JP2004266663A - 光ファイバおよび信号伝送システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、幹線光ファイバのみならず、構内にまで光ファイバを延ばした信号伝送システム100を実現する。中継光ファイバおよび構内光ファイバには、可撓性の優れたプラスチック光ファイバを利用する。特に、アナログ信号の効率的な伝送を実現するために、構内光ファイバのコア径を100μm以上と大きくする。アクリル系のPMMA樹脂材料で形成された光ファイバを採用することにより、安価なシステムを構築するができる。
【選択図】 図5
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高速な通信を実現する技術に関し、特に構内配線に適した光ファイバおよびその光ファイバを利用した信号伝送システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
インターネットの普及に伴い、様々な情報流通サービスが台頭し、通信ネットワークの大容量化および高性能化が求められるようになってきた。インターネット技術は、音楽や映像の配信など幅広い分野にわたって応用され、我々のライフスタイルを大きく変化させている。回線の高速化への需要は高く、最近ではケーブルテレビ(CATV:community antenna television)用に敷設された光ファイバを利用して、ブロードバンドネットワークを構築することも一般に行われるようになっている。
【0003】
図1は、光ファイバを利用した従来のCATV信号伝送システム10の構成を示す図である。この信号伝送システム10は、信号の伝送経路に注目すると4つの区間に分けられる。伝送経路の両端には、ヘッドエンド装置12が存在するセンター区間と、ユーザの構内設備20a、20bが存在する構内区間とが位置し、センター区間と構内区間との間には、信号伝送路を構成する幹線光ファイバ区間と中継同軸ケーブル区間とが位置する。
【0004】
幹線光ファイバ区間にはシングルモードのガラス光ファイバが敷設されており、O/E(光−電気)変換器14およびE/O(電気−光)変換器16を介して、中継同軸ケーブル区間における同軸ケーブルと接続される。同軸ケーブルは、特定の周波数帯域を著しく減衰させる傾向があるため、特にアナログ信号を伝送する場合には、中間にアンプ18aおよび18bを挿入して信号の増幅を行う必要がある。
【0005】
【特許文献1】
特開2003−60752号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
現在、幹線系については光ファイバの敷設が急ピッチで進められているが、構内たとえば家庭内に引き込む回線には、図1に示したように同軸ケーブルが利用されている。そのため、従来の信号伝送システム10では、今後要求される超高速通信に対応できなくなることが予想される。また、同軸ケーブルを用いると、間にアンプ18a、18bを介在させる必要があるため、システム構築が複雑になる。さらに同軸ケーブル中には電気信号が流れるため電磁波障害(EMI:ElectroMagnetic Interference)が発生しやすくなり、例えば病院内で信号伝送システム10を利用する場合、EMIが患者のペースメーカや医療機器などに悪影響を及ぼす危険性もあり、システム設計時に慎重なEMI対策を行う必要が生じる。
【0007】
従来の信号伝送システム10の問題を解決するために、構内区間において同軸ケーブルの代わりにガラス光ファイバを用いるという一つのアプローチが考えられる。しかしながら、このアプローチは、以下に示す理由により現実的に困難である。
【0008】
図2は、シングルモードのガラス光ファイバに光信号を入力する方法を示す図である。シングルモードのガラス光ファイバのコア34径は大体5〜10μm程度であり、レーザダイオード30の光をコア34に入射するためには、一般にレーザダイオード30とコア34の端面との間にレンズ32を介在させなければならない。レンズ32の位置調整は非常に高精度に行われる必要があり、またレンズ32自身も安価でない。さらにコア34径が細いため、光ファイバ同士を接続することが困難であり、伝送システムとしての柔軟性を欠く。
【0009】
