JP2004268826A - Structure of vehicle front - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、バンパを備えた車体前部の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車等の車両では、その車体前部に、衝突時に衝撃を吸収して歩行者を保護し、また車体への損傷を抑えるフロントバンパを備えている。このようなフロントバンパについて、図12に基づいて説明する。
【0003】
図12(A)に示すフロントバンパ100は、車体Sの前部に前後方向に沿って配設された左右一対のサイドメンバ102の先端に、バンパ骨格部材(リインフォースメント)104がクラッシュボックス(図略)を介して取り付け、このバンパ骨格部材104をバンパカバー106によって車体前方側から覆って構成されている。バンパ骨格部材104の地上高は、歩行者Pの膝関節Nの高さに略一致している。
【0004】
このため、車体Sがフロントバンパ100において歩行者Pに衝突すると、該衝突による荷重が歩行者Pの膝関節Nに作用して該膝関節Nへの加害性が大となる。具体的には、図12(B)に示される如く、膝関節Nへ上記荷重が集中し、かつ該荷重による膝関節Nの曲げ角が大となる。
【0005】
この対策として、図13(A)に示されるフロントバンパ110は、グリル112、エンジンフード114とバンパカバー106の前端との段差Dをフロントバンパ100における段差D’よりも縮小している(D<D’)。このフロントバンパ110では、図13(B)に示される如く、衝突によってバンパカバー106が変形する(凹む)と、歩行者Pの膝関節Nよりも上の部分がグリル112またはエンジンフード114に当接し、歩行者Pに作用する荷重が分散されて膝関節Nに作用する荷重が関されると共に、膝関節Nの曲げが抑制される。
【0006】
しかしながら、この構成では、従来はバンパカバー106の損傷程度で済んでいた軽衝突であっても、車体S側の損傷がグリル112またはエンジンフード114にまで及び、修理コストが高くなるという問題があった。また、グリル112、エンジンフード114を含む車体S前部のデザインに制約を受け、デザインの自由度が低下する原因となる。
【0007】
また、歩行者Pの膝関節Nへの加害性を低減する別の対策として、図14に示すフロントバンパ120では、第2の骨格部材122を備えている。第2の骨格部材122は、サイドメンバ102から垂下されたサポート部材124に取り付けられてバンパ骨格部材104の下方に配置されており、該バンパ骨格部材104と共にバンパカバー106によって車体前方側から覆われている。これにより、上記衝突時による荷重を歩行者Pの膝関節Nよりも低い位置にも作用させ、膝関節Nを保護するようになっている。
【0008】
しかしながら、上記フロントバンパ120を備えた車体Sでは、バンパ骨格部材104よりも下方に第2の骨格部材122を配設しているため、フロントバンパ120(の外郭を構成するバンパカバー106)が下方及び前方へ拡大されており、タイヤTとバンパカバー106の下部との共通接線が水平線との間に為す角であるアプローチアングルβが減少してしまうという問題があった。
【0009】
そこで、可動部材によって歩行者Pの膝関節Nよりも下方に荷重を作用させる構成が考えられている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0010】
特許文献1の構成では、衝撃吸収用バンパと、衝突時に歩行者を上方に持ち上げるように変位する保護バンパと、通常は保護バンパ下方に収容されており上記保護バンパの変位に連動して作動する保護手段とを備えている。この保護手段は、上記作動により下方または前方に突出し、歩行者の膝関節よりも下の部分に荷重を作用させて歩行者の脚をすくい上げ、上記バンパの変位との共動により歩行者をエンジンフード上に乗せて2次傷害を防止するようになっている。しかしながら、この構成では、保護手段が車体における衝撃吸収用バンパよりも下方の前端下部に配置されており、十分なアプローチアングルを得ることができない。換言すれば、アプローチアングルについて何ら考慮されていなかった。
【0011】
一方、特許文献2の構成では、支持部材を介してサイドサポートに支持された突出部材がバンパ骨格部材よりも下方かつ前方に突出して配置されており、衝突に伴って突出部材がさらに下方へ移動しつつ歩行者の膝関節よりも下の部分に荷重を作用させるようになっている。これにより、衝突時に歩行者の脚が払われ、該歩行者を確実にエンジンフード(ボンネット)上に乗せて2次傷害を防止することができる。そして、この構成では、衝突時に下方へ移動する突出部材を、比較的上部に配置することができ、アプローチアングルを大きく設定することが可能とされている。
【0012】
しかしながら、この特許文献2の構成では、突出部材は、上記下方への移動に伴って後方へも移動するようになっており、該突出部材によって歩行者の脚を払うためには、該突出部材を、上記移動後の状態でバンパ骨格部材よりも前方に位置するように、通常時においてバンパ骨格部材よりもさらに前方に配置しておく必要がある。そして、本構成では、突出部材(を覆うバンパカバーの部分)が最初に歩行者と当接するように、バンパカバーの下部がバンパ骨格部材を覆う部分よりも前方に突出する形状とされていた。
【0013】
このため、本構成によっても十分なアプローチアングルを確保することができない場合があった。特に、オフロードでの走行が考慮され悪路走行性が要求されるRV車等に要求されるアプローチアングルを確保することは困難であった。
【0014】
また、上記RV車は、そのエンジンフードの位置が高く、歩行者の足を払ったりすくい上げたりしても、該歩行者をエンジンフード上に乗せることは困難である。このため、RV車やエンジンフードのない商用車(所謂1ボックス車やトラック等)では、衝突時に歩行者の足を払う機能よりも、上記フロントバンパ100またはフロントバンパ120を備えた車体Sのように、歩行者の膝関節に作用する荷重を確実に緩和する機能が重視される。
【0015】
【特許文献1】
特開2001−1848号公報
【特許文献2】
特開2001−88655号公報
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事実を考慮して、歩行者との衝突時に該歩行者の膝関節に作用する荷重を緩和でき、かつ十分なアプローチアングルを確保することができる車体前部の構造を得ることが目的である。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1記載の発明に係る車体前部の構造は、バンパ骨格部材がバンパカバーによって被覆されたバンパを備えた車体前部の構造であって、前記バンパカバーの下端よりも下方に突出することなく配置され、前記バンパへの衝突によって変位または変形することで初期衝突部位に対し相対的に前方へ移動して、該衝突による荷重を受ける面積を車体上下方向に増大させる荷重分散手段を設けた、ことを特徴としている。
【0018】
請求項1記載の車体前部の構造では、バンパへの衝突が生じると、荷重分散手段は、該衝突によって変位または変形して初期衝突部位に対し相対的に前方へ移動する。この相対移動によって、荷重分散手段は、上記衝突による荷重を受ける面積を上下方向に増大させる。すなわち、車体前部において衝突荷重を受ける面積が上下方向に増大する。
【0019】
このため、バンパが歩行者の膝関節に衝突した場合に、荷重分散手段によって歩行者における膝関節から上方または下方に離間した位置に荷重を作用させ、膝関節に作用する荷重を緩和することができる。そして、荷重分散手段は、バンパカバーの下端よりも下方に突出することなく配置されており、かつ上記の通り初期衝突部位に対し相対的に前方へ移動して荷重を受けるため、換言すれば、通常は初期衝突する部位よりも後方に配置されているため、該荷重分散手段の設置により車体前部におけるアプローチアングルに制約を与えることがないか、または該制約が小さい。これにより、十分なアプローチアングルを確保することができる。
【0020】
このように、請求項1記載の車体前部の構造では、歩行者との衝突時に該歩行者の膝関節に作用する荷重を緩和でき、かつ十分なアプローチアングルを確保することができる。
【0021】
なお、請求項1記載の荷重分散手段は、初期衝突部位に対し上側または下側の何れか一方に荷重を受ける面積を増大させても良く、初期衝突部位に対し上下両側に荷重を受ける面積を増大させても良いことは言うまでもない。また、バンパカバーの下端よりも下方へ突出することなく配置される荷重分散手段は、例えばバンパカバー自体等のバンパの構成部品であっても良く、バンパとは独立して構成されても良い。さらに、荷重分散手段は、アプローチアングルを考慮する必要のない衝突時には、バンパカバーの下端よりも下方へ突出しても良い。
【0022】
請求項2記載の発明に係る車体前部の構造は、請求項1記載の車体前部の構造において、前記荷重分散手段を、上下方向の中間部が車体の構造部材に回動可能に支持され、上下方向一端側に作用する前記荷重によって他端側を初期衝突部位の上方または下方で車両前方側へ突出させて、該他端部で前記衝突による荷重の一部を支持する可動部材で構成した、ことを特徴としている。
【0023】
請求項2記載の車体前部の構造では、荷重分散手段である可動部材の上下方向中間部が車体の構造部材に回動可能に支持されており、この可動部材の上下方向一端部は、衝突の際に他端部よりも先に該衝突による荷重が作用するようになっている。そして、バンパへの衝突が生じると、可動部材は、その一端部作用する荷重によって他端部を初期衝突部位に対し上方または下方で車体前方側に突出させ、該衝突による荷重の一部を支持する。
【0024】
