JP2004258602A - 液晶表示装置および偏光板 - Google Patents

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Abstract

【課題】 簡易な構成で、正面の表示品位のみならず視野角が著しく改善された液晶表示装置を提供することができる。
【解決手段】 少なくとも一方に電極を有し対向配置された一対の基板と、前記基板間に設けられた液晶層と、前記液晶層の外側に配置された第一の偏光板とを有する液晶表示装置であって、前記液晶層の厚さd(μm)と屈折率異方性Δnとの積Δn・dが0.2〜1.2μmであり、前記液晶層の配向状態が少なくとも2値以上の電界を印加することで変化し、かつ電界印加時と電解無印加時で液晶層の基板面に対する平均配向傾き角が異なり、前記第一の偏光板が、偏光膜と該偏光膜を挟持して配置された一対の保護膜と、前記保護膜の外側であって前記液晶層により近い側に位置する円盤状化合物がハイブリット配向してなる光学異方性層とを有し、前記一対の保護膜のうち少なくとも一方は、膜面の平均屈折率が最大となる方向と実質的に一致する遅相軸を有し、かつ液晶層に近い保護膜の該遅相軸と該偏光膜吸収軸とが交差している液晶表示装置である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、保護フィルムに挟持される偏光膜からなる偏光板、およびそれを用いた液晶表示装置に関する。
液晶表示装置は、液晶セル、偏光板からなる。偏光板は保護膜と偏光膜からなり、ポリビニルアルコールフィルムからなる偏光膜をヨウ素にて染色し、延伸を行い、その両面を保護膜にて積層して得られる。透過型液晶表示装置では、この偏光板を液晶セルの両側に取り付け、さらには一枚以上の光学補償シート配置することもある。反射型液晶表示装置では、反射板、液晶セル、一枚以上の光学補償シート、偏光板の順に配置する。液晶セルは、液晶性分子、それを封入するための二枚の基板および液晶性分子に電圧を加えるための電極層からなる。液晶セルは、液晶性分子の配向状態の違いで、ON、OFF表示を行い、透過および反射型いずれにも適用できる、TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、OCB(Optically Compensatory Bend)、VA(Vertically Aligned)、ECB(Electrically Controlled Birefringence)のような表示モードが提案されている。
光学補償シートは、画像着色を解消したり、視野角を拡大するために、様々な液晶表示装置で用いられている。光学補償シートとしては、延伸複屈折ポリマーフィルムが従来から使用されていた。延伸複屈折フィルムからなる光学補償シートに代えて、透明支持体上に低分子あるいは高分子液晶性分子から形成された光学異方性層を有する光学補償シートを使用することが提案されている。液晶性分子には多様な配向形態があるため、液晶性分子を用いることで、従来の延伸複屈折ポリマーフィルムでは得ることができない光学的性質を実現することが可能になった。さらに偏光板の保護膜に複屈折性を付加することで光学補償シートとしても機能する。
光学補償シートの光学的性質は、液晶セルの光学的性質、具体的には上記のような表示モードの違いに応じて決定する。液晶性分子を用いると、液晶セルの様々な表示モードに対応する様々な光学的性質を有する光学補償シートを製造することができる。液晶性分子を用いた光学補償シートでは、様々な表示モードに対応するものが既に提案されている。例えば、TNモード液晶セル用光学補償シートは、電圧印加により液晶分子がねじれ構造が解消しつつ基板面に傾斜した配向状態の光学補償を行い、黒表示時の斜め方向の光漏れ防止によるコントラストの視角特性を向上させる(特許文献1参照)。
OCBモードはベンドモード、パイセルモードと液晶層の配向状態が類似しており、高速応答が特長で、テレビジョンやパソコン用表示装置などのアプリケーションに適している。例えば、OCBモードの液晶セル用光学補償シートは、電圧印加により液晶層中央部で垂直配向し、基板界面付近で傾斜配向した液晶層の光学補償を行い、黒表示の視野角特性を改善する(特許文献2参照)。
特開平6−214116号公報 特開平8−327822号公報
従来のOCBモード液晶セル用光学補償シートは、延伸複屈折ポリマーフィルムに代えて液晶性分子からなるフィルムを用いることで、従来よりも正確に液晶セルを光学的に補償することが可能になった。しかし、液晶性分子を用いても液晶セルを問題なく完全に光学的に補償することは非常に難しい。例えば、黒表示時の偏光板の斜め方向からの光漏れが認められ、視野角が充分に(理論的に期待できる程度まで)拡大していない。また、一対の偏光板の吸収軸が直交していても、偏光板吸収軸に対して斜めの方向から観察した場合、双方の吸収軸は直交でなくなるため光漏れがみとめられる。
延伸複屈折ポリマーフィルムのみで光学補償を行う場合は、複数のフィルムを用いるため厚さが増し、表示装置の薄形化に不利となった。また、延伸フィルムの積層には粘着層を用いるため、温湿度変化により粘着層が収縮して、フィルム間の剥離や反りといった不良が発生することがあった。
OCBモードの黒表示は、液晶セルの高電圧印加時の残留リターデーションを光学補償層で打ち消すことにより得られる。そのためには、従来のTNモードの光学補償原理と異なり、液晶性分子からなる光学補償層の配向方向と液晶セル基板の液晶配向制御方向を偏光板吸収軸と45°交差させる必要がある。このように偏光板吸収軸と、液晶セルの液晶配向制御方向を交差させることにより、液晶セルや光学補償層の厚さムラや配向不良が目視しやすくなった。
また、OCBモードでは吸収軸方向をパネル水平方向に対して45°に配置する必要があり、従来の偏光板では製造ロール長手方向に対して45°で切出す必要があり、大型パネルにおいては切り捨てられる破片が大きく、製造ロスが大きかった。
本発明は前記諸問題に鑑みなされたものであって、簡易な構成で、正面の表示品位のみならず、視野角が著しく改善された液晶表示装置、特にOCB型液晶表示装置を提供することを課題とする。また、本発明は、光学補償層や液晶セルの液晶層のリターデーション変動による表示ムラが軽減された液晶表示装置、特にOCB型液晶表示装置を提供することを課題とする。また、本発明は、偏光機能を有するのみならず、液晶表示装置、特にOCB型液晶表示装置の液晶セルの光学的補償、および光学補償層や液晶セルの液晶層のリターデーション変動による表示ムラを軽減するのに寄与する偏光板を提供することを課題とする。
前記課題を解決するための手段は以下の通りである。
(1) 少なくとも一方に電極を有し対向配置された一対の基板と、前記基板間に設けられた液晶層と、前記液晶層の外側に配置された第一の偏光板とを有する液晶表示装置であって、前記液晶層の厚さd(μm)と屈折率異方性Δnとの積Δn・dが0.2〜1.2μmであり、前記液晶層の配向状態が少なくとも2値以上の電界を印加することで変化し、かつ電界印加時と電解無印加時で液晶層の基板面に対する平均配向傾き角が異なり、前記第一の偏光板が、偏光膜と該偏光膜を挟持して配置された一対の保護膜と、前記保護膜の外側であって前記液晶層により近い側に位置する、円盤状化合物がハイブリット配向してなる光学異方性層とを有し、前記一対の保護膜のうち少なくとも一方は、膜面の平均屈折率が最大となる方向と実質的に一致する遅相軸を有し、かつ液晶層に近い保護膜の遅相軸と偏光膜吸収軸とが交差していることを特徴とする液晶表示装置。
(1)の液晶表示装置では、偏光板として、一対の保護膜の少なくとも一方の面内の遅相軸が、偏光膜の吸収軸と交差している偏光板を用いている。該偏光板は、偏光機能のみならず、表示装置の視野角の拡大に寄与するので、視野角の拡大された液晶表示装置となる。また、液晶表示装置、特にOCB型液晶表示装置では、光学補償層や液晶セルの液晶層のリターデーション変動による表示ムラが生じるが、(1)の液晶表示装置では、前記偏光板が前記表示ムラを軽減するのに寄与する。さらに、前記偏光板は、円盤状液晶性化合物がハイブリッド配向してなる光学異方性層を備えているので、OCB型液晶表示装置の液晶セルを正確に光学的に補償することができる。従って、(1)の液晶表示装置によれば、簡易な構成で、正面の表示品位のみならず視野角が著しく改善された液晶表示装置、特にOCB型液晶表示装置を提供することができる。
前記偏光板は、斜め延伸方法を利用して作製した偏光膜を用いることにより、一対の保護膜および前記偏光膜の合計3枚のポリマーフィルム等をロールtoロールで積層して容易に製造することができるので、液晶表示装置の生産性の向上にも寄与する。
なお、ここで、「保護膜の遅相軸と前記偏光膜の吸収軸とが交差している」とは、偏光膜の吸収軸が保護膜の遅相軸に平行でないことを意味する。偏光膜の吸収軸方向と保護膜の遅相軸との角度は(偏光膜の裁断前または後とは無関係に)、好ましくは10°〜90°、より好ましくは20°〜70゜と80°〜90°、更に好ましくは40°〜50゜と85°から90°、特に好ましくは43〜47゜と88°〜90°である。
(2) 前記一対の保護膜の双方が、膜面の平均屈折率が最大となる方向と実質的に一致する遅相軸を有し、前記遅相軸が互いに実質的に平行であることを特徴とする(1)の液晶表示装置。
(2)の液晶表示装置では、偏光板が有する一対の保護膜の前記遅相軸の方向が一致しているので、上記効果に加えて、偏光板の機械的安定性の向上や、光学的性能の均一化の効果が得られる。
(3) 前記一対の保護膜のうち、前記液晶層に遠い側の遅相軸と前記偏光膜の吸収軸とが実質的に平行もしくは直交していることを特徴とする(1)または(2)に記載の液晶表示装置。
(3)の液晶表示装置では、偏光板が有する偏光膜の吸収軸と、保護膜(液晶層に遠い側の保護膜)の遅相軸とが平行あるいは直交しているので、上記効果に加えて、偏光板の寸法変化やカール防止といった機械的信頼性が向上する。
(4) 前記第一の偏光板とともに前記液晶層を挟持して配置された第二の偏光板を有し、前記第二の偏光板は偏光膜と該偏光膜を挟持する一対の保護膜とから構成され、前記第一および第二の偏光板の前記液晶層に近い側の保護膜の遅相軸が、互いに実質的に平行もしくは直交していることを特徴とする(2)または(3)の液晶表示装置。
(4)の液晶表示装置では、双方の保護膜が複屈折性を有するとともに、前記液晶層に近い側の保護膜の遅相軸が、互いに実質的に平行もしくは直交している。遅相軸が互いに直交する態様では、それぞれの保護フィルムの複屈折を互いに打ち消すことにより、液晶表示装置の垂直入射時の光学特性が劣化するのを低減することができる。一方、遅相軸が互いに平行する態様では、液晶層に残留位相差がある場合には保護膜の複屈折性でこの位相差を補償することができる。
(5) 前記第一の偏光板とともに前記液晶層を挟持して配置された第二の偏光板を有し、前記第二の偏光板は偏光膜と該偏光膜を挟持する一対の保護膜とから構成され、前記第一および第二の偏光板の偏光膜の吸収軸が、互いに実質的に直交していることを特徴とする(2)〜(4)のいずれかの液晶表示装置。
(5)の液晶表示装置は、液晶層を挟持して配置された偏光板の偏光膜の吸収軸が直交しているので、偏光板透過率が低く、高コントラストを得ることができる。
(6) 少なくとも一方に電極と薄膜半導体層を有し対向配置された一対の基板と、該基板間に設けられた液晶層と、該液晶層の外側に配置された偏光板とを有し、該半導体層に外部から信号線により電気信号を印加することで前記液晶層の配向状態を変化させることで表示を行う液晶表示装置であって、上記液晶層の厚さd(μm)と屈折率異方性Δnとの積Δn・dが0.2〜1.2μmであり、上記偏光板が、偏光膜と該偏光膜を挟持するよう配置された一対の屈折性を有する保護膜と、前記保護膜の外側であって前記液晶層により近い側に位置する、円盤状化合物がハイブリット配向してなる光学異方性層とから構成され、前記半導体層に電気信号を印加する信号線と前記偏光膜吸収軸とが実質的に45°で交差することを特徴とする液晶表示装置。
