共に、太陽電池パネル20へ供給される光量を大きくして発電効率を高めている。
【0022】
図4に、本発明の表示パネルの異なる例を示してある。この表示パネル31は、太陽電池パネル20の代わりに、単結晶シリコン基板39を第2の基板として第1の基板10に対し接着剤40により貼り合わせてある。単結晶シリコンは波長が800nm付近を中心とする比較的広い範囲の光を吸収する。したがって、発光層12の背面に設ける光吸収性の基板として適している。さらに、シリコン基板39であると、第1の基板10に面した表面39aが光吸収性となるので、第1の基板10との界面における反射が少なく、外光反射の影響をさらに小さくできる。単結晶シリコン基板の代わりにアモルファスシリコン基板を用いることも可能である。アモルファスシリコン基板は波長が600nm前後を中心とする領域の吸収率が高く、太陽光のスペクトルのピーク(約550nm)にさらに近い吸収域を備えている。したがって、外光反射を抑制するにはさらに適した材料であるといえる。
【0023】
しかしながら、シリコン基板はいずれも長波長側に吸収率が高いので、短波長側の反射をそれほど効率良く抑制することができない。したがって、シリコン基板の表面を粗面化することにより基板表面の吸収率を向上することが望ましい。
【0024】
図5に、本発明の表示パネルの異なる例を示してある。この表示パネル32は、表面39aを粗面化したシリコン基板39を用いて製造されたトップエミッション型の表示パネルである。この表示パネル32の製造方法は、まず、図5(a)に示すように、表面39aを粗面化したシリコン基板31を用意する。そして、図5(b)に示すように、このシリコン基板31の上に、発光素子13を含む発光層12を積層する。さらに、発光層12の上に透明な保護層19を製膜することにより、トップエミッション型で、背面が光吸収性となった表示パネル32を製造し、提供できる。この例では、光吸収性の基板を用いているので、トップエミッション型の表示パネル32においても、製造プロセスを増やすことなく発光層12の背面に光吸収性の面を設け、外光反射を防止できる。さらに、発光層12の背面を構成するシリコン基板39は表面39aが粗面化されているので、発光層12の極めて近傍で広い帯域の外光を効率良く吸収することができる。
【0025】
シリコン基板39の代わりに太陽電池パネル20の上に発光層12を積層し、トップエミッション型で背面が太陽電池となった表示パネルを提供することも可能である。太陽電池パネル20を主構造とした表示パネルは、非常に薄く、背面が吸収性で高コントラストの画像を表示することができ、さらに、太陽電池で発電された電力を表示あるいはその他の目的で利用することができる。そして、この薄い表示パネルを搭載することにより、少なくとも同じサイズの太陽電池を搭載した表示装置を提供できるので、携帯端末など、搭載できるバッテリーのサイズが限られた端末には好適な表示パネルを提供できる。
【0026】
このように、シリコン基板は光吸収性の基板として優れた特性を備えている。しかしながら、シリコンウェハとして提供されるのは最大でも直径が12インチ程度に限られ、それ以上大きなサイズの表示パネルには適用できない。これに対し、ガラス基板などに吸光性の高い樹脂や金属を製膜して表面を光吸収性とした基板は、種々のサイズのものを提供可能である。
【0027】
図6に、本発明のさらに異なる表示パネルの例を示してある。この表示パネル33は、ガラス基板51の表面に黒色樹脂シート52を貼り付けて光吸収性とした第2の基板50を用いて製造されたボトムエミッション型の表示パネルである。この表示パネル33の製造方法は、まず、図7に示すように、表面50aに黒色で光吸収性のシート52が貼り付けられた、または製膜された光吸収性の基板50を用意する。そして、透明なガラス基板11の上に発光層12が形成された第1の基板10に対し、発光層12を挟み込むように、黒色の表面を発光層12に向けて第2の基板50を接着剤40により貼り付ける。これにより、発光層12の背面が黒色の光吸収性となった表示パネル33を製造し、提供できる。
【0028】
光吸収性の基板は、表面が光拡散性の拡散板であっても良く、また、表面に干渉多層膜が形成された基板であっても良い。これらの基板は、それほど困難ではなく、様々なサイズのものを得ることができる。そして、これらの表面が光吸収性となった第2の基板を、発光層が形成された第1の基板10とは独立して製造できる。したがって、第2の基板を、発光層が形成された第1の基板10と接合して製造された表示パネルは、製造プロセスを増やすことなく、表示パネルの構造の内部に光吸収性の層が形成される。このため、本発明により、製造プロセスの増加に伴う歩留まりの低下や、発光素子の信頼性の低下を引き起こすことなく、外光反射を極めて高いレベルで防止された表示パネルを提供できる。
【0029】
本発明にかかる表示パネルは、上述したような携帯電話機のような表示装置に限定されず、カーナビゲーションシステム、コンピュータのモニタ、テレビなどの多種多様な表示装置に適用可能であり、鮮明な画像を提供できる。また、発光素子は有機ELに限定されるものではなく、他の自発光素子、たとえば、放電セルを発光素子とするプラズマディスプレイパネルや、LEDを発光素子とする表示パネルに対しても、本発明を適用することができる。