これにより、誤作動の恐れのない簡単な構造で、上記歩行者との衝突時に該歩行者の膝関節に作用する荷重を緩和でき、かつ十分なアプローチアングルを確保することができる機能が実現される。
【0025】
請求項3記載の発明に係る車体前部の構造は、請求項2記載の車体前部の構造において、前記可動部材を、車体の前後方向に沿って設けられた左右一対のサイドメンバに架け渡されるバンパ骨格部材で構成した、ことを特徴としている。
【0026】
請求項3記載の車体前部の構造では、バンパカバーに覆われてバンパを構成するバンパ骨格部材が、サイドメンバに回動可能に支持されて上記可動部材としての機能を果たすようになっている。換言すれば、バンパの構成部品が、荷重分散手段としての可動部材を兼ねている。このため、上記歩行者との衝突時に該歩行者の膝関節に作用する荷重を緩和でき、かつ十分なアプローチアングルを確保することができる機能を簡単な構成で実現しつつ、部品点数の削減が図られる。
【0027】
請求項4記載の発明に係る車体前部の構造は、請求項1記載の車体前部の構造において、前記荷重分散手段を、前記バンパカバーに取り付けられて車体の外郭を構成し、前記衝突による該バンパカバーの変形によって車両前方側へ突出して、前記荷重を該バンパカバーにおける衝突部位よりも上方または下方で支持するカバー部材とした、ことを特徴としている。
【0028】
請求項4記載の車体前部の構造では、カバー部材がバンパカバーに取り付けられて車体の外郭を構成している。そして、バンパカバーに衝突が生じて該バンパカバーが変形すると、カバー部材がバンパカバーにおける初期衝突部位に対し前方側へ突出し、該衝突による荷重を初期衝突部位の上方または下方で支持する。
【0029】
これにより、誤作動の恐れのない簡単な構造で、上記歩行者との衝突時に該歩行者の膝関節に作用する荷重を緩和でき、かつ十分なアプローチアングルを確保することができる機能が実現される。
【0030】
なお、カバー部材としては、バンパカバーの上方に配置されるグリルの一部または全部やエンジンフードの一部であっても良く、バンパカバー自体における初期衝突部位よりも上側または下側の一部であっても良い。
【0031】
【発明の実施の形態】
本発明に係る車体前部の構造の第1の実施形態について、図1乃至図3に基づいて説明する。なお、図中矢印FRは車体の前方向を、矢印UPは車体の上方向を示す。
【0032】
図1には自動車車体(以下、単に車体という)Sの前部の構造が側断面図にて示されており、図2には車体Sの前部の構造が一部分解した斜視図にて示されている。これらの図に示される如く、車体Sは、その前部の骨格部材としてのフロントサイドメンバ10、ラジエータサポート12(図1では、図示省略)を備えている。
【0033】
フロントサイドメンバ10は、車体Sの前後方向に沿って長手とされ、左右一対とされている。ラジエータサポート12は、ラジエータサポートアッパ12Aと、それぞれ一対のフロントサイドメンバ10間でラジエータサポートアッパ12Aから垂下された左右一対のラジエータサポートサイド12Bと、該一対のラジエータサポートサイド12Bの下端を連結するラジエータサポートロアクロス12Cとで構成されており、ラジエータ14(図1参照)を保持するようになっている。
【0034】
また、車体Sはフロントバンパ16を備えており、フロントバンパ16は、バンパ骨格部材としてのバンパリインフォースメント18を備えている。バンパリインフォースメント18は、車体Sの車幅(左右)方向に長手とされ、左右一対のフロントサイドメンバ10の先端部(前端部)に、クラッシュボックス20を介して取り付けられている。バンパリインフォースメント18の長手方向両端部は、それぞれフロントサイドメンバ10よりも車幅方向に張り出している。
【0035】
なお、フロントサイドメンバ10、バンパリインフォースメント18、及びクラッシュボックス20は、それぞれ、例えばアルミニウムの押出し成形品からなる断面矩形状の閉断面構造とされている。
【0036】
さらに、フロントバンパ16は、バンパカバー22を備えている。バンパカバー22は、バンパリインフォースメント18と同様に車幅方向に長手とされており、車体Sの前端下部に固定されている。このバンパカバー22は、薄肉とされており、衝突によって衝撃(衝撃エネルギ)が加わった際に、変形または破断するようになっている。すなわち、バンパカバー22は、軽衝突時には単体で衝突エネルギを吸収し得るように構成されている。
【0037】
このバンパカバー22には、本第1の実施形態では、車幅方向に長手とされた上下2つの空気取入用の孔部24、26が設けられている。以下、バンパカバー22における孔部24、26間の部分を中間部22A、下側の孔部24よりも下方部分を下部22B、孔部26よりも上方部分を上部22Cということとする。下部22Bの上前端は、中間部22Aの下端よりも後方に位置している(孔部24が上下方向に対し傾斜している。)
以上説明したバンパカバー22は、その中間部22Aがバンパリインフォースメント18を前方側から覆っている。この状態で中間部22Aの内面とバンパリインフォースメント18前端との間には、隙間Cが形成されている。そして、このバンパリインフォースメント18の地上高は、歩行者Pの膝関節Nの高さに略対応している。
【0038】
また、バンパカバー22の上部後端近傍の上側にはグリル28が配置されており、グリル28の上端の上側にはエンジンフード30の前端部が位置している。すなわち、バンパカバー22は、エンジンフード30の前端、グリル28よりも前方に突出して配置されている。
【0039】
さらに、この車体Sは、荷重分散手段である可動部材32を備えている。可動部材32は、略上下方向に長手とされると共に下端部が前方へ屈曲して側面視で略「L(逆L)」字状とされた左右一対のアーム部34と、該一対のアーム部34の上端を連結する荷重入力部36と、一対のアーム部34の前方に屈曲した先端に架け渡された荷重支持部38とを有して構成されている。
【0040】
この可動部材32は、各アーム部34の長手(上下)方向の中間部が、バンパリインフォースメント18の前面下端に設けられた支持部18Aにそれぞれヒンジ結合されてヒンジ部32Aとされており、該ヒンジ部32A廻りに回動可能とされている。この状態で、可動部材32の荷重入力部36は、隙間C内でバンパリインフォースメント18の前面から離間して位置しており、荷重支持部38は、バンパカバー22の孔部24の内縁に沿って(バンパカバー22と略面一に)配置されて外部に臨んでいる。
【0041】
この可動部材32の位置を待機位置ということとする。図1に示される如く、可動部材32が待機位置に位置しているときには、該可動部材32は全体として下端よりも上側に位置し、十分なアプローチアングルαが確保されている。なお、アプローチアングルαは、図1に示される如く、タイヤTとバンパカバー22の下部24Bとの共通接線と水平線との為す角である。
【0042】
そして、可動部材32は、荷重入力部36が後方に押圧されると、上記ヒンジ部32A廻りに回動して荷重支持部38を前方へ突出(移動)させるようになっている。すなわち、図3に示される如く、フロントバンパ16への衝突が生じてバンパカバー22の中間部22Aが変形して荷重入力部36を後方へ押圧すると、荷重支持部38が初期衝突部位であるバンパカバー22に対し相対的に前方へ移動して該バンパカバー22の孔部24から外部に突出する構成である。この可動部材32の位置を荷重支持位置ということとする。
【0043】
また、通常時に可動部材32を待機位置に保持するために、例えば、上記ヒンジ結合をピン結合として、支持部18Aとアーム部34とを摩擦接触させたり、可動部材32を待機位置で当接するストッパとの当接方向へばね等の付勢手段によって付勢したり、衝突によって破断または変形可能な保持部材を介して可動部材32を車体に保持する構造を採用することができる。また例えば、ヒンジ結合の軸自体を、捩りばねとして作用する弾性部材や弾塑性体であるトーションバー等として、該軸の一端部を支持部18Aに固定すると共に他端部をアーム部34の中間部に固定する構造を採用することも可能である。
【0044】
これらの何れかの保持構造を用いることで、可動部材32は、車体Sの加速時や減速時に不用意に作動して荷重支持位置に変位することがなくなる。また、上記衝突時には、可動部材32の保持力(摩擦力や弾性力、部材の塑性変形や破壊等に要する力)に抗して可動部材32を荷重支持位置に変位させることとなり、該可動部材32の作動に伴って、衝突エネルギの一部を吸収することも可能である。
【0045】
なお、本第1の実施形態では、可動部材32を支持部18Aにおいて回動可能に支持するバンパリインフォースメント18が、本発明における「車体の構造部材」に相当する。
【0046】
次に、本第1の実施形態の作用を説明する。
【0047】
上記構成の車体前部の構造が適用された車体Sでは、通常は可動部材32が待機位置に位置しており、アプローチアングルαが確保されている。これにより、例えば、悪路走行が可能とされる。
【0048】
一方、歩行者Pのフロントバンパ16への衝突の際には、該歩行者Pの膝関節N近傍がバンパカバー22の中間部22Aに衝突する。すると、図3に示される如く、バンパカバー22が変形しつつ可動部材32の荷重入力部36を後方へ押圧する。
【0049】
この押圧荷重によって可動部材32は、ヒンジ部32A廻り(図3では時計方向)に回動し、その荷重支持部38をバンパリインフォースメント18よりも下方において前方へ突出させる。これにより、可動部材32の荷重支持部38が、歩行者Pにおける膝関節Nよりも下側部分に当接し、衝突による荷重を支持する。すなわち、可動部材32が衝突による荷重を受ける面積を上下方向に増大させる。
【0050】
このため、歩行者Pにおいては、膝関節Nに対し下方に離間した部分に荷重が作用することで、該膝関節Nに作用する荷重が緩和され、歩行者Pが衝突に対し保護される。
【0051】
