JP2004260373A - 無線装置及びそのキャリブレーション方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】複数の送信用として設定された信号伝送系から送信される信号を、特定の1つの受信用として設定された信号伝送系で受信し、その受信信号が零となるように送信用の伝送系の減衰量及び位相回転量を調整することで、送信用伝送系の送信側のキャリブレーションを行う。また、送信側のキャリブレーション済みの複数の送信用として設定された信号伝送系から送信される信号を、特定の1つの受信用として設定された信号伝送系で受信し、その受信信号が所定値になるように当該受信用信号伝送系の減衰量及び位相回転量を調整することで、受信用伝送系の受信側のキャリブレーションを行う。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アダプティブアレイ無線基地局などにおいて用いられる無線装置及びそのキャリブレーション方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、無線電話などの移動通信システムの無線基地局として、アレイアンテナを用いたアダプティブアレイ(adaptive array)無線基地局が実用化されている。
【0003】
アダプティブアレイ無線基地局と所望のユーザとの間で的確な指向性を伴った電波信号の送受信を実現するためには、アダプティブアレイ無線基地局においてアレイアンテナを構成する各アンテナ素子の送信回路及び受信回路で、それぞれ厳密に算出された重み値を信号に重み付けする必要がある。
【0004】
さらに、良好な指向性を得るためには、アレイアンテナを構成する各アンテナ素子ごとに、受信回路の位相回転量、振幅変動量などの伝送特性と、送信回路の位相回転量、振幅変動量などの伝送特性とを測定し、その差を補償するようにキャリブレーションを行う必要がある。
【0005】
送信回路、受信回路、アンテナを含むN個の伝送回路を有するアレイアンテナにキャリブレーションを行う方法が特許文献1に示されている。
【0006】
そのキャリブレーション方法は、まず、制御装置からの制御信号に応じて、j番目の伝送系に対応する既知の信号Sj(t)が出力され、当該伝送系のフェイズシフタ、アッテネータ、送信回路、アンテナ共用器、アンテナ素子等を介して電波信号として送出される。送信された電波信号は、j番目の伝送系を除く他のすべての伝送系の各々、たとえばk番目の伝送系のアンテナ素子および受信回路で受信され、受信信号RXjk(t)として測定される。
【0007】
さらに信号を送信するj番目の伝送系を1番目からn番目まで順次切換えて、その都度1番目からn番目までのすべての伝送系で受信された信号RXjk(t)を測定する。
【0008】
このようにして求めた受信信号に関する連立一次方程式を解くことにより、すべての伝送系において、送信回路TXj(j=1,2,…,n)を通過することによって生じる信号の位相回転量ΔφTXjおよび振幅変動量ATXjと、受信回路RXjを通過することによって生じる信号の位相回転量ΔφRXjおよび振幅変動量ARXjとを算出することができる。
【0009】
そして、各伝送系ごとに、受信信号と送信信号との間の位相回転量および振幅変動量の差を補償し、伝送特性のキャリブレーションを行なっている。
【0010】
【特許文献1】
特許3332911号明細書
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
従来のキャリブレーション方法では、N個の伝送系の各々のアンテナ素子から既知の信号を送信し、この送信された信号をN個の伝送系の複数のもののアンテナ素子、受信回路で受信することが必須の条件となっている。したがって、送信信号によって受信回路等が故障したり飽和することを避けるために、受信回路に適切なレベルの信号が到達するようにコントロールすることになる。アダプティブアレイ無線基地局では複数のアンテナ素子間の距離が近接しているから、この問題は特に重要である。
【0012】
このために、キャリブレーション時に送信回路の利得を下げたり、アッテネータで減衰させたりして送信信号レベルを低下させたり、或いは、受信回路の利得を下げたり、アッテネータを挿入して受信感度を下げることが必要になる。
【0013】
しかし、これらアッテネータの挿入や利得調整を行うことによって、通常の使用状態、即ち所望のユーザとアダプティブアレイ無線基地局との間での送受信状態とは異なった条件下で伝送系のキャリブレーションが行われるから、アッテネータの挿入や利得調整による誤差が生じてしまう。
【0014】
そこで、本発明は、アダプティブアレイ無線基地局などにおいて用いられる無線装置のキャリブレーションを、アッテネータを挿入したり或いは利得を大きく調整することを不要とし、通常の使用状態で実施することが可能な無線装置及びそのキャリブレーション方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
請求項1の無線装置は、伝送特性のキャリブレーションが可能な無線装置であって、アンテナと、送信回路と、前記アンテナを前記送信回路と共用する受信回路と、送信信号の振幅と位相を制御する送信側振幅・位相制御手段とをそれぞれ含む複数N個(ただし、N≧3)の信号伝送系と、