(6)の液晶表示装置では、アクティブマトリックス駆動方式において、画素に表示するために薄膜トランジスタに電気信号を送る配線に対して、偏光板吸収軸が45°で交差しているので、左右対称の視野角特性が得られる。ここで「実質的に45°で交差している」とは、45°±10°または−45°±10°に交差していることを意味する。偏光板の偏光膜の吸収軸が液晶セル基板長辺に対して平行もしくは垂直であると、信号線と吸収軸との交差角を考慮して配線する必要があるが、例えば、斜め延伸方法を利用して作製された、吸収軸が元々長手方向に対して45°で交差している偏光膜を用いれば、信号線と吸収軸との交差角を考慮しなくても、偏光膜の長手方向と液晶セル基板の長辺方向とを一致させて積層すれば、左右対称の視野角が得られ、液晶表示装置の設計などが容易になる。
(7)前記液晶層に近い保護膜の該遅相軸と該偏光膜吸収軸とが実質的に90°で交差していることを特徴とする(1)に記載の液晶表示装置。
従来の偏光板では一対の偏光板の吸収軸が直交していても、偏光板吸収軸に対して斜めの方向から観察した場合、双方の吸収軸は直交でなくなるため光漏れがみとめられたが、(7)の液晶表示装置では保護膜の遅相軸と偏光膜吸収軸とが直交しているため、偏光方向が回転され斜めの方向の観察でも直交に近くなるため、漏れ光は少なくなる。
(8) 前記一対の保護膜のうち液晶層に近い側に配置される保護膜が、厚さd1(nm)であり、それぞれ互いに直交するx、yおよびz軸方向に3つの平均屈折率nx、nyおよびnzを有し、前記液晶層の表面に平行な面内の主平均屈折をnxおよびny、前記液晶層の厚み方向の主平均屈折率をnzとした場合、可視光領域の任意の波長λにおいて、−5nm≦{(nx−ny)×d1}≦10nmの関係を満足することを特徴とする(1)〜(7)のいずれかの液晶表示装置。
(8)の液晶表示装置では、(nx−ny)×d1の値が0に近いので、例えば、OCBモードの液晶表示装置では、液晶層の基板近傍の液晶分子平均配向方向と偏光板の吸収軸とが交差しているために表示色が着色する場合があるが、かかる表示色の着色を抑制したり、視野角を改善することができる。その場合、保護膜の材料としては低Re値のトリアセチルセルロース系やポリオレフィン系のフィルムが適している。
(9) 前記保護膜の{(nx+ny)/2−nz}×d1の値が、250nm以下であることを特徴とする(8)に記載の液晶表示装置。
(9)の液晶表示装置では、厚さ方向の複屈折{(nx+ny)/2−nz}×d1を前記範囲とすることで、保護膜に複屈折を持たせ、光学補償層として機能させる態様において、黒表示時の視野角特性を大きく改善している。その大きさは液晶層のΔndとの関係に依存するものの、100〜300nmの範囲に設定することで特性が大幅に改善される。
(10) 前記保護膜の{(nx+ny)/2−nz}×d1の値が、50nm以下であることを特徴とする(8)に記載の液晶表示装置。
(10)の液晶表示装置では、保護膜に複屈折性を持たせないことで、偏光板による液晶表示装置の視野角特性や、信頼性の低下を軽減させている。
(11) 前記保護膜がセルロースアセテートあるいはポリオレフィン系樹脂フィルムからなる(1)〜(7)のいずれかに記載の液晶表示装置。
(12) 前記偏光板と、前記一対の基板および前記液晶層からなる液晶セルとの間に、重合性液晶性化合物からなる層を少なくとも一層有することを特徴とする(1)〜(11)のいずれかに記載の液晶表示装置。
(12)の液晶表示装置では、重合性液晶性化合物からなる層を少なくとも一層を前記位置に配置することで、光学補償機能の向上に寄与させている。特に視野角改善の観点では、前記層の{(nx+ny)/2−nz}×dは大きく、かつ面内の複屈折(nx−ny)×dは小さいのが好ましく、かかる層の形成には円盤状化合物が適している。
(13) 前記液晶性化合物が棒状化合物からなることを特徴とする(11)に記載の液晶表示装置。
(13)の液晶表示装置では、前記層を棒状液晶性化合物から形成することで、偏光板吸収軸直交時の斜め方向から見た場合の漏れ光を防止している。前記層の面内の複屈折(nx−ny)×dは、5〜50nmの範囲に設定することで効果を発揮する。
ここで、(nx−ny)×d、{(nx+ny)/2−nz}×dの少なくとも一方は0でもよい。その場合は、保護膜と液晶セルの間に光学補償シートを少なくとも1方の側に1枚以上配置することで同等の効果が得られる。そのとき、(nx−ny)×dの値は大きめの50〜250nmの範囲である。
(14) 前記保護膜が、厚さd1(nm)であり、それぞれ互いに直交するx、y、及びz軸方向に3つの平均屈折率nx、ny、nzを有し、前記液晶セルの表面に平行な面内の主平均屈折率をnxおよびny(但し、ny<nx)とし、該液晶セルの厚み方向の主平均屈折率をnz、可視光領域の任意の波長λにおいて、10nm≦{(nx−ny)×d1}≦50、および100nm≦[{(nx+ny)/2−nz}×d1]≦300nmを満足し、かつ前記偏光板と、前記一対の基板および前記液晶層からなる液晶セルとの間に、重合性液晶性化合物からなる層を少なくとも一層有することを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の液晶表示装置。
保護膜に複屈折性の大きな、例えばTACなどの材料を用い、さらに重合性液晶性化合物や延伸フィルムからなら高分子フィルムを一層以上配置してもよい。また塗布型の高分子層と高分子フィルムとの併用でもよい。ここで高分子フィルムの材料は、一般に合成ポリマー(例、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ノルボルネン樹脂、トリアセチルセルロース)が用いられる。
(15) 偏光膜と、該偏光膜を挟持して配置された屈折性を有する一対の保護膜と、少なくとも一方の保護膜の外側に円盤状化合物がハイブリット配向してなる光学異方性層とから構成され、前記保護膜が、厚さd1(nm)であり、それぞれ互いに直交するx、yおよびz軸方向に3つの平均屈折率nx、nyおよびnzを有し、面内の主平均屈折率をnxおよびny、厚み方向の主平均屈折率をnzとした場合、可視光領域の任意の波長λにおいて、−5nm≦{(nx−ny)×d1}≦50nm、および50nm≦[{(nx+ny)/2−nz}×d1]≦300nmを満足し、かつ前記保護膜のいずれか一方の遅相軸と前記偏光膜の吸収軸とが、実質的に平行もしくは直交していることを特徴とする偏光板。
(15)の偏光板は、一対の保護膜の少なくとも一方が、所定の面内レターデーション(Re)または厚さ方向のレターデーション(Rth)を有するとともに、前記保護膜のいずれか一方の遅相軸と前記偏光膜の吸収軸とが、実質的に平行もしくは直交していることを特徴とする。該偏光板は、偏光機能のみならず、液晶表示装置の視野角の拡大に寄与する。
前記偏光板は、斜め延伸方法を利用して作製した偏光膜を用いることにより、一対の保護膜および前記偏光膜の合計3枚のポリマーフィルム等をロールtoロールで積層して容易に製造することができるので、生産性の向上にも寄与する。
本明細書において、「45゜」、「平行」あるいは「直交」とは、厳密な角度±5゜未満の範囲内であることを意味する。厳密な角度との誤差は、4゜未満であることが好ましく、3゜未満であることがより好ましい。また、角度について、「+」は時計周り方向を意味し、「−」は反時計周り方向を意味するものとする。また、「遅相軸」は、屈折率が最大となる方向を意味する。また、「可視光領域」とは、380nm〜780nmのことをいう。さらに屈折率の測定波長は特別な記述がない限り、可視光域のλ=550nmでの値である。
本明細書において「偏光板」とは、特に断らない限り、長尺の偏光板および液晶装置に組み込まれる大きさに裁断された(本明細書において、「裁断」には「打ち抜き」および「切り出し」等も含むものとする)偏光板の両者を含む意味で用いられる。また、本明細書では、「偏光膜」及び「偏光板」を区別して用いるが、「偏光板」は「偏光膜」の少なくとも片面に該偏光膜を保護する透明保護膜を有する積層体のことを意味するものとする。
本発明は、偏光膜、および保護膜、および液晶セルの素材と製造方法を調節することにより、従来の液晶表示装置と同じ構成で、液晶セルを光学的に補償する機能を併せ持つ偏光板を製造することに成功した。さらにこの偏光板をOCBモード液晶セルに取り付けて液晶表示装置に用いたところ、正面の表示品位のみならず視野角が著しく改善された。特に偏光板吸収軸と保護膜遅相軸を45°あるいは90°で交差させることで、光学補償層や液晶セルの液晶層のリターデーション変動による表示ムラを小さく抑えることが可能となった。また偏光板吸収軸が製造ロール長手方向に対して45°傾斜している場合は、偏光板を斜めに切出すことなくパネルに貼ることが可能となり、生産ロスが少なくなった。
即ち、本発明によれば、簡易な構成で、正面の表示品位のみならず視野角が著しく改善された液晶表示装置、特にOCB型液晶表示装置を提供することができる。また、本発明によれば、光学補償層や液晶セルの液晶層のリターデーション変動による表示ムラが軽減された液晶表示装置、特にOCB型液晶表示装置を提供することができる。また、本発明によれば、偏光機能を有するのみならず、液晶表示装置、特にOCB型液晶表示装置の液晶セルの光学的補償、および光学補償層や液晶セルの液晶層のリターデーション変動による表示ムラを軽減するのに寄与する偏光板を提供することができる。
発明の実施の形態
以下、本発明の液晶表示装置の一実施形態の構成部材について順次説明する。
図1は、本発明の液晶表示装置の一実施形態の模式図、図2は図1中の偏光板の一実施形態の一部の断面模式図である。
[液晶表示装置]
図1において、液晶表示装置は、液晶セル11〜15と、液晶セルの両側に配置された一対の偏光板1〜5および20〜25とを有する。さらに、液晶セルと一対の偏光板との間には、光学補償能を有する、上側光学異方性層A9と上側光学異方性層B7、下側光学異方性層A16と下側光学異方性層B18とが、液晶セルを中心としてそれぞれ対照的位置に配置されている。
上側偏光板の下側保護フィルム5は、上側光学異方性層A9および上側光学異方性層B7の支持体を兼ねていて、即ち、上側偏光板は部材1〜9が一体的に積層された構造体として液晶表示装置に組み込まれる。一方、下側偏光板の上側保護フィルム20は、下側光学異方性層A16と下側光学異方性層B18の支持体を兼ねていて、即ち、下側偏光板は部材16〜25が一体的に積層された構造体として液晶表示装置に組み込まれる。
なお、本発明では、偏光板の少なくとも一方を、透明保護膜、偏光膜、透明保護膜および光学異方性層の積層体(例えば、上側偏光板として、透明保護膜1、偏光膜3、透明保護膜5および光学異方性層7の積層体)を用いればよく、図1のように双方の偏光板が前記構成の積層体である必要はない。また、図1の液晶表示装置では、光学異方性層を2層一体的に積層した偏光板を用いた実施形態を示したが、本発明の液晶表示装置は、偏光板と円盤状化合物をハイブリッド配向させてなる光学異方性層の少なくとも1層とが一体的に積層された構造体であればよく、前記構成に限定されるものではない。
本発明の液晶表示装置では、光学補償シートの透明支持体を、偏光膜の一方の側の保護膜と兼ねることができるので、透明保護膜、偏光膜、透明保護膜(透明支持体を兼用)および光学異方性層の順序で積層した一体型偏光板を用いている。該偏光板は、偏光機能を有するのみならず、視野角の拡大、表示ムラの軽減に寄与する。さらに、該偏光板は光学補償能を有する光学異方性層を備えているので、簡易な構成で液晶表示装置を正確に光学補償することができる。液晶表示装置内では、装置の外側(液晶セルから遠い側)から、透明保護膜、偏光膜、透明支持体および光学異方性層の順序で積層することが好ましい。