この問題を解決するためにコア径を太くすることも考えられるが、その場合、ガラスという材質上、非常に折れやすくなる。特に、構内配線として利用する場合には、光ファイバを直線的に配置できることは稀であり、必要な場所で折り曲げられるように可撓性をもっていることが好ましい。しかしながら、ガラス光ファイバはその要件を充足しておらず、この点においても構内配線に不向きといわざるを得ない。
【0010】
そこで、本発明は、従来の信号伝送技術における課題を解決することのできる光ファイバおよびその光ファイバを利用した信号伝送システムを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の一つの態様は、アナログ電気信号を光信号に変換する機能を有する光源と、光信号を伝送するためのプラスチック光ファイバとを備える信号伝送システムを提供する。プラスチック光ファイバとして、ある程度の太さ、例えば100μm以上のコア径を有するものを採用することが好ましい。可撓性をもつプラスチック光ファイバを採用することで、柔軟に配線を行うことが可能となり、またコア径を大きくすることで、アナログ信号の伝送に適した信号伝送システムを実現することが可能となる。伝送するアナログ電気信号としてベースバンド信号を採用し、これを光源へ入力してもよい。
【0012】
本発明の別の態様は、入力された電気信号を変調する変調器と、変調された電気信号を光信号に変換する機能を有する光源と、光信号を伝送するためのプラスチック光ファイバとを備える信号伝送システムを提供する。この信号伝送システムにおいて、変調器にアナログとデジタルの両形式の電気信号を入力し、これに応じて変調器はそれらの両形式の電気信号に変調を施すことにより、システム全体としてそれらの信号の伝送を実現する。
【0013】
また本発明のさらに別の態様は、入力された電気信号を変調する複数の変調器と、各変調器ごとに設けられ、各変調器により変調された電気信号を光信号にそれぞれ変換する機能を有する複数の光源と、複数の光源から出力される光信号を合波する合波器と、合波された光信号を伝送するためのプラスチック光ファイバとを備える信号伝送システムを提供する。この信号伝送システムにおいて、複数の変調器にアナログとデジタルの両形式の電気信号を入力し、これに応じて変調器はそれらの両形式の電気信号に変調を施すことにより、システム全体としてそれらの信号の伝送を実現する。
【0014】
上記した二つの態様において、プラスチック光ファイバは、100μm以上のコア径を有することが好ましい。このコア径は200μm以上であってもよい。このとき、変調された信号は、アナログ形式の信号であってよい。本発明者が認識したところによれば、コア径を大きくすることで、アナログ信号に適した信号伝送システムを実現することが可能となる。また、変調された信号は、アナログ形式とデジタル形式の信号とが混在したものであってもよい。さらに光源は、レーザダイオードを含んでもよい。
【0015】
本発明のさらに別の態様は、信号伝送システムであって、幹線光ファイバからの信号を中継するための中継光ファイバと、中継光ファイバからの信号を構内に導入するための構内光ファイバとを備え、中継光ファイバおよび構内光ファイバとしてプラスチック光ファイバを採用したことを特徴とする信号伝送システムを提供する。特に構内回線にプラスチック光ファイバを利用することで、折り曲げ可能な配線を実現することができる。
【0016】
構内光ファイバは、アクリル樹脂で形成されてもよく、特に安価に製造できるポリメチルメタクリレートであってもよい。この信号伝送システムは、構内光ファイバの端部に取り付けられる電源用コンセントをさらに備えてもよく、電源用コンセントから、電力および伝送信号を取り出すようにシステムを構築してもよい。電源用コンセントには、光−電気変換器を備えた端末機器がプラスチック光ファイバにより接続されていてもよい。端末機器自身が光−電気変換器を備えることにより、プラスチック光ファイバを端末機器に直接差し込むことができ、超高速通信を実現することが可能となる。
【0017】
本発明のさらに別の態様は、アナログ信号の伝送路の一部を形成するように敷設され、かつプラスチック材料で100μm以上のコア径を有するように形成される光ファイバを提供する。コア径を大きくすることにより、アナログ伝送に適した光ファイバを形成することができる。