キャリブレーション時に、前記複数N個の信号伝送系の特定の1つの信号伝送系を除く複数M個(ただし、2≦M<N)の信号伝送系の送信回路から、前記特定の1つの信号伝送系の受信信号が零となるようように算出された既知の信号を送信し、かつ前記送信された既知の信号を前記特定の1つの信号伝送系の受信回路で受信し、その受信信号が零になるように前記複数M個の信号伝送系の送信側振幅・位相制御手段を制御するための制御部とを備えたことを特徴とする。
【0016】
請求項2の無線装置は、請求項1の無線装置において、前記信号伝送系の各々は、受信信号の振幅と位相を制御する受信側振幅・位相制御手段を有し、前記制御部は、前記複数M個の信号伝送系の送信回路から既知の信号を送信し、この送信された既知の信号を前記特定の1つの信号伝送系の受信回路で受信し、その受信信号が前記送信された既知の信号に基づいた所定の振幅・位相になるように当該信号伝送系の受信側振幅・位相制御手段を制御することを特徴とする。
【0017】
請求項3の無線装置のキャリブレーション方法は、アンテナと、送信回路と、前記アンテナを前記送信回路と共用する受信回路と、送信信号の振幅と位相を制御する送信側振幅・位相制御手段とをそれぞれ含む複数N個(ただし、N≧3)の信号伝送系を備えた無線装置のキャリブレーション方法であって、
複数N個の信号伝送系のうちの1つを第1受信用信号伝送系として選択する第1ステップと、
前記第1受信用信号伝送系を除く信号伝送系のうち複数M個(ただし、2≦M<N)を第1送信信号伝送系として選択する第2ステップと、
前記選択された複数M個の第1送信信号伝送系から、前記第1受信用信号伝送系の受信信号が零となるように算出された制御信号により前記送信側振幅・位相制御手段を制御して各々送信信号を送信する第3ステップと、
前記第1受信用信号伝送系での受信信号が実際に零となるように前記選択された複数M個の第1送信信号伝送系の前記送信側振幅・位相制御手段を制御する第4ステップと、
前記複数N個の信号伝送系が少なくとも1回は前記複数M個の第1送信信号伝送系に含まれるように、前記第1ステップ〜第4ステップを繰り返して行う第5ステップと、を含むことを特徴とする。
【0018】
請求項4の無線装置のキャリブレーション方法は、請求項3の無線装置のキャリブレーション方法において、前記第5ステップは、前記第1受信用信号伝送系を除く信号伝送系の前記送信側振幅・位相制御手段の全てが、前記第1受信用信号伝送系での受信信号が零となるように制御されるまで、前記複数M個の第1送信信号伝送系の組み合わせを変更し、
前記第1受信用信号伝送系を除く信号伝送系の前記送信側振幅・位相制御手段の全てが、前記第1受信用信号伝送系での受信信号が零となるように制御されると、前記1つの第1受信用信号伝送系として、他の信号伝送系を用いることを特徴とする。
【0019】
請求項5の無線装置のキャリブレーション方法は、アンテナと、送信回路と、前記アンテナを前記送信回路と共用する受信回路と、送信信号の振幅と位相を制御する送信側振幅・位相制御手段と受信信号の振幅と位相を制御する受信側振幅・位相制御手段とをそれぞれ含む複数N個(ただし、N≧3)の信号伝送系を備えた無線装置のキャリブレーション方法であって、
複数N個の信号伝送系のうちの1つを第1受信用信号伝送系として選択する第1ステップと、
前記第1受信用信号伝送系を除く信号伝送系のうち複数M個(ただし、2≦M<N)を第1送信信号伝送系として選択する第2ステップと、
前記選択された複数M個の第1送信信号伝送系から、前記第1受信用信号伝送系の受信信号が零となるように算出された制御信号により前記送信側振幅・位相制御手段を制御して各々送信信号を送信する第3ステップと、
前記第1受信用信号伝送系での受信信号が実際に零となるように前記選択された複数M個の第1送信信号伝送系の前記送信側振幅・位相制御手段を制御する第4ステップと、
前記複数N個の信号伝送系が少なくとも1回は前記複数M個の第1送信信号伝送系に含まれるように、前記第1ステップ〜第4ステップを繰り返して行う第5ステップと、
前記複数N個の信号伝送系のうちの1つを第2受信用信号伝送系として選択する第6ステップと、
前記第2受信用信号伝送系を除く信号伝送系のうち複数M個(ただし、2≦M<N)の第2送信用信号伝送系を選択する第7ステップと、
前記選択された複数M個の第2送信用信号伝送系から、前記第2受信用信号伝送系での受信信号が所定値となるように制御された送信信号を送信し、前記第2受信用信号伝送系での受信信号が前記所定値となるように当該第2受信用信号伝送系の前記受信側振幅・位相制御手段を制御する第8ステップと、
前記複数N個の信号伝送系が少なくとも1回は前記第2受信用信号伝送系になるように、前記第6ステップ〜第8ステップを繰り返して行う第9ステップと、を含むことを特徴とする。
【0020】
請求項6の無線装置のキャリブレーション方法は、請求項5の無線装置のキャリブレーション方法において、前記第5ステップは、前記第1受信用信号伝送系を除く信号伝送系の前記送信側振幅・位相制御手段の全てが、前記第1受信用信号伝送系での受信信号が零となるように制御されるまで、前記複数M個の第1送信信号伝送系の組み合わせを変更し、
