JP2004260937A - スイッチング電源装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】電源に要求される性能は厳しく、効率の向上、高調波ノイズの低減、コストの削減、小型化等の面で満足できていない。
【解決手段】AC電源を整流する第1整流手段と、第1整流手段の出力である脈流電源と、脈流電源に1次巻線が接続された第1トランスと、トランスの1次巻線に流れる電流をスイッチングする第1スイッチング手段と、第1トランスの2次巻線に流れる電流を整流して出力するPFC用電源部と、AC電源または脈流電源を整流する第2整流手段と、第2整流手段の出力を平滑手段にて平滑した直流電源と、直流電源に1次巻線が接続された第2トランスと、第2トランスの1次巻線に流れる電流をスイッチングする第2スイッチング手段と、第2トランスの2次巻線に流れる電流を整流して出力するDC−DC用電源部とを備え、PFC用電源部とDC−DC用電源部の出力とを合成し第1と第2のスイッチングの制御を備えたスイッチング電源装置。
【選択図】 図1
【解決手段】AC電源を整流する第1整流手段と、第1整流手段の出力である脈流電源と、脈流電源に1次巻線が接続された第1トランスと、トランスの1次巻線に流れる電流をスイッチングする第1スイッチング手段と、第1トランスの2次巻線に流れる電流を整流して出力するPFC用電源部と、AC電源または脈流電源を整流する第2整流手段と、第2整流手段の出力を平滑手段にて平滑した直流電源と、直流電源に1次巻線が接続された第2トランスと、第2トランスの1次巻線に流れる電流をスイッチングする第2スイッチング手段と、第2トランスの2次巻線に流れる電流を整流して出力するDC−DC用電源部とを備え、PFC用電源部とDC−DC用電源部の出力とを合成し第1と第2のスイッチングの制御を備えたスイッチング電源装置。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スイッチング式のAC−DCコンバータに関するものであり、特に、単相のAC電源を整流して得た脈流をスイッチングするPFC用の電源部と、AC電源を整流平滑して得た直流をスイッチングするDC−DC用の電源部とを、組み合わせることによって、高調波規格を満足させる技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
PFC用の電源部と、DC−DC用の電源部とを組み合わせたAC−DCコンバータには、本願出願人による特開平11−356046号公報に開示された電源装置がある。この装置は、平滑作用の少ない脈流をスイッチングするPFC用電源部と、平滑作用の多い直流をスイッチングするDC−DC用電源部とを組み合わせ、それぞれの電源部の2次整流出力を合成することによって、高調波電流を抑制し、装置の小型化と高効率化を図るようにしたものである。ここでは、脈流側のスイッチング電源が高調波電流の抑制に寄与し、直流側のスイッチング電源が、保持時間の確保とリップル電圧の低減に寄与しており、脈流側電源と、直流側電源の電力バランスをとることによって、IEC(International Electronic Committee)によるクラスAの高調波規格を満足するとともに、小型で効率の高いスイッチング電源装置を実現している。
【0003】
しかしながら上記の方法では、より厳しいIECのクラスD規格は満足させにくい。そこで、本出願人による特開2002−101660号公報では、このクラスDに対応する方法を開示している。その原理は、AC入力または脈流を整流する整流器と、平滑コンデンサとの間にトランスの3次巻線を挿入することで高周波を重畳させ、これを整流することで入力電流の導通角を広げるというものである。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−356046号公報
【特許文献2】
特開2002−101660号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記既存技術を使用しても、今日の電源に要求される性能は厳しく、効率の向上、高調波ノイズの低減、コストの削減、小型化等の面で充分であるとは言えなかった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の電源装置は、1つの方法として、その制御方法に擬似共振を取り入れた。PFC用電源と、DC−DC用電源の双方の電源部か、もしくはDC−DC用の電源部のみのスイッチング動作を疑似共振動作(Quasi Resonant)で制御するように構成することで、一層の高効率化と低ノイズ化を達成する。DC−DC用の電源部のスイッチング動作のみを疑似共振動作させる場合、それぞれのコンバータのスイッチを1個の共通のスイッチとするよう、ダイオードを用いてコストダウンを計る。また、PWM制御においても、上記のコスト削減方法が利用できる。さらに、軽負荷時には間欠発振制御をさせることで、待機電力を削減することができる。
【0007】
本発明の電源装置は、疑似共振をさせることで、ターンオンロスを削減すればスイッチングロスを少なくし、変換効率を高めると同時にノイズをも少なくすることができる。というのは擬似共振をさせると、負荷電流や入力電圧の変化によって、周波数が変動するため、ノイズが分散され、ノイズ規格を満たしやすくなる。結果的に、トランスの結合を高めたり、ノイズ・フィルタを簡単なものに変更することができるため、小型化と高効率化が可能となる。
【0008】
また、効率の点からはPFC側もDC−DC側も擬似共振にする方が好ましいが、本発明の電源装置は、DC−DC側のみを擬似共振にし、PFC側はDC−DC側と同じドライブ信号で駆動することによって、回路の簡略化のみならず、過電流保護(Over Current Protectionで以下OCPと略)を非常に安定的に働かせることができるようになる。
【0009】
また、本発明の電源装置は、ダイオードを追加することでスイッチを1個にし、コストを削減することもできる。この方法は、周波数固定のPWM制御においても同様にスイッチを1個にする方法が利用できる。このように構成することによって、安価で高調波を抑えることが可能となり、上記のクラスDの規格も十分に満足するAC−DCコンバータを提供することができる。もし、クラスDでなく、クラスAであれば、3次巻線を省略可能である。
【0010】
以下、本発明の具体的な構成を記載する。
【0011】