【0018】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではなく、これらの特徴の組合わせも又発明となりうる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下の実施の形態においては、新規な信号伝送システムを実現するために、プラスチック光ファイバ(POF)を利用することを特徴とする。プラスチック光ファイバは、可撓性に優れ、且つコア径が大きいことから光ファイバ同士の接続が容易となる利点を有する。
【0020】
図3は、プラスチック光ファイバに光信号を入力する方法を示す図である。プラスチック光ファイバのコア36径は、強度などの観点から実用的には数10〜1000μm程度に形成することができる。コア36径を十分に大きく形成することができるため、レーザダイオード30の光を集光する必要なく、そのまま入射することができる。また、コア36径が大きいことから、光ファイバの端面同士を突き合わせて接続することも容易に実現できる。さらに、プラスチック材料で形成するため、任意の場所で自在に折り曲げることもできる。
【0021】
図4は、GI(Graded Index)型のプラスチック光ファイバの特性を説明するための図である。このGI型のプラスチック光ファイバは、本発明者の1人により考案されたものである。図4(a)は、GI−POFのコアの屈折率を示す。図示されるように、GI−POFのコアは、その断面において中心から端部に向けて緩やかな屈折率の勾配を有している。屈折率の高い中心部では信号の伝播速度は遅く、端部に向かうにつれて屈折率が低くなり、信号の伝播速度は速くなる。図4(b)に実験でGI−POFに入力した信号の波形を示し、図4(c)に信号の伝播軌道を示す。GI−POFは、コアの中心を直線的に進む光波と正弦波のように進む光波の進行距離とが時間的に等しくなるように屈折率の勾配を形成したことを特徴とする。したがって、図4(c)に示されるように光信号がマルチモードで伝播される場合であっても、モード間の伝播遅延は発生せず、入力波形に等しい出力波形を得ることができる。図4(d)は、100mのGI−POFで伝送された出力信号の波形を示す。この実験により、GI−POFを用いると、入力波形と近似度の高い出力波形を取り出せることが証明された。
【0022】
図5は、本発明の実施の形態に係る信号伝送システム100の構成を示す図である。この信号伝送システム100は、信号伝送経路の観点から、センター区間、幹線光ファイバ区間、中継光ファイバ区間および構内区間の4つの区間に分けることができる。センター区間にはCATV会社により管理されるヘッドエンド装置12が存在し、構内区間にはユーザが保有するPC(パーソナルコンピュータ)やTV(テレビ)などの構内設備120a、120b(以下、符号「120」で代表させることもある)が存在する。以下、PCやTVなどの機器を総称して端末機器と呼ぶ。なお構内とは家や建物などで仕切られる空間だけでなく、大学のキャンパスや住宅街など敷地で仕切られる空間も含む意味で用いる。本実施の形態においては、従来の信号伝送システムと異なり、中継光ファイバ区間および構内区間においても光ファイバを採用する。
【0023】
幹線光ファイバ区間は、プラスチック光ファイバが敷設されることが好ましいが、例えば図1に示したCATV用のインフラを利用するのであれば、この区間の信号伝送路は既に敷設されているガラス光ファイバとなる。中継光ファイバ区間および構内区間においては、プラスチック光ファイバが信号伝送路として利用される。特に、ヘッドエンド装置12からの下り信号が既存の幹線光ファイバを利用する場合には、コア径の大きいプラスチック光ファイバを採用して、ファイバ間の接続が容易となるようにシステムを構築することが好ましい。したがって、送信装置110aは光入射用のレンズ系を有しなくてよい。一方で、送信装置110bは、構内設備120からの信号をコア径の細いガラス光ファイバに入射させるため、レンズ系を備えることになる。なお、図5に示す信号伝送システム100は、現状のCATV用のネットワークを利用した例について示すものであり、新たに光ネットワークを構築する場合には、幹線光ファイバにもプラスチック光ファイバを採用することが望ましい。
【0024】