そして、この可動部材32は、衝突時に荷重支持部38を初期衝突部位であるバンパカバー22の中間部22A(バンパリインフォースメント18)に対し相対的に前方へ移動して荷重を支持するため、通常時にはバンパカバー22の下端よりも下方に突出することなく、かつ初期衝突する中間部22Aよりも後方の待機位置に配置することが可能となった。これにより、車体Sでは、十分なアプローチアングルαを確保している。換言すれば、荷重分散機能が上記待機位置と荷重支持位置とを取り得る可動部材32によって果たされるため、該荷重分散機能を付加することによるアプローチアングル対する制約がないか、または該制約が極めて小さい。したがって、例えば、RV車等に本第1の実施形態に係る車体前部の構造を適用すれば、悪路走行性能を犠牲にすることなく、上記衝突時の歩行者保護を図ることができる。
【0052】
このように、本第1の実施形態に係る車体前部の構造では、歩行者Pとの衝突時に該歩行者Pの膝関節Nに作用する荷重を緩和でき、かつ十分なアプローチアングルを確保することができる。
【0053】
また、可動部材32が、単にヒンジ部32Aによって回動可能に支持されることで、待機位置と荷重支持位置とを取り得るようになっているため、本第1の実施形態に係る車体前部の構造が適用された車体Sでは、誤作動の恐れのない簡単な構造で、上記歩行者Pとの衝突時に該歩行者Pの膝関節Nに作用する荷重を緩和でき、かつ十分なアプローチアングルを確保することができる機能が実現されている。
【0054】
(他の実施形態)
次に、本発明の他の実施形態を説明する。なお、上記第1の実施形態または前出の構成と基本的に同一の部品・部分については、上記第1の実施形態または前出の構成と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0055】
(第2の実施形態)
図4(A)には、本発明に係る車体前部の構造の第2の実施形態が側断面図にて示されている。この図に示される如く、本第2の実施形態では、バンパリインフォースメント18及び可動部材32に代えて、可動バンパリインフォースメント40を備えている点で、上記第1の実施形態とは異なる。
【0056】
可動バンパリインフォースメント40は、側面視で略矩形状の第1荷重支持部42と、該第1荷重支持部42の後部から下方へ延設された第2荷重支持部44とを有して、側面視で略「L」字状に形成されている。この可動バンパリインフォースメント40は、第1荷重支持部42と第2荷重支持部44との境界部分(すなわち上下方向中間部)の後端近傍が、各クラッシュボックス20(フロントサイドメンバ10)の前下端に設けられた支持部20Aにそれぞれヒンジ結合されてヒンジ部40Aとされている。
【0057】
この状態で、第1荷重支持部42は、隙間C内に配置され、その地上高が歩行者Pの膝関節Nの高さに略対応している。また、第1荷重支持部42の背面42Aは、第2荷重支持部44と平行である前面42Bに対し、その下部(ヒンジ部40A)から上部にかけて連続的に近接する(細幅となる)ように傾斜している。これにより、可動バンパリインフォースメント40のヒンジ部40A廻りの回動が許容される構成である。
【0058】
この回動によって、可動バンパリインフォースメント40は、第2荷重支持部44を第1荷重支持部42の前面42Bよりも後方に位置させる初期位置(図4(A)参照)と、第2荷重支持部44を前方側へ突出させる荷重分散位置(図4(B)参照)とを取り得るようになっている。
【0059】
初期位置では、第1荷重支持部42の前面42B及び第2荷重支持部44が共に上下方向に沿っており、背面42Aと各クラッシュボックス20の前面との間に上側ほど広くなる隙間が形成されている。また、この状態では、第2荷重支持部44が第1荷重支持部42の前面42Bに対し後方に位置し、かつ可動バンパリインフォースメント40が全体としてバンパカバ22の下端部より上側に位置しており、十分なアプローチアングル(図示省略)が確保されている。
【0060】
一方、荷重分散位置では、第1荷重支持部42の背面42Aが各クラッシュボックス20の前面に当接して第2荷重支持部44が前方側へ突出し、第1荷重支持部42の前下部及び第2荷重支持部44の前下部の前後方向における位置が略一致するようになっている。
【0061】
また、ヒンジ部40Aは、上記ヒンジ部32Aと同様に各種構造を取ることで、通常は可動バンパリインフォースメント40を初期位置に保持している。そして、可動バンパリインフォースメント40は、第1荷重支持部42が後方に押圧されると、上記ヒンジ部40A廻りに回動して荷重分散位置に至るようになっている。
【0062】
この可動バンパリインフォースメント40は、第1荷重支持部42がバンパカバー22の中間部22Aによって前方側から覆われると共に、第2荷重支持部44が下部22Bによって前方側から覆われている。すなわち、第2荷重支持部44は、第1荷重支持部42と同様に、歩行者Pとの衝突の際にバンパカバー22を介して該歩行者Pの荷重を支持するようになっている。
【0063】
本第2の実施形態に係る車体前部の構造が適用された車体Sでは、通常は可動バンパリインフォースメント40部材が初期位置に位置しており、十分なアプローチアングルが確保されている。これにより、例えば、悪路走行が可能とされる。
【0064】
一方、歩行者Pのフロントバンパ16への衝突の際には、該歩行者Pの膝関節N近傍がバンパカバー22の中間部22Aに衝突する。すると、図4(B)に示される如く、バンパカバー22が変形しつつ可動バンパリインフォースメント40の第1荷重支持部42を後方へ押圧する。
【0065】
この押圧荷重によって可動バンパリインフォースメント40は、ヒンジ部40A廻り(図4(B)では時計方向)に回動し、その第2荷重支持部44を第1荷重支持部42よりも下方において前方へ突出させる。これにより、可動バンパリインフォースメント40は、その第2荷重支持部44において歩行者Pにおける膝関節Nよりも下側部分に当接し、衝突による荷重を第1荷重支持部42と第2荷重支持部44とに分散させて支持する。すなわち、可動バンパリインフォースメント40が衝突による荷重を受ける面積を上下方向に増大させる。
【0066】
このため、歩行者Pにおいては、膝関節Nに対し下方に離間した部分に荷重が作用することで、該膝関節Nに作用する荷重が緩和され、歩行者Pが衝突に対し保護される。
【0067】
そして、この可動バンパリインフォースメント40は、衝突時に第2荷重支持部44を初期衝突部位である第1荷重支持部42(バンパカバー22の中間部22A)に対し相対的に前方へ移動して荷重を支持するため、通常時にはバンパカバー22の下端よりも下方に突出することなく、かつ初期衝突する第1荷重支持部42よりも後方の初期位置に配置することが可能となった。これにより、車体Sでは、十分なアプローチアングルαを確保している。換言すれば、荷重分散機能が上記初期位置と荷重分散位置とを取り得る可動バンパリインフォースメント40によって果たされるため、該荷重分散機能を付加することによるアプローチアングル対する制約がないか、または該制約が極めて小さい。したがって、例えば、RV車等に本第2の実施形態に係る車体前部の構造を適用すれば、悪路走行性能を犠牲にすることなく、上記衝突時の歩行者保護を図ることができる。
【0068】
また、可動バンパリインフォースメント40がそれぞれ本発明における「バンパ骨格部材」と「可動部材」とを兼ねるため、本第2の実施形態に係る車体前部の構造が適用された車体Sは、部品点数が少なく構造が簡単である構成によって、上記歩行者保護及びアプローチアングル確保の各機能を実現している。
【0069】
なお、図4(A)及び図4(B)では、第1荷重支持部42及び第2荷重支持部44の各前下部は、角部とされているが、これに代えて、荷重分散位置で上下方向に沿う平面または曲率が大きい突曲面としても良い。この場合、第2荷重支持部44が荷重分散位置に位置するときに孔部24から突出する構成とすることも可能である。
【0070】
(第3の実施形態)
図5(A)には、本発明に係る車体前部の構造の第3の実施形態が側断面図にて示されている。この図に示される如く、本第3の実施形態では、可動部材32に代えて、アクチュエータ50を備えている点で、上記第1の実施形態とは異なる。
【0071】
アクチュエータ50は、本体50Aと、本体50Aに設けられ作動によって本体50Aに対し伸長するアクチュエータロッド50Bを備えている。アクチュエータ50は、例えば、車体Sに別途設けられたエアバッグ装置等の乗員保護手段の作動信号が入力されると、作動するようになっている。本体50Aは、アクチュエータロッド50Bの伸長方向が車体Sの前方側となるように、フロントサイドメンバ10よりも下方においてラジエータサポート12のラジエータサポートサイド12Bに固定されている。
【0072】
また、アクチュエータロッド50Bの先端には荷重支持部52が設けられている。アクチュエータ50は、その非作動時の状態が、荷重支持部52を孔部24の内縁に沿ってバンパカバー22の外部に臨ませる待機状態とされる。この状態では、荷重支持部52を含むアクチュエータ50が全体としてバンパカバー22の下端部よりも上側に位置しており、十分なアプローチアングル(図示省略)が確保されている。一方、アクチュエータ50は、作動して図5(B)に示される如くアクチュエータロッド50Bを伸長し、荷重支持部52を孔部24から前方側へ突出させた状態が、荷重支持状態とされる。
【0073】
本第3の実施形態に係る車体前部の構造が適用された車体Sでは、通常はアクチュエータ50が待機状態であり、アプローチアングルが確保されている。これにより、例えば、悪路走行が可能とされる。
【0074】