前記第1受信用信号伝送系を除く信号伝送系の前記送信側振幅・位相制御手段の全てが、前記第1受信用信号伝送系での受信信号が零となるように制御されると、前記1つの第1受信用信号伝送系として、他の信号伝送系を用いることを特徴とする。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に無線装置及びそのキャリブレーション方法の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0022】
図1は、本発明によるアダプティブアレイ無線基地局の要部を示す概略ブロック図である。図1では、アダプティブアレイ無線基地局のうち、この発明に関連する振幅及び位相のキャリブレーションに関する部分のみを示しており、受信信号および送信信号の重み付けのための受信部や送信部は図示省略している。
【0023】
図1に示すアダプティブアレイ無線基地局は、全体の制御を司る制御部100と、送信信号Sti(St1,St2,…,Stk,…,Stn)及び受信信号Sri(Sr1,Sr2,…,Srk,…,Srn)の振幅や位相を調整するための振幅位相調節部200と、アレイアンテナを構成するN個のアンテナ素子ANTi(ANT1,ANT2,…,ANTk,…,ANTn)と、それぞれのアンテナ素子に対応して設けられたアンテナ共用器SWi(SW1,SW2,…,SWk,…,SWn)と、それぞれのアンテナ素子に対応して、アンテナ共用器と振幅位相調節部200との間に設けられた送信回路TXi(TX1,TX2,…,TXk,…,TXn)および受信回路RXi(RX1,RX2,…,RXk,…,RXn)とを備えている。また、アンテナ共用器SWiは、制御部100からの制御信号により、送信側、受信側のいずれかに接続される。或いは、さらに中立位置(オープン位置)に設定できるものでも良い。なお、iは、1〜Nのうちの任意の番号である。
【0024】
制御部100は、コンピュータにより構成されており、キャリブレーション時にそれぞれのアンテナ素子から送信すべき既知の信号や算出あるいは調整された各信号を記憶するためのメモリ手段や、送信信号設定手段、受信信号誤差検出手段、送信信号振幅・位相制御手段、受信信号振幅・位相制御手段、その他の必要な制御手段などの各機能が用意されている。
【0025】
振幅位相調節部200は、各アンテナに対応して、送信側移相器PSit(PS1t、PS2t,…,PSkt,…,PSnt)、送信側可変増幅器AGit(AG1t、AG2t,…,AGkt,…,AGnt)、受信側移相器PSir(PS1r、PS2r,…,PSkr,…,PSnr)、受信側可変増幅器AGir(AG1r、AG2r,…,AGkr,…,AGnr)、これらの移相器及び可変増幅器を制御する振幅位相制御器ASci(ASc1、ASc2,…,ASck,…,AScn)を備えている。これらの振幅位相制御器ASciは、制御部200から供給される送信側振幅位相制御信号ctsi(cts1〜cstn)、受信側振幅位相制御信号ctri(ctr1〜csrn)に基づいて移相器PSit、PSir及び可変増幅器AGit、AGirを制御する。この振幅位相調節部200は、キャリブレーションに専用に用いても良いし、また、通常の通信におけるアダプティブ制御用に共通に利用しても良い。
【0026】
これらアンテナ素子ANTiと、アンテナ共用器SWiと、このアンテナ素子を共用する送信回路TXiと、受信回路RXiと、送信信号の振幅と位相を制御する送信側振幅・位相制御手段PSit、AGitと、受信信号の振幅と位相を制御する受信側振幅・位相制御手段AGir,ASicにが含まれて、各々の信号伝送系が構成されている。
【0027】
送信回路TX1,TX2,…,TXk,…,TXnの各々は、たとえば周波数変換器、アンプ、フィルタ、拡散器などからなり、振幅位相調整部200の送信信号出力端子から対応するアンテナ共用器SWまでの経路に存在する回路を総称する。同様に、受信回路RX1,RX2,…,RXk,…,RXnの各々も、たとえば周波数変換器、アンプ、フィルタ、逆拡散器などからなり、対応するアンテナ共用器SWから振幅位相調整部200の受信信号入力端子までの経路に存在する回路を総称するものとする。
【0028】
アレイアンテナを構成するN個のアンテナ素子ANT1,ANT2,…,ANTk,…,ANTnは、アレイ状に配置されるが、図2は4個のアンテナ素子ANT1〜ANT4でアレイアンテナが構成される場合の配置例を示している。この図2の例では、4個のアンテナ素子が正方形の各頂点に正確に配置される。
【0029】
また、アンテナ共用器SW1〜SWnの各々は、制御部100からの制御信号に応じて、対応する送信回路TXiからの信号を、対応するアンテナ素子ANTiまたは受信回路RXiのいずれかに選択的に与えるよう切換わる。アンテナ共用器SWiのそれぞれから対応するアンテナ素子ANTiに与えられる信号は、電波信号として放出される。また、アンテナ共用器SWiが受信回路側に接続されている場合には、当該アンテナ共用器に入った受信信号はそのまま対応する受信回路RXiによって受信される。以後、各々のアンテナ素子を介する信号の送受信に関係する一群の回路構成を信号伝送系と称する。
【0030】