本発明の第1の手段として、図1,2で示すように、AC電源を整流する第1の整流手段と、当該第1の整流手段の出力である脈流電源と、当該脈流電源に1次巻線が接続された第1のトランスと、当該第1のトランスの1次巻線に流れる電流をスイッチングする第1のスイッチング手段と、前記第1のトランスの2次巻線に流れる電流を整流して出力するPFC用電源部と、前記AC電源または前記脈流電源を整流する第2の整流手段と、当該第2の整流手段の出力を平滑手段にて平滑した直流電源と、当該直流電源に1次巻線が接続された第2のトランスと、当該第2のトランスの1次巻線に流れる電流をスイッチングする第2のスイッチング手段と、前記第2のトランスの2次巻線に流れる電流を整流して出力するDC−DC用電源部とを備え、前記PFC用電源部の出力と前記DC−DC用電源部の出力とを合成するとともに当該合成出力を制御するスイッチング電源装置において、前記第1のトランスのエネルギーが放出されたことを検出する第1の検出手段を有し、当該第1の検出手段の出力に基づいて前記第1のスイッチング手段をオンさせる第1の制御手段と、前記第2のトランスのエネルギーが放出されたことを検出する第2の検出手段を有し、当該第2の検出手段の出力に基づいて前記第2のスイッチング手段をオンさせる第2の制御手段とを備えるようにした。
【0012】
本発明の第2の手段として、スイッチング電源装置において、前記第1の制御手段が、前記第1の整流手段の出力電圧である脈流電源に基づいて制御する第1の乗算器を備え、前記第2の制御手段が、前記第2の整流手段の出力電圧である直流電源に基づいて制御する第2の乗算器を備えるようにした。
【0013】
本発明の第3の手段として図3,4で示すように、AC電源を整流する第1の整流手段と、当該第1の整流手段の出力である脈流電源と、当該脈流電源に1次巻線が接続された第1のトランスと、当該第1のトランスの1次巻線に流れる電流をスイッチングする第1のスイッチング手段と、前記第1のトランスの2次巻線に流れる電流を整流して出力するPFC用電源部と、前記AC電源または前記脈流電源を整流する第2の整流手段と、当該第2の整流手段の出力を平滑手段にて平滑した直流電源と、当該直流電源に1次巻線が接続された第2のトランスと、当該第2のトランスの1次巻線に流れる電流をスイッチングする第2のスイッチング手段と、前記第2のトランスの2次巻線に流れる電流を整流して出力するDC−DC用電源部とを備え、前記PFC用電源部の出力と前記DC−DC用電源部の出力とを合成するとともに当該合成出力を制御するスイッチング電源装置において、前記第2のトランスのエネルギーが放出されたことを検出する検出手段と、当該検出手段の出力に基づいて前記第1のスイッチング手段および前記第2のスイッチング手段をオンさせる制御手段とを備えるようにした。
【0014】
本発明の第4の手段として、第3の手段に記載のスイッチング電源装置において、前記第1のスイッチング手段および前記第2のスイッチング手段に流れる合成電流を検出する合成電流検出手段を備え、当該合成電流検出手段から出力される検出信号に基づいて前記第1のスイッチング手段および前記第2のスイッチング手段をオフ制御するようにした。
【0015】
本発明の第5の手段として図5,6で示すように、AC電源を整流する第1の整流手段と、当該第1の整流手段の出力である脈流電源と、当該脈流電源に1次巻線が接続された第1のトランスと、当該第1のトランスの1次巻線に流れる電流をスイッチングするスイッチング手段と、当該スイッチング手段と前記第1のトランスの1次巻線との間に接続されたダイオードと、前記第1のトランスの2次巻線に流れる電流を整流して出力するPFC用電源部と、前記AC電源または前記脈流電源を整流する第2の整流手段と、当該第2の整流手段の出力を平滑手段にて平滑した直流電源と、当該直流電源と前記スイッチング手段との間に1次巻線が接続された第2のトランスと、当該第2のトランスの2次巻線に流れる電流を整流して出力するDC−DC用電源部とを備え、前記PFC用電源部の出力と前記DC−DC用電源部の出力とを合成するとともに当該合成出力を制御するスイッチング電源装置において、前記第2のトランスのエネルギーが放出されたことを検出する検出手段と、当該検出手段の出力に基づいて前記スイッチング手段をオンさせる制御手段とを備えるようにした。
【0016】
本発明の第6の手段として、請求項1から5に記載のスイッチング電源装置において、前記第2の整流手段と前記平滑手段との間に、第1のトランスまたは第2のトランスに設けた3次巻線を挿入するようにした。
【0017】
本発明の第7の手段として図7,8で示すように、AC電源を整流する第1の整流手段と、当該第1の整流手段の出力である脈流電源と、当該脈流電源に1次巻線が接続された第1のトランスと、当該第1のトランスの1次巻線に流れる電流をスイッチングする第1のスイッチング手段と、当該スイッチング手段と前記第1のトランスの1次巻線との間に接続されたダイオードと、前記第1のトランスの2次巻線に流れる電流を整流して出力するPFC用電源部と、前記AC電源または前記脈流電源を整流する第2の整流手段と、当該第2の整流手段の出力を平滑手段にて平滑した直流電源と、当該直流電源と前記スイッチング手段との間に1次巻線が接続された第2のトランスと、当該第2のトランスの2次巻線に流れる電流を整流して出力するDC−DC用電源部とを備え、前記PFC用電源部の出力と前記DC−DC用電源部の出力とを合成するとともに当該合成出力を制御するスイッチング電源装置において、前記第2の整流手段と前記平滑手段との間に、第1のトランスまたは第2のトランスに設けた3次巻線を挿入した。
【0018】
また、本発明のスイッチング電源装置は、前記第1および第2のスイッチング手段を駆動する駆動パルス発生手段が、駆動パルスを間欠的に発振させる駆動パルス間欠発振制御手段を備えることによって、待機電力をより一層削減することが可能となる。
【0019】
さらに、本発明のスイッチング電源装置は、前記間欠発振制御手段が時定数回路および/又はヒステリシス特性を有するコンパレータを備え、前記コンパレータの出力に応じて前記駆動パルス生成回路の駆動パルス出力を制御する。
【0020】
また、本発明のスイッチング電源装置は、軽負荷時であることを検出し、この信号でPFC側の動作を停止させることにより、軽負荷時に平滑コンデンサの電圧上昇を無くすことも可能にした。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明に係るスイッチング電源装置の好適な実施の形態について説明する。なお、同一構成要素については、同一の符号を付して重複説明を省略する。また、同一の動作についても重複説明を省略する。
【0022】