図2に、図1の液晶表示装置に用いられている偏光板の一部の断面模式図を示す。
図1の上側偏光板(下側偏光板)は、一対の透明保護フィルム1(24)および5(20)、ならびにこれらに挟持される偏光膜3(22)を含む(透明保護フィルム5(20)が液晶セル(図1において11〜15)に近い側に配置されるものとする)。偏光膜3(22)の吸収軸4(23)は、透明保護フィルム5(20)の遅相軸6(21)と交差している。具体的には、偏光膜3(22)の吸収軸4(23)と透明保護フィルム5(20)の遅相軸6(21)との角度αは、好ましくは10°〜90°、より好ましくは20°〜70゜と80°〜90°、更に好ましくは40°〜50゜と85°〜90°、特に好ましくは43〜47゜と87°〜90°である。他方の透明保護フィルム1(24)の遅相軸2(25)と、偏光膜3(22)の吸収軸4(23)とのなす角については特に制限はないが、前記角度αの好ましい範囲と同様である。
一対の透明保護フィルム1(24)および5(20)のそれぞれの遅相軸2(25)および5(20)は、互いに実質的に平行であるのが好ましい。それぞれの遅相軸2(25)および5(20)が平行であると、偏光板の機械的安定性の向上や、光学的性能の均一化の効果が得られるので好ましい。また、液晶セルに遠い側に配置される透明保護フィルム1(24)の遅相軸2(25)と偏光膜3(22)の吸収軸4(23)とが実質的に平行であると、偏光板の寸法変化やカール防止といった機械的信頼性が向上する。遅相軸2(25)と偏光膜3(22)の吸収軸4(23)とが直交していても同様の効果が得られ、また、一対の透明保護フィルム1(24)および5(20)の厚さや剛性が充分であれば、吸収軸吸収軸4(23)、2枚の保護フィルムの遅相軸2(25)と6(21)がそれぞれ異なる角度で交差しても、同様な効果が得られる。
再び、図1において、偏光膜3と偏光膜22の、液晶セル11〜15に近い側の保護フィルム5および20の遅相軸6および21は、互いに実質的に平行もしくは直交しているのが好ましい。透明保護フィルム5および20の遅相軸6および21が互いに直交していると、それぞれの保護フィルムの複屈折を互いに打ち消すことにより、液晶表示装置に垂直入射した光の光学特性が劣化するのを低減することができる。また、遅相軸6および21が互いに平行な態様では、液晶層に残留位相差がある場合には保護膜の複屈折性でこの位相差を補償することができる。
偏光膜3および22の吸収軸4および23、保護フィルム5および20の遅相軸方向6および21、光学異方性層7、9、16および18の遅相軸の方向、ならびに液晶分子13の配向方向については、各部材に用いられる材料、表示モード、部材の積層構造等に応じて最適な範囲に調整することができる。高コントラストを得るためには、偏光膜3および22の吸収軸4および23が、互いに実質的に直交しているように配置する。但し、本発明の液晶表示装置は、この構成に限定されるものではない。
液晶セル5〜11は、上側基板11および下側基板14と、これらに挟持される液晶分子13から形成される液晶層とからなる。基板11および14の液晶分子13に接触する表面(以下、「内面」という場合がある)には、配向膜(不図示)が形成されていて、配向膜上に施されたラビング処理等により、電圧無印加状態もしくは低印加状態における液晶分子13の配向が制御されている。また、基板11および14の内面には、液晶分子13からなる液晶層に電圧を印加可能な透明電極(不図示)が形成されている。
液晶層の表示モードはOCBモードが好ましい。本発明では、液晶層の厚さd(μm)と屈折率異方性Δnとの積Δn・dは、0.2〜1.2μmとする。Δn・dの最適値は表示モードにより異なり、液晶のΔndの最適値はOCB型では0.4〜1.2μmが最適値となる。こられの範囲では白表示輝度が高く、黒表示輝度が小さいことから、明るくコントラストの高い表示装置が得られる。
なお、これらの最適値は透過モードの値であり、反射モードでは液晶セル内の光路が2倍になることから、最適Δndの値は上記の1/2程度の値になる。
光学異方性層7、9、16および18は、液晶セル11〜15の画像着色を解消したり、視野角を拡大する、光学補償層として機能する。延伸複屈折ポリマーフィルム、塗布型の高分子フィルム、液晶性分子を配向させてなる層などが挙げられる。光学異方性層7、9、16および18のうち、少なくとも一つは、円盤状化合物をハイブリッド配向させてなる光学異方性層である。光学異方性層9および16、即ち、液晶セルに近い側の光学異方性層が、円盤状化合物をハイブリッド配向させてなる光学異方性層であると、OCBモードの液晶表示装置の視野角をより拡大できるので好ましい。かかる光学異方性層を配置することにより、OCBモードの液晶表示装置では、電圧印加により液晶層中央部で垂直配向し、基板界面付近で傾斜配向した液晶層の光学補償を行い、黒表示の視野角特性を改善することができる。光学異方性層7、9、16および18について、好ましい態様、用いられる材料、作製方法、光学的性質、光学的軸の相対的位置関係については後述する。
本発明の液晶表示装置は、図1に示す構成に限定されず、他の部材を含んでいてもよい。例えば、液晶セルと偏光膜との間にカラーフィルターを配置してもよい。また、透過型として使用する場合は、冷陰極あるいは熱陰極蛍光管、あるいは発光ダイオード、フィールドエミッション素子、エレクトロルミネッセント素子を光源とするバックライトを背面に配置することができる。また、本発明の液晶表示装置は、反射型であってもよく、かかる場合は、偏光板は観察側に1枚配置したのみでよく、液晶セル背面あるいは液晶セルの下側基板の内面に反射膜を設置する。もちろん前記光源を用いたフロントライトを液晶セル観察側に設けることも可能である。
本発明の液晶表示装置には、画像直視型、画像投影型や光変調型が含まれる。本発明は、TFTやMIMのような3端子または2端子半導体素子を用いたアクティブマトリックス液晶表示装置に適用した態様が特に有効である。勿論、時分割駆動と呼ばれるSTN型に代表されるパッシブマトリックス液晶表示装置に適用した態様も有効である。
図1に示す液晶表示装置の動作について、OCBモードを例を挙げて説明する。本実施の形態では、電界効果型液晶として正の誘電異方性を有するネマチック液晶を用いてアクティブ駆動を行った例で説明する。
OCBモードでは、上下基板11および14間に、誘電異方性が正で、Δn=0.0813、Δε=4.6程度の液晶をラビング配向させて液晶セルを作製する。液晶分子13の配向方向を示すダイレクタ、いわゆるチルト角は、約8°とするのが好ましい。ここで、ラビング方向12よび15は概略平行で同じ方向とする。これにより液晶層中の液晶分子13の配向はセル断面方向でスプレー配向となる。液晶層にカイラル剤を添加し、ねじれ成分を付与すると配向が安定する。電界無印加状態ではねじれ角を180度とするのが好ましい。また、ラビング方向を直交させて、ねじれ角を90、あるいは270度近傍に設定してもよい。
ここで厚さdと屈折率異方性Δnの積Δndの大きさにより白表示時の明るさが変化する。このため最大の明るさを得るためには、Δndは0.6〜0.9μmの範囲になるように設定するのが好ましい。例えば、Δn=0.0813の液晶を用いた場合、液晶分子13からなる液晶層13の厚さdは7μm程度に設定することができる。
基板11および基板14それぞれの配向膜の内側に形成された透明電極(図示せず)に駆動電圧を印加しない非駆動状態では、液晶層中の液晶分子13は、基板面に対して概略平行に配向し、前記スプレー配向となる。液晶表示装置では、通常、表示を行う場合は2値以上の駆動電圧(電界)を印加し、最大駆動電圧と最小駆動電圧の間で液晶層中の液晶分子配向状態を変化させ、表示装置の透過率を制御して表示を行う。OCBモードではこの最小駆動電圧印加時と電界無印加時とで配向状態が大きく異なる。最小駆動電圧印加時においても液晶層中央部の液晶分子は基板面に対して概略90°の平均配向を有している。液晶分子の基板面に対する平均配向傾き角は、最小駆動電圧印加時と電界無印加時とで10度以上差がある。
下側(例えば背面電極)から入射した光は、偏光膜22によって偏光され、液晶層13に入射する。最小駆動電圧印加状態では、液晶層13に入射した光は、液晶層の複屈折性により偏光状態を変化させる。吸収軸3と23とは直交しているので、下側(例えば背面電極)から入射した光は、偏光膜22によって偏光され、さらに液晶層13を通過することによって偏光状態が変化し、偏光膜3を通過する。すなわち、図1に示す液晶表示装置では、最小駆動電圧印加状態では、白表示が得られる。これに対し、最大駆動電圧印加状態では、液晶分子13のより多くの成分が基板面11および15に垂直な方向に配向し、液晶層の複屈折性が小さくなる。従って、下側(例えば背面電極)から入射した光は、偏光膜22によって偏光され、光学補償層7、9、16、18により液晶層等のレターデーションが打ち消され、偏光状態を維持したまま液晶層13を通過し、偏光膜13によって遮断される。すなわち、図1の液晶表示装置では、最大駆動電圧印加状態において黒表示を実現する。
OCBモードの特徴は、高速応答であることである。しかし、コントラストは正面では高いが、斜め方向では劣化する課題がある。黒表示時に液晶分子は基板面に垂直に配向している。正面から観察すると、液晶分子の複屈折はほとんどないため透過率は低く、高コントラストが得られる。しかし、斜めから観察した場合は液晶分子に複屈折が生じる。さらに上下の偏光板吸収軸の交差角が、正面では90°の直交であるが、斜めから見た場合は90°より大きくなる。この2つの要因のために斜め方向では漏れ光が生じ、コントラストが低下する。これを解決するには光学補償シートを配置するのが好ましい。
図1の液晶表示装置では、上側光学異方性層A9と上側光学異方性層B7、および下側光学異方性層A16と下側光学異方性層18が、光学補償シートとして機能する。
光学補償シートは、画像着色を解消したり、視野角を拡大するために、様々な液晶表示装置で用いられている。光学補償シートとしては、延伸複屈折ポリマーフィルムが従来から使用されていた。延伸複屈折フィルムからなる光学補償シートに代えて、透明支持体上に低分子あるいは高分子液晶性化合物から形成された光学異方性層を有する光学補償シートを使用することが提案されている。液晶性化合物には多様な配向形態があるため、液晶性化合物からなる光学補償層を用いることで、従来の延伸複屈折ポリマーフィルムでは得ることができない光学的性質を実現することが可能になった。液晶性化合物にはその形状から、棒状タイプと円盤状タイプに分類できる。さらにそれぞれ低分子と高分子タイプがある。
光学異方性層の光学異方性によって、光学補償シート全体のレターデーションを調整することが好ましい。光学補償シート全体の面内レターデーションは、20〜200nmであることが好ましい。光学補償シート全体の厚み方向のレターデーションは、50〜500nmであることが好ましい。保護膜が光学補償シートの場合,面内レターデーション(Re)と厚み方向のレターデーション(Rth)は、それぞれ以下の式で求めることができる。
Re=(nx−ny)×d
Rth=((nx+ny)/2−nz)×d
また、偏光板の保護膜に複屈折性を付加することで光学補償シートとしても機能する。この場合偏光膜吸収軸と保護膜遅相軸を実質的に90°で交差させることで、斜め方向では漏れ光が改善される。
OCBモードの視野角を改善する光学補償シートとして、保護膜の他に2つの光学異方性層AおよびBを用いる手法が特開平8−327822号公報に記載がある。本発明においても、該公報に記載の光学補償シートを適用することができる。図1の上側光学異方性層AとB 9と7、および下側光学異方性層AとB 16と18の関係も、前記公報に記載の光学異方性層AおよびBの関係を適用することができる。