なお、キャリブレーション時以外の通常の信号送受信時には、図示しない送信部によって各信号伝送系に対応して重みづけされた送信信号が、各信号伝送系を経由して送出される。また、各アンテナ素子ANTiによって受信された信号は、各伝送系を経由して図示しない受信部に与えられて重みづけ処理がなされ、出力信号として外部へ供給される。
【0031】
以下、本発明によるキャリブレーションの基本となる考え方を図3、図4を参照して説明する。
【0032】
本発明では、キャリブレーション時に、複数N個(ただし、N≧3)の信号伝送系の特定の1つの信号伝送系を除く複数M個(ただし、2≦M<N)の信号伝送系の送信回路TXiから既知の信号を送信し、その送信された既知の信号を複数M個以外の特定の1つの信号伝送系の受信回路RXiで受信する。
【0033】
送信側のキャリブレーション時には、その既知の信号は特定の1つの信号伝送系の受信信号が零となるように算出されており、その受信信号が実際に零になるように複数M個の信号伝送系の送信側振幅・位相制御手段AGit・PSitを制御する。また、受信側のキャリブレーション時には、その受信信号を送信された既知の信号に基づいた所定の振幅・位相になるように当該信号伝送系の受信側振幅・位相制御手段AGir・PSirを制御する。これにより、アダプティブアレイ無線基地局などにおいて用いられる無線装置のキャリブレーションを、アッテネータを挿入したり或いは利得を大きく調整することを不要とし、通常の使用状態で実施することが可能になる。
【0034】
まず、本発明の信号伝送系の送信側のキャリブレーションの考え方について説明する。図3では、複数Mを2とし、その送信側信号伝送系のアンテナをアンテナA及びアンテナBとする。また、特定の1つの受信側信号伝送系のアンテナをアンテナRとする。アンテナAとアンテナRとの距離をLar、アンテナBとアンテナRとの距離をLbrとする。
【0035】
アンテナAから送信信号Staで送信し、アンテナBから送信信号Stbで送信する。これらの送信信号Sta、Stbはそれぞれ所定の振幅と位相を持ち、複素数表現される。送信された信号Sta、Stbは、伝搬距離Lに反比例して減衰G(L)し、伝搬距離Lに応じた位相回転Θ(L)が生じる。なお、Θ(L)は、2πL/λで表される。ただし、λは送信される電波の波長である。
【0036】
アンテナRで受信される受信信号Srrは、
Srr={G(Lar)ε−jΘ(Lar)Sta+G(Lbr)ε−jΘ(L br)Stb}・G(rr)ε−jΘ(rr)
で表される。なお、G(rr)ε−jΘ(rr) は、アンテナRの受信側信号伝送系での減衰量及び位相回転量を表している。
【0037】
アンテナ相互間の距離は、それらの配置関係から予め判明しているので、アンテナA、Bから送信する送信信号Sta、Stbを、アンテナRでの受信信号Srrが零となるように設定して、送信する。
【0038】
アンテナAの送信側伝送系(送信回路など)とアンテナBの送信側伝送系(送信回路など)との減衰及び位相回転が全く同一であれば、受信信号Srrは両アンテナからの送信信号が打ち消し合って零になるはずである。
【0039】
しかし、実際には、アンテナA、アンテナBの送信側伝送系(送信回路など)の減衰及び位相回転は全く同一ではないから、それらの差分による受信信号が受信される。
【0040】
そこで、それらの差分による受信信号が零になるように、アンテナAの送信側伝送系とアンテナBの送信側伝送系のいずれか一方または両方の減衰量や位相回転量を調整する。これにより、アンテナA、B間の送信側キャリブレーションが行われる。
【0041】
引き続いて、送信側キャリブレーションが行われたアンテナ(例えばアンテナA)と他のアンテナCとによって同様に差分による受信信号が零になるように、アンテナCの送信側伝送系の減衰量及び位相回転量を調整する。これにより、アンテナA、Bに続いてアンテナCの送信側キャリブレーションが行われる。以下同様に、全てのアンテナについて送信側キャリブレーションが行える。
【0042】
以上の説明では、送信側伝送系のアンテナA,Bなどと受信側伝送系のアンテナRとの間の距離Lar、Lbrは任意の値としている。これらの距離Lar、Lbrが等しい場合、即ちアンテナA、Bに対してアンテナRが二等辺三角形上にある場合には、最初に送信される送信信号Sta、Stbは同振幅で逆位相のものとすればよい。
【0043】
また、以上の説明では、複数Mを2としたが、複数Mを複数Nより少ない3以上の数にしてもよい。図4は、複数Mを3とした場合の例を示したものである。
【0044】
図4では、図3に比して、送信側信号伝送系のアンテナCが追加されており、アンテナCとアンテナRとの距離をLcrとする。
【0045】
この場合に、アンテナRで受信される受信信号Srrは、
Srr={G(Lar)ε−jΘ(Lar)Sta+G(Lbr)ε−jΘ(Lbr)Stb+G(Lcr)・ε−jΘ(Lcr)Stc}・G(rr)ε−jΘ(rr)
で表される。
【0046】
この場合にも、アンテナA〜Cから送信する送信信号Sta〜Stcを、アンテナRでの受信信号Srrが零となるように設定して、送信する。
【0047】
そして、図3の場合と同様に、差分による受信信号が零になるように、アンテナA〜Cの送信側伝送系の減衰量及び位相回転量を調整する。これにより、アンテナA〜C間の送信側キャリブレーションが行われる。