一方、歩行者Pのフロントバンパ16への衝突の際には、該歩行者Pの膝関節N近傍がバンパカバー22の中間部22Aに衝突する。このとき、車体Sのエアバッグ装置用等の各種センサ(の少なくとも1つ)が該衝突を検知し、作動信号をエアバッグ装置等及びアクチュエータ50へ出力する。すると、アクチュエータ50は作動し、荷重支持部52をバンパリインフォースメント18よりも下方において前方へ突出させる。これにより、荷重支持部52が、歩行者Pにおける膝関節Nよりも下側部分に当接し、衝突による荷重を支持する。すなわち、アクチュエータ50が衝突による荷重を受ける面積を上下方向に増大させる。
【0075】
このため、歩行者Pにおいては、膝関節Nに対し下方に離間した部分に荷重が作用することで、該膝関節Nに作用する荷重が緩和され、歩行者Pが衝突に対し保護される。
【0076】
そして、このアクチュエータ50は、衝突時に荷重支持部52を初期衝突部位であるバンパカバー22の中間部22A(バンパリインフォースメント18)に対し相対的に前方へ移動して荷重を支持するため、通常時にはバンパカバー22の下端よりも下方に突出することなく、かつ初期衝突する中間部22Aよりも後方の待機位置に配置することが可能となった。これにより、車体Sでは、十分なアプローチアングルαを確保している。換言すれば、荷重分散機能が上記待機状態と荷重支持状態とを取り得るアクチュエータ50によって果たされるため、該荷重分散機能を付加することによるアプローチアングル対する制約がないか、または該制約が極めて小さい。したがって、例えば、RV車等に本第3の実施形態に係る車体前部の構造を適用すれば、悪路走行性能を犠牲にすることなく、上記衝突時の歩行者保護を図ることができる。
【0077】
(第4の実施形態)
図6(A)には、本発明に係る車体前部の構造の第4の実施形態が側断面図にて示されている。この図に示される如く、本第4の実施形態では、バンパカバー22に代えてバンパカバー60を備え、可動部材32に相当する部材を備えない点で、上記第1の実施形態とは異なる。
【0078】
バンパカバー60は、その上下方向中間部60Aが上端部60B及び下端部60Cよりも前方に突出し、かつ略上下対称に形成されている。中間部60Aと上端部60B、下端部60Cとの間は連続的に傾斜しており、この部分に孔部24、26に相当する孔部を設けても良い。中間部60Aの地上高は、歩行者Pの膝関節Nの高さに対応している。
【0079】
このバンパカバー60は、その中間部60Aが所定値以上の荷重で後方に押圧されると、図6(B)に示される如く、該中間部60Aが上端部60B及び下端部60Cの各前端よりも後方へ凹むように構成されている。換言すれば、衝突によって中間部60Aに後方への押圧荷重が作用すると、上端部60B及び下端部60Cの各前端部が初期衝突部位である中間部60Aに対し相対的に前方へ突出する構成とされている。この変形を許容するために、バンパカバー60の中間部60Aとバンパリインフォースメント18との間には、初期状態で所定距離だけ離間して配置されている。
【0080】
本第4の実施形態に係る車体前部の構造が適用された車体Sでは、バンパカバー60の中間部60Aが上端部60B及び下端部60Cよりも前方に突出している。一方、歩行者Pのフロントバンパ16への衝突の際には、該歩行者Pの膝関節N近傍がバンパカバー60の中間部60Aに衝突する。この衝突荷重によって、中間部60Aは後方へ凹み、バンパカバー60の上端部60B及び下端部60Cの各前端部が歩行者Pの膝関節Nを挟む両側に当接し、衝突による荷重を支持する。すなわち、バンパカバー60が衝突による荷重を受ける面積を上下方向に増大させる。
【0081】
このため、歩行者Pにおいては、膝関節Nに対し上下に離間した部分に荷重が作用することで、該膝関節Nに作用する荷重が緩和され、歩行者Pが衝突に対し保護される。また、膝関節Nに直接的に荷重が作用しないため、該膝関節Nの曲げが防止または抑制される。本構成は、バンパカバー60のみで衝突荷重を支持(吸収)し得る軽衝突時(衝突荷重が略2乃至3KN程度であるとき)に、特に有効である。
【0082】
そして、バンパカバー60の下端部60Cの前端部は、上記の通り初期衝突部位であり膝関節Nの高さに対応して位置するバンパカバー60の中間部60Aに対し相対的に前方へ移動して荷重を受けるため、換言すれば、衝突時に中間部60Aよりも下方において該中間部60Aに対し相対的に前方に突出する下端部60Cの前端部が、通常は中間部60Aよりも後方に位置するため、十分なアプローチアングルを確保することができる。したがって、例えば、RV車等に本第4の実施形態に係る車体前部の構造を適用すれば、悪路走行性能を犠牲にすることなく、上記衝突時の歩行者保護を図ることができる。
【0083】
また、バンパカバーが本発明における「荷重分散手段」を兼ねるため、本第4の実施形態に係る車体前部の構造が適用された車体Sでは、部品点数が少なく構造が簡単である構成によって、上記歩行者保護及びアプローチアングル確保の各機能を実現している。
【0084】
(第5の実施形態)
図7には、本発明に係る車体前部の構造の第5の実施形態が側断面図にて示されており、図8には、本第5の実施形態が斜視図にて示されている。これらの図に示される如く、本第5の実施形態では、膝関節Nよりも下方で荷重を支持する可動部材32に代えて、膝関節Nよりも上方で荷重を支持する可動部材70を備える点で、上記第1の実施形態とは異なる。
【0085】
可動部材70は、略上下方向に長手とされた左右一対のアーム部72と、一対のアーム部72の下端からそれぞれ略前方へ延設された連結部72Aの先端を連結する荷重入力部74と、一対のアーム部72の下端からそれぞれ略前方へ延設された連結部72Bの先端に架け渡された荷重支持部76とを有して構成されている。
【0086】
この可動部材70は、各アーム部72の長手(上下)方向の中間部が、バンパリインフォースメント18よりも上側で各ラジエータサポートサイド12Bの前面に設けられた支持部12Eにそれぞれヒンジ結合されてヒンジ部70Aとされており、該ヒンジ部70A廻りに回動可能とされている。この状態で、可動部材70の荷重入力部74は、バンパカバー22の上部22Cの内面近傍に位置して該上部22Cに覆われている。
【0087】
一方、荷重支持部76は、グリル28とエンジンフード30との間に形成された窓部78の内縁に沿って(バンパカバー22と略面一に)配置されて外部に臨んでいる。この可動部材70の位置を待機位置ということとする。
【0088】
そして、可動部材70は、荷重入力部74が後方に押圧されると、上記ヒンジ部70A廻りに回動して荷重支持部76を前方へ突出(移動)させるようになっている。すなわち、図9に示される如く、フロントバンパ16への衝突が生じてバンパカバー22の上部22Cが変形して荷重入力部74を後方へ押圧すると、荷重支持部76が初期衝突部位であるバンパカバー22に対し相対的に前方へ移動して窓部78から外部に突出する構成である。この可動部材70の位置を荷重支持位置ということとする。
【0089】
また、ヒンジ部70Aは、ヒンジ部32Aと同様の構造を採用して、通常は可動部材70を待機位置に保持するようになっている。この可動部材70は、全体としてバンパリインフォースメント18(バンパカバー22の中間部22A)よりも上側に配置されており、アプローチアングルには影響(制約)を与えない構成である。
【0090】
なお、本第5の実施形態では、可動部材70を支持部12Eにおいて回動可能に支持するラジエータサポート12(各ラジエータサポートサイド12B)が、本発明における「車体の構造部材」に相当する。
【0091】
本第5の実施形態に係る車体前部の構造が適用された車体Sでは、通常は可動部材32が待機位置に位置している。一方、歩行者Pのフロントバンパ16への衝突の際には、該歩行者Pの膝関節N近傍がバンパカバー22の中間部22A及び上部22Cに衝突する。すると、図9に示される如く、バンパカバー22が変形しつつ可動部材70の荷重入力部74を後方へ押圧する。
【0092】
この押圧荷重によって可動部材70は、ヒンジ部70A廻り(図9では時計方向)に回動し、その荷重支持部76をバンパリインフォースメント18よりも上方において前方へ突出させる。これにより、可動部材70の荷重支持部76が、歩行者Pにおける膝関節Nよりも上側部分に当接し、衝突による荷重を支持する。すなわち、可動部材70が衝突による荷重を受ける面積を上下方向に増大させる。
【0093】
このため、歩行者Pにおいては、膝関節Nに対し上方に離間した部分に荷重が作用することで、該膝関節Nに作用する荷重が緩和され、歩行者Pが衝突に対し保護される。また、可動部材70が膝関節Nよりも上側で荷重を支持するため、膝関節Nの曲げが抑制され(曲げ角が小さくなり)、さらにグリル28等に対するバンパカバー22の突出量に拘わらず軽衝突時のグリル28やエンジンフード30の損傷も防止される。これにより、上記バンパカバー22の突出量を所望の量とすることができ、車体S前部のデザインの自由度が向上する。
【0094】
そして、この可動部材70は、全体としてバンパリインフォースメント18よりも上側に配置されているため、可動部材70の設置によるアプローチアングル対する制約が全くない。これにより、本第5の実施形態に係る車体前部の構造が適用された車体Sでは、十分なアプローチアングルを確保することができ、例えば、RV車等においても、悪路走行性能を犠牲にすることなく、上記衝突時の歩行者保護を図ることができる。
【0095】
また、可動部材70が、単にヒンジ部70Aによって回動可能に支持されることで、待機位置と荷重支持位置とを取り得るようになっているため、本第5の実施形態に係る車体前部の構造では、誤作動の恐れのない簡単な構造で、上記歩行者Pとの衝突時に該歩行者Pの膝関節Nに作用する荷重を緩和でき、かつ十分なアプローチアングルを確保することができる機能が実現されている。
【0096】
(第6の実施形態)
図10(A)には、本発明に係る車体前部の構造の第6の実施形態が側断面図にて示されている。この図に示される如く、本第6の実施形態では、バンパカバー22、グリル28、及び可動部材32に代えて、バンパカバー80、「カバー部材」としての可動グリル82を備える点で、上記第1の実施形態とは異なる。