【0030】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明においては、光吸収性の第2の基板を用意し、その第2の基板を発光層が形成された第1の基板と接合したり、第2の基板の上に発光層を積層することにより表示パネルを製造している。したがって、表示パネルを製造する際に、光吸収性の層を製造するプロセスを加えなくても発光層の背面が光吸収性となった表示パネルを製造することができ、製造プロセスの増加による歩留まりの低下や、信頼性の低下を未然に防止できる。したがって、外光反射の少ない、高コントラストの表示が可能で信頼性の高い表示パネルを低コストで提供できる。さらに、第2の基板として太陽電池パネルを採用することが可能であり、外光および発光素子の後方出力を電力に変えて回収することができる。したがって、実質的に表示パネルで消費される電力を低減することができ、消費電力が低く、信頼性が高く、さらに表示能力の優れた表示パネルおよび表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る表示パネルを含む表示装置の一例を示す図である。
【図2】本発明に係る表示パネルの概略構成を示す断面図である。
【図3】図2の表示パネルを製造する様子を示す図である。
【図4】本発明の異なる表示パネルの構成を示す図である。
【図5】本発明のさらに異なる表示パネルの構成を示す図である。
【図6】本発明のさらに異なる表示パネルの構成を示す図である。
【図7】図6に示す表示パネルを製造する様子を示す図である。
【符号の説明】
1 表示装置
2 駆動装置
3、31、32、33 表示パネル
7 外光
8、8f、8b 出力光
10 第1の基板
20 太陽電池パネル(第2の基板)
Claims (17)
- 発光素子を含む発光層が透明基板に積層された第1の基板を製造する第1の工程と、
前記第1の基板に対し、前記発光層が挟まれるように、光吸収性の第2の基板を接合する第2の工程とを有する表示パネルの製造方法。 - 請求項1において、前記第2の基板は、前記第1の基板に面する側が光吸収性である、表示パネルの製造方法。
- 請求項1において、前記第2の基板はシリコン基板である、表示パネルの製造方法。
- 請求項1において、前記第2の基板は前記第1の基板に面する側が粗面化されたシリコン基板である、表示パネルの製造方法。
- 請求項1において、前記第2の基板は、前記第1の基板に面する側が入射側となった太陽電池パネルである、表示パネルの製造方法。
- 少なくとも表面または内部が光吸収性の第2の基板の前記表面の上に発光素子を含む発光層を積層する工程を有する表示パネルの製造方法。
- 請求項6において、前記第2の基板はシリコン基板である、表示パネルの製造方法。
- 請求項6において、前記第2の基板は、前記表面が粗面化されたシリコン基板である、表示パネルの製造方法。
- 請求項6において、前記第2の基板は、前記表面が入射側となった太陽電池パネルである、表示パネルの製造方法。
- 少なくとも表面または内部が光吸収性の第2の基板の前記表面の上に発光素子を含む発光層が積層されている表示パネル。
- 請求項10において、前記発光層は、透明な電極に挟まれた前記発光素子を備えている表示パネル。
- 請求項10において、前記第2の基板はシリコン基板である表示パネル。
- 請求項10において、前記第2の基板は、前記表面が粗面化されたシリコン基板である表示パネル。
- 請求項10において、前記第2の基板は、前記表面が入射側となった太陽電池パネルである表示パネル。
- 表面が入射側となった太陽電池パネルの前記表面の上に発光素子を含む発光層が積層されている表示パネル。
- 表面が入射側となった太陽電池パネルの前記表面に、発光素子を含む発光層が透明基板に積層された第1の基板が、前記発光層が挟まれるように接合されている表示パネル。
- 請求項10、15または16に記載の表示パネルと、その表示パネルの発光素子を駆動させる駆動装置を有する表示装置。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2014115526A (ja) * | 2012-12-11 | 2014-06-26 | Denso Corp | 太陽電池パネル付きelディスプレイ装置 |
WO2014121563A1 (zh) * | 2013-02-07 | 2014-08-14 | 北京京东方光电科技有限公司 | 显示基板、显示面板和制造显示基板的方法 |
US10566578B2 (en) | 2016-03-22 | 2020-02-18 | Japan Display Inc. | Display device |
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2003
- 2003-03-10 JP JP2003063351A patent/JP2004271963A/ja not_active Withdrawn
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