【0048】
引き続いて、送信側キャリブレーションが行われたアンテナ(例えばアンテナA、B)と他のアンテナDとによって同様に差分による受信信号が零になるように、アンテナDの送信側伝送系の減衰量及び位相回転量を調整して、アンテナDの送信側キャリブレーションが行われる。
【0049】
この場合、キャリブレーションが進行するに連れて、複数Mを3から4,5・・・と順次増加していってもよい。これにより、アンテナA、B、Cに続いてアンテナD以降の送信側キャリブレーションが行われる。
【0050】
ここで、より厳密にはアンテナA、B、C・・・が、波長に対して10波長以下等比較的近接されて設置される場合が多いため、アンテナRの位置がアンテナA、B、C・・・の近距離場にあたり、電磁波解析によるヌル点となるように、アンテナA、B、C・・・から送信されるのが基本である。
【0051】
次に、本発明の信号伝送系の受信側のキャリブレーションの考え方について説明する。受信側のキャリブレーションも、複数Mを2とし、送信側のキャリブレーションと同様に図3を参照して、説明する。
【0052】
受信側のキャリブレーション時においては、全ての信号伝送系の送信側のキャリブレーションは、既に終了している。
【0053】
アンテナAから送信信号Staで送信し、アンテナBから送信信号Stbで送信する。アンテナRで受信される受信信号Srrは、
Srr={G(Lar)ε−jΘ(Lar)Sta+G(Lbr)ε−jΘ(Lbr)Stb}・G(rr)ε−jΘ(rr)
で表される。
【0054】
アンテナ相互間の距離は、それらの配置関係から予め判明しており、送信側のキャリブレーションも既に終了しているので、アンテナA、Bから送信する送信信号Sta、Stbを、アンテナRでの受信信号Srrが、零ではなく、予め設定した振幅と位相となる設定値に設定して、送信する。
【0055】
受信側のキャリブレーションにおいては、当該受信側伝送系自身のキャリブレーションを行うから、受信信号の設定値(特に振幅)は通常の信号伝送状態での受信信号のレベルと同程度あるいはそれ以下になるように行われることがよい。
【0056】
アンテナRの受信側伝送系(受信回路など)の減衰及び位相回転(G(rr)ε−jΘ(rr))が、設計値と同一であれば、受信信号Srrは、両方からの送信信号が相互に影響し合って小さくなり、予め設定した設定値で受信される。
【0057】
しかし、アンテナRの受信側伝送系(受信回路など)の実際の減衰及び位相回転は設計値と全く同一ではないから、設計値と実際値との差分だけ設定値と異なった受信信号Srrが受信される。
【0058】
そこで、その受信信号が予め設定した設定値になるように、アンテナRの受信側伝送系の減衰量G(rr)及び位相回転量ε−jΘ(rr)を調整する。調整の結果、受信信号が予め設定した設定値になったことにより、アンテナRの信号伝送系の受信側キャリブレーションが行われる。
【0059】
引き続いて、他のアンテナを、新しいアンテナRとして、同様に差分による受信信号が予め設定した設定値になるように、アンテナRの受信側伝送系の減衰量及び位相回転量を調整する。このようにして、各アンテナの受信側キャリブレーションが、順次行われる。
【0060】
以上の説明では、複数Mを2としたが、図4のように、複数Mを複数Nより少ない3以上の数にしてもよい。
【0061】
また、他の受信側キャリブレーション方法として、受信側のキャリブレーション時には既に送信側のキャリブレーションは終了しているから、アンテナRへの信号を送信する送信側アンテナをただ1個としてもよい。ただ、この場合には、送信側アンテナからの送信信号のレベルは、受信側で許容される程度の受信信号レベルとなるように調整して送信することになる。
【0062】
次に、本発明のキャリブレーション動作を、図1の他、図5及び図6をも参照して説明する。図5は、送信側のキャリブレーション時のフローチャートを示す図であり、図6は、受信のキャリブレーション時のフローチャートを示す図である。
【0063】
図5において、送信側キャリブレーションがスタートすると、ステップS101で、N本(N≧3)のアンテナのうちの1本を受信用のアンテナRとして選択する。このアンテナRの信号伝送系の受信側可変増幅器AGirの増幅度及び受信側移相器PSirの移相量を、制御器100からの受信側振幅位相制御信号ctrにしたがって、それぞれ所定値、例えば1及び零、に設定する。
【0064】
ステップS102で、アンテナRを除く「N−1」本のアンテナのうちM本(2≦M<N)を選択する。
【0065】
ステップS103で、選択されたM本のアンテナから送信した場合に、アンテナRで受信される受信信号Sriが計算上で零となるM本のアンテナからの送信振幅と位相を、制御部100によって算出する。算出された送信側振幅位相制御信号ctsiを振幅位相制御器ASciに供給し、送信振幅と位相を送信側可変増幅器AGit及び送信側移相器PSitに設定する。そして、ステップS104で、実際にM本のアンテナから送信する。
【0066】
なお、受信用のアンテナRとして選択された以外のアンテナにつながるアンテナ共用器SWiは、送信側或いは中立位置にあるように制御される。これにより、受信用アンテナR以外のアンテナの受信回路に大きな受信信号が入力されることを避けることができる。