【0097】
バンパカバー80と可動グリル82とは、互いに連結される点で、バンパカバー22、グリル28とは異なる。具体的には、バンパカバー80の上端と可動グリル82の下端とが互いに連結されており、可動グリル82がバンパカバー80の変形すなわちバンパカバー80上端の変位に追従可能とされている。
【0098】
これにより、図10(B)に示される如く、バンパカバー80が衝突によって変形すると、可動グリル82の上部がエンジンフード30の前端よりも前方へ突出するようになっている。すなわち、可動グリル82の上部が、初期衝突部位であるバンパカバー80に対し前方へ移動する構成である。
【0099】
この可動グリル82は、その背面側に設けられた取付部82Aを有しており、該取付部82Aにおいて破断または変形(伸長)可能な保持部材を介して車体Sに保持されている。これにより、可動グリル82が不用意に変位しないようになっている。
【0100】
本第6の実施形態に係る車体前部の構造を備えた車体Sでは、通常は可動グリル82がバンパカバー80の上端とエンジンフード30の前端との間に位置している。一方、歩行者Pのフロントバンパ16への衝突の際には、該歩行者Pの膝関節N近傍がバンパカバー80に衝突する。この衝突荷重によって、バンパカバー80は変形し(潰れ)、可動グリル82の上部が前方へ突出する。これにより、可動グリル82の上部が歩行者Pにおける膝関節Nよりも上側部分に当接し、衝突による荷重を支持する。すなわち、可動グリル82が衝突による荷重を受ける面積を上下方向に増大させる。
【0101】
このため、歩行者Pにおいては、膝関節Nに対し上方に離間した部分に荷重が作用することで、該膝関節Nに作用する荷重が緩和され、歩行者Pが衝突に対し保護される。本構成は、バンパカバー60のみで衝突荷重を支持(吸収)し得る軽衝突時(衝突荷重が略2乃至3KN程度であるとき)に、特に有効である。
【0102】
また、可動部材70が膝関節Nよりも上側で荷重を支持するため、膝関節Nの曲げが抑制され(曲げ角が小さくなり)、またグリル28等に対するバンパカバー22の突出量に拘わらず軽衝突時のグリル28やエンジンフード30の損傷も防止される。これにより、上記バンパカバー22の突出量を所望の量とすることができ、車体S前部のデザインの自由度が向上する。
【0103】
そして、この可動グリル82は、全体としてバンパカバー80よりも上側に配置されているため、可動部材70の設置によるアプローチアングル対する制約が全くない。これにより、本第6の実施形態に係る車体前部の構造を備えた車体Sでは、十分なアプローチアングルを確保することができ、例えば、RV車等においても、悪路走行性能を犠牲にすることなく、上記衝突時の歩行者保護を図ることができる。
【0104】
また、通常のグリルとしても機能する可動グリル82が本発明における「荷重分散手段」を兼ねるため、本第6の実施形態に係る車体前部の構造を備えた車体Sでは、部品点数が少なく構造が簡単である構成によって、上記歩行者保護及びアプローチアングル確保の各機能を実現している。
【0105】
なお、可動グリル82に代えて、エンジンフード30における他の部分と分離可能な前端近傍の一部を、バンパカバー80の上端に該バンパカバー80の変形に追従可能に取り付けても良い。
【0106】
(第7の実施形態)
図11には、本発明に係る車体前部の構造の第7の実施形態が側断面図にて示されている。この図に示される如く、本第7の実施形態では、可動部材32に代えて、アクチュエータ90を備えている点で、上記第1の実施形態とは異なる。
【0107】
アクチュエータ90は、本体50Aとアクチュエータロッド50Bを備えており、単体では上記アクチュエータ50と同様に構成されているが、その取付部位がラジエータサポートサイド12Bにおけるバンパリインフォースメント18よりも上側である点で、アクチュエータ50とは異なる。
【0108】
そして、アクチュエータ90の作動により本体50Aに対し前方に伸長するアクチュエータロッド50Bの先端には、荷重支持部92が設けられている。このアクチュエータ90は、その非作動時の状態が、図11に想像線にて示される如く、荷重支持部92を窓部78の内縁に沿って外部に臨ませる待機状態とされる。一方、アクチュエータ90は、作動して図11に示される如くアクチュエータロッド50Bを伸長し、荷重支持部92を窓部78から前方側へ突出させた状態が、荷重支持状態とされる。
【0109】
本第7の実施形態に係る車体前部の構造が適用された車体Sでは、通常はアクチュエータ90が待機状態とされている。一方、歩行者Pのフロントバンパ16への衝突の際には、該歩行者Pの膝関節N近傍がバンパカバー22の中間部22Aに衝突する。このとき、車体Sのエアバッグ装置用等の各種センサ(の少なくとも1つ)が該衝突を検知し、作動信号をエアバッグ装置等及びアクチュエータ90へ出力する。すると、アクチュエータ90は作動し、荷重支持部92をバンパリインフォースメント18よりも上方で前方へ突出させる。これにより、荷重支持部92が、歩行者Pにおける膝関節Nよりも上側部分に当接し、衝突による荷重を支持する。すなわち、アクチュエータ90が衝突による荷重を受ける面積を上下方向に増大させる。
【0110】
このため、歩行者Pにおいては、膝関節Nに対し上方に離間した部分に荷重が作用することで、該膝関節Nに作用する荷重が緩和され、歩行者Pが衝突に対し保護される。また、荷重支持部92が膝関節Nよりも上側で荷重を支持するため、膝関節Nの曲げが抑制され(曲げ角が小さくなり)、またグリル28等に対するバンパカバー22の突出量に拘わらず軽衝突時のグリル28やエンジンフード30の損傷も防止される。これにより、上記バンパカバー22の突出量を所望の量とすることができ、車体S前部のデザインの自由度が向上する。
【0111】
そして、この荷重支持部92を含むアクチュエータ90は、全体としてバンパリインフォースメント18、バンパカバー22よりも上側に配置されているため、アクチュエータ90の設置によるアプローチアングル対する制約が全くない。これにより、本第7の実施形態に係る車体前部の構造が適用された車体Sでは、十分なアプローチアングルを確保することができ、例えば、RV車等においても、悪路走行性能を犠牲にすることなく、上記衝突時の歩行者保護を図ることができる。
【0112】
なお、本発明は、上記第1乃至第7の実施形態には限定されず、各実施形態における特徴的な構成要素の一部または全部を適宜組合わせり組み替えた構成とすることもできる。したがって、例えば、車体前部の構造は、可動バンパリインフォースメント40と可動グリル82(バンパカバー80)を共に有する構成であっても良く、可動グリル82に代えてまたは可動グリル82と共に、バンパカバー80の変形に追従して前方へ突出し膝関節Nよりも下側で荷重を支持するカバー部(例えば、バンパカバー80の下部を構成するもの)を備えた構成としても良い。
【0113】
また、本発明における荷重分散手段は、上記第1乃至第7の実施形態に示されたものには限定されず、通常はバンパカバーの下端よりも下方へ突出することなく配置され、バンパへの衝突によって変位または変形することで初期衝突部位に対し相対的に前方へ移動して該衝突による荷重を受ける面積を車体上下方向に増大させるものであれば足りる。したがって、例えば、通常はバンパカバーの下端よりも下方へ突出することなく配置された荷重分散手段が、衝突時に前下方に移動して歩行者の足を払うように構成しても良い。
【0114】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係る車体前部の構造は、歩行者との衝突時に該歩行者の膝関節に作用する荷重を緩和でき、かつ十分なアプローチアングルを確保することができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る車体前部の構造を示す側断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る車体前部の構造を示す斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る車体前部の構造の衝突状態の側断面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る車体前部の構造を示す図であって、(A)は衝突前の側断面図、(B)は衝突状態の側断面図である。
【図5】本発明の第3の実施形態に係る車体前部の構造を示す図であって、(A)は衝突前の側断面図、(B)は衝突状態の側断面図である。
【図6】本発明の第4の実施形態に係る車体前部の構造を示す図であって、(A)は衝突前の側断面図、(B)は衝突状態の側断面図である。
【図7】本発明の第5の実施形態に係る車体前部の構造を示す側断面図である。
【図8】本発明の第5の実施形態に係る車体前部の構造を示す斜視図である。
【図9】本発明の第5の実施形態に係る車体前部の構造の衝突状態の側断面図である。
【図10】本発明の第6の実施形態に係る車体前部の構造を示す図であって、(A)は衝突前の側断面図、(B)は衝突状態の側断面図である。
【図11】本発明の第7の実施形態に係る車体前部の構造を示す側断面図である。
【図12】従来の車体前部の構造を示す図であって、(A)は衝突前の側断面図、(B)は衝突状態の側断面図である。
【図13】従来の別の車体前部の構造を示す図であって、(A)は衝突前の側断面図、(B)は衝突状態の側断面図である。
【図14】従来のさらに別の車体前部の構造を示す側断面図である。
【符号の説明】
10 サイドサポート(車体の構造部材)
12 ラジエータサポート(車体の構造部材)
16 フロントバンパ(バンパ)
18 バンパリインフォースメント(バンパ骨格部材、車体の構造部材)
20 クラッシュボックス(車体の構造部材)