図1は、第1の実施形態のAC−DCコンバータを示している。AC電源100は、ノイズ・フィルタ101を経由し、ブリッジダイオード102で整流される。この脈流出力は、π型ノイズフィル105を経由し、第1のトランス104の1次巻線の一端に接続され、この他端が第1のスイッチング素子301に接続され、第1のトランス104の1次巻線に流れる電流がスイッチングされる。第1のトランス104の2次巻線に発生する出力は、2次整流ダイオード106で整流されて出力される。
【0023】
一方、平滑コンデンサ107は、ダイオード118と第1のトランスの3次巻線119とインダクタ120とを経由して充電される。3次巻線119によって高周波が重畳されることで導通角が広げられるため、クラスD規格を満足する。なお、ダイオード103は、雷サージを吸収させるために挿入されているが、ダイオード118、3次巻線119、インダクタ120を無くした回路では、このダイオード103を経由して平滑コンデンサ107が充電されるため、クラスA規格を満足する。なお、ダイオード103は、2本のダイオード103aと103bに置き換えることができる。
【0024】
この平滑コンデンサ107の直流出力は、第2のトランス108の1次巻線の一端に接続され、この他端が第2のスイッチング素子302に接続され、第2のトランス108の1次巻線に流れる電流がスイッチングされる。第2のトランス108の2次巻線に発生する出力は、2次整流ダイオード110で整流されて出力される。第2のトランス108の検出巻線303は、後述する擬似共振の制御に使用される。
【0025】
2次整流ダイオード106および2次整流ダイオード110の出力は合成され、平滑コンデンサ111で平滑されて負荷に出力される。ここで、平滑コンデンサ111の出力を取り出して制御回路460に入力させ、第1のスイッチング素子301と第2のスイッチング素子302の動作を制御している。
【0026】
図2は、制御回路460の内部回路構成を示しており、フォトカプラ420のLEDおよび基準電圧源421は、2次側出力電圧の検出用である。フォトカプラ420のトランジスタと負荷抵抗419はIC418、410のC端子に接続されている。ここに使用されるICには、一例として富士電機製FA5501がある。
【0027】
このICの動作について、IC418側を例に説明する。第2のトランス108のコアに蓄積されたエネルギーの放出を、第2のトランスの検出巻線303を介してIC418のZ端子で検出し、IC418のD端子からオン信号を出力してスイッチング素子302を駆動する。また、IC418のIS端子で第2のスイッチング素子302の電流を検出し、所定の値になったら、IC418のD端子からオフ信号を出力する。所定の値を決めるのが、IC418のC端子の電圧とM端子の電圧であり、これらはIC内部の不図示の乗算回路に接続され、乗算されて所定の値となる。ここでIC418のZ端子に抵抗416とコンデンサ415で遅れをもたせていることは擬似共振動作のスイッチングロスを最小にするために重要である。さらに、コンデンサ415は、IC418に内蔵または外部に取り付け可能に構成されている。なお、G端子はGNDでV端子はVCC(入力電源)である。
【0028】
抵抗413とコンデンサ414は、電流サージをカットする役割を果たしている。IC418のM端子は、平滑コンデンサ107の直流電源を抵抗411と412で分圧していて、IC410の抵抗401、402とともに第1のトランス104と第2のトランス108を通過する電力バランスを調整している。本発明のIC410、418のF端子は、制御動作には関係なく、単に能動領域に設定しているだけであるが、軽負荷時に間欠制御回路(422〜428)と組み合わさって待機電力を削減するよう間欠発振をさせている。この部分の説明であるが、軽負荷時には、フォトカプラ420のコレクタの電位は下降する。これを基準電圧422と比較し、コンパレータ426とダイオード428を通じてIC418と410のF端子電圧をハイレベルにしている。なお、軽負荷時の検出は、スイッチング素子301,302の制御信号G1,G2のデューティ比やスイッチング素子301,302に流れる電流からも可能である。これにより、2つのICはスイッチング動作を停止し、間欠発振動作に移行する。ここで、抵抗425とコンデンサ424の時定数回路と抵抗423と427によるヒステリシス回路は、間欠の周期が短くなりすぎないようにすることで、異音の発生を防いでいる。なお、上記の例では正帰還によってヒステリシス効果を得ているが、コンパレータ2個とラッチ回路を組み合わせて得るようにしてもよく、ワンショットマルチバイブレーターでもよい。当然ながら、この間欠制御方法は、図3から図8にも適応可能である。
【0029】
制御回路460のD1端子から入力するトランス104の1次巻線近傍の電圧は、コンデンサ408でDC成分をカットした後、抵抗406、407で分圧して、IC410のZ端子に加えられる。このようにトランスのコアエネルギーの放出は、必ずしも追加したトランス巻線から検出しなくても可能である。
以上のように構成することで、PFC動作をする第1のトランス104と、DC−DC動作をする第2のトランス108の双方とも、常に擬似共振動作をさせることができる。しかも、双方とも不図示の乗算回路を使用して、電力バランスをとることにより、入力電圧や負荷電流が変わっても安定した動作を保つことになる。
【0030】
図3の動作については、制御回路460がDC/DC側のエネルギー放出の検出に基づいて制御している点を除き、図1とほぼ動作が共通なので説明を省略する。
【0031】
次に、図4の説明であるが、ここで使用されるICには、一例としてフィリップスのTEA1552があり、IC410のC端子の論理極性が、図2のIC410,418のそれと逆であるため、フォトカプラ420のトランジスタと負荷抵抗の位置が逆になっている。IC410のDM端子は、図2のZ端子と同じ動作をしており、トランスのコアエネルギーの放出を検出し、図2のIC410,418のD端子と同じ働きをするDV端子からオン信号を出力して、スイッチング素子301、302を駆動している。なお、ダイオード430とコンデンサ431は、整流平滑してVCCを作っている。DR端子はこのIC特有のもので、電源の起動を受け持ったり、スイッチング周波数が上がり過ぎないよう、放出後の谷の電圧を検出し制御する機能を持っている。
【0032】