幹線光ファイバおよび中継光ファイバは、送信装置110a、110b(以下、符号「110」で代表させることもある)を介して接続される。送信装置110aおよび110bは、ヘッドエンド装置12または構内設備120から受け取った光信号を一旦電気信号に変換し、それから所定波長の光信号を生成して出力する機能をもつ。また、中継光ファイバおよび構内光ファイバは、コネクタ122a、122b、122c、122d(以下、符号「122」で代表させることもある)を介して接続される。中継光ファイバは、光信号を幹線光ファイバおよび構内光ファイバの間で中継し、構内光ファイバは、中継光ファイバからの光信号を構内に導入しまたは光信号を構内から中継光ファイバに送出する。例えば、中継光ファイバと構内光ファイバを流れる光の波長が異なる場合には、コネクタ122は、送信装置110aおよび110bと同様に、受け取った光信号を一旦電気信号に変換して、所定波長の光信号を生成する機能を有する必要がある。構内において、コネクタ122a、122b、122cおよび122dは、構内光ファイバを介してそれぞれコンセント124a、124b、124cおよび124d(以下、符号「124」で代表させることもある)に接続される。
【0025】
コンセント124は、構内光ファイバの端部に取り付けられる。光ファイバを通じて電力用の光信号が供給され、コンセント124が、伝送用の光信号と電力用の光信号とを受け取るようにシステムを構築してもよい。このように構成することで、コンセント124から、1本の信号伝送路で電力および伝送信号を取り出すことが可能となる。また、コンセント124から端末機器までの信号伝送路もプラスチック光ファイバで構成し、端末機器が光ファイバから直接電力および伝送信号を取り出すようにしてもよい。コンセント124に接続する端末機器がそれぞれO/E変換器を独自に備えることによって、光ファイバから電力および伝送信号を取り出すことが可能となる。
【0026】
本発明者は、100μm以上のコア径を有するプラスチック光ファイバがアナログ信号の伝送に良好な特性を示すことの知見を実験により得た。この実験では特性データの解析だけでなく、アナログのベースバンド映像信号をモニタで表示させ、主観的に画質をチェックすることも行った。さらにプラスチック光ファイバの種類を試した結果、プラスチック光ファイバの中でも、アクリル樹脂、特にPMMA(ポリメチルメタクリレート)で形成された光ファイバがアナログ信号の伝送に好適であることが判明した。アクリル系の光ファイバは安価に製造できるため、信号伝送システム100の構内配線として非常に好ましく、さらに赤色を示す波長の光を用いることから、光検出器側のPD(フォトダイオード)を安価なシリコンで製造できるという利点もある。なお、ガラス光ファイバでは、波長1300nmの高価な光源を使用する必要があり、この点からもアクリル系の光ファイバを利用できることは大きな利点となる。
【0027】
この知見に基づき、構内光ファイバはアクリル系樹脂で形成されることが好ましく、PMMAで形成されることがさらに好ましい。中継光ファイバについてもアクリル系樹脂で形成してよいが、ある程度の距離が必要な場合には、有効信号伝送距離の観点からフッ素系樹脂で形成してもよい。なお、構内光ファイバをフッ素系樹脂で形成してもよいことは言うまでもなく、いずれの場合であってもコア径を100μm以上とし、さらに好ましくは200μm以上とする。
【0028】
以下、上述したプラスチック光ファイバの利点を生かした信号伝送システムの説明を行う。なお、図6〜8に含まれるプラスチック光ファイバは、アナログ伝送に好適となるように、100μm以上のコア径を有する。
【0029】
図6は、信号伝送システムの構成の一例を示す図である。信号伝送システム300は、送信装置310および受信装置320を備える。送信装置310はアナログ信号を光信号に変換する光源312を有し、受信装置320は、光信号を検出する検出器322を有する。光源312と検出器322は、プラスチック光ファイバ200により接続される。
【0030】
PMMA光ファイバを用いる場合、光源312は、赤色の発光素子であることが好ましい。伝送するアナログ信号はベースバンド信号であってよい。信号伝送システム300によると、変調せずにアナログのベースバンド信号を高速に伝送することができるため、リアルタイムで映像信号を送信することが可能となる。例えば、インターネットを介して医者が遠隔手術を行う際、リアルタイムで手術状況を正確に把握できることが重要であり、このような場合に信号伝送システム300は、アナログ伝送に適したプラスチック光ファイバ200の長所を最大限発揮することができる。
【0031】