面内のリターデーションと斜め方向のリターデーション成分を光学補償層が有することが広視野角達成の条件となる。またOCBモードでは駆動電圧最小、及び最大時においても液晶分子は基板面に対して垂直に配向している成分が大きいため、円盤状化合物がハイブリッド傾斜配向した光学異方性層Aが有効である。この光学異方性層Aには、見かけ上の斜め方向のリターデーション成分が存在するが、OCBモードでは液晶層のΔndの値が大きいため、さらに斜め方向のリターデーション成分を有する光学異方性層Bを積層するのが好ましい。光学異方性層Bは、円盤状化合物からなっていてもよいが、かかる場合は、ハイブリッド配向していないのが好ましい。光学異方性層AおよびBのリターデーション成分により黒表示の斜め方向から見た場合の漏れ光を防止することができる。さらに偏光板視野角の改善のために、面内リターデーションを与えるのが好ましい。
光学補償層AとBとの組み合わせ条件は、液晶層のΔndの大きさ、積層配置場所によって異なる。特に保護膜の光学性能により場合わけができる。光学異方性層Aは常に液晶セルに近い側に積層すると視野角が広くなる。また、より液晶層に近い側の保護膜のRe値とRth値が0nm近傍の時、光学異方性層Bを2層構造とするとよい。例えば、光学異方性層Bが円盤状液晶性化合物からなる層と棒状液晶性化合物からなる層とを有する態様では、円盤状液晶性化合物からなる層を偏光膜に近い側、棒状液晶性化合物からなる層を液晶セルに近い光学異方性層A側に配置するのが好ましい。光学異方性層Bは、液晶性化合物を含む組成物を塗布することによって形成した塗布型フィルムであっても、延伸フィルムであってもよいが、厚さを考慮すると塗布型フィルムであるのがより好ましい。
保護膜のRe値が0nmで、一方Rth値が50〜200nm程度の時、円盤状化合物がハイブリッド配向してなる光学異方性層Aとともに、さらに棒状液晶化合物からなる光学異方性層Bを形成するのが好ましい。上記した様に、円盤状化合物からなる光学異方性層Aをより液晶セルに近い側に配置する。本態様では、保護膜は光学補償層として機能するので、別途円盤状化合物からなる光学異方性層Bを形成する必要はないが、保護膜のRth不足を補うため、別途円盤状化合物からなる光学異方性層Bを形成してもよい。
保護膜のRe値とRth値がともに0nmでない場合、保護膜に光学補償能を持たせることが可能であるので、円盤状化合物がハイブリッド配向してなる光学異方性層Aのみを形成すればよい。この時、片側の保護膜のRe値は5〜50nm、Rth値は50〜300nmが好ましい。なお、保護膜のRe値とRth値の不足分を補うために、別途光学異方性層Bを形成してもよい。
以下、本発明の液晶表示装置に使用可能な種々の部材に用いられる材料、その製造方法等について、詳細に説明する。
[偏光板]
本発明では、偏光膜と該偏光膜を挟持する一対の保護膜とからなる偏光板を用いる。例えば、ポリビニルアルコールフィルム等からなる偏光膜をヨウ素にて染色し、延伸を行い、その両面を保護フィルムにて積層して得られる偏光板を用いることができる。該偏光板は液晶セルの外側に配置される。偏光膜と該偏光膜を挟持する一対の保護膜とからなる一対の偏光板を、液晶セルを挟持して配置させるのが好ましい。
[偏光膜]
本発明に用いる偏光膜は、その吸収軸が長手方向に対して所定の角度を有しているのが好ましい。偏光膜の吸収軸が長手方向に対して所定の角度を有していると、遅相軸が長手方向と一致している保護膜と貼り合せる際に、ロールtoロールで容易に貼り合わせることができる。例えば、長尺状に作製した偏光膜の両面に、長尺状に作製した一対の保護膜を貼り合せて、長尺状の積層体を得、所望の大きさに裁断(打ち抜き)する工程を経て、得率よく単板の偏光板を得ることができる。本発明では、ポリマーフィルムを斜め延伸することによって作製した偏光膜を用いるのが好ましい。斜め延伸については、特開2002−86554号公報(特に、図1〜図6)に詳細が説明され、本発明の偏光板は、当該延伸方法を利用して作製するのが好ましい。
前記斜め延伸の対象とするポリマーフィルムに関しては特に制限はなく、熱可塑性の適宜なポリマーからなるフィルムを用いることができる。ポリマーの例としては、PVA、ポリカーボネート、セルロースアシレート、ポリスルホン、などをあげることができる。延伸前のフィルムの厚みは特に、フィルム保持の安定性、延伸の均質性の観点から、1μm〜1mmが好ましく、更には20〜300μmが好ましく、特に75〜200μm好ましい。
偏光膜用フィルムのポリマーとしては、PVAが好ましく用いられる。PVAは通常、ポリ酢酸ビニルをケン化したものであるが、例えば不飽和カルボン酸、不飽和スルホン酸、オレフィン類、ビニルエーテル類のように酢酸ビニルと共重合可能な成分を含有しても構わない。また、アセトアセチル基、スルホン酸基、カルボキシル基、オキシアルキレン基等を含有する変性PVAも用いることができる。
PVAのケン化度は特に限定されないが、溶解性等の観点から80〜100mol%が好ましく、90〜100mol%が特に好ましい。またPVAの重合度は特に限定されないが、1000〜10000が好ましく、1500〜5000が特に好ましい。
PVAを染色して偏光膜が得られるが、染色工程は気相または液相吸着により行われる。液相で行う場合の例として、ヨウ素を用いる場合には、ヨウ素−ヨウ化カリウム水溶液にPVAフィルムを浸漬させて行われる。ヨウ素は0.1〜20g/L、ヨウ化カリウムは1〜200g/L、ヨウ素とヨウ化カリウムの質量比は1〜200が好ましい。染色時間は10〜5000秒が好ましく、液温度は5〜60℃が好ましい。染色方法としては浸漬だけでなく、ヨウ素あるいは染料溶液の塗布あるいは噴霧等、任意の手段が可能である。染色工程は、本発明の延伸工程の前後いずれに置いても良いが、適度に膜が膨潤され延伸が容易になることから、延伸工程前に液相で染色することが特に好ましい。
PVAを延伸して偏光膜を製造する過程では、PVAに架橋させる添加物を用いることが好ましい。特に本発明の斜め延伸法を用いる場合、延伸工程出口でPVAが十分に硬膜されていないと、工程のテンションでPVAの配向方向がずれてしまうことがあるため、延伸前工程あるいは延伸工程で架橋剤溶液に浸漬、または溶液を塗布して架橋剤を含ませるのが好ましい。架橋剤をPVAフィルムに付与する手段は、特に限定されるものではなく、フィルムの液への浸漬、塗布、噴霧等任意の方法を用いることができるが、特に浸漬法、塗布法が好ましい。塗布手段としてはロールコータ、ダイコータ、バーコータ、スライドコータ、カーテンコータ等、通常知られている任意の手段をとることができる。また、溶液を含浸させた布、綿、多孔質素材等をフィルムに接触する方式も好ましい。架橋剤としては、米国再発行特許第232897号に記載のものが使用できるが、ホウ酸、ホウ砂が実用的に好ましく用いられる。また、亜鉛、コバルト、ジルコニウム、鉄、ニッケル、マンガン等の金属塩も併せて用いることができる。
また、硬膜剤を添加した後に洗浄/水洗工程を設けてもよい。
架橋剤の付与は、延伸機に噛み込む前に行ってもよいし、噛み込んだ後に行っても良く、幅方向延伸が実質的に終了する図3、図4の例の(b)工程の終端までのいずれかの工程で行えばよい。
ヨウ素の他に二色性色素で染色することも好ましい。二色性色素の具体例としては、例えばアゾ系色素、スチルベン系色素、ピラゾロン系色素、トリフェニルメタン系色素、キノリン系色素、オキサジン系色素、チアジン系色素、アントラキノン系色素等の色素系化合物をあげることができる。水溶性のものが好ましいが、この限りではない。又、これらの二色性分子にスルホン酸基、アミノ基、水酸基などの親水性置換基が導入されていることが好ましい。二色性分子の具体例としては、例えばシー.アイ.ダイレクト.イエロー12、シー.アイ.ダイレクト.オレンジ39、シー.アイ.ダイレクト.オレンジ72、シー.アイ.ダイレクト.レッド39、シー.アイ.ダイレクト.レッド79、シー.アイ.ダイレクト.レッド81、シー.アイ.ダイレクト.レッド83、シー.アイ.ダイレクト.レッド89、シー.アイ.ダイレクト.バイオレット48、シー.アイ.ダイレクト.ブルー67、シー.アイ.ダイレクト.ブルー90、シー.アイ.ダイレクト.グリーン59、シー.アイ.アシッド.レッド37等が挙げられ、さらに特開昭62−70802号、特開平1−161202号、特開平1−172906号、特開平1−172907号、特開平1−183602号、特開平1−248105号、特開平1−265205号、特開平7−261024号、の各公報記載の色素等が挙げられる。これらの二色性分子は遊離酸、あるいはアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン類の塩として用いられる。これらの二色性分子は2種以上を配合することにより、各種の色相を有する偏光子を製造することができる。偏光素子または偏光板として偏光軸を直交させた時に黒色を呈する化合物(色素)や黒色を呈するように各種の二色性分子を配合したものが単板透過率、偏光率とも優れており好ましい。
また、PVA、ポリ塩化ビニルを脱水、脱塩素することによりポリエン構造をつくり、共役二重結合により偏光を得るいわゆるポリビニレン系偏光膜の製造にも、本発明の延伸法は好ましく用いることができる。
[保護膜]
本発明に関わる偏光板は、偏光膜の両面に一対の保護膜(保護フィルムともいう)を積層したものである。保護膜の種類は特に限定されず、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースプロピオネート等のセルロースエステル類、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエステル等を用いることができる。
保護膜は、通常、ロール形態で供給され、長尺の偏光膜に対して、長手方向が一致するようにして連続して貼り合わされることが好ましい。ここで、保護膜の配向軸(遅相軸)は何れの方向であってもよく、操作上の簡便性から、保護膜の配向軸は、長手方向に平行であることが好ましい。
本発明では、偏光膜を挟持する一対の保護膜の少なくとも一方(少なくとも、液晶表示装置に組み込んだ場合に、液晶セルに近い側に配置される保護膜)については、膜面の平均屈折率が最大となる方向と実質的に一致する遅相軸を有するものを用いる。即ち、少なくとも一方の保護膜は、それぞれ互いに直交するx、yおよびz軸方向に3つの平均屈折率nx、nyおよびnzを有し、面内の平均屈折率をnxおよびny、厚さ方向平均屈折率をnzとしたとき、nx、ny=nz、nx>nyの関係が成立するフィルム、nx=ny、nz、nx>nzが成立するフィルムなどからなる。
前記保護膜(厚さd1(nm))は、可視光領域の任意の波長λにおいて、−5nm≦{(nx−ny)×d1}≦10nmの関係を満足するのが好ましい。(nx−ny)×d1の値が前記範囲であると、例えば、OCBモードの態様などでは、液晶層の基板近傍の液晶分子平均配向方向と偏光板の吸収軸とが交差しているために表示色が着色するが、かかる表示色の着色を抑制したり、視野角を改善することができる。その場合、保護膜の材料としては、セルローストリアセテート(TAC)、ゼオネックス、ゼオノア(共に日本ゼオン(株)製)、ARTON(JSR(株)製)のようなポリオレフィン類が好ましく用いられる。その他、例えば特開平8−110402号又は特開平11−293116号に記載されているような非複屈折性光学樹脂材料が挙げられる。中でも、低Re値のTACやポリオレフィン類が適している。
前記保護膜の{(nx+ny)/2−nz}×d1の値が、250nm以下であると、保護膜に複屈折を持たせ、光学補償層として機能させる態様において、黒表示時の視野角特性を大きく改善することができる。一方、前記保護膜の{(nx+ny)/2−nz}×d1の値が、50nm以下であると、保護膜に複屈折性を持たせないことで、偏光板による液晶表示装置の視野角特性や、信頼性の低下を軽減させることができる。