ここで重要なことは、スイッチング素子301、302とも同じ信号G1で駆動するという点である。このため、擬似共振は、第2のトランス108側のみで、第1のトランス104側は、擬似共振をしない動作となってしまう。しかし、PFC側は脈流のため平均電圧が低く、スイッチングロスが当初から少なめであるので、このデメリットは少なく、むしろ、以下に述べるメリットの方が大きく生かされる。すなわち、過電流保護(OCP)が非常に容易になる。理由は以下のとおりである。本方式は第1のトランス104のPFC側と、第2のトランス108のDC−DC側のエネルギーが加算されて、一定の電力を出力している。高調波規格を満足させるため、両トランス104,108のインダクタンス比からすれば、抵抗304と305の値がほぼ等しくなった場合に、制御回路のS1端子に現れるピーク電圧は、入力電圧の位相に依存せずにほぼ一定となる。このため、OCPが安定的に設定できる。また、回路も非常に簡略化できる。以上から、図3,図4は、実質的に最も好ましい動作をする。
【0033】
なお、図3、4に使われているIC410には、軽負荷時にハイレベルとなるSTDBY信号が用意されており、これを用いて図9で示すように構成すると、軽負荷時にPFC側の動作を停止させることになる。この結果、軽負荷時にコンデンサ107の電圧が上昇する問題を無くすことができる。そのため、400V耐圧の一般的なコンデンサや、600V耐圧の低いオン抵抗のスイッチング素子でワールドワイドの設計が容易となる。この手法は軽負荷時であることさえ検出すれば、図1〜4の実施の形態、特開平11−356046号の実施の形態、および特開2002−101660号の実施の形態にも容易に応用可能である。
【0034】
図5,6は、コストダウンのために図3,4の第1のスイッチング素子301を省略してダイオード461を追加したものであり、動作は図3,4と共通であるため、説明を省略する。フィルタ105にコンデンサが含まれない場合なら、ダイオード461をショートしても不都合は生じないが、フィルタ105にコンデンサが含まれている場合には、このようにダイオード461を挿入しないと、高調波の抑制効果が薄れてしまう。ノイズ規格を満たすにはこの部分はπ型フィルタであったほうが好ましく、場合によってコンデンサは1個のみでもよい。このフィルタを構成するコンデンサの容量は、平滑コンデンサ107に比べて遙かに小さく、平滑作用はほとんどない。このようにコンデンサがあるならダイオード461は実質的に必要なものである。しかしながら、場合によってはこのフィルタ回路を省略し、ダイオードをショートしてもよい。
【0035】
図7,8は、図5,6に対して、周波数固定、コストダウン等の目的のため、擬似共振ではなく、周波数固定のPWM方式にしたものである。ここに使用されるICには、一例としてTI社のUC3842があり、この場合、IC410のCR端子に接続している抵抗407とコンデンサ405によって、発振周波数が決められる。周波数が変動しては困る場合で、低コストが求められ、クラスD規格が要求される場合には、非常に好ましい回路である。
【0036】
【発明の効果】
以上のような疑似共振を用いたので、ターンオンロスが削減し、効率が向上した。また、周波数が変動するので、ノイズのエネルギーの周波数分布が分散される。さらに、入力電圧の高低にかかわらず、IEC61000−3−2のクラスDの規格を満足するコンバータを提供することができ、OCPも安定になる。また、回路を簡潔にできるので、小型化と低コスト化が達成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るスイッチング電源装置の第1実施形態の構成を示す回路図である。
【図2】第1実施形態の制御回路460の内部回路構成を示す回路図である。
【図3】本発明に係るスイッチング電源装置の第2実施形態の構成を示す回路図である。
【図4】第2実施形態の制御回路460の内部回路構成を示す回路図である。
【図5】本発明に係るスイッチング電源装置の第2実施形態を変更した構成を示す回路図である。
【図6】第2実施形態の変更した制御回路460の内部回路構成を示す回路図である。
【図7】本発明に係るスイッチング電源装置の第3実施形態の構成を示す図である。
【図8】第3実施形態の制御回路460の内部回路構成を示す回路図である。
【図9】第2実施形態の変更した制御回路460の内部回路およびその周辺回路の構成を示す回路図である。
【符号の説明】
100 AC電源
101,105 ノイズフィルタ
102,103,103a,103b,106,110,118,428,430,461 ダイオード
104,108 トランス
107,111,404,405,408,414,415,424,431 コンデンサ
119,303 3次巻線
120 インダクタ
301,302,502,503,504 スイッチング素子
304,305,401,402,403,406,407,409,411,412,413,416,417,419,423,425,427,500,501 抵抗
460 制御回路
421,422 基準電圧
420 フォトカプラ
426 コンパレータ
410,418 IC
【発明の属する技術分野】
本発明は、スイッチング式のAC−DCコンバータに関するものであり、特に、単相のAC電源を整流して得た脈流をスイッチングするPFC用の電源部と、AC電源を整流平滑して得た直流をスイッチングするDC−DC用の電源部とを、組み合わせることによって、高調波規格を満足させる技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
PFC用の電源部と、DC−DC用の電源部とを組み合わせたAC−DCコンバータには、本願出願人による特開平11−356046号公報に開示された電源装置がある。この装置は、平滑作用の少ない脈流をスイッチングするPFC用電源部と、平滑作用の多い直流をスイッチングするDC−DC用電源部とを組み合わせ、それぞれの電源部の2次整流出力を合成することによって、高調波電流を抑制し、装置の小型化と高効率化を図るようにしたものである。ここでは、脈流側のスイッチング電源が高調波電流の抑制に寄与し、直流側のスイッチング電源が、保持時間の確保とリップル電圧の低減に寄与しており、脈流側電源と、直流側電源の電力バランスをとることによって、IEC(International Electronic Committee)によるクラスAの高調波規格を満足するとともに、小型で効率の高いスイッチング電源装置を実現している。
【0003】
しかしながら上記の方法では、より厳しいIECのクラスD規格は満足させにくい。そこで、本出願人による特開2002−101660号公報では、このクラスDに対応する方法を開示している。その原理は、AC入力または脈流を整流する整流器と、平滑コンデンサとの間にトランスの3次巻線を挿入することで高周波を重畳させ、これを整流することで入力電流の導通角を広げるというものである。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−356046号公報
【特許文献2】