図5に示した信号伝送システム100との関係で説明すると、送信装置310が送信装置110に対応し、受信装置320が構内設備120の端末機器に対応する。なお、送信装置110については、光源の手前にO/E変換器を有し、光信号を一旦電気信号に変換する必要がある。また、図5のコネクタ122についても、中継光ファイバと構内光ファイバとで使用する波長が異なる場合には、O/E変換器と光源312とを備えて、入力される光信号を別の波長の光信号に変換する。
【0032】
図7は、信号伝送システムの構成の別の例を示す図である。信号伝送システム400は、送信装置410および受信装置420を備える。送信装置410はアナログ信号とデジタル信号とが混在した複数の信号を変調する変調器414と、変調された信号を光信号に変換する光源412を有する。受信装置420は、光信号を検出する検出器422と、検出された信号を復調する復調器424を有する。光源412と検出器422は、プラスチック光ファイバ200により接続される。
【0033】
信号伝送システム400において、変調信号はアナログ形式の信号であってよい。アナログ変調方式としては、QAM(Quadrature Amplitude Modulation)、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)、QPSK(Quaternary Phase Shift Keying)およびCDMA(Code Division Multiple Access)など、様々なものがある。アナログ変調された光信号を送信することにより、プラスチック光ファイバ200の利点を発揮させることができる。
【0034】
図8は、信号伝送システムの構成のさらに別の例を示す図である。信号伝送システム500は、送信装置510および受信装置520を備える。送信装置510は複数の送信部410a、410b・・・410nを有し、これらの送信部の構成は図7に示した送信装置410に相当する。なお、送信部410a、410b・・・410nごとに光源の波長は異なり、送信装置510は、波長分割多重(WDM)技術を実現して、大容量のデータを送信可能とする。各光源から出力される光信号は、合波器516において合波され、プラスチック光ファイバ200を介して伝送される。光信号は分波器526において波長に基づいて分波される。受信装置520は複数の受信部420a、420b・・・420nを有し、これらの受信部の構成は図7に示した受信装置420に相当する。なお検出器の受光波長は、受信部ごとに異なる。
【0035】
各送信部410a、410b・・・410nの変調器には1以上の信号が入力される。入力信号はアナログ信号であってもデジタル信号であってもよい。各変調器は、入力信号をアナログ形式またはデジタル形式の信号に変調する。なお、送信部によっては変調器を有さずに、デジタルのベースバンド信号を光信号に変換して出力してもよい。変調器の変調方式により、合波器516には、アナログ形式とデジタル形式とが混在した複数の光信号が入力されることになる。
【0036】
このとき、光源は、レーザダイオードであってもよい。本来、アナログ伝送には、干渉によるスペックルが生じるのを避けるため、LEDを利用することが好ましいとされている。しかしながら、本発明者は、プラスチック光ファイバ200のコア径を100μm以上とすることで、レーザダイオードを光源とした場合であってもスペックルパターンが均一化されることの知見を実験により得た。そのため、コア径の大きいプラスチック光ファイバ200を用いる場合には、アナログ形式およびデジタル形式の混在信号を送信する信号伝送システム500が、レーザダイオードを光源として用いることができ、送信する信号の種類に関わらず、統一的にシステムを構築することが可能となる。
【0037】
上記した信号伝送システムによると、アナログ信号を光ファイバで効率よく伝送することができ、したがって従来のデジタル伝送と併せて、アナログ形式およびデジタル形式の信号を同一の光ファイバで伝送する画期的なハイブリッド伝送システムを実現することが可能となる。
【0038】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態は例示であり、それらの各構成要素の組合せに、さらにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0039】
【発明の効果】
本発明によれば、構内回線の構築に適した光ファイバおよび信号伝送システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】光ファイバを利用した従来のCATV信号伝送システムの構成を示す図である。