22 バンパカバー
32 可動部材(荷重分散手段)
40 可動バンパリインフォースメント(バンパ骨格部材、荷重分散手段、可動部材)
50 アクチュエータ(荷重分散手段)
60 バンパカバー(荷重分散手段)
70 可動部材(荷重分散手段)
80 バンパカバー
82 可動グリル(荷重分散手段、カバー部材)
90 アクチュエータ(荷重分散手段)[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a structure of a vehicle body front portion provided with a bumper.
[0002]
[Prior art]
2. Description of the Related Art In vehicles such as automobiles, a front bumper is provided at a front portion of a vehicle body to protect a pedestrian by absorbing an impact at the time of a collision and to prevent damage to the vehicle body. Such a front bumper will be described with reference to FIG.
[0003]
In the
[0004]
For this reason, when the vehicle body S collides with the pedestrian P at the
[0005]
As a countermeasure, in the
[0006]
However, this configuration has a problem that even in a light collision in which the
[0007]
Further, as another measure for reducing the harmfulness of the pedestrian P to the knee joint N, the
[0008]
However, in the vehicle body S provided with the
[0009]
Therefore, a configuration in which a load is applied below the knee joint N of the pedestrian P by a movable member has been considered (for example, see Patent Documents 1 and 2).
[0010]
In the configuration of Patent Literature 1, a shock absorbing bumper, a protective bumper that is displaced so as to lift a pedestrian upward in the event of a collision, and are usually housed below the protective bumper, and operate in conjunction with the displacement of the protective bumper. Protection means. The protection means projects downward or forward by the above operation, applies a load to a portion below the pedestrian's knee joint, scoops up the pedestrian's leg, and cooperates with the displacement of the bumper to cause the pedestrian to move in the engine. Put on the hood to prevent secondary injury. However, in this configuration, the protection means is disposed below the front end of the vehicle body below the shock absorbing bumper, and a sufficient approach angle cannot be obtained. In other words, no consideration was given to the approach angle.
[0011]
On the other hand, in the configuration of
[0012]
However, in the configuration of
[0013]
For this reason, a sufficient approach angle may not be secured even with this configuration. In particular, it has been difficult to secure an approach angle required for an RV vehicle or the like that requires off-road traveling and requires rough road traveling performance.
[0014]
Further, in the above RV vehicle, the position of the engine hood is high, and it is difficult to put the pedestrian on the engine hood even if the pedestrian walks or scoops up. For this reason, in an RV vehicle or a commercial vehicle without an engine hood (a so-called one-box vehicle or a truck), the vehicle body S having the
[0015]
[Patent Document 1]
JP 2001-1848 A
[Patent Document 2]
JP 2001-88655 A
[0016]
[Problems to be solved by the invention]
The present invention has been made in consideration of the above facts, and provides a structure of a vehicle body front portion capable of reducing a load acting on a knee joint of a pedestrian in a collision with the pedestrian and securing a sufficient approach angle. Is the purpose.
[0017]
[Means for Solving the Problems]
In order to achieve the above object, a front body structure according to the present invention is a front body structure provided with a bumper in which a bumper frame member is covered by a bumper cover, and a lower end of the bumper cover. It is arranged without protruding below, and moves forward relative to the initial collision site by being displaced or deformed by collision with the bumper, increasing the area receiving the load due to the collision in the vertical direction of the vehicle body A load dispersing means for dispersing the load.
[0018]
In the structure of the front part of the vehicle body according to the first aspect, when a collision with the bumper occurs, the load dispersing means is displaced or deformed by the collision and moves forward relative to the initial collision part. By this relative movement, the load distribution means increases the area receiving the load due to the collision in the vertical direction. That is, the area receiving the collision load in the front part of the vehicle body increases in the vertical direction.