特開2002−101660号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記既存技術を使用しても、今日の電源に要求される性能は厳しく、効率の向上、高調波ノイズの低減、コストの削減、小型化等の面で充分であるとは言えなかった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の電源装置は、1つの方法として、その制御方法に擬似共振を取り入れた。PFC用電源と、DC−DC用電源の双方の電源部か、もしくはDC−DC用の電源部のみのスイッチング動作を疑似共振動作(Quasi Resonant)で制御するように構成することで、一層の高効率化と低ノイズ化を達成する。DC−DC用の電源部のスイッチング動作のみを疑似共振動作させる場合、それぞれのコンバータのスイッチを1個の共通のスイッチとするよう、ダイオードを用いてコストダウンを計る。また、PWM制御においても、上記のコスト削減方法が利用できる。さらに、軽負荷時には間欠発振制御をさせることで、待機電力を削減することができる。
【0007】
本発明の電源装置は、疑似共振をさせることで、ターンオンロスを削減すればスイッチングロスを少なくし、変換効率を高めると同時にノイズをも少なくすることができる。というのは擬似共振をさせると、負荷電流や入力電圧の変化によって、周波数が変動するため、ノイズが分散され、ノイズ規格を満たしやすくなる。結果的に、トランスの結合を高めたり、ノイズ・フィルタを簡単なものに変更することができるため、小型化と高効率化が可能となる。
【0008】
また、効率の点からはPFC側もDC−DC側も擬似共振にする方が好ましいが、本発明の電源装置は、DC−DC側のみを擬似共振にし、PFC側はDC−DC側と同じドライブ信号で駆動することによって、回路の簡略化のみならず、過電流保護(Over Current Protectionで以下OCPと略)を非常に安定的に働かせることができるようになる。
【0009】
また、本発明の電源装置は、ダイオードを追加することでスイッチを1個にし、コストを削減することもできる。この方法は、周波数固定のPWM制御においても同様にスイッチを1個にする方法が利用できる。このように構成することによって、安価で高調波を抑えることが可能となり、上記のクラスDの規格も十分に満足するAC−DCコンバータを提供することができる。もし、クラスDでなく、クラスAであれば、3次巻線を省略可能である。
【0010】
以下、本発明の具体的な構成を記載する。
【0011】
本発明の第1の手段として、図1,2で示すように、AC電源を整流する第1の整流手段と、当該第1の整流手段の出力である脈流電源と、当該脈流電源に1次巻線が接続された第1のトランスと、当該第1のトランスの1次巻線に流れる電流をスイッチングする第1のスイッチング手段と、前記第1のトランスの2次巻線に流れる電流を整流して出力するPFC用電源部と、前記AC電源または前記脈流電源を整流する第2の整流手段と、当該第2の整流手段の出力を平滑手段にて平滑した直流電源と、当該直流電源に1次巻線が接続された第2のトランスと、当該第2のトランスの1次巻線に流れる電流をスイッチングする第2のスイッチング手段と、前記第2のトランスの2次巻線に流れる電流を整流して出力するDC−DC用電源部とを備え、前記PFC用電源部の出力と前記DC−DC用電源部の出力とを合成するとともに当該合成出力を制御するスイッチング電源装置において、前記第1のトランスのエネルギーが放出されたことを検出する第1の検出手段を有し、当該第1の検出手段の出力に基づいて前記第1のスイッチング手段をオンさせる第1の制御手段と、前記第2のトランスのエネルギーが放出されたことを検出する第2の検出手段を有し、当該第2の検出手段の出力に基づいて前記第2のスイッチング手段をオンさせる第2の制御手段とを備えるようにした。
【0012】
本発明の第2の手段として、スイッチング電源装置において、前記第1の制御手段が、前記第1の整流手段の出力電圧である脈流電源に基づいて制御する第1の乗算器を備え、前記第2の制御手段が、前記第2の整流手段の出力電圧である直流電源に基づいて制御する第2の乗算器を備えるようにした。
【0013】
本発明の第3の手段として図3,4で示すように、AC電源を整流する第1の整流手段と、当該第1の整流手段の出力である脈流電源と、当該脈流電源に1次巻線が接続された第1のトランスと、当該第1のトランスの1次巻線に流れる電流をスイッチングする第1のスイッチング手段と、前記第1のトランスの2次巻線に流れる電流を整流して出力するPFC用電源部と、前記AC電源または前記脈流電源を整流する第2の整流手段と、当該第2の整流手段の出力を平滑手段にて平滑した直流電源と、当該直流電源に1次巻線が接続された第2のトランスと、当該第2のトランスの1次巻線に流れる電流をスイッチングする第2のスイッチング手段と、前記第2のトランスの2次巻線に流れる電流を整流して出力するDC−DC用電源部とを備え、前記PFC用電源部の出力と前記DC−DC用電源部の出力とを合成するとともに当該合成出力を制御するスイッチング電源装置において、前記第2のトランスのエネルギーが放出されたことを検出する検出手段と、当該検出手段の出力に基づいて前記第1のスイッチング手段および前記第2のスイッチング手段をオンさせる制御手段とを備えるようにした。
【0014】
本発明の第4の手段として、第3の手段に記載のスイッチング電源装置において、前記第1のスイッチング手段および前記第2のスイッチング手段に流れる合成電流を検出する合成電流検出手段を備え、当該合成電流検出手段から出力される検出信号に基づいて前記第1のスイッチング手段および前記第2のスイッチング手段をオフ制御するようにした。
【0015】
本発明の第5の手段として図5,6で示すように、AC電源を整流する第1の整流手段と、当該第1の整流手段の出力である脈流電源と、当該脈流電源に1次巻線が接続された第1のトランスと、当該第1のトランスの1次巻線に流れる電流をスイッチングするスイッチング手段と、当該スイッチング手段と前記第1のトランスの1次巻線との間に接続されたダイオードと、前記第1のトランスの2次巻線に流れる電流を整流して出力するPFC用電源部と、前記AC電源または前記脈流電源を整流する第2の整流手段と、当該第2の整流手段の出力を平滑手段にて平滑した直流電源と、当該直流電源と前記スイッチング手段との間に1次巻線が接続された第2のトランスと、当該第2のトランスの2次巻線に流れる電流を整流して出力するDC−DC用電源部とを備え、前記PFC用電源部の出力と前記DC−DC用電源部の出力とを合成するとともに当該合成出力を制御するスイッチング電源装置において、前記第2のトランスのエネルギーが放出されたことを検出する検出手段と、当該検出手段の出力に基づいて前記スイッチング手段をオンさせる制御手段とを備えるようにした。