保護膜と偏光膜とを貼り合す際には、少なくとも一方の保護膜(液晶表示装置に組み込まれる際に液晶セルに近い側に配置される保護膜)の遅相軸(配向軸)と、前記偏光膜の吸収軸(延伸軸)とが交差する様に、保護膜と偏光膜とを積層する。具体的には、偏光膜の吸収軸と前記保護膜の遅相軸との角度は、好ましくは10°〜90°、より好ましくは20°〜70゜と80°〜90°、更に好ましくは40°〜50゜と85°〜90°、特に好ましくは43〜47゜と88°〜90°である。他方の保護膜の遅相軸と偏光膜の吸収軸の角度については、特に限定されず、偏光板の目的に応じて適宜設定できるが、上記範囲であるのが好ましく、一対の保護膜の遅相軸が一致しているのが好ましい。
なお、保護膜の遅相軸と偏光膜の吸収軸は互いに平行であると、偏光板の寸法変化やカール防止といった偏光板の機械的安定性を向上させることができる。偏光膜および一対の保護膜の合計3つのフィルムの少なくとも2つの軸、一方の保護膜の遅相軸と偏光膜吸収軸、あるいは2枚の保護フィルムの遅相軸などが実質的に平行であれば同じ効果が得られる。
<接着剤>
偏光膜と保護膜との接着剤は特に限定されないが、PVA系樹脂(アセトアセチル基、スルホン酸基、カルボキシル基、オキシアルキレン基等の変性PVAを含む)やホウ素化合物水溶液等が挙げられ、中でもPVA系樹脂が好ましい。接着剤層厚みは乾燥後に0.01〜10μmが好ましく、0.05〜5μmが特に好ましい。
<偏光膜と透明保護膜の一貫製造工程>
本発明にかかわる偏光板は、偏光膜用フィルムを延伸後、収縮させ揮発分率を低下させる乾燥工程を有するが、乾燥後もしくは乾燥中に少なくとも片面に透明保護膜を貼り合わせた後、後加熱工程を有することが好ましい。前記透明保護膜が、光学補償層として機能する光学異方性層の支持体を兼ねている態様では、片面に透明保護膜、反対側に光学異方性層を有する透明支持体を貼り合わせた後、後加熱するのが好ましい。具体的な貼り付け方法として、フィルムの乾燥工程中、両端を保持した状態で接着剤を用いて偏光膜に透明保護膜を貼り付け、その後両端を耳きりする、もしくは乾燥後、両端保持部から偏光膜用フィルムを解除し、フィルム両端を耳きりした後、透明保護膜を貼り付けるなどの方法がある。耳きりの方法としては、刃物などのカッターで切る方法、レーザーを用いる方法など、一般的な技術を用いることができる。貼り合わせた後に、接着剤を乾燥させるため、および偏光性能を良化させるために、加熱することが好ましい。加熱の条件としては、接着剤により異なるが、水系の場合は、30℃以上が好ましく、さらに好ましくは40℃以上100℃以下、さらに好ましくは50℃以上90℃以下である。これらの工程は一貫のラインで製造されることが、性能上及び生産効率上更に好ましい。
上記の如く偏光膜と透明保護膜を一貫製造し、長尺状の偏光板を得た場合は、偏光板を所望の大きさに打ち抜くことができる。打ち抜きの操作については、特開2002−086554号公報の図8の様に行うことができる。
なお、打ち抜きは、長尺状の偏光膜に対して行ってもよいし、透明保護膜を貼り合せた後、さらに該透明保護膜上にさらに光学異方性層を形成した後に行うこともできる。
<偏光板の性能>
本発明に関連する透明保護膜、偏光子、透明支持体からなる偏光板(光学異方性層を不含の形態)の光学的性質及び耐久性(短期、長期での保存性)は、市販のスーパーハイコントラスト品(例えば、株式会社サンリッツ社製HLC2−5618等)同等以上の性能を有することが好ましい。具体的には、可視光透過率が42.5%以上で、偏光度{(Tp−Tc)/(Tp+Tc)}1/2 ≧0.9995(但し、Tpは平行透過率、Tcは直交透過率)であり、60℃、湿度90%RH雰囲気下に500時間および80℃、ドライ雰囲気下に500時間放置した場合のその前後における光透過率の変化率が絶対値に基づいて3%以下、更には1%以下、偏光度の変化率は絶対値に基づいて1%以下、更には0.1%以下であることが好ましい。
次に、偏光板に一体的に形成される光学異方性層、または光学補償シートとして別途組み込まれる光学異方性層の作製方法、用いられる材料等について説明する。
[液晶性化合物からなる光学異方性層]
本発明の液晶表示装置または偏光板の光学異方性層A、Bに用いる液晶性化合物は、棒状液晶化合物または円盤状液晶性化合物を用いることが好ましく、重合性基を有している棒状液晶化合物または重合性基を有している円盤状液晶性化合物を用いることがより好ましい。棒状液晶性化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。以上のような低分子液晶性分子だけではなく、高分子液晶性分子も用いることができる。特に好ましく用いられる、低分子の重合性基を有する棒状液晶性化合物としては、下記式(I)の棒状液晶性化合物である。
式(I) Q1−L1−A1−L3−M−L4−A2−L2−Q2
式中、Q1およびQ2はそれぞれ独立に重合性基であり、L1、L2、L3およびL4はそれぞれ単結合または二価の連結基を表すが、L2またはL3の少なくとも一方が、−O−CO−O−を表す。A1およびA2はそれぞれ炭素原子数2〜20のスペーサー基を表し、Mはメソゲン基を表す。
以下に、前記式(I)で表される重合性基を有する棒状液晶性化合物についてさらに詳細に説明する。式中、Q1およびQ2はそれぞれ独立に重合性基である。重合性基の重合反応は、付加重合(開環重合を含む)または縮合重合であることが好ましい。言い換えると、重合性基は、付加重合反応または縮合重合反応が可能な官能基であることが好ましい。以下に重合性基の例を示す。
Figure 2004258602
1、L2、L3およびL4で表される二価の連結基としては、−O−、−S−、−CO−、−NR2−、−CO−O−、−O−CO−O−、−CO−NR2−、−NR2−CO−、−O−CO−、−O−CO−NR2−、−NR2−CO−O−、−NR2−CO−NR2−および単結合からなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。上記R2は炭素原子数が1〜7のアルキル基または水素原子である。この場合、L3およびL4の少なくとも一方は、−O−CO−O−(カーボネート基)である。
前記式(I)中、Q1−L1およびQ2−L2−は、CH2=CH−CO−O−、CH2=C(CH3)−CO−O−およびCH2=C(Cl)−CO−O−CO−O−が好ましく、CH2=CH−CO−O−が最も好ましい。
1およびA2は、炭素原子数2〜20を有するスペーサー基を表す。炭素原子数2〜12の脂肪族基が好ましく、特にアルキレン基が好ましい。スペーサー基は鎖状であることが好ましく、隣接していない酸素原子または硫黄原子を含んでいてもよい。また、前記スペーサー基は、置換基を有していてもよく、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素)、シアノ基、メチル基、エチル基が置換していてもよい。
Mで表されるメソゲン基としては、すべての公知のメソゲン基が挙げられる。特に下記式(II)で表される基が好ましい。
式(II) −(−W1−L5n−W2
式中、W1およびW2は各々独立して、二価の環状脂肪族基、二価の芳香族基または二価のヘテロ環基を表し、L5は単結合または連結基を表し、連結基の具体例としては、前記式(I)中、L1〜L4で表される基の具体例、および−CH2−O−、―O―CH2−が挙げられる。nは1、2または3を表す。
1およびW2としては、1,4−シクロヘキサンジイル、1,4−フェニレン、ピリミジン−2,5−ジイル、ピリジン−2,5ジイル、1,3,4−チアジアゾール−2,5−ジイル、1,3,4−オキサジアゾール−2,5−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、ナフタレン−1,5−ジイル、チオフェン−2,5−ジイル、ピリダジン−3,6−ジイルが挙げられる。1,4−シクロヘキサンジイルの場合、トランス体およびシス体の構造異性体があるが、本発明ではどちらの異性体であってもよく、任意の割合の混合物でもよい。トランス体であることがより好ましい。W1およびW2はそれぞれ置換基を有していてもよく、置換基としては、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、シアノ基、炭素原子数1〜10のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基など)、炭素原子数1〜10のアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基など)、炭素原子数1〜10のアシル基(ホルミル基、アセチル基など)、炭素原子数1〜10のアルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基など)、炭素原子数1〜10のアシルオキシ基(アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基など)、ニトロ基、トリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、などが挙げられる。
前記式(II)で表されるメソゲン基の基本骨格で好ましいものを、以下に例示する。これらに上記置換基が置換していてもよい。
Figure 2004258602
以下に、前記式(I)で表される化合物の例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、式(I)で表される化合物は特表平11−513019号公報に記載の方法で合成することができる。
Figure 2004258602
Figure 2004258602
Figure 2004258602
偏光板に一体的に形成される光学異方性層のうち少なくとも光学異方性層Aは、円盤状化合物(以下、「円盤状液晶性化合物」という場合もある)をハイブリッド配向させることによって作製する。円盤状液晶性化合物は、ポリマーフィルム面に対して実質的に垂直(50〜90度の範囲の平均傾斜角)に配向させることが好ましい。円盤状液晶性化合物は、様々な文献(C.Destrade et al.,Mol.Crysr.Liq.Cryst.,vol.71,page 111(1981);日本化学会編、季刊化学総説、No.22、液晶の化学、第5章、第10章第2節(1994);B.Kohne et al.,Angew.Chem.Soc.Chem.Comm.,page 1794(1985);J.Zhang et al.,J.Am.Chem.Soc.,vol.116,page 2655(1994))に記載されている。円盤状液晶性化合物の重合については、特開平8−27284公報に記載がある。
円盤状液晶性化合物は、重合により固定可能なように、重合性基を有するのが好ましい。例えば、円盤状液晶性化合物の円盤状コアに、置換基として重合性基を結合させた構造が考えられるが、但し、円盤状コアに重合性基を直結させると、重合反応において配向状態を保つことが困難になる。そこで、円盤状コアと重合性基との間に連結基を有する構造が好ましい。即ち、重合性基を有する円盤状液晶性化合物は、下記式(III)で表わされる化合物であることが好ましい。
式(III) D(−L−P)n
式中、Dは円盤状コアであり、Lは二価の連結基であり、Pは重合性基であり、nは4〜12の整数である。
前記式(III)中の円盤状コア(D)、二価の連結基(L)および重合性基(P)の好ましい具体例は、それぞれ、特開2001−4837号公報に記載の(D1)〜(D15)、(L1)〜(L25)、(P1)〜(P18)であり、同公報に記載の内容を好ましく用いることができる。