[0019]
Therefore, when the bumper collides with the pedestrian's knee joint, the load distribution means applies a load to the pedestrian at a position separated upward or downward from the knee joint, thereby reducing the load acting on the knee joint. it can. Then, the load dispersing means is arranged without protruding below the lower end of the bumper cover, and moves forward relative to the initial collision site to receive the load as described above, in other words, Usually, since it is arranged behind the part where the initial collision occurs, the installation of the load distribution means does not limit the approach angle at the front part of the vehicle body or the restriction is small. Thereby, a sufficient approach angle can be secured.
[0020]
Thus, in the structure of the front part of the vehicle body according to the first aspect, the load acting on the knee joint of the pedestrian at the time of collision with the pedestrian can be reduced, and a sufficient approach angle can be secured.
[0021]
The load distribution means according to claim 1 may increase an area receiving a load on either the upper side or the lower side with respect to the initial collision site, and may increase an area receiving a load on both the upper and lower sides with respect to the initial collision site. It goes without saying that it may be increased. In addition, the load distributing means arranged without protruding below the lower end of the bumper cover may be a component of the bumper such as the bumper cover itself, or may be configured independently of the bumper. Further, the load dispersing means may protrude downward from the lower end of the bumper cover at the time of collision in which it is not necessary to consider the approach angle.
[0022]
According to a second aspect of the invention, there is provided a vehicle body front structure according to the first aspect, wherein the load distributing means is rotatably supported by a structural member of the vehicle body at an intermediate portion in a vertical direction. A movable member configured to cause the other end to protrude toward the vehicle front side above or below the initial collision site by the load acting on one end in the vertical direction, and to support a part of the load due to the collision at the other end. It is characterized by that.
[0023]
In the structure of the front part of the vehicle body according to the second aspect, the vertical middle part of the movable member serving as the load distribution means is rotatably supported by the structural member of the vehicle body, and one end of the movable member in the vertical direction is impacted by a collision. At this time, the load due to the collision acts before the other end. Then, when a collision with the bumper occurs, the movable member causes the other end to protrude upward or downward with respect to the initial collision site toward the front side of the vehicle body by a load acting on one end thereof, thereby supporting a part of the load due to the collision. I do.
[0024]
This realizes a function that can reduce a load acting on the knee joint of the pedestrian at the time of a collision with the pedestrian and can secure a sufficient approach angle with a simple structure without a risk of malfunction. You.
[0025]
According to a third aspect of the present invention, there is provided a vehicle body front structure according to the second aspect, wherein the movable member is bridged between a pair of left and right side members provided along the front-rear direction of the vehicle body. And a bumper skeleton member.
[0026]
In the structure of the front part of the vehicle body according to the third aspect, the bumper skeleton member which is covered by the bumper cover and constitutes the bumper is rotatably supported by the side member and functions as the movable member. . In other words, the component parts of the bumper also serve as a movable member as load distributing means. Therefore, the function of reducing the load acting on the knee joint of the pedestrian at the time of collision with the pedestrian and realizing a function of securing a sufficient approach angle can be realized with a simple configuration, and the number of parts can be reduced. It is planned.
[0027]
According to a fourth aspect of the present invention, there is provided the vehicle body front structure according to the first aspect, wherein the load dispersing means is attached to the bumper cover to form an outer shell of the vehicle body, and the load dispersing means is provided in the vehicle body. It is characterized in that the cover member protrudes forward of the vehicle due to the deformation of the bumper cover and supports the load above or below a collision portion of the bumper cover.
[0028]
In the structure of the front part of the vehicle body according to the fourth aspect, the cover member is attached to the bumper cover to form an outer shell of the vehicle body. Then, when a collision occurs in the bumper cover and the bumper cover is deformed, the cover member protrudes forward with respect to the initial collision site in the bumper cover, and supports the load due to the collision above or below the initial collision site.
[0029]
This realizes a function that can reduce a load acting on the knee joint of the pedestrian at the time of a collision with the pedestrian and can secure a sufficient approach angle with a simple structure without a risk of malfunction. You.
[0030]
The cover member may be a part or all of a grill disposed above the bumper cover or a part of the engine hood, and may be a part of the bumper cover itself above or below the initial collision site. There may be.
[0031]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
A first embodiment of the structure of the front part of the vehicle body according to the present invention will be described with reference to FIGS. In the drawings, the arrow FR indicates the forward direction of the vehicle body, and the arrow UP indicates the upward direction of the vehicle body.
[0032]
FIG. 1 is a side sectional view showing a structure of a front part of an automobile body (hereinafter, simply referred to as a body) S, and FIG. 2 is a partially exploded perspective view of the structure of the front part of the body S. Have been. As shown in these figures, the vehicle body S is provided with a
[0033]
The
[0034]
The vehicle body S includes a
[0035]
The
[0036]
Further, the
[0037]
In the first embodiment, the
The
[0038]
In addition, a
[0039]
Further, the vehicle body S includes a
[0040]
In the
[0041]
This position of the
[0042]
When the
[0043]
Further, in order to hold the
[0044]
By using any of these holding structures, the
[0045]
In the first embodiment, the
[0046]
Next, the operation of the first embodiment will be described.
[0047]
In the vehicle body S to which the structure of the front part of the vehicle body having the above configuration is applied, the
[0048]
On the other hand, when the pedestrian P collides with the
[0049]
Due to this pressing load, the
[0050]
For this reason, in the pedestrian P, a load acts on a portion separated downward from the knee joint N, whereby the load acting on the knee joint N is reduced, and the pedestrian P is protected against collision.
[0051]
The
[0052]
As described above, in the structure of the front portion of the vehicle body according to the first embodiment, the load acting on the knee joint N of the pedestrian P at the time of collision with the pedestrian P can be reduced, and a sufficient approach angle can be secured. be able to.
[0053]
Further, since the
[0054]
(Other embodiments)
Next, another embodiment of the present invention will be described. Note that parts and portions that are basically the same as those in the first embodiment or the above-described configuration are denoted by the same reference numerals as those in the first embodiment or the above-described configuration, and description thereof is omitted.
[0055]
(Second embodiment)
FIG. 4A is a side sectional view showing a second embodiment of the structure of the front portion of the vehicle body according to the present invention. As shown in this figure, the second embodiment is different from the first embodiment in that a
[0056]
The
[0057]
In this state, the first
[0058]
Due to this rotation, the
[0059]
In the initial position, the front surface 42B of the first
[0060]
On the other hand, at the load distribution position, the
[0061]
In addition, the hinge portion 40A normally holds the
[0062]
In the
[0063]
In the vehicle body S to which the structure of the vehicle body front portion according to the second embodiment is applied, the
[0064]
On the other hand, when the pedestrian P collides with the
[0065]
Due to this pressing load, the
[0066]
For this reason, in the pedestrian P, a load acts on a portion separated downward from the knee joint N, whereby the load acting on the knee joint N is reduced, and the pedestrian P is protected against collision.
[0067]
The
[0068]
In addition, since the
[0069]
In FIG. 4A and FIG. 4B, the front lower portions of the first
[0070]
(Third embodiment)
FIG. 5A is a side sectional view of a third embodiment of the structure of the front portion of the vehicle body according to the present invention. As shown in this figure, the third embodiment differs from the first embodiment in that an
[0071]
The
[0072]
A
[0073]
In the vehicle body S to which the structure of the vehicle body front portion according to the third embodiment is applied, the
[0074]
On the other hand, when the pedestrian P collides with the
[0075]
For this reason, in the pedestrian P, a load acts on a portion separated downward from the knee joint N, whereby the load acting on the knee joint N is reduced, and the pedestrian P is protected against collision.
[0076]
The
[0077]
(Fourth embodiment)
FIG. 6A shows a fourth embodiment of the structure of the front portion of the vehicle body according to the present invention in a side sectional view. As shown in this figure, the fourth embodiment is different from the first embodiment in that a
[0078]
The
[0079]
As shown in FIG. 6B, when the
[0080]
In the vehicle body S to which the structure of the vehicle body front portion according to the fourth embodiment is applied, the
[0081]
For this reason, in the pedestrian P, a load acts on a portion vertically separated from the knee joint N, so that the load acting on the knee joint N is reduced, and the pedestrian P is protected against collision. Further, since no load acts directly on the knee joint N, bending of the knee joint N is prevented or suppressed. This configuration is particularly effective in a light collision (when the collision load is approximately 2 to 3 KN) in which the collision load can be supported (absorbed) only by the
[0082]
The front end of the
[0083]
Further, since the bumper cover also functions as the “load distributing means” in the present invention, the vehicle body S to which the structure of the front part of the vehicle body according to the fourth embodiment is applied has a small number of parts and a simple structure. Each function of pedestrian protection and approach angle securing is realized.