【0016】
本発明の第6の手段として、請求項1から5に記載のスイッチング電源装置において、前記第2の整流手段と前記平滑手段との間に、第1のトランスまたは第2のトランスに設けた3次巻線を挿入するようにした。
【0017】
本発明の第7の手段として図7,8で示すように、AC電源を整流する第1の整流手段と、当該第1の整流手段の出力である脈流電源と、当該脈流電源に1次巻線が接続された第1のトランスと、当該第1のトランスの1次巻線に流れる電流をスイッチングする第1のスイッチング手段と、当該スイッチング手段と前記第1のトランスの1次巻線との間に接続されたダイオードと、前記第1のトランスの2次巻線に流れる電流を整流して出力するPFC用電源部と、前記AC電源または前記脈流電源を整流する第2の整流手段と、当該第2の整流手段の出力を平滑手段にて平滑した直流電源と、当該直流電源と前記スイッチング手段との間に1次巻線が接続された第2のトランスと、当該第2のトランスの2次巻線に流れる電流を整流して出力するDC−DC用電源部とを備え、前記PFC用電源部の出力と前記DC−DC用電源部の出力とを合成するとともに当該合成出力を制御するスイッチング電源装置において、前記第2の整流手段と前記平滑手段との間に、第1のトランスまたは第2のトランスに設けた3次巻線を挿入した。
【0018】
また、本発明のスイッチング電源装置は、前記第1および第2のスイッチング手段を駆動する駆動パルス発生手段が、駆動パルスを間欠的に発振させる駆動パルス間欠発振制御手段を備えることによって、待機電力をより一層削減することが可能となる。
【0019】
さらに、本発明のスイッチング電源装置は、前記間欠発振制御手段が時定数回路および/又はヒステリシス特性を有するコンパレータを備え、前記コンパレータの出力に応じて前記駆動パルス生成回路の駆動パルス出力を制御する。
【0020】
また、本発明のスイッチング電源装置は、軽負荷時であることを検出し、この信号でPFC側の動作を停止させることにより、軽負荷時に平滑コンデンサの電圧上昇を無くすことも可能にした。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明に係るスイッチング電源装置の好適な実施の形態について説明する。なお、同一構成要素については、同一の符号を付して重複説明を省略する。また、同一の動作についても重複説明を省略する。
【0022】
図1は、第1の実施形態のAC−DCコンバータを示している。AC電源100は、ノイズ・フィルタ101を経由し、ブリッジダイオード102で整流される。この脈流出力は、π型ノイズフィル105を経由し、第1のトランス104の1次巻線の一端に接続され、この他端が第1のスイッチング素子301に接続され、第1のトランス104の1次巻線に流れる電流がスイッチングされる。第1のトランス104の2次巻線に発生する出力は、2次整流ダイオード106で整流されて出力される。
【0023】
一方、平滑コンデンサ107は、ダイオード118と第1のトランスの3次巻線119とインダクタ120とを経由して充電される。3次巻線119によって高周波が重畳されることで導通角が広げられるため、クラスD規格を満足する。なお、ダイオード103は、雷サージを吸収させるために挿入されているが、ダイオード118、3次巻線119、インダクタ120を無くした回路では、このダイオード103を経由して平滑コンデンサ107が充電されるため、クラスA規格を満足する。なお、ダイオード103は、2本のダイオード103aと103bに置き換えることができる。
【0024】
この平滑コンデンサ107の直流出力は、第2のトランス108の1次巻線の一端に接続され、この他端が第2のスイッチング素子302に接続され、第2のトランス108の1次巻線に流れる電流がスイッチングされる。第2のトランス108の2次巻線に発生する出力は、2次整流ダイオード110で整流されて出力される。第2のトランス108の検出巻線303は、後述する擬似共振の制御に使用される。
【0025】
2次整流ダイオード106および2次整流ダイオード110の出力は合成され、平滑コンデンサ111で平滑されて負荷に出力される。ここで、平滑コンデンサ111の出力を取り出して制御回路460に入力させ、第1のスイッチング素子301と第2のスイッチング素子302の動作を制御している。
【0026】
図2は、制御回路460の内部回路構成を示しており、フォトカプラ420のLEDおよび基準電圧源421は、2次側出力電圧の検出用である。フォトカプラ420のトランジスタと負荷抵抗419はIC418、410のC端子に接続されている。ここに使用されるICには、一例として富士電機製FA5501がある。
【0027】
このICの動作について、IC418側を例に説明する。第2のトランス108のコアに蓄積されたエネルギーの放出を、第2のトランスの検出巻線303を介してIC418のZ端子で検出し、IC418のD端子からオン信号を出力してスイッチング素子302を駆動する。また、IC418のIS端子で第2のスイッチング素子302の電流を検出し、所定の値になったら、IC418のD端子からオフ信号を出力する。所定の値を決めるのが、IC418のC端子の電圧とM端子の電圧であり、これらはIC内部の不図示の乗算回路に接続され、乗算されて所定の値となる。ここでIC418のZ端子に抵抗416とコンデンサ415で遅れをもたせていることは擬似共振動作のスイッチングロスを最小にするために重要である。さらに、コンデンサ415は、IC418に内蔵または外部に取り付け可能に構成されている。なお、G端子はGNDでV端子はVCC(入力電源)である。
【0028】
抵抗413とコンデンサ414は、電流サージをカットする役割を果たしている。IC418のM端子は、平滑コンデンサ107の直流電源を抵抗411と412で分圧していて、IC410の抵抗401、402とともに第1のトランス104と第2のトランス108を通過する電力バランスを調整している。本発明のIC410、418のF端子は、制御動作には関係なく、単に能動領域に設定しているだけであるが、軽負荷時に間欠制御回路(422〜428)と組み合わさって待機電力を削減するよう間欠発振をさせている。この部分の説明であるが、軽負荷時には、フォトカプラ420のコレクタの電位は下降する。これを基準電圧422と比較し、コンパレータ426とダイオード428を通じてIC418と410のF端子電圧をハイレベルにしている。なお、軽負荷時の検出は、スイッチング素子301,302の制御信号G1,G2のデューティ比やスイッチング素子301,302に流れる電流からも可能である。これにより、2つのICはスイッチング動作を停止し、間欠発振動作に移行する。ここで、抵抗425とコンデンサ424の時定数回路と抵抗423と427によるヒステリシス回路は、間欠の周期が短くなりすぎないようにすることで、異音の発生を防いでいる。なお、上記の例では正帰還によってヒステリシス効果を得ているが、コンパレータ2個とラッチ回路を組み合わせて得るようにしてもよく、ワンショットマルチバイブレーターでもよい。当然ながら、この間欠制御方法は、図3から図8にも適応可能である。