一方、光学異方性層B中では、これらの液晶性化合物は実質的に均一に配向していることが好ましい。光学異方性層A及びB中、液晶性化合物は配向している状態で固定されているのが好ましく、重合反応により固定されているのがより好ましい。
重合性基を有する棒状液晶性化合物の場合は、実質的に水平(ホモジニアス)配向に固定化することが好ましい。実質的に水平とは、棒状液晶性化合物の長軸方向と光学異方性層の面との平均角度(平均傾斜角)が0°〜40°の範囲内であることを意味する。棒状液晶性化合物を斜め配向させても良いし、傾斜角が徐々に変化するように(ハイブリッド配向)させても良い。斜め配向またはハイブリッド配向の場合でも、平均傾斜角は0°〜40°であることが好ましい。
重合性基を有する円盤状液晶性化合物の場合は、実質的に垂直配向させることが好ましい。実質的に垂直とは、円盤状液晶性化合物の円盤面と光学異方性層の面との平均角度(平均傾斜角)が50°〜90°の範囲内であることを意味する。円盤状液晶性化合物を斜め配向させても良いし、傾斜角が徐々に変化するように(ハイブリッド配向)させても良い。斜め配向またはハイブリッド配向の場合でも、平均傾斜角は50°〜90°であることが好ましい。
光学異方性層AおよびBは、液晶性化合物および下記の重合開始剤や他の添加剤を含む塗布液を、配向膜の上に塗布することで形成することが好ましい。塗布液の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の例には、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハライドおよびケトンが好ましい。二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。塗布液の塗布は、公知の方法(例、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法)により実施できる。
[液晶性化合物の配向状態の固定化]
配向させた液晶性化合物は、配向状態を維持して固定することが好ましい。固定化は、液晶性化合物に導入した重合性基の重合反応により実施することが好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれるが、光重合反応がより好ましい。光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許4239850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許4212970号明細書記載)が含まれる。
光重合開始剤の使用量は、塗布液の固形分の0.01〜20質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがさらに好ましい。液晶性化合物の重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギーは、20mJ/cm2〜50J/cm2であることが好ましく、100〜800mJ/cm2であることがさらに好ましい。光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。光学異方性層A、Bの厚さは、0.1〜10μmであることが好ましく、0.5〜5μmであることがさらに好ましい。
[配向膜]
前記液晶性化合物を配向させるためには配向膜を用いることが好ましい。配向膜は、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログループを有する層の形成、あるいはラングミュア・ブロジェット法(LB膜)による有機化合物(例えば、ω−トリコ酸、ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロリド、ステアリル酸メチルなど)の累積のような手段で設けることができる。さらに電場の付与、磁場の付与あるいは光照射により配向機能が生じる配向膜も知られている。ポリマーのラビング処理により形成する配向膜がとくに好ましい。ラビング処理はポリマー層の表面を紙や布で一定方向に数回こすることにより実施する。
配向膜に使用するポリマーの種類は、液晶性化合物の配向(特に平均傾斜角)に応じて決定することができる。例えば、液晶性化合物を水平に配向させるためには配向膜の表面エネルギーを低下させないポリマー(通常の配向用ポリマー)を用いる。具体的なポリマーの種類については液晶セルまたは光学補償シートについて種々の文献に記載がある。いずれの配向膜においても、液晶化合物と透明支持体の密着性を改善する目的で、重合性基を有することが好ましい。重合性基は、側鎖に重合性基を有する繰り返し単位を導入するか、あるいは、環状基の置換基として導入することができる。界面で液晶性化合物と化学結合を形成する配向膜を用いることがより好ましく、かかる配向膜としては特開平9−152509号公報に記載されている。
配向膜の厚さは0.01〜5μmであることが好ましく、0.05〜1μmであることがさらに好ましい。
なお、配向膜を用いて液晶性化合物を配向させてから、その配向状態のまま液晶性化合物を固定して光学異方性層を形成し、光学異方性層のみをポリマーフィルム(または透明支持体)上に転写してもよい。光学異方性層を支持する支持体については、特に制限されず、種々の高分子フィルム等を用いることができる。例えば、トリアセチルセルロース、ノルボルネン樹脂、ゼオノア等が挙げられる。
光学異方性層は支持体上に形成してもよい。支持体の材料については、特に制限されず、種々の高分子フィルム等を用いることができる。例えば、トリアセチルセルロース,ノルボルネン樹脂、ゼオノア等が挙げられる。また、上述した様に、偏光板の保護膜が光学異方性層の支持体を兼ねていてもよい。かかる態様における支持体の材料の具体例については、偏光板の保護膜の材料の具体例と同一であり、前記した通りである。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、物質量とその割合、操作等は本発明の趣旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下の具体例に制限されるものではない。
[例1]
図1に示す構成の液晶表示装置を作製した。即ち、観察方向(上)から上側偏光板(透明保護フィルム1、偏光膜3、および透明保護フィルム5、上側光学異方性層B7、上側光学異方性層A9)、液晶セル(上基板11、液晶層13、下基板14)、下側偏光板(下側光学異方性層A16、下側光学異方性層B18、透明保護フィルム20、偏光膜22、透明保護フィルム24)を積層し、さらに下側偏光板の下側には冷陰極蛍光灯を用いたバックライト(不図示)を配置した。
以下に、用いた部材それぞれの作製方法を説明する。
<液晶セルの作製>
液晶セルは、セルギャップ6μmとし、正の誘電率異方層を持つ液晶材料を基板間に滴下注入で封入し、液晶層13のレターデーションRe値を780nmとした。
<上下偏光板の作製>
各フィルムの積層角度は表示装置水平方向を基準にすると、上偏光板保護膜遅相軸2、6の角度は0°、偏光膜吸収軸4の角度は45°、同じく下偏光板偏光膜吸収軸23の軸角度は−45°、下偏光板保護膜遅相軸21、25の角度は90°に設定した。さらに上下偏光板保護膜はセルロースアセテートフィルムからなりRe値は1nm、Rth値は176nmにそれぞれ設定した。上下偏光板偏光膜の透明保護フィルム上に、光学異方性層Bおよび光学異方性層Aを順次形成し、液晶セルと透明保護フィルム5(20)との間に、光学異方性層A9(16)および光学異方性層B7(18)を、光学異方性層Aがより液晶セルに近い位置になるように配置した。
光学異方性層B(7、18)は、透明保護フィルム(5、20)を支持体として、棒状液晶性化合物を配向させることによって形成した。光学異方性層BのRe値を39nm、同遅相軸8、19の角度は90°にした。光学異方性層Aは、円盤状化合物をハイブリッド配向させることにより形成した。
さらに、詳細に上下偏光板の各部材の作製方法について説明する。
《透明保護膜用セルロースアセテートフィルムの作製》
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液を調製した。
セルロースアセテート溶液組成
酢化度60.7〜61.1%のセルロースアセテート 100質量部
トリフェニルホスフェート(可塑剤) 7.8質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤) 3.9質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 336質量部
メタノール(第2溶媒) 29質量部
1−ブタノール(第3溶媒) 11質量部
別のミキシングタンクに、下記のレターデーション上昇剤16質量部、メチレンクロライド 92質量部およびメタノール 8質量部を投入し、加熱しながら攪拌して、レターデーション上昇剤溶液を調製した。セルロースアセテート溶液474質量部にレターデーション上昇剤溶液25質量部を混合し、充分に攪拌してドープを調製した。レターデーション上昇剤の添加量は、セルロースアセテート100質量部に対して、6.0質量部であった。
Figure 2004258602
得られたドープを、バンド延伸機を用いて、Reレターデーション値が0〜2nmとなるようにテンションを調整しながら流延した。バンド上での膜面温度が40℃となってから、70℃の温風で1分乾燥し、バンドからフィルムを140℃の乾燥風で10分乾燥し、残留溶剤量が0.3質量%のセルロースアセテートフィルム(厚さ:80μm)を作製した。作製したセルロースアセテートフィルム(透明支持体、透明保護膜)について、エリプソメーター(M−150、日本分光(株)製)を用いて、波長546nmにおけるReレターデーション値およびRthレターデーション値を測定した。Reは1nm(ばらつき±1nm)、Rthは176nm(ばらつき±3nm)であった。さらに、400nm〜700nmの各波長のReは1±1nm、400nm〜700nmの各波長のRthは176±2nmの範囲であった。
作製したセルロースアセテートフィルムを2.0Nの水酸化カリウム溶液(25℃)に2分間浸漬した後、硫酸で中和し、純水で水洗し、その後乾燥させた。このセルロースアセテートフィルムの表面エネルギーを接触法により求めたところ、63mN/mであった。こうして、透明保護膜用セルロースアセテートフィルムを作製した。
《光学異方性層B用の配向膜の作製》
このセルロースアセテートフィルム上に、下記の組成の塗布液を#16のワイヤーバーコーターで28mL/m2塗布した。60℃の温風で60秒、さらに90℃の温風で150秒乾燥した。乾燥後の配向膜厚みは1.1μmであった。また、配向膜の表面粗さ(Ra)を原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope、SPI3800N、セイコーインスツルメンツ(株)製)にて測定したところ、1.147nmであった。次に、形成した膜に、セルロースアセテートフィルムの遅相軸(ロールフィルム長手方向)に対して−45°方向にラビング処理を実施した。
配向膜塗布液組成
下記の変性ポリビニルアルコール 20質量部
水 361質量部
メタノール 119質量部
グルタルアルデヒド(架橋剤) 0.5質量部
Figure 2004258602
《光学異方性層Bの作製》
上記の配向膜の上に、下記の組成の塗布液をバーコーターを用いて連続的に塗布、乾燥、および加熱(配向熟成)し、さらに紫外線照射して厚さ0.33μmの水平配向した光学異方性層Bを形成した。光学異方性層Bは透明保護膜用セルロースアセテートフィルムの長手方向に対して−45°の方向に遅相軸を有していた。550nmにおけるRe値は39nmであった。
光学異方性層(B)用塗布液組成
本明細書中の棒状液晶性化合物(例示化合物 I−2)38.1質量%