[0084]
(Fifth embodiment)
FIG. 7 is a side sectional view of a fifth embodiment of a vehicle body front structure according to the present invention, and FIG. 8 is a perspective view of the fifth embodiment. I have. As shown in these drawings, in the fifth embodiment, a
[0085]
The
[0086]
The
[0087]
On the other hand, the
[0088]
When the
[0089]
The
[0090]
In the fifth embodiment, the radiator supports 12 (each
[0091]
In the vehicle body S to which the structure of the vehicle body front portion according to the fifth embodiment is applied, the
[0092]
Due to this pressing load, the
[0093]
For this reason, in the pedestrian P, a load acts on a portion separated upward from the knee joint N, whereby the load acting on the knee joint N is reduced, and the pedestrian P is protected against collision. In addition, since the
[0094]
Since the
[0095]
Further, since the
[0096]
(Sixth embodiment)
FIG. 10A is a side sectional view showing a sixth embodiment of the structure of the front portion of the vehicle body according to the present invention. As shown in this figure, the sixth embodiment is different from the sixth embodiment in that a
[0097]
The
[0098]
Thus, as shown in FIG. 10B, when the
[0099]
The
[0100]
In the vehicle body S having the vehicle body front structure according to the sixth embodiment, the
[0101]
For this reason, in the pedestrian P, a load acts on a portion separated upward from the knee joint N, whereby the load acting on the knee joint N is reduced, and the pedestrian P is protected against collision. This configuration is particularly effective in a light collision (when the collision load is approximately 2 to 3 KN) in which the collision load can be supported (absorbed) only by the
[0102]
Further, since the
[0103]
Since the
[0104]
Further, since the
[0105]
Instead of the
[0106]
(Seventh embodiment)
FIG. 11 is a side sectional view showing a seventh embodiment of the structure of the front portion of the vehicle body according to the present invention. As shown in this figure, the seventh embodiment is different from the first embodiment in that an
[0107]
The
[0108]
A
[0109]
In the vehicle body S to which the structure of the vehicle body front portion according to the seventh embodiment is applied, the
[0110]
For this reason, in the pedestrian P, a load acts on a portion separated upward from the knee joint N, whereby the load acting on the knee joint N is reduced, and the pedestrian P is protected against collision. Further, since the
[0111]
Since the
[0112]
The present invention is not limited to the first to seventh embodiments described above, and may have a configuration in which some or all of the characteristic components in each embodiment are appropriately combined and rearranged. Therefore, for example, the structure of the front part of the vehicle body may be a configuration having both the
[0113]
Further, the load dispersing means in the present invention is not limited to those shown in the first to seventh embodiments, and is usually arranged without projecting below the lower end of the bumper cover, and What suffices is one that moves forward or relatively to the initial collision site by being displaced or deformed by the collision and increases the area receiving the load due to the collision in the vertical direction of the vehicle body. Therefore, for example, the load distributing means normally arranged without projecting below the lower end of the bumper cover may be configured to move forward and downward to pay the foot of the pedestrian at the time of collision.
[0114]
【The invention's effect】
As described above, the structure of the front part of the vehicle body according to the present invention is excellent in that a load acting on the knee joint of the pedestrian at the time of a collision with the pedestrian can be reduced and a sufficient approach angle can be secured. Has an effect.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a side sectional view showing a structure of a front portion of a vehicle body according to a first embodiment of the present invention.
FIG. 2 is a perspective view showing a structure of a front portion of the vehicle body according to the first embodiment of the present invention.
FIG. 3 is a side sectional view showing a collision state of the vehicle body front structure according to the first embodiment of the present invention.
FIG. 4 is a view showing a structure of a front portion of a vehicle body according to a second embodiment of the present invention, wherein (A) is a side sectional view before a collision, and (B) is a side sectional view in a collision state.
5A and 5B are diagrams showing a structure of a front portion of a vehicle body according to a third embodiment of the present invention, wherein FIG. 5A is a side sectional view before a collision, and FIG. 5B is a side sectional view in a collision state.
FIG. 6 is a view showing a structure of a front portion of a vehicle body according to a fourth embodiment of the present invention, wherein (A) is a side sectional view before a collision, and (B) is a side sectional view in a collision state.
FIG. 7 is a side sectional view showing a structure of a front portion of a vehicle body according to a fifth embodiment of the present invention.
FIG. 8 is a perspective view showing a structure of a front portion of a vehicle body according to a fifth embodiment of the present invention.
FIG. 9 is a side sectional view showing a collision state of a vehicle body front structure according to a fifth embodiment of the present invention.
FIG. 10 is a view showing a structure of a front portion of a vehicle body according to a sixth embodiment of the present invention, wherein (A) is a side sectional view before a collision, and (B) is a side sectional view in a collision state.
FIG. 11 is a side sectional view showing a structure of a front portion of a vehicle body according to a seventh embodiment of the present invention.
FIG. 12 is a view showing a structure of a conventional vehicle body front part, in which (A) is a side sectional view before a collision, and (B) is a side sectional view in a collision state.
13A and 13B are diagrams showing another conventional front body structure, in which FIG. 13A is a side sectional view before a collision, and FIG. 13B is a side sectional view in a collision state.
FIG. 14 is a side sectional view showing still another conventional vehicle body structure.
[Explanation of symbols]
10 Side support (body structural members)
12 radiator support (structural member of vehicle body)
16 Front bumper (bumper)
18. Bumper reinforcement (bumper frame members, body structural members)
20 Crash box (Structural member of vehicle body)
22 Bumper cover
32 movable member (load distribution means)
40 Movable bumper reinforcement (bumper skeleton member, load distribution means, movable member)
50 Actuator (Load distribution means)
60 bumper cover (load distribution means)
70 Movable member (load distribution means)
80 bumper cover
82 movable grille (load distribution means, cover member)
90 Actuator (load distribution means)
Claims (4)
前記バンパカバーの下端よりも下方に突出することなく配置され、前記バンパへの衝突によって変位または変形することで初期衝突部位に対し相対的に前方へ移動して、該衝突による荷重を受ける面積を車体上下方向に増大させる荷重分散手段を設けた、
ことを特徴とする車体前部の構造。A structure of a vehicle body front portion including a bumper in which a bumper skeleton member is covered by a bumper cover,
The bumper cover is arranged without protruding below the lower end thereof, and is displaced or deformed by the collision with the bumper to move relatively forward with respect to the initial collision portion, thereby reducing the area receiving the load due to the collision. A load dispersing means for increasing the vehicle body in the vertical direction is provided,
The structure of the front part of the vehicle body, characterized in that:
上下方向の中間部が車体の構造部材に回動可能に支持され、上下方向一端側に作用する前記荷重によって他端側を初期衝突部位の上方または下方で車両前方側へ突出させて、該他端部で前記衝突による荷重の一部を支持する可動部材で構成した、
ことを特徴とする請求項1記載の車体前部の構造。The load distribution means,
An intermediate portion in the up-down direction is rotatably supported by a structural member of the vehicle body, and the load acting on one end in the up-down direction causes the other end to protrude toward the front of the vehicle above or below the initial collision site. The end was configured with a movable member that supports a part of the load due to the collision,
The structure of a front part of a vehicle body according to claim 1, wherein:
前記バンパカバーに取り付けられて車体の外郭を構成し、前記衝突による該バンパカバーの変形によって車両前方側へ突出して、前記荷重を該バンパカバーにおける衝突部位よりも上方または下方で支持するカバー部材で構成した、
ことを特徴とする請求項1記載の車体前部の構造。The load distribution means,
A cover member that is attached to the bumper cover to form an outer shell of the vehicle body, protrudes toward the front of the vehicle by deformation of the bumper cover due to the collision, and supports the load above or below a collision portion of the bumper cover. Configured
The structure of a front part of a vehicle body according to claim 1, wherein:
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003064806A JP2004268826A (en) | 2003-03-11 | 2003-03-11 | Structure of vehicle front |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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Family
ID=33126006
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Country | Link |
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007320530A (en) * | 2006-06-05 | 2007-12-13 | Toyota Motor Corp | Pedestrian collision mitigating device |
JP2009255781A (en) * | 2008-04-17 | 2009-11-05 | Honda Motor Co Ltd | Vehicle body front part structure for vehicle |
JP2013047045A (en) * | 2011-08-29 | 2013-03-07 | Daihatsu Motor Co Ltd | Front end part structure of vehicle |
GB2549379A (en) * | 2016-02-26 | 2017-10-18 | Ford Global Tech Llc | Spring-Assist Lock and Release Lower Leg Front-End Stiffener |
-
2003
- 2003-03-11 JP JP2003064806A patent/JP2004268826A/en active Pending
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