【0067】
ステップS105で、アンテナRでの受信信号Sriが零となったかどうかを判定する。零で無い場合には、ステップS106でM本のアンテナのうち少なくとも1本の送信振幅及び又は位相を調整し、再度送信する。このような、ステップS105及びステップS106の処理を繰り返して行い、アンテナRでの受信信号Sriが零となったと判定されると、ステップS107に進む。この受信信号Sriが零となったかどうかの判定は、実際には所定の閾値Vthを定めておき、受信信号Sriがその閾値Vthを下回ったことにより、零になったと判定する。
【0068】
なお、ステップS103での送信振幅の設定は、送信側のキャリブレーションがまだ行われていない状態であるので、受信アンテナRで高いレベルの受信信号が受信されることを防ぐために、小さく設定することがよい。そして、ステップS105での受信レベルの判断及びステップS106での送信振幅や位相の変更の繰り返し処理を通して、徐々に本来の送信振幅のレベルに上昇させて行くことがよい。これにより、送信側のキャリブレーションの際に、受信アンテナに高いレベルの信号が受信されることなく、本来の送信振幅レベルでの振幅及び位相をキャリブレーションすることができる。
【0069】
ステップS107では、ステップS101で選択された受信用アンテナRを除く「N−1」本のアンテナの送信振幅と位相が調整されたか、即ち「N−1」の信号伝送系の送信側可変増幅器AGit及び送信側移相器PSitが調整されたかどうかを判定する。
【0070】
まだ、「N−1」の信号伝送系の送信側可変増幅器AGit及び送信側移相器PSitのうちに、未調整のものがある場合には、ステップS108に進む。
【0071】
ステップS108では、M本のアンテナの新しい組み合わせを、少なくとも1本のアンテナがそれ以前のM本の組み合わせと共通するように、選択する。そして、ステップS103に戻って、ステップS103〜ステップS107の処理を、その新しいアンテナの組み合わせについて行う。この場合、既に調整済みの信号伝送系の送信側可変増幅器AGit及び送信側移相器PSitはそれらの調整状態を固定しておき、新たにM本中に加えられた信号伝送系の送信側可変増幅器AGit及び送信側移相器PSitの振幅及び位相を調整する。
【0072】
このようにして、「N−1」の信号伝送系の送信側可変増幅器AGit及び送信側移相器PSitが調整されると、ステップS109に進む。ステップS109では、ステップS101で選択したアンテナRを1回以上変更したかどうかを判定する。
【0073】
アンテナRが1回以上変更されていない場合には、ステップS110に進む。ステップS110では、N本のアンテナのうち、以前にアンテナRとして選択されていないアンテナを、新しい受信用のアンテナRとして選択し、ステップS102に戻る。そして、ステップS102〜ステップS109の処理を、再び行う。
【0074】
ステップS109で、設定された回数だけ、アンテナRが変更されると、送信キャリブレーションは終了する。
【0075】
ステップS109での回数を1回とした場合にも、全ての信号伝送系の送信側可変増幅器AGit及び送信側移相器PSitが調整され、送信側のキャリブレーションが行われたことになる。
【0076】
ステップS109での回数を2回以上とした場合には、全ての信号伝送系の送信側可変増幅器AGit及び送信側移相器PSitの調整が、複数回行われることになる。したがって、各回のそれぞれの振幅及び位相の調整値を制御部100のメモリ手段に記憶させておき、それらの調整値を平均化し、平均化された調整値を全ての信号伝送系の送信側可変増幅器AGit及び送信側移相器PSitに設定する。これにより、より精度良くばらつきを小さくして、送信側キャリブレーションを行うことができる。
【0077】
また、図5のフローチャートのステップS108において、選択されるアンテナを一本増加し、M←M+1、とすることができる。例えば、Mとして最初は2本とし、ステップS108に進む度に、M=3,M=4・・・と増加させていっても良い。この場合には、どの様な組み合わせであっても、常に1つの信号伝送系の送信側可変増幅器AGit及び送信側移相器PSitの調整のみでよい。
【0078】
次に、図6を参照して、受信側のキャリブレーション時の動作を説明する。この受信側のキャリブレーション時には、全ての信号伝送系の送信側のキャリブレーションは終了している。
【0079】
図6において、受信側キャリブレーションがスタートすると、ステップS201で、N本(N≧3)のアンテナのうちの1本を受信用のアンテナRとして選択する。このアンテナRの信号伝送系の受信側可変増幅器AGirの増幅度及び受信側移相器PSirの移相量を、制御器100からの受信側振幅位相制御信号ctrにしたがって、それぞれ所定値、例えば1及び零、に設定する。
【0080】
ステップS202で、アンテナRを除く「N−1」本のアンテナのうちM本(2≦M<N)を選択する。
【0081】
ステップS203で、アンテナRで受信される受信信号Sriが予め設定した振幅と位相となるように、送信側キャリブレーション結果を踏まえて、M本のアンテナから送信する送信信号の振幅と位相を制御部100によって算出する。算出された振幅と位相となるような送信側振幅位相制御信号ctsiを振幅位相制御器ASciに供給し、送信振幅と位相を送信側可変増幅器AGit及び送信側移相器PSitに設定する。そして、ステップS204で、実際にM本のアンテナから送信する。