【0029】
制御回路460のD1端子から入力するトランス104の1次巻線近傍の電圧は、コンデンサ408でDC成分をカットした後、抵抗406、407で分圧して、IC410のZ端子に加えられる。このようにトランスのコアエネルギーの放出は、必ずしも追加したトランス巻線から検出しなくても可能である。
以上のように構成することで、PFC動作をする第1のトランス104と、DC−DC動作をする第2のトランス108の双方とも、常に擬似共振動作をさせることができる。しかも、双方とも不図示の乗算回路を使用して、電力バランスをとることにより、入力電圧や負荷電流が変わっても安定した動作を保つことになる。
【0030】
図3の動作については、制御回路460がDC/DC側のエネルギー放出の検出に基づいて制御している点を除き、図1とほぼ動作が共通なので説明を省略する。
【0031】
次に、図4の説明であるが、ここで使用されるICには、一例としてフィリップスのTEA1552があり、IC410のC端子の論理極性が、図2のIC410,418のそれと逆であるため、フォトカプラ420のトランジスタと負荷抵抗の位置が逆になっている。IC410のDM端子は、図2のZ端子と同じ動作をしており、トランスのコアエネルギーの放出を検出し、図2のIC410,418のD端子と同じ働きをするDV端子からオン信号を出力して、スイッチング素子301、302を駆動している。なお、ダイオード430とコンデンサ431は、整流平滑してVCCを作っている。DR端子はこのIC特有のもので、電源の起動を受け持ったり、スイッチング周波数が上がり過ぎないよう、放出後の谷の電圧を検出し制御する機能を持っている。
【0032】
ここで重要なことは、スイッチング素子301、302とも同じ信号G1で駆動するという点である。このため、擬似共振は、第2のトランス108側のみで、第1のトランス104側は、擬似共振をしない動作となってしまう。しかし、PFC側は脈流のため平均電圧が低く、スイッチングロスが当初から少なめであるので、このデメリットは少なく、むしろ、以下に述べるメリットの方が大きく生かされる。すなわち、過電流保護(OCP)が非常に容易になる。理由は以下のとおりである。本方式は第1のトランス104のPFC側と、第2のトランス108のDC−DC側のエネルギーが加算されて、一定の電力を出力している。高調波規格を満足させるため、両トランス104,108のインダクタンス比からすれば、抵抗304と305の値がほぼ等しくなった場合に、制御回路のS1端子に現れるピーク電圧は、入力電圧の位相に依存せずにほぼ一定となる。このため、OCPが安定的に設定できる。また、回路も非常に簡略化できる。以上から、図3,図4は、実質的に最も好ましい動作をする。
【0033】
なお、図3、4に使われているIC410には、軽負荷時にハイレベルとなるSTDBY信号が用意されており、これを用いて図9で示すように構成すると、軽負荷時にPFC側の動作を停止させることになる。この結果、軽負荷時にコンデンサ107の電圧が上昇する問題を無くすことができる。そのため、400V耐圧の一般的なコンデンサや、600V耐圧の低いオン抵抗のスイッチング素子でワールドワイドの設計が容易となる。この手法は軽負荷時であることさえ検出すれば、図1〜4の実施の形態、特開平11−356046号の実施の形態、および特開2002−101660号の実施の形態にも容易に応用可能である。
【0034】
図5,6は、コストダウンのために図3,4の第1のスイッチング素子301を省略してダイオード461を追加したものであり、動作は図3,4と共通であるため、説明を省略する。フィルタ105にコンデンサが含まれない場合なら、ダイオード461をショートしても不都合は生じないが、フィルタ105にコンデンサが含まれている場合には、このようにダイオード461を挿入しないと、高調波の抑制効果が薄れてしまう。ノイズ規格を満たすにはこの部分はπ型フィルタであったほうが好ましく、場合によってコンデンサは1個のみでもよい。このフィルタを構成するコンデンサの容量は、平滑コンデンサ107に比べて遙かに小さく、平滑作用はほとんどない。このようにコンデンサがあるならダイオード461は実質的に必要なものである。しかしながら、場合によってはこのフィルタ回路を省略し、ダイオードをショートしてもよい。
【0035】
図7,8は、図5,6に対して、周波数固定、コストダウン等の目的のため、擬似共振ではなく、周波数固定のPWM方式にしたものである。ここに使用されるICには、一例としてTI社のUC3842があり、この場合、IC410のCR端子に接続している抵抗407とコンデンサ405によって、発振周波数が決められる。周波数が変動しては困る場合で、低コストが求められ、クラスD規格が要求される場合には、非常に好ましい回路である。
【0036】
【発明の効果】
以上のような疑似共振を用いたので、ターンオンロスが削減し、効率が向上した。また、周波数が変動するので、ノイズのエネルギーの周波数分布が分散される。さらに、入力電圧の高低にかかわらず、IEC61000−3−2のクラスDの規格を満足するコンバータを提供することができ、OCPも安定になる。また、回路を簡潔にできるので、小型化と低コスト化が達成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るスイッチング電源装置の第1実施形態の構成を示す回路図である。
【図2】第1実施形態の制御回路460の内部回路構成を示す回路図である。
【図3】本発明に係るスイッチング電源装置の第2実施形態の構成を示す回路図である。
【図4】第2実施形態の制御回路460の内部回路構成を示す回路図である。
【図5】本発明に係るスイッチング電源装置の第2実施形態を変更した構成を示す回路図である。
【図6】第2実施形態の変更した制御回路460の内部回路構成を示す回路図である。
【図7】本発明に係るスイッチング電源装置の第3実施形態の構成を示す図である。
【図8】第3実施形態の制御回路460の内部回路構成を示す回路図である。
【図9】第2実施形態の変更した制御回路460の内部回路およびその周辺回路の構成を示す回路図である。