下記の増感剤 A 0.38質量%
下記の光重合開始剤 B 1.14質量%
配向制御剤 C 0.38質量%
グルタールアルデヒド 0.04質量%
メチルエチルケトン 59.9質量%
Figure 2004258602
Figure 2004258602
Figure 2004258602
《光学異方性層Aの作製》
光学異方性層(B)に、透明保護膜用セルロースアセテートフィルムの遅相軸(ロールフィルムの長手方向)に対して、0°方向にラビング処理を実施した。その上に、液晶性ディスコティック化合物1,2,1’,2’,1’’,2’’−トリス[4、5−ジ(ビニルカルボニルオキシブトキシベンゾイルオキシ)フェニレン(特開平8−50206号公報、段落0044に記載の例示化合物TE−8の(8)、m=4)41.01g、エチレンオキサイド変成トリメチロールプロパントリアクリレート(V#360、大阪有機化学(株)製)4.06g、セルロースアセテートブチレート(CAB551−0.2、イーストマンケミカル社製)0.90g、セルロースアセテートブチレート(CAB531−1、イーストマンケミカル社製)0.23g、光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製)1.35g、増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)0.45gを、102gのメチルエチルケトンに溶解した塗布液を、#3のワイヤーバーで塗布した。その後、130℃の乾燥ゾーンで2分間加熱乾燥し、円盤状化合物を配向させた。次に、130℃で120W/cm高圧水銀灯を用いて、4秒間UV照射し円盤状化合物を重合させた。その後、室温まで放冷して、光学異方性層Aを形成した(膜厚1.46μm)。
作製した光学異方性層Aにおいて、円盤状液晶性化合物は、円盤面と層平面とのなす角度(傾斜角)が、光学異方性層B側から空気界面に向かって増加(ハイブリッド配向)し、平均傾斜角は40゜であった。
以上のようにして、光学補償能を有する光学異方性層AおよびBを、透明保護フィルム上に形成した。
《偏光膜の作製》
平均重合度が2、400、膜厚100μmのPVAフィルムを15〜17℃のイオン交換水にて60秒洗浄し、ステンレス製のブレードにて表面水分を掻き取ったのち、該PVAフィルムを濃度が一定になるように濃度補正しつつヨウ素0.77g/L、ヨウ化カリウム60.0g/Lの水溶液に40℃にて55秒浸漬し、さらに濃度が一定になるように濃度補正しつつ硼酸42.5g/L、ヨウ化カリウム30g/L、塩化亜鉛1.8g/Lの水溶液に40℃にて90秒浸漬後、フィルムの両面をステンレス製ブレードにて余剰水分を掻き取り、フィルム中の含有水分率の分布を2%以下にした状態(この時のPVAフィルムの平均含有水分率は32%であった)で、特開2002−86554号公報の図2の形態のテンター延伸機に導入した。搬送速度を4m/分として、100m送出し、60℃95%雰囲気下で5倍まで延伸した後、テンターを延伸方向に対し特開2002−86554号公報の図2の如く屈曲させ、以降幅を一定に保ち、収縮させながら70℃雰囲気で乾燥させた後テンターから離脱した。乾燥後のPVAフィルムの含有水分率は1.5%であった。左右のテンタークリップの搬送速度差は、0.05%未満であり、導入されるフィルムの中心線と次工程に送られるフィルムの中心線のなす角は、46゜であった。ここで|L1−L2|は0.7m、Wは0.7mであり、|L1−L2|=Wの関係にあった。テンター出口における実質延伸方向Ax−Cxは、次工程へ送られるフィルムの中心線22に対し45゜傾斜していた。テンター出口におけるシワ、フィルム変形は観察されなかった。なお、延伸、乾燥後のフィルムの厚さは19μmであった。
《透明保護膜の貼り合わせ》
上記の斜め延伸した偏光膜を幅方向から3cm、カッターにて耳きりをした後、その両面をPVA((株)クラレ製PVA−117H)3%水溶液を接着剤として、ケン化処理した上記光学異方性層BおよびAを有する透明保護膜用セルロースアセテートフィルム(光学補償層A)およびケン化処理した上記で作製した透明保護膜用セルロースアセテートフィルムを貼り合わせ、さらに70℃で10分間加熱して有効幅650mmの両面にセルロースアセテートフィルムを供えた偏光板を得た。
上記偏光板の光学異方性層を除いた偏光板性能は、可視光透過率が43.2で、偏光度{(Tp−Tc)/(Tp+Tc)}1/2が0.9997(ただし、Tpは平行透過率、Tcは直交透過率)であり、60℃、湿度90%RH雰囲気下に500時間および80℃、ドライ雰囲気下に500時間放置した場合のその前後における光透過率の変化率が絶対値に基づいて1%以下、偏光度の変化率は絶対値に基づいて0.05%以下であった。
得られた偏光膜の吸収軸方向は、長手方向に対し45゜傾斜していた。この偏光板の550nmにおける透過率は42.3%、偏光度は99.97%であった。さらに特開2002−86554号公報の図8の如く310×233mmサイズに裁断したところ、91.5%の面積効率で辺に対し45゜吸収軸が傾斜した偏光板を得ることができた。また、目視にて色抜けスジは見られなかった。
<作製した液晶表示装置の漏れ光の測定>
このように作製した液晶表示装置の漏れ光を測定した。左方向60°からの観察にての漏れ光は0.7%であった。液晶表示装置の視野角特性において、コントラスト比5対1以上の視野角が左右上下で各60°以上あることが望ましい。
本表示装置では白表示は30%程度の透過率を得ることから、視野角60°で黒表示1%未満の値を満足すれば、コントラスト比5対1以上の視野角が左右で各70°、上下で各60°以上が得られた。
[例2]
棒状液晶化合物からなる光学異方性層Bを作製せず、その他の構成は例1と同じにした。
<作製した液晶表示装置の漏れ光の測定>
このように作製した液晶表示装置の白表示輝度と黒表示輝度の比であるコントラスト比を測定した。左方向60°からの観察にてコントラスト比は20、上方向60°からのコントラスト比は15であった。なお、左方向と右方向、上方向と下方向のコントラスト比はほぼ同じであった。
棒状化合物からなる光学異方性層BのRe値を変化させた液晶表示装置No.1〜6を作製し、これらの液晶表示装置を斜め60°から観察した際のコントラスト比の値を測定した。結果を表1に示した。
表1:左60°、上60°方向視野角におけるコントラスト比
Figure 2004258602
[例3]
例1において光学異方性層Bを作製した後、さらにその上に、光学異方性層Aの作製で使用した円盤状化合物を用い、円盤状化合物の保護フィルム面に対する傾斜角を5°以内とし、塗布厚を制御してRthの値を20nmとした光学異方性層B’を作製した。この円盤状化合物からなる光学異方性層B’は、光学異方性層B上に配向膜を塗布し、ラビング処理することにより配向させたが、配向膜を塗布せずにラビング強度の変化のみで配向させることも可能である。
その他の構成は例1と同じにすることで、光学特性も同じ値をほぼ得た。さらに液晶層の厚さを10%程度厚くすることで白表示透過率が20%向上した。
[例4]
例1で用いた透明保護層用セルロースアセテートフィルムを以下のものに代え、その他の構成は例1と同様にして上下偏光板を作製した。
表示装置の水平方向を各フィルムの軸角度の基準とした時、上偏光板側の保護膜遅相軸6の角度90°、上側偏光板保護膜上の光学異方性層Aの配向制御方向を90°、下偏光板側の保護膜遅相軸角度90°、下側偏光板保護膜上の光学異方性層Aの配向制御方向を90°に配置し、その他の構成は例1と同じにした。即ち、種々の光学的軸について、図3に示す関係が成立している液晶表示装置を作製した。
<上下偏光板の作製>
《透明保護膜用セルロースアセテートフィルムの作製》
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液を調製した。
セルロースアセテート溶液組成
酢化度60.7〜61.1%のセルロースアセテート 100質量部
トリフェニルホスフェート(可塑剤) 7.8質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤) 3.9質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 336質量部
メタノール(第2溶媒) 29質量部
1−ブタノール(第3溶媒) 11質量部
別のミキシングタンクに、下記のレターデーション上昇剤16質量部、メチレンクロライド 92質量部およびメタノール 8質量部を投入し、加熱しながら攪拌して、レターデーション上昇剤溶液を調製した。セルロースアセテート溶液474質量部にレターデーション上昇剤溶液25質量部を混合し、充分に攪拌してドープを調製した。レターデーション上昇剤の添加量は、セルロースアセテート100質量部に対して、7.0質量部であった。
Figure 2004258602
得られたドープを、バンド延伸機を用いて、Reレターデーション値が35〜40nmとなるようにテンター延伸倍率を1.2倍に設定し、さらにテンションを調整しながら流延した。バンド上での膜面温度が40℃となってから、70℃の温風で1分乾燥し、バンドからフィルムを140℃の乾燥風で10分乾燥し、残留溶剤量が0.3質量%のセルロースアセテートフィルム(厚さ:80μm)を作製した。作製したセルロースアセテートフィルム(透明支持体、透明保護膜)について、エリプソメーター(M−150、日本分光(株)製)を用いて、波長546nmにおけるReレターデーション値およびRthレターデーション値を測定した。Reは39nm(ばらつき±1nm)、Rthは176nm(ばらつき±3nm)であった。さらに、400nm〜700nmの各波長のReは39±1nm、400nm〜700nmの各波長のRthは176±2nmの範囲であった。
作製したセルロースアセテートフィルムを2.0Nの水酸化カリウム溶液(25℃)に2分間浸漬した後、硫酸で中和し、純水で水洗し、その後乾燥させた。このセルロースアセテートフィルムの表面エネルギーを接触法により求めたところ、63mN/mであった。こうして、透明保護膜用セルロースアセテートフィルムを作製した。
<作製した液晶表示装置の漏れ光の測定>
このように作製した液晶表示装置の上下左右方向のコントラスト比を測定した。左方向60°で15、上方向からの観察にて10であった。またコントラスト比5対1以上の視野角は左右方向で各80°、上下方向でも80°以上が得られた。
透明保護フィルムのレターデーション値Re値とRth値をバンド延伸機テンター延伸倍率とレターデーション上昇剤の添加量を変えることで以下の表2のように変化させて液晶表示装置No.7〜24を作製し、これらの液晶表示装置を斜め60°から観察した際の漏れ光の値を調べた。漏れ光は特に黒表示時の輝度上昇を招き,コントラスト比を低下させる。そこで漏れ光の比較指標として白表示輝度と黒表示輝度の比からもとめるコントラスト比を用いた。結果を表2に示す。
液晶表示装置のコントラスト比と漏れ光との関係をより詳細に説明する。液晶表示装置の表示品質の評価として、コントラスト比の値は有効である。コントラスト比は、白表示時の輝度と黒表示時の輝度の比で、以下の式で定義される。
CR(コントラスト比)=(白輝度)/(黒輝度)
輝度は、輝度計(例えばトプコン社製のBM−7など)を用いて測定することができる。漏れ光があると黒表示への影響は非常に大きいが、白表示への影響は小さい。即ち、漏れ光があると、黒表示時の輝度上昇を招き、コントラスト比が低下する。実際に、実施例の液晶表示装置は、黒表示時の斜め方向の漏れ光を改善する効果があり、白表示時の画質はほとんど同じであった。従って、斜め方向からの漏れ光を低減するという本発明の効果は、黒表示輝度を測定すること、即ちコントラスト比を測定することで判断することができる。
表2:保護膜のリターデーションを変えた時のコントラスト比変化
Figure 2004258602