【図2】シングルモードのガラス光ファイバに光信号を入力する方法を示す図である。
【図3】プラスチック光ファイバに光信号を入力する方法を示す図である。
【図4】(a)はGI−POFのコアの屈折率を示す図であり、(b)は実験においてGI−POFに入力した信号の波形を示す図であり、(c)は信号の伝播軌道を示す図であり、(d)は100mのGI−POFで伝送された出力信号の波形を示す図である。
【図5】実施の形態に係る信号伝送システムの構成を示す図である。
【図6】信号伝送システムの構成の一例を示す図である。
【図7】信号伝送システムの構成の別の例を示す図である。
【図8】信号伝送システムの構成のさらに別の例を示す図である。
【符号の説明】
100・・・信号伝送システム、110・・・送信装置、120・・・構内設備、122・・・コネクタ、124・・・コンセント、200・・・プラスチック光ファイバ、300・・・信号伝送システム、310・・・送信装置、320・・・受信装置、400・・・信号伝送システム、410・・・送信装置、420・・・受信装置、500・・・信号伝送システム、510・・・送信装置、520・・・受信装置。
Claims (14)
- アナログ電気信号を光信号に変換する機能を有する光源と、
光信号を伝送するためのプラスチック光ファイバとを備え、
前記プラスチック光ファイバとして、そのコア径が100μm以上のものを採用したことを特徴とする信号伝送システム。 - 前記アナログ電気信号としてベースバンド信号を採用し、これを前記光源へ入力することを特徴とする請求項1に記載の信号伝送システム。
- 入力された電気信号を変調する変調器と、
変調された電気信号を光信号に変換する機能を有する光源と、
光信号を伝送するためのプラスチック光ファイバとを備え、
前記変調器にアナログとデジタルの両形式の電気信号を入力し、これに応じて当該変調器はそれらの両形式の電気信号に変調を施すことにより、システム全体としてそれらの信号の伝送を実現したことを特徴とする信号伝送システム。 - 入力された電気信号を変調する複数の変調器と、
各変調器ごとに設けられ、各変調器により変調された電気信号を光信号にそれぞれ変換する機能を有する複数の光源と、
複数の光源から出力される光信号を合波する合波器と、
合波された光信号を伝送するためのプラスチック光ファイバとを備え、
複数の前記変調器にアナログとデジタルの両形式の電気信号を入力し、これに応じて当該変調器はそれらの両形式の電気信号に変調を施すことにより、システム全体としてそれらの信号の伝送を実現したことを特徴とする信号伝送システム。 - 前記プラスチック光ファイバとして、そのコア径が100μm以上のものを採用したことを特徴とする請求項3または4に記載の信号伝送システム。
- 前記変調器は、電気信号をアナログ形式の信号に変調することを特徴とする請求項5に記載の信号伝送システム。
- 前記プラスチック光ファイバとして、そのコア径が100μm以上のものを採用し、
変調された複数の信号は、アナログ形式とデジタル形式の信号とが混在したものであることを特徴とする請求項4に記載の信号伝送システム。 - 前記光源は、レーザダイオードを含むことを特徴とする請求項7に記載の信号伝送システム。
- 幹線光ファイバからの信号を中継するための中継光ファイバと、
中継光ファイバからの信号を構内に導入するための構内光ファイバとを備え、
中継光ファイバおよび構内光ファイバとして、プラスチック光ファイバを採用したことを特徴とする信号伝送システム。 - 構内光ファイバは、アクリル樹脂で形成されていることを特徴とする請求項9に記載の信号伝送システム。
- 前記アクリル樹脂は、ポリメチルメタクリレートを含むことを特徴とする請求項10に記載の信号伝送システム。
- 前記構内光ファイバの端部に取り付けられる電源用コンセントをさらに備え、
前記電源用コンセントから、電力および伝送信号を取り出すことを特徴とする請求項9から11のいずれかに記載の信号伝送システム。 - 前記電源用コンセントには、光−電気変換器を備えた端末機器がプラスチック光ファイバにより接続されていることを特徴とする請求項12に記載の信号伝送システム。
- アナログ信号の伝送路の一部を形成するように敷設され、かつプラスチック材料で100μm以上のコア径を有するように形成されることを特徴とする光ファイバ。
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