【符号の説明】
100 AC電源
101,105 ノイズフィルタ
102,103,103a,103b,106,110,118,428,430,461 ダイオード
104,108 トランス
107,111,404,405,408,414,415,424,431 コンデンサ
119,303 3次巻線
120 インダクタ
301,302,502,503,504 スイッチング素子
304,305,401,402,403,406,407,409,411,412,413,416,417,419,423,425,427,500,501 抵抗
460 制御回路
421,422 基準電圧
420 フォトカプラ
426 コンパレータ
410,418 IC
Claims (7)
- AC電源を整流する第1の整流手段と、当該第1の整流手段の出力である脈流電源と、当該脈流電源に1次巻線が接続された第1のトランスと、当該第1のトランスの1次巻線に流れる電流をスイッチングする第1のスイッチング手段と、前記第1のトランスの2次巻線に流れる電流を整流して出力するPFC用電源部と、前記AC電源または前記脈流電源を整流する第2の整流手段と、当該第2の整流手段の出力を平滑手段にて平滑した直流電源と、当該直流電源に1次巻線が接続された第2のトランスと、当該第2のトランスの1次巻線に流れる電流をスイッチングする第2のスイッチング手段と、前記第2のトランスの2次巻線に流れる電流を整流して出力するDC−DC用電源部とを備え、前記PFC用電源部の出力と前記DC−DC用電源部の出力とを合成するとともに当該合成出力を制御するスイッチング電源装置において、
前記第1のトランスのエネルギーが放出されたことを検出する第1の検出手段を有し、当該第1の検出手段の出力に基づいて前記第1のスイッチング手段をオンさせる第1の制御手段と、
前記第2のトランスのエネルギーが放出されたことを検出する第2の検出手段を有し、当該第2の検出手段の出力に基づいて前記第2のスイッチング手段をオンさせる第2の制御手段とを備えたことを特徴とするスイッチング電源装置。 - 請求項1に記載のスイッチング電源装置において、前記第1の制御手段は、前記第1整流手段の出力電圧である脈流電源に基づいて制御する第1の乗算器を備え、
前記第2の制御手段は、前記第2の整流手段の出力電圧である直流電源に基づいて制御する第2の乗算器を備えたことを特徴とするスイッチング電源装置。 - AC電源を整流する第1の整流手段と、当該第1の整流手段の出力である脈流電源と、当該脈流電源に1次巻線が接続された第1のトランスと、当該第1のトランスの1次巻線に流れる電流をスイッチングする第1のスイッチング手段と、前記第1のトランスの2次巻線に流れる電流を整流して出力するPFC用電源部と、前記AC電源または前記脈流電源を整流する第2の整流手段と、当該第2の整流手段の出力を平滑手段にて平滑した直流電源と、当該直流電源に1次巻線が接続された第2のトランスと、当該第2のトランスの1次巻線に流れる電流をスイッチングする第2のスイッチング手段と、前記第2のトランスの2次巻線に流れる電流を整流して出力するDC−DC用電源部とを備え、前記PFC用電源部の出力と前記DC−DC用電源部の出力とを合成するとともに当該合成出力を制御するスイッチング電源装置において、
前記第2のトランスのエネルギーが放出されたことを検出する検出手段と、当該検出手段の出力に基づいて前記第1のスイッチング手段および前記第2のスイッチング手段をオンさせる制御手段とを備えたことを特徴とするスイッチング電源装置。 - 請求項3に記載のスイッチング電源装置において、前記第1のスイッチング手段および前記第2のスイッチング手段に流れる合成電流を検出する合成電流検出手段を備え、
前記制御手段は、当該合成電流検出手段の出力に基づいて前記第1のスイッチング手段および前記第2のスイッチング手段をオフ制御することを特徴とするスイッチング電源装置。 - AC電源を整流する第1の整流手段と、当該第1の整流手段の出力である脈流電源と、当該脈流電源に1次巻線が接続された第1のトランスと、当該第1のトランスの1次巻線に流れる電流をスイッチングするスイッチング手段と、当該スイッチング手段と前記第1のトランスの1次巻線との間に接続された一方向性素子と、前記第1のトランスの2次巻線に流れる電流を整流して出力するPFC用電源部と、前記AC電源または前記脈流電源を整流する第2の整流手段と、当該第2の整流手段の出力を平滑手段にて平滑した直流電源と、当該直流電源と前記スイッチング手段との間に1次巻線が接続された第2のトランスと、当該第2のトランスの2次巻線に流れる電流を整流して出力するDC−DC用電源部とを備え、前記PFC用電源部の出力と前記DC−DC用電源部の出力とを合成するとともに当該合成出力を制御するスイッチング電源装置において、
前記第2のトランスのエネルギーが放出されたことを検出する検出手段と、当該検出手段の出力に基づいて前記スイッチング手段をオンさせる制御手段とを備えたことを特徴とするスイッチング電源装置。 - 請求項1から5に記載のスイッチング電源装置において、前記第2の整流手段と前記平滑手段との間に、第1のトランスまたは第2のトランスに設けた3次巻線を挿入したことを特徴とするスイッチング電源装置。
- AC電源を整流する第1の整流手段と、当該第1の整流手段の出力である脈流電源と、当該脈流電源に1次巻線が接続された第1のトランスと、当該第1のトランスの1次巻線に流れる電流をスイッチングするスイッチング手段と、当該スイッチング手段と前記第1のトランスの1次巻線との間に接続された一方向性素子と、前記第1のトランスの2次巻線に流れる電流を整流して出力するPFC用電源部と、前記AC電源または前記脈流電源を整流する第2の整流手段と、当該第2の整流手段の出力を平滑手段にて平滑した直流電源と、当該直流電源と前記スイッチング手段との間に1次巻線が接続された第2のトランスと、当該第2のトランスの2次巻線に流れる電流を整流して出力するDC−DC用電源部とを備え、前記PFC用電源部の出力と前記DC−DC用電源部の出力とを合成するとともに当該合成出力を制御するスイッチング電源装置において、
前記第2の整流手段と前記平滑手段との間に、第1のトランスまたは第2のトランスに設けた3次巻線を挿入したことを特徴とするスイッチング電源装置。
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2003
- 2003-02-26 JP JP2003049378A patent/JP2004260937A/ja active Pending
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