【0082】
受信側のキャリブレーションにおいては、当該受信側伝送系自身のキャリブレーションを行うから、当該受信側伝送系において予め設定した受信信号Sriが受信されるようにM本のアンテナからの送信信号が送信される。この受信信号の設定(特に振幅)は、通常の信号伝送状態での受信信号のレベルと同程度あるいはそれ以下になるように行われる。
【0083】
ステップS205で、アンテナRでの受信信号Sriが予め設定した設定値となったかどうかを判定する。設定値と異なる場合には、ステップS206でアンテナRの信号伝送系の受信側可変増幅器AGirの増幅度及び又は受信側移相器PSirの移相量を、制御器100からの受信側振幅位相制御信号ctrにしたがって、調整する。
【0084】
このような、ステップS205及びステップS206の処理を繰り返して行い、アンテナRでの受信信号Sriが設定値になったと判定されると、ステップS207に進む。この受信信号Sriが設定値となったかどうかの判定は、実際にはその設定値に対して所定の閾値を定めておき、受信信号Sriがその閾値内に入ったことにより、設定値になったと判定する。
【0085】
ステップS207では、N本のアンテナがアンテナRとされたかどうかを判定する。N本のアンテナのうち、まだアンテナRとして選択されていないアンテナがある場合には、ステップS208に進み、そのアンテナを受信用のアンテナRとして選択し、ステップS202に戻る。
【0086】
ステップS202〜ステップS208での各処理を、ステップS207でN本のアンテナがアンテナRとされたと判定されるまで、繰り返して行う。ステップS202での処理において、選択されているM本のアンテナの1つが新しいアンテナRとなる場合には、新しく他のアンテナをM本のアンテナの1つとして選択する。
【0087】
ステップS207でN本のアンテナがアンテナRとされたと判定されると、全ての信号伝送系の受信側可変増幅器AGir及び受信側移相器PSirが調整され、送信側のキャリブレーションが行われたことになる。
【0088】
ステップS207で、N本のアンテナがそれぞれ2回以上アンテナRとして選択されたことを、終了の条件とするように変更することができる。この場合には、全ての信号伝送系の受信側可変増幅器AGir及び受信側移相器PSirの調整が、複数回行われることになる。したがって、各回のそれぞれの振幅及び位相の調整値を制御部100のメモリ手段に記憶させておき、それらの調整値を平均化し、平均化された調整値を全ての信号伝送系の受信側可変増幅器AGir及び受信側移相器PSirに設定する。これにより、より精度良くばらつきを小さくして、受信側キャリブレーションを行うことができる。
【0089】
【発明の効果】
本発明によれば、アダプティブアレイ無線基地局などにおいて用いられる無線装置のキャリブレーションを、アッテネータを挿入したり或いは利得を大きく調整することなく、通常の使用状態で実施することが可能になる。したがって、利得を大幅に調整したり、アッテネータを挿入する必要がないから、キャリブレーションの精度を高くすることができる。
【0090】
また、複数の送信用として設定された信号伝送系から送信される信号を、特定の1つの受信用として設定された信号伝送系で受信し、その受信信号が零となるように送信用の伝送系の減衰量及び位相回転量を調整することで、送信用伝送系の送信側のキャリブレーションが行える。
【0091】
また、送信側のキャリブレーション済みの複数の送信用として設定された信号伝送系から送信される信号を、特定の1つの受信用として設定された信号伝送系で受信し、その受信信号が所定値になるように当該受信用信号伝送系の減衰量及び位相回転量を調整することで、受信用伝送系の受信側のキャリブレーションが行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるアダプティブアレイ無線基地局の要部を示す概略ブロック図。
【図2】4個のアンテナ素子でアレイアンテナが構成される場合の配置例。
【図3】本発明によるキャリブレーションの考え方を説明する図。
【図4】本発明によるキャリブレーションの他の考え方を説明する図。
【図5】本発明の送信側のキャリブレーション時のフローチャート。
【図6】本発明の受信側のキャリブレーション時のフローチャート。
【符号の説明】
100 制御部
200 振幅位相調節部
ANT1〜ANTn アンテナ素子
SW1〜SWn アンテナ共用器
TX1〜TXn 送信回路
RX1〜RXn 受信回路
PS1t〜PSnt 送信側移相器
AG1t〜AGnt 送信側可変増幅器
PS1r〜PSnr 受信側移相器
AG1r〜AGnr 受信側可変増幅器
ASc1〜AScn 振幅位相制御器
Claims (6)
- 伝送特性のキャリブレーションが可能な無線装置であって、
アンテナと、送信回路と、前記アンテナを前記送信回路と共用する受信回路と、送信信号の振幅と位相を制御する送信側振幅・位相制御手段とをそれぞれ含む複数N個(ただし、N≧3)の信号伝送系と、