[例5]
例4で作製した光学異方性層Bを除去して、直接、透明保護膜用セルロースアセテートフィルムの配向膜の表面を、透明保護膜用セルロースアセテートフィルムの遅相軸(ロールフィルムの長手方向)に対して0°方向にラビングし、その上に例1と同様にして光学異方性層Aを形成した以外は、例4と同様にして液晶表示装置を作製した。
このように作製した液晶表示装置の上下左右方向のコントラスト比を測定した。左方向60°で12、上方向からの観察にて10であった。コントラスト比5対1以上の視野角は例4に比べ5%程度狭くなったが、液晶表示装置および偏光板の作製プロセスが簡略化することができた。
[例6]
例1で作製した上下偏光板について、透明保護フィルムおよび光学異方性層Bを以下の様に変更した。
上下偏光板の透明保護膜として、Re値が2nm、Rth値が5nmのノルボルネン系フィルムを用いた。上記保護膜を支持体とし、Re値=3nm、Rth値=179nmの円盤状化合物からなる上側光学異方性層Bを塗布により形成した。上側光学異方性層Bの遅相軸8の角度は、表示装置水平方向に対して0°であった。上側偏光膜に上記ノルボルネン系フィルムからなる透明保護膜が接する(したがって、光学異方性層Bの支持体が透明保護膜を兼用する)ように積層し、前記光学異方性層Bが液晶セル側になるように配置した。さらに、下偏光板保護膜を支持体として、Re値=3nm、Rth値=179nmの円盤状化合物からなる下側光学異方性層Bを塗布により形成した。下側光学異方性層Bの遅相軸19の角度は、表示装置水平方向に対して0°であった。下側偏光膜に上記ノルボルネン系フィルムからなる透明保護膜が接する(したがって、光学異方性層Bの支持体が透明保護膜を兼用する)ように積層し、前記光学異方性層Bが液晶セル側になるように配置した。その他の構成は例1と同じにした。
<作製した液晶表示装置の漏れ光の測定>
このように作製した液晶表示装置の上下左右方向のコントラスト比を測定した。左方向60°で10、上方向からの観察にて8であった。またコントラスト比5対1以上の視野角は左右方向で各80°、上下方向で60°以上が得られた。
上側光学異方性層BのRth値を変化させて、液晶表示装置No.25〜30を作製し、これらの液晶表示装置を斜め60°から観察したコントラスト比を測定した。結果を表3に示す。
表3:上側光学異方性層BのRth値を変えたときのコントラスト比変化
Figure 2004258602
[例7]
例6で作製した光学異方性層AとBの間に例1で作製した棒状化合物からなる層(例1において光学異方性層B)を、表示装置水平方向を基準として、同層の遅相軸が90°になるように塗布によって積層した。このように作製した液晶表示装置の上下方向のコントラスト比を測定した。左方向60°で20、上方向からの観察にて15であった。
[例8]
例1において偏光膜の延伸方向をフィルム長手方向に対して90°とし、表示装置水平方向を基準にすると、上偏光板保護膜遅相軸2”、6”の角度は−45°、偏光膜吸収軸4の角度は45°、同じく下偏光板偏光膜吸収軸23の軸角度は−45°、下偏光板保護膜遅相軸21”、25”の角度は45°に設定した。即ち、種々の光学的軸について、図2に示す関係が成立している液晶表示装置を作製した。
通常のいわゆる幅方向一軸延伸型テンター延伸機を用い、原反厚100μmのPVA系フィルムを二色性物質染色槽で染色し、塗布手段で架橋剤溶液を塗布され、テンター延伸機に噛み込む。30°〜80°、70〜99%RHの雰囲気下で幅方向に一軸延伸された後、幅をほぼ一定に保って乾燥され、揮発分を十分除去した後,離脱して厚さ18μmの偏光膜とした。他の構成は実施例1と同じにした。このように作製した液晶表示装置の漏れ光を測定した。左方向60°からの観察にての漏れ光は0.7%であった。液晶表示装置の視野角特性において、コントラスト比5対1以上の視野角が左右上下で各60°以上あることが望ましい。本表示装置では白表示は30%程度の透過率を得ることから、視野角60°で黒表示1%未満の値を満足すれば、コントラスト比5対1以上の視野角が左右で各70°、上下で各60°以上が得られた。
[例9]
例1〜8の光学異方性層を塗布していない側の透明保護膜(上偏光板用、下偏光板用共に)を、市販のセルローストリアセテートフフィルム(フジタックTD80UF、富士写真フイルム(株)製)にけん化処理したものに替えた場合でも、得られた結果は例1〜7とほぼ同じ結果となった。
本発明の液晶表示装置の一例を示す概略図である。 本発明の偏光板の一例の一部を示す概略図である。 本発明の液晶表示装置の一例を示す概略図である。 本発明の液晶表示装置の一例を示す概略図である。
1 上側偏光板保護膜1
2、2’、2” 上側偏光板保護膜1遅相軸
3 上側偏光板偏光膜
4 上側偏光板偏光膜吸収軸
5 上側偏光板保護膜2
6、6’、6” 上側偏光板保護膜2遅相軸
7 上側光学異方性層B
8 上側光学補償層Bの遅相軸
9 上側光学異方性層A
10 上側光学補償層A作製時のラビング方向
11 液晶セル上側基板
12 上側基板液晶配向用ラビング方向
13 液晶分子(液晶層)
14 液晶セル下側基板
15 下側基板液晶配向用ラビング方向
16 下側光学異方性層A
17 下側光学異方性層A作製時のラビング方向
18 下側光学異方性層B
19 下側光学補償層Bの遅相軸
20 下側偏光板保護膜
21、21’、21” 下側偏光板保護膜20の遅相軸
22 下側偏光板偏光膜
23 下側偏光板偏光膜の吸収軸
24 下側偏光板保護膜
25、25’、25” 下側偏光板保護膜24の遅相軸

Claims (15)

  1. 少なくとも一方に電極を有し対向配置された一対の基板と、前記基板間に設けられた液晶層と、前記液晶層の外側に配置された第一の偏光板とを有する液晶表示装置であって、前記液晶層の厚さd(μm)と屈折率異方性Δnとの積Δn・dが0.2〜1.2μmであり、前記液晶層の配向状態が少なくとも2値以上の電界を印加することで変化し、かつ電界印加時と電解無印加時で液晶層の基板面に対する平均配向傾き角が異なり、前記第一の偏光板が、偏光膜と該偏光膜を挟持して配置された一対の保護膜と、前記保護膜の外側であって前記液晶層により近い側に位置する、円盤状化合物がハイブリット配向してなる光学異方性層とを有し、前記一対の保護膜のうち少なくとも一方は、膜面の平均屈折率が最大となる方向と実質的に一致する遅相軸を有し、かつ液晶層に近い保護膜の遅相軸と偏光膜吸収軸とが交差していることを特徴とする液晶表示装置。
  2. 前記一対の保護膜の双方が、膜面の平均屈折率が最大となる方向と実質的に一致する遅相軸を有し、前記遅相軸が互いに実質的に平行であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
  3. 前記一対の保護膜のうち前記液晶層に遠い側の保護膜の遅相軸と、前記偏光膜の吸収軸とが実質的に平行もしくは直交していることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
  4. 前記第一の偏光板とともに前記液晶層を挟持して配置された第二の偏光板を有し、前記第二の偏光板が少なくとも偏光膜と該偏光膜を挟持する一対の保護膜とから構成され、前記第一および第二の偏光板の前記液晶層に近い側の保護膜の遅相軸が、互いに実質的に平行もしくは直交していることを特徴とする請求項2または3に記載の液晶表示装置。
  5. 前記第一の偏光板とともに前記液晶層を挟持して配置された第二の偏光板を有し、前記第二の偏光板が偏光膜と該偏光膜を挟持する一対の保護膜とから構成され、前記第一および第二の偏光板の偏光膜の吸収軸が、互いに実質的に直交していることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  6. 少なくとも一方に電極と薄膜半導体層を有し対向配置された一対の基板と、該基板間に設けられた液晶層と、該液晶層の外側に配置された偏光板とを有し、該半導体層に外部から信号線により電気信号を印加することで前記液晶層の配向状態を変化させることで表示を行う液晶表示装置であって、上記液晶層の厚さd(μm)と屈折率異方性Δnとの積Δn・dが0.2〜1.2μmであり、上記偏光板が、偏光膜と該偏光膜を挟持して配置された一対の屈折性を有する保護膜と、前記保護膜の外側であって前記液晶層により近い側に位置する、円盤状化合物がハイブリット配向してなる光学異方性層とを有し、前記半導体層に電気信号を印加する信号線と前記偏光膜吸収軸とが実質的に45°で交差することを特徴とする液晶表示装置。
  7. 前記一対の保護膜のうち前記液晶層に近い側に配置される保護膜の遅相軸と、前記偏光膜の吸収軸とが実質的に90°で交差していることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  8. 前記一対の保護膜のうち液晶層に近い側に配置される保護膜が、厚さd1(nm)であり、それぞれ互いに直交するx、yおよびz軸方向に3つの平均屈折率nx、nyおよびnzを有し、前記液晶層の表面に平行な面内の主平均屈折をnxおよびny、前記液晶層の厚み方向の主平均屈折率をnzとした場合、可視光領域の任意の波長λにおいて、−5nm≦{(nx−ny)×d1}≦10nmの関係を満足することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  9. 前記保護膜の{(nx+ny)/2−nz}×d1の値が、250nm以下であることを特徴とする請求項8に記載の液晶表示装置。
  10. 前記保護膜の{(nx+ny)/2−nz}×d1の値が、50nm以下であることを特徴とする請求項8に記載の液晶表示装置。
  11. 前記保護膜がセルロースアセテートまたはポリオレフィン系樹脂からなる請求項1〜10のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  12. 前記偏光板と、前記一対の基板および前記液晶層からなる液晶セルとの間に、重合性液晶性化合物からなる層を少なくとも一層有することを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  13. 前記液晶性化合物が棒状化合物からなることを特徴とする請求項12に記載の液晶表示装置。
  14. 前記保護膜が、厚さd1(nm)であり、それぞれ互いに直交するx、y、及びz軸方向に3つの平均屈折率nx、ny、nzを有し、前記液晶セルの表面に平行な面内の主平均屈折率をnxおよびny(但し、ny<nx)とし、該液晶セルの厚み方向の主平均屈折率をnz、可視光領域の任意の波長λにおいて、10nm≦{(nx−ny)×d1}≦50nm、および100nm≦[{(nx+ny)/2−nz}×d1]≦300nmを満足し、かつ前記偏光板と、前記一対の基板および前記液晶層からなる液晶セルとの間に、重合性液晶性化合物からなる層を少なくとも一層有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  15. 偏光膜と、該偏光膜を挟持して配置された屈折性を有する一対の保護膜と、少なくとも一方の保護膜の外側に円盤状化合物がハイブリット配向してなる光学異方性層とを有し、前記保護膜が、厚さd1(nm)であり、それぞれ互いに直交するx、yおよびz軸方向に3つの平均屈折率nx、nyおよびnzを有し、面内の主平均屈折率をnxおよびny、厚み方向の主平均屈折率をnzとした場合、可視光領域の任意の波長λにおいて、−5nm≦{(nx−ny)×d1}≦50nm、および50nm≦[{(nx+ny)/2−nz}×d1]≦300nmを満足し、かつ前記保護膜のいずれか一方の遅相軸と前記偏光膜の吸収軸とが、実質的に平行もしくは直交していることを特徴とする偏光板。

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