キャリブレーション時に、前記複数N個の信号伝送系の特定の1つの信号伝送系を除く複数M個(ただし、2≦M<N)の信号伝送系の送信回路から、前記特定の1つの信号伝送系の受信信号が零となるようように算出された既知の信号を送信し、かつ前記送信された既知の信号を前記特定の1つの信号伝送系の受信回路で受信し、その受信信号が零になるように前記複数M個の信号伝送系の送信側振幅・位相制御手段を制御するための制御部とを備えたことを特徴とする、無線装置。 - 前記信号伝送系の各々は、受信信号の振幅と位相を制御する受信側振幅・位相制御手段を有し、
前記制御部は、前記複数M個の信号伝送系の送信回路から既知の信号を送信し、この送信された既知の信号を前記特定の1つの信号伝送系の受信回路で受信し、その受信信号が前記送信された既知の信号に基づいた所定の振幅・位相になるように当該信号伝送系の受信側振幅・位相制御手段を制御することを特徴とする、請求項1記載の無線装置。 - アンテナと、送信回路と、前記アンテナを前記送信回路と共用する受信回路と、送信信号の振幅と位相を制御する送信側振幅・位相制御手段とをそれぞれ含む複数N個(ただし、N≧3)の信号伝送系を備えた無線装置のキャリブレーション方法であって、
複数N個の信号伝送系のうちの1つを第1受信用信号伝送系として選択する第1ステップと、
前記第1受信用信号伝送系を除く信号伝送系のうち複数M個(ただし、2≦M<N)を第1送信信号伝送系として選択する第2ステップと、
前記選択された複数M個の第1送信信号伝送系から、前記第1受信用信号伝送系の受信信号が零となるように算出された制御信号により前記送信側振幅・位相制御手段を制御して各々送信信号を送信する第3ステップと、
前記第1受信用信号伝送系での受信信号が実際に零となるように前記選択された複数M個の第1送信信号伝送系の前記送信側振幅・位相制御手段を制御する第4ステップと、
前記複数N個の信号伝送系が少なくとも1回は前記複数M個の第1送信信号伝送系に含まれるように、前記第1ステップ〜第4ステップを繰り返して行う第5ステップと、を含むことを特徴とする、無線装置のキャリブレーション方法。 - 前記第5ステップは、前記第1受信用信号伝送系を除く信号伝送系の前記送信側振幅・位相制御手段の全てが、前記第1受信用信号伝送系での受信信号が零となるように制御されるまで、前記複数M個の第1送信信号伝送系の組み合わせを変更し、
前記第1受信用信号伝送系を除く信号伝送系の前記送信側振幅・位相制御手段の全てが、前記第1受信用信号伝送系での受信信号が零となるように制御されると、前記1つの第1受信用信号伝送系として、他の信号伝送系を用いることを特徴とする、請求項3記載の無線装置のキャリブレーション方法。 - アンテナと、送信回路と、前記アンテナを前記送信回路と共用する受信回路と、送信信号の振幅と位相を制御する送信側振幅・位相制御手段と受信信号の振幅と位相を制御する受信側振幅・位相制御手段とをそれぞれ含む複数N個(ただし、N≧3)の信号伝送系を備えた無線装置のキャリブレーション方法であって、
複数N個の信号伝送系のうちの1つを第1受信用信号伝送系として選択する第1ステップと、
前記第1受信用信号伝送系を除く信号伝送系のうち複数M個(ただし、2≦M<N)を第1送信信号伝送系として選択する第2ステップと、
前記選択された複数M個の第1送信信号伝送系から、前記第1受信用信号伝送系の受信信号が零となるように算出された制御信号により前記送信側振幅・位相制御手段を制御して各々送信信号を送信する第3ステップと、
前記第1受信用信号伝送系での受信信号が実際に零となるように前記選択された複数M個の第1送信信号伝送系の前記送信側振幅・位相制御手段を制御する第4ステップと、
前記複数N個の信号伝送系が少なくとも1回は前記複数M個の第1送信信号伝送系に含まれるように、前記第1ステップ〜第4ステップを繰り返して行う第5ステップと、
前記複数N個の信号伝送系のうちの1つを第2受信用信号伝送系として選択する第6ステップと、
前記第2受信用信号伝送系を除く信号伝送系のうち複数M個(ただし、2≦M<N)の第2送信用信号伝送系を選択する第7ステップと、
前記選択された複数M個の第2送信用信号伝送系から、前記第2受信用信号伝送系での受信信号が所定値となるように制御された送信信号を送信し、前記第2受信用信号伝送系での受信信号が前記所定値となるように当該第2受信用信号伝送系の前記受信側振幅・位相制御手段を制御する第8ステップと、
前記複数N個の信号伝送系が少なくとも1回は前記第2受信用信号伝送系になるように、前記第6ステップ〜第8ステップを繰り返して行う第9ステップと、を含むことを特徴とする、無線装置のキャリブレーション方法。 - 前記第5ステップは、前記第1受信用信号伝送系を除く信号伝送系の前記送信側振幅・位相制御手段の全てが、前記第1受信用信号伝送系での受信信号が零となるように制御されるまで、前記複数M個の第1送信信号伝送系の組み合わせを変更し、
前記第1受信用信号伝送系を除く信号伝送系の前記送信側振幅・位相制御手段の全てが、前記第1受信用信号伝送系での受信信号が零となるように制御されると、前記1つの第1受信用信号伝送系として、他の信号伝送系を用いることを特徴とする、請求項5記載の無線装置のキャリブレーション方法。
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